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特許7529192バッテリーパック及びバッテリーパックの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】バッテリーパック及びバッテリーパックの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240730BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
H02J7/00 Y
H01M10/48 301
H01M10/48 P
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022562804
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2021011405
(87)【国際公開番号】W WO2022059957
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0119503
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ スー
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-125916(JP,A)
【文献】特開2003-243048(JP,A)
【文献】特開2010-060381(JP,A)
【文献】特開2009-258067(JP,A)
【文献】特開2015-049611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電源を供給するバッテリーモジュールと、
前記バッテリーモジュールの電圧を測定する電圧測定部と、
前記バッテリーモジュールから前記負荷に出力される電流を測定する電流測定部と、
前記バッテリーモジュールの電圧が基準電圧未満になることが予想される場合に生成される警告信号が発生したか否か、及び特定の時間区間の間に前記電流測定部が測定した電流値がバッテリーパックに要求される複数の基準電流値と前記複数の基準電流値に対応する複数の基準時間とを示す前記負荷の電流プロファイルを満たすか否かに基づいて、前記負荷に発生したエラーの原因が前記負荷であるか前記バッテリーパックであるかを決定する制御部と、を含むバッテリーパック。
【請求項2】
前記制御部は、前警告信号が発生したか否か、及び前記特定の時間区間の間に前記電流測定部が測定した電流値のうちの最大値が前記複数の基準電流値のうちの最大値を超えたか否かに基づいて、前記エラーの原因が前記負荷であるか前記バッテリーパックであるかを決定する、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記制御部は、前警告信号が発生したか否か、及び前記特定の時間区間の間に前記バッテリーモジュールから出力された電流量が前記複数の基準電流値及び前記複数の基準時間から決定される基準電流量を超えたか否かに基づいて、前記エラーの原因が前記負荷であるか前記バッテリーパックであるかを決定する、請求項1または2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記制御部は、前警告信号が発生したか否か、前記特定の時間区間の間に前記電流測定部が測定した電流値のうちの最大値が前記複数の基準電流値のうちの最大値を超えたか否か、及び前記特定の時間区間の間に前記バッテリーモジュールから出力された電流量が前記複数の基準電流値及び前記複数の基準時間から決定される基準電流量を超えたか否かに基づいて、前記エラーの原因が前記負荷であるか前記バッテリーパックであるかを決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記制御部は、
前記警告信号が発生した場合、前記エラーの原因が前記負荷であると決定する、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記制御部は、
前記警告信号が発生せず、前記電流測定部が測定した電流値のうちの最大値が前記複数の基準電流値のうちの最大値以下であり、前記電流量が前記基準電流量以下の場合、前記エラーの原因が前記バッテリーパックであると決定する、請求項4または5に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記制御部は、
前記警告信号が発生しなかったが、前記電流測定部が測定した電流値のうちの最大値が前記複数の基準電流値のうちの最大値を超えたか前記電流量が前記基準電流量を超えた場合、前記エラーの原因が前記負荷であると決定する、請求項4から6のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記電流プロファイルは、所定のイベント発生時に前記バッテリーパックから前記負荷に出力されなければならない電流の最低条件を示す、請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記警告信号及び前記エラーの原因に対応するエラーコードを格納する格納部と、をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記格納部は、格納された前記警告信号を前記特定の時間区間が経過すると削除する、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記制御部は、
前記電圧が前記基準電圧未満になることが予想される場合、前記警告信号を発生させる、請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記バッテリーモジュールのSOCを算出するSOC算出部をさらに含み、
前記制御部は、前記バッテリーモジュールの電圧が、前記バッテリーモジュールのSOCに基づいて前記基準電圧未満になることが予想される場合、前記警告信号を発生させる、請求項11に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記バッテリーモジュールの温度を測定する温度測定部をさらに含み、
前記制御部は、前記バッテリーモジュールの電圧が、前記バッテリーモジュールの温度に基づいて前記基準電圧未満になることが予想される場合、前記警告信号を発生させる、請求項11または12に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記負荷は、電気自動車である、請求項1から13のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
負荷に電源を供給するバッテリーモジュールの電圧を測定する段階と、
前記バッテリーモジュールから前記負荷に出力される電流を測定する段階と、
前記バッテリーモジュールの電圧が基準電圧未満になることが予想される場合、警告信号を発生させる段階と、
特定の時間区間の間に前記測定した電流値のうちの最大値が複数の基準電流値のうちの最大値を超えたか否かを判断する段階と、
前記特定の時間区間の間に前記バッテリーモジュールから出力された電流量が前記複数の基準電流値および前記複数の基準電流値に対応する複数の基準時間から決定される基準電流量を超えたか否かを判断する段階と、
前記警告信号が発生したか否か、前記測定した電流値のうちの最大値が前記複数の基準電流値のうちの最大値を超えたか否か、及び前記特定の時間区間の間にバッテリーパックから出力された電流量が前記基準電流量を超えたか否かに基づいて、前記負荷に発生したエラーの原因が前記負荷であるか前記バッテリーパックであるかを決定する段階と、を含むバッテリーパックの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年9月16日に出願された韓国特許出願第10-2020-0119503号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本開示は、バッテリーパック及びバッテリーパックの制御方法に関する。特に、本開示は、バッテリーパックが取り付けられた負荷で発生したエラーの正確な原因を把握することが可能なバッテリーパック及びバッテリーパックの制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、スマートフォンなど電子機器の普及と電気自動車の開発に伴い、電力供給源としての二次電池に対する研究も活発に行われている。二次電池は、複数のバッテリーセルが直列及び/又は並列に連結されたバッテリーモジュールと、バッテリーモジュールの動作を管理するバッテリー管理システム(BMS、Battery Management System)を含むバッテリーパックの形態で提供される。
【0004】
このようなバッテリーパックが取り付けられる車両などの負荷でエラーが発生した際に、負荷の制御システムがバッテリーパックを誤用してエラーが発生したか、若しくはバッテリーパックがエネルギーを十分に提供しなくてエラーが発生したか区分することができなかった。負荷の制御システムがバッテリーパックを誤用する場合は、バッテリーパックで許容可能な出力以上にバッテリーパックを充電及び/又は放電させる場合である。バッテリーパックがエネルギーを十分に提供しない場合は、負荷の出力要求条件である電流プロファイルなどをバッテリーパックが満たさない場合である。すなわち、負荷でバッテリーパックに関するエラーが発生した際に、その原因がバッテリーパックに存在するか負荷に存在するか区分することが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、このような問題を鑑みて行われたものであって、負荷で安全問題が発生した際に、その根本的な原因がバッテリーパックであるか負荷であるかを区分するバッテリーパック及びその制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記のような技術的課題を解決するために、本開示による実施形態の一側面によれば、負荷に電源を供給するバッテリーモジュール、バッテリーモジュールの電圧を測定する電圧測定部、バッテリーモジュールから負荷に出力される電流を測定する電流測定部、及びバッテリーモジュールの電圧による警告信号が発生したか否か、及び特定の時間区間の間に電流測定部が測定した電流値が負荷の電流プロファイルを満たすか否かに基づいて、負荷に発生したエラーの原因が負荷であるかバッテリーパックであるかを決定する制御部を含むバッテリーパックを提供する。
【0007】
このような本開示による実施形態の他の特徴によれば、制御部は、バッテリーモジュールの電圧による警告信号が発生したか否か、及び特定の時間区間の間に電流測定部が測定した電流値のうちの最大値が基準電流値を超えたか否かに基づいて、エラーの原因が負荷であるかバッテリーパックであるかを決定してよい。
【0008】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、制御部は、バッテリーモジュールの電圧による警告信号が発生したか否か、及び特定の時間区間の間にバッテリーモジュールから出力された電流量が基準電流量を超えたか否かに基づいて、エラーの原因が負荷であるかバッテリーパックであるかを決定してよい。
【0009】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、制御部は、バッテリーモジュールの電圧による警告信号が発生したか否か、特定の時間区間の間に電流測定部が測定した電流値のうちの最大値が基準電流値を超えたか否か、及び特定の時間区間の間にバッテリーモジュールから出力された電流量が基準電流量を超えたか否かに基づいて、エラーの原因が負荷であるかバッテリーパックであるかを決定してよい。
【0010】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、制御部は、警告信号が発生した場合、エラーの原因が負荷であると決定してよい。
【0011】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、制御部は、警告信号が発生せず、最大値が基準電流値以下であり、電流量が基準電流量以下の場合、エラーの原因がバッテリーパックであると決定してよい。
【0012】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、制御部は、警告信号が発生しなかったが、最大値が基準電流値を超えたか電流量が基準電流量を超えた場合、エラーの原因が負荷であると決定してよい。
【0013】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、電流プロファイルは、所定のイベント発生時にバッテリーパックから負荷に出力されなければならない電流の最低条件を示してよい。
【0014】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、警告信号及びエラーの原因に対応するエラーコードを格納する格納部をさらに含んでよい。
【0015】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、格納部は、格納された警告信号を特定の時間区間が経過すると削除してよい。
【0016】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、制御部は、電圧が基準電圧未満になることが予想される場合、警告信号を発生させてよい。
【0017】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、バッテリーモジュールのSOCを算出するSOC算出部をさらに含み、制御部は、バッテリーモジュールの電圧がバッテリーモジュールのSOCに基づいて基準電圧未満になることが予想される場合、警告信号を発生させてよい。
【0018】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、バッテリーモジュールの温度を測定する温度測定部をさらに含み、制御部は、バッテリーモジュールの電圧がバッテリーモジュールの温度に基づいて基準電圧未満になることが予想される場合、警告信号を発生させてよい。
【0019】
本開示による実施形態のさらに他の特徴によれば、負荷は、電気自動車であってよい。
【0020】
前記のような技術的課題を解決するために、本開示による実施形態の他の側面によれば、負荷に電源を供給するバッテリーモジュールの電圧を測定する段階と、バッテリーモジュールから負荷に出力される電流を測定する段階と、バッテリーモジュールの電圧が基準電圧未満になることが予想される場合、警告信号を発生させる段階と、特定の時間区間の間に測定した電流値のうちの最大値が基準電流値を超えたか否かを判断する段階と、特定の時間区間の間にバッテリーモジュールから出力された電流量が基準電流量を超えたか否かを判断する段階と、警告信号が発生したか否か、最大値が基準電流値を超えたか否か、及び特定の時間区間の間にバッテリーパックから出力された電流量が基準電流量を超えたか否かに基づいて、エラーの原因が負荷であるかバッテリーパックであるかを決定する段階を含むバッテリーパックの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0021】
前記のような構成により、負荷でエラー発生時にその根本的な原因がどこにあるか正確に把握することができるので、エラー発生後にバッテリーパックに対して適切な対処を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の一実施形態によるバッテリーパックの構成を示す図である。
図2】本開示の一実施形態によるバッテリー管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】電流プロファイルの一例を概略的に示す図である。
図4】本開示の一実施形態による、バッテリーパックで警告信号を生成する動作を示すフローチャートである。
図5】本開示の他の実施形態によるバッテリーパックで警告信号を生成する動作を示すフローチャートである。
図6】本開示の一実施形態によるバッテリーパックの制御方法を示すフローチャートである。
図7a】エラーの原因を決定する方法を説明するための図である。
図7b】エラーの原因を決定する方法を説明するための図である。
図7c】エラーの原因を決定する方法を説明するための図である。
図8】本開示の他の実施形態によるバッテリーパックの制御方法を示すフローチャートである。
図9】本開示の他の実施形態によるバッテリーパックの制御方法を示すフローチャートである。
図10】本開示の一実施形態によるバッテリー管理システムのハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照しつつ、本発明の多様な実施形態に対して詳細に説明する。本文書で図上の同一の構成要素に対しては同一の参照符号を使用し、同一の構成要素に対して重複した説明は省略する。
【0024】
本文書に開示されている本発明の多様な実施形態に対して、特定の構造的又は機能的説明は、単に本発明の実施形態を説明するための目的として例示されたものであって、本発明の多様な実施形態は、多様な形態で実施可能であり、本文書に説明された実施形態に限定されるものと解釈されてはいけない。
【0025】
多様な実施形態で用いられる「第1」、「第2」、「第一」、又は「第二」などの表現は、多様な構成要素を順序及び/又は重要度に関係なく修飾することができ、当該構成要素を限定しない。例えば、本発明の権利範囲を外れることなく、第1の構成要素は第2の構成要素と命名されてよく、同様に、第2の構成要素も第1の構成要素に変えて命名されてよい。
【0026】
本文書で用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであって、他の実施形態の範囲の限定を意図するものではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味がない限り、複数の表現を含んでよい。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーパック1の構成を示す図である。
【0028】
図1を参照すれば、バッテリーパック1は、一つ以上のバッテリーセル11からなり、充放電可能なバッテリーモジュール10と、バッテリーモジュール10の+端子側又は-端子側に直列に連結されてバッテリーモジュール10の充放電電流の流れを制御するためのスイッチング部30と、バッテリーセル11及び/又はバッテリーモジュール10の電圧、電流、温度などをモニタリングして、過充電及び過放電などを防止するように制御管理するバッテリー管理システム20(以下、「BMS」と記す)とを含む。また、バッテリーパック1は、バッテリー保護ユニット(BPU、Battery Protection Unit)をさらに含んでよい。
【0029】
バッテリーモジュール10は、充放電可能な一つ以上のバッテリーセル11を含む。バッテリーモジュール10は、求められるバッテリーパック1の仕様に従って、複数のバッテリーセル11が互いに直列及び/又は並列に連結されてよい。すなわち、バッテリーセル11の個数及び連結形態は、求められるバッテリーパック1の出力(電圧、電流など)により決定されてよい。バッテリーモジュール10の出力電圧は、出力端子であるPACK(+)端子及びPACK(-)端子を介してパック電圧として外部に供給される。バッテリーセル11は、リチウムイオン(Li-ion)電池、リチウムイオンポリマー(Li-ion polymer)電池、ニッケルカドミウム(Ni-Cd)電池、ニッケル水素(Ni-MH)電池などであってよく、充電可能な電池であれば、これに限定されない。
【0030】
BMS20は、バッテリーパック1の全般的な動作を制御及び管理する。BMS20は、バッテリーモジュール10の充放電動作を制御するためにスイッチング部30の動作を制御してよい。また、BMS20は、バッテリーモジュール10及び/又はバッテリーモジュール10に含まれた各バッテリーセルの電圧、電流、温度などをモニタリングしてよい。そして、BMS20によるモニタリングのために図示していないセンサーや各種測定モジュールが、バッテリーモジュール10や充放電経路、又はバッテリーパック1などの任意の位置にさらに設置されてよい。BMS20は、モニタリングした電圧、電流、温度などの測定値に基づいて、バッテリーモジュール10の状態を示すパラメーター、例えば、SOCやSOHなどを算出してよい。すなわち、BMS20は、後述する電圧測定部21、電流測定部22、及び制御部23としての機能を行ってよい。
【0031】
BMS20は、バッテリーパック1の全般的な動作の制御及び管理のための命令であるコンピュータープログラムを格納するメモリ、プログラムを実行させてBMS20の全体動作を制御するコントローラとしてのマイコンと、センサーや測定手段などの入出力装置、その他の周辺回路など多様な構成を含んでよい。さらにBMS20は、前述したように、バッテリーセルの電圧、電流、温度などをモニタリングするための回路構成を含んでよい。
【0032】
スイッチング部30は、バッテリーモジュール10の充電又は放電に対する電流の流れを制御するための構成である。スイッチング部30は、リレーやMOSFETなどの半導体スイッチング素子が用いられてよい。スイッチング部30は、BMS20によりオンオフ動作が制御されてよい。
【0033】
バッテリーパック1は、さらに外部の上位制御器2と通信可能に連結されてよい。すなわち、BMS20は、上位制御器2にバッテリーパック1に対する各種データを伝送し、上位制御器2からバッテリーパック1の動作に関する制御信号を受信してよい。上位制御器2は、負荷に設けられた制御システムであってよい。負荷は、電気自動車、電気自転車などバッテリーパック1が取り付けられてバッテリーパック1が供給する電力を使用して動作する任意の装置であってよい。バッテリーパック1が電気自動車に搭載された場合、上位制御器2は、車両の運行を制御するための車両制御器であってよい。
【0034】
バッテリー保護ユニット40は、バッテリーパック1の安定的な動作のための構成を含んでよい。バッテリー保護ユニット40は、バッテリーパック1内の温度を制御するための冷却ファンなどの冷却手段を含んでよい。また、バッテリー保護ユニット40は、短絡発生などの理由により過電流が発生する際に、電流の経路を遮断するためのヒューズを含んでよい。
【0035】
本開示によるBMS20は、負荷に発生したエラーに対して、エラーの原因がバッテリーパック1側に存在するか、負荷側に存在するかを決定してよい。すなわち、BMS20は、負荷に発生したエラーの根本的な原因を把握することができる。以下では、本開示によるバッテリーパック1で負荷に発生したエラーの根本的な原因を把握する具体的な方法について説明する。
【0036】
図2は、本開示の一実施形態によるBMS20の機能構成を示すブロック図である。
【0037】
図2を参照すれば、BMS20は、電圧測定部21、電流測定部22、制御部23、タイマー24、及び格納部25を含んでよい。
【0038】
電圧測定部21は、バッテリーモジュール10及び/又はバッテリーセル11の電圧を測定するように構成される。電圧測定部21が測定したバッテリーモジュール10の電圧は、バッテリーパック1の電圧に対応することができる。以下では、電圧測定部21がバッテリーモジュール10の電圧を測定することで説明する。
【0039】
電圧測定部21は、周期的にバッテリーモジュール10の電圧を測定してよい。電圧測定部21は、タイマー24により提供されるクロック信号に基づいて、所定の時間間隔でバッテリーモジュール10の電圧を測定してよい。例えば、電圧測定部21は、0.1秒、1秒、2秒、又は任意の時間間隔で電圧を測定してよい。
【0040】
電圧測定部21が測定する電圧値は、後述する格納部25に格納されてよい。格納部25に格納される電圧値は、特定の時間区間の間に測定された電圧値であってよい。時間の経過に伴い格納部25に格納される電圧値は、最近の特定の時間区間の間に測定された電圧値に更新されてよい。すなわち、特定の時間区間の長さを有するムービングウィンドウ内の電圧値が格納部25に格納されてよい。格納部25に特定の時間区間の間に測定された電圧値のみを格納することにより、不要に格納空間を浪費することを防止することができる。
【0041】
電流測定部22は、バッテリーモジュール10から負荷に出力される電流を測定するように構成される。電流測定部22は、周期的にバッテリーモジュール10から負荷に出力される電流を測定してよい。電流測定部22は、タイマー24により提供されるクロック信号に基づいて、所定の時間間隔でバッテリーモジュール10の電圧を測定してよい。例えば、電流測定部22は、0.1秒、1秒、2秒、又は任意の時間間隔で電流を測定してよい。
【0042】
電流測定部22が測定する電流値は、後述する格納部25に格納されてよい。格納部25に格納される電流値は、特定の時間区間の間に測定された電流値であってよい。また、格納部25には、特定の時間区間の間に測定された電流値に基づいて算出された、バッテリーパック1から負荷に出力された特定の時間区間の間の電流量が格納されてよい。時間の経過に伴い格納部25に格納される電流値及び電流量値は、最近の特定の時間区間の間に測定された電流値及び算出された電流量値に更新されてよい。すなわち、特定の時間区間の長さを有するムービングウィンドウ内の電流値及び電流量値が格納部25に格納されてよい。格納部25に特定の時間区間の間に測定された電流値及び電流量値のみを格納することにより、不要に格納空間を浪費することを防止することができる。
【0043】
制御部23は、バッテリーモジュール10の電圧による警告信号が発生したか否か、及び特定の時間区間の間に電流測定部22が測定した電流値が負荷の電流プロファイルを満たすか否かに基づいて、負荷に発生したエラーの原因が負荷であるかバッテリーパック1であるかを決定する制御部を含むバッテリーパック1を提供する。電流プロファイルは、所定のイベント発生時にバッテリーパック1から負荷に出力されなければならない電流の最低条件を示してよい。そして、負荷に発生したエラーは、バッテリーパック1(又は、バッテリーモジュール10)から出力される電圧が基準電圧未満になることを意味してよい。
【0044】
図3は、電流プロファイルの一例を概略的に示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は電流の大きさを示す。図3は、電気自動車での電流プロファイルの一例を示す。
【0045】
図3の電流プロファイルによれば、電気自動車は、所定の状況発生時にバッテリーパック1が第1基準電流で第1基準時間の間に出力することを求める。また、電気自動車は、所定の状況発生時にバッテリーパック1が第2基準電流で第2基準時間の間に出力することを求める。また、自動車は、所定の状況発生時にバッテリーパック1が第3基準電流で第3基準時間の間に出力することを求める。第1基準電流は70Aであり、第1基準時間は30秒であってよい。第2基準電流は120Aであり、第2基準時間は4秒であってよい。第3基準電流は175Aであり、第3基準時間は0.1秒であってよい。それぞれの基準電流及び基準時間の値は例示的なものであり、これに限定されるものではない。
【0046】
制御部23は、前記のように電流プロファイルが提供される際に、バッテリーモジュール10の電圧による警告信号が発生したか否か、及び特定の時間区間の間に電流測定部22が測定した電流値のうちの最大値が基準電流値を超えたか否かに基づいて、エラーの原因が負荷であるかバッテリーパック1であるかを決定してよい。図3を参照すれば、制御部23は、警告信号が発生したか否か、及び電流測定部22が測定した電流値のうちの最大値が第3基準電流を超えたか否かに基づいて、エラーの原因が負荷であるかバッテリーパック1であるかを決定してよい。ここで、特定の時間区間は、例えば、10秒、20秒、30秒、1分、又は任意の長さであってよい。特定の時間区間は、電流プロファイルで求める基準時間のうちの最も長い基準時間よりも長い値であってよい。
【0047】
他の例として、制御部23は、前記のように電流プロファイルが提供される際に、バッテリーモジュール10の電圧による警告信号が発生したか否か、及び特定の時間区間の間にバッテリーモジュール10から出力された電流量が基準電流量を超えたか否かに基づいて、エラーの原因が負荷であるかバッテリーパック1であるかを決定してよい。図3を参照すれば、制御部23は、警告信号が発生したか否か、及びバッテリーモジュール10から出力された電流量が(第1基準電流*第1基準時間)+(第2基準電流*第2基準時間)+(第3基準電流*第3基準時間)で決定される基準電流量を超えたか否かに基づいて、エラーの原因が負荷であるかバッテリーパック1であるかを決定してよい。
【0048】
さらに他の例として、制御部23は、前記のように電流プロファイルが提供される際に、バッテリーモジュール10の電圧による警告信号が発生したか否か、特定の時間区間の間に電流測定部22が測定した電流値のうちの最大値が基準電流値を超えたか否か、及び特定の時間区間の間にバッテリーモジュール10から出力された電流量が基準電流量を超えたか否かに基づいて、エラーの原因が負荷であるかバッテリーパック1であるかを決定してよい。図3を参照すれば、制御部23は、警告信号が発生したか否か、電流測定部22が測定した電流値のうちの最大値が第3基準電流を超えたか否か、及びバッテリーモジュール10から出力された電流量が(第1基準電流*第1基準時間)+(第2基準電流*第2基準時間)+(第3基準電流*第3基準時間)で決定される基準電流量を超えたか否かに基づいて、エラーの原因が負荷であるかバッテリーパック1であるかを決定してよい。
【0049】
これと関して、制御部23は、バッテリーモジュール10の電圧による警告信号を生成してよい。特に、制御部23は、バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧未満になることが予想される場合、警告信号を生成してよい。
【0050】
この際、制御部23は、バッテリーモジュール10のSOCを算出し、バッテリーモジュール10の電圧が算出したSOCに基づいて基準電圧未満になることが予想される場合、警告信号を発生させてよい。このために、BMS20は、バッテリーモジュール10のSOCを算出するように構成されるSOC算出部(未図示)をさらに含んでよい。
【0051】
代案的には、制御部23は、バッテリーモジュール10の温度を測定し、バッテリーモジュール10の電圧が測定した温度に基づいて基準電圧未満になることが予想される場合、警告信号を発生させてよい。このために、BMS20は、バッテリーモジュール10の温度を測定するように構成される温度測定部(未図示)をさらに含んでよい。
【0052】
制御部23は、警告信号が発生した場合、エラーの原因が負荷であると決定してよい。
【0053】
また、制御部23は、警告信号が発生しなかったが、電流測定部22が測定した最大値が基準電流値を超えたか、バッテリーモジュール10から出力された電流量が基準電流量を超えた場合、エラーの原因が負荷であると決定してよい。
【0054】
一方に、制御部23は、警告信号が発生せず、電流測定部22が測定した最大値が基準電流値以下であり、バッテリーモジュール10から出力された電流量が基準電流量以下の場合、エラーの原因がバッテリーパック1であると決定してよい。
【0055】
タイマー24は、制御部23にクロック信号を提供するように構成される。タイマー24は、制御部23にクロック信号を提供して、電圧測定部21及び電流測定部22が周期的にバッテリーモジュール10の電圧及び電流を測定できるようにする。
【0056】
格納部25は、電圧測定部21及び電流測定部22が測定した電圧値及び電流値を格納する。格納部25は、電圧値及び電流値において、特定の時間区間の間の電圧値及び電流値のみを格納してよい。制御部23は、時間の経過に伴い特定の時間区間以前の電圧値及び電流値は格納部25から削除し、新たに測定された電圧値及び電流値をさらに格納することにより、格納されたデータを持続的に更新することができる。
【0057】
格納部25は、制御部23が生成した警告信号と制御部23が判断したエラーの原因に対応するエラーコードを格納するように構成されてよい。この際、格納部25は、警告信号も特定の時間区間が経過すると削除することができる。エラーコードは、バッテリーパック1がエラーの原因であることを示す第1エラーコードと負荷がエラーの原因であることを示す第2エラーコードを含んでよい。
【0058】
以上のように、BMS20は、バッテリーモジュール10の電圧及び電流を周期的にモニタリングし、モニタリングした値、バッテリーモジュール10の予想電圧に基づいて生成される警告信号、そして電流プロファイルに基づいて、エラーの原因がバッテリーパック1側に存在するか負荷側に存在するかを決定してよい。正確なエラーの原因を把握することができるので、発生したエラーに対して正確な対処が可能となる。
【0059】
図4は、本開示の一実施形態による、バッテリーパック1で警告信号を生成する動作を示すフローチャートである。
【0060】
図4を参照すれば、制御部23は、電圧測定部21及び電流測定部22を介して周期的にバッテリーモジュール10の電圧及び電流を測定する(S10)。また、制御部23は、温度測定部を介してバッテリーモジュール10の温度を測定する(S11)。
【0061】
制御部23は、バッテリーモジュール10の現在電圧とバッテリーモジュール10の温度に基づいて、バッテリーモジュール10が一定の時間後に出力すると期待される電圧を予想する(S12)。すなわち、制御部23は、予想電圧を算出する。
【0062】
その後、制御部23は、予想バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧未満であるかを判断する(S13)。予想バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧未満の場合(S13のYes)、バッテリーパック1の出力電圧が基準電圧未満に下がる虞があるので、警告信号を生成する(S14)。そして、生成した警告信号を格納部25に格納する(S15)。警告信号は、格納部25に特定の時間区間の間のみ格納され、その後に削除されてよい。
【0063】
一方、予想バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧以上の場合(S13のNo)、バッテリーパック1の出力電圧が基準電圧未満に下がる虞がないので、警告信号を生成せず、さらにS10段階に戻る。
【0064】
図5は、本開示の他の実施形態による、バッテリーパック1で警告信号を生成する動作を示すフローチャートである。
【0065】
図5を参照すれば、制御部23は、電圧測定部21及び電流測定部22を介して周期的にバッテリーモジュール10の電圧及び電流を測定する(S20)。また、制御部23は、SOC算出部を介してバッテリーモジュール10のSOCを算出する(S21)。
【0066】
制御部23は、バッテリーモジュール10の現在電圧とバッテリーモジュール10のSOCに基づいて、バッテリーモジュール10が一定の時間後に出力すると期待される電圧を予想する(S22)。すなわち、制御部23は、予想電圧を算出する。
【0067】
その後の段階は、図4のS13~S15段階と同一である。
【0068】
図4及び図5では、バッテリーモジュール10の電圧を予想するに当たり、バッテリーモジュール10の温度又はバッテリーモジュール10のSOC中の一つのみを考慮したが、これに限定されるものではない。例えば、制御部23は、バッテリーモジュール10の現在電圧に温度及びSOCを全て考慮して予想電圧を算出してよい。また、温度及びSOC外に他の変数をさらに考慮してもよい。
【0069】
図6は、本開示の一実施形態によるバッテリーパックの制御方法を示すフローチャートである。
【0070】
図6を参照すれば、制御部23は、電圧測定部21及び電流測定部22を介して周期的にバッテリーモジュール10の電圧及び電流を測定する(S30)。そして、バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧未満になったかを判断する(S31)。バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧以上の場合(S31のNo)、バッテリーパック1と関連して負荷にエラーが発生しない。したがって、この場合、続いてバッテリーモジュール10の電圧及び電流を測定する。
【0071】
バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧未満の場合(S31のYes)、バッテリーパック1と関連して負荷にエラーが発生する。制御部23は、発生したエラーの原因がバッテリーパック1側に存在するか負荷側に存在するかを決定しなければならない。したがって、制御部23は、先ず格納部25に特定の時間区間内に発生した警告信号が格納されているか判断する(S32)。
【0072】
格納部25に格納されている警告信号がない場合(S32のNo)、バッテリーパック1に異常があると判断する。すなわち、負荷に発生したエラー(バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧未満になること)の原因がバッテリーパック1であると決定する。これは、バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧未満になると予想される場合、事前に警告信号が生成されて負荷側に伝達されなければならないが、そうではなかったからである。
【0073】
格納部25に格納されている警告信号がある場合(S32のYes)、特定の時間区間の間に測定した電流値のうちの最大値が基準電流値を超えたか否かを判断する(S33)。すなわち、電流プロファイルで求める最大基準電流値よりも大きい値をバッテリーパック1が出力するようにしたかを判断する。
【0074】
特定の時間区間の間に測定した電流値のうちの最大値が基準電流値以下の場合(S33のNo)、特定の時間区間の間にバッテリーモジュール10から出力された電流量が基準電流量を超えたか否かを判断する(S34)。基準電流量は、電流プロファイルで求める最大限度まで出力した電流量であってよい。
【0075】
特定の時間区間の間にバッテリーモジュール10から出力された電流量が基準電流量以下の場合(S34のNo)、バッテリーモジュール10から出力された電流の範囲は、電流プロファイルで求められる範囲以内になる。したがって、負荷は、バッテリーモジュール10から適切な大きさ及び量の電流出力を求めたものであるので、エラーの原因がバッテリーパック1であると決定する(S36)。
【0076】
一方、特定の時間区間の間に測定した電流値のうちの最大値が基準電流値を超えた場合(S33のYes)、及び特定の時間区間の間にバッテリーモジュール10から出力された電流量が基準電流量を超えた場合(S34のYes)、エラーの原因が負荷であると決定する(S35)。すなわち、電流プロファイルで求める以上にバッテリーモジュール10から電流を出力することにしたので、エラーの原因がバッテリーパック1ではなく負荷側に存在すると決定する。
【0077】
S35段階又はS36段階において、負荷又はバッテリーパック1の異常であると決定すると、当該決定内容に対応するエラーコードを格納部25に格納する。したがって、エラーの原因がバッテリーパック1側に存在するか負荷側に存在するかをエラーコードに基づいて把握することができるので、エラーに対する適切な対処が可能となる。
【0078】
図7a~図7cは、エラーの原因を決定する方法を説明するための図である。図7a~図7cは、電流測定部22が測定した電流値を示している。図7a~図7cでは、警告信号が生成されて格納されている場合に限定する。電流プロファイルは、第1基準電流i1、第2基準電流i2、及び第3基準電流i3を出力することを求めている。
【0079】
図7aを参照すれば、バッテリーモジュール10から出力される電流は、電流プロファイルで求める第1基準電流i1、第2基準電流i2、及び第3基準電流i3から電流を出力する。また、第1基準電流i1が出力される時間であるt1~t2、t5~t6の長さの合計は第1基準時間未満である。第2基準電流i2が出力される時間であるt2~t3、t4~t5の長さの合計は第2基準時間未満である。また、第3基準電流i3が出力される時間であるt3~t4の長さは第3基準時間未満である。
【0080】
このように、電流が出力される状況で、バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧V1未満に下がることから、負荷でエラーが発生する。
【0081】
この場合、バッテリーモジュール10から出力される電流は、電流プロファイルで求める範囲以内であるので、エラーの原因は、バッテリーパック1側に存在すると決定する。これは、図6で、S33のNo及びS34のNoによりバッテリーパック1の異常であると判断することに対応する。
【0082】
図7bを参照すれば、バッテリーモジュール10から出力される電流は、電流プロファイルで求める第1基準電流i1及び第3基準電流i3で電流を出力する。ただし、時間t13~t14区間で、第2基準電流i2を超える電流が出力される。
【0083】
また、第1基準電流i1が出力される時間であるt11~t12、t15~t16の長さの合計は第1基準時間未満である。第2基準電流i2が出力される時間であるt12~t13、t14~t15の長さの合計は第2基準時間未満である。また、第3基準電流i3が出力される時間であるt13~t14の長さは第3基準時間未満である。
【0084】
このように電流が出力される状況で、バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧V1未満に下がることから、負荷でエラーが発生する。
【0085】
この場合、バッテリーモジュール10から出力される最大電流は、電流プロファイルで求める基準電流を超えるので、電流プロファイルで求める範囲以外になる。したがって、エラーの原因は、負荷側に存在すると決定する。これは、図6で、S33のYesにより負荷の異常であると判断することに対応する。
【0086】
図7cを参照すれば、バッテリーモジュール10から出力される電流は、電流プロファイルで求める第1基準電流i1、第2基準電流i2、及び第3基準電流i3から電流を出力する。第1基準電流i1が出力される時間であるt21~t22、t25~t26の長さの合計は第1基準時間未満である。第3基準電流i3が出力される時間であるt23~t24の長さは第3基準時間未満である。しかし、第2基準電流i2が出力される時間であるt22~t23、t24~t25の長さの合計は第2基準時間よりも長い。
【0087】
このように電流が出力される状況で、バッテリーモジュール10の電圧が基準電圧V1未満に下がることから、負荷でエラーが発生する。
【0088】
この場合、バッテリーモジュール10から出力される最大電流は、電流プロファイルで求める電流量を超えるので、電流プロファイルで求める範囲以外になる。したがって、エラーの原因は、負荷側に存在すると決定する。これは、図6で、S34のYesにより負荷の異常であると判断することに対応する。
【0089】
以上のように、BMS20は、バッテリーモジュール10の電圧及び電流を周期的にモニタリングし、モニタリングした値、バッテリーモジュール10の予想電圧に基づいて生成される警告信号、そして、電流プロファイルに基づいて、エラーの原因がバッテリーパック1側に存在するか負荷側に存在するか決定してよい。正確なエラーの原因を把握することができるので、発生したエラーに対して正確な対処が可能となる。
【0090】
図8は、本開示の他の実施形態によるバッテリーパック1の制御方法を示すフローチャートである。
【0091】
本実施形態では、制御部23が、警告信号が存在するか否かを判断する段階(S42)、及び特定の時間区間の間に測定した電流値のうちの最大値が基準電流値を超えたか否かを判断する段階(S43)のみを含む。すなわち、本実施形態では、特定の時間区間の間にバッテリーモジュールから出力された電流量が基準電流量を超えたか否かを判断する段階は省略した点で、図6の実施形態と異なる。
【0092】
本実施形態による場合にも、図6による実施形態と同様に、正確なエラーの原因を把握することができる。
【0093】
図9は、本開示の他の実施形態によるバッテリーパック1の制御方法を示すフローチャートである。
【0094】
本実施形態では、制御部23が、警告信号が存在するか否かを判断する段階(S52)、及び特定の時間区間の間にバッテリーモジュールから出力された電流量が基準電流量を超えたか否かを判断する段階(S53)のみを含む。すなわち、本実施形態では、特定の時間区間の間に測定した電流値のうちの最大値が基準電流値を超えたか否かを判断する段階は省略した点で、図6の実施形態と異なる。
【0095】
本実施形態による場合にも、図6による実施形態と同様に、正確なエラーの原因を把握することができる。
【0096】
図10は、本開示の一実施形態によるBMS20のハードウェア構成を示す図である。
【0097】
図10を参照すれば、BMS20はコントローラ(MCU)200、メモリ210、通信インターフェース220、及び入出力インターフェース230を含んでよい。
【0098】
MCU200は、BMS20内の各種動作及び演算の処理と各構成の制御を行う。
【0099】
メモリ210には、運営体制プログラム及びMCU200の機能を行うためのプログラムが記録される。メモリ210は、揮発性メモリ及び非揮発性メモリを含んでよい。例えば、メモリ210は、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスクなどの各種格納媒体のうちの少なくともいずれか一つが使用されてよい。メモリ210は、MCU200に内蔵したメモリであってもよく、MCU200とは別途に設置された追加的なメモリであってもよい。
【0100】
通信インターフェース220は、外部と有線及び/又は無線で通信可能な構成である。
【0101】
入出力インターフェース230は、各種入力信号及び出力信号の入出力を行う。
【0102】
MCU200がメモリ210に格納されたプログラムを行うことにより、BMS20の制御部23、SOC算出部などの機能を行ってよい。また、MCU200がメモリ210に格納されたプログラムと入出力インターフェース230を介して受信される各種測定信号に基づいて、電圧測定部21、電流測定部22、及び電圧測定部としての機能を行ってよい。
【0103】
メモリ210は、格納部25としての機能を行ってよい。また、MCU200が通信インターフェース220とともに動作して上位制御器2と通信する通信手段としての機能を行ってよい。
【0104】
以上に記載された「含む」、「構成する」又は「有する」などの用語は、特に反対の記載がない限り、当該構成要素が内在し得ることを意味するので、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでよいと解釈されなければならない。技術的や科学的な用語を含む全ての用語は、特に定義されない限り、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一の意味を有すると解釈されてよい。辞書に定義された用語のように一般的に用いられる用語は、関連技術の文脈上の意味と一致すると解釈されなければならず、本発明で明らかに定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味として解釈されない。
【0105】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためではなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲により解釈されなければならず、それと同等の範囲内の全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9
図10