(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】LOEを介するLCOS照明
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240730BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022171055
(22)【出願日】2022-10-26
(62)【分割の表示】P 2020500166の分割
【原出願日】2018-07-19
【審査請求日】2022-10-26
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャルリン,エラッド
(72)【発明者】
【氏名】ダンジガー,ヨチャイ
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-309125(JP,A)
【文献】特開2001-343608(JP,A)
【文献】特表2003-536102(JP,A)
【文献】特表2005-521099(JP,A)
【文献】特表2003-523529(JP,A)
【文献】特表2009-515225(JP,A)
【文献】米国特許第05896232(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0198471(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0191297(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0293434(US,A1)
【文献】米国特許第09557473(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 27/01
G02B 5/30
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムであって、
(a)有効源開口から光を出力するように構成された照明源と、
(b)前面照射反射型空間光変調器(spatial light modulator)(SLM)であって、前記SLMに入射する光を変調し、かつ画像に対応する変調された反射光を出力するように展開され、2次元において前記有効源開口よりも大きい、SLMと、
(c)第1の導光領域及び第2の導光領域を含む、導光配列であって、前記第1の導光領域が、照明源から光を受光し、前記光が少なくとも1つの次元で拡張して前記第2の導光領域内を伝搬している間に前記光を誘導し、前記第2の導光領域が、内部反射によって前記光を誘導するための一対の相互に平行な外面を有し、前記外面のうちの1つが、前記SLMと対向関係にある、導光配列と、
(e)前記第2の導光領域と関連付けられ、前記第2の導光領域内で前記SLMに向けて伝搬する前記光を漸進的に結合出力するために構成された結合出力配列と、
(d)前記SLMから反射された画像照明を選択的に透過させるように展開された出力偏光子であって、前記画像照明が、前記一対の相互に平行な外面を通過する、出力偏光子と、を備え
、
前記結合出力配列が、前記第2の導光領域と関連付けられ、前記一対の相互に平行な外面に対して斜めに配向された一連の選択的反射面を備え、当該一連の選択的反射面の各々は、入射する光の一部を第1の偏光として前記SLMに向けて反射し且つ入射する光の残部を次の反射面へと透過させ、前記第1の偏光は前記SLMで偏光回転されて第2の偏光として前記結合出力配列に戻り、前記一連の選択的反射面は前記第2の偏光を透過させる、光学システム。
【請求項2】
前記第2の導光領域に入る前に前記光を調整するために展開された偏光調整器をさらに備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記選択的反射面の各々が、第1の角度範囲内で部分的に反射し、第2の角度範囲内で反射しない、請求項
1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記選択的反射面の各々が、角度範囲内で最大反射率で部分的に反射し、前記選択的反射面が、異なる角度範囲内でそれらの個別の最大反射率である、請求項
1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記第1の導光領域が、一対の相互に平行な主要外面と、前記第1の導光領域と関連付けられた一連の選択的反射面とを有し、前記一連の選択的反射面が、前記第2の導光領域に向けて前記光を偏向させる、請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
前記第1の導光領域が、前記第2の導光領域に向かって発散する一対の表面を有する、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記第1の導光領域が、第1の一対の相互に平行な外面及び第2の一対の相互に平行な外面であって、前記第2の一対の相互に平行な外面が、前記照明源から前記光を誘導するために、前記第1の一対の相互に平行な外面と垂直である、第1の一対の相互に平行な外面及び第2の一対の相互に平行な外面と、前記光を前記第2の導光領域に向けて漸進的に結合出力するための結合出力配列とを有する、請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
前記第1の導光領域及び前記第2の導光領域が、単一の連続導光体に統合されている、請求項1に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に光学照明に関し、特に、画像光プロバイダの均一照明に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、照明のためのアーキテクチャの従来の実装が示される。光源(2L)は、偏光されていない、均一に照射された入力ビーム(4L)を生成する。偏光されていない入力ビーム(4L)は偏光子(103)によって偏光され、偏光されて均一に照射された入力ビーム(4L)を生成し、これは、偏光されたS-pol(S-偏光)であると仮定される。偏光された入力ビーム(4P)は、偏光ビームスプリッタ(PBS)(104)に入力され、反射型液晶(liquid crystal on silicon)(LCOS)マトリックス(106)への光線(124)として、偏光選択反射板(105)によって反射される。LCOSマトリックス(106)は、LCOSの正面から照射され、照明の偏光を変更することによって反射光を画像として空間的に調整し、および画像光線(126)として光を反射し返す。LCOSは、光線(124)のS-polから光線(126)中の白ピクセルのP-pol(P-偏光)への反射光の偏光を回転させるが、黒ピクセルの偏光は変化しない(S-polのままである)。光線(126)中にP-偏光を有する白ピクセルからの光は偏光選択反射板(105)を通るが、光線(126)中にS-偏光を有する黒ピクセルからの光は偏光選択反射板(105)を通らない。その後、P-pol光線(126)は、(一般的に、レンズとして概略的に表された投射系の)投射光学系(107)へと伝播する。特定の適用の必要性に応じて、投射光学系(107)はコリメーションおよび他の機能を実行する。
【発明の概要】
【0003】
本実施形態の教示によると、光学系デバイスが提供され、上記光学系は:導光体であって、相互に平行な第1の外面および第2の外面と、第1の一連のファセットであって、少なくともその一部が、複数の平行な、部分反射する偏光選択面であり、第1の外面および第2の外面に対して斜角であり、第1の外面と第2の外面と間にある、第1の一連のファセットと、を有する導光体と、前面照射型反射偏光回転画像変調器(front-lit reflective polarization rotating image modulator)であって、第1の外面からカップルアウトされた光を空間的に変調する(spatially modulate light)ために配置され、画像に対応する反射光を出力し、および、上記反射光が第1の外面から、第1の一連のファセットを通って、第2の外面へと導光体を到達するように配置される、前面照射型反射偏光回転画像変調器と、を含む。
【0004】
随意の実施例では、ファセットの各々は、少なくとも第1の偏光の一部を反射し、上記第1の偏光の残りの部分を透過させ、および第2の偏光を透過させる。
【0005】
別の随意の実施例では、第1の偏光の反射率は第1の一連のファセット内の1つのファセットから後続のファセットへと増加する。
【0006】
別の随意の実施例では、第1の偏光は第1の外面からカップルアウトされ、反射光は第2の偏光のものである。
【0007】
別の随意の実施例では、第1の一連のファセットは、光が第1の外面に均一にカップルアウトされるように、導光体にカップルインされた光を拡大する。
【0008】
別の随意の実施例では、上記画像変調器は反射型液晶(LCOS)マトリックスである。
【0009】
別の随意の実施例では、ファセットは、以下からなる群から選択される技術を使用して、少なくとも部分的に構築される:多重コーティング、誘電体コーティング、およびワイヤグリッド。
【0010】
別の随意の実施例では、ファセットの主軸の配向は、ファセットの反射率を決定する。
【0011】
別の随意の実施例では、ファセットの各々の反射率は、光がファセットに入射する角度に依存する。
【0012】
別の随意の実施例では、第1の一連のファセットは、第1の外面からの光のカップルアウトを実行するように構成され、上記第1の一連のファセットは、第1の外面からカップルアウトされる光の公称観測点(nominal point of observation)への視線と重なる一定数のファセットを有する。
【0013】
別の随意の実施例では、第2の一連のファセットをさらに有し:少なくともその一部は:複数の平行な、部分反射する偏光選択面であり、第1および第2の外面に対して斜角であり、ならびに上記第1および第2の外面間にあり、ここで、第1の一連のファセットおよび第2の一連のファセットのファセットは、互いに平行ではない。
【0014】
別の随意の実施例では、一連のファセットの各々は範囲の領域に広がり、この広がりは一連のファセットの各々が配置される領域であり、ここで、第1および第2の一連のファセットの範囲の領域は少なくとも部分的に重なる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
実施形態は、添付の図面を参照してほんの一例として本明細書に記載されている。
【0016】
【
図1】照明のためのアーキテクチャの従来の実装を示す。
【
図2】現在の実施例で使用するために構成された例示的な導光光学素子(LOE)(903)の側面図を示す。
【
図3A】光学照明(302)のための例示的なコンパクトシステムの正面概略図を示す。
【
図3B】光学照明(302)のための例示的なコンパクトシステムの側面概略図を示す。
【
図3C】光源光学系(300)の第1の例示的な実施例(300C)の略図を示す。
【
図3D】光源光学系(300)の第2の例示的な実施例(300D)の略図を示す。
【
図4A】一定の角度応答を有するファセットの側面図の略図を示す。
【
図4B】異なる角度応答を有するファセットの側面図の略図を示す。
【
図5A】画像均一性に対する変化の効果を例証する、重ならないファセットを備えた導光体の概略図を示す。
【
図5B】画像均一性に対する変化の効果を例証する、重なるファセットを備えた導光体の概略図を示す。
【
図6】導光体(20)の角度空間のアーキテクチャの略図を示す。
【
図7】改善されたエネルギー抽出を有する
図6の角度空間アーキテクチャの略図を示す。
【
図8】
図7の構成のために設計されたコーティングの性能のチャートを示す。
【
図9】第2の例示的な実施例(300D)のテーパー状の(あるいは、シリンドリカルレンズ)拡大を含む構成の角度分布の略図を示す。
【
図10A】光学照明(302A)のための第1の随意のアーキテクチャの略図を示す。
【
図10B】光学照明(302B)のための第2の随意のアーキテクチャの側面概略図を示す。
【
図10C】光学照明(302B)のための第2の随意のアーキテクチャの正面概略図を示す。
【
図11】AおよびBは、導光体(10)および(20)内の内部ファセットによる反射過程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
【0018】
本実施形態に係るシステムの原則および動作は、図面と付随する記載を参照することで一層よく理解され得る。本発明は光学照明のためのシステムである。上記システムは、従来の実装よりも小さな(コンパクトな)構成の画像光プロバイダの均一照明を容易にする。
【0019】
従来の実装よりも小さな(コンパクトな)構成の画像光プロバイダの均一な光学照明のためのシステムであって、上記システムは、導光体であって:互いに平行な第1の外面および第2の外面と、ならびに第1の一連のファセットであって、少なくともその一部は、複数の平行な、部分反射する偏光選択面であり、第1および第2の外面に対して斜角であり、ならびに第1および第2の外面間にある、第1の一連のファセットとを含む、導光体と、前面照射型反射偏光回転画像変調器であって:第1の外面からカップルアウトされた光を空間的に変調するために配置され、画像に対応する反射光を出力し、および、上記反射光が第1の外面から、第1の一連のファセットを通って、第2の外面へと導光体を横断するように配置される、前面照射型反射偏光回転画像変調器と、を含む。
【0020】
<基礎技術>
図2を参照すると、現在の実施例で使用するために構成される例示的な導光光学素子(LOE)(903)の側面図が示される。コリメートされた光源(2C)は、コリメートされた入力ビーム(4C)を発する。この文書の文脈において、光源は「プロジェクタ」とも呼ばれる。光源は、レーザーあるいは単一または複数の波長を伝送するLEDであり得る。光は、導光体内などの透過軸まわりで方向付けられる、複数の角度の伝播方向を有する。現在の図の単純性について、一般に、明瞭さのために透過の中心方向のみが示される。1つの光線だけが一般に示され、入射光線、入力ビーム(例えば、コリメートされた入力ビーム(4C))は、「ビーム」あるいは「入射光線」とも呼ばれる。一般に、画像が光ビームよって本明細書に表される場合はいつでも、上記ビームは画像のサンプルビームであり、これは、画像の点またはピクセルにそれぞれ対応するわずかに異なる角度で複数のビームによって典型的に形成されることに留意されたい。特に画像の先端と呼ばれる場合を除いて、例示されるビームは典型的に画像の重心である。すなわち、光は画像に対応し、中心光線は、上記画像の中心あるいは上記画像の中心ピクセルからの中心光線である。
【0021】
第1の反射面(916)は、コリメートされた入力ビーム(4C)によって照射される。画像照射が導光体(920)にカップルインされる場合、第1の領域(954)は、コリメートされた入力ビーム(4C)の近位にある。内反射、典型的に、全内反射(TIR)によって光が導光体(920)の内部で捕捉されるように、反射面(916)は、コリメートされた光源(2C)からのコリメートされた入力ビーム(4C)の入射光を少なくとも部分的に反射する。導光体(920)は、典型的に透明基板であり、「平面基板」、「透光性基板」および「導波路」とも呼ばれる。導光体(20)は、第1の(後、主要)面(926)および前(第2、主要)面(926A)として図面で示されている、典型的に互いに平行(相互に平行な)少なくとも2つの(主要、外部)面を含む。主要な面(926、926A)に関して「前」および「後」の指定は、参照の便宜上のためであることに留意されたい。導光体(920)へのカップリングインは、前面、後面、側端面、あるいは任意の他の所望のカップリングイン幾何学などの様々な面からであり得る。
【0022】
コリメートされた入力ビーム(38)は、基板の近位端(図の右側)で導光体基板に入る。光は、導光体(920)と1つ以上のファセット、通常、少なくとも複数のファセット、および、典型的にはいくつかのファセットを通って、導光体(920)の遠位端(図の左側)へと伝播する。導光体(920)は、典型的には、外面の内反射によって基板内で伝播光の光線を誘導する。
【0023】
基板(920)の内面からの随意の反射後、捕捉された波は、基板からの光をビューアーの目(10)へ結合する選択反射面のセット(922)に達する。現在の例示的な図において、捕捉された光線は、ポイント(944)での2つの他の部分反射面(922)によって、基板(920)から徐々にカップルアウトされる。
【0024】
選択反射面のセット(922)などの内部の部分反射面は、この文書の文脈において、一般に「ファセット」と呼ばれる。拡張現実などの用途の場合、ファセットは部分反射型であり、現実世界からの光が前面(926A)を介して入り、ファセットを含む基板を横断し、基板を出て後面(26)を通ってビューアーの目(24)に至ることを可能にする。例示的な光線(942)は、反射面(916)から部分的に反射された、コリメートされた入力ビーム(4C)の光を示し、および例示的な光線(941)は、反射面(916)を介して部分的に透過した、コリメートされた入力ビーム(4C)の光を示す。
【0025】
内部部分反射面(922)は一般に、導光体(920)の伸長方向に対して斜角(つまり、非平行、平行でも垂直でもない)で、導光体(920)を少なくとも部分的に横断する。部分反射は、限定されないが、ある割合の光の伝送あるいは偏光の使用を含む、様々な技術によって実行可能である。
【0026】
導光体(920)は、互いに平行であり、かつ第1の対の外面に平行ではない第2の対の外面(現在の側面図中では示されない)を随意に有する。いくつかの実装形態では、第2の対の外面は第1の対の外面に垂直である。典型的には、ファセットの各々は、第2の対の外面に対して斜角である。導光体の外周面からの反射が望まれない他の場合においては、それらの外周面は典型的に、望まれない反射を最小限にするために、研磨されないままであり、および/または光吸収性物質(例えば、黒)材料でコーティングされる。
【0027】
<第1の実施形態>
図3Aおよび
図3Bを参照すると、光学照明(302)のための例示的なコンパクトシステムの正面概略図と側面概略図がそれぞれ示される。従来のPBS(104)は、導光体(20)(上述のLOE(903)と同様の)などの導光体(導波路)偏光スプリッタ(WGPS)と置き換えられる。光源光学系(300)は、均一照明(4P)を有する偏光を導光体(20)へと提供する。光源光学系(300)は、出口幅(300W)を有し、導光体(20)は偏光均一照明(4P)の入力幅(20W)を有する。導光体(20)の側面(21)(第2の対の外面)は、側面からのエネルギー損失を防ぐために、反射コーティングでコーティングすることができる。コリメートされた入力ビーム(4C)はLOE(903)によって使用されるものとして上述したが、導光体(20)への均一照明(4P)を有する偏光は、厳密にコリメートされないが、定められた角度の範囲内の角度の広がりを照らすことが好ましい。
【0028】
光(均一の偏光(4P))が導光体(20)に沿って伝播するにつれて、上記光は、一連の偏光選択ファセット(922P)によって部分的に反射される。偏光の部分選択反射ファセット(922P)は、上述された偏光に基づく選択反射を有する選択反射面(ファセット)のセット(922)と同様である。これらの偏光選択ファセット(922P)は、光(324)の第1の偏光(例えば、S-pol)を反射し、光(326)の第2の直交する偏光(例えば、P-pol)を透過させる。
【0029】
現在の実施形態の革新的な特徴は、ファセットが偏光選択的であり、部分的に反射するということである。この特徴は、導光体(20)の生成プロセス中に実装され得る。一般的な例示的な生成方法について、米国特許第6,829,095号(2004年12月7日に登録され、LUMUS Ltd.に譲渡された)を参照する。偏光選択的な部分反射ファセットを作成する好ましい方法は、導光体の板間の誘電体コーティングあるいはワイヤグリッドを使用することである。部分反射の偏光選択性を実装する他の方法を開発することができ、それは現在の実施形態に実装され得ることが予測される。ワイヤグリッドを使用する場合は、ワイヤの導電率などのワイヤグリッドのパラメータを制御することによって、ワイヤグリッド偏光子を、偏光(ワイヤと平行)に対して部分的にのみ反射させることができる。例えば、反射を少なくするために導電性の低いワイヤを使用することができる。導電率は、ワイヤ材料、厚さ、および間隔によって制御することができる。反射率を制御する他の選択肢は、ワイヤグリッドを回転させるか、あるいは「ねじる」ことである。誘電材料をワイヤグリッドと組み合わせるなどの技術の組み合わせは、ワイヤグリッド上の光の強さを制御し、したがって、反射率を制御する。偏光選択コーティングの追加情報および例示的なグラフは、例えば、米国特許第7,643,214号(2010年1月5日に登録され、およびLUMUS Ltd.に譲渡された)で見つけることができる。
【0030】
第1の偏光(324)は、前面照射型反射偏光回転画像変調器、例えば、LCOS(106)へと、第1の外面(926)を通って導光体(20)から出力される。現在の説明を単純化するために、LCOSを使用する特定の実装を説明する。第1の偏光(324)はLCOS(106)に入射する。好ましくは、第1の偏光(324)は、適切な中心角のまわりの光錐を有するすべてのピクセルを照らす。好ましくは、導光体(20)は、観察可能な非均一性を防ぐために、LCOS(106)からわずかに離れていなければならない。入射する第1の偏光(324)は、LCOS(106)による偏光回転によって空間的に変調され、導光体(20)へと反射される。例えば、第1の偏光(324)は反射され、第2の(直交する)偏光(326)として回転される。偏光選択ファセット(922P)は、この第2の偏光(326)に対して透過性であるように設計されているため、第2の偏光(326)は、第1の外面(926)から偏光選択ファセット(922P)を通って、導光体(20)を通過(横断)し、投射光学系(107)に向かって第2の外面(926A)から出る。散乱光を除去するために、随意の偏光子(303)が、導光体(20)と投射光学系(107)との間で配置されてもよい。現在の例において、偏光子(303)はP-pol配向にあり、いなかるS-pol偏光もフィルタリングする。
【0031】
図を3C参照すると、光源光学系(300)の第1の例示的な実施形態(300C)の概略図が示される。偏光されていない光源(2U)は、2D(二次元)導光体(9)へと垂直に導入される、(必ずしも均一ではない)偏光されていない光(4U)を放射する。光が伝播して2D導光体(9)内で反射すると、光の照射はより均一な(4L1)になる。例えば、随意のディフューザー(図示せず)は、例えば、2D導光体(9)の外面に沿って、またはその一部として、導光体(20)の前に置くことにより、導光体(9)の出力幅にわたって光の均一性をさらに改善することができる。随意に、小型PBSを2D導光体(9)へと導入することができる。小型PBSを使用してS-偏光を通過させ、その間に、P-偏光を出力し、その後、P-偏光は、S-polになるように1/2の波長板によって回転され、通過したS-偏光と平行に組み合わせられ、それにより、50%のパワーの損失を回避することができる。あるいは、2D導光体(9)に対して、均一の光(4L1)を生成するための他の実装が当技術分野で知られている。
【0032】
その後、均一光(4L1)は、内部部分反射ファセット(12)(選択反射ファセット(922)を備える上記LOE(903)と同様)を有する、第1の導光体(10)に入る。これらのファセットは、均一照明(4L)を有する光として第1の導光体(10)からの内部伝播光を導光体(20)へと反射するための角度になっている。
【0033】
随意におよび好ましくは、第1の導光体(10)から反射された均一照明(4L)を有する光は、その後、随意の偏光調整器(314)を通過する。偏光調整器(314)の構成要素は、偏光子(上述の偏光子(103)と同様)および1/2波長板を含み得る。導光体(20)内の光の散乱を最小限にし、かつLCOS(106)から高コントラスト画像を得るためには、純粋な偏光が好ましい。偏光子の配向は、ファセット(12)によってカップルアウトされる最大強度の方向に沿っているのが好ましい(おそらくS-偏光)。一般に、コーティング(ファセット(12)上の)および/またはワイヤグリッドがP-偏光よりはるかに高い効率でS-偏光を反射するため、均一の光(4L1)のS-polの構成要素のほとんどは、均一照明(4L)として反射されるだろう。第1の導光体(10)によって放射される(および、使用される場合は偏光子によってフィルタリングされる)偏光の配向が、光伝播路における次のステージの最適な偏光と重ならない場合、波長板が必要である。典型的な場合では、第1の導光体(10)からのS-polは、反射後にP-polとして配向され、したがって、S-pol配向を再び得るために1/2波長板が必要とされる。
【0034】
LCOS(106)に入射する第1の偏光(324)の純度に応じて、偏光調整器(314)は随意である(良好な画像コントラストのためには単一の偏光が好ましい)。偏光調整器(314)は、好ましくは、第1の導光体(10)中のTIRを乱すことなく、できる限り薄くなければならない。1つの代替案は、低指数接着剤(例えば、n~1.3)によって、偏光調整器(314)を第1の導光体(10)と導光体(20)との間に接着することである。
【0035】
導光体(20)がイメージングを行わないため、導光体(20)内の光の伝播は、一連のファセットの方向に対応する導光体(20)の軸に沿って注入することができる。この場合、低指数接着剤(例えば、n=1.3を有する)は、導光体(10)および(20)の外部ファセット上で使用することができる。上記接着剤は、2D導光体(9)と第1の導光体(10)との間、導光体(20)と投射光学系(107)(例えば、プリズム)との間、および導光体(20)とLCOS(106)との間にあってもよい。この方法ではエアギャップがなくなるだろう。
【0036】
図3Dを参照すると、光源光学系(300)の別の例示的な実施形態(300D)の概略図が示される。光源(2U)は、2D導光体(9)へと垂直に導入される非偏光(4U)を放射する。光が伝播して2D導光体(9)内で反射すると、光の照射はより均一な(4L1)になる。その後、均一の光(4L1)は、(随意の
偏光調整器(314)および)導光体(20)への均一照明(4L)を有する光として、テーパー状の非イメージング導光体(326)からの内部伝播光を横に拡大する、テーパー状の非画像化導光体(326)へと入る。
【0037】
上記の例示的な実施形態の両方において、均一照明(4P)を有する偏光は、光源光学系(300C、300D)から出力されて導光体(20)に入る。
【0038】
随意に、導光体(20)に光(均一照明(4P)を有する偏光)が注入される前に、不適切な角度分布を有する光、すなわち、所望の画像と重ならない光はフィルタリングされる。したがって、画像と重なる角度分布のみが導光体(20)に注入される。この技術は散乱およびコントラスト低減を減少する。
【0039】
導光体(導光体(20)、第1導光体(10))は、伝播光を内部に反射するために、金属コーティング、誘電体コーティング、あるいは全内反射(TIR)に基づくことができる。第1導光体(10)と導光体(20)との間の面は、好ましくはTIRに基づいた、角度選択透過率(angular selective transmittance)であることが好ましい。
【0040】
アパーチャ管理および/または部分反射器、導波路に基づく反射、コーティング管理、および2D拡大の組み合わせは、偏光ビームスプリッタに基づくなどの従来の実装よりもコンパクトな、光学照明(302)のためのコンパクトシステムの特徴である。よりコンパクトなシステムは、コストの削減、重量の減少、および、おそらくイメージング/投射光学系(107)のためのより広い空間を可能にする。
【0041】
<他の実施例>
図4Aを参照すると、均一の角度応答を有するファセットの側面概略図が示される。LCOS(106)の照明は、導光体(20)内のファセットの角度の反射率を構成することにより、改善することができる。導光体(20)は、一連のファセット(922A)(上記のファセットのセット(922)と同様)を含んでいる。LCOS(106)のいくつかの例示的なピクセル(434)が示される。均一照明(4P)を有する偏光は、角度分布(430)として導光体(20)に入る。ファセット(922A)は均一の角度応答を有し、したがって、反射ピクセル(434)はすべて、同じ照明角度の円錐(illumination angle cones)(432)を見て、同じ照明角度の円錐(432)を反射する。例えば、投射光学系(107)がテレセントリックである場合、現在の構成はテレセントリック光学系のための照明を改善する。
【0042】
図4Bを参照すると、異なる角度応答を有する面の側面概略図が示される。非テレセントリック光学系の構成については、ファセット(922N)(上記のファセットのセット(922)と同様)は異なる角度の反射率で構築することができ、異なる照明角度の円錐(440)を結果としてもたらす。この例示的な構成では、セクション(922N1)のファセットは、より大きな角度(各頂点が導光体(20)の同じ1つの外面に垂直である、頂点に対して)で光を反射し、他のすべての角度に対しては透過性であるだろう。セクション(922N2)、(922N1)、および(922N3)内のファセットはすべて、同じ角度の広がりで反射するが、各セクションの角度の広がりは、異なる角度の広がり(中心)に対して相対的である。
【0043】
参考までに、テレセントリック照明では、主光線はコリメートされ、画像および/または物体空間における光学軸と平行である。コリメートされた光線が物体の面に当たると、コリメートされた光線はコリメートされ続ける。それに比べて、標準的なバックライトからの光線は拡大し、互いに干渉する。この文書の文脈において、テレセントリック照明は、光の円錐がすべてのピクセル上に垂直に収束する照明を説明する。非テレセントリック照明では、異なるピクセルの各々は、ピクセルに対して異なる角度で傾けられる光の円錐によって照らされる。コリメーションは、ピクセル(ほとんど円錐分布)から反射された分散光を受け取り、反射光線すべてを特定方向に平行にする光学を説明するために使用される。異なるピクセルは異なる方向に「コリメートされる」。
【0044】
<均一照明>
LCOS(106)にわたって均一照明を得るのを支援するために、S-偏光(第1の偏光)の反射率は、好ましくは導光体に沿って増加し、すなわち、光が導光体(20)に沿って伝播するにつれて、一連のファセット(922P)の1つのファセットから後続のファセットへと増加するべきである。伝播路中の最初ファセットは比較的低い反射率を有し、最後のファセットは(第1の)S-偏光の比較的高い反射率を有するように設計されなければならない。LCOSによって反射されたP-偏光(第2の偏光)の透過率は、各ファセットで最大でなければならない。すなわち、ファセットは、P-偏光に対してできるだけ透過性でなければならない。以下の記載において、一般に、S-polの反射率およびP-polの透過率が使用され、ならびに、単純化のために、テレセントリック照明が想定されるだろう。
【0045】
第一要件は、(反射光(326)の)均一の画像強度を達成するために、好ましくは、LCOS(106)の照明が均一でなければならないことである。別の要件は、ニアアイディスプレイ光学系(投射光学系(107))の射出瞳も、最適な観測のために均一に照らされなければならないことである。これらの2つの要件は、LCOS(106)ピクセル(ピクセル(434))が均一に照らされ、かつ照明角度の円錐(432)の角度が均一あるべきであることを示唆する。言いかえれば、光学系の開口数にわたる100%完全な空間照明および均一の角度の照明が好ましい。
【0046】
光源光学系(300)からの結合が導光体(20)の入口を完全に満たす場合、LOE導光体(20)の均一照明を達成することができる。したがって、光源光学系(300)の出口幅(300W)は、好ましくは、導光体(20)入力幅(20W)と同等であるか、あるいはそれより広くなければならない。さらに、光源光学系(300)も均一に照らされることが好ましく、それは、例えば、ディフューザーの使用および最初の2D導光体(9)の適切な期間の使用によって、達成することができる。
【0047】
導光体(20)内に入って伝播する光に多少の非均一性が存在する場合もあり、ファセット(922P)それ自体によって多少の均一性が導入される場合もある。この非均一性を減少させ、および対処するために、内部部分反射ファセット(12)を有する第1の導光体(10)と、一連の偏光選択ファセット(922P)を有する導光体(20)は、重なり合う構成であることが好ましい。
【0048】
図5Aを参照すると、重ならないファセットを有する導光体(導光体(920)など)についての概略図が示され、画像の均一性に対する変化の影響を例証する。知覚される非均一性の原因は、異なる視野の内部ファセットの角度の重なりに関係する。本明細書で説明される導光体の領域では、導光体は内部ファセットを含んでいる(最後のファセット(2515)および最初ファセット(2517)として2つが示される)。カップルアウトされた光のほとんどは、単一の内部ファセットから反射される。しかし、ファセットの端に、軸外角度で非均一性が存在する。左(実線の矢として示される)を指すFOVの領域については、従来の隙間面積(2520)(一般に「アンダーラップ領域」、「黒線」領域、あるいは「暗いストリップ」領域とも呼ばれる)は、いかなる光も反射しないだろう。なぜなら、この角度では、最後のファセット(2515)および最初のファセット(2517)によって反射される光の間に有効な隙間があり、知覚されたものの中に暗いストリップを結果としてもたらすからである。他方では、右(破線の矢として示される)にカップルアウトされた光は、従来の明るい領域(2525)(一般に「部分的に重なり合う」領域、あるいは「強烈な」領域とも呼ばれる)を有し、その中に、導光体がほぼ2倍の量の光を反射するように、(2515)と(2517)から反射された光の重なりが存在する。したがって、現在の図における非均一性は、異なるFOVの領域および眼位において、拡大アパーチャにわたる中央の画像強度のおよそ200%~0%の間で変動するだろう。
【0049】
図5Bを参照すると、重なるファセットを備えた導光体の概略図が示され、画像均一性に対する変化の効果を例証する。現在の図で例証されるように、実質的な重なりがファセット間で導入される。この場合、隣接するファセット間の間隔は半減され、結果として、ほとんどの眼位でのFOVの大部分が、2つのファセットからの重なる反射を介して画像から照明を受け取る。この例示的ケースでは、単一の中間ファセット(2535)は、最後のファセット(2515)と最初のファセット(2517)との間に構成される。たった1つのファセット(中央のファセット(2535))から始まる重ならない領域(2540)と、3つの隣接するファセット(2517、2535、および2515)が寄与する明るい領域(2545)とによって例証されるように、画像の角度の末端およびファセットの末端の近くには、画像の特定の領域に寄与する重なるファセット数に変化がまだ見られるだろう。したがって、出力の非均一性は、中央反射率の50%~150%の間で変化するだろう。
【0050】
ファセット(2517)の前半(右から伝播する光)からの光は、この位置では次のファセット(2535)の重なりがなく、つまり、オブザーバーへと光を反射する1つのファセットのみがあるため、縮小したエネルギー(光線/出力ビーム(2546))としてカップルアウトされるだろう。同じ減少したパワーが、ファセット(2515)(光線/出力ビーム(2547))の後半で発生する。これらの領域では、反射率は中央反射率の50%になるだろう。
【0051】
図を5C参照すると、3倍のファセット(3倍のファセット交差、3倍の重なり)の概略図が示される。他の例と同様に、導光体(導光体(20))は、第1の面(26、26A)の間で二重線として示される、重なる内部ファセット(922T)を含んでいる。実線の矢は、3つのファセットを横切り、その後、基板からカップルアウトされた公称光線を示す(カップルアウトする光線の矢印(38B))。同様の図において、破線はファセット(922T)のアラインメントを示すために使用される。この例において、複数(特に2つ)の最初の部分的なファセットおよび複数(2つ)の最後の部分的なファセットが示される。
【0052】
現在の実施形態において、重なる構成におけるファセットの構成の管理、具体的には、重なりを最適化して、光をオブザーバー上へと反射するファセット(1つより多い)の定数を得ること、言いかえれば、少なくとも2つのファセットがオブザーバーのFOVへと光を反射することにより、導光体からの光出力の非均一性を減少することができる。
【0053】
図6を参照すると、第1の例示的な実施形態(300C)によって供給されている導光体(20)(
図3A、
図3B)の角度空間アーキテクチャの概略図が示される(
図3C)。導光体(20)から光を抽出する効率は、ファセット(922P)の角度およびコーティングのパラメータに依存する。現在の場合に使用される例示的なパラメータは、BK7グラスおよびMY-130接着剤に基づくが、他の光学材料が使用されてもよい。
【0054】
第1の導光体(10)の臨界角(60)(円として表される)は、n=1.3を有する保護コーティングで囲まれたBK7グラス導光体内で59度である。4つの円は、導光体(20)の4つの外部ファセットの臨界角(60)を表す。偏光されていない光源(2U)および2D導光体(9)は均一照明分布を生成し、それゆえに、我々は、単純化するために、臨界角(62)間の角度領域が均一に照らされると仮定することができる。投射光学系(107)の長方形のアパーチャがf/2を有すると仮定すると、必要な画像光の角度発散の半分は、照明(64)によって示されるように14度である。必要な照明(66)によって示されるように、45度のファセット(12)によって導光体(20)上に反射されるまで、この必要な照明の角度分布が第1の導光体(10)に沿って伝播する。必要な照明(66)が第1の導光体(10)に沿って伝播するにつれて、必要な照明(66)は、照明(68)によって示されるように、導光体(20)からLCOS(106)上へと、45度のファセット(922P)によって反射される。
【0055】
散乱を最小限にするために、ファセット(12)およびファセット(922P)上のコーティングが、必要な角度のみにおいてS-偏光の反射率を有することが望ましい。この例において、これは45度を中心におよそ±14でなければならない。
【0056】
本発明のこの構成の効率は、照明(64)の必要な角度領域に対する照明角度分布(臨界角(62)によって画定される角度領域内の)の比によって決定される。必要な分布と重なる、制限された角度分布を有する2D導光体(9)(随意のディフューザーを含む)は、効率を改善するために随意に使用することができる。
【0057】
図7を参照すると、エネルギー抽出が改善された、
図6の角度空間アーキテクチャの概略図が示される。軸および臨界角は、
図6を参照して説明されたものと同じ物である。
【0058】
必要な光学照明の角度分布(70)は、
図6と同じパラメータを有するが、中心から外れている(off-center)。このように、この分布は、第1の導光体(10)の4つの外部ファセットによって反射されて、分布(70)、(72)、(74)、および(76)を生成する。4つの分布が第1の導光体(10)に沿って伝播するにつれて、これらの4つの分布はエネルギーと関わる(engage)。
【0059】
この実施形態におけるファセット(12)は37度であり、20~53度(ファセットの頂点に対して)の間の角度で、部分的にS-偏光を反射するコーティングを有する。これらのファセット(12)は、それぞれ分布(78)および(80)として、導光体(20)上で分布(70)ならびに(72)を反射するだろう。2つの分布が導光体(20)に沿って伝播するにつれて、これらの2つの分布(78、80)もエネルギーを交換する。
【0060】
導光体(20)(この例において、第1の導光体(10)と同じパラメータを有する)内のファセット(922P)は、分布(82)としてLCOS(106)上に導光体(20)からの分布(78)を部分的に反射する。
【0061】
現在の実施形態では、ファセットは部分的に光を反射し、および、導光体内の他の分布との連続的な結合は、より多くのエネルギーが必要な分布に結合されることを可能にする。(70)、(72)、(74)、および(76)の組み合わせた分布が、第1の導光体(10)の臨界角間の照明角度分布を効率的に満たすことは、現在の図から明白である。
【0062】
大きい角度(ファセットの法線に対して)で伝播する光を、比較的より浅い角度で伝播するように変換するために、ファセット(12、922P)の組み合わせおよび対応するコーティングを、導光体(10、20)内で設計することができる。この設計の組み合わせは、好ましくは、S-偏光に関してのみ、高角度の反射と低角度のファセットに基づくことができる。この設計の組み合わせは、光が高角度で伝播することを可能にする実装と比較して、効率を改善することができる。
【0063】
図8を参照すると、
図7の構成のために設計されたコーティングの性能のチャートが示される。現在のチャートにおける性能は、重なるファセットを含んでいる。S-偏光Rs(LCOS(106)へと向かう)の反射率は10-15%であり、P-偏光Tp(LCOS(106)から投射光学系(107)へと向かう)の透過率は、>95%である。他の画像Ts(74、76、および80)の透過率は、角度スペクトルのほとんどにおいて比較的良く、>85%である。Rsの反射率は、観察不可能な方向へのエネルギー損失を引き起こす場合がある。
【0064】
図8のコーティング設計は例示的な多層屈折の構成に基づく。しかし、異なる屈折率を有する接着剤を含む低コスト(多少性能が低い)の単層を使用してもよい。
【0065】
図9を参照すると、第2の例示的な実施形態(300D)のテーパー状の(あるいは、シリンドリカルレンズ)拡大を含む構成の角度分布の概略図が示される。第2の例示的な実施形態(300D)で示される構成は、2D導光体(9)からの光(テーパー状の非イメージング導光体(326)を使用する偏光されていない光(4U)のテーパー状の1D拡大について説明する。この拡大は、随意に、シリンドリカルレンズによる場合もある。配光のエテンデュ(Etendue)の保存により、これらのタイプの拡大を行なうことは周知の事実である。このように、照明の幅の空間的拡大は、同じ軸での照明の角度分布の同等の減少を伴う。
【0066】
2D導光体(9)(すべての臨界角間の照明)中の角度照明分布は、領域(84)として表される。テーパー変換は、薄い長方形(86)への変換として表される(一方向から他の方向への回転は必須でなく、単純化のためである)。
【0067】
必要な強度分布(88)および(90)はエネルギーを交換し、および、
図7の(78)ならびに(80)と同じ方法で、ファセット(922P)によって(92)に結合される。このように、導光体(9)からの光エネルギーの必要な照明分布への変換は効率化される。
【0068】
図10Aを参照すると、光学照明(302A)のための第1の随意のアーキテクチャの概略図が示される。傾けられた角度は、第1の導光体(10)と導光体(20)との間にあり、
図8に示されるコーティングの角度パラメータを最適化するために使用することができる。
【0069】
図10Bおよび
図10Cを参照すると、光学照明(302B)のための第2の随意のアーキテクチャの側面概略図ならびに正面概略図がそれぞれ示される。光源光学系(300)は、ファセットの第1のセット(922M)およびファセットの第2のセット(922N)を有する、重なる導光体(20A)へと均一照明光(4L1)(この場合、偏光された、あるいは偏光されていない)を提供する。ファセットの第1および第2のセットの交差(重なる)配向は、重なる導光体(20A)内のソース開口の横方向の拡大を引き起こし、第1の偏光(324)を投射しながら第2の直交する偏光(326)を透過させる。
【0070】
図11Aおよび
図11Bを参照すると、導光体(10)ならびに(20)の内部ファセットによる反射過程が示される。2つの基本的構成が示され、ビームおよびファセットの相対的角度が異なる。この概略図では、対応する導光体の側面図から観察されるように、同じ幾何学的考察が各々に適用されるため、ビーム(a1)、(a2)および(b1)は同じベクトル(単純化のためにビーム(b1)と呼ばれる)として表される。ビーム(a3)、(a4)および(b2)も同じベクトル((b2)のみを参照)として表される。ビーム(b1)は(74)、(78)、(80)、あるいは(90)を表す。ビーム(b2)は(70)、(72)、(78)、あるいは(88)を表す。
【0071】
光ビーム(b2)は、実際には、
図11Aの2つのベクトルによって示されるように、同じ方向に伝播する光束である。この場合、1つのベクトルは、外面によって反射されてビーム(b1)になり、1つのベクトルの一部がビーム(c1)として反映される内部面(40)(ファセット(922P)に対応する)へと到達する。もう1つのビーム(b2)のベクトルは、ファセットによりベクトルビーム(c2)として直接反射される。ベクトルビーム(c1)および(c2)は、正像とゴースト像を表し、必ずしもこの順でなくてもよい。この構成では、ビーム(b1)および(b2)は、同じ側からファセット(40)に入射する。
【0072】
図11Bは、
図11Aを参照して説明したものと同様のプロセスについて説明するが、ビーム(b1)と(b2)はファセット(40)の反対側からファセット(40)に入射するような構造になっている。
【0073】
両方の場合では、S-偏光およびP-偏光における画像(c1)ならびに(c2)の反射の大きさは、これらのファセット(40)上のコーティングによって決定される。好ましくは、一方の反射は画像であり、他方の反射は抑制される。これは、もう1つの画像が望まれない「ゴースト」像に相当するためである。入射ビーム角度のどの範囲が反射されるか、あるいは、入射ビーム角度のどの範囲が透過させるかを制御するための適切なコーティングは、本発明と同時に譲渡された米国特許第7,391,573号および第7,457,040号において詳細に記載される。
【0074】
上記の例は、使用される数、および例示的な計算は、この実施形態の説明を支援するためのものであることに留意すべきである。不注意による誤植、数学的なエラー、および/または単純化された計算の使用は、発本明の有用性および基礎的な利点を損なわない。
【0075】
添付された請求項が複数従属することなく作成されている範囲内において、これは、そのような複数従属を許可しない管轄の方式要件に適応させるためだけに行われている。請求項を複数に従属させることにより暗示される特徴のすべての可能性のある組み合せが明示的に想定されており、本発明の一部とみなされなければならないことに留意されたい。
【0076】
上記の説明は例としての役割を果たすことのみが意図され、多くの他の実施形態が、添付の請求項において定義されるように、本発明の範囲内で可能であることが認識されるであろう。