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特許7529254地上構造物の支持装置およびその施工方法
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  • 特許-地上構造物の支持装置およびその施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】地上構造物の支持装置およびその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/42 20060101AFI20240730BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
E02D27/42 Z
E02D27/12 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020167929
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2021063424
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2019187097
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227593
【氏名又は名称】日之出水道機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 貴大
(72)【発明者】
【氏名】烏山 悟史
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-125555(JP,U)
【文献】特開2003-171943(JP,A)
【文献】特開2015-212507(JP,A)
【文献】特開平01-127726(JP,A)
【文献】特開2003-328354(JP,A)
【文献】特開2012-052383(JP,A)
【文献】特開昭49-072943(JP,A)
【文献】特開2011-036602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/42
E02D 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上構造物の脚部を地中に設置した状態で支持する支持装置であって、
前記脚部を支持する支持ユニットを含み、
前記支持ユニットは、
前記脚部を挿入可能な大きさに開口が限定された筒状部と、
前記筒状部の下端に設けられる底部と、
前記底部に直接または間接的に取り付けられる杭部と、
前記筒状部に前記脚部が挿入された状態で、前記筒状部の内周面と前記脚部の外周面との間の隙間に対して、前記筒状部の前記内周面の上端位置まで充填される非固着性の粒体と、
前記上端位置まで充填された前記粒体より上方に配置される第1の硬化層と、
前記筒状部の下端位置を基準としてそれより上方に形成された掘削空間の少なくとも一部に対して配置される周囲硬化層とを有する支持装置。
【請求項2】
地上構造物の脚部を地中に設置した状態で支持する支持装置であって、
前記脚部を支持する支持ユニットを含み、
前記支持ユニットは、
前記脚部を挿入可能な大きさに開口が限定された筒状部と、
前記筒状部に前記脚部が挿入された状態で、前記筒状部の内周面と前記脚部の外周面との間の隙間に対して、前記筒状部の前記内周面の上端位置まで充填される非固着性の第1の粒体と、
前記上端位置まで充填された前記第1の粒体より上方に配置される第1の硬化層とを有し、
当該支持装置は、前記筒状部を挿入可能な大きさに開口が限定された筒状ブロックと、
前記筒状ブロックに前記筒状部が挿入された状態で、前記筒状ブロックの内周面と前記筒状部の外周面との間の隙間に対して、前記筒状ブロックの前記内周面の上端位置まで充填される非固着性の第2の粒体と、
前記上端位置まで充填された前記第2の粒体より上方に配置される第3の硬化層とをさらに含む、支持装置。
【請求項3】
前記支持ユニットは、前記脚部の下端と前記筒状部の下端との間に配置される第2の硬化層を含む、請求項1または請求項2に記載の支持装置。
【請求項4】
地上構造物の脚部を地中に設置した状態で支持する支持装置の施工方法であって、
前記支持装置は、前記脚部を支持する支持ユニットを含み、前記支持ユニットは筒状部と、前記筒状部の下端に設けられる底部と、前記底部に直接または間接的に取り付けられる杭部とを含み、
当該施工方法は、前記杭部を前記地中に埋設することと、
前記筒状部に前記脚部を挿入することと、
前記筒状部の内周面と前記脚部の外周面との間の隙間に対して、前記筒状部の前記内周面の上端位置まで非固着性の粒体を充填することと、
前記上端位置まで充填された前記粒体より上方に第1の硬化層を配置することと、
前記筒状部の下端位置を基準としてそれより上方に形成された掘削空間の少なくとも一部に対して周囲硬化層を配置することとを有する支持装置の施工方法。
【請求項5】
地上構造物の脚部を地中に設置した状態で支持する支持装置の施工方法であって、
前記支持装置は、前記脚部を支持する支持ユニットを含み、前記支持ユニットは筒状部を含み、前記支持装置は、前記筒状部を挿入可能な筒状ブロックをさらに含み、
当該施工方法は、前記筒状ブロックに前記筒状部が挿入された状態となるように、前記筒状部および前記筒状ブロックを設置することと、
前記筒状ブロックの内周面と前記筒状部の外周面との間の隙間に対して、前記筒状ブロックの前記内周面の上端位置まで非固着性の第2の粒体を充填することと、
前記筒状部に前記脚部を挿入することと、
前記筒状部の内周面と前記脚部の外周面との間の隙間に対して、前記筒状部の前記内周面の上端位置まで非固着性の第1の粒体を充填することと、
前記上端位置まで充填された前記第1の粒体より上方に第1の硬化層を配置するとともに、前記上端位置まで充填された前記第2の粒体より上方に第3の硬化層を配置することとを含む、支持装置の施工方法。
【請求項6】
当該施工方法は、前記筒状部に前記脚部を挿入することの前に、前記脚部の下端と前記筒状部の下端との間に第2の硬化層を配置することを含む、請求項または請求項に記載の支持装置の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上構造物の脚部を地中に設置した状態で支持する支持装置およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路標識や防護柵などの地上構造物の脚部を地中に設置した状態で支持する支持装置として、例えば、特許文献1には、筒状の接合部に、地上構造物の脚部(柱脚)を挿入しコンクリートを充填してなる杭基礎が開示されている。
【0003】
しかし、この特許文献1の杭基礎では、地上構造物の脚部(柱脚)が充填コンクリートを介して杭基礎(筒状の接合部)に一体的に接合しているため、地上構造物の損傷などにより交換を行う場合、筒状の接合部の内部に充填されたコンクリートを斫る必要があるが、コンクリートは、接合部の内周面と脚部とにはさまれた狭い空間に充填されており、コンクリートが拘束された状態になっていることから、破砕装置を用いてもコンクリートが割れにくく、さらに、大きく割れた状態では接合部の内部から外への取り出しが困難なため、コンクリートをかなり細かな状態まで破砕する必要がある。よって、交換作業は非常に困難で時間とコストを要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5449124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、地上構造物の損傷などにより交換を行う場合、容易に交換可能な支持装置およびその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、地上構造物の脚部を地中に設置した状態で支持する支持装置であって、脚部を支持する支持ユニットを含み、支持ユニットは、脚部を挿入可能な大きさに開口が限定された筒状部と、筒状部に脚部が挿入された状態で、筒状部の上端まで充填される非固着性の粒体と、筒状部の上端より上方に配置される第1の硬化層とを有する。
【0007】
このように、筒状部に脚部が挿入された状態で、筒状部の上端まで非固着性の粒体が充填されているから、地上構造物が破損して交換を行う場合には、筒状部の上端より上方に配置される第1の硬化層を破砕装置を用いて除去することで、脚部を筒状部から容易に引き抜くことができる。また、第1の硬化層よりも下方が健全な場合に再利用が可能となる。
また、非固着性の粒体が筒状部の上端まで充填され、第1の硬化層が筒状部の上端より上方に配置されることにより、脚部を側面から覆って位置決めして確実かつ強固に保持される。
なお、筒状部の上端より上方に配置される第1の硬化層は、筒状部の上端まで充填されている非固着性の粒体を覆う蓋の機能を発揮する。
【0008】
この支持装置において、支持ユニットは、脚部の下端と筒状部の下端との間に配置される第2の硬化層を含むことができる。このように第2の硬化層を含むことで、脚部の高さ調整を容易に行うことができる。また、この第2の硬化層は、脚部が中空の場合、その中空内に非固着性の粒体が流入しないように脚部の下端を塞ぐ蓋の機能を発揮する。
【0009】
また、この支持装置において、支持ユニットは、筒状部の下端に設けられる底部と、底部に直接または間接的に取り付けられる杭部とを含むことができる。このように底部と杭部とを含むことで、杭部と支持ユニットとを底部を介して連結できる。
【0010】
また、この支持装置は、筒状部を挿入可能な大きさに開口が限定された筒状ブロックと、筒状ブロックに筒状部が挿入された状態で、筒状ブロックの上端まで充填される非固着性の粒体と、筒状ブロックの上端より上方に配置される第3の硬化層をさらに含むことができる。このように、筒状ブロックに筒状部が挿入された状態で、筒状ブロックの上端まで非固着性の粒体が充填されているから、筒状部が破損するなどして支持ユニットの交換が必要となった場合には、筒状部の上端より上方に配置される第1の硬化層および筒状ブロックの上端より上方に配置される第3の硬化層を破砕装置を用いて除去することで、筒状部を含む支持ユニット全体を筒状ブロックから容易に引き抜くことができる。
【0011】
また、本発明の他の態様である支持装置の施工方法は、地上構造物の脚部を地中に設置した状態で支持する支持装置の施工方法であって、支持装置は、脚部を支持する支持ユニットを含み、支持ユニットは筒状部を含み、当該施工方法は、筒状部に脚部を挿入することと、筒状部の上端まで非固着性の粒体を充填することと、筒状部の上端より上方に第1の硬化層を配置すること、を有する。
これにより地上構造物が破損して交換を行う場合には、筒状部の上端より上方に配置される第1の硬化層を破砕装置を用いて除去することで、脚部を筒状部から容易に引き抜くことができ、第1の硬化層より下方が健全な場合に再利用が可能となる。
【0012】
また、この支持装置の施工方法は、筒状部に脚部を挿入することの前に、脚部の下端と筒状部の下端との間に第2の硬化層を配置することを含むことができる。これにより、脚部の高さ調整を容易に行うことができ、また、脚部が中空の場合、その中空内に非固着性の粒体が流入しないように脚部の下端を塞ぐ蓋の機能を発揮する。
【0013】
また、この支持装置の施工方法は、筒状ブロックを設置することと、筒状ブロックに筒状部が挿入された状態で、筒状ブロックの上端まで非固着性の粒体を充填することと、筒状ブロックの上端より上方に第3の硬化層を配置することを含むことができる。これにより、筒状部が破損するなどして支持ユニットの交換が必要となった場合には、筒状部の上端より上方に配置される第1の硬化層および筒状ブロックの上端より上方に配置される第3の硬化層を破砕装置を用いて除去することで、筒状部を含む支持ユニット全体を筒状ブロックから容易に引き抜くことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、地上構造物の損傷などにより交換を行う場合、容易に交換可能な支持装置およびその施工方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態である地上構造物の支持装置の使用状態を示す縦断面図。
図2】本発明の他の実施形態である地上構造物の支持装置の使用状態を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA-A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、本発明の一実施形態である地上構造物の支持装置10Aの使用状態を示している。
この支持装置10Aは、地上構造物である円筒状の車止めボラード20の脚部21を地中に設置した状態で支持するもので、脚部21を支持する支持ユニット12を含む。なお、車止めボラード20の上端にはキャップ22が装着されている。
支持ユニット12は、脚部21を挿入可能な大きさに開口12a-1が限定された円筒状の筒状部12aと、この筒状部12aに脚部21が挿入された状態で、筒状部12aの上端まで充填される非固着性の粒体である砂12bと、筒状部12aの上端より上方に配置される第1の硬化層である第1のモルタル層12cとを有する。
【0017】
このように本実施形態では、筒状部12aに脚部21が挿入された状態で、筒状部12aの上端まで砂12bが充填されているから、車止めボラード20が破損して交換を行う場合には、筒状部12aの上端より上方に配置されている第1のモルタル層12cをコンクリートブレーカー等の破砕装置を用いて除去することで、脚部21を筒状部12aから容易に引き抜くことができる。これにより、第1のモルタル層12cより下方が健全な場合に再利用が可能となる。
また、脚部21を挿入可能な大きさに開口12a-1が限定された筒状部12aに脚部21が挿入された状態で、筒状部12aの上端まで砂12bが充填されて、第1の硬化層である第1のモルタル層12cが筒状部の上端より上方に配置されることにより、脚部21を側面から覆って位置決めして確実かつ強固に保持される。
なお、筒状部12aの上端より上方に配置される第1のモルタル層12cは、筒状部12aの上端まで充填されている砂12bを覆う蓋の機能を発揮する。
【0018】
本実施形態において支持ユニット12には、脚部21の下端と筒状部12aの下端との間に、第2の硬化層である第2のモルタル層12dを配置している。
このように第2のモルタル層12dを配置することで、脚部21の高さ調整を容易に行うことができる。また、この第2のモルタル層12dは、脚部21が中空の場合、その中空内に砂12bが流入しないように脚部21の下端を塞ぐ蓋の機能を発揮する。
なお、本実施形態では第2のモルタル層12dを配置したが、必ず配置しなければならないものではなく、省略してもよい。省略する際には、脚部21が中空の場合には脚部21の下端を蓋等の別の手段で塞ぎ、脚部21の高さ調整が必要な場合には別の手段により行えばよい。
【0019】
本実施形態において支持ユニット12は、筒状部12aの下端に設けられる底部12eと、底部12eに直接または間接的に取り付けられる杭部11とを含む。このように底部12eと杭部11とを含むことで、杭部11と支持ユニット12とを底部12eを介して連結できる。
また、本実施形態において、杭部11は、中間部11aと螺旋状の先端部11bとを有しており、筒状部12a、底部12e、中間部11aおよび先端部11bは、鋳鉄で一体成型されている。
【0020】
なお、本実施形態の支持装置10Aは、筒状部の下端に設けられる底部12eと底部12eに直接または間接的に取り付けられる杭部11とを含んでいるが、支持装置10Aは本実施形態で説明するものには限定されず、例えば杭頭から杭先端までが連続した鋼管の杭のように、杭部11を有さないものも含まれる。また、筒状部12a、底部12e、中間部11aおよび先端部11bについても、本実施形態で説明するものには限定されず、例えば鋳鉄製ではなく鋼製でもよく、先端部11bが公知の杭先端部の形状を有するものでもよく、中間部11aを省略して先端部11bが底部12eに直接取り付けられてもよく、各部が一体成型ではなく別体で成型されたものを接合したものであってもよい。
【0021】
また、本実施形態において筒状部12aは円筒状であるが、筒状部12aは円筒状には限定されず、例えば角筒状でもよい。同様に、脚部21は中空で円筒状には限定されず、中実や角柱状でもよい。
【0022】
また、本実施形態において筒状部12aの開口12a-1は脚部21を挿入可能な大きさに限定しているが、その具体的な大きさは技術常識の範囲内で適宜決定する。
筒状部12aの内周面と脚部21の外周面との間の隙間が小さすぎる場合、防護柵のように複数の脚部を有する地上構造物を地中に設置する際に、脚部の間隔と支持装置の間隔とのズレを許容することができず、支持装置を正確に設置する必要があり多大な労力を要する。一方、筒状部12aの内周面と脚部21の外周面との間の隙間が大きすぎる場合、地上構造物が傾くなどの不具合が生じる。
以上のことから、例えば、開口12a-1の大きさは、筒状部12aの内周面と脚部21の外周面との間の隙間の大きさが、コンクリートブレーカー等の破砕装置の先端工具を挿入できないほどに小さくすることが好ましい。より具体的には、筒状部12aの内周面と脚部21の外周面との間の隙間の大きさが5~20mm程度となるようにすることが好ましい。ちなみに、本実施形態において開口12a-1の直径(筒状部12aの内径)は140mm、脚部21の外径は114mmであり、筒状部12aの内周面と脚部21の外周面との間の隙間は13mmであり、隙間の大きさが10~15mm程度となるようにすることがなお好ましい。
【0023】
筒状部12aの上端まで充填される砂12bは、固着されることなく充填されるから、破砕装置を使用しなくても、脚部21を筒状部12aから容易に引き抜くことができる。したがって、筒状部12aの内周面と脚部21の外周面との間の隙間の大きさが、コンクリートブレーカー等の破砕装置の先端工具を挿入できないほどに小さくても、脚部21を筒状部12aから容易に引き抜くことができる。
なお、上述のとおり、筒状部12aの上端より上方に配置される第1のモルタル層12cは、脚部12aを筒状部12aから引き抜くときには除去する必要があるが、その除去はコンクリートブレーカー等の破砕装置を用いて容易に行うことができる。
【0024】
本実施形態では第1のモルタル層12cを路面(GL面)と同じ高さまで配置しているが、それに限定されず、例えば、第1のモルタル層12cを路面(GL面)より少し低い高さまで配置した後、その上方に埋戻しの土砂やアスファルト舗装31を配置してもよい。
【0025】
本実施形態では非固着性の粒体として砂を用いたが、非固着性の粒体は砂には限定されず、例えば、砂利、砕石、土砂、鉄粒、セラミックス粒等の他の非固着性の粒体を単独で、または砂と併用で用いることもできる。
【0026】
本実施形態において第1および第2の硬化層はモルタル層12c,12dであるが、第1および第2の硬化層はモルタル層には限定されず、例えばコンクリート層でもよい。なお、後述のとおり、第2の硬化層は、硬練りモルタルが硬化したモルタル層であることが好ましい。
【0027】
次に、支持装置10Aの施工方法について説明する。
この施工方法は、脚部21の下端と筒状部12aの下端との間に第2の硬化層である第2のモルタル層12dを配置することと、筒状部12aに脚部21を挿入することと、筒状部12aの上端まで非固着性の粒体である砂12bを充填することと、筒状部12aの上端より上方に第1の硬化層である第1のモルタル層12cを配置することとを有する。より具体的に説明すると以下のとおりである。
【0028】
まず、図1に示すように、アスファルト舗装31および路盤32のある地盤30において、アスファルト舗装31を例えば□300mmで除去し、路面(GL面)から例えば□300×h350mmの先行掘削を行い、杭部11を杭打機により地中に埋設する。
【0029】
次に、筒状部12aの下端(底部12e)から+100mm程度の位置まで、第2のモルタル層12dとなる硬練りモルタルを充填し、脚部21の下端を硬練りモルタルに10mm程度貫入させて地上構造物の高さ調整を行う。すなわち、本実施形態では脚部12aの下端と筒状部12aの下端との間に第2のモルタル層12dを配置し、その後、筒状部12aに脚部21を挿入する。
【0030】
硬練りモルタルが硬化したのち、筒状部12aと脚部21の隙間に砂12bを筒状部12aの上端まで充填する。
【0031】
次に、先行掘削範囲(□300×h350mm)にモルタルを充填し、金コテで表面仕上げを行う。このようにして、筒状部12aの上端より上方に第1の硬化層である第1のモルタル層12cを配置する。このように本実施形態では、先行掘削範囲(□300×h350mm)にモルタルを充填することで筒状部12aの上端より上方に第1の硬化層である第1のモルタル層12cを配置されるから、第1のモルタル層12cは筒状部12aの周囲に配置される周囲モルタル層12fと一体化しているが、図1では第1のモルタル層12cと周囲モルタル層12fとを仮想的に破線によって区別している。なお、第1のモルタル層12cと周囲モルタル層12fとを別々に配置(施工)してもよい。
また、本実施形態では先行掘削範囲(□300×h350mm)にモルタルを充填、すなわち第1のモルタル層12cを路面(GL面)と同じ高さまで配置しているが、それに限定されず、例えば、路面(GL面)より少し低い高さまでモルタルを充填した後、その上方に埋戻しの土砂やアスファルト舗装31を配置してもよい。
【0032】
再施工は、車止めボラード20周辺を筒状部12aの上端までコンクリートブレーカー等の破砕装置を用いて除去し、脚部21を筒状部12aから引き抜く。その後、筒状部12a内部の砂12bを一旦取り除き、再度硬練りモルタルを充填し新規の車止めボラード20の脚部21を筒状部12aに挿入する。続いて、前回施工と同様に筒状部12aと脚部21の隙間に砂12bを筒状部12aの上端まで充填し、その後、筒状部12aの上端より上方に第1の硬化層である第1のモルタル層12cを配置する。なお、車止めボラード20周辺をコンクリートブレーカー等の破砕装置を用いて除去した時に、周囲モルタル層12fの上方を一緒に除去した場合は、第1のモルタル層12cを配置する際に、除去した周囲モルタル層12fの上方にもモルタル層を配置する。
【0033】
以上の施工方法では、筒状部12aに脚部21を挿入することの後に、筒状部12aの上端まで非固着性の粒体である砂12bを充填することを実施したが、筒状部12aの上端まで非固着性の粒体である砂12bを充填することの後に、筒状部12aに脚部21を挿入することを実施してもよい。この場合、充填された砂12bに脚部21を貫入するようにして筒状部12aに挿入すればよい。
【0034】
以上の施工方法では、筒状部12aに脚部21を挿入することの前に、脚部21の下端と筒状部12aの下端との間に第2の硬化層である第2のモルタル層12dを配置することを実施したが、この第2のモルタル層12dを配置することは省略可能である。この場合、脚部21が中空の場合には脚部21の下端を蓋等の別の手段で塞ぎ、脚部21の高さ調整は別の手段により行えばよい。
また、第2のモルタル層12dを形成するために硬練りモルタルを用いたが、通常のモルタルを用いることもできる。ただし、施工性を考慮すると硬練りモルタルを用いることが好ましい。
【0035】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図2に、本発明の他の実施形態である地上構造物の支持装置10Bの使用状態を示している。
この支持装置10Bは、先に説明した図1の支持装置10Aの構成に加え、筒状部12aを挿入可能な大きさに開口13aが限定された筒状ブロック13と、この筒状ブロック13に筒状部12aが挿入された状態で、筒状ブロック13の上端まで充填される非固着性の粒体である砂14と、筒状ブロックの上端より上方に配置される第3の硬化層である第3のモルタル層15をさらに含むものである。そこで、図2の支持装置10Bにおいて図1の支持装置10Aと同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
このように本実施形態では、筒状ブロック13に筒状部12aが挿入された状態で、筒状ブロック13の上端まで砂14が充填されているから、筒状部12aが破損するなどして支持ユニット12の交換が必要となった場合には、筒状部12aの上端より上方に配置される第1のモルタル層12cおよび筒状ブロック13の上端より上方に配置される第3のモルタル層15をコンクリートブレーカー等の破砕装置を用いて除去することで、筒状部12aを含む支持ユニット12全体を筒状ブロック13から容易に引き抜くことができる。
なお、筒状ブロック13の上端より上方に配置される第3のモルタル層15は、筒状ブロック13の上端まで充填されている砂14を覆う蓋の機能を発揮する。
【0037】
本実施形態において筒状ブロック13は、コンクリート製の四角形状のブロック本体に円形状の開口13aを設けたもので、この開口13aの大きさを、筒状部12aを挿入可能な大きさに限定しているが、その具体的な大きさは技術常識の範囲内で適宜決定する。
筒状ブロック13の内周面と筒状部12aの外周面との間の隙間が小さすぎる場合、筒状部12aを筒状ブロック13の開口13aに挿入し難くなる。一方、筒状ブロック13の内周面と筒状部12aの外周面との間の隙間が大きすぎる場合、筒状部12aが傾きやすくなるなどの不具合が生じる。
以上のことから、例えば、開口13aの大きさは、筒状ブロック13の内周面と筒状部12aの外周面との間の隙間の大きさが、コンクリートブレーカー等の破砕装置の先端工具を挿入できないほどに小さくすることが好ましい。より具体的には、筒状ブロック13の内周面と筒状部12aの外周面との間の隙間の大きさが5~20mm程度となるようにすることが好ましい。ちなみに、本実施形態において開口13aの直径は180mm、筒状部12aの外径は156mmであり、筒状ブロック13の内周面と筒状部12aの外周面との間の隙間は12mmであり、隙間の大きさが10~15mm程度となるようにすることがなお好ましい。
【0038】
筒状ブロック13の上端まで充填される砂14は、固着されることなく充填されるから、破砕装置を使用しなくても、筒状部12aを筒状ブロック13から容易に引き抜くことができる。したがって、筒状ブロック13の内周面と筒状部12aの外周面との間の隙間の大きさが、コンクリートブレーカー等の破砕装置の先端工具を挿入できないほどに小さくても、筒状部12aを筒状ブロック13から容易に引き抜くことができる。
なお、上述のとおり、筒状ブロックの上端より上方に配置される第3のモルタル層15は、筒状部12aを筒状ブロック13から引き抜くときには除去する必要があるが、その除去はコンクリートブレーカー等の破砕装置を用いて容易に行うことができる。
【0039】
本実施形態において筒状ブロック13は四角形状であるが、筒状ブロック13は四角形状には限定されず、例えば円形状、楕円形状、台形状または多角形状でもよい。同様に、開口13aも円形状には限定されず、四角形状や多角形状でもよい。さらに、筒状ブロック13の材質もコンクリート製には限定されず、レジンコンクリート製や鋳鉄製でもよい。
また、本実施形態では非固着性の粒体として砂を用いたが、非固着性の粒体は砂には限定されず、例えば、砂利、砕石、土砂、鉄粒、セラミックス粒等の他の非固着性の粒体を単独で、または砂と併用で用いることもできる。
また、本実施形態において第3の硬化層はモルタル層15であるが、第3の硬化層はモルタル層には限定されず、例えばコンクリート層でもよい。
【0040】
また、本実施形態では、筒状ブロック13の上端と筒状部12aの上端とを同じ高さとしているが、筒状ブロック13の上端を筒状部12aの上端より高くしてもよいし、逆に低くしてもよい。
【0041】
次に、支持装置10Bの施工方法について説明する。
この支持装置10Bの施工方法は、先に説明した図1の支持装置10Aの施工方法に加えて、筒状ブロック13を設置することと、筒状ブロック13に筒状部12aが挿入された状態で、筒状ブロック13の上端まで非固着性の粒体である砂14を充填することと、筒状ブロック13の上端より上方に第3の硬化層である第3のモルタル層15を配置することを含む。より具体的に説明すると以下のとおりである。
【0042】
まず、図2に示すように、アスファルト舗装31および路盤32のある地盤30において、アスファルト舗装31を例えば□300mmで除去し、路面(GL面)から例えば□300×h350mmの先行掘削を行い、筒状部12aを含む杭部11を杭打機により地中に埋設する。
【0043】
次に、先行掘削を行った底面部に、第4のモルタル層(硬化層)16となる硬練りモルタルを10mm程度打設し、その上から筒状ブロック13の開口13aに筒状部12aが挿入された状態となるように筒状ブロック13を設置する。
硬練りモルタルが硬化したのち、筒状ブロック13と筒状部12aとの隙間に砂14を筒状ブロック13の上端まで充填する。
【0044】
次に、筒状部12aの下端(底部12e)から+100mm程度の位置まで、第2のモルタル層12dとなる硬練りモルタルを充填し、脚部21の下端を硬練りモルタルに10mm程度貫入させて地上構造物の高さ調整を行う。すなわち、本実施形態では脚部21の下端と筒状部12aの下端との間に第2のモルタル層12dを配置し、その後、筒状部12aに脚部21を挿入する。
【0045】
第2のモルタル層12dが硬化したのち、筒状部12aと脚部21の隙間に砂12bを筒状部12aの上端まで充填する。
【0046】
次に、先行掘削範囲(□300×h350mm)にモルタルを充填し、金コテで表面仕上げを行う。このようにして、筒状部12aの上端より上方に第1の硬化層である第1のモルタル層12cおよび筒状ブロック13の上端より上方に第3の硬化層である第3のモルタル層15を配置する。このように本実施形態では、先行掘削範囲(□300×h350mm)にモルタルを充填することで筒状部12aの上端より上方に第1の硬化層である第1のモルタル層12cおよび筒状ブロック13の上端より上方に第3の硬化層である第3のモルタル層15を配置されるから、第1のモルタル層12cおよび第3のモルタル層15は筒状ブロック13の周囲に配置される周囲モルタル層17と一体化しているが、図2では第1のモルタル層12c、第3のモルタル層15および周囲モルタル層17を仮想的に破線によって区別している。なお、第1のモルタル層12c、第3のモルタル層15および周囲モルタル層17を別々に配置(施工)してもよい。
また、本実施形態では先行掘削範囲(□300×h350mm)にモルタルを充填、すなわち第1のモルタル層12cおよび第3のモルタル層15を路面(GL面)と同じ高さまで配置しているが、それに限定されず、例えば、路面(GL面)より少し低い高さまでモルタルを充填した後、その上方に埋戻しの土砂やアスファルト舗装31を配置してもよい。
【0047】
再施工は、地上構造物である車止めボラード20のみを交換する場合、筒状部12aの上端より上方に配置されている第1のモルタル層12cをコンクリートブレーカー等の破砕装置を用いて除去し、脚部21を筒状部12aから引き抜く。その後、筒状部12a内部の砂12bを一旦取り除き、再度硬練りモルタルを充填し新規の車止めボラード20の脚部21を筒状部12aに挿入する。続いて、前回施工と同様に筒状部12aと脚部21の隙間に砂12bを筒状部12aの上端まで充填し、その後、筒状部12aの上端より上方に第1の硬化層である第1のモルタル層12cを配置する。
【0048】
一方、筒状部12aを含む支持ユニット12全体を交換する場合、筒状部12aの上端より上方に配置される第1のモルタル層12cおよび筒状ブロック13の上端より上方に配置される第3のモルタル層15をコンクリートブレーカー等の破砕装置を用いて除去し、筒状部12aを筒状ブロック13から引き抜く。その後、筒状ブロック13内部の砂14を一旦取り除き、新規の支持ユニット12の筒状部12aを筒状ブロック13に挿入する。続いて、前回施工と同様に筒状ブロック13と筒状部12aとの隙間に砂14を筒状ブロック13の上端まで充填する。その後、筒状部12aの上端より上方に第1の硬化層である第1のモルタル層12cおよび筒状ブロック13の上端より上方に第3の硬化層である第3のモルタル層15を配置する。なお、第1のモルタル層12cや第3のモルタル層15をコンクリートブレーカー等の破砕装置を用いて除去した時に、周囲モルタル層17の上方を一緒に除去した場合は、第1のモルタル層12cや第3のモルタル層15を配置する際に、除去した周囲モルタル層17の上方にもモルタル層を配置する。
【0049】
以上の施工方法では、杭部11を含む支持ユニット12の筒状部12aを設置することの後に、筒状ブロック13を設置することを実施したが、筒状ブロック13を設置することの後に、杭部11を含む支持ユニット12の筒状部12aを設置することを実施してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10A,10B 支持装置
11 杭部
11a 中間部
11b 先端部
12 支持ユニット
12a 筒状部
12a-1 開口
12b 砂(非固着性の粒体)
12c 第1のモルタル層(第1の硬化層)
12d 第2のモルタル層(第2の硬化層)
12e 底部
12f 周囲モルタル層
13 筒状ブロック
13a 開口
14 砂(非固着性の粒体)
15 第3のモルタル層(第3の硬化層)
16 第4のモルタル層(第4の硬化層)
17 周囲モルタル層
20 車止めボラード(地上構造物)
21 脚部
22 キャップ
30 地盤
31 アスファルト舗装
32 路盤
図1
図2