(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23G 5/16 20060101AFI20240730BHJP
F23G 5/14 20060101ALI20240730BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F23G5/16 E
F23G5/14 F
F23G5/44 F
(21)【出願番号】P 2024033529
(22)【出願日】2024-03-06
【審査請求日】2024-04-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599176344
【氏名又は名称】株式会社アドバンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】原田 由治
(72)【発明者】
【氏名】苅田 傑
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-281433(JP,A)
【文献】特開平06-272833(JP,A)
【文献】特開平06-313526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/16
F23G 5/00
F23G 5/14
F23G 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次燃焼ガスが導入される中心接続管(31)を有する燃焼室(5)であって、
前記燃焼室(5)は、前記中心接続管(31)の外部を取り囲む、前記燃焼室の筐体(33)をさらに含み、
前記中心接続管(31)は、複数の空孔である空孔群が設けられ、
前記燃焼室の筐体(33)に送られた気体である燃焼室の供給気体が、前記空孔群を通じて、前記中心接続管(31)内に送られ、前記一次燃焼ガスと、前記燃焼室の供給気体とが混合された気体である燃焼ガスが、前記中心接続管(31)から、前記燃焼室(5)外部へ導出される燃焼室(5)
であって、
前記空孔群を構成するそれぞれの空孔は、前記中心接続管(31)の中心軸となす角が所定角度増えると、前記中心接続管(31)の長手方向に所定距離ずれた位置となるように設けられる、燃焼室(5)。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼室(5)であって、
前記燃焼室(5)の供給気体は、酸素を含む、燃焼室(5)。
【請求項3】
請求項1に記載の燃焼室(5)であって、
前記空孔群は、前記空孔群を構成する複数の空孔が、前記中心接続管(31)の中心軸に対して10°以上80°以下の角度をもって設けられたものである、燃焼室(5)。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の燃焼室(5)を二次燃焼室(5)として含む燃焼装置(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の燃焼装置(1)であって、
前記燃焼装置(1)は、二次燃焼室(5)と接続された一次燃焼室(3)と、前記二次燃焼室(5)と接続された三次燃焼室(7)とをさらに含み、
前記燃焼室の筐体(33)は、前記二次燃焼室の筐体(33)であり、
前記中心接続管(31)に設けられた空孔群は、第2の空孔群であり、
前記燃焼室の供給気体は、前記二次燃焼室の供給気体であり、
前記燃焼ガスは、二次燃焼ガスであり、
前記一次燃焼室(3)は、
前記一次燃焼室の底部(11)、前記一次燃焼室の側壁(13)、及び前記一次燃焼室の天井(15)を有し、前記一次燃焼室の底部、前記一次燃焼室の側壁、及び前記一次燃焼室の天井は、これらにより囲まれた空間である一次燃焼室内空間を構成するとともに、
前記二次燃焼室へ気体の搬送ができるようにされた前記一次燃焼室の導出部(17)と、
前記一次燃焼室内空間に設けられ、複数の空孔である第1の空孔群を有する送風パイプ(19)とをさらに有し、
第1の廃棄物を燃焼させて得られる、一次燃焼ガスを前記一次燃焼室の導出部(17)から前記二次燃焼室(5)へ導出するものであり、
前記二次燃焼室(5)は、
前記二次燃焼ガスが、前記中心接続管(31)から、前記三次燃焼室(7)へ導出されるものであり、
前記三次燃焼室(7)は、
前記三次燃焼室の底部(51)、前記三次燃焼室の側壁(53)、及び前記三次燃焼室の天井(55)を有し、前記三次燃焼室の底部、前記三次燃焼室の側壁、及び前記三次燃焼室の天井は、これらにより囲まれた空間である三次燃焼室内空間を構成するとともに、
前記三次燃焼室内に送られる気体である三次燃焼室の供給気体を送るための気体供給管(57)と、
前記二次燃焼ガスを前記三次燃焼室内空間に導入するための三次燃焼室の導入部(61)と、
前記三次燃焼室内空間において、前記二次燃焼ガスと前記三次燃焼室の供給気体とが混合されたうえで燃焼されて得られる三次燃焼ガスが排出される排出路(63)と、をさらに有する、
燃焼装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物を燃焼させる燃焼装置が知られている。燃焼装置は、複数の燃焼室と、燃焼室の間を接続する経路とを含む。そして、燃焼装置は、廃棄物を燃焼させつつ燃焼ガスを高温にすることで、有害なガスが外気に放出されることを防止していた(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-229610号公報
【文献】特開2019-020055号公報
【文献】特開2021-063600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一次燃焼ガスは、濃度が濃い未燃焼ガスである。このため一次燃焼ガスを直接燃焼させると、未燃焼ガスが残留しやすい。よって、一次燃焼ガスを、簡易な装置により、完全燃焼しやすいガスとすることが望まれる。また、燃焼効率を高め、廃棄物を無害化できたり、環境基準を満たしたうえで、廃棄物を処理できる燃焼装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、例えば、一次燃焼ガスを燃焼室に運搬する途中において、適切に、酸素を含む気体を混合等することにより、解決できる。
【0006】
初めの発明は、一次燃焼ガスが導入される中心接続管31を有する燃焼室5に関する。
燃焼室5は、中心接続管31の外部を取り囲む、燃焼室の筐体33をさらに含む。中心接続管31は、複数の空孔である空孔群(第2の空孔群)が設けられる。
そして、燃焼室の筐体33に送られた気体である燃焼室の供給気体が、空孔群を通じて、中心接続管31内に送られ、一次燃焼ガスと、燃焼室の供給気体とが混合された気体である燃焼ガスが、中心接続管31から、燃焼室5外部へ導出される。燃焼室5の供給気体は、酸素を含むものであることが好ましい。燃焼ガスは、燃焼室5内で燃焼されてもよい。
【0007】
空孔群を構成するそれぞれの空孔は、中心接続管31の中心軸となす角が所定角度増えると、中心接続管31の長手方向に所定距離ずれた位置となるように設けられるものが好ましい。空孔群は、空孔群を構成する複数の空孔が、中心接続管31の中心軸に対して10°以上80°以下の角度をもって設けられたものであるものが好ましい。
【0008】
次の発明は、上記したいずれかの燃焼室5を二次燃焼室5として含む燃焼装置1に関する。この燃焼装置1は、二次燃焼室5と接続された一次燃焼室3と、二次燃焼室5と接続された三次燃焼室7とをさらに含む。
この場合、先に説明した燃焼室の筐体33は、二次燃焼室の筐体33であり、中心接続管31に設けられた空孔群は、第2の空孔群であり、燃焼室の供給気体は、二次燃焼室の供給気体であり、燃焼ガスは、二次燃焼ガスである。
そして、一次燃焼室3は、一次燃焼室の底部11、一次燃焼室の側壁13、及び一次燃焼室の天井15を有する。一次燃焼室の底部11、一次燃焼室の側壁13、及び一次燃焼室の天井15は、これらにより囲まれた空間である一次燃焼室内空間を構成する。
【0009】
一次燃焼室3は、二次燃焼室へ気体の搬送ができるようにされた一次燃焼室の導出部17と、一次燃焼室内空間に設けられ、複数の空孔である第1の空孔群を有する送風パイプ19とをさらに有する。
一次燃焼室3は、第1の廃棄物を燃焼させて得られる、一次燃焼ガスを一次燃焼室の導出部17から二次燃焼室5へ導出するものである。
二次燃焼室5は、二次燃焼ガスが、中心接続管31から、三次燃焼室7へ導出されるものである。
三次燃焼室7は、三次燃焼室の底部51、三次燃焼室の側壁53、及び三次燃焼室の天井55を有する。
三次燃焼室の底部51、三次燃焼室の側壁53、及び三次燃焼室の天井55は、これらにより囲まれた空間である三次燃焼室内空間を構成する。
三次燃焼室7は、三次燃焼室内に送られる気体である三次燃焼室の供給気体を送るための気体供給管57と、二次燃焼ガスを三次燃焼室内空間に導入するための三次燃焼室の導入部61と、三次燃焼室内空間において、二次燃焼ガスと三次燃焼室の供給気体とが混合されたうえで燃焼されて得られる三次燃焼ガスが排出される排出路63と、をさらに有する。
【発明の効果】
【0010】
上記の発明によれば、一次燃焼ガスを、簡易な装置により、完全燃焼しやすい二次燃焼ガスとすることができる。また、この発明によれば、燃焼効率を高め、廃棄物を無害化できたり、環境基準を満たしたうえで、廃棄物を処理できる燃焼装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、燃焼装置の構成例を示す概念図である。
【
図2】
図2は、一次燃焼室の例を示す概念図である。
【
図3】
図3は、一次燃焼室の断面図の例を示す概念図である。
【
図4】
図4は、送風パイプの例を示す概念図である。
図4(a)は、送風パイプの設置例を示す概念図である。
図4(b)は、送風パイプの断面図の例を示す図である。
図4(c)は送風パイプの設計例を示す図である。
【
図5】
図5は、送風パイプの設置例を示す概念図である。
【
図6】
図6は、二次燃焼室の例を示す概念図である。
図6(a)は、二次燃焼室の全体図を示す。
図6(b)は、二次燃焼室の断面図を示す。
【
図7】
図7は、二次燃焼室の筐体の例を示す概念図である。
図7(a)は、二次燃焼室の筐体を上からみた図を示す。
図7(b)は、
図7(a)のB-B断面図である。
図7(c)は、二次燃焼室を横からみた図である。
【
図8】
図8は、二次燃焼室の中心接続管を示す概念図である。
図8(a)は、二次燃焼室の中心接続管の長手方向の断面図(
図7(a)のA-A断面図)である。
図8(b)は、二次燃焼室の中心接続管の概念図である。
図8(c)は、二次燃焼室の中心接続管の設計図の例である。
図8(d)は、二次燃焼室の中心接続管の断面図である。
【
図9】
図9は、三次燃焼室の外観の例を示す概念図である。
図9(a)は、三次燃焼室の外観図を示す。
図9(b)は、三次燃焼室の上面図を示す。
図9(c)は、三次燃焼室の断面図(
図9(b)のA-A断面図)を示す。
図9(d)は、三次燃焼室の正面図を示す。
図9(e)は、三次燃焼室の右側面図を示す。
【
図10】
図10は、支持部を説明するための概念図である。
図10(a)は支持部の外観を示す概念図である。
図10(b)は、支持部を上方から見た図(上面図)である。
図10(b)は、支持部の断面図(
図10(b)のA-A断面図)である。
図10(d)は、支持部の正面図を示す。
【
図11】
図11は、三次燃焼室内本体部を説明するための概念図である。
【
図12】
図12は、筒状本体部の例を説明するための概念図である。
図12(a)は、筒状本体部の外観を示す図である。
図12(b)は筒状本体部の筒状部分を示す図である。
図12(c)は、筒状本体部の断面を示す図である。
【
図13】
図13は、実施例における燃焼装置を示す図面に代わる写真である。
図13(a)は燃焼装置の正面写真である。
図13(b)は、燃焼装置を、
図13(a)とは別の角度から撮影したものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0013】
燃焼装置1
図1は、燃焼装置の構成例を示す概念図である。
図1に示されるように、燃焼装置1は、例えば、一次燃焼室3と、一次燃焼室3と接続された二次燃焼室5と、二次燃焼室5と接続された三次燃焼室7とを含む。この例は、燃焼装置1が、3つの燃焼室を有する。しかしながら、燃焼装置1は、いずれかひとつの燃焼室を有しているものであってもよいし、さらに他の燃焼室を有していてもよい。以下、燃焼装置1が、一次燃焼室3と、二次燃焼室5と、三次燃焼室7とを有するものに基づいて、この発明の例を説明する。燃焼装置1は、基本的には、密閉系を形成でき、各要素は、気体の授受をすることができるようにされている。
【0014】
この燃焼装置1は、一次燃焼室3と、一次燃焼室3と接続された二次燃焼室5と、二次燃焼室5と接続された三次燃焼室7とを含む。
一次燃焼室3は、一次燃焼室の底部11、一次燃焼室の側壁13、及び一次燃焼室の天井15を有する。そして、一次燃焼室の底部11、一次燃焼室の側壁13、及び一次燃焼室の天井15は、これらにより囲まれた空間である一次燃焼室内空間を構成する。一次燃焼室3は、二次燃焼室へ気体の搬送ができるようにされた一次燃焼室の導出部17と、一次燃焼室内空間に設けられ、複数の空孔である第1の空孔群を有する送風パイプ19とを有する。そして、一次燃焼室3は、第1の廃棄物を燃焼させて得られる一次燃焼ガスを、一次燃焼室の導出部17から二次燃焼室5へ導出する。
【0015】
二次燃焼室5は、一次燃焼室の導出部17と三次燃焼室7とを接続する中心接続管31と、中心接続管31の外部を取り囲む二次燃焼室の筐体33とを含む。中心接続管31は、複数の空孔である第2の空孔群が設けらる。二次燃焼室の筐体33に送られた気体である二次燃焼室の供給気体が、第2の空孔群を通じて、中心接続管31内に送られる。一次燃焼ガスと、二次燃焼室の供給気体とが混合され、二次燃焼ガス形成される。一次燃焼ガスと、二次燃焼室の供給気体とが混合された後に、燃焼されてもよい。このようにして得られた二次燃焼ガスは、中心接続管31から、三次燃焼室7へ導出される。
【0016】
三次燃焼室7は、三次燃焼室の底部51、三次燃焼室の側壁53、及び三次燃焼室の天井55を有する。三次燃焼室の底部51、三次燃焼室の側壁53、及び三次燃焼室の天井55は、これらにより囲まれた空間である三次燃焼室内空間を構成する。
三次燃焼室7は、三次燃焼室内に送られる気体である三次燃焼室の供給気体を送るための気体供給管57と、二次燃焼ガスを三次燃焼室内空間に導入するための三次燃焼室の導入部61と、排出路63とを有する。三次燃焼室内空間において、二次燃焼ガスと三次燃焼室の供給気体とが混合されたうえで燃焼される。排出路63は、このようにして得られた三次燃焼ガスを排出するための要素である。
【0017】
燃焼装置1は、廃棄物(第1の廃棄物)が一次燃焼室3で燃焼される。一酸化炭素や炭化水素等の未燃焼成分と空気とを含む燃焼ガス(一次燃焼ガス)が、一次燃焼室3で生じる。一次燃焼ガスは、二次燃焼室5に導入される。一次燃焼ガスは、二次燃焼室5にて、酸素を含む気体と混合されるか、又は酸素を含む気体と混合された後に2次燃焼される。このようにして二次燃焼ガスが得られる。二次燃焼ガスは、三次燃焼室7へと導入される。三次燃焼室7では、二次燃焼ガスが酸素を含む気体と混合された後に、燃焼され、排出される。これにより、燃焼装置1は、廃棄物を例えば無害化できたり、環境基準に適応しつつ廃棄物を処理できる。廃棄物の例は、廃タイヤ、廃プラスチック類、廃油、及び可燃ごみである。この燃焼装置1は、廃タイヤ、廃プラスチック類、及び廃油を好ましく処理できる。以下、燃焼装置1の各要素について、詳細に説明する。
【0018】
一次燃焼室3
一次燃焼室3は、廃棄物を一次燃焼するための要素である。一次燃焼室3において、廃棄物を燃焼させると、未燃焼ガス(不完全燃焼により生じた未燃焼ガスを含む燃焼ガス)が発生する。この未燃焼ガスの量(や組成)が一定であれば、未燃焼ガスを制御しやすい。一次燃焼室3は、燃焼ガスに含まれる未燃焼ガスの量(や組成)を簡便な手段により安定させることが望ましい。
【0019】
図2は、一次燃焼室の例を示す概念図である。
図3は、一次燃焼室の断面図の例を示す概念図である。
図2及び
図3に示されるように一次燃焼室3は、一次燃焼室の底部11、一次燃焼室の側壁13、及び一次燃焼室の天井15を有する。そして、一次燃焼室3は、一次燃焼室の底部11、一次燃焼室の側壁13、及び一次燃焼室の天井15により囲まれた空間である一次燃焼室内空間を有する。一次燃焼室3は、一次燃焼室の導出部17と、送風パイプ19とをさらに有する。一次燃焼室の導出部17は、一次燃焼室内空間から外部(一次燃焼室3外)へ気体の導出ができるようにするための要素である。燃焼装置1が、一次燃焼室3と接続された二次燃焼室5を有する場合、一次燃焼室の導出部17は、一次燃焼室内空間における燃焼ガスを、二次燃焼室5へと導出するための要素である。
図2に示されるように、一次燃焼室3は、第1投入口21を有してもよい。
図3に示されるように、一次燃焼室の側壁13の下部は、傾斜壁23を有することが好ましい。一次燃焼室の材質や大きさは、廃棄物に応じて適宜調整すればよい。一次燃焼室内空間の容積の例は、1×10m
3以上1×10
4m
3以下であり、1×10
2m
3以上5×10
3m
3以下でもよく、5×10
2m
3以上3×10
3m
3以下でもよい。一次燃焼室3は、図示しない吸気口を有してもよい。一次燃焼室3は、一次燃焼室内に燃料を供給するための図示しない燃料供給部を有してもよい。
【0020】
第1投入口21
第1投入口21は、一次燃焼室3を開閉するための要素である。第1投入口21が開状態となると、廃棄物を一次燃焼室内空間内に投入することができる状態となる。通常は、第1投入口21が閉められた状態で、一次燃焼室3において廃棄物を燃焼する。第1投入口21の例は、開閉可能な扉である。第1投入口21は、一次燃焼室3が廃棄物を燃焼処理中であっても、追加の廃棄物を一次燃焼室3に投入できるようにされていてもよい。
【0021】
一次燃焼室の導出部17
一次燃焼室の導出部17の例は、一次燃焼室の側壁13に設けられた穴であってもよいし、一次燃焼室の側壁13の穴と接続された導管であってもよい。一次燃焼室の導出部17の中心部は、一次燃焼室の側壁の高さ(一次燃焼室3の底面から天井まで)の15%以上45%以下の部位(好ましくは20%以上40%以下、より好ましくは25%以上35%以下の部位)に存在することが好ましい。なお、一次燃焼室の導出部17の位置は、上記の範囲で移動可能(調整可能)であってもよい。一次燃焼室の導出部17の中心部とは、一次燃焼室の導出部17の重心位置を意味し、例えば、一次燃焼室の導出部17が丸い穴の場合は、円の中心を意味する。多数回の試行錯誤の結果、1次燃焼ガスの取り出し部分が、一次燃焼室の中部よりやや下方に存在することが好ましいことが分かった。燃焼室内の温度は、上部が最も高温となる。このため、通常であれば、燃焼室の上部から燃焼ガスを取り出す。一方、この好ましい一次燃焼室3は、一次燃焼室の側壁13の中部よりやや下方に導出部17を設けることで、未燃焼ガスを安定して導出することができる。
【0022】
送風パイプ19
送風パイプ19は、一次燃焼室内空間に設けられ、複数の空孔である第1の空孔群を有する要素である。送風パイプ19は、第1の空孔群から、一次燃焼室内空間へと気体を導出する。
図3の例では、穴の開いた2本の配管が、送風パイプ19として機能している。
【0023】
図4は、送風パイプの例を示す概念図である。
図4(a)は、送風パイプの設置例を示す概念図である。
図4(b)は、送風パイプの断面図の例を示す図である。
図4(c)は送風パイプの設計例を示す図である。
図4(a)に示されるように、送風パイプ19は、一次燃焼室の導出部17よりも下方に存在し、一次燃焼室の底部11とは離れた位置に存在するものが好ましい。もっとも、一次燃焼の効率は、送風パイプ19は、一次燃焼室の底部11と離れていない方が良いため、送風パイプ19は、一次燃焼室の底部11と離れていなくてもよい。送風パイプ19が一次燃焼室の底部11と離れた位置に存在すると、下部の残渣を取り出しやすくなり、一次燃焼室3を掃除しやすくなる。
図4(a)の例では、送風パイプ19は、筒状である。もっとも、送風パイプ19の形状は、筒状に限定されない。送風パイプ19は、第1の空孔群を有する。
図4(b)に示される例では、送風パイプ19の上下左右に空孔が設けられている。ただし、送風パイプ19について、理論計算を行った結果、送風パイプ19の上左右の3方向に空孔が設けられているものの方が、燃焼効率が高くなるため好ましいことが分かった。この場合において、左右の空孔は、上部の空孔から90°ずれている位置でもよいし、60°~120°ずれていてもよいし、60°~90°ずれていてもよいし、75°~105°ずれていてもよいし、75°~90°ずれていてもよい。空孔は円又は楕円状であることが好ましい。空孔の例の直径(空孔が楕円の場合は長軸の長さ。以下同様)の例は、1mm以上1cm以下であり、2mm以上6mm以下でもよいし、3mm以上5mm以下でもよい。。
図4(c)の例では、空孔が、送風パイプの長手方向に5cm間隔で設けられている。この間隔は、5mm以上50cm以下でもよいし、3cm以上25cm以下でもよいし、2cm以上20cm以下でもよいし、3cm以上10cm以下でもよい。なお、送風パイプ19の上方の空孔の直径が下方の空孔の直径の1.1倍以上5倍以下としてもよいし、1.2倍以上3倍以下としてもよいし、1.5倍以上3倍以下としてもよいし、1.5倍以上2倍以下としてもよい。このように、下方の空孔の大きさを小さくすることで、効果的に、気体を、一次燃焼室内に送り出すことができる。また、左右の空孔の位置をパイプの中心よりも上側に設けてもよいし、左右の空孔の直径が下方の空孔の直径の1.1倍以上5倍以下としてもよいし、1.2倍以上3倍以下としてもよいし、1.5倍以上3倍以下としてもよいし、1.5倍以上2倍以下としてもよい。
【0024】
図5は、送風パイプの設置例を示す概念図である。
図5(a)は、一次燃焼室3の下部領域を示す図である。
図5(b)は、一次燃焼室3の側面を示す図である。
図5に示される通り、送風パイプ19は、一次燃焼室の外部に設けられたバルブ25(空気量調整機構)により、送風量を調整できるものが好ましい。配管は適宜フランジにより接続されてもよい。
図5の例では、(図示しない)第1気体供給部27と接続された第1気体導入路29(例えば配管)と、送風パイプ19が、バルブ25を介して接続されている。第1気体供給部27の例は、送風機、及び圧縮機である。第1気体供給部27は加熱機構を有するものが好ましい。第1気体供給部27が加熱機構を有すると、加熱された外気を、送風パイプ19内に導入できることとなる。加熱機構は、第1気体導入路29に設けられてもよい。外気は酸素を含むものが好ましい。第1気体供給部27は、開放端であってもよい。この場合、第1気体供給部27は、吸気口として機能する。一次燃焼室3は、適宜吸気口を有していてもよい。バルブ(ゲート)25により、一次燃焼室3内に供給される気体の量を適宜調整できる。この燃焼装置は、このようにバルブ25により一次燃焼室3内に供給される気体の量を調整することにより、一次燃焼室の導出される未燃焼ガス(の量や組成)を制御できる。このような制御を可能としたのは、一次燃焼室の導出部17の位置を従来と異なるものとしたことが一因である。第1気体供給部27は、外気以外の気体(例えば酸素)を一次燃焼室3に供給するものであってもよい。なお、一次燃焼室3に供給される空気量は、バルブ25以外の公知の空気量調整機構を用いて調整してもよい。
【0025】
傾斜壁23
図3に示されるように、一次燃焼室の側壁13の下部は、傾斜壁23を有することが好ましい。一次燃焼室の底部11と傾斜壁23とのなす角の例は、45°以上80°以下が好ましく、55°以上70°以下でもよい。一次燃焼室3が傾斜壁23を有するので、廃棄物が送風パイプ19の近くに存在する状態となり、廃棄物を効率的に燃焼させることができる。
【0026】
一次燃焼室3の動作例
第1投入口21を開いて開状態とする。そして、廃棄物を第1投入口21から一次燃焼室内空間内に投入する。廃棄物に火をつけ、第1投入口21を閉じて閉状態とする。なお、廃棄物とともに燃料を供給し、燃料に火をつけてもよい。第1気体供給部27は、外気を加温し、第1気体導入路29を介して、送風パイプ19へ送風する。加温された外気の温度の例は30℃以上60℃以下でもよいし、30℃以上50℃以下でもよい。第1気体供給部27が供給する送風量は、適宜調整すればよく、0.01m3/分以上10m3/分以下でもよいし、0.1m3/分以上1m3/分以下でもよいし、0.1m3/分以上0.5m3/分以下でもよい。送風パイプ19から導出される気流は層流であることが好ましい。
廃棄物が燃焼し、例えば、燃焼ガス(未燃焼ガスを含む気体)が、150℃~300℃となる状態で、気体が安定する。
【0027】
一次燃焼室3の好ましい例では、一次燃焼室の中部よりやや下方に導出部17を設けることで、未燃焼ガスを安定して導出することができる。例えば、タイヤが廃棄物である場合、通常タイヤ一本につき15分程度で焼却できる。一次燃焼室3は、例えば、タイヤ一本につき0.5時間以上5時間以下(好ましくは1時間以上3時間以下)の時間をかけてタイヤを燃焼する。この燃焼装置の例は、バルブ25により一次燃焼室3内に供給される気体の量を調整することにより、一次燃焼室の導出される燃焼ガス(一次燃焼ガス)に含まれる未燃焼ガス(の量や組成)を制御できるというメリットがある。一次燃焼室の導出部17を介して、一次燃焼室内空間から外部へ燃焼ガスが導出される。燃焼装置1が、一次燃焼室3と接続された二次燃焼室5を有する場合、一次燃焼室内空間における一次燃焼ガスが、一次燃焼室の導出部17を経由して、二次燃焼室5へと導出される。
一次燃焼室3の好ましい例は、一次燃焼室の導出部17の位置を調整し、一定量のガスを排出できる形状にすることにより、安定して未燃焼ガス(一次燃焼ガス)を発生させ、さらに供給する空気の量のみで未燃焼ガスの量をコントロールできる。
【0028】
一次燃焼室3は、熱源や加熱装置として利用できる。一次燃焼室3の周囲に配管を接触させることで、暖房に用いることができる。また、一次燃焼室3に液体を含む配管を接触させることによっても暖房に用いることができる。
【0029】
二次燃焼室5
二次燃焼室5は、一次燃焼室3と接続された燃焼室である。二次燃焼室5は、一次燃焼室から導出される一次燃焼ガス(未反応ガスを含む)と酸素を含む気体と混合するため、又は、一次燃焼ガスが気体とを混合した後に2次燃焼するための要素である。二次燃焼室5は三次燃焼室7と接続されるものが好ましい。そして、二次燃焼室5において燃焼された一次燃焼ガスを、二次燃焼ガスとして三次燃焼室7へ導出する。なお、一次燃焼ガスと酸素を含む気体とを混合した状態も、一次燃焼ガスを燃焼させたことに含まれる。
一次燃焼ガスは、濃度が濃い未燃焼ガスである。このため一次燃焼ガスを直接燃焼させると、未燃焼ガスが残留しやすい。このため、二次燃焼室5は、一次燃焼ガスに、酸素を供給し、完全燃焼しやすいガス(二次燃焼ガス)とすることを目的とする。
【0030】
図6は、二次燃焼室の例を示す概念図である。
図6(a)は、二次燃焼室の全体図を示す。
図6(b)は、二次燃焼室の断面図を示す。
図6に示されるように、二次燃焼室5は、中心接続管31と、中心接続管31の外部を取り囲む、二次燃焼室の筐体33とを含む。
図6の例では、二次燃焼室は、二つの導管の二重構造を採っている。
図6に示される例では、二次燃焼室5は一次燃焼室3の横方向に(同じ高さに)設置される。
【0031】
二次燃焼室の筐体33
図7は、二次燃焼室の筐体の例を示す概念図である。
図7(a)は、二次燃焼室の筐体を上からみた図を示す。
図7(b)は、
図7(a)のB-B断面図である。
図7(c)は、二次燃焼室を横からみた図である。二次燃焼室の筐体33は、第2気体供給部35と接続された第2気体導入路37(例えば配管)と接続されていることが好ましい。第2気体供給部35の例は、送風機、及び圧縮機である。第2気体供給部35から供給される気体は、第2気体導入路37を介して、二次燃焼室の筐体33内に導入される。第2気体供給部35は加熱機構を有するものが好ましい。第2気体供給部35が加熱機構を有すると、加熱された外気を、二次燃焼室の筐体33内に導入できることとなる。加熱機構は、第2気体導入路37に設けられてもよい。第2気体供給部35は、外気以外の気体(例えば酸素)を供給するものであってもよい。第2気体導入路37と第2気体供給部35との間には、バルブ(ゲート)39が存在してもよい。バルブ39により、二次燃焼室5内に供給される気体の量を適宜調整できる。この燃焼装置は、このようにバルブ39により二次燃焼室5内に供給される気体の量を調整できる。なお、二次燃焼室5に供給される空気量は、バルブ39以外の公知の空気量調整機構を用いて調整してもよい。
二次燃焼室の筐体33の両端は、中心接続管31の両端部領域に存在する接続部の内部に位置するように設計されている。これにより、第2気体供給部35から導入された気体が、二次燃焼室の筐体33の外部に漏れる事態が防止される。二次燃焼室の筐体33の形状は、本体部が筒状であり、側面の一部に第2気体導入路37が分岐として接続されている形状であることが好ましい。二次燃焼室の筐体33の直径の例は、80mm以上500mm以下であり、40mm以上300mm以下でもよく、100mm以上300mm以下でもよいし、80mm以上200mm以下でもよい。二次燃焼室の筐体33の長手方向の長さは、50mm以上800mm以下でもよいし、50mm以上800mm以下でもよく、100mm以上600mm以下でもよいし、200mm以上600mm以下でもよいし、150mm以上500mm以下でもよい。
【0032】
中心接続管31
図8は、二次燃焼室の中心接続管を示す概念図である。
図8(a)は、二次燃焼室の中心接続管の長手方向の断面図(
図7(a)のA-A断面図)である。
図8(b)は、二次燃焼室の中心接続管の概念図である。
図8(c)は、二次燃焼室の中心接続管の設計図の例である。
図8(d)は、二次燃焼室の中心接続管の断面図である。中心接続管31は、例えば、一次燃焼室の導出部17と三次燃焼室とを接続するための要素である。そして、中心接続管31は、二次燃焼室の筐体33から気体を中心接続管31の内部に取り込むための複数の空孔(第2の空孔群)が設けられる。
図8(a)に示す例では、中心接続管31の左端部には、一次燃焼室3の導出部17との接続部41が存在する。
図8(a)に示す例では、中心接続管31の右端部には、三次燃焼室7(の導入部61)との接続部43が存在する。
【0033】
第2の空孔群は、中心接続管31内部への気流が、(三次燃焼室7へ向けた)らせんを描くように設けられることが好ましい。例えば、第2の空孔群を構成する空孔のそれぞれが、中心接続管31の外壁から内壁に向かう方向が、図面の左方向から右方向へ向かうもの(一次燃焼室3側から三次燃焼室側7へ向かうもの)であってもよい。空孔の例の直径の例は、1mm以上1cm以下であり、2mm以上6mm以下でもよい。また、
図8(b)及び
図8(c)に示されるように、中心接続管31の上下左右領域に第2の空孔群が設けられてもよい。そして、この例では、中心接続管31の中心軸と空孔がなす角(θ)が所定角度(90°)増えると、空孔の位置が中心接続管31の長手方向に所定距離(例えば3mm以上3cm以下、5mm以上2cm以下)ずれるようにされている。つまり、第2の空孔群を構成するそれぞれの空孔は、中心接続管31の中心軸となす角が所定角度増えると、中心接続管31の長手方向に所定距離ずれた位置となるように設けられる。複数の空孔の位置は、隣接する空孔同士を滑らかに連結すると、らせん状となる位置に設けられたものといえる。このようにすれば、中心接続管31内部への気流がらせんを描くようなる。
【0034】
図8(d)に示されるように、第2の空孔群は、第2の空孔群を構成する複数の空孔が、中心接続管31の中心軸に対して角度をもって設けられたものであることが好ましい。各空孔の中心から中心接続管31の中心軸へ垂線を引く。次に、各空孔の中心軸(空孔の長手方向(穴の進行方向))を引く。その垂線と中心軸とがなす角(θ)が、空孔が中心接続管31の中心軸に対してなす角である。
図4(b)の例では、この角度は0°であった(もっとも
図4(b)に示されるものも
図8(d)のように角度を持っていてもよい)。第2の空孔群は、中心接続管31内部への気流がらせんを描くように、その垂線と中心軸とがなす角が、角度を有している(0°以外である)ことが好ましい。具体的な角度の例は、10°以上80°以下であり、20°以上70°以下でもよいし、30°以上60°以下でもよいし、30°以上50°以下でもよい。
【0035】
二次燃焼室5の動作例
一次燃焼ガスは、濃度が濃い未燃焼ガスを含む。このため、二次燃焼室5は、一次燃焼ガスに酸素などの気体を混合する。
一次燃焼ガスが、一次燃焼室の導出部17から、中心接続管31内部へ導入される。第2気体供給部35は、外気を加温し、第2気体導入路37を介して、二次燃焼室の筐体33へ送風する。外気は加熱されてもよい。第2気体供給部35から供給される外気の温度の例は0℃以上60℃以下でもよいし、30℃以上60℃以下でもよいし、30℃以上50℃以下でもよい。第2気体供給部35が供給する送風量は、適宜調整すればよく、0.01m3/分以上10m3/分以下でもよいし、0.1m3/分以上1m3/分以下でもよいし、0.1m3/分以上0.5m3/分以下でもよい。第2気体供給部35から送風された加熱された外気は、二次燃焼室の筐体33及び第2の空孔群を経て、中心接続管31の内部に導入される。この際、好ましい例では、中心接続管31内部への気流が、三次燃焼室7方向に進行するらせんを描くものとなる。このように、二次燃焼室の筐体33に送られた気体である二次燃焼室の供給気体(酸素や外気)が、第2の空孔群を通じて、中心接続管31内に送られ、一次燃焼ガスと、二次燃焼室の供給気体(酸素や外気)とが混合された気体である二次燃焼ガスとなり、二次燃焼ガスが中心接続管31から、三次燃焼室へ導出される。このようにすることで、三次燃焼室での燃焼効率が飛躍的に向上する。
【0036】
三次燃焼室7
図9は、三次燃焼室の外観の例を示す概念図である。
図9(a)は、三次燃焼室の外観図を示す。
図9(b)は、三次燃焼室の上面図を示す。
図9(c)は、三次燃焼室の断面図(
図9(b)のA-A断面図)を示す。
図9(d)は、三次燃焼室の正面図を示す。
図9(e)は、三次燃焼室の右側面図を示す。
図9に示される通り、三次燃焼室7は、三次燃焼室の底部51、三次燃焼室の側壁53、及び三次燃焼室の天井55を有する。三次燃焼室の底部51、三次燃焼室の側壁53、及び三次燃焼室の天井55で囲まれた空間は、三次燃焼室内空間を構成する。三次燃焼室7は、気体供給管57と、三次燃焼室の導入部61と、排出路63とをさらに有する。気体供給管57は、三次燃焼室内に送られる気体である三次燃焼室の供給気体を送るための要素である。三次燃焼室の導入部61は、二次燃焼ガスを三次燃焼室内空間に導入するための要素である。排出路63は、三次燃焼ガスを排出するための要素である。三次燃焼ガスは、三次燃焼室内空間において、二次燃焼ガスと三次燃焼室の供給気体とが混合されたうえで燃焼されて得られる燃焼ガスである。三次燃焼室7は、三次燃焼室内本体部71と、三次燃焼室内本体部71を支える支持部73とを有していてもよい。そして、それらが結合しすると内部空間が形成される。この内部空間が、三次燃焼室内空間であってもよい。
三次燃焼室は、未燃焼ガスを完全に燃焼させることが望ましい。このため、三次燃焼室の、燃焼効率を向上させることが望まれる。
【0037】
支持部73
図10は、支持部を説明するための概念図である。
図10(a)は支持部の外観を示す概念図である。
図10(b)は、支持部を上方から見た図(上面図)である。
図10(b)は、支持部の断面図(
図10(b)のA-A断面図)である。
図10(d)は、支持部の正面図を示す。
図10に示される通り、この例では、三次燃焼室の導入部61が支持部73の右側面に設けられている。
図10に示す例では、三次燃焼室の底部51は、湾曲した形状を有している。これは、三次燃焼室の底部51に注入された燃料を、三次燃焼室の底部51の中心領域に集めるためである。
図10に示す例では、支持部73は、燃料供給部75を有する。
図10に示す例では、燃料供給部75は、三次燃焼室の底部51の最下部中央に存在する。もっとも、燃料供給部75は、三次燃焼室の他の位置に設けられてもよい。燃料供給部75が供給する燃料は、液体燃料でもよいし、気体燃料であってもよい。なお、燃料供給部75の位置(三次燃焼室の底部51の最下部中央)に、気体を導入するための気体導入部や吸気口を設けてもよい。
【0038】
図10の例では、支持部73内に気体を導入するための予備的気体導入部77が存在する。予備的気体導入部77は任意の要素であり、存在しなくてもよい。また、予備的気体導入部77は、三次燃焼室内本体部71に存在してもよい。三次燃焼室内本体部71は、支持部73と三次燃焼室内本体部71との両方に存在してもよい。予備的気体導入部77は、気体供給管57とバルブを介して接続され、気体供給管57内に供給された気体が、予備的気体導入部77を介して、三次燃焼室7内に導入されてもよい。そして、予備的気体導入部77から三次燃焼室7へ導入される気体の量は、バルブにより調整してもよい。
図10の例では、第2投入口79が存在する。第2投入口79は、三次燃焼室7を開閉するための要素である。第2投入口79が開いた状態(開状態)となると、物を第三燃焼室空間内に投入することができる状態となる。また、第2投入口79が開状態のときに、三次燃焼室7内に存在する残渣を廃棄できる。三次燃焼室7が燃焼状態のときは、通常、第2投入口79は、閉じた状態(閉状態)となる。第2投入口79の例は、開閉可能な扉である。第2投入口79を開いた状態で、固形燃料や液体燃料を三次燃焼室7内投入してもよい。さらに、第2投入口79が開いた状態で、第2の廃棄物を三次燃焼室7内に投入してもよい。第2の廃棄物の例は、廃油である。
【0039】
三次燃焼室内本体部71
図11は、三次燃焼室内本体部を説明するための概念図である。
図11に示されるように、三次燃焼室内本体部71は、およそ筒状の部分と、その上部に存在する排出路63を含む。三次燃焼室内本体部71は、気体供給管57と接続されており、気体供給管57から供給される気体が、三次燃焼室7内に導入されるようにされている。
図11に示す例では、気体供給管57が、三次燃焼室内本体部71の上部を介して、三次燃焼室7内に導入されている。
図11の例では、三次燃焼室内本体部71の外側面に複数のフック81が設けられている。三次燃焼室7が複数のフック81を有することで、三次燃焼室内本体部71の周りを囲む配管などを設置しやすくすることができる。三次燃焼室7は、三次燃焼室内本体部71を取り囲むように配管を設置し、三次燃焼室7を冷却できるようにしたものが好ましい。三次燃焼室7により暖められた配管中の液体を、暖房に用いることができる。複数のフック81は、三次燃焼室内本体部71の所定の高さに、所定の間隔ごとに設けられるものが好ましい。
図11の例では、三次燃焼室内本体部71の外周の3つの異なる高さ位置に、90°間隔でそれぞれ複数のフック81が設けられている。
【0040】
気体供給管57
気体供給管57は、三次燃焼室内に送られる気体である三次燃焼室の供給気体を送るための要素である。気体供給管57は、(図示しない)第3気体供給部と接続されてもよい。第3気体供給部の例は、送風機、及び圧縮機である。第3気体供給部は、加熱機構を有するものが好ましい。第3気体供給部が加熱機構を有すると、加熱された外気を、三次燃焼室内に導入できることとなる。加熱機構は、気体供給管57に設けられてもよい。外気は酸素を含むものが好ましい。
【0041】
図9(c)に示されるように、気体供給管57は、三次燃焼室7の外部に存在し、第3気体供給部と接続される部分を有する。また、
図9(c)に示されるように、気体供給管57は、三次燃焼室7内部に鉛直に設置された筒状本体部65を有する。
図9(c)に示されるように、気体供給管57は、気体供給管57のうち三次燃焼室7の外部に存在する部分と、筒状本体部65の上部とを接続する連結部位とを有する。この例では、第3気体供給部から供給された気体が、気体供給管57を経由して、三次燃焼室7内に導入されることとなる。具体的に説明すると、筒状本体部65の上部から供給された気体は、筒状本体部65を経由して、筒状本体部65の下方から導出される。後述するように、筒状本体部65が第3の空孔群を有するものは、気体が、筒状本体部65の上部から下部に進行する際に、第3の空孔群から三次燃焼室7内に導入される。筒状本体部65は、円又は楕円の断面を有するものが好ましい。筒状本体部65の長さの例は、40cm以上5m以下であり、70cm以上3m以下でもよいし、1m以上2m以下でもよい。筒状本体部65の直径の例は3cm以上40cm以下であり、5cm以上30cm以下でもよいし、5cm以上25cm以下でもよい。筒状本体部65の形状は、筒状には限定されないものの、筒状が好ましい。
【0042】
筒状本体部65
図12は、筒状本体部の例を説明するための概念図である。
図12(a)は、筒状本体部の外観を示す図である。
図12(b)は、筒状本体部の筒状部分を示す図である。
図12(c)は、筒状本体部の断面を示す図である。
図12(a)に示される例では、筒状本体部65は、その上部領域に二つの持ち手85が形成されている。また、この例では、筒状本体部65は、その中部領域にも二つの持ち手85が形成されている。筒状本体部65が持ち手を有するので、筒状本体部65を設置しやすくなり、筒状本体部65を設置した後も筒状本体部65を微調整しやすくなる。
筒状本体部65の底部分には、複数の空孔を有する蓋が設けられることが好ましい。蓋に設けられた空孔は、第3の空孔群における空孔と同様のものであってもよい。このような蓋を有すると、筒状本体部65に供給された気体が、筒状本体部65の下部から、三次燃焼室内に放出されることとなる。
図12(a)に示される例では、気流を調整するため筒状本体部65の下部に、90°毎に設けられた4本の下部突起87が形成されている。下部突起87の内部は、空洞が形成され、下部突起87の側面には、複数の空孔が設けられているものが好ましい。このような下部突起87を有すると、下部突起87からも気体が放出されるので、三次燃焼室内の気流を制御できることとなる。下部突起87が設けられる位置は、持ち手85とずれている(例えば45°ずれている)ものであってもよい。このような位置に下部突起87と持ち手85が存在するので、下部突起87から放出された気体が、循環しやすくなる。このようにすることで、三次燃焼室7の燃焼効率が向上する。
【0043】
第3の空孔群は、筒状本体部65から三次燃焼室の内部空間へ角度をもって放出されるように、設けれられることが好ましい。つまり、筒状本体部65から放出される気体が、筒状本体部65の中心から離れる方向にまっすぐ進むのではなく、状本体部65の中心から離れる方向と角度をなすように、三次燃焼室の内部空間へ放出されるものが好ましい。空孔の例の直径の例は、1mm以上1cm以下であり、2mm以上6mm以下でもよい。また、
図12(b)に示されるように、筒状本体部65の前後左右領域に第3の空孔群が設けられてもよい。そして、この例では、筒状本体部65の中心軸と空孔がなす角が所定角度(90°)増えると、空孔の位置が筒状本体部65の長手方向に所定距離(例えば3mm以上5cm以下、3mm以上3cm以下、5mm以上10cm以下、又は5mm以上2cm以下)ずれるようにされている。つまり、第3の空孔群を構成するそれぞれの空孔は、筒状本体部65の中心軸となす角が所定角度増えると、筒状本体部65の長手方向に所定距離ずれた位置となるように設けられる。複数の空孔の位置は、隣接する空孔同士を滑らかに連結すると、らせん状となる位置に設けられたものといえる。このようにすれば、筒状本体部65から、三次燃焼室の内部空間へ放出される気体による気流が旋回するようになる。このようにすることで、三次燃焼室7の燃焼効率が向上する。
【0044】
図12(c)に示されるように、第3の空孔群は、第3の空孔群を構成する複数の空孔が、筒状本体部65の中心軸に対して角度をもって設けられたものであることが好ましい。各空孔の中心から筒状本体部65の中心軸へ垂線を引く。次に、各空孔の中心軸(空孔の長手方向(穴の進行方向))を引く。その垂線と中心軸とがなす角が、空孔が筒状本体部65の中心軸に対してなす角である。第3の空孔群は、筒状本体部65から放出される気体気流が旋回するように、その垂線と中心軸とがなす角が、角度を有している(0°以外である)ことが好ましい。具体的な角度の例は、10°以上80°以下であり、20°以上70°以下でもよいし、30°以上60°以下でもよいし、30°以上50°以下でもよい。このようにすることで、三次燃焼室7の燃焼効率が向上する。
【0045】
三次燃焼室7の動作例
二次燃焼ガスが、三次燃焼室の導入部61を経由して、三次燃焼室内空間に導入される。三次燃焼室の導入部61が、三次燃焼室7の下部に設けられている。このため、二次燃焼ガスは、三次燃焼室7の下部に供給される。
第3気体供給部は、供給気体(酸素や外気)を加温し、気体供給管57を経由して、供給気体を、三次燃焼室内に導入する。供給気体の温度の例は30℃以上60℃以下でもよいし、30℃以上50℃以下でもよい。第3気体供給部が供給する送風量は、適宜調整すればよく、0.5m3/分以上50m3/分以下でもよいし、1m3/分以上20m3/分以下でもよいし、1m3/分以上15m3/分以下でもよいし、2m3/分以上10m3/分以下でもよい。供給気体は、気体供給管57の筒状本体部65から、三次燃焼室内に導入される。たとえば、供給気体は、筒状本体部65の側面に設けられた第3の空孔群を経由して、旋回するように、放出される。また、供給気体は、筒状本体部65の底面に設けられた蓋の複数の空孔を経由して、筒状本体部65の下方に放出される。さらに供給気体は、下部突起87を経由して、例えば、上下左右方向に放出される。このようにして、供給気体が、三次燃焼室内に導入され、好ましい気流を形成する。
燃料供給部75は、適宜液体燃料を三次燃焼室内に供給する。また、三次燃焼室の下部には、さらに加熱気体が適宜供給されてもよい。火源の中央に酸素を含む気体を導入し、高温で爆発燃焼させることが好ましい。
このようにすることで、二次燃焼ガスを燃焼させ、三次燃焼ガスとすることができる。未燃焼ガスを完全燃焼させ、無害化できたり、環境基準に適応しつつ廃棄物を処理できることとなる。
無害化された三次燃焼ガスは、排出路63を経由して、外部に排出される。排出路63には、各種フィルタが設けられてもよい。また、排出路63には、センサが設けられてもよい。排出路63にセンサが存在すれば、機械学習を用いて、各種の制御を自動化できることとなる。このような自動制御は、例えば、各種供給ガスの供給量やセンシング情報を教師データとして用いて、学習済みモデルを構築しておけばよい。そして、センサが測定したセンシング情報を学習済みモデルに入力する。すると、制御部は、各種供給部(例えば、各気体供給部及び燃料供給部)やバルブを自動で制御し、適切に、廃棄物を処理できる。また、そのようにして処理されたデータを、学習済みモデルにフィードバックすることで、機械学習の精度を向上させることができる。
【実施例】
【0046】
一次~三次燃焼室を有する燃焼装置を実際に製造した。
図13は、実施例における燃焼装置を示す図面に代わる写真である。
図13(a)は燃焼装置の正面写真である。
図13(b)は、燃焼装置を、
図13(a)とは別の角度から撮影したものである。
一時燃焼室を、一定量のガスを取り出す形状とした。これにより、安定して未燃焼ガスを発生させ、さらに空気の量のみで未燃焼ガスの量をコントロールできた。一次燃焼室の容積は約900m
3で、一次燃焼室の底に配管を2本配置し、パイプには適切な距離50mmピッチで均等に直径約3mmの空孔を設け、周囲の加温された約40℃の空気を0.2m
3/minで送風し、燃料を合成ガスが取り出せる約100~500℃付近まで(又は150℃~350℃付近まで)燃焼させ、一次燃焼ガスの成分が安定する一次燃焼室の中部から取り出した。このようにして、安定して、一次燃焼ガスを取り出すことができた。タイヤ1本で約2時間燃焼させることができた。
【0047】
一次燃焼ガスは、濃い未燃焼ガスである。このため、二次燃焼室でさらに空気(酸素)を混合した。一次燃焼ガスを横方向へ取り出した。二次燃焼室は、二重構造とし、外パイプ:内パイプ=約3:2で、内配管へ外配管から空気を取込んだ。周囲の加温された約40℃の空気を0.2m3/minで送風し、空孔から徐々に送り出した。燃焼しやすい混合気体を作るために、内配管には小さな直径約3mmの空孔を40mmピッチで中心から約40°の傾きで螺旋状に設け、外配管から約40℃の空気を取込むことにより、煙道の中で二次燃焼もしくは空気との混合気体を作った。このようにして二次燃焼ガスを得た。
【0048】
三次燃焼室の中心に縦に丸パイプが降りてきて、パイプには50mmピッチで螺旋状に約直径約3mmの空孔を中心に対し約40°で設け、外部の空気を4m3/minで送り入れ、二次燃焼ガスを下から取込むことにより三次燃焼させた。火源の中央に空気を入れて高温で爆発燃焼させた。これにより未燃焼ガスを完全燃焼させ、におい、煙、有害成分の無害化できた。丸パイプに角度をつけた穴にすることにより、螺旋方向への抵抗が少なくなり燃焼効率が向上した。
【産業上の利用可能性】
【0049】
この発明は、廃棄物処理、ボイラー、及び発電機などの分野で利用されうる。
【符号の説明】
【0050】
1 燃焼装置
3 一次燃焼室
5 二次燃焼室
7 三次燃焼室
11 一次燃焼室の底部
13 一次燃焼室の側壁
15 一次燃焼室の天井
17 一次燃焼室の導出部
19 送風パイプ
31 中心接続管
33 二次燃焼室の筐体
51 三次燃焼室の底部
53 三次燃焼室の側壁
55 三次燃焼室の天井
57 気体供給管
61 三次燃焼室の導入部
63 排出路
【要約】 (修正有)
【課題】簡便な制御により、未燃焼ガスを制御し、廃棄物を効率的に一次燃焼させることができる燃焼装置を提供する。
【解決手段】一次燃焼室3を含む、燃焼装置1であって、一次燃焼室3は、一次燃焼室の底部、一次燃焼室の側壁、及び一次燃焼室の天井を有し、一次燃焼室の底部、一次燃焼室の側壁、及び一次燃焼室の天井は、これらにより囲まれた空間である一次燃焼室内空間を構成するとともに、気体の導出ができるようにされた一次燃焼室の導出部と、一次燃焼室内空間に設けられ、複数の空孔である第1の空孔群を有する送風パイプとをさらに有し、第1の廃棄物を燃焼させて得られる、一次燃焼ガスを一次燃焼室の導出部から導出するものである、燃焼装置1。
【選択図】
図1