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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】反転ガイド装置及び豆腐製造装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/248 20060101AFI20240730BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20240730BHJP
   A23L 11/45 20210101ALI20240730BHJP
   B65G 15/16 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
B65G47/248 G
B65G47/14 Z
A23L11/45 A
B65G15/16
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023090227
(22)【出願日】2023-05-31
(62)【分割の表示】P 2022503714の分割
【原出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2023120224
(43)【公開日】2023-08-29
【審査請求日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2020029789
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021015922
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591162631
【氏名又は名称】株式会社高井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】高井 東一郎
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-000113(JP,A)
【文献】特開2009-208963(JP,A)
【文献】特開2020-023380(JP,A)
【文献】特開2017-186056(JP,A)
【文献】特開昭52-009264(JP,A)
【文献】特開2000-037336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/248
B65G 47/14
A23L 11/45
B65G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送コンベアによって搬送され、前記移送コンベアの一端の折り返し部で反転される、パックが被せられた豆腐を案内する反転ガイド装置であって、
前記豆腐を前記折り返し部の軌道に沿うように支持しながら、周回駆動しつつ前記豆腐を案内する無端状コンベアを備え、
前記無端状コンベアは、前記折り返し部において移動する前記豆腐を受けるストッパー部材を備え、
前記ストッパー部材の基部は、前記無端状コンベアの進行方向に傾いた角度をもって前記無端状コンベアに取り付けられている、
反転ガイド装置。
【請求項2】
請求項1に記載の反転ガイド装置であって、
前記ストッパー部材の先端は、前記無端状コンベアの進行方向と逆方向に傾いた角度を備える、
反転ガイド装置。
【請求項3】
移送コンベアによって搬送され、前記移送コンベアの一端の折り返し部で反転される、パックが被せられた豆腐を案内する反転ガイド装置であって、
前記豆腐を前記折り返し部の軌道に沿うように支持しながら、周回駆動しつつ前記豆腐を案内する無端状コンベアと、
前記無端状コンベアを支持する支持台と、
を備え、
前記折り返し部と前記無端状コンベアの間の距離が調整可能であり、且つ、前記折り返し部と前記無端状コンベアが着脱可能であり、
前記支持台は、前記折り返し部に対する前記無端状コンベアの位置を水平方向に調整し、且つ、前記折り返し部と前記無端状コンベアを着脱する位置調整部を備える、
反転ガイド装置。
【請求項4】
移送コンベアによって搬送され、前記移送コンベアの一端の折り返し部で反転される、パックが被せられた豆腐を案内する反転ガイド装置であって、
前記豆腐を前記折り返し部の軌道に沿うように支持しながら、周回駆動しつつ前記豆腐を案内する無端状コンベアと、
前記無端状コンベアの回転軸を回転可能な状態で支持する回転軸支持部材と、
を備え、
前記折り返し部と前記無端状コンベアの間の距離が調整可能であり、且つ、前記折り返し部と前記無端状コンベアが着脱可能であり、
前記回転軸が、水平方向に移動可能な状態で前記回転軸支持部材に支持される、
反転ガイド装置。
【請求項5】
前記移送コンベアと、
請求項1から4のいずれか1項に記載の反転ガイド装置と、
前記反転ガイド装置により反転された前記豆腐を受け止め、次工程に渡す豆腐受け装置と、
を備える豆腐製造装置。
【請求項6】
請求項1を引用する請求項5に記載の豆腐製造装置であって、
前記ストッパー部材の先端は、幅方向に櫛歯状の形状を有し、
前記豆腐受け装置の先端が、前記ストッパー部材の先端と干渉しない櫛歯状の形状を有する、
豆腐製造装置。
【請求項7】
請求項6に記載の豆腐製造装置であって、
前記ストッパー部材と対向する、前記豆腐受け装置の先端は、前記無端状コンベアの進行方向に傾いた角度を備える、
豆腐製造装置。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項記載の豆腐製造装置であって、
前記豆腐受け装置の出口側に、前記豆腐受け装置の下り勾配よりも、上方に屈曲ないし湾曲している急速落下防止部を備える、
豆腐製造装置。
【請求項9】
請求項1を引用する請求項5に記載の豆腐製造装置であって、
前記無端状コンベアの速度Va、前記移送コンベアの速度Vb、前記ストッパー部材のピッチであるストッパーピッチa、前記移送コンベア上の豆腐の前後ピッチbとして、a=bであって、前記無端状コンベアの速度Vaと、前記移送コンベアの折り返し部の速度Vbが同じである(Va=Vb)、
豆腐製造装置。
【請求項10】
請求項1を引用する請求項5に記載の豆腐製造装置であって、
前記無端状コンベアの速度Va、前記移送コンベアの速度Vb、前記ストッパー部材のピッチであるストッパーピッチa、前記移送コンベア上の豆腐の前後ピッチbとして、前記無端状コンベアの速度Vaが、前記移送コンベアの折り返し部の速度Vbより大きい(Va>Vb)場合であって、n・a/Va=b/Vb(n:自然数)である、
豆腐製造装置。
【請求項11】
請求項5~10のいずれか1項に記載の豆腐製造装置であって、
前記反転ガイド装置は、カバーで囲まれ、当該カバーの内部に洗浄液を散布する洗浄用ノズル、又は、殺菌用に高温水蒸気を噴射する蒸気用ノズルを備える、
豆腐製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆腐を反転しながら案内する反転ガイド装置及びそれを利用した豆腐製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、絹ごし豆腐の製造工程では、穴無型枠内でその原料となる豆乳に凝固剤を加えた状態で凝固熟成し、木綿豆腐の製造工程では、適当な容器(例えば、寄桶、バケットや型枠等)で同様に凝固熟成する。次に、凝固熟成されたものを濾布が敷かれた穴有型枠に流しこんで圧密・成形する。その後、各々を型枠から取り出して所定のサイズにカットし、パック詰めすることにより、豆腐が製造される。
【0003】
一般的に、パックが被せられた豆腐を移送する移送コンベアは、無端状のコンベアであり、一端の折り返し部でパックを被せられた豆腐を上から下に向けて案内しながら反転し、豆腐をパックに収めて次工程に送る。従来の装置においては、移送コンベアの折り返し部に対応するように板状の案内板が設けられ、この案内板が豆腐を案内している(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開昭63-203516号公報
【文献】日本国特開平3-219850号公報
【文献】日本国特開2007-006759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の案内板は、豆腐を案内するものの、固定された湾曲板であるため、移送コンベアの折り返し部において豆腐に作用する重力を頼りに豆腐を案内する。したがって、豆腐に落下の勢いがつきすぎ、衝撃により柔らかい豆腐は割れたり欠けたりすることが多い。また、自然落差のため各々の豆腐の落下タイミングが微妙にズレて、豆腐が詰まったりする等、処理能力に限界があった。
【0006】
上記の問題点を解決するため、豆乳に加える凝固剤を多くし豆腐を堅くして対応することが考えられるが、包装後の加熱殺菌で離水が多くなり味抜けしてしまう欠点があった。また、豆腐または豆腐を詰めるパックの種類には様々なものがあるため、豆腐または豆腐を詰めるパックのサイズが変化する場合、案内板そのものの交換や案内板の位置調整等が必要となり、作業効率の悪化を招く。
【0007】
本発明は、豆腐を円滑に反転させることの可能な反転ガイド装置及びそれを利用した豆腐製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様である反転ガイド装置は、移送コンベアによって搬送され、前記移送コンベアの一端の折り返し部で反転される豆腐を案内する反転ガイド装置であって、前記豆腐を前記折り返し部の軌道に沿うように支持しながら、周回駆動しつつ前記豆腐を案内する無端状コンベアを備える。
【0009】
前記反転ガイド装置は、例えば、前記折り返し部と前記無端状コンベアの間の距離が調整可能である、又は前記折り返し部と前記無端状コンベアが着脱可能である。
【0010】
前記反転ガイド装置は、例えば、前記無端状コンベアを支持する支持台を更に備え、前記支持台は、前記折り返し部に対する前記無端状コンベアの位置を水平方向に調整する、
又は前記折り返し部と前記無端状コンベアを着脱する位置調整部を備える。
【0011】
前記反転ガイド装置は、例えば、前記折り返し部と前記無端状コンベアの間に配置され、無端状コンベアをガイドするガイド部材を更に備え、前記ガイド部材は、前記折り返し部に対する距離を調整するために移動可能である。
【0012】
前記反転ガイド装置は、例えば、前記無端状コンベアの回転軸を回転可能な状態で支持する回転軸支持部材を更に備え、前記回転軸が、例えば水平方向(前後方向、上下方向でもよい)に移動可能な状態で前記無短コンベアのテンションを調整できるように、前記回転軸支持部材に支持される。
【0013】
前記反転ガイド装置は、例えば、前記無端状コンベアは、前記折り返し部において移動する前記豆腐を受けるストッパー部材を備える。
【0014】
前記反転ガイド装置は、例えば、前記ストッパー部材は、前記無端状コンベアの進行方向に傾いた角度をもって前記無端状コンベアに取り付けられている。
【0015】
本発明の一態様である豆腐製造装置は、前記移送コンベアと、上述した反転ガイド装置と、前記反転ガイド装置により反転された前記豆腐を受け止め、次工程に渡す豆腐受け装置(例えば、シュート)と、を備える。
【0016】
本発明の一態様である豆腐製造装置は、例えば、前記豆腐受け装置は、不良品の豆腐を下方に廃棄する廃棄装置を備える。
【0017】
本発明の一態様である豆腐製造装置は、例えば、前記廃棄装置が開閉する可動式シュート、又は、開口部を有する固定式シュートである。
【0018】
本発明の一態様である豆腐製造装置は、例えば、前記無端状コンベアは、前記折り返し部において移動する前記豆腐を受けるストッパー部材を備え、前記ストッパー部材の先端は幅方向に櫛歯状の形態を有し、前記豆腐受け装置(例えば、シュート、可動式シュート、固定式シュート)の先端が、前記ストッパー部材の先端と干渉しない櫛歯状の形態を有する。
【0019】
本発明の一態様である豆腐製造装置は、例えば、前記廃棄装置が開閉する可動式シュートであって、当該可動式シュートは、バネ又はダンパーによる受動操作、手動操作、シリンダー又はモータによる能動操作のうちの少なくともいずれか一つの操作タイプである。
また例えば、パックを被せない欠けたり割れたりした廃棄予定の豆腐などをその落下自重により砕いて下方に落として、廃棄するための開口部を有する固定式シュートであってもよい。
【0020】
本発明の一態様である豆腐製造装置は、例えば、前記反転ガイド装置は、前記無端状コンベアが前記移送コンベアと同期及び同調する。
【0021】
本発明の一態様である豆腐製造装置は、例えば、前記無端状コンベアは、前記折り返し部において移動する前記豆腐を受けるストッパー部材を備え、前記無端状コンベアの速度Va、前記移送コンベアの速度Vb、前記ストッパー部材のピッチであるストッパーピッチa、前記移送コンベア上の豆腐の前後ピッチbとして、a=bであって、前記無端状コンベアの周回速度Vaと、前記移送コンベアの折り返し部の周回速度Vbとが同じである(Va=Vb)。
【0022】
本発明の一態様である豆腐製造装置は、例えば、前記無端状コンベアは、前記折り返し部において移動する前記豆腐を受けるストッパー部材を備え、前記無端状コンベアの速度Va、前記移送コンベアの速度Vb、前記ストッパー部材のピッチであるストッパーピッチa、前記移送コンベア上の豆腐の前後ピッチbとして、前記無端状コンベアの速度Vaが、前記移送コンベアの折り返し部の速度Vbより大きい(Va>Vb)場合であって、n・a/Va=b/Vb(n:自然数)である。
【0023】
本発明の一態様である豆腐製造装置は、例えば、前記反転ガイド装置は、カバーで囲まれ、当該カバーの内部に洗浄液を散布する洗浄用ノズル、又は、殺菌用に高温水蒸気を噴射する蒸気用ノズルを備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、無端状コンベアにより整列された多数の豆腐を案内しつつ、一斉にかつ円滑に反転させることができ、折り返し部における豆腐の落下速度を抑制して、豆腐を破損させず、処理能力を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1(a)~(b)は、第1実施形態の反転ガイド装置を含む豆腐製造装置の側面図を示しており、(a)は使用時における側面図、(b)は洗浄時等における側面図を示す。
図2図2は、豆腐製造装置の側面図を示す。
図3図3は、豆腐製造装置の上面図を示す。
図4図4(a)~(b)は、第1実施形態の反転ガイド装置の動作を示す側面図であり、(a)は反転ガイド装置が移送コンベアに接近した状態における側面図、(b)は反転ガイド装置が移送コンベアから離間した状態における側面図を示す。
図5図5(a)~(b)は、第2実施形態の反転ガイド装置の動作を示す側面図であり、(a)は反転ガイド装置が移送コンベアに接近した状態における側面図、(b)は反転ガイド装置が移送コンベアから離間した状態における側面図を示す。
図6図6(a)~(b)は、第3実施形態の反転ガイド装置の動作を示す側面図であり、(a)は反転ガイド装置が移送コンベアに接近した状態における側面図、(b)は反転ガイド装置が移送コンベアから離間した状態における側面図を示す。
図7図7は、対向したストッパー部材及び豆腐を下方に廃棄する可動式シュートの上面図を示す。
図8図8(a)~(c)は、対向したストッパー部材及び豆腐を下方に廃棄する可動式シュートの側面図を示し、(a)はストッパー部材の長尺状突起が1箇所において屈曲した形態の例、(b)はストッパー部材の長尺状突起が湾曲した形態の例、(c)はストッパー部材の長尺状突起が2箇所において屈曲した形態の例をそれぞれ示す。
図9図9(a)~(d)は、ストッパー部材の全体構成についての種々の変形例の側面図を示し、(a)は側面視において山型のストッパー部材の例、(b)は側面視において屈曲型のストッパー部材の例、(c)は側面視において湾曲型のストッパー部材の例、(d)は側面視において直線型のストッパー部材の比較例を示す。
図10図10は、図9(a)のストッパー部材を用いた反転プロセスの概念図を示す。
図11図11は、図9(b)のストッパー部材を用いた反転プロセスの概念図を示す。
図12図12は、図9(c)のストッパー部材を用いた反転プロセスの概念図を示す。
図13図13は、図9(d)のストッパー部材を用いた反転プロセスの概念図を示す。
図14図14(a)~(c)は、可動式シュートの種々の変形例を説明する図であり、(a)は手動操作の可動式シュート、(b)はシリンダー操作の可動式シュート、(c)は、モータ操作の可動式シュートを示す。
図15図15は、豆腐製造装置の側面図において、無端状コンベアの速度Va、移送コンベアの速度Vb、ストッパー部材のピッチであるストッパーピッチa、移送コンベア上の豆腐の前後ピッチbを示す図である。
図16図16は、カバーを有する豆腐製造装置の側面図を示す。
図17図17(a)~(b)は、豆腐(パック)の底面の角部が第二隙間に入り込んだ状態を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。なお、(a)は、(b)のA-A断面矢視図である。
図18図18(a)~(b)は、豆腐(パック)の底面の角部が第一隙間に入り込んだ状態を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。なお、(a)は、(b)のB-B断面矢視図である。
図19図19(a)~(b)は、第三案内部を可動式シュートに設けた実施形態を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。なお、(a)は、(b)のC-C断面矢視図である。
図20図20(a)~(b)は、第一案内部をストッパー部材に設けた実施形態を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。なお、(a)は、(b)のD-D断面矢視図である。
図21図21(a)~(b)は、第四案内部を可動式シュートに設けた実施形態を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。なお、(a)は、(b)のE-E断面矢視図である。
図22図22(a)~(b)は、第二案内部をストッパー部材に設けた実施形態を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。なお、(a)は、(b)のF-F断面矢視図である。
図23図23(a)~(b)は、第三,四案内部を可動式シュートに設けた実施形態を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。なお、(a)は、(b)のG-G断面矢視図である。
図24図24(a)~(b)は、第三,四案内部を可動式シュートに設けた実施形態を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。なお、(a)は、(b)のH-H断面矢視図である。
図25図25(a)~(b)は、第一,二案内部をストッパー部材に設けた実施形態を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。なお、(a)は、(b)のI-I断面矢視図である。
図26図26(a)~(b)は、第一,二案内部をストッパー部材に設けた実施形態を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。なお、(a)は、(b)のJ-J断面矢視図である。
図27図27(a)~(c)は、豆腐が可動式シュートから搬送装置に乗り移るプロセスを説明するための図(比較例)であり、(a)は豆腐が可動式シュートに支持されている状態を示す図であり、(b)は豆腐が搬送装置上で傾いた状態を示す図であり、(c)は豆腐が搬送装置上で横転した状態を示す図である。
図28図28(a)~(b)は、急落下防止部材を可動式シュートに設けた実施形態を示す図であり、(a)は豆腐が可動式シュートに支持されている状態を示す図であり、(b)は豆腐が正常に搬送装置上で支持されている状態を示す図である。
図29図29は、急落下防止部材を設ける角度を説明するための図である。
図30図30(a)は幅方向から見た固定式シュートの側面図であり、(b)は固定式シュートの上面図であり、(c)は豆腐の進行方向から見た固定式シュートの正面図である。
図31図31(a)は幅方向から見た固定式シュートの側面図であり、(b)は固定式シュートの上面図であり、(c)は豆腐の進行方向から見た固定式シュートの正面図である。
図32図32(a)は幅方向から見た固定式シュートの側面図であり、(b)は固定式シュートの上面図であり、(c)は豆腐の進行方向から見た固定式シュートの正面図である。
図33図33(a)は幅方向から見た固定式シュートの側面図であり、(b)は固定式シュートの上面図であり、(c)は豆腐の進行方向から見た固定式シュートの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る反転ガイド豆腐及び豆腐製造装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1(a)~(b)は、第1実施形態の反転ガイド装置20を含む豆腐製造装置1を示している。豆腐製造装置1は、パックPを被せた豆腐を搬送する移送コンベア10と、豆腐(パックP)を反転させる反転ガイド装置20と、反転ガイド装置20により反転された豆腐(パックP)を受け止め、次工程に渡す豆腐受け装置30と、を備える。
【0028】
図1(a)は豆腐製造装置1の使用時における側面図、図1(b)は豆腐製造装置1の洗浄時等における側面図を示す。図1(b)に示すように、移送コンベア10、反転ガイド装置20、豆腐受け装置30は洗浄時、メンテナンス時等においてそれぞれ分離可能であり、豆腐製造装置1のメンテナンスを行う上で着脱が容易となっている。
【0029】
図2は、図1(a)~(b)に示した第1実施形態の移送コンベア10および反転ガイド装置20を拡大して示した図である。本例において、移送コンベア10は、搬送方向(図1(a)中、左右方向)両端に配置された一対の第一,第二ローラ12a,12bと、
第一,第二ローラ12a,12bに掛け回された無端状のベルト11と、を有する。
【0030】
以後、移送コンベア10において搬送方向(図1(a)中、左右方向)における第一ローラ12a側(図1(a)中、左側)の端部を「移送コンベア10の一端」と呼ぶ。この移送コンベア10の一端には、ベルト11が第一ローラ12aによって折り返される折り返し部13が設けられる。
【0031】
ベルト11の表面は、開口が下向きの状態で豆腐に被せられたパックP(パックPを被せた豆腐)を搬送する、搬送面11aを構成する。移送コンベア10は例えば食品用ベルトコンベアにより構成され、連続駆動、断続駆動するが、その構成、駆動方式等は特に限定されない。
【0032】
反転ガイド装置20は、移送コンベア10の一端の折り返し部13でパックPの開口が上向きの状態になるように、パックPを反転させる。尚、本明細書では、容器であるパックPを上方から被せた豆腐を用いて説明するが、「豆腐」は、パックPが被せられた豆腐や、パックPに収まった豆腐や、パックPが被されてない裸状態の豆腐など、その構成は限定されない。特に、折り返し部13での反転時における豆腐は、裸状態の豆腐であってもよい。本明細書では、これらを総じて「豆腐」という。
【0033】
豆腐受け装置30の詳細は後述する。なお、豆腐受け装置30は一般的な無端状コンベアであり、移送コンベア10の搬送方向(図2中、左右方向)に対して直角方向(図2の紙面に対して垂直方向)に豆腐を引き出す。なお、豆腐受け装置30は、移送コンベア10の搬送方向(図2中、左右方向)に沿うコンベアや、押し出し機構などで豆腐を移動、
移載する装置であってもよいが、特に限定されない。
【0034】
反転ガイド装置20は、移送コンベア10の搬送面11aによって搬送され、移送コンベア10の一端の折り返し部13で反転される豆腐を案内する。反転ガイド装置20は、本体部21と、本体部21を下方から支持する支持台22と、本体部21に設けられた複数(本例では五つ)の回転軸23と、複数の回転軸23によって支持され駆動される無端状コンベア24と、移送コンベア10の折り返し部13と対向する部分の無端状コンベア24をガイドするガイド部材26と、を備えている。
【0035】
本体部21は、箱型の形状であり、回転軸23と無端状コンベア24を収納している。本体部21は、複数の壁を備えた外観を備えている。本体部21の複数の壁のうち一対の側壁(図面の手前と奥側にある一対の面)は、複数の回転軸23を回転可能な状態で支持する回転軸支持部材25として機能する。
【0036】
複数の回転軸23は、回転軸支持部材25に支持されているが、例えば少なくとも一つの回転軸23がモータなどにより駆動する駆動軸として機能し、他の回転軸23は、駆動軸に従動する従動軸として機能する。
【0037】
回転軸23によって駆動される無端状コンベア24は、例えばチェーンコンベア、織物ベルト、樹脂ベルト、ゴムベルトスラットバンドチェーンタイプのコンベア等より構成され、その種類は特に限定されない。チェーンコンベアの場合、少なくとも両端がチェーンで、その間にわたって取り付けられる丸棒、パイプ、角材、平板、金網等の複数のアタッチメントを含む。これらの部材は、ステンレス、チタン、樹脂製部材(フッ素コーティングなどのコーティング加工を含む)等の素材により構成される。本例では、長手方向において複数のプレート24aが設けられた、無端状コンベア24を例に説明する。
【0038】
また、豆腐製造装置1は、反転ガイド装置20の内部を無端状コンベア24や回転軸23等を含めて洗浄する洗浄装置(図16)を適宜備えて、CIP(Cleaning In Place)自動洗浄するようにしてもよい。
【0039】
無端状コンベア24は、豆腐(パックP)を移送コンベア10の折り返し部13の軌道に沿うように支持しながら、移送コンベア10の動きと同調して、矢印で示すように周回駆動しつつ豆腐を案内する。具体的には、無端状コンベア24のうち折り返し部13(第一ローラ12a)と対向する部分の形状は、無端状コンベア24をガイドするガイド部材26によって、第一ローラ12aの外周面と略平行である。
【0040】
ガイド部材26は、豆腐(パックP)が移動する経路に沿って湾曲された板材によって形成され、無端状コンベア24の幅方向(図2の紙面の奥行き方向)両端に設けられている。
なお、ガイド部材26は、複数のプレート24aの中央付近をガイドしてもよい。また、ガイド部材26は、湾曲した板やアングル、また、小さいスプロケットを湾曲状に配置したものであってもよい。さらに、ガイド部材26は、以下の実施形態においては一部図示されていないが、同様に設けられている。
【0041】
したがって、無端状コンベア24と第一ローラ12とが互いに対向する領域においては、無端状コンベア24と第一ローラ12aとの距離が略一定である。また、当該距離は、パックPの上下方向寸法(上面から底面までの距離)に略等しい。したがって、無端状コンベア24は、豆腐(パックP)を折り返し部13の第一ローラ12aの曲面に沿わせるか、または第一ローラ12aの曲面に接するように押さえながら、移送コンベア10の第一ローラ12aとの間で豆腐を挟み込みつつ、豆腐(パックP)を案内し、反転させる。
【0042】
図3は、ブロックで示した前工程を含む豆腐製造装置1の上面を示す。凝固機、成型機、切断整列機による作業を経て形成された豆腐を詰めたパックP(パックPを被せた豆腐)は、移送コンベア10上に間隔を空け、整列して連続的に供給される。反転ガイド装置20によって反転されたパックP(豆腐)の不良品以外の正常品が、包装機に送られる。
【0043】
豆腐または豆腐を詰めるパックPの種類やサイズには様々なものが存在する。従来は、豆腐またはパックPの種類やサイズが変化する場合、豆腐製造装置において折り返し部13に配置された案内板そのものの交換、案内板の位置調整等が必要となり、作業効率の悪化を招いていた。
【0044】
本実施形態の反転ガイド装置20は、移送コンベア10の折り返し部13と無端状コンベア24の間の距離が調整可能なように構成されている。これにより、パックPのサイズ、豆腐のサイズ(高さ)、豆腐の柔らかさ、豆腐の引っ掛かり易さなどの要因に応じて、
反転ガイド装置20と折り返し部13との間の間隙が調整可能であり、多種類のパックP、豆腐サイズ等が異なる多品種製品への対応が容易となる。また、移送コンベア10の折り返し部13と無端状コンベア24が着脱可能に構成されてもよい。以下、具体的な例を説明する。
【0045】
図4(a)~(b)は、図1(a)~(b)および図2に示した第1実施形態の反転ガイド装置20の動作を示す。無端状コンベア24を支持する支持台22は底面に車輪(ローラ付き台車、キャスター)を備えており、反転ガイド装置20の前後方向(あるいは左右方向。図示なし)の移動が容易となっている。更に支持台22は、折り返し部13に対する無端状コンベア24の位置を水平方向に調整する位置調整部40を備える。この位置調整部40は、豆腐受け装置30の支持体31と組み合わされて構成される。位置調整部40は、例えば図示の例の様に、スライド穴とスライドピンとの組み合わせによって構成でき、図4(a)の反転ガイド装置20と移送コンベア10が薄い豆腐(パックP)の製品に対応して接近した状態を実現し、図4(b)の両者が厚い豆腐(パックP)の製品に対応して離間した状態を実現する。これにより、移送コンベア10の折り返し部13と無端状コンベア24の間の距離が調整可能であり、豆腐(パックP)のサイズの変更に容易に対応することができる。更に位置調整部40は、移送コンベア10の折り返し部13と無端状コンベア24を着脱可能である。ただし、位置調整部40の具体的な構成は特に限定されない。
【0046】
図5(a)~(b)は、第2実施形態の反転ガイド装置20の動作を示す。この反転ガイド装置20は、折り返し部13と無端状コンベア24の間に配置され、無端状コンベア24をガイドするガイド部材26を更に備えている。ガイド部材26は、豆腐(パックP)が移動する経路に沿って湾曲された板材によって形成され、無端状コンベア24の幅方向(図5(a)~(b)の紙面の奥行き方向)両端に設けられている。さらにガイド部材26には、無端状コンベア24の折り返し部13に対する距離や軌道を調整するための距離調整部材27が取り付けられる。ガイド部材26は、距離調整部材27を駆動することにより位置が変更され、折り返し部13に対する距離や軌道が変更されるため、折り返し部13と無端状コンベア24の間の距離が調整可能となっている。距離調整部材27は、例えば回転軸支持部材25として機能する一対の側壁に取り付けられたシリンダーとピストン等によって構成可能である。ただし、距離調整部材27の具体的な構成は特に限定されない。また、ガイド部材26を複数の分割された部材により構成することもできる。
【0047】
図6(a)~(b)は、第3実施形態の反転ガイド装置20の動作を示す。この反転ガイド装置20において、無端状コンベア24の回転軸23が、回転可能、且つ、水平方向に移動可能な状態で回転軸支持部材25に支持されている。本例では、五つの回転軸23のうち、二つの回転軸23(図中、左上、左下の回転軸23)が固定された駆動軸23aであり、三つの回転軸23(図中、左、右上、右下の回転軸23)が従動軸23bである。なお、従動軸23bは、回転軸支持部材25に形成されたスライド穴により、水平方向に適宜移動可能である。これにより、移送コンベア10の折り返し部13と無端状コンベア24の間の距離が調整可能であり、豆腐(パックP)のサイズの変更に容易に対応することができる。なお、駆動軸23aや従動軸23bの数や配置は、特に限定されない。少なくとも、折り返し部13の近くに配置される回転軸23を水平方向に移動可能とすれば、折り返し部13と無端状コンベア24の間の距離が調整可能である。
【0048】
図4(a)~図6(b)に示した例においては、反転ガイド装置20または無端状コンベア24の位置調整は手動操作でもよく、自動操作でもよい。自動操作の動力源はエアシリンダー、油圧シリンダー、電動シリンダー等の直動動力源、またはそれと組み合わせたクランク式、あるいは直接に回すようなロータリーエンコーダやサーボモータ等、回転角度を変える動力源でもよく、特に限定はされない。
【0049】
本実施形態の反転ガイド装置20は、従来の板状の案内板とは異なり、適宜変形する無端状コンベア24により構成され、しかも折り返し部13に対する無端状コンベア24の位置も豆腐(パックP)の種類、サイズ等に応じて適宜調整可能である。したがって、折り返し部13において豆腐(パックP)に作用する重力を和らげ、落下を防止することができる。
【0050】
ただし、さらに落下の可能性を減らすため、折り返し部13において豆腐(パックP)を受けるストッパー部材28を反転ガイド装置20に設けることができる。図7はストッパー部材28の具体例を示す。図7では、ストッパー部材28と、豆腐受け装置30の可動式シュート35と、が対向した状態を示す。
【0051】
ストッパー部材28は、例えば無端状コンベア24に取り付けられる(図8(a)~図12参照)。図8(a)~図9(d)には、ストッパー部材28が無端状コンベア24のプレート24aに取り付けられた構成が示されているが、図10~12では、図面を簡略化し、プレート24aの図示を省略している。
【0052】
図7の上下方向は、図4(a)~(b)における紙面に垂直な方向に対応している。ストッパー部材28の先端は、幅方向(図7の上下方向)において櫛歯形状を有している。すなわち、ストッパー部材28は、第一本体部28aと、第一本体部28aの先端(図中、右端)に、幅方向に互いに間隔を有して並んで形成された複数の第一凸部29と、を有している。
【0053】
ストッパー部材28と対向する可動側シュート35の先端は、幅方向において櫛歯形状を有している。すなわち、可動側シュート35は、第二本体部35aと、第二本体部35aの先端(図中、左端)に、幅方向に互いに間隔を有して並んで形成された複数の第二凸部36と、を有している。
【0054】
複数の第一凸部29と、複数の第二凸部36とは、幅方向(図7の上下方向)に互い違いに配置されている。互いに隣り合う第一凸部29および第二凸部36は、幅方向に間隔を有して配置されており、干渉しない。第一凸部29の先端(図中、右端)と、可動側シュート35の第二本体部35aと、の間には間隔があり、これらは互いに干渉しない。第二凸部36の先端(図中、左端)と、ストッパー部材28の第一本体部28aと、の間には間隔があり、これらは互いに干渉しない。なお、本願発明はこの構成に限定されず、平板状のストッパー部材28の先端と平板状の可動式シュート35の先端(後端)とが、極近接して干渉しない位置に設定された構成であってもよい。
【0055】
図8(a)~(c)は、無端状コンベア24のプレート24aに設けられたストッパー部材28と、ストッパー部材28に対向する可動式シュート35と、の側面図を示す。図8(a)は、ストッパー部材28が1箇所において屈曲した形態の例を示し、図8(b)は、ストッパー部材28が湾曲した形態の例を示し、図8(c)は、ストッパー部材28が2箇所において屈曲した形態の例を示す。なお、ストッパー部材28のうち屈曲又は湾曲する部分は、第一本体部28a及び第一凸部29のうち両方であってもよく片方であってもよい。すなわち、第一本体部28aが屈曲又は湾曲するように形成されてもよく、第一凸部29が屈曲又は湾曲するように形成されてもよい。
【0056】
ストッパー部材28については、図13におけるk領域で示した豆腐(パックP)の反転後半に生じる空間(ポケット)が生じた状態となり、すなわち、豆腐(パックP)が反転中に水平より上方向に延びるように傾いた(水平基準で、後述の角度θ、θ0が90°以下の鋭角)状態となり、ストッパー部材28に引っ掛かりやすくなる状態を生じさせるものは好ましくない。ポケットにおいては、豆腐(パックP)の底角が深く密着して嵌まり込み、引っ掛かりやすく、トラブルになりやすい。例えば、後述の図9(a)~(c)のような状態では、角度θ、θ0が90°超であり無端状コンベア24とストッパー部材28との間にポケットが生じないので、好ましい。一方、図9(d)のような状態では、角度θが90°以下でありポケットが生じるので、好ましくない。
【0057】
よって、豆腐(パックP)の反転中に、豆腐(パックP)の角とストッパー部材28とが接する付近に隙間ができるように(豆腐(パックP)とストッパー部材28とが密着しないように)、反転ガイド装置20の無端状コンベア24の周回軌道に対するストッパー部材28の基部(第一本体部28a)の取付角度θを90°<θ<180°(好ましくは100°≦θ≦170°、さらに好ましくは110°≦θ≦150°)という鈍角に設定することが好ましい。
【0058】
図8(a)~(c)に示したストッパー部材28の基部(第一本体部28a)が無端状コンベア24のプレート24aに対して成す角度θは、上記条件を満たす。ストッパー部材28の本体は、無端状コンベア24(プレート24a)から略垂直~鈍角になるように伸びており、この角度は、第一凸部29の屈曲の角度を含むストッパー部材28全体の無端状コンベア24に対する角度θ0ということができる。すなわち、ストッパー部材28は、ストッパー部材28が取り付けられる位置の無端状コンベア24の表面に対して、無端状コンベア24の進行方向に傾いた角度θ、θ0をもって無端状コンベア24に取り付けられるのが好ましい。なお、取付角度θ0も90°<θ0<180°(好ましくは100°≦θ0≦170°、さらに好ましくは110°≦θ0≦150°)という鈍角になるよう設定することが好ましい。
【0059】
ストッパー部材28は、一丁~数十丁の豆腐を支えられる幅(例えば20~3000mm)をもつことが好ましい。ストッパー部材28の断面は、例えば図8(a)~(c)に示すように、一ないし複数の個所で折り曲げた形状または湾曲した形状を持つ。ストッパー部材28の材質は、金属(ステンレス、チタン、アルミなど)、樹脂、ゴム等であってよく、素材の形状は板材、角材、丸棒、切削材、成型材等である。また、複数のストッパー部材28を、豆腐の種類や1行の丁数に応じて、無端状コンベア24の所定の位置に設けてもよい。図1(a)等には、複数のストッパー部材28が略等間隔で無端状コンベアに設けられた構成が開示されている。
【0060】
次に豆腐受け装置30について説明する。豆腐受け装置30は、反転ガイド装置20により反転された豆腐(パックP)を受け止め、次工程(例えば図3の包装機)に送る。本実施形態の豆腐受け装置30は、全ての豆腐(パックP)を次工程に送るのではなく、作業者が目視判断するか、所定の画像検査システム等を用いて判断して、豆腐の良品、不良品を判別し、不良品の豆腐を下方に廃棄する廃棄装置を備えている。不意に発生する豆腐の品質や大きさなど規格外のものを不良製品として除去するが、連続生産ラインの場合、生産の最初や最後には必ず極少量の規格外製品が生じるため、除外する必要が日々発生する。
【0061】
具体的に廃棄装置は、下方に廃棄するドロップアウト式の開閉容易な可動式シュート35により構成される。可動式シュート35は、通常生産時は、図2の実線で示した通常位置に位置しており、豆腐(パックP)を次工程に移動させる。一方、不良品が到来した場合は、二点鎖線で示すように下方に開いて、不良の豆腐(パックP)を下方に落下させ除去する。可動式シュート35の動力源はエアシリンダー、油圧シリンダー、電動シリンダー等の直動動力源、またはそれと組み合わせたクランク式、あるいは直接に回すようなロータリーエンコーダやサーボモータ等、回転角度を変える動力源でもよく、特に限定はされない。
【0062】
図7に示すように、可動式シュート35の先端は、ストッパー部材28の先端の第一凸部29と干渉しない櫛歯状の形態を有している。すなわち、可動式シュート35の複数の第二凸部36によって構成される櫛歯状の凹凸と、ストッパー部材28の複数の第一凸部29によって構成される櫛歯状の凹凸とは、互いに干渉しない(互い違いに配置される)。これにより、可動式シュート35の位置まで移動してきたストッパー部材28が、可動式シュート35と干渉することなく、円滑に豆腐(パックP)を豆腐受け装置30に送ることができる。可動式シュート35の下方には廃棄用スクリューコンベアやベルトコンベア等を配置してもよい。
【0063】
図17(a)~(b)や図18(a)~(b)に示されるように、豆腐(パックP)がストッパー部材28から可動式シュート35に乗り移る際に、豆腐(パックP)が斜めに浮き上がる場合がある。この場合、豆腐(パックP)の大きさによっては、豆腐(パックP)の底面の角部P1が、ストッパー部材28の先端の凹凸と、可動式シュート35の先端の凹凸と、の間の第一および第二隙間S1,S2に引っ掛かる可能性がある。なお、ストッパー部材28とその第一凸部29が停止した時の位置は、可動式シュート35とその第二凸部36の位置に比べて、同レベル又は上方に位置するのが妥当であり、図17(a)~図18(b)には、ストッパー部材28が本来の停止位置よりも下方に少し進んだ位置が図示されている。すなわち、図17(a)~図18(b)は、極端な図示で分かりやすく例示するためのものであり、図17(a)~図23(b)、図25(a)~図26(b)で同様に図示されている。
【0064】
ここで、第一隙間S1は、ストッパー部材28の隣接する一対の第一凸部29,29の間の第一凹部28bと、この第一凹部28bに入り込む可動式シュート35の第二凸部36と、の間の隙間である。また、第二隙間S2は、可動式シュート35の隣接する一対の第二凸部36,36の間の第二凹部35bと、この第二凹部35bに入り込むストッパー部材28の第一凸部29と、の間の隙間である。
【0065】
図17(a)~(b)に示すように、ストッパー部材28の第一凸部29が可動式シュート35の第二凹部35bを通り過ぎた直後に、第二隙間S2が生じる。そして、豆腐(パックP)が傾いて通過する際にその底面の角部P1が第二隙間S2に入り込み、可動式シュート35の第二凹部35bに引っ掛かり、豆腐(パックP)が詰まり、トラブルになることがある。
【0066】
同様に、図18(a)~(b)に示すように、ストッパー部材28の第一凹部28bが可動式シュート35の第二凸部36を通り過ぎた直後に、第一隙間S1が生じる。そして、豆腐(パックP)が傾いて通過する際にその底面の角部P1が第一隙間S1に入り込み、可動式シュート35の第二凸部36に引っ掛かり、豆腐(パックP)が詰まり、トラブルになることもある。
【0067】
図17(a)~(b)で示したように第二隙間S2に豆腐(パックP)の底面の角部P1が入り込むことを防止するため、図19(a)~(b)のように、可動式シュート35は、第二凹部35bから下方(ストッパー部材28の回転方向)に突出し屈曲する第三案内部35cを備えてよい。第三案内部35cは、少なくとも第二隙間S2の一部を埋めるように延びる平板形状である。しかし、第三案内部35cは、第二隙間S2に入り込んだ豆腐(パックP)を案内できる形状であれば、その形状は特に限定されず、湾曲形状等であってもよい。
【0068】
同様に、図17(a)~(b)で示したように第二隙間S2に豆腐(パックP)の底面の角部P1が入り込むことを防止するため、図20(a)~(b)のように、ストッパー部材28は、第一凸部29の先端から上方(ストッパー部材28の回転方向とは反対方向)に突出し屈曲する第一案内部28cを備えてよい。第一案内部28cは、少なくとも第二隙間S2の一部を埋めるように延びる平板形状である。しかし、第一案内部28cは、第二隙間S2に入り込んだ豆腐(パックP)を案内できる形状であれば、その形状は特に限定されず、湾曲形状等であってもよい。
【0069】
第三案内部35c(図19(a)~(b))や第一案内部28c(図20(a)~(b))が設けられることにより、豆腐(パックP)がストッパー部材28の第一凸部29から可動式シュート35へ乗り移る際に、第二隙間S2に入らずにスムーズに乗り移りやすくなる。仮に、豆腐(パックP)の角部P1が第二隙間S2に少し落ち込むように入り込んだ場合でも、角部P1は第三案内部35cや第一案内部28cによって案内されるので、角部P1は可動式シュート35の第二凹部35bに引っ掛からず、トラブルを避けることができる。
【0070】
第三案内部35c(図19(a)~(b))が可動式シュート35に設けられ、かつ、第一案内部28c(図20(a)~(b))がストッパー部材28に設けられる構成を採用してもよい(不図示)。
【0071】
図18(a)~(b)で示したように第一隙間S1に豆腐(パックP)の底面の角部P1が入り込むことを防止するため、図21(a)~(b)のように、可動式シュート35は、第二凸部36の先端から下方(ストッパー部材28の回転方向)に突出し屈曲する第四案内部35dを備えてよい。第四案内部35dは、少なくとも第一隙間S1の一部を埋めるように延びる平板形状である。しかし、第四案内部35dは、第一隙間S1に入り込んだ豆腐(パックP)を案内できる形状であれば、その形状は特に限定されず、湾曲形状等であってもよい。
【0072】
同様に図18(a)~(b)で示したように第一隙間S1に豆腐(パックP)の底面の角部P1が入り込むことを防止するため、図22(a)~(b)のように、ストッパー部材28は、第一凹部28bから上方(ストッパー部材28の回転方向とは反対方向)に突出し屈曲する第二案内部28dを備えてよい。第二案内部28dは、少なくとも第一隙間S1の一部を埋めるように延びる平板形状である。しかし、第二案内部28dは、第一隙間S1に入り込んだ豆腐(パックP)を案内できる形状であれば、その形状は特に限定されず、湾曲形状等であってもよい。
【0073】
第四案内部35d(図21(a)~(b))が可動式シュート35に設けられ、かつ、第二案内部28d(図22(a)~(b))がストッパー部材28に設けられる構成を採用してもよい(不図示)。
【0074】
第四案内部35d(図21(a)~(b))や第二案内部28d(図22(a)~(b))が設けられることにより、豆腐(パックP)がストッパー部材28から可動式シュート35の第二凸部36へ乗り移る際に、第一隙間S1に入らずにスムーズに乗り移りやすくなる。仮に、豆腐(パックP)の角部P1が第一隙間S1に少し落ち込むように入り込んだ場合でも、角部P1は第四案内部35dや第二案内部28dによって案内されるので、角部P1は可動式シュート35の第二凸部36に引っ掛からず、トラブルを避けることができる。
【0075】
図23(a)~(b)のように、可動式シュート35は、第三案内部35cおよび第四案内部35dの両方を備えてもよい。
【0076】
この場合、図24(a)~(b)のように、可動式シュート35の第二本体部35aを長手方向(第二凸部36がストッパー部材28に向かって延びる方向)に延長させた仮想平面を、第一基準面V1と表す。そして、第一基準面V1に対して第三案内部35cが下方に成す角度をβ1と表し、第一基準面V1に対して第四案内部35dが下方に成す角度をβ2と表す。
【0077】
このとき、角度β1は、-60°≦β1≦0°を満たすことが好ましく、-30°≦β1≦0°を満たすことが更に好ましい。また、角度β2は、-60°≦β2≦0°を満たすことが好ましく、-30°≦β2≦0°を満たすことが更に好ましい。角度β1,β2が上記関係を満たすことで、ストッパー部材28と対向する豆腐受け装置30の可動式シュート35の先端は、無端状コンベア24の進行方向(図中の矢印方向、下向き)に傾いた角度を備えるので、豆腐(パックP)が第一,第二隙間S1,S2に引っ掛かってしまうことを、より確実に防止できる。なお、角度β1やβ2が-60°未満又は-30°未満であると、第一基準面V1に沿って滑り落ちてくるパックP(の底角部)に対して、第三案内部35c及び第四案内部35dが水平面より上向きになり凸部で受ける構成になり引っ掛かりやすくなってしまう。また、角度β1やβ2が0°超の場合も、第三案内部35c及び第四案内部35dが第一基準面V1に対して上向きに折り返す構成になり、第一基準面V1に沿って滑り落ちてくる豆腐パックP(の底角部)に対して凸部を設けた構成となり引っ掛かりやすい。このように、第三案内部35c及び第四案内部35dは、水平面と平行又は水平面よりも下向きであることが好ましい。
【0078】
図25(a)~(b)のように、ストッパー部材28は、第一案内部28cおよび第二案内部28dの両方を備えてもよい。
【0079】
この場合、図26(a)~(b)のように、可動式シュート35の第一基準面V1に対して第一案内部28cが上方へ成す角度をα1と表し、第一基準面V1に対して第二案内部28dが上方へ成す角度をα2と表す。
【0080】
このとき、角度α1は、0°≦α1≦60°を満たすことが好ましく、0°≦α1≦30°を満たすことが更に好ましい。また、角度α2は、0°≦α2≦60°を満たすことが好ましく、0°≦α2≦30°を満たすことが更に好ましい。角度α1,α2が上記関係を満たすことで、ストッパー部材28は、その先端が無端状コンベア24の進行方向(図注の矢印方向)と逆方向(上向き)に傾いた角度を備え、豆腐(パックP)が第一,第二隙間S1,S2に引っ掛かってしまうことを、より確実に防止できる。なお、角度α1やα2が60°超又は30°超であると、第一基準面V1に沿って滑り落ちてくるパックP(の底角部)に対して、第一案内部28c及び第二案内部28dが水平面より上向きになり、パックPが上方に跳ね上げられやすい。また、角度α1やα2が0°未満の場合も、第一案内部28c及び第二案内部28dが第一基準面V1に対して下方に折り返す構成になり、第一基準面V1に沿って滑り落ちてくる豆腐パックP(の底角部)に対して、第一案内部28c及び第二案内部28dが何ら役割を果たさなくなる。このように、第一案内部28c及び第二案内部28dは、水平面と平行又は水平面よりも下向きであることが好ましい。
【0081】
なお、第一~第四案内部28c,28d,35c,35dのうち、どれを設けるかは任意に決定してよく、第一~第四案内部28c,28d,35c,35dのうち一つのみ設けてもよく、第一~第四案内部28c,28d,35c,35dの全てを設けてもよい。
【0082】
なお、本願発明は、ストッパー部材28の先端と可動式シュート35の先端が極近接して干渉しないように設定された形態であってもよく、この場合でも、角度α1,α2,β1,β2は上記関係を満たすことが好ましい。
【0083】
図9(a)~(d)は、ストッパー部材28を側面から示した図(図7図8(a)~(c)とは異なり、第一凸部29の有無は問わず図示しない)で、ストッパー部材28の全体構成についての種々の変形例の側面図を示す。図9(a)は側面視において山型のストッパー部材28の例、図9(b)は側面視において屈曲型のストッパー部材28の例、図9(c)は側面視において湾曲型のストッパー部材28の例、図9(d)は側面視において直線型のストッパー部材28の比較例をそれぞれ示す。なお、図9(a)~(c)においては、無端状コンベア24(プレート24a)に対するストッパー部材28の取付角度θ、θ0は90°<θ<180°を満たす鈍角であるが、図9(d)においては、取付角度θは90°以下の鋭角であって豆腐(パックP)が引っ掛かりやすくなる。
【0084】
図10図13は、図9(a)~(d)の各ストッパー部材28を用いて、豆腐を反転させるプロセスの概念図を示す。すなわち、図10は、図9(a)のストッパー部材28を用いたプロセス、図11は、図9(b)のストッパー部材28を用いたプロセス、図12は、図9(c)のストッパー部材28を用いたプロセス、図13は、図9(d)のストッパー部材28を用いたプロセス、の概念図をそれぞれ示す。
【0085】
図10図12のプロセスにおいては、豆腐の円滑な反転が期待される。一方、図13のプロセスにおいては、上述した通り、取付角度θが90°以下の鋭角であるため、k領域で示した部分で反転後半に無端状コンベア24とストッパー部材28とで形成されるポケットが生じやすく、そのポケットに豆腐の角が密着して豆腐が引っかかる現象が生じ、豆腐が詰まりトラブルになることがある。
【0086】
図14(a)~(c)は、可動式シュート35の種々の変形例を説明する図である。実施形態の可動式シュート35は板状の部材であり、不良品の豆腐(パックP)を除去し、次工程(包装機等)に流さず、廃棄するための廃棄部として機能する。図14(a)~図14(c)の各図において、左側には豆腐(パックP)を次工程に運ぶ際の可動式シュート35の状態が示され、右側には豆腐(パックP)を不良品として廃棄する際の可動式シュート35の状態が示されている。
【0087】
図14(a)の可動式シュート35は、操作者が任意のタイミングでバネ35bを外部にある図視せぬレバー等を操作して動かす手動操作のタイプである。図14(b)の可動式シュート35は、エアシリンダー35c等のシリンダー部材で操作するシリンダー操作のタイプである。図14(c)の可動式シュート35は、モータ35dで操作するモータ操作のタイプである。
【0088】
図14(a)のタイプの場合、バネで二重に重なった豆腐等の自重で開閉するような受動的操作を採用してもよい。また、バネをダンパー(エアダンパー)等に置き換えた受動的操作であってもよく、バネと同様に、落下する豆腐を一旦クッションで受けるような効果も利用することができる。
【0089】
図14(b)、図14(c)のタイプの場合、操作者がスイッチ操作で意図的に動作させるか、豆腐の生産開始や生産終了時に一定時間排出するようにタイマー設定で動作させるか、豆腐の詰まりをセンサで検知して自動で動作する、いわゆる能動的操作をするのが好ましい。尚、不良品の豆腐とは、豆腐の品質が悪い物、豆腐のサイズや重量が規格外の物、パック被せが上手くできなかったもの等をさす。
【0090】
また、廃棄機能を有する豆腐受け装置30は、板状の可動式シュート35(廃棄部)に代えて、図30(a)~図32(c)に示すように、開口53を有する固定式シュート50(廃棄部)を有してもよい。すなわち、固定式シュート50は、穴を有する板材の排出部材、または、複数の丸棒や角材や板材を間隔を設けて固定配置した排出部材である。
【0091】
図30(a)~(c)の固定式シュート50は、板状部材51と、固定式シュート50の幅方向(豆腐の進行方向と直交する方向)において板状部材51に互いに間隔を有して形成された複数(本例では12個)の開口53と、を有する。開口53は、豆腐の進行方向に長い長穴形状である。開口53の幅53Lは、豆腐(パックP)の幅よりも小さく、約1~50mmである。隣り合う開口53の間には、板状部材51の豆腐の進行方向両側を連結する連結部材55が設けられる。板状部材51と連結部材55は一体的に形成されている。
【0092】
図30(a)には、パックPが被せられた豆腐が、固定式シュート50上で搬送される様子が示されている。このように、豆腐は、パックPが被せられて保護されているので、複数の連結部材55に支持されながら開口53上を通過した場合であっても、自重によって崩れず、廃棄されない。
【0093】
一方、図31(a)や図32(a)に示すように、連続生産時の最初や最後などで発生する廃棄する豆腐は、パックPが被せられず、複数の連結部材55に支持されたとき、その落下する勢いと自重によって崩れて複数の開口53から下方に排出される。したがって、豆腐を排除するために特別な動作が不要であり、非常に簡便である。
【0094】
図31(a)~(c)や図32(a)~(c)の固定式シュート50では、板状部材51と連結部材55とが別体である。すなわち、連結部材55は、板状部材51とは別部材である、細い丸棒や複数の細い丸棒や角材である。そして、複数の連結部材55は、板状部材51に接着剤や溶接など任意の手段で固定される。このような固定式シュート50によれば、パックPが被せられていない裸状態の豆腐が、複数の連結部材55に支持された場合、その自重によって崩れ、複数の開口53から下方に排出される。なお、図32(a)~(c)の連結部材55のように、豆腐の進行方向中央で最も上下方向に突出するような形状とすれば、豆腐をスムーズに砕く効果がある。連結部材55の形状については、鋸刃状、凹凸状、薄い鋭利な刃状や細い尖がった針状など、豆腐を砕く効果の高い形状であれば特に限定されない。
【0095】
なお、固定式シュート50に廃棄機能が不要な場合は、図33(a)~(c)のような、板状部材51が開口53を有さない固定式シュート50であってもよい。
【0096】
図27(a)~(c)に示すように、豆腐受け装置30は、上述した可動式シュート35(固定式シュート50)と、可動式シュート35によって搬送されてきた豆腐(パックP)をさらに次工程に搬送する搬送装置37と、を有する。
【0097】
搬送装置37は、コンベアや、押し出し機構などで豆腐を移動、移載する装置であってもよく、特に限定されない。
【0098】
搬送装置37は、底面38と、底面38の豆腐(パックP)の進行方向における両側から上方に延びる第一面39aおよび第二面39bと、を有する。第一面39aは、可動式シュート35に近い側の面であり、第二面39bは、可動式シュートから遠い側の面である。
【0099】
底面38と第一面39aの上端は、可動式シュート35よりも下方に位置し、可動式シュート35から豆腐(パックP)の受け渡しが可能である。また、第二面39bの上端は、第一面39aの上端よりも上方に位置し、可動式シュート35から受け渡された豆腐(パックP)が、受け渡しの際の勢いによって搬送装置37から離脱することを防止している。
【0100】
図27(a)~(c)に示すように、豆腐(パックP)のサイズが大きく重量が重い場合は、豆腐が可動式シュート35から搬送装置37へ乗り移る際に勢いがつき、搬送装置37上で豆腐が斜めに傾いたり(図27(b))、横転する(図27(c))場合があり、この状態のまま豆腐が搬送されると、後工程で詰まるなどのトラブルの原因となる。
【0101】
そこで、豆腐受け装置30(可動式シュート35)の出口側に、豆腐受け装置30(可動式シュート35)の下り勾配よりも、上方に屈曲ないし湾曲している急速落下防止部57を備えることが好ましい。すなわち、図28(a)~(b)に示すように、可動式シュート35と搬送装置37との間に、急落下防止部材57を設けることが好ましい。本例の急落下防止部材57は、可動式シュート35の第二本体部35aに設けられた板状部材であるが、搬送装置37の第一面39aに設けられた部材でもよく、可動式シュート35や搬送装置37とは別の支持部材(不図示)に支持された部材でもよい。
【0102】
このような急落下防止部材57が設けられることで、大きく重い豆腐(パックP)でも可動式シュート35から搬送装置37への乗り移りの際の速度を落とすことができ、豆腐が搬送装置上で斜めに傾いたり(図27(b))、横転する(図27(c))ことが防げ、後工程でのトラブル発生を防ぐことができる。
【0103】
図29のように急落下防止部材57は、可動式シュート35の下り勾配よりは緩やかな勾配であって、先端が上方に反り返るような形態が好ましい。可動側シュート35を長手方向(豆腐(パックP)の進行方向)に延長した仮想平面を第二基準面V2とし、搬送装置37の底面38を延長した仮想平面を第三基準面V3(水平面)とし、急落下防止部材57が第二基準面V2に対して上方に成す角度をγ1とし、急落下防止部材57が第三基準面V3に対して下方や上方に成す角度をγ2とする。
【0104】
この場合、角度γ1は、0<γ1≦60°を満たすことが好ましく、0<γ1≦30°を満たすことがさらに好ましい。また、角度γ2は、-60°≦γ2≦60°を満たすことが好ましく、-30°≦γ2≦30°を満たすことがさらに好ましい。なお、角度γ1が60°より大きいと、第二基準面V2に沿って滑り落ちてくるパックP(の底角部)を上方に大きく跳ね上げるようになりやすく豆腐を崩しやすい。角度γ1が0°未満の場合も、急落下防止部材57が第二基準面V2に対して下方に折り返す構成になり、第二基準面V2に沿って滑り落ちてくる豆腐パックP(の底角部)に対して、何ら役割を果たさなくなる。また角度γ2が60°より大きいと、第二基準面V2に沿って滑り落ちてくるパックP(の底角部)が急落下防止部材57に引っ掛かかり、豆腐パックPを詰まらせやすい。角度γ2が-60°未満又は-30°未満の場合は、急落下防止部材57が第二基準面V2に対してあまり急落下防止効果がない構成になり、第二基準面V2に沿って滑り落ちてくるパックP(の底角部)に対して、何ら役割を果たさなくなる。
【0105】
上記のように急落下防止部材57を設けることで、豆腐の斜め下方に働く落下慣性力のベクトルを水平方向近くの下方勾配もしくは水平方向もしくは水平よりやや上方へ修正し、これにより、搬送装置37への豆腐(パックP)のソフトランディングが可能になる。なお、可動式シュート35と、搬送装置37の底面38との落差は小さい方が好ましい。急落下防止部材57をあまり大きく上方に大きく折り返すと(0<γ2<90°)、可動式シュート35から搬送装置37に乗り移る際に豆腐(パックP)が引っ掛かるか、または跳ね上がって次工程乗り移りの際に転倒する可能性があるなど、好ましくない。
【0106】
図15に示すように、無端状コンベア24が移送コンベア10と同期、同調することが好ましい。基本的には、無端状コンベア24の速度をVaとし、移送コンベア10の速度をVbとし、ストッパー部材28のピッチであるストッパーピッチをaとし、移送コンベア10上の豆腐の前後ピッチをbとした場合、例えば、a=b且つVa=Vbとなるように調整する。
【0107】
一般的にはa≠bであっても、無端状コンベア24の速度Vaが、移送コンベア10の折り返し部13のコンベア速度Vbより大きくてもよく(Va>Vb)、その場合、n・a/Va=b/Vb(n:自然数)であるように調整する。Vaを大きくすると(無端状コンベア24の速度が速い)、その分、遠心力を大きくできるので、豆腐が無端状コンベア24側に貼りつく力が働いて、反転時の豆腐の空中姿勢がより安定してスムーズにできる場合もある。
【0108】
更に、図16に示すように、反転ガイド装置20を、カバー(チャンバー)150で囲み、内部に洗浄液を散布する洗浄用ノズル、又は、殺菌用に高温水蒸気を噴射する蒸気用ノズル151を備える構成を採用してもよい。無端状コンベア24を動かしながら、アルカリ洗剤や酸性洗剤、お湯などを散布して内部を洗浄、濯ぎ洗いするなど、自動でCIP洗浄も可能である。生産中も蒸気吹込みにより庫内を60℃~100℃に保ったり、下部の受皿に60℃~100℃のお湯をはり、無端状コンベアを周回させながら潜らせて、雑菌増殖を防ぎ、雑菌二次汚染を予防することも可能になる。
【0109】
本実施形態の反転ガイド装置は、折り返し部13を有する豆腐製造装置において、トラブルが少なく、廃棄ロスも少なく、多品種の豆腐にも対応でき、効率よく安定して稼働できるため、豆腐の製造、または豆腐のパック詰めを高効率に行うことができ、高い処理能力を出すことができる。移送コンベアによって複数の行と列で整列して搬送されてくる豆腐を1行ずつ、一斉に反転でき、量産に対応することができる。従来の自然落差の反転方式では次々に移送されてくる豆腐の落下タイミングが揃わず、トラブルになりやすい。また、移送コンベアと反転ガイド装置のレイアウトが直線である幅広の装置なので、反転スピードを比較的遅くすることができ、柔らかい豆腐が崩れるのを抑制することができる。
【0110】
また、反転ガイド装置と前工程で利用される搬送コンベアは、容易に切り離せるように構成されており、反転ガイド装置内部のメンテナンスや洗浄を容易に行う事ができる。さらに、後工程で利用される豆腐受け装置の廃棄装置を構成する可動式シュートを駆動することにより、豆腐またはパックを容易に排出可能であり、何らかの原因で生じた不良品の豆腐またはパック(例えば連続ラインで必ず少量は発生する最初と最後の規格外の豆腐またはパックの廃棄等)を容易に排除することが可能である。
【0111】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0112】
なお、本出願は、2020年2月25日出願の日本特許出願(特願2020-029789)及び2021年2月3日出願の日本特許出願(特願2021-015922)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【符号の説明】
【0113】
1 豆腐製造装置
10 移送コンベア
11 ベルト
11a 搬送面
12a,12b ローラ
13 折り返し部
20 反転ガイド装置
21 本体部
22 支持台
23 回転軸
24 無端状コンベア
24a プレート
25 回転軸支持部材
26 ガイド部材
27 距離調整部材
28 ストッパー部材
28a 第一本体部
28b 第一凹部
28c 第一案内部
28d 第二案内部
29 第一凸部
30 豆腐受け装置
31 支持体
35 可動式シュート(廃棄部)
35a 第二本体部
35b 第二凹部
35c 第三案内部
35d 第四案内部
36 第二凸部
37 搬送装置
38 底面
39a 第一面
39b 第二面
40 位置調整部
50 固定式シュート(廃棄部材)
51 板状部材
53 開口
53L 幅
55 連結部
57 急落下防止部材
P パック(豆腐)
P1 角部
S1 第一隙間
S2 第二隙間
V1 第一基準面
V2 第二基準面
V3 第三基準面
θ,α1,α2,β1,β2,γ1,γ2 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図33