(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】開口部装置及び窓装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20240730BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/18 F
(21)【出願番号】P 2020047801
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】油谷 祥太
(72)【発明者】
【氏名】内藤 哲也
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-021446(JP,A)
【文献】国際公開第88/003218(WO,A1)
【文献】実開昭55-062774(JP,U)
【文献】特開2001-003643(JP,A)
【文献】特開2018-087424(JP,A)
【文献】特開2019-060072(JP,A)
【文献】特開平08-158743(JP,A)
【文献】特開2019-167707(JP,A)
【文献】特開2017-198048(JP,A)
【文献】実用新案登録第2540198(JP,Y2)
【文献】特開2014-070349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/16
E06B 1/18
E04B 2/88-2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の室外に面した外窓の室内側に内窓として設置される開口部装置であって、
上枠、下枠、及び左右の縦枠を有する枠体と、
耐熱性を有し、前記枠体の開口部で支持される面材と、
を備え、
少なくとも前記上枠は、その外側見込み面が前記建物の躯体部材又は前記外窓の窓枠の見込み面と連結され、
前記外側見込み面と前記見込み面との間に、加熱された場合に膨張する第1の熱膨張性部材が設けられ
、
前記下枠は、その外側見込み面が前記建物の躯体部材又は前記窓枠の見込み面と連結され、
前記左右の縦枠は、その室外側見付け面が前記外窓の窓枠の室内側見付け面と連結されることを特徴とする開口部装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開口部装置であって、
前記外側見込み面から突出し、その先端が前記見込み面に突き当たることで該見込み面と前記外側見込み面との間に隙間を形成する突出片を有し、
前記第1の熱膨張性部材は、前記隙間に配置されることを特徴とする開口部装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の開口部装置であって、
前記室外側見付け面と前記窓枠の室内側見付け面との間には、加熱された場合に膨張する熱膨張性部材を設けないことを特徴とする開口部装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の開口部装置であって、
前記枠体は、アルミニウムを含む金属材料の押出形材で構成されていることを特徴とする開口部装置。
【請求項5】
建物の室外に面した外窓の室内側に内窓として設置される開口部装置であって、
上枠、下枠、及び左右の縦枠を有する枠体と、
耐熱性を有し、前記枠体の開口部で支持される面材と、
を備え、
少なくとも前記上枠は、その外側見込み面が前記建物の躯体部材又は前記外窓の窓枠の見込み面と連結され、
前記外側見込み面と前記見込み面との間に、加熱された場合に膨張する第1の熱膨張性部材が設けられ、
前記枠体は、アルミニウムを含む金属材料の押出形材で構成されていることを特徴とする開口部装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の開口部装置であって、
前記上枠の内側見込み面と前記面材の上端面との間に、加熱された場合に膨張する第2の熱膨張性部材が設けられ、
前記下枠の内側見込み面と前記面材の下端面との間に、加熱された場合に膨張する第3の熱膨張性部材が設けられ、
前記左右の縦枠の内側見込み面と前記面材の側端面との間に、加熱された場合に膨張する第4の熱膨張性部材がそれぞれ設けられることを特徴とする開口部装置。
【請求項7】
建物の室外に面した外窓の室内側に内窓となる開口部装置を設置した窓装置であって、
前記開口部装置は、
上枠、下枠、及び左右の縦枠を有する枠体と、
耐熱性を有し、前記枠体の開口部で支持される面材と、
を備え、
少なくとも前記上枠は、その外側見込み面が前記建物の躯体部材又は前記外窓の窓枠の見込み面と連結され、
前記外側見込み面と前記見込み面との間に、加熱された場合に膨張する熱膨張性部材が設けられ
、
前記枠体は、アルミニウムを含む金属材料の押出形材で構成され、
前記窓枠は、アルミニウムを含む金属材料の押出形材で構成され、
前記枠体及び前記窓枠は、同一又は類似の表面処理が施されることを特徴とする窓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォール等の外窓の内窓として設置する開口部装置及び窓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、建物の外壁を構成するカーテンウォールにおいて、防火構造を備えた構成が開示されている。この構成では、防火設備が必要な部分と必要でない部分とでカーテンウォールの構造を異ならせ、これにより延焼のおそれがある部分での防火対策を構築している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のカーテンウォールは、防火部分と非防火部分とで建物の外観が異なるため、建物の外観意匠の統一感が低下する。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、外窓の外観品質を確保しつつ、所定の防火性能を確保することができる開口部装置及び窓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る開口部装置は、建物の室外に面した外窓の室内側に内窓として設置される開口部装置であって、上枠、下枠、及び左右の縦枠を有する枠体と、耐熱性を有し、前記枠体の開口部で支持される面材と、を備え、少なくとも前記上枠は、その外側見込み面が前記建物の躯体部材又は前記外窓の窓枠の見込み面と連結され、前記外側見込み面と前記見込み面との間に、加熱された場合に膨張する第1の熱膨張性部材が設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2態様に係る窓装置は、建物の室外に面した外窓の室内側に内窓となる開口部装置を設置した窓装置であって、前記開口部装置は、上枠、下枠、及び左右の縦枠を有する枠体と、耐熱性を有し、前記枠体の開口部で支持される面材と、を備え、少なくとも前記上枠は、その外側見込み面が前記建物の躯体部材又は前記外窓の窓枠の見込み面と連結され、前記外側見込み面と前記見込み面との間に、加熱された場合に膨張する熱膨張性部材が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外観品質を確保しつつ、所定の防火性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る開口部装置の縦断面図である。
【
図5】第1隠蔽配置での縦枠の納まり状態を示す横断面図である。
【
図6】第2隠蔽配置での縦枠の納まり状態を示す横断面図である。
【
図7】第1露出配置での縦枠の納まり状態を示す横断面図である。
【
図8】第2露出配置での縦枠の納まり状態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る開口部装置及び窓装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
先ず、開口部装置10の全体構成を説明する。
図1及び
図2に示すように、開口部装置10は、枠体12と、面材14と、押縁16と、を備える。開口部装置10は、建物の室外に面した外窓であるカーテンウォール18の室内側に設置される防火設備としての内窓である(
図3~
図8参照)。
【0012】
枠体12は、上枠12aと、下枠12bと、左右の縦枠12c,12dとを四周枠組みすることで矩形の開口部12eを形成したものである。各枠12a~12dは、それぞれアルミニウムを含む金属材料の押出形材である。枠体12は、例えば上枠12a及び下枠12bが左右の縦枠12c,12dに対して印籠形式で接合された縦勝ち構造である。本実施形態の枠体12は、上枠12a及び下枠12bの断面形状が同一であり、左右の縦枠12c,12dの断面形状が同一である(
図1及び
図2参照)。各枠12a~12dは、それぞれ同一又は異なる断面形状を有する形材でもよい。
【0013】
本出願において、見込み方向とは開口部装置10及びカーテンウォール18の室内外方向、つまり室内側から室外側に向かう方向又はその逆方向(図中に矢印Zで示す方向)をいう。見込み面とは見込み方向に沿って延在する面をいう。見付け方向とは見込み方向に直交する方向であり、上下方向に長尺な縦枠12c等の場合はその長手方向に直交する左右方向(図中に矢印Xで示す方向)をいい、左右方向に長尺な上枠12a等の場合はその長手方向に直交する上下方向(図中に矢印Yで示す方向)をいう。見付け面とは見付け方向に沿った面をいう。枠状部材の内側とは、例えば枠体12の枠内部分(開口部12e)をいう。枠状部材の外側とは、例えば建物の躯体部材に固定される枠体12の枠外部分をいう。各図では、開口部装置10の室外側を(外)、室内側を(内)と図示している。
【0014】
各枠12a~12dは、室内外方向に延びた壁部20と、壁部20の室外側端部に設けられた室外側見付け片21と、を有し、断面略L字状を成している。
【0015】
各枠12a~12dの壁部20は、外側見込み面20aの見込み方向略中央に第1気密材ポケット22を有する。第1気密材ポケット22は、枠外側に開口しており、第1気密材23を装着可能である。第1気密材23は、各枠12a~12dの長手方向に延在した略ボルト形状の可撓性を持ったゴムや樹脂等の部品である。壁部20は、内側見込み面20bの室内側端部にポケット部24を有する。ポケット部24は、枠内側に開口しており、押縁16を装着可能である。壁部20は、面材14の縁部が収容配置される開口溝26の底壁部となる。
【0016】
各枠12a~12dの壁部20には、第1取付部25aが設けられている。第1取付部25aは、枠体12の外側見込み面20aを建物の躯体部材に取り付ける際に用いる。第1取付部25aは、ねじ27が挿通される第1取付孔20cを含む。第1取付孔20cは、壁部20の長手方向で複数位置に適宜間隔で形成されている。第1取付孔20cは、予め工場で形成されてもよいし、必要に応じて施工現場で形成されてもよい。
【0017】
各枠12a~12dの外側見込み面20aには、複数の突出片20dが設けられている。各突出片20dは、外側見込み面20aから枠外方向に同一高さで突出しており、見込み方向に並んでいる。第1気密材ポケット22は、中央付近で隣接した一対の突出片20d,20d間に形成されている。
【0018】
横枠である上枠12a及び下枠12bの内側見込み面20bには、複数のビスホール20eが設けられている(
図1参照)。ビスホール20eは、内側見込み面20bで見込み方向に並んでいる。各ビスホール20eは、縦枠12c,12dの壁部20を貫通したねじ33(
図2参照)が螺合され、これにより枠12a,12bと枠12c,12dとが締結される。
【0019】
各枠12a~12dの室外側見付け片21は、壁部20から内側に突出しており、各枠12a~12dの室外側見付け面を形成する。本実施形態では、上枠12a及び下枠12bの室外側見付け片21と、縦枠12c,12dの室外側見付け片21とは、その突出長が異なる構成を例示しているが、両者は同一長でもよい。室外側見付け片21は、その先端に第2気密材ポケット28を有する。第2気密材ポケット28は、枠内側に開口しており、第2気密材29を装着可能である。第2気密材29は、各枠12a~12dの長手方向に延在した断面略きのこ形状の可撓性を持ったゴムや樹脂等の部品である。第2気密材29は、室外側見付け片21の室外側に延びた室外側気密部29aと、室外側見付け片21の室内側に延びた室内側気密部29bと、を有する。室外側見付け片21は、開口溝26の室外側壁部となる。
【0020】
縦枠12c,12dの室外側見付け片21には、第2取付部25bが設けられている。第2取付部25bは、枠体12の室外側見付け面(室外側見付け片21)を建物の躯体部材に取り付ける際に用いる。第2取付部25bは、室外側見付け片21の長手方向で複数位置に形成され、ねじ27が挿通される第2取付孔21aを含む。第2取付孔21aは、第2取付部25bを用いて縦枠12c,12dの室外側見付け面を躯体部材に取り付ける際に用いる。第2取付孔21aは、予め工場で形成されてもよいし、必要に応じて施工現場で形成されてもよい。
【0021】
各枠12a~12dは、上記したアルミニウムの押出形材に所定の表面処理を施したものである。この表面処理は、例えば陽極酸化処理と電着塗装の複合皮膜処理を含む。さらに各枠12a~12dは、例えば交流電解着色法により、銀色、茶色、黒色等の所定の色彩が施されている。
【0022】
面材14は、枠体12の開口部12eに対して室内側から挿入される。面材14は、透明な耐熱強化ガラスの板材であり、四周が框体30で囲まれている。面材14は、網入りガラスや樹脂等で形成されたパネル材でもよい。面材14は、所定の耐熱性を有する材質で形成されていればよい。框体30と枠体12との間は、第2気密材29の室内側気密部29bによって気密される。
【0023】
框体30は、上框30a、下框30b、及び左右の縦框30c,30dを有し、面材14の四周端面を覆うエッジ材である。各框30a~30dは、アルミニウムを含む金属材料の押出形材である。框体30は、上框30a及び下框30bが左右の縦框30c,30dに対して印籠形式で接合された縦勝ち構造とされている。
図1及び
図2に示す構成例では、横框である上框30a及び下框30bは中空部とコ字状を合わせた断面形状であり、左右の縦框30c,30dはコ字状の断面形状を有する。各框30a~30dは、それぞれ同一又は異なる断面形状を有する形材でもよい。
【0024】
各框30a~30dは、それぞれ内側に開口した開口溝30eを有する。開口溝30eは、面材14の縁部を保持する部分である。開口溝30eの開口幅(見込み方向幅)は、面材14の板厚よりも僅かに小さい寸法に設定されている。面材14は、その板厚よりも狭い開口幅の開口溝30eに対して、先端のR形状を先頭にして円滑に挿入できる。この際、面材14の縁部はゴムや樹脂で形成された断面U字状のガスケットを介して開口溝30eに保持される。開口部装置10は、面材14の板厚が開口溝30eの開口幅よりも大きいため、火災時にガスケットが焼失した場合にも開口溝30eからの面材14の脱落を抑制できる。
【0025】
押縁16は、枠体12に対して室内側から装着される。押縁16は、その室外側見付け面で面材14の框体30の室内側見付け面30fを保持する。これにより押縁16は、開口溝26の室内側壁部を構成する。面材14の室外側見付け面30gは、枠体12の室外側見付け片21で保持される。この際、各框30a~30dの室外側見付け面30gは、第2気密材29の室外側気密部29aと密着し、これにより面材14の室内外が気密される。
【0026】
押縁16は、上縁材16a、下縁材16b、及び左右の縦縁材16c,16dを有する。各縁材16a~16bは、アルミニウムを含む金属材料の押出形材である。
図1及び
図2に示す構成例では、上縁材16a及び下縁材16bは、中空部とコ字状とを合わせた断面形状を有し、左右の縦縁材16c,16dはコ字状の断面形状を有する。各縁材16a~16dは、それぞれ同一又は異なる断面形状を有する形材でもよい。各縁材16a~16dの外側見込み面には、枠外側へと突出した見込み方向で一対の爪部16eが設けられている。各縁材16a~16dは、それぞれの爪部16eが各枠12a~12dのポケット部24に係合する。これにより各縁材16a~16dは、各枠12a~12dに着脱可能に装着される。
【0027】
押縁16は、ポケット部24を室内側から覆い隠し、開口部装置10の外観品質を向上させる。押縁16は、枠体12の枠内側に収容されるため、開口部装置10の室内側に突出せず、一層高い外観品質が得られる。
【0028】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の開口部装置10は、各所に熱膨張性部材32が設けられる。
【0029】
本実施形態において、熱膨張性部材32は、各枠12a~12dの外側見込み面20aと、縦枠12c,12dの内側見込み面20bと、各框30a~30dの外側見込み面と、に設けられている。熱膨張性部材32は、加熱された場合に膨張する黒鉛等によって形成された加熱発泡材である。熱膨張性部材32は、各部材の長手方向に沿って延在するように貼り付けられている。これにより開口部装置10は、火災時にアルミニウム製の枠体12が反り変形等を生じた際、枠体12と躯体部材との間、及び枠体12と面材14との間に配置された熱膨張性部材32が膨張する。これにより開口部装置10は、枠体12と躯体部材との間、及び枠体12と面材14との間を膨張した熱膨張性部材32が塞ぎ、室内外方向の火炎や煙の通り道となる貫通孔が枠体12の枠内外に形成されることを抑制する。
【0030】
各枠12a~12dの外側見込み面20aは、見込み方向で略中央に第1気密材23の装着用の第1気密材ポケット22が設けられ、その室外側にねじ27が設けられている。そこで、熱膨張性部材32は、外側見込み面20aの見込み方向中央よりも室内側に寄った位置、本実施形態では外側見込み面20aの室内側端部に設けられている。熱膨張性部材32は、外側見込み面20aの中央や室外側寄りの位置に設けられてもよいし、複数枚が見込み方向に並んで設けられてもよい。
【0031】
ところで、枠体12が火災等で加熱されると、上枠12aが最も高温になり易い。このため、特に上枠12aの外側見込み面20aには熱膨張性部材32を設置することが好ましい。一方、下枠12bは、上枠12aよりも高温になり難いため、外側見込み面20aの熱膨張性部材32は省略してもよい。なお、本実施形態の場合、縦枠12c,12dは、後述する露出配置と隠蔽配置の2通りの納まりが想定される。そこで、詳細は後述するが、縦枠12c,12dは、少なくとも露出配置で使用される際は外側見込み面20aに熱膨張性部材32を設けることが望ましい(
図7及び
図8参照)。
【0032】
次に、開口部装置の取付構造を説明する。本実施形態の開口部装置10は、建物の仕様やユーザの要望に応じて2つの取付構造(第1及び第2の取付構造)のいずれか一方で施工される。開口部装置10は、防火構造を有することにより、非防火仕様の外窓であるカーテンウォール18の内窓として、延焼の可能性のある位置に適宜施工される。カーテンウォール18は、複数のユニットが左右に並列されるため、開口部装置10も必要に応じて左右に並んで施工される。
【0033】
各取付構造の説明に先立ち、開口部装置10を支持する周辺部材について説明する。
図3~
図6に示すように、建物42は、外窓であるカーテンウォール18の室内側に、内窓である開口部装置10を設置した構成である。カーテンウォール18は、2層の面材18a,18bの四周を上下左右の外窓枠43及び方立48で保持した構成である。外窓枠43及び方立48は、建物42の壁等の躯体42aに対して、例えばファスナー44を利用して固定される窓枠である。外窓枠43は、アルミニウムを含む金属材料の押出形材である。外窓枠43は、上記した各枠12a~12dと同一又は類似の表面処理が施されている。
【0034】
各枠12a~12dは、躯体42aに固定された下地材46と、外窓枠43と連結された方立48とに取り付けられる。下地材46は、例えばスチールやステンレス等の板金部材である。下地材46は、躯体42aと固定され、枠体12を相対的に躯体42aに固定する躯体部材である。方立48は、例えばアルミニウムを含む金属材料の押出形材である。方立48は、左右に並んだカーテンウォール18の各ユニット間を仕切る縦材である。方立48は、上下の枠部43a,43b間で起立して枠部43a,43bと連結され、枠体12を相対的に躯体42aに固定する躯体部材である。
【0035】
図3~
図5に示すように、各枠12a~12dは、下地材46に固定される際は、下地材46との間に額縁部材(膳板)50を挟んで固定される。額縁部材50は、開口部装置10の室内側の四周を縁取る化粧材であり、例えばアルミニウムを含む金属材料の押出形材である。額縁部材50は、ねじ27を用いて枠体12と共に下地材46に共締めされる。方立48及び額縁部材50についても、上記した各枠12a~12dと同一又は類似の表面処理が施されている。
【0036】
次に、第1の取付構造を説明する。第1の取付構造では、上枠12a及び下枠12bが露出配置となり、縦枠12c,12dが隠蔽配置となる。露出配置の上枠12a及び下枠12bは、外窓枠43の枠内側に張り出した位置に配置される(
図3及び
図4参照)。隠蔽配置の縦枠12c,12dは、外窓枠43の室内側に隠された位置に配置される(
図5及び
図6参照)。
【0037】
図3に示すように、露出配置において、上枠12aは、第1取付部25aを用いて躯体部材に取り付ける。具体的には、上枠12aは、外側見込み面20aから突出した突出片20dを天井側の下地材46の見込み面46aに額縁部材50を挟んで突き当てる。さらに上枠12aは、室外側見付け片21を外窓枠43の左右の縦枠部43c,43dの室内側見付け面52に突き当てる。上枠12aは、第1取付孔20cを介して壁部20をねじ27で下地材46に締結することで、下地材46を介して躯体42aと固定される。外側見込み面20aと見込み面46aとの間に額縁部材50を介在させず、突出片20dを直接的に見込み面46aに当接させてもよい。
図3や
図4中の参照符号72は、下地材46の躯体42a側に充填されたモルタルである。
【0038】
図4に示すように、露出配置において、下枠12bは、第1取付部25aを用いて躯体部材に取り付ける。下枠12bの躯体部材(下地材46)に対する取付構造は、上枠12aの場合と同様である。すなわち、下枠12bは、第1取付孔20cを介して壁部20をねじ27で下地材46に締結することで、下地材46を介して躯体42aと固定される。下枠12bにおいても、外側見込み面20aと見込み面46aとの間に額縁部材50を介在させず、突出片20dを直接的に見込み面46aに当接させてもよい。上枠12a及び下枠12bは、下地材46に代えて又は下地材46と共に外窓枠43の上枠部43aの見込み面に連結されてもよい。
【0039】
本実施形態において、露出配置の上枠12a及び下枠12bは、額縁部材50(又は下地材46の見込み面46a)と外側見込み面20aとの間に突出片20dの高さ分の隙間Cが形成される。上枠12a及び下枠12bでは、その外側見込み面20aに設けられた熱膨張性部材32が隙間Cに配置される。これにより上枠12a及び下枠12bは、外側見込み面20aと見込み面46aとの間にスペース(隙間C)を確保し、熱膨張性部材32の確実な設置を可能としている。なお、下枠12bは、火災時に、上部にある上枠12aよりも高温になり難い。そこで、下枠12bの外側見込み面20aの熱膨張性部材32は省略してもよい。突出片20dを設けず、外側見込み面20aと額縁部材50(又は見込み面46a)との間に熱膨張性部材32を直接的に挟持してもよい。
【0040】
なお、露出配置において、上枠12a及び下枠12bと外窓枠43との間は、第2気密材29の室外側気密部29aが室内側見付け面52に密着することで室内外に気密される(
図3及び
図4参照)。
【0041】
次に、隠蔽配置される縦枠12c,12dについて説明する。縦枠12c,12dは、その施工される位置により、下地材46を介して躯体42aと固定される第1隠蔽配置(
図5参照)と、方立48に固定される第2隠蔽配置(
図6参照)とがある。縦枠12dの施工状態は図示していないが、
図5及び
図6に示す縦枠12cと左右対称構造である以外は同一でよい。
【0042】
図5に示すように、第1隠蔽配置において、縦枠12c(12d)は、第1取付部25aを用いて躯体部材に取り付ける。具体的には、縦枠12c(12d)は、外側見込み面20a(突出片20d)を側壁側の下地材46の見込み面46aに突き当てる。さらに縦枠12c(12d)は、室外側見付け片21を下枠部43bの室内側見付け面53及び縦枠部43c,43dの室内側見付け面52に突き当てる。縦枠12c(12d)は、第1取付孔20cを介して壁部20をねじ27で下地材46に締結することで、下地材46を介して躯体42aと固定される。これにより第1隠蔽配置の縦枠12c(12d)は、略全体が外窓枠43の縦枠部43c(43d)の室内側に隠蔽された状態で設置される。縦枠12c,12dは、下地材46に代えて又は下地材46と共に外窓枠43の縦枠部43c,43dの室内側見付け面52に連結されてもよい。
【0043】
図6に示すように、第2隠蔽配置において、縦枠12c(12d)は、第2取付部25bを用いて躯体部材に取り付ける。具体的には、縦枠12c(12d)は、方立48の室内側見付け面48bの室内側に配置される。縦枠12c(12d)は、室外側見付け片21の室外側見付け面を方立48の室内側見付け面48bに当てる。縦枠12c(12d)は、第2取付孔21aを介して室外側見付け片21をねじ27で方立48に締結することで、躯体部材である方立48と固定される。これにより第2隠蔽配置の縦枠12c(12d)は、略全体が方立48の室内側に隠蔽された状態で設置される。なお、
図6中の参照符号56は、縦枠12c(12d)を覆い隠すカバー部材である。参照符号57は、カバー部材56の一端部を支持する支持部材である。
【0044】
第1隠蔽配置の縦枠12c(12d)では、壁部20の外側見込み面20aから突出した第1気密材23が、室内側見付け面53及び額縁部材50に密着することで室内外に気密される(
図5参照)。第2隠蔽配置の縦枠12c(12d)では、第2気密材29の室外側気密部29aが、方立48の室内側見付け面48bに密着することで室内外に気密される(
図6参照)。
【0045】
従って、第1の取付構造で設置された開口部装置10では、上枠12a及び下枠12bが下地材46の見込み面46aに連結され、外窓枠43の枠内側に張り出して配置される。すなわち、仮に上枠12aを
図5に示す縦枠12c,12dのような隠蔽配置とした場合を考える。この場合、上枠12aは、例えば
図3に示される上向き略U字状の下地材46を取り外して形成したスペースに上端部を挿入して設置される。そうすると、メンテナンス等で面材14を取り外す際、押縁16(上縁材16a)を取り外す前にその室内側に設置された額縁部材50やブラインドボックス58を取り外す必要があり、手間がかかる。この点、本実施形態の上枠12aは、
図3に示す露出配置のため、容易に押縁16を着脱することができ、高いメンテナンス性が得られる。なお、ブラインドボックス58は、開口部装置10の室内側に設置されるブラインド(図示せず)の上端部を収容するボックスであり、下地材46等と固定される。
【0046】
ところが、開口部装置10では、上枠12a及び下枠12bが露出配置のため、火災時の熱変形で上枠12a及び下枠12bが反り変形すると、それぞれの外側見込み面20a(突出片20d)と下地材46や額縁部材50との間に室内外方向に貫通する隙間が形成される。この隙間は室内外を貫通する貫通孔であり、火炎や煙の通り道となる。そこで、本実施形態の開口部装置10は、仮に上枠12aや下枠12bが火災時に反り変形した場合であっても、外側見込み面20aと躯体部材である下地材46との間に形成される隙間を外側見込み面20aに設けた熱膨張性部材32の膨張によって塞ぐことができる。その結果、開口部装置10は、高い防火性能が得られる。
【0047】
一方、隠蔽配置の縦枠12c,12dは、仮に火災時に反り変形したとしても、その室外側が縦枠部43c,43dや方立48で隠されており、室内外の貫通孔は形成されない。このため、縦枠12c,12dは、外側見込み面20aの熱膨張性部材32を省略しても防火性能を確保でき、熱膨張性部材32の部品コストや施工コストを削減できる。しかも開口部装置10は、縦枠12c,12dが隠蔽配置されることで、縦枠12c,12dや縦框30c,30dがカーテンウォール18の面材18a,18b越しに建物42の外から視認されることが抑制される。その結果、開口部装置10は、建物42の外観品質を向上させることができる。また、開口部装置10は、室内側から面材14越しに室外を視認する際に上枠12aや下枠12bよりも目立ち易い左右の縦枠12c,12dを隠蔽配置とすることで、見かけ上の面材14の開口面積を最大限に拡大している。
【0048】
次に、第2の取付構造を説明する。第2の取付構造では、上枠12a及び下枠12bの露出配置は第1の取付構造と同一又は同様であるが、縦枠12c,12dも露出配置となる。縦枠12c,12dは、その施工される位置により、下地材46を介して躯体42aと固定される第1露出配置(
図7参照)と、方立48に固定される第2露出配置(
図8参照)とがある。縦枠12dの施工状態は図示していないが、
図7及び
図8に示す縦枠12cと左右対称構造である以外は同一でよい。
【0049】
図7に示すように、第1露出配置において、縦枠12c(12d)は、第1取付部25aを用いて躯体部材に取り付ける。具体的には、縦枠12c(12d)は、外側見込み面20a(突出片20d)を側壁側の下地材46の見込み面46aに額縁部材50を挟んで突き当てる。さらに縦枠12c(12d)は、室外側見付け片21を外窓枠43の下枠部43bの室内側見付け面53及び縦枠部43c,43dの室内側見付け面52に突き当てる。縦枠12c(12d)は、第1取付孔20cを介して壁部20をねじ27で下地材46に締結することで、下地材46を介して躯体42aと固定される。
【0050】
図8に示すように、第2露出配置において、縦枠12c(12d)は、第1取付部25aを用いて躯体部材に取り付ける。具体的には、縦枠12c(12d)は、方立48の内側見込み面48aの側部に配置される。縦枠12c(12d)は、外側見込み面20aを方立48の内側見込み面48aに突き当てる。縦枠12c(12d)は、第1取付孔20cを介して壁部20をねじ27で方立48に締結することで、躯体部材である方立48と固定される。
【0051】
このような露出配置では、特に
図8に示す方立48との取付部において、縦枠12c,12dが方立48の室内側見付け面48bの室内側に張り出さない。このため、開口部装置10が、建物42の内観を損なうことを抑制できる。第1露出配置の縦枠12c(12d)は、壁部20の外側見込み面20aから突出した第1気密材23が、室内側見付け面53及び額縁部材50に密着することで室内外に気密される(
図7参照)。第2露出配置の縦枠12c(12d)は、壁部20の外側見込み面20aから突出した第1気密材23が、方立48の内側見込み面48aに密着することで室内外に気密される(
図8参照)。
【0052】
従って、第2の取付構造で設置された開口部装置10では、縦枠12c,12dが下地材46の見込み面46aや方立48の内側見込み面48aに連結され、外窓枠43や方立48の枠内側に張り出して配置される。このため、火災時の加熱によって縦枠12c,12dが反り変形すると、それぞれの外側見込み面20a(突出片20d)と下地材46や方立48との間に室内外方向に貫通する隙間が形成され、この隙間が火炎や煙の通り道となる懸念がある。そこで、本実施形態の開口部装置10は、仮に縦枠12c,12dが火災時に反り変形した場合であっても、外側見込み面20aと躯体部材である方立48や下地材46との間に形成される隙間を外側見込み面20aに設けた熱膨張性部材32の膨張によって塞ぐことができる。その結果、開口部装置10は、高い防火性能が得られる。
【0053】
以上のように、本実施形態の開口部装置10は、少なくとも上枠12aの外側見込み面20aとこれと連結される躯体部材である下地材46の見込み面46aとの間に、熱膨張性部材32を有する。これにより、開口部装置10は、非防火構造の外窓であるカーテンウォール18の室内側で防火が必要な範囲に防火構造を構築できる。このため、開口部装置10を備える建物42は、外窓であるカーテンウォール18の外観意匠を統一した状態で、必要な位置には開口部装置10による防火構造を備えることができる。その結果、当該開口部装置10により、建物42は外窓の外観品質を確保しつつ、所定の防火性能を確保することができる。
【0054】
一方、第1の取付構造において、隠蔽配置とされた縦枠12c,12dは、その室外側見付け面(室外側見付け片21)が、方立48や外窓枠43の室内側見付け面にラップすることで、十分な防火性能を確保できる。そこで、この部分には、熱膨張性部材32を設けないことで、製品コストを低減できる。
【0055】
特に、当該開口部装置10の枠体12は、アルミニウムを含む押出形材であるが、熱膨張性部材32によって十分な防火性能を確保できる。これにより枠体12は、例えば鉄やステンレス等のより耐火性の高い材質を用いずに構成でき、開口部装置10の軽量化及び低コスト化が図られる。
【0056】
しかも本実施形態の窓装置は、外窓であるカーテンウォール18の窓枠(外窓枠43、方立48)もアルミニウムを含む押出形材である。そして、これら窓枠及び枠体12には、同一又は類似の表面処理が施されている。これにより当該建物42は、外窓(カーテンウォール18)と内窓(開口部装置10)との外観の統一化が高まり、高い外観品質が得られる。換言すれば、本実施形態では、外窓の窓枠(外窓枠43、方立48)と内窓の枠体12とをいずれもアルミニウムを含む形材で形成することで、同一又は類似の表面処理を可能としている。なお、窓枠と枠体12の表面処理が同一又は類似であるとは、例えば両枠の美的外観が全く同一か、又は、似たような色彩や模様、微細な形状等を有する場合や、生産過程において同一又は類似の表面処理が施された場合等を含む。
【0057】
本実施形態の開口部装置10において、縦枠12c,12dは、外側見込み面20aに第1取付部25aを有し、室外側見付け面(室外側見付け片21)に第2取付部25bを有する。これにより枠体12は、躯体部材への取付時、少なくとも取付部25a,25bの一方を使用した柔軟な取り付けが可能となる(
図5~
図8参照)。つまり開口部装置10は、上記した露出配置と隠蔽配置とで枠体12を兼用できる。その結果、開口部装置10は、高い汎用性が得られ、異なる設置状態に対応可能でありながらも製造コストを低減できる。
【0058】
また、本実施形態の開口部装置10において、各枠12a~12dは、外側見込み面20aに第1気密材ポケット22を有し、室外側見付け面(室外側見付け片21)に第2気密材ポケット28を有する。これにより枠体12は、建物42の躯体部材への取付時、少なくとも気密材ポケット22,28の一方に気密材23,29を装着した柔軟な気密ラインの構築が可能となり、汎用性が高い。
【0059】
本発明に係る開口部装置は、建物の室外に面した外窓の室内側に内窓として設置される開口部装置であって、上枠、下枠、及び左右の縦枠を有する枠体と、耐熱性を有し、前記枠体の開口部で支持される面材と、を備え、少なくとも前記上枠は、その外側見込み面が前記建物の躯体部材又は前記外窓の窓枠の見込み面と連結され、前記外側見込み面と前記窓枠の見込み面との間に、加熱された場合に膨張する第1の熱膨張性部材が設けられることを特徴とする。このような構成によれば、内窓である開口部装置の上枠が躯体部材や外窓の窓枠の見込み面から張り出すように固定される。そして、枠体の外側見込み面と躯体部材等の見込み面との間に第1の熱膨張性部材が介在する。このため、火災時に上枠が反り変形した場合であっても、その外側見込み面と躯体部材等の間に室内外方向の貫通孔が形成されることを抑制できる。その結果、外窓の室内側で防火が必要な範囲に防火構造を構築でき、外窓の外観品質を確保しつつ、十分な防火構造を備えることができる。
【0060】
前記外側見込み面から突出し、その先端が前記窓枠の見込み面に突き当たることで該窓枠の見込み面と前記外側見込み面との間に隙間を形成する突出片を有し、前記第1の熱膨張性部材は、前記隙間に配置される構成としてもよい。そうすると、第1の熱膨張性部材を外側見込み面と見込み面との間に確実に且つ容易に設置できる。
【0061】
前記下枠は、その外側見込み面が前記建物の躯体部材又は前記窓枠の見込み面と連結され、前記左右の縦枠は、その室外側見付け面が前記外窓の窓枠の室内側見付け面と連結される構成としてもよい。そうすると、外観上で上枠や下枠よりも目立ち易い左右の縦枠が外窓の窓枠の室内側に隠されるため、外から外窓を見た際に開口部装置が目立つことを抑制できる。
【0062】
前記室外側見付け面と前記窓枠の室内側見付け面との間には、加熱された場合に膨張する熱膨張性部材を設けない構成としてもよい。すなわち、縦枠は、外窓の窓枠の室内側に隠すように配置することで、十分な防火性能が得られるため、熱膨張性部材の部品や設置のコストを削減できる。
【0063】
前記枠体は、アルミニウムを含む金属材料の押出形材で構成されてもよい。すなわち、当該開口部装置は、枠体と躯体部材や外窓の窓枠との間に十分な防火性能を構築できる。そこで、枠体は、アルミニウムを含む押出形材で形成することで、所望の表面処理を施して高い外観品質を確保しつつ、軽量化や低コストも図られる。
【0064】
前記上枠の内側見込み面と前記面材の上端面との間に、加熱された場合に膨張する第2の熱膨張性部材が設けられ、前記下枠の内側見込み面と前記面材の下端面との間に、加熱された場合に膨張する第3の熱膨張性部材が設けられ、前記左右の縦枠の内側見込み面と前記面材の側端面との間に、加熱された場合に膨張する第4の熱膨張性部材がそれぞれ設けられる構成としてもよい。そうすると、枠体と面材との間にも防火構造が構築される。
【0065】
本発明に係る窓装置は、建物の室外に面した外窓の室内側に内窓となる開口部装置を設置した窓装置であって、前記開口部装置は、上枠、下枠、及び左右の縦枠を有する枠体と、耐熱性を有し、前記枠体の開口部で支持される面材と、を備え、少なくとも前記上枠は、その外側見込み面が前記建物の躯体部材又は前記外窓の窓枠の見込み面と連結され、前記外側見込み面と前記窓枠の見込み面との間に、加熱された場合に膨張する熱膨張性部材が設けられることを特徴とする。このような構成によれば、外窓の室内側で防火が必要な範囲に防火構造を構築でき、外窓の外観品質を確保しつつ、十分な防火構造を備えることができる。
【0066】
前記枠体は、アルミニウムを含む金属材料の押出形材で構成され、前記窓枠は、アルミニウムを含む金属材料の押出形材で構成され、前記枠体及び前記窓枠は、同一又は類似の表面処理が施される構成としてもよい。そうすると、外窓と内窓の外観意匠が統一され、その外観品質が一層向上する。
【0067】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0068】
例えば上記では、内窓として開口部装置10を用いた際の外窓として、カーテンウォール18を例示した。しかしながら、外窓は、カーテンウォール以外、例えば引違い窓等のスライディング窓、開き窓等の回転窓、又は上げ下げ窓等のウインドウ系や、ドア等であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 開口部装置、12 枠体、12a 上枠、12b 下枠、12c,12d 縦枠、14,18a,18b 面材、16 押縁、18 カーテンウォール、20 壁部、20a 外側見込み面、20d 突出片、30f,48b,52,53 室内側見付け面、30g 室外側見付け面、32 熱膨張性部材、42 建物、42a 躯体、43 外窓枠、46 下地材、46a 見込み面、48 方立、50 額縁部材