(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】基地局装置、移動体通信システム、通信方法、及び、通信プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20240730BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20240730BHJP
H04W 48/00 20090101ALI20240730BHJP
【FI】
H04W52/02
H04W24/10
H04W48/00 110
(21)【出願番号】P 2020082051
(22)【出願日】2020-05-07
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】寺井 良
(72)【発明者】
【氏名】三留 彬寛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 篤史
(72)【発明者】
【氏名】小真頼 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】徳永 宗介
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-146003(JP,A)
【文献】特開2019-071569(JP,A)
【文献】特表2010-525735(JP,A)
【文献】特開2014-007633(JP,A)
【文献】MediaTek Inc.,Report of email discussion [105bis#29][NR/Power Saving] RRM solutions[online],3GPP TSG RAN WG2 #106 R2-1908249,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_106/Docs/R2-1908249.zip>,2019年05月17日,pp.1-49
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在しているか否かを判定する判定部と、
前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在していると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度を、第1頻度から当該第1頻度よりも低い頻度の第2頻度に切り換えるように指示する指示部と、
を備え
、
前記判定部は、前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末の第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が所定回数以上であるか否かをさらに判定し、
前記指示部は、前記移動体端末の前記第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セルよりもセル半径の大きな他のセルを通信範囲とする他の基地局装置に通信対象を切り換えるようにさらに指示する、
基地局装置。
【請求項2】
前記指示部は、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定を停止するように指示する、
請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記指示部は、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度を前記第1頻度から前記第2頻度にかけて段階的に低下させるように指示する、
請求項1に記載の基地局装置。
【請求項4】
移動体端末と、
請求項1~
3の何れか一項に記載の複数の基地局装置と、
前記移動体端末のセル滞在履歴を管理する管理装置と、
を備えた、移動体通信システム。
【請求項5】
基地局装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得するステップと、
取得した前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在しているか否かを判定するステップと、
前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在していると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度を、第1頻度から当該第1頻度よりも低い頻度の第2頻度に切り換えるように指示するステップと、
を備えた
通信方法であって、
前記判定するステップでは、前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末の第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が所定回数以上であるか否かをさらに判定し、
前記指示するステップでは、前記移動体端末の前記第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セルよりもセル半径の大きな他のセルを通信範囲とする他の基地局装置に通信対象を切り換えるようにさらに指示する、
通信方法。
【請求項6】
基地局装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得する処理と、
取得した前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在しているか否かを判定する処理と、
前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在していると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度を、第1頻度から当該第1頻度よりも低い頻度の第2頻度に切り換えるように指示する処理と、
をコンピュータに実行させる
通信プログラムであって、
前記判定する処理では、前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末の第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が所定回数以上であるか否かをさらに判定し、
前記指示する処理では、前記移動体端末の前記第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セルよりもセル半径の大きな他のセルを通信範囲とする他の基地局装置に通信対象を切り換えるようにさらに指示する、
通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、移動体通信システム、通信方法、及び、通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムでは、移動体端末の電力消費を抑制することが求められている。例えば、特許文献1に開示された移動無線端末は、基地局の配置間隔及び移動無線端末の移動速度に基づいてセルサーチ周期を決定し変更することにより、移動無線端末に設けられたバッテリーの消費電力を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、各移動体無線端末が、基地局の配置間隔及び移動無線端末の移動速度に基づいてセルサーチ周期を決定し変更する機能を有している必要がある。そのため、上記機能を有していない移動無線端末は、機能のアップデートを行わない限り、消費電力を抑制することができないという課題があった。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題を解決する基地局装置、移動体通信システム、通信方法、及び、通信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によれば、基地局装置は、自装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在しているか否かを判定する判定部と、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在していると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度を、第1頻度から当該第1頻度よりも低い頻度の第2頻度に切り換えるように指示する指示部と、を備える。
【0007】
一実施の形態によれば、通信方法は、基地局装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得するステップと、取得した前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在しているか否かを判定するステップと、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在していると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度を、第1頻度から当該第1頻度よりも低い頻度の第2頻度に切り換えるように指示するステップと、を備える。
【0008】
一実施の形態によれば、通信プログラムは、基地局装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得する処理と、取得した前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在しているか否かを判定する処理と、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在していると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度を、第1頻度から当該第1頻度よりも低い頻度の第2頻度に切り換えるように指示する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
前記一実施の形態によれば、移動体端末の機能変更を必要とせずに、移動体端末の消費電力を抑制することが可能な基地局装置、移動体通信システム、通信方法、及び、通信プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る基地局装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態2に係る移動体通信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示す移動体通信システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】移動体端末のセル滞在履歴の一例を示す図である。
【
図5】実施の形態3に係る移動体通信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図5に示す移動体通信システムに設けられた基地局装置の構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図5に示す移動体通信システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】移動体端末のセル滞在履歴の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。ただし、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0013】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0014】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る基地局装置11の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、基地局装置11は、取得部111と、判定部112と、指示部113と、を備える。基地局装置11は、有線又は無線のネットワーク14(不図示)に接続されている。ネットワーク14には、他の基地局装置、管理装置(管理サーバ)、及び、記憶装置などが接続されている(何れも不図示)。
【0015】
管理装置は、各移動体端末のセル滞在履歴を各基地局装置或いは移動体端末自身からネットワーク14を介して取得し、記憶装置に記憶させる。そして、管理装置は、ある基地局装置からある移動体端末のセル滞在履歴の送信要求があった場合に、記憶装置から該当する移動体端末のセル滞在履歴を読み出して、送信要求のあった基地局装置11に送信する。なお、記憶装置は、管理装置の内部に設けられていてもよい。さらに、管理装置の機能は、各基地局装置に設けられていてもよい。
【0016】
ここで、移動体端末は、基地局装置11との間で無線通信を行う端末であればよく、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などである。また、セル滞在履歴は、移動体端末が過去から現在に至るまでに在圏したセルの滞在期間の情報(例えば、各セルへの滞在開始時刻及び滞在終了時刻の情報)である。例えば、セル滞在履歴には、滞在セルID及びそのセルへの滞在期間の組み合わせが滞在順に記録されている。なお、LTE(Long Term Evolution)の場合、セルIDとしてglobal-Cell-IDが用いられる。
【0017】
基地局装置11において、取得部111は、基地局装置11(以下、自装置とも称す)の無線通信範囲であるセルに在圏する移動体端末のセル滞在履歴を取得する。
【0018】
本実施の形態では、取得部111が、セルC1に在圏する移動体端末E1のセル滞在履歴を取得する場合を例に説明する。その場合、取得部111は、移動体端末E1のセル滞在履歴の送信要求を、ネットワーク14を介して管理装置に送信する。管理装置は、取得部111からのセル滞在履歴の送信要求を受信すると、記憶装置から移動体端末E1のセル滞在履歴を読み出して、ネットワーク14を介して、送信要求のあった取得部111に送信する。それにより、取得部111は、移動体端末E1のセル滞在履歴を取得することができる。なお、管理装置の機能が基地局装置11に設けられている場合には、取得部111によるセル滞在履歴の取得は、基地局装置11の内部で行われる。
【0019】
判定部112は、取得部111によって取得された移動体端末E1のセル滞在履歴に基づいて、移動体端末E1がセルC1に所定期間T1を超えて滞在(在圏)しているか否かを判定する。移動体端末E1がセルC1に所定期間T1を超えて滞在する場合とは、例えば、移動体端末E1を携帯したユーザが自宅に留まっている場合等である。このような場合、移動体端末E1が短期間のうちにセルC1から外れる可能性は低いと判断することができる。なお、当然ながら、所定期間T1は、任意の期間に設定可能である。
【0020】
指示部113は、移動体端末E1がセルC1に所定期間T1を超えて滞在していると判定された場合、移動体端末E1に対して、セルC1及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度(即ち、セルサーチの頻度)を低下させるように指示する。なお、LTEの場合、指示部113は、RRC connection reconfigurationメッセージを用いてEvent A3の頻度を低下させるように指示する。
【0021】
例えば、指示部113は、移動体端末E1に対して、セルサーチの頻度を頻度f1から頻度f1よりも低い頻度の頻度f2(f2<f1)に切り換えるように指示する。なお、指示部113は、移動体端末E1に対して、セルサーチの頻度を頻度f1から頻度f2にかけて段階的に低下させるように指示しても良い。或いは、指示部113は、移動体端末E1に対して、セルサーチを停止するように指示してもよい。即ち、指示部113は、移動体端末E1に対して、セルサーチの頻度を頻度f1から頻度f2(f2=0)に切り換えるように指示してもよい。
【0022】
基地局装置11の指示部113からセルサーチの頻度を低下させるように指示を受けた移動体端末E1は、指示内容に従ってセルサーチの頻度を低下させる。それにより、移動体端末E1の消費電力は抑制される。なお、移動体端末E1は、既存のものであってよく、消費電力低減のために機能のアップデートを行う必要はない。
【0023】
このように、本実施の形態に係る基地局装置11は、移動体端末E1のセル滞在履歴に基づいて、移動体端末E1が基地局装置11の無線通信範囲であるセルC1に所定期間T1を超えて滞在(在圏)しているか否かを判定する。そして、基地局装置11は、移動体端末E1がセルC1に所定期間T1を超えて滞在していると判定した場合、移動体端末E1に対して、セルC1及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度(即ち、セルサーチの頻度)を低下させるように指示する。それにより、移動体端末E1は、セルサーチの頻度を低減させることができるため、機能をアップデートさせることなく消費電力を抑制することができる。
【0024】
なお、基地局装置11は、図示しない構成として、プロセッサ、メモリ及び記憶装置を備える。また、前記記憶装置には、本実施の形態にかかる通信方法の処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。そして、前記プロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムを前記メモリへ読み込ませ、前記コンピュータプログラムを実行する。それにより、前記プロセッサは、取得部111、判定部112、及び、指示部113の機能を実現する。
【0025】
または、取得部111、判定部112、及び、指示部113は、それぞれが専用のハードウェアによって実現されてもよい。また、基地局装置11の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ、及び、これらの組み合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続された複数のチップによって構成されてもよい。基地局装置11の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を用いることができる。
【0026】
また、基地局装置11の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、基地局装置11の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0027】
<実施の形態2>
図2は、実施の形態2に係る移動体通信システム1の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、移動体通信システム1は、複数の基地局装置11と、管理装置12と、記憶装置13と、ネットワーク14と、移動体端末E1と、を備える。複数の基地局装置11、管理装置12、及び、記憶装置13のそれぞれは、ネットワーク14を介して接続されている。
【0028】
なお、本実施の形態では、複数の基地局装置11として、基地局装置11_1,11_2が設けられている場合を例に説明する。基地局装置11_1は、セルC1を無線通信範囲としており、セルC1に在圏している移動体端末(移動体端末E1を含む)との間で無線通信を行うことが可能である。基地局装置11_2は、セルC2を無線通信範囲としており、セルC2に在圏している移動体端末との間で無線通信を行うことが可能である。
【0029】
管理装置12は、各移動体端末のセル滞在履歴を各基地局装置11_1,11_2或いは移動体端末自身からネットワーク14を介して取得し、記憶装置13に記憶させる。そして、管理装置12は、ある基地局装置からある移動体端末のセル滞在履歴の送信要求があった場合、記憶装置13からその移動体端末のセル滞在履歴を読み出し、送信要求のあった基地局装置に送信する。なお、記憶装置13は、管理装置12の内部に設けられていてもよい。さらに、管理装置12の機能は、各基地局装置11_1,11_2に設けられてもよい。
【0030】
基地局装置11_1において、取得部111は、基地局装置11_1の無線通信範囲であるセルC1に在圏する移動体端末E1のセル滞在履歴を取得する。
【0031】
また、本実施の形態では、移動体端末E1が、基地局装置11_1の無線通信範囲であるセルC1に在圏している場合を例に説明する。その場合、取得部111は、移動体端末E1のセル滞在履歴の送信要求を、ネットワーク14を介して管理装置12に送信する。管理装置12は、取得部111からのセル滞在履歴の送信要求を受信すると、記憶装置13から移動体端末E1のセル滞在履歴を読み出して、ネットワーク14を介して、送信要求のあった取得部111に送信する。それにより、取得部111は、移動体端末E1のセル滞在履歴を取得することができる。なお、管理装置12の機能が基地局装置11_1に設けられている場合には、取得部111によるセル滞在履歴の取得は、基地局装置11_1の内部で行われる。
【0032】
判定部112は、取得部111によって取得された移動体端末E1のセル滞在履歴に基づいて、移動体端末E1がセルC1に所定期間T1を超えて滞在(在圏)しているか否かを判定する。移動体端末E1がセルC1に所定期間T1を超えて滞在する場合とは、例えば、移動体端末E1を携帯したユーザが自宅に留まっている場合等である。このような場合、移動体端末E1が短期間のうちにセルC1から外れる可能性は低いと判断することができる。なお、当然ながら、所定期間T1は、任意の期間に設定可能である。
【0033】
指示部113は、移動体端末E1がセルC1に所定期間T1を超えて滞在していると判定された場合、移動体端末E1に対して、セルC1及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度(即ち、セルサーチの頻度)を低下させるように指示する。
【0034】
例えば、指示部113は、移動体端末E1に対して、セルサーチの頻度を頻度f1から頻度f1よりも低い頻度の頻度f2(f2<f1)に切り換えるように指示する。なお、指示部113は、移動体端末E1に対して、セルサーチの頻度を頻度f1から頻度f2にかけて段階的に低下させるように指示してもよい。或いは、指示部113は、移動体端末E1に対して、セルサーチを停止するように指示してもよい。即ち、指示部113は、移動体端末E1に対して、セルサーチの頻度を頻度f1から頻度f2(f2=0)に切り換えるように指示してもよい。
【0035】
基地局装置11_1の指示部113からセルサーチの頻度を低下させるように指示を受けた移動体端末E1は、指示内容に従ってセルサーチの頻度を低減させる。それにより、移動体端末E1のセルサーチにより消費電力は抑制される。ここで、移動体端末E1は、既存のものであってよく、消費電力低減のために機能のアップデートを行う必要はない。なお、移動体端末E1は、セルサーチの停止中に移動を開始してセルC1の電波を掴めなくなった場合には、再接続プロシージャ又は新規呼によってその時点の最良のセルを選択する。
【0036】
このように、本実施の形態に係る移動体通信システム1では、基地局装置11_1が、移動体端末E1のセル滞在履歴に基づいて、移動体端末E1が基地局装置11_1の無線通信範囲であるセルC1に所定期間T1を超えて滞在(在圏)しているか否かを判定する。そして、基地局装置11_1は、移動体端末E1がセルC1に所定期間T1を超えて滞在していると判定した場合、移動体端末E1に対してセルC1及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定頻度(即ち、セルサーチの頻度)を低下させるように指示する。それにより、移動体端末E1は、セルサーチの頻度を低減させることができるため、機能をアップデートさせることなく消費電力を抑制することができる。
【0037】
なお、基地局装置11_2の構成及び動作については、基地局装置11_1の場合と同様であるため、その説明を省略する。また、本実施の形態では、移動体通信システム1が2個の基地局装置11を備えた場合を例に説明したが、これに限られない。移動体通信システム1は、任意の数の基地局装置11を備えることができる。このとき、各基地局装置11の構成及び動作は、基地局装置11_1の場合と同様である。
【0038】
(フローチャート)
続いて、
図3を用いて、移動体通信システム1の動作を説明する。
図3は、移動体通信システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0039】
なお、本実施の形態では、移動体端末E1が、基地局装置11_1の無線通信範囲であるセルC1に在圏している場合を例に説明する。また、基地局装置11_1は、セルC1に在圏している各移動体端末(移動体端末E1を含む)に対して、無線通信の接続処理やハンドオーバー処理等がどの程度進んでいるのかを示す情報(プロシージャ)を保持させている。
【0040】
まず、移動体端末E1は、在圏セルを管轄する基地局装置との間の無線通信の接続状態を安定化させる(ステップS101)。本例では、移動体端末E1は、在圏するセルC1を管轄する基地局装置11_1との間の無線通信の接続状態を安定化させる。
【0041】
基地局装置11_1は、移動体端末E1の無線通信の状態が安定したことを検知すると、まずタイマを起動する(ステップS102)。タイマ起動後、所定期間T0が経過してタイマがタイムアウトすると(ステップS103)、タイムアウトのタイミングで、基地局装置11_1は、移動体端末E1のセル滞在履歴を取得する(ステップS104)。
【0042】
セル滞在履歴の取得方法は、既に説明した通りである。具体的には、基地局装置11_1は、移動体端末E1のセル滞在履歴の送信要求を、ネットワーク14を介して管理装置12に送信する。管理装置12は、基地局装置11_1からのセル滞在履歴の送信要求を受信すると、記憶装置13から移動体端末E1のセル滞在履歴を読み出して、ネットワーク14を介して、送信要求のあった基地局装置11_1に送信する。それにより、基地局装置11_1は、移動体端末E1のセル滞在履歴を取得することができる。なお、管理装置12の機能が基地局装置11_1に設けられている場合には、基地局装置11_1によるセル滞在履歴の取得は、自装置内で行われる。
【0043】
基地局装置11_1は、取得したセル滞在履歴から、移動体端末E1がセルC1に滞在した期間(セル滞在期間)を判定する。
【0044】
例えば、移動体端末E1のセル滞在期間が所定期間T1以下である場合(ステップS105のNO)、ステップS102の処理に戻る。即ち、基地局装置11_1は、セルC1に在圏している期間中、定期的に移動体端末E1のセル滞在履歴を参照する。
【0045】
それに対し、セルC1の滞在期間が所定期間T1を超えた場合(ステップS105のYES)、基地局装置11_1は、移動体端末E1に対して、セルC1及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定頻度を低下させるように指示する(ステップS106)。即ち、基地局装置11_1は、移動体端末E1に対して、セルサーチの頻度を低下させるように指示する。
【0046】
図4は、移動体端末E1のセル滞在履歴の一例を示す図である。
図4のセル滞在履歴を参照すると、移動体端末E1は、最初にセルC1に10秒滞在し、その後セルC2に10秒滞在し、その後、現在に至るまでセルC1に4000秒滞在している。仮に所定期間T1が3500秒に設定されている場合、移動体端末E1がセルC1に滞在する期間は所定期間T1を超えるため、基地局装置11_1は、移動体端末E1に対して、セルサーチの頻度を低下させるように指示する。
【0047】
例えば、基地局装置11_1は、移動体端末E1に対して、セルサーチの頻度を頻度f1から頻度f1より低い頻度の頻度f2(f2<f1)に切り換えるように指示する。なお、基地局装置11_1は、移動体端末E1に対して、セルサーチの頻度を頻度f1から頻度f2にかけて段階的に低下させるように指示しても良い。或いは、基地局装置11_1は、移動体端末E1に対して、セルサーチを停止するように指示してもよい。即ち、基地局装置11_1は、移動体端末E1に対して、セルサーチの頻度を頻度f1から頻度f2(f2=0)に切り換えるように指示してもよい。
【0048】
基地局装置11_1からセルサーチの頻度を低下させるように指示を受けた移動体端末E1は、指示内容に従ってセルサーチの頻度を低下させる(ステップS107)。それにより、移動体端末E1の消費電力は抑制される。ここで、移動体端末E1は、既存のものであってよく、消費電力低減のために機能のアップデートを行う必要はない。
【0049】
なお、移動体端末E1は、セルサーチの停止中に移動を開始してセルC1の電波を掴めなくなった場合には、再接続プロシージャ又は新規呼によってその時点の最良のセルを選択する。
【0050】
このように、本実施の形態に係る移動体通信システム1では、基地局装置11_1が、移動体端末E1のセル滞在履歴に基づいて、移動体端末E1が基地局装置11_1の無線通信範囲であるセルC1に所定期間T1を超えて滞在(在圏)しているか否かを判定する。そして、基地局装置11_1は、移動体端末E1がセルC1に所定期間T1を超えて滞在していると判定した場合、移動体端末E1に対してセルC1及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定頻度(即ち、セルサーチの頻度)を低下させるように指示する。それにより、移動体端末E1は、セルサーチの頻度を低減させることができるため、機能をアップデートさせることなく消費電力を抑制することができる。
【0051】
<実施の形態3>
図5は、実施の形態3に係る移動体通信システム2の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、移動体通信システム2は、複数の基地局装置21と、管理装置22と、記憶装置23と、ネットワーク24と、移動体端末E1と、を備える。複数の基地局装置21、管理装置22、及び、記憶装置23のそれぞれは、ネットワーク24を介して接続されている。
【0052】
なお、本実施の形態では、複数の基地局装置21として、基地局装置21_1~21_3が設けられている場合を例に説明する。基地局装置21_1は、セルC1を無線通信範囲としており、セルC1に在圏している移動体端末(移動体端末E1を含む)との間で無線通信を行うことが可能である。基地局装置21_2は、セルC2を無線通信範囲としており、セルC2に在圏している移動体端末との間で無線通信を行うことが可能である。基地局装置21_3は、セルC3を無線通信範囲としており、セルC3に在圏している移動体端末との間で無線通信を行うことが可能である。
【0053】
また、本実施の形態では、セルC1,C2のセル半径が小さく(即ち、基地局装置21_1,21_2の無線通信の範囲が狭く)、セルC3のセル半径がセルC1,C2よりも大きい(即ち、基地局装置21_3の無線通信の範囲が広い)場合を例に説明する。なお、セルC3は、セルC2の通信範囲の全部または一部を含んでいる。以下では、セルC1,C2をピコセルC1,C2とも称し、セルC3をマクロセルC3とも称す。
【0054】
管理装置22、記憶装置23、及び、ネットワーク24の構成については、それぞれ管理装置12、記憶装置13、及び、ネットワーク14の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0055】
図7は、基地局装置21_1の構成例を示すブロック図である。なお、基地局装置21_2,22_3の構成については、基地局装置21_1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0056】
図7に示すように、基地局装置21_1は、取得部211と、判定部212と、指示部213と、を備える。取得部211は、基地局装置21_1(以下、自装置とも称す)の無線通信範囲であるセルC1に在圏する移動体端末E1のセル滞在履歴を取得する。取得部211によるセル滞在履歴の取得方法については、取得部111によるセル滞在履歴の取得方法と同様であるため、その説明を省略する。
【0057】
判定部212は、取得部211によって取得された移動体端末E1のセル滞在履歴に基づいて、移動体端末E1の所定期間T2あたりのセルC1の滞在回数(セル滞在回数)が所定回数以上であるか否かを判定する。移動体端末E1の所定期間T2あたりのセル滞在回数が所定回数以上である場合とは、例えば、移動体端末E1がセルC1とそれに隣接するセルとの間で短期間のうちに過剰にハンドオーバー処理を行った場合などである。このような現象は、移動体端末E1の在圏するセルC1のセル半径が小さい場合に起こりやすい。なお、当然ながら、所定期間T2は、任意の期間に設定可能である。
【0058】
指示部213は、移動体端末E1の所定期間T2あたりのセル滞在回数が所定回数以上と判定された場合、移動体端末E1に対して、ハンドオーバー先候補の複数のセルのうちセルC1よりもセル半径の大きなセルをハンドオーバー先とするように指示する。より好ましくは、指示部213は、移動体端末E1に対して、ハンドオーバー先候補の複数のセルのうちセル半径の最も大きなセルをハンドオーバー先とするように指示する。
【0059】
基地局装置21_1の指示部213からセル半径の大きなセルをハンドオーバー先とするように指示を受けた移動体端末E1は、指示内容に従って、セルC1よりもセル半径の大きなセルを通信範囲とする基地局装置に通信対象を切り換える。より好ましくは、移動体端末E1は、ハンドオーバー先候補の複数のセルのうちセル半径の最も大きなセルを通信範囲とする基地局装置に通信対象を切り換える。
【0060】
セル半径の大きなセルに在圏する移動体端末E1は、セル半径の小さなセルに在圏する場合と比較して、短期間のうちに複数回ハンドオーバー処理を行う可能性が低くなる。それにより、移動体端末E1のハンドオーバー処理による消費電力は抑制される。ここで、移動体端末E1は、既存のものであってよく、機能のアップデートを行う必要はない。
【0061】
このように、本実施の形態に係る移動体通信システム2では、基地局装置21_1が、移動体端末E1のセル滞在履歴に基づいて、移動体端末E1の所定期間T2あたりのセル滞在回数が所定回数以上であるか否かを判定する。そして、基地局装置21_1は、移動体端末E1の所定期間T2あたりのセル滞在回数が所定回数以上であると判定した場合、移動体端末E1に対し、セルC1よりもセル半径の大きなセルをハンドオーバー先とするように指示する。それにより、移動体端末E1は、ハンドオーバー処理の頻度を低減させることができるため、機能をアップデートさせることなく消費電力を抑制することができる。
【0062】
なお、基地局装置21_2,21_3の構成及び動作については、基地局装置21_1の場合と同様であるため、その説明を省略する。また、本実施の形態では、移動体通信システム2が3個の基地局装置21を備えた場合を例に説明したが、これに限られない。移動体通信システム2は、任意の数の基地局装置21を備えることができる。このとき、各基地局装置21の構成及び動作は、基地局装置21_1の場合と同様である。
【0063】
(フローチャート)
続いて、
図7を用いて、移動体通信システム2の動作を説明する。
図7は、移動体通信システム2の動作の一例を示すフローチャートである。
【0064】
なお、本実施の形態では、移動体端末E1が、基地局装置21_1の無線通信範囲であるセルC1に在圏している場合を例に説明する。
【0065】
まず、移動体端末E1は、通信品質が変化したことをトリガにして、当該通信品質の測定結果を基地局装置21_1に報告(送信)する(ステップS201)。LTEの場合、移動体端末E1は、基地局装置21_1から指示されたイベント条件をトリガにしてMeasurement Reportメッセージを基地局装置21_1に送信する。
【0066】
基地局装置21_1は、移動体端末E1から無線品質の測定結果を受け取ると、移動体端末E1のセル滞在履歴を取得する(ステップS202)。
【0067】
セル滞在履歴の取得方法は、既に説明した通りである。具体的には、基地局装置21_1は、移動体端末E1のセル滞在履歴の送信要求を、ネットワーク24を介して管理装置22に送信する。管理装置22は、基地局装置21_1からのセル滞在履歴の送信要求を受信すると、記憶装置23から移動体端末E1のセル滞在履歴を読み出して、ネットワーク24を介して、送信要求のあった基地局装置21_1に送信する。それにより、基地局装置21_1は、移動体端末E1のセル滞在履歴を取得することができる。なお、管理装置22の機能が基地局装置21_1に設けられている場合には、基地局装置21_1によるセル滞在履歴の取得は、自装置内で行われる。
【0068】
基地局装置21_1は、取得したセル滞在履歴から、移動体端末E1の所定期間T2あたりのセルC1の滞在回数がN(Nは2以上の整数)回以上であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0069】
例えば、移動体端末E1の所定期間T2あたりのセル滞在回数がN回未満の場合(ステップS203のNO)、基地局装置21_1は、通常処理によってハンドオーバー先のセルを選択する(ステップS205)。即ち、基地局装置21_1は、複数のセルのうち、セル半径の大きさに関わらず通信品質の最も高いセルをハンドオーバー先のセルとして選択する。その後、基地局装置21_1は、移動体端末E1に対して、選択したセルをハンドオーバー先とするように指示する(ステップS206)。
【0070】
それに対し、移動体端末E1の所定期間T2あたりのセル滞在回数がN回以上の場合(ステップS203のYES)、基地局装置21_1は、上記の通常処理とは異なる処理によってハンドオーバー先のセルを選択する(ステップS204)。具体的には、基地局装置21_1は、通信品質の高い複数のセルのうち、セルC1よりもセル半径の大きなセルをハンドオーバー先のセルとして選択する(ステップS204)。
図5の例では、基地局装置21_1は、セルC2,C3のうちセルC1よりもセル半径の大きな(さらには、セルC2,C3のうち最もセル半径の大きな)セルC3をハンドオーバー先のセルとして選択する。その後、基地局装置21_1は、移動体端末E1に対して、選択したセルをハンドオーバー先とするように指示する(ステップS206)。
【0071】
図8は、移動体端末E1のセル滞在履歴の一例を示す図である。
図8のセル滞在履歴を参照すると、移動体端末E1は、最初にセルC1に5秒滞在し、その後セルC2に5秒滞在し、その後セルC1に5行滞在し、その後セルC2に5秒滞在し、その後セルC1に5秒滞在している。仮に、所定期間T2が100秒、所定回数Nが3に設定されている場合、移動体端末E1が所定期間T2あたりにセルC1に滞在する回数は3回以上となる。そのため、基地局装置21_1は、移動体端末E1に対して、ハンドオーバー先候補の複数のセルのうちセルC1よりもセル半径の大きなセルをハンドオーバー先とするように指示する。より好ましくは、基地局装置21_1は、移動体端末E1に対して、ハンドオーバー先候補の複数のセルのうちセル半径の最も大きなセルをハンドオーバー先とするように指示する。
【0072】
基地局装置21_1からセル半径の大きなセルをハンドオーバー先とするように指示を受けた移動体端末E1は、指示内容に従って、セルC1よりもセル半径の大きなセルを通信範囲とする基地局装置に通信対象を切り換える。より好ましくは、移動体端末E1は、ハンドオーバー先候補の複数のセルのうちセル半径の最も大きなセルを通信範囲とする基地局装置に通信対象を切り換える。
【0073】
このように、本実施の形態に係る移動体通信システム2では、基地局装置21_1が、移動体端末E1のセル滞在履歴に基づいて、移動体端末E1の所定期間T2あたりのセル滞在回数が所定回数以上であるか否かを判定する。そして、基地局装置21_1は、移動体端末E1の所定期間T2あたりのセル滞在回数が所定回数以上であると判定した場合、移動体端末E1に対し、セルC1よりもセル半径の大きなセルをハンドオーバー先とするように指示する。それにより、移動体端末E1は、ハンドオーバー処理の頻度を低減させることができるため、機能をアップデートさせることなく消費電力を抑制することができる。
【0074】
なお、基地局装置11及び基地局装置21のそれぞれの機能は組み合わせて用いられても良い。即ち、判定部112及び判定部212のそれぞれの機能は組み合せて用いられても良い。指示部113及び指示部213のそれぞれの機能は組み合わせて用いられても良い。
【0075】
以上、図面を参照して、本開示の実施の形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等が可能である。
【0076】
なお、本開示は、ハードウェアの処理として説明した基地局装置11や基地局装置21による通信処理を、例えばCPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。
【0077】
上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリを含む。磁気記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブなどである。光磁気記録媒体は、例えば光磁気ディスクなどである。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)などである。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0078】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0079】
(付記1)
自装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在しているか否かを判定する判定部と、
前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在していると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度を、第1頻度から当該第1頻度よりも低い頻度の第2頻度に切り換えるように指示する指示部と、
を備えた、基地局装置。
【0080】
(付記2)
前記指示部は、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定を停止するように指示する、
付記1に記載の基地局装置。
【0081】
(付記3)
前記指示部は、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度を前記第1頻度から前記第2頻度にかけて段階的に低下させるように指示する、
付記1に記載の基地局装置。
【0082】
(付記4)
前記判定部は、前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末の第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が所定回数以上であるか否かをさらに判定し、
前記指示部は、前記移動体端末の前記第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セルよりもセル半径の大きな他のセルを通信範囲とする他の基地局装置に通信対象を切り換えるようにさらに指示する、
付記1~3の何れか一項に記載の基地局装置。
【0083】
(付記5)
移動体端末と、
付記1~4の何れか一項に記載の複数の基地局装置と、
前記移動体端末のセル滞在履歴を管理する管理装置と、
を備えた、移動体通信システム。
【0084】
(付記6)
自装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末の第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が所定回数以上であるか否かを判定する判定部と、
前記移動体端末の前記第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セルよりもセル半径の大きな他のセルを通信範囲とする他の基地局装置に通信対象を切り換えるように指示する指示部と、
を備えた、基地局装置。
【0085】
(付記7)
移動体端末と、
付記6に記載の複数の基地局装置と、
前記移動体端末のセル滞在履歴を管理する管理装置と、
を備えた、移動体通信システム。
【0086】
(付記8)
基地局装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得するステップと、
取得した前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在しているか否かを判定するステップと、
前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在していると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度を、第1頻度から当該第1頻度よりも低い頻度の第2頻度に切り換えるように指示するステップと、
を備えた、通信方法。
【0087】
(付記9)
基地局装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得するステップと、
取得した前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末の第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が所定回数以上であるか否かを判定するステップと、
前記移動体端末の前記第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セルよりもセル半径の大きな他のセルを通信範囲とする他の基地局装置に通信対象を切り換えるように指示するステップと、
を備えた、通信方法。
【0088】
(付記10)
基地局装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得する処理と、
取得した前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在しているか否かを判定する処理と、
前記移動体端末が前記第1セルに第1所定期間を超えて滞在していると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セル及びそれに隣接するセルのそれぞれの通信品質の測定の頻度を、第1頻度から当該第1頻度よりも低い頻度の第2頻度に切り換えるように指示する処理と、
をコンピュータに実行させる通信プログラム。
【0089】
(付記11)
基地局装置の無線通信範囲である第1セルに在圏する移動体端末の、当該第1セルの滞在時間を含むセル滞在履歴、を取得する処理と、
取得した前記移動体端末のセル滞在履歴に基づいて、前記移動体端末の第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が所定回数以上であるか否かを判定する処理と、
前記移動体端末の前記第2所定期間あたりの前記第1セルの滞在回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記移動体端末に対して、前記第1セルよりもセル半径の大きな他のセルを通信範囲とする他の基地局装置に通信対象を切り換えるように指示する処理と、
をコンピュータに実行させる通信プログラム。
【符号の説明】
【0090】
1 移動体通信システム
2 移動体通信システム
11 基地局装置
11_1 基地局装置
11_2 基地局装置
12 管理装置
13 記憶装置
14 ネットワーク
21 基地局装置
21_1 基地局装置
21_2 基地局装置
21_3 基地局装置
22 管理装置
23 記憶装置
24 ネットワーク
111 取得部
112 判定部
113 指示部
211 取得部
212 判定部
213 指示部
C1 セル
C2 セル
C3 セル
E1 移動体端末