(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ストッカー
(51)【国際特許分類】
B62B 3/16 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B62B3/16
(21)【出願番号】P 2021075631
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】佐賀 歩
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-227611(JP,A)
【文献】実開昭48-053042(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を保持可能な保持部と、
前記保持部を所定の高さに支持する複数の支持部と、
前記複数の支持部間を連結する連結部とを備えるストッカーにおいて、
前記支持部は下方に向けて前記ストッカーの外周側に傾斜して延在し、下側の前記ストッカーに対して上側の前記ストッカーをクロスさせ、前記上側のストッカーの前記複数の支持部で囲まれる内側空間に、前記下側のストッカーを相対的に挿入させるようにして前記ストッカー同士を積重ねることが可能に構成されていること、
又は、
前記支持部は上方に向けて前記ストッカーの外周側に傾斜して延在し、下側の前記ストッカーに対して上側の前記ストッカーをクロスさせ、前記下側のストッカーの前記複数の支持部で囲まれる内側空間に、前記上側のストッカーを相対的に挿入させるようにして前記ストッカー同士を積重ねることが可能に構成され、
前記ストッカー同士を積重ねた状態において別の前記ストッカーの前記連結部に対して上下方向に当接する段積み機能部を備え、
前記段積み機能部と当接した前記連結部の延在方向に対して平面視で交差する方向において前記上側のストッカーと前記下側のストッカーとの相対変位が規制され、
前記段積み機能部は、一対の前記支持部間を連結するようにして設けられるとともに、上方又は下方に凹むクランク状に構成されていることを特徴とするストッカー。
【請求項2】
容器を保持可能な保持部と、
前記保持部を所定の高さに支持する複数の支持部と、
前記複数の支持部間を連結する連結部とを備えるストッカーにおいて、
前記支持部は下方に向けて前記ストッカーの外周側に傾斜して延在し、下側の前記ストッカーに対して上側の前記ストッカーをクロスさせ、前記上側のストッカーの前記複数の支持部で囲まれる内側空間に、前記下側のストッカーを相対的に挿入させるようにして前記ストッカー同士を積重ねることが可能に構成され
、
一対の前記支持部と、前記一対の支持部間を連結する前記連結部と、前記保持部とを具備する一対のベース部と、
前記一対のベース部間を連結する一対の補助保持部とを備え、
前記補助保持部は、前記各ベース部から上方に向けて互いに近付く側に傾斜して延びる一対の傾斜部と、前記一対の傾斜部間を連結し、略水平方向に延在する水平部とを備えていることを特徴とするストッカー。
【請求項3】
前記ストッカー同士を積重ねた状態において別の前記ストッカーの前記連結部に対して上下方向に当接する段積み機能部を備え、
前記段積み機能部と当接した前記連結部の延在方向に対して平面視で交差する方向において前記上側のストッカーと前記下側のストッカーとの相対変位が規制され、
前記段積み機能部は、一対の前記支持部間を連結するようにして設けられるとともに、上方又は下方に凹むクランク状に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のストッカー。
【請求項4】
前記ストッカー同士を積重ねた状態において別の前記ストッカーの前記段積み機能部に対して水平方向に当接可能な規制部を備え、
前記ストッカー同士を積重ねた状態では、所定の前記ストッカーの前記規制部と、別の前記ストッカーの前記段積み機能部とが当接することにより、前記段積み機能部と当接した前記連結部の延在方向において上側の前記ストッカーと下側の前記ストッカーとの相対変位が規制されることを特徴とする請求項1又は3に記載のストッカー。
【請求項5】
前記ストッカー同士を積重ねた状態において、所定の前記ストッカーの前記支持部と、当該ストッカーの前記内側空間に相対的に挿入された前記ストッカーとの間が遠近する方向に対して交差する方向の相対変位を規制する規制部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のストッカー。
【請求項6】
前記連結部は前記複数の支持部の上部間を連結し、
前記支持部は下方に向けて前記ストッカーの外周側に傾斜して延在し、
下側の前記ストッカーに対して上側の前記ストッカーをクロスさせ、前記上側のストッカーの前記内側空間に、前記下側のストッカーを相対的に挿入させるようにして前記ストッカー同士を積重ねることが可能に構成され、
前記保持部は前記連結部から前記ストッカーの内周側、及び、上方のうち少なくとも一方側に突出して設けられ、
前記保持部が前記規制部を兼ねることを特徴とする請求項5に記載のストッカー。
【請求項7】
容器を保持可能な保持部と、
前記保持部を所定の高さに支持する複数の支持部と、
前記複数の支持部間を連結する連結部とを備えるストッカーにおいて、
前記支持部は下方に向けて前記ストッカーの外周側に傾斜して延在し、下側の前記ストッカーに対して上側の前記ストッカーをクロスさせ、前記上側のストッカーの前記複数の支持部で囲まれる内側空間に、前記下側のストッカーを相対的に挿入させるようにして前記ストッカー同士を積重ねることが可能に構成され
、
前記ストッカー同士を積重ねた状態において別の前記ストッカーに対して上下方向に当接する段積み機能部を備え、
前記ストッカー同士を積重ねた状態では、前記連結部の延在方向に対して平面視で交差する方向において前記上側のストッカーと前記下側のストッカーとの相対変位が規制され、
前記段積み機能部は、一対の前記支持部間を連結するようにして設けられ、
前記ストッカー同士を積重ねた状態において別の前記ストッカーの前記段積み機能部に対して水平方向に当接可能な規制部を備え、
前記規制部は前記連結部から上方に突出して設けられ、
一対の前記支持部と、前記一対の支持部間を連結する前記連結部と、前記保持部とを具備する一対のベース部と、
前記一対のベース部間を連結する一対の補助保持部とを備え、
前記ベース部は、金属製又は樹脂製の丸パイプを屈曲させることで構成され、
前記規制部の上端部が前記連結部の上端部よりも上方に突出していることを特徴とするストッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の収納等に使用されるストッカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上下に積重ねたバスケット(買い物カゴ)等の容器を床面から離間させた状態で保持するストッカーが知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バスケットが設置されていない状態のストッカーをまとめて運搬、及び、保管等する場合の効率の向上等が求められている。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、運搬効率、及び、保管効率の向上を図ることのできるストッカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.容器を保持可能な保持部と、
前記保持部を所定の高さに支持する複数の支持部と、
前記複数の支持部間を連結する連結部とを備えるストッカーにおいて、
前記支持部は下方に向けて前記ストッカーの外周側に傾斜して延在し、下側の前記ストッカーに対して上側の前記ストッカーをクロスさせ、前記上側のストッカーの前記複数の支持部で囲まれる内側空間に、前記下側のストッカーを相対的に挿入させるようにして前記ストッカー同士を積重ねることが可能に構成されていること、
又は、
前記支持部は上方に向けて前記ストッカーの外周側に傾斜して延在し、下側の前記ストッカーに対して上側の前記ストッカーをクロスさせ、前記下側のストッカーの前記複数の支持部で囲まれる内側空間に、前記上側のストッカーを相対的に挿入させるようにして前記ストッカー同士を積重ねることが可能に構成され、
前記ストッカー同士を積重ねた状態において別の前記ストッカーの前記連結部に対して上下方向に当接する段積み機能部を備え、
前記段積み機能部と当接した前記連結部の延在方向に対して平面視で交差する方向において前記上側のストッカーと前記下側のストッカーとの相対変位が規制され、
前記段積み機能部は、一対の前記支持部間を連結するようにして設けられるとともに、上方又は下方に凹むクランク状に構成されていることを特徴とするストッカー。
【0008】
手段1によれば、ストッカー同士を上下にクロスさせて配置し、一方を他方の内側空間に(支持部が広がっている側から)挿入させて積重ねる(所謂、「段積み」をする、特に、クロスさせていることから「クロス積み」をする)ことができ、バスケットが設置されていない状態におけるストッカーの運搬効率、及び、保管効率の向上等を図ることができる。
【0009】
さらに、支持部が鉛直方向に対して傾斜して延びており、支持部が効率的なクロス積みを阻害し難くなるように構成されている。例えば、支持部が下方に向けてストッカーの外周側に傾斜して延在するストッカーを90度に交差させつつ3段にクロス積みする場合に、下から3段目のストッカーの支持部が、下から1段目のストッカーの上面に当接することを回避することができ(3段にクロス積みされたストッカーの高さをストッカーの2台分の高さ以下にすることも可能となり)、段積み効率の向上(クロス積みされたストッカーの高さの低減、ひいては、所定の高さ以下に収められるストッカーの数の増加)等を図ることができる。加えて、例えば、支持部がストッカーの長手幅方向において傾斜している場合、ストッカーの段積み作業を行い易くすることができる上、ストッカーの平面視で短手幅を長手幅に極力近くする等、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0011】
また、クロス積みされたストッカー同士の水平方向における相対変位が規制されることで、ストッカーのクロス積み状態の安定化を図ることができる。なお、上側のストッカーの連結部と下側のストッカーの連結部とが上下に離間する、ひいては、上側のストッカーの支持部と、下側のストッカーの支持部とが上下に離間するようになっていると、支持部に対して側面視で支持部の内側ラインよりもストッカーの内方側に一部突出するような付属部材(キャスター等)を設ける場合においても、例えば、支持部が下方に向けてストッカーの外周側に傾斜して延在するストッカーのクロス積み状態において、当該付属部材と、2段下のストッカーの支持部との干渉を回避することができ、段積み作業に際しての付属部材等の損傷等を抑止することができる。
【0013】
さらに、段積み機能部のうちストッカーの水平方向の位置ずれを防止する部位を一対の支持部からそれぞれ離間した位置(中央部)に設けることができ、ストッカーをバランスよくクロス積みすることができる。さらに、クランク状の段積み機能部を設けることで、段積み機能部に当接したストッカーが一対の支持部のうち一方側に近付く変位と、他方側に近付く変位との両方を規制することができ、例えば、一方側に近付く変位を規制する段積み機能部と、他方側に近付く変位を規制する段積み機能部とを別々に設ける場合に比べ、段積み機能部を溶接でストッカーに取付ける際の作業性の向上、及び、製造誤差の抑制等を図ることができる。
手段2.容器を保持可能な保持部と、
前記保持部を所定の高さに支持する複数の支持部と、
前記複数の支持部間を連結する連結部とを備えるストッカーにおいて、
前記支持部は下方に向けて前記ストッカーの外周側に傾斜して延在し、下側の前記ストッカーに対して上側の前記ストッカーをクロスさせ、前記上側のストッカーの前記複数の支持部で囲まれる内側空間に、前記下側のストッカーを相対的に挿入させるようにして前記ストッカー同士を積重ねることが可能に構成され、
一対の前記支持部と、前記一対の支持部間を連結する前記連結部と、前記保持部とを具備する一対のベース部と、
前記一対のベース部間を連結する一対の補助保持部とを備え、
前記補助保持部は、前記各ベース部から上方に向けて互いに近付く側に傾斜して延びる一対の傾斜部と、前記一対の傾斜部間を連結し、略水平方向に延在する水平部とを備えていることを特徴とするストッカー。
手段2によれば、ストッカー同士を上下にクロスさせて配置し、一方を他方の内側空間に(支持部が広がっている側から)挿入させて積重ねる(所謂、「段積み」をする、特に、クロスさせていることから「クロス積み」をする)ことができ、バスケットが設置されていない状態におけるストッカーの運搬効率、及び、保管効率の向上等を図ることができる。
さらに、支持部が鉛直方向に対して傾斜して延びており、支持部が効率的なクロス積みを阻害し難くなるように構成されている。例えば、支持部が下方に向けてストッカーの外周側に傾斜して延在するストッカーを90度に交差させつつ3段にクロス積みする場合に、下から3段目のストッカーの支持部が、下から1段目のストッカーの上面に当接することを回避することができ(3段にクロス積みされたストッカーの高さをストッカーの2台分の高さ以下にすることも可能となり)、段積み効率の向上(クロス積みされたストッカーの高さの低減、ひいては、所定の高さ以下に収められるストッカーの数の増加)等を図ることができる。加えて、例えば、支持部がストッカーの長手幅方向において傾斜している場合、ストッカーの段積み作業を行い易くすることができる上、ストッカーの平面視で短手幅を長手幅に極力近くする等、設計の自由度の向上を図ることができる。
また、保持部等に影響を及ぼすことなくクロス積み状態のストッカーの積み下ろしに際して手を掛け易い形状の補助保持部を設けることができる。つまり、補助保持部に手を掛けてストッカーを持ち上げた場合に、手に掛けた補助保持部が滑るように相対変位して手がベース部に当接してしまうといった事態を抑止することができる。従って、持ち上げたストッカーが比較的大きく傾き、バランスを崩すといった事態を回避することができる。尚、水平部を保持部と協働して容器を保持する(ストッカーの水平方向における相対変位を規制したり、ストッカーを支持したりする)構成として利用することができ、ストッカーの構成の複雑化を抑止しつつ、容器の保持状態の安定化を図ることができる。
手段3.前記ストッカー同士を積重ねた状態において別の前記ストッカーの前記連結部に対して上下方向に当接する段積み機能部を備え、
前記段積み機能部と当接した前記連結部の延在方向に対して平面視で交差する方向において前記上側のストッカーと前記下側のストッカーとの相対変位が規制され、
前記段積み機能部は、一対の前記支持部間を連結するようにして設けられるとともに、上方又は下方に凹むクランク状に構成されていることを特徴とする手段2に記載のストッカー。
手段3によれば、クロス積みされたストッカー同士の水平方向における相対変位が規制されることで、ストッカーのクロス積み状態の安定化を図ることができる。なお、上側のストッカーの連結部と下側のストッカーの連結部とが上下に離間する、ひいては、上側のストッカーの支持部と、下側のストッカーの支持部とが上下に離間するようになっていると、支持部に対して側面視で支持部の内側ラインよりもストッカーの内方側に一部突出するような付属部材(キャスター等)を設ける場合においても、例えば、支持部が下方に向けてストッカーの外周側に傾斜して延在するストッカーのクロス積み状態において、当該付属部材と、2段下のストッカーの支持部との干渉を回避することができ、段積み作業に際しての付属部材等の損傷等を抑止することができる。
さらに、段積み機能部のうちストッカーの水平方向の位置ずれを防止する部位を一対の支持部からそれぞれ離間した位置(中央部)に設けることができ、ストッカーをバランスよくクロス積みすることができる。さらに、クランク状の段積み機能部を設けることで、段積み機能部に当接したストッカーが一対の支持部のうち一方側に近付く変位と、他方側に近付く変位との両方を規制することができ、例えば、一方側に近付く変位を規制する段積み機能部と、他方側に近付く変位を規制する段積み機能部とを別々に設ける場合に比べ、段積み機能部を溶接でストッカーに取付ける際の作業性の向上、及び、製造誤差の抑制等を図ることができる。
【0014】
手段4.前記ストッカー同士を積重ねた状態において別の前記ストッカーの前記段積み機能部に対して水平方向に当接可能な規制部を備え、
前記ストッカー同士を積重ねた状態では、所定の前記ストッカーの前記規制部と、別の前記ストッカーの前記段積み機能部とが当接することにより、前記段積み機能部と当接した前記連結部の延在方向において上側の前記ストッカーと下側の前記ストッカーとの相対変位が規制されることを特徴とする手段1又は3に記載のストッカー。
【0015】
手段4によれば、クロス積みされたストッカー同士の水平方向における全方向の相対変位を規制することができる。従って、ストッカーとは別部材(結束バンド等)を要さずとも、クロス積み状態のストッカーの脱落等をより確実に防止することができる。さらに、クロス積みされるストッカーの水平方向における位置決めがなされ、クロス積みされたストッカーが、一段置きに、同じ向きで、平面視で同じ位置に配置されることとなる。従って、ストッカーがバランスよく積重ねられ、ストッカーのクロス積み状態の安定化をより一層図ることができる。
【0016】
手段5.前記ストッカー同士を積重ねた状態において、所定の前記ストッカーの前記支持部と、当該ストッカーの前記内側空間に相対的に挿入された前記ストッカーとの間が遠近する方向に対して交差する方向の相対変位を規制する規制部を備えていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のストッカー。
【0017】
手段5によれば、ストッカーのクロス積み状態の安定化を図ることができる。特に、上記手段2に対応する場合には、クロス積みされたストッカー同士の水平方向における全方向の相対変位を規制することができ、ストッカーのクロス積み状態の安定化をより一層図ることができる。
【0018】
手段6.前記連結部は前記複数の支持部の上部間を連結し、
前記支持部は下方に向けて前記ストッカーの外周側に傾斜して延在し、
下側の前記ストッカーに対して上側の前記ストッカーをクロスさせ、前記上側のストッカーの前記内側空間に、前記下側のストッカーを相対的に挿入させるようにして前記ストッカー同士を積重ねることが可能に構成され、
前記保持部は前記連結部から前記ストッカーの内周側、及び、上方のうち少なくとも一方側に突出して設けられ、
前記保持部が前記規制部を兼ねることを特徴とする手段5に記載のストッカー。
【0019】
手段6によれば、上方に開口する箱状の本体部と、本体部の上縁部から外方に突出する上フランジ部とを具備する容器の上フランジ部をストッカーの上部に設けられた保持部で支持するようにして、容器を吊り下げて安定して保持することができる。特に、保持部に保持される容器の上フランジ部の突出長が比較的短い場合にかかる作用効果がより一層奏される。また、保持部が規制部を兼ねる構成とすることで、構成の簡素化等を図ることができる。結果として、製造作業性の向上等を図ることができる。
【0020】
手段7.容器を保持可能な保持部と、
前記保持部を所定の高さに支持する複数の支持部と、
前記複数の支持部間を連結する連結部とを備えるストッカーにおいて、
前記支持部は下方に向けて前記ストッカーの外周側に傾斜して延在し、下側の前記ストッカーに対して上側の前記ストッカーをクロスさせ、前記上側のストッカーの前記複数の支持部で囲まれる内側空間に、前記下側のストッカーを相対的に挿入させるようにして前記ストッカー同士を積重ねることが可能に構成され、
前記ストッカー同士を積重ねた状態において別の前記ストッカーに対して上下方向に当接する段積み機能部を備え、
前記ストッカー同士を積重ねた状態では、前記連結部の延在方向に対して平面視で交差する方向において前記上側のストッカーと前記下側のストッカーとの相対変位が規制され、
前記段積み機能部は、一対の前記支持部間を連結するようにして設けられ、
前記ストッカー同士を積重ねた状態において別の前記ストッカーの前記段積み機能部に対して水平方向に当接可能な規制部を備え、
前記規制部は前記連結部から上方に突出して設けられ、
一対の前記支持部と、前記一対の支持部間を連結する前記連結部と、前記保持部とを具備する一対のベース部と、
前記一対のベース部間を連結する一対の補助保持部とを備え、
前記ベース部は、金属製又は樹脂製の丸パイプを屈曲させることで構成され、
前記規制部の上端部が前記連結部の上端部よりも上方に突出していることを特徴とするストッカー。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態におけるストッカーの上面側を示す斜視図である。
【
図5】2台のストッカーをクロス積みした状態を示す斜視図である。
【
図6】4台のストッカーをクロス積みした状態を示す斜視図である。
【
図7】2台のストッカーをクロス積みした状態を示す断面図である。
【
図8】2台のストッカーをクロス積みした状態を示す断面図である。
【
図9】バスケットが設置されたストッカーを示す斜視図である。
【
図10】バスケットが設置されたストッカーを示す一部断面を含む側面図である。
【
図11】バスケットが設置されたストッカーを示す部分拡大側面図である。
【
図12】第2実施形態におけるストッカーの上面側を示す斜視図である。
【
図13】バスケットが設置されたストッカーを示す斜視図である。
【
図14】3台のストッカーをクロス積みした状態を示す斜視図である。
【
図15】別の実施形態におけるストッカーの上面側を示す斜視図である。
【
図16】4台のストッカーをクロス積みした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下に、一実施形態について説明する。
図9、
図10に示すように、ストッカー1は、上方に開口する四角箱状の本体部12と、本体部12の上縁部から外方に突出する上フランジ部13とを備える容器としてのバスケット11を積重ねた状態で所定位置に設置しておくための台である。すなわち、
図1~
図4に示すように、ストッカー1は、水平方向に延在する上辺部3と、上辺部3の両端部からそれぞれ下方に延びる一対の縦辺部4とを具備するベース部2を一対で備えるとともに、所定距離を隔てて対向配置された一対のベース部2の各縦辺部4の上端部間を連結する一対の補助保持部5を備えている。
【0024】
各ベース部2は基本的に表面処理が施された鉄製の丸パイプを屈曲させることで構成されている。また、各ベース部2の一対の縦辺部4は、上辺部3の両端部からそれぞれ下方に向けて平面視で上辺部3の延長線上に上辺部3から遠ざかるようにして傾斜して延びている。さらに、各縦辺部4の下端部には、車輪が旋回自在なキャスター6が取付けられている。本実施形態では、各ベース部2の縦辺部4が支持部を構成し、各ベース部2の上辺部3が連結部を構成する。
【0025】
ストッカー1は、各ベース部2の上辺部3のうち平面視でストッカー1の内周側のラインに沿って上辺部3から上方に突出し、バスケット11を保持可能な保持部7を備えている。保持部7は、上辺部3の延在方向に沿って略直線状に延びる表面処理が施された断面円形の鋼材であり、丸パイプにより構成される上辺部3からストッカー1の内周側、かつ、上方に突出するようにして上辺部3に溶接固定されている。本実施形態では、保持部7の上端部が上辺部3の上端部よりも上方に突出し、ストッカー1の内外周方向において、保持部7のうちストッカー1の内周側の端部と、上辺部3のうちストッカー1の内周側の端部との位置がほぼ同じとなるように構成されている。
【0026】
補助保持部5は、表面処理が施された断面円形状の鋼材により構成され、両端部が下方に屈曲されて縦辺部4に溶接固定されている。また、補助保持部5は、各ベース部2から上方に向けて互いに近付く側に傾斜して延びる一対の傾斜部5aと、一対の傾斜部5aの先端部(上端部)間を連結し、略水平方向に延在する水平部5bとを備えている。
【0027】
そして、
図9等に示すように、バスケット11をストッカー1の上方から一対のベース部2の上辺部3、及び、一対の補助保持部5によって囲まれる領域に挿入することで、
図10、
図11に示すように、バスケット11の上フランジ部13の下面が保持部7の上端部に当接して支持されることとなる。また、本実施形態では、補助保持部5の水平部5bの上端部が、保持部7の上端部よりも若干低く構成されており、ストッカー1に積重ねて設置されるバスケット11の数が規定数以上となる場合に(上側のバスケット11の荷重により下側のバスケット11が若干変形等することで)、最下段のバスケット11の上フランジ部13が補助保持部5の水平部5bに当接して支持されるようになっている。さらに、一対の保持部7、及び、一対の補助保持部5によって、水平方向におけるバスケット11のストッカー1に対する相対変位が規制されるようになっている。加えて、保持部7に保持された(ストッカー1に設置された)バスケット11は、ストッカー1が設置された床面等から上方に離間するように構成されている。これにより、衛生面の向上、及び、ストッカー1に設置されたバスケット11の取出し易さの向上等が図られている。
【0028】
尚、
図10、
図11に示すように、バスケット11の外周面上部のコーナー部付近には、本体部12の外周面と、上フランジ部13の下面との間を連結する補強用リブ14が設けられている。これに対し、本実施形態では、保持部7を上辺部3よりも上方に突出させて設けるとともに、補助保持部5の両端部に傾斜部5aを設けることで、補強用リブ14と上辺部3との干渉、及び、補強用リブ14と補助保持部5との干渉が回避されるようになっている。
【0029】
また、
図5に示すように、本実施形態では、下側のストッカー1に対して上側のストッカー1をクロスさせ(90度に交差させた向きとして)、上側のストッカー1の複数の縦辺部4で囲まれる内側空間8に対し(縦辺部4が広がっている下方から)、下側のストッカー1を相対的に挿入させるようにしてストッカー1同士を積重ねる(所謂、「段積み」をする、特に、クロスさせていることから「クロス積み」をする)ことが可能に構成されている。
【0030】
より具体的には、
図1、
図4、
図5、
図7に示すように、ストッカー1は、ストッカー1のクロス積み状態において下側のストッカー1の上辺部3(上面側)に対して上下方向に当接する段積み機能部としての段積み部材9を備えている。段積み部材9は、各ベース部2の一対の縦辺部4間を連結するようにして設けられるとともに、延在方向の中央部を含む部位が上方に凹むクランク状に構成されている。ストッカー1のクロス積み状態では、上側のストッカー1の段積み部材9のクランク状部位に、下側のストッカー1の短手幅側(一対の上辺部3)が略嵌入される。これにより、上側のストッカー1の上辺部3と下側のストッカー1の上辺部3とが上下に離間するとともに、上側のストッカー1の段積み部材9と当接した下側のストッカー1の上辺部3の延在方向に対して平面視で交差する方向において上側のストッカー1と下側のストッカー1との相対変位が規制されるようになっている。尚、段積み部材9は、断面円形の鋼材をクランク状に屈曲させることで構成され、段積み部材9の両端部が縦辺部4に溶接固定されている。
【0031】
さらに、上記のように、ベース部2の縦辺部4は下方に向けてストッカー1の外周側に傾斜して延在しており、
図6に示すように、ストッカー1を3段以上にクロス積みした場合(
図6では4段のクロス積み)に、下から3段目のストッカー1の縦辺部4、及び、キャスター6と、下から1段目のストッカー1(上辺部3、及び、縦辺部4)との干渉を避けつつ、下から3段目のストッカー1の下端部(本例ではキャスター6)を、下から1段目のストッカー1の上端部(本例では保持部7)よりも下方に位置させることが可能となっている。本実施形態では、3段にクロス積みされたストッカー1のうち、3段目のストッカー1のキャスター6、及び、縦辺部4の下端部が、1段目のストッカー1の上辺部3よりも下方に位置するように構成されている。
【0032】
また、
図5、
図8に示すように、本実施形態では、上辺部3の延在方向における保持部7の長さが、一対の段積み部材9の間の距離よりも若干短くなっている。ストッカー1のクロス積み状態では、上側のストッカー1の一対の段積み部材9(クランク状部位)の間に、下側のストッカー1の各ベース部2に設けられた保持部7が挿入され、当該保持部7の両端部と、上側のストッカー1の一対の段積み部材9とが略当接(当接、又は、近接)するようになっている。これにより、上側のストッカー1の段積み部材9と当接した下側のストッカー1の上辺部3の延在方向において上側のストッカー1と下側のストッカー1との相対変位が規制されることとなる。換言すれば、ストッカー1のクロス積み状態において、上側のストッカー1の縦辺部4と、当該ストッカー1の内側空間8に相対的に挿入された下側のストッカー1との間が遠近する方向に対して交差(略直交)する方向の相対変位が規制されるようになっている。
【0033】
当該上側のストッカー1の一対の段積み部材9の間に、下側の保持部7を略嵌入させる構成、及び、上側のストッカー1の段積み部材9のクランク状部位に、下側のストッカー1の一対の上辺部3を略嵌入させる構成により、クロス積みされるストッカー1の水平方向における全方向の位置決めがなされ、クロス積みされたストッカー1が、一段置きに、同じ向き、かつ、平面視で同じ位置に配置されることとなる。本実施形態では、保持部7(特に両端部)により規制部が構成されている(保持部7が規制部を兼ねている)。
【0034】
以上詳述したように、第1実施形態によれば、ストッカー1をクロス積みすることができ、バスケット11が設置されていない状態におけるストッカー1の運搬効率、及び、保管効率の向上等を図ることができる。さらに、各ベース部2の縦辺部4が鉛直方向に対して傾斜して延びており、縦辺部4が効率的なクロス積みを阻害し難くなるように構成されている。本実施形態では、ストッカー1を3段にクロス積みする場合に、下から3段目のストッカー1のキャスター6及び縦辺部4が、下から1段目のストッカー1の上面に当接することを回避しつつ、下から3段目のストッカー1のキャスター6及び縦辺部4の下端部を、下から1段目のストッカー1の保持部7よりも下方に位置させ、3段にクロス積みされたストッカー1の高さがストッカー1の2台分の高さ以下となる(さらには、ストッカー1の2台分の高さから1つのキャスター6の高さを引いた高さよりもさらに低くなる)ように構成されている。従って、段積み効率の向上(クロス積みされたストッカー1の高さの低減、ひいては、所定の高さ以下に収められるストッカー1の数の増加)等を図ることができる。加えて、縦辺部4がストッカー1の長手幅方向において傾斜しているため、ストッカー1の段積み作業を行い易くすることができる上、ストッカー1の平面視で短手幅を長手幅に極力近くする等、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0035】
また、ストッカー1のクロス積み状態では、上側のストッカー1の段積み部材9のクランク状部位に対し下側のストッカー1の短手幅側(一対の上辺部3)が略嵌入され、上側のストッカー1の段積み部材9と当接した下側のストッカー1の上辺部3の延在方向に対して平面視で交差する方向において上側のストッカー1と下側のストッカー1との相対変位が規制されるようになっている。このため、ストッカー1のクロス積み状態の安定化を図ることができる。さらに、段積み部材9により、上側のストッカー1の上辺部3と下側のストッカー1の上辺部3とが上下に離間する、ひいては、上側のストッカー1の縦辺部4と、下側のストッカー1の縦辺部4とが上下に離間するようになっている。このため、縦辺部4の下端部に対して側面視で縦辺部4の内側ライン(ストッカー1の内方側のライン)よりもストッカー1の内方側に一部が突出するようなキャスター6が設けられていても、ストッカー1のクロス積み状態において、当該キャスター6と、2段下のストッカー1の縦辺部4との干渉を回避することができ、段積み作業に際してのキャスター6等の損傷等を抑止することができる。
【0036】
加えて、段積み部材9は、各ベース部2の一対の縦辺部4間を連結するようにして設けられるとともに、上方に凹むクランク状に構成されている。このため、段積み部材9のうちストッカー1の水平方向の位置ずれを防止する部位を一対の縦辺部4からそれぞれ離間した位置(中央部)に設けることができ、ストッカー1をバランスよくクロス積みすることができる。さらに、クランク状の段積み部材9を設けることで、上側のストッカー1の段積み部材9に当接した下側のストッカー1が上側のストッカー1の一対の縦辺部4のうち一方側に近付く変位と、他方側に近付く変位との両方を規制することができる。このため、例えば、一方側に近付く変位を規制する段積み機能部と、他方側に近付く変位を規制する段積み機能部とを別々に設ける(例えば、略L字状の金具の角部をL字状に凹ませたような形状の部材を各ベース部2に対して一対で用意し、該部材の両端部を対応する縦辺部4と上辺部3とにそれぞれ接続する)場合に比べ、段積み部材9を溶接でストッカー1に取付ける際の作業性の向上、及び、製造誤差の抑制等を図ることができる。
【0037】
また、ストッカー1のクロス積み状態において、下側のストッカー1の保持部7が、上側のストッカー1の一対の段積み部材9(クランク状部位)の間に挿入される(略嵌入する)ようになっている。このため、ストッカー1のクロス積み状態では、上側のストッカー1の段積み部材9と当接した下側のストッカー1の上辺部3の延在方向において上側のストッカー1と下側のストッカー1との相対変位が規制されるようになっている。このため、上記した段積み部材9のクランク形状部位によるクロス積みされたストッカー1同士の水平方向における相対変位規制の作用効果と相俟って、クロス積みされたストッカー1同士の水平方向における全方向の相対変位を規制することができる。従って、ストッカー1とは別部材(結束バンド等)を要さずとも、クロス積み状態のストッカー1の脱落等をより確実に防止することができる。さらに、クロス積みされるストッカー1の水平方向における位置決めがなされ、クロス積みされたストッカー1が、一段置きに、同じ向き、かつ、平面視で同じ位置に配置されることとなる。従って、ストッカー1がバランスよく積重ねられ、ストッカー1のクロス積み状態の安定化をより一層図ることができる。
【0038】
加えて、円筒状の上辺部3から上方に突出するようにして保持部7が設けられ、当該保持部7でバスケット11の上フランジ部13を支持するようにして、バスケット11を吊り下げて安定して保持することができる。特に、バスケット11の上フランジ部13の突出長が比較的短い場合にかかる作用効果がより一層奏される。また、保持部7を利用して、クロス積みされたストッカー1の水平方向における変位を規制する構成とすることで、構成の簡素化等を図ることができる。結果として、製造作業性の向上等を図ることができる。
【0039】
また、一対のベース部2の縦辺部4の上部間を連結する一対の補助保持部5を備え、補助保持部5は、各ベース部2から上方に向けて互いに近付く側に傾斜して延びる一対の傾斜部5aと、一対の傾斜部5aの先端部間を連結し、略水平方向に延在する水平部5bとを備えている。このため、保持部7等に影響を及ぼすことなくクロス積み状態のストッカー1の積み下ろしに際して手を掛け易い形状の補助保持部5を設けることができる。つまり、補助保持部5に手を掛けてストッカー1を持ち上げた場合に、手に掛けた補助保持部5が滑るように相対変位して手がベース部2(縦辺部4)に当接してしまうといった事態を抑止することができる(水平部5bと傾斜部5aとの境界部に手を掛けることでストッカー1の滑りが抑止される)。従って、持ち上げたストッカー1が比較的大きく傾き、バランスを崩すといった事態を回避することができる。
【0040】
尚、補助保持部5の水平部5bは、保持部7と協働してバスケット11を保持する(バスケット11の水平方向における相対変位を規制するとともに、バスケット11が規定複数個以上積重ねられた場合にバスケット11を支持する)ようになっている。このため、ストッカー1の構成の複雑化を抑止しつつ、ストッカー1の保持状態の安定化を図ることができる。また、傾斜部5aの形状によって、ストッカー1に設置されたバスケット11の外周面上部のコーナー部付近に設けられた補強用リブ14と、補助保持部5との接触を回避することができる(上辺部3側は、保持部7が上辺部3よりも上方に突出していることで、補強用リブ14が上辺部3に当接することが回避される)。従って、バスケット11のストッカー1への設置状態の安定化等を図ることができる。
【0041】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。
図12に示すように、第2実施形態のストッカー21は、水平方向に延在する下辺部23と、下辺部23の両端部からそれぞれ上方に延びる一対の縦辺部24とを具備するベース部22を一対で備えるとともに、所定距離を隔てて対向配置された一対のベース部22の各縦辺部24の上端部間を連結する一対の保持部25を備えている。
【0042】
各ベース部22は基本的に鉄製の丸パイプを屈曲させることで構成されている。また、各ベース部22の一対の縦辺部24は、下辺部23の両端部からそれぞれ上方に向けて平面視で下辺部23の延長線上に下辺部23から遠ざかるようにして傾斜して延びている。本実施形態では、各ベース部22の縦辺部24が支持部を構成し、各ベース部22の下辺部23が連結部を構成する。
【0043】
保持部25は、一対のベース部22の縦辺部24間に延びる基部25aと、基部25aの両端部から下辺部23の延在方向に沿ってストッカー21の内側に延出する延出部25bとを備えており、平面視略コ字状に形成された鉄板により構成され、縦辺部24の上端部に溶接固定されている。一対の保持部25の延出部25b間の距離は、一対のベース部22の下辺部23間の距離よりも長くなるように構成されている。
【0044】
さらに、ストッカー21は、一対のベース部22の下辺部23の両端部付近の間を連結する一対の規制部材26を備えている。規制部材26は、平面視略矩形状の鉄板により構成され、下辺部23の下面側に溶接固定されている。さらに、各規制部材26には、車輪が旋回自在な一対のキャスター27が取付けられている。
【0045】
そして、
図13に示すように、バスケット11をストッカー21の上方から一対の保持部25によって囲まれる領域に挿入することで、バスケット11の上フランジ部13の下面が保持部25の上端部に当接して支持されるとともに、一対の保持部25によって、水平方向におけるバスケット11のストッカー21に対する相対変位が規制されるようになっている。加えて、ストッカー21に設置されたバスケット11は、規制部材26(キャスター27を規制部材26に取付けるための取付部材)から上方に離間するように構成されている。
【0046】
また、
図14に示すように、本実施形態では、下側のストッカー21に対して上側のストッカー21をクロスさせ(90度旋回させた向きとして)、下側のストッカー21の複数の縦辺部24で囲まれる内側空間28に(縦辺部24が広がっている上方から)、上側のストッカー21を相対的に挿入させるようにしてストッカー21同士を積重ねる(「クロス積み」をする)ことが可能に構成されている。
【0047】
より具体的には、ストッカー21は、ストッカー21のクロス積み状態において上側のストッカー21の下辺部23(下面側)に対して上下方向に当接する段積み部材29を備えている。段積み部材29は、各ベース部22の一対の縦辺部24間を連結するようにして設けられるとともに、延在方向の中央部を含む部位が下方に凹むクランク状に構成されている。ストッカー21のクロス積み状態では、下側のストッカー21の段積み部材29のクランク状部位に、上側のストッカー21の短手幅側(一対の下辺部23)が略嵌入される。これにより、上側のストッカー21の下辺部23と下側のストッカー21の下辺部23とが上下に離間するとともに、下側のストッカー21の段積み部材29と当接した上側のストッカー21の下辺部23の延在方向に対して平面視で交差する方向において上側のストッカー21と下側のストッカー21との相対変位が規制されるようになっている。尚、段積み部材29は、断面円形の鋼材をクランク状に屈曲させることで構成され、段積み部材29の両端部が縦辺部24に溶接固定されている。
【0048】
また、本実施形態では、一対の規制部材26の外辺部(ストッカー21の外周側の辺部)間の距離が、一対の段積み部材29の内辺部(ストッカー21の内周側の辺部)間の距離よりも若干短くなるように構成されている。ストッカー21のクロス積み状態では、上側のストッカー21の一対の規制部材26が、下側のストッカー21の一対の段積み部材29(クランク状部位)の間に挿入され、上側のストッカー21の一対の規制部材26と、下側のストッカー21の一対の段積み部材29とが水平方向において略当接(当接、又は、近接)するようになっている。これにより、下側のストッカー21の段積み部材29と当接した上側のストッカー21の下辺部23の延在方向において上側のストッカー21と下側のストッカー21との相対変位が規制されることとなる。換言すれば、ストッカー21のクロス積み状態において、下側のストッカー21の縦辺部24と、当該ストッカー21の内側空間28に相対的に挿入された上側のストッカー21との間が遠近する方向に対して交差(略直交)する方向の相対変位が規制されるようになっている。本実施形態では、規制部材26により規制部が構成されている。
【0049】
以上詳述したように、第2実施形態についても、ストッカー21をクロス積みすることができ、バスケット11が設置されていない状態におけるストッカー21の運搬効率、及び、保管効率の向上等を図ることができる。本実施形態では、3段のクロス積みを行った場合に、ストッカー21のほぼ2台分の高さから1つのキャスターの高さを引いた高さとなるように構成されている。さらに、縦辺部24が上方に向けてストッカー21の長手幅方向においてストッカー21の外周側に傾斜して延びており、縦辺部24が効率的なクロス積みを阻害し難くなるように構成されている。このため、ストッカー21の段積み作業を行い易くすることができる上、ストッカー21の平面視で短手幅を長手幅に極力近くする等、設計の自由度の向上を図ることができる。また、例えば、縦辺部24を略鉛直方向に延在させる場合に比べ、下辺部23の長さを短くすることができ、省資源化等を図ることができる。
【0050】
また、ストッカー21のクロス積み状態において、下側のストッカー21の段積み部材29のクランク状部位に対し上側のストッカー21の短手幅側(一対の下辺部23)が略嵌入するとともに、下側のストッカー21の一対の段積み部材29の間に、上側のストッカー21の一対の規制部材26が略嵌入した状態とされる。これにより、クロス積みされたストッカー21同士の水平方向における全方向の相対変位を規制することができる。従って、別部材(結束バンド等)を要さずとも、クロス積み状態のストッカー21の脱落等をより確実に防止することができる。さらに、クロス積みされるストッカー21の水平方向における位置決めがなされ、クロス積みされたストッカー21が、一段置きに、同じ向き、かつ、平面視で同じ位置に配置されることとなる。従って、ストッカー21がバランスよく積重ねられ、ストッカー21のクロス積み状態の安定化をより一層図ることができる。
【0051】
加えて、ストッカー21のクロス積み状態において、上側のストッカー21の下辺部23と下側のストッカー21の下辺部23とが上下に離間するようになっている。このため、規制部材26にキャスター27を設ける場合においても、ストッカー21のクロス積み状態において、キャスター27と、一段下のストッカー21の規制部材26や下辺部23との干渉を回避することができ、段積み作業に際してのキャスター27等の損傷等を抑止することができる。
【0052】
また、段積み部材29は、一対の縦辺部24間を連結するようにして設けられるとともに、下方に凹むクランク状に構成されている。このため、段積み部材29のうちストッカー21の水平方向の位置ずれを防止する部位を一対の縦辺部24からそれぞれ離間した位置(中央部)に設けることができ、ストッカー21をバランスよくクロス積みすることができる。さらに、クランク状の段積み部材29を設けることで、下側のストッカー21の段積み部材29に当接した上側のストッカー21が下側のストッカー21の一対の縦辺部24のうち一方側に近付く変位と、他方側に近付く変位との両方を規制することができ、例えば、一方側に近付く変位を規制する段積み機能部と、他方側に近付く変位を規制する段積み機能部とを別々に設ける場合に比べ、段積み部材29を溶接でストッカー21に取付ける際の作業性の向上、及び、製造誤差の抑制等を図ることができる。
【0053】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0054】
(a)上記第1実施形態及び第2実施形態では、縦辺部4(縦辺部24)をストッカー1(ストッカー21)の長手幅方向においてのみ傾斜させているが、短手幅方向にも傾斜させることとしてもよいし、短手幅方向にのみ傾斜させることとしてもよい。
【0055】
また、上記第1実施形態において、段積み部材9と上辺部3との間が閉じているような構成としてもよいし、一対のベース部2の一対の縦辺部4のうち、一方の縦辺部4同士の間、及び、他方の縦辺部4同士の間が閉じているような構成(略板状の一対の支持部と、一対の支持部間を連結する連結部とを備え、一対の支持部の間にバスケット11を設置する構成)としてもよい。さらに、上記第2実施形態において、段積み部材29と下辺部23との間が閉じているような構成としてもよいし、一対のベース部22の縦辺部24のうち、一方の縦辺部24同士の間、及び、他方の縦辺部24同士の間が閉じているような構成としてもよい。
【0056】
例えば、
図15に示すストッカー31のように、上縁部側においてバスケット11の上フランジ部13の下面と当接して支持する保持部32が溶接固定され、下縁部において上方に凹となる凹部が形成されることにより設けられ、ストッカー31のクロス積みに際して水平方向におけるストッカー31同士の相対変位を規制する段積み機能部34を有する連結部33を備えることとしてもよい。また、ストッカー31は、上下方向に延びる一対の縦辺部36と、一対の縦辺部36の上端部間を連結する補助保持部37とを具備する脚部構成部35を一対で備え、一対の脚部構成部35の各縦辺部36の上部(上端部よりも若干下方位置)間を連結するようにして、一対の前記連結部33が設けられている。縦辺部36は、下方に向けて平面視で連結部33の延長線上に連結部33から遠ざかるようにして傾斜して延びている。
【0057】
当該ストッカー31についても、
図16に示すようにクロス積みすることで、上側のストッカー31の各段積み機能部34に対し下側のストッカー31の一対の連結部33が(クロスして)挿入されるとともに、上側のストッカー31の一対の連結部33の間に下側のストッカー31の保持部32が(クロスして)挿入されることで、水平方向におけるストッカー31同士の相対変位が規制されるようになっている。また、縦辺部36が傾斜していることにより、ストッカー31のクロス積み状態において、一段置きに積重ねられているストッカー31に関して、上側の(例えば、下から3段目の)ストッカー31の縦辺部36が、下側の(例えば、下から1段目の)ストッカー31の縦辺部36の外側に重なるような格好で、上側の(例えば、下から3段目の)ストッカー31の縦辺部36の下端部が、下側の(例えば、下から1段目の)ストッカー31の上面(縦辺部36の上端部)よりも下方に位置するようになっている。
【0058】
尚、
図15に示すストッカー31は、連結部33の下縁部に設けられた段積み機能部34の各側縁部が鉛直方向に対して傾斜している上、連結部33の上縁部のうち段積み機能部34の各側縁部に対応する部位が当該段積み機能部34の各側縁部と平行して延在している。ストッカー31のクロス積み状態では、一段置きに、上側の(例えば、下から3段目の)ストッカー31の縦辺部36の内側側面と、下側の(例えば、下から1段目の)ストッカー31の縦辺部36の外側側面とが上下かつ外内に当接するとともに、上側のストッカー31の段積み機能部34の側縁部と、下側のストッカー31の連結部33の上縁部の傾斜部位とが上下かつ外内に当接することとなる。さらに、下から1段目のストッカー31から一段置きに、当該ストッカー31(例えば、下から1段目のストッカー31)の一対の保持部32が、その直上のストッカー31(例えば、下から2段目のストッカー31)の一対の連結部33の間に略嵌入されるようになっている一方で、下から2段目のストッカー31から一段置きに、当該ストッカー31(例えば、下から2段目のストッカー31)の一対の保持部32は、その直上のストッカー31(例えば、下から3段目のストッカー31)の一対の連結部33の間に挿入されず、下方に離間する(下から2段目のストッカー31の保持部32と、下から3段目のストッカー31の連結部33との関係、及び、下から2段目のストッカー31の一対の連結部33と、下から3段目のストッカー31の段積み機能部34との関係では、水平方向の相対変位の規制は行われない)ようになっている。この点、上記のように、クロス積みされたストッカー31が一段置きに、縦辺部36同士が上下かつ外内に当接することから、かかる構成により、下から2段目のストッカー31と、下から3段目のストッカー31との間の水平方向への相対変位についても、1段目と3段目とのストッカー31、及び、2段目と4段目のストッカー31との関係を含めて4段を1セットとして規制される(換言すれば、保持部32、連結部33、及び、段積み機能部34によって水平方向の相対変位が規制される2段を1セットとして、セット同士が縦辺部36同士の上下かつ外内方向への当接等によって前後、及び、左右方向への相対変位が規制される)ようになっている。
【0059】
(b)上記第2実施形態において、保持部25の延出部25bの延出長を短くする(或いは、省略して、バスケット11のストッカー21の短手幅方向における変位を段積み部材29で規制可能な構成とする)等し、例えば、ストッカー21を3段に積重ねる場合に、下から3段目のストッカー21の下辺部23の下端部が、下から1段目のストッカー21の保持部25の間に挿入されて当該保持部25よりも下方に位置するように構成してもよい。当該構成を採用する場合、より一層の段積み効率の向上を図ることができる。
【0060】
(c)上記第1実施形態では、補助保持部5が、一対の傾斜部5aと、水平部5bとにより構成されているが、一本の直線状に構成してもよいし、各縦辺部4から互いに近付く方向に向けて略水平方向に延びる下水平部と、各下水平部の先端部から上方に向けて略鉛直方向に延びる垂直部と、垂直部の上端部間を連結する上水平部とを備えるクランク状(段積み部材9のような形状)に構成してもよい。また、補助保持部5の水平部5bの上端部の高さ位置を、保持部7の上端部の高さ位置と同じとしてもよいし、補助保持部5がバスケット11の上フランジ部13に当接し得ない構成としてもよい。さらに、上記第1実施形態において、補助保持部5のみで保持部が構成される、或いは、補助保持部5により主たる保持部が構成されることとし、保持部7がバスケット11の上フランジ部13の下面に当接しない(水平方向への変位を規制する機能は具備していてもよい)、或いは、複数のバスケット11が重ねて設置された場合に(補助保持部5が若干下方に変形する等して)当接し得る構成としてもよい。
【0061】
(d)また、上記第1実施形態において保持部7(上辺部3から上方に突出する部位)を省略し、上辺部3によりバスケット11の上フランジ部13を支持するように構成してもよい。さらに、上辺部3において平らな上面を設けることとしてもよいし、上辺部3と、縦辺部4とが溶接固定される構成(
図15参照)としてもよい。加えて、上記第1実施形態及び第2実施形態において、キャスター6(キャスター27)に代えて、又は、加えて、アジャスター機能を具備する接地部(或いは、キャスター27に代えて、アジャスター機能のない樹脂製又はゴム製の接地部)を設けてもよい。尚、キャスターがなく、さらに、別部材の接地部も設けられない構成(
図15参照)としてもよい。また、上記第1実施形態、及び、
図15、
図16に示す実施形態において、保持部7(保持部32)を平面視で上辺部3(連結部33)よりもストッカー1の内周側に突出させるようにして設けることとしてもよい。
【0062】
(e)上記第1実施形態において、段積み部材9を下方に凸となるクランク状とし、クロス積み状態において、上側のストッカー1の段積み部材9のクランク状部位が、下側のストッカー1の一対の上辺部3の間に略嵌入するような構成としてもよい。加えて、上記第2実施形態において、段積み部材29を上方に凸となるクランク状とし、クロス積み状態において、下側のストッカー21の段積み部材29のクランク状部位が、上側のストッカー21の一対の下辺部23の間に略嵌入するような構成としてもよい。
【0063】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態において、段積み部材9(段積み部材29)が、一対の縦辺部4(縦辺部24)間を連結する構成に限定されるものではなく、段積み部材9(段積み部材29)が中間位置で分断されたような構成としてもよい。さらに、分断された端部が上辺部3、又は、下辺部23に連結されることとしてもよい。
【0064】
加えて、上記第1実施形態及び第2実施形態において、段積み部材9(段積み部材29)を省略することも可能である。さらに、上記第1実施形態の保持部7を省略、或いは、上側にクロス積みされたストッカー1の段積み部材9から離間する位置に設ける(上辺部3の延在方向における長さを短くする)こととしてもよいし、第2実施形態の規制部材26を省略、或いは、下側にクロス積みされたストッカー21の段積み部材29から離間して設けることとしてもよい。これらの構成を採用する場合、上辺部3(下辺部23)に別部材を(溶接等で)取付けたり、上辺部3(下辺部23)自体の形状を変更(溝等を形成)させたりして、クロス積みされたストッカー1(ストッカー21)同士の水平方向における変位を規制する構成を設けることが望ましい。
【0065】
(f)上記第1実施形態及び第2実施形態では、ストッカー1、ストッカー21(キャスター6、キャスター27以外の部位)が鉄により構成されているが、アルミニウム等のその他の金属製としてもよいし、樹脂製としてもよいし、金属部品と樹脂部品との組合せにより構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…ストッカー、2…ベース部、3…上辺部、4…縦辺部、5…補助保持部、5a…傾斜部、5b…水平部、7…保持部、8…内側空間、9…段積み部材、11…バスケット、12…本体部、13…上フランジ部、14…補強用リブ、21…ストッカー、22…ベース部、23…下辺部、24…縦辺部、25…保持部、26…規制部材、28…内側空間、29…段積み部材。