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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】認知機能速度改善用の組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240730BHJP
   A61K 31/4172 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 36/07 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K31/4172
A61K36/07
A61P25/28
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020173695
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2021065226
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2019190390
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】319002016
【氏名又は名称】株式会社エル・エスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】松本 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉成 篤四郎
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0082055(KR,A)
【文献】FOOD STYLE 21,2017年, Vol.21, No.2, p.21-24
【文献】日本食品科学工学会 第63回大会講演集,2016年,p.95(2Ep1)
【文献】食品と開発,2016年,Vol.51,No.10,pp.20-30
【文献】Food and Chemical Toxicology,2012年,Vol.50,pp.3902-3911
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/FSTA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
L-エルゴチオネインを有効成分として含有する、認知機能速度改善用の組成物。
【請求項2】
前記L-エルゴチオネインがタモギダケ抽出物に含有されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記L-エルゴチオネインの摂取量が、成人1人1日当たり1mg~30mgである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
タモギダケ抽出物を有効成分として含有する、認知機能速度改善用の組成物。
【請求項5】
前記認知機能速度として、脳における情報処理速度を改善する、請求項1乃至4の何れか1つに記載の組成物。
【請求項6】
前記認知機能速度に加え、加齢に伴う言語記憶力の低下を改善する、請求項1乃至5の何れか1つに記載の組成物。
【請求項7】
前記認知機能速度に加え、加齢に伴う持続的注意力の低下を改善する、請求項1乃至6の何れか1つに記載の組成物。
【請求項8】
前記認知機能速度に加え、加齢に伴う単純注意力の低下を改善する、請求項1乃至7の何れか1つに記載の組成物。
【請求項9】
当該組成物が食品組成物である、請求項1乃至8の何れか1つに記載の組成物。
【請求項10】
前記食品組成物が、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、病者用食品、又は高齢者用食品である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
当該組成物が医薬組成物である、請求項1乃至8の何れか1つに記載の組成物。
【請求項12】
当該組成物が、タモギタケエキスからなる組成物、フリーズドライされた組成物、又はスプレードライされた組成物である、請求項1乃至11の何れか1つに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知機能の改善に用いられる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の到来に伴って脳の健康に注目が集まっている。脳の健康を保つためには食生活の改善が有効であると言われている。脳の健康を保つための組成物(食品組成物など)について様々な研究が行われている。
【0003】
特許文献1には、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸と呼ばれるケイ皮酸誘導体を有効成分とする脳の機能改善用飲食品が記載されている。
【0004】
また、非特許文献1には、エルゴチオネインにブレインフードとしての可能性があることが記載されている。具体的には、エルゴチオネインには神経新生作用があること、神経新生作用は神経細胞の新陳代謝を促し記憶・学習に効果を示す可能性があること、記憶・学習の評価系としてマウスを用いて新奇物体探索試験を行ったところ、エルゴチオネインの経口摂取により記憶・学習能力向上作用が示唆されたこと等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6236185号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】加藤将夫ほか著「トランスポーター介在性ブレインフードとしてのエルゴチオネイン」,FOOD STYLE 21,2017,Vol.21,No.2,p.21-24
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、脳における認知機能は十分に解明されてはいない。そのような中で、DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders V)で分類される神経認知障害(NCD:Neurocognitive Disorders)では、NCD(神経認知障害)患者で障害される認知機能領域が、「複雑性注意」、「実行機能」、「学習と記憶」、「言語」、「知覚ー運動」、「社会的認知」の6領域に分類されている。従来は、エルゴチオネインの効果としては、この6領域のうち、記憶・学習能力向上作用が示唆されている。しかし、他の分類の効果は解明されていない。なお、DSMとは、米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルであり、正式には「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」という。
【0008】
本発明の目的は、記憶・学習以外の認知機能改善に有用な組成物、及び、その組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、L-エルゴチオネインには、認知機能速度を改善させる効果があること、加齢に伴う言語記憶力を改善させる効果があること、加齢に伴う持続的注意力を改善させる効果があること、及び、加齢に伴う単純注意力を改善させる効果があることを見つけ出した。そして、これらの知見により、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、L-エルゴチオネインを有効成分として含有する認知機能速度改善用の組成物、又は、タモギダケ抽出物を有効成分として含有する認知機能速度改善用の組成物である。L-エルゴチオネインについて、タモギダケ抽出物に含有されていてもよい。また、L-エルゴチオネインの摂取量は、成人1人1日当たり1mg~30mgとすることができる。また、本発明について、認知機能速度として、脳における情報処理速度を改善することができる。また、認知機能速度に加え、加齢に伴う言語記憶力の改善、加齢に伴う持続的注意力の改善、又は、加齢に伴う単純注意力の改善に用いることができる。
【0011】
また、本発明について、当該組成物は食品組成物とすることができ、その場合に食品組成物は健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、病者用食品・病者用組合わせ食品又は高齢者用食品とすることができる。また、当該組成物は医薬組成物とすることができる。また、当該組成物は、タモギタケエキスからなる組成物、フリーズドライされた組成物、又はスプレードライされた組成物とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記憶・学習以外の認知機能改善に有用な組成物、及び、その組成物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】コグニトラックス検査における総合記憶力の検査結果を示すグラフである。
図2】コグニトラックス検査における言語記憶力の検査結果を示すグラフである。
図3】コグニトラックス検査における視覚記憶力の検査結果を示すグラフである。
図4】コグニトラックス検査における認知機能速度の検査結果を示すグラフである。
図5】コグニトラックス検査における反応速度の検査結果を示すグラフである。
図6】コグニトラックス検査における総合注意力の検査結果を示すグラフである。
図7】コグニトラックス検査における認知柔軟性の検査結果を示すグラフである。
図8】コグニトラックス検査における処理速度の検査結果を示すグラフである。
図9】コグニトラックス検査における実行機能の検査結果を示すグラフである。
図10】コグニトラックス検査におけるワーキングメモリーの検査結果を示すグラフである。
図11】コグニトラックス検査における持続的注意力の検査結果を示すグラフである。
図12】コグニトラックス検査における単純注意力の検査結果を示すグラフである。
図13】コグニトラックス検査における運動速度の検査結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0015】
[認知機能速度改善用の組成物について]
本実施形態は、L-エルゴチオネインを有効成分として含有する、ヒトの脳における認知機能速度改善用の組成物(以下、「本改善用組成物」と言う場合がある。)である。本改善用組成物(認知機能速度改善用の食品組成物又は医薬組成物)は、例えば、経口的に摂取させることで、認知機能速度の改善を必要とする患者の認知機能速度改善方法に用いることができる。なお、認知機能速度とは、脳と身体が情報や物ごとを理解して反応する速さ(脳における情報処理速度など)を表し、運動量とともに、身体活動量に相関する。
【0016】
本改善用組成物、及び、認知機能速度改善方法は、高齢者や軽度認知症(MCI)の者における認知機能速度の改善に有用である。さらに、中年層や若年層、未成年における認知機能速度の改善にも有用である。また、ヒト以外の動物(例えば、犬、猫、サルなどの哺乳動物)における認知機能速度の改善にも有用である。
【0017】
また、本改善用組成物、及び、認知機能速度改善方法は、加齢に伴う言語記憶力の改善、及び、加齢に伴う注意力(持続的注意力、単純注意力)の改善にも有用である。そのため、高齢者や中年層における言語記憶力、及び、注意力を改善することができる。また、本改善用組成物は、タモギタケエキス(タモギタケ濃縮液など)からなる組成物、フリーズドライされた組成物、又はスプレードライされた組成物とすることができる。
【0018】
ここで、L-エルゴチオネインは、結晶状態において下記式(1)の化学構造を有するアミノ酸の一種である。
【化1】
【0019】
L-エルゴチオネインは、溶液中において、チオール構造との互変異性体となることが知られており、熱や酸に対して安定である。また、L-エルゴチオネインは、アスコルビン酸と同様に抗酸化物質であり、生体内で合成できず外部から摂取する必要がある。本改善用組成物に含有させるL-エルゴチオネインは、食品用途や医薬品用途での消化性、安全性、味覚等の観点から、L-エルゴチオネインを含むキノコ類や酒粕などからの抽出物を用いることが好ましい。但し、化学合成による市販品のL-エルゴチオネインを用いてもよい。
【0020】
L-エルゴチオネインを抽出するキノコ類としては、タモギタケ(学名:Pleurotus cornucopiae var.citrinopileatus)、エノキタケ属(Flammulina)に属するエノキタケ(Flammulina velutipes)等、オオイチョウタケ属(Leucopaxillus)に属するオオイチョウタケ(Leucopaxillus giganteus)等、キコブタケ属(Phellinus)に属するメシマコブ(Phellinus linteus)等、キシメジ属(Tricholoma)に属するサウーバ(Tricholoma sp.)等、ササクレヒトヨタケ属(Coprinus)に属するササクレヒトヨタケ(Coprinus comatus)等、サンゴハリタケ属(Hericiaceae)に属するヤマブシタケ(Hericium erinaceum)等、シメジ属(Lyophyllum)に属するホンシメジ(Lyophyllum shimeji)等、ハタケシメジ(Lyophyllum decastes)等、ショウゲンジ属(Rozites)に属するショウゲンジ(Rozites caperata)等、スギタケ属(Pholiota)に属するナメコ(Pholiota nameko)等、ヒラタケ属(Pleurotus)に属するウスヒラタケ(Pleurotus pulmonarius)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、エリンギ(Pleurotus eryngii)等、ブナハリタケ属(Mycoleptodonoides)に属するブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii)等、フミツキタケ属(Agrocybe)に属するヤナギマツタケ(Agrocybe cylindracea)等、及び、マイタケ属(Grifola)に属するアンニンコウ(Grifola gargal)等からなる群から少なくとも1種以上を選択することができる。特に、抽出物を長期間に亘って使用した場合の低副作用や安全性の観点から、タモギタケ、エノキタケ、オオイチョウタケ、ササクレヒトヨタケ、ヤマブシタケ、ホンシメジ、ナメコ、ヒラタケ、エリンギ、及び、ブナハリタケが好ましく、これらの中でも、タモギタケは、国内での採取が容易でもある。
【0021】
また、本改善用組成物は、食品組成物(飲料を含む。)とした場合に、L-エルゴチオネインに加えて、飲食品用として一般に用いられる他の成分(ビタミンやミネラルなどの栄養成分、食品素材、又は、食品添加物など)を含有させてもよい。他の成分としては、溶剤としてエタノールや水、甘味料、香料、調味料、着色料、保存料、増量剤、増粘剤、増粘安定剤、酸化防止剤、苦味料、酸味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤及び可塑剤などを用いることができる。
【0022】
また、本実施形態の認知機能速度改善用の食品組成物は、固形、半固形又は液体などの食品とすることができ、例えば、菓子(クッキー、ゼリーなど)、パン類、魚肉加工品、畜肉加工品、麺類、スープ類、ソース類、惣菜等、飲料(乳飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料、野菜飲料、粉末飲料、スポーツ飲料、栄養飲料など)として提供することができる。また、本実施形態の認知機能速度改善用の食品組成物は、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、病者用食品・病者用組合わせ食品又は高齢者用食品などとして提供することができる。また、本改善用組成物は、医薬品又は医薬部外品として提供することができる。つまり、認知機能速度改善剤として提供することができる。
【0023】
また、本改善用組成物は、固体状、液体状、粉末状、顆粒状、ペースト状、ムース状、ゲル状、ゼリー状、又は、タブレット状などの形態(剤形)にすることができる。また、本改善用組成物は、袋、容器又はカプセル等に包まれた形態にすることもできる。固体状、タブレット状の場合、後述するL-エルゴチオネインの摂取量が1つ当たりに含まれるようにすることができる。また、液体状、粉末状、顆粒状、ペースト状、ムース状、ゲル状、ゼリー状の場合、後述するL-エルゴチオネインの摂取量が1つの包装に含まれるようにすることができる。
【0024】
また、本改善用組成物は、L-エルゴチオネインの摂取量(成人1人1日当たりの摂取量)が1mg~30mgとなるように用いることができ、3mg~25mgとなるように用いることがより好ましく、5mg~25mgとなるように用いることがさらに好ましい。L-エルゴチオネインを固化又は包装した形態とする場合に、1日当たりの摂取個数の包装の中に合計で、成人1人1日当たり1mg~30mg含むようにすることができる。なお、L-エルゴチオネインの摂取量は、1日の摂取目安量としてパッケージ等に表示することができる。また、1日当たりの摂取量を達成するための1日当たりの摂取回数は、1回にしてもよいし、複数回にしてもよい。
【0025】
[認知機能速度改善用組成物の製造方法について]
本改善用組成物の製造方法(以下、「本製造方法」と言う場合がある。)について説明する。
【0026】
本製造方法では、L-エルゴチオネインの原料としてタモギタケを用いる。本製造方法に用いるタモギタケは、天然に自生しているものでもよいし、人工栽培されたものでもよい。また、生のタモギタケを用いてもよいし、採取したタモギタケを加工したものを用いてもよい。タモギタケを加工したものとしては、乾燥させたもの、又は、乾燥後に粉末にしたものなどを用いることができる。なお、L-エルゴチオネインの原料として、タモギタケ以外のキノコ類を用いてもよい。
【0027】
本製造方法は、タモギタケの水系溶媒抽出物(例えばタモギタケエキス)を製造する抽出物製造工程を行う。タモギタケの水系溶媒抽出物は、水系溶媒によってタモギタケから抽出された成分を含有する液体状(タモギダケ濃縮液)、半固体状、若しくは固体状の物質、又は、これらの物質から選択される1又は2以上の物質の混合物である。
【0028】
抽出物製造工程では、例えば定法に従いタモギタケの水系溶媒抽出物を製造することができる。例えば、水系溶媒にタモギタケを投入し、粉砕・攪拌しながら加熱した後に、濾過などにより固液分離して液体成分を回収することにより、タモギタケの水系溶媒抽出物を製造することができる。
【0029】
なお、抽出物製造工程において、上述の液体成分を回収した後に、さらに限外濾過又は超音波処理などを行ってもよい。この場合、このような限外濾過物(濾液および濾物)又は超音波処理物が、本工程で最終的に得られるタモギタケの水系溶媒抽出物となる。
【0030】
また、タモギタケを煮出して得た煮汁をイオン交換樹脂に供した後に、そのイオン交換樹脂から陽イオン性化合物の溶出液を取得し、その溶出液を濃縮させ、その濃縮させた液体を高速液体クロマトグラフィーに通すことでL-エルゴチオネインの分離・精製を行ってもよい。この場合、分離・精製により得られるタモギタケエキスが、本工程で最終的に得られるタモギタケの水系溶媒抽出物となる。
【0031】
ここで、抽出物製造工程に用いる水系溶媒は、極性溶媒を主体とした溶媒を用いることができる。水系溶媒には、1種類の極性溶媒を用いてもよいし、2種類以上の極性溶媒を混合したものを用いてもよい。本製造方法に適用する極性溶媒としては、水、メタノール、エタノール、酢酸、ギ酸、1-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノールなどが挙げられる。好ましい極性溶媒は水である。
【0032】
また、水系溶媒は、極性溶媒に溶質を加えずにそのまま用いてもよいし、極性溶媒に予め溶質を混合又は溶解させたものを用いてもよい。溶質を混合又は溶解させた水系溶媒としては、例えば、水にクエン酸を混合または溶解させたクエン酸水溶液、水に重曹を混合または溶解させた重曹水溶液、食塩を酢酸に混合または溶解させた食塩酢酸溶液などを用いることができる。また、水系溶媒の性質は、酸性、中性又は塩基性の何れでもよい。また、水系溶媒の温度は、その機能が損なわれない限り特に限定されず、低温、常温又は高温の何れであってもよく、好適な水系溶媒として熱水を用いることができる。抽出物製造工程における熱水の温度は、例えば90℃に設定することができる。
【0033】
本製造方法について、本改善用組成物がフリーズドライされた組成物、又はスプレードライされた組成物である場合に、抽出物製造工程後に、タモギタケの水系溶媒抽出物から、L-エルゴチオネインの乾燥物(例えば粉末)を製造する乾燥工程を行う。乾燥工程には、フリーズドライ製法又はスプレードライ製法を用いることができる。フリーズドライ製法を用いる場合、例えば抽出物製造工程に用いる水系溶媒として熱水を用いて、タモギタケの熱水抽出物(タモギタケの水系溶媒抽出物)をフリーズドライすることで、L-エルゴチオネインの乾燥物を製造することができる。なお、本改善用組成物がタモギタケエキスからなる組成物である場合、乾燥工程を行わない。タモギタケの水系溶媒抽出物からなる飲料、又は、タモギタケの水系溶媒抽出物を希釈した飲料などが、本改善用組成物となる。
【0034】
具体的に、乾燥工程について、フリーズドライ製法を用いてタモギダケエキスからL-エルゴチオネインの乾燥物を製造する場合について説明する。この場合、乾燥工程は、タモギダケエキスにデキストリンを溶解させて材料液を作成する調合工程と、調合工程で得られた材料液を凍結させる予備凍結工程と、低温低圧条件下で予備工程後の材料液を凍結乾燥させる凍結乾燥工程とを有する。
【0035】
調合工程では、まずタンクにタモギダケエキスを投入する。そして、所定時間に亘ってタンク内のタモギダケエキスを撹拌しながら所定温度で加熱する。タモギダケエキスは加熱により殺菌される。次に、適宜加水しながらタンクに所定量のデキストリンを徐々に投入する。投入終了後にデキストリンが完全溶解したことを確認すると、調合工程は終了する。これにより、タモギダケエキスにデキストリンが溶解した材料液が得られる。
【0036】
なお、例えば、タモギダケエキスの攪拌時間(上述の所定時間)は30分、加熱温度(上述の所定温度)は90℃とすることができる。また、デキストリンの投入量D(kg)は、以下の式1によって求めることができる。式1において、Eはタモギダケエキスの重量(kg)を表し、BxはタモギダケエキスのBrix(ブリックス)値(%)を表し、αは係数(例えば0.4)を表す。
式1:D=E×Bx×α
【0037】
例えば、Brix20%のタモギダケエキス10kgをタンクに投入する場合、デキストリンのタンクへの投入量は0.8kgとなる。タモギダケエキスは、例えばBrix20~25%のものを用いることができ、デキストリンは分子内に環状構造を持つ高分子のクラスターデキストリン(登録商標)を用いることができる。
【0038】
次に、予備凍結工程では、調合工程により得られた材料液を、透明袋(例えばチャック付き透明袋)に例えば1kgずつ小分けにし、その透明袋を冷凍庫で冷凍する。透明袋は、アルミ等の金属トレイに載置された状態で冷凍庫に入れられる。冷凍庫の庫内温度は例えば-30℃に設定される。また冷凍時間は例えば18時間~42時間とする。これにより材料液は凍結する。
【0039】
次に、凍結乾燥工程では、予備凍結工程により凍結させた材料液が入った透明袋の上面をカッター等で切り取る。そして、切り取り後の透明袋を低温低圧の空間(例えば凍結乾燥機内)に設置する。凍結乾燥機内は、スタート時点で棚温度が低温域(-25℃~-30℃)に設定される。凍結乾燥機内は、スタート時点から減圧が開始され、内圧が切替閾値(例えば133Pa)となるまで棚温度がこの低温域に維持される。そして、内圧が切替閾値になった時点で棚温度が25℃に設定されて加温が開始される。加温が開始されると、庫内がさらに減圧されて内圧が極低圧域(例えば20Pa~40Pa)に設定されて、凍結状態の材料液は、水分が気化して除去されて凍結乾燥が進んでいく。凍結乾燥時間は、例えば40時間~50時間とする。これにより、凍結状態の材料液から、低水分の固形状物が得られる。
【0040】
凍結乾燥工程後は、凍結乾燥工程により得られた固形状物を破砕し、破砕後の固形状物を篩に通す。篩には、例えば30メッシュ(公称目開き600μm)のものが用いられる。これにより、粉末状の本改善用組成物が得られる。
【0041】
なお、抽出物製造工程又は乾燥工程の際には、必要とする純度や形状などに応じて、粉砕、精製、濃縮、乾燥、滅菌などを行ってもよい。粉砕方法としては、例えば、ロール式粉砕機などにより押しつぶす方法、フードプロセッサーなどにより切断する方法、ボールミル粉砕機などにより磨り潰す方法、ハンマー式粉砕機などにより打撃を与えて粉砕する方法などを利用することができる。精製方法としては、例えば、濾過法、蒸留法、再結晶法、再沈殿法、各種のクロマトグラフィーを用いた方法などを利用することができる。濃縮方法としては、例えば、煮沸濃縮法、エバポレーターなどによる真空濃縮(減圧濃縮)法、凍結濃縮法、逆浸透膜などを用いた膜濃縮法などを利用することができる。滅菌方法としては、例えば、オートクレーブを用いた方法、高周波法、フィルター濾過法などを利用することができる。
【実施例
【0042】
以下、本発明の実施例として、健常者又は軽度認知障害(MCI)の者を対象として、タモギダケ由来のエルゴチオネイン含有食品を用いた認知機能に関する臨床試験について説明する。なお、本発明は、その主旨を超えない限り、本実施例に限定されるものではない。また、特に記載しない限り、本実施例に記載の単位や測定方法はJIS規格による。
【0043】
-試験方法-
臨床試験の方法としては、2つの試験食品摂取群として、エルゴチオネイン摂取群(被験食品群)とプラセボ摂取群(対照群)を用いたプラセボ対照ランダム化並行群間二重盲検比較試験を採用した。なお、以下では、エルゴチオネイン摂取群を「エルゴ群」、プラセボ摂取群を「プラセボ群」と言う。
【0044】
-被験者の割り付け-
被験者の選定にあたっては、70名に対しスクリーニング調査を行い、適格基準(1)~(11)の全てに該当し、且つ、除外基準(A)~(D)の全てに該当しない52名を被験者に組み入れた。
【0045】
<適格基準>
(1)スクリーニング検査によるMMSEの結果が23点以上の者
(2)年齢:20歳以上80歳未満の者
(3)性別:問わない
(4)喫煙習慣のない者
(5)エルゴチオネインを多量に含む食事を摂る習慣がない者(エルゴチオネインを多量に含む食事:キノコ類、レバー、穀類、豆類)
(6)サプリメントや健康食品を常用していない者
(7)生活習慣病(高血圧、糖尿病など)やリウマチ、肝障害、腎障害、その他慢性疾患に罹患していない者
(8)悪性腫瘍、心不全、心筋梗塞の治療の既往歴がない者
(9)エルゴチオネインを多量に含むキノコ類、医薬品にアレルギー既往のない者
(10)治療を目的とした通院、投薬をしていない者
(11)臨床試験の内容を十分に理解し、文書による同意を受けている者
【0046】
なお、適格基準(1)のMMSE(ミニメンタルステート検査)とは、30点満点に対して合計点で認知症の進行度合い等を評価する検査であり、20点以下で認知症が疑われるとされている。本試験では、MMSEスコアが23~27点の者をMCIと判定し、28~30点の者を健常者と判定した。
【0047】
<除外基準>
(A)妊娠している若しくは授乳中の女性、或いは、試験期間中に妊娠意思のある者
(B)他の治験、或いは、臨床試験に参加中の者、及び、3ヶ月以内に他の治験、或いは、臨床試験に参加した者
(C)担当医師及び医療機関スタッフの指示に従えない者
(D)その他、試験実施担当者により何らかの問題があると判断された者
【0048】
そして、被験者背景としてMMSEスコアに偏りが生じないよう、置換ブロック法により被験者52名を無作為にエルゴ群26名、プラセボ群26名に割り付けた。MMSEスコアの平均値について、エルゴ群は27.2点、プラセボ群は27.1点で同程度であった。
【0049】
また、MMSEスコア以外の被験者背景としては、性別はエルゴ群では男性11名、女性15名であり、プラセボ群では男性7名、女性19名であった。なお、被験者背景のデータについて、身長、体重、BMI、収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数、体温のデータにおいて、群間での有意差はみられなかった。
【0050】
-検査スケジュール、検査内容-
各被験者は、表1に記載のスケジュールで医療機関(試験実施機関)に来院して、検査項目に記載の検査・診断・テストを行った。このスケジュールについて、摂取0週時(0w:最初の検査日)を起算日として、摂取4週時(4w:最初の検査日から28日±3日以内)、摂取8週時(8w:最初の検査日から56日±6日以内)、摂取12週時(12w:最初の検査日から84日±6日以内)にそれぞれに検査等を行った。
【0051】
【表1】
【0052】
各検査日について、各被験者は、起床後、朝食を摂取し、問診、身体測定、血圧測定、血液検査を行った。血液検査では、エルゴチオネインの血中濃度を計測した。その後、「Cognitrax検査実施ガイド」に則り、各被験者に対し、認知機能に関するコグニトラックス(Cognitrax)検査を実施した。なお、認知機能を正確に測るため、各被験者は、各検査日の前日に暴飲暴食を控えるようにした。
【0053】
ここで、コグニトラックス検査とは、米国のCNS Vital Signs社が開発した認知機能検査技術をベースとし、株式会社ヘルス・ソリューションが日本向けにデザインした認知機能検査サービスである。コグニトラックス検査では、言語記憶テスト、視覚記憶テスト、指たたきテスト、符号化テスト(SDCテスト)、ストループテスト、持続処理テスト、及び4パート持続処理テストを行い、総合記憶力、言語記憶力、視覚記憶力、認知機能速度、反応速度、総合注意力、認知柔軟性、処理速度、実行機能、ワーキングメモリー、持続的注意力、単純注意力、及び、運動速度の13つの項目(認知関連の検査項目)の各々について検査結果が数値化される。
【0054】
-試験食品、試験食品の摂取方法-
試験食品について、エルゴ群に対しては、タモギダケ抽出物から得たエルゴチオネイン5mg配合した食品(錠剤4粒あたり)とし、プラセボ群に対しては、エルゴチオネイン0mg配合した食品(錠剤4粒あたり)とした。各群の試験食品には、常温保存されたアルミパウチ包装のものを使用した。なお、試験食品は盲検化され、食品に割り付けられた識別番号を元に被験者に渡した。盲検化の対象は、試験に関係する者(被験者、介入実施者、評価者など)全員であり、解析対象被験者が固定されるまで、割付表は開封しないこととした。
【0055】
各被験者は、初回検査日の翌日より、朝食時に2錠、夕食時に2錠をそれぞれ水とともに摂取することとした(つまり、エルゴ群の1日当たりのエルゴチオネインの摂取量は5mg)。食事内容については特に指定せず、摂取期間中はキノコ類の多量の摂取は控えるように指導した。朝食後に摂取を忘れた場合には、なるべく早めに摂取することとし、夕食後に飲み忘れた場合には、寝るまでに摂取するよう指導した。原則として、食品の摂取率が80%以上の症例を解析対象として取り扱うこととした。
【0056】
なお、エルゴ群の試験食品は、フリーズドライ製法を用いて製造したものを使用した。具体的に、エルゴ群の試験食品は、タモギダケエキスにデキストリンを溶解させて材料液を作成する調合工程と、調合工程で得られた材料液を凍結させる予備凍結工程と、低温低圧条件下で予備工程後の材料液を凍結乾燥させる凍結乾燥工程とを順番に行うことにより得たものを使用した。
【0057】
-解析手法、解析対象-
統計手法としては、群間比較ではStudent’s t-testにて評価した。摂取前値との比較による群内比較では対応のあるt検定を行った。有意水準は両側5%とした。解析データには、各データにおける実測値および変化量を使用した。統計解析ソフトとしては、StatMate V(株式会社アトムス)を用いた。
【0058】
また、被験者52名のうち、途中でインフルエンザを罹患して所定の検査期間に検査できなかった者2名、食品摂取率は80%以上であったが食品を摂取できない期間が2週間あった者1名、食品摂取率が80%未満であった者1名を解析対象外とし、試験実施計画書に適合した対象集団 Per Protocol Set(PPS)症例にて統計解析(以下、「PPS症例解析」という。)を行った。また、加齢に伴う認知機能低下の改善効果を確認するために、健常者40歳以上、MMSEスコアが27点以下のMCIの者30歳以上を対象にした特定年齢層にて統計解析(以下、「層別解析」という。)を行った。なお、MMSEスコアが27点以下であっても20代の者については、加齢による認知機能低下を判断することが難しいため、層別解析から除外した。
【0059】
PPS症例解析の被験者数について、エルゴ群が25名(1名除外)、プラセボ群が23名(3名除外)であり、性別についてエルゴ群では男性11名、女性14名であり、プラセボ群では男性5名、女性18名であった。また、健常者かMCIの者かについて、エルゴ群では健常者14名、MCIの者11名であり、プラセボ群では健常者9名、MCIの者14名であった。また、層別解析の被験者数について、エルゴ群が20名、プラセボ群が19名であり、性別についてエルゴ群では男性8名、女性12名であり、プラセボ群では男性3名、女性16名であった。健常者かMCIの者かについて、エルゴ群では健常者10名、MCIの者10名であり、プラセボ群では健常者5名、MCIの者14名であった。
【0060】
-血液検査の結果-
表2には、エルゴ群とプラセボ群のそれぞれについて、被験者のエルゴチオネイン血中濃度の平均値の変化を示す。表2によれば、エルゴ群では、試験食品の摂取によるエルゴチオネイン血中濃度の増加が確認できた。一方、プラセボ群では、試験食品の摂取によるエルゴチオネイン血中濃度の増加は確認できなかった。
【0061】
【表2】
【0062】
-コグニトラックス検査の解析結果-
図1図13に、コグニトラックス検査における13つの項目について、実線でPPS症例解析の結果、波線で層別解析の結果を示し、太線でエルゴ群、細線でプラセボ群を示す。つまり、太線の実線は「PPS症例解析におけるエルゴ群の結果」、細線の実線は「PPS症例解析におけるプラセボ群の結果」、太線の波線は「層別解析におけるエルゴ群の結果」、細線の波線は「層別解析におけるプラセボ群の結果」を示す。なお、各図の凡例において、PPS症例解析の結果を「PPS」、層別解析の結果を「層別」と表す。
【0063】
各図において、縦軸は、該当する検査項目の点数の変化量(摂取0週時を基準にした変化量)について、解析対象者の平均値を表す。また、横軸は、検査タイミング(摂取0週時:0w、摂取4週時:4w、摂取8週時:8w、摂取12週時:12w)を表す。なお、各検査項目の点数について、「反応速度」、「総合注意力」は点数が小さい方(つまり、減少量が大きい方)が良好な状態を表し、それ以外の項目は点数が大きい方(つまり、増加量が大きい方)が良好な状態を表す。
【0064】
また、表3に、PPS症例解析の結果のうち、エルゴ群の有意差検定の結果(p値)を示す。また、表4に、表3に示す有意差検定の結果のうち、群間有意差又は群間有意傾向を確認できた検査項目の詳細な解析結果を示す。
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
PPS症例解析における有意差検定結果によれば、「認知機能速度」について8週時に群間で有意差(p<0.05)を確認できた。また、「言語記憶」について12週時、「認知機能速度」について12週時、「ワーキングメモリー」について12週時、「持続的注意力」について4週時、「単純注意力」について4週時と8週時、及び「運動速度」について8週時と12週時に、群間で有意傾向(p<0.1)を確認できた。なお、何れの項目においても、摂取0週時に群間で有意差はなかった。この結果によれば、L-エルゴチオネインは、健常者か軽度認知症者かに拘わらず、認知機能速度の改善に有効であることが分かった。
【0068】
表5に、層別例解析の結果のうち、エルゴ群の有意差検定の結果(p値)を示す。また、表6に、表5に示す有意差検定の結果のうち、群間有意差又は群間有意傾向を確認できた検査項目の詳細な解析結果を示す。
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
層別解析における有意差検定結果によれば、「言語記憶」について12週時、及び「単純注意力」について8週時に、群間で有意差(p<0.05)を確認できた。また、「認知機能速度」について8週時、「持続的注意力」について4週時、及び「単純注意力」について4週時と12週時に、群間で有意傾向(p<0.1)を確認できた。また、表6に記載していないが、「持続的注意力」について4週時の実測値に、群間で有意差(p<0.05)を確認できた。なお、何れの項目においても、摂取0週時に群間で有意差はなかった。この結果によれば、L-エルゴチオネインは、加齢に伴う言語記憶力の改善、加齢に伴う持続的注意力の改善、及び加齢に伴う単純注意力の改善に有効であることが分かった。
【0072】
以上より、L-エルゴチオネインは、認知機能速度の改善、言語記憶力の改善、注意力(持続的注意力、単純注意力(特に加齢に伴う各注意力))の改善に有効であることが分かった。L-エルゴチオネインを有効成分として含有する、上述の組成物は、認知機能速度改善用の組成物に加え、言語記憶力改善用の組成物、注意力(持続的注意力、単純注意力(特に加齢に伴う各注意力))改善用の組成物として利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、脳における認知機能改善に用いられる組成物に適用可能である。
図1
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