(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】コンタクトハウジング、電気コネクタ、および電気ケーブルハーネス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/514 20060101AFI20240730BHJP
H01R 13/42 20060101ALI20240730BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20240730BHJP
H01R 13/506 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01R13/514
H01R13/42 C
H01R13/46 301M
H01R13/506
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018101107
(22)【出願日】2018-05-28
【審査請求日】2021-05-20
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】10 2017 111 813.6
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】コスマルスキ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シャル,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ステパノヴィッチ,ゾラン
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】小川 恭司
【審判官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-111777(JP,U)
【文献】特開平10-270114(JP,A)
【文献】特開平2-223171(JP,A)
【文献】特開2006-294580(JP,A)
【文献】特開2009-54473(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0202753(US,A1)
【文献】特開2009-211995(JP,A)
【文献】特開2016-181486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40 - 13/533
H01R 24/00 - 24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の電気コンタクトユニット(30)を有する電気コネクタ用
であって、自動車産業向けの電気プラグコネクタまたは嵌合コネクタ用のコンタクトハウジング(1)であって、
少なくとも2つのコンタクトハウジングモジュール(10、20)を有し、前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)内に複数の電気コンタクトユニット(30)をそれぞれ設けることができ、前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)によって、前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)内に前記電気コンタクトユニット(30)のコンタクト固定手段を相互にもたらすことができる、コンタクトハウジング(1)において、
前記コンタクト固定手段は、コンタクト固定コーム(120、220)として形成され、第1のコンタクトハウジングモジュール(10/20)のコンタクト固定コーム(120/220)が、第2のコンタクトハウジングモジュール(20/10)内に係合することができるように形成され、前記第2のコンタクトハウジングモジュール(20/10)のコンタクト固定コーム(220/120)が、前記第1のコンタクトハウジングモジュール(10/20)内に係合することができるように形成され、
第1のコンタクトハウジングモジュール(10/20)のコンタクト固定コーム(120/220)のコンタクト固定歯(122/222)は、前記第1のコンタクトハウジングモジュール(10/20)において隣接する前記電気コンタクトユニット(30)間の位置で第2のコンタクトハウジングモジュール(20/10)に向けて延び、前記第2のコンタクトハウジングモジュール(20/10)内で単一の前記電気コンタクトユニット(30)に対向し、
前記第2のコンタクトハウジングモジュール(20/10)のコンタクト固定コーム(220/120)のコンタクト固定歯(222/122)は、前記第2のコンタクトハウジングモジュール(20/10)において隣接する前記電気コンタクトユニット(30)間の位置で前記第1のコンタクトハウジングモジュール(10/20)に向けて延び、前記第1のコンタクトハウジングモジュール(10/20)内で単一の前記電気コンタクトユニット(30)に対向し、
前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)のベース本体(100、200)は、互いに対して部分的に相補形の第1の係止ユニット(130、230)を有し、
前記第1の係止ユニット(130、230)の一方の第1の係止ユニット(130/230)は、前記ハウジングモジュール(10/20)の前記ベース本体(100/200)の内面(101/201)に、対向する前記コンタクトハウジングモジュール(20/10)に向けて突出するように設けられており、
前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)の前記ベース本体(100、200)は、互いに対して部分的に相補形の第2の係止ユニット(132,232)を有し、
前記第2の係止ユニット(132、232)は、前記ベース本体(100、200)の内面(101、201)に、前記コンタクト固定コーム(120、220)および前記第1の係止ユニット(130、230)から離れて設けられており、
前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)は、
・互いに対する前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)の事前組立て位置(V)で前記第1の係止ユニット(130、230)によって互いに事前に係止することができ、
・互いに対する前記2つのコンタクトハウジングモジュール(10、20)の最終組立て位置(E)で、前記第1の係止ユニット(130、230)によって互いに係止することができ、
前記事前組立て位置(V)で、前記ベース本体(100/200)の一方の第2の係止ユニット(132)は、前記ベース本体(200/100)の他方の第2の係止ユニット(232)に係止しておらず、
前記最終組立て位置(E)で、前記ベース本体(100/200)の前記一方の第2の係止ユニット(132)は、前記ベース本体(200/100)の前記他方の第2の係止ユニット(232)に係止することができ、
関係するベース本体(100、200)が、電気コンタクトユニット(30)に対するコンタクトチャンバ(110、210)の領域内に、このコンタクトチャンバ(110、210)内へつながる2次係止貫通凹部(112、212)を有し、
前記事前組立て位置(V)で、前記第1のコンタクトハウジングモジュール(10/20)のコンタクト固定コーム(120/220)のコンタクト固定歯(122/222)は、前記電気コンタクトユニット(30)が前記第2のコンタクトハウジングモジュール(20/10)の前記コンタクトチャンバ(210/110)に嵌められるのを妨げずに、前記2次係止貫通凹部(112、212)の一方の2次係止貫通凹部(212)内へ突出し、
互いに対する前記2つのコンタクトハウジングモジュール(10、20)の前記最終組立て位置(E)で、
・沿面距離(124、224)が、コンタクトハウジングモジュール(10、20)の互いに直接隣接している2つの電気コンタクトユニット(30)間を、このコンタクトハウジングモジュール(10、20)のこれらの2つの電気コンタクトユニット(30)間に位置するコンタクト固定歯(122、222)を介して延び、
・少なくとも1つのそれぞれの沿面距離(124、224)が、関係するコンタクトハウジングモジュール(10、20)のそれぞれ互いに直接隣接している2つの電気コンタクトユニット(30)間を、それぞれ前記関係するコンタクトハウジングモジュール(10、20)のこれらの2つの電気コンタクトユニット(30)間に位置するコンタクト固定歯(122、222)を介して延び、または
・実質的にすべての沿面距離(124、224)が、関係するコンタクトハウジングモジュール(10、20)の互いに直接隣接している2つの電気コンタクトユニット(30)間を、前記関係するコンタクトハウジングモジュール(10、20)のこれらの2つの電気コンタクトユニット(30)間に位置するコンタクト固定歯(122、222)を介して延びている、コンタクトハウジング(1)。
【請求項2】
・前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)は、互いに対する相互の事前組立て(V)もしくは組立て(M)の前(G)に、互いから空間的に分離して設けられ、
・前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)は、前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)の前記事前組立て位置(V)で、互いに対して並進して互いの方へ動くことが可能であるように設けられ、かつ/または
・前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)は
、前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)の前記最終組立て位置(E)で、互いに解放可能に固定されている
ことを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトハウジング(1)。
【請求項3】
前記コンタクトハウジング(1)は、互いに対する前記2つのコンタクトハウジングモジュール(10、20)の前記事前組立て位置(V)から開始し、互いに対する前記2つのコンタクトハウジングモジュール(10、20)の前記最終組立て位置(E)に対して、スナップ閉じ可能であるように形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンタクトハウジング(1)。
【請求項4】
前記第1のコンタクトハウジングモジュール(10/20)の前記コンタクト固定コーム(120/220)は、前記第2のコンタクトハウジングモジュール(20/10)の前記コンタクト固定コーム(220/120)に少なくとも部分的に係合可能に形成され、かつ/または
互いに対する前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)の前記事前組立て位置(V)で、少なくとも1つのコンタクト固定コーム(120/220)が、関係する前記コンタクトハウジングモジュール(10/20)のこのコンタクト固定コーム(120/220)に対向して位置する1つのベース本体(200/100)内に少なくとも部分的に係合していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンタクトハウジング(1)。
【請求項5】
前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)内には、前記電気コンタクトユニット(30)を係止する1次コンタクト固定手段が設けられ、
前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)内に、前記コンタクト固定コーム(120、220)によって、前記電気コンタクトユニット(30)の2次コンタクト固定手段(120、220)をそれぞれ設けることができることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンタクトハウジング(1)。
【請求項6】
互いに関係するコンタクト固定コーム(120、220)が、実質的に1つの平面(L、B)内もしくは異なる平面(L、B;L、B)内に配置され、かつ/または
個々のコンタクト固定コーム(120、220)のコンタクト固定歯(122、222)が、実質的に1つの平面(L、B)内もしくは異なる平面(L、B;L、B)内に配置されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンタクトハウジング(1)。
【請求項7】
コンタクト固定歯(122、222)が、互いに直接隣接している2つのコンタクトチャンバ(110、210)またはコンタクトハウジングモジュール(10、20)の2次係止貫通凹部(112、212)の実質的に間で、前記関係するベース本体(100、200)の内面(101、201)から突出していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンタクトハウジング(1)。
【請求項8】
第1のベース本体(100/200)の関係する内面(101/201)に、その2次係止貫通凹部(112/212)から離れて開口(114/214)を有するコンタクトチャンバ(110/210)を、第2のベース本体(200/100)の内面(201/101)の閉鎖部によって電気的に分離することができ、または
前記第1および第2のベース本体(100、200)の関係する内面(101、201)に、その2次係止貫通凹部(112、212)から離れて開口(114、214)を有するそれぞれ少なくとも1つのコンタクトチャンバ(110、210)を、他方のベース本体(200、100)の関係する内面(201、101)の閉鎖部によってそれぞれ電気的に分離することができることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンタクトハウジング(1)。
【請求項9】
・前記ベース本体(100、200)の互いに少なくとも部分的に相補形の案内ユニット(140、240)によって
、1つの次元において、互いに対して並進して相互に強制的に案内されるように提供されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンタクトハウジング(1)。
【請求項10】
・幅方向(B)における前記コンタクトハウジング(1)の実質的な最大外形寸法が、6.5mm、6.3mm、6.1mm、5.9mm、5.7mm、5.5mm、もしくは5.3mm以下であり、
・前記第1のコンタクトハウジングモジュール(10/20)の電気コンタクトユニット(30)および前記第2のコンタクトハウジングモジュール(20/10)の電気コンタクトユニット(30)が、同じスクリーン幅に適合され、
・前記第1のコンタクトハウジングモジュール(10/20)の電気コンタクトユニット(30)および前記第2のコンタクトハウジングモジュール(20/10)の電気コンタクトユニット(30)は、実質的に同一に形成され、
・コンタクトハウジングモジュール(10、20)の少なくとも1つの大きい長手方向の外面が、実質的に閉じて形成され、かつ/または
・コンタクトハウジングモジュール(10/20)もしくは前記コンタクトハウジングモジュール(10、20)がそれぞれ、単体として、物質的に単体として、もしくは一体的に形成されている
ことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンタクトハウジング(1)。
【請求項11】
多数の電気コンタクトユニット(30/60)を有す
る自動車産業向けの電気コネクタであって、
請求項1から10のいずれか一項に記載のコンタクトハウジング(1
)を有していることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項12】
請求項11に記載の電気コネクタを有している
ことを特徴とする既製の電気ケーブルまたは既製の電気ケーブルハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の電気コンタクトユニットを有する電気コネクタ用、特に自動車産業向けの電気プラグコネクタまたは嵌合コネクタ用のコンタクトハウジングに関する。本発明はさらに、特に自動車産業向けの電気コネクタ用のコンタクトハウジングレセプタクル、特にフランジ端子に関する。さらに、本発明は、電気コネクタ、既製の電気ケーブル、および既製の電気ケーブルハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
電気産業(電子機器、電気工学、電気機器、電力工学など)では、広い範囲の電流、電圧、周波数、および/またはデータ速度で電流、電圧、信号、および/またはデータを伝送する働きをする多数の電気コネクタデバイス、またはそれぞれコネクタユニット、ソケット、および/もしくはペグコネクタなど(以下、(電気)(嵌合)コネクタと呼ぶ)が知られている。低、中、または高い電圧および/または電流範囲で、特に自動車産業において、そのようなコネクタは、暖かい、場合により暑い、汚染され、湿気が多く、かつ/または化学的に侵食性の環境で、電力、信号、および/またはデータの伝送を、恒久的に、繰返し、かつ/または比較的長いサービス寿命後も、遅延なく保証しなければならない。適用範囲が広いため、多数の特別に構成されたコネクタが知られている。
【0003】
そのようなコネクタまたはむしろそれらのハウジングは、(電力)電気的、電気光学的、もしくは電子的な構成要素またはそのような機器などのたとえばハウジング内、リードフレーム、プリン回路基板など、電気ケーブル、ワイア、ケーブルハーネス(既製の電気ケーブル)、および/または電気ユニットもしくはデバイスなどに設置することができる。後者の場合、これは(嵌合)コネクタユニットと呼ばれることが多い。コネクタがケーブル、ワイア、またはケーブルハーネスのみに位置する場合、これはまた、(フライング)(プラグ)コネクタまたはプラグまたは継手とも呼ばれ、コネクタが電気的、電子的、または電気光学的な構成要素上/内に位置する場合、これはまた、(内蔵)コネクタ、(内蔵)プラグ、または(内蔵)ソケットとも呼ばれる。さらに、そのようなユニットへのコネクタはまた、(プラグ)レセプタクルまたはヘッダとして識別されることが多い。
【0004】
電気コネクタは、電気信号(電圧)および/または電力の完全な伝送を保証しなければならず、互いに対応するコネクタ(コネクタおよび嵌合コネクタ)は通常、コネクタを嵌合コネクタ内に長期的であるが通常は解放可能に締結またはロックするための締結またはロック配置を有する。さらに、これらの中には、たとえば実際の電気コンタクトデバイス(通常は一体形成される)および/または実際の電気コンタクトユニット(通常は複数の部分から、単体として、物質的に単体として、もしくは一体的に形成される)などの対応する電気コンタクト素子(端子)を確実に受け取らなければならない。コネクタのハウジングは通常、たとえばFAKRA規格または異なる規格などの特定の規格に準拠しているため、ハウジングの最も重要な寸法は、異なる製造者の間で同じ寸法を有する。
【0005】
電気コンタクトデバイス、電気コンタクトユニット、電気コネクタ、および/または既製の電気ケーブルを改善し、これらをより費用効果の高いやり方で形成し、かつ/またはこれらをより費用効果の高いやり方で作製するために、絶え間ない取組みがなされている。たとえば、特定の用途では、たとえばセンサ用途のための高圧コネクタでは、ハイブリッド車両および電気車両に対して、増大された安全性要件が満たされるべきである。これらの安全性要件は、空間距離および沿面距離、ならびにやはりコネクタ内、特にプラグコネクタ内で信号コンタクト(小さいワイア断面)に必要とされるフィンガガード(IPxxB)に関する。
【0006】
従来技術(
図1および
図2参照)では、典型的な低電圧用途のための2列プラグコネクタ(コネクタ)が、好ましくは、その電気コンタクトユニットのためのその一体コンタクトハウジング8上に、2つの横方向に成形された2次コンタクト固定手段80を有する。コンタクトユニットは主に、1つの部分からなるコンタクトハウジング8内に係止する。関係する2次コンタクト固定手段80は、横方向スライダを連続して有する。最悪の場合、2つの隣接しているコンタクトユニットが、関係する2次コンタクト固定手段80に当たった場合、沿面距離82が、空間距離82に対応する。この解決策では、沿面距離82は、スクリーン幅(長手方向の間隔)をより大きくすることでしか増大されない可能性があり、これは、プラグコネクタの長手方向における設置空間に負の影響を与える。
【0007】
2つの成形された2次コンタクト固定手段80を有するコンタクトハウジング8の最小幅は、約7mmである。その結果、補強用の外部リブ92を除いて、コンタクトハウジングレセプタクル9(
図3および
図4参照)のプラグインターフェース上の約9mmのフランジ幅は、コンタクトハウジングレセプタクル9のフィンガガードに負の影響を与える。図示の例では、テストフィンガ6と電気コンタクトユニットの自由端との間の最小間隔は、約1.4mmである。フィンガが比較的短い内側補強リブ90によって挿入される場合、コンタクトハウジング8の連続する横方向スライダにより、コンタクトハウジングレセプタクル9の大きい側壁は、撓みに対して制限された程度で内側から安定させることしかできないため、コンタクトハウジングレセプタクル9(外側リブ92)の外側にも追加の方策が必要であるが、これは場合により、幅および/または高さに関して設置空間にさらに負の影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、多数の電気コンタクトユニットを有する電気コネクタ用、特に自動車産業向けの電気プラグコネクタまたは嵌合コネクタ用の改善されたコンタクトハウジング、およびコンタクトハウジングに対して実質的に相補形のコンタクトハウジングレセプタクル、特にフランジ端子を特定することである。さらに、本発明の課題は、改善された電気コネクタ(嵌合コネクタまたはプラグコネクタ)および改善された既製の電気ケーブルまたはケーブルハーネスを指定することである。この場合、コンタクトハウジング用の電気コンタクトユニットは、少なくとも2つの平面内に配置可能であることが意図され、このコンタクトユニットに対するコンタクト固定手段は、容易かつ迅速に設けることが可能であることが意図される。さらに、本発明のコンタクトハウジングは、コンタクトユニットと容易に嵌まることが意図され、したがってコネクタ、および既製のケーブルまたはケーブルハーネスを高い費用効果で作製可能であることが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は、独立請求項によれば、多数の電気コンタクトユニットを有する電気コネクタ用、特に自動車産業向けの電気プラグコネクタまたは嵌合コネクタ用のコンタクトハウジングによって、特に自動車産業向けの電気コネクタ用のコンタクトハウジングレセプタクル、特にフランジ端子によって、電気コネクタによって、ならびに既製の電気ケーブルまたはケーブルハーネスによって解決される。本発明の有利なさらなる発展形態、追加の特徴、および/または利点は、従属請求項および以下の説明から明らかになるであろう。
【0010】
本発明のコンタクトハウジングは、少なくとも2つのコンタクトハウジングモジュールを有し、コンタクトハウジングモジュール内に複数の電気コンタクトユニットをそれぞれ設けることができ、コンタクトハウジングモジュールによって、コンタクトハウジングモジュール内に電気コンタクトユニットのコンタクト固定手段を相互にもたらすことができ、コンタクト固定手段は、コンタクト固定コームとして形成され、第1のコンタクトハウジングモジュールのコンタクト固定コームは、第2のコンタクトハウジングモジュール内に係合することができるように形成され、第2のコンタクトハウジングモジュールのコンタクト固定コームは、第1のコンタクトハウジングモジュール内に係合することができるように形成される。少なくとも2つのコンタクトハウジングモジュールは、好ましくは、電気コネクタに対して少なくとも2列の電気コンタクトユニットを構成する。この場合、コンタクトハウジングは、特に2つの部分または2列からなるコンタクトハウジングとして形成される。当然ながら、複数の部分または複数の列からなるコンタクトハウジングとしてコンタクトハウジングを形成可能である。
【0011】
本発明の一実施形態では、コンタクトハウジングモジュールは、互いに対する相互の事前組立てまたは組立て前に、互いから空間的に分離して設けることができる。言い換えれば、コンタクトハウジングモジュールは、緩んだ部分として形成され、コンタクトハウジングモジュール間に機械接続は存在しない。コンタクトハウジングモジュールは、コンタクトハウジングモジュールの事前組立て位置で、互いに対して並進して互いの方へ動くことが可能になるようにさらに設けることができる。これは、好ましくは、コンタクトハウジングのいわゆる送達状態に対応する。この場合、コンタクトハウジングまたはコンタクトハウジングモジュールを電気コンタクトユニットに嵌めることは、事前組立て位置で行われる。さらに、コンタクトハウジングモジュールは、好ましくは、コンタクトハウジングモジュールの最終組立て位置で、互いに解放可能に固定することができる。
【0012】
本発明によれば、コンタクトハウジングは、互いに対する2つのコンタクトハウジングモジュールの事前組立て位置から開始し、互いに対する2つのコンタクトハウジングモジュールの最終組立て位置に対して、スナップ閉じ可能になるように形成することができる。第1のコンタクトハウジングモジュールのコンタクト固定コームは、第2のコンタクトハウジングモジュールのコンタクト固定コーム内に少なくとも部分的に係合可能に形成することができる。追加または別法として、互いに対するコンタクトハウジングモジュールの事前組立て位置で、少なくとも1つのコンタクト固定コームは、関係するコンタクトハウジングモジュールのこのコンタクト固定コームに対向して位置するベース本体内に少なくとも部分的に係合することができる。
【0013】
一実施形態では、コンタクトハウジングモジュール内に、コンタクト固定コームによって、コンタクトユニットの2次コンタクト固定手段をそれぞれ設けることができる。コンタクトユニットは、好ましくは、関係するコンタクトハウジングモジュールまたはそのベース本体の内側に主に係止する。互いに関係するコンタクト固定コームは、実質的に1つの平面内または異なる平面内に配置することができる。さらに、個々のコンタクト固定コームのコンタクト固定歯は、実質的に1つの平面内または異なる平面内に配置することができる。したがって、関係する平面は、コンタクトハウジングの長手方向および幅方向にわたされている。さらに、関係するベース本体は、電気コンタクトユニットに対するコンタクトチャンバの領域内に、このコンタクトチャンバ内へつながる2次係止貫通凹部を有することができる。追加または別法として、コンタクト固定歯は、互いに直接隣接している2つのコンタクトチャンバまたはコンタクトハウジングモジュールの2次係止貫通凹部の実質的に間で、関係するベース本体の内面から突出することができる。
【0014】
互いに対する2つのコンタクトハウジングモジュールの最終組立て位置で、沿面距離(耐トラッキング性)は、コンタクトハウジングモジュールの互いに直接隣接している2つの電気コンタクトユニット間を、このコンタクトハウジングモジュールのこれらの2つの電気コンタクトユニット間に位置するコンタクト固定歯を介して延びることができる。別法として、少なくとも1つのそれぞれの沿面距離は、関係するコンタクトハウジングモジュールのそれぞれ互いに直接隣接している2つの電気コンタクトユニット間を、それぞれ関係するコンタクトハウジングモジュールのこれらの2つの電気コンタクトユニット間に位置するコンタクト固定歯を介して延びることができる。さらに、別法として、実質的にすべての沿面距離は、関係するコンタクトハウジングモジュールの互いに直接隣接している2つの電気コンタクトユニット間を、関係するコンタクトハウジングモジュールのこれらの2つの電気コンタクトユニット間に位置するコンタクト固定歯を介して延びることができる。
【0015】
第1のベース本体の関係する内面上でその2次係止貫通凹部から離れて開口を有するコンタクトチャンバは、第2のベース本体の内面の閉鎖部から電気的に分離可能とすることができる。別法として、ベース本体の関係する内面上でその2次係止貫通凹部から離れて開口を有するそれぞれ少なくとも1つのコンタクトチャンバは、他方のベース本体の関係する内面の閉鎖部からそれぞれ電気的に分離可能とすることができる。この場合、特に電気コンタクトユニットの1次係止および接触部(コンタクトの1次固定)の領域は、コンタクトハウジングの射出成形後、関係する鋳型とは異なる取出し方向によって電気的に分離することができる。
【0016】
一実施形態では、コンタクトハウジングモジュールは、ベース本体の互いに対して部分的に相補形の係止ユニットによって、互いに事前に係止することができる(たとえば、互いに対して並進して互いの方へ動くことが可能になるように提供される)。さらに、一実施形態では、コンタクトハウジングモジュールは、最終位置で、ベース本体の互いに対して部分的に相補形の係止ユニットによって互いに係止することができる(たとえば、解放可能に互いに固定される)。さらに、一実施形態では、コンタクトハウジングモジュールは、ベース本体の互いに少なくとも部分的に相補形の案内ユニットによって、好ましくは1つの次元において、互いに対して並進して相互に強制的に案内されるように提供される。この場合、事前組立て位置で、関係する案内ユニットは、互いにすでに部分的に係合していることが好ましい。
【0017】
幅方向におけるコンタクトハウジングの実質的な最大外形寸法は、6.5mm、6.3mm、6.1mm、5.9mm、5.7mm、5.5mm、または5.3mm以下とすることができる。さらに、第1のコンタクトハウジングモジュールの電気コンタクトユニットおよび第2のコンタクトハウジングモジュールの電気コンタクトユニットは、同じスクリーン幅に適合させることができる。さらに、第1のコンタクトハウジングモジュールの電気コンタクトユニットおよび第2のコンタクトハウジングモジュールの電気コンタクトユニットは、実質的に同一に形成することができる。さらに、コンタクトハウジングモジュールの少なくとも1つの大きい長手方向の外面は、実質的に閉じて形成することができる。さらに、コンタクトハウジングモジュールまたはコンタクトハウジングモジュールはそれぞれ、単体として、物質的に単体として、または一体的に形成することができる。関係するコンタクトハウジングモジュールは、好ましくは、射出成形方法によってプラスチックから作製される。
【0018】
好ましくはプラグコネクタ(電気導体が電気的かつ機械的に接続されたその電気コンタクトユニットを含む)のための本発明の2つの部分または複数の部分からなるコンタクトハウジングでは、2次コンタクト固定手段は、コンタクト列をずらして内方へ動かされる。射出成形方法後の関係する鋳型からの1次および2次コンタクト固定手段の取出し方向も同様に、内方へ動かされる。その結果、コンタクトハウジングは、外側からの接触から保護され、コンタクトハウジング自体においてより長い沿面距離の実装形態を提供する。
【0019】
本発明の構成によって、たとえば好ましくは約5.7mmのプラグ幅を実現することができ、これにより、コンタクトハウジングレセプタクル内のフィンガガードが大幅に改善され、特に平坦な応用例において、大幅な設置空間の利点が提供される。2次コンタクト固定手段の「歯」によって、沿面距離は大幅に延ばされ、2つの直接隣接している電気コンタクトユニット間の沿面距離に関する要求が増大した場合、これは、コンタクトハウジングの長さに関して設置空間の利点となる。従来技術(可動部分なし、フィルムヒンジなし)と比べると、2つのコンタクトハウジングモジュールは、より容易に作製することができ、事前係止位置で供給することができる。その結果、取扱いおよび処理に関して、1つの部分からなる解決策(成形された2次コンタクト固定手段)と比べて、使用者に対する欠点が生じない。
【0020】
そのようなコンタクトハウジングは、本発明のコンタクトハウジングレセプタクルを実現することを可能にする。その結果、フィンガが挿入される場合、大きい側壁を撓みから安定させるために、コンタクトハウジングレセプタクルに対して新しい可能性が生じる(以下参照)。さらに、電気コンタクトユニットの列は、大きい側壁に対してより近くに位置決めすることができ、それによりフィンガガードおよびコシリ(koshiri)安全性(2つの電気コネクタをともに斜めに合わせたときの安全性)に正の影響を与える。
【0021】
本発明のコンタクトハウジングレセプタクルは、収容空間を備え、収容空間内へ突出するように、少なくとも2列の電気コンタクトユニットを設けることができ、少なくとも1つの列の互いに隣接している2つの電気コンタクトユニット間で、収容空間内に内側補強リブが形成され、コンタクトハウジングレセプタクルは、内側補強リブが、収容空間内で互いに隣接している2つの電気コンタクトユニットを越えて突出し、またはこれらのコンタクトユニットのうちの少なくとも1つと実質的に同じ高さで終端するように形成される。言い換えれば、コンタクトユニットの電気コンタクト部は、収容空間内に設けられ、したがって内側補強リブは、互いに隣接している電気コンタクト部の自由端を越えて突出し、またはこれらのコンタクトユニットのうちの少なくとも1つと同じ高さで終端する。当然ながら、これはまた、互いに隣接している多数の電気コンタクトユニットにも当てはまる。
【0022】
コンタクトハウジングレセプタクルは、その外面上で補強リブから実質的に自由にすることができる。さらに、コンタクトハウジングレセプタクルの2つの大きい長手方向の外面は、実質的に平面に形成することができる。さらに、コンタクトハウジングレセプタクルは、適したテストフィンガ、すなわち当該の場合に適用または使用することができる1つ(IPxxB)と、電気コンタクトユニットの自由端との間の最小間隔が、2.5mm、3mm、3.5mm、3.75mm、4mm、または4.25mm以上になるように形成することができる。さらに、幅方向におけるコンタクトハウジングレセプタクルの実質的な最大外形寸法は、8.5mm、8.3mm、8.1mm、7.9mm、7.7mm、7.5mm、または7.3mm以下とすることができる。たとえば好ましくは約7.7mmの低減されたフランジ幅で、電気コンタクトユニットの列を中心(
図4参照)から外方に敷設することによって、かつ/または大きい側壁を内側から補強すること(内側補強リブ)によって、コンタクトハウジングレセプタクル上のフィンガガードが大幅に改善される。
【0023】
本発明の電気コネクタは、多数の電気コンタクトユニットを備え、電気コネクタは、本発明のコンタクトハウジングまたは本発明のコンタクトハウジングレセプタクルを有する。この場合、コンタクトハウジングレセプタクルは、コネクタのハウジングと単体として、物質的に単体として、または一体的に形成することができる。本発明の既製の電気ケーブルまたは本発明の既製の電気ケーブルハーネスは、本発明の電気コネクタを有する。
【0024】
本発明について、以下、例示的な実施形態を使用して、添付の概略的な図面を参照しながら、より詳細に説明する。添付の図面は、原寸に比例していない。同一、一義、または類似の形態および/または機能を有する部分、要素、構造部分、ユニット、図、および/または構成要素は、図の説明(以下参照)、参照番号の一覧、特許請求の範囲、および図面の図において、同じ参照番号によって識別される。本発明の説明(上記参照)で説明されず、図面に示されず、かつ/または排他的でない、本発明の例示的な実施形態、またはそれらの構成要素、図、ユニット、構造部分、要素、もしくは部分に対する、1つの可能な代替形態、定常状態および/または運動力学的反転、組合せなどは、図の説明からさらに推論することができる。
【0025】
本発明において、特徴(部分、要素、構造部分、ユニット、構成要素、機能、変数など)は、正として、すなわち存在するものとして、または負として、すなわち存在しないものとして構成することができ、負の特徴は、その不在が本発明によって重要であると考えられない場合、特徴として明示的に説明されていない。本明細書(説明、参照番号の一覧、特許請求の範囲、図面)の特徴は、指定された形で適用することができるだけでなく、異なる形(分離、集約、交換、追加、独自性、省略など)で適用することもできる。特に、説明、参照番号の一覧、特許請求の範囲、および/または図面では、参照番号およびこれに属する特徴またはその逆を使用することによって、特許請求の範囲および/または説明内の特徴を交換、追加、または省略することが可能である。さらに、その結果、特許請求の範囲内の特徴は、より詳細に解釈および/または指定することができる。
【0026】
本明細書の特徴はまた、任意選択の特徴として解釈することができ((広く知られていない)従来技術を考慮)、すなわち各特徴は、任意選択の、任意の、または好ましい特徴として、すなわち拘束力のない特徴として理解することができる。したがって、任意選択でその周辺部を含む特徴を例示的な実施形態から切り離すことが可能であり、次いでこの特徴は、一般化された本発明の概念に移行可能である。例示的な実施形態において特徴がないこと(負の特徴)は、本発明に関してその特徴が任意選択であることを示す。さらに、これに沿って、ある特徴の種類名、その特徴の総称名を読み取ることもできる場合(任意選択で、亜属、部分などへのさらなる階級的分類)、その結果、たとえば同一の影響および/または等価性を考慮に入れて、ある特徴またはこの特徴を一般化することが可能である。これらの図は、単なる例示である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】多数の電気コンタクトユニットのための従来技術による自動車産業向けのコンタクトハウジングの2次元の正面図である。
【
図2】電気コンタクトユニットを切り離して示す、すべての側で分解した、
図1からのコンタクトハウジングの2次元の長手方向図である。
【
図3】多数の電気コンタクトユニットのための従来技術によるコンタクトハウジングレセプタクルの2次元の断面正面図である。
【
図4】自動車産業向けの
図3からのコンタクトハウジングレセプタクルの斜視長手方向図である。
【
図5】自動車産業向けの本発明の2つの部分からなるコンタクトハウジングのための本発明の第1のコンタクトハウジングモジュールの斜視図である。
【
図6】本発明のコンタクトハウジングのための本発明の第2のコンタクトハウジングモジュールの斜視図である。
【
図7】コンタクトハウジングモジュールが互いに対して事前係止位置に位置する、
図5および
図6のコンタクトハウジングモジュールの2次元の平面図である。
【
図8】コンタクトハウジングモジュールが互いに対して最終係止位置にある、
図5および
図6のコンタクトハウジングモジュールの2次元の平面図である。
【
図9】コンタクトハウジングモジュールが事前係止位置にある、コンタクトハウジングの正面斜視図である。
【
図10】コンタクトハウジングモジュールが事前係止位置にある、コンタクトハウジングの中心断面正面斜視図である。
【
図11】コンタクトハウジングモジュールが最終係止位置にある、コンタクトハウジングの2次元の正面図である。
【
図12】第1のコンタクトハウジングモジュールの電気コンタクトユニットの領域内のコンタクトハウジングの正面2次元断面図である。
【
図13】第2のコンタクトハウジングモジュールの電気コンタクトユニットの領域内のコンタクトハウジングの正面2次元断面図である。
【
図14】1つの側で分解した、本発明のコンタクトハウジングの挿入開口の2次元の底面図である。
【
図15】2つの側で分解した、コンタクトハウジングモジュールの相互に係合するコンタクト固定歯の領域内の2次元の断面図である。
【
図16】電気導体が電気的かつ機械的に接続された本発明のコネクタ(既製のケーブルまたは既製のケーブルハーネス)の側面斜視図である。
【
図17】多数の電気コンタクトユニットのための本発明によるコンタクトハウジングレセプタクルの2次元の断面正面図である。
【
図18】自動車産業向けの、
図17のコンタクトハウジングレセプタクルの3次元の長手方向側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明について、第1に、以下、電気コネクタ用、特に自動車産業、特にハイブリッドまたは電気車両産業向けの電気プラグコネクタまたは嵌合コネクタ用の本発明のコンタクトハウジング1の変種の一実施形態の例示的な実施形態を使用して、より詳細に説明する。本発明を理解するのに必要な本発明の主題の空間部分についてのみ、図面に示す。本発明について、好ましい例示的な実施形態によってより詳細により綿密に説明および図示するが、本発明は、開示する例示的な実施形態によって制限されない。本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の変形形態を例示的な実施形態および/または上記(本発明の説明)から導出することができる。これはまた、たとえば、コンピュータおよび(娯楽)電子機器産業におけるコンタクトハウジングにも当てはまる。
【0029】
図面を使用して、本発明の説明は、以下、コンタクトハウジング1またはそのコンタクトハウジングモジュール10、20、およびコンタクトハウジング1を受け取ることができる本発明のコンタクトハウジングレセプタクル5の幅方向Bまたは幅軸B、高さ方向Hまたは高さ軸H、および長手方向Lまたは長手方向軸Lに関する。本明細書では、コンタクトハウジング1は、プラグコネクタもしくは嵌合コネクタ、プラグ、または継手用のハウジングである。しかし、本発明はまた、内蔵プラグ、(内蔵)ソケット、ソケットコネクタ、プラグレセプタクルなどにも適用することができる。コンタクトハウジング1内に2重にロックすることができる電気コンタクトユニット30は、好ましくは、ソケットコンタクトユニット30であり、ピン、ペグ、および/もしくはタブコンタクトユニットとして、追加として形成することができ(ハイブリッドコネクタ)、または別法として形成することができる。
【0030】
本発明のコンタクトハウジング1(
図5~16参照)は、互いから分離された実質的に2つのユニットを備え、2つのいわゆるコンタクトハウジングモジュール10、20は、互いに接続され、特に共に差し込まれて、すぐに使用できる完全なコンタクトハウジング1を形成する。本発明は、2つのコンタクトハウジングモジュール10、20に制限されるものではなく、むしろコンタクトハウジング1の多数のコンタクトハウジングモジュール10、...、20を互いに機械的に結合することもでき、たとえば多数のコンタクトハウジングモジュール10、...、20を直列に配置することができる。言い換えれば、本発明のコンタクトハウジング1は、2つの部分または複数の部分から、特にコンタクトユニット30に対して2列または複数の列で形成される。
【0031】
コンタクトハウジング1では、好ましくは1つの個々の形状および/または1つの個々のタイプのコンタクトユニット30が使用される。2つの電気コンタクトユニット30、60のコンタクトの領域内に正方形のコンタクト断面を有するいわゆるNanoMQS(MQS:Micro Quadlock System)が好ましい(
図12および
図13、
図17参照)。したがって、コンタクトハウジングモジュール10、20は、NanoMQSモジュール10、20として識別することができる。当然ながら、本発明の解決策によって、コンタクトチャンバ110、210からコンタクトチャンバ110、210へ、2次コンタクト固定手段の異なる位置を適用することもできるため、コンタクトハウジング1内で、異なるコンタクトシステム(たとえば、NanoMQSおよびMCON(Multiple Contact)、MQSおよびMCONなど)を組み合わせることが可能である。したがって、コンタクト固定コーム120、220のコンタクト固定歯122、222は、1つの平面上に位置する必要はない。
【0032】
それぞれのコンタクトハウジングモジュール10、20は、好ましくは実質的に立方形のベース本体100、200を備え、その中に、コンタクトユニット30に対する複数のコンタクトチャンバ110、210がそれぞれ提供される(
図12および
図13参照)。この場合、コンタクトハウジングモジュール10、20は、交換することができ、すなわちコンタクトハウジングモジュール10がコンタクトハウジングモジュール20になり、逆も同様である。したがって、コンタクトハウジングモジュール10、20のコンタクトチャンバ110、210は、それぞれのコンタクトハウジングモジュール10、20の隔壁によって、長手方向Lに互いから(電気的に)分離される。各コンタクトチャンバ110内には、コンタクトユニット30を設けることができ、この場合、コンタクトユニット30は、ソケットコンタクトユニット30として形成される(
図12および
図13参照)。
【0033】
本発明によれば、個々のコンタクトハウジング1は、複数、特に2つのコンタクトハウジングモジュール10、20から構成され、コンタクトハウジングモジュール10、20は、好ましくは、互いから分離して作製され、これは、特に射出成形方法によって行うことができる(
図5、
図6参照)。この場合、コンタクトハウジングモジュール10、20は、当然ながら好ましくは2つの異なる取出し方向を有する型で射出成形することができる。当然ながら、コンタクトハウジングモジュール10、20はまた、2つの別個の型で互いから分離して作製することができる。
【0034】
そのような「コンタクトハウジング1」、すなわち2つの緩んだコンタクトハウジングモジュール10、20は、コンタクトハウジング1の送達状態を形成することができる。この場合、コンタクトハウジングモジュール10は、いわゆる分離位置Gで、コンタクトハウジングモジュール20に対向して位置し、または逆も同様である。送達状態の場合、2つのコンタクトハウジングモジュール10、20は、好ましくは、
図7、
図9、および
図10に示すように、互いに対して事前係止位置Vまたは事前組立て位置Vに位置する。事前係止位置Vで、ベース本体100、200の内面101、201(大きい長手方向の内面101、201)間に、2次コンタクト固定手段120、220(以下参照)を設けるために必要とされる間隔(空間)が設けられる。
【0035】
この場合、2つのベース本体100、200は、係止ユニット130、230または2つのコンタクトハウジングモジュール10、20によって、互いに事前に係止される。係止ユニット130、230は、好ましくは部分的に相補形に複数の部分から形成される。事前係止位置Vで、好ましくは最終係止位置Eまたは最終組立て位置Eを確立することもできる係止ユニット130、230は、第1の相互位置で互いに係合する。最終係止位置E(係止ユニット130、230の第2の相互位置)の場合、係止ユニット130、230、したがってコンタクトハウジングモジュール10、20は、事前係止位置Vから最終係止位置Eへ動かすことができる。
【0036】
2つのコンタクトハウジングモジュール10、20を事前係止位置Vから最終係止位置Eへ移動させるために、コンタクトハウジングモジュール10、20は、好ましくは相互に案内され、特に幅方向Bに並進して強制的に案内される。この目的で、コンタクトハウジングモジュール10、20は、互いに少なくとも部分的に相補形に形成された案内ユニット140、240を有する。本明細書では、案内ユニット140は、その内面101から開始するコンタクトハウジングモジュール10内の凹部140として形成され、案内ユニット240は、コンタクトハウジングモジュール20の内面201上の突出部240として形成される。当然ながら、これは逆も同様であることを想定することができる。
【0037】
この場合、案内ユニット140、240は、立方形の形状(正、負)に形成される。当然ながら、まっすぐな、任意選択で略円筒形、まっすぐな角柱などの他の形状を使用することが可能である。案内ユニット140、240は、好ましくは、事前係止位置Vで互いにすでに部分的に係合している(
図7参照)。互いに関係する少なくとも2つの案内ユニット140、240は、好ましくはすでに事前係止位置Vおよび最終係止位置Eにある2つのコンタクトハウジングモジュール10、20が、互いに対して回転できないことを保証する。案内ユニット140、240の設計(円筒形の形状)のため、これが該当しない場合、したがってこれは、互いに関係する2つの追加の案内ユニット140、240によって保証される。
【0038】
分離位置Gおよび/または事前係止位置Vで、コンタクトハウジング1またはコンタクトハウジングモジュール10、20は、コンタクトユニット30に嵌ることができる。この場合、電気導体または電気ケーブルが、それぞれのコンタクトユニット30に機械的かつ電気的に接続される(
図11~13および
図16参照)。コンタクトハウジングモジュール10、20に嵌るとき、それぞれのコンタクトユニット30は主に、前面領域(たとえば
図12および
図13で容易に見ることができる底部中心)で、関係するコンタクトチャンバ110、210上/内の係止ショルダに係止する。この目的で、コンタクトユニット30は、好ましくは、コンタクトユニット30上に形成された係止ブラケットを有する(係止ショルダに関連するコンタクトの1次固定のため)。
【0039】
本発明によれば、その背後(すなわち、
図12および
図13においてさらに上方)、それぞれのコンタクトユニット30に対して2次コンタクト固定手段120、220を設けることができる。関係するコンタクトハウジングモジュール10、20に対するコンタクトユニット30の2次コンタクト固定220、120は、関係する他方のコンタクトハウジングモジュール20、10を介して行われる。言い換えれば、第1(または第2)のコンタクトハウジングモジュール10の2次コンタクト固定220は、第2(または第1)のコンタクトハウジングモジュール20によって行われ、第2(または第1)のコンタクトハウジングモジュール20の2次コンタクト固定120は、第1(または第2)のコンタクトハウジングモジュール10によって行われる。
【0040】
関係する2次コンタクト固定手段220、120は、コンタクト固定コーム220、120として形成され、このコンタクトハウジングモジュール10、20内で幅方向Bに実質的に対向するコンタクトハウジングモジュール10、20の実質的にすべてのコンタクトユニット30を2次的に機械的に固定する。この目的で、関係するコンタクト固定コーム220、120は、幅方向Bに対向するコンタクトハウジングモジュール10、20内で、複数のコンタクト固定歯222、122に係合する(特にまた、
図5~8、
図12、および
図13参照)。関係するコンタクト固定歯222、122は、関係するコンタクトハウジングモジュール10、20のそれぞれのコンタクトユニット30の後ろに、好ましくはその係止ブラケットの後ろに、好ましくは特にそれぞれのコンタクトユニット30上に一体的に形成される係止ショルダ上に係合する。
【0041】
2次コンタクト固定手段220、120を設けるとき、またはコンタクトハウジングモジュール10、20を分離位置Gもしくは事前係止位置Vから最終係止位置Eへ動かすとき、それぞれ関係するコンタクト固定歯222、122は、関係するコンタクトハウジングモジュール10、20のそれぞれの2次係止貫通凹部112、212に貫入する(特に、
図5、
図6、
図8、
図12、
図13、および
図15)。それぞれの2次係止貫通凹部112、212は、それぞれ関係するコンタクトチャンバ110、210につながる。この場合、個々のコンタクトハウジングモジュール10、20のコンタクト固定歯222、122の一部、特に実質的にすべてのコンタクト固定歯222、122が、事前係止位置Vで、関係する2次係止貫通凹部212、112内へある程度突出することが好ましい。
【0042】
この場合、これらは、コンタクトハウジングモジュール10のコンタクト固定歯122であり、コンタクトハウジングモジュール20のコンタクトチャンバ210をそのコンタクトユニット30に嵌めることを妨げることなく、最初にコンタクトハウジングモジュール20の2次係止貫通凹部212内へ突出する(
図7参照)。逆の動きでは、コンタクトハウジングモジュール20の正に構成された案内ユニット240(突起240)が、コンタクトハウジングモジュール10の負に構成された案内ユニット140(凹部140)内へある程度すでに突出していることが好ましい(また
図7参照)。
【0043】
最終係止位置Eで、好ましくは実質的にすべてのコンタクト固定歯122、222が、好ましくは実質的にすべての2次係止貫通凹部112、212を通って、好ましくは実質的にすべてのコンタクトチャンバ110、210内へ係合し、好ましくは実質的にすべてのコンタクトユニット30をコンタクトハウジング1内に2次的にロックする。最終係止位置Eでは、コンタクトハウジングモジュール10、20の最終係止ユニット132、232は、コンタクトハウジングモジュール20、10の最終係止ユニット232、132に係止することが、さらに好ましい。したがってこの場合、最終係止ユニット132、232は、部分的に相補形に形成される。最終係止ユニット232、132は、事前係止位置Vでまだ互いに係合していないことが好ましい(
図10参照)。
【0044】
最終係止位置Eでは、コンタクトハウジング1の1列のコンタクトユニット30のそれぞれ直接隣接している2つのコンタクトユニット30間に、沿面距離124、224が確立され、これは関係する空間距離より大幅に大きい(
図15、
図2参照)。大きい長手方向の外面102、202は、コンタクトユニット30の関連領域内の外側で、実質的に閉じて、平面に、かつ/または任意選択で平滑に、さらに形成することができる(特に
図16参照)。さらに、この図面は、コネクタがコンタクトハウジング1に差し込まれた場合のみコンタクトハウジング1内へ差し込まれる、コンタクトハウジング1に対するコネクタ固定手段40(CPA40、コネクタ位置保証)を示す。
【0045】
一方では、コンタクトハウジングモジュール10、20を作製するために使用される射出成形型をうまく取り外すことができ、他方では、精巧になり過ぎず、したがってこれらの形状に必要とされるコアまたはコア構造に対する損傷を受けやすくなり過ぎないことを保証するために、コンタクトチャンバの領域内で、コンタクトハウジングモジュール10、20の内面101、201内に、それぞれのコンタクトチャンバ110、210内へつながる開口114、214が設けられることが好ましい(
図5、
図6、および
図14参照)。この場合、開口114、214は、関係するコンタクトハウジングモジュール10、20のそれぞれの開口114、214を、関係する他方のコンタクトハウジングモジュール20、10の内面201、101の閉鎖部によって、好ましくは完全に覆うことができるように、特に内面がそれぞれ長手方向Lおよび/または高さ方向Hに重複するように、コンタクトハウジング1内に設けられる。
【0046】
本発明のコンタクトハウジング1は、本発明のコンタクトハウジングレセプタクル5を実現することを可能にし、コンタクトハウジングレセプタクル5は、たとえば、フランジ端子5、ヘッダ5などとして形成することができる(
図17および
図18参照)。コンタクトハウジングレセプタクル5内にロックすることができるコンタクトユニット60は、好ましくは、ピンまたはペグコンタクトユニット60であるが、ソケットおよび/またはタブコンタクトユニットとして、追加として形成することができ(ハイブリッドコネクタ)、または別法として形成することができる。コンタクトハウジングレセプタクル5は、コネクタの一体部分とすることができる。以下、
図17からわかるように、コンタクトハウジングレセプタクル5は、コンタクトユニット60に嵌められたコネクタの一部であると想定する。
【0047】
コンタクトハウジングレセプタクル5によって、コネクタは、収容空間500を密閉し、収容空間500内へ、上述したコンタクトハウジング1またはそのようなコンタクトハウジング1を有するコネクタを差し込むことができる。収容空間500内では、少なくとも2列のコンタクトユニット60が設けられ、それらの接触部が突出している。少なくとも1つの列の好ましくは互いに直接隣接している2つの電気コンタクトユニット60間では、収容空間500内に内側補強リブ590が形成される。
【0048】
本発明によれば、内側補強リブ590は、内側補強リブ590が、好ましくは互いに直接隣接している2つのコンタクトユニット60を越えて突出するように形成される。内側補強リブ590は、内側補強リブ590がこれらのコンタクトユニット60のうちの少なくとも1つと実質的に同じ高さで終端するようにさらに形成することができる。図示の例では、コンタクトハウジングレセプタクル5の外縁部上のテストフィンガ6とコンタクトユニット60の自由端との間の最小間隔は、約3.9mmである(比較として、
図4の従来技術は1.4mmである)。