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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】データ処理方法及び機器、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G01N3/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024075463
(22)【出願日】2024-05-07
【審査請求日】2024-05-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510176813
【氏名又は名称】西安建築科技大学
【氏名又は名称原語表記】XI’AN UNIVERSITY OF ARCHITECTURE & TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.13,Yanta Road,Xi’an,Shaanxi 710055,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】任 建挙
(72)【発明者】
【氏名】張 文龍
(72)【発明者】
【氏名】馬 健朝
(72)【発明者】
【氏名】樊 永生
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-21198(JP,A)
【文献】特開2009-293368(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105259035(CN,A)
【文献】Zhang, W. et al.,Mechanism of Rock Burst Revealed by Numerical Simulation and Energy Calculation,Shock and Vibration,米国,John Wiley and Sons Inc.,2020年12月31日,1-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ処理方法であって、岩体ユニットのエネルギーを計算するために用いられ、前記岩体ユニットは、弾性岩体ユニットと弾塑性岩体ユニットとを含み、前記データ処理方法は、
前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、及び前記受力状態に対応する第一の入力総仕事を取得するステップと、
前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーと第一の入力総仕事に基づいて、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定するステップであって、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定するステップは、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーと前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーを決定するステップと、前記第一の入力総仕事と前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における散逸エネルギーを決定するステップとを含むステップと、
前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーを決定するステップであって、前記エントロピー生成エネルギー、前記散逸エネルギー、及び前記放出エネルギーは、前記岩体ユニットの前記受力状態における損傷エネルギーを特徴づけるために用いられ、ここで、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーとの間の差分値を前記岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーとするステップと
を含む、ことを特徴とするデータ処理方法。
【請求項2】
前記の、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーを取得するステップは、
前記弾性岩体ユニットに対応する第一の体積、及び前記弾塑性岩体ユニットに対応する第二の体積を決定するステップと、
前記第一の体積における前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーをそれぞれ取得し、及び前記第二の体積における前記弾塑性岩体ユニットの前記受力状態における第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを取得するステップであって、第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを取得するステップは、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第一の主応力と第一の相対応力差、及び前記弾性岩体ユニットの第一の弾性率と第一のポアソン比を取得するステップと、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第一の主応力、前記弾性岩体ユニットの第一の弾性率、第一のポアソン比と前記岩体ユニットの体積に基づいて、第一の放出可能歪みエネルギーを決定するステップと、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第一の相対応力差、前記第一の放出可能歪みエネルギー、及び前記弾性岩体ユニットに対応する第一の体積に基づいて、予め設定される第一のモデルを採用し、第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定するステップとを含み、第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを取得するステップは、前記弾塑性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第二の主応力と第二の相対応力差、及び前記弾性岩体ユニットの第二の弾性率と第二のポアソン比を取得するステップと、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第二の主応力、前記弾性岩体ユニットの第二の弾性率、第二のポアソン比と前記岩体ユニットの体積に基づいて、第二の放出可能歪みエネルギーを決定するステップと、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第二の相対応力差、前記第二の放出可能歪みエネルギー、及び前記弾性岩体ユニットに対応する第二の体積に基づいて、予め設定される第二のモデルを採用し、第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定するステップとを含むステップと、
前記第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーと前記第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーを決定するステップと
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項3】
前記の、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーを取得するステップは、
前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第三の主応力と第三の相対応力差、及び前記弾性岩体ユニットの第三の弾性率と第三のポアソン比を取得するステップと、
前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第三の主応力、前記弾性岩体ユニットの第三の弾性率、第三のポアソン比と前記岩体ユニットの体積に基づいて、サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定するステップと、
前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第三の相対応力差、前記サブ放出可能弾性歪みエネルギー、及び前記岩体ユニットに対応する体積に基づいて、予め設定される第三のモデルを採用し、第一の放出可能弾性歪みエネルギーを決定するステップと
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項4】
前記第一の入力総仕事は、第一のサブ入力総仕事と第二のサブ入力総仕事とを含み、
前記の、前記受力状態に対応する第一の入力総仕事を取得するステップは、
前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、第一のサブ入力総仕事を決定するステップと、
前記受力状態における複数の方向の相対応力差、及び各方向の相対応力差に対応する相対変位差を取得し、各方向の相対応力差及び対応する相対変位差に基づいて、第二のサブ入力総仕事を決定するステップと、
前記第一のサブ入力総仕事と前記第二のサブ入力総仕事との和を前記受力状態に対応する入力総仕事とするステップと
を含む、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ処理方法。
【請求項5】
前記岩体ユニットは、穴をさらに含み、
前記データ処理方法は、
前記岩体ユニットが穴を有する時に前記受力状態にある第二の入力総仕事を取得し、前記第一の入力総仕事と第二の入力総仕事に基づいて、入力総仕事に対応する損傷率を決定するステップ、
又は
前記岩体ユニットが穴を有する時に前記受力状態にある弾性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、前記岩体ユニットが穴を有さない時に対応する弾性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギー、及び穴を有する時に対応する弾性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、弾性放出可能歪みエネルギーに対応する損傷率を決定するステップ、
又は
前記岩体ユニットが穴を有する時に前記受力状態にある弾塑性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、前記岩体ユニットが穴を有さない時に対応する弾塑性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギー、及び穴を有する時に対応する弾塑性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、弾塑性放出可能歪みエネルギーに対応する損傷率を決定するステップ
をさらに含む、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ処理方法。
【請求項6】
データ処理デバイスであって、岩体ユニットのエネルギーを計算するために用いられ、前記岩体ユニットは、弾性岩体ユニットと弾塑性岩体ユニットとを含み、前記データ処理デバイスは、
前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、及び前記受力状態に対応する第一の入力総仕事を取得するように構成されるデータ取得ユニットと、
前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーと第一の入力総仕事に基づいて、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定し、及び前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーを決定するように構成される処理ユニットであって、前記エントロピー生成エネルギー、前記散逸エネルギー、及び前記放出エネルギーは、前記岩体ユニットの前記受力状態における損傷エネルギーを特徴づけるために用いられ、ここで、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定するステップは、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーと前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーを決定するステップと、前記第一の入力総仕事と前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における散逸エネルギーを決定するステップとを含み、ここで、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーとの間の差分値を前記岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーとする処理ユニットと
を含む、ことを特徴とするデータ処理デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土質工学の技術分野に関し、特にデータ処理方法及び機器、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
岩体ユニットのエネルギーは、岩体又は実演した安定性と破壊機構を評価するために用いることができる。岩体ユニットのエネルギーを研究することによって、岩体ユニットが様々な外力(例えば地震、発破又は掘削など)の作用を受ける時、その内部エネルギーの進化プロセス、及び岩体ユニットがいつ破壊される可能性があるかを知ることができ、それによって地質災害などの危険な状況の発生の予防と制御に有利である。
【0003】
現在、岩体ユニットが外力作用を受ける時、取得するのは、岩体ユニットが外力作用下にある総受力エネルギーであり、それは、岩体ユニットの内部のエネルギー変化を効果的に反映できず、さらに岩体ユニットが外力を受ける時の変化を効果的に評価することができない。そのため、岩体ユニットが外力に影響されることをどのように効果的に評価するかは、早急な解決が待たれる技術課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑み、本発明の実施例は、岩体ユニットの受力状態におけるエネルギー変化を効果的に評価できるデータ処理方法及び機器、記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
まず、本発明の実施例は、データ処理方法を提供し、このデータ処理方法は、岩体ユニットのエネルギーを計算するために用いられ、前記岩体ユニットは、弾性岩体ユニットと弾塑性岩体ユニットとを含み、前記データ処理方法は、
前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、及び前記受力状態に対応する第一の入力総仕事を取得するステップと、
前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーと第一の入力総仕事に基づいて、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定するステップであって、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定するステップは、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーと前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーを決定するステップと、前記第一の入力総仕事と前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における散逸エネルギーを決定するステップとを含むステップと、
前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーを決定するステップであって、前記エントロピー生成エネルギー、前記散逸エネルギー、及び前記放出エネルギーは、前記岩体ユニットの前記受力状態における損傷エネルギーを特徴づけるために用いられ、ここで、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーとの間の差分値を前記岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーとするステップとを含む。
【0006】
選択的に、前記の、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーを取得するステップは、
前記弾性岩体ユニットに対応する第一の体積、及び前記弾塑性岩体ユニットに対応する第二の体積を決定するステップと、
前記第一の体積における前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーをそれぞれ取得し、及び前記第二の体積における前記弾塑性岩体ユニットの前記受力状態における第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを取得するステップであって、第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを取得するステップは、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第一の主応力と第一の相対応力差、及び前記弾性岩体ユニットの第一の弾性率と第一のポアソン比を取得するステップと、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第一の主応力、前記弾性岩体ユニットの第一の弾性率、第一のポアソン比と前記岩体ユニットの体積に基づいて、第一の放出可能歪みエネルギーを決定するステップと、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第一の相対応力差、前記第一の放出可能歪みエネルギー、及び前記弾性岩体ユニットに対応する第一の体積に基づいて、予め設定される第一のモデルを採用し、第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定するステップとを含み、第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを取得するステップは、前記弾塑性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第二の主応力と第二の相対応力差、及び前記弾性岩体ユニットの第二の弾性率と第二のポアソン比を取得するステップと、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第二の主応力、前記弾性岩体ユニットの第二の弾性率、第二のポアソン比と前記岩体ユニットの体積に基づいて、第二の放出可能歪みエネルギーを決定するステップと、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第二の相対応力差、前記第二の放出可能歪みエネルギー、及び前記弾性岩体ユニットに対応する第二の体積に基づいて、予め設定される第二のモデルを採用し、第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定するステップとを含むステップと、
前記第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーと前記第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーを決定するステップとを含む。
【0007】
選択的に、前記の、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーを取得するステップは、
前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第三の主応力と第三の相対応力差、及び前記弾性岩体ユニットの第三の弾性率と第三のポアソン比を取得するステップと、
前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第三の主応力、前記弾性岩体ユニットの第三の弾性率、第三のポアソン比と前記岩体ユニットの体積に基づいて、サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定するステップと、
前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第三の相対応力差、前記サブ放出可能弾性歪みエネルギー、及び前記岩体ユニットに対応する体積に基づいて、予め設定される第三のモデルを採用し、第一の放出可能弾性歪みエネルギーを決定するステップとを含む。
【0008】
選択的に、前記第一の入力総仕事は、第一のサブ入力総仕事と第二のサブ入力総仕事とを含み、
前記の、前記受力状態に対応する第一の入力総仕事を取得するステップは、
前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、第一のサブ入力総仕事を決定するステップと、
前記受力状態における複数の方向の相対応力差、及び各方向の相対応力差に対応する相対変位差を取得し、各方向の相対応力差及び対応する相対変位差に基づいて、第二のサブ入力総仕事を決定するステップと、
前記第一のサブ入力総仕事と前記第二のサブ入力総仕事との和を前記受力状態に対応する入力総仕事とするステップとを含む。
【0009】
選択的に、前記岩体ユニットは、穴をさらに含み、
前記データ処理方法は、
前記岩体ユニットが穴を有する時に前記受力状態にある第二の入力総仕事を取得し、前記第一の入力総仕事と第二の入力総仕事に基づいて、入力総仕事に対応する損傷率を決定するステップ、
又は
前記岩体ユニットが穴を有する時に前記受力状態にある弾性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、前記岩体ユニットが穴を有さない時に対応する弾性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギー、及び穴を有する時に対応する弾性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、弾性放出可能歪みエネルギーに対応する損傷率を決定するステップ、
又は
前記岩体ユニットが穴を有する時に前記受力状態にある弾塑性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、前記岩体ユニットが穴を有さない時に対応する弾塑性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギー、及び穴を有する時に対応する弾塑性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、弾塑性放出可能歪みエネルギーに対応する損傷率を決定するステップをさらに含む。
【0010】
これに応じて、本発明の実施例は、データ処理デバイスをさらに提供し、このデータ処理デバイスは、岩体ユニットのエネルギーを計算するために用いられ、前記岩体ユニットは、弾性岩体ユニットと弾塑性岩体ユニットとを含み、前記データ処理デバイスは、
前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、及び前記受力状態に対応する第一の入力総仕事を取得するように構成されるデータ取得ユニットと、
前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーと第一の入力総仕事に基づいて、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定し、及び前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーを決定するように構成される処理ユニットであって、前記エントロピー生成エネルギー、前記散逸エネルギー、及び前記放出エネルギーは、前記岩体ユニットの前記受力状態における損傷エネルギーを特徴づけるために用いられ、ここで、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定するステップは、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーと前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーを決定するステップと、前記第一の入力総仕事と前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における散逸エネルギーを決定するステップとを含み、ここで、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーとの間の差分値を前記岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーとする処理ユニットとを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施例におけるデータ処理方法を採用し、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、及び前記受力状態に対応する第一の入力総仕事を取得することにより、前記岩体ユニットの前記受力状態における損傷エネルギーを特徴づけるための放出エネルギー、エントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定することができる。そのため、多次元のエネルギー要素を採用し、受力状態における、岩体ユニットの内部のエネルギー変化を効果的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例におけるデータ処理方法のフローチャートを示す。
図2】本発明の実施例における岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーを取得するフローチャートを示す。
図3】本発明の実施例におけるデータ処理方法の原理概略図を示す。
図4】本発明の実施例における0mm、4mm、6mm、8mm、15mmと30mm直径の穴の岩体ユニットのモデルパターンを示す。
図5A】本発明の実施例における0mm、4mm、6mm、8mmと15mm直径の穴に対応するモデルパターンの変化傾向図を示す。
図5B】本発明の実施例における0mm、4mm、6mm、8mmと15mm直径の穴に対応するモデルパターンの変化傾向図を示す。
図5C】本発明の実施例における0mm、4mm、6mm、8mmと15mm直径の穴に対応するモデルパターンの変化傾向図を示す。
図5D】本発明の実施例における0mm、4mm、6mm、8mmと15mm直径の穴に対応するモデルパターンの変化傾向図を示す。
図6】本発明の実施例におけるデータ処理デバイスの構造概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
背景技術に記載されるように、従来態様では、岩体ユニットが外力作用を受ける時、取得するのは、岩体ユニットが外力作用下にある総受力エネルギーであり、それは、岩体ユニットの内部のエネルギー変化を効果的に反映できず、さらに岩体ユニットが外力を受ける時のエネルギー変化を効果的に評価できない。
【0014】
上記技術課題に対して、本発明の実施例は、計算岩体ユニットに応用されるデータ処理方法を提供し、岩体ユニットの受力状態における損傷エネルギーを特徴づけるためのエントロピー生成エネルギー、散逸エネルギー、及び放出エネルギーを取得することにより、多次元のエネルギー要素を採用し、受力状態における、岩体ユニットの内部のエネルギー変化を効果的に評価することができる。
【0015】
当業者が本発明の実施例をよりよく理解し、実施するために、以下に本発明の実施例の構想、態様、原理及び利点などについて、図面を合わせ、具体的な適用例によって例示的に記述する。
【0016】
図1に示す本発明の実施例のデータ処理方法のフローチャートを参照し、ここで、データ処理方法は、岩体ユニットの受力作用下でのエネルギー変化を取得するように、岩体ユニットのエネルギーを計算するために用いられてもよい。
【0017】
本実施例では、岩体ユニットのタイプに応じて、岩体ユニットを弾性岩体ユニットと弾塑性岩体ユニットに分けることができ、ここで、弾性岩体ユニットは、土質の力学的分析において、岩体材料の弾性性質をシミュレーションするための計算ユニットであってもよく、弾塑性岩体ユニットは、土質の力学的分析において、岩体が外力作用を受ける時、主応力状態が材料許可応力を超えない前に弾性状態として表現され、超えた後に塑性の力学的挙動として表現されるユニットモデルであってもよい。
【0018】
本実施例では、ある単位体積の岩体ユニットに対して、それが弾塑性媒体である場合に、外力作用下で対応する弾性変形と塑性変形が発生し、このプロセスで外界と熱交換が発生していないと仮定し、エネルギー保存原理に基づいて、外力を印加する仕事の総量は、岩体ユニットに入力された総エネルギーと同じである。
【0019】
ある単位体積の岩体ユニットに対して、それが完全な弾性媒体である場合に、同じ外力作用を受ける時、弾性変形だけが発生し、同様に、このプロセスで外界と熱交換が発生していないと仮定すると、外力仕事が純弾性ユニットに入力した総エネルギーは、弾性ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーである。
【0020】
上記分析内容に基づいて、岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギー、散逸エネルギーと放出エネルギーをそれぞれ計算することができる。
【0021】
一つの具体的な実施例では、岩体ユニットは、少なくとも一つの弾性岩体ユニットと少なくとも一つの弾塑性岩体ユニットとを含んでもよい。
【0022】
説明すべきこととして、本実施例における「弾性岩体ユニット」は、一つの弾性岩体ユニットを含んでもよく、複数の弾性岩体ユニットのセットであってもよく、「弾塑性岩体ユニット」は、一つの弾塑性岩体ユニットを含んでもよく、複数の弾塑性岩体ユニットのセットであってもよい。
【0023】
図1を参照すると、以下のステップを採用して岩体ユニットのエネルギーを計算することができる。
【0024】
S11、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーを取得する。
【0025】
具体的には、岩体ユニットが外力作用を受ける時、受力状態で、岩体ユニットは、変形(例えば弾性変形と弾塑性変形とのうちの少なくとも一つ)が生じ、さらに岩体ユニットの内部にエネルギーが発生し、その一部が岩体ユニットにより消費されることができ、別の一部のエネルギーが放出され、放出されるこの一部のエネルギーは、岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーである。
【0026】
説明すべきこととして、第一に、本実施例における「岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー」とは、「弾性岩体ユニットと弾塑性岩体ユニットの2つの部分の放出可能弾性歪みエネルギーを含む、岩体ユニット全体が受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー」であり、第二に、本実施例における「岩体ユニット」とは、「実際の岩体をシミュレーションするための計算ユニット」である。
【0027】
S12、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーを取得する。
【0028】
具体的には、岩体ユニットは、外力作用を受ける時、受力状態にあり、弾性岩体ユニットは、弾性変形が発生し、さらに対応する第一の放出可能弾性歪みエネルギーが発生する。
【0029】
S13、前記受力状態に対応する第一の入力総仕事を取得する。
【0030】
具体的には、異なる受力状態に対して、岩体ユニットのこの受力状態におけるエネルギーが異なるため、受力状態に対応する第一の入力総仕事を取得して、現在入力総仕事における岩体ユニットの総放出可能弾性歪みエネルギー、及び弾性岩体ユニットの第一の放出可能弾性歪みエネルギーを決定する必要がある。
【0031】
S14、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーと第一の入力総仕事に基づいて、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定する。
【0032】
具体的には、ステップS11~S13により、受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、第一の放出可能弾性歪みエネルギーと第一の入力総仕事を取得することができるとともに、総放出可能弾性歪みエネルギー、第一の放出可能弾性歪みエネルギーと第一の入力総仕事が異なる次元でのパラメータであるため、岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定することができる。
【0033】
本実施例では、エントロピー生成エネルギーとは、弾性ユニットのセットと、対応する岩体ユニットのセットとの間の放出可能歪みエネルギー総エネルギー差であり、散逸エネルギーとは、岩体ユニットが外力を受ける時に消費されるエネルギーであり、変形(例えば弾塑性変形)が発生するプロセスで放出して消費されるエネルギーを表すことができ、且つこの一部のエネルギーは、回復できない。
【0034】
S15、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーを決定する。
【0035】
ここで、エントロピー生成エネルギー、散逸エネルギー、及び放出エネルギーは、前記岩体ユニットの前記受力状態における損傷エネルギーを特徴づけるために用いられる。
【0036】
具体的な実施では、岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーに基づいて、予め設定される計算方式を採用し、岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーを得ることができる。ここで、予め設定される計算方式については、以下に一つの選択的な例を与える。
【0037】
一つの選択的な例として、岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーとの間の差分値を岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーとしてもよい。
【0038】
本実施例では、放出エネルギーとは、岩体ユニットが外力を受ける時に放出するエネルギーを意味し、変形(例えば弾塑性変形)が発生するプロセスで放出される弾性波を表すことができ、且つこの部分のエネルギーは、不可逆的である。
【0039】
上記計算方式は、例示的な説明にすぎず、本発明の実施例では、岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーを取得する具体的な計算方式を制限せず、岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーに基づいて、岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーを得ればよい。
【0040】
説明すべきこととして、上記実施例におけるいくつかのステップの間には、必然的な優先順位は存在せず、矛盾が生じない前提で同期して実行してもよいし、順番に実行してもよいし、順番に入れ替えてもよい。例えば、本発明の実施例によるデータ処理方法を実際に実行するステップについては、ステップS14を実行する前、ステップS11~S13を実行するように設定すればよい。
【0041】
本発明の実施例におけるデータ処理方法を採用し、取得された岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、弾性岩体ユニットの受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギー、及び受力状態に対応する第一の入力総仕事に基づいて、岩体ユニットの受力状態における損傷エネルギーを特徴づけるためのエントロピー生成エネルギー、散逸エネルギー、及び放出エネルギーを得ることができ、即ち多次元のエネルギーパラメータを採用し、受力状態における、岩体ユニットの内部のエネルギー変化を効果的に評価することができる。
【0042】
当業者がよりよく理解して実施するために、以下に具体例を用いて具体的な応用シナリオと組み合わせて詳細に記述する。
【0043】
まず、具体例と組み合わせて、岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーを取得するいくつかの具体的な方法の例を記述する。図2を参照すると、岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーを取得するフローチャートを示し、一つの選択的な例として、以下のステップを実行してもよい。
【0044】
S21、前記弾性岩体ユニットに対応する第一の体積を決定する。
【0045】
具体的には、岩体ユニットは、弾性岩体ユニットと弾塑性岩体ユニットとを含み、実際応用シナリオにおいて、弾性岩体ユニットと弾塑性岩体ユニットの岩体ユニットにおける割合が異なり、それによって岩体ユニットの主応力が材料許可応力を超えていないことに応じて、サンプルにおける弾性岩体ユニットの分布を判断し、すべての弾性岩体ユニットに対応する第一の体積Vを計算することができる。
【0046】
本実施例では、弾性岩体ユニットに対応する第一の体積を決定する方式は、サンプルロードプロセスで、岩体ユニットの主応力が岩体ユニットの耐えられる応力を超えていない時、岩体ユニットが依然として弾性状態にあり、すべての弾性状態岩体ユニットの体積を弾性岩体ユニットに対応する第一の体積として取得することを含む。
【0047】
一つの具体的な実施例では、予め設定される呼び出しコマンドを採用することにより、すべての弾性状態岩体ユニットの体積を取得することができる。
【0048】
S22、前記弾塑性岩体ユニットに対応する第二の体積を決定する。
【0049】
具体的には、体積Vを有する岩体ユニットに対して、弾性岩体ユニットに対応する第一の体積Vを決定する時、残りの部分の体積V-Vを弾塑性岩体ユニットに対応する第二の体積Vとすることができ、即ちV=V-Vである。
【0050】
S23、前記第一の体積における前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを取得する。
【0051】
具体的には、弾性岩体ユニットに対応する第一の体積を決定し、それが受力状態における第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定することができる。
【0052】
本実施例では、以下の方式を採用して第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを取得することができる。
【0053】
A1)前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第一の主応力と第一の相対応力差、及び前記弾性岩体ユニットの第一の弾性率と第一のポアソン比を取得する。
【0054】
一つの実施例では、座標系(例えばxyz座標系)における三つの方向での第一の主応力(σ1i,σ2i,σ3i)を取得することができる。
【0055】
一つの実施例では、三つの方向での第一の相対応力差(ΔP1,ΔP2,ΔP3)を取得することができる。
【0056】
一つの実施例では、弾性岩体ユニットの第一の弾性率は、Eであってもよく、第一のポアソン比は、1であってもよい。
【0057】
本実施例では、数値シミュレーションソフトウェアを採用し、岩体ユニット情報ピックアップ命令により、弾性岩体ユニットの受力状態における第一の主応力と第一の相対応力差、及び弾性岩体ユニットの第一の弾性率と第一のポアソン比をそれぞれ取得することができる。
【0058】
A2)前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第一の主応力、前記弾性岩体ユニットの第一の弾性率、第一のポアソン比と前記岩体ユニットの体積に基づいて、第一の放出可能歪みエネルギーを決定する。
【0059】
一つの具体的な実施例としては、式(1)を採用して、第一の放出可能歪みエネルギーUee1を決定することができる。
【0060】
【0061】
A3)前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第一の相対応力差、前記第一の放出可能歪みエネルギー、及び前記弾性岩体ユニットに対応する第一の体積に基づいて、予め設定される第一のモデルを採用し、第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定する。
【0062】
一つの具体的な実施例としては、式(2)を採用して、第一の放出可能歪みエネルギーUee(Ω1)を決定することができる。
【0063】
【0064】
上記例における方式を採用し、取得された弾性岩体ユニットの受力状態における複数の方向の第一の主応力と第一の相対応力差、及び弾性岩体ユニットの第一の弾性率と第一のポアソン比に基づいて、弾性岩体ユニットの受力状態における第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定することができる。上記要素が弾性岩体ユニットだけに関連するため、取得された第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーの正確性と精度を向上させることができる。
【0065】
S24、前記第二の体積における前記弾塑性岩体ユニットの前記受力状態における第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを取得する。
【0066】
具体的には、弾塑性岩体ユニットに対応する第二の体積を決定し、それが受力状態における第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定することができる。
【0067】
本実施例では、以下の方式を採用して第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを取得することができる。
【0068】
B1)前記弾塑性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第二の主応力と第二の相対応力差、及び前記弾塑性岩体ユニットの第二の弾性率と第二のポアソン比を取得する。
【0069】
一つの実施例では、座標系(例えばxyz座標系)における三つの方向での第一の主応力(σ4i,σ5i,σ6i)を取得することができる。
【0070】
一つの実施例では、三つの方向での第二の相対応力差(ΔP4,ΔP5,ΔP6)を取得することができる。
【0071】
一つの実施例では、弾塑性岩体ユニットの第二の弾性率は、Eであってもよく、第二のポアソン比は、であってもよい。
【0072】
本実施例では、数値シミュレーションソフトウェアを採用し、岩体ユニット情報ピックアップ命令により、弾塑性岩体ユニットの受力状態における第二の主応力と第二の相対応力差、及び弾塑性岩体ユニットの第二の弾性率と第二のポアソン比をそれぞれ取得することができる。
【0073】
B2)前記弾塑性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第二の主応力、前記弾塑性岩体ユニットの第二の弾性率、第二のポアソン比と前記岩体ユニットの体積に基づいて、第二の放出可能歪みエネルギーを決定する。
【0074】
一つの具体的な実施例としては、式(3)を採用して、第二の放出可能歪みエネルギーUee2を決定することができる。
【0075】
【0076】
B3)前記弾塑性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第一の相対応力差、前記第二の放出可能歪みエネルギー、及び前記弾塑性岩体ユニットに対応する第二の体積に基づいて、予め設定される第二のモデルを採用し、第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定する。
【0077】
一つの具体的な実施例としては、式(4)を採用して、第一の放出可能歪みエネルギーUee(Ω2)を決定することができる。
【0078】
【0079】
上記例における方式を採用し、取得された弾塑性岩体ユニットの受力状態における複数の方向の第二の主応力と第二の相対応力差、及び弾性岩体ユニットの第二の弾性率と第二のポアソン比に基づいて、弾性岩体ユニットの受力状態における第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定することができる。上記要素は、弾塑性岩体ユニットだけに関連するため、取得された第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーの正確性と精度を向上させることができる。
【0080】
S25、前記第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーと前記第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーを決定する。
【0081】
本実施例では、第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーと第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーの和を岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーとすることができる。
【0082】
一つの具体的な実施例では、総放出可能弾性歪みエネルギーUet(Ω)は、式(5)により決定することができる。
【0083】
【0084】
ここで、Ωは、岩体ユニットにおけるすべての弾性岩体ユニットと弾塑性岩体ユニットのセットを表すことができる。
【0085】
説明すべきこととして、上記実施例におけるいくつかのステップの間には、必然的な優先順位は存在せず、矛盾が生じない前提で同期して実行してもよいし、順番に実行してもよいし、順番に入れ替えてもよい。例えば、本発明の実施例によるデータ処理方法を実際に実行するステップについては、ステップS21とS23を実行した後に、ステップS22とS24を実行してもよく、又はステップS25を実行する前、ステップS21~S24を実行してもよい。
【0086】
弾性岩体ユニットの受力状態における第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーと弾塑性岩体ユニットの受力状態における第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーをそれぞれ計算することにより、二者間の相互干渉を低減させ、第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーと第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーの計算精度を向上させることができ、さらに岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーの正確度を向上させることができ、それによって外力による岩体ユニットに対する影響を真実に反映することができる。
【0087】
本実施例では、第一の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーと第二の総サブ放出可能弾性歪みエネルギーの決定と類似している方式を採用して、弾性岩体ユニットの受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーを決定することができる。
【0088】
一つの具体的な実施例では、以下の方式を採用して、第一の放出可能弾性歪みエネルギーUee(Ω)を決定することができる。
【0089】
C3)前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第三の主応力と第三の相対応力差、及び前記弾性岩体ユニットの第三の弾性率と第三のポアソン比を取得する。
【0090】
一つの実施例では、座標系(例えばxyz座標系)における三つの方向での第三の主応力(σ7i,σ8i,σ9i)を取得することができる。
【0091】
本実施例では、第三の主応力(σ7i,σ8i,σ9i)は、第一の主応力(σ1i,σ2i,σ3i)と同じであってもよい。
【0092】
一つの実施例では、三つの方向での第三の相対応力差(ΔP7,ΔP8,ΔP9)を取得することができる。
【0093】
本実施例では、第三の相対応力差(ΔP7,ΔP8,ΔP9)は、第一の相対応力差(ΔP1,ΔP2,ΔP3)と同じであってもよい。
【0094】
一つの実施例では、弾性岩体ユニットの第三の弾性率は、Eであってもよく、第三のポアソン比は、であってもよい。
【0095】
本実施例では、第三の弾性率Eは、第一の弾性率Eと同じであってもよく、第三のポアソン比は、第一のポアソン比と同じであってもよい。
【0096】
本実施例では、数値シミュレーションソフトウェアを採用し、岩体ユニット情報ピックアップ命令により、弾性岩体ユニットの受力状態における第三の主応力と第三の相対応力差、及び弾性岩体ユニットの第三の弾性率と第三のポアソン比をそれぞれ取得することができる。
【0097】
C2)前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第三の主応力、前記弾性岩体ユニットの第三の弾性率、第三のポアソン比と前記岩体ユニットの体積に基づいて、サブ放出可能弾性歪みエネルギーを決定する。
【0098】
一つの具体的な実施例としては、式(6)を採用して、サブ放出可能弾性歪みエネルギーUeeを決定することができる。
【0099】
【0100】
C3)前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における複数の方向の第三の相対応力差、前記サブ放出可能弾性歪みエネルギー、及び前記岩体ユニットに対応する体積に基づいて、予め設定される第三のモデルを採用し、第一の放出可能弾性歪みエネルギーを決定する。
【0101】
一つの具体的な実施例としては、式(7)を採用して、第一の放出可能弾性歪みエネルギーUee(Ω)を決定することができる。
【0102】
【0103】
上記例を採用し、弾性岩体ユニットだけに関連することを採用するため、取得された第一の放出可能弾性歪みエネルギーの正確性と精度を向上させることができる。
【0104】
上記実施例による態様を採用し、それぞれ計算して、岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーと弾性岩体ユニットの受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーを得ることができる。
【0105】
本実施例では、岩体ユニットの受力状態での変化に応じて、第一の入力総仕事を第一のサブ入力総仕事と第二のサブ入力総仕事に分けることができ、ここで、第一のサブ入力総仕事は、岩体ユニットが状態1から状態2にロードされる時、外力の行う仕事であり、第二のサブ入力総仕事は、岩体ユニットが状態2から状態3にロードされる時、外力の行う仕事である。
【0106】
本実施例では、状態1とは、岩体ユニットのロードされていない状態(受力されていない状態と考えてもよい)、状態2とは、岩体ユニットが静水圧力まで印加された状態、状態3とは、岩体ユニットの周囲圧が一定で垂直方向に最大荷重にロードし続けている状態である。
【0107】
一つの具体的な実施例では、以下の方式を用いて、受力状態に対応する第一の入力総仕事を決定することができる。
【0108】
D1)前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、第一のサブ入力総仕事を決定する。
【0109】
具体的には、岩体ユニットは、状態2にある時、塑性変形が一切生じないため、この段階で外力の行う仕事は、状態2での弾性岩体ユニットの放出可能歪みエネルギーである。
【0110】
これに基づいて、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、第一のサブ入力総仕事を決定することができる。即ち、第一のサブ入力総仕事Wt1=Uee0であり、ここで、Uee0は、岩体ユニットが静水圧力にロードされる時、弾性岩体ユニットの放出可能歪みエネルギーを表す。
【0111】
D2)前記受力状態における複数の方向の相対応力差、及び各方向の相対応力差に対応する相対変位差を取得し、各方向の相対応力差及び対応する相対変位差に基づいて、第二のサブ入力総仕事を決定する。
【0112】
一つの具体的な実施例では、受力状態における三つの方向の相対応力差(ΔP1i,ΔP2i,ΔP3i)を取得することができ、これに応じて、相対変位差は、(ΔL1i,ΔL2i,ΔL3i)である。
【0113】
本実施例では、サンプル表面の岩体ユニットノードに静水圧力が印加される場合(状態2)のノード変位量と、周囲圧が一定で軸方向に最大荷重(状態3)にロードされる変位量との差に基づいて、相対変位差(ΔL1i,ΔL2i,ΔL3i)の具体的な大きさを決定することができる。
【0114】
さらに第二のサブ入力総仕事Wt2は、
t2=ΔP1i*ΔL1i+ΔP2i*ΔL2i+ΔL3i*ΔP3iである。
【0115】
D3)前記第一のサブ入力総仕事と前記第二のサブ入力総仕事との和を前記受力状態に対応する入力総仕事とする。
【0116】
一つの具体的な実施例では、入力総仕事は、Wであってもよい。
【0117】
【0118】
本実施例では、式(1)~(8)により、総放出可能弾性歪みエネルギー、第一の放出可能弾性歪みエネルギーと第一の入力総仕事を決定することができ、さらにエントロピー生成エネルギー、散逸エネルギーと放出エネルギーを決定することができる。
【0119】
一つの具体的な実施例では、前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーと前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーを決定することができる。
【0120】
即ち、エントロピー生成エネルギーU=Uee(Ω)-Uet(Ω)。
【0121】
一つの具体的な実施例では、前記第一の入力総仕事と前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における散逸エネルギーを決定することができる。
【0122】
即ち、散逸エネルギーUdt=W-Uet(Ω)。
【0123】
これに応じて、放出エネルギーU=U-Udt
【0124】
本発明の実施例でエントロピー生成エネルギー、散逸エネルギーと放出エネルギーを計算するプロセスを容易に理解するために、以下の図面を結び付けながら例示的に説明する。
【0125】
図3に示す本発明の実施例におけるデータ処理方法の原理概略図を参照すると、図3に示すように、受力状態におけるエネルギー概略図(a)~(f)をそれぞれ示し、ここで、図(a)は、弾性岩体ユニットの放出可能歪み量Ueeを表し、図(b)は、弾塑性岩体ユニットの放出可能歪み量Uetを表し、図(c)は、エントロピー増分Uを表し、図(d)は、受力状態における弾塑性岩体ユニットの静水圧力に対応する第一の入力総仕事Wt1と弾性岩体ユニットの静水圧力に対応する第二の入力総仕事Wt2を表し、図(e)は、散逸エネルギーUdtを表し、図(f)は、放出エネルギーUを表す。
【0126】
本実施例では、図3における横座標は、垂直方向の歪み増分を表し、縦座標は、垂直方向の応力値を表し、ここで、z0は、静水圧力状態における歪み増分を表し、zpは、周囲圧が一定で垂直方向に最大荷重にロードし続けている状態の歪み増分を表し、z0は、印加される静水応力値を表し、zpは、最終的な破壊の歪み値を表す。
【0127】
図3から分かるように、図(a)と図(b)により、図(c)に示すエントロピー増分Uを決定することができ、図(d)と図(b)により、図(e)に示す散逸エネルギーUdtを決定することができ、図(a)と図(d)、又は図(c)と図(e)により、図(f)に示す放出エネルギーUを決定することができる。
【0128】
即ち放出エネルギーUと散逸エネルギーUdtとエントロピー増分Uとには対応関係が存在し、放出可能歪み量Uee、放出可能歪み量Uetと第一の入力総仕事Wt1、及び第二の入力総仕事Wt2を決定し、放出エネルギーU、散逸エネルギーUdtとエントロピー増分Uのうちのいずれか一つのエネルギー値を決定することができる。
【0129】
本実施例では、放出エネルギーUとエントロピー増分Uを決定する時、放出エネルギーがエントロピー生成エネルギーに占める割合を定義して、単位体積あたりの平均放出エネルギーを決定してもよい。
【0130】
一つの具体的な実施では、放出エネルギーがエントロピー生成エネルギーに占める割合=U/U*100%である。
【0131】
本実施例では、岩体ユニットの受力状態における時、歪みの増加に従い、放出可能歪みエネルギーが持続的に増大し、ピーク強度に達する時、大きさが最大に達し、ピーク強度以降に大きさが迅速に減少する。そのため、岩体ユニットがピーク強度にある時、それに対応する弾塑性放出可能歪みエネルギーに限界値が現れる。
【0132】
発明者は、岩体ユニットに穴が存在する場合に、穴が岩体ユニット全体の放出可能歪みエネルギーの貯蔵能力に影響を与えることをさらに発見する。
【0133】
これに基づいて、本実施例では、データ処理方法は、前記岩体ユニットが穴を有する時に前記受力状態にある弾塑性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、前記岩体ユニットが穴を有さない時に対応する弾塑性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギー、及び穴を有する時に対応する弾塑性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、弾塑性放出可能歪みエネルギーに対応する損傷率を決定することをさらに含んでもよい。
【0134】
一つの具体的な例では、岩体ユニットが穴を有する時、弾塑性岩体ユニットに対応する放出可能弾性歪みエネルギーをU et、岩体ユニットが穴を有さない時、弾塑性岩体ユニットに対応する放出可能弾性歪みエネルギーをUetとすると、弾塑性放出可能歪みエネルギーに対応する損傷率は、=(Uet-U et)/Uetである。
【0135】
ここで、損傷率は、岩体ユニットが穴を有する時、弾塑性岩体ユニットの放出可能歪みエネルギー貯蔵能力が減少する百分率を特徴づけることができる。
【0136】
本実施例では、岩体ユニットを塑性変形が一切生じない理想状態における弾性岩体ユニットとし、外力がサンプルに対して行う総仕事は、すべて放出可能弾性歪みエネルギーとして貯蔵され、岩体ユニットに穴が存在する場合に、穴は、岩体ユニットの極限歪みに影響が生じる。
【0137】
これに基づいて、本実施例では、データ処理方法は、前記岩体ユニットが穴を有する時に前記受力状態にある弾性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、前記岩体ユニットが穴を有さない時に対応する弾性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギー、及び穴を有する時に対応する弾性岩体ユニットの放出可能弾性歪みエネルギーに基づいて、弾性放出可能歪みエネルギーに対応する損傷率を決定することをさらに含んでもよい。
【0138】
一つの具体的な例では、岩体ユニットが穴を有する時、弾性岩体ユニットに対応する放出可能弾性歪みエネルギーをU ee、岩体ユニットが穴を有さない時、弾性岩体ユニットに対応する放出可能弾性歪みエネルギーをUeeとすると、弾塑性放出可能歪みエネルギーに対応する損傷率は、=(Uee-U ee)/Ueeである。
【0139】
本実施例では、岩体ユニットに変位荷重を印加し、変位の増加に従い、外力が岩体ユニットに対して行う総仕事は、持続的に増大し、一定の応力値に達すると、外力が岩体ユニットに対して入力した総仕事の一部は、散逸エネルギーに変換され、このエネルギーは、不可逆的に消費され、大部分は、弾塑性放出可能歪みエネルギーとして岩体ユニットにより貯蔵される。
【0140】
岩体ユニットに穴が存在する場合に、穴は、岩体ユニット全体が外力を受けて仕事をできる能力に影響を与える。
【0141】
これに基づいて、データ処理方法は、前記岩体ユニットが穴を有する時に前記受力状態にある第二の入力総仕事を取得し、前記第一の入力総仕事と第二の入力総仕事に基づいて、入力総仕事に対応する損傷率を決定することをさらに含んでもよい。
【0142】
一つの具体的な実施例では、岩体ユニットが穴を有する時、それに対応する第二の入力総仕事をW 、岩体ユニットが穴を有さない時、それに対応する第一の入力総仕事をWとすると、弾塑性放出可能歪みエネルギーに対応する損傷率は、=(W-W )/Wである。
【0143】
本実施例では、上記例に挙げられた方式に基づいて、異なる直径の穴を有する岩体ユニットに対して数値シミュレーション計算を行う。
【0144】
一つの具体的な実施例では、モデルのサイズを250mm×150mm×250mm(長さ×幅×高さ)とすると、単一の岩体ユニットのサイズが5mm×5mm×5mm(長さ×幅×高さ)であるため、穴がないモデルサンプルは、750000個の基本ユニットを有する。
【0145】
そして、サンプルモデルは、すべて圧力境界を採用する。具体的には、モデルを三方向等圧の周囲圧にロードする場合に、サンプルを初期応力平衡状態にし、モデルの上下表面に変位量を徐々にロードし、各ロードステップにおいて予め設定されるステップサイズ(例えば0.0001mm)をロードする方式で、サンプルの可塑性領域がサンプル境界に完全に拡張するまでロードし、計算例を用いて、異なる直径の穴の影響で、岩体ユニットの最大放出可能歪みエネルギー損傷率α、外力を受けることによる総仕事損傷率β、放出エネルギーがエントロピー生成エネルギーに占める割合λ、単位体積あたりの可塑性領域の平均放出エネルギーなどの指標の変化傾向をさらに研究する。
【0146】
説明すべきこととして、上記例に挙げられたモデルのサイズと単一の岩体ユニットのサイズは、例示的な説明にすぎず、モデルを採用して実際の岩体ユニットをシミュレーションできることを説明するためのものであり、本発明に対する制限として理解できない。
【0147】
理解を容易にするために、一つの具体的な実施例では、図4は、岩体ユニットが穴を有さない時のモデルパターン、及びそれぞれ4mm、6mm、8mm、15mmと30mm直径の穴を有するモデルパターンをそれぞれ示し、穴は、岩体ユニットの中心位置に位置し、且つ岩体ユニットに対応するモデルパターンの投影は、正方形であり、各辺の長さは、250mmである。
【0148】
そして、図5A-5Dは、0mm、4mm、6mm、8mm、15mmと30mm直径の穴に対応するモデルパターンの変化傾向図をそれぞれ示す。
【0149】
本実施例では、図5Aを参照すると、弾塑性モデルの最大放出可能歪みエネルギーUetの変化曲線L1と放出可能歪みエネルギー損傷率αの変化曲線L2を示す。図5Aから分かるように、穴の直径の増加に伴い、弾塑性モデルの最大放出可能歪みエネルギーUetは、徐々に減少する傾向にあるが、放出可能歪みエネルギー損傷率αは、徐々に増大する傾向にある。
【0150】
一つの具体的な実施例では、穴の直径が0mmの時、対応する弾塑性モデルの最大放出可能歪みエネルギーは、30701Jであり、穴の直径が4mmの時、対応する弾塑性モデルの最大放出可能歪みエネルギーは、25718Jであり、穴の直径が6mmの時、対応する弾塑性モデルの最大放出可能歪みエネルギーは、24953Jであり、穴の直径が8mmの時、対応する弾塑性モデルの最大放出可能歪みエネルギーは、24488Jであり、穴の直径が15mmの時、対応する弾塑性モデルの最大放出可能歪みエネルギーは、23773Jである。
【0151】
これに応じて、穴の直径が4mmの時、対応する放出可能歪みエネルギー損傷率は、16.2%であり、穴の直径が6mmの時、対応する放出可能歪みエネルギー損傷率は、18.7%であり、穴の直径が8mmの時、対応する放出可能歪みエネルギー損傷率は、20.23%であり、穴の直径が15mmの時、対応する放出可能歪みエネルギー損傷率は、22.6%である。
【0152】
本実施例では、図5Bを参照すると、外力がサンプルに対して行う総仕事Wの変化曲線L3及びその損傷率βの変化曲線L4を示す。図5Bから分かるように、穴の直径の増加に伴い、外力がサンプルに対して行う総仕事Wは、徐々に減少する傾向にあるが、損傷率βは、徐々に増大する傾向にある。
【0153】
一つの具体的な実施例では、穴の直径が0mmの時、外力がサンプルに対して行う総仕事は、32254Jであり、穴の直径が4mmの時、外力がサンプルに対して行う総仕事は、27595Jであり、穴の直径が6mmの時、外力がサンプルに対して行う総仕事は、27266Jであり、穴の直径が8mmの時、外力がサンプルに対して行う総仕事は、26878Jであり、穴の直径が15mmの時、外力がサンプルに対して行う総仕事は、25934Jである。
【0154】
これに応じて、穴の直径が4mmの時、対応する損傷率は、14.4%であり、穴の直径が6mmの時、対応する損傷率は、15.5%であり、穴の直径が8mmの時、対応する損傷率は、16.7%であり、穴の直径が15mmの時、対応する損傷率は、19.6%である。
【0155】
本実施例では、図5Cを参照すると、弾性モデルの放出可能歪みエネルギーUeeの変化曲線L5、及びその損傷率の変化曲線L6を示す。図5Cから分かるように、穴の直径の増加に伴い、弾性モデルの放出可能歪みエネルギーUeeは、徐々に減少する傾向にあるが、損傷率は、徐々に増大する傾向にある。
【0156】
一つの具体的な実施例では、穴の直径が0mmの時、外力がサンプルに対して行う総仕事は、32541Jであり、穴の直径が4mmの時、外力がサンプルに対して行う総仕事は、28187Jであり、穴の直径が6mmの時、外力がサンプルに対して行う総仕事は、27963Jであり、穴の直径が8mmの時、外力がサンプルに対して行う総仕事は、27659Jであり、穴の直径が15mmの時、外力がサンプルに対して行う総仕事は、26885Jである。
【0157】
これに応じて、穴の直径が4mmの時、対応する損傷率は、13.4%であり、穴の直径が6mmの時、対応する損傷率は、14.1%であり、穴の直径が8mmの時、対応する損傷率は、15.0%であり、穴の直径が15mmの時、対応する損傷率は、17.4%である。
【0158】
本実施例では、図5Dを参照すると、放出エネルギーがエントロピー生成エネルギーに占める割合λの変化曲線L7、及び単位体積あたりの可塑性領域の平均放出エネルギーの変化傾向図L8を示す。図5Dから分かるように、穴の直径の増加に伴い、放出エネルギーがエントロピー生成エネルギーに占める割合λと単位体積あたりの可塑性領域の平均放出エネルギーは、徐々に増大する傾向にある。
【0159】
これに応じて、本発明の実施例は、データ処理デバイスをさらに提供し、図6を参照すると、データ処理デバイスは、岩体ユニットのエネルギーを計算するために用いられ、前記岩体ユニットは、弾性岩体ユニットと弾塑性岩体ユニットとを含み、ここで、データ処理デバイス100は、
前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーを取得し、及び前記受力状態に対応する第一の入力総仕事を取得するように構成されるデータ取得ユニット110と、
前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギーと第一の入力総仕事に基づいて、前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定し、及び前記岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーを決定するように構成される処理ユニット120であって、前記エントロピー生成エネルギー、前記散逸エネルギー、及び前記放出エネルギーは、前記岩体ユニットの前記受力状態における損傷エネルギーを特徴づけるために用いられる処理ユニット120とを含む。
【0160】
ここで、データ取得ユニット110と処理ユニット120の具体的な作動プロセスは、前述の例におけるデータ処理方法の説明を記述すればよく、ここでこれ以上説明しない。
【0161】
上記例におけるデータ処理デバイス100を採用し、データ取得ユニット110により取得された前記岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、前記弾性岩体ユニットの前記受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギー、及び取得された前記受力状態に対応する第一の入力総仕事に基づいて、処理ユニット120は、上記パラメータに基づいて、前記岩体ユニットの受力状態における放出エネルギー、エントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定することができ、エントロピー生成エネルギー、散逸エネルギー、及び前記放出エネルギーは、前記岩体ユニットの前記受力状態における損傷エネルギーを特徴づけるために用いられるため、多次元のエネルギー要素を採用し、受力状態における、岩体ユニットの内部のエネルギー変化を効果的に評価することができる。
【0162】
なお、本発明の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムは、運行時、前述いずれか一つの実施例におけるデータ処理方法のステップを実行することができ、具体的に前述実施例を参照すればよく、ここでこれ以上説明しない。
【0163】
具体的な実施では、前記コンピュータ可読記憶媒体は、光ディスク、メカニカルハードディスク、ソリッドステートドライブなどの様々な適切な可読記憶媒体であってもよい。
【要約】
本発明の実施例は、データ処理方法及び機器、記憶媒体を提供し、ここで、データ処理方法は、岩体ユニットのエネルギーを計算するために用いられ、岩体ユニットは、弾性岩体ユニットと弾塑性岩体ユニットとを含み、データ処理方法は、岩体ユニットの受力状態における総放出可能弾性歪みエネルギー、弾性岩体ユニットの受力状態における第一の放出可能弾性歪みエネルギー、及び受力状態に対応する第一の入力総仕事を取得するステップと、総放出可能弾性歪みエネルギー、第一の放出可能弾性歪みエネルギーと第一の入力総仕事に基づいて、岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーを決定するステップと、岩体ユニットの受力状態におけるエントロピー生成エネルギーと散逸エネルギーに基づいて、岩体ユニットの受力状態における放出エネルギーを決定するステップであって、エントロピー生成エネルギー、散逸エネルギー、及び放出エネルギーは、岩体ユニットの受力状態における損傷エネルギーを特徴づけるために用いられるステップとを含む。上記技術案を採用することにより、岩体ユニットの受力状態におけるエネルギー変化を効果的に評価することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6