(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電気基板、およびその電気基板を搭載した冷凍装置
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20240730BHJP
F24F 11/88 20180101ALI20240730BHJP
G01R 31/50 20200101ALI20240730BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H04L25/02 Y
F24F11/88
G01R31/50
H01H9/54 B
(21)【出願番号】P 2020006744
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】517190980
【氏名又は名称】ダイキン インダストリーズ (タイランド) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN INDUSTRIES (THAILAND) LTD.
【住所又は居所原語表記】Thailand 20000,Chonburi,Amphur Muang Chonburi,Tambol Klongtamru,Moo 1,700/11
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】中下 裕子
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-023270(JP,A)
【文献】特開2010-139158(JP,A)
【文献】特開2008-035032(JP,A)
【文献】特開2016-161206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02
F24F 11/88
G01R 31/50
H01H 9/54
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源ユニットと利用ユニットとを含む冷凍装置
内の制御基板に、
配線を介して接続され
、前記冷凍装置内に搭載される電気基板であって、
前記制御基板は、前記利用ユニットに搭載された第1制御基板(81)と、前記熱源ユニットに搭載された第2制御基板(82)とを含み、
前記電気基板は、前記第1制御基板(81)に前記配線を介して接続され前記利用ユニットに搭載される第1電気基板(91)と、前記第2制御基板(82)に前記配線を介して接続され前記熱源ユニットに搭載される第2電気基板(92)とを含み、
前記第1電気基板(91)は、前記第2電気基板(92)と通信線(L1,L2)を介して接続され、
前記第1電気基板(91)は、
前記通信線(L1)から正極信号又は負極信号が入力される第1入力線(11)と、
前記通信線(L2)から前記第1入力線(11)と異なる極の信号が入力される第2入力線(12)と、
前記正極信号を出力する第1出力線(21)と、
前記負極信号を出力する第2出力線(22)と、
前記第1入力線(11)が正極のときには前記第1入力線(11)と前記第1出力線(21)とを接続し且つ前記第2入力線(12)と前記第2出力線(22)とを接続し、前記第1入力線(11)が負極のときには前記第1入力線(11)と前記第2出力線(22)とを接続し且つ前記第2入力線(12)と前記第1出力線(21)とを接続するリレー(30)と、
を備え
、
前記
第1電気基板
(91)は、
前記第1入力線(11)と前記第2入力線(12)との間に接続され、前記第1入力線(11)が正極のときに前記第1入力線(11)との接続端から前記第2入力線(12)との接続端に向かって電圧降下を生じさせる第1分圧回路(51)と、
前記第1入力線(11)と前記第2入力線(12)との間に接続され、前記第1入力線(11)が負極のときに前記第2入力線(12)との接続端から前記第1入力線(11)との接続端に向かって電圧降下を生じさせる第2分圧回路(52)と、
をさらに備え、
前記第1入力線(11)が正極のとき、前記第1分圧回路(51)の分圧抵抗(R11,R12)の接続点とグランドとの電位差である第1電圧(V1)よりも、前記第2分圧回路(52)の分圧抵抗(R21,R22)の接続点とグランドとの電位差である第2電圧(V2)が大きくなり、前記リレー(30)に対し所定の動作電圧(Vout)が出力される、
電気基板。
【請求項2】
前記
第1電気基板
(91)は、
前記第1入力線(11)と前記第1出力線(21)とを接続し、前記第2入力線(12)と前記第2出力線(22)とを接続する第1回路(41)と、
前記第1入力線(11)と前記第2出力線(22)とを接続し、前記第2入力線(12)と前記第1出力線(21)とを接続する第2回路(42)と、
をさらに備え、
前記リレー(30)は、
前記第1回路(41)および前記第2回路(42)それぞれに設けられた複数の接点(C1a,C2a,C1b,C2b)と、
複数の前記接点(C1a,C2a,C1b,C2b)の開閉を介して、
前記第1入力線(11)が正極のとき、前記第1回路(41)をオンにし且つ前記第2回路(42)をオフにする第1状態、および、
前記第1入力線(11)が負極のとき、前記第1回路(41)をオフにし且つ前記第2回路(42)をオンにする第2状態、
のいずれかに切り換える接点切換機構(32)と、
を有する、
請求項1に記載の電気基板。
【請求項3】
前記第1分圧回路(51)では、前記第1入力線(11)との接続端から前記第2入力線(12)との接続端に向かって順方向電流が流れる第1ダイオード(D11)と、第1抵抗(R11)と、第2抵抗(R12)とが直列に接続され、
前記第2分圧回路(52)では、前記第2入力線(12)との接続端から前記第1入力線(11)との接続端に向かって順方向電流が流れる第2ダイオード(D21)と、第3抵抗(R21)と、第4抵抗(R22)とが直列に接続されている、
請求項1または請求項2に記載の電気基板。
【請求項4】
前記第1電圧(V1)は、前記第1抵抗(R11)と前記第2抵抗(R12)との接続点とグランドとの電位差であり、
前記第2電圧(V2)は、前記第3抵抗(R21)と前記第
4抵抗(R22)との接続点とグランドとの電位差である、
請求項
3に記載の電気基板。
【請求項5】
前記
第1電気基板
(91)は、
前記第1電圧(V1)と前記第2電圧(V2)とを比較して、前記第2電圧(V2)が前記第1電圧(V1)より大きいときに、前記リレー(30)に対し前記動作電圧(Vout)を出力するコンパレータ(55)をさらに備え、
前記コンパレータの反転入力の電圧が前記第1電圧(V1)であり、
前記コンパレータの非反転入力の電圧が前記第2電圧(V2)である、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気基板。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の電気基板を搭載した、
冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷凍装置の制御基板に通信線を介して接続される電気基板、およびその電気基板を搭載した冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍装置のデータ伝送装置において、正極信号線と負極信号線に対して極性を間違えて接続すると通信が不能になる。それゆえ、極性を間違えて結線しても改善作業を必要としないデータ伝送装置が求められる。例えば、特許文献1(特開平5-347637号公報)に開示されているデータ伝送装置では、CPUが結線の正否を判定し、結線が間違っていると判定したときは、送信極性切換回路を介して正極信号は正極信号線へ、負極信号は負極信号線へ出力されるように切り換えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のようなデータ伝送装置の場合、結線の正否の判定にCPUを用いるため、コスト増大の要因となる。それゆえ、結線の正否の判定にCPUを用いることなく、極性を間違えて結線しても改善作業を必要としないようにする、という課題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点に係る電気基板は、熱源ユニットと利用ユニットとを含む冷凍装置内の制御基板に、配線を介して接続され、冷凍装置内に搭載される電気基板である。制御基板は、利用ユニットに搭載された第1制御基板と、熱源ユニットに搭載された第2制御基板とを含む。電気基板は、第1電気基板と、第2電気基板とを含む。第1電気基板は、第1制御基板に配線を介して接続され利用ユニットに搭載される。第2電気基板は、第2制御基板に配線を介して接続され熱源ユニットに搭載される。第1電気基板は、第2電気基板と通信線を介して接続される。第1電気基板は、第1入力線と、第2入力線と、第1出力線と、第2出力線と、リレーとを備える。第1入力線には、通信線から正極信号又は負極信号が入力される。第2入力線には、通信線から第1入力線と異なる極の信号が入力される。第1出力線は、正極信号を出力する。第2出力線は、負極信号を出力する。リレーは、第1入力線が正極のときには第1入力線と第1出力線とを接続し且つ第2入力線と第2出力線とを接続する。また、リレーは、第1入力線が負極のときには第1入力線と第2出力線とを接続し且つ第2入力線と第1出力線とを接続する。第1電気基板は、第1分圧回路と、第2分圧回路とをさらに備える。第1分圧回路は、第1入力線と第2入力線との間に接続され、第1入力線が正極のときに第1入力線との接続端から第2入力線との接続端に向かって電圧降下を生じさせる。第2分圧回路は、第1入力線と第2入力線との間に接続され、第1入力線が負極のときに第2入力線との接続端から前記第1入力線との接続端に向かって電圧降下を生じさせる。第1入力線が正極のとき、第1分圧回路の分圧抵抗の接続点とグランドとの電位差である第1電圧よりも、第2分圧回路の分圧抵抗の接続点とグランドとの電位差である第2電圧が大きくなり、リレーに対し所定の動作電圧が出力される。
【0005】
この電気基板では、誤配線により第1入力線および第2入力線に入力される信号の極性が反対になった場合でも、リレー動作によって第1出力線および第2出力線には正しい極性の信号が出力されるので、誤配線による動作不能が回避される。
【0006】
また、この電気回路では、2つの分圧回路における分圧抵抗の接続点のグランドからの電位差の大小が、第1入力線および第2入力線の極性によって逆転することを利用してリレーを動作させるので、CPUで極性間違いを判定する必要がなく、回路設計が容易である。
【0007】
第2観点に係る電気基板は、第1観点に係る電気基板である。第1電気基板は、第1回路と、第2回路とをさらに備えている。第1回路は、第1入力線と第1出力線とを接続し、第2入力線と第2出力線とを接続する。第2回路は、第1入力線と第2出力線とを接続し、第2入力線と第1出力線とを接続する。リレーは、複数の接点と、接点切換機構とを有する。複数の接点は、第1回路および第2回路それぞれに設けられている。接点切換機構は、複数の接点の開閉を介して、第1入力線が正極のとき、第1回路をオンにし且つ第2回路をオフにする第1状態、および、第1入力線が負極のとき、第1回路をオフにし且つ第2回路をオンにする第2状態のいずれかに切り換える。
【0008】
この電気基板では、リレーの切換接点によって第1回路および第2回路のいずれか一方を導通状態にするだけの簡素な構成であるので、汎用の安価なリレーを使用することができる。
【0009】
第3観点に係る電気基板は、第1観点または第2観点に係る電気基板である。第1分圧回路では、第1入力線との接続端から第2入力線との接続端に向かって順方向電流が流れる第1ダイオードと、第1抵抗と、第2抵抗とが直列に接続されている。第2分圧回路では、第2入力線との接続端から第1入力線との接続端に向かって順方向電流が流れる第2ダイオードと、第3抵抗と、第4抵抗とが直列に接続されている。
【0010】
この電気基板では、2つの分圧回路それぞれに設けたダイオードの順方向を互いに反対方向とすることによって、分圧抵抗の接続点のグランドに対する電位を極性間違いによって異ならせることができる。
【0011】
第4観点に係る電気基板は、第3観点に係る電気基板である。第1電圧は、第1抵抗と第2抵抗との接続点とグランドとの電位差である。第2電圧は、第3抵抗と第4抵抗との接続点とグランドとの電位差である。
【0012】
この電気基板では、極性間違いによって各電位の大きさが逆転するように抵抗値を設計するだけで、CPUに頼らず極性間違いに対応することができる。
【0013】
第5観点に係る電気基板は、第1観点から第4観点のいずれか1つに係る電気基板である。第1電気基板は、コンパレータをさらに備えている。コンパレータは、第1電圧と第2電圧とを比較して、第2電圧が第1電圧より大きいときに、リレーに対し動作電圧を出力する。コンパレータの反転入力の電圧が第1電圧であり、コンパレータの非反転入力の電圧が第2電圧である
この電気基板では、リレーに対し、安定した動作電圧を供給することができるので、信頼性が高まる。
【0014】
第6観点に係る冷凍装置は、第1観点から第5観点のいずれか1つに記載の電気基板を搭載した冷凍装置である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一実施形態に係る電気基板が搭載されている冷凍装置である空調機の構成図。
【
図5】正極信号が第1入力線に入力され、負極信号が第2入力線に入力されているときの、正極信号および負極信号の伝送経路を矢印で示した極性補正回路図。
【
図6】正極信号が第2入力線に入力され、負極信号が第1入力線に入力されているときの、正極信号および負極信号の伝送経路を矢印で示した極性補正回路図。
【
図7】第1電源からの電力供給が遮断されていないときの、切換回路の状態を示す説明図。
【
図8】第1電源からの電力供給が遮断されているときの、切換回路の状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1)空調機100の概要
図1は、本開示の一実施形態に係る電気基板が搭載されている冷凍装置である空調機100の構成図である。また、
図2は、空調機100の電気回路のブロック図である。
【0017】
先ず、
図1において、空調機100は、利用側ユニットである室内ユニット1と熱源側ユニットである室外ユニット2とによって構成されている。
【0018】
室内ユニット1が、例えば、テナントの各部屋に据え付けられ、各室内ユニット1は冷媒連絡配管によって室外ユニット2と接続されている。
【0019】
空調機100は、圧縮機15、四路切換弁16,室外熱交換器17、減圧機構としての室外膨張弁18、室内膨張弁20及び室内熱交換器13が、冷媒配管によって環状に接続された冷媒回路10を有している。
【0020】
(1-1)室内ユニット1
冷媒回路10のうち、室内膨張弁20および室内熱交換器13が室内ユニット1に属している。また、室内ユニット1には、室内ファン14が搭載されている。室内ファン14は、室内熱交換器13への空気の流れを生成する。
【0021】
図2において、室内ユニット1には、室内制御用電源25、室内通信回路35、極性補正回路37、室内マイクロコンピュータ45、切換回路75および第2電源102が搭載されている。室内制御用電源25および室内通信回路35はともに室内マイクロコンピュータ45に接続されている。
【0022】
室内制御用電源25は、交流電源である第1電源101から電源ライン801,802を介して電力を受け、そこから制御用電圧を生成し、その制御用電圧を室内マイクロコンピュータ45に供給している。第1電源101は、AC220Vの商用電源である。
【0023】
室内通信回路35は、室内ユニット1が室外ユニット2と通信を行う際に使用される。
【0024】
極性補正回路37は、室外ユニット2からの信号を伝送する正極信号線と負極信号線とが極性を間違えて結線されても、正極信号は正極出力線へ、負極信号は負極出力線へ出力されるように切り換えることができる。
【0025】
室内マイクロコンピュータ45は、室内膨張弁20の開度、室内ファン14の運転周波数などの制御を行う。
【0026】
室内制御用電源25と第1電源101との間にはブレーカ71が介在している。例えば、複数のテナントそれぞれに空調機100の室内ユニット1が据え付けられている場合において、任意のテナントを使用しないときにはブレーカ71によって、第1電源101から室内ユニット1への電力供給が遮断される。
【0027】
また、室内ユニット1には、第1電源101からの電力が遮断されたときに、第1電源101からの電力供給が遮断されたことを検知し、第1電源101とは別の電源である第2電源102からの電力供給に切り換える切換回路75とが搭載されている。
【0028】
室内ユニット1は、第1制御基板81と、第1制御基板81とは異なる第1電気基板91とを有している。
【0029】
室内制御用電源25、室内通信回路35および室内マイクロコンピュータ45は、第1制御基板81に実装されている。また、極性補正回路37、切換回路75および第2電源102は、第1電気基板91に実装されている。
【0030】
(1-2)室外ユニット2
冷媒回路10のうちの圧縮機15、四路切換弁16,室外熱交換器17、及び室外膨張弁18が室外ユニット2に属している。また、室外ユニット2には、室外ファン19が搭載されている。室外ファン19は、室外熱交換器17への空気の流れを生成する。
【0031】
また、
図2に示すように、室外ユニット2には、室外制御用電源26、室外通信回路36、極性補正回路38、室外マイクロコンピュータ46および直流電源回路72が搭載されている。室外制御用電源26および室外通信回路36はともに室外マイクロコンピュータ46に接続されている。
【0032】
室外制御用電源26は、3相交流電源111から電源ライン811、812、813を介して電力を受け、そこから制御用電圧を生成し、その制御用電圧を室外マイクロコンピュータ46に供給している。交流電源111は、AC380Vの商用電源である。ライン814は、アース線である。
【0033】
室外通信回路36は、室外ユニット2が室内ユニット1と通信を行う際に使用される。
【0034】
極性補正回路38は、室外通信回路36からの信号を伝送する正極信号線と負極信号線とが極性を間違えて結線されても、正極信号は正極出力線へ、負極信号は負極出力線へ出力されるように切り換えることができる。
【0035】
室外マイクロコンピュータ46は、圧縮機15の運転周波数、四路切換弁16の切換動作、室外膨張弁18の開度、室外ファン19の運転周波数などの制御を行う。
【0036】
室外ユニット2は、第2制御基板82と、第2制御基板82とは異なる第2電気基板92とを有している。
【0037】
室外制御用電源26、室外通信回路36および室外マイクロコンピュータ46は、第2制御基板82に実装されている。また、極性補正回路38および直流電源回路72は第2電気基板92に実装されている。
【0038】
(2)第1電気基板91
第1電気基板91には、極性補正回路37、および切換回路75が実装されている。
【0039】
本実施形態では、室内ユニット1の第1電気基板91は、第1制御基板81と別個の基板としているが、統合して1つの基板としてもよい。
【0040】
(2-1)極性補正回路37
図3は、極性補正回路37の回路図である。
図3において、第1コネクタCN1の第1端子N1aは第1入力線11と繋がっている。また、第1コネクタCN1の第2端子N1bは第2入力線12と繋がっている。第1端子N1aには正極信号F1の通信線が接続され、第2端子N2bには負極信号F2の通信線が接続される。
【0041】
極性補正回路37は、切換リレー30、第1回路41、第2回路42、第1分圧回路51、第2分圧回路52、リレー駆動回路53およびコンパレータ55を含んでいる。
【0042】
極性補正回路37の機能は、切換リレー30を用いて、第1入力線11が正極のときには第1入力線11と第1出力線21とを接続し且つ第2入力線12と第2出力線22とを接続し、第1入力線11が負極のときには第1入力線11と第2出力線22とを接続し且つ第2入力線12と第1出力線21とを接続することである。
【0043】
極性補正回路37を搭載する目的は、室内ユニット1と室外ユニット2との間を通信線で繋ぐ際に、サービスパーソンが通信線の配線を間違う可能性があるので、通信線の配線間違いが生じても正しく通信が行われることである。
【0044】
(2-1-1)切換リレー30
切換リレー30は、リレーコイル31と接点切換機構32とを有している。接点切換機構32は、リレーコイル31に通電されている間、第1接点C1aおよび第2接点C2aを閉にし、同時に第3接点C1bおよび第4接点C2bを開にすることができる。
【0045】
また、接点切換機構32は、リレーコイル31に通電されていない間、第1接点C1aおよび第2接点C2aを開にし、同時に第3接点C1bおよび第4接点C2bを閉にすることができる。
【0046】
(2-1-2)第1回路41
第1回路41は、第1入力線11と第1出力線21とを接続し、第2入力線12と第2出力線22とを接続する。
【0047】
第1回路41には、第1入力線11と第1出力線21とを接続する配線の途中に、切換リレー30の第1接点C1aが設けられている。第1接点C1aが閉のときに第1入力線11と第1出力線21とが接続され、第1接点C1aが開のときに第1入力線11と第1出力線21との接続が解除される。
【0048】
また、第1回路41には、第2入力線12と第2出力線22とを接続する配線の途中に、切換リレー30の第2接点C2aが設けられている。第2接点C2aが閉のときに第2入力線12と第2出力線22とが接続され、第2接点C2aが開のときに第2入力線12と第2出力線22との接続が解除される。
【0049】
(2-1-3)第2回路42
第2回路42は、第1入力線11と第2出力線22とを接続し、第2入力線12と第1出力線21とを接続する。
【0050】
第2回路42には、第1入力線11と第2出力線22とを接続する配線の途中に、切換リレー30の第3接点C1bが設けられている。第3接点C1bが閉のときに第1入力線11と第2出力線22とが接続され、第3接点C1bが開のときに第1入力線11と第2出力線22との接続が解除される。
【0051】
また、第2回路42には、第2入力線12と第1出力線21とを接続する配線の途中に、切換リレー30の第4接点C2bが設けられている。第4接点C2bが閉のときに第2入力線12と第1出力線21とが接続され、第4接点C2bが開のときに第2入力線12と第1出力線21との接続が解除される。
【0052】
(2-1-4)第1分圧回路51
第1分圧回路51は、第1入力線11との接続点S11から第2入力線12との接続点S12に向かって、第1ダイオードD11、第1抵抗R11および第2抵抗R12が直列に接続されている。
【0053】
第1ダイオードD11のアノードが接続点S11に接続され、カソードが第1抵抗R11の一端に接続されているので、接続点S11から接続点S12に向かう方向が第1ダイオードD11の順方向である。
【0054】
したがって、第1入力線11が正極で且つ第2入力線12が負極のとき、接続点S11から接続点S12に向かって、第1抵抗R11および第2抵抗R12それぞれの両端に、第1抵抗R11および第2抵抗R12の抵抗値比に応じた電圧降下が生じる。
【0055】
第1抵抗R11と第2抵抗R12との接続点Q12は、後に説明するコンパレータ55の反転入力端子に接続されている。
【0056】
(2-1-5)第2分圧回路52
第2分圧回路52は、第2入力線12との接続点S21から第1入力線11との接続点S22に向かって、第2ダイオードD21、第3抵抗R21および第4抵抗R22が直列に接続されている。
【0057】
第2ダイオードD21のアノードが接続点S21に接続され、カソードが第3抵抗R21の一端に接続されているので、接続点S21から接続点S22に向かう方向が第2ダイオードD21の順方向である。
【0058】
したがって、第2入力線12が正極で且つ第1入力線11が負極のとき、接続点S21から接続点S22に向かって、第3抵抗R21および第4抵抗R22それぞれの両端に、第3抵抗R21および第4抵抗R22の抵抗値比に応じた電圧降下が生じる。
【0059】
第3抵抗R21と第4抵抗R22との接続点Q22は、後に説明するコンパレータ55の非反転入力端子に接続されている。
【0060】
(2-1-6)リレー駆動回路53
リレー駆動回路53は、トランジスタTra含んでいる。トランジスタTraは、ベースに所定の正電圧が印加されている間、コレクタとエミッタ間が導通して、リレーコイル31に駆動電圧E1が印加される。
【0061】
リレーコイル31に駆動電圧E1が印加されている間は、リレーコイル31に通電されるので、第1回路41に設けられた第1接点C1aおよび第2接点C2aは閉となり、同時に第2回路42に設けられた第3接点C1bおよび第4接点C2bは開となる。
【0062】
リレーコイル31に駆動電圧E1が印加されていないときは、リレーコイル31に通電されないので、第1回路41に設けられた第1接点C1aおよび第2接点C2aは開となり、同時に第2回路42に設けられた第3接点C1bおよび第4接点C2bは閉となる。
【0063】
(2-1-7)コンパレータ55
コンパレータ55は、反転入力端子に入力される電圧(以後、第1電圧V1という。)と、非反転入力端子に入力される電圧(以後、第2電圧V2という。)を比較して、第2電圧V2>第1電圧V1のとき、出力端子から所定の出力電圧Vout=E2を出力する。一方、第2電圧V2<第1電圧V1のとき、出力端子から出力電圧Vout=0Vを出力する。
【0064】
したがって、第2電圧V2>第1電圧V1のとき、出力端子から所定の出力電圧Vout=E2を出力され、それがトランジスタTraのベースに印加されている間、コレクタとエミッタ間が導通して、リレーコイル31に駆動電圧E1が印加される。E1=E2であってもよい。
【0065】
本実施形態では、第1抵抗R11と第2抵抗R12との接続点Q12がコンパレータ55の反転入力端子に接続されており、反転入力端子は第5抵抗R15を介してグランドGNDに接続されているので、第1電圧V1は第1抵抗R11と第2抵抗R12との接続点Q12とグランドGNDとの電位差である。
【0066】
また、第3抵抗R21と第4抵抗R22との接続点Q22がコンパレータ55の非反転入力端子に接続されており、非反転入力端子は第6抵抗R26を介してグランドGNDに接続されているので、第2電圧V2は第3抵抗R21と第4抵抗R22との接続点Q22とグランドGNDとの電位差である。
【0067】
(2-2)切換回路75
図4は、切換回路75の回路図である。
図4において、切換回路75は、オン・オフリレー76、第1切換回路77a、第2切換回路77b、第3切換回路77c、フォトカプラ78およびリレー駆動回路79を含んでいる。切換回路75の機能は、フォトカプラ78を用いて第1電源101からの電力供給の有無を検出し、第1電源101からの電力供給がないときにオン・オフリレー76を用いて第1電源101とは別の電源である第2電源102から第1制御基板81に電力を供給することである。
【0068】
(2-2-1)オン・オフリレー76
本実施形態では、切換回路75は2つのオン・オフリレー76を有している。オン・オフリレー76の個数は、任意に設定することができる。オン・オフリレー76は、リレーコイル76aとリレースイッチ76bとを有している。
【0069】
リレースイッチ76bは、リレーコイル76aに通電されている間、第1接点S1aおよび第2接点S2aを閉にし、同時に第3接点S1bおよび第4接点S2bを開にすることができる。
【0070】
また、リレースイッチ76bは、リレーコイル76aに通電されていない間、第1接点S1aおよび第2接点S2aを開にし、同時に第3接点S1bおよび第4接点S2bを閉にすることができる。
【0071】
(2-2-2)第1切換回路77a
第1切換回路77aは、オン・オフリレー76の第3接点S1bが閉のときだけ、第1直流電源Eaと第3コネクタCN3の第1端子N3aとの間を導通させ、第1制御基板81に第1直流電源Eaからの電力を供給する。
【0072】
(2-2-3)第2切換回路77b
第2切換回路77bは、オン・オフリレー76の第4接点S2bが閉のときだけ、第2直流電源Ebと第3コネクタCN3の第2端子N3bとの間を導通させ、第1制御基板81に第2直流電源Ebの電力を供給する。
【0073】
(2-2-4)第3切換回路77c
第3切換回路77cは、オン・オフリレー76の第3接点S1bが閉のときだけ、第3直流電源Ecと第3コネクタCN3の第3端子N3cとの間を導通させ、第1制御基板81に第3直流電源Ecの電力を供給する。
【0074】
(2-2-5)フォトカプラ78
図4に示すように、フォトカプラ78は、フォトダイオード78aとフォトトランジスタ78bとからなる絶縁スイッチである。コネクタCN5の第1端子N5aはフォトカプラ78のフォトダイオード78aのアノードと繋がっている。また、コネクタCN5の第2端子N5bはフォトカプラ78のフォトダイオード78aのカソードと繋がっている。
【0075】
第1端子N5aには電源ライン801の分岐電線が接続され、第2端子N5bには電源ライン802の分岐電線が接続される。
【0076】
フォトダイオード78aの両端には、並列に整流回路73が接続されている。整流回路73は、第1電源101の交流電圧を、ダイオードDaおよび平滑コンデンサCaで整流し、分圧抵抗Ra,Rbによって、フォトダイオード78aを発光させために適した直流電圧を生成する。
【0077】
(2-2-6)リレー駆動回路79
図4に示すように、リレー駆動回路79はトランジスタTrb含んでいる。トランジスタTrbは、ベースに所定の正電圧が印加されている間、コレクタとエミッタ間が導通して、リレーコイル76aに駆動電源Edの電圧が印加される。
【0078】
リレーコイル76aに駆動電源Edの電圧が印加されている間は、リレーコイル76aに通電されるので、第1切換回路77aおよび第3切換回路77cに設けられた第3接点S1bと、第2切換回路77bに設けられた第4接点S2bとが開となる。それゆえ、第1直流電源Ea、第2直流電源Ebおよび第3直流電源Ecの電力は第1制御基板81に供給されない。
【0079】
一方、リレーコイル76aに駆動電源Edの電圧が印加されていないときは、リレーコイル76aに通電されないので、第1切換回路77aおよび第3切換回路77cに設けられた第3接点S1bと、第2切換回路77bに設けられた第4接点S2bとが閉となる。それゆえ、第1直流電源Ea、第2直流電源Ebおよび第3直流電源Ecの電力が第1制御基板81に供給される。
【0080】
(2-2-7)第2電源102
図2に示すように、第2電源102は、室外ユニット2の直流電源回路72で生成された直流電圧を通信線L1,L2を介して導入し、第1制御基板81の第1直流電源Ea、第2直流電源Ebおよび第3直流電源Ecそれぞれに必要な電圧を提供する。
【0081】
第2電源102と第1制御基板81とは、第1制御基板81に第1電源101から電力が供給されている間は、切換回路75によって遮断されており、第1電源101から電力が供給されなくなったとき、切換回路75によって両者は接続される。
【0082】
これによる利点は、室内ユニット1において、第1電源101からの電力供給が遮断された後、電動膨張弁である室内膨張弁20の開度は電力供給が遮断される前の運転モードに基づいて調整されることである。例えば、冷房運転であった場合は室内膨張弁の開度は閉にし、暖房運転であった場合には僅かに開にする。室内マイクロコンピュータ45が起動することによってこれらの制御が適正に実行される。
【0083】
(3)第2電気基板92
図2に示すように、第2電気基板92には、極性補正回路38および直流電源回路72が実装されている。
【0084】
本実施形態では、室外ユニット2の第2電気基板92は、第2制御基板82と別個の基板としているが、統合して1つの基板としてもよい。
【0085】
(3-1)極性補正回路38
極性補正回路38は、室外通信回路36からの信号を伝送する正極信号線と負極信号線とが極性を間違えて結線されても、正極信号は正極出力線へ、負極信号は負極出力線へ出力されるように切り換える回路である。
【0086】
極性補正回路38の回路構成は、
図3で示した極性補正回路37の回路構成と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0087】
(3-2)直流電源回路72
直流電源回路72は、室内ユニット1の第1電気基板91に実装された第2電源102に供給する直流電圧を生成する回路である。
【0088】
直流電源回路72は、3相交流電源111の電源ライン811、812、813のうち1つから交流電圧を導入し、フィルタ回路72a、整流回路72bおよび平滑コンデンサ72cを介して直流電圧を生成する。
【0089】
図2に示すように、直流電源回路72で生成された直流電圧は、室外通信回路36から正極信号F1と負極信号F2と重畳された状態で送信される。正極信号F1は通信線L1を介して、負極信号F2は通信線L2を介して室内ユニット1へ伝送される。
【0090】
(4)極性補正回路37、38の動作
ここでは、極性補正回路37,38の動作を、室内ユニット1の極性補正回路37を例に説明する。
【0091】
(4-1)第1入力線11が正極、第2入力線12が負極のとき
正極信号F1が伝送される信号線および負極信号F2が伝送される信号線が正しく接続されている場合、正極信号F1は、通信線L1および第1コネクタCN1の第1端子N1aを介して第1入力線11に入力される。また、負極信号F2は、通信線L2および第1コネクタCN1の第2端子N1bを介して第2入力線12に入力される。
【0092】
図5は、正極信号F1が第1入力線11に入力され、負極信号F2が第2入力線12に入力されているときの、正極信号F1および負極信号F2の伝送経路を矢印で示した極性補正回路図である。
【0093】
図5において、第1分圧回路51の接続点S11に正電圧が印加されるので、接続点S11から接続点S12に向かって、第1抵抗R11および第2抵抗R12それぞれの両端に、第1抵抗R11および第2抵抗R12の抵抗値比に応じた電圧降下が生じる。
【0094】
また、第2分圧回路52の接続点S22にも正電圧が印加されるが、第2ダイオードD21の順方向と逆方向となるため、第3抵抗R21では電圧降下は生じず、第4抵抗R22および第6抵抗R26それぞれの両端に、第4抵抗R22および第6抵抗R26の抵抗値比に応じた電圧降下が生じる。
【0095】
この場合において、予め、第2分圧回路52の接続点Q22とグランドGNDからの電位差(V2)が、第1分圧回路51の接続点Q12とグランドGNDとの電位差(V1)よりも大きくなるように、第1抵抗R11、第2抵抗R12、第3抵抗R21、第4抵抗R22および第6抵抗R26の抵抗値が設定されている。
【0096】
コンパレータ55の非反転入力端子にV2(V2>V1)が入力され、反転入力端子にV1が入力されるので、コンパレータ55の出力端子から所定の出力電圧Vout=E2が出力される。
【0097】
この出力電圧Voutが、リレー駆動回路53のトランジスタTraのベースに印加され、コレクタとエミッタ間が導通してリレーコイル31に通電されるので、第1回路41に設けられた第1接点C1aおよび第2接点C2aは閉となり、同時に第2回路42に設けられた第3接点C1bおよび第4接点C2bは開となる。
【0098】
その結果、第1入力線11が正極のときには第1入力線11と第1出力線21とを接続し且つ第2入力線12と第2出力線22とを接続される。
【0099】
(4-2)第1入力線11が負極、第2入力線12が正極のとき
正極信号F1が伝送される信号線および負極信号F2が伝送される信号線が誤って接続されている場合、例えば、正極信号F1が通信線L1および第1コネクタCN1の第2端子N1bを介して第2入力線12に入力された場合である。このとき、負極信号F2は、通信線L2および第1コネクタCN1の第1端子N1aを介して第1入力線11に入力される。
【0100】
図6は、正極信号F1が第2入力線12に入力され、負極信号F2が第1入力線11に入力されているときの、正極信号F1および負極信号F2の伝送経路を矢印で示した極性補正回路図である。
【0101】
図6において、第2分圧回路52の接続点S21に正電圧が印加されるので、接続点S21から接続点S22に向かって、第3抵抗R21および第4抵抗R22それぞれの両端に、第3抵抗R21および第4抵抗R22の抵抗値比に応じた電圧降下が生じる。
【0102】
また、第1分圧回路51の接続点S12にも正電圧が印加されるが、第1ダイオードD11の順方向と逆方向となるため、第1抵抗R11では電圧降下は生じず、第2抵抗R12および第5抵抗R15それぞれの両端に、第2抵抗R12および第5抵抗R15の抵抗値比に応じた電圧降下が生じる。
【0103】
この場合において、予め、第1分圧回路51の接続点Q12とグランドGNDからの電位差(V1)が、第2分圧回路52の接続点Q22とグランドGNDとの電位差(V2)よりも大きくなるように、第1抵抗R11、第2抵抗R12、第3抵抗R21、第4抵抗R22および第5抵抗R15の抵抗値が設定されている。
【0104】
コンパレータ55の非反転入力端子にV2(V2<V1)が入力され、反転入力端子にV1が入力されるので、コンパレータ55の出力端子から出力電圧Vout=0が出力される。
【0105】
この出力電圧Vout=0が、リレー駆動回路53のトランジスタTraのベース電圧になるので、コレクタとエミッタ間が導通せず、リレーコイル31には通電されない。そのため、第1回路41に設けられた第1接点C1aおよび第2接点C2aは開となり、同時に第2回路42に設けられた第3接点C1bおよび第4接点C2bは閉となる。
【0106】
その結果、第1入力線11が負極のときには第1入力線11と第2出力線22とを接続し且つ第2入力線12と第1出力線21とを接続される。
【0107】
以上のように、極性補正回路37によって、正極信号F1は常に第1出力線21から出力され、負極信号F2は常に第2出力線22から出力される。
【0108】
(5)切換回路75の動作
切換回路75の機能は、第1電源101からの電力が遮断されたときに第1電源101からの電力供給が遮断されたことを検知し、第1電源101とは別の電源である第2電源102からの電力に切り換えることである。
【0109】
以下、切換回路75の動作を、第1電源101からの電力供給が遮断されていない場合と、第1電源101からの電力が遮断された場合とに分けて説明する。
【0110】
(5-1)第1電源101からの電力供給が遮断されていない場合
図7は、第1電源101からの電力供給が遮断されていないときの、切換回路75の状態を示す説明図である。
図7では、電流の流れを矢印で表示している。
【0111】
図7において、フォトカプラ78のフォトダイオード78aの両端には、第1電源101の交流電圧を整流した直流電圧が順方向に印加され、電流Ifが流れることによってフォトダイオード78aが発光する。
【0112】
フォトトランジスタ78bは、フォトダイオード78aの発光を受けてコレクタとエミッタ間が導通し、電流Ioutが流れる。
【0113】
その結果、エミッタとグランドGNDとの間にある抵抗Rcによって、エミッタとグランドGNDとの電位差が生じ、それがリレー駆動回路79のトランジスタTrbのベース電圧となって印加され、ベース電流Ibが流れる。
【0114】
トランジスタTrbは、ベース電圧が印加されているとき、コレクタとエミッタ間が導通して、リレーコイル76aに駆動電源Edの電圧が印加され、リレーコイル76aに電流Icoilが通電される。
【0115】
リレーコイル76aに通電されている間は、第1切換回路77aおよび第3切換回路77cに設けられた第3接点S1bと、第2切換回路77bに設けられた第4接点S2bとが開となるので、第1直流電源Ea、第2直流電源Ebおよび第3直流電源Ecの電力は第1制御基板81に供給されない。
【0116】
(5-2)第1電源101からの電力供給が遮断された場合
図8は、第1電源101からの電力供給が遮断されているときの、切換回路75の状態を示す説明図である。
図8では、電流の流れを矢印で表示している。
【0117】
図8において、フォトカプラ78のフォトダイオード78aの両端には、直流電圧が印加されないので、発光しない。それゆえ、フォトトランジスタ78bは、フォトダイオード78aの発光を受けないので、コレクタとエミッタ間が導通しない。その結果、エミッタとグランドGNDとの電位差は生じない。
【0118】
トランジスタTrbは、ベース電圧が印加されないので、コレクタとエミッタ間が導通せず、リレーコイル76aに通電されない。
【0119】
リレーコイル76aに通電されないので、第1切換回路77aおよび第3切換回路77cに設けられた第3接点S1bと、第2切換回路77bに設けられた第4接点S2bとが閉となり、第1直流電源Ea、第2直流電源Ebおよび第3直流電源Ecの電力は第1制御基板81に供給される。
【0120】
(6)特徴
(6-1)
第1電気基板91および第2電気基板92では、切換リレー30は、第1入力線11が正極のときには第1入力線11と第1出力線21とを接続し且つ第2入力線12と第2出力線22とを接続する。また、切換リレー30は、第1入力線11が負極のときには第1入力線11と第2出力線22とを接続し且つ第2入力線12と第1出力線21とを接続する。
【0121】
それゆえ、誤配線により第1入力線11および第2入力線12に入力される信号の極性が反対になった場合でも、切換リレー30の動作によって第1出力線21および第2出力線22には正しい極性の信号が出力されるので、誤配線による動作不能が回避される。
【0122】
(6-2)
第1電気基板91および第2電気基板92では、第1回路41は、第1入力線11と第1出力線21とを接続し、第2入力線12と第2出力線22とを接続する。第2回路42は、第1入力線11と第2出力線22とを接続し、第2入力線12と第1出力線21とを接続する。切換リレー30の切換接点は、第1入力線11が正極のとき、第1回路41をオンにし且つ第2回路42をオフにする。また、切換リレー30の切換接点は、第1入力線11が負極のとき、第1回路41をオフにし且つ第2回路42をオンにする。
【0123】
切換リレー30の切換接点によって第1回路41および第2回路42のいずれか一方を導通状態にするだけの簡素な構成となるので、汎用の安価なリレーを使用することができる。
【0124】
(6-3)
第1電気基板91および第2電気基板92では、第1分圧回路51は、第1入力線11と第2入力線12との間に接続され、第1入力線11が正極のときに第1入力線11との接続点S11から第2入力線12との接続点S12に向かって電圧降下を生じさせる。第2分圧回路52は、第1入力線11と第2入力線12との間に接続され、第1入力線11が負極のときに第2入力線12との接続点S21から第1入力線11との接続点S22に向かって電圧降下を生じさせる。第1入力線11が正極のとき、第1分圧回路51の分圧抵抗の接続点Q12とグランドGNDとの電位差である第1電圧V1よりも、第2分圧回路52の分圧抵抗の接続点Q22とグランドGNDとの電位差である第2電圧V2が大きくなり、切換リレー30に対し所定の動作電圧が出力される。
【0125】
2つの分圧回路51,52における分圧抵抗の接続点Q12,Q22のグランドGNDからの電位差の大小が、第1入力線11および第2入力線12の極性によって逆転することを利用して切換リレー30を動作させるので、CPUで極性間違いを判定する必要がなく、回路設計が容易である。
【0126】
(6-4)
第1分圧回路51では、第1入力線11との接続点S11から第2入力線12との接続点S12に向かって順方向電流が流れる第1ダイオードD11と、第1抵抗R11と、第2抵抗R12とが直列に接続されている。第2分圧回路52では、第2入力線12との接続点S21から第1入力線11との接続点S22に向かって順方向電流が流れる第2ダイオードD21と、第3抵抗R21と、第4抵抗R22とが直列に接続されている。
【0127】
2つの分圧回路51、52それぞれに設けたダイオードD11、D21の順方向を互いに反対方向とすることによって、分圧抵抗の接続点Q12、Q22のグランドに対する電位を極性間違いによって異ならせることができる。
【0128】
(6-5)
第1電圧V1は、第1抵抗R11と第2抵抗R12との接続点Q12とグランドGNDとの電位差である。第2電圧V2は、第3抵抗R21と第4抵抗R22との接続点Q22とグランドGNDとの電位差である。
【0129】
極性間違いによって各電位の大きさが逆転するように抵抗値を設計するだけで、CPUに頼らず極性間違いに対応することができる。
【0130】
(6-6)
第1電気基板91および第2電気基板92のコンパレータ55は、第1電圧V1と第2電圧V2とを比較して、第2電圧V2が第1電圧V1より大きいときに、切換リレー30に対し動作電圧を出力する。コンパレータ55の反転入力の電圧が第1電圧V1であり、コンパレータ55の非反転入力の電圧が第2電圧V2である。切換リレー30に対し、安定した動作電圧を供給することができるので、信頼性が高まる。
【0131】
(6-7)
利用ユニットである室内ユニット1には第1制御基板81が搭載されている。熱源ユニットである室外ユニット2には、第2制御基板82が搭載されている。第1電気基板91は、第1制御基板81に接続される。第2電気基板92は、第2制御基板82に接続される。
【0132】
室内ユニット1と室外ユニット2との間を通信線で繋ぐ際に、サービスパーソンが通信線の配線を間違い、正極信号線を負極の入力線(第2入力線12)に、負極信号線を正極の入力線(第1入力線11)に接続した場合でも、室内ユニット1の極性補正回路37が切換リレー30を用いて正極信号を正極の出力線(第1出力線21)へ、負極信号を負極の出力線(第2出力線22)に出力する。その結果、通信線の配線間違いが生じても正しく通信が行われる。
【0133】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0134】
1 室内ユニット(利用ユニット)
2 室外ユニット(熱源ユニット)
11 第1入力線
12 第2入力線
21 第1出力線
22 第2出力線
30 切換リレー(リレー)
33 切換接点
41 第1回路
42 第2回路
51 第1分圧回路
52 第2分圧回路
D11 第1ダイオード
D21 第2ダイオード
R11 第1抵抗
R12 第2抵抗
R21 第3抵抗
R22 第4抵抗
【先行技術文献】
【特許文献】
【0135】