(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2020107100
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 和音
(72)【発明者】
【氏名】中野 泰
【審査官】小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-143846(JP,A)
【文献】特開2019-191460(JP,A)
【文献】特開2018-190973(JP,A)
【文献】特開2018-200377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の検出領域に配列された複数のフォトダイオードと、
前記基板の、前記検出領域の外側の周辺領域に、第1方向に配列された複数の第1端子と、
複数の前記第1端子を覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜上であって、複数の前記第1端子を覆う異方性導電フィルムと、を有し、
前記基板と前記絶縁膜の間において、複数の前記第1端子は、それぞれ、
第1金属層と、
前記第1金属層の上に第1層間絶縁膜を介して積層された第2金属層と、
前記第2金属層の上に接して積層された第3金属層と、
前記第3金属層の上に接して積層された第1透光性導電層と、を有し、
前記絶縁膜は、前記第1端子のそれぞれと重畳する領域に前記第1透光性導電層を露出する開口を有し、
前記異方性導電フィルムは、前記開口を形成する前記絶縁膜の側面と前記開口に重畳する前記第1透光性導電層に、直接接触
し、
前記検出領域に設けられた複数の走査線と、
前記検出領域に設けられ、複数の前記走査線と交差する複数の出力信号線と、を有し、
前記第1金属層は、前記走査線と同層であり、
前記第2金属層は、前記出力信号線と同層である
検出装置。
【請求項2】
前記絶縁膜は、前記第1透光性導電層の周縁を覆って設けられ、前記開口は前記周縁の内側に形成される
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記検出領域に設けられた下部電極及び上部電極を有し、
前記下部電極、前記フォトダイオード、前記上部電極の順に積層されており、
前記第3金属層は、前記下部電極と同層である
請求項
1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記上部電極に重畳して設けられた重畳電極を有し、
前記第1透光性導電層は、前記上部電極又は前記重畳電極と同層である
請求項
3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記検出領域において、前記フォトダイオードの前記上部電極を覆う無機絶縁膜と、前記無機絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して前記上部電極に接続された接続配線と、を有し、
前記無機絶縁膜は前記基板と前記絶縁膜との間に形成され、
前記第1透光性導電層は、前記絶縁膜と前記無機絶縁膜との間に形成される電極である
請求項
3に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第1透光性導電層に接して積層された第2透光性導電層を有し、
前記第1透光性導電層は、前記重畳電極と同層であり、
前記第2透光性導電層は、前記上部電極と同層である
請求項
4に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第1金属層の前記第1方向での幅は、前記開口の前記第1方向での幅と等しい
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記出力信号線と電気的に接続され、前記第1方向と交差する第2方向に延在する信号線接続配線を有し、
前記第1金属層は、前記信号線接続配線と同層に設けられ、前記信号線接続配線と接続され、かつ、前記第1層間絶縁膜を貫通して設けられた第1コンタクト部を介して前記第2金属層と電気的に接続される
請求項
3に記載の検出装置。
【請求項9】
前記周辺領域に設けられた駆動回路と、
複数の前記第1端子と前記第1方向に隣り合って設けられ、前記駆動回路に電気的に接続される複数の第2端子と、を有する
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項10】
隣り合う前記第2端子の間の領域で、前記第1層間絶縁膜と前記絶縁膜との間に積層された第2層間絶縁膜を有する
請求項
9に記載の検出装置。
【請求項11】
複数の前記第1端子及び複数の前記第2端子のうち、少なくとも複数の前記第2端子のそれぞれに電気的に接続され、複数の前記第2端子と前記基板の外周との間で、前記第1方向と交差する第2方向に延在する外縁配線と、を有する
請求項
9又は請求項
10に記載の検出装置。
【請求項12】
前記第1層間絶縁膜は、前記外縁配線を覆って前記第2方向に延在し、
前記外縁配線と前記第1層間絶縁膜とが積層された複数の凸部は、前記第1方向に配列される
請求項
11に記載の検出装置。
【請求項13】
複数の前記第1端子には、前記外縁配線は非接続であり、
複数の前記第1端子と前記基板の外周との間の領域に設けられ、前記第1層間絶縁膜で形成される複数の第1凸部と、
複数の前記第2端子と前記基板の外周との間の領域に設けられ、前記外縁配線と、前記外縁配線を覆う前記第1層間絶縁膜とが積層された複数の第2凸部と、を有し、
複数の前記第1凸部及び複数の前記第2凸部は、前記第1方向に配列される
請求項
12に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の液晶表示装置は、複数の光センサを備える。光センサは、フォトダイオードを有しており、このフォトダイオードにより照射される光が信号(電荷)に変換される。光センサは、一般にマトリックス状に配列している。そして、マトリックス状に配列する複数の光センサは、例えば指紋センサや静脈センサ等、生体情報を検出する生体センサとして、検出装置に用いられている。また、光センサの基板上には、外部回路と電気的に接続するための複数の端子が設けられている。複数の端子には、フレキシブルプリント基板などの配線基板や、IC(Integrated Circuit)が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のフォトダイオードを有する光センサは、複数の端子の接続信頼性を向上させることが要求されている。
【0005】
本発明は、複数の端子の接続信頼性を向上させることができる検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、基板と、前記基板の検出領域に配列された複数のフォトダイオードと、前記基板の、前記検出領域の外側の周辺領域に、第1方向に配列された複数の第1端子と、複数の前記第1端子を覆う絶縁膜と、前記絶縁膜上であって、複数の前記第1端子を覆う異方性導電フィルムと、を有し、前記基板と前記絶縁膜の間において、複数の前記第1端子は、それぞれ、第1金属層と、前記第1金属層の上に第1層間絶縁膜を介して積層された第2金属層と、前記第2金属層の上に接して積層された第3金属層と、前記第3金属層の上に接して積層された第1透光性導電層と、を有し、前記絶縁膜は、前記第1端子のそれぞれと重畳する領域に前記第1透光性導電層を露出する開口を有し、前記異方性導電フィルムは、前記開口を形成する前記絶縁膜の側面と前記開口に重畳する前記第1透光性導電層に、直接接触する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、第1実施形態に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【
図1B】
図1Bは、変形例1に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【
図1C】
図1Cは、変形例2に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【
図1D】
図1Dは、変形例3に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、検出素子を構成するアレイ基板を示す平面図である。
【
図6】
図6は、アレイ基板の検出素子を示す平面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る検出装置の端子部の構成を模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、第1端子を拡大して示す平面図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るアレイ基板と配線基板との接合の構造例を示す断面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る第1端子を模式的に示す断面図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係る第1端子を模式的に示す断面図である。
【
図16】
図16は、第4実施形態に係る検出装置の端子部の構成を模式的に示す平面図である。
【
図17】
図17は、第4実施形態に係る第1端子を拡大して示す平面図である。
【
図19】
図19は、複数の第1端子、複数の第2端子、外縁配線及び各絶縁膜の配置関係を説明するための説明図である。
【
図21】
図21は、第4実施形態の変形例4に係る複数の第1端子、複数の第2端子、外縁配線及び各絶縁膜の配置関係を説明するための説明図である。
【
図23】
図23は、第4実施形態の変形例5に係る複数の第1端子、複数の第2端子、外縁配線及び各絶縁膜の配置関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
(第1実施形態)
図1Aは、第1実施形態に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1Bは、変形例1に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1Cは、変形例2に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1Dは、変形例3に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【0011】
図1Aに示すように、照明装置付き検出機器120は、検出装置1と、照明装置121と、を有する。検出装置1は、センサ基板5と、接着層125と、カバー部材122と、を有する。つまり、センサ基板5の表面に垂直な方向において、センサ基板5、接着層125、カバー部材122の順に積層されている。なお、後述するように検出装置1のカバー部材122を照明装置121に置き換えることもできる。
【0012】
図1Aに示すように、照明装置121は、例えば、カバー部材122を検出装置1の検出領域AAに対応する位置に設けられた導光板として用い、カバー部材122の一方端又は両端に並ぶ複数の光源123を有する、いわゆるサイドライト型のフロントライトであってもよい。つまり、カバー部材122は、光を照射する光照射面121aを有し、照明装置121の一構成要素となっている。この照明装置121によれば、カバー部材122の光照射面121aから検出対象である指Fgに向けて光L1を照射する。光源として、例えば、所定の色の光を発する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられる。
【0013】
また、
図1Bに示すように、照明装置121は、検出装置1の検出領域AAの直下に設けられた光源(例えば、LED)を有するものであってもよく、光源を備えた照明装置121はカバー部材122としても機能する。
【0014】
また、照明装置121は、
図1Bの例に限らず、
図1Cに示すように、カバー部材122の側方や上方に設けられていてもよく、指Fgの側方や上方から指Fgに光L1を照射してもよい。
【0015】
さらには、
図1Dに示すように、照明装置121は、検出装置1の検出領域に設けられた光源(例えば、LED)を有する、いわゆる直下型のバックライトであってもよい。
【0016】
照明装置121から照射された光L1は、検出対象である指Fgにより光L2として反射される。検出装置1は、指Fgで反射された光L2を検出することで、指Fgの表面の凹凸(例えば、指紋)を検出する。さらに、検出装置1は、指紋の検出に加え、指Fgの内部で反射した光L2を検出することで、生体に関する情報を検出してもよい。生体に関する情報は、例えば、静脈等の血管像や脈拍、脈波等である。照明装置121からの光L1の色は、検出対象に応じて異ならせてもよい。
【0017】
カバー部材122は、センサ基板5を保護するための部材であり、センサ基板5を覆っている。上述のように、照明装置121がカバー部材122を兼ねる構造でもよい。
図1C及び
図1Dに示すカバー部材122が照明装置121と分離されている構造においては、カバー部材122は、例えばガラス基板である。なお、カバー部材122はガラス基板に限定されず、樹脂基板等であってもよい。また、カバー部材122が設けられていなくてもよい。この場合、センサ基板5の表面に絶縁膜等の保護層が設けられ、指Fgは検出装置1の保護層に接する。
【0018】
照明装置付き検出機器120は、
図1Bに示すように、照明装置121に換えて表示パネルが設けられていてもよい。表示パネルは、例えば、有機ELディスプレイパネル(OLED:Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイ(マイクロLED、ミニLED)であってもよい。或いは、表示パネルは、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であってもよい。この場合であっても、表示パネルから照射された表示光(光L1)が指Fgで反射された光L2に基づいて、指Fgの指紋や生体に関する情報を検出することができる。
【0019】
図2は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。なお、
図2以下で示す、第1方向Dxは、基板21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基板21の法線方向である。
【0020】
図2に示すように、検出装置1は、アレイ基板2(基板21)と、センサ部10と、走査線駆動回路15(第1走査線駆動回路15A及び第2走査線駆動回路15B)と、信号線選択回路16と、検出回路48と、制御回路102と、電源回路103と、を有する。
【0021】
基板21には、配線基板110を介して制御基板101が電気的に接続される。配線基板110は、例えば、フレキシブルプリント基板やリジット基板である。配線基板110には、検出回路48が設けられている。制御基板101には、制御回路102及び電源回路103が設けられている。制御回路102は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路102は、センサ部10、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給し、センサ部10の動作を制御する。電源回路103は、電源電位VDDや基準電位VCOM(
図4参照)等の電圧信号をセンサ部10、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16に供給する。なお、本実施形態においては、検出回路48が配線基板110に配置される場合を例示したがこれに限られない。検出回路48は、基板21の上に配置されてもよい。
【0022】
基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AA及び周辺領域GAは、基板21と平行な面方向に延在している。検出領域AA内には、センサ部10の各素子(検出素子3)が設けられている。周辺領域GAは、検出領域AAの外側の領域であり、各素子(検出素子3)が設けられない領域である。すなわち、周辺領域GAは、検出領域AAの外周と基板21の外縁部との間の領域である。
【0023】
周辺領域GA内には、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16が設けられる。走査線駆動回路15は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。走査線駆動回路15は、第1走査線駆動回路15A及び第2走査線駆動回路15Bを含む。第1走査線駆動回路15Aと第2走査線駆動回路15Bとは、検出領域AAを挟んで、第1方向Dxに隣り合って配置される。なお、以下の説明では、第1走査線駆動回路15A及び第2走査線駆動回路15Bを区別して説明する必要がない場合には、単に走査線駆動回路15と表す。また、信号線選択回路16は、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と検出回路48との間に設けられる。
【0024】
センサ部10の複数の検出素子3は、それぞれ、センサ素子としてフォトダイオード30を有する光センサである。フォトダイオード30は、光電変換素子であり、それぞれに照射される光に応じた電気信号を出力する。より具体的には、フォトダイオード30は、PIN(Positive Intrinsic Negative)フォトダイオードである。また、フォトダイオード30はOPD(Organic Photo Diode)と言い換えてもよい。検出素子3は、検出領域AAにマトリクス状に配列される。複数の検出素子3が有するフォトダイオード30は、走査線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号(例えば、リセット制御信号RST、読出制御信号RD)に従って検出を行う。複数のフォトダイオード30は、それぞれに照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。検出装置1は、複数のフォトダイオード30からの検出信号Vdetに基づいて生体に関する情報を検出する。
【0025】
図3は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、検出装置1は、さらに検出制御回路11と検出部40と、を有する。検出制御回路11の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路48以外の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。
【0026】
検出制御回路11は、走査線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御回路11は、スタート信号STV、クロック信号CK等の各種制御信号を走査線駆動回路15に供給する。また、検出制御回路11は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。
【0027】
走査線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数の走査線(読出制御走査線GLrd、リセット制御走査線GLrst(
図4参照))を駆動する回路である。例えば、第1走査線駆動回路15A(
図2参照)は、読出制御走査線GLrd及びリセット制御走査線GLrstの一方を走査する。第2走査線駆動回路15B(
図2参照)は、読出制御走査線GLrd及びリセット制御走査線GLrstの他方を走査する。走査線駆動回路15は、複数の走査線を順次又は同時に選択し、選択された走査線にゲート駆動信号(例えば、リセット制御信号RST、読出制御信号RD)を供給する。これにより、走査線駆動回路15は、走査線に接続された複数のフォトダイオード30を選択する。
【0028】
信号線選択回路16は、複数の出力信号線SL(
図4参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、検出制御回路11から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された出力信号線SLと検出回路48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、フォトダイオード30の検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0029】
検出部40は、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、記憶回路46と、検出タイミング制御回路47と、を備える。検出タイミング制御回路47は、検出制御回路11から供給される制御信号に基づいて、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、が同期して動作するように制御する。
【0030】
検出回路48は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE:Analog Front End)である。検出回路48は、少なくとも検出信号増幅回路42及びA/D変換回路43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅回路42は、検出信号Vdetを増幅する回路であり、例えば、積分回路である。A/D変換回路43は、検出信号増幅回路42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0031】
信号処理回路44は、検出回路48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理回路44は、指Fgが検出面に接触又は近接した場合に、検出回路48からの信号に基づいて指Fgや掌の表面の凹凸を検出できる。また、信号処理回路44は、検出回路48からの信号に基づいて生体に関する情報を検出してもよい。生体に関する情報は、例えば、指Fgや掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素飽和度等である。すなわち、検出装置1は、指紋を検出する指紋センサや、静脈等の血管パターンを検出する静脈センサとして構成されてもよい。
【0032】
記憶回路46は、信号処理回路44で演算された信号を一時的に保存する。記憶回路46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0033】
座標抽出回路45は、信号処理回路44において指Fgの接触又は近接が検出されたときに、指Fg等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。また、座標抽出回路45は、指Fgや掌の血管の検出座標を求める論理回路である。座標抽出回路45は、センサ部10の各検出素子3から出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指Fg等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出回路45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。
【0034】
次に、検出装置1の回路構成例について説明する。
図4は、検出素子を示す回路図である。
図4に示すように、検出素子3は、フォトダイオード30、リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfを有する。リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfは、1つのフォトダイオード30に対応して設けられる。リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。ただし、これに限定されず、各トランジスタは、それぞれp型TFTで構成されてもよい。
【0035】
フォトダイオード30のアノードには、基準電位VCOMが印加される。フォトダイオード30のカソードは、ノードN1に接続される。ノードN1は、容量素子Cs、リセットトランジスタMrstのソース又はドレインの一方及びソースフォロワトランジスタMsfのゲートに接続される。さらにノードN1には、寄生容量Cpが存在する。フォトダイオード30に光が入射した場合、フォトダイオード30から出力された信号(電荷)は、容量素子Csに蓄積される。ここで、容量素子Csは、例えば、フォトダイオード30に接続された上部電極34と下部電極35(
図7参照)との間に形成される容量である。寄生容量Cpは、容量素子Csに付加された容量であり、アレイ基板2に設けられた各種配線、電極間に形成される容量である。
【0036】
リセットトランジスタMrstのゲートは、リセット制御走査線GLrstに接続される。リセットトランジスタMrstのソース又はドレインの他方には、リセット信号線SLrstが接続され、リセット電位Vrstが供給される。リセットトランジスタMrstがリセット制御信号RSTに応答してオン(導通状態)になると、ノードN1の電位がリセット電位Vrstにリセットされる。基準電位VCOMは、リセット電位Vrstよりも低い電位を有しており、フォトダイオード30は、逆バイアス駆動される。
【0037】
ソースフォロワトランジスタMsfは、電源電位VDDが供給される端子と読出トランジスタMrd(ノードN2)との間に接続される。ソースフォロワトランジスタMsfのゲートは、ノードN1に接続される。ソースフォロワトランジスタMsfのゲートには、フォトダイオード30で発生した信号(電荷)が供給される。これにより、ソースフォロワトランジスタMsfは、フォトダイオード30で発生した信号(電荷)に応じた電圧信号を読出トランジスタMrdに出力する。
【0038】
読出トランジスタMrdは、ソースフォロワトランジスタMsfのソース(ノードN2)と出力信号線SL(ノードN3)との間に接続される。読出トランジスタMrdのゲートは、読出制御走査線GLrdに接続される。読出トランジスタMrdが読出制御信号RDに応答してオンになると、ソースフォロワトランジスタMsfから出力される信号、すなわち、フォトダイオード30で発生した信号(電荷)に応じた電圧信号が、検出信号Vdetとして出力信号線SLに出力される。
【0039】
なお、
図4に示す例では、リセットトランジスタMrst及び読出トランジスタMrdは、それぞれ、2つのトランジスタが直列に接続されて構成されたいわゆるダブルゲート構造である。ただし、これに限定されず、リセットトランジスタMrst及び読出トランジスタMrdは、シングルゲート構造でもよく、3つ以上のトランジスタが直列に接続されたマルチゲート構造でもよい。また、1つの検出素子3の回路は、リセットトランジスタMrst、ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdの3つのトランジスタを有する構成に限定されない。検出素子3は、2つ、又は、4つ以上のトランジスタを有していてもよい。
【0040】
次に、検出素子3の平面構成について説明する。
図5は、検出素子を構成するアレイ基板を示す平面図である。
図6は、アレイ基板の検出素子を示す平面図である。なお、
図5は、検出素子3の一部、すなわち、フォトダイオード30よりも上側の部材を除いて、模式的に示す平面図である。
図5では、下部電極35及びフォトダイオード30を二点鎖線で示している。
【0041】
図5に示すように、複数のリセット制御走査線GLrstは、それぞれ第1方向Dxに延在し、第2方向Dyに離隔して並んで配置される。複数の出力信号線SLは、それぞれ第2方向Dyに延在し、第1方向Dxに離隔して並んで配置される。検出素子3のフォトダイオード30は、第2方向Dyに隣接する2つのリセット制御走査線GLrstと、第1方向Dxに隣接する2つの出力信号線SLとで囲まれた領域内に設けられる。
【0042】
検出素子3は、さらに読出制御走査線GLrdと、2つの信号線(電源信号線SLsf及びリセット信号線SLrst)とを含む。読出制御走査線GLrdは、第1方向Dxに延在し、リセット制御走査線GLrstと第2方向Dyに並んで配置される。また、電源信号線SLsf及びリセット信号線SLrstは、それぞれ第2方向Dyに延在し、出力信号線SLと第1方向Dxに並んで配置される。
【0043】
図5に示すように、検出素子3のリセットトランジスタMrstは、第1半導体層61と、ソース電極62と、ドレイン電極63と、ゲート電極64と、を有する。第1半導体層61の一端は、リセット信号線SLrstに接続される。第1半導体層61の他端は、接続配線SLcnに接続される。リセット信号線SLrstの、第1半導体層61と接続される部分がソース電極62として機能し、接続配線SLcnの、第1半導体層61と接続される部分がドレイン電極63として機能する。
【0044】
ゲート電極64は、第1半導体層61と対向する。より具体的には、リセット制御走査線GLrstには、第2方向Dyに分岐された2つの分岐部が設けられ、第1半導体層61は、第1方向Dxに延在し、リセット制御走査線GLrstの2つの分岐部と交差する。第1半導体層61の、リセット制御走査線GLrstの2つの分岐部と重なる部分にチャネル領域が形成され、リセット制御走査線GLrstの2つの分岐部の、第1半導体層61と重なる部分が、ゲート電極64として機能する。このように、リセットトランジスタMrstは、2つのゲート電極64が第1半導体層61に重畳して設けられたダブルゲート構造として構成される。
【0045】
検出素子3のソースフォロワトランジスタMsfは、第2半導体層65と、ソース電極67と、ゲート電極68とを有する。第2半導体層65の一端は、接続部SLsfaを介して電源信号線SLsfに接続される。第2半導体層65の他端は、読出トランジスタMrdに接続される。接続部SLsfaの、第2半導体層65と接続される部分がソース電極67として機能する。
【0046】
ゲート電極68の一端は、コンタクトホールを介して接続配線SLcnに接続される。第2半導体層65は、ゲート電極68と交差する。第2半導体層65の、ゲート電極68と交差する部分にチャネル領域が形成される。ソースフォロワトランジスタMsfは、1つのゲート電極68が第2半導体層65に重畳して設けられたシングルゲート構造として構成される。リセットトランジスタMrstは、接続配線SLcnを介して、ソースフォロワトランジスタMsfのゲートに電気的に接続される。
【0047】
接続配線SLcnは、第1方向Dxに隣り合う電源信号線SLsfと出力信号線SLとの間に配置される。接続配線SLcnは、リセットトランジスタMrstに接続されて第1方向Dxに延在する部分と、ソースフォロワトランジスタMsfに接続されて第2方向Dyに延在する部分とを含む。検出素子3のフォトダイオード30のカソード(n型半導体層33)は、コンタクトホールH2を介して、接続配線SLcnに接続される。これにより、フォトダイオード30のカソード(n型半導体層33)は、接続配線SLcnを介して、リセットトランジスタMrst及びソースフォロワトランジスタMsfと電気的に接続される。
【0048】
読出トランジスタMrdは、第2半導体層65と、ドレイン電極72と、ゲート電極74とを有する。読出トランジスタMrdの第2半導体層65は、ソースフォロワトランジスタMsfの第2半導体層65と一体の半導体層で形成される。言い換えると、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfは、共通の第2半導体層65を有する。読出トランジスタMrdの第2半導体層65の他端は、接続部SLaを介して出力信号線SLに接続される。言い換えると、接続部SLaの、第2半導体層65と接続される部分がドレイン電極72として機能する。
【0049】
読出制御走査線GLrdには、第2方向Dyに隣り合い、第1方向Dxに延在する分岐部が接続される。第2半導体層65は、読出制御走査線GLrd及び分岐部と交差する。読出制御走査線GLrd及び分岐部の第2半導体層65と重なる部分が、ゲート電極74として機能する。このように、読出トランジスタMrdは、2つのゲート電極74が第2半導体層65に重畳して設けられたダブルゲート構造として構成される。
【0050】
本実施形態では、第2半導体層65は、出力信号線SLと第1方向Dxに隣り合って配置され、第2半導体層65及び出力信号線SLは、第2方向Dyに延在する。また、読出トランジスタMrdが有する2つのゲート電極74及びソースフォロワトランジスタMsfが有する1つのゲート電極68は、第2半導体層65に重畳して第2方向Dyに配列される。これにより、シングルゲート構造のソースフォロワトランジスタMsfと、ダブルゲート構造の読出トランジスタMrdとが、共通の第2半導体層65を有して構成される。
【0051】
このような構成により、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfをそれぞれ個別の半導体層で形成した場合に比べて、複数のトランジスタ及び配線を効率よく配置することができる。また、本実施形態では、読出トランジスタMrdをダブルゲート構造とすることで、出力信号線SL側へのリーク電流を抑制することができる。
【0052】
図5及び
図6に示すように、フォトダイオード30は、第2方向Dyに隣接する2つのリセット制御走査線GLrstと、第1方向Dxに隣接する2つの出力信号線SLとで囲まれた領域に設けられる。上部電極34及び下部電極35は、第3方向Dzでフォトダイオード30を挟んで対向する。さらに、重畳電極37は、上部電極34に重畳して設けられる。具体的には、フォトダイオード30は、各種配線及び各種トランジスタが設けられたアレイ基板2上に下部電極35を介して配置される。
【0053】
平面視で、下部電極35は、フォトダイオード30及び上部電極34よりも大きい面積を有する。下部電極35は、フォトダイオード30及び上部電極34と重ならない部分で、コンタクトホールH2を介してリセットトランジスタMrst及びソースフォロワトランジスタMsfに電気的に接続される。上部電極34は、フォトダイオード30を覆って設けられる。絶縁膜27に設けられたコンタクトホールH1は、上部電極34のほとんどの領域と重畳して設けられ、上部電極34の周縁部のみで絶縁膜27は上部電極34と重畳する。
【0054】
重畳電極37は、絶縁膜27のコンタクトホールH1を覆って設けられ、コンタクトホールH1と重畳する領域で上部電極34と接続される。接続配線36は、コンタクトホールH1と重畳する領域で重畳電極37と接続される。これにより、フォトダイオード30は、上部電極34、重畳電極37及び接続配線36を介して基準電位供給配線SLcomと電気的に接続される。基準電位供給配線SLcomは、基準電位VCOMをフォトダイオード30に供給する配線であり、出力信号線SLと重畳して第2方向Dyに延在して設けられる。
【0055】
図5及び
図6に示すようにフォトダイオード30及び下部電極35は、各種配線及び各種トランジスタ(リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsf)と重畳して設けられる。また、フォトダイオード30及び下部電極35は、信号線及び走査線の一部(電源信号線SLsf、リセット信号線SLrst及び読出制御走査線GLrd)と重畳して設けられる。検出素子3のセンサ領域SAは、フォトダイオード30が接続される下部電極35で規定され、センサ領域SAの面積を大きくすることで、検出装置1は、光感度(センサ出力)を向上させることができる。
【0056】
次に、検出素子3の断面構成について説明する。
図7は、
図5のVII-VII’断面図である。なお、
図7では、検出素子3が有する3つのトランジスタのうち、リセットトランジスタMrstの断面構成を示しているが、ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdの断面構成もリセットトランジスタMrstと同様である。
【0057】
図7に示すように、基板21は絶縁基板である。基板21は、例えば、石英、無アルカリガラス等のガラス基板が用いられる。基板21は、第1主面S1と、第1主面S1と反対側の第2主面S2とを有する。基板21の第1主面S1に、リセットトランジスタMrstを含む各種トランジスタ、各種配線(走査線及び信号線)及び絶縁膜が設けられてアレイ基板2が形成される。フォトダイオード30は、アレイ基板2の上、すなわち、基板21の第1主面S1側に配列される。
【0058】
アンダーコート膜22は、基板21の第1主面S1上に設けられる。アンダーコート膜22、絶縁膜23、24、25及び絶縁膜27、28は、無機絶縁膜であり、例えば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)等である。
【0059】
第1半導体層61は、アンダーコート膜22の上に設けられる。第1半導体層61は、例えば、ポリシリコンが用いられる。ただし、第1半導体層61は、これに限定されず、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicone)等であってもよい。
【0060】
絶縁膜23は、第1半導体層61を覆ってアンダーコート膜22の上に設けられる。ゲート電極64は、絶縁膜23の上に設けられる。なお、ソースフォロワトランジスタMsfのゲート電極68も、ゲート電極64と同層に、絶縁膜23の上に設けられる。また、リセット制御走査線GLrst及び読出制御走査線GLrdもゲート電極64と同層に設けられる。絶縁膜24は、ゲート電極64を覆って絶縁膜23の上に設けられる。
【0061】
図7に示すように、リセットトランジスタMrstは、ゲート電極64が第1半導体層61の上側に設けられたトップゲート構造である。しかし、本開示の検出装置1において、ゲート電極64が第1半導体層61の下側に設けられたボトムゲート構造でもよく、ゲート電極64が第1半導体層61の上側及び下側に設けられたデュアルゲート構造でもよい。
【0062】
絶縁膜24及び絶縁膜25は、ゲート電極64を覆って絶縁膜23の上に設けられる。ソース電極62及びドレイン電極63は、絶縁膜25の上に設けられる。絶縁膜24、25は、ゲート電極64と、ソース電極62及びドレイン電極63との間を絶縁する第1層間絶縁膜である。ソース電極62及びドレイン電極63は、それぞれ、絶縁膜23、24、25を貫通するコンタクトホールを介して第1半導体層61と接続される。ソース電極62及びドレイン電極63は、例えば、チタンとアルミニウムとの積層構造であるTiAlTi又はTiAlの積層膜で構成されている。
【0063】
また、各種信号線(出力信号線SL、電源信号線SLsf及びリセット信号線SLrst)及び接続配線SLcnは、ソース電極62及びドレイン電極63と同層に設けられる。検出素子3の接続配線SLcnは、絶縁膜24、25を貫通するコンタクトホールを介してソースフォロワトランジスタMsfのゲート電極68に接続される。
【0064】
図7に示すように、絶縁膜26は、リセットトランジスタMrst等の複数の各種トランジスタを覆って絶縁膜25の上に設けられる。絶縁膜26は、感光性アクリル等の有機材料からなる。絶縁膜26は、絶縁膜25よりも厚い。絶縁膜26は、無機絶縁材料に比べ、段差のカバレッジ性が良好であり、各種トランジスタ及び各種配線で形成される段差を平坦化することができる。
【0065】
次に、フォトダイオード30の断面構成について説明する。フォトダイオード30は、絶縁膜26の上に設けられる。具体的には、下部電極35は、絶縁膜26の上に設けられ、コンタクトホールH2を介して接続配線SLcnに電気的に接続される。フォトダイオード30は、下部電極35に接続される。下部電極35は、例えば、チタン(Ti)及び窒化チタン(TiN)の積層構造を採用することができる。下部電極35は、基板21と、フォトダイオード30との間に設けられので、下部電極35は、遮光層として機能し、フォトダイオード30への基板21の第2主面S2側からの光の侵入を抑制できる。
【0066】
フォトダイオード30は、光起電力効果を有する半導体層を含み構成される。具体的には、フォトダイオード30の半導体層は、i型半導体層31、p型半導体層32及びn型半導体層33を含む。i型半導体層31、p型半導体層32及びn型半導体層33は、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)である。なお、半導体層の材料は、これに限定されず、ポリシリコン、微結晶シリコン等であってもよい。
【0067】
p型半導体層32は、a-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。n型半導体層33は、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。i型半導体層31は、例えば、ノンドープの真性半導体であり、p型半導体層32及びn型半導体層33よりも低い導電性を有する。
【0068】
基板21の表面に垂直な方向(第3方向Dz)において、i型半導体層31は、n型半導体層33とp型半導体層32との間に設けられる。本実施形態では、下部電極35の上に、n型半導体層33、i型半導体層31、p型半導体層32の順に積層されている。また、本実施形態では、上部電極34がフォトダイオード30のアノード電極であり、下部電極35がフォトダイオード30のカソード電極である。なお、n型半導体層33、i型半導体層31及びp型半導体層32の積層の順番は逆であってもよい。
【0069】
検出素子3のフォトダイオード30のn型半導体層33は、下部電極35及び接続配線SLcnを介してリセットトランジスタMrst及びソースフォロワトランジスタMsfに電気的に接続される。
【0070】
上部電極34は、p型半導体層32の上に設けられる。上部電極34は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料である。絶縁膜27は、フォトダイオード30及び上部電極34を覆って絶縁膜26の上に設けられる。絶縁膜27には上部電極34と重なる領域にコンタクトホールH1(開口)が設けられる。
【0071】
重畳電極37は、上部電極34の上に設けられ、コンタクトホールH1の底部で上部電極34と接続される。重畳電極37は、上部電極34と同じ材料が用いられ、例えばITO等の透光性を有する導電材料である。重畳電極37は、コンタクトホールH1の内壁及び絶縁膜27の上面に沿って設けられ、上部電極34と絶縁膜27との境界部分を覆う。接続配線36は、コンタクトホールH1と重畳する領域で重畳電極37と接続される。これにより、フォトダイオード30は、上部電極34、重畳電極37及び接続配線36を介して基準電位供給配線SLcomと電気的に接続される。p型半導体層32には、接続配線36、重畳電極37及び上部電極34を介して基準電位VCOM(
図4参照)が供給される。
【0072】
図6に示すように、重畳電極37は、コンタクトホールH1の全領域を覆って設けられる。言い換えると、コンタクトホールH1の内壁は、重畳電極37の外周よりも内側に位置する。本実施形態では、重畳電極37は、フォトダイオード30の保護膜として機能し、フォトダイオード30側への水分等の侵入を抑制することができる。また、検出装置1Bの製造工程において、フォトダイオード30よりも上側の層(例えば、接続配線36及び基準電位供給配線SLcom)をパターニングする場合に、重畳電極37が保護膜として機能し、フォトダイオード30の損傷が発生することを抑制できる。例えば、重畳電極37が、上部電極34と絶縁膜27との界面を覆って設けられているので、エッチャントが、界面からフォトダイオード30側に侵入することを抑制できる。ただし、フォトダイオード30の重畳電極37は形成されないこともあり得る。この場合、上部電極34に接続配線36が直接接触する構造となる。重畳電極37をフォトダイオード30に形成しないことにより、重畳電極37と上部電極34とが重なる構造に比べフォトダイオード30の検出精度を向上させることができる。
【0073】
図7に示すように、絶縁膜28は、上部電極34、重畳電極37及び接続配線36を覆って絶縁膜27の上に設けられる。絶縁膜28は、フォトダイオード30への水分の侵入を抑制する保護層として設けられる。さらに、絶縁膜29は、絶縁膜28の上に設けられる。絶縁膜29は、有機材料で形成されたハードコート膜である。絶縁膜29は、フォトダイオード30や接続配線36で形成された絶縁膜28の表面の段差を平坦化する。
【0074】
カバー部材122は、アレイ基板2と対向して設けられる。つまり、カバー部材122は、各種トランジスタ及びフォトダイオード30を覆って設けられる。より詳細には、接着層125は、アレイ基板2の絶縁膜29と、カバー部材122とを接着する。接着層125は、例えば、透光性の光学粘着シート(OCA:Optical Clear Adhesive)である。
【0075】
以上のように、本実施形態では、絶縁膜26は、リセットトランジスタMrst等の複数のトランジスタを覆って設けられ、絶縁膜26の上に下部電極35、フォトダイオード30、上部電極34の順に積層される。下部電極35、フォトダイオード30、上部電極34は、各トランジスタ、各信号線及び各走査線とは異なる層に設けられるので、上述したように、フォトダイオード30及び下部電極35の配置の自由度を向上させることができる。
【0076】
次に、アレイ基板2と配線基板110とを電気的に接続する端子部Tについて説明する。
図8は、第1実施形態に係る検出装置の端子部の構成を模式的に示す平面図である。
図8に示すように、端子部Tは、複数の第1端子81と、複数の第2端子82とを有する。複数の第1端子81は、基板21の周辺領域GAで、第1方向Dxに配列される。複数の第1端子81は、それぞれ第2方向Dyに延在し、第2方向Dyの端部が第1コンタクト部CN1を介して信号線接続配線85に接続される。信号線接続配線85は、それぞれ第2方向Dyに延在し、信号線選択回路16(
図2参照)を介して検出領域AAの出力信号線SLに電気的に接続される。複数の第1端子81は、検出領域AAの複数のフォトダイオード30からの検出信号Vdetを外部回路に出力する。また、信号線接続配線85は必ずしも第1端子81の端部で接続される必要はなく、第1端子81の中央部など、第1端子81と信号線接続配線85が接続される箇所は第1端子81の端部に限られるものではない。すなわち、第1コンタクト部CN1の位置は、第1端子81の端部に限られるものではない。
【0077】
複数の第2端子82は、複数の第1端子81を挟んで、第1方向Dxに配列される。すなわち、第1方向Dxで、複数の第2端子82、複数の第1端子81、複数の第2端子82の順に配列される。複数の第2端子82の第2方向Dyの端部は、第2コンタクト部CN2を介して駆動回路接続配線86に接続される。駆動回路接続配線86は、周辺領域GAを引き回されて、走査線駆動回路15に電気的に接続される。また、上述の第1コンタクト部CN1の形成の位置同様に、第2コンタクト部CN2の形成される位置は、第2端子82の端部に限るものではない。
【0078】
例えば、
図8の左側に配列された複数の第2端子82は、第1走査線駆動回路15A(
図2参照)に電気的に接続され、第1走査線駆動回路15Aに各種走査信号や制御信号を供給する。また、
図8の右側に配列された複数の第2端子82は、第2走査線駆動回路15B(
図2参照)に電気的に接続され、第2走査線駆動回路15Bに各種走査信号や制御信号を供給する。また、複数の第2端子82は、検出領域AAの各信号線に直接的又は間接的に接続されて、リセット電位Vrstや電源電位VDDを供給する端子も含む。
【0079】
複数の第1端子81及び複数の第2端子82は、異方性導電フィルム112(ACF、Anisotropic Conductive Film)を介して、配線基板110の配線基板端子111(
図12参照)とそれぞれ電気的に接続される。
【0080】
第1方向Dxに隣り合う複数の第2端子82の間にダミー端子領域83が設けられる。ダミー端子領域83は、金属層が設けられない領域であり、配線基板110の配線基板端子111(
図12参照)と非接続となる領域である。
【0081】
また、複数の第1端子81及び複数の第2端子82の、第2方向Dyに対する傾きは、第1方向Dxの中央部で小さく、第1方向Dxの基板21の外周側に近づくにしたがって大きくなっている。ただし、これに限定されず、複数の第1端子81及び複数の第2端子82は、平行に配置されていてもよい。また、
図8は、あくまで模式的に示したものであり、複数の第1端子81及び複数の第2端子82の数、形状、及び、配置ピッチ等は、適宜変更してもよい。
【0082】
本実施形態は、異方性導電フィルム112を用いて複数の第1端子81及び複数の第2端子82に配線基板110が実装された、いわゆるFOG(Film On Glass)実装である。ただし、これに限定されず、本実施形態は、IC(Integrated Circuit)が複数の第1端子81及び複数の第2端子82に実装された、いわゆるCOG(Chip On Glass)実装にも適用できる。
【0083】
次に、第1端子81の詳細な構成について説明する。なお、以下の説明で、第1端子81についての説明は第2端子82にも適用できる。
図9は、第1端子を拡大して示す平面図である。
図10は、
図9のX-X’断面図である。
【0084】
図9に示すように、第1端子81は、第1金属層ML1、第2金属層ML2、第3金属層ML3及び第1透光性導電層CL1を有する。第1金属層ML1、第2金属層ML2、第3金属層ML3及び第1透光性導電層CL1は、平面視で矩形状であり、互いに重畳して設けられる。
【0085】
第1金属層ML1は、信号線接続配線85と同層に設けられ、第2方向Dyの端部で信号線接続配線85と接続される。また、第1金属層ML1は、第1コンタクト部CN1を介して第2金属層ML2と電気的に接続される。第3金属層ML3及び第1透光性導電層CL1は、第2金属層ML2の上にこの順で積層される。
【0086】
図10に示すように、アレイ基板2のアンダーコート膜22、絶縁膜23、24、25は、検出領域AAから、第1端子81が設けられた周辺領域GAまで連続して形成される。第1金属層ML1は、絶縁膜23の上に設けられる。すなわち、第1金属層ML1は、検出領域AAに設けられたゲート電極64(
図7参照)及び各走査線(リセット制御走査線GLrst、読出制御走査線GLrd)と同層であり、ゲート電極64及び各走査線と同じ材料で形成される。
【0087】
第2金属層ML2は、絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)を介して第1金属層ML1の上に積層される。すなわち、第2金属層ML2は、検出領域AAに設けられた出力信号線SLやリセット信号線SLrst(
図7参照)等の各種信号線と同層であり、各種信号線と同じ材料で形成される。
【0088】
第3金属層ML3は、第2金属層ML2の上に接して積層される。第3金属層ML3は、下部電極35(
図7参照)と同層であり、下部電極35と同じ材料で形成される。なお、
図7に示す絶縁膜26は、周辺領域GAの少なくとも端子部Tと重畳する領域には設けられず、第3金属層ML3は、絶縁膜26を介さずに第2金属層ML2の上に直接接する。
【0089】
第1透光性導電層CL1は、第3金属層ML3の上に接して積層される。第1透光性導電層CL1は、重畳電極37(
図7参照)と同層であり、重畳電極37と同じ材料、例えばITOで形成される。
【0090】
絶縁膜28は、第1端子81の第1透光性導電層CL1を覆って絶縁膜25の上に設けられる。絶縁膜28には、第1端子81のそれぞれと重畳する領域に第1透光性導電層CL1を露出する開口OPが設けられる。言い換えると、絶縁膜28は、第1透光性導電層CL1の周縁を覆って設けられ、開口OPは周縁の内側に形成される。第1透光性導電層CL1は、少なくとも開口OPと重畳する領域に設けられる。また、絶縁膜28は、第1方向Dxに隣り合う第1端子81の間に設けられ、第1端子81間を絶縁する。なお、第1透光性導電層CL1は、重畳電極37(
図7参照)と同層である場合に限定されず、上部電極34と同層であってもよい。この場合、絶縁膜28に替えて、絶縁膜27が設けられていてもよい。
【0091】
第1金属層ML1の第1方向Dxでの幅W1は、開口OPの第1方向Dxでの幅W2と等しい。また、第2金属層ML2の第1方向Dxでの幅は、幅W1及び幅W2よりも大きい。第3金属層ML3の第1方向Dxでの幅は、第2金属層ML2の第1方向Dxでの幅よりも大きい。第1透光性導電層CL1の第1方向Dxでの幅は、第3金属層ML3の第1方向Dxでの幅よりも小さい。
【0092】
図11は、
図9のXI-XI’断面図である。
図11に示すように、第1金属層ML1の第2方向Dyでの幅は、開口OPの第2方向Dyでの幅よりも長く形成される。第1コンタクト部CN1は、開口OPに対して第2方向Dy側(検出領域AA側)に設けられ、絶縁膜24、25を貫通する。第1金属層ML1は、第1コンタクト部CN1を介して第2金属層ML2と接続される。なお、
図11では、3つの第1コンタクト部CN1が第2方向Dyに配列されている。
【0093】
図12は、第1実施形態に係るアレイ基板と配線基板との接合の構造例を示す断面図である。
図12に示すように、配線基板110の配線基板端子111は、異方性導電フィルム112を介して第1端子81と対向する。異方性導電フィルム112は、樹脂層113と、樹脂層113に分散された多数の導電粒子114とを有し、絶縁膜28上であって、複数の第1端子81を覆って設けられる。異方性導電フィルム112は、開口OPを形成する絶縁膜28の側面と、開口OPに重畳する第1透光性導電層CL1に、直接接触する。配線基板110が圧着されることで、配線基板端子111と第1透光性導電層CL1とが、導電粒子114により電気的に接続される。
【0094】
このように、第1端子81の第1金属層ML1、第2金属層ML2、第3金属層ML3及び第1透光性導電層CL1は、検出領域AAの各フォトダイオード30及び各トランジスタを構成する金属層及び透光性導電層と同じ層で形成される。これにより、複数の第1端子81は、検出領域AAの製造工程と同一工程で形成することができるので、検出装置1の製造工程の増大を抑制して、製造コストを低減できる。
【0095】
また、第1透光性導電層CL1は、第2金属層ML2及び第3金属層ML3を覆って設けられる。第1透光性導電層CL1は、保護層として機能し、第2金属層ML2及び第3金属層ML3の腐食等を抑制することができる。また、配線基板110と第1端子81との間の、実効的な接続領域は、絶縁膜28に設けられた開口OPの面積で規定される。本実施形態では、第1透光性導電層CL1の上に絶縁膜28が設けられているので、開口OPにおける第1透光性導電層CL1と異方性導電フィルム112との接触面積を広く確保したうえで、隣り合う第1端子81もしくは隣り合う第2端子82における第1透光性導電層CL1のショートを避けながらも第1透光性導電層CL1を大きく形成することができる。さらには後述するように、開口OPを第1金属層ML1のほとんどの面積を占めるように大きく形成することができる。これにより、配線基板110と第1端子81との接続信頼性を確保することができる。
【0096】
また、第1金属層ML1が開口OPと重畳して設けられ、幅W1と幅W2が同じ大きさで形成されているので、開口OPと重畳する領域での第1透光性導電層CL1の平坦性を向上させることができる。また、第1金属層ML1の表面(基板21側の面)の状態を観察することで、第1端子81と配線基板110との接続状態(異方性導電フィルム112の圧着状態)を良好に確認することができる。
【0097】
次に、ダミー端子領域83の構成について説明する。
図13は、
図8のXIII-XIII’断面図である。
図13に示すように、隣り合う第2端子82の間のダミー端子領域83及び隣り合う第1端子81と第2端子82との間のダミー端子領域83で、絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)と絶縁膜28との間に絶縁膜27(第2層間絶縁膜)が設けられている。
【0098】
これにより、絶縁膜27が設けられない場合に比べて、第1端子81及び第2端子82の第1透光性導電層CL1の高さ位置と、ダミー端子領域83の絶縁膜28の高さ位置との差を小さくすることができる。これにより、配線基板110の実装の際に、第1端子81及び第2端子82と、ダミー端子領域83とに加えられる力の差を抑制することができ、実装の安定性を向上させることができる。また、ダミー端子領域83の高さ調整構造として、絶縁膜27(第2層間絶縁膜)に換えて金属層を設けた場合に比べて、ダミー端子領域83の金属層と、第2端子82の各金属層との間に意図しない電界が形成されることを抑制できる。この結果、高温多湿環境下での、第2端子82の電界腐食が発生する可能性を抑制することができる。
【0099】
なお、「高さ位置」とは、第3方向Dzでの、基板21の第1主面S1(
図7参照)と、第1端子81及び第2端子82の第1透光性導電層CL1の表面との間の距離である。あるいは、第3方向Dzでの、基板21の第1主面S1(
図7参照)と、ダミー端子領域83の絶縁膜28の表面との間の距離である。
【0100】
なお、
図13では、隣り合う第1端子81と第2端子82との間のダミー端子領域83(左側のダミー端子領域83)の幅に比べて、隣り合う第2端子82の間のダミー端子領域83(右側のダミー端子領域83)の幅は大きい。ダミー端子領域83は、1つの第1端子81(又は第2端子82)の幅で形成されていてもよいし、2つ以上の第1端子81(又は第2端子82)の幅で形成されていてもよい。
【0101】
(第2実施形態)
図14は、第2実施形態に係る第1端子を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0102】
第2実施形態の検出装置1Aでは、上述した第1実施形態に比べて、第1端子81Aの、第1透光性導電層CL1と絶縁膜28との積層の順番が異なる構成について説明する。具体的には、
図14に示すように、絶縁膜28は、第3金属層ML3を覆って絶縁膜25の上に設けられる。絶縁膜28には、第3金属層ML3と重なる領域に開口OPが設けられる。
【0103】
第1透光性導電層CL1は、絶縁膜28及び開口OPを覆って設けられ、開口OPと重畳する領域で、第3金属層ML3の上に接して積層される。また、第1透光性導電層CL1は、開口OPの周囲の絶縁膜28の縁部を覆って設けられる。
【0104】
本実施形態では、第1透光性導電層CL1は絶縁膜28と第3金属層ML3との境界部分を覆って設けられるので、境界部分から第3金属層ML3及び第2金属層ML2側への水分等の侵入を抑制することができる。この場合であっても、開口OPの外側の絶縁膜28上に設けられた第1透光性導電層CL1は、導電粒子114(
図12参照)と電気的に接続される。開口OPの外側の領域に設けられた第1透光性導電層CL1も、補助的な接続領域として利用でき、異方性導電フィルム112と第1透光性導電層CL1との接触面積を大きくすることができる。これにより、第2実施形態においても第1端子81と配線基板110との接続抵抗の増大を抑制することができる。
【0105】
(第3実施形態)
図15は、第3実施形態に係る第1端子を模式的に示す断面図である。第3実施形態の検出装置1Bでは、上述した第1実施形態及び第2実施形態に比べて、第1端子81Bが第2透光性導電層CL2を有する構成について説明する。
【0106】
具体的には、
図15に示すように、第2透光性導電層CL2は、第1透光性導電層CL1の上に接して積層される。絶縁膜28は、第2透光性導電層CL2を覆って絶縁膜25の上に設けられる。絶縁膜28の、第2透光性導電層CL2と重畳する領域に開口OPが設けられる。すなわち、第1透光性導電層CL1及び第2透光性導電層CL2は、少なくとも開口OPと重畳する領域に設けられる。第2透光性導電層CL2の第1方向Dxでの幅は、第1透光性導電層CL1の第1方向Dxでの幅と等しい。第1透光性導電層CL1及び第2透光性導電層CL2の第1方向Dxでの幅は、幅W1及び幅W2よりも大きい。なお、これに限定されず、第2透光性導電層CL2は、第1透光性導電層CL1と異なる幅であってもよい。
【0107】
第1透光性導電層CL1は、上部電極34(
図7参照)と同層であり、上部電極34と同じ材料で形成される。第2透光性導電層CL2は、重畳電極37(
図7参照)と同層であり、重畳電極37と同じ材料で形成される。
【0108】
本実施形態では、第2透光性導電層CL2が第1透光性導電層CL1の上に積層されているので、上述した第1実施形態及び第2実施形態に比べて第1端子81Bのコンタクト抵抗を抑制することができる。また、本実施形態では、第1透光性導電層CL1及び第2透光性導電層CL2により、第2金属層ML2及び第3金属層ML3を保護することができる。
【0109】
なお、本実施形態は、上述した第2実施形態と組み合わせることができる。すなわち、
図14において、第1透光性導電層CL1の上に第2透光性導電層CL2が積層されていてもよい。つまり、第1透光性導電層CL1及び第2透光性導電層CL2は、開口OPを覆って設けられ、かつ、開口OPの周囲の絶縁膜28の縁部を覆って設けられていてもよい。あるいは、第1透光性導電層CL1、絶縁膜28、第2透光性導電層CL2の順に積層されていてもよい。
【0110】
(第4実施形態)
図16は、第4実施形態に係る検出装置の端子部の構成を模式的に示す平面図である。第3実施形態の検出装置1Cでは、上述した第1実施形態から第3実施形態に比べて、端子部TAが外縁配線87、88を有する構成について説明する。
【0111】
図16に示すように、外縁配線87は、複数の第1端子81のそれぞれに電気的に接続され、複数の第1端子81と基板21の外周21eとの間で第2方向Dyに延在する。外縁配線88は、複数の第2端子82のそれぞれに電気的に接続され、複数の第2端子82と基板21の外周21eとの間で第2方向Dyに延在する。外縁配線87、88の端部は、基板21の外周21eと重なる。
【0112】
外縁配線87、88は、基板21の外形カット前に、外周21eよりも外側の領域で電気的に接続され、複数の第1端子81及び複数の第2端子82を短絡する。外縁配線87、88は、ESD(Electro-Static Discharge)対策のために設けられた、いわゆるショートリングである。外形カット後の基板21では、外縁配線87、88の外周21e側の端部は、隣り合う他の外縁配線87、88や、他の第1端子81及び第2端子82と非接続である。
【0113】
なお、
図16では、複数の第1端子81及び複数の第2端子82に、それぞれ外縁配線87、88が接続されている。ただし、これに限定されず、少なくとも複数の第2端子82に外縁配線88が接続されていればよく、複数の第1端子81に外縁配線87が接続されていなくてもよい。
【0114】
図17は、第4実施形態に係る第1端子を拡大して示す平面図である。
図18は、
図17のXVIII-XVIII’断面図である。
図17及び
図18では、第1端子81及び外縁配線87の構成について説明するが、第1端子81及び外縁配線87についての説明は、第2端子82及び外縁配線88にも適用できる。
【0115】
図17に示すように、外縁配線87は、信号線接続配線85及び開口OPと第2方向Dyに隣り合って配置され、第1金属層ML1(信号線接続配線85)及び開口OPと非重畳である。外縁配線87の第2方向Dyの端部側は、第2金属層ML2の一部と重畳して設けられ、第3コンタクト部CN3を介して第2金属層ML2と電気的に接続される。外縁配線87は、例えば半導体層PSで形成され、第1金属層ML1から第3金属層ML3及び第1透光性導電層CL1とは異なる材料で形成される。外縁配線87は、第1金属層ML1から第3金属層ML3よりも高抵抗の材料で形成される。
【0116】
図18に示すように、外縁配線87は、アンダーコート膜22の上に設けられる。すなわち、外縁配線87は、第1半導体層61(
図7参照)と同層であり、第1半導体層61(
図7参照)と同じ材料で形成される。
【0117】
第1金属層ML1は、開口OPと重畳する領域に設けられ、第2方向Dyで、開口OPと基板21の外周21eとの間の領域には設けられていない。外縁配線87は、第1金属層ML1及び開口OPの第2方向Dyでの端部と、基板21の外周21eとの間の領域に設けられる。
【0118】
第2金属層ML2、第3金属層ML3及び第1透光性導電層CL1は、開口OPと重畳する領域から、基板21の外周21e側まで延在して設けられる。第3コンタクト部CN3は、絶縁膜23、24、25を貫通して設けられる。第2金属層ML2は、第3コンタクト部CN3を介して外縁配線87と接続される。
【0119】
図19は、複数の第1端子、複数の第2端子、外縁配線及び各絶縁膜の配置関係を説明するための説明図である。
図20は、
図19のXX-XX’断面図である。なお、
図19及び
図20では、図面を見やすくするために、模式的に2つの第1端子81及び2つの第2端子82に接続された外縁配線87、88を示している。
【0120】
図19に示すように、絶縁膜23及び絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)は、複数の第1端子81及び複数の第2端子82と重畳する領域に設けられ、かつ、複数の第1端子81及び複数の第2端子82と、基板21の外周21eとの間の領域にも設けられる。
【0121】
複数の第1端子81及び複数の第2端子82と、基板21の外周21eとの間の領域で、絶縁膜23及び絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)は、外縁配線87、88のそれぞれを覆って第2方向Dyに延在する。また、第1方向Dxに隣り合う外縁配線87、88の間の領域で、絶縁膜23及び絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)が除去されて、切り欠き部NTが形成される。
【0122】
絶縁膜28は、複数の第1端子81及び複数の第2端子82を覆って設けられ、かつ、切り欠き部NTの一部を覆う。より具体的には、絶縁膜28は、切り欠き部NTの、複数の第1端子81及び複数の第2端子82に近い位置の段差部を覆って設けられる。
【0123】
図20に示すように、複数の第1端子81に接続された外縁配線87と、外縁配線87を覆う絶縁膜23及び絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)とが積層されて複数の凸部89が形成される。複数の第2端子82に接続された外縁配線88と、外縁配線88を覆う絶縁膜23及び絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)とが積層されて複数の凸部90が形成される。複数の凸部89、90は第1方向Dxに配列される。隣り合う複数の凸部89、90の間の切り欠き部NTでは、絶縁膜23及び絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)が設けられず、アンダーコート膜22が表面に位置する。
【0124】
複数の凸部89、90が設けられることにより、配線基板110が複数の第1端子81及び複数の第2端子82に接続された場合に、異方性導電フィルム112の樹脂層113(
図12参照)が複数の凸部89、90を覆うように設けられる。これにより、絶縁膜23及び絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)が平坦に設けられた構成に比べて、複数の第1端子81及び複数の第2端子82と、基板21の外周21eとの間の領域で、異方性導電フィルム112の樹脂層113と、複数の凸部89、90との接触面積が増大する。この結果、本実施形態では、複数の第1端子81及び複数の第2端子82と、配線基板110との接続強度を向上させることができる。
【0125】
図21は、第4実施形態の変形例4に係る複数の第1端子、複数の第2端子、外縁配線及び各絶縁膜の配置関係を説明するための説明図である。
図22は、
図21のXXII-XXII’断面図である。第4実施形態の変形例4に係る検出装置1Dでは、第1端子81に外縁配線87が設けられていない構成について説明する。
【0126】
図21に示すように、絶縁膜23及び絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)は、第1端子81と、基板21の外周21eとの間に設けられる。絶縁膜23及び絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)には、上述した第4実施形態と同様に切り欠き部NTが設けられる。これにより、凸部89A(第1凸部)は、第1端子81と基板21の外周21eとの間の領域に設けられ、第2方向Dyに延在する。また、凸部90(第2凸部)は、第2端子82と基板21の外周21eとの間の領域に設けられ、第2方向Dyに延在する。
【0127】
図22に示すように、凸部89A(第1凸部)は、外縁配線87を有さず、絶縁膜23及び絶縁膜24、25(第1層間絶縁膜)が積層されて形成される。また、凸部90(第2凸部)は、外縁配線88と、外縁配線88を覆う絶縁膜23及び絶縁膜24、25とが積層されて形成される。複数の凸部89A(第1凸部)及び複数の凸部90(第2凸部)は、第1方向Dxに配列される。
【0128】
変形例4では、第1端子81に外縁配線87が非接続の場合であっても、第1端子81のそれぞれに対応して、凸部89A(第1凸部)が設けられる。これにより、変形例4においても、第1端子81に外縁配線87が接続された第4実施形態の構成と同様に、複数の第1端子81及び複数の第2端子82と、配線基板110との接続強度を向上させることができる。
【0129】
図23は、第4実施形態の変形例5に係る複数の第1端子、複数の第2端子、外縁配線及び各絶縁膜の配置関係を説明するための説明図である。
図24は、
図23のXXIV-XXIV’断面図である。第4実施形態の変形例5に係る検出装置1Eでは、複数の第1端子81及び複数の第2端子82と、基板21の外周21eとの間の領域で、1つの連続した凸部91が設けられる構成について説明する。
【0130】
図23及び
図24に示すように、凸部91は、複数の外縁配線88と、複数の外縁配線88を覆う絶縁膜23及び絶縁膜24、25とが積層されて形成される。凸部91は、複数の第1端子81及び複数の第2端子82と隣り合って第1方向Dxに延在する。また、絶縁膜23及び絶縁膜24、25には、第1方向Dxで凸部91と隣り合う切り欠き部NTが設けられる。
【0131】
図23に示すように、絶縁膜28は、複数の第1端子81及び複数の第2端子82を覆うとともに、切り欠き部NTとは非重畳に設けられる。
【0132】
変形例5では、上述した第4実施形態及び変形例4に比べて、複数の外縁配線88の間に切り欠き部NTが設けられていないので、隣り合う複数の外縁配線88の間の絶縁を確保できる。なお、変形例5では、第1端子81に外縁配線87が接続されておらず、複数の第1端子81と基板21の外周21eとの間の領域に凸部91が設けられる。ただし、これに限定されず、第1端子81に外縁配線87が接続されていてもよく、この場合、1つの凸部91は、複数の外縁配線87及び複数の外縁配線88を覆って設けられる。
【0133】
なお、第4実施形態、変形例4及び変形例5の構成は、上述した第1実施形態から第3実施形態と組み合わせることができる。
【0134】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0135】
1、1A、1B、1C、1D、1E 検出装置
2 アレイ基板
3 検出素子
5 センサ基板、
10 センサ部
15 走査線駆動回路
21 基板
30 フォトダイオード
34 上部電極
35 下部電極
37 重畳電極
AA 検出領域
GA 周辺領域
GLrst リセット制御走査線
GLrd 読出制御走査線
SA センサ領域
SL 出力信号線
81 第1端子
82 第2端子
83 ダミー端子領域
85 信号線接続配線
86 駆動回路接続配線
87、88 外縁配線
89、89A、90、91 凸部
110 配線基板
112 異方性導電フィルム
CN1 第1コンタクト部
CN2 第2コンタクト部
CN3 第3コンタクト部
CL1 第1透光性導電層
CL2 第2透光性導電層
ML1 第1金属層
ML2 第2金属層
ML3 第3金属層