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特許7529382プログラム、仮想空間提供方法、及び仮想空間提供装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】プログラム、仮想空間提供方法、及び仮想空間提供装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 15/00 20110101AFI20240730BHJP
【FI】
G06T15/00 501
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019006758
(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公開番号】P2020115308
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-01-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】511249637
【氏名又は名称】株式会社Cygames
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森井 大樹
(72)【発明者】
【氏名】西田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】堀 壮太郎
【合議体】
【審判長】畑中 高行
【審判官】片岡 利延
【審判官】高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-275797号公報
【文献】特開2002-279449号公報
【文献】特開平5-266213号公報
【文献】Kevin Boulanger,外2名,“Rendering Grass in Real Time with Dynamic Lighting”,[online],2009年,IEEE Computer Graphics and Applications,IEEE,Volume 29, Issue 1,p.32-41,[2023年3月24日検索],インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/4736455>
【文献】野島 亮,“GAME GRAPHICS STUDIO”,CG WORLD,株式会社ボーンデジタル,2017年,第230巻,p.86-91
【文献】“ここまできたリアルタイムの表現力 次世代ゲーム テクスチャリング”,CG WORLD,株式会社ワークスコーポレーション,2006年,第99巻,p.58-61
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間を提供するコンピュータを、
前記仮想空間における所定面にポリゴンを配置するポリゴン配置部と、
仮想視点と、前記所定面における前記ポリゴンが配置されている領域と、の間の距離を測定する距離測定部と、
測定された前記距離に基づいて、前記ポリゴンの色に関する第1表示形態を制御する第1表示制御部と、
測定された前記距離に基づいて、前記ポリゴンとは異なる制御対象である前記領域の色に関する第2表示形態を制御する第2表示制御部と、として機能させ、
前記第2表示形態は、前記ポリゴンが非表示化される際に、前記第1表示形態に対応させるように制御される、
プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、
前記所定面の表示形態に関する情報、及び、前記仮想視点と前記所定面との間の距離を関連付けて記録する記録部として更に機能させ、
前記第2表示制御部は、測定された前記距離と前記記録部に記録された前記表示形態に関する情報とに基づいて、当該距離に応じた前記第2表示形態で前記領域を表示するように制御する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記仮想空間において1又は複数のエリアを設定するエリア設定部として更に機能させ、
前記記録部は、前記エリアごとに、前記所定面の表示形態に関する情報、及び、前記仮想視点と前記所定面との間の距離を関連付けて記録し、
前記第2表示制御部は、前記仮想視点が前記エリアのうち特定エリアにある場合に、測定された前記距離に基づいて、当該特定エリアに関連付けられた、当該距離に応じた前記第2表示形態で前記領域を表示するように制御する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記所定面は地面であり、前記ポリゴンは前記地面上に配置された植物である、
請求項1から3のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
仮想空間を提供するコンピュータが実行する仮想空間提供方法であって、
前記仮想空間における所定面にポリゴンを配置するステップと、
仮想視点と、前記所定面における前記ポリゴンが配置されている領域と、の間の距離を測定するステップと、
測定された前記距離に基づいて、前記ポリゴンの色に関する第1表示形態を制御するステップと、
測定された前記距離に基づいて、前記ポリゴンとは異なる制御対象である前記領域の色に関する第2表示形態を制御するステップと、を含み、
前記第2表示形態は、前記ポリゴンが非表示化される際に、前記第1表示形態に対応させるように制御される、
仮想空間提供方法。
【請求項6】
仮想空間を提供する仮想空間提供装置であって、
前記仮想空間における所定面にポリゴンを配置するポリゴン配置部と、
仮想視点と、前記所定面における前記ポリゴンが配置されている領域と、の間の距離を測定する距離測定部と、
測定された前記距離に基づいて、前記ポリゴンの色に関する第1表示形態を制御する第1表示制御部と、
測定された前記距離に基づいて、前記ポリゴンとは異なる制御対象である前記領域の色に関する第2表示形態を制御する第2表示制御部と、を備え、
前記第2表示形態は、前記ポリゴンが非表示化される際に、前記第1表示形態に対応させるように制御される、
仮想空間提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間を提供するプログラム、仮想空間提供方法、及び仮想空間提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のポリゴンに対してレンダリング処理を実行して画像データを生成する画像処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-66340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような画像処理装置においては、仮想空間に配置されたポリゴンを非表示化する際の最適な画面表示技術が必要である。しかしながら、従来の画像処理技術では、このような要請に対して十分に応えることができなかった。
【0005】
そこで、本開示は、仮想空間に配置されたポリゴンを非表示化する際の画面表示技術を改善するプログラム、仮想空間提供方法、及び仮想空間提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプログラムは、仮想空間を提供するコンピュータを、仮想空間における所定面にポリゴンを配置するポリゴン配置部と、仮想視点と、所定面におけるポリゴンが配置されている領域と、の間の距離を測定する距離測定部と、測定された距離が所定距離以上である場合、ポリゴンを非表示制御する第1表示制御部と、ポリゴンを非表示制御する際に、領域を、測定された距離に応じた表示形態で表示するように制御する第2表示制御部と、して機能させる。
【0007】
本発明の一態様に係る仮想空間提供方法は、仮想空間を提供するコンピュータが実行する仮想空間提供方法であって、仮想空間における所定面にポリゴンを配置するステップと、仮想視点と、所定面におけるポリゴンが配置されている領域と、の間の距離を測定するステップと、測定された距離が所定距離以上である場合、ポリゴンを非表示制御するステップと、ポリゴンを非表示制御する際に、領域を、測定された距離に応じた表示形態で表示するように制御するステップと、を含む。
【0008】
本発明の一態様に係る仮想空間提供装置は、仮想空間を提供する仮想空間提供装置であって、仮想空間における所定面にポリゴンを配置するポリゴン配置部と、仮想視点と、所定面におけるポリゴンが配置されている領域と、の間の距離を測定する距離測定部と、測定された距離が所定距離以上である場合、ポリゴンを非表示制御する第1表示制御部と、ポリゴンを非表示制御する際に、領域を、測定された距離に応じた表示形態で表示するように制御する第2表示制御部と、を備える。
【0009】
なお、本発明において、「部」、「装置」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」、「装置」」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」、「装置」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」、「装置」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、仮想空間に配置されたポリゴンを非表示化する際の画面表示技術を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る仮想空間提供システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る仮想空間提供装置のハードウェア構成を概略的に示す構成図である。
図3】本発明の実施形態に係る仮想空間提供装置の機能的構成の一例を示す概略構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る仮想空間の一例を概念的に示した図である。
図5】本発明の実施形態に係るポリゴン情報の一例を概念的に示した図である。
図6】本発明の実施形態に係る面情報の一例を概念的に示した図である。
図7】本発明の実施形態に係る仮想空間提供処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態に係る再生装置で表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る仮想空間提供システムの全体構成図である。図1に示すように、仮想空間提供システム1は、例示的に、仮想空間を定義し、提供する仮想空間提供装置3と、仮想空間提供装置3により提供された仮想空間を含む画像データや音声データを再生する再生装置5と、ユーザが操作する入力装置9と、を備えて構成されている。
【0014】
再生装置5は、画像を出力し、音声を出力する装置であり、楽曲コンテンツを再生する。例えば、再生装置5は、ディスプレイ及びスピーカを有するテレビ又はコンピュータディスプレイであってもよい。再生装置5は、仮想空間提供装置3に有線ケーブル又は無線LAN(Local Area Network)により接続されてもよい。
【0015】
入力装置9は、ユーザにより入力された操作情報に対応する制御信号を仮想空間提供装置3に送信する装置である。入力装置9は、本実施形態においては仮想空間提供装置3との間で無線通信可能に構成される。入力装置9と仮想空間提供装置3とは、例えば、Bluetooth(ブルートゥース)(登録商標)プロトコル等を活用して無線接続を確立する。なお、入力装置9と仮想空間提供装置3とは、有線ケーブルを介して上記制御信号を送信するように構成されてもよい。
【0016】
仮想空間提供装置3は、仮想空間提供用のアプリケーションプログラムをロードすることで仮想空間提供機能を発揮する。仮想空間提供装置3は、たとえばゲーム機であり、パーソナルコンピュータやタブレット端末、又はスマートフォン等の携帯端末であってもよい。
【0017】
仮想空間提供装置3は、USB(Universal Serial Bus)端子を有し、ケーブル7を介してパーソナルコンピュータ等の外部機器と接続し、外部機器から各種情報を取得できる。さらに、仮想空間提供装置3はメディアドライブを有し、ROM媒体から各種情報を取得するように構成されている。またさらに、仮想空間提供装置3はネットワーク経由で外部サーバなどから各種情報を取得するように構成されてもよい。なお、本実施形態においては、入力装置9、再生装置5、及び仮想空間提供装置3は、別体であるが、これらは一体に構成されていてもよい。たとえば、入力装置9、再生装置5、及び仮想空間提供装置3は、仮想空間提供処理を実行する移動端末装置として構成されてもよい。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係る仮想空間提供装置のハードウェア構成を概略的に示す構成図である。図2に示すように、仮想空間提供装置3は、例示的に、有線/無線インタフェース10、アンテナ11、データ処理部12、メモリ14、ハードディスクドライブ15、ディスクドライブ16、記録媒体着脱部18、及び制御部100を備えて構成されている。上記各構成は、バス19を介して、各種情報およびデータの出入力を行うように構成されている。
【0019】
有線/無線インタフェース10は、外部の機器と有線または無線で接続して、データの送受信を行う手段である。有線/無線インタフェース10は、上記した所定のケーブル7を介して外部機器に接続し、外部機器から各種情報を取得する。また、有線/無線インタフェース10は、所定の無線通信プロトコルで入力装置9と接続する。入力装置9からの制御信号は、アンテナ11、有線/無線インタフェース10、そしてバス19を介して、制御部100に供給される。なお、有線/無線インタフェース10は、有線インタフェース部と無線インタフェース部とが一体として構成されていてもよく、別体として構成されていてもよい。
【0020】
データ処理部12は、再生装置5で再生するコンテンツを構成する映像・音声データをバッファするフレームメモリ等を備えて構成される。
【0021】
メモリ14は、RAM(ランダムアクセスメモリ)として構成され、たとえば、メインメモリおよびバッファメモリを備えて構成される。
【0022】
ハードディスクドライブ15は、各種情報およびデータを記憶する補助記憶装置である。ハードディスクドライブ15は、たとえば、有線/無線インタフェース10を介して受信した各種情報およびデータを格納し、後述するとおり、記録媒体着脱部18がリムーバブル記録媒体から読み出す各種情報およびデータを格納する。
【0023】
ディスクドライブ16は、読出専用のROMディスクを駆動して、データを読み出すデバイスである。ディスクドライブ16は、ROMディスクが装着されると、ROMディスクに格納されているデータを読み出す。ROMディスクは、たとえば光ディスクや光磁気ディスクなどである。
【0024】
記録媒体着脱部18は、リムーバブル記録媒体が装着されると、リムーバブル記録媒体からデータを読み出すデバイスである。ここで、本実施形態における、後述する仮想空間提供処理に関するプログラムは、リムーバブル記録媒体又はROMディスクに記録されていて、記録媒体着脱部18又はディスクドライブ16からハードディスクドライブ15にインストールされるように構成されていてもよい。また、当該プログラムは、ネットワーク経由で外部サーバなどから取得されてもよい。
【0025】
制御部100は、CPUを備えて構成されており、仮想空間提供装置3に含まれる上記各構成が実行する処理を制御する。また、制御部100は、当該CPUの中に複数のプロセッサコアを備えるように構成されている。さらに、制御部100は、メモリ14に接続するメモリコントローラを備えて構成されている。
【0026】
図3は、本発明の実施形態に係る仮想空間提供装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、仮想空間提供装置3は、例示的に、仮想空間を提供するための処理を実行する情報処理部111と、当該処理を実行するために必要な各種情報及び当該処理の結果に関する情報を記録するデータベース(DB)112と、を備えて構成される。なお、情報処理部111は、例えば、図2に示すメモリ14等に格納されているプログラムを制御部100が実行したりすることにより実現することができる。DB112は、例えば、図2に示すハードディスクドライブ15に対応する。
【0027】
情報処理部111は、機能的に、仮想空間における所定面にポリゴンを配置するポリゴン配置部113と、仮想視点と、所定面におけるポリゴンが配置されている領域と、の間の距離を測定する距離測定部114と、測定された距離が所定距離以上である場合、ポリゴンを非表示制御するポリゴン表示制御部115(第1表示制御部)と、ポリゴンを非表示制御する際に、所定面におけるポリゴンが配置されている領域を、測定された距離に応じた表示形態で表示するように制御する面表示制御部116(第2表示制御部)と、を備える。上記各機能の詳細については、後述する。
【0028】
ポリゴンの表示制御においては、例えば、LOD(evel etail)制御処理技術が採用される。LOD制御処理とは、仮想カメラから所定面又はポリゴンまでの距離に応じて所定面又はポリゴンの少なくとも一方の表示形態のディテール(Detail)を制御し、例えばゲームシーンにおけるレンダリング処理の負荷を軽減する技術である。LOD制御処理は、あるゲームシーンにおいて、遠景に位置するポリゴンの表示数を減らしつつ、ゲームシーンの見た目を大きく損なうことなく、描画処理を高速化できることが特徴である。
【0029】
図1に示す本実施形態の仮想空間提供システム1の概要を説明する。仮想空間提供システム1は、このLOD制御技術を採用する。仮想空間提供システム1においては、ゲームシーン(仮想空間)における地面において、草ポリゴンを実装している。仮想カメラと草ポリゴンとの距離が近い場合(近景の場合)は、草ポリゴンの表示は維持されるが、仮想カメラと草ポリゴンとの距離が所定距離離れる場合は、LOD制御処理により、草ポリゴンは非表示化される。より具体的には、近景の場合は、地面における草ポリゴンは濃い緑色で描画される。仮想カメラと草ポリゴンとの距離が離れるにつれて、例えば、緑色、黄緑色というように、草ポリゴンは、より薄い緑色で描画される。そして最終的には、仮想カメラと草ポリゴンとの距離が所定距離離れると、草ポリゴンは非表示化される。ここで、一例として、LOD制御処理により、仮想カメラと草ポリゴンとの距離に応じて、例えば、草ポリゴンが徐々に薄い色で描画され、最終的に非表示化されるとしても、草ポリゴンが配置されている地面の色は制御されない態様を検討する。つまり、この態様においては、草ポリゴンが配置されている地面の色として濃い緑色が付されている場合、仮想カメラと草ポリゴンとの距離が所定距離離れたとしても、地面の色は濃い緑色のままである。このように、上記態様によれば、仮想カメラと草ポリゴンとの距離に応じて、草ポリゴンの色は制御されるが、草ポリゴンが配置されている地面の色は一定である。よって、仮想カメラと草ポリゴンとの距離が所定距離離れる場合の、非表示化される直前の草ポリゴンの色は、例えば薄い緑色であり、地面の色は、上記したとおり例えば濃い緑色のままであるため、見た目に違和感がある。そこで、仮想空間提供システム1においては、仮想カメラから遠い草ポリゴンを非表示化する際に、草ポリゴンが配置された地面を、仮想カメラとの距離に応じた色で表示する。例えば、仮想空間提供システム1においては、非表示化される直前の草ポリゴンを薄い緑色で描画している場合は、地面の色は、草ポリゴンの色に対応させるように、当初の濃い緑色から薄い緑色で描画する。これにより、草ポリゴンを非表示化する際に、見た目の違和感を軽減し、且つ、LOD制御処理による効率的な画面描画を行うことができる。なお、本実施形態においては、上記したとおり、草ポリゴンの色も仮想カメラとの距離に応じて変化させる。そして、この変化後のポリゴンの色(例えば、草ポリゴンが消去される直前の色)と、当該草ポリゴンが配置された地面の色と、を整合させることで見た目の違和感を軽減させることができればよいので、ポリゴンの色及び地面の色は、緑色に限らず、他の色を採用してもよい。
【0030】
情報処理部111は、機能的に、仮想空間において1又は複数のブロック(エリア)を設定するブロック設定部117(エリア設定部)と、仮想空間データに基づいて、仮想空間を定義し、仮想空間を含む画像を生成する画像生成部118と、を更に備える。
【0031】
図4は、本発明の実施形態に係る仮想空間の一例を概念的に示した図である。図4に示すように、画像生成部118が定義する仮想空間50は、例えば、ブロック設定部117が設定した複数のブロックB1~B4を含む。仮想空間50においては、例えば、あるゲームシーンにおいて、仮想カメラ60(仮想視点)(例えば、図1に示す入力装置9を操作してゲームを実行するユーザの視点に相当する)が、仮想空間50のボックスB1内に配置される。この仮想カメラ60が、所定面におけるポリゴンPが配置されている領域Rを含む所定範囲を撮像することによって取得される画像情報に基づいて、画像(画面)を図1に示す再生装置5のディスプレイに表示する。
【0032】
ここで、上記したとおり、仮想カメラ60の位置は、仮想空間50におけるユーザの視点に対応するので、例えば、入力装置9を操作することで、ユーザの視点(仮想カメラ60)の位置及び傾きの少なくとも一方が制御される。画像生成部118は、仮想カメラ60の位置及び傾きの少なくとも一方が制御されることに基づいて、仮想空間50における視界領域を制御する。例えば、視界領域は、仮想空間50のうち、ユーザが視認可能な領域に対応する。
【0033】
画像生成部118は、仮想空間50を含む画像を生成するための画像データを生成する。その後、画像生成部118は、仮想カメラ60の位置及び傾きの少なくとも一方が変化すると、その変化に応じた新たな画像を生成するための画像データを生成する。
【0034】
DB112は、例示的に、空間情報SPIと、ポリゴン情報PIと、面情報SUIと、ブロック情報AIと、を記録する。DB112においては、上記情報の他、ゲームを実行するユーザに関する情報を更に記録してもよい。
【0035】
空間情報SPIは、図4に示す仮想空間50を定義するための1つ以上の仮想空間データテンプレート等を含む。
【0036】
ブロック情報AIは、例えば図4に示す複数のブロックB1~B4等を設定するための1つ以上のブロックデータテンプレート等を含む。また、DB112においては、複数のブロックごとに、空間情報SPIと、ポリゴン情報PIと、面情報SUIと、を関連付けて記録してもよい。
【0037】
ポリゴン情報PIは、仮想空間に配置されるポリゴンに関する情報である。ポリゴンは、例えば、仮想空間における所定面(例えば、ある風景画像における地面等)に配置される、草、木や花等の植物の他、林、森を模した画像情報である。なお、ポリゴンは、上記に限られず、動物、街並み等を模した画像情報を含んでもよい。
【0038】
図5は、本発明の実施形態に係るポリゴン情報の一例を概念的に示した図である。図5に示すように、ポリゴン情報PIは、DB112において、ポリゴンを識別するためのポリゴンIDと、ポリゴンの種別、ポリゴンのサイズ、ポリゴンの形状、ポリゴンの色、非表示制御が可能なポリゴンであるか否か(例えば「〇」の場合は、非表示制御が可能。)、及び、ポリゴンを非表示制御する際のポリゴンの画面占有率を関連付けて記録される。
【0039】
ポリゴンの画面占有率とは、図1に示す再生装置5で表示される画面全体のうち、特定のポリゴンが表示される範囲が占める割合を示すものである。つまり、ポリゴンの画面占有率が所定の値(例えば、X%等)を下回る場合、当該ポリゴンは非表示制御される。ここで、ポリゴンの画面占有率は、例えば、図4に示す仮想カメラ60とポリゴンPとの間の距離に基づいて算出され得る。よって、ポリゴンの非表示制御を行う否かの条件は、ポリゴンの画面占有率に代えて、仮想カメラ60とポリゴンPとの間の距離であってもよい。例えば、仮想カメラ60とポリゴンPとの間の距離が所定の距離以上である場合、当該ポリゴンPは、非表示制御される。なお、仮想カメラ60とポリゴンPとの間の距離は、仮想カメラ60とポリゴンPが配置されている領域との間の距離と同等と考えられるため、仮想カメラ60とポリゴンPとの間の距離に代えて、仮想カメラ60とポリゴンPが配置されている領域との間の距離を採用してもよい。
【0040】
上記したとおり、ポリゴンは、後述する所定面と同様に、図3に示す距離測定部114によって測定された仮想視点とポリゴンとの間の距離に応じて、表示形態が制御される。このように、ポリゴン情報PIは、面情報SUIと同様に、ポリゴンを識別するためのポリゴンIDと、ポリゴンの表示形態(例えば、色)に関する情報と、仮想視点とポリゴンとの間の距離と、を関連付けて記録する。また、ポリゴンは、必ず非表示制御される必要はなく、ポリゴンの画面占有率、又は、仮想カメラ60とポリゴンPとの間の距離によらず、常に、表示されるポリゴンを含んでもよい。また、ポリゴン情報PIは、仮想空間に配置するための情報(例えば、配置位置情報等)を含む。
【0041】
面情報SUIは、仮想空間における所定面に関する情報である。仮想空間における所定面は、一の面のみで仮想空間を構成してもよいし、複数の面を備えて仮想空間を構成してもよい。また、所定面は、平面又は曲面の少なくとも一方を含む。面情報SUIは、例えば、室内又は室外の風景又は背景を示す情報である。面情報SUIは、例えば、地面、川、森、山その他を含む風景等に関する情報である。
【0042】
図6は、本発明の実施形態に係る面情報の一例を概念的に示した図である。図6に示すように、面情報SUIは、DB112において、所定面を識別するための面IDと、所定面の表示形態(例えば、色)に関する情報と、仮想視点と所定面との間の距離と、を関連付けて記録する。例えば、面ID001の所定面においては、図3に示す距離測定部114によって測定された仮想視点と所定面との間の距離dが所定距離d1未満である場合、当該所定面は、深緑で表示される。また、距離dが所定距離d1以上、且つ、所定距離d2未満である場合、当該所定面は、緑で表示される。さらに、距離dが所定距離d2以上である場合、当該所定面は、黄緑で表示される。このように、距離dが変化することに応じて、所定面の表示形態は変化する。
【0043】
表示形態は、色の他、面のサイズや形状等を含んでもよい。つまり、距離dが変化することに応じて、所定面のサイズや形状等が制御されてもよい。面情報SUIは、仮想空間に配置するための情報(例えば、配置位置情報等)を含む。
【0044】
なお、DB112は、仮想空間に配置されるキャラクタに関する情報であるキャラクタ情報をさらに記録してもよい。キャラクタ情報は、ユーザに予め関連づけられたキャラクタ又はアバターに対応する画像情報を含む。キャラクタ情報は、1又は複数の種類のキャラクタ又はアバター(例えば、動物を模した画像や、デフォルメされた人の画像)であってもよい。また、キャラクタ情報は、キャラクタ又はアバターを仮想空間に配置するための情報(例えば、位置情報等)を含む。
【0045】
<仮想空間提供処理>
図7及び図8を参照して本発明の実施形態に係る仮想空間提供処理の一例を説明する。図7は、本発明の実施形態に係る仮想空間提供処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
(ステップS1)
図3に示す仮想空間提供装置3のポリゴン配置部113は、仮想空間における所定面にポリゴンを配置する。
【0047】
図8は、本発明の実施形態に係る再生装置で表示される画像の一例を示す図である。特に、図8(A)は、仮想カメラ60とポリゴンPとの間の距離が短い場合の仮想空間50の一例を示す概念図である。図8(B)は、仮想カメラ60とポリゴンPとの間の距離が長い場合の仮想空間50の一例を示す概念図である。図8(A)に示すように、ポリゴン配置部113は、仮想空間50における所定面に草ポリゴンPを配置する。草ポリゴンPは一つであっても複数であってもよい。
【0048】
(ステップS3)
図3に示す仮想空間提供装置3の距離測定部114は、仮想カメラ60と、所定面におけるポリゴンが配置されている領域Rと、の間の距離を測定する。
【0049】
(ステップS5)
距離測定部114は、測定した距離が、所定距離以上であるか否かを判断する。例えば、距離測定部114は、測定した距離が、所定距離d2以上であるか否かを判断する。また、距離測定部114は、ポリゴンPの画面占有率が、所定距離d2に基づいて算出されるポリゴンPの画面占有率(閾値)以上であるか否かを判断してもよい。そして、距離測定部114は、測定した距離dyが、所定距離d2以上である場合、又は、ポリゴンPの画面占有率が、所定距離d2に基づいて算出されるポリゴンPの画面占有率以上である場合(Yesの場合)は、ステップS7に進む。Noの場合は、ステップS3に戻り、再度、距離測定処理を実行する。
【0050】
(ステップS7)
図3に示す仮想空間提供装置3のポリゴン表示制御部115は、測定された距離が所定距離以上である場合、ポリゴンを非表示制御する。
【0051】
図8(B)に示すように、ポリゴン表示制御部115は、測定した距離dyが、所定距離d2以上である場合は、領域Rに配置されているポリゴンPを非表示制御する。ポリゴンPの非表示制御は、仮想空間に配置されたポリゴンを取り除く、若しくは、除去する制御、又は、仮想空間に配置されたポリゴンを表示する際に、例えばポリゴンの透明度(透明率)を高めるように制御することで、ユーザが視認できなくすることを含む。
【0052】
図8に示すように、ポリゴンが複数配置されている場合、距離測定部114は、複数のポリゴンのそれぞれと仮想カメラ60との距離を測定してもよいし、複数のポリゴンの所定面における複数の配置位置のそれぞれと仮想カメラ60との距離を測定してもよい。そして、それぞれ測定した距離を所定距離と比較することで、ポリゴンのそれぞれの別個に表示制御してもよい。つまり、領域Rにおける複数のポリゴンには、非表示制御されるポリゴンと非表示制御されないポリゴンが含まれ得る。
【0053】
(ステップS9)
面表示制御部116は、ポリゴンを非表示制御する際に、所定面におけるポリゴンが配置されている領域を、測定された距離に応じた表示形態で表示するように制御する。
【0054】
図8(A)に示すように、例えば、図6の面情報SUIを参照すると、面ID001の所定面における領域Rにおいては、距離測定部114によって測定された仮想カメラ60と領域Rとの間の距離dxが所定距離d1未満である場合、面表示制御部116は、領域Rを深緑で表示する。しかしながら、図8(B)に示すように、測定距離dyが所定距離d2以上である場合、ポリゴンを非表示制御する際に、面表示制御部116は、領域Rを黄緑で表示する。このように、面表示制御部116は、測定された距離に基づいて、当該距離に応じた表示形態で領域Rを表示するように制御する。つまり、距離がdxからdyに変化することに応じて、領域Rの表示形態は変化する。
【0055】
また、上記したとおり、図3に示すDB112は、ブロック設定部117が設定した1又は複数のブロックごとに、所定面の表示形態に関する情報、及び、仮想カメラ60と所定面との間の距離を関連付けて記録している。よって、面表示制御部116は、仮想カメラ60が1又は複数のブロックのうち特定ブロックにある場合に、測定された距離に基づいて、当該特定ブロックに関連付けられた、当該距離に応じた表示形態で領域Rを表示するように制御してもよい。
【0056】
この構成によれば、仮想空間における1又は複数のブロックごとに管理された情報を参照して所定面(又は領域)の表示形態を制御する。よって、より効率的な画面描画を実行することができる。
【0057】
なお、図7においては、便宜上、ステップS7とステップS9とは別個の処理として、あたかも、ステップS7が実行された後にステップS9が実行されるかのように説明している。しかしながら、実際には、ステップS9がステップS7よりも前に実行される。つまり、ステップS7に示すポリゴンの非表示制御処理が実行される「前に」、ステップS9に示すポリゴンが配置された領域の表示形態が制御される。また、ステップS7とステップS9とは並行して実行されてもよい。つまり、ポリゴンの非表示制御処理が実行されている(例えば、ポリゴンの透明度が変化している)途中に、当該処理の進行に対応するように、ポリゴンが配置された領域の表示形態が制御されてもよい。
【0058】
以上説明した実施形態によれば、仮想視点と、仮想空間の所定面におけるポリゴンが配置されている領域と、の間の距離を測定し、測定された距離が所定距離以上である場合、ポリゴンを非表示制御し、ポリゴンを非表示制御する際に、当該領域を、測定された距離に応じた表示形態で表示するように制御する。例えば、仮想空間提供システム1においては、仮想視点から遠い草ポリゴンを非表示化する際に、草ポリゴンが配置された地面を、仮想視点との距離に応じた色で表示する。これにより、草ポリゴンを非表示化する際に、見た目の違和感を軽減し、且つ、LOD制御処理による効率的な画面描画を行うことができる。したがって、仮想空間に配置されたポリゴンを非表示化する際の画面表示技術を改善することが可能である。
【0059】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更/改良(例えば、各実施形態を組み合わせること、各実施形態の一部の構成を省略すること)され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0060】
なお、本実施形態においては、図5及び図6に示すように、ポリゴン情報PIと面情報SUIとは、別個に設定され管理されているが、上記に限られない。例えば、ポリゴンの表示形態と所定面の表示形態とは、共通のパラメーターを用いて同時に制御されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…仮想空間提供システム、3…仮想空間提供装置、5…再生装置、7…ケーブル、9…入力装置、10…有線/無線インタフェース、11…アンテナ、12…データ処理部、14…メモリ、15…ハードディスクドライブ、
16…ディスクドライブ、18…記録媒体着脱部、19…バス、50…仮想空間、60…仮想カメラ、100…制御部、111…情報処理部、112…データベース(DB)、113…ポリゴン配置部、114…距離測定部、115…ポリゴン表示制御部、116…面表示制御部、117…ブロック設定部、118…画像生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8