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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】三次元分岐線カプラー
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/18 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
H01P1/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022567292
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021020624
(87)【国際公開番号】W WO2021225678
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】16/867,067
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー,エリシア,ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ライトン,クリストファー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】コロム,フランソワ,ワイ.
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-242703(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0054595(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0036189(US,A1)
【文献】特開平07-273551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐線カプラー構造体であって:
支持構造体;
前記支持構造体の異なる水平レベルに配置された一対の主伝送線路;及び
前記支持構造体内に配置され、垂直に配置され、横方向に間隔を空けた一対のシャント伝送線路;
を含み、
前記一対のシャント伝送線路のうちの第1シャント伝送線路が、前記一対の主伝送線路のうちの第1主伝送線路の第1領域と、前記一対の主伝送線路のうちの第2主伝送線路の第1端との間に結合されており;かつ
前記一対のシャント伝送線路のうちの第2シャント伝送線路が、前記第1領域から横方向に間隔を空けた、前記一対の主伝送線路の第1主伝送線路の第2領域と、前記主伝送線路のうちの前記第2主伝送線路の第2端との間に結合されており
さらに、
前記支持構造体の上方表面に配置されており、各々が、前記一対のシャント伝送線路の対応する伝送線路に結合されている一対の位相シフト部伝送線路;
前記支持構造体の前記上方表面に配置された第1接地パッドであり、第1ギャップにより前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの対応する1つから分離されている第1接地パッド;
各々が、前記第1接地パッドに接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの対応する1つに接続する第2端を有する複数の第1電気的導体;
前記支持構造体の前記上方表面に配置された第2接地パッドであり、第2ギャップにより前記一対の位相シフト部伝送線路から分離されている第2接地パッド;及び
各々が、前記第2接地パッドに接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの対応する1つに接続する第2端を有する複数の第2電気的導体;
を含み、
前記第1電気的導体及び前記第2電気的導体が、それぞれ前記第1ギャップ及び前記第2ギャップに沿って千鳥配置されている、
分岐線カプラー構造体。
【請求項2】
前記一対のシャント伝送線路がエネルギーを伝播し、該エネルギーの電場が前記一対の主伝送線路に対して垂直に配置される、
請求項1に記載された分岐線カプラー構造体。
【請求項3】
前記一対の主伝送線路が、エネルギーを伝播し、該エネルギーの電場が前記一対の主伝送線路に対して平行に配置される、
請求項1に記載された分岐線カプラー構造体。
【請求項4】
分岐線カプラー構造体であって:
支持構造体;
一対の主伝送線路;
一対のシャント伝送線路であり、当該一対のシャント伝送線路のうちの第1シャント伝送線路が、前記一対の主伝送線路のうちの第1主伝送線路の第1領域と、前記一対の主伝送線路のうちの第2主伝送線路の第1端との間に結合され、かつ当該一対のシャント伝送線路のうちの第2シャント伝送線路が、前記第1領域から横方向に間隔を空けた、前記一対の主伝送線路の第1主伝送線路の第2領域と、前記主伝送線路のうちの前記第2主伝送線路の第2端との間に結合されている、一対のシャント伝送線路;
一対の位相調整部であり、各々が、一対の位相シフト部伝送線路のうちの対応する位相シフト部伝送線路を介して前記一対のシャント伝送線路の対応するシャント伝送線路に結合されている、一対の位相調整部;
前記支持構造体の上方表面に配置された第1接地パッドであり、第1ギャップにより前記一対の位相シフト部伝送線路の信号ストリップ導体から分離されている第1接地パッド;
前記第1ギャップに沿って連続的に配置され、前記第1ギャップを跨ぐ複数の第1電気的導体であり、各々が、前記第1接地パッドに接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの1つに接続する第2端を有する第1電気的導体;
前記支持構造体の上方表面に配置された第2接地パッドであり、一対の第2ギャップにより前記一対の位相シフト部伝送線路の前記信号ストリップ導体から分離されている第2接地パッド;及び
前記一対の第2ギャップに沿って連続的に配置され、前記一対の第2ギャップを跨ぐ複数の第2電気的導体であり、各々が、前記第2接地パッドに接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの1つに接続する第2端を有する第2電気的導体;
を含み、
前記第1電気的導体及び前記第2電気的導体が、それぞれ前記第1ギャップ及び前記一対の第2ギャップのうち対応するギャップに沿って千鳥配置されている、
分岐線カプラー構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には分岐線カプラー(branchline coupler)に関連し、より詳細にはコンパクトな分岐線カプラーに関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
当技術分野で知られているように、アナログ移相器の1つのタイプは分岐線カプラーを含む。反射カプラー又はシャントハイブリッドコンバイナとも呼ばれることもある、このような分岐線カプラーの1つは、一対の主伝送線路と一対のシャント伝送線路を含むように図1に示されている。分岐線カプラーを含む1つのアナログ移相器(図2)は、"Integral analysis of hybrid coupler semiconductor phase shifters" by Kori et al, IEE Proceedings, vol. 134, Pt. H. No. 2. April 1987の論文に記載されている。
【0003】
分岐線カプラー型移相器(phase shifter)の位相シフトを調整するために使用される技術の1つは、一対のシャント伝送線路のそれぞれに接続された位相調整部を接続することである。このことは、"A Low-Loss Voltage-Controlled Analog Phase-Shifter Using Branchline Coupler and Varactor Diodes" by Gupta et al., (Gupta, Nishant, Raghuvir Tomar, and Prakash Bhartia. "A low-loss voltage-controlled analog phase-shifter using branchline coupler and varactor diodes." Microwave and Millimeter Wave Technology, 2007. ICMMT07. International Conference on. IEEE, 2007)の論文に記述されている。そこでは、一対のバラクタダイオードが電圧によって制御され、移相器によって提供される位相シフトを調整する。一対のシャント伝送線路のそれぞれに接続された位相調整部を持つ別の分岐線カプラー型移相器を図3Aに示す。ここで、位相調整部はそれぞれ、互いに分離された一対の導体を含む。導体の1つは、基板の底部にある接地面導体に接続されている。2つの導体は、図のように、一連のブリッジする、間隔を空けたボンドワイヤにより接続されている。入力信号を印加すると、図3Bに示すように、出力での位相が測定され、ボンドワイヤが1本ずつ取り外されることで、所望の位相シフトが得られるまで、接地への位相調整部を通るパスの電気的長さが変更される。図3Bは、図3Aの分岐線カプラー型移相器から取り外されたいくつかのボンドワイヤを示す。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示に従って、分岐線カプラー構造体(10、図4)が提供される。分岐線カプラー構造体(10、図4)は、支持構造体(12); 前記支持構造体の異なる水平レベルに配置された一対の主伝送線路(141,142図5);及び 前記支持構造体内に配置され、垂直に配置され、横方向に間隔を空けた一対のシャント(shunt)伝送線路(261,262);を含む。 前記一対のシャント伝送線路のうちの第1シャント伝送線路(261)が、前記一対の主伝送線路のうちの第1主伝送線路(141)の第1領域(281図5K)と、前記一対の主伝送線路のうちの第2主伝送線路(142)の第1端(301図5A)との間に結合されている。 前記一対のシャント伝送線路のうちの第2シャント伝送線路(262)が、前記第1領域(281)から横方向に間隔を空けた、前記一対の主伝送線路の第1主伝送線路(141)の第2領域(282図5K)と、前記主伝送線路のうちの前記第2主伝送線路(142)の第2端(302図5A)との間に結合されている。
【0005】
一実施形態において、分岐線カプラー構造体は、 一対の位相調整部(321,322図5)であり、各々が、一対の位相シフト部伝送線路(341,342図5)のうちの対応する伝送線路を介して前記一対のシャント伝送線路の対応する伝送線路に結合されており、前記一対の位相シフト部伝送線路が前記支持構造体の上方表面に配置されている、一対の位相調整部を含む。 接地パッド(421,423)が、前記支持構造体の上方表面に配置され、ギャップ(441,442)により前記位相シフト部伝送線路の信号ストリップ導体(381,382)から分離されている。 複数の第1電気的導体(46a1,46b2)が、 前記ギャップに沿って連続的に配置され、前記ギャップを跨ぎ、各々が、前記接地パッド(421,423)に接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの1つに接続する第2端を有する。
【0006】
一実施形態において、分岐線カプラー構造体は、 前記支持構造体の上方表面に配置された第2接地パッド(422)であり、一対のギャップ(441,442)により前記一対の位相シフト部伝送線路の前記信号ストリップ導体(381,382)から分離されている第2接地パッド;及び
前記一対のギャップ(441,442)に沿って連続的に配置され、前記一対のギャップを跨ぐ複数の第2電気的導体(46b1,46a2)であり、各々が、前記第2接地パッド(422)に接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの対応する1つに接続する第2端を有する第2電気的導体;を含む。
【0007】
一実施形態において、前記第1電気的導体及び前記第2電気的導体が、前記一対のギャップのうち対応するギャップに沿って千鳥配置されている。
【0008】
一実施形態において、前記一対のシャント伝送線路(261,262)がエネルギーを伝播し、該エネルギーの電場が垂直に配置される。
【0009】
一実施形態において、前記一対の主伝送線路(141,142)が、エネルギーを伝播し、該エネルギーの電場が水平に配置される。
【0010】
一実施形態において、分岐線カプラー構造体(10、図4)が: 支持構造体(12); 一対の主伝送線路(141,142図5); 一対のシャント伝送線路(261,262)であり、当該一対のシャント伝送線路のうちの第1シャント伝送線路(261)が、前記一対の主伝送線路のうちの第1主伝送線路(141)の第1領域(281図5K)と、前記一対の主伝送線路のうちの第2主伝送線路(142)の第1端(301図5A)との間に結合され、かつ当該一対のシャント伝送線路のうちの第2シャント伝送線路(262)が、前記第1領域(281)から横方向に間隔を空けた、前記一対の主伝送線路の第1主伝送線路(141)の第2領域(282図5K)と、前記主伝送線路のうちの前記第2主伝送線路(142)の第2端(302図5A)との間に結合されている、一対のシャント伝送線路; 一対の位相調整部(321,322図5)であり、各々が、一対の位相シフト部伝送線路(341,342図5)のうちの対応する伝送線路を介して前記一対のシャント伝送線路の対応する伝送線路に結合されている、一対の位相調整部; 前記支持構造体の上方表面に配置された接地パッド(421,423)であり、ギャップ(441,442)により前記位相シフト部伝送線路の信号ストリップ導体(381,382)から分離されている接地パッド;及び 前記ギャップに沿って連続的に配置され、前記ギャップを跨ぐ複数の第1電気的導体(46a1,46b2)であり、各々が、前記接地パッド(421,423)に接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの1つに接続する第2端を有する第1電気的導体;を含む。
【0011】
一実施形態において、第2接地パッド(422)が、前記支持構造体の上方表面に配置され、一対のギャップ(441,442)により前記一対の位相シフト部伝送線路の前記信号ストリップ導体(381,382)から分離されている。 複数の第2電気的導体(46b1,46a2)が、前記一対のギャップ(441,442)に沿って連続的に配置され、前記一対のギャップを跨ぎ、各々が、前記第2接地パッド(422)に接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの対応する1つに接続する第2端を有する。
【0012】
一実施形態において、前記第1電気的導体及び前記第2電気的導体が、前記一対のギャップのうち対応するギャップに沿って千鳥配置されている。
【0013】
このような配置により、小型の分岐線カプラーが提供される。また、第2接地パッドを設けることで使用可能な位相シフトの数を増やしている。
【0014】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本開示の他の特徴、対象及び利点は、明細書及び図面並びに請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来技術による分岐線カプラーの概略図である。
図2】従来技術による分岐線カプラーを用いた移相器の概略図である。
図3A】従来技術による製造の各段階における、従来技術による分岐線カプラーを使用した移相器の斜視図である。
図3B】従来技術による製造の各段階における、従来技術による分岐線カプラーを使用した移相器の斜視図である。
図4】本開示に従った分岐線カプラーの一部をファントム(phantom)で示した斜視図である。
図4A図4の分岐線カプラーの一部をファントムで示した斜視図である。本開示に従った分岐線カプラーの内方層を示すために、分岐線カプラーの一部を除去した。7―7示す矢印で囲まれた内方部分は図7に示されている。
図4B】本開示に従った図4の分岐線カプラー内で使用される信号導体を示している。
図5】本開示に従った図4の分岐線カプラーの複数の垂直に積み重ねられたプリント基板の各々を示す分解斜視概略図である。
図5A】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5B】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5C】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5D】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5E】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5F】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5G】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5H】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5I】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5J】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5K】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5L】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図5M】本開示に従った図4の分岐線カプラーを形成するために用いる、図5のプリント基板の各々の平面図である。
図6】本開示に従った図4の分岐線カプラーの図5A乃至Mのプリント基板の配置をさらに理解するのに有用な、図4の分岐線カプラーの単純化した分解概略図である。
図7】本開示に従った図4の分岐線カプラーの図4Aにおいて7-7と指定された内方部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
さまざまな図面中の同様な参照符号は同様な部材を示す。
【0017】
図4図4A図4B及び図5を参照すると、分岐線カプラー構造体(branchline coupler structure)10が示されている。分岐線カプラー構造体10は、支持構造体12(図4A)を含む。支持構造体12は、ここでは、図6に示すように、Z軸に沿って垂直に積み重ねた、複数の13枚の平坦プリント基板121-1213で構成される誘電体構造体である。基板121-1213の平坦表面は、水平(X-Y)平面内に配置され、複数のプリント基板121-1213の各基板の平面図をそれぞれ図5A乃至図5Mに示す。基板121-1213のうち、一番上の基板は121と表示され、一番下の基板は1213と表示されている。複数のプリント基板121-1213を、在来の誘電体接合材料(図示せず)で互いに接着すると、図5に概図されているように、分岐線カプラー構造体10となる。分岐線カプラー構造体10は、図4Bに示し後述するように、信号ストリップ導体161、162、内方信号導体261、262、信号ストリップ導体381、382を形成する。
【0018】
図5A乃至5Mをも参照すると、一対の主伝送線路141、142(参照符号141図5の左下、参照符号142図5の中央に記載)、ここではマイクロストリップ伝送線路の各々が、それぞれ信号ストリップ導体161、162を有する。信号ストリップ導体161、162は、図5K及び図5Aに示すように、それぞれ基板1211及び121の上方表面上に形成される。対応する下層の一対の接地面導体181、182がそれぞれ、図5M及び5Cに示すように、基板1213及び123上の導体シート部分1213metal/ground plane及び123metal/ground planeにより形成される。基板1213及び123は、X-Y水平平面内に配置され、垂直Z軸に沿った電場を支持する。主伝送141、142の各々は、支持構造体12の異なる水平レベル上に配置される。一対のシャント伝送線路261、262図5)が、個々では同軸タイプ伝送線路221、222であり、導電シート241、242、243により形成される接地された外方導体を有する。導電シート241、242、243はそれぞれ、図5E図5G及び図5Iに示す基板125、127及び129上の導電シート部分125metal/ground plane, 127metal/ground plane 及び129metal/ground plane により形成される。導電シートは、分岐線カプラーの公称動作波長における1/4波長よりも小さく垂直に間隔を空けられており、電気的に連続導体として見える。内方信号導体261、262がそれぞれ、導電信号ビア221及び222により形成される。導電信号ビア221及び222は、図5B乃至5Lに示すように、基板上の導電シート導電部分により形成される。同軸タイプ伝送線路221、222が、垂直方向に延び、横方向に間隔を置き、支持構造体12内に配置され、X-Y水平平面に沿った電場を支持する。
【0019】
一対のシャント伝送線路261、262図5)のうちの第1の線路、ここではシャント伝送線路261は、一対の主伝送線路141、142のうちの第1の線路、ここでは主伝送線路141の基板1211図5K)上の第1の領域281と、一対の主伝送線路141,142のうちの第2の線路、ここでは主伝送線路142の基板121図5A)上の第1端301との間に結合されている。一対のシャント伝送線路261、262のうちの第2の線路、ここではシャント伝送線路262は、一対の主伝送線路141、142のうちの第1の線路、ここでは主伝送線路141の基板1211図5K)上の第2の領域282と、一対の主伝送線路141,142のうちの第2の線路、ここでは主伝送線路142の基板121図5A)上の第2端302との間に結合されている。主伝送線路141の第1領域281は、基板1211上の第2領域282から横方向に間隔をあけられている。
【0020】
ここで、分岐線カプラー構造体10は、一対の位相調整部321、322図5)を含む。位相シフト部321、322の各々は、一対のシャント伝送線路部261、262の対応する一つにそれぞれ結合され、領域281、282のうちの対応する領域において、一対の主伝送線路のうちの第2線路の対応するものにそれぞれ結合される。結合は、図示のように、一対の位相シフト部伝送線路341、342図5)、ここではマイクロストリップ伝送線路のうちの対応するものを介する。より具体的には、位相シフト部伝送線路341、342はそれぞれ、一対の信号ストリップ導体381、382のうちの対応する導体を有する。一対の信号ストリップ導体381、382は、支持構造体10(基板121図5A)の上方表面上に配置され、Y方向に沿って延びている。一対の信号ストリップ導体381、382の各々はそれぞれ、一対の接地面導体401、402のうちの対応する導体の上方に配置され、ここでは、図5Dに示すように、基板124上に示されているような共通導体31パターンによって提供され、Z軸に沿って垂直電場を支持するように配置される。
【0021】
複数の、ここでは3個の電気的に接続された接地パッド421、422及び423が、支持構造体10の上方表面上に配置されており、指示されているように基板121図5A)上に形成されたパターン化された電気的導体19によって形成されている。3個の接地パッド421、422及び423は、図示のように、ギャップ441、442によって互いに分離されており、図示のように信号ストリップ導体381、382がそれぞれギャップ441、442内に配置されている。2セットの電気的導体46a1、46b1及び46a2、46b2があり、ここではボンドワイヤであり、図示のように、ギャップ441、442に亘ってギャップを跨ぎ(ブリッジし)、それぞれ千鳥(互い違いに)配置されている。セット46a1、46b1の一部、ここではセット46a1の一端が接地パッド421に接続され、反対側の他端が信号ストリップ導体381に接続されており、ここでは、セット46b1の一端が接地パッド422に接続され、反対側の他端が信号ストリップ導体381に接続されている。セット46a1及びセット46b1の電気的導体は、図に示すように、セット46a1の各導体がセット46b1の各導体に対して千鳥配置された状態で、ギャップ441に沿って連続的に配置されていることに注意されたい。別の言い方をすると、セット46b1の各導体は、図のようにセット46a1の一対の導体の間に配置されている。同様に、セット46a2及びセット46b2の電気的導体は、図に示すように、セット46a2の各導体がセット46b2の各導体に対して千鳥配置された状態で、ギャップ442に沿ってギャップを跨ぎ連続的に配置されていることに注意されたい。別の言い方をすると、セット46b2の各導体は、図のようにセット46a2の一対の導体の間に配置されている。
【0022】
プリント基板121、123、125、127、129、1211、1213-(それぞれ、図5A図5C図5E図5G図5I図5K及び図5M)上の接地面導体、及び基板121図5A)上の3個の接地パッド421、422及び423は、図5A乃至5Mに示すように、導電性接地ビア21と共に接続されている。基板122、124、126、128、1210、1212図5B、5D、5F、5H、5J及び5L)は導電性ビア21を有し、基板124、126、128、1210及び1212は、図7に示すように、同軸シャント伝送線路221、222の中心信号導体の一部を有する。
【0023】
基板121~1213は、接地ビア21及び内方信号導体261、262を除いて、上に示し、図5A乃至Mで前述したように形成されている。形成された基板121-1213はその後、積み重ねられ、通常の誘電体ボンディング材料(図示せず)を用いて一緒に接合される。接地バイア19及び内方信号導体261、262の導電バイアは先ず、接合構造の底部又は裏面から、接合構造内に穴をエッチング又は穿孔することにより形成される。穴は、基板1213の裏面から始まり、接合構造を通って垂直に貫通し、その後、接合構造の穴を適切な導電性材料で埋めることによって形成される。導電性材料が内方信号導体261、262を基板1213上の接地面導体に対して電気的に接続させるのを防ぐために、内方信号導体261、262の部分、そのような接続をなす内方信号導体261、262の導電性材料が、バックドリル又は例えば時間エッチングによって除去され、除去された導電性材料は誘電性材料に置き換えられる。
【0024】
かくして、図5Aの基板121では:参照符号19は、パッド421、422及び423を形成するようにパターン化された導電性シートである。信号ストリップ導体381、382;主伝送線路142信号ストリップ導体162;内方信号導体261、262の頂部;主伝送線路1421信号ストリップ導体301、302の第1端及び第2端;121sと示されたボード121の誘電部分の表面の露出部分がある。
【0025】
図5Bの基板122では:基板122Sの誘電体表面と、同軸シャント伝送221、222の中心信号導体用のための導電性ビア122signal、122Sと示されている誘電体表面の露出部分がある。
【0026】
図5Cの基板123では:パターン化された導体123ground planeは、主伝送線路142の信号ストリップ導体162の接地面導体182として機能し、位相シフト伝送線路342のストリップ導体382の接地面導体402として機能する;参照符号123Sは、誘電体基板123の誘電体露出表面部分であり;参照符号123metal/signalは、内方信号導体261、262の外方部分を示す。
【0027】
図5Dの基板124では:参照符号124Sは基板124の表面の露出部分である。
【0028】
図5Eの基板125では:参照符号125ground planeは、パターン化された導体であり、誘電体基板125の露出した誘電体部分を備えた接地面を提供し、125Sと示される。参照符号125metal/signalは、内方信号導体261、262の外方部分を示す。
【0029】
図5Fの基板126では:参照符号126Sは、誘電体基板126の表面の一部である。
【0030】
図5Gの基板127では:参照符号127ground planeは、パターン化された導体であり、誘電体基板127の露出した誘電体部分を備えた接地面を提供し、127Sと示される。参照符号127metal/signalは、内方信号導体261、262の外方部分を示す。
【0031】
図5Hの基板128では:参照符号128Sは、誘電体基板128の表面の一部である。
【0032】
図5Iの基板129では:参照符号129ground planeは、パターン化された導体を示し、誘電体基板129の露出した誘電体部分を備えた接地面を提供し、129Sと示される。参照符号129metal/signalは、内方信号導体261、262の外方部分を示す。
【0033】
図5Jの基板1210では、参照符号1210Sは、誘電体基板1210の表面の一部である。
【0034】
図5Kの基板1211では、参照符号1211ground planeは、パターン化された導体を示し、誘電体基板1211の露出した誘電体部分を備えた接地面を提供し、1211Sと示される。参照符号1211metal/signalは、主伝送線路141の信号ストリップ導体161を示す。
【0035】
図5Lの基板1212では、参照符号1212Sは、誘電体基板1212の表面の一部を示している。
【0036】
図5Mの基板1213では、参照符号1213は、主伝送線路141の接地面導体181を示す。
【0037】
本開示に従った分岐線カプラー構造体は以下のものを含むことを理解されたい。分岐線カプラー構造体(10、図4)は、支持構造体(12); 前記支持構造体の異なる水平レベルに配置された一対の主伝送線路(141,142図5);及び 前記支持構造体内に配置され、垂直に配置され、横方向に間隔を空けた一対のシャント伝送線路(261,262);を含む。 前記一対のシャント伝送線路のうちの第1シャント伝送線路(261)が、前記一対の主伝送線路のうちの第1主伝送線路(141)の第1領域(281図5K)と、前記一対の主伝送線路のうちの第2主伝送線路(142)の第1端(301図5A)との間に結合されている。 前記一対のシャント伝送線路のうちの第2シャント伝送線路(262)が、前記第1領域(281)から横方向に間隔を空けた、前記一対の主伝送線路の第1主伝送線路(141)の第2領域(282図5K)と、前記主伝送線路のうちの前記第2主伝送線路(142)の第2端(302図5A)との間に結合されている。 分岐線カプラー構造体は、以下の特徴の1つ又は複数を、個々的に或いは組合せで含むことができる。 分岐線カプラー構造体は、一対の位相調整部(321,322図5)であり、各々が、一対の位相シフト部伝送線路(341,342図5)のうちの対応する伝送線路を介して前記一対のシャント伝送線路の対応する伝送線路に結合されており、前記一対の位相シフト部伝送線路が前記支持構造体の上方表面に配置されている、一対の位相調整部を含む。 接地パッド(421,423)が、前記支持構造体の上方表面に配置され、ギャップ(441,442)により前記位相シフト部伝送線路の信号ストリップ導体(381,382)から分離されている。 複数の第1電気的導体(46a1,46b2)が、 前記ギャップに沿って連続的に配置され、前記ギャップを跨ぎ、各々が、前記接地パッド(421,423)に接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの1つに接続する第2端を有する。 分岐線カプラー構造体は、 前記支持構造体の上方表面に配置された第2接地パッド(422)であり、一対のギャップ(441,442)により前記一対の位相シフト部伝送線路の前記信号ストリップ導体(381,382)から分離されている第2接地パッド;及び 前記一対のギャップ(441,442)に沿って連続的に配置され、前記一対のギャップを跨ぐ複数の第2電気的導体(46b1,46a2)であり、各々が、前記第2接地パッド(422)に接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの対応する1つに接続する第2端を有する第2電気的導体;を含む。 前記第1電気的導体及び前記第2電気的導体が、前記一対のギャップのうち対応するギャップに沿って千鳥配置されている。 前記一対のシャント伝送線路(261,262)がエネルギーを伝播し、該エネルギーの電場が垂直に配置される。 前記一対の主伝送線路(141,142)が、エネルギーを伝播し、該エネルギーの電場が水平に配置される。
【0038】
本開示に従った分岐線カプラー構造体が以下を含むことを理解されたい。分岐線カプラー構造体(10、図4)が: 支持構造体(12); 一対の主伝送線路(141,142図5); 一対のシャント伝送線路(261,262)であり、当該一対のシャント伝送線路のうちの第1シャント伝送線路(261)が、前記一対の主伝送線路のうちの第1主伝送線路(141)の第1領域(281図5K)と、前記一対の主伝送線路のうちの第2主伝送線路(142)の第1端(301図5A)との間に結合され、かつ当該一対のシャント伝送線路のうちの第2シャント伝送線路(262)が、前記第1領域(281)から横方向に間隔を空けた、前記一対の主伝送線路の第1主伝送線路(141)の第2領域(282図5K)と、前記主伝送線路のうちの前記第2主伝送線路(142)の第2端(302図5A)との間に結合されている、一対のシャント伝送線路; 一対の位相調整部(321,322図5)であり、各々が、一対の位相シフト部伝送線路(341,342図5)のうちの対応する伝送線路を介して前記一対のシャント伝送線路の対応する伝送線路に結合されている、一対の位相調整部; 前記支持構造体の上方表面に配置された接地パッド(421,423)であり、ギャップ(441,442)により前記位相シフト部伝送線路の信号ストリップ導体(381,382)から分離されている接地パッド;及び 前記ギャップに沿って連続的に配置され、前記ギャップを跨ぐ複数の第1電気的導体(46a1,46b2)であり、各々が、前記接地パッド(421,423)に接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの1つに接続する第2端を有する第1電気的導体;を含む。 第2接地パッド(422)が、前記支持構造体の上方表面に配置され、一対のギャップ(441,442)により前記一対の位相シフト部伝送線路の前記信号ストリップ導体(381,382)から分離されている。 複数の第2電気的導体(46b1,46a2)が、前記一対のギャップ(441,442)に沿って連続的に配置され、前記一対のギャップを跨ぎ、各々が、前記第2接地パッド(422)に接続する第1端と、前記一対の位相シフト部伝送線路のうちの対応する1つに接続する第2端を有する。 前記第1電気的導体及び前記第2電気的導体が、前記一対のギャップのうち対応するギャップに沿って千鳥配置されている。
【0039】
本開示の多くの実施形態を記載してきた。それにもかかわらず、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正がなされることがあることが理解されるであろう。例えば、位相シフト部はボンディングワイヤを使用する必要はなく、本発明と同じ譲受人に譲渡された、2019年3月26日に発行された「Phase Shifter Including a Branchline Coupler Having Phase Adjusting Sections Formed By Connectable Conductive Pads」と題された米国特許第10,243,246号に(発明者:Laighton et al.)記載された技術を使用することができる。また、本発明と同じ譲受人に譲渡された2018年2月6日発行の米国特許第9,887,195号 (Inventors Drab et al.) に記載されているように、信号中心導体の周囲に複数の垂直な導体列を円周方向に密に配置することにより、同軸垂直シャント伝送路を形成することができる。従って、他の実施形態は、以下のクレームの範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図4A
図4B
図5
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
図5M
図6
図7