(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】音響制御システム、音響制御方法及び音響制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04S 5/00 20060101AFI20240730BHJP
H04R 3/12 20060101ALI20240730BHJP
H04R 27/00 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
H04S5/00
H04R3/12 A
H04R27/00 C
H04R27/00 J
(21)【出願番号】P 2023024659
(22)【出願日】2023-02-20
【審査請求日】2023-09-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523302256
【氏名又は名称】Zingari株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194836
【氏名又は名称】長谷部 優一
(72)【発明者】
【氏名】井戸 覚道
【審査官】中嶋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-170329(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0137893(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110519677(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04S 5/00
H04R 3/12
H04R 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御システムにおいて、
前記客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれの前記エリアに分散配置した、前記エリア毎の複数のスピーカ装置と、
前記エリア毎の複数の前記スピーカ装置のそれぞれについて、前記エリアにおける各々の前記スピーカ装置の配置関係に基づいて、前記エリア毎に、各々の前記エリアから選択した前記スピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属する前記スピーカ装置に対して音源信号を出力する音響制御手段と
を備え、
前記音響制御手段が、
音源部と、
前記音源部から前記グループの数に応じたチャネル数の音源信号を入力し、前記グループ毎に、前記エリア毎の前記スピーカ装置に前記音源信号を出力するミキサー部と
を有する
ことを特徴とする音響制御システム。
【請求項2】
競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御システムにおいて、
前記客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれの前記エリアに分散配置した、前記エリア毎の複数のスピーカ装置と、
前記エリア毎の複数の前記スピーカ装置のそれぞれについて、前記エリアにおける各々の前記スピーカ装置の配置関係に基づいて、前記エリア毎に、各々の前記エリアから選択した前記スピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属する前記スピーカ装置に対して音源信号を出力する音響制御手段と
を備え、
前記音響制御手段が、
モノラル音源信号を出力する音源部と、
前記音源部からの前記モノラル音源信号を所定の周波数帯域で分割する周波数帯域分割部と、
前記周波数帯域分割部により
分割された所定の高周波数帯域信号を増幅する、前記グループの数に応じた数の複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のそれぞれから
の前記高周波数帯域信号については、前記グループ毎に、前記エリア毎の前記スピーカ装置に前記音源信号を出力し、前記周波数帯域分割部からの所定の低周波数帯域信号については、全エリアの全ての前記スピーカ装置に出力するミキサー部と
を有する
ことを特徴とする音響制御システム。
【請求項3】
前記音響制御手段は、前記音源信号を出力する出力先を、所定順序に従ってグループ毎に切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の音響制御システム。
【請求項4】
前記エリア毎の複数の前記スピーカ装置は、当該エリアにおいて、前記競技面の周囲に沿って分散配置により配列されており、
前記エリア内における前記スピーカ装置の配列順に基づいて、前記スピーカ装置のグループ化をしており、
前記音響制御手段が、グループ毎に、前記音源信号の出力先を切り替えることにより、前記エリア内で、前記スピーカ装置が配列順に従って音響を出力する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の音響制御システム。
【請求項5】
競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御方法において、
前記客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれの前記エリアに分散配置した、前記エリア毎の複数のスピーカ装置と、
音源部と、ミキサー部とを有する
音響制御手段と
を備え、
前記
音響制御手段が、前記エリア毎の複数の前記スピーカ装置のそれぞれについて、前記エリアにおける各々の前記スピーカ装置の配置関係に基づいて、前記エリア毎に、各々の前記エリアから選択した前記スピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属する前記スピーカ装置に対して音源信号の出力制御を行ない、
前記ミキサー部が、前記音源部から前記グループの数に応じたチャネル数の音源信号を入力し、前記グループ毎に、前記エリア毎の前記スピーカ装置に前記音源信号を出力する
ことを特徴とする音響制御方法。
【請求項6】
競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御方法において、
前記客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれの前記エリアに分散配置した、前記エリア毎の複数のスピーカ装置と、
音源部と、周波数帯域分割部と、
増幅器と、ミキサー部とを有する音響制御手段と
を備え、
前記音響制御手段が、前記エリア毎の複数の前記スピーカ装置のそれぞれについて、前記エリアにおける各々の前記スピーカ装置の配置関係に基づいて、前記エリア毎に、各々の前記エリアから選択した前記スピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属する前記スピーカ装置に対して音源信号の出力制御を行ない、
前記音響制御手段では、
前記周波数帯域分割部が、モノラル音源信号を出力する前記音源部からの前記モノラル音源信号を所定の周波数帯域で分割し、
前記グループの数に応じた前記増幅器のそれぞれが、前記周波数帯域分割部により
分割された所定の高周波数帯域信号を増幅し、
前記ミキサー部が、前記増幅器のそれぞれから
の前記高周波数帯域信号については、前記グループ毎に、前記エリア毎の前記スピーカ装置に前記音源信号を出力し、前記周波数帯域分割部からの所定の低周波数帯域信号については、全エリアの全ての前記スピーカ装置に出力する
ことを特徴とする音響制御方法。
【請求項7】
競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御プログラムにおいて、
前記客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれの前記エリアに分散配置した、前記エリア毎の複数のスピーカ装置を備え、
コンピュータを
前記エリア毎の複数の前記スピーカ装置のそれぞれについて、前記エリアにおける各々の前記スピーカ装置の配置関係に基づいて、前記エリア毎に、各々の前記エリアから選択した前記スピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属する前記スピーカ装置に対して音源信号を出力する音響制御手段と
して機能させ、
前記音響制御手段が、
音源部と、
前記音源部から前記グループの数に応じたチャネル数の音源信号を入力し、前記グループ毎に、前記エリア毎の前記スピーカ装置に前記音源信号を出力するミキサー部と
を有する
ことを特徴とする音響制御プログラム。
【請求項8】
競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御プログラムにおいて、
前記客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれの前記エリアに分散配置した、前記エリア毎の複数のスピーカ装置を備え、
コンピュータを、
前記エリア毎の複数の前記スピーカ装置のそれぞれについて、前記エリアにおける各々の前記スピーカ装置の配置関係に基づいて、前記エリア毎に、各々の前記エリアから選択した前記スピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属する前記スピーカ装置に対して音源信号を出力する音響制御手段と
して機能させ、
前記音響制御手段が、
モノラル音源信号を出力する音源部と、
前記音源部からの前記モノラル音源信号を所定の周波数帯域で分割する周波数帯域分割部と、
前記周波数帯域分割部により所定の高周波数帯域信号を増幅する、前記グループの数に応じた数の複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のそれぞれから前記高周波数帯域信号については、前記グループ毎に、前記エリア毎の前記スピーカ装置に前記音源信号を出力し、前記周波数帯域分割部からの所定の低周波数帯域信号については、全エリアの全ての前記スピーカ装置に出力するミキサー部と
を有する
ことを特徴とする音響制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響制御システム、音響制御方法及び音響制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、野球場、競技場などのアリーナ・スタジアム施設は、競技面の全周、若しくは一部を観客席が囲むように配置されている。以下、野球場や競技場などをアリーナ・スタジアムと呼ぶ。
【0003】
従来、アリーナ・アスタジアムにおける音響システムとしては、複数のスピーカクラスタが分散配置されて、各スピーカクラスタが観客席に向けて音響を出力するように設けられている。一般的に、各スピーカクラスタが出力する音響は、モノラルの音響が再生されている。
【0004】
他方、近年、スポーツやイベントなどでも、エンターテインメント性が強く求められており、その1つとして、大空間において移動感のある音響を提供することが求められている。
【0005】
特許文献1には、音像移動に関するものが開示されている。特許文献1の記載技術は、音を使って人間を誘導するシステムである。具体的に、誘導路に沿って音源装置を配置し、制御装置が、複数の音源装置のそれぞれの音波の音像を制御するものである。
【0006】
特許文献2には、周波数特性が異なるスピーカを用いてマルチチャンネルの入力オーディオ信号を再生した場合に、受聴空間の広がり感を保つことができる音響再生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000―285378号公報
【文献】国際公開WO2012/042905
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、音楽のコンサート会場や劇場などの場合、大規模な、高機能かつ高コストな音響システムが用いられて、音響効果の高いマルチチャネル環境を整えることができる。
【0009】
しかしながら、スポーツや一般的なイベントを開催する場合、そのアリーナ・スタジアム施設の音響システムを利用することになる。一般的に、アリーナ・スタジアム施設には、マルチチャンネル再生のための高機能な音響システムが配備されていないのが現状である。
【0010】
例えば、野球場などに、複数のスピーカクラスタが分散配置されていることもあるが、実際はモノラルの音が再生されているのが現状であり、そのような設備を用いて、移動感のある音響を提供することは難しい。
【0011】
そこで、本発明は、上述した課題に鑑み、競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設で、モノラル再生を想定して構築された分散配置のスピーカシステムを用いて、マルチチャネル再生環境を構築して、客席全体に亘って音響移動などを実現することができる音響制御システム、音響制御方法及び音響制御プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御システムにおいて、客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれの前記エリアに分散配置した、エリア毎の複数のスピーカ装置と、エリア毎の複数のスピーカ装置のそれぞれについて、エリアにおける各々のスピーカ装置の配置関係に基づいて、エリア毎に、各々のエリアから選択したスピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属するスピーカ装置に対して音源信号を出力する音響制御手段とを備え、音響制御手段が、音源部と、音源部からグループの数に応じたチャネル数の音源信号を入力し、グループ毎に、エリア毎のスピーカ装置に音源信号を出力するミキサー部とを有することを特徴とする。
第2の本発明は、競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御システムにおいて、客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれのエリアに分散配置した、エリア毎の複数のスピーカ装置と、エリア毎の複数のスピーカ装置のそれぞれについて、エリアにおける各々のスピーカ装置の配置関係に基づいて、エリア毎に、各々のエリアから選択したスピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属するスピーカ装置に対して音源信号を出力する音響制御手段とを備え、音響制御手段が、モノラル音源信号を出力する音源部と、音源部からのモノラル音源信号を所定の周波数帯域で分割する周波数帯域分割部と、周波数帯域分割部により分割された所定の高周波数帯域信号を増幅する、グループの数に応じた数の複数の増幅器と、複数の増幅器のそれぞれからの高周波数帯域信号については、グループ毎に、エリア毎のスピーカ装置に音源信号を出力し、周波数帯域分割部からの所定の低周波数帯域信号については、全エリアの全てのスピーカ装置に出力するミキサー部とを有することを特徴とする。
【0013】
第3の本発明は、競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御方法において、客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれのエリアに分散配置した、エリア毎の複数のスピーカ装置と、音源部と、ミキサー部とを有する音響制御手段とを備え、音響制御手段が、エリア毎の複数のスピーカ装置のそれぞれについて、エリアにおける各々のスピーカ装置の配置関係に基づいて、エリア毎に、各々のエリアから選択したスピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属するスピーカ装置に対して音源信号の出力制御を行ない、ミキサー部が、音源部からグループの数に応じたチャネル数の音源信号を入力し、グループ毎に、エリア毎のスピーカ装置に音源信号を出力することを特徴とする。
第4の本発明は、競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御方法において、客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれのエリアに分散配置した、エリア毎の複数のスピーカ装置と、音源部と、周波数帯域分割部と、増幅器と、ミキサー部とを有する音響制御手段とを備え、音響制御手段が、エリア毎の複数のスピーカ装置のそれぞれについて、エリアにおける各々のスピーカ装置の配置関係に基づいて、エリア毎に、各々のエリアから選択したスピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属するスピーカ装置に対して音源信号の出力制御を行ない、音響制御手段では、周波数帯域分割部が、モノラル音源信号を出力する音源部からのモノラル音源信号を所定の周波数帯域で分割し、グループの数に応じた増幅器のそれぞれが、周波数帯域分割部により分割された所定の高周波数帯域信号を増幅し、ミキサー部が、増幅器のそれぞれからの高周波数帯域信号については、グループ毎に、エリア毎のスピーカ装置に音源信号を出力し、周波数帯域分割部からの所定の低周波数帯域信号については、全エリアの全ての前記スピーカ装置に出力することを特徴とする。
【0014】
第5の本発明は、競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御プログラムにおいて、客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれのエリアに分散配置した、エリア毎の複数のスピーカ装置を備え、コンピュータを、エリア毎の複数のスピーカ装置のそれぞれについて、エリアにおける各々のスピーカ装置の配置関係に基づいて、エリア毎に、各々のエリアから選択したスピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属するスピーカ装置に対して音源信号を出力する音響制御手段として機能させ、音響制御手段が、音源部と、音源部からグループの数に応じたチャネル数の音源信号を入力し、グループ毎に、エリア毎のスピーカ装置に音源信号を出力するミキサー部とを有することを特徴とする。
第6の本発明は、競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御する音響制御プログラムにおいて、客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれのエリアに分散配置した、エリア毎の複数のスピーカ装置を備え、コンピュータを、エリア毎の複数のスピーカ装置のそれぞれについて、エリアにおける各々のスピーカ装置の配置関係に基づいて、エリア毎に、各々のエリアから選択したスピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属するスピーカ装置に対して音源信号を出力する音響制御手段として機能させ、音響制御手段が、モノラル音源信号を出力する音源部と、音源部からのモノラル音源信号を所定の周波数帯域で分割する周波数帯域分割部と、周波数帯域分割部により所定の高周波数帯域信号を増幅する、グループの数に応じた数の複数の増幅器と、複数の増幅器のそれぞれから高周波数帯域信号については、グループ毎に、エリア毎のスピーカ装置に音源信号を出力し、周波数帯域分割部からの所定の低周波数帯域信号については、全エリアの全てのスピーカ装置に出力するミキサー部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
アリーナやスタジアムなどの観客席に囲まれた大空間の施設で、分散配置されたスピーカシステムを用いて、マルチチャネル再生環境を構築して、観客席全体に亘って音響移動などを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態に係る音響システムの全体構成を示す全体構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る音響制御装置の内部構成を示す内部構成図である。
【
図3】第1の実施形態における音響の移動制御を説明する説明図である。
【
図4】第1の実施形態において、移動感のある音響の聞こえ方を説明する説明図である(その1)。
【
図5】第1の実施形態において、移動感のある音響の聞こえ方を説明する説明図である(その2)。
【
図6】第1の実施形態のマトリックスミキサーの音源信号の出力波形を説明する説明図である。
【
図7】第1の実施形態のマトリックスミキサーの出力波形の変形例を説明する説明図である。
【
図8】第1の実施形態において、同じエリアの2個のスピーカクラスタを1つのグループとしたときの配置図である。
【
図9】第1の実施形態において、スピーカクラスタに補助スピーカを追加したときの配置図である。
【
図10】第2の実施形態に係る音響制御装置の内部構成を示す内部構成図である。
【
図11】第2の実施形態に係る増幅器のゲイン制御を説明する説明図である。縦軸は利得の値、横軸は時間を示している。
【
図12】第2の実施形態において、音響の移動速度(回転速度)を制御した場合を説明する説明図である。
【
図13】第2の実施形態において、グループ間の音響の重複調整を説明する説明図である。
【
図14】第2の実施形態において、音響の移動方向(回転方向)の制御を説明する説明図である。
【
図15】第3の実施形態に係る音響システムの構成を示す構成図である(その1)。
【
図16】第3の実施形態に係る音響システムの構成を示す構成図である(その1)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(A)第1の実施形態
以下に、本発明に係る音響制御システム、音響制御方法及び音響制御プログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
この実施形態は、例えば、観客席(以下、客席とも呼ぶ。)が、競技面の全周、若しくは一部を囲んで配置されている、野球場、競技場などのアリーナ・スタジアムを備えるアリーナ・スタジアム施設に配備されているスピーカシステム(音響システム)を用いた音響制御装置及び音響制御方法に、本発明を適用する場合を例示する。本発明は、アリーナ・スタジアム施設の音響システムを利用する場合に限定されない。
【0019】
(A-1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る音響システムの全体構成を示す全体構成図である。
図2は、第1の実施形態に係る音響制御装置5の内部構成を示す内部構成図である。
【0020】
第1の実施形態に係る音響システム100は、アリーナ・スタジアムに構築する場合を例示する。
図1において、ハッチングを掛けた部分STDは、アリーナ・スタジアムにおける観客席を示している。説明を簡単にするため、観客席STDは、競技面の四方を囲むように配置されており、例えば階段状に構成されているものを想定している。しかし、例えば2階席又は3階席などのように複数階の観客席が形成されているものであってもよい。なお、観客席STDの配置や形態は、実際のアリーナ・スタジアムによって異なるので
図1に例示したものに限定されない。
【0021】
図1において、第1の実施形態に係る音響システム100は、複数のスピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34と、音響制御装置5とを有する。
【0022】
スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34は、観客席STDに向けて(すなわち観客に向けて)音響を出力するものである。ここで、音響とは、音、音楽、効果音、楽曲、音声などを含むものとする。
【0023】
スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34は、例えば、複数のスピーカシステムを並べて、隣接するスピーカシステムを連結金具などで連結したものである。複数のスピーカシステムの連結方法は、特に限定されず、例えば縦方向、横方向に連結することができ、様々な方法を用いることができる。
【0024】
例えば、観客席STDに屋根があるときには、その屋根下に、スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34が取り付けられて、観客に向けて音響を出力できるようにしている。なお、スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34がアリーナ・スタジアムにおいて分散配置されていれば、その配置方法は特に限定されない。
【0025】
また、この実施形態では、音響システム100のスピーカシステムを、3個のエリアA1~A3に分割し、エリアA1~A3のそれぞれにおいて、スピーカクラスタを分散配置する。この実施形態では、エリアA1~A3のそれぞれにおける、スピーカクラスタの数は同数である場合を例示するが、同数に分けられなくてもよい。その場合、2つのスピーカクラスタを1つとみなす、若しくは、1つのスピーカクラスタを2つとしてみなして数をあわせもよい。あるいは、2つもしくはそれ以上のスピーカクラスタ同時に再生し、レベル差や再生タイミングの遅延を利用して、それらのクラスタの間にある仮想スピーカクラスタとみなして再生してもよい。
【0026】
例えば、
図1の例では、エリアA1~A3のそれぞれには、4個のスピーカクラスタを備える場合を例示している。なお、スピーカクラスタに付している番号について、左から1桁目の番号(十の位の番号)はエリア番号を示している。また左から2桁目の番号(一の位の番号)は、スピーカクラスタを識別する番号であり、グループ番号でもある。例えば、スピーカクラスタ12の場合、「エリアA1」に配置された「2番目」のスピーカクラスタを指している。なお、グループの設定方法の一例については後述する。
【0027】
ここでは、アリーナ・スタジアム全体を上方から下方に向けて見たときの平面視で考える。エリアA1~A3は、競技面の周りを囲んでいる観客席STDに対して、ある方向(一方の方向)で互いに隣接するように設定する。つまり、エリアA1~A3は相互に連なるように区分している。
図1の例では、時計回りで、エリアA1の隣にはエリアA2があり、エリアA2の隣にはエリアA3があり、エリアA3の隣にはエリアA1がある。エリア分割の方法は、様々な方法をとることができ、例えば観客席の広さ(面積)、座席数などを考慮して分割してよい。
【0028】
また、エリア毎のスピーカクラスタについても、ある方向に沿って間隔をおいて配置する。例えば、エリアA1では、時計回りで、スピーカクラスタ11→スピーカクラスタ12→スピーカクラスタ13→スピーカクラスタ14の順に配置する。エリアA2、A3においても、スピーカクラスタの配置は、エリアA1内と同様に時計回り(ある方向)に沿って並べることが好ましい。
【0029】
このように配置にすることで、全てのスピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34は、ある方向に沿って、競技面を囲むように配置される。つまり、この例の場合、全てのスピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34が、競技面を囲むように配置することができる。
【0030】
ここで、エリア毎に分散配置した複数のスピーカクラスタについて、各エリア内のスピーカクラスタの配置関係に基づいて、各エリアのスピーカクラスタを選択して、選択したエリア毎のスピーカクラスタを1つのグループとする。
【0031】
例えば、エリアA1で、時計回りで、スピーカクラスタ11→スピーカクラスタ12→スピーカクラスタ13→スピーカクラスタ14の順に配置されている。エリアA2で、時計回りで、スピーカクラスタ21→スピーカクラスタ22→スピーカクラスタ23→スピーカクラスタ24の順に配置され、エリアA3で、時計回りで、スピーカクラスタ31→スピーカクラスタ32→スピーカクラスタ33→スピーカクラスタ34の順に配置されているものとする。
【0032】
その場合、エリアA1~A3内のスピーカクラスタの配置関係(すなわち、溶け回りの配置順など)より、第1番目に配置した「エリアA1のスピーカクラスタ11」と、「エリアA2のスピーカクラスタ21」、「エリアA3のスピーカクラスタ31」を1つのグループ(例えば、「グループ1」)とする。
【0033】
同様に、エリアA1~A3内の第2番目に配置した「エリアA1のスピーカクラスタ12」と、「エリアA2のスピーカクラスタ22」、「エリアA3のスピーカクラスタ32」を1つのグループ(例えば、「グループ2」)とし、第3番目に配置した「エリアA1のスピーカクラスタ13」と、「エリアA2のスピーカクラスタ23」、「エリアA3のスピーカクラスタ33」を1つのグループ(例えば、「グループ3」)とし、第4番目に配置した「エリアA1のスピーカクラスタ14」と、「エリアA2のスピーカクラスタ24」、「エリアA3のスピーカクラスタ34」を1つのグループ(例えば、「グループ4」)とする。
【0034】
グループについて、この実施形態では説明を簡単にするために固定的に設定する場合を例示するが、再生する効果音や音響等の音源によって、エリアの定義、グループの定義を変更できるようにしてもよい。例えば、ここでは、3個のエリアに区分し、1つのエリアに4台のスピーカクラスタが配置されているものとし、エリア毎に4つのグループを定義したが、効果音などの音源によっては、4個のエリアに区分し、1つのエリアに3台のスピーカクラスタが配置されているものとし、エリア毎に3つのグループを定義するなどのように、音源毎に設定を変更できるようにしてもよい。
【0035】
スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34について、隣接するスピーカクラスタとの距離(配置間隔)は、必ずしも同じである必要はない。勿論等間隔であることが望ましいが、等間隔である必要はない。
【0036】
なお、エリアの分割数は3個に限らず、2個又は4個以上であってもよい。また、エリアに分散配置するスピーカクラスタの数も4個に限らず、2個、3個、5個以上であってもよい。
【0037】
音響制御装置5は、音響システム100を制御するものである。
図2に示すように、音響制御装置5は、制御部51、音源部52、マトリックスミキサー53を有する。
【0038】
音源部52は、アリーナ・スタジアム内に出力する音響音源を保持しており、マルチチャネルでマトリックスミキサー53と接続している。例えば、この例の場合、音源部52は、4チャンネルで、マトリックスミキサー53と接続しており、音源部52は、4チャネルのそれぞれから、音源信号をマトリックスミキサー53に出力する。
【0039】
ここで、音源部52には、効果音、音楽、楽曲などのマルチチャネル音源信号が保持されている。音源部52には、複数のマルチチャネル音源信号が保持されていてもよく、開催している試合の状況などに応じて、再生するマルチチャネル音源を選択できる。
【0040】
また、音源部52には、エリアA1~A3のスピーカクラスタの配置に基づくグループを1つのチャンネルとしたマルチチャンネルの音源信号が保持されている。言い換えると、事前にグループ毎に再生させるマルチチャネル音源信号が音源部52に保持されており、音源部52は、各グループで再生させる音源信号をマトリックスミキサー53に出力する。
【0041】
制御部51は、例えば、デジタルプロセッサなどのプロセッサ(コンピュータ)、ROM、RAM、EEPROM、入出力インタフェース等を有したものであり、プロセッサがアプリケーションソフトウェア(例えば、音響制御プログラム、音響調整など)を実行することで、音響システム100の機能を実現できる。なお、音響制御プログラムがインストールされることにより、音響システム100を構築するようにしてもよい。また、制御部51は、マトリックスミキサー53のミキシング制御を行なうミキシング制御部511を有する。
【0042】
ミキシング制御部511は、音源部52に保持されているマルチチャネル音源の種類に基づき、必要に応じて、マトリックスミキサー53の接続を制御する。
【0043】
マトリックスミキサー53は、音源部52から入力した音源信号を、スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34のそれぞれに出力する。この実施形態では、マトリックスミキサー53の入力チャネル数は、4チャネルとするが、エリア毎のスピーカクラスタの数に応じたチャネル数としてもよい。また、マトリックスミキサー53の出力数は、全てのスピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34の数(12個)としているが、これに限定されず、システムに応じた数としてもよい。
【0044】
(A-2)第1の実施形態の動作
【0045】
(A-2-1)基本動作
次に、第1の実施形態に係る音響システム100における音響出力方法の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0046】
図2に示すように、マトリックスミキサー53は、各グループに属しているスピーカクラスタに接続しているものとする。
【0047】
音源部52は、上述したように、各グループで再生させるマルチチャンネル音源信号を保持しており、各グループで再生させる音源信号をマトリックスミキサー53に出力する。
【0048】
例えば、マルチチャンネル音源は、グループ1→グループ2→グループ3→グループ4→グループ1→・・・の順番で所定間隔ごとに再生させるものとする。音源部52は、グループ1~グループ4で再生させるグループ毎の音源信号をマトリックスミキサー53に出力する。
【0049】
マトリックスミキサー53は、
図2に例示するように、スピーカクラスタと接続しているので、音源部52から、グループ1の音源信号については、グループ1に属していている「エリアA1のスピーカクラスタ11」、「エリアA2のスピーカクラスタ21」、「エリアA3のスピーカクラスタ31」に出力する。
【0050】
同様に、マトリックスミキサー53は、音源部52から、グループ2の音源信号については、グループ2に属していている「エリアA1のスピーカクラスタ12」、「エリアA2のスピーカクラスタ22」、「エリアA3のスピーカクラスタ32」に出力する。グループ3の音源信号については、グループ3に属していている「エリアA1のスピーカクラスタ13」、「エリアA2のスピーカクラスタ23」、「エリアA3のスピーカクラスタ33」に出力し、グループ4の音源信号については、グループ4に属していている「エリアA1のスピーカクラスタ14」、「エリアA2のスピーカクラスタ24」、「エリアA3のスピーカクラスタ34」に出力する。
【0051】
そうすると、
図3(A)~
図3(D)に示すように、各エリアA1~A3内に分散配置したスピーカクラスタ11~14、スピーカクラスタ21~24、スピーカクラスタ31~34が、順番に音響を出力することになる。
【0052】
例えば、
図3(A)に示すように、エリアA1のスピーカクラスタ11付近に、観客Yがいるとする。その場合、観客Yが聞こえる音響の様子を説明する。ここでは、説明を簡単にするため、音源が「ナイスゴール」であるとする。
【0053】
この場合、
図4に例示するように、エリアA1の4個のスピーカクラスタ11~14から出力される音響に限定して、観客Yの聞こえ方を説明すると、一番近くに位置しているスピーカクラスタ11からは大きな音響が聞こえる。その後、出力先が切り替わり、スピーカクラスタ12から音響が出力されると、観客Yからの距離は離れるので、その分だけ、スピーカクラスタ12からは小さい音量で聞こえる。また出力先がスピーカクラスタ13に切り替わると、観客Yからの距離は更に離れるので、スピーカクラスタ13からは更に小さい音量で聞こえ、更に出力先が切り替わると、観客Yは、スピーカクラスタ14から更に小さい音量で聞こえることになる。
【0054】
他方、観客Yは、エリアA3からも近い。したがって、
図5に例示するように、エリアA3のスピーカクラスタ31~34からの音響も聞こえることになる。
【0055】
そうすると、
図5に例示するように、エリアA1の第3番目のスピーカクラスタ13や第4番目のスピーカクラスタ14からの音量は小さくなるが、エリアA3の同じ第3番目のスピーカクラスタ33や第4番目のスピーカクラスタ34から比較的大きな音量で聞こえる。
【0056】
なお、
図5では図示していないが、観客Yの位置から最も離れたエリアA2(
図3(A)など参照)でも、スピーカクラスタ21~24が順番に音響を発しているが、より近くで音響を発しているスピーカクラスタからの音響が支配的であるため、影響は小さい。
【0057】
言い換えると、コンサート会場などのようなマルチチャネル環境ではなく、充分なスピーカ設備が整っていないアリーナ・スタジアムなどであっても、観客席STDを分割した各エリアに分散配置したスピーカシステムを使うことで、簡易的に、かつコストを掛けることなく、マルチチャンネル再生環境を構築することができる。すなわち、マルチチャンネル環境を想定した音の移動感を観客席全体に提供することができる。
【0058】
なお、音源部52に用意するマルチチャネル音源信号について、再生させる音響を一方向に移動させるものとして説明したが、これに限定されない。例えば、ある方向と、その逆の方向に音響が移動するものであっても良いし、また例えば、ある方向と逆方向とで音響が行き来するようなものでも良い。また例えば、花火が様々な箇所から打ちあがるような音響効果のあるものとしても良い。
【0059】
(A-2-2)音量強弱の調整
図6は、第1の実施形態に係るマトリックスミキサー53の音源信号の出力波形を説明する説明図である。
【0060】
図6(A)はエリアA1、
図6(B)はエリアA2、
図6(C)はエリアA3のスピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34に出力する信号波形を示している。縦軸は音量レベルであり、横軸は時間である。信号波形のピークに付した番号は、音源信号の出力先のスピーカクラスタの番号を示している。
【0061】
図6(A)~
図6(C)の例の場合、あるスピーカクラスタから次のスピーカクラスタに出力する信号は、互いに一部重複している。例えば、
図6(A)において時刻T1から時刻T2の間で信号波形が一部重複しているので、スピーカクラスタ11が、時刻T1から時刻T2の間に、音量Pから音量0に徐々に出力音量が小さくなるのに対して、スピーカクラスタ12が、時刻T1から時刻T2までの間に、音量0から音量Pに徐々に大きくなる。これを逐次繰り返すことで滑らかな音響の移動感を実現できる。
【0062】
なお、
図6では、信号波形が隣接する信号波形との間で一部重複する場合を例示したが、
図7(A)に例示するように、信号波形が隣接する信号波形と重複しなくてもよく、加えて重複の度合いを増やしても良いし、減らしても良い。
図7(B)に例示するように、出力する音響によっては、信号波形の出力周期を長く調整するようにしてもよい。つまり、効果音などの音響の長さや曲調によって、信号波形の周期を調整してもよい。また、
図7(C)に例示するように、信号波形の出力周期を変化させてもよい。これにより、観客席全体を移動する音響の移動速度が変わるので、観客Yの移動音の感じ方を変えることができる。すなわち、効果音のエンターテインメント性を向上させることができる。
【0063】
さらに、
図7(D)に例示するように、パルス形の信号波形としてもよい。これにより、例えば、「足音」などの効果音を観客席STD全体に移動させたいときに、徐々に音量を上げ下げさせるのではなく、「ドシッ」、「ドシッ」とした単発の短い音を観客席STDに移動させることができる。なお、ここでは隣接する信号波形との間一部重複させていないが一部重複させてもよい。
【0064】
勿論、音量がスピーカクラスタ毎に異なるものであっても良い。
【0065】
図8(A)は、第1の実施形態において、同じエリアの2個のスピーカクラスタを1つのグループとしたときの配置図である。
【0066】
図8(A)に例示する野球場では、バックスタンドなどの観客席同士が離れて配置あれていることがある。そのような場合でも、音響の移動感を達成させるため、例えば、バックスタンドの互いに離れた観客席のそれぞれに、スピーカクラスタ43を設ける。言い換えると、エリアA4に、2個のスピーカクラスタ43を1つのグループとみなして、それぞれのスピーカクラスタ43を配置する。これにより、観客席が競技面の全周を囲んでいないアリーナ・スタジアムでも、すなわち観客席が競技面の一部を囲んでいるアリーナ・スタジアムであっても、音響の移動感を提供することができる。
【0067】
また、
図8(B)は、新たにエリアA5を設けている。このエリアA5には、スピーカクラスタ53、54、55を設けており、他のエリア(例えば、エリアA1~A4のいずれか)のスピーカクラスタの配置数が異なる。このように配置数が異なる場合でもよい。
【0068】
図8(B)では、エリア内のスピーカクラスタの数が同数でない場合の一例を説明したが、別の方法も適用できる。例えば、2つのスピーカクラスタを1つとみなす、若しくは、1つのスピーカクラスタを2つとしてみなして数をあわせもよい。言い換えると、前者の場合、2つのスピーカクラスタの両方が1つのグループに属することになる。後者の場合、1つのスピーカクラスタが2つのグループに属することになる。
【0069】
更に別の方法として、2つ若しくはそれ以上のスピーカクラスタ同時に再生し、レベル差や再生タイミングの遅延を利用して、それらのクラスタの間にある仮想スピーカクラスタとみなして再生してもよい。
【0070】
(A-2-3)補助スピーカ
図9に示すように、スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34のうち、必要なスピーカクラスタには、1個又は複数個の補助スピーカ6を設けてもよい。
【0071】
例えば、野球場など、バルコニー下の客席や後方の客席などを補助する補助スピーカがある場合、主となるスピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34と、同じグループのスピーカとして補助スピーカ6を設けるようにしてもよい。これにより、広い野球場などの場合、音響が行き届かないこともあるが、補助スピーカと連動させることにより、そのような場所でも移動感のある音響を届けることができる。
【0072】
(A-3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、マルチチャンネル再生のための充分なスピーカ設備が整っていないアリーナ・スタジアムであっても、観客席を分割した各エリアに分散配置したスピーカシステムを使うことで、簡易的に、かつコストを掛けることなく、マルチチャンネル再生環境を構築することができ、マルチチャンネル環境を想定した音の移動感を観客席全体に提供することができる。
【0073】
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る音響制御システム、音響制御方法及び音響制御プログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0074】
例えば、マルチチャンネル再生のための高機能なスピーカ設備などを配備していないアリーナ・スタジアムでは、スピーカクラスタなどを配備しているが、使用する音源がモノラル音源であることが多い。
【0075】
そのような場合でも、第2の実施形態では、第1の実施形態のようにエリア毎にスピーカクラスタを分散配置させた上で、モノラル音源を用いてマルチチャネル環境と同じような環境で、移動感のある音響を出力しようとするものである。
【0076】
なお、第2の実施形態では、モノラル音源である場合を想定して説明するが、モノラル音源ではなく、マルチチャネルの音源にも適用できる。
【0077】
(B-1)第2の実施形態の構成
図10は、第2の実施形態に係る音響制御装置の内部構成を示す内部構成図である。
【0078】
図10において、第2の実施形態に係る音響制御装置5Aは、制御部51A、音源部52A、周波数帯域分割部54、増幅器55(55-1~55-4)、マトリックスミキサー53を有する。
【0079】
制御部51Aは、ミキシング制御部511と、ゲイン制御部512を有する。ゲイン制御部512は、増幅器55における信号増幅制御(ゲイン制御)を行なうものである。ゲイン制御の詳細については動作の項で詳細に説明する。
【0080】
音源部52Aは、モノラル音源信号を保持しており、モノラル音源信号を周波数帯域分割部54に出力する。
【0081】
周波数帯域分割部54は、音源部52Aからのモノラル音源信号について、所定の周波数の値を超える高周波数信号(Hi)と、所定の周波数の値以下の低周波数信号(Lo)とに分けるものである。周波数帯域分割部54は、高周波数信号(Hi)を、増幅器55-1~55-4のそれぞれに出力し、低周波数信号(Lo)を、マトリックスミキサー53に出力する。なお、低周波数信号と高周波数信号とを切り分ける周波数の値は、任意に決定することができる。
【0082】
増幅器55は、周波数帯域分割部54からの高周波数信号(Hi)の振幅レベル(音量レベル)を増幅して、マトリックスミキサー53に与える。増幅器55の数は、エリアA1~A3のそれぞれに配置するスピーカクラスタの数としている。
【0083】
マトリックスミキサー53は、4個の増幅器55-1~55-4から高周波数信号については、第1の実施形態と同様に、エリア毎のスピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34のそれぞれに出力する。
【0084】
また、マトリックスミキサー53は、周波数帯域分割部54からの低周波数信号(Lo)については、スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34との接続をONにして、低周波数信号をそのまま出力する。
【0085】
このように、低周波数信号については常時スピーカクラスタから出力させ、高周波数信号については、第1の実施形態と同様に移動感を持たせることにより、モノラル音源を用いる場合でも、低音の効いた音響を観客席STDに出力することができる。
【0086】
(B-2)第2の実施形態の動作
【0087】
(B-2-1)移動感を再現するゲイン制御
図11は、第2の実施形態に係る増幅器55-1~55-4のゲイン制御を説明する説明図である。縦軸は利得の値、横軸は時間を示している。
【0088】
図11(A)は増幅器55-1のゲイン制御、
図11(B)は増幅器55-2のゲイン制御、
図11(C)は増幅器55-3のゲイン制御、
図11(D)は増幅器55-4のゲイン制御を示している。すなわち、
図11(A)~
図11(D)はグループ1~4のそれぞれのゲインを示している。
【0089】
ゲイン制御部512は、増幅器55-1~55-4のそれぞれに対して、
図11(A)~
図11(D)に例示するようなゲイン制御を行なう。
【0090】
例えば、ゲイン制御部512は、増幅器55-1に対して、
図11(A)に例示するように、ピーク値が0dBとなるゲイン(利得)を周期的に加える。
図11(A)~
図11(D)に示すように、ゲインの周期性は同じだが、ゲインの位相は、隣接する増幅器55の間で少しずつずれているので、スピーカクラスタ11~14からの出力音響を移動させることができる。なお、本出願に係る各図(例えば、
図11~
図14など)では、ゲイン制御に係る信号が曲線状の信号波形になっているが、離散的なものであってもよい。
【0091】
増幅器55-1は、音源信号(高周波数信号の音源信号)にゲインを乗じた信号を、マトリックスミキサー53に出力することになる。
【0092】
また、マトリックスミキサー53において、各エリアA1~A3の第1番目にスピーカクラスタ11、21、31の接続がONになっていれば、増幅器55-1によって増幅された高周波数信号が、スピーカクラスタ11、21、31に出力される。
【0093】
このとき、マトリックスミキサー53は、音源信号の低周波数信号を、常時、全てのスピーカクラスタ11~14,21~24及び31~34から出力させている。
【0094】
したがって、マトリックスミキサー53が、スピーカクラスタ11、21、31に高周波数信号を出力するときには、高周波数信号と低周波数信号とを重畳した信号を、スピーカクラスタ11、21、31に出力することになる。
【0095】
(B-2-2)音響の移動速度(回転速度)に関するゲイン制御
図12は、音響の移動速度(回転速度)を制御した場合を説明する説明図である。
【0096】
図12(A)~
図12(D)は、グループ1~4のそれぞれのゲインを示している。増幅器55-1~55-4のそれぞれに対して周期的に行なうゲイン制御の期間を「T」とする。このとき、ゲイン制御部512は期間Tの長さを調整することができる。この期間Tは、グループ1のスピーカクラスタ→グループ2のスピーカクラスタ→グループ3のスピーカクラスタ→グループ4のスピーカクラスタのそれぞれが音響を発して1周したときの時間に相当する。
【0097】
したがって、ゲイン制御部512は、期間Tの値を大きくすればするほど、
図12(E)に示すように、音響の移動速度は遅くなり、逆に期間Tの値を小さくすればするほど、
図12(F)に示すように、音響の移動速度は速くなる。
【0098】
このように、ゲイン制御部512は、パラメーターTの値を調整することで、音響の移動速度を調整することができる。
【0099】
(B-2-3)グループ間の音響の重複調整
図13は、グループ間の音響の重複調整を説明する説明図である。
【0100】
図13(A)において、例えば、グループ1の「ゲイン1(Gain1)」とグループ2の「ゲイン2(Gain2)」の波形の重複期間を「R」とする。この期間Rは、グループ1のスピーカクラスタと、次のグループ2のスピーカクラスタとの音響の重複に相当する。
【0101】
したがって、ゲイン制御部512は、
図13(A)のように、期間Rの値を小さくするほど、例えばグループ1のスピーカクラスタと、次のグループ2のスピーカクラスタなどの隣接するグループ間の音響の重複期間を短く調整でき、逆に、
図13(B)のように、期間Rの値を大きくするほど、隣接するグループ間の音響の重複期間を長く調整できる。
【0102】
このように、ゲイン制御部512は、パラメーターRの値を調整することで、グループ間の音響の重複を調整することができる。なお、期間Rが「0」とすると重複のない音響を提供できる。
【0103】
(B-2-4)音響の移動方向(回転方向)の制御
図14は、音響の移動方向(回転方向)の制御を説明する説明図である。
【0104】
図14(A)~
図14(D)は、グループ1~4のそれぞれのゲインを示している。
【0105】
例えば、前述の
図12(A)~
図12(D)のように、グループ1→グループ2→グループ3→グループ4の順でゲイン制御すると、
図12(D)や
図14(F)のように、時計回りに音響が移動するものとする。
【0106】
これに対して、
図14(A)~
図14(D)のように、グループ4→グループ3→グループ2→グループ1の順でゲイン制御すると、
図14(E)のように、反時計回りに音響が移動することができる。時計回り・反時計回りはゲイン制御部512の制御により、任意のタイミングで切り替えることができる。例えば、再生させる音響を一方向に移動させたり、又例えば、ある方向と、その逆の方向に音響が移動するものであっても良い。又例えば、ある方向と逆方向とで音響が行き来するようなものでも良い。又例えば、花火が様々な箇所から打ちあがるような音響効果のあるものとしても良い。
【0107】
このように、ゲイン制御部512は、増幅器55-1~55-4に対するゲイン制御の順番を変えることで、音響の移動方向を調整することができる。
【0108】
(B-3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、グループ毎にゲインを用意し、鳴動するグループの再生レベルを段階的に下げると同時に、時計回り若しくは反時計回り方向に隣接するグループの再生レベルを上げることで、鳴動するスピーカクラスタを時間の経過とともに順次変化することで音響の移動感を再現できる。
【0109】
第2の実施形態によれば、グループ数のマルチチャンネル音源を用意してもよいが、ゲイン制御をシステム側で行えば、モノラル音源であっても移動感を再現することができる。
【0110】
この方法では、同時に一部のスピーカクラスタのみが使用されるため、低音域のパワーが不足する場合はクロスオーバーで音源を低音域と中高音域に分け、低音域はスピーカシステム全体を使用してもよい。音源の種類や長さに合わせて回転速度・重複度・向きを制御のパラメーターとして設定する。
【0111】
(C)第3の実施形態
次に、本発明に係る音響制御システム、音響制御方法及び音響制御プログラムの第3の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0112】
例えば、スタジアムやアリーナなどで行なわれるスポーツイベント等で、司会者・ウグイス譲・アナウンサなどがマイクを用いて通常拡声音をスピーカクラスタで鳴動させたいという要望がある。
【0113】
そこで、第3の実施形態では、第1又は第2の実施形態で説明した音響制御装置が、音響効果用の音源を鳴動させるだけでなく、通常拡声用の音源と、音響効果用の音源との両方が同時再生できたり、又はいずれか一方を再生するように切り替えることができる音響制御装置を説明する。
【0114】
なお、以下では、モノラル音源を用いた第2の実施形態の音響制御装置5Aをベースにした場合を例示するが、マルチチャネル音源を用いた第1の実施形態の音響制御装置5にも適用できる。
【0115】
(C-1)第3の実施形態の構成及び動作
図15は、第3の実施形態に係る音響システムの構成を示す構成図である(その1)。
【0116】
図15において、第3の実施形態に係る音響システム100Bは、音響制御装置5B、パワーアンプ56、スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34を備える。
【0117】
また、音響制御装置5Bは、制御部51B、音源部52A、マトリックスミキサー53、周波数帯域分割部54、増幅器55、マイク57を有する。
【0118】
マイク57は、アリーナ・スタジアムなどでのイベントで司会者などが使用するマイクである。マイク57は、マトリックスミキサー53に接続している。なお、ここでは、説明を簡単にするために、マイク57としているが、マイク57に限らず、アリーナ・スタジアム施設に設けられている通常拡声用の入力手段とすることができる。
【0119】
マトリックスミキサー53は、入力側で、マイク57とM(Mは正の整数)個の増幅器55と接続しており、出力側で、パワーアンプ56と接続している。
【0120】
例えば、マトリックスミキサー53は、スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34と常時接続しており、通常拡声用の入力信号があると、全てのスピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34に通常拡声用の信号を出力できるようになっている。
【0121】
通常拡声用の音源が出力されている状態で、音源部52Aからのモノラル音源信号が出力されると、マトリックスミキサー53は、通常拡声用の音源と同時に音響効果用の音源も出力することができる。
【0122】
また、必要に応じて、切替部513の制御により、マトリックスミキサー53の接続が切り替えられる。
【0123】
音響制御装置5Bが、
図15に例示するような構成を備えることにより、アリーナ・スタジアム等でイベント開催する場合でも、司会者の声や音楽を全てのスピーカクラスタから出力させることと、音源部52Aの音響などの音源信号を用いて、音響の移動を実現することを同時に実現することも可能となる。
【0124】
すなわち、通常拡声用の鳴動方法で再生するための入力と、音響効果用入力とをシステム側に用意することで、通常拡声音に音響効果用入力を付加するのか、若しくは、音響効果用入力を単独で使うのかを、状況に応じて、ミキサー等の出力部で決定できる。また、照明設備や映像設備の制御と連動させることで、照明・映像に合わせて音を動かす演出もできる。
【0125】
図16は、第3の実施形態に係る音響システムの構成を示す構成図である(その2)。
【0126】
図16において、第3の実施形態に係る音響システム100Cは、音響制御装置5C、パワーアンプ56、スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34を備える。
【0127】
また、音響制御装置5Cは、制御部51C、第1の音源部52A、第2の音源部52B、マトリックスミキサー53、第1の周波数帯域分割部54A、第2の周波数帯域分割部54B、第1の増幅器55A、第2の増幅器55B、マイク57を有する。
【0128】
第1の音源部52Aは、第1の音源信号を保持している。第2の音源部52Bは、第1の音源信号とは異なる第2の音源信号を保持している。
【0129】
第1の音源信号については、第1の音源部52Aと、第1の周波数帯域分割部54Aと、第1の増幅器55Aとからなる1つの信号系統としている。これを第1の音源信号系統と呼ぶ。
【0130】
第2の音源信号については、第2の音源部52Bと、第2の周波数帯域分割部54Bと、第2の増幅器55Bとからなる1つの信号系統としている。これを第2の音源信号系統と呼ぶ。
【0131】
なお、ここでは、それぞれ音源が異なる2個の第1の音源部52Aと第2の音源部52Bを有する場合を例示したが、3個以上の音源部52を備えるようにしてもよい。その場合、音源部52の数に応じた数の周波数帯域分割部54と増幅器55を備える必要がある。
【0132】
ゲイン制御部512は、第1の増幅器55Aと第2の増幅器55Bのそれぞれに対してゲイン制御を行なうことができる。
【0133】
例えば、ゲイン制御部512は、第1の音源信号の第1の増幅器55Aに対してゲイン制御することで、ある方向に音響を移動させることができ、他方、ゲイン制御部512は、第2の音源信号の第2の増幅器55Bに対してゲイン制御することで、ある方向とは逆方向に、音響を移動させることができる。これにより、第1の音源信号の音響はある方向に移動させることができ、第2の音源信号の音響は逆方向に移動させることができる。
【0134】
なお、ゲイン制御部512は、第1の増幅器55Aと第2の増幅器55Bのそれぞれに対してゲイン制御を行なうことで、それぞれの音響について、ある方向と逆方向とを行き来させたりすることができる。
【0135】
マトリックスミキサー53は、入力側で、マイク57と、第1の増幅器55Aと、第2の増幅器55Bとを接続しており、出力側で、パワーアンプ56と接続している。
【0136】
例えば、マトリックスミキサー53は、スピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34と常時接続しており、通常拡声用の入力信号があると、全てのスピーカクラスタ11~14、21~24及び31~34に通常拡声用の信号を出力できるようになっている。
【0137】
また、マトリックスミキサー53は、第1の音源信号と第2の音源信号との同時利用を可能とするため、第1の音源信号用の入出力構成と、第2の音源信号用の入出力構成とを有している。
【0138】
なお、制御部51Bの切替部513による切り替え制御により、通常拡声用の音源、第1の音源信号の第1の増幅器55Aとの接続と、第2の音源信号の第2の増幅器55Bとの接続とのいずれかの組み合わせで出力することができる。
【0139】
このような構成とすることで、音響効果用入力として、2種類以上の異なる音源であっても、通常拡声音に音響効果用入力を付加したり、若しくは、音響効果用入力を単独で使うのかを、状況に応じて、ミキサー等の出力部で決定できる。例えば、第1の音源信号の音響をある方向に移動させ、これと同時に、第2の音源信号の音響を逆方向に移動させる、更に、同時に、通常拡声音を出力させることもできる。
【0140】
(C-2)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、アリーナ・スタジアム等の既存システムへの組み込みが可能となり、状況に応じて、通常拡声用の音の再生、通常拡声用の音に音響効果用の音響を付加した再生、音響効果用の音響の再生を選択的に決定することができる。
【0141】
また、第3の実施形態によれば、照明設備や映像設備の制御と連動させることで、照明・映像に合わせて音を動かす演出もできる。
【符号の説明】
【0142】
100、100B及び100C…音響システム、5、5A、5B及び5C…音響制御装置、6…補助スピーカ、11~14、21~24、31~34、41~44…スピーカクラスタ、51、51A、51B及び51C…制御部、52…音源部、52A…音源部(第1の音源部)、52B…第2の音源部、53…マトリックスミキサー、54…周波数帯域分割部、54A…第1の周波数帯域分割部、54B…第2の周波数帯域分割部、55…増幅器、55A…第1の増幅器、55B…第2の増幅器、56…パワーアンプ、57…マイク、511…ミキシング制御部、512…ゲイン制御部、513…切替部、A1~A4…エリア、STD…観客席。
【要約】
【課題】競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設で、分散配置されたスピーカシステムを用いて、マルチチャネル再生環境を構築して、客席全体に亘って音響移動を実現する。
【解決手段】本発明は、競技面の周囲に客席を備えたアリーナ・スタジアム施設に設けられているスピーカシステムを制御するものであり、客席の全体エリアを複数のエリアに分割し、分割したそれぞれのエリアに分散配置した、エリア毎の複数のスピーカ装置と、エリア毎の複数のスピーカ装置のそれぞれについて、エリアにおける各スピーカ装置の配置関係に基づいて、エリア毎に、各々のエリアから選択したスピーカ装置を1つのグループとし、グループ毎に、当該グループに属するスピーカ装置に音源信号を出力する音響制御手段とを備える。
【選択図】
図1