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特許7529245配信システム、配信システムの制御方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】配信システム、配信システムの制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/86 20140101AFI20240730BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20240730BHJP
   A63F 13/497 20140101ALI20240730BHJP
   A63F 13/53 20140101ALI20240730BHJP
   H04L 67/02 20220101ALI20240730BHJP
   H04N 21/266 20110101ALI20240730BHJP
   H04N 21/258 20110101ALI20240730BHJP
【FI】
A63F13/86
A63F13/35
A63F13/497
A63F13/53
H04L67/02
H04N21/266
H04N21/258
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020094742
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021186260
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】506113602
【氏名又は名称】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【弁理士】
【氏名又は名称】小田原 敬一
(72)【発明者】
【氏名】千葉 茂
(72)【発明者】
【氏名】井上 快
(72)【発明者】
【氏名】平井 純貴
(72)【発明者】
【氏名】酒井 昭
(72)【発明者】
【氏名】進邦 嗣郎
(72)【発明者】
【氏名】金原 俊明
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-011849(JP,A)
【文献】特開2001-321573(JP,A)
【文献】特開2018-093962(JP,A)
【文献】特開2019-164792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98,9/24
H04L 67/02
H04N 21/258,21/266
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤがゲーム端末においてプレイしているゲームのゲーム映像を視聴者である複数のユーザのそれぞれのユーザ端末であって、前記ゲーム端末とは別のユーザ端末に配信する配信システムであって、
前記ゲームにおいて発生したイベントであって、前記ゲーム映像の特定のシーンを前記ゲーム端末において再表示するリプレイ演出がなされるイベントを検出するイベント検出手段と、
検出された前記イベントに基づいて、各ユーザ端末に配信される再生データを特定する特定手段と、
特定された前記再生データと、前記ゲーム映像とを、各ユーザ端末に配信するデータ配信手段とを備え、
前記データ配信手段は、特定された前記再生データが、前記リプレイ演出を含む前記ゲーム映像に重畳表示されるか、又は前記リプレイ演出を含む前記ゲーム映像と同時に表示されるように、特定された前記再生データと前記ゲーム映像とを各ユーザ端末に配信する、配信システム。
【請求項2】
前記特定手段は、それぞれが異なる属性に関連付けられた複数の再生データの中から、少なくとも一つの再生データを特定し、かつ前記属性を特定する属性特定情報をさらに取得するとともに、前記属性特定情報に基づいて前記属性を特定し、特定した前記属性に関連付けられた再生データを特定する、請求項1に記載の配信システム。
【請求項3】
前記属性は、前記イベントのイベント種類に基づいて分けられており、
前記特定手段は、前記属性特定情報に基づいて前記イベント種類を特定し、特定した前記イベント種類に関連付けられた再生データを特定する、請求項2に記載の配信システム。
【請求項4】
前記属性は、前記再生データのデータ種類に基づいて分けられており、
前記特定手段は、前記属性特定情報に基づいて前記データ種類を特定し、特定した前記データ種類に関連付けられた再生データを特定する、請求項2に記載の配信システム。
【請求項5】
前記イベント検出手段は、前記イベントを識別するイベント識別情報を取得し、
前記特定手段は、前記イベント識別情報に基づいて前記再生データを特定する、請求項1からのいずれか一項に記載の配信システム。
【請求項6】
プレイヤがゲーム端末においてプレイしているゲームのゲーム映像を視聴者である複数のユーザのそれぞれのユーザ端末であって、前記ゲーム端末とは別のユーザ端末に配信する配信システムの制御方法であって、
前記ゲームにおいて発生したイベントであって、前記ゲーム映像の特定のシーンを前記ゲーム端末において再表示するリプレイ演出がなされるイベントを検出し、
検出された前記イベントに基づいて、各ユーザ端末に配信される再生データを特定し、
特定された前記再生データが、前記リプレイ演出を含む前記ゲーム映像に重畳表示されるか、又は前記リプレイ演出を含む前記ゲーム映像と同時に表示されるように、特定された前記再生データと前記ゲーム映像とを各ユーザ端末に配信する、制御方法。
【請求項7】
コンピュータを備え、プレイヤがゲーム端末においてプレイしているゲームのゲーム映像を視聴者である複数のユーザのそれぞれのユーザ端末であって、前記ゲーム端末とは別のユーザ端末に配信する配信システムのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記ゲームにおいて発生したイベントであって、前記ゲーム映像の特定のシーンを前記ゲーム端末において再表示するリプレイ演出がなされるイベントを検出するイベント検出手段と、
検出された前記イベントに基づいて、各ユーザ端末に配信される再生データを特定する特定手段と、
特定された前記再生データと、前記ゲーム映像とを、各ユーザ端末に配信するデータ配信手段として機能させ、
前記データ配信手段は、特定された前記再生データが、前記リプレイ演出を含む前記ゲーム映像に重畳表示されるか、又は前記リプレイ演出を含む前記ゲーム映像と同時に表示されるように、特定された前記再生データと前記ゲーム映像とを各ユーザ端末に配信する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームのイベントに基づく再生データを配信する配信システム、配信システムの制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、視聴ユーザの携帯端末から配信中の歌唱動画を装飾する投銭エフェクト画像の表示指示を受け付け、投銭エフェクト画像を歌唱動画に重畳する投銭エフェクト機能を有する動画投稿視聴アプリが開示されている。当該投銭エフェクト機能は、視聴ユーザが用いる携帯端末の画面に表示されている操作アイコンがクリックされた後に、画面に表示されている歌唱動画に投銭エフェクト画像を重畳させる。エフェクト重畳歌唱動画はサーバに記憶され、動画投稿サイトを介して投銭入力を行った視聴ユーザだけではなく、他の視聴ユーザも視聴可能なように配信される。
【0003】
特許文献2には、ユーザのゲーム状況に応じて自動的にメッセージ候補が選択され、ユーザにより指定された送信先に送信されるメッセージ内容制御機能が設けられているゲームシステムが開示されている。送信先は、特定のユーザ、対局相手のユーザ、又は仲間登録されたユーザ等を適宜指定できる。また、メッセージ候補は、ゲーム状況のタイプ、例えば、ユーザの対戦成績、対局中の戦況の状況、対局している相手との関係、ユーザがゲームプレイしている時間帯若しくは曜日、又はプレイ中の天気の状況等に応じて設定できる。
【0004】
特許文献3には、ゲーム中に配信情報が生成及び送信されるように構成されている配信情報処理部を備えるゲームシステムが開示されている。実行中のゲームが特定状況になると、送信コメント画面に、当該特定状況に応じた登録コメント群が一覧表示される。そして、プレイヤ選択操作によって選択された登録コメントが送信コメントとして設定される。続いて、送信コメントが設定された状態で送信指示部に対して送信操作がされると、設定された送信コメントが配信情報としてセンタサーバへ送信される。配信情報を受信したセンタサーバの制御ユニットは、受信した配信情報の配信先を特定する。そして、制御ユニットによって、配信情報が配信先アドレスへ配信される。外部ユーザは、パーソナルコンピュータ又は携帯型電話を介して配信情報を閲覧できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-017870号公報
【文献】特開2014-176424号公報
【文献】特開2013-165910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
視聴者に対して映像を配信するサービスにおいては、野球ゲーム又はサッカーゲーム等のスポーツゲームのゲーム映像が配信されることがある。この場合、例えば、野球ゲームにおいてホームランを打ったり、サッカーゲームにおいてゴールを決めたりすると、ゲーム中においてシーンのリプレイ演出がなされることがある。例えば、ピッチャーが投げてからバッターがホームランを打つまでのシーン、又は選手がシュートをする前からゴールを決めるまでのシーンが、ゲーム内において演出としてゲーム画面に表示される。このようなリプレイ演出は、プレイヤのためにゲーム画面に表示される。ただし、ゲーム映像としても配信されるので、視聴者もリプレイ演出を視聴することができる。
【0007】
このようなリプレイ演出は、ゲームを盛り上げるために行われるので、視聴者にとっては単調な演出である。そのため、リプレイ演出自体によって視聴者の興味を惹くことは難しい。また、特許文献1から3に記載のように、画像、メッセージ、又はコメント等が配信されることもある。しかし、これらの画像、メッセージ、又はコメント等は、ゲームのイベントとは関係なく表示される。そのため、これらの表示によって視聴者の興味を惹くことは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る配信システムは、ゲーム映像を視聴者である複数のユーザのそれぞれのユーザ端末に配信する配信システムであって、プレイヤがプレイしているゲームにおいて発生したイベントを検出するイベント検出手段と、検出された前記イベントに基づいて、各ユーザ端末に配信される再生データを特定する特定手段と、特定された前記再生データと、前記ゲーム映像とを、各ユーザ端末に配信するデータ配信手段とを備える。
【0009】
また、本発明の一態様に係る制御方法は、ゲーム映像を視聴者である複数のユーザのそれぞれのユーザ端末に配信する配信システムの制御方法であって、プレイヤがプレイしているゲームにおいて発生したイベントを検出し、検出された前記イベントに基づいて、各ユーザ端末に配信される再生データを特定し、特定された前記再生データと、前記ゲーム映像とを、各ユーザ端末に配信する。
【0010】
また、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを備え、ゲーム映像を視聴者である複数のユーザのそれぞれのユーザ端末に配信する配信システムのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、プレイヤがプレイしているゲームにおいて発生したイベントを検出するイベント検出手段と、検出された前記イベントに基づいて、各ユーザ端末に配信される再生データを特定する特定手段と、特定された前記再生データと、前記ゲーム映像とを、各ユーザ端末に配信するデータ配信手段として機能させる。
【0011】
これにより、ゲームにおいて発生したイベントに基づく再生データを配信して、視聴者の興味を惹くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】配信システムの概略全体図。
図2】配信システムの概略ブロック図。
図3】再生データのデータグループの概略説明図。
図4】再生データの配信のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されない。
【0014】
[実施形態]
図1に示すように、ゲーム映像を視聴者である複数のユーザのそれぞれのユーザ端末に配信する配信システム100は、ユーザ端末の一例である再生端末20と、ゲーム映像を配信する配信サーバ30と、ゲーム映像を送信するゲームサーバ60と、ゲーム装置の一例としてのゲーム端末70とを備えている。再生端末20は、所定のネットワーク50を介して配信サーバ30に接続可能である。一例として、ユーザは、ゲーム大会の会場、又はユーザの自宅等において再生端末20を使用する。また、ゲーム端末70は、ゲームサーバ60に所定のネットワーク50を介して接続可能である。一例として、ゲームのプレイヤは、ゲーム大会の会場、又は店舗等の所定の施設においてゲーム端末70を使用する。
【0015】
配信サーバ30及びゲームサーバ60は、複数のコンピュータとしてのサーバユニットが組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。ただし、単一のサーバユニットによって、配信サーバ30及びゲームサーバ60が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して、配信サーバ30及びゲームサーバ60が論理的に構成されてもよい。なお、配信サーバ30及びゲームサーバ60は、一台のサーバに設けることができる。例えば、ゲームサーバ60は、配信サーバ30としても機能させることができる。さらに、ゲームサーバ60は、配信サーバ30としても機能させることができる。
【0016】
配信サーバ30は、再生端末20又は再生端末20を所有するユーザに対して、ゲーム映像を視聴させる配信サービスを提供する。例えば、配信サーバ30は、ゲームサーバ60からゲーム映像を取得して再生端末20へ配信する。代替的に、配信サーバ30は、ゲームサーバ60以外の装置から受信したゲーム映像を配信してもよい。一例として、配信サーバ30は、ゲームのプレイヤ又は他の配信者が作成したゲーム映像を配信してもよい。この場合、配信サーバ30は、プレイヤ又は他の配信がアップロードしたゲーム映像を再生端末20へ配信する。また、配信サーバ30は、ゲームにおいて発生したイベントに基づいて配信される再生データを保存している。そして、配信サーバ30は、イベントに基づいて再生データを特定すると、当該再生データと、ゲーム映像とを、再生端末20に配信する。
【0017】
また、配信サービスは、ネットワーク50を介して再生端末20のためのプログラム又はデータを配信し、更新する配信サービスを含んでいる。配信サーバ30は、この配信サービスを通じて、各再生端末20にゲーム映像の視聴に必要な各種のプログラム又はデータを適宜に配信する。また、ゲーム映像には、ゲーム端末70によってプレイされているゲームのゲーム画面の映像、ゲーム画面等を撮影して作成されたカメラ映像、及びゲームのプレイヤ又はゲームを観戦する観客等を撮影したカメラ映像等のゲームの関連映像が含まれる。
【0018】
例えば、配信サーバ30は、ネットワーク50を介して再生端末20のユーザにWebサービスを提供する。当該Webサービスにおいては、配信サーバ30が配信サービスを提供する場合に、再生端末20において再生されるゲーム映像が配信される。なお、Webサービスは、ゲーム映像に関する各種の情報を提供する情報提供サービス、ユーザによる情報発信、交換、及び共有といった交流の場を提供するコミュニティサービス、及び各ユーザを識別するためのユーザ識別情報を付与するサービス等の他のサービスを含んでいてもよい。
【0019】
ゲームサーバ60は、ゲーム端末70又はゲーム端末70のユーザに対して、ゲーム装置用の各種サービスを提供する。このサービスは、ネットワーク50を介してゲーム端末70のためのプログラム又はデータを配信し、更新する配信サービスを含んでいる。ゲームサーバ60は、この配信サービスを通じて、各ゲーム端末70にゲームサービスの提供に必要な各種のプログラム又はデータを適宜に配信する。
【0020】
ゲームサーバ60は、一例として、スポーツゲーム用のサービスを提供する。例えば、ゲームサーバ60は、スポーツゲームとして、野球選手を育成する育成パートと、育成した野球選手が所属するチームを相手チームと対戦させる対戦パートとを含む野球ゲーム用のサービスを提供する。なお、ゲームサーバ60は、FPS(ファーストパーソン・シューティング)ゲーム、TPS(サードパーソン・シューティング)ゲーム、RTS(リアルタイム・ストラテジー)ゲーム、MOBA(マルチプレイ・オンライン・バトルアリーナ)ゲーム、MMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)、格闘ゲーム、レーシングゲーム、パズルゲーム、トレーディングカードゲーム、及びオンライン・ストラテジーゲーム等の他のゲーム用のサービスを提供してもよい。
【0021】
また、ゲームサーバ60が提供するゲーム装置用のサービスは、ゲーム端末70からプレイヤのプレイヤ識別情報をゲームサーバ60が受け取って、プレイヤを認証するサービスを含んでいてもよい。また、ゲーム装置用のサービスは、ゲーム画面の映像、又は認証したプレイヤのプレイ結果を含むプレイデータを、ゲーム端末70からゲームサーバ60が受け取って保存するサービスを含んでいてもよい。さらに、ゲーム装置用のサービスは、ゲームサーバ60が保存するプレイデータを、ゲーム端末70に提供するサービスを含んでいてもよい。その他に、ゲーム装置用のサービスは、ネットワーク50を介して複数のプレイヤが共通のゲームをプレイする際に、ゲームサーバ60がプレイヤ同士をマッチングするサービスを含んでいてもよい。また、ゲーム装置用のサービスは、ゲームサーバ60がプレイヤから料金を徴収するサービスを含んでいてもよい。
【0022】
ネットワーク50は、配信サーバ30及びゲームサーバ60に、再生端末20とゲーム端末70とをそれぞれ接続できるように構成されている。一例として、ネットワーク50は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成されている。具体的には、LAN52が、配信サーバ30及びゲームサーバ60のそれぞれと、インターネット51とを接続している。そして、WANとしてのインターネット51とLAN52とが、ルータ53を介して接続されている。再生端末20及びゲーム端末70も、インターネット51に接続されるように構成されている。配信サーバ30及びゲームサーバ60と、再生端末20及びゲーム端末70とは、LAN52に代えて又は加えてインターネット51により、相互に接続されていてもよい。なお、図1においては、細線がインターネット51に対する接続を示し、太線が提供されるサービス及び送信される情報等を示している。太線は、装置同士が直接通信することを示しているわけではないが、装置同士は、直接通信するように構成されていてもよい。
【0023】
再生端末20及びゲーム端末70は、ネットワーク接続が可能なコンピュータ装置である。例えば、再生端末20及びゲーム端末70は、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ54、及び携帯電話(スマートフォンを含む)のようなモバイル端末装置55を含む。その他にも、据置型の家庭用ゲーム装置、携帯型ゲーム装置、及び携帯型タブレット端末装置等の各種のコンピュータ装置が、再生端末20及びゲーム端末70に含まれる。再生端末20とゲーム端末70とは、各種のコンピュータソフトウエアを実装することにより、配信サーバ30とゲームサーバ60とが提供する種々のサービスをユーザに享受させることができる。具体的に、再生端末20は、映像再生用のソフトウェアを通じてゲーム映像の表示端末として機能する。また、ゲーム端末70は、ゲーム装置用のソフトウェアを通じてゲーム装置として機能する。なお、再生端末20及びゲーム端末70は、アーケードゲーム機であってもよい。
【0024】
一例として、配信システム100においては、ゲームサーバ60が、ゲーム端末70にゲームサービスを提供する。そして、ゲームサーバ60は、ゲーム端末70によってプレイされているゲームのゲーム映像、又はゲーム画面等を撮影して作成されたゲーム映像を記録する。ゲーム映像は、ゲームのプレイヤ又はゲームを観戦する観客を撮影した映像等の、ゲームの関連映像であってもよい。ゲームサーバ60は、取得又は作成したゲーム映像を、配信サーバ30に送信する。そして、配信サーバ30は、受信したゲーム映像を再生端末20に配信する。
【0025】
[配信サービスの概要]
配信システム100における配信サービスにおいて、配信サーバ30は、検出されたゲームのイベントに基づく再生データを配信する。例えば、野球ゲームにおいて、バッターがホームランを打つというイベントが検出された場合、配信サーバ30は、当該バッターが所属しているチームの広告映像を、再生データとして配信する。なお、再生データは映像には限定されず、文字列若しくはバナー広告等の画像、又は音声であってもよい。さらに、再生データの内容は、広告には限定されず、チームの紹介若しくは応援、又はイベントの解説等であってもよい。広告には、一例として、製品若しくはサービスの宣伝、又は製品若しくはサービスの割引情報等の特典の通知が含まれる。さらに、広告としての再生データは、ゲームのプレイヤ又はプレイヤが属するチームにスポンサーがいる場合には、当該スポンサーが準備してもよい。
【0026】
ゲームサーバ60は、プレイヤがゲームをしているゲーム端末70からゲーム画面を取得する。例えば、対戦ゲームをしている場合、二台のゲーム装置のいずれか一方、又は両方からゲーム画面を取得する。さらに、ゲームサーバ60は、取得したゲーム画面に基づいてゲーム映像を生成して、配信サーバ30へ送信する。そして、配信サーバ30は、取得したゲーム映像に映像操作用の配信画面の合成等の加工を施して、再生端末20へ配信する。また、ゲーム端末70は、ゲームサーバ60へゲーム画面を送信するとともに、ゲームにおいて所定のイベントが発生する。さらに、ゲーム端末70は、イベントが発生した旨をゲームサーバ60へ通知するために、イベントを識別するイベント識別情報としてイベントIDをゲームサーバ60へ送信する。さらに、ゲームサーバ60は、プレイヤによるゲーム操作情報、及びNPCがいる場合のNPC制御情報等を、ゲーム端末70から受信してもよい。この場合、ゲームサーバ60は、ゲームを起動して、受信したゲーム操作情報等に基づいてゲーム画面を再生成することによって、ゲーム映像を生成する。これにより、ゲーム端末70からゲームサーバ60への通信量を削減できる。代替的に、配信サーバ30が、ゲームサーバ60を介してゲーム端末70からゲーム操作情報等を取得してもよい。この場合、配信サーバ30は、ゲーム画面を再生成することによってゲーム映像を生成する。
【0027】
例えば、野球ゲームの場合、ゲーム端末70は、ホームラン、サイクルヒット、ノーヒットノーラン、所定回数の連続三振、又はダブルプレイが発生すると、それぞれに対応するイベントIDをゲームサーバ60へ送信する。ゲーム端末70は、予め設定されているイベントIDを記憶している。そして、イベントIDを取得したゲームサーバ60は、配信サーバ30へイベントIDを送信する。代替的に、ゲームサーバ60は、ゲーム端末70から取得した情報に基づいてイベントを判断してもよい。この場合、ゲームサーバ60は、判断したイベントに対応するイベントIDを配信サーバ30へ送信する。
【0028】
イベントIDを取得した配信サーバ30は、イベントIDに対応する再生データを特定して、再生端末20へ配信する。このように、ゲームにおけるイベントの発生をトリガーとして、再生データが配信される。一例として、配信サーバ30は、イベントの性質に沿った内容の再生データをイベントIDと関連付けて予め記憶している。例えば、ホームランのイベントであれば、プレイヤがガッツポーズをしている映像、及びプレイヤがスポンサー企業の商品を飲食している映像、或いはホームランを打つ等したゲーム内の選手に対応する現実の選手が存在する場合に、この現実の選手がスポンサー企業の商品を飲食している映像等が、再生データとして準備されている。代替的に、配信サーバ30は、ゲームサーバ60を介してゲーム端末70から取得した情報に基づいてイベントを判断してもよい。この場合、配信サーバ30は、判断したイベントに対応するイベントIDに基づいて、再生データを特定する。
【0029】
配信サーバ30は、ゲーム映像の一部に重畳するように再生データを配信するか、又はゲーム映像と重ならない領域に表示されるように再生データを配信する。ゲーム映像と再生データの合成は配信サーバ30が行い、配信サーバ30は、再生データが合成されたゲーム映像をストリーミング配信する。代替的に、配信サーバ30は、ゲーム映像と再生データとを別個に再生端末20へ配信してもよい。この場合、再生端末20は、受信したゲーム映像と再生データとをそれぞれ表示するか、又はゲーム映像に再生データを合成して表示する。さらに、再生端末20は、配信された再生データを記憶しておき、任意のタイミング、例えばゲーム映像の配信終了直前等のタイミングで、ゲーム映像とともに又はゲーム映像に代えて再生データを表示させてもよい。
【0030】
一つのイベントに対しては、一つの再生データが準備されていてもよく、又は複数の再生データが準備されていてもよい。さらに、複数のイベントに対して共通の再生データが準備されていてもよい。一つのイベントに対して複数の再生データが準備されている場合、配信サーバ30は、少なくとも一つの再生データを特定する。例えば、配信サーバ30は、ランダムで再生データを特定する。または、各再生データにレアリティが設定されており、配信サーバ30は、設定されているレアリティに基づく抽選を行って、再生データを特定してもよい。さらに、配信サーバ30は、ゲーム映像の配信中に一度配信された再生データがある場合には、配信された再生データを避けるように再生データを特定してもよい。
【0031】
また、イベントの種類、データの種類、プレイヤ名、又はスポンサー名等の属性に関連付けられた複数の再生データを含むデータグループが準備されていてもよい。この場合、配信サーバ30は、イベントIDの他にイベントの属性を特定する属性特定情報(以下、イベント情報ともいう)をゲームサーバ60から取得する。そして、配信サーバ30は、取得したイベント情報に基づいて属性を特定して、特定した属性に関連付けられているデータグループの中から再生データを特定する。例えば、イベント情報としてイベントの種類を取得する場合、配信サーバ30は、イベントの種類に応じて、成功イベント向け、又は失敗イベント向けの再生データを特定する。さらに、配信サーバ30は、再生端末20からユーザの属性を特定する属性特定情報(以下、ユーザ情報ともいう)を取得してもよい。配信サーバ30は、取得したユーザ情報に基づいて属性を特定して、特定した属性に関連付けられているデータグループの中から再生データを特定する。例えば、ユーザ情報として性別を取得する場合、配信サーバ30は、性別に応じて、男性向け、女性向け、又は両性向けの再生データを特定する。なお、複数種類の属性に合致する場合、配信サーバ30は、どの属性が優先されるか予め設定された優先順位に応じて再生データを特定してもよい。
【0032】
[配信システムの制御系]
次に、図2を参照して、ゲーム映像を視聴者である複数のユーザのそれぞれの再生端末20に配信する配信システム100の制御系について説明する。まず、配信サーバ30は、配信制御部31、配信記憶部32、及び不図示の通信部を備えている。配信制御部31は、ゲームサーバ60から受信したゲーム映像を配信するための各種制御を実行する。また、配信記憶部32は、配信サーバ30の制御プログラムである配信プログラムPG1と、再生データPDを含む配信用データDDとを記憶している。配信サーバ30によるゲーム映像の配信は、各ユーザに一斉に配信する形式であればよく、リアルタイムでの映像配信であるライブ配信の形式であっても、リアルタイムでなく、例えば編集された映像を配信する形式であってもよい。また、一斉に配信する形式に限らず、各ユーザの操作により個別に配信が行われるオンデマンド配信の形式であってもよい。例えば、配信制御部31は、イベント発生直後等の適宜のタイミングで再生データPDが表示されるように、ゲーム映像に加工を施しておき、再生端末20へオンデマンド配信する。
【0033】
ゲームサーバ60は、ゲーム制御部61、ゲーム記憶部62、及び不図示の通信部を備えている。ゲーム制御部61は、ゲーム端末70にゲームサービスを提供するための各種制御を実行する。さらに、ゲーム制御部61は、ゲーム画面を記録してゲーム記憶部62に記憶させ、ゲーム映像として配信サーバ30にアップロードする。また、ゲーム記憶部62は、ゲームサーバ60の制御プログラムであるゲームプログラムPG2と、ゲームのプレイヤに関連する情報であるプレイヤデータ(不図示)と、ゲームに関連する情報であるゲームデータGDとを記憶している。一例として、プレイヤデータは、プレイヤ識別情報及びプレイヤの個人情報等を含んでいる。また、ゲームデータGDは、イベントに関連する情報であるイベントデータVDを含んでいる。一例としてイベントデータVDは、イベントを識別するイベント識別情報(例えばイベントID)と関連付けられたプレイヤ名、チーム名、イベント名、及び発生したイベントの発生時刻等の情報である。さらに、ゲームデータGDは、画像データ、BGMデータ、及びプレイヤのプレイデータといった各種のゲームの提供に必要なデータを含んでいる。プレイデータは、プレイヤのプレイ履歴(例えば過去の実績)等の各プレイヤに固有の内容を次回以降に引き継ぐためデータである。
【0034】
配信制御部31及びゲーム制御部61は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、プロセッサの動作に必要な内部メモリと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。一例として、これらのプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)であり、所定のプログラムに基づいて、装置全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。
【0035】
配信記憶部32及びゲーム記憶部62は、コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体を含んだ記憶装置である。そして、配信記憶部32及びゲーム記憶部62は、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM(Random Access Memory)、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を含む。プロセッサは、ROM又はHDDに記憶されたプログラムに従って、種々の演算、制御、及び判断等の処理動作を実行できる。配信プログラムPG1及びゲームプログラムPG2は、協働して配信システム100のコンピュータプログラムとして機能する。なお、配信記憶部32及びゲーム記憶部62は、一の記憶装置に全てのデータを保持してもよいし、複数の記憶装置にデータを分散して記憶してもよい。
【0036】
配信制御部31及びゲーム制御部61には、装置の入力状態、設定状態、計測結果、及び各種情報を表示する表示装置が、有線接続又は無線接続されている。また、配信記憶部32及びゲーム記憶部62には、所定の指令及びデータを入力するキーボード若しくは各種スイッチを含む操作装置が、有線接続又は無線接続されている。なお、配信制御部31及びゲーム制御部61は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CF(Compact Flash)カード、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。
【0037】
再生端末20は、再生制御部21、再生記憶部22、操作装置としての操作部23、表示装置としての表示部24、音声出力装置としてのスピーカ25、及び不図示の通信部を備えている。再生記憶部22は、再生端末20の制御プログラムと、アプリケーションプログラムの一例であるゲーム映像の再生プログラムとを記憶している。再生制御部21は、再生端末20を制御するとともに、再生プログラムを実行することによって、ゲーム映像を表示部24に表示させる。また、操作部23は、コントローラ、又はタッチパネル等の操作装置であり、ユーザによるユーザ操作の入力を受け付ける。また、表示部24は、テレビ、ディスプレイ、又はタッチパネル等の表示装置であり、ユーザが視聴するゲーム映像を表示する。操作部23及び表示部24は、タッチパネル等の表示操作部として一体的に構成されてもよい。スピーカ25は、ゲーム映像の再生に伴い、ゲーム音声などの関連する音声を出力する。なお、操作部23、表示部24、及びスピーカ25は、再生端末20と一体であってもよく、別体であってもよい。
【0038】
ゲーム端末70は、端末制御部71、端末記憶部72、ゲーム操作部73、ゲーム表示部74、及び不図示の通信部を備えている。端末記憶部72は、ゲーム端末70の制御プログラムを記憶している。端末制御部71は、ゲーム端末70を制御するとともに、制御プログラムを実行することによって、プレイヤにゲームをプレイさせる。さらに、端末制御部71は、イベントが発生すると、発生したイベントに対応するイベント識別情報として、例えばイベントIDをゲームサーバ60へと送信する。当該イベントIDは、イベント毎に設定されており、予め端末記憶部72が記憶している。また、ゲーム操作部73は、コントローラ、又はタッチパネル等の操作装置であり、プレイヤによるゲーム操作の入力を受け付ける。ゲーム操作部73及びゲーム表示部74は、タッチパネル等の表示操作部として一体的に構成されてもよい。さらにゲーム端末70は、プレイヤ等を撮影するカメラを備えていてもよい。この場合、ゲーム端末70は、ゲーム画面とともに、カメラが撮影したカメラ映像を、ゲームサーバ60へ送信する。代替的に、カメラは、ゲーム端末70とは別に設けられていてもよい。この場合、カメラは、ゲームサーバ60に代えて配信サーバ30へカメラ映像を送信してもよい。
【0039】
ゲーム表示部74は、ディスプレイ、又はタッチパネル等の表示装置であり、プレイヤがプレイするゲームのゲーム画面を表示する。ゲーム操作部73及びゲーム表示部74は、ゲーム端末70と一体であってもよく、別体であってもよい。さらに、ゲーム端末70は、不図示の音声出力装置を備えている。なお、端末制御部71は、制御プログラムを実行することによって、ゲームの進行を制御するが、ゲーム制御部61と協働してゲームの進行を制御してもよい。例えば、ゲーム制御部61がゲームの少なくとも一部の進行を制御し、端末制御部71は、その結果をゲーム表示部74に表示させてもよい。また、ゲーム制御部61は、ゲーム端末70からプレイデータを収集し、収集したプレイデータを管理する。さらに、ゲームサーバ60のゲーム制御部61は、ゲーム端末70から、ゲーム画面を再構成するためのキー情報等を収集する。
【0040】
再生制御部21及び端末制御部71は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、プロセッサの動作に必要な内部メモリと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。一例として、これらのプロセッサは、CPU、又はMPUであり、所定のプログラムに基づいて、装置全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。なお、再生制御部21及び端末制御部71は、CD、DVD、CFカード、及びUSBメモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。
【0041】
再生記憶部22及び端末記憶部72は、コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体を含んだ記憶装置である。そして、再生記憶部22及び端末記憶部72は、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM、HDD及びSSD等の記憶装置を含む。プロセッサは、ROM又はHDDに記憶された制御プログラムに従って、種々の演算、制御、及び判別等の処理動作を実行できる。なお、再生記憶部22及び端末記憶部72は、一の記憶装置に全てのデータを保持してもよいし、複数の記憶装置にデータを分散して記憶してもよい。
【0042】
[ゲームサーバ]
ゲームサーバ60のゲーム制御部61は、プレイヤがプレイしているゲームにおいて発生したイベントを検出するイベント検出手段の一例である検出部161を備えている。一例として、イベントは、野球ゲームにおけるホームラン、サッカーゲームにおけるゴール、シューティングゲームにおける敵の撃破、及びパズルゲームにおけるコースのクリア等を含んでいる。また、ゲーム制御部61は、ゲーム映像と、イベント識別情報等のイベントに関連するイベント情報とを配信サーバ30へ送信する送信手段の一例である送信部162を備えている。送信部162は、不図示の通信部を制御して、各種の情報を配信サーバ30へ送信する。検出部161及び送信部162は、ゲーム制御部61のハードウェア資源と、ソフトウェア資源としてのゲームプログラムPG2との組合せによって実現される論理的装置である。
【0043】
検出部161は、ゲームにおいて発生したイベントを識別するイベント識別情報として、ゲーム端末70からイベントIDを取得する。そして、検出部161は、イベントIDを受信すると、イベントIDに対応するイベントの発生を検出する。さらに、検出部161は、イベントIDを送信部162へ受け渡す。なお、イベント識別情報は、イベントの名称等であってもよい。代替的に、検出部161は、ゲーム画面の画像を解析して、イベントの発生を検出してもよい。例えば、検出部161は、ゲーム画面に含まれている文字列又は画像等から、イベントの発生を検出してもよい。一例として、ゲーム画面が「ホームラン」の文字列を含んでいる場合、検出部161は、ホームランのイベントが発生したことを検出する。さらに、検出部161は、イベントデータVDを参照して、検出したイベントに対応するイベントIDを特定する。そして、検出部161は、特定したイベントIDを送信部162へ受け渡す。
【0044】
送信部162は、ゲーム制御部61からゲーム映像を取得して、配信サーバ30へと送信する。一例として、ゲーム制御部61は、対戦ゲームがプレイされている二台のゲーム端末70のそれぞれからゲーム画面を取得する。そして、ゲーム制御部61は、それぞれのゲーム画面が並ぶようなゲーム映像を生成して、送信部162へ受け渡す。また、送信部162は、検出部161からイベントIDを取得して配信サーバ30へと送信する。さらに、送信部162は、イベントデータVDを参照して、イベントIDに対応するイベントの属性を特定する属性特定情報を検索してもよい。この場合、送信部162は、イベントIDに属性特定情報を関連付けたイベント情報を配信サーバ30へ送信する。
【0045】
[配信サーバ]
配信サーバ30の配信制御部31は、ゲームサーバ60の検出部161が検出したイベントに基づいて、各再生端末20に配信される再生データPDを特定する特定手段の一例として、特定部131を備えている。さらに、配信制御部31は、特定された再生データPDと、ゲーム映像とを、各再生端末20に配信するデータ配信手段の一例として、配信部132を備えている。特定部131及び配信部132は、配信制御部31のハードウェア資源と、ソフトウェア資源としての配信プログラムPG1との組合せによって実現される論理的装置である。一例として、特定部131は、イベント識別情報としてのイベントIDに基づいて再生データPDを特定する。ここで、再生データPDは、映像、音声、画像、及びこれらの組み合わせ等である。なお、特定部131は、複数の再生データPDを特定してもよく、この場合、配信部132は複数の再生データPDを配信する。
【0046】
一例として、特定部131は、図3のイベントID1に関連付けられた第1再生データ、第2再生データ、及び第3再生データの中から一つをランダムに選択する。具体的には、配信記憶部32が、各再生データPDを識別するデータ識別情報(例えばデータID)を記憶している。そして、特定部131は、ゲームサーバ60からイベントID1を取得すると、イベントID1に関連付けられた第1再生データ、第2再生データ、及び第3再生データの中から、乱数表等を用いてデータIDをランダムに特定する。そして、特定部131は、特定したデータIDに対応する再生データPDを特定する。その後、配信部132は、特定部131が特定した再生データPDを各再生端末20に対して配信する。
【0047】
また、特定部131は、それぞれが異なる属性に関連付けられた複数の再生データPDの中から、少なくとも一つの再生データPDを特定してもよい。特定部131は、属性を特定する属性特定情報をゲームサーバ60から取得する。そして、特定部131は、属性特定情報に基づいて属性を特定し、特定した属性に関連付けられた再生データPDを特定する。例えば、特定部131は、ゲームサーバ60の送信部162から、イベント情報に含まれる属性特定情報として属性IDを取得する。図3に示すように、複数の再生データPDを構成する第1再生データ、第2再生データ、及び第3再生データのそれぞれは、それぞれを識別するデータID1~データID3、対応するイベントを識別するイベントID1、及び属性を識別する属性ID1又は属性ID2に関連付けられている。これにより、特定部131は、イベントID1に対応する複数の再生データPDを特定できる。さらに、特定部131は、イベントID1に関連付けられている第1再生データ、第2再生データ、及び第3再生データの中から、特定の属性、例えば属性ID1に関連付けられている第1再生データを特定できる。
【0048】
例えば、属性は、ホームラン等の成功イベント、又はダブルプレイ等の失敗イベント等のイベント種類に基づいて分けられている。この場合、特定部131は、属性特定情報に基づいてイベント種類を特定する。そして、特定部131は、特定したイベント種類に関連付けられた再生データPDを特定する。なお、イベントの種類は、プレイヤ毎に属性が割り振られていてもよい。例えば、ダブルプレイについての属性特定情報は、攻撃側プレイヤの失敗イベントの属性と、守備側プレイヤの成功イベントの属性とに対応する。そして、特定部131は、攻撃側プレイヤに関わる再生データPDの中から、失敗イベントの属性に関連付けられた再生データPDを特定するとともに、守備側プレイヤに関わる再生データPDの中から、成功イベントの属性に関連付けられた再生データPDを特定する。また、属性は、広告若しくは応援等のデータの内容、又は映像若しくは画像等のデータの形式等の、再生データPDのデータ種類に基づいて分けられていてもよい。この場合、特定部131は、属性特定情報に基づいてデータ種類を特定する。そして、特定部131は、特定したデータ種類に関連付けられた再生データPDを特定する。さらに、属性は、プレイヤ名若しくはスポンサー名等の属性、又はユーザの情報に基づく属性であってもよい。
【0049】
また、複数の再生データPDは、同じ属性に関連付けられた複数の再生データPDからなるデータグループに分けることができてもよい。この場合、特定部131は、属性特定情報に基づいて属性を特定し、特定した属性に関連付けられたデータグループの中から少なくとも一つの再生データPDを特定する。なお、データグループ同士に関連付けられた属性は、一部が共通していてもよい。例えば、図3に示すデータグループは、属性ID2に関連付けられた第2再生データ及び第3再生データを含んでいるデータグループを含む。特定部131は、属性ID2を取得すると、第2再生データ及び第3再生データの中から少なくとも一つを特定する。
【0050】
配信部132は、ゲーム映像と、再生データPDとを再生端末20へ配信する。一例として、配信部132は、特定部131が特定した再生データPDが重畳表示されるようにゲーム映像を加工して再生端末20へ配信する。この場合、配信部132は、ユーザがアクセスするWebページに、ゲーム映像と再生データPDとを表示する。また、配信部132は、ゲーム映像とは別に再生データPDを配信してもよく、ゲーム映像に合成せずに再生データPDを配信してもよい。
【0051】
再生データPDとゲーム映像とが別の場合、再生データPDが表示される領域は、ゲーム映像の一部と重畳していなくともよい。例えば、再生データPDは、ゲーム映像に重ならない位置に、ゲーム映像と並べて表示されてもよい。さらに、再生データPDとゲーム映像とが別の場合、配信サーバ30は、ゲーム映像と再生データPDとを別個に配信してもよい。この場合、再生端末20は、ゲーム映像と再生データPDとを別々に表示してもよく、ゲーム映像に再生データPDを合成して表示してもよい。また、配信部132は、特定部131が特定した再生データPDがゲーム映像と同時に表示されるように、再生データPDを配信してもよい。例えば、配信部132は、再生データPDがゲーム映像に重畳されるように、又は再生データPDがゲーム映像に並ぶように再生データPDを配信する。
【0052】
配信記憶部32は、ユーザのユーザ識別情報と関連付けて、当該ユーザに配信された再生データPDのデータIDを記憶していてもよい。ユーザは、再生端末20からログインすると、一度配信された再生データPDをいつでも視聴できる。また、再生端末20は、データIDだけを記憶してもよく、データIDと共に、データIDに対応する再生データPDを記憶してもよい。また、一度再生データPDが選択されてから一定期間は、ユーザがいつでも再生データPDを視聴できてもよい。
【0053】
再生データPDをゲーム映像に合成する場合、配信部132は、画面生成手段としても機能する。画面生成手段は、配信記憶部32の配信用データDDに含まれる画面構成のデータ等を取得して、ゲーム映像と同時に表示される配信画面を生成する。配信画面は、画像又は映像として生成される。例えば、画面生成手段は、MPEG形式等の各種のフォーマットで配信画面を生成する。一例として、画面生成手段は、ゲーム映像に生成した配信画面を重ね合わせて配置する。
【0054】
具体的に、画面生成手段は、ゲーム映像の表示領域を含む下レイヤーに、配信画面を含む上レイヤーを重ね合わせる。上レイヤーは、ゲーム映像の表示を邪魔しないように透明な画像として構成される。そして、画面生成手段は、特定部131が再生データPDを特定すると、特定された再生データPDを含む上レイヤーを、ゲーム映像の表示領域を含む下レイヤーに重ね合わせる。これにより、再生データPDは、ゲーム映像の一部に重畳するように表示される。代替的に、画面生成手段は、ゲーム映像と重ならないように再生データPDを配置してもよい。
【0055】
なお、配信システム100は、撮像装置の一例であるカメラ(不図示)によって撮像された関連映像をさらに取得して各再生端末20へ配信してもよい。例えば、関連映像の一例であるカメラ映像、プレイヤ映像、及び実況映像等のゲームに関連する映像を送信する送信装置と、カメラとが、ゲーム大会の会場に設置されている。送信装置は、一例として、カメラ及びネットワーク50に接続可能なコンピュータ装置であり、カメラから取得した関連映像を配信サーバ30へ送信する。そして、配信サーバ30は、取得した関連映像を各再生端末20へ配信する。代替的に、撮像装置は、ゲーム端末70に設置されたカメラであってもよい。ゲーム端末70は、直接又はゲームサーバ60を介して関連映像を配信サーバ30へ送信する。
【0056】
[配信システムによる処理フロー]
図4を参照して配信システム100による処理フローについて説明する。配信システム100は、所定の開始条件が満たされると処理を開始する。例えば、ライブ配信する場合、配信システム100は、配信サーバ30がゲームサーバ60からゲーム映像を取得すると処理を開始する。
【0057】
ゲームサーバ60の送信部162は配信サーバ30へゲーム映像を送信し(S201)、配信サーバ30の配信制御部31は、ゲームサーバ60からゲーム映像を取得する(S101)。そして、配信サーバ30の配信部132は、ゲーム映像を加工して配信用のゲーム映像を生成する(S102)。例えば配信部132は、映像の再生速度等を操作するか又はコメントの投稿等を行う配信画面をゲーム映像に合成して配信用のゲーム映像を生成する。続いて、配信部132は、ゲーム映像を再生端末20へ配信する(S103)。そして、再生端末20は、表示部24にゲーム映像を表示させる。
【0058】
ゲームサーバ60の検出部161がイベントの発生を検出すると(S202でYES)、送信部162はイベントIDを配信サーバ30へ送信する(S203)。そして、ゲームが終了すると(S204でYES)、ゲームサーバ60は処理を終了し、ゲームが終了しない場合は(S204でNO)、ゲーム映像の送信が継続される(S201)。また、検出部161がイベントの発生を検出しない場合も(S202でNO)、ゲーム映像の送信が継続される(S201)。
【0059】
ゲームサーバ60からイベントIDを取得すると(S104)、配信サーバ30の特定部131は、再生データPDを特定する(S105)。そして、配信サーバ30の配信部132は、特定された再生データPDを再生端末20へ配信する(S106)。その後、ゲーム映像が最後まで再生された等の理由によって配信を終了する場合(S107でYES)、配信システム100は処理を終了する。一方、配信を継続する場合(S107でNO)、配信部132は、ゲーム映像の加工(S102)と、ゲーム映像の配信(S103)とを継続する。
【0060】
以上、説明した実施形態によれば、プレイヤがプレイしているゲームにおいて発生したイベントに基づいて特定された再生データPDが、各ユーザの再生端末20に配信される。これにより、ゲームにおいて発生したイベントに基づく再生データPDを配信して、視聴者の興味を惹くことができる。
【0061】
なお、検出部161は、配信サーバ30に設けられていてもよい。この場合、配信サーバ30の検出部161は、ゲーム画面の画像を解析して、イベントの発生を検出してもよい。一例として、配信サーバ30の検出部161は、ゲーム画面の画像に含まれている文字列又は画像等から、イベントの発生を検出する。そして、配信サーバ30の検出部161は、検出したイベントに対応するイベントIDを特定して特定部131へと受け渡す。
【0062】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0063】
例えば、各機能部の少なくとも一部は、配信サーバ30、ゲームサーバ60、及び他の外部サーバのいずれかに設けられてもよい。異なるサーバに設けられた各機能部は、協働して配信システム100として機能する。この場合、各サーバの制御プログラムが、協働して配信システム100のコンピュータプログラムとして機能する。
【0064】
以下、上述した各実施形態及び各変形例から導き出される各種の態様を記載する。なお、各態様の理解を容易にするため、添付図面に図示された参照符号を付記する。ただし、参照符号は、本発明を図示の形態に限定する意図で付記するものではない。
【0065】
ゲーム映像を視聴者である複数のユーザのそれぞれのユーザ端末20に配信する配信システム100は、プレイヤがプレイしているゲームにおいて発生したイベントを検出するイベント検出手段161と、検出された前記イベントに基づいて、各ユーザ端末に配信される再生データPDを特定する特定手段131と、特定された前記再生データと、前記ゲーム映像とを、各ユーザ端末に配信するデータ配信手段132とを備える。
【0066】
ゲーム映像を視聴者である複数のユーザのそれぞれのユーザ端末20に配信する配信システム100の制御方法は、プレイヤがプレイしているゲームにおいて発生したイベントを検出し、検出された前記イベントに基づいて、各ユーザ端末に配信される再生データPDを特定し、特定された前記再生データと、前記ゲーム映像とを、各ユーザ端末に配信する。
【0067】
コンピュータ31,61を備え、ゲーム映像を視聴者である複数のユーザのそれぞれのユーザ端末20に配信する配信システム100のコンピュータプログラムPG1,PG2は、前記コンピュータを、プレイヤがプレイしているゲームにおいて発生したイベントを検出するイベント検出手段161と、検出された前記イベントに基づいて、各ユーザ端末に配信される再生データPDを特定する特定手段131と、特定された前記再生データと、前記ゲーム映像とを、各ユーザ端末に配信するデータ配信手段132として機能させる。
【0068】
これにより、プレイヤがプレイしているゲームにおいて発生したイベントに基づいて特定された再生データPDが、各ユーザの再生端末20に配信される。そのため、ゲームにおいて発生したイベントに基づく再生データPDを配信して、視聴者の興味を惹くことができる。
【0069】
前記特定手段131は、それぞれが異なる属性に関連付けられた複数の再生データPDの中から、少なくとも一つの再生データを特定し、かつ前記属性を特定する属性特定情報をさらに取得するとともに、前記属性特定情報に基づいて前記属性を特定し、特定した前記属性に関連付けられた再生データを特定する。また、前記属性は、前記イベントのイベント種類に基づいて分けられており、前記特定手段131は、前記属性特定情報に基づいて前記イベント種類を特定し、特定した前記イベント種類に関連付けられた再生データPDを特定する。また、前記属性は、前記再生データPDのデータ種類に基づいて分けられており、前記特定手段131は、前記属性特定情報に基づいて前記データ種類を特定し、特定した前記データ種類に関連付けられた再生データを特定する。これにより、属性に関連する再生データPDが特定されかつ配信されるため、ユーザにより興味を持たせることができる。
【0070】
前記データ配信手段132は、前記特定手段131が特定した前記再生データPDが前記ゲーム映像に重畳表示されるように、前記再生データを配信する。また、前記データ配信手段132は、前記特定手段131が特定した前記再生データPDが前記ゲーム映像と同時に表示されるように、前記再生データを配信する。前記イベント検出手段161は、ゲームにおいて発生したイベントを識別するイベント識別情報を取得し、前記特定手段131は、前記イベント識別情報に基づいて前記再生データPDを特定する。これにより、ゲームにおいて発生したイベントに対応して再生データPDが配信され且つ再生端末20に表示される。そのため、ユーザは、ゲーム映像とともに、再生データPDを視聴して楽しむことができる。
【符号の説明】
【0071】
20 :再生端末(ユーザ端末)
31 :配信制御部(コンピュータ)
61 :ゲーム制御部(コンピュータ)
100 :配信システム
131 :特定部(特定手段)
132 :配信部(データ配信手段)
161 :検出部(イベント検出手段)
PG1 :配信プログラム(コンピュータプログラム)
PG2 :ゲームプログラム(コンピュータプログラム)
PD :再生データ
図1
図2
図3
図4