(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】FFCバスバー
(51)【国際特許分類】
H01M 50/505 20210101AFI20240730BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240730BHJP
H01M 50/526 20210101ALI20240730BHJP
H01M 50/522 20210101ALI20240730BHJP
H01M 50/524 20210101ALI20240730BHJP
H01R 4/02 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01M50/505
H01M50/503
H01M50/526
H01M50/522
H01M50/524
H01R4/02 C
(21)【出願番号】P 2022573253
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 KR2021008890
(87)【国際公開番号】W WO2022065647
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0126047
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン、スン-ウー
(72)【発明者】
【氏名】ファン、スン-タク
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-124178(JP,A)
【文献】特開2000-050472(JP,A)
【文献】特開2002-238141(JP,A)
【文献】特開2014-032907(JP,A)
【文献】特開2005-318735(JP,A)
【文献】特開2021-077568(JP,A)
【文献】特開2007-207618(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0115197(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
H01R 3/00-4/22
H01B 7/04-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の平面軟性ケーブルを積層して形成したケーブル積層体と、
前記ケーブル積層体の少なくとも一端部に接続される大電流ターミナルと、を含み、
各前記平面軟性ケーブルが、少なくとも一端部に複数の導線からなるターミナル接続部を備え、
前記大電流ターミナルは、薄板状の複数枚の溶接シートを備え、
各前記平面軟性ケーブルの前記ターミナル接続部と各前記溶接シートが一つずつ交互に層状に配置され、
前記ターミナル接続部が、前記大電流ターミナルに溶接されるFFCバスバー。
【請求項2】
前記大電流ターミナルは、
前記溶接シートが多段で接続されるミドルパーツと、
ボルト締結用ホールを備え、前記ミドルパーツを挟んで前記溶接シートと反対方向へ延びた一つの締結パーツと、を含む、請求項
1に記載のFFCバスバー。
【請求項3】
前記溶接シートと前記ミドルパーツと前記締結パーツとが、金属素材で一体に形成される、請求項
2に記載のFFCバスバー。
【請求項4】
前記ミドルパーツが、四角の板状であり、板面が前記ケーブル積層体の断面積と対応する大きさを有する、請求項
2または
3に記載のFFCバスバー。
【請求項5】
各前記溶接シートは、銀めっき銅板からなる、請求項
2から
4のいずれか一項に記載のFFCバスバー。
【請求項6】
各前記溶接シートは、
扁平に設けられたベース部と、
前記ベース部の表面から突出し、幅方向へ一定の間隔毎に備えられる突出部と、を含み、
前記ターミナル接続部を形成する導線が、前記突出部同士の間に形成された凹み空間毎に一本ずつ介在される、請求項
2から
5のいずれか一項に記載のFFCバスバー。
【請求項7】
前記凹み空間に銀めっき層を備える、請求項
6に記載のFFCバスバー。
【請求項8】
前記複数個の平面軟性ケーブルを一体で囲む熱収縮チューブをさらに含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載のFFCバスバー。
【請求項9】
各前記平面軟性ケーブルの前記ターミナル接続部と各前記溶接シートが一体化した部分の周りを囲む圧迫バンドをさらに含む、請求項
1から8のいずれか一項に記載のFFCバスバー。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか一項に記載のFFCバスバーを含む、バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FFC(Flat Flexible Cable)バスバーに関し、より詳しくは、平面軟性ケーブルの扁平な導体線とバスバーのターミナルとの接合信頼性を向上させたFFCバスバーに関する。
【0002】
本出願は、2020年9月28日出願の韓国特許出願第10-2020-0126047号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、商用化した二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうち、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0004】
最近は、携帯型電子機器のような小型装置のみならず、電気自動車や電力貯蔵装置(ESS)のような中・大型装置にも二次電池が広く用いられている。
【0005】
現在、一つの二次電池(セル)では、電気自動車を駆動するに足りる出力が得られない。電気車のエネルギー源として二次電池を適用するためには、複数個の二次電池セルを直列及び/または並列で接続したバッテリーモジュールを構成しなければならず、通常、直列形態で前記バッテリーモジュールを接続し、それを機能的に維持させるBMS(Battery Management System)と冷却システム、BDU(Battery Disconnection Unit)などを含むバッテリーパックを構成する。
【0006】
前記バッテリーパックを構成するに際し、バスバーが主に使用され、バッテリーモジュールやその他の電装品を接続する。前記バスバーは、銅やアルミニウム素材から棒状に製作され、低いインピーダンスと高い電流容量を有して高電流の通電が可能であり、設置空間が狭小なバッテリーパックの内部に有用に使用される。
【0007】
前記バスバーは、許容電流容量が大きいが、設置経路が固定的な剛性バスバー(Rigid busbar)と、曲げや捻じれが可能なフレキシブルバスバーに分けられる。前記フレキシブルバスバーは、柔軟性を有することから設置経路が多様に構成可能であるので、剛性バスバーよりも脚光を浴びている。
【0008】
最近、電気自動車のすう勢がHEV(Hybrid Electric Vehicle)からPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)からEV(Electric Vehicle)類型へ移されながら電流容量が増大し、それによって断面積SQまたは厚さの大きいバスバーが求められる。ところが、フレキシブルバスバーの場合、断面積または厚さを増加させた場合、特有の長所である曲げ工程が不可能になるという問題がある。
【0009】
そこで、それを補完するために、層状に積層した平面軟性ケーブル1と、前記平面軟性ケーブルの端部に接続した大電流端子2と、を含むFFCバスバーが開発された。既存のFFCバスバーは、
図1に示したように、積層された複数の導体線3を前記大電流端子2に接続するために、ブラケット4で前記積層された複数の導線3を覆い、前記ブラケット4をリベット5で大電流端子2に固定する構造からなる。しかし、既存のFFCバスバーは、各導線が大電流端子からよく分離されるなど、前記導線に対して固定力が弱いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、導線と大電流端子との接続構造が堅固なFFCバスバーを提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例によると、複数個の平面軟性ケーブルを積層して形成したケーブル積層体と、前記ケーブル積層体の少なくとも一端部に接続される大電流ターミナルと、を含み、各前記平面軟性ケーブルが、少なくとも一端部に複数の導線からなるターミナル接続部を備え、前記ターミナル接続部が、前記大電流ターミナルに溶接されたことを特徴とするFFCバスバーが提供され得る。
【0013】
前記大電流ターミナルは、薄板状の複数枚の溶接シートを備え、各前記平面軟性ケーブルの前記ターミナル接続部と各前記溶接シートが一つずつ交互に層状に配置され得る。
【0014】
前記大電流ターミナルは、前記溶接シートが多段で接続されるミドルパーツと、ボルト締結用ホールを備え、前記ミドルパーツを挟んで前記溶接シートと反対方向へ延びた一つの締結パーツと、を含み得る。
【0015】
前記溶接シートと前記ミドルパーツと前記締結パーツとは、金属素材で一体に形成され得る。
【0016】
前記ミドルパーツは、四角の板状であり、板面が前記ケーブル積層体の断面積と対応する大きさを有し得る。
【0017】
各前記溶接シートは、銀(Ag)めっき銅板からなり得る。
【0018】
各前記溶接シートは、扁平に設けられたベース部と、前記ベース部の表面から突出し、幅方向へ一定の間隔毎に備えられる突出部と、を含み、前記ターミナル接続部を形成する導線が、前記突出部同士の間に形成された凹み空間毎に一本ずつ介在され得る。
【0019】
前記凹み空間には銀めっき層が備えられ得る。
【0020】
前記複数個の平面軟性ケーブルを一体で囲む熱収縮チューブをさらに含み得る。
【0021】
各前記平面軟性ケーブルの前記ターミナル接続部と各前記溶接シートが一体化した部分を囲む圧迫バンドをさらに含み得る。
【0022】
なお、本発明の他の様態によると、上述したFFCバスバーを一つ以上含むバッテリーパックが提供され得る。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一面によると、導線と大電流ターミナルの接続構造が堅固なFFCバスバーを提供することができる。
【0024】
因みに、本発明によるFFCバスバーは、各平面軟性ケーブルのターミナル接続部と大電流ターミナルの各溶接シートが一対一に接触した状態で溶接によって一体化した構造を含むことで、各平面軟性ケーブルと大電流ターミナルの接続部位の機械的剛性が高い。また、リベットとブラケットのような部品を使用しないので、FFCバスバーの大電流ターミナル部分をさらに単純化及び小型化することができる。
【0025】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない効果は、本明細書及び添付の図面から本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者に明らかに理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来技術によるFFCバスバーの一端部を概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施例によるFFCバスバーの概略的な斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例による平面軟性ケーブルの一端部を示した図である。
【
図4】本発明の一実施例によるケーブル積層体の一端部を示した図である。
【
図5】本発明の一実施例による大電流ターミナルを示した図である。
【
図6】本発明の一実施例によるケーブル積層体と大電流ターミナルを接続した状態を示した図である。
【
図8】本発明の他の実施例による大電流ターミナルを示した図である。
【
図9】本発明の他の実施例によるケーブル積層体と大電流ターミナルを接続した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0028】
本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、図面における構成要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張または省略されるか、概略的に示されることがある。したがって、各構成要素の大きさや割合は、実際の大きさや割合を全的に反映することではない。
【0029】
以下で説明するFFC(Flat Flexible Cable)は、例えば、2個のバッテリーモジュールを互いに直列で接続するか、またはバッテリーモジュールのターミナルとリレーまたはバッテリーパック内に装置同士を電気的に接続するのに使用され得る。
【0030】
勿論、本発明によるFFCバスバーが、バッテリーパックのみに使用されることではない。即ち、前記FFCバスバーは、高電圧または高電流が流れる多様な装置または装備に電気的接続部品として使用され得る。
【0031】
図2は、本発明の一実施例によるFFCバスバーの概略的な斜視図であり、
図3は、本発明の一実施例による平面軟性ケーブルの一端部を示した図であり、
図4は、本発明の一実施例によるケーブル積層体の一端部を示した図であり、
図5は、本発明の一実施例による大電流ターミナルを示した図である。
【0032】
これらの図面を参照すると、本発明の一実施例によるFFCバスバーは、ケーブル積層体10と、大電流ターミナル20と、前記ケーブル積層体を囲む熱収縮チューブ30と、を含む。
【0033】
前記ケーブル積層体10は、複数個の平面軟性ケーブル11が積層されたものである。各平面軟性ケーブル11は、
図3に示したように、互いに並んで延びる複数本の導線12と、絶縁フィルム13と、を含む。
【0034】
また、各前記平面軟性ケーブル11は、少なくとも一端部に複数本の導線12を前記絶縁フィルム13で被覆していないターミナル接続部15を備える。前記ターミナル接続部15は、前記大電流ターミナル20に溶接されて接続される部分である。これについての詳しい説明は後述する。
【0035】
前記複数本の導線12は、銅薄板を一定の幅と厚さに加工する方式によって製作でき、これらは一定の間隔を隔てて配置され、絶縁フィルム13で被覆され得る。
【0036】
前記絶縁フィルム13は、ベースフィルム13a及びカバーレイフィルム13bを含み、絶縁性と耐熱性が優秀なポリイミド素材から製作され得る。前記ベースフィルム13aに前記複数個の導線12を一定の間隔で接着して配置し、その上に前記カバーレイフィルム13bを接着し得る。
【0037】
前記平面軟性ケーブル11を複数個積層してケーブル積層体10を構成し、これに大電流ターミナルを接続すると、軽くて柔軟であり、大電流通電が可能なFFCバスバーが設けられ得る。
【0038】
因みに、平面軟性ケーブル11の一本の導線12の許容電流容量は、その素材と断面積SQによって変わるが、導線12は、一本当たり約3Aの電流に対応可能である。したがって、単に計算すると、例えば、10本の導線12を含む一本の平面軟性ケーブル11は、30A程度の電流に対応可能であり、10本の平面軟性ケーブル11を積層して構成したケーブル積層体10は、300A程度の電流に対応可能である。
【0039】
本実施例のケーブル積層体10は、4本の導線12を備えた平面軟性ケーブル11を4本積層したものである。これは一例であり、本実施例の許容電流容量を増大したい場合、各平面軟性ケーブル11の導線12の個数を増加させるか、または前記平面軟性ケーブル11の層数を増加させればよい。
【0040】
前記平面軟性ケーブル11は、互いに分離されないように熱収縮チューブ30によって囲まれ得る。前記熱収縮チューブ30は、ポリオレフィンやポリプロピレン材質から形成されているため、熱を加えると、収縮しながら複数本の平面軟性ケーブル11を隙間なく囲むことで、これらが動かないように結束できる。このようなケーブル積層体10は、曲げまたは捩れが可能であり、既存のフレキシブルバスバーのように三次元の配線が可能である。熱収縮チューブ30の代案としては、絶縁テープ(図示せず)を使用して複数本の平面軟性ケーブル11をテーピングすることで一体に結束できる。
【0041】
大電流ターミナル20は、外部端子と接続し、前記外部端子から受ける大電流を前記ケーブル積層体10の各導線に流すための媒介手段といえる。
【0042】
前記大電流ターミナル20は、ケーブル積層体10の一端部と電気的にかつ機械的に接続可能であり、かつバッテリーモジュールの端子またはリレー装置などのような電装品の端子とも容易に接続される必要がある。
【0043】
本実施例による大電流ターミナル20は、ケーブル積層体10のターミナル接続部15と溶接可能に、
図5及び
図6に示したように、複数個の溶接シート21と、ミドルパーツ23と、締結パーツ25と、を含んで構成され得る。
【0044】
前記溶接シート21は、各前記平面軟性ケーブル11のターミナル接続部15と一対一に接触可能な薄板のシート状であり、多段として備えられ得る。
【0045】
また、前記溶接シート21は、その間毎に離隔空間を備え、各軟性平面ケーブルのターミナル接続部15を介在できるように構成され得る。このような前記溶接シート21同士の間に、各前記平面軟性ケーブル11のターミナル接続部15を介在することで、各前記平面軟性ケーブル11の前記ターミナル接続部15と各前記溶接シート21が一つずつ交互に層状に配置され得る。
【0046】
本実施例のケーブル積層体10は4本の平面軟性ケーブル11を備え、各前記平面軟性ケーブル11のターミナル接続部15は4本の導線12を備え、大電流ターミナル20の溶接シート21は、4枚で構成されている。
【0047】
したがって、
図6に示したように、前記4枚の溶接シート21の間の離隔空間毎に前記4本の平面軟性ケーブル11の各ターミナル接続部15が介在され、ケーブル積層体10と大電流ターミナル20との連結部Cが形成され得る。この場合、
図7のように、最下端から一層溶接シート21/一層ターミナル接続部15/二層溶接シート21/二層ターミナル接続部15/三層溶接シート21/三層ターミナル接続部15/四層溶接シート21/4層ターミナル接続部15の順に4個の平面軟性ケーブル11の各ターミナル接続部15と4枚の溶接シート21が、一つずつ交互に層状に配置される。そして、前記ターミナル接続部15と前記溶接シート21は、溶接によって接合されることで互いに堅固に接続され得る。したがって、ケーブル積層体10と大電流ターミナル20は、強い振動や衝撃にも分離されにくい。
【0048】
前記ターミナル接続部15と前記溶接シート21の溶接方法としては、超音波溶接、抵抗溶接、ろう付け溶接などが適用され得る。本実施例の場合、ろう付け溶接が適用される。
【0049】
通常、ろう付け溶接は、母材より縁融点が低い溶加材を溶融して二つの母材を接合する溶接方式であるが、前記溶加材を溶かして母材の間に均一に染みるようにすることは容易ではない。このような点を改善するために、各前記溶接シート21は、銀(Ag)めっき銅板からなり得る。例えば、本実施例の溶接シート21は、各々銀めっき層(図示せず)を備える。
【0050】
前記構成によると、ターミナル接続部15と溶接シート21が一つずつ交互に層状に配置された状態でろう付け溶接によって互いに接合でき、この際、各溶接シート21の銀めっき層が溶加材として作用できる。したがって、前記ろう付け溶接に際し、追加的な溶加材は不要となる。または、前記銀めっき層が解けて銀成分が前記ターミナル接続部15と前記溶接シート21との間に均一に広がることによって、溶接品質及び電気伝導度が向上できる。
【0051】
ミドルパーツ23は、前記溶接シート21が多段で接続される部分であって、所定の厚さを有するブロックまたは四角の板状で提供され得る。溶接シート21は、一端部が一定間隔を隔てて前記ミドルパーツ23に多段で接続されていることで間隔が一定に維持され得る。
【0052】
前記ミドルパーツ23は、広い板面が前記ケーブル積層体10の断面積と対応する大きさで設けられ得る。例えば、
図2または
図5に示したように、ミドルパーツ23は、その板面の面積(横×縦)がケーブル積層体10の断面積(厚さ×幅)を外れない大きさに形成されることで、大電流ターミナル20の小型化及び軽量化に有利に作用され得る。
【0053】
締結パーツ25は、ボルト締結用ホール25aを備え、前記ミドルパーツ23を挟んで前記溶接シート21と反対方向へ延びて形成され、板状で提供され得る。例えば、所定の厚さを有する四角の板状であり、前記ミドルパーツ23の中間高さから水平へ延び得る。このような締結パーツ25は、バッテリーモジュールの端子またはリレー装置などのような電装品の端子に接続され得る。例えば、前記締結パーツ25と相対物の端子を突き合わせてボルトを前記ボルト締結用ホール25aに入れてナットで締めて締結し得る。
【0054】
前記溶接シート21と前記ミドルパーツ23と前記締結パーツ25とは、例えば、銅(Cu)のような金属素材で一体に形成され得る。即ち、前記溶接シート21、前記ミドルパーツ23、前記締結パーツ25は、概念的に分けられる要素であり、これら各々は一体に成形され得る。
【0055】
本実施例のFFCバスバーは、各前記平面軟性ケーブル11のターミナル接続部15と各前記溶接シート21が一体化した部分の周りを囲む圧迫バンド40をさらに含み得る。前記ターミナル接続部15と前記溶接シート21は、ろう付け溶接後、前記圧迫バンド40でさらに固定及び絶縁処理され得る。即ち、
図2のように、ケーブル積層体10と大電流ターミナル20との連結部Cは、圧迫バンド40によって囲まれて圧迫されることで固定性が強化し、前記連結部Cが外部に露出しないようにすることで絶縁処理され得る。
【0056】
以上のように、本発明の一実施例によるFFCバスバーは、各平面軟性ケーブル11のターミナル接続部15と大電流ターミナル20の各溶接シート21が一対一に接触した状態で溶接によって一体化した構造を含むため、各平面軟性ケーブル11と大電流ターミナル20の接続部位の機械的剛性も高い。また、リベットとブラケットのような部品を使用しないことで、FFCバスバーの大電流ターミナル20がより単純化及び小型化する。
【0057】
図8は、本発明の他の実施例による大電流ターミナル20を示した図であり、
図9は、本発明の他の実施例によるケーブル積層体10と大電流ターミナル20を接続した状態を示した図であり、
図10は、
図9のB-B'による断面図である。
【0058】
続いて、
図8~
図10を参照して本発明の他の実施例を説明する。
【0059】
同じ部材番号は同じ部材を示し、同じ部材について重複する説明は省略して、前述した実施例との相違点を中心にして説明する。
【0060】
本実施例は、前述した実施例と比較すると、大電流ターミナル20Aの溶接シート21の部分とろう付け溶接のための構成が、前述した実施例と異なる。
【0061】
本実施例による大電流ターミナル20Aの各溶接シート21は、
図8に示したように、扁平に設けられたベース部21aと、前記ベース部21aの表面から突出し、幅方向へ一定の間隔毎に備えられる突出部21bと、を含む。そして、前記突出部21bは、ターミナル接続部15に向かう方向へ長く延びて形成され、このような突出部21bによって、ベース部21aには前記突出部21b同士の間に形成された凹み空間Oが備えられ得る。
【0062】
前記凹み空間O毎にターミナル接続部15を形成する導線12が一本ずつ介在され得る。即ち、
図9及び
図10を参照すると、本実施例は、各溶接シート21には5個の突出部21bがベース部21aに幅方向(X軸方向)へ備えられており、前記突出部21b同士の間に4個の凹み空間Oが備えられている。
【0063】
前記4個の凹み空間Oに各ターミナル接続部15を構成する4本の導線12が一本ずつ介在され得る。各導線12は少なくとも3面が前記突出部21bとベース部21aによって囲まれ得る。本実施例は、各平面軟性ケーブル11のターミナル接続部15と各溶接シート21が一つずつ交互に層状に配列されると共に、前記ターミナル接続部15の導線12が各溶接シート21に動きなく安定的に介在され得る。
【0064】
また、溶接シート21の前記凹み空間Oに銀めっき層Mが備えられ得る。言い換えれば、前記凹み空間Oを形成する突出部21bと、ベース部21aの表面に銀めっき層Mが備えられ、ろう付け溶接時、前記銀めっきMが溶融することで前記導線12が溶接シート21に接合され得る。
【0065】
前記構成によると、銀めっき層Mが熱によって解けるとき、各導線12の少なくとも3面が溶接シート21に接合され得る。したがって、本実施例は、前述した実施例よりも溶接シート21と各導線12との接触面積と接合面積がさらに広く確保されるので、溶接シート21と各導線12がさらに強く接続される。
【0066】
一方、本発明によるバッテリーパックは、前述したFFCバスバーを一つ以上含んで構成され得る。前記FFCバスバーは、二つのバッテリーモジュールを互いに直列で接続するか、またはバッテリーモジュールのターミナルとリレーまたはバッテリーパック内の装置を電気的に接続するのに適用可能である。
【0067】
前記バッテリーパックは、前記FFCバスバーの他にも複数個のバッテリーセルの集合体であるセル積層体を備える一つ以上のバッテリーモジュールと、前記バッテリーモジュールの電圧及び温度に基づいてバッテリーモジュールの充放電、電流の流れを制御するための制御装置として、BMS、ヒューズ、リレーなどをさらに含み得る。
【0068】
前記バッテリーパックは、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に適用可能である。勿論、前記バッテリーパックは、電力貯蔵装置またはその他のIT製品群などにも適用可能である。
【0069】
以上、本発明の望ましい実施例について図示及び説明したが、本発明は上述した特定の望ましい実施例に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨から外れることなく当該発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者であれば、だれでも多様に変形できることは言うまでもなく、かかる変形は請求範囲内に含まれる。
【0070】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は相対的な位置を示し、説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。