IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECプラットフォームズ株式会社の特許一覧

特許7529303電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法
<>
  • 特許-電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法 図1
  • 特許-電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法 図2
  • 特許-電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法 図3
  • 特許-電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法 図4
  • 特許-電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法 図5
  • 特許-電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/18 20060101AFI20240730BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20240730BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G06F1/18 A
G06F1/16 312B
H02G1/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023020006
(22)【出願日】2023-02-13
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】秋山 実
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-010997(JP,A)
【文献】特開2005-086901(JP,A)
【文献】特開2018-176569(JP,A)
【文献】特開2009-217732(JP,A)
【文献】特開2018-098916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16- 1/18
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示素子と、
自基板と他基板との接続に用いられるケーブルを示す情報を前記表示素子に表示させ、前記ケーブルが接続される自基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させるとともに、前記ケーブルが接続される他基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させる第1コントローラと、
を備え
前記第1コントローラは、前記ケーブルを示す情報と、前記ケーブルが接続される自基板及び他基板のコネクタの各々に対応して設けられた発光素子示す情報とが対応付けられた管理テーブルに基づいて、前記ケーブルを示す情報を表示させるとともに、前記発光素子を発光させる、
子基板。
【請求項2】
前記第1コントローラと他基板に設けられた第2コントローラとの接続に用いられる専用コネクタを更に備えており、
前記第1コントローラは、前記ケーブルが接続される他基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を特定する情報を、前記専用コネクタを介して前記第2コントローラに出力することにより、前記ケーブルが接続される他基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させる、
請求項1記載の電子基板。
【請求項3】
前記第1コントローラは、前記専用コネクタを介して前記第2コントローラから他基板の情報を取得する、請求項2記載の電子基板。
【請求項4】
前記第1コントローラに電力を供給するとともに、前記専用コネクタを介して前記第2コントローラに電力を供給する電力供給素子を更に備える、請求項2記載の電子基板。
【請求項5】
前記第1コントローラに対し、前記表示素子に表示させる情報及び発光させる発光素子の変更を指示する指示器を更に備える請求項1記載の電子基板。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の電子基板である第1電子基板と、
ケーブルによって前記第1電子基板と接続される前記他基板としての第2電子基板と、
を備える情報処理装置。
【請求項7】
第1電子基板と第2電子基板との接続に用いられるケーブルを示す情報を前記第1電子基板に設けられた表示素子に表示させる第1ステップと、
前記ケーブルが接続される前記第1電子基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させるとともに、前記ケーブルが接続される前記第2電子基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させる第2ステップと、
を有し、
前記第1ステップは、前記ケーブルを示す情報と、前記ケーブルが接続される前記第1電子基板及び前記第2電子基板のコネクタの各々に対応して設けられた発光素子示す情報とが対応付けられた管理テーブルに基づいて、前記ケーブルを示す情報を表示させるステップであり、
前記第2ステップは、前記管理テーブルに基づいて、前記発光素子を発光させるステップである、
ーブル接続支援方法。
【請求項8】
表示素子と、
自基板と他基板との接続に用いられるケーブルを示す情報を前記表示素子に表示させ、前記ケーブルが接続される自基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させるとともに、前記ケーブルが接続される他基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させる第1コントローラと、
前記第1コントローラと他基板に設けられた第2コントローラとの接続に用いられる専用コネクタと、
を備え、
前記第1コントローラは、前記ケーブルが接続される他基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を特定する情報を、前記専用コネクタを介して前記第2コントローラに出力することにより、前記ケーブルが接続される他基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させる、
電子基板。
【請求項9】
前記第1コントローラは、前記専用コネクタを介して前記第2コントローラから他基板の情報を取得する、請求項8記載の電子基板。
【請求項10】
前記第1コントローラに電力を供給するとともに、前記専用コネクタを介して前記第2コントローラに電力を供給する電力供給素子を更に備える、請求項8記載の電子基板。
【請求項11】
請求項8から請求項10の何れか一項に記載の電子基板である第1電子基板と、
ケーブルによって前記第1電子基板と接続される前記他基板としての第2電子基板と、
を備える情報処理装置。
【請求項12】
第1電子基板と第2電子基板との接続に用いられるケーブルを示す情報を前記第1電子基板に設けられた表示素子に表示させる第1ステップと、
前記ケーブルが接続される前記第1電子基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させるとともに、前記ケーブルが接続される前記第2電子基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させる第2ステップと、
を有し、
前記第2ステップは、前記ケーブルが接続される前記第2電子基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を特定する情報を、前記第1電子基板に設けられた第1コントローラと、前記第2電子基板に設けられた第2コントローラとの接続に用いられる専用コネクタを介して前記第2コントローラに出力することにより、前記ケーブルが接続される前記第2電子基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させるステップである、
ケーブル接続支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置は、筐体内に設けられた複数のボード(電子基板)がケーブルで接続された構成のものが殆どである。このような情報処理装置を組み立てる場合、或いは報処理装置のオプション増設を行う場合には、作業者が、組立図面又は取扱説明書を参照して必要なケーブルを選択し、接続場所を確認した上で選択したケーブルを接続する必要がある。
【0003】
以下の特許文献1には、ユーザによって予め設定された接続情報に基づいて、接続元装置と接続先装置との間で接続されるべき接続ポート同士を特定し、該当するポートのリンクLEDを緑点灯させる技術が開示されている。以下の特許文献2には、予め結線図から作成された結線情報と、ケーブル及びその芯線に取り付けられたICタグ等から読み取った識別情報とに基づいて、未接続の芯線に対応する端子を抽出し、或いは未接続の端子に対応する芯線を抽出して表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-010997号公報
【文献】特開2007-020360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、情報処理装置に設けられるボードは多種多様であり、また、これらボードは複数種類のケーブルを用いて接続される場合もある。このような場合において、組立図面又は取扱説明書を参照してケーブルの選択及び接続場所の確認を行うと、ケーブルの選定ミス又は接続場所の特定ミスが生じやすい。このようなミスが生ずると、接続確認及び動作確認に時間がかかるとともに、ケーブル交換又は接続場所の変更等が必要になることから組み立てに時間を要するという問題がある。また、ケーブルの選定ミス又は接続場所の特定ミスが生じた状態で動作確認を行うと、ボードの故障に繋がることも考えられる。
【0006】
本発明は上述の課題を解決する電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様による電子基板は、表示素子と、自基板と他基板との接続に用いられるケーブルを示す情報を前記表示素子に表示させ、前記ケーブルが接続される自基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させるとともに、前記ケーブルが接続される他基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させる第1コントローラと、を備える。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様による情報処理装置は、上記の電子基板である第1電子基板と、ケーブルによって前記第1電子基板と接続される前記他基板としての第2電子基板と、を備える。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様によるケーブル接続支援方法は、第1電子基板と第2電子基板との接続に用いられるケーブルを示す情報を前記第1電子基板に設けられた表示素子に表示させるステップと、前記ケーブルが接続される前記第1電子基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させるとともに、前記ケーブルが接続される前記第2電子基板のコネクタに対応して設けられた発光素子を発光させる第2ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業者の熟練度に拘わらずケーブルの選定ミス及び接続場所の特定ミスを防止することができることから、短時間で装置の組み立てを行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による電子基板の要部構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による電子基板が接続される他の電子基板の要部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による情報処理装置の要部構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態によるケーブル接続支援方法を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態による情報処理装置の他の構成例を示すブロック図である。
図6】本発明の一実施形態による電子基板の最小構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法について詳細に説明する。
【0013】
〈電子基板〉
図1は、本発明の一実施形態による電子基板の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の電子基板としてのメインボード10は、コネクタ11、LED(Light Emitting Diode)12(発光素子)、7セグメント表示器13(表示素子)、コントローラ14(第1コントローラ)、専用コネクタ15、スイッチ16(指示器)、及びボタン電池17(電力供給素子)を備える。
【0014】
コネクタ11は、メインボード10と他の電子基板(例えば、図2に示すサブボード20)とを接続するケーブルの一端が取り付けられる部品である。コネクタ11は、メインボード10に複数設けられている。図1に示す例では、4つのコネクタ11(コネクタ11a~11d)が設けられている。コネクタ11の形状は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0015】
LED12は、コネクタ11の各々に対応して複数設けられている。図1に示す例では、4つのコネクタ11(コネクタ11a~11d)に対応して、4つのLED12(LED12a~12d)が設けられている。LED12は、コントローラ14の制御の下で点灯又は消灯する。LED12は、メインボード10と他の電子基板とをケーブルで接続する際に、ケーブルの一端が取り付けられるべきコネクタを特定するために設けられる。例えば、コントローラ14の制御によって、複数のLED12の内の1つのみが点灯することによって、ケーブルの一端が取り付けられるべきコネクタが特定される。
【0016】
7セグメント表示器13は、コントローラ14の制御の下で、各種情報を表示する。例えば、7セグメント表示器13は、メインボード10と他の電子基板とを接続するケーブルを特定する情報(例えば、後述するケーブル管理番号又はケーブル型番)を表示する。尚、図2においては、2桁の7セグメント表示器13を例示しているが、7セグメント表示器13は、1桁のものであってもよく、3桁以上のものであってもよい。
【0017】
コントローラ14は、ボタン電池17から供給される電力によって動作し、7セグメント表示器13の表示内容の制御、及びLED12の点灯・消灯の制御を行う。また、コントローラ14は、専用コネクタ15を介して他の電子基板の情報を収集し、他の電子基板に設けられたLED(例えば、図2に示すサブボード20のLED22)の点灯・消灯を制御する。つまり、コントローラ14は、メインボード10と他の電子基板とを接続するケーブルを特定する情報を7セグメント表示器13に表示させる制御を行う。また、コントローラ14は、そのケーブルの一端が取り付けられるメインボード10のコネクタと、そのケーブルの他端が取り付けられる他の電子基板のコネクタとを特定する制御を行う。
【0018】
コントローラ14は、他の電子基板に設けられたLEDを特定する情報を、専用コネクタ15を介して他の電子基板のコントローラ(例えば、図2に示すコントローラ23)に出力することによって、他の電子基板に設けられたLEDの点灯・消灯を制御する。尚、他の電子基板に設けられたLEDの点灯・消灯は、メインボード10のコントローラ14から専用コネクタ15を介して出力された情報に基づいて、他の電子基板に設けられたコントローラが制御する。
【0019】
コントローラ14は、ケーブル管理テーブルTB1、コントローラ管理テーブルTB2、及び作業管理テーブルTB3(管理テーブル)に基づいて、7セグメント表示器13の表示内容の制御、及びLED12の点灯・消灯の制御を行う。ケーブル管理テーブルTB1は、メインボード10と他の電子基板とを接続するケーブルを管理するテーブルである。コントローラ管理テーブルTB2は、メインボード10に接続される他の電子基板に設けられるコントローラを管理するテーブルである。作業管理テーブルTB3は、メインボード10と他の電子基板とをケーブルで接続する作業を行う際の、7セグメント表示器13に表示させる内容と、点灯させるべきLEDとを管理するテーブルである。尚、ケーブル管理テーブルTB1、コントローラ管理テーブルTB2、及び作業管理テーブルTB3の詳細については後述する。
【0020】
専用コネクタ15は、メインボード10に設けられたコントローラ14と、他の電子基板に設けられたコントローラとを接続する専用ケーブルの一端が取り付けられるコネクタである。メインボード10に設けられたコントローラ14は、専用コネクタ15に取り付けられた専用ケーブルを介して、他の電子基板に設けられたコントローラと通信を行うことが可能である。
【0021】
スイッチ16は、例えば、作業者の操作に応じて、オン状態(導通状態)又はオフ状態(開放状態)になる素子である。このスイッチ16は、コントローラ14に対し、7セグメント表示器13の表示内容及び点灯させるLED(メインボード10のLED12及び他の電子基板に設けられたLED)の変更を指示するために用いられる。例えば、スイッチ16がオフ状態からオン状態になった場合に、7セグメント表示器13の表示内容及び点灯させるLEDの変更指示がなされたことになる。
【0022】
ボタン電池17は、コントローラ14に対し、コントローラ14が動作するために必要な電力を供給する。また、ボタン電池17は、専用コネクタ15に取り付けられた専用ケーブルによって他の電子基板に設けられたコントローラが接続されている場合には、そのコントローラが動作するために必要な電力を供給する。
【0023】
尚、図示は省略しているが、メインボード10には、コントローラ14とは別に、信号処理回路が設けられている。この信号処理回路は、コネクタ11に取り付けられたケーブルによって接続された他の電子基板との間で送受信される信号を処理する回路である。コントローラ14は、メインボード10に設けられた信号処理回路とは独立して動作する。
【0024】
《ケーブル管理テーブル》
以下の表1は、コントローラ14で用いられるテーブル管理テーブルの一例を示す表である。表1に示す通り、ケーブル管理テーブルTB1は、ケーブル管理番号、ケーブル型番、コネクタ情報、及びその他の情報が対応づけられたテーブルである。ケーブル管理番号は、ケーブルの各々に割り当てられた一意に定まる番号である。ケーブル型番は、ケーブルの型番を示す情報である。コネクタ情報は、ケーブルの両端に設けられたコネクタの形状とピン数を示す情報である。その他の情報は、ケーブルの特徴又は用途等を示す情報である。尚、ケーブル管理テーブルTB1は、最小限、太線で囲った部分があればよい。
【0025】
【表1】
【0026】
《コントローラ管理テーブル》
以下の表2は、コントローラ14で用いられるコントローラ管理テーブルTB2の一例を示す表である。表2に示す通り、コントローラ管理テーブルTB2は、コントローラ番号、搭載ボード、LED管理番号、コネクタ情報、信号種類、及びその他の情報が対応づけられたテーブルである。コントローラ番号は、コントローラの各々に割り当てられた一意に定まる番号である。搭載ボードは、コントローラが搭載されているボードを示す情報である。LED管理番号は、各ボードに搭載されたコントローラによって管理されるLEDを示す情報である。コネクタ情報は、ケーブルの一端又は他端が接続されるコネクタの形状とピン数を示す情報である。その他の情報は、ケーブルの特徴又は用途等を示す情報である。尚、コントローラ管理テーブルTB2は、最小限、太線で囲った部分があればよい。
【0027】
【表2】
【0028】
《作業管理テーブル》
以下の表3は、コントローラ14で用いられる作業管理テーブルTB3の一例を示す表である。表3に示す通り、作業管理テーブルTB3は、接続作業ステップ、ケーブル管理番号、接続元情報、接続先情報、及びその他の情報が対応づけられたテーブルである。接続作業ステップは、メインボード10と他の電子基板とをケーブルで接続する作業を行う際の作業順を示す情報である。ケーブル管理番号は、ケーブルの各々に割り当てられた一意に定まる番号であり、表1に示したケーブル管理番号と同じものである。
【0029】
接続元情報は、ケーブルの一端が接続されるコネクタを特定する情報である。この接続元情報には、そのコネクタが搭載されているボードを示す情報と、そのコネクタに対応して設けられたLEDを示す情報とが含まれる。接続先情報は、ケーブルの他端が接続されるコネクタを特定する情報である。この接続先情報には、そのコネクタが搭載されているボードを示す情報と、そのコネクタに対応して設けられたLEDを示す情報とが含まれる。その他の情報は、ケーブルの特徴又は用途等を示す情報である。尚、作業管理テーブルTB3は、最小限、太線で囲った部分があればよい。
【0030】
【表3】
【0031】
図2は、本発明の一実施形態による電子基板が接続される他の電子基板の要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、他の電子基板としてのサブボード20は、コネクタ21、LED22(発光素子)、コントローラ23(第2コントローラ)、及び専用コネクタ24を備える。
【0032】
コネクタ21は、サブボード20と図1に示すメインボード10とを接続するケーブルの他端が取り付けられる部品である。コネクタ21は、サブボード20に複数設けられている。図2に示す例では、2つのコネクタ21(コネクタ21a,21b)が設けられている。コネクタ21の形状は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0033】
LED22は、コネクタ21の各々に対応して複数設けられている。図2に示す例では、2つのコネクタ21(コネクタ21a,21b)に対応して、2つのLED22(LED22a,22b)が設けられている。LED22は、コントローラ23の制御の下で点灯又は消灯する。LED22は、サブボード20とメインボード10とをケーブルで接続する際に、ケーブルの他端が取り付けられるべきコネクタを特定するために設けられる。例えば、コントローラ23の制御によって、複数のLED22の内の1つのみが点灯することによって、ケーブルの他端が取り付けられるべきコネクタが特定される。
【0034】
コントローラ23は、専用コネクタ24を介して供給される電力によって動作し、専用コネクタ24を介して入力される情報に基づいて、LED22の点灯・消灯の制御を行う。尚、専用コネクタ24を介して供給される電力は、図1に示すボタン電池17から供給される電力である。また、専用コネクタ24を介して入力される情報は、図1に示すコントローラ14から出力される、サブボード20のLED22を特定する情報である。
【0035】
また、コントローラ23は、専用コネクタ24を介して情報収集要求が送信されてきた場合には、サブボード20の情報を専用コネクタ24に出力する。例えば、コントローラ23は、サブボード20に搭載されているコネクタを示す情報(表2のコネクタ情報)及びサブボード20に搭載されているLEDを示す情報(表2のLED管理番号)を専用コネクタ24に出力する。
【0036】
専用コネクタ24は、サブボード20に設けられたコントローラ23と、メインボード10に設けられたコントローラ14とを接続する専用ケーブルの他端が取り付けられるコネクタである。サブボード20に設けられたコントローラ23は、専用コネクタ24に取り付けられた専用ケーブルを介して、メインボード10に設けられたコントローラ23と通信を行うことが可能である。
【0037】
尚、図示は省略しているが、サブボード20にも、コントローラ23とは別に、信号処理回路が設けられている。この信号処理回路は、コネクタ21に取り付けられたケーブルによって接続されたメインボード10との間で送受信される信号を処理する回路である。コントローラ23は、サブボード20に設けられた信号処理回路とは独立して動作する。
【0038】
〈情報処理装置〉
図3は、本発明の一実施形態による情報処理装置の要部構成を示すブロック図である。図3に示す通り、本実施形態の情報処理装置1は、メインボード10(第1電子基板)と、複数のサブボード20(第2電子基板)とを備える。図3に例示する情報処理装置1は、1つのメインボード10と、5つのサブボード20(サブボード20a~20e)とを備える。
【0039】
メインボード10は、図1に示すものと同じ構成であり、サブボード20は、図2に示すものと同様の構成である。尚、サブボード20に設けられるコネクタ21の種類は、図2に示すものと同じであってもよく、異なっていてもよい。また、サブボード20に設けられるコネクタ21及びLED22の数は、図2に示すものと同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0040】
メインボード10に設けられたコントローラ14はマスタとして動作する。サブボード20(サブボード20a~20e)に設けられたコントローラ23は、メインボード10に設けられたコントローラ14の指示の下で、サブボード20(サブボード20a~20e)に設けられたLED22の点灯・消灯を制御する。
【0041】
本実施形態の情報処理装置1は、メインボード10に設けられたコネクタ11と、サブボード20に設けられたコネクタ21とが、ケーブル(例えば、図3に示すケーブルCB1)によって接続される。尚、図3においては、メインボード10に設けられた専用コネクタ15と、サブボード20に設けられた専用コネクタ24とが、専用ケーブルCB0によって接続されている例を図示している。このような接続がなされるのは、メインボード10に設けられたコネクタ11と、サブボード20に設けられたコネクタ21とを、不図示のケーブルによって接続する作業が行われる前である。尚、専用ケーブルCB0は、メインボード10に設けられたコネクタ11と、サブボード20に設けられたコネクタ21との接続作業が完了した後は取り外されてもよい。
【0042】
〈ケーブル接続支援方法〉
図4は、本発明の一実施形態によるケーブル接続支援方法を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートでは、理解を容易にするために、作業者によって行われるステップと、コントローラ14等によって行われる処理とを混在させている。
【0043】
[ステップS11]
作業者は、情報処理装置1で使用されるケーブル管理テーブルTB1を定義する作業を行う。具体的に、作業者は、情報処理装置1で使用されるケーブルの全てについて、ケーブル管理番号、ケーブル型番、コネクタ情報、及びその他の情報が対応づけられたケーブル管理テーブルTB1(表1参照)を定義する作業を行う。尚、定義されたケーブル管理テーブルTB1は、メインボード10のコントローラ14に格納される。
【0044】
[ステップS12]
作業者は、情報処理装置1で使用されるコントローラ管理テーブルTB2を定義する作業を行う。具体的に、作業者は、情報処理装置1内に設けられた全てのボード(メインボード10及びサブボード20)の各々について、コントローラ番号、搭載ボード、LED管理番号、コネクタ情報、信号種類、及びその他の情報が対応づけられたコントローラ管理テーブルTB2(表2参照)を定義する作業を行う。尚、定義されたコントローラ管理テーブルTB2は、ボード毎に分けてボード毎のコントローラに格納される。例えば、コントローラ管理テーブルTB2のうち、メインボード10についてのものはメインボード10のコントローラ14に格納され、サブボード20aについてのものはサブボード20aのコントローラ23に格納されるといった具合である。
【0045】
[ステップS13]
作業者は、情報処理装置1で使用される作業管理テーブルTB3を定義する作業を行う。具体的に、作業者は、情報処理装置1において、ケーブルの接続順(接続作業ステップ順)に、ケーブル管理番号、接続元情報、接続先情報、及びその他の情報が対応づけられた作業管理テーブルTB3(表3参照)を定義する作業を行う。尚、定義された作業管理テーブルTB3は、メインボード10のコントローラ14に格納される。尚、ステップS11~S13に示す作業は、必ずしもこの順で行われなくてもよい。例えば、ステップS11~S13に示す作業は、同時に行われてもよい。
【0046】
[ステップS14]
作業者は、情報処理装置1を構成するメインボード10に設けられた専用コネクタ15と、サブボード20の各々に設けられた専用コネクタ24とを専用ケーブルCB0で接続する作業を行う。かかる作業が行われることで、メインボード10に設けられたコントローラ14とサブボード20に設けられたコントローラ23とが、専用ケーブルCB0で接続された状態になる(図3参照)。
【0047】
[ステップS15]
メインボード10に設けられたコントローラ14は、サブボード20の各々に設けられたコントローラ23から情報を取得し、取得した情報を集約して表3に示すコントローラ管理テーブルTB2を作成する処理を行う。そして、メインボード10に設けられたコントローラ14は、作業管理テーブルTB3の先頭に格納されている情報(Start)に基づいて、ケーブル接続作業スタートを意味する文字「S」を7セグメント表示器13に表示させる(ステップS15)。
【0048】
[ステップS16]
作業者は、7セグメント表示器13に表示された文字「S」を参照することで、ケーブルの接続作業を行う準備ができた旨を把握する。作業者が、メインボード10に設けられたスイッチ16を押下すると、ケーブル接続作業が開始される。ケーブル接続作業が開始されると、メインボード10に設けられたコントローラ14は、作業管理テーブルTB3から、接続作業ステップ「1」に対応するケーブル管理番号、接続元情報、及び接続先情報を読み出す。そして、コントローラ14は、読み出した情報に基づいて7セグメント表示器13の表示内容の制御、及びLED12の点灯制御を行う。具体的に、コントローラ14は、読み出したケーブル管理番号を7セグメント表示器13に表示させる(第1ステップ)。また、コントローラ14は、読み出した接続元情報及び接続先情報に基づいて、ケーブルの接続対象となるコネクタに対応して設けられるLEDを点灯させる(第2ステップ)。
【0049】
例えば、コントローラ14は、ケーブル型番として「2」を7セグメント表示器13に表示させる。また、コントローラ14は、接続元情報に含まれるボードを示す情報がメインボード10を示すものであり、接続元情報に含まれるLED管理番号がLED12aを特定するものであったとする。すると、コントローラ14は、メインボード10に設けられたLED12aを点灯させる。また、接続先情報に含まれるボードを示す情報がサブボード20aを示すものであり、接続先情報に含まれるLED管理番号がLED22aを特定するものであったとする。すると、コントローラ14は、サブボード20aのLED22aを特定する情報を、専用コネクタ15を介してサブボード20aのコントローラ23に出力する。サブボード20aのコントローラ23は、コントローラ14から出力された情報に基づいて、サブボード20aのLED22aを点灯させる。
【0050】
[ステップS17]
作業者は、7セグメント表示器13に表示されたケーブル番号に従って、ケーブルを選定する作業を行う。
【0051】
[ステップS18]
作業者は、近傍でLEDが点灯しているコネクタに対して、選定したケーブルを接続する作業を行う。例えば、7セグメント表示器13に「2」が表示され、メインボード10に設けられたLED12aと、サブボード20aに設けられたLED22aとが点灯しているとする。すると、作業者は、ケーブル番号「2」で特定されるケーブルを選定し、選定したケーブルをメインボード10のコネクタ11aとサブボード20aのコネクタ21aとに接続する。
【0052】
[ステップS19]
以上の作業が終了し、作業者が、スイッチ16を押下すると、次のケーブル接続作業が開始される。つまり、メインボード10に設けられたコントローラ14が、作業管理テーブルTB3から、接続作業ステップ「2」に対応するケーブル管理番号、接続元情報、及び接続先情報を読み出す。そして、コントローラ14は、読み出した情報に基づいて7セグメント表示器13の表示内容の制御、及びLED12の点灯制御を行う(ステップS16)。具体的に、コントローラ14は、読み出したケーブル管理番号を7セグメント表示器13に表示させる(第1ステップ)。また、コントローラ14は、読み出した接続元情報及び接続先情報に基づいて、ケーブルの接続対象となるコネクタに対応して設けられるLEDを点灯させる(第2ステップ)。
【0053】
作業者は、7セグメント表示器13に表示されたケーブル番号に従って、ケーブルを選定する作業を行う(ステップS17)。そして、作業者は、近傍でLEDが点灯しているコネクタに対して、選定したケーブルを接続する作業を行う(ステップS18)。以上の作業が終了し、作業者が、スイッチ16を押下すると、次のケーブル接続作業が開始される。以後、作業者がスイッチ16を押下する度に、7セグメント表示器13の表示内容、及び点灯するLED12が切り替えられ、順次選定されたケーブルを接続する作業が行われる。
【0054】
そして、作業管理テーブルTB3の最後に格納されている情報(End)を読み出すと、コントローラ14は、その情報に基づいて、ケーブル接続作業終了を意味する文字「E」を7セグメント表示器13に表示させる。7セグメント表示器13に文字「E」が表示されると、作業者は、ケーブルの接続作業が終了した旨を把握する。以上にて、ケーブル接続作業が完了する。
【0055】
尚、ケーブル接続作業が完了した後に、作業者がスイッチ16を押下すると、再び、作業管理テーブルTB3の先頭に格納されている情報(Start)に基づいて、ケーブル接続作業スタートを意味する文字「S」が7セグメント表示器13に表示される。そして、スイッチ16を押下する度に、作業管理テーブルTB3の内容に従って、7セグメント表示器13の表示内容、及び点灯するLED12が切り替えられる。これにより、ケーブルの接続作業を完了した後に、ケーブルの接続確認及び検証を行うことができる。
【0056】
図5は、本発明の一実施形態による情報処理装置の他の構成例を示すブロック図である。図5に示す情報処理装置2は、図3に示す情報処理装置1とは、内部のボード構成が異なる。具体的に、図3に示す情報処理装置1は、1つのメインボード10と、5つのサブボード20(サブボード20a~20e)とを備える構成であった。これに対し、図5に示す情報処理装置2は、1つのメインボード10と、4つのサブボード20(サブボード20f~20i)を備える構成である。
【0057】
このように、内部のボード構成が異なる場合には、ボード構成に合わせてケーブル管理テーブルTB1、コントローラ管理テーブルTB2、及び作業管理テーブルTB3を定義し直せばよい。例えば、図5に示す情報処理装置2では、表3に示した作業管理テーブルTB3に替えて、以下の表4に示す作業管理テーブルTB3を用いればよい。このように、作業管理テーブルTB3の定義を変えることで、ボード構成が異なる報処理装置にも対応することができる。
【0058】
【表4】
【0059】
以上の通り、本実施形態では、メインボード10とサブボード20との接続に用いられるケーブルを示す情報を7セグメント表示器13に表示させている。また、ケーブルが接続されるメインボード10のコネクタ11に対応して設けられたLED12を発光させるとともに、ケーブルが接続されるサブボード20のコネクタ21に対応して設けられたLED22を発光させるようにしている。これにより、作業者の熟練度に拘わらずケーブルの選定ミス及び接続場所の特定ミスを防止することができる。その結果、短時間で装置の組み立てを行うことができる。
【0060】
〈最小構成例〉
図6は、本発明の一実施形態による電子基板の最小構成例を示す図である。図6に示す通り、電子基板10は、少なくとも、2つのコネクタ11、2つのLED12、7セグメント表示器13、及びコントローラ14を備える。コネクタ11は、メインボード10と他の電子基板(例えば、図2に示すサブボード20)とを接続するケーブルの一端が取り付けられる部品である。LED12は、コネクタ11の各々に対応して設けられている。7セグメント表示器13は、コントローラ14の制御の下で、各種情報(例えば、ケーブル管理番号又はケーブル型番)を表示する。コントローラ14は、7セグメント表示器13の表示内容の制御、及びLED12の点灯・消灯の制御を行う。
【0061】
以上、本発明の実施形態による電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法について説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されることなく、本発明の範囲で自由に変更することが可能である。例えば、情報処理装置を新規に組み立てる場合であっても、既存の報処理装置のオプション増設を行う場合であっても、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1,2 情報処理装置
10 メインボード
11 コネクタ
12 LED
13 7セグメント表示器
14 コントローラ
15 専用コネクタ
16 スイッチ
17 ボタン電池
20 サブボード
21 コネクタ
22 LED
23 コントローラ
24 専用コネクタ
TB1 ケーブル管理テーブル
TB2 コントローラ管理テーブル
TB3 作業管理テーブル
【要約】
【課題】作業者の熟練度に拘わらずケーブルの選定ミス及び接続場所の特定ミスを防止することができる電子基板、情報処理装置、及びケーブル接続支援方法を提供する。
【解決手段】メインボード10は、7セグメント表示器13と、自基板と他基板との接続に用いられるケーブルを示す情報を7セグメント表示器13に表示させ、ケーブルが接続される自基板のコネクタ11に対応して設けられたLED12を発光させるとともに、ケーブルが接続される他基板のコネクタに対応して設けられたLEDを発光させるコントローラ14と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6