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特許7529308廃太陽光パネルからガラス建材を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】廃太陽光パネルからガラス建材を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/15 20060101AFI20240730BHJP
   E04F 15/08 20060101ALI20240730BHJP
   B09B 3/30 20220101ALI20240730BHJP
【FI】
E04F13/15
E04F15/08 A
B09B3/30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023050134
(22)【出願日】2023-03-27
(65)【公開番号】P2024080568
(43)【公開日】2024-06-13
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】111213308
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】523087191
【氏名又は名称】成信實業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】周 信輝
(72)【発明者】
【氏名】謝 興文
(72)【発明者】
【氏名】胡 紹華
(72)【発明者】
【氏名】鄭 明仁
(72)【発明者】
【氏名】陳 永輝
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-151634(JP,A)
【文献】特開2016-222474(JP,A)
【文献】特開2018-176002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/15
E04F 15/08
B09B 3/30
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃太陽光パネルからガラス建材を製造する方法であって、
廃太陽光パネルは、ガラス板部分および非ガラス板部分を備え、前記非ガラス板部分はバックパネル、太陽電池セル、および、導線を含み、
(1)レーザーまたはダイヤモンドカッターにより廃太陽光パネルの最大面積のガラスを切断し、アルミフレームと廃太陽光パネルとを分離し、廃太陽光パネルから最大面積のガラス板を取り出すステップ
(2)ステップ(1)で得られたガラス板から、前記非ガラス板部分であるバックパネル、太陽電池セルおよび線を砥石車により取り除き、完全なガラス板を取得するステップ
(3)ステップ(2)で得られたガラス板の表面を研磨し、ガラス板の表面を光沢のある状態に回復させるステップ
(4)ステップ(3)で得られたガラス板を加工し、必要なサイズに切断するステップ
(5)ステップ(4)で得られたガラス板を積み重ねて複合し、複合建材を形成するステップ
を含むことを特徴とするガラス建材の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(4)において、廃太陽光パネルから取り出されたガラスを、上部ガラス板、および、下部ガラス板に切断し、
前記上部ガラス板と前記下部ガラス板との間に中間材料を設け、
前記中間材料は、断熱紙、または、断熱塗料、または、化粧板であり、
前記ステップ(5)において、前記上部ガラス板と前記下部ガラス板との縁を、エッジ接着剤により一体化させるよう、接着して封止し、
前記エッジ接着剤は、EVA(ポリエチレンビニルアセテート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、または樹脂を含む接着材料のうちの一つであることを特徴とする請求項1に記載のガラス建材の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(4)において、廃太陽光パネルから取り出されたガラスを上部ガラス板、および、下部ガラス板に切断し、
前記上部ガラス板の底面、または、前記下部ガラス板の上面に、中間材料を設け、
前記中間材料は、断熱紙、または、断熱塗料、または、化粧板であり、
前記上部ガラス板と前記下部ガラス板との間に空間を形成し、
前記ステップ(5)において、前記上部ガラス板と前記下部ガラス板の縁を、エッジ接着剤により一体化させるよう接着して封止し、
前記エッジ接着剤は、EVA(ポリエチレンビニルアセテート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、または樹脂を含む接着材料のうちの一つであることを特徴とする請求項1に記載のガラス建材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃太陽光パネルからガラス建材を製造する方法に関する。特に、廃太陽光パネルの中のガラスを完全に取り出し、切断して複合することによってガラス建材を製造する方法を指す。
【背景技術】
【0002】
石油化学燃料は、人類が絶えず開発することによって徐々に枯渇しているため、エネルギーの開発は非常に重要となっている。太陽光発電は、世界各国で代替エネルギー開発の重点となっている。しかしながら、太陽光パネルの使用量の増加につれ、各国が今後処理すべき廃太陽光パネルの量も増え続けている。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、全世界の廃太陽光パネルが2050年には、2016年末の25万トンから500万トン以上に増加すると予想されている。太陽光パネルは、ガラスとバックパネルの間に、太陽電池を封止材(例えばEVAプラスチック)で封じ、その四周にアルミフレームを取り付けることにより構成されている。市場に出回っている太陽電池の90%は、結晶シリコンを用いたシリコン太陽電池であるため、太陽光パネルの主な材料は、おおよそ75%がガラス、10%がアルミ、10%がポリエチレンビニルアセテート(EVA)である。この他に、シリコン、銅、銀などが含まれる。太陽光パネルには再利用可能な材料が含まれているため、廃太陽光パネルは一般的に再利用処理が行われている。現在の廃太陽光パネルの処理方法は、まず、アルミフレーム、接続ボックス、ケーブルを分解し、その後、廃太陽光パネルを破砕し、その破砕物を廃棄処分焼却場に運び、海外に輸出する、または、再利用するのが一般的である。そのうち、破砕されたガラスは「ガラス砂」に加工され、アスファルトを混ぜて道路舗装や高圧コンクリートレンガに使用することができる。これにより、夜間に反射効果を果たすだけではなく、滑り止め効果もあり、環境にやさしい建材である。しかし、破損していない完全なガラスを破砕することは、資源の浪費になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、廃太陽光パネルにより製造されたガラス建材を提供することによって、太陽光パネルの廃棄処理問題を効果的に解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る廃太陽光パネルは、ガラス板部分および非ガラス板部分を備え、非ガラス板部分はバックパネル、太陽電池セル、および、導線を含む。
本発明の廃太陽光パネルからガラス建材を製造する方法は、下記ステップを含む。
(1)レーザーまたはダイヤモンドカッターにより廃太陽光パネルの最大面積のガラスを切断する。アルミフレームと廃太陽光パネルとを分離し、廃太陽光パネルから最大面積のガラス板を取り出す。
(2)ステップ(1)で得られたガラス板から、非ガラス板部分であるバックパネル、太陽電池セルおよび線を砥石車により取り除き、完全なガラス板を取得する。
(3)ステップ(2)で得られたガラス板の表面を研磨し、ガラス板の表面を光沢のある状態に回復させる。
(4)ステップ(3)で得られたガラス板を必要なサイズに切断する。
(5)ステップ(4)で得られたガラス板を積み重ねて複合し、複合建材を形成する。
【0005】
本発明のガラス建材の製造方法は、ステップ(4)において、廃太陽光パネルから取り出されたガラスを、上部ガラス板、および、下部ガラス板に切断する。
上部ガラス板と下部ガラス板との間に中間材料を設ける。
中間材料は、断熱紙または断熱塗料または化粧板である。
上部ガラス板と下部ガラス板との縁を、エッジ接着剤により一体化させるよう接着して封止する。
エッジ接着剤は、EVA(ポリエチレンビニルアセテート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、または樹脂を含む接着材料のうちの一つである。
【0006】
本発明のガラス建材の製造方法は、ステップ(4)において、廃太陽光パネルから取り出されたガラスを、上部ガラス板、および、下部ガラス板に切断する。
上部ガラス板の底面、または、下部ガラス板の上面に、中間材料を設ける。
中間材料は、断熱紙または断熱塗料または化粧板である。
上部ガラス板と下部ガラス板との間に空間を形成する。
ステップ(5)において、上部ガラス板と下部ガラス板との縁を、エッジ接着剤により一体化させるよう接着して封止する。
エッジ接着剤は、EVA(ポリエチレンビニルアセテート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、または樹脂を含む接着材料のうちの一つである。
【0007】
本発明の廃太陽光パネルからガラス建材を製造する方法のメリットは、廃太陽光パネルの中のガラス板を加工、切断、複合することによって、太陽光パネルの中のガラス板によりガラス建材を製造することができることである。これにより、廃太陽光パネルのガラス板が再利用され、タイル、壁飾り、壁紙などの代替品として、室内外の壁や天井を美化する建材として使用することができる。この方法により製造された建材は、ガラス板の十分な再利用を実現し、二酸化炭素の排出量を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例における、廃太陽光パネルからガラスを取り出すフローチャートである。
図2】本発明の実施例の立体分解図である
図3】本発明の第一実施例の組み立て後の立体図である。
図4】本発明の第一実施例の断面図である。
図5】本発明の第二実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、上述の使用目的と効果を実現するために、採用する技術手段について、実施可能な好ましい実施例を挙げ、図に合わせて詳述する。
【0010】
本発明の実施例は、図1に示すように、廃太陽光パネルのガラス部分を完全に取り出し、ガラス建材を製造する。その方法は以下の通りである。
(1)アルミフレームを取り外し、最大面積のガラス板を取り出す。レーザーまたはダイヤモンドカッターで廃太陽光パネルの最大面積のガラスを切断する。アルミフレームと廃太陽光パネルとを分離し、廃太陽光パネルから最大面積のガラス板を取り出す。
(2)ガラス板からバックパネル、太陽電池セル、導線などの非ガラス部分を除去する。砥石車によりステップ(1)で得られたガラス板からバックパネル、太陽電池セル、導線などの非ガラス部分を取り除き、完全なガラス板を取得する。
(3)ガラス板の表面の艶出しをする。ステップ(2)で得られたガラス板の表面を研磨し、ガラス板の表面を光沢のある状態に回復させる。
(4)ガラス板を加工し、切断する。ステップ(3)で得られたガラス板を必要なサイズに切断する。切断サイズは規格化することができ、そのサイズは、30×30センチメートル、30×60センチメートル、45×45センチメートルなどにしてもよい。
(5)ガラス板を複合し、建材とする。ステップ(4)で得られたガラス板を多層に積み重ねて複合し、複合建材を形成することによってガラス建材として使用することができる。
【0011】
本発明の第一実施例は、図2図4に示すように、廃太陽光パネルにより製造された建材は、主に上部ガラス板11、下部ガラス板12、および中間材料13により構成される。中間材料13は、上部ガラス板11と下部ガラス板12との間に配置され、一体化させるように接着することによりガラス建材1を形成する。中間材料13は、断熱紙または断熱塗料または化粧板などの材料である。その縁はエッジ接着剤14により接着して封止する。エッジ接着剤14は、EVA(ポリエチレンビニルアセテート)、または、PET(ポリエチレンテレフタレート)、または、樹脂などの接着材料のいずれか一つである。これにより、ガラス建材1が形成される。
【0012】
本発明の第二実施例は、図5に示すように、廃太陽光パネルによりガラス建材を作る。このガラス建材は、上部ガラス板11、下部ガラス板12、および中間材料13により構成される。中間材料13は、断熱紙または断熱塗料または化粧板などの材料であってもよい。中間材料13は、上部ガラス板11の底面、または、下部ガラス板12の上面に配置される。上部ガラス板11と下部ガラス板12の間には、空間Aが形成される。上部ガラス板11と下部ガラス板12の縁は、エッジ接着剤14により一体化させるよう、接着して封止する。エッジ接着剤14は、EVA(ポリエチレンビニルアセテート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、または樹脂などの接着材料のうちの一つである。これにより、ガラス建材1が得られる。
【0013】
本発明は、廃太陽光パネルのガラスにより複合式ガラス建材1を製造する。中間材料13が断熱層である場合、断熱効果がある。かつ、上部ガラス板11と下部ガラス板12の間に形成される空間Aにより、熱伝導を大幅に低減し、より優れた断熱効果を得ることができる。また、中間材料13は、図案、模様、色などの化粧板を使用することにより、花柄や色などの仕様のあるガラス建材1を製造することができ、装飾用として使用することができる。本発明により製造されたガラス建材1は、タイル、壁タイル、床タイルなどの代替品として使用することができる。これにより建築物の壁、床、天井などの美化に用い、建築物の装飾に使用することができる。また、太陽光パネルは非常に高い強度を有するため、本発明の廃太陽光パネルにより製造されたガラス建材1も強度が非常に高く、断熱効果および耐凍性を有する。本発明は、さらに小さなサイズにカットし、モザイクタイルとして使用することもできる。本発明における建材の原料は、廃太陽光パネルであるため、グリーン建材(低炭素な建材)である。加工および製造過程における二酸化炭素の排出量は、タイル、壁紙、ステンレス鋼、プラスチックなどの建材よりはるかに少ないため、二酸化炭素の排出量を低減するメリットがある。
【0014】
上述のように、本発明は予期した使用目的と効果を達成し、当技術分野で知られているものよりも理想的かつ実用的である。但し、前述の実施例は、本特許の望ましい実施例であり、それによって、本発明の特許請求の範囲が制限されることはない。本発明の特許請求の範囲に基づく均等変化及び修飾は、すべてが本発明の特許請求の範囲内に属する。
【符号の説明】
【0015】
1 ガラス建材 11 上部ガラス板 12 下部ガラス板
13 中間材料 14 エッジ接着剤
A 空間
図1
図2
図3
図4
図5