(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】可変的なセットポイント設定を使用して測定装置により測定対象の表面の特性を測定する方法、この方法が遂行されるための原子顕微鏡及びこの方法が遂行されるために格納媒体に格納されたコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01Q 10/04 20100101AFI20240730BHJP
G01Q 60/24 20100101ALI20240730BHJP
【FI】
G01Q10/04
G01Q60/24
(21)【出願番号】P 2023513931
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 KR2021013060
(87)【国際公開番号】W WO2022065926
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0123750
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0125985
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515304628
【氏名又は名称】パーク システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、アージン
(72)【発明者】
【氏名】ベイク、セウン フン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、セオンフン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ビョウン-ウーン
(72)【発明者】
【氏名】パク、サン-イル
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0227097(US,A1)
【文献】米国特許第09110092(US,B1)
【文献】特開平07-325090(JP,A)
【文献】特開2004-125540(JP,A)
【文献】特表平10-507000(JP,A)
【文献】米国特許第06244103(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01Q 10/00 - 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップと測定対象の表面間の相互作用を測定することで前記測定対象の特性を測定する測定装置により前記測定対象の表面の特性を測定する方法であって、前記測定対象の表面に前記チップを接近させて接触させるアプローチ動作と持ち上げる動作を繰り返し遂行して前記測定対象の表面の特性を測定する方法において、
前記アプローチ動作は、特性値がセットポイントに達するように制御される動作で遂行され、
前記セットポイントは、前記アプローチ動作が遂行される地点の
形状に基づいて可変的に設定され
、
前記特性値は、前記チップと前記測定対象間の距離によって変化する値であり、
前記セットポイントは、前記チップの移動距離に基づく前記チップと前記測定対象間の距離の減少量に対する前記特性値の変化量が特定値が以上である場合に決定される、測定対象の表面の特性を測定する方法。
【請求項2】
前記特性値は、前記チップが前記測定対象を押す力である、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記セットポイントは、力-セットポイントであり、
前記力-セットポイントは、前記チップと前記測定対象間の距離の減少量Δzに対する前記チップが前記測定対象の表面を押す力の変化量ΔFが特定値以上である場合に決定される、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記力-セットポイントは、前記チップと前記測定対象間の現在距離z
currentから前記減少量Δzを引いた値に対する距離で測定された力に前記力の変化量ΔFを足して決定される、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記力-セットポイントは、予め決定された最大力-セットポイントを超えないように設定される、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
チップとカンチレバーを備える探針部により、測定対象の表面を測定するように構成された原子顕微鏡において、
前記チップが前記測定対象の表面に対してXY方向に相対移動するように、前記測定対象を移動させるように構成されるXYスキャナ;
前記探針部が取り付けられ得るように構成され、前記カンチレバーの振動または反りを測定できる光学システム及び前記光学システムにより得られるデータに基づいて前記チップと前記測定対象の表面間の距離を制御するように前記探針部をZ方向に移動させるように構成されるZスキャナを含むヘッド;及び
前記XYスキャナ及び前記ヘッドを制御するコントローラ;を含み、
前記コントローラは、
前記測定対象の表面に前記チップを接近させて接触させるアプローチ動作と持ち上げる動作を繰り返し遂行して前記測定対象の表面の特性を測定するように前記XYスキャナ及び前記ヘッドを制御し、
前記アプローチ動作は、特性値がセットポイントに達するように制御される動作で遂行され、前記セットポイントは、前記アプローチ動作が遂行される地点の
形状に基づいて可変的に設定され
、
前記特性値は、前記チップと前記測定対象間の距離によって変化する値であり、
前記セットポイントは、前記チップの移動距離に基づく前記チップと前記測定対象間の距離の減少量に対する前記特性値の変化量が特定値が以上である場合に決定される、原子顕微鏡。
【請求項7】
前記請求項1に記載の方法を遂行するために格納媒体に格納されたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変的なセットポイント設定を使用して測定装置により測定対象の表面の特性を測定する方法、この方法が遂行されるための原子顕微鏡及びこの方法が遂行されるために格納媒体に格納されたコンピュータプログラムに関し、より具体的には、ピンポイントモードのアプローチ動作時、アプローチされる地点の状態に基づいて可変的にセットポイントを設定することで測定対象の表面の特性を測定する方法、この方法が遂行されるための原子顕微鏡及びこの方法が遂行されるために格納媒体に格納されたコンピュータプログラムに格納されたコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
走査探針顕微鏡(SPM、Scanning Probe Microscope)は、MEMS工程等を通して作製された微細なチップ(プローブ)を試料の表面上にスキャンさせながら(Scanning)、その測定対象の表面特性を測定して3Dイメージで示す顕微鏡をいう。このような走査探針顕微鏡は、測定方式によって、原子顕微鏡(AFM、Atomic Force Microscope)、走査トンネリング顕微鏡(STM、Scanning Tunneling Microscope)等に細分化される。
【0003】
走査探針顕微鏡でチップが測定対象の表面に追随しながらスキャンすることが一般的であるが、チップと測定対象の表面間の間隔をフィードバック制御するとしてもチップと測定対象の表面間の衝突は起こるようになり、チップが損傷される原因になる。このような損傷を減らそうとチップを測定対象の表面にアプローチし、一定高さにチップを持ち上げ、他の位置にチップを移動させ、またチップを測定対象の表面にアプローチする動作を繰り返すことで、特定の地点だけの高さをそれぞれ測定して測定対象の表面のトポグラフィーを得る試みがあってきた(特許文献1参照)。
【0004】
また、チップ損傷を最小化させるという目的の他に、EFMやMFMのようなオプション信号で測定対象の表面の屈曲イメージが反映されないように、上述した技術を活用する試みもあってきた(特許文献2参照)。このような技術を別名ピンポイントモード(PinPoint Mode)と称することもある。
【0005】
一方、半導体の微細化、集積化が進むにつれ、狭くて深いトレンチ(Trench)構造が生じた。このような狭くて深いトレンチの形状を得るために原子顕微鏡のような走査探針顕微鏡が活用されるが、狭くて深いという形状特性上、少なくともトレンチの高さよりは長いチップを選定しなければならない。また、トレンチの側壁との干渉が最小化されるようにチップはできるだけ薄くなければならない。このようなチップの制限要素のため、長いチップが狭くて深いトレンチの表面に追随するように制御することは非常に難しい。
【0006】
これによって、狭くて深いトレンチ形状を測定するためにピンポイントモードが活用されることもある。長いチップを利用したピンポイントモードの適用において、一般に事前に定められた力-セットポイントを設定して接触モードのアプローチを遂行する。狭くて深いトレンチである場合、側壁からの力干渉に耐えるために非常に高い力-セットポイントを設定するようになるが、これによってチップの破損をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国特開2004-132823号(発明の名称:サンプリング走査プローブ顕微鏡及び走査方法)
【文献】韓国登録特許第10-2102637号(発明の名称:トポグラフィー信号及びオプション信号獲得方法、装置及びそれを備える原子顕微鏡)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような問題点を解決するために案出されたものであって、ピンポイントモードのアプローチ動作時、アプローチされる地点の状態に基づいて可変的にセットポイントを設定することで測定対象の表面の特性を測定する方法、この方法が遂行されるための原子顕微鏡及びこの方法が遂行されるために格納媒体に格納されたコンピュータプログラムに格納されたコンピュータプログラムを提供することにある。
【0009】
本発明の課題は、以上において言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための本発明の一実施例に係る方法は、チップと測定対象の表面間の相互作用を測定することで前記測定対象の特性を測定する測定装置により前記測定対象の表面の特性を測定する方法であって、前記測定対象の表面に前記チップを接近させて接触させるアプローチ動作と持ち上げる動作を繰り返し遂行して前記測定対象の表面の特性を測定する方法である。前記アプローチ動作は、特性値がセットポイントに達するように制御される動作で遂行され、前記セットポイントは、前記アプローチ動作が遂行される地点の状態に基づいて可変的に設定される。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、前記特性値は、前記チップと前記測定対象間の距離によって変化する値である。
【0012】
本発明のまた他の特徴によれば、前記セットポイントは、前記チップと前記測定対象間の距離の減少量に対する前記特性値の変化量が特定値が以上である場合に決定される。
【0013】
本発明のまた他の特徴によれば、前記特性値は、前記チップが前記測定対象を押す力である。
【0014】
本発明の他の特徴によれば、前記セットポイントは、力-セットポイントであり、前記力-セットポイントは、前記チップと前記測定対象間の距離の減少量Δzに対する前記チップが前記測定対象の表面を押す力の変化量ΔFが特定値以上である場合に決定される。
【0015】
本発明のまた他の特徴によれば、前記力-セットポイントは、前記チップと前記測定対象間の現在距離zcurrentから前記減少量Δzを引いた値に対する距離で測定された力に前記力の変化量ΔFを足して決定される。
【0016】
本発明のまた他の特徴によれば、前記力-セットポイントは、予め決定された最大力-セットポイントを超えないように設定される。
【0017】
前記課題を解決するための本発明の一実施例に係る原子顕微鏡は、チップとカンチレバーを備える探針部により、測定対象の表面を測定するように構成される。この原子顕微鏡は、前記チップが前記測定対象の表面に対してXY方向に相対移動するように、前記測定対象を移動させるように構成されるXYスキャナ;前記探針部が取り付けられ得るように構成され、前記カンチレバーの振動または反りを測定できる光学システム及び前記光学システムにより得られるデータに基づいて前記チップと前記測定対象の表面間の距離を制御するように前記探針部をZ方向に移動させるように構成されるZスキャナを含むヘッド;及び、前記XYスキャナ及び前記ヘッドを制御するコントローラ;を含む。前記コントローラは、前記測定対象の表面に前記チップを接近させて接触させるアプローチ動作と持ち上げる動作を繰り返し遂行して前記測定対象の表面の特性を測定するように前記XYスキャナ及び前記ヘッドを制御し、前記アプローチ動作は、特性値がセットポイントに達するように制御される動作で遂行され、前記セットポイントは、前記アプローチ動作が遂行される地点の状態に基づいて可変的に設定するように制御される。
【0018】
前記課題を解決するための本発明の一実施例に係るコンピュータプログラムは、上述した方法を遂行するための格納媒体に格納される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の方法によれば、測定対象の表面の状況によって異なるセットポイントを設定することで過度な押しによるチップの損傷を防止しながらも特定の部分では側壁との相互作用に耐えてチップが下部平面まで接触するようにすることで正確な測定対象の特性を得ることができるピンポイントモードを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】XYスキャナとZスキャナが分離された原子顕微鏡の概略的な斜視図である。
【
図2】光学システムを利用して測定対象を測定する方式を説明した概念図である。
【
図3】本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法の概略的なフローチャートである。
【
図4】本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法を概略化して示した概念図である。
【
図5】アプローチされる地点によるF-Dカーブを示す図である。
【
図6】上部角部分で多様なアプローチ状況によるF-Dカーブを示す図である。
【
図7】側壁に接触しながらアプローチされる状況によるF-Dカーブを示す図である。
【
図8】チップが側壁とは接触せずに底にアプローチされる状況によるF-Dカーブを示す図である。
【
図9】本発明に係る可変的力-セットポイント設定方式を示したF-Dカーブのグラフである。
【
図10】測定対象の形状による力-セットポイントを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると、明確になるだろう。しかし、本発明は、以下において開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現され、単に、本実施例は、本発明の開示が完全なものとなるようにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇により定義されるだけである。
【0022】
第1、第2等が多様な構成要素を述べるために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語により制限されないことはもちろんである。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。従って、以下において言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよいことはもちろんである。併せて、第1コーティング後、第2コーティングを行うと記載したとしても、その反対の順にコーティングを行うことも本発明の技術的思想内に含まれることはもちろんである。
【0023】
本明細書において図面符号を使用するにあたって、図面が異なる場合でも同じ構成を示している場合は、できるだけ同じ図面符号を使用する。
【0024】
図面で示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために示されたものであり、本発明は、示された構成の大きさ及び厚さに必ずしも限定されるものではない。
【0025】
【0026】
本発明を実行するための原子顕微鏡の構成
【0027】
【0028】
まず、本発明の方法を遂行するための測定装置としての原子顕微鏡の構成について例示として説明する。
【0029】
図1は、XYスキャナとZスキャナが分離された原子顕微鏡の概略的な斜視図であり、
図2は、光学システムを利用して測定対象を測定する方式を説明した概念図である。
【0030】
図1を参照すると、原子顕微鏡100は、探針部110と、XYスキャナ120と、ヘッド130と、Zステージ140と、固定フレーム150と、コントローラ160を含んで構成される。
【0031】
探針部110は、カンチレバー111とチップ112を備え、チップ112が測定対象1の表面に接触または非接触状態で沿うように構成される。探針部110は、以下の他の構成と別に提供され得、後述するヘッド130に固定して使用する。
【0032】
XYスキャナ120は、チップ112が測定対象1の表面に対して第1方向に相対移動するように、測定対象1を移動させるように構成される。具体的に、XYスキャナ120は、測定対象1をXY平面でX方向及びY方向にスキャンするように機能する。
【0033】
ヘッド130は、探針部110が取り付けられ得るように構成され、カンチレバー111の振動または反りを測定できる光学システム及びこの光学システムにより得られるデータに基づいてチップと測定対象の表面間の距離を制御するように探針部110を少なくとも第2方向及びその反対方向に移動させるように構成されるZスキャナ131を含む。光学システムは、
図2を参照して後述する。ここで、Zスキャナ131は、探針部110を比較的に小さな変位で移動させる。
【0034】
Zステージ140は、探針部110とヘッド130を相対的に大きな変位でZ方向に移動させる。
【0035】
固定フレーム150は、XYスキャナ120とZステージ140を固定する。
【0036】
コントローラ160は、少なくともXYスキャナ120、ヘッド130及びZステージ140を制御するように構成される。
【0037】
一方、原子顕微鏡110は、大きな変位でXYスキャナ120をXY平面上で移動させることができるように構成される図示しないXYステージをさらに含むことができる。この場合、XYステージは、固定フレーム150に固定されるだろう。
【0038】
原子顕微鏡100は、測定対象1の表面を探針部110でスキャンしてトポグラフィー(topography)等のイメージを得る。測定対象1の表面と探針部110間の相対移動は、XYスキャナ120により行われ得、測定対象1の表面に沿うように探針部110を上下に移動させることは、Zスキャナ131により行われ得る。一方、探針部110とZスキャナ131は、プローブアーム(probe arm)132により連結される。
【0039】
図2を参照すると、XYスキャナ120は、測定対象1を支持し、測定対象1をXY方向にスキャンする。XYスキャナ120の駆動は、例えば、圧電アクチュエータ(piezoelectric actuator)により発生でき、本実施例のようにZスキャナ131と分離された場合は、積層された圧電駆動機(staced piezo)を使用することもできる。XYスキャナ120については、本出願人が登録権者である韓国登録特許第10-0523031号(発明の名称:走査探針顕微鏡でのXYスキャナ及びその駆動方法)及び第10-1468061号(発明の名称:スキャナの制御方法とそれを利用したスキャナ装置)を参照する。
【0040】
Zスキャナ131は、探針部110と連結され、探針部110の高さを調節できる。Zスキャナ131の駆動もXYスキャナ120のように圧電アクチュエータにより行われてもよい。Zスキャナ131については、本出願人が登録権者である韓国登録特許第10-1476808号(発明の名称:スキャナ装置及びそれを含む原子顕微鏡)を参照する。Zスキャナ131が収縮すると、探針部110は、測定対象1の表面から遠くなり、Zスキャナ131が拡張されると、探針部110は、測定対象1の表面に近くなる。
【0041】
XYスキャナ120とZスキャナ131は、
図1及び
図2のように分離されて別個の部材で存在することもできるが、チューブ型圧電アクチュエータにより一つの部材に統合されて存在することもできる。このようなチューブ型圧電アクチュエータの場合、XY方向の移動とZ方向の移動を共に行うことができるが、XY方向への挙動とZ方向への挙動がカップリングされてイメージを歪める問題を有している。しかし、このような限界にもかかわらず、このような構造が本発明に活用され得ることはもちろんである。このようなXYZ統合型スキャナは、米国特許公開第2012-0079635A1(発明の名称:Methods and devices for correcting errors in atomic force microscopy)等に開示されており、この他にも公知の原子顕微鏡の構造が使用され得る。
【0042】
ヘッド130は、探針部110のカンチレバー111の振動または反りを測定できる光学システムを有し、この光学システムは、レーザ発生ユニット132とディテクタ(detector)133を含む。
【0043】
レーザ発生ユニット132では、レーザ光(点線で示す)を探針部110のカンチレバー111の表面に照射し、カンチレバー111の表面から反射したレーザ光は、PSPD(Position Sensitive Photo Detector)のような2軸のディテクタ133に結像する。このようなディテクタ133で検出される信号は、制御のためにコントローラ160に送られる。
【0044】
コントローラ160は、XYスキャナ120とZスキャナ131と連結されて、XYスキャナ120とZスキャナ131の駆動を制御する。また、コントローラ160は、ディテクタ133から得られた信号をADCコンバータによりデジタル信号に変換し、これを活用して探針部110のカンチレバー111の反り、ねじれ等の程度を判断できる。コントローラ160には、コンピュータが統合されていてもよく、別途のコンピュータとコントローラ160と連結されていてもよい。コントローラ160は、一つに統合されてラックに入れられてもよいが、2つ以上に分割されて存在してもよい。
【0045】
コントローラ160は、測定対象1をXYスキャナ120によりXY方向にスキャンできるようにXYスキャナ120を駆動する信号を送る一方、探針部110が測定対象1の表面と一定の相互力を有するように(即ち、カンチレバー111が一定の程度の反りを維持するように、またはカンチレバー111が一定の振幅で振動するように)Zスキャナ131を制御する。即ち、コントローラ160は、ソフトウェア的なまたは電気回路的な閉ループフィードバックロジック(closed loof feedback logic)を有する。また、コントローラ160は、Zスキャナ131の長さ(またはZスキャナ131に使用されたアクチュエータの長さ)を測定するか、Zスキャナ131に使用されたアクチュエータに印加される電圧等を測定することで、測定対象1の表面の形状データ(topography)を得る。
【0046】
ここで、探針部110のチップ112は、測定対象1の表面と接触した状態で測定対象1の表面と相対移動をすることもでき(これを「接触モード」という)、表面と接触していない状態で振動しながら測定対象1の表面と相対移動をすることもでき(これを「非接触モード」という)、また測定対象1の表面を叩く状態で振動しながら測定対象1の表面と相対移動をすることもできる(これを「タッピングモード」(tapping mode)という)。このような多様なモードは、既存に開発されたモードに該当するので、詳細な説明は省略する。
【0047】
一方、コントローラ160が得る測定対象1の表面に関するデータは、形状データ以外に多様であり得る。例えば、探針部110に磁力を帯びるようにするか、静電力等を加える特殊な処理をすることで、測定対象1の表面の磁力に関するデータ、静電気力に関するデータ等を得ることができる。このような原子顕微鏡のモードは、MFM(Magnetic Force Microscopy)、EFM(Electrostatic Force Microscopy)等があり、これは公知の方法を使用して具現され得る。この他にも、測定対象1の表面に関するデータは、表面の電圧、表面の電流等であってもよい。
【0048】
一方、ヘッド130の構成は、説明の便宜上、必須な構成要素のみを記載しただけで、この他の光学システム等の具体的な構成は省略したことに留意すべきであり、例えば、ヘッド130には、韓国登録特許第10-0646441号に開示された構成がさらに含まれ得る。
【0049】
【0050】
測定対象の表面の特性を測定する方法
【0051】
【0052】
以下、添付の図面を参考にして本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法の実施例について説明する。
【0053】
図3は、本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法の概略的なフローチャートであり、
図4は、本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法を概略化して示した概念図である。
【0054】
図3を参照すると、本発明の測定対象の表面の特性を測定する方法は、チップと測定対象の表面間の相互作用を測定することで測定対象の特性を測定する
図1及び
図2において例示した原子顕微鏡100のような測定装置によりなされ、アプローチステップ(S10)と、リフトステップ(S20)と、シフトステップ(S30)を含む。以下、本方法についての説明は、
図1及び
図2も共に参照する。
【0055】
まず、測定対象の表面の特定の位置(第1位置)にチップ112が接触するように位置させる(アプローチステップ、S10)。
【0056】
図4を参照すると、本ステップ(S10)で、測定装置は、a地点に位置したチップの端をb地点(第1位置)に送って接触させる動作を遂行する。a地点は、任意の位置であって、以前のシフトステップ(S30)が完了した後のチップ112の端の位置であってよい。アプローチ後のチップ112の位置(第1位置)は、測定しようとする任意の地点である。
【0057】
アプローチステップ(S10)は、Zスキャナ131を利用してチップ112を測定対象1の表面に近接させることでなされる。アプローチステップ(S10)は、チップ112の端が測定対象1の表面を特定の力で押すようにすることで完了する。チップ112の端が特定の力で押されるとカンチレバー111が反るようになり、カンチレバー111の反りは、レーザ発生ユニット133とディテクタ134を含む光学システムにより感知される。カンチレバー111が一定程度反るようになると、アプローチステップ(S10)が完了し、チップ112の端の位置に対するデータが収集される。このようなデータは、Zスキャナ131から得られることもあり、Zスキャナ131に取り付けられた長さセンサ(例えば、ストレインゲージセンサ)等により得られることもある。この他にアプローチステップ(S10)での具体的な制御方式は後述する。
【0058】
アプローチステップ(S10)が完了した後、上述したデータが得られると、接触したチップ112を測定対象の表面から離隔させる(リフトステップ、S20)。
【0059】
図4を参照すると、本ステップ(S20)で、測定装置は、b地点に位置したチップ112の端をc地点にリフトさせる。参考までに、c地点は、a地点と同一であってもよく、
図4のように同一でなくてもよい。チップ112をz方向に移動させるZスキャナ131が完全な直進性を具現するならば、a、c地点は一致し、アプローチステップ(S10)によるチップ112の経路とリフトステップ(S20)によるチップ112の経路は互いに重畳され得る。
【0060】
リフトステップ(S20)により持ち上げられたチップ112は、他の地点でのデータ収集のために第1位置と異なる位置(第2位置)上に位置されるように制御される(シフトステップ、S30)。
【0061】
図4を参照すると、本ステップ(S30)で、測定装置は、c地点に位置したチップの端を第2位置の上側に位置するd地点に移動させる。このようなチップ112の移動は、チップ112を移動させても具現され得るが、XYスキャナ120により測定対象1を移動させても具現され得る。
図1及び
図2に示された測定装置によれば、XYスキャナ120を制御して測定対象1を移動させることでシフトステップ(S30)が遂行され得る。
【0062】
ここで、シフトステップ(S30)は、
図4に示されたように、X方向と水平にチップ112を移動させるように具現されてもよいが、計画された他の位置上に移動させることさえできれば、どのような経路を有しても構わない。
【0063】
また、リフトステップ(S20)にシフトステップ(S30)が含まれて別途のステップで遂行されなくてもよい。リフトステップ(S20)の遂行時、チップ112を持ち上げながら水平移動させることでリフトステップ(S20)が省略され得る。
【0064】
上述したアプローチステップ(S10)、リフトステップ(S20)及びシフトステップ(S30)が測定対象1の表面の複数の位置に対して繰り返し遂行されることで、測定対象1の特性を測定できる。ここで、測定対象1の特性は、測定対象1の表面のトポグラフィー(topography)等であってよい。しかし、この他にもチップ(1)に特殊な特性(磁気的特性、電気的特性等)を付与することでトポグラフィー以外の情報を得ることもできる。
【0065】
図4のようにX方向に沿って測定対象1の表面の複数の位置に対して上述したステップ(S10、S20、S30)を繰り返し遂行して通常の接触モードや非接触モードで得ることのできるデータを得ることができる。特に、
図4において例示された深くて狭いトレンチ構造の測定で既存の接触モードや非接触モードでは測定対象1の表面にチップ112が追随するために非常にややこしいフィードバック条件を見出さなければならず、フィードバック条件が満足されなければチップ112が測定対象1に衝突するようになって優れていないイメージを得るようになることはもちろん、チップ112をよく取り替えなければならない問題も有していた。これに対して、本発明による方法を活用すれば、深くて狭いトレンチ構造の測定でもチップ112の損傷を最小化させながら優れたイメージを得ることができる。
【0066】
【0067】
多様なアプローチ状況でのF-Dカーブ
【0068】
【0069】
図5は、アプローチされる地点によるF-Dカーブを示す図であり、
図6は、上部角部分で多様なアプローチ状況によるF-Dカーブを示す図であり、
図7は、側壁に接触しながらアプローチされる状況によるF-Dカーブを示す図であり、
図8は、チップが側壁とは接触せずに底にアプローチされる状況によるF-Dカーブを示す図である。
【0070】
図5から
図8を参照して、深くて狭いトレンチ構造の測定において、アプローチ動作時に発生し得る様々な状況について説明する。
【0071】
まず、
図5を参照すると、チップ112は、Aのような上部平面部分、Bのような上部角部分、Cのような側壁部分、Dのような下部平面部分にアプローチされ得る。
【0072】
Aのような上部平面部分のアプローチの場合、チップ112と測定対象1の距離Dが減少するほど(即ち、アプローチ動作が進行するほど)、チップ112と測定対象1間の力が作用せず、チップ112が測定対象1の表面にくっついた後(負の力が作用)、さらにアプローチが進行するとチップ112が測定対象1の表面を押すことで押し力Fが大きくなる。
【0073】
Bのように上部角部分にチップ112の端が接触しながらアプローチが遂行される場合、チップ112と角部分が当たった瞬間、押し力Fが増加するようになり、滑りが発生しながら押し力Fが減少して、押し力Fが一時的に増加してから減少する形態が現れる。以後には側壁を接触しながらチップ112が下降しながら押し力Fが増加し、下部平面に接触すると押し力Fが急激に増加するようになる。
【0074】
Cのように上部角部分にチップ112が当たることなく直に側壁にチップ112が接触した後、接触状態でチップ112が側壁に追随しながら下がる場合、押し力Fが急に増加してから減少する部分が現れることはないが、側壁との摩擦により距離Dによって押し力Fが多少大きくなる区間が存在する。
【0075】
Dのように側壁とチップ112が接触することはないが直に下部平面に当たるようにアプローチが進行する場合にも、側壁との相互作用により距離Dによって押し力Fが多少大きくなる区間が存在する。
【0076】
このように、AからDのような状況が発生し得るが、A、Bのような場合、大きな力-セットポイントを設定する必要がないのに対し、C、Dのような場合に十分でない力-セットポイント設定をすればチップ112が下部平面に当たる前にアプローチを中断するようになって所望の測定値を得ることができなくなる。即ち、C、Dのような場合にもチップ112が下部平面まで十分に当たるようにするために多少高い力-セットポイントを設定するようになるが、むしろBのような場合、所望しない角での滑りが発生してチップ112が損傷され、所望しないデータを得るようになる。これによって、各状況別に異なる力-セットポイント設定が必要である。
【0077】
図6は、上部角部分にチップが接触する多様な形態を示す。まず、チップ112の中心とd
1の間隔をもって接触する場合、角で大きな力の反作用力が作用するようになるので、滑って下がるまで大きな力が必要であり、これによってF-Dカーブで最も高いピーク(peak)が形成される。d
1より大きなd
2の間隔を有するようにチップ112が角と接触する場合はより小さなピークが形成され、d
2よりさらに大きな間隔であるd
3の場合、ピークが最も小さい。
【0078】
一方、F-Dカーブでピークを過ぎた区間ではチップ112が側壁を滑って下がるので、摩擦力等によりDが小さくなるにつれてFが漸進的に大きくなる区間が存在するようになり、チップ112が下部平面に当たる瞬間、Fが急激に増加する。
【0079】
仮に、力-セットポイントをFsetと設定しておいたとしたら、2番目と3番目の例示の場合、滑りが発生しながらチップ112を下部平面まで押し下げる動作が遂行されながらチップ112が損傷されるようになる。従って、
図6のような状況では、力-セットポイントをチップ112が平面に当たることを基準に設定することが好ましくない。
【0080】
図7を参照すると、チップ112が側壁に付いてアプローチされるとき、側壁と接触しながら下がる区間(2~3区間)がF-Dカーブに現れることを確認することができる。2~3区間の傾きは、側壁の粗さ、角度等によって変わり得る。
【0081】
また、チップ112に対して側壁から摩擦による力が作用すること以外に、側壁から引力または斥力が作用する。このような側壁による力は、チップ112の端にのみ作用するのではなく、チップ112の側面にも作用して、チップ112に作用する力に影響を及ぼす。このような側壁による力は、チップ112の移動方向と反対方向に作用する。
【0082】
チップ112が
図6のように角に接触することとは異なり側壁に付く場合は、チップ112が下部平面まで押し下げられて初めて所望の結果を得ることができる。即ち、チップ112は、2~3区間を過ぎて4あるいは5の区間までは進行しなければならない。それゆえ、
図6のような場合とは異なりより高い力-セットポイントが要求される。
【0083】
図8の場合、側壁と当たらずチップ112が直に下部平面に当たるようになるが、側壁の存在によってトレンチの内部にチップ112の端が入る瞬間、F-Dカーブでの傾きの変化が発生する。もちろん、
図7のようにチップ112に摩擦力が作用することはないが、チップ112と側壁が非常に近接するので相互作用による力が発生する。
【0084】
チップ112に影響を及ぼす側壁の個数が増加すると側壁との関係で発生する力が大きくなるので、F-Dカーブでの傾きは増加する。即ち、1個の側壁と近接した場合と2個の側壁と近接した場合には、
図8のようなF-Dカーブでの差を発生させる。
【0085】
図8のような場合、低い力-セットポイントの設定は、チップ112が下部平面に当たる前にアプローチが完了したと判断してチップ112を持ち上げるエラーを導出するようになる。即ち、狭くて深いトレンチ構造では、下部平面に直接チップ112が接触するようになる場合でも、多少高い力-セットポイント設定が必要である。
【0086】
【0087】
本発明に係る力-セットポイント設定方法
【0088】
【0089】
上述したように、狭くて深いトレンチ構造をピンポイントモードで測定するためには、アプローチされる状況別に異なる力-セットポイントを設定することが必要である。しかし、測定対象1の形状を予め認知していても各区域別に力-セットポイントを可変的に設定することが難しいため、下記のような方法を提示する。
【0090】
図9は、本発明に係る可変的力-セットポイント設定方式を示したF-Dカーブのグラフであり、
図10は、測定対象の形状による力-セットポイントを例示した図である。
【0091】
図9の(a)は、
図5のA状況でのF-Dカーブを示し、
図9の(b)は、
図5のB状況及び
図6でのF-Dカーブを示し、
図9の(c)は、
図5のCあるいはD状況、
図7及び
図8でのF-Dカーブを示す。
【0092】
このような多様な状況でのF-Dカーブを観察するとき、力-セットポイント設定は、アプローチ動作が遂行される地点の状態に基づいて可変的に設定されることが好ましい。
【0093】
具体的に、力-セットポイントは、チップ112と測定対象1間の距離の減少量Δzに対するチップ112が測定対象1の表面を押す力の変化量ΔFが特定値以上である場合(即ち、ΔF/Δz>K、ここで、Kは、事前設定された任意の値)、決定されることが好ましい。
【0094】
さらに具体的に、力-セットポイントは、下記(式1)のようにチップ112と測定対象1間の現在距離zcurrentから減少量Δzを引いた値に対する距離で測定された力に力の変化量ΔFを足して決定されることが好ましい。
【0095】
【0096】
Fset(z)=F(zcurrent-Δz)+ΔF (式1)
【0097】
【0098】
図9のようなF-DカーブでΔF/Δzは傾きとして示されるが、接近距離に比して大きな力の変化が感知されるとアプローチ動作を完了することで力-セットポイントが可変的に決定され得る。
図9においては、点線のような傾きより大きな力の変化が感知されるとき、力-セットポイントが決定されるように例示される。
【0099】
図9の(a)を参照すると、アプローチが進行してFaを力-セットポイントとしてアプローチが完了し、比較的に低い力-セットポイントが設定される。
【0100】
図9の(b)を参照すると、アプローチが進行してFbを力-セットポイントとしてアプローチが完了し、比較的に低い力-セットポイントが設定される。即ち、角にチップ112が接触する場合には、側壁に滑って下がる前にアプローチが完了する。
【0101】
図9の(c)を参照すると、アプローチが進行してチップ112が側壁と接触しながら滑って下がるか、側壁からの相互作用による力が作用して緩やかに力が増加する区間ではΔF/Δzが特定値Kより小さくてアプローチが進行し続け、初めて下部平面にチップ112が当たって急激に力が増加するとき、アプローチが完了する。即ち、Fcのような比較的に大きな値を有する力-セットポイントが設定される。
【0102】
しかし、力-セットポイントは、予め決定された最大力-セットポイントを超えないように設定されることが好ましい。ここで、予め決定された最大力-セットポイントは、Fcより若干大きな値に決定することが好ましい。
【0103】
ここで、Kは、
図9の(b)のような角部分にチップ112が接触する時に増加する力の傾きよりは小さく、
図9の(c)のように側壁により影響を受ける区間で増加する力の傾きよりは大きく設定されることが好ましい。このようなKの設定は、角部分では滑って下がることを防止し、側壁と当たった時には下部平面の果てまでチップ112を押し下げるために必要である。例えば、Δzが10~20nmである場合、ΔFが5~10nNが適正であると確認されたら、Kを0.5N/mに設定できる。
【0104】
図10を参照すると、上部角部分まで低い力-セットポイントに設定され、側壁との接触が伴いながらチップ112がアプローチされる区間では高い力-セットポイントが設定されることを確認することができる。
【0105】
また、左側の多少広いトレンチの場合、側壁と接触することはなくても相互作用がある近い区間では最小の力-セットポイントよりは高い力-セットポイントが設定されることが分かり、中央部分では上部平面とほぼ同じ力-セットポイントが設定されることが分かる。
【0106】
これに対して、右側の狭いトレンチの場合、トレンチの中央にアプローチが進行しても2個の側壁による相互作用で相対的に高い力-セットポイントが設定されることが分かる。
【0107】
このように、測定対象の表面の状況によって異なる力-セットポイントを設定することで過度な押しによるチップ112の損傷を防止しながらも特定の部分では側壁との相互作用に耐えてチップ112が下部平面まで接触するようにすることで正確な測定対象1の形状を得ることができる。
【0108】
以上においては、力-セットポイントでもってアプローチステップを遂行することを例示したが、これに限定されるものではない。
【0109】
アプローチ動作は、特性値がセットポイントに達するように制御する動作で遂行され、セットポイントは、アプローチ動作が遂行される地点の状態に基づいて可変的に設定され得る。
【0110】
ここで、特性値は、チップ112と測定対象1間の距離によって変化する値に定められなければならず、上で例に挙げたようなチップ112と測定対象1間の力(押し力)の他に多様な値に定められ得る。例えば、チップ112と測定対象1間に電流が発生したらその電流値であってよく、チップ112が振動する非接触モードである場合は、振幅値であってよい。
【0111】
即ち、セットポイントは、チップ112と測定対象1間の距離の減少量に対する特性値の変化量、即ち、傾きが特定値以上である場合に決定されることで、アプローチ動作を制御できる。
【0112】
上で説明した押し力で力-セットポイントを決定する方式が他の特性値に対しても同一に適用され得る。
【0113】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者は、本発明のその技術的思想や必須な特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施され得るということが理解できるだろう。それゆえ、以上において記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解すべきである。