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特許7529189タッチキーアセンブリ、制御回路、および電子デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】タッチキーアセンブリ、制御回路、および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/96 20060101AFI20240730BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H03K17/96 V
G06F3/02 E
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021556901
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 CN2020086338
(87)【国際公開番号】W WO2020216278
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】201910339870.4
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、ゼンピン
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-017677(JP,A)
【文献】特表2017-510945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090599(US,A1)
【文献】特開平07-282699(JP,A)
【文献】特開2009-232356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0101711(US,A1)
【文献】特開2018-126309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/96
G06F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと制御回路とを備える電子デバイスであって、
前記センサは、力または変形を検出し、かつ、前記センサの第1ポートを使用することによって力感知信号Sを出力するように構成され、
前記制御回路は、前記力感知信号Sを検出し、かつ、前記力感知信号Sが能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、前記力感知信号Sが前記能動的開始条件を満たしていると判断した場合に、第1時間間隔で前記センサの第1ポートに駆動信号Sを出力し、かつ、前記第1時間間隔と重複しない第2時間間隔でハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態を出力するように構成され、前記駆動信号Sは、前記センサを駆動して外側ハウジングと共に振動させるために使用され、
前記センサは、前記外側ハウジングの前記振動を検出し、かつ、前記第1ポートを使用することによって振動感知信号Sを出力するように構成され、前記振動感知信号Sは、前記センサが前記駆動信号Sを受信した後に前記センサにより出力される振動コーダ波応答信号であり、
前記制御回路は更に、前記第2時間間隔で前記振動感知信号Sを検出し、かつ、イベントをトリガするかどうかを前記振動感知信号Sに基づいて判断するように構成される、
電子デバイス。
【請求項2】
前記制御回路は、第1増幅ユニットを有しており、前記第1増幅ユニットは、前記振動感知信号Sを増幅するように構成される、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記制御回路は更に、フィルタユニットを有しており、前記フィルタユニットは、前記振動感知信号Sに対してフィルタリング処理を実行するように構成される、請求項1または2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記制御回路は更に、前記力感知信号Sを増幅するように構成される第2増幅ユニットを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記制御回路は特に、
前記力感知信号Sが計算開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、前記力感知信号Sが前記計算開始条件を満たしている場合に、前記センサにより感知される力および/または加速力を前記力感知信号Sに基づいて計算し、
前記力および/または前記加速力が前記能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、前記力および/または前記加速力が前記能動的開始条件を満たしている場合に、前記センサに前記駆動信号Sを送信する
ように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記制御回路は特に、
前記力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合に、割り込みプログラムを開始し、
前記割り込みプログラムが開始された後に、前記センサにより感知される力および/または加速力を前記力感知信号Sに基づいて計算し、前記力および/または前記加速力が前記能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、前記力および/または前記加速力が前記能動的開始条件を満たしている場合に、前記駆動信号Sを送信する
ように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記センサは、電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイスを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記センサは、圧電デバイスである、請求項1から7のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記センサは、前記第1ポートおよび第2ポートを有し、前記第2ポートは、共通端である、請求項1から8のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記制御回路は、前記電子デバイスの処理チップである、請求項1から9のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記制御回路は、前記センサの制御チップである、請求項1から9のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記外側ハウジングは、前記電子デバイスのハウジングの一部である、請求項1から11のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記外側ハウジングは、前記センサの外側ハウジングである、請求項1から11のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項14】
制御回路であって、前記制御回路は、第1ポートを使用することによってセンサにより出力される力感知信号Sを受信するように構成され、前記力感知信号Sは、前記センサにより検出される力または変形を示すために使用され、前記力感知信号Sが能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、前記力感知信号Sが前記能動的開始条件を満たしていると判断した場合に第1時間間隔で前記センサの前記第1ポートに駆動信号Sを出力し、かつ、前記第1時間間隔と重複しない第2時間間隔でハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態を出力するように構成され、前記駆動信号Sは、前記センサを駆動して振動させるために使用され、
前記制御回路は更に、前記第1ポートを使用することによって前記センサにより出力される振動感知信号Sを前記第2時間間隔で検出し、かつ、イベントをトリガするかどうかを前記振動感知信号Sに基づいて判断するように構成され、前記振動感知信号Sは、前記センサが前記駆動信号Sを受信した後に前記センサにより出力される振動コーダ波応答信号である、
制御回路。
【請求項15】
前記制御回路は、第1増幅ユニットを有しており、前記第1増幅ユニットは、前記振動感知信号Sを増幅するように構成される、請求項14に記載の制御回路。
【請求項16】
前記制御回路は更に、フィルタユニットを有しており、前記フィルタユニットは、前記振動感知信号Sに対してフィルタリング処理を実行するように構成される、請求項14または15に記載の制御回路。
【請求項17】
前記制御回路は更に、前記力感知信号Sを増幅するように構成される第2増幅ユニットを有する、請求項16に記載の制御回路。
【請求項18】
前記制御回路は特に、
前記力感知信号Sが計算開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、前記力感知信号Sが前記計算開始条件を満たしている場合に、前記センサにより感知される力および/または加速力を前記力感知信号Sに基づいて計算し、
前記力および/または前記加速力が前記能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、前記力および/または前記加速力が前記能動的開始条件を満たしている場合に、前記センサに前記駆動信号Sを送信する
ように構成される、請求項16または17に記載の制御回路。
【請求項19】
前記制御回路は特に、
前記力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合に、割り込みプログラムを開始し、
前記割り込みプログラムが開始された後に、前記センサにより感知される力および/または加速力を前記力感知信号Sに基づいて計算し、前記力および/または前記加速力が前記能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、前記力および/または前記加速力が前記能動的開始条件を満たしている場合に、前記駆動信号Sを送信する
ように構成される、請求項16または17に記載の制御回路。
【請求項20】
前記制御回路は、処理チップである、請求項14から19のいずれか一項に記載の制御回路。
【請求項21】
前記制御回路は、前記センサの制御チップである、請求項14から20のいずれか一項に記載の制御回路。
【請求項22】
センサと、外側ハウジングと、請求項14から21のいずれか一項に記載の制御回路とを備えるタッチキーアセンブリであって、前記駆動信号Sは、前記センサを駆動して前記外側ハウジングと共に振動させるために使用される、タッチキーアセンブリ。
【請求項23】
請求項22に記載のタッチキーアセンブリを備える電子デバイスであって、前記外側ハウジングは、前記電子デバイスのハウジングに取り付けられるか、前記電子デバイスのハウジングと一体である、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年4月25日に国家知識産権局へ出願された「TOUCH KEY ASSEMBLY、CONTROL CIRCUIT、AND ELECTRONIC DEVICE」と題する中国特許出願第201910339870.4号に基づく優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、電子製品の分野、特に、タッチキーアセンブリ、制御回路、および電子デバイスに関連する。
【背景技術】
【0003】
モバイルデバイス技術の開発に伴い、統合がトレンドになることにより、防水性およびユーザ体験の観点から大きな利点が得られる。モバイルデバイス統合の障害として、物理キーを徐々に仮想キーに置き換える必要がある。しかしながら、仮想キーはまた、解決すべき多くの問題に直面している。例えば、仮想キーはユーザにより偶発的にトリガされる可能性が高く、デバイスの工業的な大量生産では投入コストを考慮する必要がある。従って、低コストの仮想キーをいかに実装するかが、業界で緊急に対処する必要がある問題である。
【発明の概要】
【0004】
本願は、回路を簡略化し、かつ、コストを削減するための、タッチキーアセンブリ、制御回路、および電子デバイスを提供する。
【0005】
第1態様によれば、センサと制御回路とを含む電子デバイスが提供される。制御回路は、第1時間間隔でセンサの第1ポートに駆動信号Sを出力し、かつ、第2時間間隔でハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態を出力するように構成される。駆動信号Sは、センサを駆動して外側ハウジングと共に振動させるために使用される。センサは、外側ハウジングの振動を検出し、かつ、第1ポートを使用することによって振動感知信号Sを出力するように構成される。振動感知信号Sは、センサが駆動信号Sを受信した後にセンサにより出力される振動コーダ波応答信号である。制御回路は更に、第2時間間隔で振動感知信号Sを検出し、かつ、イベントをトリガするかどうかを振動感知信号Sに基づいて判断するように構成される。
【0006】
本願のこの実施形態では、制御回路は、センサに断続的な駆動信号Sを出力し、駆動信号Sが出力されない時間間隔で振動コーダ波応答信号を検出する。この検出モードでは、センサの1つのデバイスが異なる期間に駆動機能および検出機能を実行することができ、その結果、単一ユニットを有するセンサを使用してタッチキー機能を実装することができ、それにより、回路が簡略化され、コストが削減される。
【0007】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、制御回路は特に、時間領域で駆動信号Sおよびハイ・インピーダンス状態を交互に出力するか、時間領域で駆動信号Sおよびフローティング状態を交互に出力するように構成される。
【0008】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、制御回路は更に、振動感知信号Sを増幅するように構成される第1増幅ユニットを含む。
【0009】
本願のこの実施形態では、第1増幅ユニットは、センサにより出力される振動感知信号Sを制御回路が増幅できるように配置される。これは、イベントをトリガするかどうかをより正確かつ高感度に判断するのに役立ち、それにより、電子デバイスの感度および偶発的トリガ防止性能が向上する。
【0010】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、制御回路は更に、フィルタユニットを含み、フィルタユニットは、振動感知信号Sに対してフィルタリング処理を実行するように構成される。
【0011】
本願のこの実施形態では、フィルタユニットを使用することによって振動感知信号Sに対するハイパスフィルタリングが実装されてよく、その結果、振動感知信号Sのベースラインを安定させることができ、電子デバイスの検出効率が向上する。
【0012】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、センサは更に、力または変形を検出し、かつ、センサの第1ポートを使用することによって力感知信号Sを出力するように構成される。制御回路は更に、力感知信号Sを検出し、かつ、力感知信号Sが能動的開始条件を満たしているかどうかを判断するように構成され、力感知信号Sが能動的開始条件を満たしている場合に、センサに駆動信号Sを送信するように構成される。
【0013】
本願のこの実施形態では、制御回路は、力感知信号Sが事前設定条件を満たしている場合にのみ駆動信号を送信し、その結果、制御回路は、駆動信号を継続的に送信する必要がなく、それにより、消費電力が削減される。
【0014】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、制御回路は更に、力感知信号Sを増幅するように構成される第2増幅ユニットを含む。
【0015】
本願のこの実施形態では、第2増幅ユニットは、センサにより出力される力感知信号Sを制御回路が増幅できるように配置される。これは、イベントをトリガするかどうかをより正確かつ高感度に判断するのに役立ち、それにより、電子デバイスの感度および偶発的トリガ防止性能が向上する。
【0016】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、制御回路は特に、力感知信号Sが計算開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合に、センサにより感知される力および/または加速力を力感知信号Sに基づいて計算し、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしている場合に、センサに駆動信号Sを送信するように構成される。
【0017】
本願のこの実施形態では、制御回路は、力感知信号Sが事前設定条件を満たしている場合にのみ力および/または加速力の計算を開始する。従って、制御回路は、力および/または加速力を計算する機能を継続的に実行する必要がなく、それにより、消費電力が削減される。
【0018】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、制御回路は特に、力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合に、割り込みプログラムを開始し、割り込みプログラムが開始された後に、センサにより感知される力および/または加速力を力感知信号Sに基づいて計算し、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしている場合に、センサに駆動信号Sを送信するように構成される。
【0019】
本願のこの実施形態では、制御回路は、割り込み回路を含み、制御回路は、割り込みプログラムが開始される場合にのみ力および/または加速力の計算を開始する。従って、制御回路は、力および/または加速力を計算する機能を継続的に実行する必要がなく、それにより、消費電力が削減される。
【0020】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、センサは、電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイスを含む。
【0021】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、センサは、圧電デバイスである。
【0022】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、センサは、第1ポートおよび第2ポートを含み、第2ポートは、共通端である。
【0023】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、制御回路は、電子デバイスの処理チップである。
【0024】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、制御回路は、センサの制御チップである。
【0025】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、外側ハウジングは、電子デバイスのハウジングの一部である。
【0026】
第1態様に関連して、第1態様の考えられる実装では、外側ハウジングは、センサの外側ハウジングである。
【0027】
第2態様によれば、制御回路が提供される。制御回路は、第1時間間隔でセンサの第1ポートに駆動信号Sを出力し、かつ、第2時間間隔でハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態を出力するように構成される。駆動信号Sは、センサを駆動して振動させるために使用される。制御回路は更に、第1ポートを使用することによってセンサにより出力される振動感知信号Sを第2時間間隔で検出し、かつ、イベントをトリガするかどうかをその振動感知信号Sに基づいて判断するように構成される。振動感知信号Sは、センサが駆動信号Sを受信した後にセンサにより出力される振動コーダ波応答信号である。
【0028】
本願のこの実施形態では、制御回路は、センサに断続的な駆動信号Sを出力し、駆動信号Sが出力されない時間間隔で振動コーダ波応答信号を検出する。この検出モードでは、センサの1つのデバイスが異なる期間に駆動機能および検出機能を実行することができ、その結果、単一ユニットを有するセンサを使用してタッチキー機能を実装することができ、それにより、回路が簡略化され、コストが削減される。
【0029】
第2態様に関連して、第2態様の任意の考えられる実装では、制御回路は特に、時間領域で駆動信号Sおよびハイ・インピーダンス状態を交互に出力するか、時間領域で駆動信号Sおよびフローティング状態を交互に出力するように構成される。
【0030】
第2態様に関連して、第2態様の任意の考えられる実装では、制御回路は、第1増幅ユニットを含み、第1増幅ユニットは、振動感知信号Sを増幅するように構成される。
【0031】
第2態様に関連して、第2態様の任意の考えられる実装では、制御回路は更に、フィルタユニットを含み、フィルタユニットは、振動感知信号Sに対してフィルタリング処理を実行するように構成される。
【0032】
第2態様に関連して、第2態様の任意の考えられる実装では、制御回路は更に、第1ポートを使用することによってセンサにより出力される力感知信号Sを受信することであって、力感知信号Sは、センサにより検出される力または変形を示すために使用される、受信することと、力感知信号Sが能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力感知信号Sが能動的開始条件を満たしている場合に、センサに駆動信号Sを送信することとを行うように構成される。
【0033】
第2態様に関連して、第2態様の任意の考えられる実装では、制御回路は更に、力感知信号Sを増幅するように構成される第2増幅ユニットを含む。
【0034】
第2態様に関連して、第2態様の任意の考えられる実装では、制御回路は特に、力感知信号Sが計算開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合に、センサにより感知される力および/または加速力を力感知信号Sに基づいて計算し、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしている場合に、センサに駆動信号Sを送信するように構成される。
【0035】
第2態様に関連して、第2態様の任意の考えられる実装では、制御回路は特に、力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合に、割り込みプログラムを開始し、割り込みプログラムが開始された後に、センサにより感知される力および/または加速力を力感知信号Sに基づいて計算し、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしている場合に、センサに駆動信号Sを送信するように構成される。
【0036】
第2態様に関連して、第2態様の任意の考えられる実装では、制御回路は、制御回路の処理チップである。
【0037】
第2態様に関連して、第2態様の任意の考えられる実装では、制御回路は、センサの制御チップである。
【0038】
第2態様に関連して、第2態様の任意の考えられる実装では、制御回路およびセンサは、電子デバイスに配置され、外側ハウジングは、電子デバイスのハウジングの一部である。
【0039】
第2態様に関連して、第2態様の任意の考えられる実装では、外側ハウジングは、センサの外側ハウジングである。
【0040】
第3態様によれば、タッチキーアセンブリが提供される。タッチキーアセンブリは、センサと、外側ハウジングと、第2態様または第2態様の実装のいずれか1つに係る制御回路とを含む。駆動信号Sは、センサを駆動して外側ハウジングと共に振動させるために使用される。
【0041】
第4態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、第3態様に係るタッチキーアセンブリを含む。外側ハウジングは、電子デバイスのハウジングに取り付けられるか、電子デバイスのハウジングと一体である。
【0042】
第5態様によれば、電子デバイスに適用される制御方法が提供される。電子デバイスのセンサが外側ハウジングに取り付けられる。方法は、第1時間間隔で外側ハウジングを駆動して振動させ、かつ、第2時間間隔で外側ハウジングにハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態を出力する段階と、外側ハウジングの振動の特性がユーザのトリガ習慣の範囲に含まれる場合に、イベントをトリガすることを決定する段階とを含む。
【0043】
第5態様に関連して、第5態様の考えられる実装では、外側ハウジングは、電子デバイスの外側ハウジングである。
【0044】
第5態様に関連して、第5態様の考えられる実装では、外側ハウジングは、センサの外側ハウジングである。
【0045】
第6態様によれば、チップが提供される。チップは、第2態様または第2態様の実装のいずれか1つに係る制御回路を含む。
【0046】
第7態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、センサであって、センサは、駆動ユニットおよび振動感知ユニットを含み、駆動ユニットは、駆動信号Sを受信し、かつ、外側ハウジングを駆動して振動させるように構成され、振動感知ユニットは、外側ハウジングの振動を検出し、かつ、振動感知信号Sを出力するように構成され、振動感知信号Sは、駆動信号Sが受信された後に出力される振動コーダ波応答信号であり、駆動ユニットおよび振動感知ユニットは、1つのデバイスである、センサと、第1時間間隔で駆動ユニットに駆動信号Sを出力し、かつ、第2時間間隔でハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態を出力するように構成される制御回路とを含む。制御回路は更に、第2時間間隔で振動感知信号Sを検出し、かつ、イベントをトリガするかどうかを振動感知信号Sに基づいて判断するように構成される。
【0047】
第7態様に関連して、第7態様の考えられる実装では、制御回路は、信号生成ユニットおよび検出ユニットを含む。信号生成ユニットは、時間領域で駆動信号Sおよびハイ・インピーダンス状態を交互に出力するか、時間領域で駆動信号Sおよびフローティング状態を交互に出力するように構成される。検出ユニットは、振動感知信号Sを検出し、かつ、イベントをトリガするかどうかを振動感知信号Sに基づいて判断するように構成される。
【0048】
第7態様に関連して、第7態様の考えられる実装では、制御回路は更に、第1増幅ユニットを含む。第1増幅ユニットは、センサと検出ユニットとの間に配置されており、振動感知信号Sを増幅するように構成される。
【0049】
第7態様に関連して、第7態様の考えられる実装では、制御回路は更に、フィルタユニットを含む。フィルタユニットは、センサと検出ユニットとの間に配置され、フィルタユニットは、振動感知信号Sに対してフィルタリング処理を実行するように構成される。
【0050】
第7態様に関連して、第7態様の考えられる実装では、センサは更に、力感知ユニットを含む。力感知ユニットは、外側ハウジングの力または変形を検出し、かつ、力感知信号Sを出力するように構成される。駆動ユニット、振動感知ユニット、および力感知ユニットは、1つのデバイスである。制御回路は更に、計算ユニットを含む。計算ユニットは、力感知信号Sを検出し、かつ、力感知信号Sが能動的開始条件を満たしているかどうかを判断するように構成され、力感知信号Sが能動的開始条件を満たしている場合に、信号生成ユニットに指示信号を送信するように構成される。指示信号は、信号生成ユニットをオンにするように指示するために使用される。信号生成ユニットは、指示信号を受信した後に、時間領域で駆動信号Sおよびハイ・インピーダンス状態を交互に出力するか、時間領域で駆動信号Sおよびフローティング状態を交互に出力するように構成される。
【0051】
第7態様に関連して、第7態様の考えられる実装では、制御回路は更に、第2増幅ユニットを含む。第2増幅ユニットは、センサと計算ユニットとの間に配置されており、力感知信号Sを増幅するように構成される。
【0052】
第7態様に関連して、第7態様の考えられる実装では、計算ユニットは特に、力感知信号Sが計算開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合に、センサにより感知される力および/または加速力を力感知信号Sに基づいて計算するように構成され、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力および/または加速力が能動的開始閾値より大きい場合に信号生成ユニットに指示信号を送信するように構成される。
【0053】
第7態様に関連して、第7態様の考えられる実装では、制御回路は更に、割り込みユニットを含む。割り込みユニットは、力感知信号Sを検出するように構成される。力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合は、割り込みユニットは、計算ユニットをオンにする。計算ユニットは、センサにより感知される力および/または加速力を力感知信号Sに基づいて計算するように構成され、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしている場合に、信号生成ユニットに指示信号を送信するように構成される。
【0054】
第7態様に関連して、第7態様の考えられる実装では、制御回路は更に、第3増幅ユニットを含む。第3増幅ユニットは、割り込みユニットとセンサとの間に配置されており、力感知信号Sを増幅するように構成される。
【0055】
第7態様に関連して、第7態様の考えられる実装では、センサは、第1ポートおよび第2ポートを含む。第1ポートは、駆動信号Sを受信するか、振動感知信号Sを出力するように構成される。第2ポートは、接地に接続するか、基準電圧に接続するように構成される。
【0056】
第7態様に関連して、第7態様の考えられる実装では、センサは、電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイスを含む。
【0057】
第7態様に関連して、第7態様の考えられる実装では、センサは、圧電デバイスである。
【0058】
第7態様に関連して、第7態様の任意の考えられる実装では、制御回路は、制御回路の処理チップである。
【0059】
第7態様に関連して、第7態様の任意の考えられる実装では、制御回路は、センサの制御チップである。
【0060】
第8態様によれば、制御回路が提供される。制御回路は、信号生成ユニットであって、信号生成ユニットは、第1時間間隔でセンサに駆動信号Sを出力し、かつ、第2時間間隔でハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態を出力するように構成され、駆動信号Sは、センサを駆動して振動させるために使用される、信号生成ユニットと、検出ユニットであって、センサにより出力される振動感知信号Sを第2時間間隔で検出し、かつ、イベントをトリガするかどうかをその振動感知信号Sに基づいて判断するように構成される検出ユニットとを含む。振動感知信号Sは、センサが駆動信号Sを受信した後にセンサにより出力される振動コーダ波応答信号である。
【0061】
第8態様に関連して、第8態様の考えられる実装では、信号生成ユニットは特に、時間領域で駆動信号Sおよびハイ・インピーダンス状態を交互に出力するか、時間領域で駆動信号Sおよびフローティング状態を交互に出力するように構成される。
【0062】
第8態様に関連して、第8態様の考えられる実装では、制御回路は更に、第1増幅ユニットを含む。第1増幅ユニットは、センサと検出ユニットとの間に配置されており、振動感知信号Sを増幅するように構成される。
【0063】
第8態様に関連して、第8態様の考えられる実装では、制御回路は更に、フィルタユニットを含む。フィルタユニットは、センサと検出ユニットとの間に配置され、フィルタユニットは、振動感知信号Sに対してフィルタリング処理を実行するように構成される。
【0064】
第8態様に関連して、第8態様の考えられる実装では、制御回路は更に、計算ユニットを含む。計算ユニットは、センサにより出力される力感知信号Sを受信するように構成される。力感知信号Sは、センサにより検出される力または変形を示すために使用される。計算ユニットは更に、力感知信号Sが能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力感知信号Sが能動的開始条件を満たしている場合に、信号生成ユニットに指示信号を送信するように構成される。指示信号は、信号生成ユニットをオンにするように指示するために使用される。信号生成ユニットは、指示信号を受信した後に、時間領域で駆動信号Sおよびハイ・インピーダンス状態を交互に出力するか、時間領域で駆動信号Sおよびフローティング状態を交互に出力するように構成される。
【0065】
第8態様に関連して、第8態様の考えられる実装では、制御回路は更に、割り込みユニットを含む。割り込みユニットは、センサにより出力される力感知信号Sを検出するように構成される。力感知信号Sは、センサにより検出される力または変形を示すために使用される。力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合は、割り込みユニットは、計算ユニットをオンにする。計算ユニットは特に、センサにより感知される力および/または加速力を力感知信号Sに基づいて計算するように構成され、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、力および/または加速力が能動的開始条件を満たしている場合に、信号生成ユニットに指示信号を送信するように構成される。
【0066】
第8態様に関連して、第8態様の考えられる実装では、制御回路は更に、第3増幅ユニットを含む。第3増幅ユニットは、割り込みユニットとセンサとの間に配置されており、力感知信号Sを増幅するように構成される。
【0067】
第8態様に関連して、第8態様の考えられる実装では、センサは、第1ポートおよび第2ポートを含む。第1ポートは、駆動信号Sを受信するか、振動感知信号Sを出力するように構成される。第2ポートは、接地に接続するか、基準電圧に接続するように構成される。
【0068】
第8態様に関連して、第8態様の考えられる実装では、センサは、電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイスを含む。
【0069】
第8態様に関連して、第8態様の考えられる実装では、センサは、圧電デバイスである。
【0070】
第8態様に関連して、第8態様の任意の考えられる実装では、制御回路は、制御回路の処理チップである。
【0071】
第8態様に関連して、第8態様の任意の考えられる実装では、制御回路は、センサの制御チップである。
【0072】
第8態様に関連して、第8態様の任意の考えられる実装では、制御回路およびセンサは、電子デバイスに配置され、外側ハウジングは、電子デバイスのハウジングの一部である。
【0073】
第8態様に関連して、第8態様の任意の考えられる実装では、外側ハウジングは、センサの外側ハウジングである。
【0074】
第9態様によれば、タッチキーアセンブリが提供される。タッチキーアセンブリは、センサと、外側ハウジングと、第8態様または第8態様の実装のいずれか1つに係る制御回路とを含む。駆動信号Sは、センサの駆動ユニットを駆動して外側ハウジングと共に振動させるために使用される。
【0075】
第10態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、第9態様に係るタッチキーアセンブリを含む。外側ハウジングは、電子デバイスのハウジングに取り付けられるか、電子デバイスのハウジングと一体である。
【0076】
第11態様によれば、チップが提供される。チップは、第8態様または第8態様の実装のいずれか1つに係る制御回路を含む。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】本願のある実施形態が適用され得る電子デバイスの概略構造図である。
【0078】
図2】本願のある実施形態に係る、ユーザによるタッチキーアセンブリの偶発的トリガの概略図である。
【0079】
図3】本願のある実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。
【0080】
図4】(a)および(b)は、本願のある実施形態に係る電子デバイスおよびセンサの概略構造図である。
【0081】
図5】本願のある実施形態に係る、タッチ力または押し込み力を受けないタッチキーアセンブリの振動の概略図である。
【0082】
図6】本願のある実施形態に係る、タッチ力または押し込み力を受けるタッチキーアセンブリの振動の概略図である。
【0083】
図7】本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。
【0084】
図8】本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。
【0085】
図9】本願のある実施形態に係るセンサの概略構造図である。
【0086】
図10】本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。
【0087】
図11】本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。
【0088】
図12】本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。
【0089】
図13】本願のある実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略回路図である。
【0090】
図14】本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。
【0091】
図15】本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。
【0092】
図16】本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略回路図である。
【0093】
図17】本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。
【0094】
図18】本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
以下では、添付の図面を参照しながら本願の技術的解決策について説明する。
【0096】
本願の実施形態は、電子デバイスに適用され得るタッチキーアセンブリおよび装置に関連する。電子デバイスは、端末デバイスであってよい。端末デバイスは、モバイル端末(スマートフォンまたはタブレットコンピュータなど)、ウェアラブル電子デバイス(スマートウォッチなど)、家電製品、自動車ダッシュボード、または別の電気製品を含んでよい。
【0097】
タッチキーアセンブリの適用は、ユーザ体験および防水性を向上させるために非常に重要である。しかしながら、タッチキーアセンブリは、偶発的にトリガされる可能性が非常に高い。偶発的トリガによってユーザ体験が比較的乏しくなり、それにより、スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどの電子デバイスにおけるタッチキーアセンブリ技術の開発が制限される。更には、優れた力感知によって、ユーザはトリガ応答を適切に体験することができる。ユーザからの力にうまく反応し、かつ、偶発的トリガを低減するために、費用対効果が高く信頼性のあるタッチキーアセンブリをいかに設計するかが、タッチキーアセンブリの現在の開発の方向性である。
【0098】
図1は、本願のある実施形態が適用され得る電子デバイス100の概略構造図である。図1に示すように、電子デバイス100のハウジングが、前面パネル101、中間フレーム102、および裏カバー103を含む。通常は、電子デバイス100のハウジングまたはタッチスクリーンの位置、例えば、前面パネル101、中間フレーム102、または裏カバー103の位置に、タッチキーアセンブリが配置されてよい。タッチキーアセンブリは、電子デバイス100のハウジングの外側側壁または内側側壁の上に配置されてよい。図1のタッチキーアセンブリは、中間フレーム102の外側ベゼルに配置され、破線のボックスで示されている。実際の適用では、ユーザがタッチキーアセンブリをトリガすべき位置を示すために、電子デバイス100の外側表面にマーク記号が設けられてよい。代替的に、電子デバイス100のハウジング上に透明領域、光透過領域、凸部、または凹部が設けられてもよく、タッチキーアセンブリは、そこに配置される。代替的に、タッチキーアセンブリをモジュールの形態にし、電子デバイス100のハウジングに取り付けてもよい。本願のタッチキーアセンブリは、汎用物理キー(すなわち、メカニカルキー)、例えば、音量調節キー、確認キー、電源キー、スライドキー、または押キーなどの機能キーの機能を実装してよい。
【0099】
図2は、本願のある実施形態に係る、ユーザによるタッチキーアセンブリの偶発的トリガの概略図である。図2には、タッチキーアセンブリのセンサ300のみが示されており、タッチキーアセンブリの制御回路は示されていない。図2に示すように、電子デバイスの外側表面が、感受性領域および非感受性領域を含み、タッチキーアセンブリのセンサ300は、感受性領域に対応する内壁位置に配置されてよい。非感受性領域は、感受性領域に隣接する領域である。理想的なケースでは、電子デバイスのセンサ300は、ユーザが感受性領域にタッチした場合にのみ変形を検出し、更には、タッチキーアセンブリがユーザによりトリガされていることを示す。ユーザが感受性領域を越えた領域にタッチすると、電子デバイスのセンサ300は、変形を検出せず、ひいては、ユーザによりタッチキーアセンブリがトリガされていることを示さない。従って、電子デバイスは誤判定をしない。しかしながら、実際の適用では、タッチキーアセンブリは、偶発的にトリガされる可能性が非常に高い。例えば、人体以外の物体によりタッチキーアセンブリが偶発的にトリガされるか、ユーザが非感受性領域と接触するとキーが偶発的にトリガされる。偶発的トリガの幾つかの原因としては、ほとんどのセンサが変形のみを測定する、すなわち、力または変形の感知を実行するといったことが挙げられる。非感受性領域における変形は、感受性領域に伝達される可能性が高く、それにより、感受性領域で変形が起きる。センサは、変形を検出すると、感受性領域がタッチされていると判断し、それにより、偶発的トリガが引き起こされる。振動フィードバックに起因する変形(例えば、デバイスのモータ振動)も、センサによる偶発的トリガを引き起こす場合がある。
【0100】
偶発的トリガの影響をなくすためのアプローチとしては、構造を変えることにより、例えば、側面の厚さを増やすことにより偶発的トリガに抵抗し、その結果、非感受性領域を越えた変形が減少し、感受性領域に伝達される変形も減少するというものがある。しかしながら、このアプローチは、モバイルデバイスを薄くするという開発傾向と相反するものであり、一貫性のないタッチ力に起因してユーザ体験が比較的乏しくなる可能性が高い。別のアプローチとしては、感受性領域に幾つかの特徴認識コード、例えば、指紋認識を持たせるというものがある。しかしながら、このアプローチでは、コストが比較的高くなり、指紋認識機能を追加することでキーの反応が遅くなり、それにより、ユーザ体験に影響が及ぶ。従って、偶発的トリガ防止に優れた仮想キーをいかに製造するかが、業界で注目されている研究テーマである。
【0101】
図3は、本願のある実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。図3に示すように、タッチキーアセンブリは、センサ300および制御回路400を含み、センサ300は、外側ハウジング10に取り付けられる。オプションで、外側ハウジング10は、電子デバイスのハウジングの一部であってもよい。すなわち、外側ハウジング10および電子デバイスのハウジングは、一体構造である。例えば、図4の(a)に示すように、センサ300は、電子デバイスのハウジング11の内側表面に取り付けられてよい。代替的に、外側ハウジング10および電子デバイスのハウジング11は、別構造であってもよい。例えば、外側ハウジング10は、センサ300の外側ハウジングであってよい。この場合、センサ300は、電子デバイスのハウジング11の外側表面に取り付けられてよく、ユーザによりタッチされる外側ハウジング10は、センサ300の外側ハウジングであるが、電子デバイスのハウジングではない。例えば、図4の(b)に示すように、電子デバイスのハウジング11上にビア12が設けられてよく、センサ300は、電子デバイスのハウジング11の外側表面に取り付けられる。制御回路400が電子デバイスの内側に配置される場合は、センサ300は、ビア12を介して制御回路400に接続されてよい。制御回路400およびセンサ300の両方が外側ハウジング10にパッケージ化されている場合は、制御回路400は、ビア12を介して電子デバイスの内側にある処理チップに接続されてよい。別の例として、電子デバイスのハウジング11の外側表面に凹部が設けられてよく、センサ300は、センサ300の表面高度が電子デバイスのハウジングの表面高度と同じになるように、凹部に配置される。当業者であれば、タッチキーアセンブリと電子デバイスとの位置関係の他の実装が代替的に存在し得ることを理解でき、本願では実装について1つずつ説明していない。
【0102】
センサ300は、ユーザまたは別の物体により外側ハウジング10に付与されるタッチ力または押し込み力を感知し、かつ、対応する感知信号を生成するように構成される。制御回路400は、センサ300により送信される感知信号を検出する。制御回路400は、イベントをトリガするかどうかを感知信号に基づいて判断してよい。イベントをトリガすることは、タッチキーアセンブリに対応する機能をトリガすることであってよい。例えば、タッチキーアセンブリが電源キーに対応する場合は、電源オン機能がトリガされる。タッチキーアセンブリが音量調節に対応する場合は、音量調節機能がトリガされる。オプションで、タッチキーアセンブリは、タッチ感知モジュールまたは仮想キーなどと呼ばれる場合もある。
【0103】
ある実装では、タッチキーアセンブリは、高周波数振動減衰抑制法を使用することによって実装されてよい。この方法は、能動方式とも呼ばれる。能動方式の原理としては、制御回路400が特定の周波数でセンサ300に駆動信号Sを出力し、この駆動信号Sによって、センサ300が外側ハウジング10と共に振動できるといったことが挙げられる。センサ300と外側ハウジング10とを組み合わせることにより取得される構造は、集成共振器と呼ばれる場合がある。駆動信号Sの周波数は、集成共振器の共振周波数と同じかそれに近くてよい。制御回路400は、振動に応答してセンサ300により出力される振動感知信号Sを検出する。タッチキーアセンブリが位置付けられる領域をユーザがタッチしたか、押した場合は、センサ300により出力される振動感知信号Sの振幅が減衰または増加する。制御回路400は、振動感知信号Sの減衰度または増加度を判断して、イベントをトリガするかどうかを判断してよい。この判断方式は、2つの値、すなわち、0および1に基づいて判断するものである。この方式では、人間以外の偶発的トリガに効果的に抵抗でき、低コストおよび高感度という利点がある。
【0104】
オプションで、駆動信号Sが入力されると、制御回路400により検出される振動感知信号Sは、センサ300が駆動信号Sを受信しているときにセンサ300により出力される応答信号であってもよいし、センサ300が駆動信号Sを受信した後にセンサ300により出力されるコーダ波応答であってもよい。本願ではこれについて限定しない。制御回路400は、振動感知信号Sが人間のトリガ特性に適合しているかどうかに基づいて、イベントをトリガするかどうかを判断してよい。振動感知信号Sが人間のトリガ特性に適合している場合は、制御回路400は、イベントをトリガすることを決定する。振動感知信号Sが人間のトリガ特性に適合していない場合は、制御回路400は、現在の検出を破棄する。以下では、振動感知信号Sが人間のトリガ特性に適合しているかどうかを判断する特定の方式について説明する。
【0105】
引き続き図3を参照すると、制御回路400は、振動感知信号Sを閾値と比較し、比較結果を取得し、かつ、イベントをトリガするかどうかを比較結果に基づいて判断するように構成される。閾値は、ユーザタッチ習慣に適合する範囲の境界値である。振動感知信号Sがユーザタッチ習慣に適合する範囲に含まれることを比較結果が示す場合は、制御回路400は、イベントをトリガすることを決定する。「境界値」は、ユーザタッチ習慣に適合する範囲の上限または下限であってよい。なぜなら、ユーザがタッチキーを押すと、ユーザのタッチ力または押し込み力によって、外側ハウジング10の振幅が減少するか、外側ハウジング10の振幅が増加する場合があるからである。すなわち、ユーザのタッチ力または押し込み力によって、外側ハウジング10の振動が抑制されるか、外側ハウジング10の振動振幅が増加する場合がある。ユーザのタッチ力または押し込み力によって外側ハウジング10の振動が抑制される場合は、閾値は、ユーザタッチ習慣に適合する範囲の上限である。ユーザのタッチ力または押し込み力によって外側ハウジング10の振動振幅が増加する場合は、閾値は、ユーザタッチ習慣に適合する範囲の下限である。
【0106】
振動感知信号Sは、外側ハウジング10の振動振幅を示すために使用される。振動感知信号Sは、電圧信号、電流信号、または抵抗変化であってよい。これは、センサ300の特定の設計形態に関連する。それに対応して、ユーザタッチ習慣に適合する範囲は、ユーザがタッチキーをトリガするために使用する習慣的な力を外側ハウジング10の振動領域に付与することにより取得される振幅範囲である。ユーザタッチ習慣に適合することは、ユーザのタッチ感を満足させることを意味する。ユーザタッチ習慣に適合する範囲は、複数の異なるユーザのタッチ感の習慣に基づいてデータを収集およびサンプリングし、かつ、統計分析を実行することにより取得される範囲値である。例えば、あるユーザタッチ習慣の範囲は、機械学習で収集および取得されてよく、複数の異なるユーザのユーザタッチ習慣の範囲は、異なっていてよい。
【0107】
ある実装では、外側ハウジング10がタッチ力または押し込み力を受けない場合に、センサ300によって駆動される外側ハウジング10により生成される振動の振幅が第1範囲に含まれる。図3に示すように、センサ300が動作していない場合は、外側ハウジング10も振動しない。図5は、外側ハウジング10がタッチ力または押し込み力を受けない場合の、センサ300により駆動される外側ハウジング10の振動の概略図である。概略図には、振動中の最大変位を伴う2つの状態が含まれる。2つの状態は、実線(S1)および破線(S2)で示される。外側ハウジング10の外側表面がタッチ力または押し込み力を受けると、図6に示すように、ユーザの指が外側ハウジング10にタッチし、タッチ力または押し込み力の影響を受けて、外側ハウジング10の振動が抑制され、図6に示す状態における外側ハウジング10の振動の振幅が、図5に示す外側ハウジング10の振動の振幅より小さくなる。もちろん、特定の振動周波数では、外側ハウジング10の振幅が大きくなる。すなわち、本願のタッチキーアセンブリを用いると、外側ハウジング10に対するタッチ力または押し込み力の影響によって、外側ハウジング10の振幅が増加する場合もある。
【0108】
制御回路は、振動感知信号Sを受信し、振動感知信号Sと閾値との比較結果に基づいて、イベントをトリガするかどうかを判断する。外側ハウジング10に付与されるタッチ力または押し込み力によって外側ハウジング10の振動が抑制されると、閾値は、第1範囲の下限より小さくなり、振動感知信号Sの振幅が閾値より小さくなると、制御回路400は、イベントをトリガすることを決定する。外側ハウジング10に付与されるタッチ力または押し込み力によって外側ハウジング10の振動が強められると、閾値は、第1範囲の上限より大きくなり、振動感知信号Sの振幅が閾値より大きくなると、制御回路400は、イベントをトリガすることを決定する。第1範囲のデータは、タッチまたは押圧が実行される電子デバイスの材料および温度などの要因の影響を受ける。第1範囲は、外側ハウジングがユーザによるタッチ力も押し込み力も(または一定のタッチ力も押し込み力も)受けない場合の、複数の試験後の統計から取得される振動振幅である。第1範囲は、電圧信号または抵抗変化であってよい。第1範囲は、電子デバイスのメインチップまたはプロセッサに統合される回路により設定されてもよいし、メインチップまたはプロセッサから独立したハードウェア回路により設定されてもよい。
【0109】
本願は、タッチキーアセンブリを提供する。センサ300は、外側ハウジング10と共に振動し、外側ハウジング10の振動振幅を検出する。タッチ力または押し込み力が付与されると、外側ハウジング10の振動が抑制されるか、外側ハウジング10の振動が強められる。制御回路400は、検出された振幅と閾値との関係を比較から取得して、仮想キーを実装する。
【0110】
第1範囲は、外側ハウジング10が一定のタッチ力または押し込み力を受ける(一定のタッチ力または押し込み力がゼロであること、すなわち、タッチ力も押し込み力も付与されないことを含む)場合の、センサ300により駆動される外側ハウジング10の振動の振幅範囲であってよい。外側ハウジング10がいかなる環境要因の干渉も受けずに一定のタッチ力または押し込み力を受ける場合は、センサ300により駆動される外側ハウジング10の振動の振幅が数値であるべきである。しかしながら、電子デバイスは必然的に、温度変化、外側ハウジング10の複数の異なる材料、またはユーザ状態の変化などの幾つかの環境要因の影響を受ける(例えば、外側ハウジング10の振動振幅は、電子デバイスがユーザのポケットに位置付けられること、ユーザが静止状態または移動状態にあること、または、電子デバイスとユーザとの間の接触または摩擦の変化などの要因の影響を受ける)。これらの環境要因の影響に起因して、外側ハウジング10が一定のタッチ力または押し込み力を受ける場合の、センサ300により駆動される外側ハウジング10の振動の振幅範囲は、第1範囲として定義される。第1範囲は、外側ハウジングが一定のタッチ力または押し込み力を受ける場合の、複数の試験後の統計から取得される振動振幅に設定されており、電圧信号、電流信号、または抵抗変化であってよい。
【0111】
ユーザ体験または実験データに基づいて、制御回路がイベントをトリガする比較的適切な条件は、閾値が第1範囲の下限より小さいか、第1範囲の上限より大きいことであることが分かり、その結果、正確な判断を実行することができ、タッチキーのトリガ精度および信頼性が向上する。ある実装では、閾値が第1範囲の下限の0.1倍から0.9倍であるか、閾値が第1範囲の上限の1.1倍より大きいかそれに等しい。
【0112】
オプションで、本願では、外側ハウジング10の内側表面にバッファ構造が配置され、その結果、センサ300により生成される振動が、外側ハウジングの、センサ300に取り付けられる領域に集中し、外側ハウジング10の別の領域に振動が広がるのが防止される。このようにして、タッチキーアセンブリの感度が確保され得る。外側ハウジングの振動位置にタッチ力または押し込み力が付与されると、外側ハウジング10の別の領域の偶発的トリガがタッチキーアセンブリに影響を及ぼすのを防止することができる。外側ハウジング10の別の領域がセンサの振動の影響を受けないので、外側ハウジング10の別の領域にタッチ力または押し込み力が付与されると、センサと連動した外側ハウジングの振動の振幅は、抑制されることも増加することもなく、その結果、タッチキーアセンブリはトリガされない。
【0113】
図7は、本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。図7に示すように、この解決策では、センサ300が通常、駆動ユニット61および振動感知ユニット62を含む必要がある。駆動ユニット61は、制御回路400により入力される駆動信号Sを受信し、かつ、外側ハウジング10を駆動して振動させるように構成される。振動感知ユニット62は、振動に応答して振動感知信号Sを生成するように構成される。駆動ユニット61は、圧電デバイス、磁気機械デバイス、電気機械デバイス、熱電デバイスといったタイプのいずれか1つであってよい。振動感知ユニット62は、圧電デバイス、ピエゾ抵抗デバイス、ピエゾ容量デバイス、およびピエゾ誘導デバイスといったデバイスのいずれか1つであってよい。
【0114】
通常、前述の解決策におけるセンサ300では、駆動ユニットおよび振動感知ユニットを実装するために少なくとも2つのデバイスが必要である。例えば、駆動ユニット61および振動感知ユニット62の両方が圧電デバイスであってもよいし、駆動ユニット61が圧電デバイスであってもよく、振動感知ユニット62がピエゾ抵抗デバイスであってもよい。駆動ユニット61は、センサ300のポートに接続されており、駆動信号Sを受信するように構成される。振動感知ユニット62は、センサ300の別のポートに接続されており、振動感知信号Sを出力するように構成される。すなわち、センサ300は、少なくとも2つのユニットを含む必要がある。センサは、接地に接続するか、基準電圧に接続するために使用される共通端に加えて、2つまたはそれより多くのポートを更に含む。構造は比較的複雑であり、センサの製造には多くの要件が課される。これは、幾つかの小規模の適用シナリオでは比較的困難であり、製造方式も比較的複雑である。
【0115】
従って、本願のこの実施形態は、能動方式に基づいてタッチキーアセンブリを提供する。この解決策では、「ユニット機能時分割多重化技術」を使用して、タッチキーアセンブリを実装する。具体的には、センサの1つのユニット(すなわち、1つのデバイス)が異なる期間に異なる機能を実行して、単一ユニットの多機能化を実装する。例えば、1つのデバイスが異なる期間に駆動ユニットの機能と振動感知ユニットの機能とを別々に実装し、単一出力センサを使用することによってユニット機能時分割多重化が実装されてよく、それにより、回路が簡略化され、コストが削減される。
【0116】
図8は、本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリ200の概略構造図である。図8に示すように、タッチキーアセンブリ200は、センサ300および制御回路400を含む。センサ300は、単一ユニットを使用することによって実装されてよい。すなわち、センサ300は単一出力センサである。センサ300は、2つのポート、すなわち、第1ポートAおよび第2ポートEを含む。第2ポートEは、接地に接続するか、基準電圧に接続するように構成される。第1ポートAは、駆動信号Sを受信するように構成されてよく、振動感知信号Sを出力するように構成されてもよい。制御回路は、センサ300に駆動信号Sを出力し、かつ、センサにより出力される振動感知信号Sを受信するように構成される。
【0117】
駆動信号Sは断続的に送信される。具体的には、駆動信号Sおよびハイ・インピーダンス状態(またはフローティング状態)は、時間領域で交互に出力される。駆動信号Sおよびハイ・インピーダンス状態(またはフローティング状態)は、時間領域で周期的または非周期的に交互になってよい。例えば、10msのハイ・インピーダンス状態(またはフローティング状態)ごとに、長さ5msの駆動信号Sが出力される。第1ポートAは、駆動信号Sを受信し、かつ、駆動信号Sを受信した後、駆動信号Sに応答して振動感知信号Sを出力して、第1ポートA上でセンサ300の時分割多重化を実装するように構成される。振動感知信号Sは、駆動信号Sが受信された後に出力される振動コーダ波応答信号であるが、駆動信号Sが受信されているときに出力される応答信号ではない。従って、駆動信号Sは、断続的に送信される信号となるように設計され、制御回路400は、駆動信号Sが送信された後の間隔期間に駆動信号Sに対するコーダ波応答信号を検出し、その結果、センサ300の1つのポート上で時分割多重化が実行されて、駆動および検出が実装され得る。この解決策で、タッチキーアセンブリのモジュールの複雑性を軽減し、低コスト、高感度、および偶発的トリガ防止の要件を満たすことができる。
【0118】
本願のこの実施形態では、振動コーダ波応答信号は、コーダ波応答信号またはコーダ波応答と呼ばれる場合もある。センサが駆動信号Sのセグメントを受信した後の期間に、センサが駆動信号Sを受信することはないが、駆動信号Sに起因するセンサの振動は停止していない。この場合は、振動が振動コーダ波と呼ばれる場合があり、センサが振動コーダ波を検出することにより生成される信号が、振動コーダ波応答信号と呼ばれる場合がある。
【0119】
ハイ・インピーダンス状態は、回路内のあるノードが、回路内の別のノードより高いインピーダンスを有することを意味する。ハイ・インピーダンス状態は、回路解析中の開回路として理解されてよい。フローティング状態は、中断状態と呼ばれる場合もあり、回路内のノードがどの電位にも接続されていないことを意味する。フローティング状態は、回路解析中の開回路として理解されてよい。
【0120】
オプションで、タッチキーアセンブリ200は更に、外側ハウジング(不図示)を含む。センサ300は、外側ハウジングに取り付けられる。外側ハウジングおよび電子デバイスのハウジングは、一体構造であってよい。代替的に、外側ハウジングおよび電子デバイスのハウジングは、分離されてもよい。例えば、電子デバイスのハウジング上に貫通部が設けられてよく、その貫通部にタッチキーアセンブリ200(外側ハウジングを含む)が配置されてよい。オプションで、外側ハウジングは、センサ300の一部であってもよいし、センサ300から分離されてもよい。オプションで、センサ300、制御回路400、および外側ハウジングは、1つのモジュールに統合されてもよいし、互いに分離されてもよい。
【0121】
オプションで、駆動信号Sは交流波形であってもよく、交流波形は、以下のタイプに限定されるわけではないが、方形波、三角波、のこぎり波、および正弦波などのうちの少なくとも1つを含む。ある例では、交流波形は、例えば、幾つかのパルスを含む方形波であってよい。駆動信号Sの周波数は、センサ300を駆動して外側ハウジングと共に振動させるのに役立つよう、集成共振器の共振周波数と同じかそれに近くてよい。
【0122】
オプションで、制御回路400は、センサの制御チップであってよい。例えば、制御回路400は、センサの制御チップとして機能し、センサ300と同じパッケージに統合されてよい。代替的に、制御回路400およびセンサ300は、別々にパッケージ化されてもよい。制御回路400は、電子デバイスの中央処理装置、アプリケーションプロセッサ、またはコプロセッサに統合されてよい。コプロセッサ(coprocessor)は、システムマイクロプロセッサの特定の処理タスクを軽減するように構成されるチップであり、中央処理装置で実行できないか、低効率または低効果で実行される、処理ジョブを実行する際に中央処理装置を支援するために開発および使用されるプロセッサである。もちろん、制御回路400は代替的に、メインチップまたはプロセッサから独立したハードウェア回路として配置されてもよい。オプションで、制御回路400は、幾つかの別個の要素を含んでもよいし、1つの集積チップにより実装されてもよい。本願のこの実施形態ではこれについて限定しない。
【0123】
オプションで、制御回路400とタッチキーアセンブリの機能を実行するための回路ユニットとが異なるモジュールに配置される場合は、これらのモジュールがチップであってよい。例えば、制御回路400は、センサと一緒にパッケージ化される制御チップであり、タッチキーアセンブリの機能を実行するための回路ユニットは、電子デバイスの処理チップ、例えば、中央処理装置、コプロセッサ、またはアプリケーションプロセッサである。この場合、イベントをトリガすることは、制御回路400がトリガ信号を送信することを含んでよい。タッチキーアセンブリの機能を実行するための回路ユニットは、トリガ信号を受信し、電源オンまたは音量調節などの対応する機能をトリガ信号に基づいて実行する。
【0124】
オプションで、制御回路400が中央処理装置、コプロセッサ、またはアプリケーションプロセッサの機能を含む場合は、イベントをトリガすることは、制御回路400がタッチキーアセンブリの機能を実行することを含む。
【0125】
オプションで、制御回路400がタッチキーアセンブリの機能を実行するための回路ユニットを含む場合は、イベントをトリガすることは、制御回路400がタッチキーアセンブリの機能を実行することを含んでよい。
【0126】
オプションで、本願のこの実施形態では、センサ300は触覚および力センサを含む。触覚および力センサは、触覚センサおよび/または力センサを含む。すなわち、触覚および力センサは、触覚センサの機能および/または力センサの機能を含む。触覚および力センサは、ユーザにより付与されるタッチ力または押し込み力を検出するように構成されてよい。一般的な触覚および力センサは、複数の型、例えば、圧電型、ピエゾ容量型、ピエゾ抵抗型、渦効果型、超音波伝送型、および指紋型を含む。ピエゾ容量型センサは一般的に、タッチスクリーンで使用される。渦効果型センサは、誘導性圧力センサである。更には、単一ユニットの時分割多重化機能を実装するために、センサ300の感知ユニットは、多機能特性を有してよい。例えば、外側ハウジングを駆動して振動させる機能、および、振動感知信号Sを生成する機能といった2つの機能の時分割多重化を実装するために、感知ユニットは通常、圧電素子などの電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイスである。以下では、実施形態を参照しながら説明を提供する。
【0127】
図9は、本願のある実施形態に係るセンサ300の概略構造図である。図9に示すように、センサ300は、外側ハウジング31、制限ノード32、接合ゲル33、感知ユニット34、第1電極35、および第2電極36を含む。以下では、センサ300に含まれるユニットの機能および構造について説明する。
【0128】
外側ハウジング31は、接合、圧入、または締まり嵌めによって感知ユニット34に接続されてよい。
【0129】
制限ノード32は、外側ハウジング31の感知領域を制限して、感知領域における力または変形が別の領域に広がるのを防止するように構成される。制限ノード32は、感知領域の周囲の高さを増やすこと、感知領域の周囲を溝形状にすること、または、感知領域の周囲に減衰材料を設置することにより形成されてよい。制限ノード32は、感知領域を提供する重要な特徴である。制限ノード32および外側ハウジング31は、一体構造にされてよい。すなわち、制限ノード32は、外側ハウジング31の一部であってよい。
【0130】
オプションで、外側ハウジング31は、図3から図7に示すタッチキーアセンブリ内の外側ハウジング10として機能してもよい。例えば、外側ハウジング31と、制限ノード32と、電子デバイスのハウジングとは、一体構造にされてよい。
【0131】
接合ゲル33の場合、接合ゲル33は、感知ユニット34に外側ハウジング31を接続するように構成される硬化ゲルである。
【0132】
感知ユニット34は、センサのコアユニットであり、電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイスであってよい。電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイスは、電気変形可逆材料または磁気変形可逆材料で作られるデバイスであってよい。電気変形可逆材料または磁気変形可逆材料の特性としては、電気または磁気によって材料が変形する場合があり、この変形によって材料の電気特性または磁気特性が変化するといったことが挙げられる。電気特性または磁気特性の変化は、以下のケースに限定されるわけではないが、電圧、電流、電荷、抵抗、キャパシタンス、インダクタンス、または磁気モーメントの変化を含んでよい。本願のこの実施形態では、電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイスの形状について限定しない。電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイスは、単層構造、多層構造、または様々な他の形状を有してよい。電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイスは、2つの電極を含んでよい。例えば、図9は、2つの電極、すなわち、第1電極35および第2電極36を示す。2つの電極のうちの一方は、接地に接続するか、基準電圧に接続するように構成されてよい。すなわち、その電極は、第2ポートEと同等である。他方の電極は、駆動信号Sを受信する、および/または、振動感知信号Sを出力するように構成される。すなわち、その電極は、第1ポートAと同等である。
【0133】
ある例では、典型的な電気変形可逆材料または磁気変形可逆材料は、圧電材料を含み、圧電材料は、直接圧電効果および逆圧電効果を有してよい。直接圧電効果は、押し込み力によって圧電材料に電荷が発生し得ることを意味する。逆圧電効果は、電気によって圧電材料が変形し得ることを意味する。感知ユニット34が圧電材料で作られている場合は、感知ユニット34は、圧電ユニットまたは圧電デバイスと呼ばれる場合もあり、センサは圧電センサと呼ばれる場合がある。圧電センサの場合、機能の時分割多重化によって、駆動機能および振動感知機能を実装するために必要とされる圧電ユニットは1つのみである。駆動機能には逆圧電効果が使用され、振動感知機能には圧電効果が使用され、それにより、センサの設計が簡略化される。代替的に、感知ユニット34は、別のタイプの電気変形可逆材料または磁気変形可逆材料で作られてもよい。本願のこの実施形態ではこれについて限定しない。
【0134】
ある例では、感知ユニット34は、圧電シートであってよい。圧電シートは、単一の層、2つの層、またはそれより多くの層を有してよい。圧電シートの形状は、正方形、円形、楕円形、または多角形などの任意の形状であってよい。図9に示すセンサ300の形状は、長方形である。圧電シートの表面は、接着剤を使用することによって、または、締まり嵌めによって外側ハウジング31の内側表面に接続されてよい。圧電シートの、外側ハウジング31に接合される表面は、比較的平坦である。
【0135】
前述の説明から、本願で使用されるセンサ300は、接地または基準電圧に接続するように構成される電極に加えて、1つの電極のみを含み、単一ユニットを含むセンサであるか、単一出力センサと呼ばれる場合もあることを認識できる。このセンサは、製造しやすく低コストであり、汎用センサである。本願のこの実施形態では、シンプルな構造の単一出力センサがタッチキーアセンブリに使用されてよく、能動方式を使用することによる検出が、センサの機能の時分割多重化によって実装され、それにより、コストが削減され、回路が簡略化される。
【0136】
なお、図9におけるセンサ300の説明は例に過ぎず、本願のこの実施形態におけるセンサ300は代替的に、センサが電気変形可逆機能または磁気変形可逆機能を実装できるならば、別のタイプのセンサであってもよい。
【0137】
図10は、本願のある実施形態に係るタッチキーアセンブリ200の構造回路図である。タッチキーアセンブリ200は、センサ300および制御回路400を含む。制御回路400は、センサ300に接続されており、時分割多重化によってセンサ300の駆動機能および検出機能を実装するように構成される。タッチキーアセンブリ200は、タッチ感知モジュールまたはタッチキーアセンブリと呼ばれる場合もある。制御回路400の機能のうちの幾つかまたは全てが1つのチップに統合されてもよいし、別個のデバイスにより実装されてもよい。例えば、制御回路400の機能のうちの全てまたは幾つかが、マイクロコントローラユニット(microcontroller unit、MCU)により実装されてよい。オプションで、制御回路400は、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)上に配置されてもよい。
【0138】
図10に示すように、制御回路400は、信号生成ユニット40および検出ユニット50を含む。信号生成ユニット40は、センサ300の第1ポートAに接続される。信号生成ユニット40の出力端は、センサ300の第1ポートAに駆動信号Sを出力するように構成される。駆動信号Sは断続信号である。検出ユニット50も、センサ300の第1ポートAに接続される。検出ユニット50は、センサ300の第1ポートAにより出力される振動感知信号Sを検出するように構成される。センサ300が位置付けられる領域にユーザがタッチした場合は、振動感知信号Sの振幅が減衰または増加する。検出ユニット50は、振動感知信号Sの減衰度または増加度を判断して、イベントをトリガするかどうかを判断してよい。
【0139】
オプションで、センサ300は、単一ユニットを含むセンサ300、すなわち、単一出力センサであってもよい。センサ300は、第1ポートAおよび第2ポートEを含む。第1ポートAは、時分割方式で、駆動信号Sを受信するか、振動感知信号Sを送信するように構成される。第2ポートEは、接地または基準電圧に接続するように構成される。
【0140】
駆動信号Sは断続信号である。これによって、信号生成ユニット40が第1時間間隔で駆動信号Sを出力し、第2時間間隔での出力がハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態にあることが理解できる。検出ユニット50は、センサ300により出力される振動感知信号Sを第2時間間隔で検出する。第1時間間隔および第2時間間隔は重複しない。すなわち、信号生成ユニット40は、駆動信号Sのセグメントを出力した後、出力端をハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態へと迅速に切り替えてよく、その後、検出ユニット50は、駆動信号Sに応答してセンサ300により出力される振動感知信号Sを検出する。従って、制御回路400は、駆動信号Sを入力し、センサ300の一端で振動感知信号Sを受信してよい。すなわち、駆動信号Sおよびハイ・インピーダンス状態(またはフローティング状態)は、時間領域で交互に出力される。例えば、10msのハイ・インピーダンス状態(またはフローティング状態)ごとに、長さ5msの駆動信号Sが出力される。本願のこの実施形態では、センサの複数の異なる機能に対して時分割多重化が実行され、単一出力センサ300を使用することによってタッチキーアセンブリが実装され、それにより、コストが削減され、回路設計の複雑性が軽減し、高感度および偶発的トリガ防止の要件が満たされる。
【0141】
オプションで、駆動信号Sおよびハイ・インピーダンス状態(またはフローティング状態)は、時間領域内の周期に基づいて交互に送信されてよい。例えば、特定の継続時間を有する駆動信号Sが、10msまたは5msごとに送信されてよい。通常、毎回送信される駆動信号Sの波形および周期は同じままであってよく、毎回送信される駆動信号Sの継続時間も同じままであってよい。代替的に、幾つかの例では、毎回送信される駆動信号Sの波形、周期、または継続時間が異なっていてもよい。本願のこの実施形態ではこれについて限定しない。幾つかの例では、駆動信号Sの周波数が、集成共振器の共振周波数と同じかそれに近くてよい。
【0142】
オプションで、駆動信号Sおよびハイ・インピーダンス状態(またはフローティング状態)は代替的に、時間領域で非周期的に送信されてもよい。本願のこの実施形態ではこれについて限定しない。
【0143】
オプションで、駆動信号Sは交流波形であってもよく、交流波形は、以下のタイプに限定されるわけではないが、方形波、三角波、のこぎり波、および正弦波などのうちの少なくとも1つを含む。ある例では、交流波形は、例えば、幾つかのパルスを含む方形波であってよい。ある例では、ハイ・インピーダンス状態の抵抗が1キロオーム(kΩ)より大きくてよい。
【0144】
本願のこの実施形態では、タッチキーアセンブリにおいて、センサの駆動機能および振動感知機能を時分割多重化によって組み合わせて1つにしてよい。従って、これら2つの機能を実装するために必要とされるのは、単一出力センサのみである。これによって、人間以外の偶発的トリガに抵抗することができるだけでなく、タッチキーアセンブリに使用されるセンサを簡略化することもでき、それにより、タッチキーアセンブリの構造が簡略化される。
【0145】
本願のこの実施形態では、従来の単一出力センサを使用して、タッチキーアセンブリを実装してよい。デバイス製造の観点から、共通プロセスを使用して、本願のこの実施形態で使用される単一出力センサを実装することで、タッチキーアセンブリを実装するためのコストを削減し、デバイスの信頼性を向上させてよい。
【0146】
なお、幾つかの例では、人体のような幾つかの物質がタッチキーアセンブリの感知領域に接触すると、接触がない場合と比較して、デバイスの出力振幅が大幅に減衰または増加する。従って、人体のような物質との接触を人体との接触と誤って判断することを回避するために、イベントをトリガするかどうかを能動的に判断する前述のプロセスを複数回実行して、誤判定を回避してよい。
【0147】
図11は、本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリ200の概略構造図である。図11に示すように、制御回路400は更に、第1増幅ユニット21を含む。第1増幅ユニット21は、センサ300と検出ユニット50との間に配置されてよい。第1増幅ユニット21は、センサ300により出力される振動感知信号Sを増幅し、かつ、振動感知信号Sに基づいて増幅される信号を出力するように構成される。検出ユニット50は、増幅された振動感知信号Sを検出するように構成される。
【0148】
本願のこの実施形態では、検出ユニット50は、センサ300により出力される増幅された振動感知信号Sを検出する。これは、イベントをトリガするかどうかをより正確かつ高感度に判断するのに役立ち、それにより、タッチキーアセンブリの感度および偶発的トリガ防止性能が向上する。
【0149】
図12は、本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリ200の概略構造図である。図12に示すように、制御回路400は更に、フィルタユニット25を含む。フィルタユニット25は、センサ300により出力される振動感知信号Sに対してフィルタリング処理を実行する。オプションで、フィルタユニット25は、振動感知信号Sに対してハイパスフィルタリングを実行してもよい。フィルタユニット25は代替的に、第1増幅ユニット21または検出ユニット50に統合されてもよい。本願のこの実施形態ではこれについて限定しない。
【0150】
本願のこの実施形態では、フィルタユニットを使用することによって振動感知信号Sに対するハイパスフィルタリングが実装されてよく、その結果、振動感知信号Sのベースラインを安定させることができ、タッチキーアセンブリの検出効率が向上する。
【0151】
本願のこの実施形態では、前述の機能が実装され得るならば、信号生成ユニット40、検出ユニット50、第1増幅ユニット21、またはフィルタユニット25の特定の回路構造について限定しない。当業者であれば、前述の回路機能を学習するときに、対応する回路機能を実装するための特定の回路を当業者が取得できることを理解することができる。
【0152】
幾つかの例では、信号生成ユニット40は、駆動信号Sを出力する機能を有しており、ハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態に切り替えられ得る。ハイ・インピーダンス状態は、例えば、1kΩより大きくてもよいし、別の抵抗を伴うハイ・インピーダンス状態であってもよい。
【0153】
幾つかの例では、第1増幅ユニット21は、増幅機能を実装するための回路を含んでよい。例えば、第1増幅ユニット21は、以下のデバイスに限定されるわけではないが、電荷増幅器、電流増幅器、演算増幅器、整流増幅器、検出増幅器、および比較増幅器などのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0154】
幾つかの例では、検出ユニット50は、以下の回路に限定されるわけではないが、アナログ-デジタル変換器(analog to digital converter、ADC)回路および比較器などのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0155】
幾つかの例では、フィルタユニット25は、シンプルな一次ハイパスフィルタ回路を含んでもよいし、より高次のハイパスフィルタ回路を含んでもよい。本願のこの実施形態ではこれについて限定しない。
【0156】
図13は、本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリ200の概略回路図である。図13では、制御回路内の信号生成ユニットおよび検出ユニットが1つの制御チップ500に統合される。制御チップ500は、MCUにより実装されてよい。図13には、信号生成ユニットも、検出ユニットも、制御チップ500内の機能ユニット同士の接続関係も示されていない。機能ユニット同士の接続関係については、前述の特定の実施形態における説明を参照されたい。IOポートは、信号生成ユニットの出力端を示しており、駆動信号Sを出力するように構成される。ADポートは、検出ユニットの入力端を示しており、信号生成ユニットがオンになった後、駆動信号Sに応答してセンサ300により出力される振動感知信号Sを検出するように構成される。
【0157】
オプションで、第1増幅ユニット21(増幅器AMP)が検出ユニットの入力端ADとセンサ300との間に配置され、振動感知信号Sを増幅するように構成される。検出ユニットの入力端ADとセンサ300との間には、フィルタユニット25が更に配置されてよい。フィルタユニット25は、キャパシタCおよびレジスタRを含む。フィルタユニット25は、振動感知信号Sに対してハイパスフィルタリングを実行するように構成されてよい。代替的に、フィルタユニット25は、第1増幅ユニット21または検出ユニットに統合されてもよい。本願のこの実施形態ではこれについて限定しない。図13には、前述の機能ユニットの特定の実装の例が示されているに過ぎない。当業者であれば、前述の機能ユニットが代替的に、複数の他の特定の実装または変形を有することを理解することができる。これらの実装または変形は全て、本願の保護範囲に含まれるものとする。
【0158】
制御チップ500が動作すると、制御チップ500は、IOポートを使用することによって断続的な駆動信号Sを送信する。例えば、特定の継続時間を有する駆動信号Sが、5msまたは10msごとに送信されてよい。駆動信号Sの周波数は、集成共振器の共振周波数と同じかそれに近くてよい。この期間に、センサは駆動ユニットの機能を実装する。駆動信号Sが送信された後の間隔で、IOポートは、ハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態にある。この段階では、制御チップ500は、ADポートにより受信される振動感知信号Sを検出し、イベントをトリガするかどうかを振動感知信号Sに基づいて判断する。振動感知信号Sは、駆動信号Sに対する振動コーダ波応答信号である。この期間に、センサは、振動感知ユニットの機能を実装する。
【0159】
本願のこの実施形態では、駆動信号Sが間隔を置いて送信される。すなわち、駆動信号Sが、ある期間の間隔で送信される。従って、タッチキーアセンブリの応答速度に対して比較的高い要件が課されるシナリオでは、ユーザ体験が影響を受ける場合がある。トリガイベントの欠落を回避するために、信号生成ユニットは、比較的短い期間の間隔で駆動信号Sを送信する必要がある。例えば、駆動信号Sが10msごとに送信されてよい。しかしながら、このようにすると、消費電力が比較的高くなる。
【0160】
この問題を解決するために、本願の実施形態は更に、更なる解決策を提供する。図14は、本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリの概略構造図である。図14に示すように、この解決策では、センサ300が、駆動ユニット61および振動感知ユニット62に加えて、力感知ユニット63を更に含む。力感知ユニット63は、力または変形を感知し、かつ、力感知信号Sを出力するように構成される。第1に、制御回路400が、駆動信号Sを送信せずに、センサの力感知ユニットにより出力される力感知信号Sを検出する。この場合は、制御回路400の出力端がハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態にあり、センサ300の駆動ユニット61は、駆動信号Sを受信していない。従って、これは「受動的」検知と呼ばれる場合がある。センサ300の力感知に対するタッチ力または押し込み力が閾値を超えていることを制御回路400が検出すると、「能動的」検知が有効になる。「能動的」検知の間、センサ300が位置付けられる領域をユーザがタッチしたか、押した場合は、センサ300により出力される振動感知信号Sの振幅が減衰または増加し、制御回路400は、検出された振動感知信号Sの減衰度または増加度に基づいて、イベントをトリガするかどうかを判断してよい。この解決策では、「能動的」検知および「受動的」検知が組み合わされ、能動的検知が受動的検知で有効になり、制御回路400がセンサ300に駆動信号Sを継続的に送信する必要がなく、それにより、タッチキーアセンブリの消費電力が削減される。
【0161】
能動的検知と受動的検知との組み合わせは代替的に、「ユニット機能時分割多重化技術」を使用することによって実装されてもよい。具体的には、1つの感知ユニットが、力感知機能、駆動機能、または振動感知機能などの複数の異なる機能を複数の異なる期間に実行して、単一感知ユニットの多機能化を実装する。感知ユニットは、前述の電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイス、例えば、圧電素子であってよい。すなわち、図14のセンサ300は代替的に、時分割多重化によって前述の実施形態における単一出力センサにより実装されてもよい。
【0162】
オプションで、計算ユニットを制御回路に追加して、力感知信号Sを検出および/または計算してもよい。計算ユニットは、検出された力感知信号Sに基づいて、事前設定条件が満たされるとオンになるように信号生成ユニットを制御してよく、その結果、信号生成ユニットは継続的に動作する必要がなく、それにより、消費電力が削減される。更に、制御回路は更に、割り込みユニットを含んでよい。割り込みユニットは、事前設定条件が満たされるとオンになるように計算ユニットを制御するように構成され、それにより、回路の消費電力が更に削減される。以下では、図15から図18を参照しながら、本願の実施形態における解決策について更に説明する。
【0163】
図15は、本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリ200の概略構造図である。図15に示すように、制御回路400は、信号生成ユニット40、検出ユニット50、および計算ユニット60を含む。力を感知すると、センサ300が変形し、その変形に対応する力感知信号Sを出力する。計算ユニット60は、センサ300により生成される力感知信号Sを検出するように構成される。この期間に、センサ300は、力感知ユニットの機能を実装する。センサ300により感知される力が閾値を超えると、計算ユニット60は、信号生成ユニット40に指示信号を送信して、信号生成ユニット40にオンになるように指示する。この期間に、センサ300は、駆動ユニットの機能を実装する。駆動信号Sが送信された後の間隔で、検出ユニット50は、センサ300により出力される振動感知信号Sを検出し、イベントをトリガするかどうかをその振動感知信号Sに基づいて判断する。この期間に、センサ300は、振動感知ユニットの機能を実装する。このようにすると、信号生成ユニット40は、継続的に動作する必要がなく、ひいては、駆動信号Sを頻繁に送信する必要がなく、それにより、消費電力が削減される。
【0164】
なお、計算ユニット60により検出される力感知信号Sは、信号生成ユニット40が動作していないときに生成され、ひいては、計算ユニット60により検出される力感知信号Sは、駆動信号Sに対する応答信号ではない。この検出モードは、「受動的」検知と呼ばれる。しかしながら、検出ユニット50により検出される振動感知信号Sは、駆動信号Sに応答する。この検出モードは、「能動的」検知と呼ばれる。本願のこの実施形態では、「能動的」検知と「受動的」検知とが組み合わされ、「能動的」検知が「受動的」検知で有効になり、その結果、回路は、「能動的」検知を常に有効にしておく必要がなく、それにより、消費電力が削減される。
【0165】
幾つかの例では、計算ユニット60は、現在感知されている押し込み力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断するように構成されてよい。能動的開始条件が満たされている場合は、計算ユニット60は、信号生成ユニット40に動作を開始するように指示する。能動的開始条件が満たされていない場合は、信号生成ユニット40は動作しない。
【0166】
オプションで、能動的開始条件が満たされているかどうかを判断する前述の方式は、力感知ユニット63により感知される力が規定の能動的開始閾値を超えているかどうかを判断することを含んでもよいし、力感知ユニット63により感知される力の押圧形態(例えば、ダブルタップまたはタッチアンドホールド)に基づいて、能動的開始条件が満たされているかどうかを判断することを含んでもよい。
【0167】
幾つかの他の例では、計算ユニット60は、2段階で判断を実行してよい。第1に、計算ユニット60は、力感知信号Sが計算開始条件を満たしているかどうかを判断してよい。計算開始条件が満たされている場合は、計算ユニット60は、力感知信号Sに基づいて力または加速力の計算を開始し、計算された力または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを継続的に判断する。能動的開始条件が満たされている場合は、計算ユニット60は、信号生成ユニット40に動作を開始するように指示する。力感知信号Sが計算開始条件を満たしていない場合は、計算ユニット60は、力または加速力を計算し、力または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断する必要がない。
【0168】
オプションで、計算開始条件が満たされているかどうかを判断する前述の方式は、力感知ユニット63により感知される力が規定の計算開始閾値を超えているかどうかを判断することを含んでもよいし、力感知ユニット63により感知される力の押圧形態(例えば、ダブルタップまたはタッチアンドホールド)に基づいて、計算開始条件が満たされているかどうかを判断することを含んでもよい。
【0169】
計算開始閾値および能動的開始閾値の値は、実際の適用に基づいて決定されてよい。本願のこの実施形態ではこれについて限定しない。幾つかの例では、計算開始閾値は、力または加速力の計算を開始するための閾値であってよい。能動的開始閾値は、「能動的」検知を有効にするための閾値であってよい。例えば、計算開始閾値は、計算ユニットにより取得される、100重量グラムに対応する値に設定されてよく、能動的開始閾値は、計算ユニットにより取得される、200重量グラムに対応する値に設定されてよい。計算開始条件が満たされている場合は、計算ユニット60は、力または加速力の計算を開始し、計算された力または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断する。力または加速力が能動的開始条件を満たしている場合は、信号生成ユニット40は動作を開始する。計算ユニットにより取得される値は、力感知信号Sに基づいて力または加速力を決定するために計算ユニットにより使用される大きさ(dimension)であってよい。
【0170】
特定の例では、初期化後、計算ユニット60は、センサ300により出力される力感知信号Sをある期間の間隔で読み取ってよい。この場合は、信号生成ユニット40の出力が、ハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態にある。力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合は、計算ユニット60は、力または加速力の計算を開始する。この期間に、センサ300は、力感知ユニットの機能を実装する。計算ユニット60は、力または加速力を計算した後、取得された計算結果が「能動的」検知の条件を満たしている場合、すなわち、力または加速力が能動的開始条件を満たしている場合に、信号生成ユニット40に指示信号を送信する。指示信号は、信号生成ユニット40に動作を開始するように、すなわち、信号生成ユニット40がセンサ300に対する断続的な駆動信号Sの入力を開始するように指示するために使用される。駆動信号Sは、集成共振器を駆動して振動させ、その結果、センサ300は、駆動信号Sに応答して振動感知信号Sを出力する。信号生成ユニット40の出力端がハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態に切り替わる期間に、検出ユニット50は、センサ300により出力される振動感知信号Sを検出し、イベントをトリガするかどうかを振動感知信号Sの減衰度または増加度に基づいて判断する。この期間に、センサ300は、時分割方式で駆動ユニットおよび振動感知ユニットの機能を実装する。本明細書における特定の実装は、前述の実施形態の実装と同様である。ここでは詳細について改めて説明しない。
【0171】
オプションで、計算ユニット60は、センサ300により生成される振動感知信号Sを特定の時間間隔に基づいて読み取ってよく、例えば、5msまたは10msごとに1回読み取りを実行してよい。
【0172】
本願のこの実施形態では、タッチキーアセンブリの制御回路は、計算ユニットを含み、計算ユニットは、駆動信号Sが受信されない場合にセンサのタッチ力または押し込み力の状態を検出して、信号生成ユニットをオンにするかどうかを判断するように構成される。従って、信号生成ユニットはオンになり、事前設定条件が満たされている場合にのみ断続的な駆動信号Sを送信し、それにより、回路の消費電力が削減される。
【0173】
オプションで、図15に示すように、第1増幅ユニット21は、検出ユニット50とセンサ300との間に配置されてよい。第1増幅ユニット21は、センサ300と検出ユニット50との間に位置付けられており、センサ300により出力される振動感知信号Sを増幅するように構成される。第2増幅ユニット22は更に、計算ユニット60とセンサ300との間に配置されてよい。第2増幅ユニット22は、センサ300と計算ユニット60との間に位置付けられており、センサ300により出力される力感知信号Sを増幅するように構成される。計算ユニット60は、増幅された力感知信号Sを検出して、信号生成ユニット40をオンにするかどうかを判断してよい。
【0174】
本願のこの実施形態では、第2増幅ユニットは、センサにより出力される増幅された力感知信号Sを計算ユニットが検出できるように配置される。これは、イベントをトリガするかどうかをより正確かつ高感度に判断するのに役立ち、それにより、タッチキーアセンブリの感度および偶発的トリガ防止性能が向上する。
【0175】
幾つかの例では、第1増幅ユニット21および第2増幅ユニット22はそれぞれ、増幅機能を実装するための回路を含んでよい。例えば、第1増幅ユニット21および第2増幅ユニット22はそれぞれ、以下のデバイスに限定されるわけではないが、電荷増幅器、電流増幅器、演算増幅器、整流増幅器、検出増幅器、および比較増幅器などのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0176】
図16は、本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリ200の概略回路図である。図16では、信号生成ユニット、検出ユニット、および計算ユニットが1つの制御チップ500に統合されてよい。制御チップ500は、MCUにより実装されてよい。図16には、信号生成ユニット、検出ユニット、および計算ユニットの構造も、制御チップ500内の機能ユニット同士の接続関係も示されていない。機能ユニット同士の接続関係については、前述の実施形態における説明を参照されたい。IOポートは、信号生成ユニットの出力端を示しており、駆動信号Sを出力するように構成される。AD1ポートは、計算ユニットの入力端を示しており、センサ300により出力される力感知信号Sを検出するように構成される。AD2ポートは、検出ユニットの入力端を示しており、信号生成ユニットがオンになった後、駆動信号Sに応答してセンサ300により出力される振動感知信号Sを検出するように構成される。
【0177】
オプションで、第2増幅ユニット22(増幅器AMP1)が計算ユニットの入力端AD1とセンサ300との間に配置されて、力感知信号Sを増幅する。第1増幅ユニット21(増幅器AMP2)が検出ユニットの入力端AD2とセンサ300との間に配置されて、振動感知信号Sを増幅する。検出ユニットの入力端AD2とセンサ300との間には、フィルタユニット25が更に配置されてよい。フィルタユニット25は、キャパシタCおよびレジスタRを含む。フィルタユニット25は、ハイパスフィルタリングに使用されてよい。代替的に、フィルタユニット25は、第1増幅ユニット21または検出ユニットに統合されてよい。本願のこの実施形態ではこれについて限定しない。図16には、前述の機能ユニットの特定の実装の例が示されているに過ぎない。当業者であれば、前述の機能ユニットが代替的に、複数の他の特定の実装または変形を有することを理解することができる。これらの実装または変形は全て、本願の保護範囲に含まれるものとする。
【0178】
制御チップ500が動作すると、IOポートの初期状態は、ハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態である。制御チップ500は、AD1ポートに入力される力感知信号Sをある期間の間隔で検出して、センサ300に付与される力が計算開始条件を満たしているかどうかを判断する。制御チップ500は、AD1ポートに入力される力感知信号Sを周期的に検出してよく、例えば、5msまたは10msごとに1回検出を実行してよい。力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合は、制御チップ500は、AD1ポートに入力される力感知信号Sに基づいて、センサ300に付与される力または加速力の計算を開始し、力または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断する。この期間に、センサ300は、力感知ユニットの機能を実装する。能動的開始条件が満たされている場合は、制御チップ500は、IOポートを使用することによって断続的な駆動信号Sを送信する。この期間に、センサ300は、駆動ユニットの機能を実装する。駆動信号Sが毎回送信された後の間隔で、IOポートは、ハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態にある。この段階では、制御チップ500は、AD2ポートに入力される振動感知信号Sを検出し、イベントをトリガするかどうかをその振動感知信号Sに基づいて判断する。この期間に、センサ300は、振動感知ユニットの機能を実装する。本願のこの実施形態では、センサ300の力感知機能、駆動機能、および振動感知機能に対して時分割多重化を実行し、その結果、単一出力センサを使用して、能動的検知と受動的検知とが組み合わされたタッチキーアセンブリの解決策を実装する。
【0179】
図17は、本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリ200の概略構造図である。図17に示すように、制御回路400は、信号生成ユニット40、検出ユニット50、計算ユニット60、および割り込みユニット70を含む。割り込みユニット70は、センサ300により出力される力感知信号Sを検出し、かつ、計算ユニット60を制御してオンにするように構成される。具体的には、割り込みユニット70は、力感知信号Sが計算開始条件を満たしているかどうかを判断する機能を実装してよい。力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合は、割り込みユニット70は、計算ユニット60を制御してオンにしてよい。その後、計算ユニット60は、センサ300に付与される力または加速力を力感知信号Sに基づいて計算し、計算された力および/または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断する。能動的開始条件が満たされている場合は、計算ユニット60は、信号生成ユニット40に指示信号を送信して、信号生成ユニット40に動作を開始するように指示する。
【0180】
これによって、力感知信号Sが計算開始条件を満たしているかどうかを判断する機能を、図17の割り込みユニット70が実装していること、および、力または加速力を計算し、かつ、力または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断する機能を、計算ユニット60が実装していることが理解できる。
【0181】
本願のこの実施形態では、割り込みユニット70は、計算ユニット60を制御してオンにし、計算ユニット60は、信号生成ユニット40を制御してオンにする。従って、計算ユニット60および信号生成ユニット40は、事前設定条件が満たされている場合にのみ動作し、それにより、回路の消費電力が削減される。
【0182】
オプションで、割り込みユニット70は、割り込み回路により実装されてよい。
【0183】
割り込み回路は、入力される電圧または電流が事前設定条件を満たしている場合にのみオンになる。割り込み回路のタイプは、レベル割り込み、立ち上がりエッジ割り込み、または立ち下りエッジ割り込みであってよい。センサ300により出力される力感知信号Sが、事前に設計されたレベル要件、立ち上がりエッジ要件、または立ち下がりエッジ要件を満たしている場合は、割り込みプログラムが開始される。計算ユニット60は、割り込みユニット70に接続される。計算ユニット60は、割り込みプログラムが開始された後にオンになる。すなわち、割り込みユニット70は、計算ユニット60を制御するためのスイッチと同等である。計算ユニット60は、割り込みユニット70がオンになっている場合にのみ動作を開始する。割り込みユニット70は、センサ300により感知される押し込み力が計算開始条件を満たした後に、力感知ユニット63により出力される力感知信号Sの電圧値が割り込みユニット70の開始電圧より大きくなり、かつ、割り込みユニット70がオンになるように設計されてよい。割り込みユニット70は、計算ユニット60に接続される。計算ユニット60は、割り込みユニット70がオンになっている場合にのみ動作を開始する。オプションで、センサ300により感知される押し込み力が計算開始条件を満たしているかどうかを割り込みユニット70が判断することは、センサ300により出力される力感知信号Sが割り込み条件を満たしているかどうかを割り込みユニット70が判断することとして理解されてもよい。
【0184】
従って、センサ300に付与されるタッチ力または押し込み力が計算開始条件を満たしていない場合は、割り込みユニット70はオンにならず、制御回路400は電力をほとんど消費しない。割り込みユニット70は、タッチ力または押し込み力が計算開始条件を満たしている場合にのみオンになり、それに対応して、計算ユニット60は、オンになって動作を開始する。従って、本願のこの実施形態における解決策では、回路の消費電力が低減され得る一方で、優れた偶発的トリガ防止特性が達成される。
【0185】
オプションで、割り込みユニット70とセンサ300との間には、第3増幅ユニット23が配置されてもよい。割り込みユニット70は、第3増幅ユニット23により増幅される力感知信号Sを受信および検出する。センサ300に付与される押し込み力が計算開始条件を満たしている場合に、増幅された力感知信号Sによって割り込みユニット70が割り込みプログラムを開始できるようにする設計が採用されてよい。
【0186】
幾つかの例では、第3増幅ユニット23は、増幅機能を実装するための回路を含んでよい。例えば、第3増幅ユニット23は、以下のデバイスに限定されるわけではないが、電荷増幅器、電流増幅器、演算増幅器、整流増幅器、検出増幅器、および比較増幅器などのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0187】
図18は、本願の別の実施形態に係るタッチキーアセンブリ200の概略回路図である。図18では、信号生成ユニット、検出ユニット、計算ユニット、および割り込みユニットが1つの制御チップ500に統合されてよい。制御チップ500は、MCUにより実装されてよい。図18には、信号生成ユニットも、計算ユニットも、検出ユニットも、割り込みユニットも、制御チップ500内の機能ユニット同士の接続関係も示されていない。機能ユニット同士の接続関係については、前述の特定の実施形態における説明を参照されたい。IOポートは、信号生成ユニットの出力端を示しており、駆動信号Sを出力するように構成される。INTポートは、割り込みユニットの入力端を示しており、センサ300により出力される力感知信号Sを検出し、かつ、計算ユニットをオンにするかどうかを判断するように構成される。AD1ポートは、計算ユニットの入力端を示しており、センサ300により出力される力感知信号Sを検出し、かつ、IOポートが断続的な駆動信号Sを出力するように信号生成ユニットをオンにするかどうかを判断するように構成される。AD2ポートは、検出ユニットの入力端を示しており、信号生成ユニットがオンになった後、駆動信号Sに応答してセンサ300により出力される振動感知信号Sを検出し、かつ、イベントをトリガするかどうかを判断するように構成される。
【0188】
割り込みユニットは、力感知信号Sが計算開始条件を満たしていることを割り込みユニットが検出した場合にのみ割り込み信号を送信し、その結果、計算ユニットは動作を開始する。すなわち、センサ300により感知される押し込み力が計算開始条件を満たしている場合は、計算ユニットはオンになり、その後、計算ユニットは、センサ300に付与される力および/または加速力の計算を開始し、取得された力および/または加速力に基づいて、能動的開始条件が満たされているかどうかを判断する。能動的開始条件が満たされている場合は、計算ユニットは、信号生成ユニットに指示信号を送信して、信号生成ユニットに動作を開始するように指示する。
【0189】
オプションで、第2増幅ユニット22(増幅器AMP1)が計算ユニットの入力端AD1とセンサ300との間に配置され、力感知信号Sを増幅するように構成される。
第1増幅ユニット21(増幅器AMP2)が検出ユニットの入力端AD2とセンサ300との間に配置され、振動感知信号Sを増幅するように構成される。割り込みユニットの入力端INTとセンサ300との間に第3増幅ユニット23(増幅器AMP3)を更に配置して、力感知信号Sを増幅してよい。検出ユニットの入力端AD2とセンサ300との間には、フィルタユニット25が更に配置されてよい。フィルタユニット25は、キャパシタCおよびレジスタRを含む。フィルタユニット25は、振動感知信号Sに対してハイパスフィルタリングを実行するように構成されてよい。代替的に、フィルタユニット25は、第1増幅ユニット21または検出ユニットに統合されてもよい。本願のこの実施形態ではこれについて限定しない。図18には、前述の機能ユニットの特定の実装の例が示されているに過ぎない。当業者であれば、前述の機能ユニットが代替的に、複数の他の特定の実装または変形を有することを理解することができる。これらの実装または変形は全て、本願の保護範囲に含まれるものとする。
【0190】
制御チップ500が動作すると、IOポートの初期状態は、ハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態である。制御チップ500は、INTポートに入力される力感知信号Sを検出する。力感知信号Sが計算開始条件を満たしていない場合は、力感知信号Sは、割り込みプログラムを開始するのに不十分であり、これらの機能ユニットはいずれも動作しない。力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合は、制御チップ500は、割り込みプログラムを開始し、制御チップ500は、AD1ポートに入力される力感知信号Sに基づいて、センサ300に付与される力または加速力の計算を開始し、力または加速力が能動的開始条件を満たしているかどうかを判断する。この期間に、センサ300は、力感知ユニットの機能を実装する。能動的開始条件が満たされている場合は、制御チップ500は、IOポートを使用することによって断続的な駆動信号Sの送信を開始する。この期間に、センサ300は、駆動ユニットの機能を実装する。駆動信号Sが送信された後の間隔で、IOポートは、ハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態にある。この段階では、制御チップ500は、AD2ポートに入力される振動感知信号Sを検出し、イベントをトリガするかどうかをその振動感知信号Sに基づいて判断する。振動感知信号Sは、駆動信号Sに対するコーダ波応答信号である。この期間に、センサ300は、振動感知ユニットの機能を実装する。従って、センサ300の複数の異なる機能に対する時分割多重化によって、タッチキーアセンブリ技術が実装され、センサ300の設計の難しさが軽減される。
【0191】
当業者であれば、本明細書で開示した実施形態において説明する例との組み合わせで、ユニットおよびアルゴリズム段階が、電子ハードウェア、またはコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせにより実装され得ることを認識することができる。これらの機能がハードウェアおよびソフトウェアのどちらにより実行されるかは、特定の用途と技術的解決策の設計上の制約条件とで決まる。当業者であれば、異なる方法を使用して、説明されている機能を特定の用途ごとに実装できるが、係る実装が本願の範囲を超えるものと見なされるべきではない。
【0192】
説明を簡便かつ簡潔にするために、前述のシステム、装置、およびユニットの詳細な動作プロセスについては、前述の方法の実施形態における対応するプロセスが参照されるべきであり、ここでは詳細について改めて説明しないことを、当業者であれば明確に理解することができる。
【0193】
本願において提供する幾つかの実施形態では、開示されているシステム、装置、および方法が他の方式で実装され得ることを理解されたい。例えば、説明されている装置の実施形態は例に過ぎない。例えば、ユニットの分割は論理機能の分割に過ぎず、実際の実装においては他の分割であってよい。例えば、複数のユニットまたはコンポーネントが組み合わされるか、別のシステムに統合されてもよいし、幾つかの特徴が無視されるか、実行されなくてもよい。更に、表示または説明されている相互結合もしくは直接結合または通信接続は、幾つかのインタフェースを使用することによって実装されてよい。装置間またはユニット間の間接結合または通信接続は、電子的形態、機械的形態、または他の形態で実装されてよい。
【0194】
別個の部分として説明されているユニットは、物理的に別個のものであってもなくてもよく、ユニットとして表示されている部分が、物理的なユニットであってもなくてもよいし、一箇所に位置付けられてもよいし、複数のネットワークユニット上に分散されてもよい。これらの実施形態の解決策の目的を達成するために、これらのユニットの幾つかまたは全てが実際の要件に基づいて選択されてよい。
【0195】
更に、本願の実施形態における機能ユニットが1つの処理ユニットに統合されてもよいし、これらのユニットの各々が物理的に単独で存在してもよいし、2つまたはそれより多くのユニットが1つのユニットに統合されてもよい。
【0196】
前述の説明は、本願の特定の実装に過ぎないが、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本願において開示した技術的範囲内で当業者が容易に考え付く変形または置換はいずれも、本願の保護範囲に含まれるものとする。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲の対象になるものとする。
[他の考えられる項目]
(項目1)
センサと制御回路とを備える電子デバイスであって、
上記制御回路は、第1時間間隔で上記センサの第1ポートに駆動信号Sを出力し、かつ、第2時間間隔でハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態を出力するように構成され、上記駆動信号Sは、上記センサを駆動して外側ハウジングと共に振動させるために使用され、
上記センサは、上記外側ハウジングの上記振動を検出し、かつ、上記第1ポートを使用することによって振動感知信号Sを出力するように構成され、上記振動感知信号Sは、上記センサが上記駆動信号Sを受信した後に上記センサにより出力される振動コーダ波応答信号であり、
上記制御回路は更に、上記第2時間間隔で上記振動感知信号Sを検出し、かつ、イベントをトリガするかどうかを上記振動感知信号Sに基づいて判断するように構成される、
電子デバイス
(項目2)
上記制御回路は、第1増幅ユニットを有しており、上記第1増幅ユニットは、上記振動感知信号Sを増幅するように構成される、項目1に記載の電子デバイス。
(項目3)
上記制御回路は更に、フィルタユニットを有しており、上記フィルタユニットは、上記振動感知信号Sに対してフィルタリング処理を実行するように構成される、項目1または2に記載の電子デバイス。
(項目4)
上記センサは更に、力または変形を検出し、かつ、上記センサの上記第1ポートを使用することによって力感知信号Sを出力するように構成され、
上記制御回路は更に、上記力感知信号Sを検出し、かつ、上記力感知信号Sが能動的開始条件を満たしているかどうかを判断するように構成され、上記力感知信号Sが上記能動的開始条件を満たしている場合に、上記センサに上記駆動信号Sを送信するように構成される、
項目1から3のいずれか一項に記載の電子デバイス。
(項目5)
上記制御回路は更に、上記力感知信号Sを増幅するように構成される第2増幅ユニットを有する、項目4に記載の電子デバイス。
(項目6)
上記制御回路は特に、
上記力感知信号Sが計算開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、上記力感知信号Sが上記計算開始条件を満たしている場合に、上記センサにより感知される力および/または加速力を上記力感知信号Sに基づいて計算し、
上記力および/または上記加速力が上記能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、上記力および/または上記加速力が上記能動的開始条件を満たしている場合に、上記センサに上記駆動信号Sを送信する
ように構成される、項目4または5に記載の電子デバイス。
(項目7)
上記制御回路は特に、
上記力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合に、割り込みプログラムを開始し、
上記割り込みプログラムが開始された後に、上記センサにより感知される力および/または加速力を上記力感知信号Sに基づいて計算し、上記力および/または上記加速力が上記能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、上記力および/または上記加速力が上記能動的開始条件を満たしている場合に、上記駆動信号Sを送信する
ように構成される、項目4または5に記載の電子デバイス。
(項目8)
上記センサは、電気変形可逆デバイスまたは磁気変形可逆デバイスを有する、項目1から7のいずれか一項に記載の電子デバイス。
(項目9)
上記センサは、圧電デバイスである、項目1から8のいずれか一項に記載の電子デバイス。
(項目10)
上記センサは、上記第1ポートおよび第2ポートを有し、上記第2ポートは、共通端である、項目1から9のいずれか一項に記載の電子デバイス。
(項目11)
上記制御回路は、上記電子デバイスの処理チップである、項目1から10のいずれか一項に記載の電子デバイス。
(項目12)
上記制御回路は、上記センサの制御チップである、項目1から10のいずれか一項に記載の電子デバイス。
(項目13)
上記外側ハウジングは、上記電子デバイスのハウジングの一部である、項目1から12のいずれか一項に記載の電子デバイス。
(項目14)
上記外側ハウジングは、上記センサの外側ハウジングである、項目1から12のいずれか一項に記載の電子デバイス。
(項目15)
制御回路であって、上記制御回路は、第1時間間隔でセンサの第1ポートに駆動信号Sを出力し、かつ、第2時間間隔でハイ・インピーダンス状態またはフローティング状態を出力するように構成され、上記駆動信号Sは、上記センサを駆動して振動させるために使用され、
上記制御回路は更に、上記第1ポートを使用することによって上記センサにより出力される振動感知信号Sを上記第2時間間隔で検出し、かつ、イベントをトリガするかどうかを上記振動感知信号Sに基づいて判断するように構成され、上記振動感知信号Sは、上記センサが上記駆動信号Sを受信した後に上記センサにより出力される振動コーダ波応答信号である、
制御回路。
(項目16)
上記制御回路は、第1増幅ユニットを有しており、上記第1増幅ユニットは、上記振動感知信号Sを増幅するように構成される、項目15に記載の制御回路。
(項目17)
上記制御回路は更に、フィルタユニットを有しており、上記フィルタユニットは、上記振動感知信号Sに対してフィルタリング処理を実行するように構成される、項目15または16に記載の制御回路。
(項目18)
上記制御回路は更に、
上記第1ポートを使用することによって上記センサにより出力される力感知信号Sを受信することであって、上記力感知信号Sは、上記センサにより検出される力または変形を示すために使用される、受信することと、
上記力感知信号Sが能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、上記力感知信号Sが上記能動的開始条件を満たしている場合に、上記センサに上記駆動信号Sを送信することと
を行うように構成される、項目15から17のいずれか一項に記載の制御回路。
(項目19)
上記制御回路は更に、上記力感知信号Sを増幅するように構成される第2増幅ユニットを有する、項目18に記載の制御回路。
(項目20)
上記制御回路は特に、
上記力感知信号Sが計算開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、上記力感知信号Sが上記計算開始条件を満たしている場合に、上記センサにより感知される力および/または加速力を上記力感知信号Sに基づいて計算し、
上記力および/または上記加速力が上記能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、上記力および/または上記加速力が上記能動的開始条件を満たしている場合に、上記センサに上記駆動信号Sを送信する
ように構成される、項目18または19に記載の制御回路。
(項目21)
上記制御回路は特に、
上記力感知信号Sが計算開始条件を満たしている場合に、割り込みプログラムを開始し、
上記割り込みプログラムが開始された後に、上記センサにより感知される力および/または加速力を上記力感知信号Sに基づいて計算し、上記力および/または上記加速力が上記能動的開始条件を満たしているかどうかを判断し、かつ、上記力および/または上記加速力が上記能動的開始条件を満たしている場合に、上記駆動信号Sを送信する
ように構成される、項目18または19に記載の制御回路。
(項目22)
上記制御回路は、上記制御回路の処理チップである、項目15から21のいずれか一項に記載の制御回路。
(項目23)
上記制御回路は、上記センサの制御チップである、項目15から22のいずれか一項に記載の制御回路。
(項目24)
センサと、外側ハウジングと、項目15から23のいずれか一項に記載の制御回路とを備えるタッチキーアセンブリであって、上記駆動信号Sは、上記センサを駆動して上記外側ハウジングと共に振動させるために使用される、タッチキーアセンブリ。
(項目25)
項目24に記載のタッチキーアセンブリを備える電子デバイスであって、上記外側ハウジングは、上記電子デバイスのハウジングに取り付けられるか、上記電子デバイスのハウジングと一体である、電子デバイス。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18