(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】マイクロコイル付き磁性ワイヤおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 5/00 20060101AFI20240730BHJP
H01F 5/04 20060101ALI20240730BHJP
H01F 5/06 20060101ALI20240730BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01F5/00 Z
H01F5/04 B
H01F5/06 H
H01F5/00 E
H01F41/04 E
(21)【出願番号】P 2024015295
(22)【出願日】2024-02-02
【審査請求日】2024-03-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】713000630
【氏名又は名称】マグネデザイン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】本蔵 義信
(72)【発明者】
【氏名】本蔵 晋平
(72)【発明者】
【氏名】菊池 永喜
(72)【発明者】
【氏名】工藤 一恵
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-002055(JP,A)
【文献】実開平02-009406(JP,U)
【文献】特開2020-173230(JP,A)
【文献】特開2000-346920(JP,A)
【文献】特開平03-255380(JP,A)
【文献】特開平04-233483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 5/00
H01F 5/04
H01F 5/06
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁被膜付き磁性ワイヤ(以下、磁性ワイヤという。)と導電性コイル(以下、コイルという。)と外部絶縁被膜とからなるマイクロコイル付き磁性ワイヤにおいて、
前記磁性ワイヤは、直径は5μm~1mm、有効透磁率は1000以上の磁性ワイヤの外周には膜厚2μm以下のガラス、樹脂または酸化物等の絶縁性材料が被覆されており、
前記コイルは、前記磁性ワイヤを周回するコイル本体と前記コイル本体の両端のコイル電極とからなり、前記コイル本体のコイルピッチは2μm~10μmのCu、Al、Au等の導電性に優れた導電性材料からなり、
かつ、前記コイルは、前記磁性ワイヤに沿って周期的間隔で配置され、
前記外部絶縁被膜は、前記コイルと外部との間を電気絶縁するための被膜にて、かつ環境ダメージから
前記コイルを保護する被膜で、膜厚100μm以下よりなる、
ことを特徴とするマイクロコイル付き磁性ワイヤ。
【請求項2】
請求項1に記載されたマイクロコイル付き磁性ワイヤ(マイクロコイル素子)の製造方法は、
(1)絶縁被膜付き磁性ワイヤ(以下、磁性ワイヤという。)を蒸着装置の中に設置し、
(2)前記磁性ワイヤを回転しながら、伝導性に優れた金属被膜をワイヤ表面に均一に蒸着し、
(3)続いて、前記金属被膜の上に一様なレジスト被膜を塗布し、
(4)一定速度で回転送りできるワイヤ送り装置を露光装置の中に取り付け、コイル本体露光用のスリットを有するマスクを使って、露光しながら前記磁性ワイヤを1回転し、その際の送り量は前記コイル本体のピッチ量とし、かつ露光時間は送り時間と一致させて露光を行い、
続いて、コイル電極露光用のスリットを有するマスクを使って、コイル両端にコイル電極を露光し、
(5)露光後に現像を行い、露光箇所以外のレジストを取り除き、続いてレジストが取り除かれた部位の金属を化学エッチングで除去することによって、前記磁性ワイヤ表面の絶縁被膜上にコイル本体およびコイル電極を形成し、
(6)次に、前記コイル本体およびコイル電極よりなるコイルと外部との間を電気絶縁するための外部絶縁被膜を塗布する、
ことを特徴とするマイクロコイル素子付き磁性ワイヤ(マイクロコイル素子)の製造方法。
【請求項3】
マイクロコイル素子の製造方法は、請求項2により製造されたマイクロコイル付き磁性ワイヤから切り出しにより個片化することを特徴とするマイクロコイル素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性ワイヤ表面に直接半導体プロセスでマイクロコイルを形成するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロコイル部品は、磁気センサ、マイクロ電磁石、マイクロ発電機、インダクタンス部品などに広く使用されている。いずれもコイル巻き数あるいはコイルピッチ(単位長さ当たりのコイル巻き数密度)および磁性ワイヤの有効透磁率や体積によって、その性能は大きく左右される。マイクロコイルの場合、性能改善のためには、磁性ワイヤの体積が非常に小さいので、コイルピッチを微細化してコイル巻き数を増やすことが必要である。
【0003】
機械巻き式のマイクロコイルは、直径1mm以下の磁性ワイヤにその表面にボビンを取り付けてそこにマイクロコイルを機械的に巻き付けた場合、エナメル線の線径を考慮するとコイルピッチ10μmが限界である。さらにボビンが必要であることを考慮すると、磁性ワイヤ径に100μmから200μm程度は増加してしまい、マイクロサイズ化は困難である。
【0004】
半導体プロセスを使ったマイクロコイルは、特許文献1(特許第5747294号)に開示されている。現在コイルピッチ3μmが実現されており、コイルピッチ10μmが限界の機械式コイルよりも有望である。しかし、基板上にマイクロコイルを形成しているために、その基板サイズは、幅200μm、厚み200μmが必要で、全体としては大きなものとなっている。カテーテル、胃カメラなど生体内医療機器内で、磁気センサ、マイクロ発電機、マイクロ振動子、あるいはマイクロ電磁石として使用する場合には、装入される空間の広さが極めて狭いために基板を省略し、マイクロコイルを磁性ワイヤに直接取り付けることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体プロセスで形成したマイクロコイルの基板を省略するためには、マイクロコイルを直接絶縁被覆付きの磁性ワイヤの表面にマイクロコイルを形成する必要がある。半導体プロセスは、平面基板にマイクロ配線パターンを焼き付ける技術であるが、その技術を使って3次元の磁性ワイヤ表面にマイクロコイルを焼き付ける新技術を開発することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の技術課題を鋭意検討した結果、磁性ワイヤを横方向に送りながら回転露光すれば、マイクロコイルが形成できるという本発明の技術的思想に至った。
その考え方は、まず、絶縁被膜付きの磁性ワイヤ表面に導電性薄膜を積層し、その上にレジストを塗布し、それをワイヤ送りながら回転露光を行い、その後エッチング処理をした後、コイルに保護被膜を取り付けてマイクロコイルを形成するというものである。
【0008】
マイクロコイル付き磁性ワイヤは、
磁性ワイヤを磁心として、導電性コイルと外部絶縁被膜とからなり、
磁性ワイヤは、絶縁被覆付きで直径5μm~1mmで、導電性コイルは、コイルピッチ2μm~200μmのCu,Al、Auなど導電性に優れた導電性材料よりなり、
外部絶縁被膜は、コイルを外部との間の電気絶縁し、さらに環境ダメージから膜を保護するもので、膜厚100μm以下である。
【0009】
ホトリソグラフィ技術で大きな曲率凹凸のある磁性ワイヤ表面にマイクロコイル配線をパターニングする場合、ワイヤの頂点以外は曲率によりマスクとワイヤレジスト被膜との間には間隔が生じて、露光時露光不足となるので、ワイヤを回転することで、露光幅が一定となるように露光時間と回転の送り速度を調整する。例えば、送りピッチ5μmの場合、1回転の回転速度と送り量5μmを同期させ、送り時間を露光時間と一致させることで実現できることを見出した。
【0010】
ワイヤ表面へ金属皮膜の蒸着は、真空チャンバーの中で、表面にむらなく蒸着するために回転装置により回転しながら行った。次いで、金属被膜の上にレジスト塗布、露光後現像を行う。絶縁被膜の上の回転露光マスクにコイル単体の巻き数に対応したスリットを設け、このマスクを使って回転露光し、つぎに露光箇所以外のレジストをエッチングで取り除き、レジストが取り除かれた部位の金属を化学エッチングで除去することで実現できることを見出した。
【0011】
最終製品であるマイクロコイル付き磁性ワイヤは、ボビンに巻き付けて取り扱いを容易な梱包形状とした。応用する場合は、適量の長さに切断し、コイル電極を電極端子としてコイル配線を行なって取り扱うことができる。
【0012】
また、マイクロコイル付き磁性ワイヤは、コイル電極を周期的間隔で取り付けて、コイル電極配線を容易にしたものである。コイル電極は、一定の周期でコイル間に広い空きスペースを設け、そこに両側コイルの端にコイル線幅より幅広のコイル電極を露光することで実現できる。これは、ピックアップコイルや、電磁コイル磁石や、磁性ワイヤの磁化状態の変化をコイルで検出するマイクロ発電機などの用途に適している。
【0013】
以上のマイクロコイルはいずれも外部環境への漏電を阻止し、かつ外部環境からの機械的、熱的、化学的ダメージを回避するために、回転移動しながら外部絶縁被膜を取り付ける。絶縁被膜の厚さは100μm以下、磁性ワイヤの直径に応じて好ましくは30μm~10μmである。
【0014】
マイクロコイルと、外部機器との電気配線については、外部絶縁被膜のコイルの開口されているパッド部の電極端子に、外部からの引き込み線と接合し、絶縁処理を施すことによって、マイクロコイルの直径をほとんど変えることなく電気配線処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
半導体プロセスを活用することによって、直径10μmで、コイルピッチ5μm程度のマイクロコイルを直接磁性ワイヤに取り付けることが実現できる。これにより、極小のサイズで磁気変換率が高いマイクロコイルは、生体内で使用される磁気センサ、マイクロ電磁石、マイクロ発電機、インダクタンス部品の機能を高める上で、極めて有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】マイクロコイル付き磁性ワイヤを示す概念の斜視図である。
【
図2】マイクロコイル付き磁性ワイヤのA1-A2線における断面図である。
【
図3】多数のマイクロコイル付き磁性ワイヤからなる概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のマイクロコイル付き磁性ワイヤは、
絶縁被膜付き磁性ワイヤ(以下、磁性ワイヤという。)と導電性コイル(以下、コイルという。)と外部絶縁被膜とを備えてなり、
前記磁性ワイヤは、直径は5μm~1mm、有効透磁率は1000以上の磁性ワイヤの外周には膜厚2μm以下のガラス、樹脂または酸化物等の絶縁性材料が被覆されており、
前記コイルは、前記磁性ワイヤを周回するコイル本体と前記コイル本体の両端のコイル電極とからなり、前記コイル本体のコイルピッチは2μm~10μmのCu、Al、Au等の導電性に優れた導電性材料からなり、
前記外部絶縁被膜は、前記コイルと外部との間を電気絶縁するための被膜にて、かつ環境ダメージから前記コイルを保護する被膜で、膜厚100μm以下よりなる、
ことを特徴とする。
【0018】
また、マイクロコイル付き磁性ワイヤは、コイル電極を周期的間隔で有することを特徴とする。
【0019】
また、マイクコイル付き磁性ワイヤは、多数のマイクコイル付き磁性ワイヤ(マイクロコイル素子)からなることを特徴とする。
【0020】
マイクロコイル付き磁性ワイヤの製造方法は、
(1)絶縁被膜付き磁性ワイヤ(以下、磁性ワイヤという。)を蒸着装置の中に設置し、
(2)前記磁性ワイヤを回転しながら、伝導性に優れた金属被膜をワイヤ表面に均一に蒸着し、
(3)続いて、前記金属被膜の上に一様なレジスト被膜を塗布し、
(4)一定速度で回転送りできるワイヤ送り装置を露光装置の中に取り付け、コイル本体露光用のスリットを有するマスクを使って、露光しながら前記磁性ワイヤを1回転し、その際の送り量は前記コイル本体のピッチ量とし、かつ露光時間は送り時間と一致させて露光を行い、
続いて、コイル電極露光用のスリットを有するマスクを使って、コイル両端にコイル電極を露光し、
(5)露光後に現像を行い、露光箇所以外のレジストを取り除き、続いてレジストが取り除かれた部位の金属を化学エッチングで除去することによって、前記磁性ワイヤ表面の絶縁被膜上にコイル本体およびコイル電極を形成し、
(6)次に、前記コイル本体およびコイル電極よりなるコイルと外部との間を電気絶縁するための外部絶縁被膜を塗布する
ことを特徴とする。
なお、マイクロコイル素子は、マイクロコイル付き磁性ワイヤから切出しにより個片化することによって製造することができる。
【0021】
以下、
図1~
図3を用いて、詳細に説明する。
<絶縁被膜付き磁性ワイヤ(磁性ワイヤ)>
絶縁被膜付き磁性ワイヤ11(21、31)は、磁性ワイヤ210を磁心としてその外周に膜厚2mm以下のガラス、樹脂または酸化物等の絶縁性材料21Gが被覆されている。
磁性ワイヤ210の直径は5μm~1mmで、マイクロ発電機、マイクロ振動子および電磁石の用途には100μm~500μmが好ましい。
なお、膜厚2mm以下の絶縁性材料の被覆では不十分の場合には、この絶縁材料21Gの表面に樹脂等の絶縁材料を追加的に被覆し、その表面に導電性コイルを形成してもよい。
【0022】
<導電性コイル(コイル)>
導電性コイル(コイル)12(22、32)は、絶縁被覆付き磁性ワイヤ11(21、31)を周回するコイル本体121(22、321)とコイル本体の両端に配置されたコイル電極122(322)とからなる。
また、導電性コイル12(22、32)は、コイルピッチは2μm~200μmの
Cu、Al、Au等の導電性に優れた導電性材料からなる。コイルピッチは微細なほど好ましいが、コイル抵抗を考慮して用途に応じて異なっている。マイクロ発電機、マイクロ振動子や電磁石の用途には、コイルピッチは5μm~20μmが好ましい。
線幅は、コイルピッチの略半分とする。
【0023】
コイル電極122(322)は、両側のコイル端に接続する形で取り付けられており、そのサイズはコイル線幅の5~10倍を目安とする。
【0024】
<外部絶縁被膜>
外部絶縁被膜23は、導電性コイルを外部との間を電気絶縁し、さらに環境ダメージから導電性コイルおよび絶縁被膜自身を保護するもので、膜厚100μm以下とする。好ましくは、30μm~10μmである。
【0025】
<コイル電極の周期的間隔>
コイル電極322は、一定の周期でコイル間32に広い空きスペースを設け、そこにコイルの321両端にコイル線幅より幅広のコイル電極322を露光することで実現できる。これは、ピックアップコイルや、電磁コイル磁石や、磁性ワイヤの磁化状態の変化をコイルで検出するマイクロ発電機などの用途に適している。
【0026】
<マイクロコイル付き磁性ワイヤおよびマイクロコイル素子の製造方法>
図4のフロー図により、マイクロコイル付き磁性ワイヤ(マイクロコイル素子)の製造方法を説明する。
ここで、マイクロコイル素子1は、多数のマイクロコイル素子30からなるマイクロコイル付き磁性ワイヤ3を製造し、最後に個片化してマイクロ素子1を作製する。
【0027】
ステップ401;
絶縁被膜付き磁性ワイヤ(以下、磁性ワイヤという。)を蒸着装置の中に設置する。
磁性ワイヤの長さ(マイクロコイル形成部位)は、蒸着装置の内部の大きさ、コイルピッチとコイル巻き数、マイクロコイル素子の数量により50mm~300mmである。
磁性ワイヤの絶縁被膜の厚みが、磁性ワイヤの直径等を考慮して薄い場合には、予め絶縁被膜の上に絶縁樹脂等を被膜して厚くしてもよい。
【0028】
ステップ402;
前記磁性ワイヤを回転しながら、伝導性に優れた金属被膜をワイヤ表面に均一に蒸着する。
金属被膜の厚さは、0.5μm~3μmである。
【0029】
ステップ403;
続いて、前記金属被膜の上に一様なレジスト被膜を塗布する。
塗布の方法は、磁性ワイヤにスプレーによる均一に塗布する方法や磁性ワイヤに塗布して回転により均一にする方法などがある。
【0030】
ステップ404;
一定速度で回転送りできるワイヤ送り装置を露光装置の中に取り付け、コイル本体露光用のスリットを有するマスクを使って、露光しながら前記磁性ワイヤを1回転し、その際の送り量は前記コイル本体のピッチ量とし、かつ露光時間は送り時間と一致させて露光を行う。
続いて、コイル電極露光用のスリットを有するマスクを使って、コイル両端にコイル電極を露光する。
【0031】
ステップ405;
露光後にエッチングを行い、露光箇所以外のレジストを取り除き、続いてレジストが取り除かれた部位の金属を化学エッチングで除去することによって、前記磁性ワイヤ表面の絶縁被膜上にコイル本体およびコイル電極を形成する。
【0032】
ステップ406;
次に、前記コイル本体およびコイル電極よりなるコイルと外部との間を電気絶縁するための外部絶縁被膜を塗布する。
【0033】
ステップ407;
マイクロコイル付き磁性ワイヤを形成する。
【0034】
続いて、そのマイクロコイル付き磁性ワイヤからコマイクロイル素子を製作する工程は、以下のとおりである。
ステップ408;
マイクロコイル付き磁性ワイヤに沿って配置されたマイクロコイル素子を一個一個切出して個片化する。
【0035】
ステップ409;
マイクロコイル素子とする。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例のマイクロコイル付き磁性ワイヤ1は、
図1~
図3に示す。
磁性ワイヤ21を磁心として、導電性コイル22と外部絶縁被膜23からなるマイクロコイル付き磁性ワイヤである。磁性ワイヤ31は、膜厚1.0μmのガラス絶縁材料21Gが被覆されている。
磁性ワイヤ21は、直径500μmで、マイクロ発電機、マイクロ振動子や電磁石用途である。
【0037】
導電性コイル12のコイル本体121は、コイルピッチ10μmの導電性に優れた導電材料Auからなる。巻き数は2000回である。
【0038】
コイル用電極122は、両側のコイル端に接続する形で取り付けられており、そのサイズは25μmとする。
【0039】
外部絶縁被膜23は、導電性コイル12(32)間の絶縁および導電性コイル12(32)を外部との間を電気絶縁し、さらに環境ダメージから導電性コイルおよび絶縁被膜自身を保護するもので、膜厚30μmとする。
【0040】
従って、単位素子としてのマイクロコイル素子のサイズは、長さ25mmにて直径は約530μmである。
【0041】
導電性コイルの製造方法は、長さ200mmの磁性ワイヤの絶縁被膜の上に金属皮膜を蒸着し、その上にレジスト塗布し、回転露光マスクにコイル単体の巻き数に対応したスリットを設け、コイル単体同士の間にスペースを設けて、このマスクを使って回転露光する。
次に単体コイルの両端のコイル電極に対応したマスクを用意して露光し、露光箇所以外のレジストを現像で取り除き、レジストが取り除かれた部位の金属を化学エッチングで除去し、コイル本体およびコイル電極を形成する。
【0042】
次に、コイル本体およびコイル電極からなる導電性コイルの上に外部絶縁被膜を塗布する。コイル電極は、外部と接続できるように外部絶縁被膜は除去される。
【0043】
単位素子およびその両端にスペースを加えた長さ25mmのマイクロコイル素子を個片化により8個切り出す。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明のマイクロコイルは、超小型で高性能な電気磁気変換能を有しており、マイクロ発電機、マイクロ振動子、あるいはマイクロ電磁石など幅広い分野で適用を可能にするものである。
【符号の説明】
【0045】
1;マイクロコイル付き磁性ワイヤ
11;絶縁被膜付き磁性ワイヤ
12;導電性コイル
121;コイル本体
122;コイル電極
2;マイクロコイル付き磁性ワイヤ(A1-A2断面)
21;絶縁被膜付き磁性ワイヤ
210;磁性ワイヤ
21G;絶縁被膜(絶縁ガラス)
22;導電性コイル
23;外部絶縁被膜
3;マイクロコイル付き磁性ワイヤ
30;単位素子(マイクロコイル素子)
31;磁性ワイヤ
32;導電性コイル
321;コイル本体
322;コイル電極
【要約】 (修正有)
【課題】半導体プロセスを活用することによって、極小のサイズで磁気変換率が高いマイクロコイル素子、マイクロコイル付き磁性ワイヤ及びマイクロコイル素子付き磁性ワイヤ(マイクロコイル素子)の製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁被膜付き磁性ワイヤ11は、磁性ワイヤを磁心としてその外周に膜厚2mm以下のガラス、樹脂または酸化物等の絶縁性材料が被覆されている。導電性コイル12は、絶縁被覆付き磁性ワイヤを周回するコイル本体121と、コイル本体の両端に配置されたコイル電極122と、からなる。コイル電極は、両側のコイル端に接続する形で取り付けられており、そのサイズはコイル線幅の5~10倍を目安とする。外部絶縁被膜が、導電性コイルを外部との間を電気絶縁し、さらに環境ダメージから導電性コイルおよび絶縁被膜自身を保護する。
【選択図】
図1