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特許7529200蓄電システム、蓄電池付き拡張機能ユニット及び拡張機能ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】蓄電システム、蓄電池付き拡張機能ユニット及び拡張機能ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240730BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240730BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240730BHJP
   G05F 1/67 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 150
H02J7/35 B
G05F1/67 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021064004
(22)【出願日】2021-04-05
(65)【公開番号】P2022159663
(43)【公開日】2022-10-18
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】521143309
【氏名又は名称】サーキュラー蓄電ソリューション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】521143310
【氏名又は名称】株式会社バニヤンリンク
(73)【特許権者】
【識別番号】521143332
【氏名又は名称】エナルカ・インディヤ・プライベートリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】上岡 功幸
(72)【発明者】
【氏名】ラマ タントリー
(72)【発明者】
【氏名】ラメッシュ シリニヴァーサン
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-018114(JP,A)
【文献】特開2020-061833(JP,A)
【文献】特開2017-135920(JP,A)
【文献】国際公開第2020/017428(WO,A1)
【文献】特表2020-520228(JP,A)
【文献】特開2019-193317(JP,A)
【文献】特開2017-189005(JP,A)
【文献】特開2013-135522(JP,A)
【文献】特開2016-149889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F1/12-1/44
G05F1/45-7/00
H02J3/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02M3/00-3/44
H02M7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を発電する再生可能エネルギー発電手段である発電装置と、
前記発電装置に対して電圧スキャンを含むMPPT制御を行って前記発電装置から所定の電力設定値で前記直流電力を取り出すことが可能なパワーコンディショナと、
前記発電装置から供給された前記直流電力を充電する蓄電池と、
前記発電装置と前記パワーコンディショナと前記蓄電池とに接続されており、前記発電装置から供給される電力を前記パワーコンディショナと前記蓄電池とに振り分けるパワーシェアリング機能と前記蓄電池から所定の設定電力を前記パワーコンディショナに供給するパワーリターン機能とを有する拡張機能ユニットと、を備え、
前記拡張機能ユニットは、前記パワーリターン機能において前記パワーコンディショナの前記MPPT制御の前記電圧スキャンに追従するように、前記蓄電池から放電された直流電流を可変調整するシミュレーション部を含み、
前記シミュレーション部は、前記蓄電池に接続され前記蓄電池から出力される直流電力を交流電力に変換するブリッジ回路と、該ブリッジ回路に接続されるLLC共振装置と、該LLC共振装置からの入力電圧を変圧してブリッジダイオードに出力する絶縁トランスと、該ブリッジダイオードと、該ブリッジダイオードからの出力を平滑して直流電力を前記パワーコンディショナへ出力するコンデンサと、前記パワーコンディショナへの出力に対するフィードバック信号を取得する制御部と、該制御部からの信号に応じて該ブリッジ回路にゲート信号を送信してスイッチング周波数の変調又はパルス幅の変調を行う生成回路とを含み、前記拡張機能ユニットの出力インピーダンスと、前記パワーコンディショナの入力インピーダンスと、伝送路の特性インピーダンスとを揃えるインピーダンスマッチングを行う、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
前記シミュレーション部は、前記生成回路によりスイッチング周波数の変調を行うことで、前記パワーコンディショナの前記MPPT制御の応答時間に合うように、前記蓄電池から放電される前記直流電流を可変調整する、
請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記拡張機能ユニットは、時刻情報を取得する計時手段と、一日のうちの所定の時間帯を設定しておく時間帯設定手段と、を備え、設定された前記所定の時間帯に前記蓄電池から前記パワーコンディショナに対して前記直流電流を日ごとに繰り返し供給する、
請求項1又は2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記拡張機能ユニットは、前記パワーコンディショナで変換されて外部負荷で消費される交流電力の負荷電力を示す情報を取得する負荷情報取得部を備え、
前記拡張機能ユニットは、前記負荷情報取得部が取得した前記負荷電力に対応する電力で、前記蓄電池から前記パワーコンディショナに前記直流電流を供給する、
請求項3に記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記拡張機能ユニットは、前記発電装置から前記パワーコンディショナに供給されている供給電力を経時的に監視する電力監視手段と、前記発電装置から前記パワーコンディショナに供給すべき必要電力を設定しておく電力設定手段と、を備え、
前記拡張機能ユニットは、前記電力監視手段で監視された前記供給電力が前記電力設定手段に設定されている前記必要電力以下となる場合に、不足する電力を前記蓄電池から前記パワーコンディショナに供給するように前記直流電流を可変調整する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記拡張機能ユニットは、前記蓄電池の下限電圧値を設定しておく電圧設定手段を備え、前記蓄電池の電圧が下降して前記下限電圧値に到達するまで、前記蓄電池から前記パワーコンディショナに前記直流電力を供給する、
請求項3から5のいずれか一項に記載の蓄電システム。
【請求項7】
前記拡張機能ユニットは、外部からネットワークを通じてトリガー情報を取得するトリガー情報取得部と、前記蓄電池から取り出す電力量を設定しておく放電量設定手段と、を備え、
前記拡張機能ユニットは、前記トリガー情報取得部が前記トリガー情報を取得したことに基づいて前記蓄電池から前記パワーコンディショナに前記電力量の前記直流電力を供給する、
請求項1又は2に記載の蓄電システム。
【請求項8】
前記蓄電池は、鉛蓄電池である請求項1から7のいずれか一項に記載の蓄電システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の蓄電システムを構成し、
前記蓄電池と前記拡張機能ユニットとで構成され、
前記発電装置と前記パワーコンディショナとで予め構成されている給電ユニットに後づけで電気的に接続されるインターフェース部を有することを特徴とする蓄電池付き拡張機能ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載の蓄電池付き拡張機能ユニットを構成し、
前記蓄電池と前記パワーコンディショナとの間に電気的に接続されるインターフェース部を有することを特徴とする拡張機能ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電システム、蓄電システムを構成する蓄電池付き拡張機能ユニット及び拡張機能ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
有限の環境資源の枯渇を抑制するため、太陽光や水力、地熱等の再生可能エネルギーを利用する意識が高まっている。特に、FIT(余剰電力固定価格買取制度)により、一般家庭においても太陽光パネルを家に設置して余剰電力を売電するというシステムが広がった。
【0003】
例えば、特許文献1においては、発電装置(PVパネル)を含む既存の給電ユニット(太陽光発電システム)に、蓄電池を後付けで設置して構成された蓄電システムが開示されている。特許文献1に開示された蓄電システムは、パワーコンディショナがMPPT制御を行って、太陽光パネルから最大電力を引き出すようにしている。この蓄電システムは、蓄電池を利用することにより、余剰電力を効率的に利用するというものである。このような蓄電システムに関しては、特にFITの対象の期間満了後に、自家消費率を高めようとする一般家庭で需要が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-175785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された蓄電システムは、MPPT制御を行うパワーコンディショナに向けて、蓄電池から設定した電力を安定して供給することに関して改善の余地があった。
【0006】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、蓄電池からパワーコンディショナに設定した電力を安定して供給する蓄電システム、蓄電池付き拡張機能ユニット、及び拡張機能ユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蓄電システムは、
直流電力を発電する再生可能エネルギー発電手段である発電装置と、
前記発電装置に対して電圧スキャンを含むMPPT制御を行って前記発電装置から所定の電力設定値で前記直流電力を取り出すことが可能なパワーコンディショナと、
前記発電装置から供給された前記直流電力を充電する蓄電池と、
前記発電装置と前記パワーコンディショナと前記蓄電池とに接続されており、前記発電装置から供給される電力を前記パワーコンディショナと前記蓄電池とに振り分けるパワーシェアリング機能と前記蓄電池から所定の設定電力を前記パワーコンディショナに供給するパワーリターン機能とを有する拡張機能ユニットと、を備え、
前記拡張機能ユニットは、前記パワーリターン機能において前記パワーコンディショナの前記MPPT制御の前記電圧スキャンに追従するように、前記蓄電池から放電された直流電流を可変調整するシミュレーション部を含み、
前記シミュレーション部は、前記蓄電池に接続され前記蓄電池から出力される直流電力を交流電力に変換するブリッジ回路と、該ブリッジ回路に接続されるLLC共振装置と、該LLC共振装置からの入力電圧を変圧してブリッジダイオードに出力する絶縁トランスと、該ブリッジダイオードと、該ブリッジダイオードからの出力を平滑して直流電力を前記パワーコンディショナへ出力するコンデンサと、前記パワーコンディショナへの出力に対するフィードバック信号を取得する制御部と、該制御部からの信号に応じて該ブリッジ回路にゲート信号を送信してスイッチング周波数の変調又はパルス幅の変調を行う生成回路とを含み、前記拡張機能ユニットの出力インピーダンスと、前記パワーコンディショナの入力インピーダンスと、伝送路の特性インピーダンスとを揃えるインピーダンスマッチングを行うことを特徴とする。
本発明の蓄電池付き拡張機能ユニットは、前記蓄電システムを構成し、
前記蓄電池と前記拡張機能ユニットとで構成され、
前記発電装置と前記パワーコンディショナとで予め構成されている給電ユニットに後付けで電気的に接続されるインターフェース部を有することを特徴とする。
本発明の拡張機能ユニットは、前記蓄電池付き拡張機能ユニットを構成し、
前記蓄電池と前記パワーコンディショナとの間に電気的に接続されるインターフェース部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の蓄電システムによれば、パワーコンディショナからの電圧スキャンに追従して直流電流を可変調整することで、蓄電池からパワーコンディショナへの供給電力を安定させることができる。
また、蓄電池付き拡張機能ユニットによれば、既存の給電ユニットに後付けすることにより、上記蓄電システムによって奏する効果を享受することができる。
また、拡張機能ユニットによれば、蓄電池からパワーコンディショナに電力を供給する際に、上記蓄電システムによって奏する効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る蓄電システムの全体構成を示す模式図である。
図2】蓄電システムの模式的な機能ブロック図である。
図3】拡張機能ユニットの機能ブロック図である。
図4】シミュレーション部の構成を示す説明図である。
図5】第2実施形態に係る蓄電システムの模式的な機能ブロック図である。
図6】変形例を示す模式的な機能ブロック図であり、トリガー情報取得部を含むシステムコントロール部を備える蓄電システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する、構成、数値等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。なお、本書においては、「以下」と「未満」とを厳密に区別してはいない。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
<<概要>>
まず、本発明の概要を図1及び図2を主に参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る蓄電システムXの全体構成を示す模式図、図2は、蓄電システムXの模式的な機能ブロック図である。
【0012】
本実施形態に係る蓄電システムXは、図1に示すように、直流電力を発電する再生可能エネルギー発電手段である発電装置(太陽光パネル1)と、太陽光パネル1に対して電圧スキャンを含むMPPT制御を行って太陽光パネル1から所定の電力設定値で直流電力を取り出すことが可能なパワーコンディショナ3と、太陽光パネル1から供給された直流電力を充電する蓄電池4と、太陽光パネル1とパワーコンディショナ3と蓄電池4とに接続された拡張機能ユニット2と、を備える。
拡張機能ユニット2は、図2に示すように、パワーコンディショナ3から太陽光パネル1に対する電圧スキャンに追従するように蓄電池4から放電された直流電流を可変調整して、パワーコンディショナ3に一定の電力を供給する。
具体的に、「追従」とは、パワーコンディショナ3のMPPT制御部31が行う拡張機能ユニット2に対して電圧スキャンによる電圧の値に応じて、拡張機能ユニット2から供給される電流の値を調整して、パワーコンディショナ3に供給される電力を一定にすることである。
【0013】
拡張機能ユニット2を構成するシミュレーション部24は、パワーコンディショナ3から太陽光パネル1に対する電圧スキャンに追従して蓄電池4から放電された直流電流を可変調整してパワーコンディショナ3に一定の電力を供給する。
【0014】
なお、「一定の電力」とは、例えば、太陽光パネル1から直流電力を取り出す際にその環境下(太陽光の照射量)で最大の電力となる値である。
また、「再生可能エネルギー発電手段」として、本実施形態においては太陽光パネル1について説明するが、本発明は太陽光パネル1に限定されず、風力発電装置や、水力発電装置、地熱発電装置等であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、パワーコンディショナ3からの電圧スキャンに追従して蓄電池4から放電された直流電流を可変調整することで、蓄電池4からパワーコンディショナ3に一定の電力を供給することができる。
【0016】
<<全体構成>>
次に、蓄電システムXの全体構成について図1及び図2を主に参照して説明する。
蓄電システムXは、図1に示すように、蓄電池付き拡張機能ユニットYと給電ユニットZとによって構成されている。
蓄電池付き拡張機能ユニットYは、蓄電池4と拡張機能ユニット2とで構成されており、図2に示すように、発電装置(太陽光パネル1)とパワーコンディショナ3とで予め構成されている給電ユニットZに後付けで電気的に接続されるインターフェース部8を有する。
拡張機能ユニット2は、蓄電池付き拡張機能ユニットYを構成し、蓄電池4とパワーコンディショナ3の間に電気的に接続されるインターフェース部を有する。
【0017】
上記構成によれば、発電装置(太陽光パネル1)とパワーコンディショナ3とで構成された給電ユニットZが既設のものであっても、インターフェース部8により蓄電池付き拡張機能ユニットYを給電ユニットZに取り付けることができる。
なお、後述するように、蓄電池付き拡張機能ユニットYを設けることは、給電ユニットZの下流にあるものへの振る舞いや接続条件には全く影響しない。
【0018】
さらに、蓄電池4とパワーコンディショナ3とが設けられている部位に、拡張機能ユニット2を取り付けることで、発電装置からの蓄電池4への充電、蓄電池4からのパワーコンディショナ3への出力を好適に行うことができる。
また、本発明はこのような構成に限定されず、蓄電システムXは、蓄電池付き拡張機能ユニットYと給電ユニットZとが一体的に構成されているものであってもよい。
【0019】
蓄電システムXは、発電装置としての太陽光パネル1と、パワーコンディショナ3と、太陽光パネル1及びパワーコンディショナ3に間に接続された拡張機能ユニット2と、拡張機能ユニット2に接続された蓄電池4と、によって構成されている。
【0020】
拡張機能ユニット2は、図2に示すように、出力切換部20と、システムコントロール部21と、充電器22と、MPPT制御部23と、シミュレーション部24と、放電制御部26と、電流センサS1、S2と、を備える。
なお、拡張機能ユニット2が電流センサS2を備えるものとして説明したが、このような構成に限定されず、パワーコンディショナ3が備える不図示の電流センサからの電流値に係る情報を拡張機能ユニット2が取得する構成であってもよい。
【0021】
出力切換部20は、充電時には太陽光パネル1から供給される電力の一部又は全部を蓄電池4へ振り分け、放電時には太陽光パネル1からパワーコンディショナ3への放電、及び/又は蓄電池4からパワーコンディショナ3への放電を可能とするものである。
システムコントロール部21は、出力切換部20、充電制御部25及び放電制御部26を管理するものである。システムコントロール部21は、不図示のメモリ及びCPUを有し、電流センサS1で検出された電流値に応じて、出力切換部20を制御して、パワーコンディショナ3と蓄電池4への電力の振り分けを行うことができる。
充電器22は、振り分けられた電力を蓄電池4に充電する機能を有する。
【0022】
MPPT制御部23は、太陽光パネル1で発電された電力を100%充電する場合にのみパワーコンディショナ3に設けられた後述するMPPT制御部31と同様のMPPT制御を行う。
MPPT制御は、電圧(スキャン電圧)を変動させて、日射量や温度によって常に変動する電圧と電流から、発電量が最大になる電圧と電流の組み合わせ(最大出力点)を自動で見つけ出して発電量を維持できるように制御するものである。
【0023】
シミュレーション部24について、図2に加え、図4を参照して説明する。図4は、シミュレーション部24の構成を示す説明図である。
シミュレーション部24は、パワーコンディショナ3に接続されたときに、パワーコンディショナ3とのインピーダンス及び応答時間のマッチングを行い、その後はパワコンの電圧スキャンに追従しながら放電を行うものである。
【0024】
シミュレーション部24は、図4に示すように、フルブリッジ回路24aと、LLC共振装置24bと、トランス24cと、ブリッジダイオード24dと、制御部24eと、PFM、PWM生成回路24fと、を備える。
フルブリッジ回路24aは、蓄電池4に接続されており、蓄電池4から出力される直流を交流にして、LLC共振装置24bに出力するものである。
LLC共振装置24bは、フルブリッジ回路24aに接続されており、共振用インダクタンスと、励磁インダクタンスと、コンデンサと、によって構成されている。
トランス24cは、LLC共振装置24bから入力される電圧を変圧して、ブリッジダイオード24dに出力する、逆流防止可能な絶縁トランスである。拡張機能ユニット2は、このようなトランス24cを備えることで、各種パワーコンディショナ3に好適に接続可能となる。
ブリッジダイオード24dは、交流入力の負電圧側を反転して脈流を出力する。出力側にコンデンサが接続されており、これにより平滑することにより、直流電圧を出力することができる。
【0025】
制御部24eは、ブリッジダイオード24dから出力された電流が設定された電流となるように、電流・電圧の双方をみて、またインピーダンスマッチングと応答時間マッチングとを行うべく、PFM、PWM生成回路24fに信号を送信する。
PFM、PWM生成回路24fは、フルブリッジ回路24aにゲート信号を送信することによって、スイッチング周波数の変調及び/又はパルス幅を変調する。
【0026】
上記の構成に係るシミュレーション部24は、パワーコンディショナ3のMPPT制御部31によるMPPT制御によって電圧が変動しても、電圧に追従した電流を算出して、一定の電力を蓄電池4からパワーコンディショナ3に供給することが可能となる。このように、シミュレーション部24は蓄電池4からパワーコンディショナ3に短期的に安定した電力を出力することが可能となる。
また、シミュレーション部24は、例えば長期の使用により蓄電池4の電圧が減ったとしても、電圧の減少割合だけ、電圧を増加させて、一定の電力を蓄電池4からパワーコンディショナ3に供給することが可能となる。このように、シミュレーション部24は蓄電池4からパワーコンディショナ3に長期的に安定した電力を出力することが可能となる。
上記構成によれば、蓄電池4に接続されていない既存のパワーコンディショナ3に対しても、シミュレーション部24を備える拡張機能ユニット2を取り付けることで、蓄電池4からパワーコンディショナ3に電力を供給することができる。
【0027】
充電制御部25は、電流センサS1、S2の値に基づき、充電器22及びMPPT制御部23による充電を制御するものである。電流センサS1は、太陽光パネル1の出力電流を検出し、電流センサS2は、拡張機能ユニット2からパワーコンディショナ3への出力電流を検出する。
放電制御部26は、電流センサS1、S2の値に基づき、シミュレーション部24による放電を制御するものである。
例えば、放電制御部26は、シミュレーション部24を介して、蓄電池4からの放電時に1.2kWの定格電力を連続的に出力する。蓄電池4からの出力値は、定格電力に限られず、例えば、定格電力よりも低い負荷電力に合う電力値であってもよい。
【0028】
パワーコンディショナ3は、DC/DCコンバータ30と、MPPT制御部31と、インバータ32と、を備える。
拡張機能ユニット2の機能である、パワーシェアリング機能と、パワーリターン機能と、を次に説明する。
【0029】
<パワーシェアリング>
パワーシェアリング機能は、太陽光パネル1から拡張機能ユニット2に供給された電力を、パワーコンディショナ3と蓄電池4とに振り分ける機能である。拡張機能ユニット2は、パワーシェアリング機能として、パワコン優先モードと、蓄電池優先モードと、余剰電力充電モードと、を備える。これらについて、次に説明する。
【0030】
[パワコン優先モード]
パワコン優先モードは、発明の概要において上記したように、太陽光パネル1から蓄電池4に直流電力を供給するよりも太陽光パネル1からパワーコンディショナ3に直流電力を供給することを優先するモードである。
そして、このモードでは、太陽光パネル1から拡張機能ユニット2に供給される直流電力のうち、パワーコンディショナ3に供給する最大電力として設定されている第一閾値電力を超える分の電力を蓄電池4に供給する。
【0031】
例えば、太陽光パネル1の発電電力がパワーコンディショナ3の処理負荷(容量)を超えることになったときに、太陽光パネル1の余剰電力を蓄電池4に充電することができる。
これにより、発電のタイミングと自家消費のタイミングをずらすことができ、太陽光パネル1の発電電力にロスが生じることを抑制できる。また、夏場などに太陽光パネル1による発電が大きくなったときに、パワーコンディショナ3の容量を超える電力を蓄電池4に充電することができる。さらに、パワーコンディショナ3の容量を超える太陽光パネル1を建物に搭載することが可能となる。
なお、第一閾値電力は、拡張機能ユニット2において設定可能に構成されている。
【0032】
また、パワーコンディショナ3の計画電力としての第一閾値電力を3kWとした場合に、曇りのときに、太陽光パネル1の発電が1kWであるときには、システムコントロール部21は、蓄電池4に振り分けずに、パワーコンディショナ3にすべて供給する。
システムコントロール部21は、電流センサS1、S2から電流値をモニタリングしているので、このような制御を自由に実行することができる。
具体的には、電流センサS1が、太陽光パネル1の発電した電力に対応する電流値を検出しており、電流センサS2が、拡張機能ユニット2からパワーコンディショナ3に供給する電流値を検出している。なお、充電器22は不図示の電流センサ及び電圧センサを備え、これらのセンサにより、蓄電池4に充電する電力を検出できるようになっている。
【0033】
例えば、第一閾値電力は、パワーコンディショナ3の定格電力(容量)である。例えば、この定格電力は、4.4kW又は5.5kWである。
上記構成によれば、上記のように、太陽光パネル1の発電電力がパワーコンディショナ3の処理負荷(容量)を超えることになったときに、太陽光パネル1の余剰電力を蓄電池4に充電することができる。
【0034】
[蓄電池優先モード]
システムコントロール部21は、パワコン優先モードと選択的に設定される出力切換部20の動作モードであって、発電装置(太陽光パネル1)からパワーコンディショナ3に直流電力を供給するよりも太陽光パネル1から蓄電池4に直流電力を供給することを優先する蓄電池優先モードで出力切換部20を動作させることが可能である。
蓄電池優先モードで動作する出力切換部20は、太陽光パネル1から拡張機能ユニット2に供給される直流電力のうち、蓄電池4に供給する最大電力として設定されている第二閾値電力を超える分の電力をパワーコンディショナ3に供給する。
【0035】
例えば、蓄電池4の定格電力の1.2kWを第二閾値電力に設定した場合に、太陽光パネル1が4kWを出力した場合には、システムコントロール部21は、1.2kWを蓄電池4に供給しつつ、2.8kWをパワーコンディショナ3に供給する。
【0036】
上記構成によれば、蓄電池4の充電を優先することで、蓄電池4に電力を貯めやすくなり、特に自家消費をする際に、電力の供給を融通させやすくなる。例えば、昼間の負荷が少ない家庭において、系統6に電力を流して売電するのではなく、蓄電池4に貯めておいた方がコストを低く抑えることができることもある。この場合に蓄電池優先モードを使用すると好適である。
【0037】
また、第2閾値電力を超える分の電力をパワーコンディショナ3に供給することで、蓄電池4が満充電になった後でも蓄電池4に充電し続けることによる電力ロスが生じることを防止できる。
なお、システムコントロール部21により、蓄電池4に振り分ける電力量及び時間を設定するようにしてもよい。
【0038】
また、システムコントロール部21は、パワーコンディショナ3が太陽光パネル1から供給を要求する電力に対して自家消費の電力が少ない場合や、今後曇りや雨になるために日射量が低くなると予測される場合には、パワーコンディショナ3に要求された値の電力を供給せずに、蓄電池4に少なくとも一部の電力を供給するように出力切換部20を制御してもよい。
【0039】
拡張機能ユニット2は、発電装置(太陽光パネル1)に対してMPPT制御(最大電力点追従制御)を行うMPPT制御部23を有する。
MPPT制御部23は、蓄電池優先モードにおいて、太陽光パネル1で発電された電力をパワーコンディショナ3に供給せず蓄電池4に供給する場合に機能する。
【0040】
例えば、蓄電池優先モードにおいて、第2閾値電力が1.2kWである場合に、太陽光パネル1の出力が第2閾値電力よりも低い1kWしかないときには、システムコントロール部21は、出力切換部20、充電制御部25及びMPPT制御部23を制御して、蓄電池4にのみ電力を供給する。
この場合、パワーコンディショナ3が備えるMPPT制御部31ではなく、拡張機能ユニット2が備えるMPPT制御部23が機能することになる。
【0041】
その後、太陽光パネル1の出力が1.2kWを超えると、システムコントロール部21は、パワーコンディショナ3に1.2kWを超える分の電力を供給することになる。この場合には、システムコントロール部21の制御によりMPPT制御部23が停止し、パワーコンディショナ3が備えるMPPT制御部31が機能することになる。
【0042】
例えば、ノイズによる影響を排除するため、太陽光パネル1の出力が第2閾値電力を所定時間(例えば10分間等)超え続けたという情報を取得した場合に、システムコントロール部21がパワーコンディショナ3への電力の供給を開始し、MPPT制御部23の機能を停止し、MPPT制御部31を機能させるようにしてもよい。
【0043】
逆に、太陽光パネル1の出力が第2閾値電力よりも低く、その状態が所定時間(例えば10分等)継続した場合に、システムコントロール部21がパワーコンディショナ3への電力の供給を停止して蓄電池4への電力の供給を開始し、MPPT制御部31の機能を停止し、MPPT制御部23を機能させるようにしてもよい。
【0044】
上記構成によれば、太陽光パネル1から蓄電池4に効果的に電力を供給することができる。
逆にいえば、MPPT制御部23は、太陽光パネル1からの電力をパワーコンディショナ3に供給しているときは機能しない。この場合に、パワーコンディショナ3のMPPT制御部31が機能することにより太陽光パネル1から発電された最大電力が供給され、蓄電池4に電力が供給される場合には、太陽光パネル1から発電された最大電力の一部が蓄電池4に供給されることになる。
【0045】
[余剰電力充電モード]
次に、図5を主に参照して、余剰電力充電モードについて説明する。図5は、第2実施形態に係る蓄電システムSの模式的な機能ブロック図である。
【0046】
図5に示すように、拡張機能ユニット2は、パワーコンディショナ3で変換されて外部負荷で消費される交流電力の負荷電力を示す情報を取得する情報取得部21aを備える。
システムコントロール部21は、パワコン優先モードと選択的に設定される出力切換部20の動作モードであって、発電装置(太陽光パネル1)から拡張機能ユニット2に供給される直流電力のうち負荷電力に対応する直流電力を超える分の電力を蓄電池4に充電する余剰電力充電モードで出力切換部20を動作させることが可能である。
【0047】
「外部負荷で消費される交流電力の負荷電力を示す情報」は、例えば、情報取得部21aが分電盤5の上流側に設けられた電流センサS3及び下流側に設けられた電流センサS4から取得する情報である。
なお、「負荷電力に対応する直流電力」とは、具体的には、「情報取得部21aが取得した情報が示す負荷電力をパワーコンディショナ3で交流電力に変換するのに要する直流電力」のことである。「対応する直流電力」としては、上記負荷電力に一致していてもよいし、少し多めの電力であってよい。
【0048】
上記構成によれば、負荷電力に応じた電力を、パワーコンディショナ3を介して外部に供給しつつ、その残りの電力を蓄電池4に充電することにより、自家消費を好適に行うことができる。
【0049】
本実施形態に係る蓄電池4は、鉛蓄電池である。特に、蓄電池4として鉛蓄電池を用いるようにすれば、リチウムイオン電池と比較してコストを低減することができる。また、再利用がしやすいため環境に優しく、新しいものに交換することで、高効率の状態で継続使用することが可能となる。なお、蓄電池4としては、鉛蓄電池以外にリチイムイオン電池を採用するようにしてもよい。
【0050】
<パワーリターン>
パワーリターン機能は、蓄電システムXの蓄電池4から拡張機能ユニット2を介してパワーコンディショナ3に電力を供給する機能である。拡張機能ユニット2は、パワーリターン機能として、サイクル運転モードと、太陽光補強モードと、VPPモードと、を備える。これらについて、後で説明する。
【0051】
パワーコンディショナ3は、太陽光パネル1に対して電圧スキャンを含むMPPT制御を行って太陽光パネル1から所定の電力設定値で直流電力を取り出すことが可能に構成されている。
拡張機能ユニット2は、蓄電池4から所定の設定値の電力をパワーコンディショナ3に安定的に供給する。
【0052】
より具体的には、拡張機能ユニット2を構成するシミュレーション部24が、蓄電池4から放電される直流電流を、パワーコンディショナ3から太陽光パネル1に対する電圧スキャンに追従する出力電流を可変調整して、所定の設定値(例えば定格)の電力をパワーコンディショナ3に供給する。
例えば、「所定の設定値」とは、太陽光パネル1から直流電力を取り出す際にその環境下(太陽光の照射量)で最大の電力となる値である。
【0053】
上記構成によれば、シミュレーション部24がパワーコンディショナ3からの電圧スキャンに追従して電流値を可変制御することで、パワーコンディショナ3が太陽光パネル1に対して行う制御に手を加えずとも、蓄電池4からパワーコンディショナ3に安定した電力を供給させることができる。
【0054】
拡張機能ユニット2は、パワーコンディショナ3に接続されたときに、パワーコンディショナ3からインピーダンス及び応答時間の情報を取得し、パワーコンディショナ3のインピーダンス及び応答時間とマッチングするように、蓄電池4から放電される直流電流を可変調整するシミュレーション部24を備える。
具体的にはシミュレーション部24は、図4に示すLLC共振装置24bにより、拡張機能ユニット2から出力インピーダンスと、パワーコンディショナ3の入力インピーダンスと、伝送路の特性インピーダンスと、を揃えるインピーダンスマッチングを行う。
また、シミュレーション部24は、PFM、PWM生成回路24fにより、スイッチング周波数の変調することで、パワーコンディショナ3のMPPT制御部31と応答時間を合わせる応答時間マッチングを行う。
【0055】
上記構成によれば、蓄電池4から放電される直流電流を、パワーコンディショナ3のインピーダンス及び応答時間とマッチングさせることで、蓄電池4からパワーコンディショナ3に所定の電力を安定的に供給することができる。
【0056】
[サイクル運転モード]
次に、図2に加えて、図3を主に参照してサイクル運転モードについて説明する。図3は、拡張機能ユニット2の機能ブロック図である。
拡張機能ユニット2は、時刻情報を取得する計時手段2aと、一日のうちの所定の時間帯を設定しておく時間帯設定手段2bと、を備える。拡張機能ユニット2は、設定された所定の時間帯に蓄電池4からパワーコンディショナ3に対して直流電流を日ごとに繰り返し供給する。
上記構成によれば、所定の時間帯において、蓄電池4からの電力により自家消費することができ、他の時間帯に蓄電池4に充電した電力を効果的に利用することができる。なお、「日ごとに」とは複数日に亘ることを意味し、連続する複数日でも間欠的な複数日でもよい。また、この複数日は毎日でもよく一週間のうち所定の曜日でもよい。
【0057】
例えば、「所定の時間帯」とは、夜間の時間帯(日の入りから日の出の時間帯)である。このように夜間の時間帯に蓄電池4からパワーコンディショナ3に放電することで、太陽光パネル1から発電される時間(日照時間帯)と、パワーコンディショナ3に電力が供給される時間と、をずらすことができる。
【0058】
例えば、拡張機能ユニット2は、蓄電池4に、毎日約5kW・hの電力量を充電するように振り分ける。そして、蓄電池4は、例えば昼間に充電された電力を夜間に4時間ほどで放電する。
なお、放電時には、蓄電池4の電圧をゼロにするのではなく、ある閾値電圧を限度として放電すると、蓄電池4の長寿命化のために好適である。
また、蓄電池4からパワーコンディショナ3に放電する時間は、日照時間中(昼間)であってもよく、任意に設定可能である。
【0059】
拡張機能ユニット2は、図5に示すように、パワーコンディショナ3で変換されて外部負荷で消費される交流電力の負荷電力を示す情報を取得する負荷情報取得部(情報取得部2c)を備える。
拡張機能ユニット2は、情報取得部2cが取得した負荷電力に対応する電力で、蓄電池からパワーコンディショナに直流電流を供給する。
【0060】
余剰電力充電モードの説明において上記したものと同様に、「外部負荷で消費される交流電力の負荷電力を示す情報」は、例えば、情報取得部2cが分電盤5の上流側に設けられた電流センサS3及び下流側に設けられた電流センサS4から取得する情報である。
なお、「負荷電力に対応する直流電力」とは、具体的には、「情報取得部2cが取得した情報が示す負荷電力をパワーコンディショナ3で交流電力に変換するのに要する直流電力」のことである。
上記構成によれば、サイクル運転モードにおいて、負荷電力に合わせた放電が可能となる。
【0061】
[太陽光補強モード]
拡張機能ユニット2は、発電装置(太陽光パネル1)からパワーコンディショナ3に供給されている供給電力を経時的に監視する電力監視手段(電流センサS2及び不図示の電圧センサ)と、太陽光パネル1からパワーコンディショナ3に供給すべき必要電力を設定しておく電力設定手段2e(図3参照)と、を備える。
【0062】
ここで、「経時的」に関して具体的には、少なくとも太陽光が降り注ぐ日中の時間帯に複数回、より具体的には数分おきであると好適である。
「必要電力以下となる場合」は、必要電力を現に下回った時点のほか、電力監視手段の監視結果が低下傾向である場合に、必要電力を(今後)下回ると予想された時点で蓄電池から供給開始してもよい。つまり、設定されている必要電力以上の時点で供給開始してもよい。
同様に、「不足する電力」は不足分の電力と完全に等しい電力でなくてもよい。
つまり、必要電力からその時点の発電電力の差分と等しい値でもよいし、所定の電力(例えば、蓄電池4から取り出し可能な最低レベルの電力であってもよく、一定値であってもよい。)を供給してもよい。
【0063】
拡張機能ユニット2は、電流センサS2(及び不図示の電圧センサ)で監視された供給電力が電力設定手段2eに設定されている必要電力以下となる場合に、不足する電力を蓄電池4からパワーコンディショナ3に供給するように直流電流を可変調整する。
【0064】
例えば、拡張機能ユニット2(放電制御部26)は、電流センサS2で検出された電流値及び不図示の電圧センサで検出された電圧に基づいて太陽光パネル1からの供給電力を算出し、パワーコンディショナ3の定格電力に対して足りない分を、蓄電池4からパワーコンディショナ3に供給するように制御する。このとき拡張機能ユニット2(シミュレーション部24)は、太陽光パネル1からの電圧に合わせつつ、パワーコンディショナ3の定格電力に対して足りない電力を補充するように、蓄電池4から放電される直流電流を可変調整する。
なお、太陽光補強モードは、太陽光パネル1からパワーコンディショナ3に電力を供給することをベースとしていることから明らかなように、日照時間中に行われる制御である。
【0065】
具体的には、不図示のジャンクションボックスを設けて、太陽光パネル1からの電力の出力と蓄電池4からの電力の出力を集約するようにしてもよい。このようにすれば、パワーコンディショナ3に対するインピーダンスと応答時間とのマッチングをしやすくなる。
【0066】
上記構成によれば、パワーコンディショナ3に供給されるものとして設定された必要電力に対して太陽光パネル1の発電が不足している場合でも、拡張機能ユニット2の制御により、蓄電池4からパワーコンディショナ3に電流を供給することができる。
【0067】
拡張機能ユニット2は、蓄電池4の下限電圧値を設定しておく電圧設定手段2f(図3参照)を備え、蓄電池4の電圧が下降して下限電圧値に到達するまで、蓄電池4からパワーコンディショナ3に直流電力を供給する。
ここで、「下限電圧値に到達するまで・・・直流電力を供給する」は、現に到達するまで供給してしまう場合と、下限電圧値に到達しないようにパワーコンディショナ3への電力供給に制御がかかり始める以降まで供給する場合と、が含まれる。
上記構成によれば、蓄電池4が低充電状態になることを防ぎ、サルフェーションが生じることを防止できることで、蓄電池4を長寿命化することができる。
【0068】
例えば、拡張機能ユニット2は、蓄電池4の電圧値が下限電圧値に到達したことを示す信号を不図示の電圧センサから取得した後に、上記の蓄電池優先モードに切り換える。このようにすることで、蓄電池4の低充電状態を早期に回復することができる。
【0069】
[VPPモード]
次に、VPPモードについて図6を主に参照して説明する。図6は、変形例を示す模式的な機能ブロック図であり、トリガー情報取得部21cを含むシステムコントロール部を備える蓄電システムの図である。
【0070】
拡張機能ユニット2は、外部からネットワーク7を通じてトリガー情報を取得するトリガー情報取得部21cと、蓄電池4から取り出す電力量を設定しておく放電量設定手段2g(図3参照)と、を備える。
拡張機能ユニット2は、トリガー情報取得部21cがトリガー情報を取得したことに基づいて、蓄電池4からパワーコンディショナ3に設定された電力量の直流電力を供給する。
具体的には、拡張機能ユニット2を構成する放電制御部26が、蓄電池4からパワーコンディショナ3に設定された電力量の直流電力を供給する。なお、ネットワーク7は、例えば、Wi-Fi等の専用回線である。
【0071】
例えば、トリガー情報取得部21cがトリガー情報を取得することによって、蓄電池4が放電するとき以外は、拡張機能ユニット2は、太陽光パネル1からの電力をパワーコンディショナ3に供給せずに充電しておき、満充電の状態を維持するようにしてもよい。
そして、トリガー情報を取得して放電するとき以外を「平常時」と呼称する。
【0072】
上記構成によれば、ネットワーク7を通じて、蓄電池4に充電された電力を例えばバーチャルパワープラント全体として効率的に利用することができ、また、停電時のバックアップ等に利用することもできる。
【0073】
システムコントロール部21は、上記の各種モードを、適宜組み合わせるようにすると好適である。
例えば、システムコントロール部21は、蓄電池4が満充電となっていないときに、パワコン優先モードで出力切換部20を制御し、太陽光パネル1から供給される電力が3kW以下である場合はパワーコンディショナ3に電力を供給し、それを超えた場合には超えた分の電力を蓄電池4に供給する。
蓄電池4が満充電となったときに、太陽光補強モードで出力切換部20を制御し、太陽光パネル1から供給される電力が3kWを下回った場合には、蓄電池4から補強的に電力を供給する。
【0074】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)
直流電力を発電する再生可能エネルギー発電手段である発電装置と、
前記発電装置に対して電圧スキャンを含むMPPT制御を行って前記発電装置から所定の電力設定値で前記直流電力を取り出すことが可能なパワーコンディショナと、
前記発電装置から供給された前記直流電力を充電する蓄電池と、
前記発電装置と前記パワーコンディショナと前記蓄電池とに接続された拡張機能ユニットと、を備え、
該拡張機能ユニットは、前記パワーコンディショナから前記発電装置に対する前記電圧スキャンに追従するように前記蓄電池から放電された直流電流を可変調整して、前記パワーコンディショナに一定の電力を供給することを特徴とする蓄電システム。
(2)
前記拡張機能ユニットは、前記パワーコンディショナに接続されたときに、前記パワーコンディショナからインピーダンス及び応答時間の情報を取得し、前記パワーコンディショナの前記インピーダンス及び前記応答時間とマッチングするように、前記蓄電池から放電される前記直流電流を可変調整するシミュレーション部を備える(1)に記載の蓄電システム。
(3)
前記拡張機能ユニットは、時刻情報を取得する計時手段と、一日のうちの所定の時間帯を設定しておく時間帯設定手段と、を備え、設定された前記所定の時間帯に前記蓄電池から前記パワーコンディショナに対して前記直流電流を日ごとに繰り返し供給する(1)又は(2)に記載の蓄電システム。
(4)
前記拡張機能ユニットは、前記パワーコンディショナで変換されて外部負荷で消費される交流電力の負荷電力を示す情報を取得する負荷情報取得部を備え、
前記拡張機能ユニットは、前記負荷情報取得部が取得した前記負荷電力に対応する電力で、前記蓄電池から前記パワーコンディショナに前記直流電流を供給する(3)に記載の蓄電システム。
(5)
前記拡張機能ユニットは、前記発電装置から前記パワーコンディショナに供給されている供給電力を経時的に監視する電力監視手段と、前記発電装置から前記パワーコンディショナに供給すべき必要電力を設定しておく電力設定手段と、を備え、
前記拡張機能ユニットは、前記電力監視手段で監視された前記供給電力が前記電力設定手段に設定されている前記必要電力以下となる場合に、不足する電力を前記蓄電池から前記パワーコンディショナに供給するように前記直流電流を可変調整する(1)から(4)のいずれか一項に記載の蓄電システム。
(6)
前記拡張機能ユニットは、前記蓄電池の下限電圧値を設定しておく電圧設定手段を備え、前記蓄電池の電圧が下降して前記下限電圧値に到達するまで、前記蓄電池から前記パワーコンディショナに前記直流電力を供給する(3)から(5)のいずれか一項に記載の蓄電システム。
(7)
前記拡張機能ユニットは、外部からネットワークを通じてトリガー情報を取得するトリガー情報取得部と、前記蓄電池から取り出す電力量を設定しておく放電量設定手段と、を備え、
前記拡張機能ユニットは、前記トリガー情報取得部が前記トリガー情報を取得したことに基づいて前記蓄電池から前記パワーコンディショナに前記電力量の前記直流電力を供給する(1)又は(2)に記載の蓄電システム。
(8)
前記蓄電池は、鉛蓄電池である(1)から(7)のいずれか一項に記載の蓄電システム。
(9)
(1)から(8)のいずれか一項に記載の蓄電システムを構成し、
前記蓄電池と前記拡張機能ユニットとで構成され、
前記発電装置と前記パワーコンディショナとで予め構成されている給電ユニットに後づけで電気的に接続されるインターフェース部を有することを特徴とする蓄電池付き拡張機能ユニット。
(10)
(9)に記載の蓄電池付き拡張機能ユニットを構成し、
前記蓄電池と前記パワーコンディショナとの間に電気的に接続されるインターフェース部を有することを特徴とする拡張機能ユニット。
【符号の説明】
【0075】
1 太陽光パネル(発電装置)
2 拡張機能ユニット
2a 計時手段
2b 時間帯設定手段
2c 情報取得部
2e 電力設定手段
2f 電圧設定手段
2g 放電量設定手段
3 パワーコンディショナ
4 蓄電池(鉛蓄電池)
5 分電盤
6 系統
7 ネットワーク
8 インターフェース部
20 出力切換部
21 システムコントロール部
21a 情報取得部
21c トリガー情報取得部
22 充電器
23 MPPT制御部
24 シミュレーション部
24a フルブリッジ回路
24b LLC共振装置
24c トランス
24d ブリッジダイオード
24e 制御部
24f PFM、PWM生成回路
25 充電制御部
26 放電制御部
30 DC/DCコンバータ
31 MPPT制御部
32 インバータ
S 蓄電システム
S1 電流センサ
S2 電流センサ(電力監視手段)
S3 電流センサ
S4 電流センサ
X 蓄電システム
Y 蓄電池付き拡張機能ユニット
Z 給電ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6