(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】荷物事故発生可能性推定システム、荷物事故発生可能性推定方法および荷物事故発生可能性推定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20240101AFI20240730BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240730BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240730BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240730BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240730BHJP
【FI】
G06Q10/083
G08G1/00 D
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
(21)【出願番号】P 2020186334
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2020010651
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】金田 真和
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-062864(JP,A)
【文献】特開2011-154461(JP,A)
【文献】特開2015-182821(JP,A)
【文献】特開2019-048706(JP,A)
【文献】特開2009-249065(JP,A)
【文献】特開2002-096913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬対象とする荷物の積み込みおよび積み下ろしのうちの少なくとも一方が行われる各荷物取扱施設における各荷物の環境状況を荷物環境情報として収集して、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定する機能を有する荷物事故管理装置を有する荷物事故発生可能性推定システムであって、
あらかじめ定めた移動スケジュールとして定めた時間情報および場所情報にしたがって各前記荷物取扱施設の間を通常の荷物と同じ運搬手段に積み込まれて通常の荷物と同じ運搬径路上を、プローブ荷物として運搬されて、各前記荷物取扱施設に到着する都度、積み下ろしおよび積み込みのうちの少なくとも一方が行われる一つ以上の荷物環境測定装置を有し、
各前記荷物環境測定装置は、
前記プローブ荷物として前記荷物取扱施設内に積み下ろされる都度、一つ以上のセンサにより該荷物取扱施設内の環境状況を示す情報を測定してセンサ測定情報として取得する測定手段と、
取得した前記センサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境情報として、前記荷物事故管理装置に送信する送信手段と、
を有し、
前記荷物事故管理装置は、
各前記荷物環境測定装置それぞれから送信されてくる前記荷物環境情報を受信する受信手段と、
受信した前記荷物環境情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物が運搬経路上を運搬されて前記荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の前記荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境情報を、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された前記荷物環境情報に含まれている前記センサ測定情報、前記時刻情報および前記場所情報に基づいて、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する推定手段と、
を有する、
ことを特徴とする荷物事故発生可能性推定システム。
【請求項2】
運搬対象の荷物と前記プローブ荷物とを積み込んで運搬する運搬手段それぞれは、
それぞれの運搬手段に搭載されている一つ以上の車両用センサそれぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、積み込んだ荷物に関する前記荷物環境情報として、前記荷物事故管理装置に送信する車両用送信手段を有し、
前記荷物事故管理装置は、
前記受信手段において、各前記運搬手段それぞれの前記車両用送信手段から送信されてくる前記荷物環境情報、および、前記運搬手段に積み込まれた前記プローブ荷物が前記荷物環境測定装置として動作可能な状態にあった場合には該荷物環境測定装置から送信されてくる前記荷物環境情報、を受信し、
前記記憶手段において、各前記運搬手段から受信した前記荷物環境情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物が積み込まれた前記運搬手段と同じ前記運搬手段から受信した前記荷物環境情報を、荷物事故が発生した前記荷物が存在している前記運搬手段の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶し、
前記推定手段において、前記記憶手段により記憶された前記荷物環境情報に含まれている前記センサ測定情報、前記時刻情報および前記場所情報に基づいて、前記荷物取扱施設と前記運搬手段とを含む形で、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の荷物事故発生可能性推定システム。
【請求項3】
前記荷物取扱施設内に、積み下ろされた荷物の状況を監視し測定するための一つ以上の固定センサを有する固定荷物環境測定装置が固定設置されていた場合、
前記固定荷物環境測定装置は、
一つ以上の前記固定センサそれぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、積み下ろされた荷物に関する前記荷物環境情報を補強するための荷物環境追加情報として、前記荷物事故管理装置に送信する固定用送信手段を有し、
前記荷物事故管理装置は、
前記受信手段において、各前記固定荷物環境測定装置それぞれの前記固定用送信手段から送信されてくる前記荷物環境追加情報を受信し、
前記記憶手段において、各前記固定荷物環境測定装置から受信した前記荷物環境追加情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物が前記荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に固定設置されている一つ以上の前記固定荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境追加情報を、前記荷物環境情報とともに、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶し、
前記推定手段において、前記記憶手段により記憶された前記荷物環境情報と前記荷物環境追加情報とに含まれている前記センサ測定情報、前記時刻情報および前記場所情報に基づいて、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の荷物事故発生可能性推定システム。
【請求項4】
運搬対象の荷物と前記プローブ荷物とを積み込んで運搬する運搬手段それぞれは、
それぞれの運搬手段に搭載されている一つ以上の車両用センサそれぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、積み込んだ荷物に関する前記荷物環境情報として、前記荷物事故管理装置に送信する車両用送信手段を有し、
前記荷物環境測定装置は、
前記測定手段において、取得した一つ以上の前記センサ測定情報のいずれか一つでも異常な状態になっていた場合、異常ありを検知した旨を示す情報とし、すべての前記センサ測定情報が正常な状態であった場合には、異常なしを検知した旨を示す情報として、異常あり、異常なしの二つのいずれであるかを示す情報に数値化したセンサ測定情報に変換するか、または、取得した一つ以上の前記センサ測定情報のそれぞれを、異常ありを検知した場合と異常なしを検知した場合との二つに分けて、異常ありの個数と異常なしの個数とに数値化したセンサ測定情報に変換し、
かつ、
前記送信手段において、前記測定手段にて数値化した前記センサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境情報として、前記荷物事故管理装置に送信し、
かつ、
前記運搬手段が前記車両用送信手段から前記荷物環境情報を送信する場合、
前記運搬手段は、前記車両用センサそれぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報のいずれか一つでも異常な状態になっていた場合、異常ありを検知した旨を示す情報とし、すべての前記センサ測定情報が正常な状態であった場合には、異常なしを検知した旨を示す情報とし、異常あり、異常なしの二つのいずれであるかを示す情報に数値化したセンサ測定情報に変換するか、または、前記車両用センサそれぞれが測定した一つ以上の前記センサ測定情報のそれぞれを、異常ありを検知した場合と異常なしを検知した場合との二つに分けて、異常ありの個数と異常なしの個数とに数値化したセンサ測定情報に変換して、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境情報として、前記荷物事故管理装置に送信し、
かつ、
前記固定荷物環境測定装置が前記固定用送信手段から前記荷物環境追加情報を送信する場合、
前記固定荷物環境測定装置は、前記固定センサそれぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報のいずれか一つでも異常な状態になっていた場合、異常ありを検知した旨を示す情報とし、すべての前記センサ測定情報が正常な状態であった場合には、異常なしを検知した旨を示す情報とし、異常あり、異常なしの二つのいずれであるかを示す情報に数値化したセンサ測定情報に変換するか、または、前記固定センサそれぞれが測定した一つ以上の前記センサ測定情報のそれぞれを、異常ありを検知した場合と異常なしを検知した場合との二つに分けて、異常ありの個数と異常なしの個数とに数値化したセンサ測定情報に変換して、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境追加情報として、前記荷物事故管理装置に送信し、
かつ、
前記荷物事故管理装置は、
前記記憶手段において、一つ以上の前記荷物環境測定装置や前記運搬手段それぞれから受信した前記荷物環境情報若しくは一つ以上の前記固定荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境追加情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物が存在している時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内または前記運搬手段内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の前記荷物環境測定装置若しくは該運搬手段の前記車両用送信手段それぞれから受信した前記荷物環境情報に含まれている数値化した前記センサ測定情報の値のそれぞれを合計した合計値に数値化した前記センサ測定情報を含む前記荷物環境情報として、または、荷物事故が発生した前記荷物が存在している時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に固定設置された一つ以上の前記固定荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境追加情報に含まれている数値化した前記センサ測定情報の値のそれぞれを合計した合計値に数値化した前記センサ測定情報を含む前記荷物環境追加情報として、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内または前記運搬手段内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶し、
かつ、
前記推定手段において、前記記憶手段により記憶された前記荷物環境情報に含まれている数値化した前記センサ測定情報または前記荷物環境情報と前記荷物環境追加情報との双方に含まれている数値化した前記センサ測定情報、並びに、それぞれの時刻情報および場所情報と、異常ありの個数の割合と、異常なしの個数と、に基づいて、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の荷物事故発生可能性推定システム。
【請求項5】
運搬対象の荷物と前記プローブ荷物とを積み込んで運搬する運搬手段それぞれは、
それぞれの運搬手段に搭載されている一つ以上の車両用センサそれぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、積み込んだ荷物に関する前記荷物環境情報として、前記荷物事故管理装置に送信する車両用送信手段を有し、
前記荷物事故管理装置は、
前記記憶手段において、荷物事故が発生した前記荷物が存在している時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内若しくは前記運搬手段内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の前記荷物環境測定装置または該運搬手段の前記車両用送信手段それぞれから受信した前記荷物環境情報または荷物事故が発生した前記荷物が存在している時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に固定設置された一つ以上の前記固定荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境追加情報に関し、
前記荷物環境測定装置、前記運搬手段または前記固定荷物環境測定装置ごとに、受信した前記荷物環境情報または前記荷物環境追加情報に含まれている一つ以上の前記センサ測定情報のいずれか一つでも異常な状態になっていた場合、異常ありを検知した旨を示す情報とし、すべての前記センサ測定情報が正常な状態であった場合には、異常なしを検知した旨を示す情報として、異常あり、異常なしの二つのいずれであるかを示す情報に数値化したセンサ測定情報に変換するか、または、前記固定センサそれぞれが測定した一つ以上の前記センサ測定情報のそれぞれを、異常ありを検知した場合と異常なしを検知した場合との二つに分けて、異常ありの個数と異常なしの個数とに数値化したセンサ測定情報に変換して、
一つ以上の前記荷物環境測定装置若しくは前記運搬手段それぞれから受信した前記荷物環境情報または一つ以上の前記固定荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境追加情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物が存在している時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内若しくは前記運搬手段内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の前記荷物環境測定装置または該運搬手段の前記車両用送信手段それぞれから受信した前記荷物環境情報に含まれている数値化した前記センサ測定情報の値のそれぞれを合計した合計値に数値化した前記センサ測定情報を含む前記荷物環境情報として、または、荷物事故が発生した前記荷物が存在している時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に固定設置された一つ以上の前記固定荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境追加情報に含まれている数値化した前記センサ測定情報の値のそれぞれを合計した合計値に数値化した前記センサ測定情報を含む前記荷物環境追加情報として、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内または前記運搬手段内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶し、
かつ、
前記推定手段において、前記記憶手段により記憶された前記荷物環境情報に含まれている数値化した前記センサ測定情報または前記荷物環境情報と前記荷物環境追加情報との双方に含まれている数値化した前記センサ測定情報、並びに、それぞれの時刻情報および場所情報と、異常ありの個数の割合と、異常なしの個数と、に基づいて、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の荷物事故発生可能性推定システム。
【請求項6】
前記荷物事故管理装置、前記荷物環境測定装置、前記運搬手段または前記固定荷物環境測定装置は、
それぞれのセンサにより測定した前記センサ測定情報を数値化した前記センサ測定情報に変換する場合に、
荷物事故が発生した前記荷物と前記荷物環境測定装置の前記センサとの間の位置関係または荷物事故が発生した前記荷物と前記運搬手段内の前記車両用センサとの間の位置関係または荷物事故が発生した前記荷物と前記固定荷物環境測定装置の前記固定センサとの間の位置関係を確認し、双方の間の位置関係に応じて、前記センサ測定情報の値のそれぞれを重み付けする、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の荷物事故発生可能性推定システム。
【請求項7】
前記荷物事故管理装置、前記荷物環境測定装置、前記運搬手段または前記固定荷物環境測定装置は、
荷物事故が発生した前記荷物と前記荷物環境測定装置の前記センサとの間の位置関係または荷物事故が発生した前記荷物と前記運搬手段内の前記車両用センサとの間の位置関係または荷物事故が発生した前記荷物と前記固定荷物環境測定装置の前記固定センサとの間の位置関係として、
それぞれにおいて互いが位置している間の距離および互いが同じ空間に存在しているか否かに応じて、前記センサ測定情報の値のそれぞれを重み付けする、
ことを特徴とする請求項6に記載の荷物事故発生可能性推定システム。
【請求項8】
前記荷物事故管理装置、前記荷物環境測定装置、前記運搬手段または前記固定荷物環境測定装置は、
それぞれのセンサにより測定した前記センサ測定情報を数値化した前記センサ測定情報に変換する場合に、
前記センサ測定情報のそれぞれを、該荷物の荷物事故発生の可能性に影響を及ぼすと想定される閾値としてそれぞれの前記センサ測定情報を測定するセンサの種類ごとにあらかじめ定めたセンサ基準値と比較し、前記センサ基準値との差分に応じて、前記センサ測定情報の値のそれぞれを重み付けする、
ことを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の荷物事故発生可能性推定システム。
【請求項9】
運搬対象とする荷物の積み込みおよび積み下ろしのうちの少なくとも一方が行われる各荷物取扱施設における各荷物の環境状況を荷物環境情報として収集して、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定する機能を有する荷物事故管理装置を有するとともに、あらかじめ定めた移動スケジュールとして定めた時間情報および場所情報にしたがって各前記荷物取扱施設の間を通常の荷物と同じ運搬手段に積み込まれて通常の荷物と同じ運搬径路上を、プローブ荷物として運搬されて、各前記荷物取扱施設に到着する都度、積み下ろしおよび積み込みのうちの少なくとも一方が行われる一つ以上の荷物環境測定装置を有している荷物事故発生可能性推定システムにおける荷物事故発生可能性推定方法であって、
各前記荷物環境測定装置は、
前記プローブ荷物として前記荷物取扱施設内に積み下ろされる都度、一つ以上のセンサにより該荷物取扱施設内の環境状況を示す情報を測定してセンサ測定情報として取得する測定ステップと、
取得した前記センサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境情報として、前記荷物事故管理装置に送信する送信ステップと、
を有し、
前記荷物事故管理装置は、
各前記荷物環境測定装置それぞれから送信されてくる前記荷物環境情報を受信する受信ステップと、
受信した前記荷物環境情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物が運搬経路上を運搬されて前記荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の前記荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境情報を、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにより記憶された前記荷物環境情報に含まれている前記センサ測定情報、前記時刻情報および前記場所情報に基づいて、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する推定ステップと、
を有する、
ことを特徴とする荷物事故発生可能性推定方法。
【請求項10】
運搬対象とする荷物の積み込みおよび積み下ろしのうちの少なくとも一方が行われる各荷物取扱施設における各荷物の環境状況を荷物環境情報として収集して、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定する機能を有する荷物事故管理装置を有するとともに、あらかじめ定めた移動スケジュールとして定めた時間情報および場所情報にしたがって各前記荷物取扱施設の間を通常の荷物と同じ運搬手段に積み込まれて通常の荷物と同じ運搬径路上を、プローブ荷物として運搬されて、各前記荷物取扱施設に到着する都度、積み下ろしおよび積み込みのうちの少なくとも一方が行われる一つ以上の荷物環境測定装置を有している荷物事故発生可能性推定システムにおける荷物事故発生可能性推定方法をコンピュータにより実行する荷物事故発生可能性推定プログラムであって、
各前記荷物環境測定装置は、
前記プローブ荷物として前記荷物取扱施設内に積み下ろされる都度、一つ以上のセンサにより該荷物取扱施設内の環境状況を示す情報を測定してセンサ測定情報として取得する測定工程と、
取得した前記センサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境情報として、前記荷物事故管理装置に送信する送信工程と、
を有し、
前記荷物事故管理装置は、
各前記荷物環境測定装置それぞれから送信されてくる前記荷物環境情報を受信する受信工程と、
受信した前記荷物環境情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物が運搬経路上を運搬されて前記荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の前記荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境情報を、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する記憶工程と、
前記記憶工程により記憶された前記荷物環境情報に含まれている前記センサ測定情報、前記時刻情報および前記場所情報に基づいて、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する推定工程と、
を有する、
ことを特徴とする荷物事故発生可能性推定プログラム。
【請求項11】
各前記荷物環境測定装置は、
前記荷物環境測定装置の重量、形状、及び材質のうちの少なくとも1つを装置情報として前記荷物事故管理装置に送信し、
前記荷物事故管理装置は、
荷物事故が発生した前記荷物が運搬経路上を運搬されて前記荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の前記荷物環境測定装置それぞれから受信した前記プローブ荷物の前記装置情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物の前記装置情報と同じ前記プローブ荷物の前記装置情報を選択し、
前記センサ測定情報、前記時刻情報および前記場所情報に代えて、前記センサ測定情報、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内の前記時刻情報、前記場所情報および選択した前記プローブ荷物の前記装置情報に基づいて、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の荷物事故発生可能性推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物事故発生可能性推定システム、荷物事故発生可能性推定方法および荷物事故発生可能性推定プログラムに関する。特に、物流や交通等のモノやヒトを運ぶ分野において発生する荷物事故の発生場所の推定技術として好適な荷物事故発生可能性推定システム、荷物事故発生可能性推定方法および荷物事故発生可能性推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
eコマース(電子商取引)を効果的に実現するには、荷物の運搬が確実な物流システムが欠かせない。しかし、現状の物流システムにおいては、かねてより、段ボールの破損や汚れなどの荷物事故が発生しており、荷物事故がどこで発生しているのかが分からないという問題がある。
【0003】
一方、近年の物流システムにおいては、労働力不足が顕在化している。そこで、物流業界が一体となって連携・協働し、積載効率を上げることや、荷物の運搬手段として、トラックだけでなく、鉄道や船舶を活用するモダールシフト(Modal Shift)や、倉庫内作業支援ロボット、小型無人機(ドローン)や自動配送車など、新技術の活用による物流革命を行うなどの対策が計画されている。かくのごとく、今後は、益々、荷物は多種多様な方式で運ばれることになるので、荷物事故の発生場所の特定は、益々、困難な問題となってしまう状況になりつつある。
【0004】
かかる物流システムにおける荷物事故の発生に対応するために、種々の解決策が提案されている。例えば、現状の物流システムにおいて取り扱う荷物については、出荷元から届け先までの運搬をトータルに管理するTMS(Transport Management System:配送管理システム)装置を使用して管理している場合が多い。そこで、出荷元から納品先に届けるまでに発生した荷物事故に関しても、特許文献1の特開2002-236729号公報「物流管理システム」や特許文献2の特開2006-244196号公報「国際輸送リスクマネジメント支援システム」に記載されているように、TMS装置内で取り扱っているか、あるいは、特許文献3の特開2010-102556号公報「物流事故管理装置、物流事故管理方法」に記載されているような、TMS装置と類似した専用の物流事故管理装置内で取り扱う技術が提案されている。
【0005】
また、代表的な荷物事故の一つである荷物の落下事故が発生した場合の荷物に対する衝撃度を把握する現状の技術として、特許文献4の特開平8-62240号公報「運送品の落下等の衝撃データ記録方法」に記載されたような、荷物にカード(センサ)を貼り付けて、運送中に受ける該荷物に対する衝撃等のデータを収集記録する技術が提案されている。さらに、特許文献5の特開2007-1760号公報「衝撃解析装置、方法およびプログラム」においては、荷物事故の発生を検出するために、該荷物に対する衝撃データと該荷物のID、ID読み取り場所およびID読み取り時刻からなる配送データとを組み合わせて、荷物の配送過程における衝撃の関係を時系列化したデータを生成する衝撃解析装置を用いるという技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-236729号公報
【文献】特開2006-244196号公報
【文献】特開2010-102556号公報
【文献】特開平8-62240号公報
【文献】特開2007-1760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明に関連する前記特許文献1ないし前記特許文献5等に記載された現状の技術においては、次のような解決するべき課題がある。
【0008】
前記特許文献1ないし前記特許文献3に記載の技術においては、いずれも、荷物事故が発生した際に、どこで荷物事故が発生したのかという情報を、人手で入力することが必要であり、入力ミスの混入を防止することができないか、または、具体的な入力手段が開示されていないため、実施することが困難である。
【0009】
また、前記特許文献4に記載の技術は、センサとなるカードを、すべての荷物に貼り付けなければならないため、荷物の配送に時間を要するとともに、配送コストが増加してしまう。
【0010】
さらに、前記特許文献5に記載の技術についても、荷下ろし時または荷積み時に衝撃解析装置を用いて荷物に付されているIDを読み取った場所においてのみ、衝撃データを取得して荷物事故の発生を予測することができる技術であり、その他の場所での荷物事故の発生を予測することはできない。また、荷物事故の発生を予測する対象は、IDを読み取った荷物のみに限られるので、すべての荷物に対して衝撃データを取得するためには、すべての荷物にIDを取り付けなければならなくなり、前記特許文献4の場合と同様、配送時間と配送コストとがかかってしまう。
【0011】
(本発明の目的)
本発明の目的は、以上のような課題に鑑み、格別なコストをほとんどかけることなく、荷物事故発生の可能性がある場所を確実に推定することが可能な荷物事故発生可能性推定システム、荷物事故発生可能性推定方法および荷物事故発生可能性推定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の課題を解決するため、本発明による荷物事故発生可能性推定システム、荷物事故発生可能性推定方法および荷物事故発生可能性推定プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0013】
(1)本発明による荷物事故発生可能性推定システムは、
運搬対象とする荷物の積み込みおよび積み下ろしのうちの少なくとも一方が行われる各荷物取扱施設における各荷物の環境状況を荷物環境情報として収集して、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定する機能を有する荷物事故管理装置を有する荷物事故発生可能性推定システムであって、
あらかじめ定めた移動スケジュールとして定めた時間情報および場所情報にしたがって各前記荷物取扱施設の間を通常の荷物と同じ運搬手段に積み込まれて通常の荷物と同じ運搬径路上を、プローブ荷物として運搬されて、各前記荷物取扱施設に到着する都度、積み下ろしおよび積み込みのうちの少なくとも一方が行われる一つ以上の荷物環境測定装置を有し、
各前記荷物環境測定装置は、
前記プローブ荷物として前記荷物取扱施設内に積み下ろされる都度、一つ以上のセンサにより該荷物取扱施設内の環境状況を示す情報を測定してセンサ測定情報として取得する測定手段と、
取得した前記センサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境情報として、前記荷物事故管理装置に送信する送信手段と、
を有し、
前記荷物事故管理装置は、
各前記荷物環境測定装置それぞれから送信されてくる前記荷物環境情報を受信する受信手段と、
受信した前記荷物環境情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物が運搬経路上を運搬されて前記荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の前記荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境情報を、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された前記荷物環境情報に含まれている前記センサ測定情報、前記時刻情報および前記場所情報に基づいて、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する推定手段と、
を有する、
ことを特徴とする。
【0014】
(2)本発明による荷物事故発生可能性推定方法は、
運搬対象とする荷物の積み込みおよび積み下ろしのうちの少なくとも一方が行われる各荷物取扱施設における各荷物の環境状況を荷物環境情報として収集して、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定する機能を有する荷物事故管理装置を有するとともに、あらかじめ定めた移動スケジュールとして定めた時間情報および場所情報にしたがって各前記荷物取扱施設の間を通常の荷物と同じ運搬手段に積み込まれて通常の荷物と同じ運搬径路上を、プローブ荷物として運搬されて、各前記荷物取扱施設に到着する都度、積み下ろしおよび積み込みのうちの少なくとも一方が行われる一つ以上の荷物環境測定装置を有している荷物事故発生可能性推定システムにおける荷物事故発生可能性推定方法であって、
各前記荷物環境測定装置は、
前記プローブ荷物として前記荷物取扱施設内に積み下ろされる都度、一つ以上のセンサにより該荷物取扱施設内の環境状況を示す情報を測定してセンサ測定情報として取得する測定ステップと、
取得した前記センサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境情報として、前記荷物事故管理装置に送信する送信ステップと、
を有し、
前記荷物事故管理装置は、
各前記荷物環境測定装置それぞれから送信されてくる前記荷物環境情報を受信する受信ステップと、
受信した前記荷物環境情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物が運搬経路上を運搬されて前記荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の前記荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境情報を、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにより記憶された前記荷物環境情報に含まれている前記センサ測定情報、前記時刻情報および前記場所情報に基づいて、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する推定ステップと、
を有する、
ことを特徴とする。
【0015】
(3)本発明による荷物事故発生可能性推定プログラムは、
運搬対象とする荷物の積み込みおよび積み下ろしのうちの少なくとも一方が行われる各荷物取扱施設における各荷物の環境状況を荷物環境情報として収集して、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定する機能を有する荷物事故管理装置を有するとともに、あらかじめ定めた移動スケジュールとして定めた時間情報および場所情報にしたがって各前記荷物取扱施設の間を通常の荷物と同じ運搬手段に積み込まれて通常の荷物と同じ運搬径路上を、プローブ荷物として運搬されて、各前記荷物取扱施設に到着する都度、積み下ろしおよび積み込みのうちの少なくとも一方が行われる一つ以上の荷物環境測定装置を有している荷物事故発生可能性推定システムにおける荷物事故発生可能性推定方法をコンピュータにより実行する荷物事故発生可能性推定プログラムであって、
各前記荷物環境測定装置は、
前記プローブ荷物として前記荷物取扱施設内に積み下ろされる都度、一つ以上のセンサにより該荷物取扱施設内の環境状況を示す情報を測定してセンサ測定情報として取得する測定工程と、
取得した前記センサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境情報として、前記荷物事故管理装置に送信する送信工程と、
を有し、
前記荷物事故管理装置は、
各前記荷物環境測定装置それぞれから送信されてくる前記荷物環境情報を受信する受信工程と、
受信した前記荷物環境情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物が運搬経路上を運搬されて前記荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の前記荷物環境測定装置それぞれから受信した前記荷物環境情報を、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する記憶工程と、
前記記憶工程により記憶された前記荷物環境情報に含まれている前記センサ測定情報、前記時刻情報および前記場所情報に基づいて、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する推定工程と、
を有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の荷物事故発生可能性推定システム、荷物事故発生可能性推定方法および荷物事故発生可能性推定プログラムによれば、主に、以下のような効果を奏することができる。
【0017】
第1の効果は、運搬対象となる荷物それぞれに、各荷物が存在する場所の環境状況を荷物環境情報として測定する環境測定用センサを取り付けなくても、荷物事故が発生した荷物が存在する場所の環境の状況を測定することができる点である。その理由は、荷物の環境状況を示すセンサ測定情報を取得することが可能なプローブ荷物(荷物環境測定装置)が、通常の荷物と同様に、荷物事故が発生した荷物が運ばれる運搬径路上の積み下ろし場所にも運ばれて、該荷物が存在する場所の環境状況を荷物環境情報として測定するからである。
【0018】
第2の効果は、荷物事故が発生した荷物の荷物事故発生場所(荷物事故発生の可能性が高い場所)を推定することができる点である。その理由は、荷物の環境状況を示すセンサ測定情報を取得することが可能なプローブ荷物(荷物環境測定装置)が、荷物事故が発生した荷物が運ばれる運搬径路上の一つ以上の荷物取扱施設それぞれの荷物環境情報を取得して、取得した荷物環境情報が荷物の環境状況として異常な状態になっているか否かを判定して、荷物事故発生の可能性があるか否かを示す情報として評価することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る荷物事故発生可能性推定システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【
図2】
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムを構成する荷物環境測定装置の内部構成の一例を示すブロック構成図である。
【
図3】
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムを構成する荷物事故管理装置の内部構成の一例を示すブロック構成図である。
【
図4】階層構造を有する物流ネットワークの構成例を示す説明図である。
【
図5】
図4に示した物流ネットワークを用いて1個の荷物と5個のプローブ荷物とがそれぞれの最初の集荷場所となる発着地から最終の配送先となる発着地まで運ばれる場合の一例を示す説明図である。
【
図6】
図5において階層構造の物流ネットワークを用いて運ばれる1個の荷物と5個のプローブ荷物とのそれぞれの運搬径路上に存在する各荷物取扱施設内の積み下ろし場所を時間軸とともに登録した一例を示す物流径路登録テーブルである。
【
図7】
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムを構成する荷物環境測定装置の
図2とは異なる内部構成の一例を示すブロック構成図である。
【
図8】第1の実施形態として
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムにおいて動作する
図3に示した荷物事故管理装置内の荷物事故発生場所推定部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図6に示した物流径路登録テーブルに荷物環境情報の異常の有無発生回数の合計値を格納した欄が集計荷物事故情報欄として追加登録された集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルの一例を示すテーブルである。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る荷物事故発生可能性推定システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【
図11】第2の実施形態として
図10に示した荷物事故発生可能性推定システムにおいて動作する
図3に示した荷物事故管理装置内の荷物事故発生場所推定部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】
図9に示した集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルに荷物を運搬したトラック内における荷物環境情報の異常の有無発生情報をさらに追加して格納した集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルの一例を示すテーブルである。
【
図13】本発明の第3の実施形態に係る荷物事故発生可能性推定システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【
図14】
図13に示した荷物事故発生可能性推定システムを構成する固定荷物環境測定装置の内部構成の一例を示すブロック構成図である。
【
図15】第3の実施形態として
図13に示した荷物事故発生可能性推定システムにおいて動作する
図3に示した荷物事故管理装置内の荷物事故発生場所推定部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図16】
図12に示した集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルに固定荷物環境測定装置における荷物環境追加情報の異常の有無発生に関する情報をさらに追加して格納した一例を示す集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルである。
【
図17】第4の実施形態に係る荷物環境測定装置の一例を示すブロック構成図である。
【
図18】第4の実施形態に係る荷物事故管理装置内の荷物事故発生場所推定部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図19】第4の実施形態に係る物流径路登録テーブルの一例を示すテーブルである。
【
図20】種別番号と重量、形状、材質の対応関係を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による荷物事故発生可能性推定システム、荷物事故発生可能性推定方法および荷物事故発生可能性推定プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による荷物事故発生可能性推定システムおよび荷物事故発生可能性推定方法について説明するが、かかる荷物事故発生可能性推定方法をコンピュータにより実行可能な荷物事故発生可能性推定プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、荷物事故発生可能性推定プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。また、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことも言うまでもない。
【0021】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、一つ以上の環境測定用のセンサ(温度、湿度、加速度、音、圧力、位置などの荷物の環境に関するセンサ測定情報を測定するセンサ)をそれぞれに搭載した一つ以上の荷物環境測定装置(すなわち通常の荷物と同様に運搬することが可能な形状からなるプローブ荷物)を用いて、荷物事故が発生した荷物が存在する場所と存在する時間とにおいて、同じ場所に存在する一つ以上のプローブ荷物それぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報に関して異常の有無を確認して、確認した結果の異常ありの個数と異常なしの個数として数値化して集計し、異常ありの数の割合が多いほど、荷物事故発生の可能性を高く算出し、また、異常なしの数が多いほど荷物事故発生の可能性を低く算出することにより、荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定することを主要な特徴としている。ここで、割合とは異常ありのプローブ荷物の数÷プローブ荷物の総数を指す。以降、割合は前記の定義を指す。
尚、異常ありの数が多いほど、荷物事故発生の可能性を高く算出することにより、荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定してもよい。
【0022】
本発明の特徴をさらに詳細に説明すると、次の通りである。まず、本発明に関わる第1の特徴は、荷物事故発生の可能性がある場所を推定するに当たり、一つ以上の環境測定用のセンサ(温度、湿度、加速度、音、圧力、位置などの荷物の環境に関するセンサ測定情報を測定するセンサ)をそれぞれに搭載した一つ以上の荷物環境測定装置(すなわちプローブ荷物)を用いて、荷物事故が発生した荷物が存在した場所と時間とに関し、同じ場所に同じ時間に存在していた一つ以上のプローブ荷物が測定した荷物の環境に関する情報(荷物環境情報)を用いて、荷物事故が発生した前記荷物の荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定することである。
【0023】
本発明に関わる第2の特徴は、一つ以上の前記プローブ荷物を用いて、荷物事故発生の可能性が高い場所か否かを推定する際に、前記プローブ荷物それぞれが測定した荷物の環境に関する情報(荷物環境情報)を構成する一つ以上のセンサ測定情報のうち一つでも異常ありか否かを確認して、一つでも異常ありのセンサ測定情報がある場合は異常ありの荷物環境情報と判断し、すべてのセンサ測定情報が異常なしの場合は異常なしの荷物環境情報と判断することである。そして、判断した結果の異常ありの荷物環境情報の個数と異常なしの荷物環境情報の個数とに数値化して集計し、異常ありの個数の割合が多いほど、荷物事故発生の可能性を高く算出し、また、異常なしの個数が少ないほど荷物事故発生の可能性を低く算出することにより、荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する。
【0024】
本発明に関わる第3の特徴は、一つ以上の前記プローブ荷物それぞれが測定した荷物環境情報の異常ありの個数、異常なしの個数を用いて、荷物事故の可能性が高い場所か否かを推定する際に、前記プローブ荷物それぞれと荷物事故が発生した荷物とが存在した位置関係(例えば、隣接して運ばれた、近傍で運ばれた、同じカゴ台車に詰められた、ベルトコンベア上で近傍の荷物だった、同じトラックに積み込んだ、違うトラックではあるが同じ運搬径路で運ばれた、同じ場所に荷下ろしされた、など)を、前記プローブ荷物それぞれと荷物事故が発生した荷物との間の距離として算出し、算出した該距離に応じて、荷物環境情報の異常ありの個数、異常なしの個数を、重み付けをして算出することである。すなわち、荷物環境情報の異常ありの個数、異常なしの個数を、互いの該距離が短いほど、前記荷物の荷物事故発生の可能性を高くするように、逆に、該距離が長いほど、荷物事故発生の可能性を低くするような重み付けをして算出することである。
【0025】
本発明に関わる第4の特徴は、荷物の運搬径路情報を用いて、荷物事故が発生した荷物の運搬径路のうち、物流ネットワーク内に該荷物が最初に搬入された出荷地点(発着地)から該荷物の荷物事故が判明した地点(場所)までの運搬径路と前記プローブ荷物の運搬径路とが互いに重なって同じ場所に同じ時間に存在していたことを利用して、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い地点か否かを推定することである。
【0026】
本発明に関わる第5の特徴は、前記プローブ荷物を用いて、荷物事故発生の可能性が高い場所か否かを推定する際に、荷物事故が発生した荷物と前記プローブ荷物とが、運ばれた運搬手段として同じ時間に同じ空間に存在していたか否か(例えば、同じパレット(pallet:荷役台車)で運ばれたか否か、同じフォークリフトで運ばれたか否か、同じカゴ台車に積み込まれたか否か、同じトラックに積み込まれたか否か、など)の情報に応じて、荷物環境情報の異常ありの個数、異常なしの個数を、重み付けをして算出することである。すなわち、荷物環境情報の異常ありの個数、異常なしの個数を、荷物事故が発生した荷物と前記プローブ荷物とが存在する空間の広さが狭いほど(言い換えると、互いの距離が短いほど)、前記荷物の荷物事故発生の可能性を高くするように、逆に、荷物事故が発生した荷物と前記プローブ荷物とが存在する空間の広さが広いほど(言い換えると、互いの距離が長いほど)、荷物事故発生の可能性を低くするような重み付けをして算出することである。
【0027】
本発明に関わる第6の特徴は、荷物を運搬する運搬手段としてトラックなどの車が通常備えているセンサにより測定したセンサ測定情報(例えば、加速度、ABS(Anti-lock Brake System)の作動状況、ウィンカ状態、ステアリング角度、マイク集音情報、位置、カメラ撮影情報、レーダ検知情報、走行/停止状態、積載量、空気圧、車速、温度、湿度、などの情報)を、荷物環境情報として利用して、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い運搬手段であるか否かを推定することである。
【0028】
本発明に関わる第7の特徴は、荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所など)内の荷物積み下ろし場所内に固定荷物環境測定装置として固定設置されているセンサ(例えば、カメラ、マイク、温度計、湿度計、位置センサ、など)が測定した情報を、荷物環境追加情報として、前記プローブ荷物が測定する荷物環境情報の他に、さらに活用して、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い地点か否かをより細かく推定することである。
【0029】
本発明に関わる第8の特徴は、荷物事故発生の可能性が高い場所か否かの推定に当たり、前記荷物環境情報や前記荷物環境追加情報の各センタ情報に対して、あらかじめ定めたそれぞれのセンサ基準値を設定しておき、該センサ基準値と測定結果のセンサ測定情報の値との間の差分(距離)を算出し、算出した差分(距離)に応じて、荷物環境情報や荷物環境追加情報の異常ありの個数、異常なしの個数を、重み付けをして算出することである。すなわち、荷物環境情報や荷物環境追加情報の異常ありの個数、異常なしの個数を、該差分が大きいほど(該距離が長いほど)、荷物事故発生の可能性を高くするように、逆に、該差分が小さいほど(該距離が短いほど)、荷物事故発生の可能性を低くするような重み付けをして算出することである。
【0030】
本発明に関わる第9の特徴は、プローブ荷物を用いて発生可能性を算出するうえで、重量、形状、材質の異なるプローブ荷物を複数流通させ、荷物事故が発生した荷物の重量、形状、材質の近いプローブ荷物から先に判定することによって、荷物事故の発生箇所の予測精度を高め、重量、形状、材質による荷物事故の傾向を知ることである。
【0031】
(第1の実施形態の構成例)
次に、本発明に係る荷物事故発生可能性推定システムの第1の実施形態の構成例について、図面を参照して、詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る荷物事故発生可能性推定システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図であり、荷物を運ぶ運搬径路上の各地点(各荷物取扱施設)として、荷物の集配管理を行う各集配所のうち一つの集配所だけを示している。しかし、その他の集配所についても、また、他の各荷物取扱施設についても、例えば、物流ネットワークとして階層構造を有している場合には、荷物の運搬中継を行う中継所、さらには、荷物の最初の搬入先や荷物の最終の運搬先となる発着地についても、
図1と同様である。
【0032】
図1に示す荷物事故発生可能性推定システムS100においては、集配所L1100内の一つ以上の第1積み下ろし場所L1100a、第2積み下ろし場所L1100b、…ごとに、積み下ろした荷物の環境状況を測定するための荷物環境測定装置が存在している。つまり、
図1に示した例では、第1積み下ろし場所L1100aには、トラックT0001から積み下ろした荷物P101、荷物P102の環境状況を測定する第1荷物環境測定装置N101が通常の荷物と同様に運搬可能なプローブ荷物として存在し、第2積み下ろし場所L1100bには、トラックT0002から積み下ろした荷物P103の環境状況を測定する第2荷物環境測定装置N102が通常の荷物と同様に運搬可能なプローブ荷物として存在している。
そして、集配所L1100内の一つ以上の第1積み下ろし場所L1100a、第2積み下ろし場所L1100b、…ごとに存在している第1荷物環境測定装置N101、第2荷物環境測定装置N102、…は、通信回線を介してインターネットN400上の荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300と接続されていて、荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300に対して、測定した各荷物の環境状況を荷物環境情報として送信する機能を有している。
【0033】
ここで、第1荷物環境測定装置N101、第2荷物環境測定装置N102、…と荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300とを接続する通信回線は、有線通信回線であっても良いし、無線通信回線であっても良く、如何なる通信回線を用いて接続しても構わない。また、荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300がインターネットN400上に存在している例を示しているが、荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300が、第1荷物環境測定装置N101、第2荷物環境測定装置N102、…と通信可能な状態で接続することができるネットワークであれば、荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300が存在する場所は、如何なるネットワーク上に存在していても構わない。
【0034】
なお、各荷物には、当該荷物の管理用としてユニークな唯一の番号(すなわち荷物ID)が割り付けられていて、該荷物IDは、伝票上にバーコードとして印刷され、該伝票を該当する各荷物に貼付することによって、該当する各荷物と結び付けられる。
【0035】
そして、集配所L1100内の一つ以上の第1積み下ろし場所L1100a、第2積み下ろし場所L1100b、…ごとにバーコードリーダB101、バーコードリーダB102が配置されていて、それぞれの積み下ろし場所に置かれた各荷物に貼付された伝票上のバーコードを、それぞれの積み下ろし場所にあるバーコードリーダB101、バーコードリーダB102、…によって読み込むことにより、該荷物をユニークに特定している荷物IDを認識することができる。ここで、バーコードリーダB101、バーコードリーダB102は、RFID(Radio Frequency ID)リーダやカメラなどであっても良いし、それぞれが存在している場所と該場所に置かれた荷物とを結び付けることができる手段であれば、如何なる手段を用いても構わない。
【0036】
そして、各荷物に貼付されている伝票上のバーコードを読み取った結果の荷物IDに関する情報を、それぞれのバーコードリーダB101、バーコードリーダB102がある場所を示す情報と紐付けして、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300に対して送信することにより、荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300は、各荷物がどこに存在しているのかを把握して、管理することができる。
【0037】
第1荷物環境測定装置N101、第2荷物環境測定装置N102、…の内部は、
図2の荷物環境測定装置N100に例示するように、いずれも同一のブロック構成から構成されている。以下の説明においては、第1荷物環境測定装置N101、第2荷物環境測定装置N102、…を区別して説明する必要がない場合には、荷物環境測定装置N100として説明することにする。
図2は、
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100を構成する荷物環境測定装置N100の内部構成の一例を示すブロック構成図であり、
図1に示した第1荷物環境測定装置N101、第2荷物環境測定装置N102、…それぞれの内部構成の一例を示している。
【0038】
図2に示すように、荷物環境測定装置N100は、内部に、センサ部N110、記憶部N120、通信部N130、時刻取得部N140、情報収集部N190を有して構成される。なお、荷物環境測定装置N100は、通常の荷物に荷物事故が発生した場合に、運搬径路の各荷物取扱施設に順次運ばれていく該荷物が置かれたそれぞれの環境状況を荷物環境情報として取得することができるように、通常の荷物と同様に、運搬して各荷物取扱施設に移動することが可能なプローブ荷物(荷物環境情報を取得する機能を有する荷物)として取り扱われる。なお、荷物環境測定装置N100が、プローブ荷物として運ばれる運搬径路に関しては、各荷物環境測定装置N100ごとにあらかじめスケジューリングされていて、あらかじめ定めた時刻に達する都度、あらかじめ定めた場所(荷物取扱施設)に向けて運ばれていく。
【0039】
したがって、荷物環境測定装置N100の外観は、荷物運搬の基準とするサイズからなる段ボール箱などのような形状とし、集配所などの荷物取扱施設に運ばれてくる通常の荷物(例えば
図1に示す荷物P101、荷物P102、…)と区別が付かないほど運搬性に富む形状であることが望ましい。そして、荷物環境測定装置N100には、通常の荷物と同様に、プローブ荷物として、該プローブ荷物をユニークに特定するための荷物IDが割り付けられていて、該荷物IDを示すバーコードが印刷された伝票が荷物環境測定装置N100の表面に貼付されている。
【0040】
図2において、センサ部N110は、一つ以上のセンシング機能を有して構成されていて、荷物が置かれた場所の環境状況を測定するセンサである。センサ部N110が測定する情報としては、例えば、荷物が置かれた環境に関する温度、湿度、3軸加速度(向きも取得)、音(マイクにより集音)、荷物にかかると想定される圧力などの情報である。さらに、センサ部N110として、位置センサを用いて、荷物が置かれた環境に関する詳細な位置情報を測定するようにしても良い。
【0041】
記憶部N120は、情報収集部N190からの指示に応じて、一つ以上のセンシング機能を有するセンサ部N110が測定した一つ以上の測定情報(一つ以上のセンサ測定情報)を、測定した時刻情報を付して、荷物環境情報として、測定する都度時系列に順次記憶していく。ここで、該測定情報に付与する時刻情報は、時刻取得部N140から取得する。
【0042】
通信部N130は、情報収集部N190からの指示に従って、記憶部N120に記憶された前記荷物環境情報を、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200やTMS装置N300に送信する。なお、通信部N130の通信手段は、如何なる技術を用いて実施しても良く、例えば、有線信号を用いる有線LAN(Local Area Network)、無線電波を用いる無線LANやLTE(Long Term Evolution)/5Gなどの既存技術であっても構わない。
【0043】
時刻取得部N140は、時刻情報を取得するものであり、時刻情報を取得する手段については、如何なる手段を用いても良く、例えば、荷物環境測定装置N100自身が内部に有しているタイマの他に、GPS(Global Positioning System)やマスタクロック等の外部から時刻情報を取得するように構成しても良い。ただし、時刻取得部N140が取得する時刻情報は、当該荷物環境測定装置N100が存在する荷物事故発生可能性推定システムS100全体で同期した正確な時刻を示していることが望ましい。
【0044】
情報収集部N190は、センサ部N110に対して測定すべきセンサ測定情報を指示して、指示したセンサ測定情報をセンサ部N110から測定情報として読み出すと、記憶部N120を利用して該測定情報を記憶する。さらに、情報収集部N190は、記憶部N120に測定情報と測定時刻情報とからなる前記荷物環境情報が記憶されると、通信部N130に対して、記憶部N120に記憶されている前記荷物環境情報を、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200やTMS装置N300に対して送信することを指示する。
【0045】
なお、
図2の荷物環境測定装置N100においては、記憶部N120を内部に有し、記憶部N120に記憶した前記荷物環境情報を、通信部N130を用いてインターネットN400上の荷物事故管理装置N200やTMS装置N300に対して送信する構成を示している。しかし、荷物環境測定装置N100として、センサ部N110自身が、測定したセンサ測定情報に対して測定した時刻情報を付すことにより荷物環境情報の形に編集して、直接、通信部N130に引き渡すようにして、記憶部N120を内部に有していない構成とするようにしても構わない。
【0046】
次に、
図1に示した荷物事故管理装置N200の内部構成について。その一例を、
図3を用いて説明する。
図3は、
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100を構成する荷物事故管理装置N200の内部構成の一例を示すブロック構成図である。
【0047】
図3に示すように、荷物事故管理装置N200は、内部に、通信部N210、記憶部N220、情報収集部N230、荷物事故発生場所推定部N290を有して構成される。
【0048】
ここで、荷物事故管理装置N200は、
図1に示したように、インターネットN400上に配置され、通信部N210を介して、一つ以上の各集配所内の各積み下ろし場所(
図1に示す集配所L1100の例では第1積み下ろし場所L1100a、第2積み下ろし場所L1100b、…)それぞれごとに存在している各荷物環境測定装置N100((
図1に示す例では第1荷物環境測定装置N101、第2荷物環境測定装置N102、…)それぞれと通信可能な状態で接続されている。そして、荷物事故管理装置N200は、一つ以上の各集配所内の各積み下ろし場所それぞれごとに存在している各荷物環境測定装置N100それぞれから前述した荷物環境情報を収集している。なお、荷物事故管理装置N200は、集配所のみならず、運搬する荷物を取り扱う他の各荷物取扱施設からも、例えば、物流ネットワークとして階層構造を有している場合には、荷物の運搬中継を行う中継所、さらには、荷物の最初の搬入先や荷物の最終の運搬先となる発着地からも、前述した荷物環境情報を収集している。
【0049】
図3において、情報収集部N230は、通信部N210を介して、一つ以上の各集配所内や他の各荷物取扱施設(中継所や発着地)内の各積み下ろし場所それぞれにプローブ荷物として存在している各荷物環境測定装置N100それぞれの通信部N130から送信されてくる前記荷物環境情報を受信して、記憶部N220に格納する。
【0050】
荷物事故発生場所推定部N290は、荷物に荷物事故が発生していた場合には、記憶部N220に格納されている前記荷物環境情報を用いて、該荷物の荷物事故がどこで発生した可能性があるかという荷物事故発生の可能性が高い場所を推定する。
【0051】
なお、
図1の荷物事故発生可能性推定システムS100には、荷物を扱う場所として、荷物を集配する集配所L1100を示している。しかし、前述したように、物流ネットワークとして、荷物の最初の集荷場所または最終の配送先である発着地、一つ以上の該発着地との間で荷物の集配を行う集配所、一つ以上の集配所との間で荷物の中継配送を行う中継所により構成するような階層構造を有する場合には、一つ以上の集配所のみならず、一つ以上の発着地、一つ以上の中継所においても、
図1に示す集配所L1100の場合と同様の内部構成によって構成されている。
【0052】
(第1の実施形態の動作例の説明)
次に、第1の実施形態として
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100の動作についてその一例を詳細に説明する。なお、
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100においては、前述したように、一つ以上の集配所や中継所や発着地などの各荷物取扱施設が存在している構成であっても構わない。
【0053】
一般的に、物流システムにおいて運搬されるそれぞれの荷物をユニークに特定することができるように、前述したように、各荷物には、当該荷物の管理用としてユニークな唯一の番号(すなわち荷物ID)が割り付けられていて、
図1に示した荷物事故管理装置N200やTMS装置N300によって、各荷物がどこに存在しているかが管理される。なお、該荷物IDは、伝票上にバーコードとして印刷され、該伝票を該当する各荷物に貼付することによって、該当する各荷物と結び付けられる。
【0054】
そして、各荷物に貼付された伝票上のバーコードをバーコードリーダによって読み込むことにより、該荷物をユニークに特定する荷物IDを認識することができる。TMS装置N300においては、集荷時、荷下ろし時、荷積み時などにおいて、それぞれの場所でバーコードリーダを使用して、各荷物に貼付された伝票上のバーコードを読み取った結果の荷物IDに関する情報を、該バーコードリーダがある場所に示す情報と紐付けて、受信することにより、各荷物がどこに存在しているのかを把握して、管理することができる。
【0055】
ここで、
図1に示したように、集配所L1100においては、荷物は、各荷物の行き先に応じて、該当する積み下ろし場所に集められ、トラックに積み込まれる。
図1に示す例においては、例えば、集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aに集められた荷物P101、荷物P102はトラックT0001に積み込まれる。荷物P101、荷物P102が第1積み下ろし場所L1100aに集められた際に、荷物P101、P102それぞれに荷物IDとして貼付されている伝票上のバーコードが、バーコードリーダB101により読み取られて、該バーコードリーダB101が存在する集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aを示す情報とともに、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300に送信される。その結果、荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300において、荷物P101、荷物P102は、集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aと結び付けられ、集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aに存在していることが特定される。
【0056】
さらに、集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aにプローブ荷物として存在している第1荷物環境測定装置N101の表面に貼付された伝票上のバーコードも、バーコードリーダB101により読み取られて、該バーコードリーダB101が存在する集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aを示す情報とともに、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300に送信される。その結果、荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300において、第1荷物環境測定装置N101も、集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aと結び付けられ、第1荷物環境測定装置N101も集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aに存在していることが特定される。
【0057】
また、
図1に示した集配所L1100の第2積み下ろし場所L1100bにおいても、第1積み下ろし場所L1100aの場合と同様に、荷物P103、第2荷物環境測定装置N102それぞれに荷物IDとして貼付されている伝票上のバーコードが、バーコードリーダB102により読み取られて、該バーコードリーダB102が存在する集配所L1100の第2積み下ろし場所L1100bを示す情報とともに、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300に送信される。その結果、荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300において、荷物P103、第2荷物環境測定装置N102は、集配所L1100の第2積み下ろし場所L1100bと結び付けられ、荷物P103、第2荷物環境測定装置N102は、集配所L1100の第2積み下ろし場所L1100bに存在していることが特定される。
【0058】
なお、集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aの荷物P101、荷物P102および第1荷物環境測定装置N101のそれぞれの表面に貼付された伝票上のバーコード(荷物IDを示すバーコード)の読み取り結果を、バーコードリーダB101が、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200に送信するタイミングと同じタイミングで、第1荷物環境測定装置N101内の情報収集部N190は、第1荷物環境測定装置N101内の記憶部N120に格納されている荷物P101、P102それぞれに関する荷物環境情報を、第1荷物環境測定装置N101内の通信部N130を介して、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200に対して送信する。
【0059】
同様に、集配所L1100の第2積み下ろし場所L1100bの荷物P103、第2荷物環境測定装置N102のそれぞれの表面に貼付された伝票上のバーコード(荷物IDを示すバーコード)の読み取り結果を、バーコードリーダB102が、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200に送信するタイミングと同じタイミングで、第2荷物環境測定装置N102内の情報収集部N190は、第2荷物環境測定装置N102内の記憶部N120に格納されている荷物P103に関する荷物環境情報を、第2荷物環境測定装置N102内の通信部N130を介して、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200に対して送信する。
【0060】
荷物環境測定装置N100におけるかくのごとき荷物事故管理装置N200に対する荷物環境情報の送信動作は、
図1に示した集配所L1100内に存在する第1荷物環境測定装置N101、第2荷物環境測定装置N102、…のみならず、すべての荷物取扱施設それぞれの内部に存在する各荷物環境測定装置N100それぞれにおいても実施される。なお、荷物事故管理装置N200に対する荷物環境情報の送信動作は、前述のように、荷物環境測定装置N100の方から、自発的に、それぞれの前記荷物環境情報を荷物事故管理装置N200に対して送信する場合に限るものではなく、荷物事故管理装置N200の方から、各荷物環境測定装置N100それぞれに対して荷物環境情報の収集要求を送信することとし、各荷物環境測定装置N100それぞれは、荷物事故管理装置N200からの収集要求に応じて、それぞれにおける前記荷物環境情報を収集要求元の荷物事故管理装置N200に対して返送するようにしても良い。
【0061】
同様に、一つ以上の各集配所の各積み下ろし場所それぞれに存在する各荷物および各荷物環境測定装置N100のそれぞれの表面に貼付された伝票上のバーコード(荷物IDを示すバーコード)の読み取り結果を、各バーコードリーダそれぞれから荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300に対して送信する動作についても、荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300からのバーコード(荷物IDを示すバーコード)の取得要求を受信した際に、各バーコードリーダそれぞれは、該取得要求に応じて、バーコード読み取り結果を取得要求元の荷物事故管理装置N200およびTMS装置N300に対して返送するようにしても良い。
【0062】
以上のような動作を行うことにより、荷物事故管理装置N200は、一つ以上の各荷物環境測定装置N100がそれぞれの記憶部N120に格納している荷物環境情報を収集することになる。つまり、荷物事故管理装置N200は、一つ以上の各荷物環境測定装置N100それぞれから、各荷物環境測定装置N100それぞれが存在している各場所(各荷物取扱施設)に荷物が運び込まれて運び出されるまでの間に測定されたデータを、荷物環境情報として、すべて取得して掌握することが可能となる。
【0063】
なお、荷物環境情報の収集対象となる場所(荷物取扱施設)は、荷物の集配を行う
図1に示した集配所L1100のみならず、他のすべての集配所や中継所や発着地などの荷物積み下ろし場所(各トラックへの荷積み、各トラックからの積み下ろし等のように荷物が存在する場所の移動が伴うと想定されるすべての場所)を対象として、荷物事故管理装置N200は、各荷物環境測定装置N100それぞれから、それぞれのあらかじめ指定されたタイミングで、各荷物に関する荷物環境情報を収集する動作を行っている。ここで、荷物事故管理装置N200が各荷物に関する荷物環境情報を各荷物環境測定装置N100それぞれから収集するタイミングに関しては、TMS装置N300が各場所それぞれに存在する各荷物と各場所とに関する情報を収集して管理するタイミングと同期を取るように設定することが望ましい。
【0064】
(第1の実施形態における荷物事故発生可能性を算出する動作例の説明)
次に、第1の実施形態として
図1~
図3に示した荷物事故発生可能性推定システムS100の動作の一例として、一つ以上のプローブ荷物すなわち荷物環境測定装置N100それぞれをどのように用いて、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定するかという点に関して説明する。まず、
図1~
図3に示した集配所L1100と同様の内部構成を他の集配所や発着地や中継所にも適用して階層的に構成した物流ネットワーク構成について、その一例を、
図4を用いて説明する。
図4は、階層構造を有する物流ネットワークの構成例を示す説明図である。
【0065】
図4の説明図において、発着地L1101、発着地L1102、発着地L1201、発着地L1202、発着地L2101、発着地L2102、発着地L2201、発着地L3101、発着地L3201、発着地L3202のそれぞれは、いずれも、荷物の最初の集荷場所または最終の配送先である。
【0066】
また、集配所L1100、集配所L1200、集配所L2100、集配所L2200、集配所L3100、集配所L3200は、いずれも、適当な発着地数閾値としてあらかじめ定めた個数以内の発着地をカバーするように設置される集配所である。例えば、
図4の説明図においては、発着地数閾値として2個の場合を示しており、
図4に示す集配所L1100は、発着地L1101、発着地L1102との2個の発着地をカバーし、発着地L1101、発着地L1102を荷物の最初の集荷場所または最終の配送先とする荷物を集配することを示している。
【0067】
また、中継所L1000、中継所L2000、中継所L3000は、適当な集配所数閾値としてあらかじめ定めた個数以内の集配所をカバーするように設置される中継所である。例えば、
図4の説明図においては、集配所数閾値として2個の場合を示しており、
図4に示す中継所L1000は、集配所L1100、集配所L1200との2個の集配所をカバーし、集配所L1100、集配所L1200で集配された荷物を、中継所L2000または中継所L3000に対して中継配送し、また、中継所L2000または中継所L3000から中継配送されてきた荷物を、最終の配送先となる発着地をカバーしている集配所L1100または集配所L1200に配送する。なお、中継所L1000、中継所L2000、中継所L3000は、
図4に示すように、網の目状に構成されていて、荷物をいずれの中継所との間でも中継配信することができる。
【0068】
また、
図4の発着地と集配所との間、集配所と中継所との間、中継所間のそれぞれの間を結んでいる矢印腺は、自動車やトラック、船、鉄道などのモビリティ(運搬手段)を用いて、荷物を、発着地と集配所との間、集配所と中継所との間、中継所間のそれぞれの間を運ぶことを示している。そして、
図4に例示したような物流ネットワークを利用すると、例えば、発着地L1101から発着地L3202へ運ぶ荷物の場合は、
図4に太線の矢印線で示すように、発着地L1101から、順次、集配所L1100、中継所L1000、中継所L3000、集配所L3200の各荷物取扱施設を経由して、最終的に、発着地L3202へ運搬するという運搬径路を経由して、該荷物を配送することになる。
【0069】
次に、
図4に示した物流ネットワークにおいて荷物事故発生の可能性を算出する動作例について、
図5~
図9の各図面を用いて詳細に説明する。なお、
図4には、物流ネットワークとして、階層構造を有する物流ネットワークの構成例を示しているが、階層構造を有していない物流ネットワークの場合であっても、以下に説明する
図5~
図9の各図面と同様の動作を行って、荷物事故発生の可能性を算出することが可能である。
【0070】
図5は、
図4に示した物流ネットワークを用いて1個の荷物P100と5個のプローブ荷物P200,P201,P202,P203,P204とが、それぞれの最初の集荷場所(搬入先)となる発着地から最終の配送先(運搬先)となる発着地まで運ばれる場合の一例を示す説明図である。
【0071】
図5において、荷物P100が最初に搬入された場所とプローブ荷物P200が存在する場所とは、同じ発着地L1101内の第1積み下ろし場所L1101aであり、荷物P100とプローブ荷物P200とは、同じ径路を通って最終の配送先の発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aまで運ばれる。すなわち、荷物P100とプローブ荷物P200とは、
図4に示した荷物の場合と同様の荷物取扱施設を経由し、該発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aから、集配所L1100、中継所L1000、中継所L3000、中継所L3000、集配所L3200を経て、発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aに到着するという運搬径路を通って配送される。
【0072】
また、プローブ荷物P201は、プローブ荷物P200と同じ発着地L1101内の第1積み下ろし場所L1101aに存在しているが、該発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aから集配所L1100、中継所L1000、中継所L3000、集配所L3200までは、一部で積み下ろし場所が異なるものの荷物P100やプローブ荷物P200と同じ運搬径路を経由して配送されるが、最後の発着地は、プローブ荷物P200とは異なり、発着地L3201の第1積み下ろし場所L3201aに配送される。
【0073】
また、プローブ荷物P202は、プローブ荷物P200とは異なる発着地L1102内の第1積み下ろし場所L1102aにあり、該発着地L1102の第1積み下ろし場所L1102aから、集配所L1100、中継所L1000、中継所L3000までは、一部で積み下ろし場所が異なるものの荷物P100やプローブ荷物P200と同じ運搬径路を経由して配送され、以降は、プローブ荷物P200とは異なる集配所L3100、発着地L3101の第1積み下ろし場所L3101aという運搬径路を経由して配送される。
【0074】
また、プローブ荷物P203は、荷物P100やプローブ荷物P200とは異なる発着地L1201内の第1積み下ろし場所L1201aにあり、該発着地L1201の第1積み下ろし場所L1201aから集配所L1200を経由した後、積み下ろし場所が異なるものの荷物P100やプローブ荷物P200と同じ中継所L1000を経由して、以降は、荷物P100やプローブ荷物P200とは異なる中継所L2000、集配所L2100、発着地L2101の第1積み下ろし場所L2101aという運搬径路を経由して配送される。
【0075】
また、プローブ荷物P204は、荷物P100やプローブ荷物P200とは異なる発着地L1202内の第1積み下ろし場所L1202aにあり、該発着地L1202の第1積み下ろし場所L1202aから集配所L1200を経由した後、積み下ろし場所が異なるものの荷物P100やプローブ荷物P200と同じ中継所L1000を経て、以降は、荷物P100やプローブ荷物P200とは異なる中継所L2000、集配所L2100という運搬径路を経由して配送され、最終的には、荷物P100やプローブ荷物P200とは異なる発着地L2102の第1積み下ろし場所L2102aに配送される。
【0076】
なお、
図5において、各発着地、各集配所、各中継所内に記載しているアルファベットの文字a,b,c,dは、それぞれの荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)内において荷物やプローブ荷物の積み下ろしを行う積み下ろし場所を示すものであり、文字aは、それぞれの荷物取扱施設内の第1積み下ろし場所を示し、文字bは、それぞれの荷物取扱施設内の第2積み下ろし場所を示し、文字cは、それぞれの荷物取扱施設内の第3積み下ろし場所を示し、文字dは、それぞれの荷物取扱施設内の第4積み下ろし場所を示している。例えば、
図5に示す集配所L1100内に記載されているアルファベットの文字a,bは、それぞれ、
図1に示した集配所L1100内の第1積み下ろし場所L1100a、第2積み下ろし場所L1100bを示している。
【0077】
つまり、アルファベットの文字a,b,c,dは、それぞれの荷物取扱施設内において荷物やプローブ荷物の積み下ろし、積み込みを行う積み下ろし場所を示していると同時に、該積み下ろし場所と荷物やプローブ荷物の荷物IDとが結び付けられる場所、さらには、プローブ荷物が測定した荷物に関する荷物環境情報が、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200に収集される場所を示している。
【0078】
次に、
図6は、
図5において階層構造の物流ネットワークを用いて運ばれる1個の荷物P100と5個のプローブ荷物P200,P201,P202,P203,P204とのそれぞれの運搬径路上に存在する各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)内の積み下ろし場所を時間軸とともに登録した一例を示す物流径路登録テーブルである。
図6に示す物流径路登録テーブルT100は、横軸方向に時間軸を示し、例えば1月5日から1月8日までの期間について3時間ピッチで刻んで示している。また、縦軸方向には、運ばれる荷物を示す荷物軸を示し、例えばプローブ荷物P200、荷物P100、プローブ荷物P201、プローブ荷物P202、プローブ荷物P203、プローブ荷物P204の順番に配置して構成している例を示している。
【0079】
図6に示す物流径路登録テーブルT100の登録例において、例えば、同じ径路を通って運ばれるプローブ荷物P200と荷物P100とは、1月5日の6:00には、発着地L1101内の第1積み下ろし場所L1101aにあることを示している。しかる後、プローブ荷物P200と荷物P100とは、同じ発着地L1101内の第1積み下ろし場所L1101aにあるプローブ荷物P201とともに、第1積み下ろし場所L1101aにおいてトラックaに積み込まれて運搬され、1月5日の15:00には、集配所L1100内の第1積み下ろし場所L1100aに運び込まれて、積み下ろされる。
【0080】
そして、プローブ荷物P200と荷物P100とは、プローブ荷物P201とともに、次の配送先の中継所L1000に運ぶために、1月5日の21:00には、集配所L1100内の第1積み下ろし場所L1100aから第3積み下ろし場所L1100cまで移動されている。
【0081】
プローブ荷物P200と荷物P100とは、同じ次の配送先の中継所L1000に運ぶプローブ荷物P201とさらにはプローブ荷物P202とともに、翌日の1月6日の0:00には、集配所L1100内の第3積み下ろし場所L1100cにおいてトラックAに積み込まれて運搬され、1月6日の6:00には、中継所L1000内の第1積み下ろし場所L1000aに運び込まれて、積み下ろされる。そして、プローブ荷物P200と荷物P100とは、プローブ荷物P201とプローブ荷物P202とともに、次の配送先の中継所L3000に運ぶために、1月6日の21:00には、中継所L1000内の第1積み下ろし場所L1000aから第3積み下ろし場所L1000cまで移動されている。
【0082】
プローブ荷物P200と荷物P100とは、同じ次の配送先の中継所L3000に運ぶプローブ荷物P201とプローブ荷物P202とともに、翌日の1月7日の0:00には、中継所L1000内の第3積み下ろし場所L1000cにおいてトラックBに積み込まれて運搬され、1月7日の9:00には、中継所L3000内の第1積み下ろし場所L3000aに運び込まれて、積み下ろされる。そして、プローブ荷物P200と荷物P100とは、プローブ荷物P201とともに、次の配送先の集配所L3200に運ぶために、1月7日の12:00には、中継所L3000内の第1積み下ろし場所L3000aから第3積み下ろし場所L3000cまで移動されている。なお、プローブ荷物P202は、次の配送先は、集配所L3100であり、プローブ荷物P200と荷物P100とプローブ荷物P201とは異なる中継所L3000内の第2積み下ろし場所L3000bに移動される。
【0083】
プローブ荷物P200と荷物P100とは、同じ次の配送先の中継所L3000に運ぶプローブ荷物P201とともに、1月7日の15:00には、中継所L3000内の第3積み下ろし場所L3000cにおいてトラックCに積み込まれて運搬され、翌日の1月8日の3:00には、集配所L3200内の第1積み下ろし場所L3200aに運び込まれて、積み下ろされる。そして、プローブ荷物P200と荷物P100とは、最終の配送先となる発着地L3202に運ぶために、1月8日の6:00には、集配所L3200内の第1積み下ろし場所L3200aから第2積み下ろし場所L3200bまで移動されている。なお、プローブ荷物P201は、最終の配送先は発着地L3201であり、プローブ荷物P200と荷物P100とは異なる集配所L3200内の第3積み下ろし場所L3200cに移動される。
【0084】
プローブ荷物P200と荷物P100とは、1月8日の9:00には、集配所L3200内の第2積み下ろし場所L3200bにおいてトラックeに積み込まれて運搬され、1月8日の12:00には、最終の配送先である発着地L3202内の第1積み下ろし場所L3202aに運び込まれて、積み下ろされる。
【0085】
なお、プローブ荷物P200は、他の各プローブ荷物P201,P202,P203,P204と同様、
図2に示した荷物環境測定装置N100であり、各プローブ荷物P200,P201,P202,P203,P204それぞれが運ばれた運搬径路上にある各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)の積み下ろし場所(なお、後述の第2の実施形態においては、プローブ荷物が積み込まれたトラックも含む)における環境状況をセンサ部N110によって測定して、一つ以上のセンサ測定情報を取得する。
【0086】
そして、取得したセンサ測定情報を、自プローブ荷物が存在している各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)の積み下ろし場所を示すそれぞれの場所情報および時刻情報とともに、荷物環境情報として、記憶部N120に記憶する。しかる後、各プローブ荷物P200,P201,P202,P203,P204それぞれは、記憶部N120に記憶した荷物環境情報を、当該プローブ荷物P200の荷物IDを付して、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200に対して送信する。
【0087】
ただし、プローブ荷物P200は、他の各プローブ荷物P201,P202,P203,P204においても同様であるが、運搬径路上にある各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)の積み下ろし場所(場合によっては載置されたトラックも含む)におけるすべての種類のセンサ測定情報を、そのまま、荷物環境情報として記憶部N120に記憶するのではなく、各センサ測定情報の値が荷物事故に繋がるような異常な状態にあるか否かを判断して、該異常な状態の「あり」/「なし」を、荷物環境情報として、記憶部N120に記憶するようにしても良い。
【0088】
すなわち、各プローブ荷物P200,P201,P202,P203,P204それぞれは、運搬径路上にある各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)の積み下ろし場所において荷物の環境状況を測定する荷物環境測定装置N100として機能する際に、該積み下ろし場所において測定した一つ以上のセンサ測定情報のいずれか一つでも荷物事故に繋がるような異常な状態になっているか否かを判断する動作を可能にするために、
図2に示した荷物環境測定装置N100とは異なり、例えば、
図7に示す荷物環境測定装置N100aのように構成するようにしても良い。
【0089】
図7は、
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100を構成する荷物環境測定装置の
図2とは異なる内部構成の一例を示すブロック構成図である。
図7に示す荷物環境測定装置N100aは、ハッチングを施した異常判断部N150を、
図2に示した荷物環境測定装置N100にさらに追加して有している。異常判断部N150は、センサ部N110により測定した一つ以上のセンサ測定情報のすべてが荷物事故を誘発する心配がない正常な状態を示しているか、あるいは、一つ以上のセンサ測定情報のうちのいずれか一つでも荷物事故に繋がるような異常な状態を示しているかを判断する機能を有している。
【0090】
そして、異常判断部N150の判断結果として、すべてのセンサ測定情報について異常がない正常な状態を示している場合には、記憶部N120には、荷物環境情報として「なし(異常なし)」と記憶し、一つ以上のセンサ測定情報のうちいずれか一つでも異常な状態を示している場合には、記憶部N120に荷物環境情報として「あり(異常あり)」と記憶するように制御することを可能にしている。
【0091】
ここで、異常判断部N150において、各センサ測定情報が正常な状態を示しているかまたは異常な状態を示しているかを判断する方法については、既存の方法を使用すれば良く、如何なる方法を使用しても構わない。なお、前述した
図6の物流径路登録テーブルT100の各プローブ荷物、すなわち、プローブ荷物P200、プローブ荷物P201、プローブ荷物P202、プローブ荷物P203、プローブ荷物P204の各欄の積み下ろし場所の枠内に記載している「なし」は、異常判断部N150において、異常な状態はない(すなわち正常な状態である)と判断していることを意味している。
【0092】
次に、
図3に示した荷物事故管理装置N200内の荷物事故発生場所推定部N290が、運搬径路上にある各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)において荷物事故発生の可能性を推定する動作の一例を、
図8のフローチャートを用いて詳細に説明する。
図8は、第1の実施形態として
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100において動作する
図3に示した荷物事故管理装置N200内の荷物事故発生場所推定部N290の動作の一例を説明するためのフローチャートである。ずなわち、
図8に示すフローチャートは、荷物事故管理装置N200内の荷物事故発生場所推定部N290において、荷物を運ぶ際の運搬径路上にある各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)における荷物環境情報として、荷物事故が発生した荷物(
図5に示した荷物P100)と同じ運搬径路上の荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)にプローブ荷物として運ばれた
図7の荷物環境測定装置N100aから取得した荷物環境情報の異常あり、異常なしの情報を用いて、該荷物に関する荷物事故の発生の可能性が高い場所であるかまたは低い場所であるかを推定する動作の一例を示している。
【0093】
なお、以下の
図8のフローチャートの説明に当たり、
図6の物流径路登録テーブルT100に示したように、発着地、集配所、中継所からなる階層構造の物流ネットワークにおいて、荷物事故が発生した荷物P100が運ばれる各荷物取扱施設には少なくとも一つはプローブ荷物が荷物環境測定装置N100aとして存在するように、該荷物P100が、プローブ荷物P200とともに、発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aから最終の配送先となる発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aまで運ばれた場合を例にして説明する。
【0094】
ここで、
図6の物流径路登録テーブルT100に示したように、最終の配送先となる発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aにおいて、荷物P100が、プローブ荷物P200とともに、1月8日の12:00には積み下ろされた状態になっている。一般に、荷物に関する荷物事故の発生の有無は、荷下ろしまたは荷積みの時点で人目により気付く場合が多い。以下の説明においても、1月8日の12:00以降に、発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aにおいて最終の宛先に対する荷積みを行う際に、該荷物P100の荷物事故に気付いたものとして説明する。
【0095】
図8のフローチャートにおいては、荷物P100の荷物事故が発生した場所を推定するために、荷物事故管理装置N200において荷物事故発生場所推定部N290が起動されると、荷物事故発生場所推定部N290は、まず、各運搬径路に運ばれているプローブ荷物すなわち荷物環境測定装置N100aから取得して記憶部N220に時系列的に荷物環境情報が蓄えられている
図6に示す物流径路登録テーブルT100の中から、検索対象として、荷物事故が発生した荷物P100の荷物事故を検知した場所と同じ場所(すなわち、発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202a)に存在しているプローブ荷物(
図6の登録例においてはプローブ荷物P200)を検索する(ステップF100)。
【0096】
ここで、検索の対象とする期間は、荷物P100の荷物事故が発生したことが判明した時刻(発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aにおける荷物事故発生の判明時刻1月8日の12:00以降の時刻)から遡って、荷物事故が発生した荷物P100が搬入されてきた最初の時刻に至るまでの期間である。
【0097】
そして、ステップF100における検索結果の中に、該当するプローブ荷物が含まれているか否かを判定する。つまり、ステップF100における検索結果として、1月8日の12:00までに搬入された荷物P100の搬入時点から該荷物P100の荷物事故を検知するまでの間に、該荷物P100の荷物事故を検知した場所である発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aと同じ場所に積み下ろされている検索対象のプローブ荷物があるか否かを判定する(ステップF103)。ステップF103の判定結果として、荷物P100の荷物事故を検知した場所である発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aと同じ場所に検索対象のプローブ荷物が存在していた場合には(ステップF103のYes)、ステップF106の処理に移行し、一方、検索対象のプローブ荷物が存在していなかった場合には(ステップF103のNo)、ステップF109の処理に移行する。
【0098】
図6の物流径路登録テーブルT100を参照すると、荷物P100の荷物事故を検知した場所である発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aと同じ場所には、検索対象として、プローブ荷物P200が積み下ろされていることが検索される(ステップF103のYes)。一方、
図6の物流径路登録テーブルT100の登録内容とは異なり、荷物P100の荷物事故を検知した場所である発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aと同じ場所に、検索対象として、例えばプローブ荷物P200が検索されなかった場合には(ステップF103のNo)、一つ前の地点(積み下ろし場所)に遡って検索対象のプローブ端末を検索するために、まず、ステップF109の処理に移行する。
【0099】
検索対象として、プローブ荷物P200が検索された場合(ステップF103のYes)、荷物事故発生場所推定部N290は、該プローブ荷物P200の荷物環境測定装置N100aとしての機能により該プローブ荷物P200から収集して記憶部N220に記憶している荷物環境情報のうち、発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aの荷物環境情報(1月8日の9:00~12:00の時間帯における荷物環境情報)を取り出して、該プローブ荷物P200が検出した荷物環境情報が異常あり/異常なしのいずれであるかを確認する。
【0100】
そして、荷物事故発生場所推定部N290は、確認した該プローブ荷物P200に関する運搬径路上の地点(第1回目は発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202a)における荷物環境情報の異常あり/異常なしのいずれかを‘1回発生’として、荷物環境情報の異常あり/異常なしの発生回数の合計値をカウントアップする。しかる後、カウントアップした発生回数の合計値を、荷物事故発生の荷物P100に関する時刻情報(第1回目は1月8日の12:00)、場所情報(第1回目は発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202a)を記憶している欄に関連付ける形式で、記憶部N220の物流径路登録テーブルT100(
図6に示したテーブル)の該荷物P100欄の下側に新たに追加挿入した欄に記憶する(ステップF106)。
【0101】
例えば、
図6の物流径路登録テーブルT100を参照すると、発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aのプローブ荷物P200に関する荷物環境情報(1月8日の9:00~12:00の時間帯における荷物環境情報)は、「なし」(異常なし)であり、その他のプローブ荷物に関する荷物環境情報は存在していないことが分かる。
【0102】
したがって、荷物事故発生場所推定部N290は、該プローブ荷物P200に関する運搬径路上の最初の地点における荷物環境情報のカウントアップ時点である1月8日の12:00の時点における荷物環境情報の異常あり/異常なしの発生回数の合計値として、異常あり=0、異常なし=1と計算して、計算結果の荷物環境情報の異常の有無発生回数の合計値(異常あり=0、異常なし=1)を、荷物事故発生の荷物P100に関する時刻情報(1月8日の12:00)、場所情報(発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202a)を記憶している欄に関連付ける形式で、記憶部N220の物流径路登録テーブルT100の該荷物P100欄の下側に新たに追加挿入した欄に記憶する。
【0103】
しかる後、荷物事故発生場所推定部N290は、荷物事故が発生した荷物P100が搬入されてきた最初の搬入地点(
図6においては搬入されてきた最初の地点は、時刻情報が1月5日の6:00における発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101a)に至るまで、順次遡って、荷物環境情報の異常の有無発生回数の合計値を算出し終えて、該荷物P100に関する荷物事故発生の可能性に関するすべての計算を行ったか否かを判定する(ステップF109)。
【0104】
言い換えると、荷物P100の荷物事故を検知した場所である発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aから、順次遡って、該荷物P100に関する最初の搬入地点である発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aに至るまで、該荷物P100に関する運搬径路上の各地点における荷物環境情報の異常の有無発生回数の合計値をカウントアップするためのすべての計算を行ったか否かを判定する。ステップF109の判定結果として、すべての計算についてはまだ終了していなかった場合には(ステップF109のNo)、ステップF112の処理に移行し、一方、すべての計算を終了した場合には(ステップF109のYes)、ステップF115の処理に移行する。
【0105】
図6の物流径路登録テーブルT100を参照すると、荷物P100の荷物事故を検知した発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aの一つ前の地点には、集配所L3200の第1積み下ろし場所L3200aが存在していて、該荷物P100に関する運搬径路上の各地点における荷物環境情報の異常の有無発生回数の合計値をカウントアップするためのすべての計算はまだ終了していない状態にあるので(ステップF109のNo)、ステップF112の処理に移行する。
【0106】
ステップF112の処理に進むと、荷物事故発生場所推定部N290は、各運搬径路に運ばれているプローブ荷物である荷物環境測定装置N100aから取得して記憶部N220に時系列的に荷物環境情報が蓄えられている
図6に示す物流径路登録テーブルT100の中から、検索対象として、荷物事故が発生した荷物P100が運ばれてきた運搬径路の一つ前の地点にあるプローブ荷物を検索する(ステップF112)。
【0107】
例えば、
図6においては、前述したように、発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aから荷物P100の運搬径路を一つ前に遡った場所である集配所L3200の第1積み下ろし場所L3200aに存在しているプローブ荷物(プローブ荷物P200およびプローブ荷物P201)を検索する。ここで、検索の対象とする期間は、荷物事故が発生した荷物P100を一つ先の地点に搬出した時刻(例えば、
図6においては集配所L3200の第1積み下ろし場所L3200aから運搬径路を一つ先に進んだ場所である発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aに向かうトラックeに積み込んで搬出した時刻1月8日の6:00の時刻)から遡って、荷物事故が発生した荷物P100が発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aに搬入されてきた最初の時刻に至るまでの期間である。
【0108】
しかる後、荷物事故発生場所推定部N290は、荷物P100の運搬径路を一つ前に遡った場所に荷物P100と同じ時間帯で存在しているプローブ荷物の検索結果を出力して、ステップF103の処理に復帰する。そして、ステップF103の処理に復帰すると、荷物事故発生場所推定部N290は、ステップF112において出力されたプローブ荷物の検索結果を用いて、前述したように、荷物P100の運搬径路を一つ前に遡った場所に荷物P100と同じ時間帯で一つ以上のプローブ荷物が存在しているか否かを確認する(ステップF103)。
【0109】
荷物P100の運搬径路を一つ前に遡った場所に荷物P100と同じ時間帯で一つ以上のプローブ荷物が存在していた場合には(ステップF103のYes)、存在していた一つ以上のプローブ荷物それぞれについて、荷物環境情報として異常状態が検出されていたか否かを確認して、該荷物P100に関する運搬径路上の各地点における荷物環境情報の異常あり/異常なしの発生回数の合計値をカウントアップし、カウントアップした該発生回数の合計値を記憶部N220の物流径路登録テーブルT100の荷物事故発生の荷物P100に関する記載欄に関連付ける形式でその下側の欄に記憶する処理を行う(ステップF106)。
【0110】
なお、ここで、例えば、荷物P100の運搬径路を一つ前に遡った場所として、
図6に示す発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aから荷物P100の運搬径路を一つ前に遡った場所である集配所L3200の第2積み下ろし場所L3200bの場合には、プローブ荷物P200の一つであるが、集配所L3200の第2積み下ろし場所L3200bからさらに一つ前に遡った同じ集配所L3200内の第1積み下ろし場所L3200aの場合には、プローブ荷物P200およびプローブ荷物P201の二つのプローブ荷物が存在している。
【0111】
そして、
図6の物流径路登録テーブルT100を参照すると、例えば、荷物P100と同じ場所である集配所L3200の第2積み下ろし場所L3200b(1月8日の3:00~6:00の時間帯における荷物環境情報)および第1積み下ろし場所L3202a(1月8日の0:00~3:00の時間帯における荷物環境情報)のプローブ荷物P200に関する荷物環境情報は、いずれも、「なし」(異常なし)である。また、荷物P100と同じ場所である集配所L3200の第1積み下ろし場所L3200a(1月8日の0:00~3:00の時間帯における荷物環境情報)のプローブ荷物P201に関する荷物環境情報についても、「なし」(異常なし)である。
【0112】
したがって、荷物事故発生場所推定部N290は、プローブ荷物P200に関する荷物環境情報の1月8日の6:00の時点における荷物環境情報の合計として、異常あり=0、異常なし=1と計算し、また、プローブ荷物P200およびプローブ荷物P201に関する荷物環境情報の1月8日の3:00の時点における荷物環境情報の合計として、異常あり=0、異常なし=2と計算する。
【0113】
そして、それぞれの時点における荷物P100に関する荷物環境情報の合計値(異常あり=0、異常なし=1および異常あり=0、異常なし=2)を、荷物事故発生の荷物P100に関する時刻情報(1月8日の6:00および3:00)、場所情報(集配所L3200の第2積み下ろし場所L3202bおよび集配所L3200の第1積み下ろし場所L3202a)を記憶している欄に関連付ける形式で、記憶部N220の物流径路登録テーブルT100の該荷物P100欄の下側の欄に記憶する。
【0114】
以上のようなステップF112からステップF103の処理に復帰する動作を、荷物P100の荷物事故を検知した場所である発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aから、順次遡って、該荷物P100に関する最初の搬入地点である発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aに至るまで繰り返す。そして、荷物P100に関する最初の搬入地点である発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aに至るまで繰り返して、ステップF109において、荷物P100に関する運搬径路上の各地点における荷物環境情報の異常の有無発生回数の合計値をカウントアップするためのすべての計算を終了したことを検出すると(ステップF109のYes)、荷物P100に関する運搬径路上の各地点における荷物環境情報の異常の有無発生回数の合計値のカウントアップ動作を終了して、ステップF115の処理に移行する。
【0115】
ステップF115の処理に移行すると、
図6に示した記憶部N220の物流径路登録テーブルT100の該荷物P100欄の下側の欄には、
図9の集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT200に示すように、荷物事故が発生した荷物P100の運搬径路上の各地点(発着地、集配所、中継所の各荷物取扱施設における積み下ろし場所)のすべての地点における荷物環境情報の異常の有無発生回数の合計値が、荷物事故発生の荷物P100と関連付けた状態で、集計荷物事故情報T210の欄に追加登録された状態になる。
【0116】
図9は、
図6に示した物流径路登録テーブルT100に荷物環境情報の異常の有無発生回数の合計値を格納した欄が集計荷物事故情報T210の欄として追加登録された集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT200の一例を示すテーブルであり、太枠で囲んで示すように、荷物事故発生の荷物P100の運搬径路と関連付ける形式で、集計荷物事故情報T210の欄が追加されている。
【0117】
図9の集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT200の集計荷物事故情報T210の欄の登録例においては、荷物環境情報の異常ありを示す「あり」の発生回数の合計値は、荷物事故発生の荷物P100の運搬径路上のいずれの地点においても「あり=0」である。したがって、荷物環境情報の異常ありを示す「あり」の発生回数の合計値に関しては、いずれの地点も、荷物事故に繋がるような異常を示す状態にはなっていないことを示していて、「あり」の発生回数の合計値を利用するだけでは、荷物事故の発生の可能性が高い地点(場所)か否かを算出することはできない。
【0118】
これに対して、荷物環境情報の事故なしを示す「なし」の発生回数の合計値は、荷物事故発生の荷物P100と同じ場所に同じ時間帯で存在しているプローブ荷物の個数により変動し、「なし=1」が最も少なく、「なし=2」、「なし=3」の順に多くなっている。そして、「なし」の発生回数が多いほど、荷物事故の発生の可能性が低くなっている地点(場所)であると算出することができ、逆に、「なし」の発生回数が少ないほど、荷物事故の発生の可能性が高い地点(場所)であると算出することができる。
【0119】
ステップF115においては、荷物事故発生場所推定部N290は、
図9に例示したような荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT200の集計荷物事故情報T210の欄を参照して、荷物環境情報の異常ありの状態を示す「あり」の回数の合計値の割合が多いか、または、異常なしの状態を示す「なし」の回数の合計値が少ない地点を、荷物事故が発生した可能性が高い地点であると算出する。逆に、荷物環境情報の異常ありの状態を示す「あり」の回数の合計値の割合が少なく、かつ、異常なしの状態を示す「なし」の回数の合計値が多い地点を、荷物事故が発生した可能性が低い地点であると算出する(ステップF115)。
【0120】
なお、異常ありの状態を示す「あり」の回数の合計値の割合が多いものの、異常なしの状態を示す「なし」の回数の合計値も多い地点、または、異常ありの状態を示す「あり」の回数の合計値の割合が少ないものの、異常なしの状態を示す「なし」の回数の合計値も少ない地点については、評価が困難な状態ではあるが、本実施形態においては、荷物事故が発生した可能性が高い地点として算出することにする。
【0121】
つまり、本第1の実施形態においては、前述したように、異常ありの状態を示す「あり」の回数の合計値の割合が多いか、または、異常なしの状態を示す「なし」の回数の合計値が少ない地点を、荷物事故が発生した可能性が高い地点として算出し、異常ありの状態を示す「あり」の回数の合計値の割合が少なく、かつ、異常なしの状態を示す「なし」の回数の合計値が多い地点のみを、荷物事故が発生した可能性が低い地点であると算出する。
【0122】
したがって、
図9に例示したような荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT200の集計荷物事故情報T210の欄の登録例においては、前述したように、異常ありの状態を示す「あり」の回数については、荷物事故が発生した荷物P100の運搬径路上のいずれの地点(場所)においても、‘0’であって、事故発生可能性の地点(場所)を評価する情報として利用することはできなく、異常なしの状態を示す「なし」の回数が少ない地点ほど、事故発生の可能性が高い地点(場所)として評価することになる。
【0123】
つまり、
図9に示す荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT200の集計荷物事故情報T210の欄の登録例においては、異常なしの状態の回数として最も少ない「なし=1」の地点(場所)が、荷物事故発生の可能性が最も高い地点(場所)として評価される。すなわち、荷物事故発生の可能性が最も高い地点(場所)としては、時刻情報が1月5日の6:00の発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aと、時刻情報が1月8日の3:00の集配所L3200の第2積み下ろし場所L3200bと、時刻情報が1月8日の12:00の発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aと、が該当している。
【0124】
そして、荷物事故発生の可能性が次に高い地点(場所)としては、「なし=2」の地点(場所)であり、時刻情報が1月5日の15:00の集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aと、時刻情報が1月7日の12:00の中継所L3000の第3積み下ろし場所L3000cと、時刻情報が1月8日の3:00の集配所L3200の第1積み下ろし場所L3200aと、が該当している。
【0125】
また、荷物事故発生の可能性が最も低い地点(場所)としては、異常なしの状態の回数が最も多い「なし=3」の地点(場所)であり、時刻情報が1月5日の21:00の集配所L1100の第3積み下ろし場所L1100cと、時刻情報が1月6日の6:00の中継所L1000の第1積み下ろし場所L1000aと、時刻情報が1月6日の21:00の中継所L1000の第3積み下ろし場所L1000cと、時刻情報が1月7日の中継所L3000の第1積み下ろし場所L3000aと、が該当している。
【0126】
図8に例示したような動作を行うことにより、荷物事故管理装置N200内の荷物事故発生場所推定部N290は、荷物事故が発生した荷物P100に関する荷物事故発生の可能性が高い地点(場所)を推定することができる。
【0127】
なお、
図9に例示したような荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT200の集計荷物事故情報T210の欄の登録例とは異なり、荷物環境情報の異常ありの状態を示す「あり」の回数として、‘0’以外の数値が登録されていた場合には、前述したように、荷物事故発生の可能性がある地点(場所)を評価する情報として、異常ありの状態を示す「あり」の回数の割合が多い地点ほど、事故発生の可能性が高い地点(場所)として評価することになる。
【0128】
また、本第1の実施形態における説明の簡素化を図るために、
図6および
図9においては、時間間隔を示す時間帯のピッチを3時間単位としている場合を示したが、実際に適用する場合には、1秒ないしそれ以下の時間単位の時間幅で扱うことになる。また、プローブ荷物の個数についても、5個という少ない個数ではなく、各荷物取扱施設に積み下ろされた荷物の環境状況をいつでも取得することができるように、プローブ荷物の運搬スケジュールとして、すべての荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所など)の各積み下ろし場所に、常時、一つ以上のプローブ荷物が存在していることが可能な個数を用いることが望ましい。
【0129】
また、
図9に例示したような荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT200の集計荷物事故情報T210の欄の登録例においては、荷物事故発生の荷物P100と同じ時間に同じ場所に存在している各プローブ荷物(荷物環境測定装置N100)それぞれが測定した荷物環境情報に関して異常の状態を検出したか否かを、各プローブ荷物それぞれごとに、一つ以上のセンサ測定情報のいずれか一つでも異常であった場合には、「異常あり」として出力し、一つ以上のセンサ測定情報のすべてが異常ではなかった場合には、「異常なし」として出力する場合について示している。
【0130】
しかし、一つ以上の各プローブ荷物それぞれは、一つ以上のセンサ測定情報ごとに異常な状態を検出したか否かを示す検出回数をカウントすることにし、異常な状態を検出したセンサ測定情報の個数を、各プローブ荷物それぞれの異常ありの回数として出力するようにしても良い。さらに、一つ以上の各センサ測定情報それぞれを、荷物事故の発生の可能性に影響を及ぼすと想定される程度に応じて、適切に重み付けした値としてカウントすることにして、例えば、異常ありの回数をカウントする場合、異常な状態を検出したセンサ測定情報それぞれに関して重み付けした値をカウントして、各プローブ荷物それぞれの異常ありの回数として出力するようにしても良い。
【0131】
あるいは、各プローブ荷物(荷物環境測定装置N100)それぞれのセンサ部N110が測定した一つ以上のセンサ測定情報(温度、湿度、3軸加速度(向きも取得)、音、圧力、位置などの関する情報)それぞれに関して、異常判定用の異常判定用閾値としてあらかじめ定めたセンサ基準値(例えば、温度センサの測定情報のセンサ基準値として25℃、湿度センサの測定情報のセンサ基準値として50%、加速度センサの測定情報のセンサ基準値として1Gなど)を設定しておき、センサ部N110にて測定した一つ以上の各センサ測定情報それぞれを、該当するセンサ基準値と比較した結果として得られる両者間の差分(距離)の大きさを示す情報を用いても良い。さらに、センサ測定情報の値とセンタ基準値との差分(距離)を、該当するセンサ測定情報それぞれに関して荷物事故発生の可能性に影響を及ぼすと想定される程度に応じて、さらに、適切に重み付けして標準化した数値を用いるようにしても良い。
【0132】
なお、各プローブ荷物(荷物環境測定装置N100)それぞれにおいて測定した各センサ測定情報それぞれについて、算出する数値の種類や算出する場所に関して、プローブ荷物(荷物環境測定装置N100)側であるかあるいは荷物事故管理装置N200側であるかなどには一切依存することはなく、本第1の実施形態の荷物事故管理装置N200内の荷物事故発生場所推定部N290において、荷物事故発生の可能性がある場所を推定するための動作には本質的な違いがないことは、自明のことである。
【0133】
以上に説明したように、本第1の実施形態においては、荷物事故が発生した荷物P100に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定するに当たり、一つ以上のセンサ(温度、湿度、加速度、音、圧力、位置などのセンサ測定情報を測定する一つ以上のセンサ)を搭載した一つ以上の荷物環境測定装置N100(プローブ荷物)を用いて、荷物事故が発生した荷物P100の運搬径路として該荷物P100が存在していた同じ場所に同じ時間帯に存在していた一つ以上の荷物環境測定装置N100(プローブ荷物)が、該荷物P100の環境を示す荷物環境情報を測定して、測定した荷物環境情報の集計結果に基づいて、該荷物P100に関する荷物事故発生の可能性がある場所であるか否かを推定することを可能にしている。
【0134】
つまり、本第1の実施形態においては、荷物が運搬される運搬径路情報を用いて、荷物事故が発生した荷物の運搬径路のうち、物流ネットワーク内に最初に搬入された発着地(出荷地点)から荷物事故が判明した地点までの運搬径路とプローブ荷物の運搬径路とが重なり合った各地点(各場所)における荷物環境測定装置N100(プローブ荷物)の測定情報(すなわち荷物環境情報)を利用することによって、荷物事故が発生した該荷物に関する荷物事故の発生地点を推定することを可能にしている。言い換えると、対象とするすべての荷物それぞれに、それぞれの環境状況を測定するための環境測定装置を一切搭載していなくても、荷物事故が発生した場合に、該荷物の荷物事故発生の可能性が高い場所を推定することを可能にしている。
【0135】
また、本第1の実施形態においては、一つ以上の荷物環境測定装置N100(プローブ荷物)を用いて、荷物P100に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定する際に、一つ以上の荷物環境測定装置N100(プローブ荷物)のうち、該荷物P100が存在していた同じ場所に同じ時間帯に存在していた一つ以上の荷物環境測定装置N100(プローブ荷物)それぞれが該荷物P100の環境を示す荷物環境情報を測定した結果を、該荷物環境情報に異常があるか否かを示す情報として「異常あり(荷物異常発生可能性あり)」と「異常なし(荷物異常発生可能性なし)」との二つのいずれかの情報として出力する。
【0136】
そして、一つ以上の荷物環境測定装置N100(プローブ荷物)それぞれが出力した「異常あり」と「異常なし」との個数をカウントして、「異常あり」の個数の合計値の割合が多いか、または、「異常なし」の個数の合計値が少ない場所ほど、荷物異常の発生可能性が高い場所として算出し、「異常あり」の個数の割合が少なく、かつ、「異常なし」の個数が多い場所ほど、荷物異常の発生可能性が低い場所として算出するように動作する。
【0137】
また、本第1の実施形態においては、荷物事故が発生した荷物P100が存在していた同じ場所に同じ時間帯に存在していた一つ以上の荷物環境測定装置N100(プローブ荷物)それぞれの一つ以上のセンサ測定情報ごとに異常な状態を検出したか否かを示す検出個数をカウントして、異常な状態を検出したセンサ測定情報の個数を、荷物環境情報の異常ありの回数として出力するようにしても良い。そして、荷物環境情報の異常ありの回数の割合が多いほど、荷物異常の発生可能性が高い場所として算出し、荷物環境情報の異常ありの回数の割合が少ないほど、荷物異常の発生可能性が低い場所として算出する。異常なし状態を検出したセンサ測定情報の個数についても同様であり、荷物環境情報の異常なしの回数として出力するようにしても良い。そして、荷物環境情報の異常なしの回数が多いほど、荷物異常の発生可能性が低い場所として算出し、荷物環境情報の異常なしの回数が少ないほど、荷物異常の発生可能性が高い場所として算出する。
【0138】
さらに、一つ以上のセンサ測定情報それぞれを荷物事故発生の可能性に影響を及ぼすと想定される程度に応じて適切に重み付けした回数として出力するように動作することも可能である。そして、重み付けした結果の回数が多いほど、荷物異常の発生可能性が高い場所として評価し、重み付けした結果の回数が少ないほど、荷物異常の発生可能性が低い場所として評価する。異常なし状態を検出したセンサ測定情報の個数についても同様の重み付けを行い、重み付けした結果の回数が多いほど、荷物異常の発生可能性が低い場所として評価し、重み付けした結果の回数が少ないほど、荷物異常の発生可能性が高い場所として評価する。
【0139】
さらに、本第1の実施形態においては、荷物事故が発生した荷物P100が存在していた同じ場所に同じ時間帯に存在していた一つ以上の各荷物環境測定装置N100(プローブ荷物)それぞれの一つ以上のセンサ測定情報それぞれに関して、例えば、異常状態の程度を検知する場合、異常判定用閾値としてあらかじめ定めたセンサ基準値を設定しておき、取得した一つ以上のセンサ測定情報それぞれを、該当するセンサ基準値と比較した結果を、両者の間の差分の大きさ(距離)を示す情報として取得して出力することも可能である。なお、異常状態の程度を検知する場合のみならず、異常状態ではなく、正常な状態の程度を検知しようとする場合においても、同様である。
【0140】
さらに、センサ測定情報の値とセンサ基準値との両者の間の差分の大きさ(距離)を、該当するセンサ測定情報それぞれを荷物事故の発生の可能性に影響を及ぼすと想定される程度に応じて適切な数値に重み付けして標準化し、標準化した各数値の合計値として出力するように動作することも可能である。そして、例えば、異常ありの合計値に関しては、標準化した各数値の合計値が大きいほど、荷物異常発生の可能性が高い場所として評価し、標準化した各数値の合計値が小さいほど、荷物異常発生の可能性が低い場所として評価する。
【0141】
さらに、本第1の実施形態において、プローブ荷物が測定した荷物環境情報に関する異常あり、異常なしの情報を用いて、荷物事故が発生した荷物の荷物事故発生の可能性が高い場所を推定する際に、該プローブ荷物と該荷物とが存在した位置関係を、該プローブ荷物と該荷物との間の距離として算出し、双方が同じ場所に存在していても、算出した該距離に応じてプローブ荷物が測定した荷物環境情報に関する異常あり、異常なしの情報に対する重み付けを行うようにしても良い。すなわち、例えば、異常ありの情報の場合には、算出した該距離が短いほど、荷物事故発生の可能性が高く、逆に、算出した該距離が短いほど、荷物事故発生の可能性が低くなるように重み付けを行うようにしても良い。
【0142】
(第1の実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本第1の実施形態においては、以下のような効果を奏することができる。
【0143】
第1の効果は、運搬対象となる荷物それぞれに、各荷物が存在する場所の環境状況を荷物環境情報として測定する環境測定用センサを取り付けなくても、荷物事故が発生した荷物P100が存在する場所の環境状況を測定することができる点である。その理由は、環境測定用センサを搭載したプローブ荷物(荷物環境測定装置N100)が、通常の荷物と同様に、荷物事故が発生した荷物P100が運ばれる運搬径路上の積み下ろし場所にも運ばれて、該荷物が存在する場所の環境状況を荷物環境情報として測定するからである。
【0144】
第2の効果は、荷物事故が発生した荷物P100の荷物事故発生場所(荷物事故発生の可能性が高い場所)を推定することができる点である。その理由は、環境測定用のセンサを搭載したプローブ荷物(荷物環境測定装置N100)が、荷物事故が発生した荷物が運ばれる運搬径路上の一つ以上の積み下ろし場所それぞれの荷物環境情報を測定して、測定した荷物環境情報が異常な状態になっているか否かを、荷物異常発生の可能性があるか否かを示す情報として算出して数値化し、一つ以上の積み下ろし場所それぞれごとに集計することによって、荷物事故が発生した荷物P100の運搬径路上の一つ以上の積み下ろし場所それぞれが、荷物事故発生の可能性が高い場所であるか、低い場所であるかを評価することができるからである。
【0145】
(第2の実施形態の構成例)
次に、本発明に係る荷物事故発生可能性推定システムの第2の実施形態の構成例について、図面を参照して、詳細に説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る荷物事故発生可能性推定システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図であり、荷物を運ぶ運搬径路上の各地点として、荷物の集配管理を行う集配所の構成例を一つの集配所だけを示している。しかし、第1の実施形態として
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100の場合と同様、その他の集配所についても、また、物流ネットワークとして階層構造を有している場合には荷物の運搬中継を行う中継所、さらには、荷物の最初の搬入先や荷物の最終の運搬先となる発着地においても、
図10と同様の構成からなっている。
【0146】
第2の実施形態として
図10に示す荷物事故発生可能性推定システムS101においては、集配所L1100内の構成は、第1の実施形態として
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100の場合の全く同様であるが、一つ以上の第1積み下ろし場所L1100a、第2積み下ろし場所L1100b、…それぞれに搬入する荷物や荷物を次の搬入先に運ぶ出すトラックT0001、トラックT0002、…のそれぞれには、
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100の場合とは異なり、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200との間の通信を行う手段として、通信部T101、通信部T102、…それぞれが搭載されている。
【0147】
さらに説明すると、
図10に示す荷物事故発生可能性推定システムS101においては、集配所L1100内の一つ以上の第1積み下ろし場所L1100a、第2積み下ろし場所L1100b、…ごとに、
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100の場合と同様に、積み下ろした荷物の環境状況を測定するための荷物環境測定装置N100が通常の荷物とともに存在している。つまり、
図10に示した例では、第1積み下ろし場所L1100aには、例えばトラックT0001に積み込む荷物P101、荷物P102の環境状況を測定する第1荷物環境測定装置N101が通常の荷物と同様に運搬可能なプローブ荷物として存在し、第2積み下ろし場所L1100bには、例えばトラックT0002に積み込む荷物P103の環境状況を測定する第2積み下ろし場所L1100bが通常の荷物と同様に運搬可能なプローブ荷物として存在している。
【0148】
そして、
図10に示すトラックT0001、トラックT0002、…のそれぞれには、ハッチングを施して示すように、
図1に示したトラックT0001、トラックT0002、…のそれぞれに対して通信部T101、通信部T102、…を、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200との間の通信を行う手段として、追加して搭載している。ここで、通信部T101、通信部T102、…は、既存のゲートウェイ装置や通信機のような機器であって構わなく、トラックT0001、トラックT0002、…それぞれの内部の環境状況を、それぞれのトラック荷物室内に積み込んだ荷物に関する荷物環境情報として、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200に送信するものである。
【0149】
インターネットN400上の荷物事故管理装置N200との通信を行うかくのごとき通信部T101、通信部T102、…を、トラックT0001、トラックT0002、…それぞれに搭載することにより、トラックT0001、トラックT0002、…それぞれに搭載している車両用の各種センサが、トラックT0001、トラックT0002、…それぞれの内部の状況を測定した車両用センサ測定情報を、トラックT0001、トラックT0002、…それぞれに荷物を積み込んで運搬する際のトラック(運搬手段)内の当該荷物に関する荷物環境情報として、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200に送信することが可能である。その結果、荷物事故管理装置N200は、トラックT0001、トラックT0002、…それぞれ積み込んだ荷物に関する環境状況を、
図10に示した第1荷物環境測定装置N101、第2荷物環境測定装置N102、…それぞれが、集配所L1100内の第1積み下ろし場所L1100a、第2積み下ろし場所L1100b、…それぞれの内部の環境状況を測定して取得する荷物環境情報の場合と全く同様に、荷物を積み込んだトラック内における荷物環境情報として利用することが可能になる。
【0150】
トラックT0001、トラックT0002、…それぞれの荷物環境情報として利用することができる車両用センサ測定情報に関しては、例えば、走行状態や停止状態に関する情報、車速や加速度の変化に関する情報、ABS(Anti-lock Brake System)の作動状況などに関する情報が該当し、積み込んだ荷物に対する加速度に関する情報として利用することができる。さらには、トラックT0001、トラックT0002、…それぞれの荷物環境情報として利用することができる他の車両用センサ測定情報としては、ウィンカやステアリング角などに関する情報も、積み込んだ荷物に対する加速度の方向を示す情報として利用することができるし、車載マイクが集音した情報についても、積み込んだ荷物の周囲の空気の振動に関する情報として利用することができるし、また、トラックのタイヤの空気圧に関する情報も、積み込んだ荷物に対する揺れ、衝撃の大きさに関する情報として利用することができる。
【0151】
また、荷物を積み込んだトラックT0001、トラックT0002、…それぞれ荷物環境情報として利用することができるさらなる車両用センサ測定情報として、例えば、トラック荷物室内の温度や湿度に関する情報についても、積み込んだ荷物の周囲の環境状況を示す一般的な情報として利用することができるし、車載カメラや車載レーダが取得した情報についても、荷物を運ぶ運搬手段であるトラックに対する環境状況を把握するための入力情報として利用することができる。
【0152】
なお、本第2の実施形態における以降の説明には記載を省略するが、トラックT0001、トラックT0002、…それぞれに通常の荷物と混在して、プローブ荷物として、荷物事故管理装置N200が積み込まれていて、かつ、該荷物事故管理装置N200が動作可能な状態になっていた場合には、該荷物事故管理装置N200も、積み込まれているトラックT0001、トラックT0002、…内部のそれぞれの環境状況を測定して、荷物環境情報として、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200に送信することが可能であることは言うまでもないことである。
【0153】
(第2の実施形態の動作例の説明)
次に、第2の実施形態として
図10に示した荷物事故発生可能性推定システムS101の動作の一例として、荷物の運搬経路上にある各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)において一つ以上のプローブ荷物である荷物環境測定装置N100aを用いて取得した荷物環境情報のみならず、荷物を積み込んだトラック(運搬手段)からも、一つ以上の車両用センサ測定情報からなる荷物環境情報を取得して、どのように、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定するかという点に関して、
図11に示すフローチャートを参照しながら、詳細に説明する。
【0154】
なお、トラックから取得する荷物環境情報に関しては、プローブ荷物である荷物環境測定装置N100aを用いた場合と同様に、該荷物環境情報が異常な状態にあるか否かを、異常あり、異常なしの情報として時刻情報および場所情報とともに取得する場合について示している。また、トラックにプローブ荷物である荷物環境測定装置N100aが動作可能な状態で積み込まれていた場合には、前述したように、荷物環境測定装置N100aを用いてトラック内の荷物環境情報を取得することも可能であるが、ここでは、トラック内に荷物環境測定装置N100aが積み込まれていても動作可能な状態にはなっていなかったものと仮定して、プローブ荷物である荷物環境測定装置N100aによる荷物環境情報の取得動作が行われていない場合について示している。
【0155】
図11は、第2の実施形態として
図10に示した荷物事故発生可能性推定システムS101において動作する
図3に示した荷物事故管理装置N200内の荷物事故発生場所推定部N290の動作の一例を説明するためのフローチャートである。すなわち、
図11に示すフローチャートは、荷物事故管理装置N200内の荷物事故発生場所推定部N290において、荷物を運ぶ際の運搬径路上にある各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)における荷物環境情報のみならず荷物を運ぶトラックにおける荷物環境情報も用いて、該荷物に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定する動作の一例を示している。つまり、
図11に示すフローチャートにおいては、第1の実施形態として
図8に示したフローチャートにおける各プローブ荷物の荷物環境情報の取得対象となる各地点すなわち各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)に対して、さらに、荷物を運搬するトラック内の荷物環境情報を追加して利用する場合を示している。
【0156】
図11のフローチャートにおいてハッチングを施したステップF211の処理以外は、すべて、第1の実施形態として
図8に示したフローチャートの各ステップと全く同様の処理を行うステップであり、
図8の場合と同じステップ番号(すなわちステップF100,F103,F106,F109,F112,F115)を付して示し、ここでの重複する説明は割愛する。
【0157】
ここで、
図11においてハッチングを施したステップF211は、ステップF109とステップF112との間に挿入された処理ステップであり、荷物事故を発生した荷物P100が運搬された運搬径路を時系列的に順次遡って、該荷物P100が最初に搬入された発着地の地点に到達していない場合、すなわち、最初に搬入された該発着地の地点においてプローブ荷物が
図7の荷物環境測定装置N100aの機能として測定した当該荷物に関する荷物環境情報の異常の有無を調べるまでにまだ至っていなかった場合(ステップF109のNo)に起動される。
【0158】
ステップF211においては、荷物事故発生場所推定部N290は、まず、荷物事故を発生した荷物P100を運んだトラック(例えば集配所L3200の第2積み下ろし場所L3200bから発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aまで運んだトラックe) から収集して記憶部N220に記憶している荷物環境情報を取り出して、該荷物環境情報が異常あり/異常なしのいずれであるかを確認する。
【0159】
そして、荷物事故発生場所推定部N290は、確認したトラック(例えば集配所L3200の第2積み下ろし場所L3200bから発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aまで運んだトラックe)内の荷物環境情報の異常あり/異常なしのいずれかを‘1回発生’として、荷物環境情報の異常あり/異常なしの発生回数の合計値をカウントアップする。しかる後、カウントアップした発生回数の合計値を、荷物事故発生の荷物P100に関する時刻情報(例えば1月8日の6:00から9:00までの運搬時間帯)、場所情報(集配所L3200の第2積み下ろし場所L3200bから発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aまでの運搬径路を移動したトラックe)を記憶している欄に関連付ける形式で、
図12に例示するように、記憶部N220内の集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT202の集計荷物事故情報T210欄に設定登録する(ステップF211)。
【0160】
荷物事故を発生した荷物P100を運んだトラック(例えばトラックe)には、第1の実施形態として
図9の集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT200に示したように、荷物事故発生の荷物P100とともに、プローブ荷物(例えば1月8日の6:00から9:00までの運搬時間帯のトラックeの場合はプローブ荷物P200)も積み込まれている場合もあるが、本第2の実施形態においては、前述したように、トラック内においては、プローブ荷物は、荷物環境測定装置N100aとして動作しない状態に設定されているので、荷物環境情報の異常あり/異常なしの発生回数の合計値は、1回限りの計算であり、‘1’か‘0’である。
【0161】
図12は、
図9に示した集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT200に荷物事故発生の荷物を運搬したトラック内における荷物環境情報の異常の有無発生に関する情報をさらに追加して格納した集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT201の一例を示すテーブルである。
【0162】
図12に示す集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT201の設定登録例においては、例えば、1月8日の6:00から9:00までの運搬時間帯において集配所L3202の第2積み下ろし場所L3200bから発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aまでの運搬径路を移動したトラックeにおいて、運搬中の荷物に関する荷物環境情報が異常ありの状態になっていることを示す「あり=1」、および、異常なしの状態を示す「なし=0」が設定登録されている例を示している。なお、1月8日の6:00から9:00までの運搬時間帯以外のその他のトラックによる運搬中の荷物に関する荷物環境情報は、いずれも、異常な状態が検知されていなく、異常ありの状態を示す「あり=0」、および、異常なしの状態を示す「なし=1」が設定登録されている例を示している。
【0163】
ステップF211の処理が終了して、次のステップF112の処理に進むと、荷物事故発生場所推定部N290は、第1の実施形態における
図8のフローチャートの場合と同様、記憶部N220に時系列的に荷物環境情報が蓄えられている
図12に示す物流径路登録テーブルT201の中から、検索対象として、荷物事故が発生した荷物P100が運ばれてきた運搬径路の一つ前の地点(トラック内も含む地点)にあるプローブ荷物を検索する動作を行う(ステップF112)。
【0164】
図11に示したフローチャートにおいては、以上のような動作を、第1の実施形態における
図8のフローチャートの場合と同様、荷物事故が発生した荷物P100の荷物事故を検知した場所である発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aから該荷物P100の運搬径路を順次遡って該荷物P100に関する最初の搬入地点である発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aに至るまで繰り返す。
【0165】
図12に示す物流径路登録テーブルT201には、前述したような動作を行うことにより、荷物を運搬するトラックから取得した荷物環境情報に関する異常あり、異常なしの情報も含めて登録されている。したがって、例えば、1月8日の9:00における発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202の一つ前の地点としては、ステップF112において、第1の実施形態における
図9に示す物流径路登録テーブルT200の場合の集配所L3200の第2積み下ろし場所L3200bではなく、
図12に示すように、集配所L3202の第2積み下ろし場所L3200bから発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aまでの運搬径路を移動したトラックeが対象になり、トラックe内における荷物環境情報を検索することになる。
【0166】
ここで、
図12の集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT201に示す登録例においては、荷物事故発生の荷物P100の運搬径路上を移動するトラックに関し、前述したように、異常ありの状態を示す「あり=1」が、1月8日の6:00から9:00までの運搬時間帯において集配所L3202の第2積み下ろし場所L3200bから発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aまでの運搬径路を移動するトラックeにおいてのみ登録されている。そして、かかるトラックe以外の他のいずれの運搬時間帯に荷物P100の運搬径路上を移動するトラックに関しても、異常ありの状態を示す「あり」の発生回数は‘0’である。
【0167】
したがって、
図12に示す荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT201の集計荷物事故情報T210の欄の登録例においては、荷物事故発生の可能性が最も高い地点(場所)として、各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)におけるプローブ荷物による荷物環境情報も含めて、異常ありの状態を示す「あり=1」が唯一設定登録されている地点のトラックeが該当している地点として評価されることになる。すなわち、時刻情報が1月8日の6:00から9:00までの運搬時間帯において集配所L3202の第2積み下ろし場所L3200bから発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aまでの運搬径路を移動するトラックeが該当している地点として評価されることになる。
【0168】
そして、荷物事故発生の可能性が次に高い地点(場所)としては、異常なしの状態の回数として最も少ない「なし=1」の地点(トラックも含む)が該当している地点として評価される。つまり、荷物事故発生の可能性が次に高い地点(場所)としては、時刻情報が1月8日の6:00から9:00までの運搬時間帯におけるトラックe以外のすべてのトラック(すなわち、1月5日のトラックa、1月6日のトラックA、1月7日のトラックBおよびトラックC)と、時刻情報が1月5日の6:00の発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aと、時刻情報が1月8日の6:00の集配所L3200の第2積み下ろし場所L3200bと、時刻情報が1月8日の12:00の発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aと、が該当している。
【0169】
そして、荷物事故発生の可能性がその次に高い地点(場所)としては、「なし=2」の地点(場所)であり、第1の実施形態の
図9に示す登録例と同様に、時刻情報が1月5日の15:00の集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aと、時刻情報が1月7日の12:00の中継所L3000の第3積み下ろし場所L3000cと、時刻情報が1月8日の3:00の集配所L3200の第1積み下ろし場所L3200aと、が該当している。
【0170】
また、荷物事故発生の可能性が最も低い地点(場所)としては、異常なしの状態の回数が最も多い「なし=3」の地点(場所)であり、第1の実施形態の
図9に示す登録例と同様に、時刻情報が1月5日の21:00の集配所L1100の第3積み下ろし場所L1100cと、時刻情報が1月6日の6:00の中継所L1000の第1積み下ろし場所L1000aと、時刻情報が1月6日の21:00の中継所L1000の第3積み下ろし場所L1000cと、時刻情報が1月7日の9:00の中継所L3000の第1積み下ろし場所L3000aと、が該当している。
【0171】
ここでは、トラックなどの運搬手段に搭載されている車両用センサが収集する車両用センサ測定情報(すなわち移動環境情報を取得するための移動用センサ測定情報)を利用して取得した荷物環境情報と、プローブ荷物である荷物環境測定装置N100を用いて取得した荷物環境情報とに関して、同じ重み付けで、荷物事故発生の可能性を評価している例を示したが、車両用センサ測定情報を利用して取得した荷物環境情報と荷物環境測定装置N100を用いて取得した荷物環境情報との重み付けの値を異なるように設定するようにしても良い。例えば、車両用センサ測定情報を利用して取得した荷物環境情報と、荷物環境測定装置N100を用いて取得した荷物環境情報との、荷物事故発生の可能性を評価する信頼性の程度に応じて、重み付けの値を変更するようにしても良い。
【0172】
本第2の実施形態においては、以上のような動作を行うことにより、荷物の運搬径路上にある発着地や集配所や中継所等の積み下ろし場所のような固定した場所(荷物取扱施設)に限ることなく、荷物を運搬するトラックも対象にして、それぞれから取得した荷物環境情報に基づいて、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所を推定することを可能にしている。
【0173】
なお、本第2の実施形態においては、発着地、集配所、中継所等のそれぞれの荷物取扱施設間や、それぞれの荷物取扱施設内部の積み下ろし場所の間を移動する荷物の運搬手段として、トラックを用いる場合を示しているが、本発明は、かかるトラックのみに限るものではない。例えば、荷物を運搬することが可能な車両や電車や貨車等を利用しても良いし、あるいは、荷物取扱施設内の運搬手段として、ベルトコンベアやパレット(pallet:荷役台車)やフォークリストや自動運搬車等を利用しても良く、荷物を運搬することが可能な運搬手段であれば、如何なる手段を利用しても構わない。
【0174】
第2の実施形態として前述した場合とは異なり、荷物を運搬するトラックなどの運搬手段に積み込んだプローブ荷物においても、荷物環境測定装置N100として荷物環境情報を測定する動作を可能な状態に設定している場合には、荷物事故管理装置N200は、トラックに搭載した通信部を利用して取得した荷物環境情報(すなわち、車両用センサを用いて測定したセンサ測定情報を含む情報)とは別に、トラックなどの運搬手段内の環境状況をプローブ荷物からの荷物環境情報として取得することができる。かかる場合には、トラックなどの運搬手段に積み込まれたプローブ荷物が測定するセンサ測定情報(温度、湿度、加速度、音、圧力、位置などの荷物の環境に関する情報)とともに、該運搬手段それぞれが固有に搭載している各種の車両用センサが測定するセンサ測定情報(例えば、加速度、ABS(Anti-lock Brake System)の作動状況、ウィンカ、ステアリング角度、マイクによる集音情報、位置、カメラやレーダによる取得情報、走行/停止、積載量、タイヤの空気圧、車速、温度、湿度、などの各種情報)も利用して、荷物事故発生の可能性がある場所(箇所)をさらに細かく推定することも可能である。
【0175】
なお、車両用センサにより測定した荷物環境情報の異常を検出した場合には、車両用センサと荷物事故発生の荷物との間の距離や存在する空間が同じか否かなどの情報に応じて、重み付けを行うようにしても良い。そして、例えば、異常な状態を示す異常ありのセンサ測定情報の場合には、重み付けを行った結果として該荷物との間の距離が短いほど、または、距離が或る程度長くても同一空間であった場合には、荷物事故発生の可能性を高くするようにし、該荷物との間の距離が長いほど、または、距離が短くても異なる空間であった場合には、荷物事故発生の可能性を低くするように重み付けすることが望ましい。
【0176】
同様に、トラックなどの移動手段に積み込まれたプローブ荷物が測定する荷物環境情報を用いて荷物事故の発生の可能性を推定しようとする際にも、センサと荷物事故発生の荷物との間の距離や存在する空間が同じか否かなどの情報に応じて、重み付けを行うようにしても良い。
【0177】
センサと荷物事故が発生した荷物とが同じ空間に積み込まれていたか否かの情報に応じて、該プローブ荷物が測定する荷物環境情報に対して重み付けを行う場合として、例えば、荷物事故が発生した荷物とプローブ荷物との双方が、同じトラックに積み込まれたか否か、同じ電車や貨車に積み込まれたか否か、同じパレット(pallet:荷役台車)やフォークリフトに搭載されて運ばれたか否か、同じベルトコンベア上の近傍の位置に乗せられて運ばれたか否か、または、同じカゴ台車に積み込まれて運ばれたか否か、あるいは、違うトラックやカゴ台車に積み込まれたが、互いに隣接または近接する状態で同じ運搬径路を移動したか否か、同じ場所に積み下ろされたか否か、などの情報に応じて、該プローブ荷物が測定する荷物環境情報に対して重み付けを行うようにする。
【0178】
言い換えると、荷物事故が発生した荷物とプローブ荷物とが存在した位置関係として、互いの間の距離を算出し、算出した該距離に応じて、荷物環境情報の異常あり、異常なしの発生回数の合計値に対して重み付けを行うようにしても良い。そして、算出した該距離が短いほど、荷物環境情報の異常あり、異常なしの発生回数の合計値が大きくなるように、逆に、算出した該距離が短いほど、荷物環境情報の異常あり、異常なしの発生回数の合計値が小さくなるように、荷物環境情報の異常あり、異常なしの発生回数の合計値に対して重み付けするようにすれば良い。
【0179】
該荷物環境情報に対して重み付けを行った結果として、プローブ荷物により測定した荷物環境情報の異常を検出した場合には、空間が狭く、算出した荷物とプローブ荷物との間の距離が短いほど、荷物事故発生の可能性に対する信頼性がより高くなり、逆に、空間が広く、荷物とプローブ荷物との間の距離が長いほど、荷物事故発生の可能性に対する信頼性がより低くなるように設定することができる。
【0180】
(第2の実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本第2の実施形態においては、前述した第1の実施形態における効果に加えて、さらに、以下のような効果を奏することができる。
【0181】
第1の効果は、トラック等の運搬手段に搭載して運搬中の荷物に関する荷物事故発生の可能性を推定することができる点である。その理由は、トラック等の運搬手段は、積み込んだプローブ荷物を動作可能な状態に設定して、荷物の荷物環境情報を取得することが可能であるのみならず、該運搬手段が備えている一つ以上の車両用センサにより測定した各車両用センサ測定情報のうち、積み込んだ荷物の環境状況として利用することが可能な車両用センサ測定情報を荷物環境情報として取得することも可能であるからである。したがって、トラック等の運搬手段に積み込んだプローブ荷物や該運搬手段が備えている車両用センサから取得した荷物環境情報を活用して、運搬手段における荷物事故発生の可能性を推定することができる。
【0182】
第2の効果は、トラック等の運搬手段からの荷物の積み下ろし中や運搬手段への荷物の積み込み中における荷物事故発生の可能性を推定することができる点である。その理由は、第1の理由に記載した理由と同様に、トラック等の運搬手段には、積み込んだ荷物に関する荷物環境情報として、積み込んだプローブ荷物による荷物環境情報だけでなく、さらに、該運搬手段にあらかじめ設置されている速度・加速度やABS作動状況やステアリング角等のように積み込んだ荷物に関する環境情報としても利用することが可能な車両用センサ測定情報も活用することができるので、運搬手段からの荷物の積み下ろしや運搬手段への荷物の積み込みを行う場所が、荷物事故発生の可能性の高い場所であるか否かをより細かく評価することができるからである。
【0183】
(第3の実施形態の構成例)
次に、本発明に係る荷物事故発生可能性推定システムの第3の実施形態の構成例について、図面を参照して、詳細に説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態に係る荷物事故発生可能性推定システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図であり、荷物を運ぶ運搬径路上の各地点として、荷物の集配管理を行う集配所の構成例を一つの集配所だけを示している。しかし、第1の実施形態や第2の実施形態として
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100や
図10に示した荷物事故発生可能性推定システムS101の場合と同様、その他の集配所についても、また、物流ネットワークとして階層構造を有している場合には荷物の運搬中継を行う中継所、さらには、荷物の最初の搬入先や荷物の最終の運搬先となる発着地においても、
図13と同様の構成からなっている。
【0184】
第3の実施形態として
図13に示す荷物事故発生可能性推定システムS102においては、第2の実施形態として
図10に示した荷物事故発生可能性推定システムS101の場合に対して、集配所L1100内の第1積み下ろし場所L1100a、第2積み下ろし場所L1100b、…それぞれには、プローブ荷物として移動可能な第1荷物環境測定装置N101、第2荷物環境測定装置N102、…の他に、ハッチングを施して示すように、第1固定荷物環境測定装置N501、第2固定荷物環境測定装置N502、…それぞれをさらに追加して固定して設置している場合を示している。
【0185】
なお、第3の実施形態として
図13に示す荷物事故発生可能性推定システムS102は、第2の実施形態として
図10に示した荷物事故発生可能性推定システムS101ではなく、トラックT0001、トラックT0002、…それぞれに通信部T101、通信部T102、…を有していない第1の実施形態として
図1に示した荷物事故発生可能性推定システムS100の場合に対して、集配所L1100内の第1積み下ろし場所L1100a、第2積み下ろし場所L1100b、…それぞれに固定設置された第1固定荷物環境測定装置N501、第2固定荷物環境測定装置N502、…それぞれをさらに追加して設置するようにしても構わない。
【0186】
第1固定荷物環境測定装置N501、第2固定荷物環境測定装置N502、…の内部は、
図14の固定荷物環境測定装置N500に例示するように、いずれも同一のブロック構成から構成されている。以下の説明においては、第1固定荷物環境測定装置N501、第2固定荷物環境測定装置N502、…を区別して説明を行う必要がない場合には、固定荷物環境測定装置N500として説明することにする。
図14は、
図13に示した荷物事故発生可能性推定システムS102を構成する固定荷物環境測定装置N500の内部構成の一例を示すブロック構成図であり、
図13に示した第1固定荷物環境測定装置N501、第2固定荷物環境測定装置N502、…それぞれの内部構成の一例を示している。
【0187】
図14に示すように、固定荷物環境測定装置N500は、内部に、センサ部N510、通信部N530、情報収集部N590を有して構成され、固定設置された第1積み下ろし場所L1100a、第2積み下ろし場所L1100b、…それぞれの環境状況を収集して、荷物環境追加情報として、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200に対して送信する機能を有している。なお、固定荷物環境測定装置N500は、
図13の第1荷物環境測定装置N101、第2荷物環境測定装置N102内に存在するプローブ荷物として移動性を有する荷物環境測定装置N100とは異なり、センサ測定情報を記憶するための記憶部や時刻情報を取得するための時刻取得部は内部に有していない構成としている。
【0188】
図14において、センサ部N510は、カメラ、マイク、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging:レーザ画像処理検知測距装置)、温湿度センサなどの一つ以上のセンシング機能を有して構成されていて、積み下ろし場所における荷物の積み下ろし状況や荷物が置かれている状況を、プローブ荷物の荷物環境測定装置N100により測定した荷物環境情報を補強するための情報の一つとして測定する。センサ部N110が測定する情報としては、例えば、カメラやLIDARを用いて取得した荷物の状態や荷物の積み下ろし状況を示す情報、マイクを用いて取得した荷物の積み下ろし時の空気の振動等の情報、温湿度センサを用いて測定した荷物の積み下ろし場所における温度や湿度などに関する情報である。
【0189】
通信部N530は、情報収集部N590からの指示に従って、センサ部N510が測定した測定情報を、荷物環境追加情報として、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200やTMS装置N300に対して送信する。なお、通信部N530の通信手段としては、
図2に示した荷物環境測定装置N100の通信部N130と同様、如何なる技術を用いて実施しても良く、例えば、有線信号を用いる有線LAN、無線電波を用いる無線LANやLTE/5Gなどの既存技術であっても構わない。
【0190】
情報収集部N590は、センサ部N510に対して測定すべきセンサ測定情報を指示して、指示したセンサ測定情報を測定した結果をセンサ部N510から測定情報として読み出すと、通信部N530に対して、読み出した測定情報を、荷物環境追加情報として、インターネットN400上の荷物事故管理装置N200やTMS装置N300に対して送信することを指示する。
【0191】
なお、該荷物環境追加情報は、送信先の荷物事故管理装置N200やTMS装置N300において、同じ場所に存在している荷物環境測定装置N100が送信した荷物環境情報をさらに補強するための追加情報となる情報である。つまり、該荷物環境追加情報は、荷物の積み込みや積み下ろしを行う各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)の荷物積み下ろし場所における荷物環境情報をさらに補強する情報である。さらに説明すると、該荷物環境追加情報は、前述したように、例えば、荷物積み下ろし場所に固定して設置しているカメラやLIDARを用いて取得した荷物の状態や荷物の積み下ろし状況、固定設置したマイクを用いて取得した荷物の積み下ろし時の空気の振動等、固定設置した温湿度センサを用いて測定した荷物の積み下ろし場所における温度や湿度などに関する情報である。
【0192】
(第3の実施形態の動作例の説明)
次に、第3の実施形態として
図13に示した荷物事故発生可能性推定システムS102の動作の一例として、一つ以上の荷物環境測定装置N100やトラック上の車両用センサと固定荷物環境測定装置N500とのそれぞれを用いて、荷物の運搬経路上の各荷物環境情報と各荷物環境追加情報とを取得して、どのように、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所を推定するかという点に関して、
図15に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0193】
図15は、第3の実施形態として
図13に示した荷物事故発生可能性推定システムS102において動作する
図3に示した荷物事故管理装置N200内の荷物事故発生場所推定部N290の動作の一例を説明するためのフローチャートである。ずなわち、
図15に示すフローチャートは、荷物事故管理装置N200内の荷物事故発生場所推定部N290において、荷物を運ぶ際の運搬径路上にある各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)における荷物環境情報に関して、該荷物と同じ運搬径路上をプローブ荷物として運ばれている
図7の荷物環境測定装置N100aから取得した荷物環境情報のみならず、各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)に固定設置されている一つ以上の
図14の固定荷物環境測定装置N500から取得した荷物環境追加情報も用いて、該荷物に関する荷物事故の発生の可能性がある場所を推定する動作の一例を示している。
【0194】
なお、
図15に示すフローチャートは、第2の実施形態として荷物を運搬するトラックにおける車両用センサ測定情報に基づく荷物環境情報も用いる動作例を示した
図11のフローチャートに対して、さらに、各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)に固定設置されている固定荷物環境測定装置N500から取得した荷物環境追加情報を追加して用いる場合を示している。しかし、本第3の実施形態においては、前述したように、第2の実施形態として示した
図11のフローチャートの代わりに、第1の実施形態としてトラックにおける荷物環境情報を利用していない場合を示した
図8のフローチャートに対して、さらに、各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)に固定設置されている固定荷物環境測定装置N500から取得した荷物環境追加情報を追加して用いるようにしても良い。
【0195】
図15のフローチャートにおいてハッチングを施したステップF307およびステップF308の処理以外は、すべて、第2の実施形態として
図11に示したフローチャートの各ステップと全く同様の処理を行うステップであり、
図11の場合と同じステップ番号(すなわちステップF100,F103,F106,F109,F211,F112,F115)を付して示し、ここでの重複する説明は割愛する。
【0196】
ここで、
図15においてハッチングを施したステップF307およびステップF308は、ステップF103の判定がNoの場合は、ステップF103とステップF109との間に挿入される。一方、ステップF103の判定がYesの場合は、ステップF106とステップF109との間に挿入された処理ステップであり、ステップF103の判定がYesの場合には、荷物事故が発生した荷物P100と同じ荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)内の積み下ろし場所に積み下ろされているプローブ荷物に関する異常あり、異常なしの合計値の計算処理が終了した後に起動される。
【0197】
図15のステップF307においては、荷物事故発生場所推定部N290は、まず、荷物事故が発生した荷物P100が積み下ろされた荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)内に、
図14に示した固定荷物環境測定装置N500が固定設置されているか否かを確認する(ステップF307)。荷物P100が積み下ろされた荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)内に固定荷物環境測定装置N500が固定設置されていた場合には(ステップF307のYes)、次のステップF308の処理に移行し、が固定設置されていなかった場合には(ステップF307のNo)、次のステップF308の処理を行うことなく、ステップF109の処理に移行する。
【0198】
荷物P100が積み下ろされた荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)内に固定荷物環境測定装置N500が固定設置されていた場合として(ステップF307のYes)、ステップF308に進むと、荷物事故発生場所推定部N290は、固定荷物環境測定装置N500から収集して記憶部N220に記憶している荷物環境追加情報のうち、荷物事故が発生した荷物P100が存在していた荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所)内に一つ以上固定設置されている固定荷物環境測定装置N500から収集した荷物環境追加情報(荷物P100が存在していた時間帯と同じ時間帯における荷物環境追加情報)それぞれを取り出して、取り出した荷物環境追加情報それぞれに異常の状態があるか否かを確認する。
【0199】
そして、荷物事故発生場所推定部N290は、確認した一つ以上の荷物環境追加情報の異常ありと異常なしとのそれぞれの合計値を計算して、計算した荷物環境追加情報の異常あり、異常なしの合計値を、
図16に例示するように、荷物事故発生の荷物P100に関する時刻情報、場所情報に関連付ける形式で、記憶部N220の物流径路登録テーブルT100の集計荷物事故情報T210の欄に追加登録した後(ステップF308)、次のステップF109の処理に移行する。
【0200】
図16は、
図12に示した集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT201に固定荷物環境測定装置N500における荷物環境追加情報の異常の有無発生に関する情報をさらに追加して格納した集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT202の一例を示す。
【0201】
なお、
図16の集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT202において、集計荷物事故情報T210の欄には、固定荷物環境測定装置N500が固定設置されている荷物取扱施設(集配所、中継所)の場合に関しては、異常あり、異常なしの合計値を(X,Y)の形式で表示している。ここで、Xは、各荷物取扱施設にプローブ荷物として存在している荷物環境測定装置N100から取得した荷物環境情報に関する異常あり、異常なしの合計値を示し、Yは、各荷物取扱施設に固定設置した固定荷物環境測定装置N500から取得した荷物環境追加情報に関する異常あり、異常なしの合計値を示している。
【0202】
図15に示したフローチャートにおいては、以上のような動作を、第2の実施形態における
図11のフローチャートの場合と同様、荷物事故が発生した荷物P100の荷物事故を検知した場所である発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aから順次遡って該荷物P100に関する最初の搬入地点である発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aに至るまで繰り返す。
【0203】
ここで、
図16の登録例においては、トラックおよび荷物取扱施設の一つである発着地には、固定荷物環境測定装置N500が固定設置されていない場合を示していて、集計荷物事故情報T210の欄には、第1、第2の実施形態の場合と同様、プローブ荷物の荷物環境測定装置N100が測定した荷物環境情報に関する異常あり、異常なしの情報のみが登録されている。
【0204】
図16に示す集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT202の設定登録例において、例えば、1月6日の18:00から21:00までの時間帯において中継所L1000の第3積み下ろし場所L1000cに積み下ろされた荷物P100の環境状況に関し、プローブ荷物が測定した3個の荷物環境情報は、いずれも異常なしの状態であったが、一方、固定荷物環境測定装置N500が測定した4個の荷物環境追加情報のうち、1個が異常ありの状態になっていて、残りの3個が異常なしの状態になっている。
【0205】
したがって、
図16の集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT202に示すように、1月6日の18:00から21:00までの時間帯において中継所L1000の第3積み下ろし場所L1000cに積み下ろされた荷物P100に関し、集計荷物事故情報T210の欄には、「あり=(0,1)」、「なし=(3,3)」が設定登録され、荷物環境追加情報として1個の異常ありが登録されている。なお、1月6日の18:00から21:00までの時間帯以外のその他の固定荷物環境測定装置N500が測定した荷物環境追加情報に関しては、いずれも、異常ありの状態はなく、異常なしの状態が設定登録されている例を示している。
【0206】
また、
図16の集計荷物事故情報T210の登録例として、その他の異常ありの情報が登録されている場所は、1月8日の6:00から9:00までの運搬時間帯において集配所L3202の第2積み下ろし場所L3200bから発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aまでの運搬径路上のトラックeである。つまり、該トラックeにおける集計荷物事故情報T210は、「あり=1」、「なし=0」であり、プローブ荷物の荷物環境測定装置N100が測定した荷物環境情報として1個の異常ありの情報のみが登録されている。
【0207】
ここで、
図16の登録例においては、1月6日の18:00から21:00までの時間帯において中継所L1000の第3積み下ろし場所L1000cと、1月8日の6:00から9:00までのトラックeとは、いずれも、1回の「異常あり」を登録しているが、「異常なし」の回数に関しては、トラックeの場合は、0回であり、中継所L1000の第3積み下ろし場所L1000cの場合よりも圧倒的に少ない回数である。
【0208】
したがって、
図16に示す荷物事故情報付き物流径路登録テーブルT202の集計荷物事故情報T210の欄の登録例において、荷物事故発生の可能性が最も高い地点(場所)としては、時刻情報が1月8日の6:00から9:00までの運搬時間帯において集配所L3202の第2積み下ろし場所L3200bから発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aまでの運搬径路におけるトラックeが、該当している地点として評価されることになる。
【0209】
そして、荷物事故発生の可能性が次に高い地点(場所)としては、1月6日の18:00から21:00までの時間帯において中継所L1000の第3積み下ろし場所L1000cが、「あり=(0,1)」、「なし=(3,3)」と、1回の異常状態を登録しているが、異常なしの状態が荷物環境追加情報も含めて合計で6回登録しているので、該当していると評価されることになる。
【0210】
そして、荷物事故発生の可能性がその次に高い地点(場所)としては、「あり=(0,0)」または「あり=0」になっていて、異常状態が1回も登録されていない残りの各地点のうち、固定荷物環境測定装置N500からの荷物環境追加情報の登録がなく、異常なしの状態の回数が最も少ない「なし=1」の地点(トラックも含む)が該当している地点として評価される。つまり、荷物事故発生の可能性がその次に高い地点(場所)としては、時刻情報が1月8日の6:00から9:00までの運搬時間帯におけるトラックe以外のすべてのトラック(すなわち、1月5日のトラックa、1月6日のトラックA、1月7日のトラックBおよびトラックC)と、時刻情報が1月5日の6:00の発着地L1101の第1積み下ろし場所L1101aと、時刻情報が1月8日の12:00の発着地L3202の第1積み下ろし場所L3202aと、が該当している。
【0211】
そして、荷物事故発生の可能性がその次に高い地点(場所)としては、固定荷物環境測定装置N500からの荷物環境追加情報の登録があり、荷物環境情報、荷物環境追加情報時刻情報を合計した異常なしの状態の回数が次に少ない「なし=(1,2)」の地点該当している地点として評価される。つまり、荷物事故発生の可能性がその次に高い地点(場所)としては、1月8日の6:00の集配所L3200の第2積み下ろし場所L3200bが該当している。
【0212】
そして、荷物事故発生の可能性がその次に高い地点(場所)としては、荷物環境情報、荷物環境追加情報時刻情報を合計した異常なしの状態の回数が次に少ない「なし=(2,2)」の地点(場所)であり、時刻情報が1月5日の15:00の集配所L1100の第1積み下ろし場所L1100aと、時刻情報が1月8日の3:00の集配所L3200の第1積み下ろし場所L3200aと、が該当している。
【0213】
そして、荷物事故発生の可能性がその次に高い地点(場所)としては、荷物環境情報、荷物環境追加情報時刻情報を合計した異常なしの状態の回数が次に少ない「なし=(2,3)」または「なし=(3,2)」の地点(場所)であり、時刻情報が1月5日の21:00の集配所L1100の第3積み下ろし場所L1100cと、時刻情報が1月7日の12:00の中継所L3000の第3積み下ろし場所L3000cと、が該当している。
【0214】
さらに、荷物事故発生の可能性がその次に高い地点(場所)としては、荷物環境情報、荷物環境追加情報時刻情報を合計した異常なしの状態の回数が次に少ない「なし=(3,3)」の地点(場所)であり、時刻情報が1月7日の9:00の中継所L3000の第1積み下ろし場所L3000aが該当している。
【0215】
最後に、荷物事故発生の可能性が最も低い地点(場所)としては、荷物環境情報、荷物環境追加情報時刻情報を合計した異常なしの状態の回数が最も多い「なし=(3,4)」の地点(場所)であり、時刻情報が1月6日の6:00の中継所L1000の第1積み下ろし場所L1000aが該当している。
【0216】
ここで、プローブ荷物である荷物環境測定装置N100を用いて取得した荷物環境情報と、固定荷物環境測定装置N500を用いて取得した荷物環境追加情報とに関して、同じ重み付けで、荷物事故発生の可能性を評価している例を示したが、該荷物環境情報と該荷物環境追加情報との重み付けの値を異なるように設定しても良い。例えば、該荷物環境情報と該荷物環境追加情報との、荷物事故発生の可能性を評価する信頼性の程度に応じて、重み付けの値を変更するようにしても良い。
【0217】
本第3の実施形態においては、以上のような動作を行うことにより、荷物の運搬径路上にある荷物取扱施設(発着地や集配所や中継所など)の荷物積み下ろし場所に固定設置した固定荷物環境測定装置N500により、該荷物積み下ろし場所における環境状況を、荷物環境追加情報として取得して、取得した該荷物環境追加情報を荷物環境情報と併せて評価することにより、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所をより詳細に推定することを可能にしている。つまり、固定荷物環境測定装置N500は、荷物取扱施設の荷物積み下ろし場所に荷物の状況を把握するために固定して備えられた固定センサ(例えば、カメラ、マイク、温度、湿度、位置、など)により取得されるセンサ測定情報を、荷物環境追加情報として取得するものであり、プローブ荷物が測定した荷物環境情報のみを用いる場合に比して、荷物事故の発生場所をより細かく特定あるいは推定することを可能にしている。
【0218】
(第3の実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本第3の実施形態においては、前述した第1、第2の実施形態における効果に加えて、さらに、以下のような効果を奏することができる。
【0219】
荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性をより細かく推定することができる点である。その理由は、荷物の積み下ろし、積み込みを行う荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所など)の荷物積み下ろし場所に、該荷物積み下ろし場所の環境を取得するための固定センサを有する固定荷物環境測定装置N500を、プローブ荷物として運搬されてきた荷物環境測定装置N100の他に、さらに固定設置しているからである。つまり、固定荷物環境測定装置N500は、荷物環境測定装置N100(プローブ荷物)が測定した荷物環境情報をさらに補強することができるセンサ測定情報を荷物環境追加情報として出力するので、荷物事故発生の荷物が存在していたそれぞれの荷物積み下ろし場所が、荷物事故発生の可能性の高い場所であるか否かをより細かく評価することができるからである。
【0220】
(第4の実施形態の構成例)
次に、本発明に係る荷物事故発生可能性推定システムの第4の実施形態の構成を説明する。
図17は、第4の実施形態に係る荷物環境測定装置の一例を示すブロック構成図である。
【0221】
図17に示すように、第4の実施形態に係る荷物環境測定装置N100bは、第1の実施形態に係る荷物環境測定装置N100aと比べて、装置情報格納部N160を加えたものである。この例では、荷物環境測定装置N100bを第1の実施形態に加えた例を示すが、第2、第3の実施形態に加えてもよい。
【0222】
装置情報格納部N160は、荷物環境測定装置N100bの重量、形状、材質などのプローブ荷物の特徴を示す情報を格納する。装置情報格納部N160は、通信部N130を通して、荷物環境測定装置N100bの重量、形状、材質などの情報(装置情報と称する)を荷物事故管理装置N200に送信する。装置情報格納部N160が装置情報を格納する方法は、センサ部N110で重量、形状等を測定した結果を格納してもよい。また、装置情報格納部N160が装置情報を格納する方法は、事前に測定した荷物環境測定装置N100bの重量、形状、材質などを固定的に格納してもよい。
【0223】
装置情報格納部N160に重量、形状、材質などの装置情報を格納することを示したがこれには限定されない。荷物事故管理装置N200で各プローブ荷物の重量、形状、材質などの装置情報を一元管理してもよい。また、重量、形状、材質などの装置情報が含まれているラベルをプローブ荷物に貼っておき、バーコードやRFIDやカメラなどで読み取ることでプローブ荷物と装置情報を紐づけてもよい。また、ヤードに設置されているLIDAR、カメラ、重量センサなどで外部からプローブ荷物の重量、形状、材質などの装置情報を測定してもよい。
【0224】
このようにすることで、重量、形状、材質が異なるプローブ荷物を複数運用した時に重量、形状、材質の違いによる荷物事故発生の傾向を知ることができる。例えば、所定の積み下ろし場において、重量が5キログラム(kg)以上、形状が直方体、材質が金属であるプローブ荷物から異常ありの数が多く検出された場合、所定の積み下ろし場ではパソコンや家電といった重量のある精密機器に荷物事故が発生する傾向があることが分かる。
【0225】
(第4の実施形態の動作例の説明)
次に第4の実施形態に係る荷物環境測定装置の動作について詳細に説明する。
18は、第4の実施形態に係る荷物事故管理装置内の荷物事故発生場所推定部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0226】
図18に示すように、第4の実施形態に係る動作は、第1の実施形態に係る動作(
図8に示す)に、装置情報格納部N160から集められた、荷物事故管理装置N200内の記憶部N220からの荷物環境測定情報を取り出すステップF406、および事故発生可能性の評価方法において装置情報格納部N160から得た情報を用いて判定を行うステップF415を追加したものである。
【0227】
ステップF406の処理において、荷物環境測定装置N100bは、プローブ荷物が検出した異常あり/異常なしの合計を計算して、時刻、場所、プローブ荷物の形状、重量、材質とともに記憶する。また、ステップF415の処理において、荷物環境測定装置N100bは、記憶したプローブ荷物の形状、重量、材質が事故発生荷物の同情報に近いプローブ荷物のうち、記録した「異常あり」の割合が多いかまたは記憶した「異常なし」の合計が少ない地点を事故発生可能性が高い場所と算出する。
【0228】
ステップF415の事故発生荷物の重量、形状、材質に近いプローブ荷物を検索する方法は、例えば、重量であれば用意したプローブ荷物の中で事故発生荷物の重量に最も近いプローブ荷物を選択すればよい。選択する際に、候補が複数存在している場合、形状、材質がより事故発生荷物に近いかどうかで判断すればよい。
【0229】
ステップF415の方法は、例えば、形状であれば体積が最も近いプローブ荷物で判断してもよく、または、事故発生荷物の画像からAIなどを使って近似の形状のプローブ荷物を検索してもよい。
【0230】
ステップF415の方法は、例えば、材質であれば事故発生荷物の商品情報から明確な材質(金属、プラスチックなど)が分かればその材質を検索して該当するプローブ荷物を選択してもよく、または、商品情報から明確な材質が分からない(複数の材質で構成されている)場合は、荷物のラベルに記載してある情報(われもの、精密機器など)をプローブ荷物に紐づけさせ、事故発生荷物のラベル情報に一致するプローブ荷物を選択してもよい。
【0231】
また、重量、材質、形状の情報のうち少なくとも1つの情報で事故発生荷物と近いプローブ荷物を判断してもよいし、前記情報を総合的に判断し、必要であれば重み付け(例えば事故発生荷物の重量を重視するのであれば、材質、形状よりも重量の比重を高くするような判定)を行ってもよい。
【0232】
この例では、第1の実施形態に係る荷物環境測定装置N100aに装置情報格納部N160を加えた例を示したがこれには限定されない。第2、第3の実施形態において、装置情報格納部N160を加えても同様である。第2の実施形態例の場合は、
図11に示すフローチャートにステップF406及びステップF415を追加すればよい。また、第3の実施形態の場合は、
図15に示すフローチャートにステップF406及びステップF415を追加すればよい。
【0233】
図19は、第4の実施形態に係る物流径路登録テーブルの一例を示すテーブルである。
図19は、
図18に示すフローチャートに従って処理を進めた結果を示す。
図19では、プローブ荷物の重量、形状、材質で分類した種別番号を(X)のように表現する。
図20は、種別番号と重量、形状、材質の対応関係を例示する図である。
【0234】
図19に示すように、集配所L1100aにおいては、プローブ荷物からの異常なしの合計値は1、異常ありの合計値は1である。異常ありのプローブ荷物のうち、種別1の合計値は1、種別2の合計値は0、種別3の合計値は0である。また、中継所L1000cにおいては、プローブ荷物からの異常なしの合計値は3、異常ありの合計値は2である。異常ありのプローブ荷物のうち、種別1の合計値は2、種別2の合計値は0、種別3の合計値は0ある。
【0235】
荷物事故対象である荷物P100の重量・材質・形状が種別1に近い(例えばデスクトップPC(Personal Computer)のような大型の精密機器)場合、異常ありを検出したプローブ荷物のうち種別1の割合が最も多い地点が荷物事故発生の可能性が高い。
【0236】
その結果、荷物事故の発生可能性が最も高いのは、1月6日の21:00の中継所L1000cである。次に荷物事故の発生可能性が高いのは、1月5日の15:00の集配所L1100aである。
【0237】
このように、荷物事故が発生した荷物の特徴から類似したプローブ荷物の情報を優先的に考慮することによって、荷物事故発生可能性の精度を高めることができる。また、重量、形状、材質が異なるプローブ荷物を複数流通させることによって、荷物事故が発生しやすい荷物の傾向を知ることができる。
【0238】
ここで、第4の実施形態の特徴を記載する。
荷物環境測定装置N100bは、荷物環境測定装置N100bの重量、形状、及び材質のうちの少なくとも1つを装置情報として荷物事故管理装置N200に送信する。
荷物事故管理装置N200は、荷物事故が発生した荷物が運搬経路上を運搬されて荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ荷物取扱施設内にプローブ荷物として存在している一つ以上の荷物環境測定装置N100bそれぞれから受信したプローブ荷物の装置情報のうち、荷物事故が発生した荷物の装置情報と同じプローブ荷物の装置情報を選択する。
荷物事故管理装置N200は、センサ測定情報、時刻情報および場所情報に代えて、センサ測定情報、荷物事故が発生した荷物が存在していた荷物取扱施設内の時刻情報、場所情報および選択したプローブ荷物の装置情報に基づいて、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する。
【0239】
(付記)
以上に詳細に説明したように、本発明に係る荷物事故発生可能性推定システムにおいては、以下に示すような主要な特徴を有している。
【0240】
つまり、本発明においては、運搬対象とする荷物の積み込み、積み下ろしを行う各荷物取扱施設(発着地、集配所、中継所など)における各荷物の環境状況を荷物環境情報として収集して、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性がある場所を推定する機能を有する荷物事故管理装置N200を備えて構成される荷物事故発生可能性推定システムであって、あらかじめ定めた移動スケジュールとして定めた時間情報、場所情報にしたがって各荷物取扱施設の間を通常の荷物と同じ運搬手段(例えばトラックなど)に積み込まれて通常の荷物と同じ運搬径路上を、プローブ荷物として、運搬されて、各荷物取扱施設に到着する都度、積み下ろし、積み込みを繰り返す一つ以上の荷物環境測定装置N100を有していることを基本としている。
【0241】
そして、各荷物環境測定装置N100は、内部に、プローブ荷物として荷物取扱施設内に積み下ろされる都度、一つ以上のセンサにより該荷物取扱施設内の環境状況を示す情報を測定してセンサ測定情報(例えば、温度、湿度、加速度、音、圧力、位置などの荷物の環境に関するセンサ測定情報)として取得する測定手段であるセンサ部N110と、取得した該センサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、荷物環境情報として、荷物事故管理装置N200に送信する送信手段である通信部N130と、を少なくとも有して構成される。
【0242】
一方、荷物事故管理装置N200は、内部に、各荷物環境測定装置N100それぞれから送信されてくる前記荷物環境情報を受信する受信手段である通信部N210と、受信した前記荷物環境情報のうち、荷物事故が発生した荷物が運搬経路上を運搬されて荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ荷物取扱施設内にプローブ荷物として存在している一つ以上の荷物環境測定装置N100それぞれから受信した前記荷物環境情報を、荷物事故が発生した荷物が存在していた荷物取扱施設内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する記憶手段である記憶部N220と、該記憶部N220により記憶された前記荷物環境情報に含まれているセンサ測定情報、時刻情報、場所情報に基づいて、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する推定手段である荷物事故発生場所推定部N290と、を少なくとも有して構成される。
【0243】
また、運搬対象の荷物と前記プローブ荷物とを積み込んで運搬する運搬手段(例えばトラックなど)に関しても、荷物事故の発生の可能性があるか否かを推定することも可能である。例えば、運搬対象の荷物と前記プローブ荷物とを積み込んで運搬する運搬手段(例えばトラックなど)それぞれに関しては、それぞれの運搬手段に搭載されている一つ以上の車両用センサそれぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報(例えば、走行状態、停止状態、車速、加速度、ABSの作動状況、ウィンカ、ステアリング角、車載マイクの集音情報、タイヤの空気圧などの情報)を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、積み込んだ荷物に関する前記荷物環境情報として、荷物事故管理装置N200に送信する車両用送信手段である通信部を有するように構成する。
【0244】
そして、荷物事故管理装置N200は、受信手段の通信部N210において、各運搬手段(トラックなど)それぞれの車両用送信手段(すなわち通信部)から送信されてくる前記荷物環境情報、および、該運搬手段(トラックなど)に積み込まれた前記プローブ荷物が荷物環境測定装置N100として動作可能な状態にあった場合には該荷物環境測定装置N100から送信されてくる前記荷物環境情報、を受信すると、記憶部N220において、次のような処理を行う。
【0245】
各運搬手段から受信した前記荷物環境情報のうち、荷物事故が発生した荷物が積み込まれた運搬手段と同じ運搬手段から受信した前記荷物環境情報を、荷物事故が発生した荷物が存在している運搬手段(トラックなど)の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する。
【0246】
しかる後、推定手段である荷物事故発生場所推定部N290において、記憶部N220により記憶された前記荷物環境情報に含まれているセンサ測定情報、時刻情報、場所情報に基づいて、荷物取扱施設と運搬手段とを含む形で、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する。
【0247】
また、荷物取扱施設内に、積み下ろされた荷物の状況を監視し測定するためのセンサ部N510として一つ以上の固定センサを有する固定荷物環境測定装置N500が固定設置されていた場合には、荷物環境情報を補強する情報をさらに追加して、荷物事故発生の可能性についてさらにきめ細かく推定することもできる。例えば、該固定荷物環境測定装置N500は、内部に、一つ以上の固定センサそれぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、積み下ろされた荷物に関する前記荷物環境情報を補強するための荷物環境追加情報として、荷物事故管理装置N200に送信する固定用送信手段である通信部N530を有して構成される。
【0248】
そして、荷物事故管理装置N200は、受信手段である通信部N210において、各固定荷物環境測定装置N500それぞれの固定用送信手段の通信部N530から送信されてくる前記荷物環境追加情報を受信すると、記憶部N220において、次のような処理を行う。
【0249】
各固定荷物環境測定装置N500から受信した前記荷物環境追加情報のうち、荷物事故が発生した荷物が荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ荷物取扱施設内に固定設置されている一つ以上の固定荷物環境測定装置N500それぞれから受信した前記荷物環境追加情報を、前記荷物環境情報とともに、荷物事故が発生した荷物が存在していた荷物取扱施設内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する。
【0250】
しかる後、推定手段である荷物事故発生場所推定部N290において、記憶部N220により記憶された前記荷物環境情報と前記荷物環境追加情報とに含まれているセンサ測定情報、時刻情報、場所情報に基づいて、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する。
【0251】
また、荷物事故発生の可能性がある場所を推定する処理を実行し易くするために、センサ測定情報を数値化して扱うことも可能にしている。
【0252】
例えば、荷物環境測定装置N100は、測定手段としてセンサ部N110の他に
図7に示したように異常判断部N150を有していて、該測定手段の異常判断部N150において、取得した一つ以上のセンサ測定情報のいずれか一つでも異常な状態になっていた場合、異常ありを検知した旨を示す情報とし、すべてのセンサ測定情報が正常な状態であった場合には、異常なしを検知した旨を示す情報として、異常あり、異常なしの二つのいずれであるかを示す情報に数値化したセンサ測定情報に変換するか、または、取得した一つ以上のセンサ測定情報のそれぞれを、異常ありを検知した場合と異常なしを検知した場合との二つに分けて、異常ありの個数と異常なしの個数とに数値化したセンサ測定情報に変換する。
【0253】
そして、送信手段の通信部N130において、測定手段の異常判断部N150にて数値化したセンサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境情報として、荷物事故管理装置N200に送信する。
【0254】
さらに、運搬手段(例えばトラックなど)が車両用送信手段である通信部から前記荷物環境情報を送信する場合には、同様に、次のように、前記荷物環境情報に含まれるセンサ測定情報の数値化を行う。例えば、該運搬手段は、車両用センサそれぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報のいずれか一つでも異常な状態になっていた場合、異常ありを検知した旨を示す情報とし、すべてのセンサ測定情報が正常な状態であった場合には、異常なしを検知した旨を示す情報とし、異常あり、異常なしの二つのいずれであるかを示す情報に数値化したセンサ測定情報に変換するか、または、車両用センサそれぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報のそれぞれを、異常ありを検知した場合と異常なしを検知した場合との二つに分けて、異常ありの個数と異常なしの個数とに数値化したセンサ測定情報に変換する。そして、数値化したセンサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境情報として、荷物事故管理装置N200に送信する。
【0255】
さらに、固定荷物環境測定装置N500が固定用送信手段である通信部N530から前記荷物環境追加情報を送信する場合には、同様に、次のように、前記荷物環境追加情報に含まれるセンサ測定情報の数値化を行う。
【0256】
例えば、固定荷物環境測定装置N500は、固定センサであるセンサ部N510と異常判断部(
図14には図示していない)とにおいて、固定センサのセンサ部N510それぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報のいずれか一つでも異常な状態になっていた場合、異常ありを検知した旨を示す情報とし、すべての前記センサ測定情報が正常な状態であった場合には、異常なしを検知した旨を示す情報とし、異常あり、異常なしの二つのいずれであるかを示す情報に数値化したセンサ測定情報に変換するか、または、固定センサのセンサ部N510それぞれが測定した一つ以上のセンサ測定情報のそれぞれを、異常ありを検知した場合と異常なしを検知した場合との二つに分けて、異常ありの個数と異常なしの個数とに数値化したセンサ測定情報に変換する。
【0257】
そして、固定用送信手段である通信部N530において、数値化したセンサ測定情報を、測定した時刻を示す時刻情報と測定した場所を示す場所情報とともに、前記荷物環境追加情報として、荷物事故管理装置N200に送信する。
【0258】
一方、荷物事故管理装置N200は、数値化したセンサ測定情報を含む前記荷物環境情報または前記荷物環境追加情報を受信すると、次のように処理する。
【0259】
例えば、一つ以上の荷物環境測定装置N100や運搬手段(例えばトラックなど)それぞれから受信した前記荷物環境情報あるいは一つ以上の固定荷物環境測定装置N500それぞれから受信した前記荷物環境追加情報を受信すると、記憶部N220において、一つ以上の荷物環境測定装置N100や運搬手段それぞれから受信した前記荷物環境情報あるいは一つ以上の固定荷物環境測定装置N500それぞれから受信した荷物環境追加情報のうち、荷物事故が発生した荷物が存在している時間帯と場所とが同じ荷物取扱施設内または運搬手段内にプローブ荷物として存在している一つ以上の荷物環境測定装置N100または該運搬手段の車両用送信手段である通信部それぞれから受信した前記荷物環境情報を、まず、抽出する。
【0260】
そして、抽出した前記荷物環境情報それぞれに含まれている数値化したセンサ測定情報の値のそれぞれを合計した合計値に数値化したセンサ測定情報を含む前記荷物環境情報として、荷物事故が発生した荷物が存在していた前記荷物取扱施設内または前記運搬手段内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する。あるいは、荷物事故が発生した荷物が存在している時間帯と場所とが同じ荷物取扱施設内に固定設置された一つ以上の固定荷物環境測定装置N500それぞれから受信した前記荷物環境追加情報に含まれている数値化した前記センサ測定情報の値のそれぞれを合計した合計値に数値化したセンサ測定情報を含む前記荷物環境追加情報として、荷物事故が発生した荷物が存在していた荷物取扱施設内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する。
【0261】
しかる後、推定手段である荷物事故発生場所推定部N290において、記憶部N220により記憶された前記荷物環境情報に含まれている数値化したセンサ測定情報あるいは前記荷物環境情報と前記荷物環境追加情報と双方に含まれている数値化した前記センサ測定情報、および、それぞれの時刻情報、場所情報に基づいて、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する。
【0262】
また、荷物事故発生の可能性がある場所を推定する処理を実行し易くするために、センサ測定情報を数値化して扱う他の場合として、荷物事故管理装置N200において、該センサ測定情報の数値化に関する処理を一括して行うことも可能である。
【0263】
例えば、荷物事故管理装置N200は、記憶部N220において、荷物事故が発生した荷物が存在している時間帯と場所とが同じ荷物取扱施設内または運搬手段内にプローブ荷物として存在している一つ以上の荷物環境測定装置N100または該運搬手段の車両用送信手段である通信部それぞれから受信した荷物環境情報あるいは荷物事故が発生した荷物が存在している時間帯と場所とが同じ荷物取扱施設内に固定設置された一つ以上の固定荷物環境測定装置N500それぞれから受信した前記荷物環境追加情報に関し、以下のような処理を行う。
【0264】
荷物環境測定装置N100または運搬手段または固定荷物環境測定装置N500ごとに、受信した前記荷物環境情報または前記荷物環境追加情報に含まれている一つ以上の前記センサ測定情報のいずれか一つでも異常な状態になっていた場合、異常ありを検知した旨を示す情報とし、すべての前記センサ測定情報が正常な状態であった場合には、異常なしを検知した旨を示す情報として、異常あり、異常なしの二つのいずれであるかを示す情報に数値化したセンサ測定情報に変換するか、または、前記固定センサそれぞれが測定した一つ以上の前記センサ測定情報のそれぞれを、異常ありを検知した場合と異常なしを検知した場合との二つに分けて、異常ありの個数と異常なしの個数とに数値化したセンサ測定情報に変換する。
【0265】
しかる後、一つ以上の荷物環境測定装置N100や運搬手段それぞれから受信した前記荷物環境情報あるいは一つ以上の固定荷物環境測定装置N500それぞれから受信した前記荷物環境追加情報のうち、荷物事故が発生した荷物が存在している時間帯と場所とが同じ荷物取扱施設内または運搬手段内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の荷物環境測定装置N100または該運搬手段の車両用送信手段である通信部それぞれから受信した前記荷物環境情報に含まれている数値化したセンサ測定情報の値のそれぞれを合計した合計値に数値化したセンサ測定情報を含む前記荷物環境情報として、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた荷物取扱施設内または運搬手段内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する。
【0266】
あるいは、荷物事故が発生した荷物が存在している時間帯と場所とが同じ荷物取扱施設内に固定設置された一つ以上の固定荷物環境測定装置N500それぞれから受信した前記荷物環境追加情報に含まれている数値化したセンサ測定情報の値のそれぞれを合計した合計値に数値化したセンサ測定情報を含む前記荷物環境追加情報として、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内の時間帯と場所とを示す情報と関連付ける形式で記憶する。
【0267】
しかる後、推定手段である荷物事故発生場所推定部N290において、記憶部N220により記憶された前記荷物環境情報に含まれている数値化したセンサ測定情報あるいは前記荷物環境情報と前記荷物環境追加情報と双方に含まれている数値化したセンサ測定情報、および、それぞれの時刻情報、場所情報に基づいて、荷物事故が発生した荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する。
【0268】
また、荷物事故発生の可能性を推定する処理を容易化するために、センサ測定情報を数値化するに当たって、荷物事故が発生した荷物が存在している場所をより正確に特定することを可能にするために、センサ測定情報を重み付けしてより適切な値に数値化することも可能である。
【0269】
例えば、荷物事故管理装置N200または荷物環境測定装置N100または運搬手段(例えばトラックなど)あるいは固定荷物環境測定装置N500は、それぞれのセンサにより測定したセンサ測定情報を数値化したセンサ測定情報に変換する場合に、荷物事故が発生した荷物と荷物環境測定装置N100のセンサ(すなわちセンサ部N110内の一つ以上の各センサ)との間の位置関係または荷物事故が発生した荷物と運搬手段内の車両用センサとの間の位置関係あるいは荷物事故が発生した荷物と固定荷物環境測定装置N500の固定センサ(すなわちセンサ部N510内の一つ以上の各センサ)との間の位置関係を確認し、双方の間の位置関係に応じて、センサ測定情報の値のそれぞれを重み付けする。
【0270】
ここで、荷物事故が発生した荷物と荷物環境測定装置N100のセンサとの間の位置関係または荷物事故が発生した荷物と運搬手段内の車両用センサとの間の位置関係あるいは荷物事故が発生した荷物と固定荷物環境測定装置N500の固定センサとの間の位置関係として、それぞれにおいて互いが位置している間の距離および互いが同じ空間に存在しているか否かに応じて、センサ測定情報の値のそれぞれを重み付けするようにしても良い。
【0271】
あるいは、それぞれのセンサにより測定したセンサ測定情報を数値化したセンサ測定情報に変換する場合に、センサ測定情報のそれぞれを、該荷物の荷物事故発生の可能性に影響を及ぼすと想定される閾値としてそれぞれのセンサ測定情報を測定するセンサの種類ごとにあらかじめ定めたセンサ基準値と比較し、前記センサ基準値との差分に応じて、前記センサ測定情報の値のそれぞれを重み付けするようにしても良い。
【0272】
あるいは、荷物事故発生可能性推定システムの
各前記荷物環境測定装置は、
前記荷物環境測定装置の重量、形状、及び材質のうちの少なくとも1つを装置情報として前記荷物事故管理装置に送信し、
前記荷物事故管理装置は、
荷物事故が発生した前記荷物が運搬経路上を運搬されて前記荷物取扱施設内に存在していた時間帯と場所とが同じ前記荷物取扱施設内に前記プローブ荷物として存在している一つ以上の前記荷物環境測定装置それぞれから受信した前記プローブ荷物の前記装置情報のうち、荷物事故が発生した前記荷物の前記装置情報と同じ前記プローブ荷物の前記装置情報を選択し、
前記センサ測定情報、前記時刻情報および前記場所情報に代えて、前記センサ測定情報、荷物事故が発生した前記荷物が存在していた前記荷物取扱施設内の前記時刻情報、前記場所情報および選択した前記プローブ荷物の前記装置情報に基づいて、荷物事故が発生した前記荷物に関する荷物事故発生の可能性が高い場所であるか否かを推定する、
ことを特徴としてもよい。
【0273】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【0274】
この出願は、2020年1月27日に提出された特願2020-010651号に基づく優先権の利益に基づいており、その開示は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0275】
B101 バーコードリーダ
B102 バーコードリーダ
L1000 中継所
L1000a 第1積み下ろし場所
L1000c 第3積み下ろし場所
L1100 集配所
L1100a 第1積み下ろし場所
L1100b 第2積み下ろし場所
L1100c 第3積み下ろし場所
L1101 発着地
L1101a 第1積み下ろし場所
L1102 発着地、
L1102a 第1積み下ろし場所
L1200 集配所
L1201 発着地、
L1201a 第1積み下ろし場所
L1202 発着地、
L1202a 第1積み下ろし場所
L2000 中継所
L2100 集配所
L2101 発着地、
L2101a 第1積み下ろし場所
L2102 発着地、
L2102a 第1積み下ろし場所
L2200 集配所
L2201 発着地、
L3000 中継所
L3000a 第1積み下ろし場所
L3000b 第2積み下ろし場所
L3000c 第3積み下ろし場所
L3100 集配所
L3101 発着地、
L3101a 第1積み下ろし場所
L3200 集配所
L3200a 第1積み下ろし場所
L3200b 第2積み下ろし場所
L3201 発着地
L3201a 第1積み下ろし場所
L3202 発着地
L3202a 第1積み下ろし場所
L3202b 第2積み下ろし場所
N100 荷物環境測定装置
N100a 荷物環境測定装置
N100b 荷物環境測定装置
N101 第1荷物環境測定装置
N102 第2荷物環境測定装置
N110 センサ部
N120 記憶部
N130 通信部
N140 時刻取得部
N150 異常判断部
N160 装置情報格納部
N190 情報収集部
N200 荷物事故管理装置
N210 通信部
N220 記憶部
N230 情報収集部
N290 荷物事故発生場所推定部
N300 TMS装置
N400 インターネット
N500 固定荷物環境測定装置
N501 第1固定荷物環境測定装置
N502 第2固定荷物環境測定装置
P100 荷物
P101 荷物
P102 荷物
P103 荷物
P200 プローブ荷物
P201 プローブ荷物
P202 プローブ荷物
P203 プローブ荷物
P204 プローブ荷物
S100 荷物事故発生可能性推定システム
S101 荷物事故発生可能性推定システム
S102 荷物事故発生可能性推定システム
T0001 トラック
T0002 トラック
T100 物流径路登録テーブル
T101 通信部
T102 通信部
T200 集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブル
T201 集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブル
T202 集計荷物事故情報付き物流径路登録テーブル
T210 集計荷物事故情報