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特許7529365エアロゾル発生システム用の破壊システム
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム用の破壊システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20240730BHJP
   A24F 13/02 20060101ALI20240730BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240730BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F13/02 B
A24F40/40
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021103247
(22)【出願日】2021-06-22
(62)【分割の表示】P 2018506939の分割
【原出願日】2016-08-08
(65)【公開番号】P2021166526
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-07-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】15181166.8
(32)【優先日】2015-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ビューラー フレデリック ユリシー
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】石黒 雄一
【審判官】水野 治彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/098171(WO,A1)
【文献】特開2000-312577(JP,A)
【文献】特表2009-504175(JP,A)
【文献】特開2004-113023(JP,A)
【文献】特開2001-17152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00-47/00
A24D3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム用の破壊システムであって、前記破壊システムが、
第一の管および第二の管であって、前記第一の管および前記第二の管が共に容積を画定し、画定される容積が第二の位置よりも第一の位置で大きくなるように、前記第一の管および前記第二の管が第一の動作経路に沿って前記第一の位置から前記第二の位置へと相互に移動可能であり、前記第一の管は、隣接する前記第二の管の係合表面をスライドするよう構成された係合表面を含み、前記第一の管の係合表面および前記第二の管の係合表面は、圧縮力が前記第一の動作経路に沿って前記システムにかけられるまで、前記システムを前記第一の位置に保持するよう構成されている1つ以上の弾性の突起をそれぞれ含使用中、前記第二の管および前記1つ以上の弾性の突起は、前記圧縮力が前記第一の動作経路に沿って前記システムに対してかけられたときに前記第二の管が前記第一の管内でスライド可能となるよう変形する、第一の管および第二の管と、
前記第一の管および前記第二の管の一方に接続された破壊部材であって、前記破壊部材が、前記第一の位置では、前記破壊部材が前記第一の管および前記第二の管の前記画定される容積内に完全に含まれ、前記第二の位置では、前記破壊部材が少なくとも部分的に前記画定される容積から突き出て容器を破壊するように配置される、破壊部材と、
前記第一の管の少なくとも一部の上にある第一のラッパーであって、前記第一のラッパーが前記第一の管に付着される、第一のラッパーと、を備える、破壊システム。
【請求項2】
前記第一の管および前記第二の管は、前記第一の動作経路に沿って前記第一の位置から前記第二の位置まで相互にスライド可能である、請求項1に記載の破壊システム。
【請求項3】
前記第一の管は、外部表面を有し、前記第一のラッパーが前記第一の管の外部表面の実質的に全体の上にある、請求項1または2に記載の破壊システム。
【請求項4】
前記第一の管および第二の管の一方は、前記システムが前記第二の位置にあるときに前記第一の管および第二の管の他方の第一の端部と係合するよう構成されているショルダー部を備え、前記第一の位置において前記ショルダー部と前記第一の端部とは離間されて、前記ショルダー部と前記第一の端部との間に前記破壊システムの中間部分を画定する、請求項1、2または3に記載の破壊システム。
【請求項5】
前記第一のラッパーが前記中間部分と重ならない、請求項4に記載の破壊システム。
【請求項6】
前記第二の管の少なくとも一部の上にある第二のラッパーをさらに備え、前記第二のラッパーは前記第二の管に付着され、前記第二のラッパーは前記中間部分に重ならない、請求項5に記載の破壊システム。
【請求項7】
前記第二の管は、外部表面を有し、前記第二のラッパーが前記第二の管の外部表面の実質的に全体の上にある、請求項6に記載の破壊システム。
【請求項8】
前記第一のラッパーが少なくとも部分的に前記中間部分に重なり、前記第一のラッパーが前記中間部分のいずれの部分にも付着されない、請求項4に記載の破壊システム。
【請求項9】
前記第一のラッパーが少なくとも部分的に前記第二の管に重なり、前記第一のラッパーが前記第二の管のいずれの部分にも付着されない、請求項8に記載の破壊システム。
【請求項10】
前記第二の管の少なくとも一部の上にある第二のラッパーをさらに備え、前記第二のラッパーは前記第二の管に付着され、前記破壊システムが前記第一の位置から前記第二の位置に移動するときに前記第一のラッパーおよび前記第二のラッパーが相互に移動可能となるように、前記第二のラッパーの一部は、少なくとも部分的に前記第二の管に重なる前記第一のラッパーの前記一部の下にある、請求項9に記載の破壊システム。
【請求項11】
前記第二の管は、外部表面を有し、前記第二のラッパーが前記第二の管の前記外部表面の実質的に全体の上にある、請求項10に記載の破壊システム。
【請求項12】
エアロゾル発生物品であって:
請求項1~11のいずれかに記載の破壊システムと、
前記第一の管に接続されたマウスピースと、
前記第二の管に接続された揮発性液体を含有する容器と、を備え、前記破壊部材は、前記第二の位置では、前記破壊部材が少なくとも部分的に前記画定される容積から突き出て前記容器を破壊するように配置されるエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記第一のラッパーが少なくとも部分的に前記マウスピースの上にあり、前記マウスピースに付着される、請求項12に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
揮発性液体を含有する前記容器はブリスターカプセルであり、前記破壊部材は前記第二の位置で、前記破壊部材が少なくとも部分的に前記画定される容積から突き出て前記ブリスターカプセルを破壊するよう配置される、請求項12または13に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
請求項14に記載のエアロゾル発生物品であって、前記ブリスターカプセルが、
ブリスターシェルと、
前記ブリスターシェル内に配置された管状の多孔性要素と、
前記管状の多孔性要素上に収着された揮発性液体と、
前記ブリスターシェルを封着するように構成されているフィルムと、を備え、
前記フィルムおよび前記ブリスターシェルは壊れやすく、このため、前記第二の位置において、前記破壊部材は少なくとも部分的に前記画定される容積から突き出て前記ブリスターカプセルの前記フィルムおよび前記ブリスターシェルを破壊する、エアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システム用の破壊システムと破壊システムを備えたエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムは、例えばメントールのような風味剤またはニコチン含有基体など、1つ以上のエアロゾル発生剤を備えた密封容器を備えることがよくある。エアロゾル発生剤を放出するために、容器は破壊または貫通される必要がある。
【0003】
WO2014/140087A1に記載される一つの周知のシステムは、エアロゾル発生装置と、ニコチン溶液および送達促進化合物を含む容器とを含む。装置は、装置内に挿入された時に容器の1つ以上の区画を貫通するよう構成された細長い貫通部材を含む。こうしたシステムでは、両方の区画が適切に貫通されるためには、貫通部材の精密なエンジニアリングを必要とする。これは、製造の複雑さおよびコストを増大させ、また複数回の使用後に貫通部材が落ちるというリスクも伴う。
【0004】
したがって、操作が簡単で製造における費用効果の高いエアロゾル発生システム用の容器を貫通または破壊するためのシステムを提供することが、本発明の一つの目的である。こうしたシステムが、従来のフィルタ付き紙巻きたばこなどの従来のエアロゾル発生システムまたは物品の外観に似せるよう構成され得ることが特に望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生システム用の破壊システムであって、この破壊システムが、画定される容積が第二の位置よりも第一の位置で大きくなるように、第一の管および第二の管が第一の動作経路に沿って第一の位置から第二の位置へと相互に移動可能である第一の管と第二の管を備える、破壊システムが提供される。破壊システムはさらに第一の管および第二の管の一方に接続された破壊部材をさらに備え、この破壊部材は、第一の位置では第一の管および第二の管の画定される容積内に完全に含まれ、第二の位置では少なくとも部分的に画定される容積から突き出て容器を破壊するように配置される。また、破壊システムは第一の管の少なくとも一部の上にある第一のラッパーを含んでもよく、第一のラッパーは第一の管に付着される。
【0006】
本明細書で使用される場合、用語「上にある」とは、別の構成要素の上に位置付けられる構成要素を指す。用語「下にある」とは、別の構成要素の下に位置付けられる構成要素を指す。用語「重なる」とは別の構成要素の上または下にある構成要素を指し得る。
【0007】
本発明による破壊システムは、消費者がエアロゾル発生システムを起動させるための利便かつ信頼できる方法を有利に提供する。すなわち、第一の管および第二の管の間の相互移動は、例えば揮発性液体を含有する容器を破壊するための、破壊部材の信頼できる、かつ一貫した移動を提供することができる。
【0008】
さらに、第一の管の少なくとも一部の上にありかつ第一の管に付着されるラッパーを提供することで、より従来の喫煙物品の外観に似せることができる。例えば、第一のラッパーを従来の喫煙物品上のチッピングラッパーの外観に似せるよう構成することができる。
【0009】
破壊システムが第一の位置にあるときに破壊部材が第一の管および第二の管によって画定される容積内に完全に含まれることは、例えば、通常なら容易に破裂し得る、破壊システムから突出する部分がないために、有利に破壊システムの取り扱いを容易にする。また、破壊部材の封入によって、システムを操作する消費者への負傷を防止し得る。
【0010】
第一の管および第二の管は、第一の動作経路に沿って第一の位置から第二の位置まで相互にスライド可能とし得る。
【0011】
第一のラッパーが第一の管の外部表面の実質的に全体の上にあることが好ましい。第一のラッパーを第一の管の外部表面の全体に巻くことは、特に第一のラッパーを用いてチッピングラッパーに似せる実施形態において、従来の喫煙物品の外観に似せることをさらに容易にし得る。
【0012】
第一の管および第二の管の一方は、システムが第二の位置にあるときに第一の管および第二の管の他方の第一の端部と係合するよう構成されているショルダー部を備えることが好ましく、ここでショルダー部と第一の端部は第一の位置において離間されて、ショルダー部と第一の端部の間に破壊システムの中間部分を画定する。第一の管および第二の管の一方の上にショルダー部を提供することは、第一の管と第二の管の間の相対動作の範囲を制限することで、消費者の破壊システムの操作を有利に簡略化する。すなわち、消費者は一方の管の端部が他方の管のショルダー部に当接するときに破壊システムが完全に起動されることを確保できる。さらに、第一の管と第二の管の間の相対動作の範囲を制限することは、通常ならば、例えば破壊部材を破壊システムから離れて突き出させ過ぎることによって破壊システム、内部にこの破壊システムが組み込まれるエアロゾル発生システムへの損傷、あるいは消費者への傷害を生じかねない、消費者が第一の管と第二の管を相互に離して移動させ過ぎることも防止する。
【0013】
第一の管および第二の管の一方が破壊システムが第一の位置にあるときに破壊システムの中間部分を画定するショルダー部を備える実施形態では、第一のラッパーは、中間部分とは重ならないように配置され得る。この配置は、第一の管および第二の管が第二の位置に相互に移動するときに、折り畳み、筋付けまたはしわなどの、第一のラッパーへの損傷を有利に防止し得る。
【0014】
第一のラッパーが中間部分に重ならない実施形態では、破壊システムは第二の管の少なくとも一部の上にある第二のラッパーをさらに備えてもよく、第二のラッパーは第二の管に付着され、第二のラッパーは中間部分に重ならない。第二の管の少なくとも一部の上にある第二のラッパーを提供することで、従来の喫煙物品の外観に似せることをさらに容易にし得る。例えば、第二のラッパーは、従来の紙巻たばこにおけるタバコのロッドを巻き包むことができる従来の紙巻たばこ紙の外観に似せることができる。さらに、第二のラッパーを中間部分に重ならないように配置することは、第一の管および第二の管が第二の位置に相互に移動するときに、折り畳み、筋付けまたはしわなどの、第二のラッパーへの損傷を有利に防止し得る。
【0015】
第二のラッパーが第二の管の外部表面の実質的に全体の上にあることが好ましい。第二のラッパーを第二の管の外部表面の全体に巻くことは、特に第二のラッパーを用いて紙巻きたばこ紙に似せる実施形態において、従来の喫煙物品の外観に似せることをさらに容易にし得る。
【0016】
破壊システムが第一の位置にあるときに第一の管および第二の管の一方が破壊システムの中間部分を画定するショルダー部を備える実施形態では、代替として、第一のラッパーが少なくとも部分的に中間部分に重なり、第一のラッパーは中間部分のいずれの部分にも付着されない。第一のラッパーが中間部分の全体に重なることが好ましい。第一のラッパーで中間部分の全体を巻くことは、中間部分を隠して破壊部分により均一な外観を与えることで、従来の喫煙物品の外観に似せることをさらに有利に容易にし得る。さらに、第一のラッパーが中間部分に付着されないように配置することは、第一の管および第二の管が第二の位置に相互に移動するときに、折り畳み、筋付けまたはしわなどの、第一のラッパーへの損傷を有利に防止し得る。すなわち、第二の管は、第一の管および第二の管が第一の位置から第二の位置に相互に移動するときに、中間部分に重なる第一のラッパーの一部の真下を移動し得る。
【0017】
第一のラッパーが中間部分に重なる実施形態では、第一のラッパーが第二の管にも重なってよく、ここで第一のラッパーは第二の管のいずれの部分にも付着されない。同じく、第一のラッパーを第二の管に付着されないように配置することは、第一の管および第二の管が第二の位置に相互に移動するときに、折り畳み、筋付けまたはしわなどの、第一のラッパーへの損傷を有利に防止し得る。
【0018】
第一のラッパーが第二の管の一部に重なる実施形態では、破壊システムは第二の管の少なくとも一部の上にある第二のラッパーをさらに備えてもよく、ここで第二のラッパーは第二の管に付着され、破壊システムが第一の位置から第二の位置に移動するときに第一のラッパーおよび第二のラッパーが相互に移動可能となるように、第二のラッパーの一部分は、少なくとも部分的に第二の管に重なる第一のラッパーの一部の下にある。上記のように、第二の管の少なくとも一部の上にある第二のラッパーを提供することで、従来の喫煙物品の外観に似せることをさらに容易にし得る。例えば、第二のラッパーは、従来の紙巻たばこにおけるタバコのロッドを巻き包むことができる従来の紙巻たばこ紙の外観に似せることができる。さらに、破壊システムが第一の位置から第二の位置に移動するときに第一のラッパーおよび第二のラッパーが相互に移動可能となるように第一のラッパーおよび第二のラッパーを配置することは、第一および第二のラッパーに対する損傷を有利に防止することができる。
【0019】
第二のラッパーが第二の管の外部表面の実質的に全体の上にあることが好ましい。上記の通り、第二のラッパーを第二の管の外部表面の全体に巻くことは、特に第二のラッパーを用いて紙巻きたばこ紙に似せる実施形態において、従来の喫煙物品の外観に似せることをさらに容易にし得る。
【0020】
それぞれのラッパーは、ポリマーフィルムなどの高分子材料から形成され得る。それぞれのラッパーが紙などのセルロース系材料から形成されることが好ましい。
【0021】
破壊システムが第一のラッパーおよび第二のラッパーを含む実施形態では、第一のラッパーおよび第二のラッパーのそれぞれを実質的に同一の着色とし得る。第一のラッパーと第二のラッパーが異なる着色であることが好ましい。
【0022】
破壊システムが第一の管の上にある第一のラッパーのみを備える実施形態では、第二の管は第二の管の外部表面の少なくとも一部に適用される表面処理を含んで従来の喫煙物品の外観にさらに似せることができる。例えば、第一のラッパーをチッピングラッパーに似せる実施形態では、第二の管は、第二の管の外部表面を従来の紙巻たばこ紙の外観に似せるように表面処理を含んでもよい。例えば、表面処理は、第二の管の外部表面に着色し得る。着色は白インクなどの白色とし得る。追加的または代替的に、表面処理は、第二の管の外部表面にテキスチャを付与し得る。テキスチャは、従来の紙巻たばこ紙のテキスチャーに類似させ得る。
【0023】
本発明の第二の態様によると、エアロゾル発生システム用の破壊システムであって、この破壊システムが、第一の管、第一の管に対する相互移動のために配置された第二の管、および第一の管および第二の管の一方に接続された破壊部材を備える、破壊システムが提供される。破壊システムは第一の管の少なくとも一部の上にある第一のラッパーを含み、第一のラッパーは第一の管に付着される。
【0024】
第一の管および第二の管が共に容積を画定することが好ましく、ここで第一の管および第二の管は、画定される容積が第二の位置よりも第一の位置で大きくなるように、第一の動作経路に沿って第一の位置から第二の位置へと相互に移動可能である。破壊部材は、第一の位置において、破壊部材が第一の管および第二の管の画定される容積内に完全に含まれるように配置されることが好ましい。第二の位置では、破壊部材が少なくとも部分的に画定される容積から突き出て容器を破壊する。
【0025】
破壊システムは、本発明の第一の態様を参照して本明細書に説明するいずれかの特徴を含み得る。
【0026】
本発明は、破壊システムを含むエアロゾル発生物品にも及ぶ。したがって、本発明の第三の態様によれば、上述の任意の実施形態による、本発明の第一または第二の態様の破壊システムを含むエアロゾル発生物品が提供される。エアロゾル発生物品は、第一の管に接続されたマウスピースと、第二の管に接続された揮発性液体を含有する容器とを備える。破壊システムが第一の位置から第二の位置に移動すると、破壊部材は揮発性液体を含有する容器を破壊する。
【0027】
第一のラッパーが少なくとも部分的にマウスピースの上にあり、かつマウスピースに付着されることが好ましい。第一のラッパーをマウスピースの周りに巻きつけることは、特に第一のラッパーをチッピングラッパーに似せる実施形態において、従来の喫煙物品の外観にさらに似せることができる。
【0028】
エアロゾル発生物品は、容器内の揮発性液体を加熱してエアロゾルを形成するよう構成された少なくとも1つのヒータを備えてもよい。
【0029】
揮発性液体を含有する容器はブリスターカプセルであってもよく、破壊部材は、第二の位置で、破壊部材が少なくとも部分的に画定される容積から突き出てブリスターカプセルを破壊するよう配置される。
【0030】
破壊部材は、第一の管または第二の管の一部を形成する第一の破壊部材とし得る。一部の実施形態では、破壊システムは、他方の管の一部を形成する第二の破壊部材をさらに備える。以下の記述では、第一の破壊部材は第一の管の一部として記載され、存在する場合、第二の破壊部材は第二の管の一部を形成するもととして記載される。理解され得るように、代わりに第一の破壊部材が第二の管の一部を形成し、存在する場合、第二の破壊部材が代わりに第一の管の一部を形成してもよい。
【0031】
第一の破壊部材は、破壊部分を含む遠位端および近位端を含むことが好ましく、ここで第一の破壊部材は、第一の動作経路に沿った第一の管の移動中に、破壊部分が、少なくとも部分的に第一の動作経路とは平行でない第二の動作経路を描くように、近位端で第一の管と結合されている。第一の動作経路とは平行でない第二の動作経路の使用により、破壊部分の第一の管の長軸方向軸から離れる移動が有利に容易となり得る。これにより、例えば、第二の動作経路に沿った横方向の切断運動など、各種の異なる破壊運動が可能となる。
【0032】
第二の管は、第一の破壊部材の破壊部分を第二の動作経路に沿って案内するように構成されている案内部材を含むことが好ましい。第一の動作経路に沿った第一の管および第二の管の第一の位置から第二の位置への相対移動中に、第一の破壊要素のカム従動子表面が、案内部材のカム表面と係合して、第一の破壊部材の破壊部分を第二の動作経路に沿って案内するように、案内部材がカム表面を含み、第一の破壊部材がカム従動子表面を含んでもよい。
【0033】
カム表面は、直線部分および弧部分を含むことが好ましく、またカム従動子は対応する直線部分および弧部分を含むことが好ましい。カム表面およびカム従動子上に直線部分を提供することで、第二の動作経路は、カムおよびカム従動子の弧部分が係合する前に第一の破壊部材がブリスターカプセルを貫通することを可能にする。カムおよびカム従動子の弧部分が係合する点において、相対動作が第二の動作経路に沿った横方向の漸進的な横方向の移動をもたらしてブリスターカプセルを破り、それによって空気がブリスターカプセルおよび破壊システムを通過して流れるような様式でブリスターカプセルを破壊する。
【0034】
第二の管が案内部材を含む実施形態では、案内部材は案内部材の近位端で第二の管に結合されてもよく、案内部材が第二の管に対して近位端を中心に回転可能とし得る。第一の管および第二の管が第一の動作経路に沿って移動する際に、破壊システムの長軸方向軸から離れて回転およびそれるように構成された案内部材を提供することで、破壊システムを通過する気流を改善可能とし得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「長軸方向」という用語は、破壊システムの下流または近位端と対向する上流または遠位端との間の方向を記述するために使用される。第一の管と第二の管のそれぞれは、長軸方向軸の周りに延びる。 「横断方向」という用語は、長軸方向に対して垂直な方向を記述するために使用される。
【0036】
破壊システムが案内部材を含む実施形態では、システムが第一のブリスターカプセルおよび第二のブリスターカプセルを含むことが好ましく、案内部材が第二の破壊部材であることが好ましい。第二の破壊部材は、第一の位置において、第二の破壊部材が第一の管および第二の管の画定される容積内に完全に含まれるように、少なくとも部分的に第二の管の内側に配置される。第二の位置において、第一の破壊部材は少なくとも部分的に画定される容積から突き出て第一のブリスターカプセルを破壊して第一のブリスターカプセルを貫通して延びる穴を形成し、そして第二の破壊部材が少なくとも部分的に画定される容積から突き出て第二のブリスターカプセルを破壊して第二のブリスターカプセルを貫通して延びる穴を形成する。
【0037】
第二の破壊部材を含む実施形態において、第二の破壊部材が破壊部分を含む遠位端および近位端を含むことが好ましく、第二の破壊部材は、第一の動作経路に沿った第二の管の移動中に破壊部分が、少なくとも部分的に第一の動作経路とは平行でない第三の動作経路を描くように、近位端で第二の管に接続される。この第三の動作経路は第二の破壊経路と類似しているが、第一の破壊部分および第二の破壊部分が逆方向に移動する実施形態においては長軸方向軸に沿って鏡像である。また、第三の動作経路は第二の管の長軸方向軸から離れる第二の破壊部分の移動を促進し得る。第二の動作経路に沿った第一の破壊部分の動作に関して上記する通り、第三の動作経路に沿った第二の破壊部分の移動は、例えば第三の動作経路に沿った横方向の切断運動などの各種の異なる破壊運動を可能とし得る。
【0038】
上記のいずれの実施形態および特に、破壊部分それぞれが第一の動作経路とは平行でない追加の動作経路に沿って移動するよう構成される実施形態において、破壊部材それぞれは、弾性部材によってそれぞれの管に結合されることが好ましい。
【0039】
破壊部材それぞれの各破壊部分は、くさび形の長軸方向の断面を持つことが好ましい。くさび形状の片側は、破壊システムが第一の位置にある時に、システムの長軸方向軸に実質的に平行としうる。このように、破壊システムは、より効果的にそれぞれのブリスターカプセル内に穴を生成し得る。好ましい実施形態では、破壊部分それぞれは、カム従動子表面がカム表面と係合する前にまずブリスターカプセルを貫通する。システムがこの中間位置から第二の位置に移動する際に、従動子表面はカム表面と係合し、破壊部分の第二の動作経路または第三の動作経路に沿った移動の横断方向成分を提供する。破壊部分それぞれの長軸方向の移動と横断方向の移動の組み合わせはそれぞれのブリスターカプセルを破り、形成された穴を開き、使用時に気流経路が形成されるようになる。
【0040】
破壊部分を通して流れ経路が形成されるように、破壊部分それぞれは、横断方向の断面形状を有することが好ましい。例えば、横断する断面形状は、v字型、u字型、またはそれに類するものとしうる。別の方法として、破壊部分は、その長軸方向の長さに沿って少なくとも部分的に中空としうる。
【0041】
第一の管および第二の管は実質的に中空であることが好ましく、ここで第一の管の係合表面は、隣接する第二の管の係合表面をスライドするよう構成されている。例えば、第一の管の外部表面は、下側および隣接する第二の管の内部表面をスライドするよう構成されてもよい。第一の管の内部表面は、上側および隣接する第二の管の外部表面をスライドするよう構成されてもよい。
【0042】
第一の管の係合表面および第二の管の係合表面は、圧縮力が第一の動作経路に沿ってシステムにかけられるまで、システムを第一の位置に保持するために協働するよう構成されている1つ以上の弾性の突起をそれぞれ含むことが好ましい。こうした弾性の突起は、システムの偶発的な使用を防止する。
【0043】
弾性の突起は、第一の管および第二の管の係合表面の周りに延びる環状リングであることが好ましい。環状リングは、半球状の断面形状を持つことが好ましい。
【0044】
第一の管の係合表面および第二の管の係合表面は、システムを第二の位置に保持するために協働するよう構成されている弾性の突起をそれぞれ含み得る。弾性の突起は、第一の管および第二の管の係合表面の周りに延びる環状リングであることが好ましい。環状リングは、半球状の断面形状を持つことが好ましい。
【0045】
第一の管の係合表面が隣接する第二の管の係合表面をスライドするよう構成されるいずれの実施形態においても、第一の管および第二の管の一方が上記のようにショルダー部を含むことが好ましい。システムが中間部分を備えるこうした実施形態では、第一のラッパーと第二のラッパーのいずれも中間部分と重ならず、システムがさらにショルダー部に隣接してかつ第一の管と第二の管の間に位置付けられて第一の管と第二の管が第一の位置から第二の位置に移動することを防止する、取り外し可能なタブをさらに備え得る。例えば、第一の管の外部表面が下側および隣接する第二の管の内部表面をスライドするよう構成されている実施形態では、第一の管がショルダー部を備え、そして取り外し可能なタブがショルダー部と第二の管の端部との間に位置付けられることが好ましい。別の方法として、第一の管の内部表面が上側および隣接する第二の管の外部表面をスライドするよう構成され得る実施形態では、第二の管がショルダー部を備え、そして取り外し可能なタブがショルダー部と第一の管の端部との間に位置付けられることが好ましい。
【0046】
取り外し可能なタブは、長軸方向の力が第一の管および第二の管にかけられた場合であっても、破壊システムの使用を防止する。取り外し可能なタブは、この取り外し可能なタブが第一の管から第二の管まで移動することができるよう、第一の管および第二の管の少なくとも一方に結合されることが好ましい。取り外し可能なタブは、複数の壊れやすいカプリングを使用して取り外しできるように結合されることが好ましい。別の方法として、取り外し可能なタブは、破壊システムを中心として回転しないリングを備えうるが、リングが破壊システムから分離されるようにする壊れやすい部分を含む。
【0047】
理解される通り、取り外し可能なタブは、システムの使用前に取り外される。
【0048】
第二の管が第一の端部と第二の端部を備えることが好ましいが、ここで第一の管は第一の位置において第二の管の第一の端部と重なり、少なくとも1つのブリスターカプセルが第二の管の第二の端部に接続され、そして第二の位置において第一の破壊部材は第二の管の第二の端部に接続された少なくとも1つのブリスターカプセルを破壊する。破壊システムに接続された少なくとも1つのブリスターカプセルを提供することにより、消費者がブリスターカプセルを別個の貫通要素と整列させる必要を除去することでエアロゾル発生システムの操作を簡略化することができる。
【0049】
システムが第二の破壊部材を含む実施形態では、第二の管の第二の端部に接続された少なくとも1つのブリスターカプセルが第一のブリスターカプセルを含む。こうした実施形態では、第一の管が第一の端部と第二の端部を備えることが好ましいが、ここで第二の管は第一の位置において第一の管の第一の端部と重なり、第二のブリスターカプセルが第一の管の第二の端部に接続され、そして第二の位置において第二の破壊部材は第一の管の第二の端部に接続された第二のブリスターカプセルを破壊する。
【0050】
それぞれのブリスターカプセルは、ブリスターシェルと、ブリスターシェル内に配置された管状の多孔性要素と、管状の多孔性要素上に収着された揮発性液体と、ブリスターシェルを封着するように構成されているフィルムとを備え得る。フィルムおよびブリスターシェルは壊れやすく、このため、第二の位置において、破壊部材それぞれは少なくとも部分的に画定される容積から突き出てそれぞれのブリスターカプセルのフィルムおよびブリスターシェルを破壊する。
【0051】
こうしたブリスターカプセルを提供することで、揮発性液体用の安定した容器が提供されるが、これは、標準的な製造工程を使用して、容易に、対費用効果が高く、また大量に製造され得る。さらに、ブリスターカプセルそれぞれは、エアロゾル発生システムで使用するための多孔性要素上に収着される揮発性液体の量の制御を可能とする。
【0052】
ブリスターシェルを封着するためのフィルムは、平面が好ましい。ブリスターシェルを封着するためのフィルムは、平面でなくてもよく、これにより封着されたブリスターカプセルの容積を増大させ得る。
【0053】
管状の多孔性要素の長軸方向軸は、ブリスターシェルの長軸方向軸と整列させ得る。管状の多孔性要素の長軸方向軸と直角をなす断面の外側形状寸法は、ブリスターシェルの長軸方向軸と直角をなす断面の内部の形状および寸法と実質的に等しくし得る。このように、管状の多孔性要素は、より簡単にブリスターシェル内の位置に保持される。
【0054】
多孔性要素は、ブリスターカプセルが破壊されたときに気流経路が形成されることを可能にする管状要素として提供される。例えば、管状要素は、管状の多孔性要素に影響を及ぼすことなく、破壊部材がブリスターシェルと封着フィルムの両方を貫通することを可能にする。
【0055】
管状の多孔性要素は、適切な任意の吸収性のプラグまたは本体、例えば、発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維またはセラミックで作成し得る。
【0056】
ブリスターシェルは、くぼみと、くぼみの周辺付近に延びるフランジを含むことが好ましい。管状の多孔性要素は、ブリスターシェルのくぼみ内に配置される。フィルムは、フランジに封着されることが好ましい。フィルムは、エポキシ接着剤などの接着剤、ヒートシール、超音波溶接、およびレーザー溶接を含む、適切な任意の方法を使用してカプセルのブリスターシェルに封着されてもよい。
【0057】
ブリスターカプセルそれぞれは、実質的に円形の断面を持つことが好ましい。円形断面は、製造の複雑さを低減するのに特に有利である。ところが、適切な任意の断面形状は、カプセルの要件に応じて使用され得る。例えば、断面形状は、三角形、長方形、または楕円形であり得る。ブリスターカプセルそれぞれが、第一の管および第二の管の断面形状と実質的に同一の断面形状を有することが好ましい。
【0058】
ブリスターカプセルは薄いことが好ましく、すなわち、ブリスターシェルの深さがブリスターシェルの直径よりも小さいことが好ましい。
【0059】
ブリスターシェルの内径は約3mm~約15mmであることが好ましく、約5mm~約10mmであることがより好ましい。
【0060】
ブリスターシェルの深さ、すなわち長軸方向の長さは約2mm~約12mmであることが好ましく、約3mm~約8mmであることがより好ましい。
【0061】
管状の多孔性部分は、ブリスターシェルの深さと実質的に等しい長軸方向の長さを有することが好ましい。
【0062】
ブリスターカプセルは、約5マイクロリットル~約50マイクロリットルの揮発性液体を保持するように構成されることが好ましく、約10マイクロリットル~約30マイクロリットルの揮発性液体であることがより好ましい。
【0063】
ブリスターカプセルそれぞれは、揮発性液体を含むさらなるブリスターシェルをさらに備え得る。フィルムは、さらなるブリスターシェルを封着するようにさらに構成されることが好ましい。さらなる管状の多孔性要素が、さらなるブリスターシェル内に配置され得る。それぞれのブリスターシェルは、異なる揮発性液体を含み得る。ブリスターシェルとさらなるブリスターシェルを含む実施形態では、ブリスターシェルは第一のブリスターシェルと呼ばれ、さらなるブリスターシェルは第二のブリスターシェルと呼ばれる。
【0064】
第一のブリスターシェルの容積と第二のブリスターシェルの容積は、同じでも異なっていてもよい。1つの実施形態では、第二のブリスターシェルの容積は、第一のブリスターシェルの容積よりも大きい。
【0065】
それぞれのブリスターシェルは、少なくとも2つの層を含むラミネート材料から形成されることが好ましい。それぞれの層は、金属フィルム、好ましくはアルミニウム、より好ましくは食品用陽極酸化アルミニウム、またはポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレン、フッ化エチレンプロピレンなどのポリマーで形成されてもよい。層状材料の少なくとも1つの層は、紙または厚紙であってもよい。ラミネートの層は、接着剤、熱または圧力を使用して、互いに貼り付けられてもよい。ラミネートがアルミニウムの層およびポリマー材料の層を含む時、ポリマー材料は被覆であってもよい。被覆層は、アルミニウム層よりも薄くてもよい。ポリマー層材料、および厚さは、含まれることになる揮発性液体の組成とは独立して選択されることが好ましい。例えば、ポリマー層は、含まれている液体の酸化、および/または容器との反応を減少させるように選択されることが好ましい。ラミネート材料は、2つを越える層を含み得る。
【0066】
第一のブリスターカプセルが第二の管の第二の端部に接続され、第二のブリスターカプセルが第一の管の第二の端部に接続される実施形態では、第一の管および第二の管によって画定される容積は、ブリスターカプセルが破壊された後に両ブリスターカプセルからの揮発性液体を混合するのを促進するための混合チャンバを形成し得る。
【0067】
第一および第二のブリスターカプセルのそれぞれが、それぞれの管の第二の端部に圧入されることが好ましい。別の方法として、それぞれのブリスターカプセルは、エポキシ樹脂などの接着剤を用いて、またはヒートシール、超音波溶接またはレーザー溶接によりそれぞれの管に接続され得る。
【0068】
第一のブリスターカプセルおよび第二のブリスターカプセルは、同じまたは異なる揮発性液体を備え得る。
【0069】
揮発性液体は、加熱されると液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料などニコチン含有材料を含み得る。液体は非たばこ材料を含んでもよい。液体は水、溶媒、エタノール、植物エキス、および天然または人工の風味を含んでもよい。液体はさらにエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0070】
少なくとも1つのブリスターカプセルはニコチン供給源を含み得る。よって、少なくとも1つのブリスターカプセル内の揮発性液体は1つ以上のニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩、またはニコチン誘導体を含むことが好ましい。
【0071】
ニコチン剤は天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。ニコチン剤はニコチン塩基、ニコチン-HCl、ニコチン重酒石酸塩またはニコチン酒石酸塩などのニコチン塩、またはその組み合わせを含み得る。
【0072】
ニコチン剤は電解質形成化合物をさらに含んでもよい。電解質形成化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化カリウム(KOH)およびその組み合わせから成る群から選択されうる。
【0073】
別の方法としてまたは追加的に、ニコチン剤は、天然風味、人工風味、および酸化防止剤が挙げられるがこれに限定されない他の構成成分をさらに含んでもよい。
【0074】
液体ニコチン剤は純粋なニコチン、水性溶媒または非水溶媒あるいは液体たばこ抽出物におけるニコチンの溶液を含みうる。
【0075】
液体ニコチン溶液はニコチン塩基、ニコチン塩(ニコチン-HCl、ニコチン重酒石酸塩、またはニコチン酒石酸塩など)および電解質形成化合物の水溶液を含みうる。
【0076】
それぞれのブリスターカプセル内のニコチン剤は有利にも、ニコチン剤の劣化のリスクが著しく低減されるように、酸素(酸素は一般的にブリスターシェルまたは封着フィルムを通過できないため)および一部の実施形態では光に対する暴露から保護され得る。従って、高いレベルの衛生が維持できる。
【0077】
システムが1つ以上のブリスターカプセルを含む、またはシステムが2つ以上のブリスターカシェル中に2つ以上の揮発性液体を含むブリスターカプセルを含む実施形態では、ブリスターカプセルまたはブリスターシェルの少なくとも一方が揮発性液体送達促進化合物源を含むことが好ましい。本明細書で使用される時、「揮発性」という用語は、送達促進化合物の蒸気圧が少なくとも約20Paであることを意味する。特に明記しない限り、本明細書で言及するすべての蒸気圧は、ASTM E1194-07に従って25℃で測定された蒸気圧である。
【0078】
揮発性送達促進化合物の25℃での蒸気圧は、少なくとも約50Paであることが好ましく、少なくとも約75Paであることがより好ましく、少なくとも100Paであることが最も好ましい。
【0079】
揮発性送達促進化合物の25℃での蒸気圧は約400Pa以下であることが好ましく、約300Pa以下であることがより好ましく、約275Pa以下であることがさらにより好ましく、約250Pa以下であることが最も好ましい。
【0080】
揮発性送達促進化合物の25℃での蒸気圧は、約20Pa~約400Paであってもよく、約20Pa~約300Paであることがより好ましく、約20Pa~約275Paであることがさらにより好ましく、約20Pa~約250Paであることが最も好ましい。
【0081】
揮発性送達促進化合物の25℃での蒸気圧は、約50Pa~約400Paであってもよく、約50Pa~約300Paであることがより好ましく、約50Pa~約275Paであることがさらにより好ましく、約50Pa~約250Paであることが最も好ましい。
【0082】
揮発性送達促進化合物の25℃での蒸気圧は、約75Pa~約400Paであってもよく、約75Pa~約300Paであることがより好ましく、約75Pa~約275Paであることがさらにより好ましく、約75Pa~約250Paであることが最も好ましい。
【0083】
揮発性送達促進化合物の25℃での蒸気圧は、約100Pa~約400Paであってもよく、約100Pa~約300Paであることがより好ましく、約100Pa~約275Paであることがさらにより好ましく、約100Pa~約250Paであることが最も好ましい。
【0084】
揮発性送達促進化合物は単一の化合物を含んでいてもよい。揮発性送達促進化合物は2つ以上の異なる化合物を含んでもよい。
【0085】
揮発性送達促進化合物が2つ以上の異なる化合物を含む場合、2つ以上の異なる化合物の組み合わせの25℃での蒸気圧は少なくとも約20Paである。
【0086】
揮発性送達促進化合物は、1つ以上の化合物の水溶液を含んでもよい。あるいは、揮発性送達促進化合物は、1つ以上の化合物の非水溶液を含んでもよい。
【0087】
揮発性送達促進化合物は2つ以上の異なる揮発性化合物を含む場合がある。例えば、揮発性送達促進化合物は、2つ以上の異なる揮発性液体化合物の混合物を含んでもよい。
【0088】
揮発性送達促進化合物は、1つ以上の不揮発性化合物および1つ以上の揮発性化合物を含んでもよい。例えば、揮発性送達促進化合物は、揮発性溶剤中の1つ以上の不揮発性化合物の溶液、または1つ以上の不揮発性液体化合物と1つ以上の揮発性液体化合物との混合物を含んでもよい。
【0089】
送達促進化合物は酸または塩化アンモニウムを含むことが好ましい。送達促進化合物は酸を含むことが好ましい。送達促進化合物は20℃での蒸気圧が少なくとも約5Paである持つ酸を含むことがより好ましい。容器またはブリスターカプセルがニコチン含有揮発性液体を含む場合、20℃での蒸気圧がニコチン剤より高い酸が好ましい。
【0090】
送達促進化合物は、有機酸または無機酸を含みうる。送達促進化合物は有機酸を含むことが好ましい。送達促進化合物はカルボン酸を含むことがより好ましい。送達促進化合物はαケト酸または2-オキソ酸を含むことが最も好ましい。
【0091】
送達促進化合物は、3-メチル-2-オキソ吉草酸、ピルビン酸、2-オキソ吉草酸、4-メチル-2-オキソ吉草酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸およびこれらの組み合わせから成る群より選択される酸を含むことが好ましい。特に好ましい実施形態で、送達促進化合物はピルビン酸または乳酸を含む。
【0092】
それぞれのブリスターカプセルが管状の多孔性部分を含む実施形態では、それぞれの管状の多孔性部分は酸または塩化アンモニウムがその上に収着された収着要素であることが好ましい。
【0093】
本明細書に使用される、「収着された」は、揮発性液体が収着エレメントの表面上に吸着された、または収着エレメント中に吸収された、または収着要素上に吸着された、および中に吸収されたことの両方を意味する。
【0094】
収着要素は任意の好適な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。例えば、収着要素は、ガラス、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0095】
多孔性収着要素は、多孔性プラスチック材料、多孔性重合体繊維および多孔性ガラス繊維から成る群より選択された一つ以上の多孔性材料を含み得る。一つ以上の多孔性材料は、毛細管材料であってもなくてもよい。
【0096】
適切な多孔性の繊維質材料には、セルロース綿繊維、酢酸セルロース繊維および結合ポリオレフィン繊維(ポリプロピレンおよびポリエチレン繊維の混合体など)が含まれるが、これに限定されない。
【0097】
当然ながら、本発明の任意の態様において説明および定義された様々な特徴の特定の組み合わせを、独立してまたは組み合わせて実施および/または供給および/または使用することもできる。
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1図1は、本発明による破壊システムの断面図を示す。
図2図2は、本発明による代替的な破壊システムの断面図を示す。
図3図3は、第一および第二のブリスターカプセルと組み合わされ、第一の位置から第二の位置に移動する、図2の破壊システムを示す。
図4図4は、第一および第二のブリスターカプセルと組み合わされ、第一の位置から第二の位置に移動する、図2の破壊システムを示す。
図5図5は、第一および第二のブリスターカプセルと組み合わされ、第一の位置から第二の位置に移動する、図2の破壊システムを示す。
図6図6は、図2の破壊システムを包むための第一の配置を示す。
図7図7は、図2の破壊システムを包むための第一の配置を示す。
図8図8は、図2の破壊システムを包むための第一の配置を示す。
図9図9は、図2の破壊システムを包むための第二の配置を示す。
図10図10は、図2の破壊システムを包むための第二の配置を示す。
図11図11は、図2の破壊システムを包むための第二の配置を示す。
図12図12は、図2の破壊システムを包むための第三の配置を示す。
図13図13は、図2の破壊システムを包むための第三の配置を示す。
図14図14は、図2の破壊システムを包むための第三の配置を示す。
図15図15は、図2の破壊システムを包むための第四の配置を示す。
図16図16は、図2の破壊システムを包むための第四の配置を示す。
図17図17は、図2の破壊システムを包むための第四の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
図1は、第一の管104および第二の管102を備えた破壊システム100の断面図を示す。第一の管104は、実質的に円形断面の形状を有する中空の円筒形部分112と、弾性部材116によって弾性的に中空部分112に結合された破壊部材114とを含む。破壊部材は、破壊部分117を含む。第二の管102は、実質的に円形断面の形状を有する中空の円筒形部分106と、弾性部材110によって弾性的に中空部分106に結合された案内部材108とを含む。第一の管104は弾性の突起124、126および128をさらに含み、第二の管102は弾性の突起118、120および122をさらに含む。
【0100】
図1で分かる通り、第二の管102は、下記に詳細に説明する通り、操作できるように係合されるように、第一の管104内で部分的にスライドするように構成されている。第一の管および第二の管は、第一の動作経路に沿って移動するように構成される。第一の管104および第二の管102のこうした相対的なスライドは、下記に詳細に説明する通り、案内部材108のカム表面130を破壊部材114のカム従動子表面132に係合させる。
【0101】
図2は代替的な破壊システム200を示す。見て分かる通り、システム200は、システム100と類似しており、同様の参照番号が同様の構成要素を参照するために使用されている。システム200の第二の管102は、破壊部分204を有する案内部材202を含む。この例において、案内部材202は、第二の破壊部材として周知である。
【0102】
図3~5は、第一の動作経路に沿って第一の位置(図3)から中間位置(図4)へ、そして第二の位置(図5)へと移動する破壊システム200を示す。理解される通り、破壊システム100の動作はシステム200と実質的に類似している。
【0103】
図3で、長軸方向の圧縮力がシステム200に対してかけられるまで第一の管および第二の管をこの第一の位置に保持するために、第二の管102の突起118、120および122が、第一の管104の突起124、126および128と協働することが分かる。十分な力がかけられると、第二の管および突起が変形し、図4に示す通り、第二の管が第一の管内でスライド可能となる。同じく図4に見られるように、第一の管および第二の管のそれぞれの破壊部分は、第二の管および第一の管の端部にそれぞれ接続された第一のブリスターカプセル210と第二のブリスターカプセル212を破壊し始める。同時に、カム表面130はカム従動子表面132と係合し始める。図5に示す通り、第一の管および第二の管が第二の位置に移動すると、カム表面は、カム部材202および破壊部材を、それぞれの弾性部材110および116の周りで強制的に回転させる。そうすることで、破壊部分は横断方向に移動し、それによって破壊部分は、第一の動作経路とは平行でない第二の動作経路および第三の動作経路に沿って移動する。
【0104】
最後に、図5に示す通り、弾性の突起118および128は、システム200を第二の位置に保持するために協働する。さらに、第一の管は、第二の管の端面302と係合して第一の管と第二の管の間のさらなる相対的スライド移動を防止するショルダー部300を含む。破壊部材は、それぞれのブリスターカプセル210、212を完全に通過して貫通し、それぞれのブリスターカプセルを通過する穴304を形成した。横断方向における破壊部分の横方向の移動は、それぞれの穴304を開いて破壊システム200を通過し、かつブリスターカプセル210、212の穴304の間の気流経路を形成する。
【0105】
図6、7および8は、本発明による破壊システム200を包むための第一の配置を示す。図6に示すように、マウスピース400が第一の管104の下流端に提供され、第一のラッパー402が第一の管104の周りに巻きつけられる。第一のラッパー402は、第一の管104の実質的に外部表面全体を覆い、第一のラッパー402の内部表面上に塗布された接着剤404を用いて第一の管に付着される。第一のラッパー402は、従来のフィルタ付き紙巻きたばこのチッピングラッパーに似せてある。
【0106】
第一の管104のショルダー部300と第二の管102の端面302との間の空間は、破壊システム200の中間部分406を画定する。図6に示す実施形態において、第一のラッパー402は中間部分406のいずれの部分とも重ならない。
【0107】
図6において、第一のラッパー402は、実施形態を説明するために部分的に包まれないものとして示されている。図7は、第一の管104を完全に巻き包む第一のラッパー402を示す。図8は、第一の管および第二の管が第二の位置に移動し、そのためにショルダー部300と端面302との間のギャップが閉まって、中間部分406が除去された後の破壊システム200を示す。
【0108】
図9、10および11は、本発明による破壊システム200を包むための第二の配置を示す。図9、10および11に示される配置は、図6、7および8に示される配置と実質的に同一であり同一の参照符号は同一の部分を指すのに使用される。図9、10および11に示される配置は、第二の管102の周りに巻きつけられて付着される第二のラッパー408が追加されていることで異なっている。第二のラッパー408は、従来のフィルタ付き紙巻たばこの紙巻たばこ紙に似せてある。
【0109】
第二のラッパー408は中間部分406のいずれの部分とも重なっておらず、このため、第二のラッパー408は第一の管および第二の管の第二の位置への移動を妨害しない。
【0110】
図9において、第一のラッパー402および第二のラッパー408は、実施形態を説明するために部分的に包まれないものとして示されている。図10は、第一の管104および第二の管102それぞれを完全に巻き包む第一のラッパー402および第二のラッパー408を示す。図11は、第一の管および第二の管が第二の位置に移動し、そのためにショルダー部300と端面302との間のギャップが閉まって、中間部分406が除去された後の破壊システム200を示す。
【0111】
図12、13および14は、本発明による破壊システム200を包むための第三の配置を示す。また、図12、13および14に示される配置は、図6、7および8に示される配置と実質的に同一であり、同一の参照符号は同一の部分を指すのに使用される。図12、13および14に示される配置は、図12において参照符号502で示す第一のラッパーが長いために、中間部分406および第二の管102の一部と重なる点で異なる。
【0112】
第一のラッパー502は、接着剤がない領域504を含むため、第一のラッパー502は中間部分406または第二の管102のいずれの部分にも付着されない。接着剤がない領域504は、第一のラッパー502を損傷することなく、第一の管および第二の管が第一の位置から第二の位置に自由に移動することを可能にする。
【0113】
図12において、第一のラッパー502は、実施形態を説明するために部分的に包まれないものとして示されている。図13は、第一の管104を完全に巻き包む第一のラッパー502を示す。図14は、第一の管および第二の管が第二の位置に移動した後の破壊システム200を示す。
【0114】
最後に、図15、16および17は、本発明による破壊システム200を包むための第四の配置を示す。図15、16および17に示される配置は、図9および12に示される第二の配置と第三の配置の組み合わせである。すなわち、図15、16および17に示される配置では、第一のラッパー502は、第一の管104を巻き包み、中間部分406と第二の管102の一部と重なり、第一のラッパー502は接着剤がない領域504を含む。第二のラッパー408は、第二の管102を巻き包み、第二のラッパー408は第二の管102に重なる第一のラッパー502の一部の下にある。本システムは、第一のラッパー502と第二のラッパー408の間に接着剤がなく、そのため、第一の管および第二の管が第二の位置に移動するときに、第二のラッパー408が第一のラッパー502の真下に自由に移動する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17