(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】スロットルグリップ加温装置
(51)【国際特許分類】
B62J 33/00 20060101AFI20240730BHJP
B62J 45/413 20200101ALI20240730BHJP
B62K 23/04 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B62J33/00 A
B62J45/413
B62K23/04
(21)【出願番号】P 2020144483
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 健生
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-206061(JP,A)
【文献】実開昭64-52992(JP,U)
【文献】特開2018-91202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0327172(US,A1)
【文献】実開平4-51886(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第102393787(CN,A)
【文献】特開2010-88154(JP,A)
【文献】特開2016-215966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 33/00
B62J 45/413
B62J 45/00
B62K 21/00- 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルバーに固定された固定部材と、
前記固定部材の近傍に取り付けられ、運転者が把持しつつ回転操作可能なスロットルグリップと、
前記スロットルグリップの把持部に取り付けられ、車両に搭載されたバッテリから延設した配線が接続されるとともに、通電により発熱して前記把持部を加温可能とされた加温手段と、
を具備したスロットルグリップ加温装置において、
前記配線は、前記固定部材の
表面の任意
の所定位置に
取り付けられた固定手段に固定され
るとともに、前記固定手段は、前記固定部材に固定されるステー部と、前記ステー部に前記配線を固定する結束バンドとを有したことを特徴とするスロットルグリップ加温装置。
【請求項2】
前記固定手段は、前記ステー部に取り付けられたブッシュ部を有するとともに、前記配線は、前記ブッシュ部に挿通されて前記結束バンドで固定されることを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ加温装置。
【請求項3】
前記固定部材は、取付ネジにて固定された第1固定部材及び第2固定部材から成るとともに、前記固定手段は、前記取付ネジにより共締めされて固定されたことを特徴とする請求項2記載のスロットルグリップ加温装置。
【請求項4】
前記固定部材は、車両が具備する各種電装品を操作する操作部が形成されたことを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載のスロットルグリップ加温装置。
【請求項5】
前記固定部材は、
前記スロットルグリップの回転操作と共に回転し得る連動部材と、
前記連動部材の回転角度を検出することにより前記スロットルグリップの回転角度を検出し得る回転角度検出手段と、
を具備するとともに、前記スロットルグリップの基端が前記連動部材に連結されて当該スロットルグリップ及び固定部材が一体
部品として構成されたことを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載のスロットルグリップ加温装置。
【請求項6】
前記スロットルグリップは、正方向及び逆方向に回転操作可能とされるとともに、前記スロットルグリップが初期位置から正方向に回転操作されたとき、前記回転角度検出手段で検出された前記スロットルグリップの回転角度に応じて車両の駆動源を制御可能とされ、前記スロットルグリップが初期位置から逆方向に回転操作されたとき、車両が具備する所定の電装品を操作可能とされたことを特徴とする請求項5記載のスロットルグリップ加温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットルグリップの把持部を加温可能とされたスロットルグリップ加温装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二輪車などのハンドルバーを具備した車両は、当該ハンドルバーの左右それぞれの先端部にハンドルグリップが取り付けられている。かかるハンドルグリップは、運転者が把持する把持部が形成されており、従来、その把持部を加温するための加温装置について提案されている。従来の加温装置として、例えば特許文献1にて開示されているように、車両に搭載されたバッテリから電流を流し得る電熱線パターンが形成された加温手段(フレキシブル基板)から成り、ハンドルグリップの内部に取り付けられたものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、加温手段から車両に搭載されたバッテリまで延びる配線を車体側の任意位置に固定する必要があるが、スロットルグリップを加温するスロットルグリップ加温装置に適用された場合、加温手段から車両の固定位置までの間の配線がスロットルグリップの回転操作に応じて移動するため、耐久性の確認を配線の固定位置毎に行う必要があった。そして、配線の固定位置は、車種に応じて異なるため、配線の耐久性確認を車種毎に行う必要があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スロットルグリップの加温手段から延びる配線を常に所定の位置で固定させることにより、車種毎の配線の耐久性確認を不要とすることができるスロットルグリップ加温装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、車両のハンドルバーに固定された固定部材と、前記固定部材の近傍に取り付けられ、運転者が把持しつつ回転操作可能なスロットルグリップと、前記スロットルグリップの把持部に取り付けられ、車両に搭載されたバッテリから延設した配線が接続されるとともに、通電により発熱して前記把持部を加温可能とされた加温手段とを具備したスロットルグリップ加温装置において、前記配線は、前記固定部材の表面の任意の所定位置に取り付けられた固定手段に固定されるとともに、前記固定手段は、前記固定部材に固定されるステー部と、前記ステー部に前記配線を固定する結束バンドとを有したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記固定手段は、前記ステー部に取り付けられたブッシュ部を有するとともに、前記配線は、前記ブッシュ部に挿通されて前記結束バンドで固定されることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のスロットルグリップ加温装置において、前記固定部材は、取付ネジにて固定された第1固定部材及び第2固定部材から成るとともに、前記固定手段は、前記取付ネジにより共締めされて固定されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1~3の何れか1つに記載のスロットルグリップ加温装置において、前記固定部材は、車両が具備する各種電装品を操作する操作部が形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載のスロットルグリップ加温装置において、前記固定部材は、前記スロットルグリップの回転操作と共に回転し得る連動部材と、前記連動部材の回転角度を検出することにより前記スロットルグリップの回転角度を検出し得る回転角度検出手段とを具備するとともに、前記スロットルグリップの基端が前記連動部材に連結されて当該スロットルグリップ及び固定部材が一体部品として構成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のスロットルグリップ加温装置において、前記スロットルグリップは、正方向及び逆方向に回転操作可能とされるとともに、前記スロットルグリップが初期位置から正方向に回転操作されたとき、前記回転角度検出手段で検出された前記スロットルグリップの回転角度に応じて車両の駆動源を制御可能とされ、前記スロットルグリップが初期位置から逆方向に回転操作されたとき、車両が具備する所定の電装品を操作可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、配線は、固定部材の任意位置に固定されたので、スロットルグリップの加温手段から延びる配線を常に所定の位置で固定させることにより、車種毎の配線の耐久性確認を不要とすることができる。
【0013】
また、固定部材は、表面の任意位置に固定手段が取り付けられ、当該固定手段に配線が固定されたので、固定手段によって配線を円滑且つ確実に固定させることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、固定部材は、取付ネジにて固定された第1固定部材及び第2固定部材から成るとともに、固定手段は、取付ネジにより共締めされて固定されたので、固定部材を組み付けるための取付ネジを流用して固定手段を固定させることができ、部品点数を削減することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、固定部材は、車両が具備する各種電装品を操作する操作部が形成されたので、固定部材を配線の固定機能に加え、スイッチケースとして機能させることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、スロットルグリップの基端が連動部材に連結されて当該スロットルグリップ及び固定部材が一体部品として構成されたので、その一体部品を構成する固定部材に配線を固定させることができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、スロットルグリップは、正方向及び逆方向に回転操作可能とされるので、スロットルグリップが正方向のみに回転操作可能なものに比べて回転操作角度が大きくなり、スロットルグリップの回転操作に応じて配線がより広い範囲で移動するものであっても、スロットルグリップの加温手段から延びる配線を常に所定の位置で固定させることにより、車種毎の配線の耐久性確認を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るスロットルグリップ加温装置の外観を示す斜視図
【
図2】同スロットルグリップ加温装置の外観を示す平面図及び正面図
【
図3】同スロットルグリップ加温装置の外観を示す底面図
【
図6】同スロットルグリップ加温装置のスロットルグリップを示す斜視図
【
図8】同スロットルグリップに加温手段が取り付けられた状態を示す斜視図
【
図9】同スロットルグリップ加温装置の固定部材を示す3面図
【
図11】同スロットルグリップ加温装置の固定手段を示す斜視図
【
図13】同スロットルグリップ加温装置のスロットルグリップの回転操作により移動する配線を示す斜視図
【
図14】同スロットルグリップ加温装置のスロットルグリップの回転操作により移動する配線を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るスロットルグリップ加温装置は、二輪車等の車両に取り付けられたスロットルグリップの把持部を加温可能とされたもので、
図1~8に示すように、二輪車のハンドルバーH(ハンドルパイプ)に取り付けられたスロットルグリップ1と、加温手段2(
図8参照)と、固定部材Cと、連動部材3と、スロットルグリップ1の回転角度を検出するための回転角度検出手段5と、加温手段2から延設された配線hと、配線hを固定するための固定手段10とを有して構成されている。
【0020】
スロットルグリップ1は、
図1~3に示すように、ハンドルバーHに固定された固定部材Cの近傍に取り付けられ、運転者が把持しつつ軸Lを中心として回転操作可能なもので、本実施形態においては、正方向α及び逆方向βに回転操作可能とされている。そして、スロットルグリップ1が初期位置から正方向αに回転操作されたとき、回転角度検出手段5で検出されたスロットルグリップ1の回転角度に応じて車両の駆動源を制御可能とされ、スロットルグリップ1が初期位置から逆方向βに回転操作されたとき、車両が具備する所定の電装品を操作可能(例えば、クルーズコントロールシステムをオフ操作可能)とされている。
【0021】
また、本実施形態に係るスロットルグリップ1は、
図6、7に示すように、所定の樹脂材(例えば、エラストマー等の軟質樹脂やゴム材等)から成る外部材1aと、筒状に成形した硬質樹脂(例えば、ガラス繊維入りのナイロン6等の硬質樹脂)から成る内部材1bと、外部材1a及び内部材1bの間に介在する加温手段2とを有して構成されている。また、スロットルグリップ1の内部材における基端側には、連動部材3と係止可能な係止部1baが形成されている。
【0022】
加温手段2は、
図7、8に示すように、スロットルグリップ1の把持部に取り付けられ、車両に搭載されたバッテリ(不図示)から延設した配線hが接続されるとともに、通電により発熱して把持部を加温可能とされたものである。具体的には、本実施形態に係る加温手段2は、電熱線パターンが形成されたフレキシブル基板から成り、
図8に示すように、内部材1bの外周面に巻き付けられるとともに、接続部aを介して配線hに接続されている。
【0023】
そして、加温手段2が巻き付けられた内部材1bを所定の型内に載置し、その外周に所定の樹脂材から成る外部材1aをインサート成形することにより、加温手段2を内在させたスロットルグリップ1を得ることができる。
【0024】
配線hは、加温手段2と車両に搭載されたバッテリとを電気的に接続し、加温手段2に通電可能とする配線コードから成るものであり、加温手段2に対する通電により電熱線パターンが形成された部位が発熱してスロットルグリップ1の把持部を加温可能とされている。
【0025】
固定部材Cは、
図1~3に示すように、二輪車(車両)のハンドルバーHの先端側(スロットルグリップ1の基端側)に固定されたケースから成るもので、第1固定部材Caと第2固定部材Cbとを取付ネジn(
図3、9参照)にて固定して構成されている。かかる固定部材Cには、車両が具備する各種電装品を操作する操作部t1、t2が形成されるとともに、
図4、5に示すように、連動部材3と、小ギア4と、回転角度検出手段5とが収容されている。なお、図中符号wは、検出センサ8から延設された配線を示している。
【0026】
連動部材3は、スロットルグリップ1の基端に形成された係止部1ba(
図6、7参照)と係止され、スロットルグリップ1の回転操作と共に回転し得るもので、
図10に示すように、一部にギア部が形成されるとともに、リターンスプリングSによって初期位置に付勢されている。小ギア4は、外周面に連動部材3のギア部と嵌合可能なギア部が形成された円板状部材から成り、連動部材3の回転と共に回転可能とされている。なお、リターンスプリングSは、ケーシング9(
図4参照、
図10においては取り外された状態となっている)に収容されており、当該ケーシング9の所定部位に小ギア4が回転自在に取り付けられている。
【0027】
回転角度検出手段5は、連動部材3の回転角度を検出することによりスロットルグリップ1の回転角度を検出し、その検出信号を二輪車が搭載するECU等電子制御装置に配線w(
図2、3参照)を介して送信するためのもので、小ギア4と連結された円板状の磁石6と、磁石の磁気変化を検出可能な検出センサ8とを有して構成されている。なお、小ギア4及び磁石6は、共通の回転軸部材を有しており、連動部材3の回転に伴って両部材が回転可能とされている。また、磁石6及び検出センサ8は、非磁性体材料から成るケースD内に収容されている。
【0028】
検出センサ8は、
図4、5に示すように、磁石6の中心部と対向した位置に配設された基板7に取り付けられた磁気センサから成り、磁石6から生じる磁気の変化を検出することにより、連動部材3の回転角度を検出し、スロットルグリップ1の回転角度を検出可能とされている。具体的には、検出センサ
8は、磁石6の磁場変化(磁束密度の変化)に応じた出力電圧を得ることができるもので、例えばホール効果を利用した磁気センサであるホール素子(具体的には、磁石6の磁場(磁束密度)に比例した出力電圧を得ることができるリニアホールIC)等により構成されている。そして、スロットルグリップ1が回転操作されて連動部材3が回転するのに伴い、小ギア4及び磁石6が回転すると、磁気が変化することとなる。
【0029】
これにより、連動部材3の回転角度によって磁気が変化するので、当該回転角度に応じた出力電圧を得ることができ、当該出力電圧に基づき連動部材3の回転角度(即ち、スロットルグリップ1の回転角度)を検出することが可能とされている。このように検出されたスロットルグリップ1の回転角度は、配線wを介して二輪車に搭載されたECU(エンジン・コントロール・ユニット)に対して電気信号として送信され、送信されたスロットルグリップ1の回転角度に応じて車両のエンジンが制御され得るようになっている。
【0030】
このように、本実施形態においては、スロットルグリップ1の基端が連動部材3に連結されて当該スロットルグリップ1及び固定部材Cが一体化されており、固定部材C及びスロットルグリップ1が一体部品として取り扱われるようになっている。しかして、車両の組み付け工場において、固定部材C及びスロットルグリップ1が一体部品としてハンドルバーHに取り付けられることとなる。
【0031】
ここで、本実施形態に係るスロットルグリップ加温装置は、加温手段2から延設された配線hが固定部材Cの任意位置に固定されるよう構成されている。すなわち、固定部材Cは、表面の任意位置(本実施形態においては、取付ネジnが取り付けられる位置)に固定手段10が取り付けられており、当該固定手段10に配線hが固定されるようになっている。
【0032】
固定手段10は、
図11、12に示すように、ステー部10aと、ブッシュ部10bと、結束バンド10cとを有して構成されている。ステー部10aは、一端側に挿通孔10aaを有するとともに、他端側にブッシュ部10bが取り付けられた金属製のステーから成り、挿通孔10aaに取付ネジnを挿通可能とされている。ブッシュ部10bは、挿通孔10baが形成された円筒状のゴム又は樹脂材から成り、挿通孔10baに配線hが挿通可能とされている。また、結束バンド10cは、ブッシュ部10bに取り付けられ、挿通孔10baに挿通された配線hを固定するためのものである。
【0033】
そして、本実施形態に係る固定手段10は、ブッシュ部10bに配線hを挿通して結束バンド10cで固定するとともに、第1固定部材Ca及び第2固定部材Cbを取付ネジnで固定する際、その取付ネジnをステー部10aの挿通孔10aaに挿通させて共締めされるようになっている。これにより、固定手段10は、
図3に示すように、取付ネジnにて共締めされて固定部材Cに固定され、その固定位置で配線hを固定することができる。
【0034】
このように、本実施形態においては、配線hが固定部材Cの任意位置(取付ネジnによる共締め位置)に固定されるので、
図13、14に示すように、スロットルグリップ1を正方向αに回転させた場合、スロットルグリップ1及び固定手段10の間における配線hは、配線h1まで移動するとともに、スロットルグリップ1を逆方向βに回転させた場合、スロットルグリップ1及び固定手段10の間における配線hは、配線h2まで移動することとなる。
【0035】
本実施形態によれば、配線hは、固定部材Cの任意位置に固定されたので、スロットルグリップ1の加温手段2から延びる配線hを常に所定の位置(本実施形態においては、固定部材Cの取付ネジnの位置)で固定させることにより、車体側に配線hを固定するものに比べ、車種毎の配線hの耐久性確認を不要とすることができる。また、本実施形態に係る固定部材Cは、表面の任意位置に固定手段10が取り付けられ、当該固定手段10に配線hが固定されたので、固定手段10によって配線hを円滑且つ確実に固定させることができる。
【0036】
さらに、本実施形態に係る固定部材Cは、取付ネジnにて固定された第1固定部材Ca及び第2固定部材Cbから成るとともに、固定手段10は、取付ネジnにより共締めされて固定されたので、固定部材Cを組み付けるための取付ネジnを流用して固定手段10を固定させることができ、部品点数を削減することができる。またさらに、本実施形態に係る固定部材Cは、車両が具備する各種電装品を操作する操作部(t1、t2)が形成されたので、固定部材Cを配線hの固定機能に加え、スイッチケースとして機能させることができる。
【0037】
加えて、本実施形態によれば、スロットルグリップ1の基端が連動部材3に連結されて当該スロットルグリップ1及び固定部材Cが一体化されたので、固定部材C及びスロットルグリップ1が一体部品としてハンドルバーHに取り付けられることとなり、その一体部品を構成する固定部材Cに配線hを固定させることができる。すなわち、一体部品を構成する固定部材Cにて配線hを固定させることにより、車体側による配線hの固定が不要となり、車種毎の配線の耐久性確認を不要とすることができるのである。
【0038】
さらに、本実施形態に係るスロットルグリップ1は、正方向α及び逆方向βに回転操作可能とされるので、スロットルグリップ1が正方向αのみに回転操作可能なものに比べて回転操作角度が大きくなり、スロットルグリップ1の回転操作に応じて配線hがより広い範囲で移動するものであっても、スロットルグリップ1の加温手段2から延びる配線hを常に所定の位置で固定させることにより、車種毎の配線の耐久性確認を不要とすることができる。
【0039】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば固定手段10を他の取付ネジnに共締めさせるようにしてもよく、或いは共締めによる固定でなく、任意の位置に配線hを固定させるようにしてもよい。また、固定部材Cは、配線hを固定するものであれば足り、連動部材3及び回転角度検出手段5等を具備しないもの(すなわち、スロットルグリップ1から延設された操作ワイヤにてエンジンを制御するもの等)に適用してもよい。
【0040】
さらに、固定手段10は、配線hを固定する他の形態のもの(例えば、ステーのみで構成されたもの等)であってもよく、別個の固定手段10を具備せず、固定部材Cの一部に配線hを固定する部位が形成されたものであってもよい。またさらに、本実施形態に係るスロットルグリップ1においては、正方向α及び逆方向βに回転操作可能とされているが、正方向αのみ回転操作可能なものであってもよい。なお、適用される車両は、本実施形態の如く二輪車に限定されるものではなく、ハンドルバーHを有した他の車両(例えばATVやスノーモービル等)に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
配線が固定部材の任意位置に固定されたスロットルグリップ加温装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 スロットルグリップ
1a 外部材
1b 内部材
1ba 係止部
2 加温手段
3 連動部材
4 小ギア
5 回転角度検出手段
6 磁石
7 基板
8 検出センサ
9 ケーシング
10 固定手段
10a ステー部
10aa 挿通孔
10b ブッシュ部
10ba 挿通孔
10c 結束バンド
h 配線
h1 スロットルグリップを正方向に回転したときの配線
h2 スロットルグリップを逆方向に回転したときの配線
w ケース用配線
C 固定部材
Ca 第1固定部材
Cb 第2固定部材
H ハンドルバー
n 取付ネジ
S リターンスプリング
D ケース
a 接続部
t1 操作部
t2 操作部