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特許7529272マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機
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  • 特許-マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機 図1
  • 特許-マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機 図2
  • 特許-マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機 図3
  • 特許-マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機 図4
  • 特許-マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機 図5
  • 特許-マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機 図6
  • 特許-マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機 図7
  • 特許-マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機 図8
  • 特許-マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機 図9
  • 特許-マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/06 20060101AFI20240730BHJP
   F03G 7/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F03D3/06 H
F03G7/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021036095
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136468
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2023-12-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515043772
【氏名又は名称】株式会社チャレナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(72)【発明者】
【氏名】清水 敦史
(72)【発明者】
【氏名】須澤 真一
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002757(WO,A1)
【文献】特表2013-543459(JP,A)
【文献】特開2020-016169(JP,A)
【文献】特開2005-256605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 3/06
F03G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持筐体と、
前記支持筐体に対して第1の回転軸を中心として回転可能な回転部と、
前記第1の回転軸を中心として公転可能であって、前記第1の回転軸に対して平行な第2の回転軸を中心として自転可能な複数の円筒翼と、
前記回転部に固定されることで前記第1の回転軸を中心として回転可能であって、前記第1の回転軸を中心とする円周上に前記円筒翼を支持する支持部と、
を備え、
前記円筒翼は、
筒状の円筒翼本体と、
前記円筒翼本体の上端に設置される上端固定部と、
前記円筒翼本体の下端に設置される下端固定部と、
前記上端固定部と前記下端固定部を連結する連結部と、
を有し、
前記連結部は、
前記円筒翼本体の内側で前記上端固定部と前記下端固定部を連結する連結部材と、
前記上端固定部に取り付けられ、前記連結部材に固着される上方保持部材と、
前記下端固定部に取り付けられ、前記連結部材に固着される下方保持部材と、
前記連結部材、前記上方保持部材、前記下方保持部材の周囲の少なくとも1つを囲む保護部材と、
を有する、
マグナス式推力発生装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記円筒翼本体の中心軸上に設置される連結部材を有する、
請求項1に記載のマグナス式推力発生装置。
【請求項3】
前記下端固定部は、
前記円筒翼本体の下端の内周に取り付けられる下端部材を有し、
前記連結部は、
前記下端部材に対して前記連結部材を保持する下方保持部材と、
前記下端部材に対して前記下方保持部材を位置決めする下方位置調節部材と、
を有する、
請求項1又は請求項2に記載のマグナス式推力発生装置。
【請求項4】
前記連結部材の周囲の少なくとも一部を囲む保護部材を有する、
請求項3に記載のマグナス式推力発生装置。
【請求項5】
前記下端固定部は、前記連結部材に対して張力をかけるための付勢部を有する、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のマグナス式推力発生装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のマグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置または潮力回転装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のマグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機または潮力発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中で回転する略円筒形状の円筒翼が発生するマグナス力を用いたマグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機などの流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流体中で回転する円筒翼が発生するマグナス力を利用する装置が知られている。例えば、特許文献1には、発電機軸を中心として回転するとともに円筒翼を軸支する支持部材と、支持部材上に垂設され、各個に独立して回転する複数の円筒翼とを備え、支持部材上に垂設される円筒翼が発電機軸を中心とする円周軌道上に配設される、マグナス式推力発生装置(縦軸式マグナス型風力発電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-121518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、円筒翼が破損した場合に円筒翼の飛散を防止することが可能なマグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決するものであって、本発明の一実施形態に係るマグナス式推力発生装置は、
支持筐体と、
前記支持筐体に対して第1の回転軸を中心として回転可能な回転部と、
前記第1の回転軸を中心として公転可能であって、前記第1の回転軸に対して平行な第2の回転軸を中心として自転可能な複数の円筒翼と、
前記回転部に固定されることで前記第1の回転軸を中心として回転可能であって、前記第1の回転軸を中心とする円周上に前記円筒翼を支持する支持部と、
を備え、
前記円筒翼は、
筒状の円筒翼本体と、
前記円筒翼本体の上端に設置される上端固定部と、
前記円筒翼本体の下端に設置される下端固定部と、
前記上端固定部と前記下端固定部を連結する連結部と、
を有し、
前記連結部は、
前記円筒翼本体の内側で前記上端固定部と前記下端固定部を連結する連結部材と、
前記上端固定部に取り付けられ、前記連結部材に固着される上方保持部材と、
前記下端固定部に取り付けられ、前記連結部材に固着される下方保持部材と、
前記連結部材、前記上方保持部材、前記下方保持部材の周囲の少なくとも1つを囲む保護部材と、
を有する。
【0006】
また、本発明の一実施形態に係る風力回転装置、水力回転装置または潮力回転装置は、前記マグナス式推力発生装置を用いたものである。
【0007】
また、本発明の一実施形態に係る風力発電機、水力発電機または潮力発電機は、前記マグナス式推力発生装置を用いたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態に係るマグナス式推力発生装置によれば、円筒翼の上端と下端を円筒翼本体の内側で連結する連結部材を有する。そのため、円筒翼が破損した場合であっても、円筒翼は連結部材によって上端又は下端に引っ掛かり、飛散することが防止される。これにより、円筒翼の破損時の周囲への影響を最小限に抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す分解正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の円筒翼4の一例を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示すV-V線断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る円筒翼4の一例を示す断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る円筒翼4の上端の一例を示す断面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る円筒翼4の下端の一例を示す断面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る円筒翼4の下端の一例を示す断面図である。
図10図9に対して連結部材431の張力を変更した状態の本発明の第2実施形態に係る円筒翼4の下端の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の具体的な実施形態を示す。実施形態はあくまで一例であり、この例に限定されるものではない。なお、以下の実施形態では、マグナス式推力発生装置の適用例の1つとして、マグナス式推力発生装置を用いた垂直軸型マグナス式風力発電機1について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す正面図である。図3は、本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す分解正面図である。図4は、本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す平面図である。図5は、本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示すV-V線断面図である。
【0012】
垂直軸型マグナス式風力発電機1は、設置面Sに対して設置される支持筐体2と、支持筐体2の内部に配置される発電機21及び増速機22と、増速機22を介して発電機21に連結されるとともに、設置面Sに対して垂直な第1の回転軸O1を中心として回転可能な回転部3と、第1の回転軸O1を中心として公転可能であって、第1の回転軸O1に対して平行な第2の回転軸O2を中心として自転可能な複数の円筒翼4と、複数の円筒翼4とともに各組を構成し、各組の円筒翼4の軸方向に沿って長手方向5Lが配置される複数の整流板5及び複数の遮蔽板7と、回転部3に固定されることで第1の回転軸O1を中心として回転可能であって、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の各組毎に、第1の回転軸O1を中心とする円周C1上に円筒翼4を支持するとともに、円筒翼4が公転するときの進行方向とは反対側に整流板5及び遮蔽板7を支持する支持部6とを備える。
【0013】
なお、本実施形態の説明において、「平行」とは、完全に平行な場合だけでなく、垂直軸型マグナス式風力発電機1の機能が損なわれない程度のずれを許容した略平行な場合も含む。同様に、「垂直」とは、完全に垂直な場合でだけでなく、垂直軸型マグナス式風力発電機1の機能が損なわれない程度のずれを許容した略垂直な場合も含む。また、本実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1は、図1に示すように、2つの円筒翼4と、2つの整流板5とを備え、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の組数は、2組であるものとして説明する。
【0014】
支持筐体2は、第1の回転軸O1と同軸状に配置される円筒状の筐体である。支持筐体2の上部には、その上部から回転部3の上部30を突設させるとともに、第1の回転軸O1が設置面Sに対して垂直となるように、回転部3を軸支する軸受ユニット20を備える。なお、支持筐体2は、トラス状の筐体としてもよい。
【0015】
回転部3は、軸受ユニット20に軸支される回転シャフト等で構成されており、軸受ユニット20の上面に対して突設された上部30の周壁部分に支持部6が固定される。
【0016】
発電機21は、増速機22を介して回転部3に連結されており、回転部3が回転する際の回転エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電するように構成されている。なお、発電機21は、増速機22を介さずに直接回転部3に連結してもよい。
【0017】
垂直軸型マグナス式風力発電機1の定格出力として、例えば、10kw程度を想定する場合には、円筒翼4の外寸は、長さ10m程度、直径1m程度であり、整流板5の外寸は、長さ10m程度、幅1.6m程度、厚さ0.5~3mm程度である。
【0018】
複数の円筒翼4は、支持部6により円周C1上に支持されることで、図5に示すように、第1の回転軸O1及び第2の回転軸O2に垂直な平面上において、複数の第2の回転軸O2は、円周C1上で所定の間隔(円筒翼支持間隔)を空けるようにして円周C1上に配置される。本実施形態では、2つの円筒翼4に対する2つの第2の回転軸O2は、第1の回転軸O1を挟んで対向するようにして円周C1上に配置される。
【0019】
円筒翼4は、円筒状に形成された円筒状の円筒翼本体40を備え、円筒翼本体40は、第2の回転軸O2と平行な円筒翼4の軸方向に対する両端部として、鉛直方向の上側に配置される上端部(一端部)40aと、鉛直方向の下側に配置される下端部(他端部)40bとを備える。また、円筒翼4は、上端部40a及び下端部40bにそれぞれ配置されて、円筒翼4の直径よりも大きな円板状の翼端板41と、第2の回転軸O2を中心として円筒翼4を時計回りR2に回転(自転)させる円筒翼モータ(回転駆動部)42と、円筒翼本体40に連結されて、上端部40a及び下端部40bにおいて第2の回転軸O2と同軸上にそれぞれ配置される上部回転伝達軸部(一端側回転伝達軸部)42a及び下部回転伝達軸部(他端側回転伝達軸部)42bとを備える。
【0020】
整流板5は、平板状に形成されており、整流板5の長手方向5Lに対する両端部として、上端部(一端部)50aと、下端部(他端部)50bとを備え、整流板5の幅方向5Wに対する両縁部として、円筒翼4側に配置されて円筒翼4に近い前端縁部50cと、前端縁部50cとは反対側に配置されて円筒翼4から遠い後端縁部50dとを備える。また、整流板5は、整流板5の板厚方向に対して垂直な表面として、第1の回転軸O1側に配置される内側表面50eと、内側表面50eとは反対側の外側表面50fとを備える。
【0021】
整流板5は、整流板5の後端縁部50dに、整流板5の上端部50a及び下端部50bに近づくにつれて整流板5の幅が狭くなるテーパ部53を備える。テーパ部53は、直線形状でもよいし、例えば、放物線を描くような曲線形状でもよいし、直線形状と曲線形状とを組み合わせたものでもよい。なお、本実施形態では、整流板5は、整流板5の両端部50a、50bに、同一の直線形状のテーパ部53をそれぞれ備えるが、整流板5は、整流板5の両端部50a、50bに、異なる形状のテーパ部53をそれぞれ備えていてもよいし、上端部50a及び下端部50bのいずれか一方にだけテーパ部53を備えていてもよい。
【0022】
遮蔽板7は、整流板5と同様に平板状に形成されており、遮蔽板7の長手方向は、整流板5の長手方向5Lと平行に配置される。遮蔽板7は、遮蔽板7の幅方向に対する両縁部として、整流板5側に配置される基端縁部70aと、基端縁部70aとは反対側の先端縁部70bとを備える。
【0023】
整流板5及び遮蔽板7は、支持部6により支持されることで、図5に示すように、第1の回転軸O1及び第2の回転軸O2に垂直な平面上において、円筒翼4の進行方向とは反対側に配置される。整流板5は、円筒翼4の進行方向とは反対側に伸びるように、前端縁部50c及び後端縁部50dが配置される。遮蔽板7は、整流板5の前端縁部50c側に配置されて、整流板5に対して第1の回転軸O1側(内側表面50e側)に立設するように支持される。このとき、円筒翼4と整流板5の前端縁部50cとの間には隙間が形成されるとともに、円筒翼4と遮蔽板7の先端縁部70bとの間には隙間が形成される。なお、整流板5及び遮蔽板7の具体的構成は後述する。
【0024】
支持部6は、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の各組毎に、第1の回転軸O1を中心とする円周C1上に円筒翼4を配置するように、軸方向に対する円筒翼4の両端部40a、40bを軸支するとともに、円筒翼4が第1の回転軸O1を中心として時計回りR1に公転するときの進行方向とは反対側に整流板5及び遮蔽板7を配置するように、整流板5及び遮蔽板7を支持する。
【0025】
支持部6が、円周C1上に円筒翼4を支持する態様としては、支持部6が、図5に示すように、円筒翼4の中心である第2の回転軸O2と円周C1とが重なった状態で円筒翼4を支持する場合だけでなく、第2の回転軸O2と円周C1との間には、垂直軸型マグナス式風力発電機1の機能が損なわれない程度のずれが許容されるものであり、支持部6が、例えば、円筒翼4の円形状の断面と円周C1とが重なった状態で円筒翼4を支持する場合も含む。なお、支持部6の具体的構成は後述する。
【0026】
垂直軸型マグナス式風力発電機1は、円筒翼モータ42により第2の回転軸O2を中心として円筒翼4を時計回りR2に回転(自転)させた状態において、所定の方向から風(空気流)を受けると、円筒翼4にマグナス力が発生する。そして、円筒翼4に発生したマグナス力は、第1の回転軸O1を中心として円筒翼4を時計回りR1に公転させる方向に作用する。
【0027】
このとき、整流板5は、風向に対して円筒翼4が存在する位置に応じて、マグナス力の大きさを制御する。具体的には、円筒翼4が、風上側に存在する場合には、整流板5は、風向と円筒翼4の自転方向とが逆方向になる領域(流れ減速側)に存在する。そのため、整流板5は、流れ減速側における風の流れを阻害することになるが、円筒翼4に発生するマグナス力を大きく低下させることにはならないため、マグナス力は、円筒翼4を公転させる回転力として作用する。
【0028】
一方、円筒翼4が、風下側に存在する場合には、整流板5は、風向と円筒翼4の自転方向とが一致する領域(流れ加速側)に存在する。そのため、整流板5は、流れ加速側における風の流れを阻害することにより、円筒翼4に発生するマグナス力を低下させるため、マグナス力が、円筒翼4を公転させる回転力を打ち消すように作用することを抑制する。
【0029】
以上のように、円筒翼4が、整流板5により円筒翼4に発生するマグナス力が制御された状態で時計回りR1に公転することにより、回転部3を時計回りに回転させて、回転部3に連結された発電機21で発電する。
【0030】
支持部6は、整流板5に対して第1の回転軸O1側に配置されて、長手方向5Lに対する整流板5の両端部50a、50b間に亘って整流板5の長手方向5Lに沿うように整流板5及び遮蔽板7を支持する整流板支持部61と、整流板支持部61の上端部(一端部)610aと回転部3とを連結する第1の連結アーム部62と、整流板支持部61の下端部(他端部)610bと回転部3とを連結する第2の連結アーム部63と、円筒翼4の上端部40a側を軸支するとともに、第1の連結アーム部62に連結される第1の円筒翼支持部(一端側支持部)64と、円筒翼4の下端部40b側を軸支するとともに、第2の連結アーム部63に連結される第2の円筒翼支持部(他端側支持部)65とを、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の各組毎(本実施形態では2組)に備える。
【0031】
整流板支持部61は、両端部50a、50b間に亘って整流板5の長手方向5Lに沿うように配置されて、整流板5を支持する整流板支持アーム部610と、整流板5の長手方向5Lに対して所定の間隔(補強間隔)で配置されるとともに、整流板5の幅方向5Wに対する整流板5の両縁部50c、50d間に亘って長手方向5Lに対して所定の角度(本実施形態では直角)を有するように配置されて、整流板5及び遮蔽板7を支持する複数の整流板補強部材611とを備える。
【0032】
第1の円筒翼支持部64は、円筒翼4の上端部40a側において円筒翼4の軸心を揺動可能な状態で軸支する揺動軸支構造部640と、第1の連結アーム部62の先端部620bと揺動軸支構造部640とを連結する第1の円筒翼支持アーム部641と、第1の連結アーム部62の屈曲部620cと揺動軸支構造部640とを連結する第2の円筒翼支持アーム部642とを備える。揺動軸支構造部640は、その内部に、円筒翼4の上端部40aに設けられた回転軸を軸支する第1の軸受(不図示)等を備える。
【0033】
第2の円筒翼支持部65は、円筒翼4の下端部40b側において円筒翼4の軸心を固定した状態で軸支するとともに、円筒翼モータ42を支持する固定軸支構造部650と、第2の連結アーム部63の先端部630bと固定軸支構造部650とを連結する第1の円筒翼支持アーム部651と、第2の連結アーム部63の屈曲部630cと固定軸支構造部650とを連結する第2の円筒翼支持アーム部652とを備える。固定軸支構造部650は、その内部に、円筒翼4の下端部40bに設けられた回転軸を軸支する第2の軸受(不図示)等を備えるとともに、円筒翼モータ42の回転駆動力が、その円筒翼4の回転軸に伝達されるように、円筒翼モータ42を支持する。
【0034】
また、支持部6は、整流板5の長手方向5Lに対する整流板支持アーム部610の中間部610cと、第1の連結アーム部62の回転部3側の固定端部620a及び第2の連結アーム部63の回転部3側の固定端部630aが隣接する隣接部661とを連結する第3の連結アーム部66を、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の各組毎(本実施形態では2組)にさらに備える。
【0035】
支持部6が備える各アーム部(整流板支持アーム部610、第1の連結アーム部62、第2の連結アーム部63、第1の円筒翼支持アーム部641、651、第2の円筒翼支持アーム部642、652、及び、第3の連結アーム部66)は、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、チタニウム、チタニウム合金等の金属材料や、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂等の樹脂材料を用いて、円形、楕円形、多角形等の任意の断面形状を有する管状部材、L型、H型、I型等の任意の断面形状を有する板状部材、又は、ワイヤー部材として形成されている。なお、支持部6が備える各アーム部は、各アーム部が配置される場所や各部が支持する荷重に応じて、各部の外形形状、断面形状、断面積、及び、材料等を変更するようにしてもよい。
【0036】
また、支持部6が備える各アーム部は、複数のアーム部が一体的に形成された複数の複合アーム部材により構成されており、各複合アーム部材間は、任意の接合方法(溶接、接着、ねじ固定、圧入、リベット、ピン結合、継手等)による接合部を介して接合される。
【0037】
本実施形態では、例えば、第1の連結アーム部62、第2の連結アーム部63、第1の円筒翼支持アーム部641、651及び第2の円筒翼支持アーム部642、652が一体的に形成されることで、第1の複合アーム部材60Aを構成する。また、整流板支持アーム部610及び第3の連結アーム部66が一体的に形成されることで、第2の複合アーム部材60Bを構成する。そして、第1の複合アーム部材60Aは、接合部600A、600Bを介して回転部3に接合される。第2の複合アーム部材60Bは、接合部601A~601Cを介して第1の複合アーム部材60Aに接合される。
【0038】
図6は、本発明の実施形態に係る円筒翼4の一例を示す断面図である。
【0039】
円筒翼4は、円筒状の円筒翼本体40と、円筒翼4の上端部40a及び下端部40bにそれぞれ配置されて、円筒翼4の直径よりも大きな円板状の翼端板41と、を備える。上端固定部45及び下端固定部46は、連結部43で連結される。また、円筒翼本体40は、補強部44で補強される。
【0040】
連結部43は、引っ張り強度が大きく、復元力に優れた材料の連結部材431を少なくとも含む。例えば、連結部材431の材料は、炭素鋼、高強度鋼、ステンレス等の金属材料、又は、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂、アラミド繊維等の樹脂材料等が使われる。特に、炭素繊維強化プラスチックは、軽量で好ましい。連結部材431は、円形、楕円形、多角形等の任意の断面形状を有する線状の部材であって、高強度の一本のワイヤでもよく、複数本の小径のワイヤを螺旋巻きにより合わせ、太い径のケーブル状に形成したものでよい。
【0041】
連結部材431は、円筒翼4の第2の回転軸O2上に設置されると好ましい。なお、連結部材431を厳密に第2の回転軸O2に重ねて設置することは困難なので、少しの誤差、例えば、連結部材431の直径程度の誤差であれば、第2の回転軸O2上に設置されているとみなしてよい。
【0042】
補強部44は、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、チタニウム、チタニウム合金等の金属材料や、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂等の樹脂材料が使用される。補強部44の断面は、L型、H型、I型、T型、Z型等の任意の形状が好ましい。
【0043】
補強部44は、円筒翼本体40に少なくとも1つ設置され、少なくとも1つは第2の回転軸O2方向で円筒翼本体40の中央に設置されることが好ましい。なお、補強部44を厳密に円筒翼本体40の中央に設置することは困難なので、例えば、円筒翼40の第2の回転軸O2方向の長さに対して10%程度の誤差であれば、第2の回転軸O2方向で円筒翼本体40の中央に設置されているとみなしてよい。
【0044】
本実施形態の補強部44は、円筒翼本体40の第2の回転軸O2方向で等間隔に3つ設置されているが、補強部44は3つに限らず、少なくとも1つ設置すればよい。なお、補強部44の少なくとも1つは第2の回転軸O2方向で円筒翼本体40の中央に設置されることが好ましい。円筒翼本体40は第2の回転軸O2方向の中央付近が最も径方向に座屈しやすいため、補強部44を円筒翼本体40の中央に設置することにより、円筒翼本体40の強度を高めることができる。さらに、補強部44を円筒翼本体40の中央に設置することにより、円筒翼4の共振周波数を大きくすることができるので、破損の原因となる異常振動が起こりにくくなる。したがって、補強部44の数は、奇数が好ましい。なお、補強部44を複数設置する場合、設置場所によって異なる形状にしてもよい。
【0045】
補強部44を設置することによって、円筒翼本体40の厚さを大きくすることなく、強度を高めることができる。また、複数の補強部44を設置することによって、円筒翼本体40の強度をより高めることができる。さらに、複数の補強部44を等間隔に設置することによって、円筒翼本体40の強度をより高めることができる。補強部44の設置により、円筒翼本体40の厚さが小さくても強度を高めることができる。したがって、円筒翼本体40の厚さを大きくして強度を高める場合よりも、円筒翼本体40の重量や慣性モーメントの増加を最小限にとどめながら強度を高めることができ、円筒翼4を円滑に回転させることができる。また、円筒翼4の共振周波数が大きくなることで、破損の原因となる異常振動が起こりにくくなる。補強部44を複数設置する場合には、奇数個でも偶数個でもよい。
【0046】
図7は、本発明の第1実施形態に係る円筒翼4の上端の一例を示す断面図である。
【0047】
連結部43は、上端固定部45に取り付けられる。第1実施形態の連結部43は、連結部材431と、連結部材431と一体化された上方保持部432と、を有する。上方保持部432は、連結部材431に固着される上方保持部材432aと、上端固定部45に対して上方保持部材432aを位置決めする上方位置調節部材432bと、を有する。
【0048】
第1実施形態の上端固定部45は、少なくとも上端部材451を有する。上端部材451は、円形状の上端基部451aと、上端基部451aよりも長径で環状の上端環状部451bと、上端基部451aと上端環状部451bを接続する上端接続部451cと、を含む。
【0049】
上端基部451aは、中心に上方が開放された上端凹状部451a1が形成され、上端凹状部451a1の底の中心に上端孔451a2が形成される。上端基部451aは、翼上端板41aとボルト、溶接、又は、接着剤もしくはそれらの組み合わせ等によって結合される。上端凹状部451a1の底の上端孔451a2には、連結部材431を保持する上方保持部材432aが貫通する。
【0050】
第1実施形態の上端環状部451bは、円筒翼本体40の内周に取り付けられる。第1実施形態では、上端環状部451bに対して円筒翼本体40を挟んで上端外周保持部材452を取り付け、上端環状部451b、円筒翼本体40、及び、上端外周保持部材452をボルト又はピン等によって固着している。なお、上端環状部451bを円筒翼本体40に取り付ける構造は、第1実施形態の構造に限らず、接着や溶接等の他の構造もしくはそれらの組み合わせでもよい。
【0051】
第1実施形態の上端接続部451cは、上端基部451aと上端環状部451bの間に、放射状に等角度で複数本取り付けられる。上端接続部451cは、翼上端板41aとボルト、溶接、又は、接着剤もしくはそれらの組み合わせ等によって結合される。このように、放射状に等角度で複数本取り付けることで、軽量且つ高強度の上端部材451を構成することができる。なお、上端接続部451cは、第1実施形態の構造に限らず、円形板状で上端基部451aの外周と上端環状部451bの内周の全面を覆うように形成してもよい。
【0052】
第1実施形態の上方保持部材432aは、金属製で外周の少なくとも一部がネジ状に形成される。第1実施形態の上方位置調節部材432bは、上方保持部材432aのネジ状部分に螺合されるナットである。上方位置調節部材432bは、上端凹状部451a1内に配置され、連結部材431の張力によって、上端凹状部451a1に接触する。したがって、上方位置調節部材432bを回転させると、上方保持部材432aが上方又は下方に移動し、連結部材431の張力を調節することができる。
【0053】
なお、第1実施形態の上方保持部材432aと上方位置調節部材432bは、ネジとナットで構成したが、他の構造でもよい。また、下端で連結部材431の張力を調節することができるのであれば、上方保持部材432aと上方位置調節部材432bを設けず、上方保持部材432aの上端凹状部451a1内に配置される部分の直径を大きくしてもよいし、上端部材451に上方保持部材432aを固着してもよい。
【0054】
図8は、本発明の第1実施形態に係る円筒翼4の下端の一例を示す断面図である。
【0055】
連結部43は、下端固定部46に取り付けられる。第1実施形態の連結部43は、連結部材431と、連結部材431と一体化された下方保持部433と、を有する。下方保持部433は、連結部材431に固着される下方保持部材433aと、下端固定部46に対して下方保持部材433aを位置決めする下方位置調節部材433bと、下方位置調節部材433bのゆるみを防止する回り止め部材433dと、を有する。
【0056】
第1実施形態の下端固定部46は、少なくとも下端部材461を有する。下端部材461は、円形状の下端基部461aと、下端基部461aよりも長径で環状の下端環状部461bと、下端基部461aと下端環状部461bを接続する下端接続部461cと、を含む。
【0057】
下端基部461aは、中心に下方が開放された下端凹状部461a1が形成され、下端凹状部461a1の底の中心に下端孔461a2が形成される。下端基部461aは、翼下端板41bとボルト、溶接、又は、接着剤もしくはそれらの組み合わせ等によって結合される。下端凹状部461a1の底の下端孔461a2には、連結部材431を保持する下方保持部材433aが貫通する。
【0058】
第1実施形態の下端環状部461bは、円筒翼本体40の内周に取り付けられる。第1実施形態では、下端環状部461bに対して円筒翼本体40を挟んで下端外周保持部材462を取り付け、下端環状部461b、円筒翼本体40、及び、下端外周保持部材462をボルト又はピン等によって固着している。なお、下端環状部461bを円筒翼本体40に取り付ける構造は、第1実施形態の構造に限らず、接着や溶接等の他の構造もしくはそれらの組み合わせでもよい。
【0059】
第1実施形態の下端接続部461cは、下端基部461aと下端環状部461bの間に、放射状に等角度で複数本取り付けられる。下端接続部461cは、翼下端板41bとボルト、溶接、又は、接着剤もしくはそれらの組み合わせ等によって結合される。このように、放射状に等角度で複数本取り付けることで、軽量且つ高強度の下端部材461を構成することができる。なお、下端接続部461cは、第1実施形態の構造に限らず、円形板状で下端基部461aの外周と下端環状部461bの内周の全面を覆うように形成してもよい。
【0060】
第1実施形態の下方保持部材433aは、金属製で外周の少なくとも一部がネジ状に形成される。第1実施形態の下方位置調節部材433bは、下方保持部材433aのネジ状部分に螺合されるナットである。下方位置調節部材433bは、下端凹状部461a1内にスペーサ433cを介して配置される。したがって、下方位置調節部材433bを回転させると、下方保持部材433aが上方又は下方に移動し、連結部材431の張力を調節することができる。
【0061】
第1実施形態の回り止め部材433dは、下方保持部材433aのネジ状部分に螺合されるナットである。回り止め部材433dは、下端部材461の上方で連結部材431の回転および下方位置調節部材433bの緩みを抑制するために設けられる。
【0062】
なお、第1実施形態の下方保持部材433a、下方位置調節部材433b、及び、回り止め部材433dは、ネジとナットで構成したが、他の構造でもよい。
【0063】
第1実施形態の保護部材434は、第2の回転軸O2に直交する断面でC状に形成され、連結部材431、上方保持部材432a、下方保持部材433aの周囲の少なくとも一部を囲む。保護部材434は、ゴム、シリコン、スポンジ等でクッション性を有すると好ましい。なお、第1実施形態の保護部材4は、組み付けを容易にするために第2の回転軸O2に直交する断面でC状に形成したが、連結部材431の全てを覆うように、第2の回転軸O2に直交する断面でO状に形成してもよい。
【0064】
例えば、何らかの原因により円筒翼本体40が破断した場合、保護部材434を設置することで、円筒翼本体40が連結部材431、上方保持部材432a、下方保持部材433aに衝突した際の衝撃荷重を低減することができる。したがって、連結部材431、上方保持部材432a、下方保持部材433aが衝撃荷重によって傷つけられ、又は、切断されることを防止し、円筒翼本体40が飛散することを防止することができる。
【0065】
図9は、本発明の第2実施形態に係る円筒翼4の下端の一例を示す断面図である。図10は、図9に対して連結部材431の張力を変更した状態の本発明の第2実施形態に係る円筒翼4の下端の一例を示す断面図である。
【0066】
第2実施形態の連結部43は、連結部材431に対して張力をかけるための付勢部435を有する。付勢部435は、付勢部材435aと、下方保持部材433aが貫通するとともに付勢部材435aの下端を支持する付勢支持部材435bと、を有する。第2実施形態の下端固定部46のその他の構造は、第1実施形態と同じなので、説明は省略する。
【0067】
付勢部材435aは、上端が下端基部461aに形成された下端凹状部461a1に接触し、下端が付勢支持部材435bに形成されたフランジ部435b1に接触する。なお、第2実施形態の付勢部材435aはコイルバネによって構成されるが、これに限らず、例えば、皿ばね、ゴム等の他の付勢がかかる部材で構成されてもよい。
【0068】
付勢支持部材435bは、下方位置調節部材433bの上方及び回り止め部材433dの下方で、下方保持部材433aの外周に設置される。付勢支持部材435b下方には、外周側に突出するフランジ部435b1aが形成される。付勢部材435aは、フランジ部435b1aの上面に設置される。したがって、下方位置調節部材433bを締めこむと、連結部材431は、付勢部材435aによって付勢支持部材435bを介して下方に付勢され、下方位置調節部材433bの締め込み量に応じた張力がかかることとなる。
【0069】
付勢支持部材435bは、下端基部461aに形成された下端孔461a2を貫通させてもよい。下方位置調節部材433bを締めこむと、付勢支持部材435bの上端部が下端部材46の凹状部461a1よりも上方に突き出るように設定しておけば、付勢支持部材435bの上端部の突き出し量を測定することで、連結部材431にかかっている張力を推定することができる。さらに、付勢支持部材435bの上方に認識部435b2が形成されてもよい。認識部435b2は、下方位置調節部材433bによって連結部材431に予め定めた張力が加えられると、下端部材46の凹状部461a1よりも上方に位置するように設定される。したがって、連結部材431に適切な張力がかかっていることを確認することができる。
【0070】
なお、第2実施形態の認識部435b2bは、くぼみを形成して目視によって位置を認識できるように構成したが、これに限らず、レーザマーキングや塗装等により構成してもよいし、認識部435b2bを反射シール等で構成し、レーザ等の光センサーを用いて位置を認識してもよい。
【0071】
また、回り止め部材433dのかわりに、下方位置調節部材433bを、2つのナットで構成してもよい。上方のナットは位置調節の機能を有し、下方のナットは上方のナットの緩みを防止し、位置を固定する機能を有する。
【0072】
(他の実施形態)
上記のように、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0073】
例えば、上記実施形態では、円筒翼4が、第1の回転軸O1を中心として時計回りR1に公転するものとして説明したが、反時計回りに公転するようにしてもよい。その場合には、円筒翼4が自転する方向を時計回りR2から反時計回りに変更するとともに、それに合わせて整流板5の配置を変更すればよい。
【0074】
また、上記実施形態では、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の組数は、2組であるものとして説明したが、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の組数は適宜変更してもよく、垂直軸型マグナス式風力発電機1は、3組以上の円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7を備えるようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、第1の回転軸O1及び第2の回転軸O2を、設置面Sに対して垂直に配置した、すなわち、鉛直方向に対して平行に配置したものとして説明したが、鉛直方向に対して斜めに配置してもよいし、鉛直方向に対して直角に、すなわち、水平方向に配置してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、マグナス式推力発生装置の適用例の1つとして、マグナス式推力発生装置を用いた垂直軸型マグナス式風力発電機1について説明したが、回転部3を発電機21に連結することに代えて、回転部3をポンプ等の回転機械に連結することにより、マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置としてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、マグナス式推力発生装置の適用例の1つとして、マグナス式推力発生装置を用いた垂直軸型マグナス式風力発電機1について説明したが、エネルギー源として、風(空気流)を用いることに代えて、水流、波、潮流等を用いることにより、マグナス式推力発生装置を用いた水力発電機又は潮力発電機としてもよいし、さらに回転部3を発電機21に連結することに代えて、回転部3をポンプ等の回転機械に連結することにより、マグナス式推力発生装置を用いた水力回転装置又は潮力回転装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のマグナス式推力発生装置は、回転翼が、筒状の回転翼本体と、回転翼本体の上端に設置される上端固定部と、回転翼本体の下端に設置される下端固定部と、上端固定部と下端固定部を連結する連結部と、を有することによって、円筒翼が破損した場合に円筒翼の飛散を防止するとともに、円筒翼に発生するマグナス力によって効率的に回転力を得ることを可能とし、風力回転装置、水力回転装置及び潮力回転装置並びに風力発電機、水力発電機及び潮力発電機としても利用できる。
【符号の説明】
【0079】
1…垂直軸型マグナス式風力発電機(マグナス式推力発生装置)、
2…支持筐体、20…軸受ユニット、21…発電機、22…増速機、3…回転部、
4…円筒翼、40…円筒翼本体、
40a…上端部(一端部)、40b…下端部(他端部)、
41…翼端部、41a…翼上端板、41b…翼下端板、
42…円筒翼モータ、
42a…上部回転伝達軸部(一端側支持部)、42b…下部回転伝達軸部(他端側支持部)、
43…連結部、431…連結部材、
432…上方保持部、432a…上方保持部材、432b…上方位置調節部材、
433…下方保持部、433a…下方保持部材、433b…下方位置調節部材、433c…スペーサ、433d…回り止め部材、
434…保護部材、
435…付勢部、435a…付勢部材、435b…付勢支持部材、
45…上端固定部、451…上端部材、
46…下端固定部、461…下端部材、
5…整流板、6…支持部、7…遮蔽板、
O1…第1の回転軸、O2…第2の回転軸、S…設置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10