(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】医療用デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A61B8/12
(21)【出願番号】P 2020127909
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】598121341
【氏名又は名称】慶應義塾
(73)【特許権者】
【識別番号】516182203
【氏名又は名称】Heartseed株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】福田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】金澤 英明
(72)【発明者】
【氏名】木村 雄弘
(72)【発明者】
【氏名】久保 佑太
(72)【発明者】
【氏名】大島 史義
(72)【発明者】
【氏名】浪間 聡志
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-531718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0088631(US,A1)
【文献】国際公開第2017/094257(WO,A1)
【文献】特表2012-521811(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0249512(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0056926(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に挿入して使用される医療用デバイスであって、
内側にルーメンを有する長尺状の本体部と、
前記本体部の先端に設けられ、前記ルーメンと連通する開口部と、
イメージセンサを備えたヘッド部であって、前記ヘッド部の基端側が、前記本体部のうち、前記開口部よりも基端側に接続され、前記ヘッド部の先端側が前記本体部から離間可能となるように構成されたヘッド部と、
前記ヘッド部の向きを変更可能な操作線であって、前記本体部の内側に配置され、先端部が前記ヘッド部に接続されている操作線と、を備え、
前記ヘッド部の先端側を前記本体部に近接させた状態において、前記本体部の先端と、前記ヘッド部の先端は、前記本体部の軸方向における位置が揃っており、前記ヘッド部の先端の先端側に前記本体部が位置しておらず、
前記ヘッド部の先端側を前記本体部に近接させた状態の前記医療
用デバイスを前記本体部の先端側から基端側に向かう方向から見たとき、前記ヘッド部の先端と前記本体部の先端の両方が視認可能な、
医療用デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用デバイスは、さらに、
前記ルーメンの内側に配置され、先端を前記開口部から突出させることが可能な穿刺用デバイスを備える、
医療用デバイス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の医療用デバイスであって、
前記ヘッド部は、前記操作線の操作によって、前記イメージセンサを前記本体部よりも先端側に向けることが可能な、
医療用デバイス。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の医療用デバイスであって、
前記イメージセンサは、超音波振動子である、
医療用デバイス。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の医療用デバイスは、さらに、
前記ルーメンの内側に配置され、先端を前記開口部から突出させることが可能な焼灼用デバイスを備える、
を備える、
医療用デバイス。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の医療用デバイスであって、
前記ヘッド部は、基端部に相対的に剛性の低い接合部が形成されている、
医療用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内に挿入して使用される医療用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、不整脈治療で使用されるICEカテーテル(心腔内超音波カテーテル)のように、先端に超音波振動子を備えたカテーテルが知られている。例えば、特許文献1には、先端の偏向部材に超音波振動子が配置されたカテーテルが開示されている。特許文献2には、回転可能な先端に変換器アレイが配置されたカテーテルが開示されている。特許文献3には、コンベックスアレイ型の超音波振動子を先端に備える硬性鏡が開示されている。特許文献4には、振動子アレイを備える超音波画像診断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2010-531718号公報
【文献】特表2009-532188号公報
【文献】国際公開第2016/027502号
【文献】特開2005-168766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不整脈治療等において、生体管腔内に挿入され、先端に超音波振動子等のセンサを備えた医療用デバイスの利便性の向上が望まれている。しかしながら、上述した先行技術によっても、これらの医療用デバイスの利便性には、なお、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、生体管腔内に挿入され、先端にセンサを備える医療用デバイスの利便性の向上を図るための技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、体内に挿入して使用される医療用デバイスが提供される。この医療用デバイスは、内側にルーメンを有する長尺状の本体部と、前記本体部の先端に設けられ、前記ルーメンと連通する開口部と、イメージセンサを備えたヘッド部であって、前記ヘッド部の基端側が、前記本体部のうち、前記開口部よりも基端側に接続され、前記ヘッド部の先端側が前記本体部から離間可能となるように構成されたヘッド部と、前記ヘッド部の向きを変更可能な操作線であって、前記本体部の内側に配置され、先端部が前記ヘッド部に接続されている操作線と、を備える。
【0008】
この構成によれば、ヘッド部の基端側が、開口部よりも基端側に接続されているため、開口部から突出されるデバイスの先端と、治療が必要な部分との位置関係をイメージセンサによって容易に特定することができる。これにより、治療時における利便性の向上を図ることができる。
【0009】
(2)上記形態の医療用デバイスは、さらに、前記ルーメンの内側に配置され、先端を前記開口部から突出させることが可能な穿刺用デバイスを備えてもよい。この構成によれば、生体管腔内において、開口部から突出される穿刺用デバイスの先端と、治療が必要な部分との位置関係をイメージセンサによって容易に特定することができる。これにより、穿刺用デバイスの先端を生体内壁の目標位置に穿刺する精度の向上を図ることができる。
【0010】
(3)上記形態の医療用デバイスにおいて、前記ヘッド部は、前記操作線の操作によって、前記イメージセンサを前記本体部よりも先端側に向けることが可能であってもよい。この構成によれば、生体管腔内において、治療が必要な部分の位置をより容易に特定することができる。これにより、治療時における利便性のさらなる向上を図ることができる。
【0011】
(4)上記形態の医療用デバイスにおいて、前記イメージセンサは、超音波振動子であってもよい。この構成によれば、超音波振動子によって、開口部から突出されるデバイスの先端と、治療が必要な部分の位置を容易に特定することができるため、治療時における利便性のさらなる向上を図ることができる。
【0012】
(5)上記形態の医療用デバイスは、さらに、前記ルーメンの内側に配置され、先端を前記開口部から突出させることが可能な焼灼用デバイスを備えてもよい。この構成によれば、生体管腔内において、開口部から突出される焼灼用デバイスの先端と、治療が必要な部分との位置関係をイメージセンサによって容易に特定することができる。これにより、焼灼用デバイスの先端からの高周波によって、生体内壁の目標位置を焼灼する精度の向上を図ることができる。
【0013】
(6)上記形態の医療用デバイスにおいて、前記ヘッド部は、基端部に相対的に剛性の低い接合部が形成されていてもよい。この構成によれば、接合部によってヘッド部の向きをより容易に変更させることができる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、カテーテル、内視鏡、画像生成装置、検査装置、治療システム、医療用デバイスの製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態における医療用デバイスの概略構成を例示した図である。
【
図2】医療用デバイスの先端部付近を例示した説明図である。
【
図3】医療用デバイスを先端側から見た状態を例示した説明図である。
【
図4】ヘッド部の首振り移動を説明するための図である。
【
図5】イメージセンサの超音波発生範囲を説明するための図である。
【
図6】穿刺用デバイスを含む医療用デバイスの使用状態を例示した図である。
【
図7】焼灼用デバイスを含む医療用デバイスの使用状態を例示した図である。
【
図8】比較例の医療用デバイスの使用状態を例示した第1の図である。
【
図9】比較例の医療用デバイスの使用状態を例示した第2の図である。
【
図10】第2実施形態における医療用デバイスの概略構成を例示した図である。
【
図11】第3実施形態における医療用デバイスの概略構成を例示した図である。
【
図12】第4実施形態における医療用デバイスの概略構成を例示した図である。
【
図13】第5実施形態における医療用デバイスの概略構成を例示した図である。
【
図14】第5実施形態の医療用デバイスを先端側から見た状態を示す図である。
【
図15】第6実施形態における医療用デバイスの概略構成を例示した図である。
【
図16】第6実施形態の医療用デバイスを先端側から見た状態を示す図である。
【
図17】第7実施形態における医療用デバイスの概略構成を例示した図である。
【
図18】第7実施形態の医療用デバイスの首振り移動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における医療用デバイス1の構成を概略的に示す。医療用デバイス1は、例えば、不整脈や心不全などの心臓病の治療に用いられる装置であり、カテーテル2と、焼灼用デバイス6と、穿刺用デバイス7と、を備えている。焼灼用デバイス6と穿刺用デバイス7は、適宜、カテーテル2に挿通されて使用される。以下では、
図1の左側を医療用デバイス1および各構成部材(カテーテル2、焼灼用デバイス6、および、穿刺用デバイス7)の「先端側」と呼び、
図1の右側を医療用デバイス1および各構成部材の「基端側」と呼ぶ。医療用デバイス1および各構成部材の先端側は、体内に挿入される側(遠位側)であり、基端側は、医師等の手技者によって操作される側(近位側)である。
【0017】
カテーテル2は、治療時に血管や臓器などの生体管腔内に挿入される長尺形状の医療器具であり、本体部10と、ヘッド部20と、イメージセンサ30と、コネクタ50とを備えている。本体部10は、例えば樹脂によって形成される略管形状の部材であり、内側に複数のルーメン(第1ルーメン11および第2ルーメン12(
図2))が形成されている。第1ルーメン11(
図2)は、本体部10の先端13と基端15のそれぞれに設けられた開口部と連通しており、焼灼用デバイス6や穿刺用デバイス7を挿通させることができる。
【0018】
ヘッド部20は、基端側が本体部10の先端付近に接続され、先端側が揺動(首振り移動)可能に構成されている。ヘッド部20は、例えば樹脂によって形成され、先端側の側面には、イメージセンサ30が設けられている。イメージセンサ30は、体内の対象物(例えば臓器)の形状を特定するための情報(形状特定情報)を取得・出力する装置や素子であり、ここでは、超音波によって形状特定情報を取得する超音波素子を備えている。本実施例のイメージセンサ30は、超音波素子が複数並んで配置された超音波素子アレイを備え、フェイズドアレイ方式によって形状特定情報を取得する。なお、イメージセンサ30は、形状特定情報を取得・出力する装置や素子であれば、超音波素子に限定されず、例えば、OCT素子やCMOSカメラなどによって構成されていてもよい。
【0019】
コネクタ50は、本体部10の基端15に固定された筒形状の部材であり、先端側と基端側にそれぞれ開口部52、53が形成されている。コネクタ50の先端側の開口部52は、本体部10の基端15に設けられた図示しない開口部と連通している。手技者は、コネクタ50の基端側の開口部53から、焼灼用デバイス6や穿刺用デバイス7を本体部10の第1ルーメンに挿入することができ、また、治療中に、カテーテル2に挿入されるデバイスを交換することができる。コネクタ50の外側には、略環形状の操作部51が取り付けられている。操作部51は、コネクタ50の外側を前後方向に摺動移動可能に構成されており、操作部51のコネクタ50に対する相対位置によって、ヘッド部20の姿勢(向き)を変更可能に構成されている。この機構の詳細については後述する。
【0020】
コネクタ50からは導線40が延びており、導線40のコネクタ50の反対側の端部は、コンピュータ91に接続されている。この導線40は、カテーテル2の内側において、コネクタ50から本体部10を経由して、イメージセンサ30と電気的に接続されている。コンピュータ91は、モニタ92とも接続されており、イメージセンサ30から出力された形状特定情報を用いて、対象物の形状を表す画像(例えばエコー画像)をモニタ92に表示させる。コンピュータ91は、図示しないCPU、ROM、および、RAMを含んで構成されており、ROMに記憶されているプログラムをCPUが実行することにより、形状特定情報から画像データ(例えばエコー画像データ)を生成する画像情報処理部の機能を実現する。
【0021】
焼灼用デバイス6は、生体管腔内(例えば、心臓内)において、先端からRF(高周波)を発生させる長尺状の器具であり、ここでは、いわゆるアブレーション(焼灼)カテーテルとして構成されている。なお、焼灼用デバイス6は、高周波ガイドワイヤとして構成されていてもよい。焼灼用デバイス6は、焼灼用デバイス本体部60と、先端チップ61と、コネクタ62と、を備えている。焼灼用デバイス本体部60は、金属製のシャフトの外側に樹脂層が形成された長尺形状の部材であり、先端に先端チップ61が固定され、基端側にコネクタ62が固定されている。
【0022】
先端チップ61は、導電性の金属部材によって形成されており、RF電極としての機能を有している。先端チップ61は、例えば、クロムモリブデン鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、SUS304等のステンレス鋼、NiTi合金等で形成することができる。先端チップ61の形状は、球形状であってもよいし、やじり形状であってもよい。コネクタ62は、配線を介して高周波発生器63に接続されている。この配線は、コネクタ62から焼灼用デバイス本体部60を経由して、先端チップ61と電気的に接続されている。高周波発生器63は、高周波電流を供給する装置であり、先端チップ61に高周波電流を供給することで、先端チップ61と通電用対極板64との間でRF(高周波)またはプラズマを発生させる。このRF(高周波)またはプラズマによって、例えば、心臓の不整脈が生じている部分を焼灼することができる。
【0023】
穿刺用デバイス7は、生体管腔内(例えば、心臓内)において、生体内壁(例えば、心臓中隔壁)に薬液等を注入するための器具である。薬液は、例えば化合物、蛋白質、細胞、核酸等の溶液を意味する。穿刺用デバイス7は、穿刺用デバイス本体部70と、針部71と、シリンジ72とを備えている。穿刺用デバイス本体部70は、樹脂によって形成された管状部材であり、先端に針部71が接続され、基端側にシリンジ72が接続されている。針部71は、金属または樹脂によって形成された中空の針であり、先端側が生体内壁に穿刺される穿刺針として構成されている。シリンジ72はシリンダとピストンを含んで構成され、ピストンを押圧することによってシリンダ内の薬液等が穿刺用デバイス本体部70を経由して針部71に供給される。
【0024】
図2は、医療用デバイス1の先端部付近を示す。
図3は、医療用デバイス1を先端側から見た状態を示す。カテーテル2の本体部10は、内側に、第1ルーメン11と、第2ルーメン12とを備え、先端13に開口部14を備えている。第1ルーメン11と第2ルーメン12は、それぞれ、本体部10の長軸方向に沿って延設されている。第1ルーメン11の先端側の端部は、開口部14と連通しており、基端側の端部は、コネクタ50の先端側の開口部52(
図1)と連通している。手技者は、コネクタ50の基端側の開口部53(
図1)から、焼灼用デバイス6や穿刺用デバイス7を第1ルーメンに挿入することができ、デバイスの先端を開口部14から突出させることができる。
【0025】
第2ルーメン12の先端側の端部は、ヘッド側ルーメン22と連通しており、基端側の端部は、コネクタ50の先端側の開口部52(
図1)と連通している。第2ルーメン12の内側には、導線40とプルワイヤ41とが配設されている。導線40は、導電性材料によって形成され、一方の端部がヘッド側ルーメン22を経由してイメージセンサ30に接続されており、他方の端部がコネクタ50(
図1)を経由してコンピュータ91に電気的に接続されている。すなわち、本実施例では、導線40は、イメージセンサ30とコンピュータ91との間の情報のやりとりをおこなうための配線として機能している。プルワイヤ41は、ヘッド部20の姿勢(向き)を変更するためのワイヤ部材(操作線)であり、一方の端部がヘッド側ルーメン22を経由してヘッド側ルーメン22の先端に固定され、他方の端部が第2ルーメン12を経由して操作部51に固定されている。導線40とプルワイヤ41は、第2ルーメン12およびヘッド側ルーメン22のそれぞれの内側において並行して配設されている。
【0026】
図2および
図3に示すように、カテーテル2の本体部10は、先端部10Sと、接続面10tとを備えている。先端部10Sは、本体部10の先端側に形成された相対的に細くなった部位であり、先端13から基端側に向かって所定の長さ(例えば、10mm~30mm程度)を有している。先端部10Sは、半円柱状の外形を有しており、内側に第1ルーメン11が形成されている。本体部10は、先端部10Sよりも基端側が円柱状の外形を有している。そのため、言い換えると、先端部10Sは、本体部10のうちの先端部10Sよりも基端側の部分に対して半分欠いた形状を有している。この欠かれた部分にヘッド部20が配置されている。接続面10tは、半円形状の面であり、ヘッド部20の基端側が接続されている。
【0027】
図2および
図3に示すように、ヘッド部20は、接合部21と、ヘッド側ルーメン22とを備えている。ヘッド部20は、本体部10の先端部10Sと同様に、略半円柱状の外形を有しており、本体部10の先端部10Sと接することで全体が略円柱形状となる。これにより、カテーテル2は、ヘッド部20が寝た状態のとき、先端から基端にかけて外径をほぼ一定にすることができる。これにより、生体管腔内にカテーテル2を進入させているときに、引っ掛かりなどを低減できる。また、ヘッド部20が寝た状態のとき、本体部10の先端部10Sがヘッド部20を支持する。これにより、生体管腔内にカテーテル2を進入させているときに、ヘッド部20が折れ曲がることを抑制できる。
【0028】
本実施形態のヘッド部20は、長手方向の長さが、本体部10の先端部10Sの長さと同程度になっている。よって、ヘッド部20の先端23と、本体部10の先端13は、カテーテル2の長手方向の位置が揃っている。ヘッド部20の長さL1は、例えば、10mm~30mm程度を例示することができる。イメージセンサ30は、ヘッド部20の先端側の側面うち、本体部10の先端部10Sと対向する側に配置されている。このように、カテーテル2は、先端側がヘッド部20と先端部10Sとに枝分かれした構成を有しているといえる。また、言い換えれば、カテーテル2は、先端側が2つに枝分かれしており、一方の枝にイメージセンサ30が設けられ、他方の枝に、第1ルーメン11と開口部14が形成されているともいえる。
【0029】
接合部21は、ヘッド部20の基端側に設けられた部位であり、ヘッド部20の他の部分と比較して相対的に剛性が弱くなっている。この接合部21は、本体部10の接続面10tに接続されている。言い換えると、ヘッド部20の基端側は、本体部10のうち、開口部14や先端13よりも基端側に接続されている。本実施形態では、接合部21を含むヘッド部20は、カテーテル2の本体部10とは別部材として形成されているが、カテーテル2の本体部10と同じ材料で一体的に形成されてもよい。本実施形態では、接合部21は、ヘッド部20の他の部分と同じ材料(樹脂)で一体的に形成されているが、別部材として形成され、互いに接合されていてもよい。例えば、接合部21は、ヒンジ等の可動部材であってもよい。
【0030】
ヘッド側ルーメン22は、接合部21を含むヘッド部20の内側に形成されており、一方の端部がヘッド部20の内側に配置されており、他方の端部が本体部10の第2ルーメン12と連通している。ヘッド側ルーメン22は、ヘッド部20の長手方向に沿って略直線状に形成されている。
【0031】
図4は、ヘッド部20の首振り移動を示す。ヘッド部20は、接合部21を回転軸にして、接合部21よりも先端側が揺動(首振り移動)可能に構成されている。言い換えれば、ヘッド部20は、接合部21を回転軸にして、ヘッド部20の向きを変更可能に構成されている。ここでは、
図2に示すヘッド部20の状態を「ヘッド部20が寝た状態」とも呼び、
図4に示すヘッド部20の状態を「ヘッド部20が起きた状態」とも呼ぶ。プルワイヤ41が(
図4の矢印方向に)引っ張られると、ヘッド部20が首振り移動によって、寝た状態から起きた状態になる。手技者は、操作部51を操作する(基端方向に移動させる)ことによって、プルワイヤ41を(
図4の矢印方向に)引っ張ることができる。反対に、手技者は、操作部51を先端方向に移動させることによって、プルワイヤ41を引っ張った状態から元の状態に戻すことができ、ヘッド部20が起きた状態から寝た状態になる。このように、カテーテル2は、手技者による操作部51の操作によって、プルワイヤ41を経由してヘッド部20の向きを変更可能に構成されている。
【0032】
ヘッド部20は、首振り移動によって、寝た状態から起きた状態になると、先端側が本体部10から離間する(離れる)方向に移動する。ヘッド部20は、起こした状態のとき、イメージセンサ30を本体部10よりも先端側(前方側)に向けることができる。言い換えれば、イメージセンサ30を構成する各素子の法線が本体部10と交差せずに、本体部10の先端側を通過することができる。なお、ここでは、ヘッド部20は、寝た状態から90°程度起きた状態にすることができる。また、ヘッド部20は、起きた状態から寝た状体になると、先端側が本体部10に近接する(近づく)方向に移動し、寝た状態になると、イメージセンサ30が本体部10と対向する。
【0033】
図5は、イメージセンサ30の超音波発生範囲を示す。
図5では、イメージセンサ30から放出される超音波の範囲(超音波発生範囲Ru)を模式的に示している。イメージセンサ30は、この超音波発生範囲Ruに含まれる対象物の形状特定情報をコンピュータ91(
図1)に出力し、コンピュータ91は、超音波発生範囲Ruに含まれる対象物の形状を表す画像をモニタ92に表示させる。超音波発生範囲は、造影範囲とも呼ぶ。
【0034】
図5に示すように、医療用デバイス1によれば、ヘッド部20が起きた状態の時に、超音波発生範囲Ruに本体部10の先端13や、開口部14から突出した開口部14近傍のデバイス(ここでは、穿刺用デバイス7)の先端(ここでは、針部71)を含むことができる。これにより、治療が必要な部分が存在する位置(目標位置)付近で、開口部14からデバイスを突出させたときに、目標位置と、本体部10の先端13と、開口部14近傍のデバイス先端とをモニタ92に表示させることができる。よって、デバイスの先端と治療が必要な部分との位置関係を素早くまた容易に特定することができる。本実施形態の医療用デバイス1は、ヘッド部20の基端側が、本体部10のうち、先端13および開口部14よりも基端側の接続面10tに接続されている。これにより、イメージセンサ30は、本体部10の先端13および開口部14の後方側からこれらに向けて超音波を放出することができる。よって、超音波発生範囲Ruに、治療が必要な部分と、本体部10の先端13と、開口部14から突出した開口部14近傍のデバイス(ここでは、穿刺用デバイス7)の先端(ここでは針部71)とを同時に含むことができる。
【0035】
図6は、穿刺用デバイス7を備える医療用デバイス1を心臓内に挿入した状態を示す。
図6では、医療用デバイス1は、ヘッド部20が起きた状態で、心臓中隔壁HSに超音波を照射し、超音波発生範囲Ruに心臓中隔壁HSが含まれる状態となっている。この状態で、医療用デバイス1は、開口部14から穿刺用デバイス7を突出させ、針部71を心臓中隔壁HSに穿刺させる。本実施形態の医療用デバイス1によれば、超音波発生範囲Ruに、心臓中隔壁HSにおける治療が必要な部分(薬液等の注入が必要な部分)と、本体部10の先端13と、開口部14から突出した開口部14近傍の穿刺用デバイス7の針部71と、を含むことができる。これにより、心臓内において、開口部14から穿刺用デバイス7を突出させたときに、心臓中隔壁HSにおける治療が必要な部分と、本体部10の先端13と、穿刺用デバイス7の針部71と、の位置関係を素早くまた容易に特定することができる。よって、穿刺用デバイス7の先端を生体内壁の目標位置に穿刺する精度の向上を図ることができる。
【0036】
図7は、焼灼用デバイス6を備える医療用デバイス1を心臓内に挿入した状態を示す。
図7では、医療用デバイス1は、
図6と同様に、ヘッド部20が起きた状態で、心臓中隔壁HSに超音波を照射し、超音波発生範囲Ruに心臓中隔壁HSが含まれる状態となっている。この状態で、医療用デバイス1は、開口部14から焼灼用デバイス6を突出させ、先端チップ61を心臓中隔壁HSに近接させる。本実施形態の医療用デバイス1によれば、超音波発生範囲Ruに、心臓中隔壁HSにおける治療が必要な部分(焼灼が必要な部分)と、本体部10の先端13と、開口部14から突出した開口部14近傍の焼灼用デバイス6の先端チップ61と、を含むことができる。これにより、心臓内において、開口部14から焼灼用デバイス6を突出させたときに、心臓中隔壁HSにおける治療が必要な部分と、本体部10の先端13と、焼灼用デバイス6の先端チップ61と、の位置関係を素早くまた容易に特定することができる。よって、焼灼用デバイス6の先端からの高周波によって、生体内壁の目標位置を焼灼する精度の向上を図ることができる。
【0037】
図8および
図9は、比較例の医療用デバイス1Aを生体管腔内に挿入した状態を示す。比較例の医療用デバイス1Aは、本実施形態の医療用デバイス1と比較すると、ヘッド部20の後端側が、本体部10aのうち、開口部14aよりも基端側ではなく、開口部14aと同じ位置に接続されている。すなわち、比較例の医療用デバイス1Aは、本実施形態の医療用デバイス1の先端部10S(
図6)に相当する部分を備えいていない。それ以外の構成は、本実施形態の医療用デバイス1と同様である。ここでは、比較例の医療用デバイス1Aの第1ルーメン11aには、穿刺用デバイス7が挿入されている。
【0038】
図8では、医療用デバイス1Aは、ヘッド部20が起きた状態で、心臓中隔壁HSに超音波を照射し、超音波発生範囲Ruに、心臓中隔壁HSと、穿刺用デバイス7の針部71と、が含まれている。しかし、超音波発生範囲Ruに、穿刺用デバイス7の針部71を含めるために、針部71を開口部14aから離れた位置まで移動(進出)させる必要がある。針部71から開口部14aまでの距離が大きくなると、カテーテル2aによるバックアップがなくなるため、穿刺用デバイス7が途中で撓んだり曲がったりして、目標位置からずれるおそれがあった。
図8のように、針部71を心臓中隔壁HSに直交に近い角度で穿刺させる場合、ヘッド部20をより起きた状態にする必要があるため、このような問題がより顕著になる。
【0039】
一方、
図9に示すように、開口部14aを心臓中隔壁HSに近づけた場合、開口部14aから針部71までの距離が小さくなるが、超音波発生範囲Ruに、穿刺用デバイス7の針部71が含まれなくなるため、針部71と超音波発生範囲Ruとの位置関係が容易には特定できなくなり、針部71が目標位置からずれるおそれがあった。
【0040】
さらに、比較例の医療用デバイス1Aは、実施形態の医療用デバイス1と異なり、先端部10S(
図2)を備えていないため、ヘッド部20が寝た状態のとき、先端から基端にかけて外径が一定にならない。そのため、生体管腔内に医療用デバイス1Aを進入させているときに、引っ掛かるおそれがあった。また、比較例の医療用デバイス1Aは、ヘッド部20が寝た状態のとき、ヘッド部20を支持する部位が存在しない。そのため、生体管腔内に医療用デバイス1Aを進入させているときに、ヘッド部20が折れ曲がるおそれがあった。
【0041】
<本実施形態の効果例>
以上説明した、本実施形態の医療用デバイス1によれば、
図5に示すように、ヘッド部20の基端側が、本体部10のうち、開口部14よりも基端側の接続面10tに接続されている。これにより、イメージセンサ30は、本体部10の先端13および開口部14の後方側から超音波を放出することができる。よって、超音波発生範囲Ruに、治療が必要な部分と、本体部10の先端13と、開口部14から突出した開口部14近傍のデバイスの先端とを同時に含むことができる。よって、デバイスの先端と治療が必要な部分との位置関係を素早くまた容易に特定することができる。
【0042】
また、本実施形態の医療用デバイス1によれば、
図2および
図3に示すように、本体部10は、先端部10Sを備えており、ヘッド部20を寝かせて先端部10Sと近接させると全体が略円柱形状となる。これにより、医療用デバイス1は、先端から基端にかけて外径をほぼ一定にすることができ、生体管腔内に医療用デバイス1を進入させているときの引っ掛かり等を低減できる。また、ヘッド部20を寝かせた状態のとき、先端部10Sがヘッド部20を支持するため、生体管腔内に医療用デバイス1を進入させているときに、ヘッド部20が折れ曲がることを抑制できる。
【0043】
また、本実施形態の医療用デバイス1によれば、
図6および
図7に示すような治療中に、カテーテル2に挿入される治療デバイス(例えば、焼灼用デバイス6や穿刺用デバイス7)を交換することができる。これにより、交換した後の治療デバイスを交換する前の治療デバイスと同じ位置に誘導することができる。すなわち、本実施形態の医療用デバイス1によれば、従来の超音波を発生させるための超音波用カテーテルと、治療デバイスをデリバリするためのデバイス用カテーテルの2つのカテーテルを一体化した状態で使用できるため、治療デバイスが移動したときに治療デバイスが超音波発生範囲Ruから外れることを抑制できる。
【0044】
<用途>
上述したように、本実施形態の医療用デバイス1は、カテーテル、内視鏡、画像生成装置、検査装置、治療システムなどの用途で実現することができる。例えば、人口多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた再生医療において、移植用細胞を臓器へ注入するための移植用デバイスに適用することができる。より具体的には、心筋梗塞や狭心症など虚血性心疾患や、虚血性心疾患、拡張型心筋症、拡張相肥大型心筋症などによる心不全の治療において、iPS細胞由来の移植細胞を心臓へ移植するための心筋内移植用デバイスに適用することができる。
【0045】
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態における医療用デバイス1Bの構成を概略的に示す。第2実施形態の医療用デバイス1Bは、第1実施形態の医療用デバイス1(
図2)と比較すると、カテーテル2の本体部10の形状が異なる。それ以外の構成は、第1実施形態の医療用デバイス1と同様であるため説明を省略する。ここでは、第2実施形態の医療用デバイス1Bの第1ルーメン11bには、穿刺用デバイス7が挿入されている。第2実施形態のカテーテル2bの本体部10bは、先端部10Sbを備えている。先端部10Sbは、第1実施形態の先端部10S(
図2)と比較すると、長軸方向の長さが異なり、第1実施形態の先端部10Sよりも短い。そのため、先端部10Sbの長さは、ヘッド部20の長さよりも短く、本体部10の先端13bが、ヘッド部20の先端23よりも基端側に位置している。先端部10Sbの形状を含むその他の構成は第1実施形態の先端部10Sと同様である。
【0046】
上記のような、本実施形態の医療用デバイス1Bであっても、ヘッド部20の基端側が、本体部10bのうち、開口部14bよりも基端側の接続面10tに接続されている。これにより、イメージセンサ30は、本体部10bの先端13bおよび開口部14bの後方側から超音波を放出することができる。よって、超音波発生範囲Ruに、治療が必要な部分と、本体部10bの先端13bと、開口部14bから突出したデバイスの先端とを同時に含むことができる。よって、デバイスの先端と治療が必要な部分との位置関係を素早くまた容易に特定することができる。
【0047】
また、本実施形態の医療用デバイス1Bであっても、本体部10bは、先端部10Sbを備えており、ヘッド部20を寝かせて先端部10Sbと近接させるとその部分が略円柱形状となる。これにより、医療用デバイス1Bは、外径をより一定に近づけることができ、生体管腔内に医療用デバイス1Bを進入させているときの引っ掛かり等を低減できる。また、ヘッド部20を寝かせた状態のとき、先端部10Sbがヘッド部20を支持するため、生体管腔内に医療用デバイス1Bを進入させているときに、ヘッド部20が折れ曲がることを抑制できる。
【0048】
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態における医療用デバイス1Cの構成を概略的に示す。第3実施形態の医療用デバイス1Cは、第1実施形態の医療用デバイス1(
図2)と比較すると、カテーテル2の本体部10の形状が異なる。それ以外の構成は、第1実施形態の医療用デバイス1と同様であるため説明を省略する。第3実施形態の医療用デバイス1Cでは、第1ルーメン11cに、穿刺用デバイス7が挿入されている。第3実施形態のカテーテル2cの本体部10cは、先端部10Scを備えている。先端部10Scは、第1実施形態の先端部10S(
図2)と比較すると、長軸方向の長さが異なり、第1実施形態の先端部10Sよりも長い。そのため、先端部10Scの長さは、ヘッド部20の長さよりも長く、本体部10の先端13cが、ヘッド部20の先端23よりも先端側に位置している。先端部10Scの形状を含むその他の構成は第1実施形態の先端部10Sと同様である。
【0049】
上記のような、本実施形態の医療用デバイス1Cであっても、ヘッド部20の基端側が、本体部10cのうち、開口部14cよりも基端側の接続面10tに接続されている。これにより、デバイスの先端と治療が必要な部分との位置関係を素早くまた容易に特定することができる。また、本実施形態の医療用デバイス1Cであっても、本体部10cは、先端部10Scを備えており、ヘッド部20を寝かせて先端部10Scと近接させるとその部分が略円柱形状となる。これにより、医療用デバイス1Cの外径をより一定に近づけることができ、生体管腔内に医療用デバイス1Cを進入させているときの引っ掛かり等を低減できる。また、ヘッド部20を寝かせた状態のとき、先端部10Scがヘッド部20を支持するため、生体管腔内に医療用デバイス1Cを進入させているときに、ヘッド部20が折れ曲がることを抑制できる。
【0050】
<第4実施形態>
図12は、第4実施形態における医療用デバイス1Dの構成を概略的に示す。第4実施形態の医療用デバイス1Dは、第1実施形態の医療用デバイス1(
図2)と比較すると、ヘッド部20の構成が異なる。それ以外の構成は、第1実施形態の医療用デバイス1と同様であるため説明を省略する。第4実施形態のカテーテル2dは、ヘッド部20dが、本体部10dと別部材ではなく、本体部10dと同じ材料で一体に形成されている。また、ヘッド部20dは、第1実施形態の接合部21(
図2)に対応する構成を備えておらず、長軸方向における剛性がほぼ一定となっている。第4実施形態のカテーテル2dは、先端側がヘッド部20dと先端部10Sdの2つに枝分かれした構成を有している。言い換えれば、カテーテル2dは、先端側に長軸方向に延びるスリットが形成されており、スリットによって、先端側が枝分かれしている。
【0051】
上記のような、本実施形態の医療用デバイス1Dであっても、手技者による操作部51(
図1)の操作によって、プルワイヤ41を経由してヘッド部20dの向きを変更することができる。また、ヘッド部20dの基端側が、本体部10dのうち、開口部14dよりも基端側に接続されているため、デバイスの先端と治療が必要な部分との位置関係を素早くまた容易に特定することができる。
【0052】
<第5実施形態>
図13は、第5実施形態における医療用デバイス1Eの構成を概略的に示す。
図14は、医療用デバイス1Eを先端側から見た状態を示す。第5実施形態の医療用デバイス1Eは、第1実施形態の医療用デバイス1(
図2および
図3)と比較すると、ヘッド部20と本体部10の形状が異なる。それ以外の構成は、第1実施形態の医療用デバイス1と同様であるため説明を省略する。第5実施形態のカテーテル2eは、ヘッド部20eと先端部10Seが、それぞれ円柱形状であり、それぞれ、本体部10eの接続面10tから先端側に突出している。ヘッド部20eと本体部10edは、同じ材料で一体的に形成されているが、別部材によって形成されていてもよい。ヘッド部20eは、第1実施形態の接合部21(
図2)に対応する構成を備えておらず、長軸方向における剛性がほぼ一定となっている。イメージセンサ30eは、ヘッド部20eの側面に配置され、一部が本先端部10Seと対向している。
【0053】
上記のような、本実施形態の医療用デバイス1Eであっても、ヘッド部20eの基端側が、本体部10eのうち、開口部14eよりも基端側の接続面10tに接続されている。これにより、デバイスの先端と治療が必要な部分との位置関係を素早くまた容易に特定することができる。また、本実施形態の医療用デバイス1Eであっても、本体部10eは、先端部10Seを備えており、先端部10Seが無い場合に比べて、本体部10eの基端側との段差が低減される。これにより、生体管腔内に医療用デバイス1Eを進入させているときの引っ掛かり等を低減できる。また、ヘッド部20eを寝かせた状態のとき、先端部10Seがヘッド部20eを支持するため、生体管腔内に医療用デバイス1Eを進入させているときに、ヘッド部20eが折れ曲がることを抑制できる。このように、第1実施形態で示したヘッド部20の形状と、本体部10の先端部10Sの形状は、その一例であり、これらは本実施形態のように任意の形状とすることができる。
【0054】
<第6実施形態>
図15は、第6実施形態における医療用デバイス1Fの構成を概略的に示す。
図16は、医療用デバイス1Fを先端側から見た状態を示す。第6実施形態の医療用デバイス1Fは、第1実施形態の医療用デバイス1(
図2)と比較すると、ヘッド部20とカテーテル2の本体部10の形状が異なる。それ以外の構成は、第1実施形態の医療用デバイス1と同様であるため説明を省略する。第6実施形態のカテーテル2fは、本体部10fの先端部10Sfが、本体部10fのうちの先端部10Sfよりも基端側の部分と同じ断面形状を有している。言い換えれば、本体部10fは、先端部10Sfを含む全体が円柱形状となっており、先端から基端まで外径が一定である。ヘッド部20fは、矩形断面の長尺形状を有しており、基端側に接合部21fを備えている。ヘッド部20fは、接合部21fが本体部10fに接続されており、接合部21fを軸にして揺動(首振り移動)可能である。接合部21fは、ヘッド部20fの他の部分と比較して相対的に剛性が弱くなっている。イメージセンサ30fは、ヘッド部20fのうち、本体部10fの先端部10Sfと対向する側面に配置されている。
【0055】
上記のような、本実施形態の医療用デバイス1Fであっても、ヘッド部20fの基端側が、本体部10fのうち、開口部14fよりも基端側に接続されている。これにより、デバイスの先端と治療が必要な部分との位置関係を素早くまた容易に特定することができる。また、本実施形態の医療用デバイス1Fであっても、ヘッド部20fを寝かせた状態のとき、先端部10Sfがヘッド部20fを支持するため、生体管腔内に医療用デバイス1Fを進入させているときに、ヘッド部20fが折れ曲がることを抑制できる。
【0056】
<第7実施形態>
図17は、第7実施形態における医療用デバイス1Gの構成を概略的に示す。
図18は、第7実施形態の医療用デバイス1Gの首振り移動を示す。第7実施形態の医療用デバイス1Gは、第1実施形態の医療用デバイス1(
図2)と比較すると、プルワイヤ41を備えていない点が異なる。それ以外の構成は、第1実施形態の医療用デバイス1と同様であるため説明を省略する。第7実施形態の医療用デバイス1Gは、導線40がヘッド部20gの姿勢(向き)を変更するためのプルワイヤ(操作線)として機能する。第7実施形態のヘッド側ルーメン22gは、接合部21gを含むヘッド部20gの内側に形成されており、一方の端部がイメージセンサ30と連通しており、他方の端部が本体部10gの第2ルーメン12gと連通している。ヘッド側ルーメン22gは、途中で折れ曲がることによって、ヘッド側ルーメン22gの内側に配設されている導線40の延伸方向が変化する。
【0057】
導線40は、導電性材料によって形成されたワイヤ部材であり、一方の端部がヘッド側ルーメン22gを経由してイメージセンサ30に接続されており、他方の端部がコネクタ50の先端側の開口部52(
図1)を経由して操作部51(
図1)に固定されている。さらに、操作部51に固定された導線40の端部は、コンピュータ91から延びる配線と電気的に接続されている。これにより、導線40は、第1実施形態と同様、イメージセンサ30とコンピュータ91との間の情報のやりとりをおこなうための配線としても機能する。
【0058】
図18に示すように、導線40が矢印方向(基端方向)に引っ張られると、ヘッド部20gが首振り移動によって、寝た状態から起きた状態になる。手技者は、操作部51を操作する(基端方向に移動させる)ことによって、導線40を引っ張ることができる。反対に、手技者は、操作部51を先端方向に移動させることによって、導線40を引っ張った状態から元の状態に戻すことができ、ヘッド部20gが起きた状態から寝た状態になる。このように、カテーテル2gは、手技者による操作部51の操作によって、導線40を経由してヘッド部20gの向きを変更可能に構成されている。上記のように、イメージセンサ30とコンピュータ91との情報のやりとりをおこなう配線をプルワイヤとして利用しても、操作部51の操作によってヘッド部20gの向きを変更させることができる。
【0059】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0060】
[変形例1]
第1~7実施形態の医療用デバイス1、1B~1Gは、第1ルーメンに焼灼用デバイス6と穿刺用デバイス7の両方を挿通させることを可能とした。しかし、医療用デバイス1、1B~1Gは、焼灼用デバイス6と穿刺用デバイス7のうちの一方が挿通できない構成であってもよい。または、医療用デバイス1、1B~1Gは、焼灼用デバイス6と穿刺用デバイス7とは異なるデバイスを挿通させることが可能に構成され、焼灼用デバイス6と穿刺用デバイス7の両方が挿通できない構成であってもよい。
【0061】
[変形例2]
第1実施形態の医療用デバイス1は、ヘッド部が90°程度起き上がるものとした。しかし、医療用デバイス1は、超音波発生範囲Ruに、本体部10の先端13と、開口部14から突出したデバイスの先端とを同時に含むことができれば、起き上がる角度は90°よりも小さくてもよい。
【0062】
[変形例3]
第1~7実施形態で例示した医療用デバイス1、1B~1Gの各構成は、その一部を適宜組み合わせてもよいし、各構成の一部を取り除いてもよい。例えば、第5実施形態のカテーテル2e(
図13)の先端部10Seの長さを、第2実施形態のカテーテル2b(
図10)や第3実施形態のカテーテル2c(
図11)のように、変更してもよい。また例えば、第1実施形態のカテーテル2(
図2)において、ヘッド部20を、第5実施形態のヘッド部20e(
図13)に変更してもよい。
【0063】
[変形例4]
本実施形態の構成は、内視鏡、画像生成装置、治療システム、デバイスの製造方法等に対しても適用することができる。例えば、第1実施形態のカテーテル2は、内視鏡として構成されていてもよい。また、例えば、第1実施形態の医療用デバイス1と、コンピュータ91と、モニタ92とを含んで画像生成装置として構成されてもよい。
【0064】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0065】
1、1A~1F…医療用デバイス
2、2a~2f…カテーテル
6…焼灼用デバイス
7…穿刺用デバイス
10、10a~10f…本体部
10S、10Sb~…先端部
10t…接続面
11、11a~11f…第1ルーメン
12…第2ルーメン
13、13a~13f…先端
14、14a~14f…開口部
15…基端
20、20d~20f…ヘッド部
21、21d~21f…接合部
22…ヘッド側ルーメン
22k…屈曲部
23、23d~23f…先端
30、30e、30f…イメージセンサ
40…導線
50…コネクタ
51…操作部
52、53…開口部
60…焼灼用デバイス本体部
61…先端チップ
62…コネクタ
63…高周波発生器
64…通電用対極板
70…穿刺用デバイス本体部
71…針部
72…シリンジ
91…コンピュータ
92…モニタ