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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】アンテナシステム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/06 20060101AFI20240730BHJP
   H01Q 1/12 20060101ALI20240730BHJP
   H01Q 21/30 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01Q21/06
H01Q1/12
H01Q21/30
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020089647
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021184562
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-03-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「IoT/5G時代の様々な電波環境に対応した最適通信方式選択技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】清水 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 和司
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-124814(JP,A)
【文献】特開平09-238009(JP,A)
【文献】登録実用新案第3024387(JP,U)
【文献】特開2009-288022(JP,A)
【文献】特開2010-257463(JP,A)
【文献】特開2009-063583(JP,A)
【文献】国際公開第2007/113939(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0141530(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 21/06
H01Q 1/12
H01Q 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナと、
前記複数のアンテナの間隔を変更することができる間隔変更機構と、を備え
前記間隔変更機構は、複数のリンク状部材が連結されたマジックハンド状の伸縮リンク機構であり、
前記複数のアンテナは、前記伸縮リンク機構における前記リンク状部材が交差する位置でそれぞれ支持されている、アンテナシステム。
【請求項2】
方位、傾き、位置、前記複数のアンテナ間の距離の少なくともいずれかを検出できるセンサをさらに備えた、請求項1記載のアンテナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナを有するアンテナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
干渉となる信号源の探査や、端末の位置の把握などの目的のために、電波の到来方向を把握することが必要となる。その電波の到来方向を推定する手段の一つとして、複数のアンテナに到来する信号の位相差を調べる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、アンテナが2個ある場合において、そのアンテナの受信信号が同じ位相であれば、その2個のアンテナを結ぶ直線に対して垂直な方向から電波が到来していることになる。位相差があれば、その位相差に対応した到来時間の差があることになり、それから到来方向を推定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-352296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、2個のアンテナ間の位相差を波長に置き換えた結果がΔλであったとする。また、2個のアンテナ間の距離をdとすると、アンテナの並ぶ方向に対する入射角θと、Δλ、dとの関係は次の式で表される。
sinθ=Δλ/d
【0006】
ここで、Δλとして把握できるのは、0以上、λ未満の範囲である。例えば、二つのアンテナについて1.5λに相当する位相差があったとしても、0.5λと認識されてしまう。そのようなことが起こらないようにするためには、アンテナ間の距離(間隔)dについて、次式の条件が成り立つことが必要になる。なお、λは電波の波長である。
d<λ/2
【0007】
この粒度でアンテナを設置できれば、到来方向を位相差から把握することが可能になる。一方で、アンテナ間隔を狭くすると、それぞれのアンテナで受信する信号の位相差が小さくなり雑音などによる影響を受けやすくなる。その結果、誤差が発生しやすくなる。したがって、λ/2に近い間隔でアンテナを設置するのが適切である。
【0008】
そのようにλ/2に近い間隔でアンテナを設置した場合には、アンテナ間隔が波長に依存することになる。一般に、アンテナはそれを固定する治具に取り付けられるため、アンテナ間隔の条件を満足するには、使用する周波数を固定するか、周波数を変更するごとにアンテナを取り付け直す、といった作業が必要になってしまう。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電波の種々の周波数に対応することができるアンテナシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によるアンテナシステムは、複数のアンテナと、複数のアンテナの間隔を変更することができる間隔変更機構と、を備えたものである。
【0011】
このような構成により、複数のアンテナの距離を変更できるため、例えば、二つのアンテナの距離がλ/2より短く、かつ、λ/2に近くなるように設置することができるようになる。
【0012】
また、本発明の一態様によるアンテナシステムでは、間隔変更機構は、複数のアンテナを支持する伸縮機構であってもよい。
【0013】
このような構成により、伸縮機構を伸縮させることによって、複数のアンテナの間隔を変更することができる。
【0014】
また、本発明の一態様によるアンテナシステムでは、間隔変更機構は、回動軸を中心として回動可能に連結された複数の支持部材を有しており、複数のアンテナは、複数の支持部材によってそれぞれ支持されてもよい。
【0015】
このような構成により、複数の支持部材を、回動軸を中心として回動させることによって、複数のアンテナの間隔を変更することができる。
【0016】
また、本発明の一態様によるアンテナシステムは、間隔変更機構が、放射状に伸縮する複数の伸縮機構を備えており、複数のアンテナは、複数の伸縮機構によってそれぞれ支持されており、複数の伸縮機構の伸縮に応じて放射状に移動されてもよい。
【0017】
このような構成により、例えば、上面視で円周上に位置している複数のアンテナについて、その円周の半径を変更することができるようになる。その結果、種々の方向について、同様な受信性能を持つようにすることができる。
【0018】
また、本発明の一態様によるアンテナシステムでは、方位、傾き、位置、複数のアンテナ間の距離の少なくともいずれかを検出できるセンサをさらに備えてもよい。
【0019】
このような構成により、例えば、複数のアンテナに対する電波の到来方向と、センサによって検出されたアンテナシステムの方位とを用いて、電波の到来方向を把握することができる。また、例えば、センサによって検出された複数のアンテナの傾きを用いて、アンテナの水平のズレの補正を行うことができる。また、例えば、センサによって検出されたアンテナシステムの位置を用いて、電波の到来方向を取得した場所を把握することができる。また、例えば、センサによって複数のアンテナ間の距離を検出することによって、アンテナの設置時にアンテナ間の距離を手作業で測定しなくてもよいことになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によるアンテナシステムによれば、電波の周波数に応じてアンテナの間隔を変更することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態によるアンテナシステムの構成の一例を示す模式図
図2】同実施の形態によるアンテナシステムの構成の他の一例を示す模式図
図3】同実施の形態によるアンテナシステムの構成の他の一例を示す模式図
図4】同実施の形態によるアンテナシステムの構成の他の一例を示す模式図
図5】同実施の形態によるアンテナシステムの構成の他の一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明によるアンテナシステムについて、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態によるアンテナシステムは、複数のアンテナの間隔を変更することができる間隔変更機構を有するものである。
【0023】
図1は、本実施の形態によるアンテナシステム1の構成を示す模式図である。本実施の形態によるアンテナシステム1は、複数のアンテナ10-1、10-2、10-3と、間隔変更機構20とを備える。なお、アンテナ10-1、10-2、10-3を特に区別しない場合には、アンテナ10と呼ぶこともある。図1では、アンテナシステム1が3個のアンテナ10を有する場合について示しているが、アンテナシステム1が有するアンテナ10の個数は2個以上であればよく、限定されるものではない。アンテナ10は、例えば、ダイポールアンテナなどの無指向性の直線状のアンテナであってもよい。複数のアンテナ10は、例えば、長手方向が鉛直方向となり、上面視において一直線上に位置するように設けられていてもよい。この場合には、アンテナ10の間隔が変更されることによって、複数のアンテナ10は上面視において一直線上を移動してもよい。なお、上記のように、一直線上に並んだ複数のアンテナ10を用いて電波の到来方向を算出する方法はすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0024】
間隔変更機構20は、複数のアンテナ10の間隔を変更することができるものである。間隔変更機構20は、複数のアンテナ10を支持する台状のものであってもよい。図1では、間隔変更機構20が、複数のアンテナ10を支持する伸縮機構であり、特にテレスコピックパイプである場合について示している。図1で示されるように、テレスコピックパイプである間隔変更機構20は、内径の異なる複数のパイプ状部材21~23が互いに接続され、伸縮可能となっているものであってもよい。より具体的には、パイプ状部材21の内部にパイプ状部材22が挿入可能となっており、パイプ状部材22の内部にパイプ状部材23が挿入可能となっている。また、パイプ状部材21~23は、それぞれアンテナ10-1~10-3を支持している。パイプ状部材22、23の挿入の程度を両矢印の方向に変更することによって、複数のアンテナ10の間隔を変更することができる。なお、本実施の形態では、間隔変更機構20によってアンテナ10の下端側が支持される場合について主に説明するが、それ以外のアンテナ10の個所が支持されてもよいことは言うまでもない。
【0025】
パイプ状部材21~23において、他のパイプ状部材が挿入されていない側の端部は、開口していてもよく、または、閉じられていてもよい。例えば、図1において、パイプ状部材21~23の左側の端部や、パイプ状部材23の右側の端部は、閉じられていてもよい。
【0026】
なお、図1では、パイプ状部材21~23の長手方向に垂直な断面形状が矩形状である場合について示しているが、その断面形状は、例えば、円形状、多角形状、半円形状等であってもよい。
【0027】
また、間隔変更機構20を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、アンテナ10の構造や使用する箇所によっては、導電性ではない材料(例えば、樹脂や木材、セラミック等)であることが好適な場合もあり、導電性の材料(例えば、金属など)であっても問題ない場合や、導電性の材料であることが好適な場合もある。
【0028】
また、間隔変更機構20は、例えば、アンテナ10の個数と同じ個数のパイプ状部材を有していてもよく、または、それ以上の個数のパイプ状部材を有していてもよい。また、パイプ状部材の表面には、アンテナ10間の距離を読み取るための目盛り24が表示されていてもよい。例えば、パイプ状部材22の目盛り24によって、アンテナ10-1とアンテナ10-2との間の距離が示されてもよい。また、例えば、パイプ状部材23の目盛り24によって、アンテナ10-2とアンテナ10-3との間の距離が示されてもよい。
【0029】
また、図1で示される間隔変更機構20の構成は一例であって、間隔変更機構20は、他の伸縮機構によって複数のアンテナ10の間隔を変更できてもよい。例えば、図2で示されるように、間隔変更機構20は、伸縮リンク機構であってもよい。図2は、アンテナ10を透視した状態を示すアンテナシステム1の平面図である。その伸縮リンク機構は、回動軸25によって回動可能に連結された複数のリンク状部材26を有しているマジックハンド状のものであってもよい。そして、リンク状部材26の長手方向の略中央に複数のアンテナ10が設けられていてもよい。この場合には、伸縮リンク機構を図2の両矢印の方向に伸縮させることによって、アンテナ10の間隔を変更することができる。
【0030】
以上のように、本実施の形態によるアンテナシステム1によれば、複数のアンテナ10の間隔を、伸縮機構である間隔変更機構20によって変更できることによって、電波の到来方向を特定するのに好適なアンテナ10の間隔となるように容易に変更することができる。なお、同様のことを実現するために、あらかじめ多くのアンテナを細かい間隔で配置しておき、受信する電波の周波数(波長)に応じた間隔のアンテナのみを用いて電波の受信を行うことも考えられるが、その場合には、受信に用いないアンテナが存在することによって電波が乱され、電波の到来方向の正確な特定を行うことができなくなる。そのため、本実施の形態によるアンテナシステム1のように、アンテナ10の間隔を変更するほうが好適である。
【0031】
次に、本実施の形態によるアンテナシステム1の変形例について説明する。
【0032】
[回動可能に連結された複数の支持部材を有する間隔変更機構]
間隔変更機構20は、図3で示されるように、回動軸30を中心として回動可能に連結された複数の支持部材31~33を有しており、複数の支持部材31~33によってアンテナ10がそれぞれ支持されてもよい。支持部材31~33は、例えば、図3で示されるように、棒状の部材であってもよい。そして、各支持部材31~33の回動軸30と反対側の端部にアンテナ10が設けられていてもよい。このような構成により、支持部材31~33間の角度を変更することによって、アンテナ10の間隔を変更することができる。例えば、複数のアンテナ10の位置を図3の両矢印の方向に変更することによって、アンテナ10の間隔を変更することができる。複数のアンテナ10は、例えば、長手方向が鉛直方向となり、上面視において円弧上に位置するように設けられていてもよい。この場合には、アンテナ10の間隔が変更されることによって、複数のアンテナ10は上面視において円弧上を移動してもよい。なお、円弧上に並んだ複数のアンテナ10を用いて電波の到来方向を算出する方法はすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0033】
なお、各支持部材31~33が、アンテナシステム1の設置面(例えば、床面や地面など)に対して平行になるようにするために、支持部材32、33の回動軸30と反対側の端部の下面側に、円柱状部材41が設けられていてもよい。円柱状部材41は、それが設けられている支持部材32、33の端部と設置面との間の距離を保つためのスペーサであると考えてもよい。
【0034】
また、各アンテナ10の下端側の高さを揃えるため、支持部材31、32の回動軸30と反対側の端部の上面側に、円柱状部材42が設けられていてもよい。円柱状部材42は、アンテナ10が設置される台状部材であると考えてもよい。
【0035】
また、円柱状部材41、42は、上記した目的を達成できるのであれば、他の形状であってもよい。また、支持部材31~33が設置面に対して平行でなくてもよい場合や、アンテナ10の下端側の高さを揃えなくてもよい場合などには、支持部材31~33の回動軸30と反対側の端部に円柱状部材41、42が設けられていなくてもよい。
【0036】
また、支持部材31~33の回動軸30側の端部に支持部材31~33の間の角度を読み取ることができる目盛りが表示されていてもよい。そのようにすることで、読み取った角度を用いて、アンテナ10間の距離を特定することができるようになる。
【0037】
また、図3では、扇状に配置された棒状の支持部材31~33について示しているが、支持部材31~33は、棒状以外のものであってもよい。
【0038】
また、図3では、アンテナ10の個数が3個である場合について示しているが、それら以外であってもよいことは言うまでもない。また、図3において、支持部材31~33は、それぞれ伸縮可能なものであってもよい。伸縮可能な支持部材は、例えば、テレスコピックパイプであってもよい。
【0039】
[放射状に伸縮する複数の伸縮機構を有する間隔変更機構]
間隔変更機構20は、図4で示されるように、放射状に伸縮する複数の伸縮機構51~56を備えていてもよい。複数の伸縮機構51~56は、それぞれ本体部51-1~56-1と、先端部51-2~56-2とを備えており、本体部51-1~56-1に先端部51-2~56-2がそれぞれ挿入されており、その挿入の程度が変更されることによって、両矢印で示される方向に伸縮するようになっていてもよい。この場合には、伸縮機構51~56は、それぞれテレスコピックパイプによって構成されることになる。なお、図4では、2個の内径の異なるパイプが接続されることによって伸縮機構51~56が構成される場合について示しているが、3個以上の内径の異なるパイプが接続されてもよいことは言うまでもない。
【0040】
また、図4では、上面視において伸縮方向が等方的になるように伸縮機構51~56が配置されている場合、すなわち伸縮機構51~56の伸縮方向に沿った直線間の角度が等しい場合について示しているが、そうでなくてもよい。また、伸縮機構51~56は、テレスコピックパイプ以外であってもよいことは言うまでもない。また、図4では、間隔変更機構20が6個の伸縮機構51~56を有する場合について示しているが、間隔変更機構20が有する伸縮機構の個数は、3個以上であればよく、その個数を問わない。また、図4では、伸縮機構51~56の中心側、すなわち本体部51-1~56-1の基端側が固定されている場合について示しているが、そうでなくてもよい。例えば、伸縮機構51~56の中心側は、回動軸を中心として回動可能に連結されていてもよい。
【0041】
複数のアンテナ10-1~10-6は、複数の伸縮機構51~56によってそれぞれ支持されている。より具体的には、複数のアンテナ10-1~10-6は、それぞれ複数の先端部51-2~56-2によって支持されている。そのため、複数の伸縮機構51~56の伸縮に応じて、複数のアンテナ10-1~10-6は放射状に移動されることになる。したがって、例えば、複数のアンテナ10が、上面視で円形状に配置されるようにすることもできる。そして、各伸縮機構51~56が伸縮することによって、その円形状の半径を変更することもできる。そのようにアンテナ10が配置されることによって、種々の方向について、同様な受信性能を持つようにすることができる。例えば、複数のアンテナ10が一直線上に並んでいる場合には、その直線に対して垂直に近い方向から到来する電波については、到来方向の検出精度が高くなる。しかしながら、その直線に近い方向から到来する電波については、到来方向の検出精度が低くなる。一方、図4で示されるように、アンテナ10が円形状に配置されている場合には、電波の到来方向に対して垂直に近い並びのアンテナ10が存在することになるため、どのような方向についても、同様な精度で到来方向を検出することができるようになる。また、複数のアンテナ10が円形状に配置されている場合には、例えば、電波の到来方向(例えば、東西方向など)だけでなく、波源のある側(例えば、西側、東側など)も特定できるようになる。
【0042】
[センサ]
アンテナシステム1は、図5で示されるように、センサ50をさらに備えていてもよい。センサ50は、例えば、方位、傾き、位置、複数のアンテナ10間の距離の少なくともいずれかを検出できるものであってもよい。センサ50は、通常、間隔変更機構20に取り付けられる。
【0043】
方位を検出するセンサ50は、例えば、地磁気センサや、方位センサ等であってもよい。この場合には、例えば、複数のアンテナ10を用いて特定された、アンテナシステム1に対する電波の到来方向である相対角度と、センサ50によって取得されたアンテナシステム1の絶対角度とを用いて、電波の到来方向を示す絶対角度(例えば、北を0度とする方位角など)を特定できるようになる。
【0044】
傾きを検出するセンサ50は、例えば、傾斜センサであってもよい。この場合には、例えば、検出されたアンテナシステム1の傾斜角度を用いて、アンテナ10の水平からのズレの補正を行うことも可能になる。
【0045】
位置を検出するセンサ50は、例えば、GPS(Global Positioning System)センサ等であってもよい。この場合には、例えば、電波の到来方向を特定した位置を取得することができるようになる。また、GPSセンサであるセンサ50を用いて、到来方向を特定するために電波を受信した時刻を記録してもよい。
【0046】
複数のアンテナ10間の距離を検出するセンサ50は、例えば、測距センサであってもよい。測距センサは、例えば、レーザレンジセンサ(レーザレンジスキャナ)などのレーザセンサや、超音波センサ、マイクロ波を用いた距離センサ等であってもよい。この場合には、例えば、検出されたアンテナ10間の距離を用いることによって、アンテナ10間の距離を手作業で測定しなくてもよいことになる。例えば、複数のアンテナ10の間隔が、目分量で受信する電波の半波長未満となるように複数のアンテナ10を配置すればよいことになり、アンテナ10の配置を行う際の作業性を向上させることができる。
【0047】
なお、センサ50によって2以上の検出が行われる場合には、センサ50は、2以上のセンサの集合であってもよい。例えば、センサ50によって方位と傾きが検出される場合には、センサ50は、地磁気センサと傾斜センサとを有していてもよい。また、図5では、センサ50が図4で示されるアンテナシステム1に設けられた場合について示しているが、そうでなくてもよい。センサ50は、図1図3で示されるいずれかのアンテナシステム1に設けられてもよく、その他のアンテナシステム1に設けられてもよい。
【0048】
[送信アンテナ]
本実施の形態では、複数のアンテナ10を受信アンテナとして用いる場合について主に説明したが、電波の対称性から、複数のアンテナ10を送信アンテナ、または送受信アンテナとして用いる場合にも同様に適用することができることは言うまでもない。
【0049】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上より、本発明の一態様によるアンテナシステムによれば、複数のアンテナの間隔を、電波の周波数に応じて容易に変更できるという効果が得られ、例えば、電波の到来方向を取得するために用いられるアンテナシステムとして有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 アンテナシステム
10、10-1~10-6 アンテナ
20 間隔変更機構
31~33 支持部材
50 センサ
51~56 伸縮機構
図1
図2
図3
図4
図5