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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】地熱発電装置
(51)【国際特許分類】
   F24T 50/00 20180101AFI20240730BHJP
   F03G 4/00 20060101ALI20240730BHJP
   F16L 59/15 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F24T50/00
F03G4/00 501
F16L59/15
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021155051
(22)【出願日】2021-09-24
(62)【分割の表示】P 2017200775の分割
【原出願日】2017-10-17
(65)【公開番号】P2022003293
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】P 2017104035
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514019671
【氏名又は名称】ジャパン・ニュー・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167690
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 直
(72)【発明者】
【氏名】坂本 秀男
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/035770(WO,A1)
【文献】特開2016-031023(JP,A)
【文献】特開2013-164062(JP,A)
【文献】米国特許第04844164(US,A)
【文献】特開2005-351558(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02639529(EP,A1)
【文献】米国特許第05862866(US,A)
【文献】中国特許出願公開第101832673(CN,A)
【文献】特開2018-200161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24T 50/00
F03G 4/00
F16L 59/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に媒体を搬送し、地中にて熱を吸収した前記媒体を回収する熱媒体移送管を備えた地熱発電装置であって、
温度の低い地熱帯にある断熱領域に設けた対流遮断部と、前記断熱領域における前記熱媒体移送管の外周に設けた複数の管状の保護管と、
前記熱媒体移送管に最も近接する前記保護管と前記熱媒体移送管との間に上下方向の複数の箇所に設け、上下方向へ対流することを遮断する対流遮断部と、を備え、
前記熱媒体移送管に最も近接する前記保護管を他の保護管より地中深く配設し、上下に配設される前記対流遮断部の間に地下からの熱水の対流を阻害することを特徴とする地熱発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地熱帯を熱源として媒体により熱の回収を行い、その熱媒体を移送する際に、熱の保温する能力を高めた熱媒体移送管及びその熱媒体移送管を利用して発電を行う地熱発電システム及び地熱発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から地熱発電システムでは、地熱帯に存在する自然の蒸気を自然の圧力を利用して取り出し、気水分離して使用する方法であるため、取り出された蒸気には地熱帯特有の硫黄やその他の不純物が多量に含まれている。この不純物はスケールとなって、熱井戸や配管類、あるいはタービンの羽根等に付着する。スケールが付着すると、経年的に発電量が減少し、長期間の使用が困難となる。
【0003】
特許文献1では、バイナリー発電システムにおいて、熱源流体が地熱流体または地熱との熱交換により吸熱し、蒸発器で放熱して再び地熱流体または地熱との熱交換のために還流する閉ループ循環流路を構成するとともに、低沸点媒体を冷却する冷却流体についても、地中に放熱冷却を行う閉ループ流路を構成するか、蒸発器を通過した後の熱源流体を駆動熱源とする冷凍機と熱交換器を備え、凝縮器における低沸点媒体の凝縮液化を最適化できるよう、冷却流体の温度を制御して凝縮器への冷却流体供給を行う閉ループ流路を構成する地熱発電システムが提案されている。
【0004】
特許文献2には、効率よく熱媒体を回収する熱媒体移送管に使用される一般的な管ねじ継ぎ手が開示されており、ねじ部及びねじ無し金属接触部を有する接触表面をそれぞれ備えるピン及びボックスから構成され、前記ねじ無し金属接触部はシール面及びショルダ面を備え、ピンのショルダ面はピン先端の端面に位置し、前記シール面とショルダ面との間にピンとボックスとが互いに接触しない非接触領域を有し、ピンとボックスの少なくとも一方のショルダ面が、前記非接触領域とねじ継手の内部とに通じる少なくとも1つの溝を有する管ねじ継手が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-84857号公報
【文献】特表2014-517925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、温泉水を汲み上げて利用する発電方法では、地熱井及び生産井、さらに配管設備やタービン等の設備にスケールが付着して経年的には発電量が低下する。又、スケールを除去するための定期的なメンテナンスが必要である。環境面においても温泉水を汲み上げて利用するため、温泉水の吐出量等に影響することも考えられる。また、汲み上げて温泉水を発電に利用した後の水は、還元井から大地に戻すのであるが、スケールを除去するための化学物質等が含まれており環境に与える影響が少なからず発生する。
また、特許文献1に見られるように地下の熱だけを利用して発電を行う方法は、環境によく温泉水への湯量や化学物質等への懸念も考慮する必要がないため有効である。
【0007】
また、地中で熱を回収し、得られた熱水を地上まで移送するために、熱媒体移送管を必要とするが、熱媒体移送管は、地熱帯の温度に依存するこになるが1000mから3000mの長さが必要であり、熱媒体移送管は管ねじ継ぎ手により管が接続され、熱媒体移送管は、地中深くまで延びている。特許文献2に見られるように管ねじ継手は内外圧力下での耐圧縮性能やシール性能が強く求められ、強固に管と接合している。
【0008】
しかしながら、管ねじ継ぎ手は保温性能を高めるための構造は採られておらず、温度の低い地表近くでは管の内外にて熱の伝達が発生し、地中から回収した熱が奪われてしまうという問題がある。また、管ねじ継ぎ手だけでなく、保温が必要な移送管は、大径になればなるほど強度との兼ね合いで保温構造が難しく技術的に困難な状況となってきている。また、保温構造を設けることにより保温性能を損ねることなく設置する作業性を向上させる技術も要求されるようにもなってきている。
そのため、地中から得られた熱媒体を有効に利用するために、作業性能も考慮しながら熱媒体の移送途中で熱媒体の熱が奪われずに、地上にある分離器又は熱交換器まで移送する技術が必要になってきた。
【0009】
本発明は、このような課題を鑑みされたものであり、地熱帯から得られた熱を地上において媒体により有効に利用するために、下方からの熱媒体移送管よりも温度の低い水の侵入を防止し、熱媒体移送管の断熱性能を向上させる地熱発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の目的を達成するために、以下の手段を採った。
【0011】
地中に媒体を搬送し、地中にて熱を吸収した前記媒体を回収する熱媒体移送管を埋設した地熱発電装置であって、
第1保護管と第2保護管との間に設けた断熱層により密封する第1密封層と、
第2保護管と第3保護管との間に設けた断熱層により密封する第2密封層と、
前記第3保護管の内側に設けた熱媒体移送管と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
以上の特徴によって、密封層は、下方からの熱媒体移送管よりも温度の低い水の侵入を防止し、熱媒体移送管の断熱性能を向上させている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態にかかる本発明の地熱発電システムの構成を示す概要図である。
図2図2は、第1実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管の一部を現した斜視図である。
図3図3は、第1実施形態にかかる本発明の媒体注入管を分解した一部を現した斜視図である。
図4図4は、第1実施形態にかかる本発明の媒体注入管の一部の縦断面図である。
図5図5は、第1実施形態にかかる本発明の保温管の一部の斜視図である。
図6図6は、第1実施形態にかかる本発明の媒体注入管の一部の縦断面図である。
図7図7は、第1実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管の一部の縦断面図である。
図8図8は、第1実施形態にかかる本発明の熱媒体取出管の一部の縦断面図である。
図9図9は、第1実施形態にかかる本発明の水の状態変化の概要図である。
図10図10は、第1実施形態にかかる本発明の地熱発電システムの熱媒体移送管の深度と熱水の温度分布の関係を示す関係図である。
図11図11は、第1実施形態にかかる本発明の保温性能を示す実験データに関する説明図である。
図12図12は、第2実施形態にかかる本発明の地熱発電システムの構成を示す概要図である。
図13図13は、第3実施形態にかかる本発明の地熱発電システムの構成を示す概要図である。
図14図14は、第4実施形態にかかる本発明の地熱発電システムの構成を示す概要図である。
図15図15は、第5実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管の一部を省略した縦断面図である。
図16図16は、第5実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管を施工する途中の縦断面図である。
図17図17は、第5実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管を施工する途中の縦断面図である。
図18図18は、第5実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管の管ねじ継ぎ手の部分を拡大した概要図である。
図19図19は、第5実施形態にかかる本発明の変形例の熱媒体移送管の一部を省略した縦断面図である。
図20図20は、第5実施形態にかかる本発明の地熱発電システムの熱媒体移送管の深度と熱水の温度分布の関係を示す関係図である。
図21図21は、第6実施形態にかかる本発明の地熱発電システムの構成を示す概要図である。
図22図22は、第6実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管の構成を示す概要図である。
図23図23は、第1実施形態にかかる熱媒体取出管の変形例を示す縦断面図である。
図24図24は、第5実施形態にかかる受け管の変形例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明にかかる地熱発電システム1、100、200、300、400の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態にかかる地熱発電システム1を、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態にかかる本発明の地熱発電システム1の構成を示す概要図である。
【0016】
地熱発電システム1は、主に加圧給水ポンプ3、熱媒体移送管10、温水サービスタンク4、復水ユニット17、給水ユニット18、気水分離器F、蒸気タービンT、発電機G及び受電設備TFとから構成されている。
地熱発電システム1は、加圧給水ポンプ3から地中の最深部に媒体注入管50によって供給される媒体としての水を熱交換し、熱水となった水を加圧しながら熱媒体取出管80によって地上に移送する。移送された熱水L3は、圧力調整弁PV1により減圧沸騰させ気水分離器Fに移送される。気水分離器Fにて蒸気と熱水を分離し、発生した蒸気V1は、蒸気タービンTに供給される。
【0017】
地熱発電システム1は、発生した蒸気V1を蒸気タービンTに供給することで、発電機Gを回転させて発電を行い、受電設備TFに電気を供給し送電網を介して電力会社等に電気を供給している。
蒸気タービンTは、タービン形式だけでなくスクリュー形式のもの等であってもよく、蒸気によって発電可能なものであればよい。蒸気タービンTに供給される蒸気V1は、熱水L3を減圧沸騰させて気水分離器Fにて熱水と蒸気に分離される。
【0018】
気水分離器Fに供給される熱水L3の全量は、蒸気V1とされることがないため、気水分離器Fから多量の熱水L4いわゆるドレンが温水サービスタンク4に送られる。また、蒸気タービンTで排気された蒸気V3は、復水ユニット17に送られ、復水ユニット17に送られた蒸気V4は、復水器6に接続される冷却塔15に送られる。送られた蒸気V4は、凝縮され水に戻され復水器6を経由し、復水タンク14に一旦蓄えられてから復水ポンプ5によって温水サービスタンク4に送られる。
【0019】
温水サービスタンク4の温水L8は、加圧給水ポンプ3により温水L1として熱媒体移送管10へ移送される。加圧給水ポンプ3で移送される温水L1は、再度地熱帯Uのある深部で地中熱から熱を吸収し熱交換される。熱交換した熱水L2は、後述する熱媒体移送管10により加圧給水ポンプ3で移送される。
【0020】
(熱媒体移送管)
次に、図2乃至図10を参照し熱媒体移送管10を説明する。図2は、第1実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管10の一部を現した斜視図である。図3は、第1実施形態にかかる本発明の媒体注入管50を分解した一部を現した斜視図である。図4は、第1実施形態にかかる本発明の媒体注入管50の一部の縦断面図である。図5は、第1実施形態にかかる本発明の保温管60の斜視図である。図6は、第1実施形態にかかる本発明の媒体注入管50の一部の縦断面図である。図7は、第1実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管50の一部の縦断面である。図8は、第1実施形態にかかる本発明の熱媒体取出管80の一部の縦断面図である。図9は、第1実施形態にかかる本発明の水の状態変化の概要図である。図10は、第1実施形態にかかる本発明の地熱発電システム1の熱媒体移送管10の深度と熱水の温度分布の関係を示す関係図である。
【0021】
図10に示すように、地表Sから地中深部にある熱源となる地熱帯Uまで熱媒体移送管10が埋設されている。熱媒体移送管10は、外側に円筒状の媒体注入管50が埋設され、その媒体注入管50の周囲は地表Sから地熱帯Uに至る領域の前まで、すなわち発電に必要な温度よりも低い温度の領域は、地熱セメント等により固められており、崩落の危険がないように施されている。熱媒体移送管10は、熱媒体移送管10の媒体注入管50の最深部に位置する地熱帯Uの流体又は岩盤からの熱を吸収する。熱媒体移送管10の長さは、地熱帯Uの温度により全長が変化し、流動する熱媒体を200℃前後まで昇温できる地熱帯Uまで伸びている。
【0022】
媒体注入管50は、スチールやステンレス等の素材で形成されている。温度の高い地熱帯Uの領域において、媒体注入管50は、外周の表面積を多くし、地熱帯Uの熱を伝わりやくするために、断面が円形の円柱状のフィンが溶接されている。媒体注入管50は、地表Sに近い温度の低い領域では、温水サービスタンク4から加圧されて注入される温水L1の熱が奪われないように後述する断熱構造がとられている。
【0023】
熱媒体移送管10は、媒体注入管50の内側に、地熱帯Uにて熱せられた水を移送する円筒状の熱媒体取出管80を設けている。熱媒体取出管80は、媒体注入管50の内側であって同軸上に円筒状に形成されている。熱媒体取出管80は、管の内側を熱水L3が通過可能な円筒状とし、その外側は垂直方向に沿って真空断熱構造又は断熱材を付設した構造としている。
【0024】
更に熱媒体移送管10を図2乃至図11を参照し詳細に説明する。熱媒体移送管10は、媒体注入管50及び熱媒体取出管80から構成されている。
先ず、図2乃至図7を参照し媒体注入管50を説明する。図2は、断熱材70を除いた媒体注入管50の斜視図であり、媒体注入管50は、注入管40と、管ねじ継ぎ手51、図5に示す保温管60及び断熱材70から構成されている。媒体注入管50は、注入管40を管ねじ継ぎ手51により連結し、最深部Uまで長い管状を形成する。
【0025】
図2乃至図7に示すように注入管40は、把持部47を除いて最表面に耐熱性のあるポリエチレン、ポリプロピレン、6ナイロン、66ナイロン、発泡ウレタン、フッ素等の樹脂で周囲を被覆した被覆層46を形成している。
図4及び図6に示すように注入管40は、僅かにテーパ状をなした両端の外面に、ネジ溝を形成した雄ネジ部42を備えている。尚、図4図6及び図7の図では雌ネジ部52及び雄ネジ部42を斜線で示している。把持部47は、媒体注入管50をチャッキングし、管ねじ継ぎ手51をトルク管理しながら、ねじ込む際や媒体注入管50自体を保持するために金属の剥き出した状態で設けられており、被覆層46を構成していない部分である。被覆層46を設けると把持する力を阻害する恐れがあるからである。
【0026】
次に、図3図4図6及び図7に示す管ねじ継ぎ手51は、雄ネジ部42と嵌合するように、内側にネジ溝を形成した雌ネジ部52を備えている。管ねじ継ぎ手51は、内部の中央に雄ネジ部42が形成されていない空間であって、後述する突出部62が嵌め合わされる空間として載置空間部53が設けられている。
【0027】
次に、図3乃至図7に示す保温管60は、全長が約1200mm程度で管状に形成された耐熱性のあるポリイミド、ポリイミドアミド、66ナイロン、ピーク、ポリアミド又はフッ素等の樹脂で形成された挿入管61を備えている。又、挿入管61の中央に、内径を挿入管61の外径と同じくし、同一の樹脂により形成した環状の突出部62が超音波による溶着等により接合されている。これにより、挿入管61及び突出部62は一体に形成されている。尚、溶着に限らず型成形で一体的に保温管60を形成しても良い。保温管60の縦方向の長さは、把持部47はもちろん被覆部46の一部に掛かるように形成され、管ねじ継ぎ手51及び注入管40が外部から受ける熱移動の影響を考慮し設計されている。
【0028】
突出部62の外径は、注入管40の内径より大きいので、保温管60は注入管40の内部に落下することなく突出部62は、載置空間部53に留まる。また、挿入管61の外径は、注入管40の内径よりも小さいため挿入管61は、注入管40内部に入り込む。
以上の構造のため、媒体注入管50の接続は、管ねじ継ぎ手51をねじ嵌めした後、保温管60の挿入管61を注入管40の内部に挿入し、上方から他の注入管40を管ねじ継ぎ手51にネジ締めし連結する。
【0029】
このように、媒体注入管50の連結は簡単な作業で完成する。また、保温管60により媒体注入管50の保温性能は向上するだけでなく、保温管60自体の取り替えや媒体注入管50の設置の作業が容易である。また、突出部62は、加圧給水ポンプ3により熱水が沸騰しないように圧力を掛け、熱水を圧送しても突出部62は注入管40の間に保持されるように形成されている。そのため、保温管60は脱落しない。尚、保温管60は両端を注入管40の間に保持されているために上下の方向に脱落することはなく。また後述する熱媒体取出管80についても同様に保温管60は上下の方向に脱落することはない。
【0030】
次に、図4を参照し媒体注入管50の周囲に設けられる断熱材70について説明する。断熱材70は、媒体注入管50の周囲に密接し、ガラスウール等の材質で形成した断熱層71と最外周にアルミ等の金属膜により形成した保護膜部72を設けている。媒体注入管50は、管の外側に対して断熱材70及び被覆層46により断熱構造がとられている。
【0031】
次に、図7及び図8を参照し熱媒体取出管80について説明する。熱媒体取出管80は、地中深くの熱を熱水により回収し地上に輸送し、蒸気を発生させ蒸気発電に熱を利用するために設けられている。熱媒体取出管80は、図2乃至図6参照し媒体注入管50と全く同じ構造の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。熱媒体取出管80は、媒体注入管50の内部に位置し、取出管81と、管ねじ継ぎ手55及び保温管90で構成されている。
【0032】
取出管81は、注入管40の構造に対応し、管ねじ継ぎ手55は、管ねじ継ぎ手51の構造に対応し、載置空間部57は、載置空間部53の構造に対応し、雄ネジ部82は、雄ネジ部42の構造に対応し、雌ネジ部56は、雌ネジ部52の構造に対応し、保温管90は、保温管60の構造に対応し、被覆層86は、被覆層46の構造に対応し、把持部87は、把持部47の構造に対応し、突出部92は、突出部62の構造に対応している。熱媒体取出管80は、内部に空間となる空気層又は断熱材が埋設された断熱層を形成した断熱部85を縦方向に沿って設けている。熱媒体取出管80は、保温管60により断熱構造が採られ、熱の伝達を防いでいる。
【0033】
このように、熱媒体取出管80の連結は、上述の媒体注入管50と同様に簡単な作業で完成する。また、保温管90により熱媒体取出管80の保温性能は向上するだけでなく、保温管90自体の取り替えや熱媒体取出管80の設置の作業が容易である。また、熱媒体取出管80は、媒体注入管50も保温管60や断熱構造により保温状態が良好になっていることに加え、保温管90、断熱部85及び被覆層86により保温状態が向上し、熱を奪われずに熱水L3を地中から取り出すことが可能である。
【0034】
次に本発明の保温性能を示す実験でデータを説明する。図11(A)は、従来の媒体注入管101を模式した図である。図11(B)は、本発明の媒体注入管50を模式した図である。図11(B)は、従来の媒体注入管101と本発明の媒体注入管50の保温性能を示す実験データの結果である。
出願人は、図11に示すように本発明の媒体注入管50と従来の媒体注入管101と断熱性能を比較するために模式図のように各ポイント(P1からP8)における温度を測定し、温度勾配を求めた。両方の管(101、50)の内部にはヒータを挿入し、ヒータにより暖めた水と管の外部には常温の水が満たされている。媒体注入管101と比較して、媒体注入管50は、保温管60と被覆層46を付加して備えている。
【0035】
測定した温度勾配は、図11(C)に示すように、従来の媒体注入管101のP1-P2間は、890℃/mとなり、本発明の媒体注入管50のP5-P6間は、3980℃/mを示し、本発明の媒体注入管50は、従来の媒体注入管101よりも大きく温度差があることを示し、保温管60により断熱性能が向上していることが確認できる。
また、従来の媒体注入管101のP3-P4間は、3420℃/mとなり、本発明の媒体注入管50のP7-P8間は、9790℃/mを示し、本発明の媒体注入管50は、従来の媒体注入管101よりも大きく温度差があることを示し、被覆層46により断熱性能が向上していることが確認できる。
以上により、本発明は断熱性能を向上させた熱媒体移送管10を備えることができる。
【0036】
地熱帯Uで熱せられた熱水L3は、圧力調整弁PV1で減圧沸騰し蒸気が生成される。ここで、気水分離器Fは、圧力調整弁PV1に接続され、蒸気を発生させる際のノズルは、自吸により微小気泡となるマイクロバブルやナノバブルを生成することができるノズルを使用しても良い。この構成により蒸気発生効率を向上させることができるので、水を移送する速度を落としても充分な蒸気量を確保できるため、地熱帯Uの熱吸収領域での水の滞在時間を多くとることができ、水が熱を吸収する時間が取れ高温の熱水とすることができる。
【0037】
断熱性能を向上させた他の変形例として熱媒体取出管80の他の実施例を図23を参照して説明する。図23は、第1実施形態にかかる熱媒体取出管80aの変形例を示す縦断面図である。尚、上述した実施例と同じ箇所には同じ符号が付してあり、上述した記載については省略する。
熱媒体取出管80aは、地中深くの熱を熱水により回収し地上に輸送し、圧力調整弁PV1(図1)にて蒸気を発生させ蒸気発電に熱を利用するために設けられている。熱媒体取出管80aは、媒体注入管50の内部に位置し、取出管81aと、管ねじ継ぎ手55及び保温管91で構成されている。
【0038】
取出管81aは、両端の外周にネジ溝を設けている。また、管ねじ継ぎ手55は、取出管81aのネジ溝と嵌合するように内周にネジ溝を設けている。取出管81aは、取出管81同士を管ねじ継ぎ手55により嵌合させて連結することにより延設することが可能である。
【0039】
また、図23に示すように、ポリイミド、ポリイミドアミド、66ナイロン、ピーク、ポリアミド又はフッ素等の樹脂で形成された保温管91は、管継ぎ手55の中央と取出管81aの中間付近で分割され、取出管81aの全長を覆っている。このように、熱媒体取出管80aは、一部だけでなく取出管81aの全長を保温管91により覆うことによって、取出管81aに空気層や断熱材等による断熱構造を設けることをしなくとも、安価に熱媒体の保温状態を良好に保ちながら熱媒体を地上まで移送することが可能である。
【0040】
保温管91は、保温管91a、91bの中央に、内径を保温管91a、91bの外径と同じくし、同一の樹脂により形成した環状の突出部92a、92bが超音波による溶着等により接合されている。これにより、保温管91a、91b及び突出部92a、92bは一体に形成されている。尚、溶着に限らず型成形で一体的に保温管91を形成しても良い。
【0041】
突出部92a、92bの外径は、取出管81aの内径より大きいので、保温管91は取出管81aの内部に落下することなく突出部92a、92bは、載置空間部53に留まる。また、保温管91の挿入する部分の外径は、取出管81aの内径よりも小さいため、保温管91は、取出管81aの内部に入り込む。
以上の構造により、取出管81aの接続は、管ねじ継ぎ手55をねじ嵌めした後、保温管91を取出管81aの内部に挿入し、上方から他の取出管81aを管ねじ継ぎ手55にねじ締めし連結する。
【0042】
このように、熱媒体取出管80aの連結する作業は、簡単な作業で完成する。また、突出部92a、92bは、熱水が沸騰しないように加圧給水ポンプ3が圧力を掛けているが、熱水を圧送しても突出部92a、92bは取出管81aの間に保持されるように形成されている。そのため、保温管91は脱落することはない。
以上のように、保温管91は両端を取出管81aの間に保持されているために上下の方向に脱落することはなく。
【0043】
また、図23に示すように管ねじ継ぎ手55の部分は、取出管81aを管ねじ継ぎ手51により連結作業をした後に、ポリオレフィン樹脂やポリプロピレン樹脂等の熱を加えると収縮可能なチューブ状の樹脂、又はポリオレフィン樹脂やポリプロピレン樹脂等のテープを被覆した管ねじ継ぎ手被覆部93を設けることにより、熱の伝達を防ぐ断熱構造を設けている。以上の構造により、熱媒体取出管80aは、管ねじ継ぎ手55の部分における熱の伝達を、管ねじ継ぎ手被覆部93により遮断している。
【0044】
本実施例では地熱帯Uで熱交換する媒体として水を使用しているが、媒体としては、油、ガス(不活性ガス(窒素、二酸化炭素等))又はバイナリー発電で利用される水より沸点が低い媒体(水とアンモニアの混合物等)が考えられる。また、媒体として水又は不活性ガスを使用した場合において、熱媒体移送管10の破損等があり外部に流出したとしても、水又は不活性ガスであれば環境に害を与えることはなく、作業面においても安全に扱うことが可能である。
【0045】
(気水分離器)
図1に示す気水分離器Fは、円筒状の圧力容器となっており、気水分離器F内に設けられたノズルは、先端から熱水L3を噴出し、容器内にて蒸気V1及び熱水L4を分離させている。また、気水分離器Fの内外のいずれかに圧力(蒸気発生量)を調整する圧力調整弁PV1が設けられている。また、ドレインL4を回収する温水サービスタンク4に至る通路には圧力調整弁PV2が設けられており、気水分離器FからタービンTへ向かう蒸気圧力を調整し、気水分離器FからタービンTへ向かう蒸気量の制御にも活用が可能である。
【0046】
(温水サービスタンク)
次に、温水サービスタンク4について図1を参照して説明する。温水サービスタンク4は、円筒状の圧力容器となっている。温水サービスタンク4に接続される主な配管は、復水ユニット17から送られる復水L6を取り入れる配管と、給水ユニットから補給される脱気水L7を取り入れる配管と、加圧給水ポンプ3に接続され温水サービスタンク4から温水L8を送るポンプ配管と、気水分離器Fから送られるドレンL4を取り入れるドレン注入管及び温水サービスタンク4にてプール沸騰により生成した蒸気V2を排出する蒸気排出管とが設けられている。
【0047】
(給水ユニット)
給水ユニット18は、川の水や水道水等の原水16から工業用の軟水生成装置9を使用して軟水を生成する。そして、生成された軟水は補給水タンク8に貯留される。貯留された軟水は、脱酸装置又は脱酸剤を使用することで溶存酸素を除去している。
【0048】
酸素を除去した脱気水L7は、地熱発電システム1の初期の運転の際に、熱媒体移送管10を洗った後であって運転用の水に入れ替えする際に、温泉サービスタンク4を経由し送られる。そして、酸素を除去することにより、熱媒体移送管10内の錆止めとスケール発生を抑制することができる。特に熱媒体移送管10は全長が長いため、移送管の全行程に亘って内壁のスケールの発生の抑制を行えば、圧力損失の低減が可能となり、所内電力の省エネルギー化につなげることができる。
【0049】
また、脱酸剤の代表的な例では、ヒドラジン、タンニン又は植物直物由来の製品等様々にある。また、不活性ガスを利用した脱酸装置もあり、化学反応を起こしにくい不活性ガスが採用されている。不活性ガスの例には、害の少ない窒素やアルゴン等が採用されている。特に本発明のように、熱交換する媒体を高温下で圧力コントロールする必要があるため、作動流体の物性の変化を起こさない脱酸剤や脱酸装置が好ましい。
窒素等はマイクロバブル発生装置を利用して水に溶存し易くした後、その溶存した水を注入することにより酸素との置換が起こりやすくなる。
【0050】
通常運転時には、給水ユニット18は、脱気水L7の温度が低いため、温度の高い温水サービスタンク4には直接入れずに復水ユニット18を経由して不足した水を補給する。また、復水ユニット18を冷却するにおいても、原水16を利用してする冷却することが可能である。
【0051】
(復水ユニット)
次に、復水ユニット17について説明する。復水ユニット17は、タービンTから排気された蒸気V3を凝縮させて水に戻す機能を持っており、主に復水器6、復水タンク14及び冷却塔CTから構成されている。復水器6で受けた蒸気V3は、冷却塔CTで冷やされ、凝縮し温水L10に戻り、復水器6を経由し復水タンク14に貯留される。貯留された温水L6は、復水ポンプ5により温水サービスタンク4に送られ、温水サービスタンク4に貯留される。
尚、冷却塔CTによる冷却方法は、空冷式、川の水や海水等を利用した水冷式又は地中にて熱交換を行う地中熱置換式等がある。
【0052】
(上記システムを利用して発電する発電方法)
図1図9及び図10を参照して発電方法を説明すると、地上にて温度200℃前後の蒸気を得るためにボーリングにより開けられた穴の深度は、地中700mから2000m~3000m程度までの深さに達している。この深さは深ければ深いほど高い温度が得られると考えられるが、掘削費用との兼ね合いにより決められ、地熱帯Uは、200℃から300℃の温度があれば最もよく、地熱帯Uの最深部付近から得られる温度によって適宜以下の値も変化する。
【0053】
先ず、地熱発電システム1の発電方法について説明すると、地中には、熱媒体移送管10が埋設されており、熱媒体移送管10は、地中と接する外側に媒体注入管50が連結されて地中深くまで達している。また、媒体注入管50は、媒体注入管50の内側に熱媒体取出管80が連結されて媒体注入管50の底部まで達している。これら熱媒体移送管10は、地熱帯Uから得られる熱を吸収する熱交換部として利用されている。この加圧水発電装置Aは、熱水を蒸発させて蒸気タービンTを介して発電を行っている。以下に加圧水発電装置Aによる発電方法について詳述する。
【0054】
例えば、温水サービスタンク4の温水(L1)は、加圧給水ポンプ3により5MPaに加圧され熱媒体移送管10の媒体注入管50に流量55t/hで送られ、地中深くの地熱帯Uまで移送される。210℃の地熱帯Uまで移送された温水は、地熱帯Uからの熱を有効熱伝導率の高い媒体注入管50から吸収し、最終的に200℃の熱水(L2)となる。そして、熱媒体取出管80から取り出された熱水(L3)は、出口での温度が200℃で、圧力が2.0MPaにより気水分離器Fに移送される。
【0055】
気水分離器Fは、温度200℃の熱水(L3)を、圧力制御弁PV1により圧力を解放し、約0.6MPaに減圧沸騰させてフラッシュ率約11%で生成された蒸気量6t/hの蒸気を分離させる。気水分離器Fは、その生成した蒸気(V1)を蒸気タービンTに送る。
生成した蒸気(V1)は、温水サービスタンク4で生成された蒸気(V2)と気水分離器F内で合流する。合流した蒸気は(V1+V2)は、蒸気タービンTの回転により発電機Gを駆動させ発電する。この蒸気(V1+V2)により発電される発電量は、効率を80%とすると約112kWhの出力が得られる。
【0056】
また、温水サービスタンク4と配管で接続される気水分離器Fは、蒸気にならずに残った約89%の熱水(L4)を、温度160℃前後の温度を保ったまま圧力0.6MPaにより温水サービスタンク4へ流量49t/hで送る。
【0057】
また、蒸気タービンTから排気された蒸気(V3)は、復水器6に送られる。復水器6に送られた蒸気(V4)は、空冷式や水冷式の冷却塔CTに送られ、冷却塔CTによって凝縮され圧力0.101MPaの100℃の温水(L10)に戻される。戻された温水(L10)は、流量6t/hで復水タンク14に貯留される。また、復水タンク14の温水(L6)は、復水ポンプ5により温水サービスタンク4に送られる。
そして、温水サービスタンク4の130℃前後の温水(L1)は、再び加圧給水ポンプ3により6MPaに加圧され熱媒体移送管10の媒体注入管50に流量55t/hで送られ、地中深くの地熱帯Uまで移送される。
【0058】
図10は、加圧水発電装置1の熱媒体移送管10の深度と熱水の温度分布の関係図である。破線は、地中の温度分布21を示しており、実線は、媒体注入管50及び熱媒体取出管80の熱水L1、L2、L3の温度分布を示している。
一点鎖線を境界とし、上方の断熱領域22は、媒体注入管50の有効熱伝導率が0.1W/m・K以下の材質を採用した断熱効果が優れた配管を使用している。また一点鎖線を境界とし、下方の吸収領域26は、媒体注入管50の有効熱伝導率が50W/m・K以上の材質を採用した熱吸収が優れた配管を使用している。
【0059】
また、熱媒体取出管80は、断熱領域22及び吸熱領域26にかかわらず有効熱伝導率が0.1W/m・K以下の材質を採用した断熱効果が優れた配管を使用している。断熱効果により、媒体注入管50の途中の温度変化に影響されず、最深部の地熱帯Uの熱を吸収した熱水(L2)を圧力調整弁PV1まで移送することができる。
【0060】
図9は、水の状態変化の概要図である。図9には、水が固体・液体・気体と変化する際の温度と圧力が示されている。三重点から臨界点までの実線は蒸発曲線27を示している。大気圧での沸点は100℃であって0.101MPaを示している。線上のC点では200℃の温度の場合において、圧力が1.554MPaの圧力より少ない場合には、水の状態から気体すなわち蒸気へと変化する境界ラインである。
【0061】
線上のD点では210℃の温度の場合において、圧力が1.907MPaより少ない場合には水の状態から気体すなわち蒸気へと変化する境界ラインとなる。
また、斜線で示す加圧領域23は、熱水L3が蒸気とならない圧力の領域を示しており、加圧給水ポンプ3は、圧力損失を考慮して圧力値を設定する。
【0062】
温度分布21は、地熱帯Uの深部に近づくにつれて温度が上昇し220℃に達している。媒体注入管50及び熱媒体取出管80の有効熱伝導率は、50W/m・Kの材質を採用しているため、媒体注入管50に導かれる温水(L1)は、地中の温度分布21に沿って温度分布22が上昇する。
【0063】
ここで、熱媒体取出管80の有効熱伝導率を0.1W/m・Kと小さく設定したとしても、熱媒体取出管80の出口の熱水L3の圧力がC点より低い場合には、温度分布は、蒸発曲線27よりも低くなっているため蒸気が発生し、沸点に近づくように温度低下が発生する。
【0064】
熱媒体取出管80内で水から蒸気へと変化すると、所謂気液2相流となり、熱水の単相流の場合に比べて熱伝達率が数10倍になるため、熱媒体取出管80あるいは媒体注入管50を流れる低温下降流L1に熱が奪われやすくなる。その熱損失を防ぎエネルギーを蓄えたまま移送するためには、熱水を冷め難くする必要がある。
そして、地熱帯Uで熱せられた沸点以上の熱水は、冷めないようにし気水分離器Fまで運ぶことにより熱損失が少なくなる。熱損失を少なくするには、上述したように図13の蒸発曲線27よりも高い圧力を保つ必要がある。
【0065】
特に、熱交換器となる熱媒体移送管10内に温度差が生じ、これに伴って水の密度差に起因する浮力が発生する。加圧給水ポンプ3は、浮力だけの自然循環だけでは必要な流量を移送する圧力は足りず、媒体注入管50及び熱媒体取出管80の圧力損失等を考慮しなければならない。
【0066】
また、加圧給水ポンプ3は、蒸発曲線27よりも高い圧力を保つために加圧給水ポンプ3によって圧力を高い状態に保ち、熱媒体移送管10内で熱媒体を沸騰させない状態を保つことが重要である。地熱帯Uで吸収した熱量を保持した熱水L3の状態、所謂単相流の状態で圧力調整弁PV1へ移送することが地下の熱を有効に利用することができる本発明の利点である。
【0067】
以上のことから、本発明では図10の網掛けに示すように媒体注入管50及び熱媒体取出管80の断熱領域を、有効熱伝導率を0.1W/m・K以下とする材料で形成した。最も良いのは0.05W/m・Kから0.001W/m・Kの断熱性能を有するものがよい。 断熱性能を保つことによって、出口での温度低下を防ぎ、結果加圧給水ポンプ3の圧力を高く設定しなくとも良くなるという利点となる。図14において、破線は、地熱帯Uを含んだ地中の温度分布21を示しており、実線は、熱水の温度分布25を示している。
【0068】
また、熱水L3の出口圧力は、媒体注入管50及び熱媒体取出管80の圧力損失を考慮して、加圧給水ポンプ3によって少なくとも図9の蒸発曲線27よりも大きい圧力範囲23が望ましく、温度が沸点以上である熱水のまま移送できるように蒸気を発生させない圧力とした。
【0069】
更に、地中の温度分布の高い領域すなわち発電に必要な吸熱領域において媒体注入管50は、有効熱伝導率の高い50W/m・Kの材料で形成した。特に高ければ高い有効熱伝導率であればよいが、地中内での圧力や腐食を考慮すると金属製の材料で形成するのが望ましく、有効熱伝導率は、20W/m・K以上であればよい。
【0070】
(第2実施形態)
第2実施形態にかかる地熱発電システム200を、図12を参照して説明する。図12は、第2実施形態にかかる本発明の地熱発電システム200の構成を示す概要図である。尚、第1実施形態と同じ箇所には同じ符号が付してあり、上述した記載については省略する。
バイナリー発電装置Bを、図12を参照して説明すると、バイナリー発電装置Bは、主に加圧水発電装置1bと接続される熱交換部150と、蒸気タービンT2と、発電機G2、受電設備TF2、冷却器154及び循環ポンプ155とで構成されている。
【0071】
本発明では、加圧水発電装置1bに設けられる熱媒体移送管10から得られた熱水L3を気水分離器Fにて蒸気を分離し、蒸気とならなかったドレンL4を一旦、貯留タンク11に貯留させる。また、タービンTから得られた蒸気V3は、復水器6で熱水に戻し貯留タンク11に貯留させる。貯留部11に蓄えられた熱水L4は、バイナリー発電装置Bの熱交換器151に供給される。
【0072】
この熱交換部150の部分で熱せられた作動媒体M1は、蒸発して蒸気タービンT2を回転させ、その回転により発電機G2が発電を行う。
受電設備TFは、電気を供給し、送電網を介して電力会社等に電気を供給するものである。ここで作動媒体Mは、可燃性や毒性のない不活不活性ガスのHFC-245fa、R245fa等や沸点の低い媒体(水とアンモニアの混合物等、炭化水素(ペンタン))等が使用される。
【0073】
蒸気タービンT2は、膨張タービン等が使用されている。蒸気タービンT2を通過した作動媒体M2は、冷却器156の冷却水157a、158bによって冷却される。また、作動媒体M3を気体から液体等に凝縮させ循環ポンプ155によって再度、熱交換器152へ送られる。
【0074】
冷却水157b、158bを、加圧水発電装置1bの給水ユニット18に設けられる原水16に配管し、熱交換することで、原水16は温められ冷却水157b、158bは冷やされるため地熱発電システム200の全系において熱の有効な置換が行われる。原水16は、暖められることで温水サービスタンク4に復水ユニット17を介さず直接投入することが可能となる。
【0075】
このような作動媒体(M1乃至M3)を利用する事によって、70℃から95℃の温水であっても9t/hから24t/hの流量が有れば発電が可能となる。このシステムにおいては、媒体が閉じられた系の中で熱交換を行うシステムとなっている。
【0076】
作動媒体(M1乃至M3)は、熱交換する温度によって使用できる媒体が決まるため、バイナリー発電装置Bによって温度の制限が設けられる場合がある。その場合にも対応できるように加圧水発電装置1bは、復水ユニット17の空冷塔CTを利用した温度調整システム161が設けられている。特に、蒸気とならなかったドレンL4の温度が高い場合に、バイナリー発電装置Bの設定温度に合わせた領域まで温度を下げることが可能である。
【0077】
尚、熱媒体移送管10から送られた熱水L3を直接熱交換器151にて供給し、バイナリー発電装置Bで発電するような構造であっても良く、最深部Uでの地熱井の温度が低い場合に効率よく地中熱を利用して発電することが可能である。
【0078】
(第3実施形態)
第3実施形態にかかる地熱発電システム300を、図13を参照して説明する。図13は、第3実施形態にかかる本発明の地熱発電システム300の構成を示す概要図である。尚、第1実施形態及び第2実施形態と同じ箇所には同じ符号が付してあり、上述した記載については省略する。
バイナリー発電装置Cを、図13を参照して説明すると、バイナリー発電装置Cは、加圧水発電装置1bと接続される第1熱交換部150c、第2熱交換部156c、蒸気タービンT2、蒸気タービンT3と、発電機G2、発電機G3、受電設備TF2、冷却器164c、第1循環ポンプ155c及び第2循環ポンプ165c、とで構成されている。
【0079】
本発明では、加圧水発電装置1cに設けられる熱媒体移送管10から得られた熱水L3を気水分離器Fにて蒸気を分離し、蒸気とならなかったドレンL4を第1熱交換器151cに通過させる。
この第1熱交換部150cの部分で熱せられた作動媒体M1は、蒸発して蒸気タービンT2を回転させ、発電機G2により発電を行っている。
【0080】
受電設備TF2は、電気を供給し、送電網を介して電力会社等に電気を供給するものである。ここで作動媒体M(M1乃至M23)は、可燃性や毒性のない不活性ガスのHFC-245fa、R245fa等や沸点の低い媒体(水とアンモニアの混合物等、炭化水素(ペンタン))等が使用される。また、本実施例では、バイナリー発電装置Cに使用される作動媒体(M1乃至M3)を高温の沸点領域を持つ作動媒体と、作動媒体(M1乃至M3)よりも沸点の低い作動媒体(M21乃至M23)の2種類の沸点領域を持つ作動媒体を使用することにより多段階における熱利用が可能となり、効率よく発電することができる。
【0081】
蒸気タービンT2及びT3は、膨張タービン等が使用されている。蒸気タービンT2を通過した作動媒体M2は、第2熱交換部154cの第2熱交換器153cによって熱交換が行われ冷却される。また、作動媒体M3を気体から液体等に凝縮させ循環ポンプ155cによって再度、熱交換器152cへ送られる。
また、第2熱交換部154cの第2熱交換器153cによって熱交換が行われ、第2熱交換部164cにて熱せられた作動媒体M21は、蒸発して蒸気タービンT3を回転させ、発電機G3により発電を行っている。
【0082】
蒸気タービンT3を通過した作動媒体M21は、冷却器164cの冷却水157c、158cによって冷却される。また、作動媒体M23を気体から液体等に凝縮させ循環ポンプ165cによって再度、第2熱交換部154cへ送られる。
冷却水157c、158cを加圧水発電装置1cの給水ユニット18に設けられる原水16に配管し、熱交換することで、原水16は温められ冷却水157c、158cは冷やされるため地熱発電システム300の全系において熱の有効な置換が行われる。原水16は、暖められることにより温水サービスタンク4に復水ユニット17を介さず直接投入することが可能となる。
【0083】
尚、上述した熱交換器や復水器に接続される作動媒体又は水等の媒体を冷却する方法は、これらに限定する必要はなく、ペルチェ素子を利用した熱の交換方法により冷却する方法等の様々な方法が考えられる。
【0084】
(第4実施形態)
第4実施形態にかかる地熱発電システム100を、図14を参照して説明する。図14は、第4実施形態にかかる本発明の地熱発電システム100の構成を示す概要図である。尚、第1実施形態乃至第3実施形態と同じ箇所には同じ符号が付してあり、上述した記載については省略する。
バイナリー発電装置Bを、図14を参照して説明すると、バイナリー発電装置Bは、主に加圧水熱交換装置1aと接続される熱交換部150と、蒸気タービンT2と、発電機G2、受電設備TF2、冷却器154及び循環ポンプ155とで構成されている。
【0085】
地熱発電システム100は、加圧水熱交換器1aに設けられる媒体移送管10から加圧した熱水L3を、蒸気とせずに熱水のまま熱交換器151に通過させる。地熱発電システム100は、このように気水分離器Fを設けていないため、地中熱を熱水により吸収し直接利用することで損出を少なくし地中熱を回収して発電に役立てることができる
【0086】
この熱交換部150の部分で熱せられた作動媒体M1は、蒸発して蒸気タービンT2を回転させ、発電機G2により発電を行っている。
受電設備TFは、電気を供給し送電網を介して電力会社等に電気を供給するものである。ここで作動媒体M1、M2、M3は、可燃性や毒性のない不活不活性ガスのHFC-245fa、R245fa等や沸点の低い媒体(水とアンモニアの混合物等、炭化水素(ペンタン))等が使用される。
【0087】
蒸気タービンT2は、膨張タービン等が使用されている。蒸気タービンT2を通過した作動媒体M2は、冷却器156の冷却水157a、158aによって冷却される。また、作動媒体M3は、気体から液体等に凝縮させ循環ポンプ155によって再度、熱交換器152へ送られる。
【0088】
地熱発電システム100は、このような作動媒体(M1乃至M3)を利用する事によって、70℃から95℃の温水であっても9t/hから24t/hの流量が有れば発電が可能である。このシステムにおいては、閉じられた系の中で作動媒体が熱交換を行うシステムとなっている。
【0089】
また、加圧水熱交換装置1aに設けられるサービスタンク4は、熱交換器152で冷やされた熱水が貯留されるが、加圧水熱交換器1aの全系の圧力を一定に保つための要素として、加圧給水ポンプ3と並び必要となる。特に、メンテナンス等で加圧給水ポンプ3が停止した場合には、加圧水熱交換装置1aは、全系容量の内、約2t分の水の容量の上げ下げが起こるため、水位を一定に保ちスムーズに運転を再開するために、サービスタンク4の圧力を制御して水位を一定に保つことができる。
【0090】
(第5実施形態)
第5実施形態にかかる熱媒体移送管500及び熱媒体移送管500の施工方法について図15乃至図20を参照して説明する。図15は、第5実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管500の一部を省略した縦断面図である。図16は、第5実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管500を施工する途中の縦断面図である。図17は、第5実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管500を施工する途中の縦断面図である。図18は、第5実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管500の管ねじ継ぎ手51の部分を拡大した概要図である。図19は、第5実施形態にかかる本発明の変形例の熱媒体移送管500の一部を省略した縦断面図である。図20は、第5実施形態にかかる本発明の地熱発電システムの熱媒体移送管500の深度と熱水の温度分布の関係を示す関係図である。尚、第1実施形態乃至第4施形態と同じ箇所には同じ符号が付してあり、上述した記載については省略する。
【0091】
図15に示す熱媒体移送管500は、地表Sから地熱帯Uまで最深部3000mの深さまで延びて設けられている例を示している。熱媒体移送管500は、中心に、上述した熱媒体取出管80を設け、またその外周に上述した媒体注入管50、第1保護管31、第2保護管32及び第3保護管33を設けている。第1保護管31乃至第3保護管は、円環状となる管を地熱帯Uに向かい延設している。
【0092】
図20に示すように第1実施形態乃至第4実施形態に使用する加圧水発電装置1、1a、1b、1c(図1及び図12乃至図14)に熱媒体移送管500を適用した熱媒体移送管500の深度と熱水の温度分布の関係図である。破線は、地中の温度分布21を示しており、実線は、媒体注入管50及び熱媒体取出管80の熱水L1、L2、L3の温度分布を示している。
【0093】
一点鎖線を境界とし、上方の断熱領域22は、媒体注入管50の有効熱伝導率が0.1W/m・K以下の材質を採用した断熱効果が優れた配管を使用している。また一点鎖線を境界とし、下方の吸収領域26は、媒体注入管50の有効熱伝導率が50W/m・K以上の材質を採用した熱吸収が優れた配管を使用している。
【0094】
また、熱媒体取出管80は、断熱領域22及び吸熱領域26にかかわらず有効熱伝導率が0.1W/m・K以下の材質を採用した断熱効果が優れた配管を使用している。断熱効果により、媒体注入管50の途中の温度変化に影響されず、最深部の地熱帯Uの熱を吸収した熱水(L2)を例えば、図1の圧力調整弁PV1まで移送することができる。
【0095】
第1保護管31乃至第3保護管33は、断熱領域22に位置し各々に断熱構造を設けている。側壁を地熱セメント等により側壁を固めながら、掘削機により地中深く掘り進めるが、第1保護管31乃至第3保護管33は、掘削中の側壁の崩落を防いでいる。
図15及び図18に示すように、第1保護管31は、媒体注入管50の注入管40同士を接続する管ねじ継ぎ手51の下方に円盤状の熱水74の上方までの対流を遮蔽する共に、施工時等の暴噴を防ぐ対流遮蔽盤73(対流遮蔽手段)を設けている。対流遮蔽板73は、内径を管ねじ継ぎ手51の外径より小さくし、地下水の水圧等により上方へ抜けない構造となっている。
【0096】
対流遮蔽盤73は、媒体注入管50と第1保護管31との隙間に下方から侵入した熱水が、上方にある温度の低い地下水と対流により混ざり温度の低い水と化すことを防ぐことにより、媒体注入管50の保温性能を更に高めている。従って、熱媒体移送管500は、対流遮蔽盤73を、上下方向に複数箇所も受けることにより、保温性能を更に高めることができる。尚、対流遮蔽盤73は、金属又は樹脂やゴム等の素材だけに限らず布等を敷き詰めて媒体注入管50の周囲に周設した構造であっても良い。
【0097】
次に、熱媒体移送管500は、第1保護管31及び第2保護管32の間及び第2保護管32及び第3保護管33の間に、後述する施工方法により施工した断熱構造を設けている。 熱媒体移送管500は、第1保護管31及び第2保護管32の間及び第2保護管32及び第3保護管33の間に、発泡ポリスチレン等の軽量骨材を用いるか多量の気泡を混入または発生させたコンクリート、所謂発泡コンクリート36、37を使用し、クッション性、断熱性及び非吸水性を備えた断熱構造としている。
第1保護管31及び第2保護管32の間及び第2保護管32及び第3保護管33は、下方にコンクリート材により閉塞した閉塞部34、35を設けている。
【0098】
閉塞部34、35は、下方からの媒体注入管50よりも温度の低い水の侵入を防止し、熱媒体移送管500の断熱性能を向上させている。尚、熱媒体移送管500の上方も図示しないコンクリート又は鋼鉄材で閉塞されており、上方からの水の浸入を防いでいる。
【0099】
次に、図15乃至図17を参照し、本発明の熱媒体移送管500の施工方法について説明する。
先ず、掘削機械により最も大きな径で700m地点まで掘削する。掘削時は崩落が起きないように地熱セメント等により側壁を固めながら掘り進め、700m地点に到達した場合には、図16に示すように深さ10mから100mの区間をコンクリート材により充填した閉塞部35を形成し、上述した第3保護管33を埋設する。
【0100】
次に、図15及び図17に示すように掘削機の径を小さくし、第2保護管32が埋設できる程度の大きさで掘削を行い、1500m地点まで掘り進める。700m地点に到達した場合には、図17に示すように下方の全径であって深さ10mから100mの区間をコンクリート材により閉塞部34を形成し、上述した第2保護管32を埋設する。
次に、図15に示すように掘削機の径を更に小さくし、第1保護管31が埋設できる程度の大きさで掘削を行い、断熱領域22の1700m前後の位置まで掘り進め、上述した第1保護管31を埋設する。
【0101】
最後に、図15に示すように掘削機の径を更に小さくし、媒体注入管50が埋設できる程度の大きさで掘削を行い、吸熱領域26の所望する温度の210の地熱帯Uまでの約3000m前後の位置まで掘り進め、上述した媒体注入管50及び熱媒体取出管80を埋設する。
【0102】
ここで、吸熱領域26は、必ずしも熱水が十分に存在するとは限らず、岩盤帯38又は破砕帯43も考えられる。掘削が最深部Uまで達した後、図15に示すように、吸熱領域26が岩盤帯38の場合には、媒体注入管50と地熱帯Uとの間の熱伝導を良好にするために、岩盤帯38と媒体注入管50間に伝達促進媒体39として水を満たす。水は後から注入しても良いが、水圧破砕時又は泥水掘削時に使用される水をそのまま残して使用する方法であっても良い。
【0103】
尚、熱媒体移送管500は、図19に示すように吸熱領域26が破砕帯43の場合には、水は、破砕帯の間が空隙が有り熱水がないため媒体注入管50と破砕帯43の間に伝達促進媒体39として水を受けるための金属製のコップ状の受け管75を挿入しても良い。そして、媒体注入管50と地熱帯Uとの間の熱伝導を良好にするために、受け管75と媒体注入管50間に伝達促進媒体39として水を満たす。尚、伝達促進媒体39は、水だけではなく媒体として熱伝達がし易い金属を含有させた液体状の樹脂等であっても良い。
【0104】
以上のように、本発明は、熱吸収領域26における地熱帯Uが熱伝達が良くない岩盤帯38又は破砕帯43であっても熱媒体移送管500と地熱帯Uとの間に仲介物質を介在させ、地熱帯Uの熱を効率よく吸収することが可能である。
【0105】
また、図24に示す受け管75は、図19に示す受け管75の下方の一部を現した概要図である。受け管75は、側面に貫通した通し孔となる媒体移動孔76が設けられている。受け管75は、地熱帯Uが、熱水等の流体状の媒体で覆われているときに、熱水等の媒体が媒体移動孔76を通して移動可能なように孔を設けている。
【0106】
受け管75は、岩盤等の崩落により媒体注入管50が岩盤等で押しつぶされないように保護し、また媒体注入管50の側壁と熱水等の媒体とが接触する領域に岩等が入り込まないようにしている。
尚、媒体移動孔76は、金属等での網状に形成した孔であっても良い。このように受け管75は、地熱帯Uが熱水の場合に、岩や砂等を媒体注入管50に接触させないような構造を採るのが好ましく、熱水等の流体が媒体注入管50に接触する領域を確保する事が可能である。
【0107】
(第6実施形態)
第6実施形態にかかる本発明の地熱発電システム400の構成を図21乃至図22を参照し説明する。図21は、第6実施形態にかかる本発明の地熱発電システム400の構成を示す概要図である。図22は、第6実施形態にかかる本発明の熱媒体移送管410fの構成を示す概要図である。
【0108】
図21に示すように地熱発電システム400は、主に加圧給水ポンプ3、複数の熱媒体移送管410(a~f)、温水サービスタンク4、復水ユニット17、給水ユニット18、気水分離器F、蒸気タービンT、発電機G及び受電設備TFとから構成されている。
地熱発電システム400は、加圧給水ポンプ3から地中の最深部にて媒体注入管50によって供給される媒体としての水を熱交換し、熱水となった水を加圧しながら熱媒体取出管80によって地上に移送する。移送された熱水L3は、圧力調整弁PV1により減圧沸騰させ気水分離器Fに移送される。
【0109】
気水分離器Fにて蒸気と熱水を分離し、発生した蒸気V1は、蒸気タービンTに供給される。地熱発電システム400は、発生した蒸気V1を蒸気タービンTに供給することで、発電機Gを回転させて発電を行い、受電設備TFに電気を供給し送電網を介して電力会社等に電気を供給している。
蒸気タービンTは、タービン形式だけでなくスクリュー形式のもの等であってもよく、蒸気によって発電可能なものであればよい。
【0110】
気水分離器Fに供給される熱水L3の全量は、蒸気V1とされることがないため、気水分離器Fから多量の熱水L4いわゆるドレンが温水サービスタンク4に送られる。また、蒸気タービンTで排気された蒸気V3は、復水ユニット17に送られ、復水ユニット17に送られた蒸気V4は、復水器6に接続される冷却塔15に送られる。送られた蒸気V4は、凝縮され水に戻され復水器6を経由し、復水タンク14に一旦蓄えられてから復水ポンプ5によって温水サービスタンク4に送られる。
【0111】
温水サービスタンク4の温水L8は、加圧給水ポンプ3により温水L1として熱媒体移送管410へ移送される。加圧給水ポンプ3で移送される温水L1は、再度地熱帯Uのある深部で地中熱から熱を吸収し熱交換される。熱交換した熱水L2は、後述する熱媒体移送管410により加圧給水ポンプ3で移送される。
尚、本発明は、複数の熱媒体移送管(410a乃至410f)を上述した実施例2乃至実施例5のAからBのバイナリー等の発電設備に適用することも可能である。
【0112】
図21に示すように、熱媒体移送管410は、複数の熱媒体移送管(410a乃至410f)が地表Sから地熱帯Uまで設置されている。図22を参照し、熱媒体移送管410(410a乃至410f)の代表例として熱媒体移送管410fを説明する。
地熱発電システム400は、地熱帯Uの地中熱を媒体注入管50が吸収し、熱媒体としての熱水(L2)と熱交換し、地上に熱水(L3)を移送するが、媒体注入管50の付近の地熱帯Uの熱が回復しない場合等の理由により、伝達促進媒体39の温度低下がある場合には、熱媒体移送管410fの地上側に設けた流路切替弁413及び流路切替弁414を切り替えて、地熱帯Uまで至る熱媒体移送管410f内で熱媒体としての水を循環する構造としている。
【0113】
熱媒体移送管410f内で熱水L3を循環させる場合には、沸騰しないように圧力を掛けて循環するための圧送ポンプ411を設けている。また、地熱発電システム400は、加圧給水ポンプ3により通常の発電時であっても沸騰しないように圧力を掛けて複数の熱媒体移送管410の経路を循環するが、加圧給水ポンプ3が一台では足りない場合に、圧送ポンプ411を使用する。圧送ポンプ411は、熱媒体移送管410f内の圧力が一定となるように圧力調整の役割をしている。
【0114】
熱媒体移送管410f内で圧力を掛けて沸騰しないようにし、熱水を単相流のまま熱媒体移送管410f内を循環させることにより、熱水を気液2相流で熱媒体移送管410f内を循環させる場合とを比較し、有効に地熱帯Uから熱を吸収することが可能である。
【0115】
熱媒体移送管410fは、循環経路の途中に熱水L3の温度及び圧力を測定する温度センサー及び圧力センサーを設けた循環センサー部412を備えている。熱媒体移送管410fは、定期的メンテナンスあるいは自然災害等による予期せぬ地熱帯Uの温度低下等により発電を行わない場合であっても、圧力調整弁PV1にて、熱水の温度が均一になるように地熱帯Uを含めて水を循環させ、循環させた熱水の温度を均一にすることができるので、地上に設けられた循環センサー部412を計測することにより、地熱帯Uでの温度が解らないとしても、地熱帯Uの温度状態を推測し、発電量を計画する指標とすることが可能である。
【0116】
(上記実施形態から考えられる技術的特徴)
以下に本実施形態の技術的特徴点の一例を括弧内に示すが、特に限定するものでもなく例示しているものであり、これら特徴から考えられる効果についても記載する。
<第1の特徴点>
地中に媒体(例えば、主に水、油等)を搬送し、地中にて熱を吸収する前記媒体を回収する熱媒体移送管(例えば、主に熱媒体移送管10(媒体注入管50、熱媒体取出管80)410・500)であって、前記熱媒体移送管は、複数本設けられた前記熱媒体移送管を連結する管継ぎ手(例えば、主に管ねじ継ぎ手51・55)と、前記熱媒体移送管の内部に前記管継ぎ手及び前記熱媒体移送管の一部を連続して被覆し、前記媒体が保有する熱を保温する熱媒体保温管(例えば、主に保温管60・90)と、を備えたことを特徴とする。
【0117】
以上の特徴によって、本発明は、保温管により熱媒体移送管の保温性能は向上するだけでなく、熱媒体保温管自体の取り替えや熱媒体移送管の設置の作業が容易となる。
【0118】
<第2の特徴点>
前記熱媒体保温管は、前記熱媒体移送管の内部に挿入する挿入管(例えば、主に挿入管61・91)と、前記熱媒体移送管に内径よりも大きな径を持ち、前記管継ぎ手の内部に保持される突出部(例えば、主に突出部62・92)と、を備えたことを特徴とする。
以上の特徴によって、本発明は、熱媒体保温管自体の取り替えや熱媒体移送管の設置の作業が容易となる。
【0119】
<第3の特徴点>
前記熱媒体移送管は、前記熱媒体移送管を前記管継ぎ手による連結時に前記管継ぎ手と螺合し連結する螺合部分の近傍に設け、前記熱媒体移送管を把持する把持部(例えば、主に把持部47・87)と、前記把持部を避けて設けた断熱材料を被覆した被覆層(例えば、主に被覆層46・86)と、を備え、前記熱媒体保温管は、少なくとも把持部の部分まで延びている前記挿入管を備えたことを特徴とする。
以上の特徴によって、本発明は、熱媒体移送管の接続作業の性能を損なわずに、接続管の熱媒体保温管により熱媒体移送管の保温性能は向上する。また、熱媒体移送管は、熱を奪われずに媒体を地中から取り出すことが可能である。
【0120】
<第4の特徴点>
前記熱媒体移送管は、地中に前記媒体を移送する媒体注入管(例えば、主に媒体注入管50)と、地中により熱を吸収した前記媒体を地上に取り出す媒体取出管(例えば、主に熱媒体取出管80)と、を備え、前記媒体注入管及び前記媒体取出管に前記熱媒体保温管を備えたことを特徴とする。
【0121】
以上の特徴によって、本発明は、熱媒体保温管により媒体注入管及び熱媒体移送管の保温性能は向上する。熱媒体移送管は、熱を奪われずに媒体取出管により地中から媒体を取り出すことが可能である。
【0122】
<第5の特徴点>
地上に取り出した前記媒体の熱を利用し発電する発電機(例えば、主に発電機G又はバイナリー発電機B)と、発電に必要な温度の熱を前記媒体が吸収する吸収領域以外であって、移送中の前記媒体の熱を保温するための断熱領域に、掘削時に掘削した穴の側壁を固めるセメントにより断熱するコンクリート断熱層(例えば、主に地熱セメント)と、前記媒体注入管及び管継ぎ手の周囲に断熱材料で被服した第2被覆層(例えば、主に断熱材70)と、前記媒体の所望する温度の飽和蒸気圧力以上の圧力を保ち、前記媒体の相状態を変えずに移送する圧力ポンプ(例えば、主に加圧給水ポンプ5)と、を備えたことを特徴とする。
【0123】
以上の特徴により、熱媒体移送管は、熱を奪われずに媒体取出管により地中から媒体を取り出すことが可能であるため、地中熱そのものを利用して発電を行うことが可能である。
【0124】
<第6の特徴点>
前記熱媒体移送管同士を前記管継ぎ手により連結した後、前記管継ぎ手の全体を覆うように外部から被覆する管継ぎ手被覆部(例えば、主に管ねじ継ぎ手被覆部93)を備えたことを特徴とする。
以上の特徴により、熱媒体移送管は、管継ぎ手の部分における熱の伝達を、管継ぎ手被覆部により遮断することが可能である。
【0125】
<第7の特徴点>
地中に媒体を搬送し、地中にて熱を吸収した前記媒体を回収する熱媒体移送管(例えば、主に熱媒体移送管10(媒体注入管50、熱媒体取出管80)・410・500)であって、前記熱媒体移送管と前記熱媒体移送管の外周に設けられた管状の保護管(例えば、第3保護管33)との間から侵入する地下水が上下方向へ対流することを遮断する対流遮断部(例えば、主に対流遮蔽盤73)を上下方向の複数箇所に設けたとを特徴とする。
【0126】
以上の特徴によって対流遮断部は、熱媒体移送管と保護管との隙間に侵入した下方から侵入した熱水が、上方にある温度の低い水と対流により混ざり温度の低い水と化すことを防ぐことにより、熱媒体移送管の保温性能を更に高めている。
【0127】
<第8の特徴点>
前記熱媒体移送管を連結する管継ぎ手の下方に位置し、内径が前記媒体移送管の外周よりも大きく、且つ前記管継ぎ手の外径よりも小さな円環状の前記対流遮蔽部材を備えたことを特徴とする。
以上の特徴によって、本発明は、地下水の水圧等により上方へ抜けない構造であると共に設置の際の作業性が向上する。
【0128】
<第9の特徴点>
地中に媒体を搬送し、地中にて熱を吸収した前記媒体を回収する熱媒体移送管であって、
前記熱媒体移送管の外周に設けられた複数の保護管(例えば、主に第1保護管31、第2保護管32、第3保護管33)と、前記保護管と他の前記保護管との間に設けた断熱層(例えば、主に発泡コンクリート36、37)と、断熱層の下方に下方からの地下水の浸入を防ぐ密封層(例えば、主に閉塞部34、35)と、を備えたことを特徴とする。
【0129】
以上の特徴によって、密封層は、下方からの熱媒体移送管よりも温度の低い水の侵入を防止し、熱媒体移送管の断熱性能を向上させている。
【0130】
<第10の特徴点>
前記断熱層は、軽い基材又は気泡を多く含んだコンクリートにより形成したことを特徴とする。
以上の特徴によって、本発明は、水の浸入を防ぐだけでなく、空気等を多く含むようにすることで断熱性能を向上させている。
【0131】
<第11の特徴点>
密封層は、コンクリートにより形成したことを特徴とする請求項8に記載の熱媒体移送管。
以上の特徴によって、本発明は、密封層により水の浸入を防ぐことができ、地下水の浸入により熱媒体移送管の温度低下を防いでいる。
【0132】
<第12の特徴点>
地中に媒体(例えば、主に水、油等))を搬送し、地中にて熱を吸収した前記媒体を回収する熱媒体移送管(例えば、主に熱媒体移送管10(媒体注入管50、熱媒体取出管80)、410、500)を複数備え、回収した前記媒体の熱を利用して発電する地熱発電システムであって、前記媒体を記熱媒体移送管媒体内で循環させるために、前記媒体の流路を切り替える切替弁(例えば、主に流路切替弁414)と、媒体の状態を変化させずに圧力を所定の圧力に保ったまま前記媒体を循環させる圧力調整装置(例えば、主に圧送ポンプ411)と、を備え、前記媒体の温度が低下した際に、前記切替弁と前記圧力調整装置とを駆動し、前記媒体の温度が回復するまで記熱媒体移送管媒体内で前記媒体を循環させることを特徴とする。
【0133】
以上の特徴によって、本発明は、熱媒体移送管内で圧力を掛けて沸騰しないようにし、熱水を単相流のまま熱媒体移送管内を循環させることにより、気液2相流として循環する場合と比較し効率的に地熱帯Uから熱を吸収することが可能である。
【0134】
<第13の特徴点>
前記媒体を循環させる経路に、前記媒体の温度を測定する温度測定装置(例えば、主に循環センサー部412(温度センサー))を備えたことを特徴とする。
以上の特徴によって、地熱帯の温度が解らない場合であっても、本発明は、熱水の温度が均一になるように地熱帯を含めて循環させ、循環させた熱水の温度を温度測定装置によって計測することが可能であるため、地熱帯の温度が回復したかどうかの指標とすることができる。
【0135】
<第14の特徴点>
地中に媒体(例えば、主に水、油等))を搬送し、地中にて熱を吸収した前記媒体を回収する熱媒体移送管(例えば、主に熱媒体移送管10(媒体注入管50、熱媒体取出管80)、410、500)の施工方法であって、掘削した穴にセメント(例えば、主にセメント、地熱セメント)を流し込み、掘削した穴を密封する第1密封層(例えば、主に閉塞部35)を形成する第1密封工程と、前記第1密封工程により形成した穴に第1保護管(例えば、主に第1保護管31)を埋設する第1保護管埋設工程と、前記第1密封層が安定した後、前記第1密封層の穴より小さな径にて、前記第1密封層ごと掘削を行い、その掘削した穴にセメントを流し込み、掘削した穴を密封する第2密封層(例えば、主に閉塞部34)を形成する第2密封工程と、前記第2密封工程により形成した穴に第2保護管(例えば、主に第2保護管32)を埋設する第2保護管埋設工程と、前記第2密封層が安定した後、前記第2密封層の穴より小さな径にて、前記第2密封層ごと掘削を行い、その掘削した穴に、第3保護管(例えば、主に第3保護管33)を埋設する第3保護管埋設工程と、前記第1保護管と前記第2保護管との間、及び前記第2保護管と前記第3保護管との間に、発泡コンクリート(例えば、主に発泡コンクリート36、37)を流し込む断熱層形成工程と第3保護管埋設工程の後に、前記第3保護管の穴よりも小さな径にて、掘削を行い、掘削された穴に前記熱媒体移送管を埋設する熱媒体移送管埋設工程と、からなることを特徴とする。
【0136】
以上の特徴によって、本発明は、下方からの熱媒体移送管に流れる熱水よりも温度の低い水の侵入を防止し、熱媒体移送管の断熱性能を向上させている。
【0137】
<第15の特徴点>
地中に媒体(例えば、主に水、油等)を搬送し、地中にて熱を吸収した前記媒体を回収する熱媒体移送管(例えば、主に熱媒体移送管10(媒体注入管50、熱媒体取出管80)、410、500)を複数備え、回収した前記媒体の熱を利用して発電する地熱発電方法であって、地熱帯に存在する岩盤(例えば、主に岩盤帯38)を、前記熱媒体移送管よりも大きな径により形成した穴である挿入穴を設け、その挿入穴に伝達促進媒体(例えば、主に伝達促進媒体39)及び前記熱媒体移送管を挿入し、前記伝達促進媒体を介して前記地熱帯の熱を前記熱媒体移送管に伝達することを特徴とする。
【0138】
以上の特徴によって、本発明は、地熱帯が熱伝達が良くない岩盤帯又は破砕帯であっても熱媒体移送管と地熱帯との間に仲介物質を介在させ、地熱帯の熱を効率よく吸収することが可能である。
【0139】
<第16の特徴点>
地中に媒体(例えば、主に水、油等)を搬送し、地中にて熱を吸収した前記媒体を回収する熱媒体移送管を複数備え、回収した前記媒体の熱を利用して発電する地熱発電方法であって、地熱帯に存在する破砕帯(例えば、主に破砕帯43)に、前記熱媒体移送管よりも大きな径により形成した穴である挿入穴と、その挿入穴に挿入し、伝達促進媒体(例えば、主に伝達促進媒体39、水、油等)を収容する媒体容器(受け管75)と、を設け、前記媒体容器を挿入し、前記媒体容器に収容した前記伝達促進媒体を介して前記地熱帯の熱を前記熱媒体移送管に伝達することを特徴とする。
【0140】
以上の特徴によって、本発明は、地熱帯が熱伝達が良くない岩盤帯又は破砕帯であっても熱媒体移送管と地熱帯との間に仲介物質を介在させ、地熱帯の熱を効率よく吸収することが可能である。
【0141】
その他の技術的特徴は、前記媒体容器に複数の貫通した孔(例えば、主に媒体移動孔76)を設けていることを特徴とする。これにより、地熱帯の崩落等により熱媒体移送管の保護と地熱帯の流動体等の媒体の熱媒体移送管への熱伝達の状態を保つことが可能である。
【0142】
本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0143】
上述した実施の形態で示すように、温泉が湧き出る地熱帯だけでなく、火山地帯や海中での火山地帯等にも利用することができる。
【符号の説明】
【0144】
1・200・300・400…地熱発電システム、
1a・1b・1c…加圧水発電装置、3…加圧給水ポンプ、4…温水サービスタンク、
5…復水ポンプ、6…復水器、10・410(a~f)・500…熱媒体移送管、
27…蒸発曲線、31…第1保護管、32…第2保護管、40…注入管、
42・82…雄ネジ部、33…第3保護管、34・35…発泡コンクリート、
36・37…発泡コンクリート、38…岩盤帯、39…伝達促進媒体、43…破砕帯、
50…媒体注入管、51・55…管ねじ継ぎ手、52・56…雌ネジ部、
53・57…載置空間部、46・86…被覆層、47・87…把持部、
60・90…保温管、61・91…挿入管、62・92…突出部、73…対流遮蔽盤、
75…受け管、76…媒体移動孔、80・80a…熱媒体取出管、81…取出管、
85…断熱部、93…管ねじ継ぎ手被覆部、150…熱交換部、151…熱交換器、
155…循環ポンプ、414…流路切替弁、411…圧送ポンプ、
412…循環センサー部、T・T2・T3…蒸気タービン、G…発電機、
B…バイナリー発電装置、CT…冷却塔、F…気水分離器、TF…受電設備、
S…地表、U…地熱帯。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図19
図20
図21
図22
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図24