(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】アクチュエータ、および触覚デバイス
(51)【国際特許分類】
H02K 33/00 20060101AFI20240730BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H02K33/00 B
B06B1/04 S
(21)【出願番号】P 2020123542
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】北原 裕士
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-168351(JP,A)
【文献】特開2018-169559(JP,A)
【文献】特開昭54-034014(JP,A)
【文献】実開平02-122245(JP,U)
【文献】特開2017-221009(JP,A)
【文献】特開2019-126757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B1/00-3/04
G02B26/10-26/12
H02K33/00-33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体と、
前記可動体の中心軸線周りに前記可動体を回転可能に支持する支持体と、
前記可動体および前記支持体の一方に保持されたコイル、および他方に保持された磁石を備え、前記可動体を前記中心軸線周りの180°未満の角度範囲で回転駆動する磁気駆動機構と、
前記磁気駆動機構による駆動を休止した際に前記可動体を前記角度範囲内に停止させる休止位置規定手段と、
を有
し、
前記休止位置規定手段は、前記可動体および前記支持体に接続された粘弾性部材を含み、
前記可動体は、前記粘弾性部材を介して前記支持体に回転可能に支持されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチュエータにおいて、
前記磁気駆動機構による駆動を休止した際に、前記休止位置規定手段が前記可動体を停止させる位置は、前記角度範囲の中心であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
請求項
1または2に記載のアクチュエータにおいて、
前記可動体および前記支持体のうちの一方は、前記中心軸線を中心とする円周面を備え、
前記可動体および前記支持体のうちの他方は、前記円周面を囲む円周壁を備え、
前記粘弾性部材は、前記円周面と前記円周壁との間に設けられた円筒状の部材であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
請求項
3に記載のアクチュエータにおいて、
前記可動体および前記支持体のうちの一方は、前記中心軸線に沿って延在する軸部を備え、
前記軸部の外周面が前記円周面であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
請求項
1から4までの何れか一項に記載のアクチュエータにおいて、
前記粘弾性部材は、ゲル状部材であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項6】
請求項
5に記載のアクチュエータにおいて、
前記粘弾性部材は、前記可動体および前記支持体の双方に接合されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項7】
請求項1から
6までの何れか一項に記載のアクチュエータにおいて、
前記コイルは、前記中心軸線を中心とする周方向の偶数箇所に前記中心軸線に沿って延在する有効部分を備え、
前記磁石は、前記偶数箇所の各々で前記有効部分に前記中心軸線を中心とする径方向で対向する磁極を備えていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項8】
請求項1から
6までの何れか一項に記載のアクチュエータにおいて、
前記コイルは、前記中心軸線を中心とする周方向の偶数箇所で前記中心軸線を中心とする径方向に突出した突極に巻回され、
前記磁石は、前記突極に径方向で対向していることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項9】
請求項1から
8までの何れか一項に記載のアクチュエータにおいて、
前記コイルは、前記支持体に保持され、
前記磁石は、前記可動体に保持されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項10】
請求項1から
8までの何れか一項に記載のアクチュエータにおいて、
前記磁石は、前記支持体に保持され、
前記コイルは、前記可動体に保持されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項11】
請求項
10に記載のアクチュエータにおいて、
前記休止位置規定手段は、前記可動体側において前記中心軸線を中心とする周方向で離間する位置に設けられた一対の給電電極、および前記一対の給電電極の各々に接触可能に前記支持体側に設けられた一対の給電ブラシを備えた給電機構を含むことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項12】
請求項1から
11までの何れか一項に記載のアクチュエータを備えた触覚デバイスであって、
前記コイルに供給した信号に対応する振動を出力することを特徴とする触覚デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を往復移動させるアクチュエータ、および触覚デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気駆動機構によって振動を発生させる機器として、筒状のコイルを保持する支持体と、支持体に支持された可動体と、可動体を支持体に対して直線的に相対移動させるアクチュエータが提案されている(特許文献1参照)。かかるアクチュエータにおいて、可動体を双方向に直動駆動させると、その際の加速度等に対応する振動が出力されるため、アクチュエータを触覚デバイス等として利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のアクチュエータのように、可動体を直動させる構成の場合、可動体のストロークを延ばすと、可動体が支持体に当接するため、ストロークの延長とアクチュエータの小型化の双方を図ることが困難であるという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、小型化、および可動体のストロークの延長の双方を図ることのできるアクチュエータ、および触覚デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、可動体と、前記可動体の中心軸線周りに前記可動体を回転可能に支持する支持体と、前記可動体および前記支持体の一方に保持されたコイル、および他方に保持された磁石を備え、前記可動体を前記中心軸線周りの180°未満の角度範囲で回転駆動する磁気駆動機構と、前記磁気駆動機構による駆動を休止した際に前記可動体を前記角度範囲内に停止させる休止位置規定手段と、を有し、前記休止位置規定手段は、前記可動体および前記支持体に接続された粘弾性部材を含み、前記可動体は、前記粘弾性部材を介して前記支持体に回転可能に支持されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、磁気駆動機構による駆動を休止している際、休止位置規定手段によって、可動体は、磁気駆動機構によって駆動される角度範囲内で停止する。この状態からコイルに信号を供給すると、可動体は、中心軸線周りに往復回転する。また、コイルに供給する信号を変化させれば、出力する振動が変化するので、情報に対応する振動をアクチュエータから出力することもできる。また、可動体の移動は、中心軸線周りの回転であるため、可動体のストロークを長く設定した場合でも、アクチュエータが大型化することを回避することができる。従って、可動体のストロークの延長とアクチュエータの小型化の双方を図ることができる。
【0008】
本発明において、前記磁気駆動機構による駆動を休止した際に、前記休止位置規定手段が前記可動体を停止させる位置は、前記角度範囲の中心である態様を採用することができる。
【0010】
本発明において、前記可動体および前記支持体のうちの一方は、前記中心軸線を中心とする円周面を備え、前記可動体および前記支持体のうちの他方は、前記円周面を囲む円周壁を備え、前記粘弾性部材は、前記円周面と前記円周壁との間に設けられた円筒状の部材である態様を採用することができる。
【0011】
本発明において、前記円周面は、前記中心軸線に沿って延在する軸部の外周面である態様を採用することができる。
【0012】
本発明において、前記粘弾性部材は、ゲル状部材である態様を採用することができる。
【0013】
本発明において、前記粘弾性部材は、前記可動体および前記支持体の双方に接合されている態様を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記コイルは、前記中心軸線を中心とする周方向の偶数箇所に前記中心軸線に沿って延在する有効部分を備え、前記磁石は、前記偶数箇所の各々で前記有効部分に前記中心軸線を中心とする径方向で対向する磁極を備えている態様を採用することができる。
【0015】
本発明において、前記コイルは、前記中心軸線を中心とする周方向の偶数箇所で前記中心軸線を中心とする径方向に突出した突極に巻回され、前記磁石は、前記突極に径方向で対向している態様を採用することができる。
【0016】
本発明において、前記コイルは、前記支持体に保持され、前記磁石は、前記可動体に保持されている態様を採用することができる。
【0017】
本発明において、前記磁石は、前記支持体に保持され、前記コイルは、前記可動体に保持されている態様を採用することができる。
【0018】
本発明において、前記休止位置規定手段は、前記可動体側において前記中心軸線を中心とする周方向で離間する位置に設けられた一対の給電電極、および前記一対の給電電極の各々に接触可能に前記支持体側に設けられた一対の給電ブラシを備えた給電機構を含む態様を採用することができる。
【0019】
本発明に係るアクチュエータは、触覚デバイスに用いることができ、この場合、前記アクチュエータは、前記コイルに供給した信号に対応する振動を出力する。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、磁気駆動機構による駆動を休止している際、休止位置規定手段によって、可動体は、磁気駆動機構によって駆動される角度範囲内で停止する。この状態からコイルに信号を供給すると、可動体は、中心軸線周りに往復回転する。また、コイルに供給する信号を変化させれば、出力する振動が変化するので、情報に対応する振動をアクチュエータから出力することもできる。また、本発明において、可動体の移動は、中心軸線周りの回転であるため、可動体のストロークを長く設定した場合でも、アクチュエータが大型化することを回避することができる。従って、可動体のストロークの延長とアクチュエータの小型化の双方を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態1に係るアクチュエータの斜視図。
【
図2】
図1に示すアクチュエータの断面を模式的に示す説明図。
【
図3】本発明の実施形態2に係るアクチュエータの断面を模式的に示す説明図。
【
図4】本発明の実施形態3に係るアクチュエータの横断面を模式的に示す説明図。
【
図5】本発明の実施形態3の変形例に係るアクチュエータの横断面を模式的に示す説明図。
【
図6】本発明の実施形態4に係るアクチュエータの横断面を模式的に示す説明図。
【
図7】本発明の実施形態5に係るアクチュエータの横断面を模式的に示す説明図。
【
図8】本発明の実施形態7に係るアクチュエータの断面を模式的に示す説明図。
【
図9】本発明の実施形態8に係るアクチュエータの断面を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明において、可動体の中心軸線にLを付して説明する。また、以下の説明において、周方向および径方向とは、中心軸線Lを中心とする周方向および径方向である。
[実施形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態1に係るアクチュエータ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すアクチュエータ1の断面を模式的に示す説明図であり、
図2には、中心軸線Lに沿ってアクチュエータ1を切断したときの縦断面(a)と、アクチュエータ1を中心軸線Lに直交するA1-A1′線に沿って切断したときの横断面(b)とが示されている。
【0023】
図1に示すように、アクチュエータ1は円柱状のデバイスであり、後述する触覚デバイス等として用いられる。
図2に示すように、アクチュエータ1は、可動体3と、可動体3の中心軸線L周りに可動体3を回転可能に支持する支持体2と、可動体3を中心軸線L周りの180°未満の角度範囲で回転駆動する磁気駆動機構4とを有している。磁気駆動機構4は、可動体3および支持体2の一方に保持されたコイル5と、他方に保持された磁石6とを備えている。また、アクチュエータ1は、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に、磁気駆動機構4によって可動体3が駆動される角度範囲内に停止させる休止位置規定手段7が設けられている。本形態において、磁気駆動機構4は、支持体2に保持されたコイル5と、可動体3に保持された磁石6とからなる。
【0024】
支持体2は、アクチュエータ1の外郭を構成するハウジング21を有しており、ハウジング21は、中心軸線Lに沿って延在する円筒部210と、円筒部210の中心軸線L方向の一方側L1の開口を塞ぐ第1端板部211と、円筒部210の中心軸線L方向の他方側L2の開口を塞ぐ第2端板部212とを有している。支持体2は、第1端板部211に中心軸線L方向の他方側L2で対向するように円筒部210に保持された第1支持部28と、第2端板部212に中心軸線L方向の一方側L1で対向するように円筒部210に保持された第2支持部29とを有している。第1支持部28および第2支持部29の中心には、開口部280、290が各々形成されている。
【0025】
支持体2は、第1支持部28と第2支持部29との間に配置されたホルダ24を有している。ホルダ24は、中心軸線L方向の一方側L1で円筒部210に保持された板部241と、板部241から中心軸線L方向の他方側L2に延在する円筒状の胴部である第1胴部242とを有しており、板部241の中央には穴243が設けられている。
【0026】
可動体3は、中心軸線L方向の一方側L1に開口を向けたカップ状の部材であり、中心軸線L方向に沿って延在する円筒状の胴部である第2胴部31と、第2胴部31の中心軸線L方向の他方側L2の開口を塞ぐ底板部32とを有している。可動体3は、中心軸線Lに沿って延在する軸部33を有しており、軸部33の中心軸線L方向の一方側L1の端部331、および軸部33の中心軸線L方向の他方側L2の端部332は各々、第1支持部28の開口部280、および第2支持部29の開口部290の内側に位置する。本形態に
おいて、軸部33は、底板部32から中心軸線L方向の一方側L1に突出した円筒状の筒部34と、筒部34に嵌った軸体35とによって構成され、軸体35は筒部34に固定されている。軸体35は、筒部34から中心軸線L方向の両側に突出しており、軸体35の両端部によって、軸部33の端部331、332が構成されている。
【0027】
可動体3は、中心軸線Lを中心とする円周面30を備え、支持体2は、可動体3の円周面30を囲む円周壁20を備えている。円周面30と円周壁20との間には、円筒状の粘弾性部材が配置されており、可動体3は、粘弾性部材によって支持体2に中心軸線L周りに回転可能に支持されている。本形態において、軸部33の端部331の外周面336(円周面30)と開口部280の内周面281(円周壁20)との間には円筒状の粘弾性部材81が配置され、軸部33の端部332の外周面337(円周面30)と開口部280の内周面281(円周壁20)との間には円筒状の粘弾性部材82が配置されている。粘弾性部材81および粘弾性部材82の詳細な構成は後述する。
【0028】
(磁気駆動機構4の構成)
アクチュエータ1において、支持体2に設けられたコイル5は、第1胴部242の外周面の周方向の偶数箇所に中心軸線Lに沿って延在する有効部分50を備えており、可動体3に設けられた磁石6は、周方向の偶数箇所の各々でコイル5の有効部分50に径方向外側で対向する磁極を備えている。本形態において、コイル5は、第1胴部242の外周面の周方向の4箇所に中心軸線Lに沿って延在する有効部分50を備えており、磁石6は、周方向の4箇所の各々でコイル5の有効部分50に径方向外側で対向する磁極を備えている。より具体的には、磁石6は、円弧状の第1磁石61と、第1磁石61に対して周方向で離間する位置に設けられた円弧状の第2磁石62とからなり、第1磁石61および第2磁石62は、周方向の一方側CWの端部がN極になっており、周方向の他方側CCWの端部がS極になっている。従って、磁石6では、周方向に沿ってN極とS極とが交互に配置されている。かかる構成に対応して、コイル5は、4箇所のうち、隣り合う2箇所でS極およびN極の各々に有効部分50が対向するように巻回された第1コイル51と、4箇所のうち、隣り合う他の2箇所でS極およびN極の各々に有効部分50が対向するように巻回された第2コイル52とからなる。
【0029】
第1コイル51および第2コイル52は各々、2つの有効部分50を中心軸線L方向に延在する長辺として有する矩形枠状のコイルであり、第1コイル51に給電したとき、第1コイル51の2つの有効部分50では、電流の向きが逆向きである。また、第2コイル52においても、第2コイル52に給電したとき、第2コイル52の2つの有効部分50では、電流の向きが逆向きである。また、4つの有効部分50のうち、磁石6のN極に対向する2つの有効部分50では、電流の向きが同一であり、磁石6のS極に対向する2つの有効部分50では、電流の向きが同一である。従って、第1コイル51、および第2コイル52の同一方向の電流を供給すると、可動体3を周方向の一方側CWおよび他方側CCWに向けて回転させることができる。
【0030】
(休止位置規定手段7)
本形態のアクチュエータ1において、粘弾性部材81は、軸部33の端部331の外周面336、および開口部280の内周面281に接合されている。また、粘弾性部材82は、軸部33の端部332の外周面337、および開口部290の内周面291に接合されている。ここで、粘弾性部材81、82は、接着剤によって軸部33の外周面336、337、および開口部280、290の内周面281、291に接合されている構成を採用することができる他、粘弾性部材81、82自身の粘着性によって、軸部33の外周面336、337、および開口部280、290の内周面281、291に接合されている構成を採用することができる。さらに、粘弾性部材81、82を軸部33の外周面336、337、および開口部280、290の内周面281、291に接合する方法は、粘弾
性部材81、82の焼き付けや、界面活性化による自己粘着など他の方法を採用することもできる。
【0031】
ここで、粘弾性とは、粘性と弾性の両方を合わせた性質のことであり、プラスチックやゴム等の高分子物質に顕著に見られる性質である。従って、粘弾性部材81、82として、各種ゲル部材を用いることができる。また、粘弾性部材81、82として、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム)、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いてもよい。
【0032】
本形態では、粘弾性部材81、82として、シリコーンゲル等のゲル状部材(ゲル状ダンパー部材)が用いられている。
【0033】
本形態において、粘弾性部材81、82は、粘弾性部材81、82自身の粘着性によって、軸部33の外周面336、337、および開口部280、290の内周面281、291に接合されている。すなわち、本形態では、軸部33の端部331の外周面336と第1支持部28の開口部280の内周面281との間で粘弾性部材81を成形し、その際、粘弾性部材81自身の粘着性によって、軸部33の端部331の外周面336と第1支持部28の開口部280の内周面281とに粘弾性部材81が接合された状態とする。より具体的には、軸部33の端部331の外周面336と第1支持部28の開口部280の内周面281との間にシリコーンゲルを形成するための材料を充填した後、硬化させ、粘弾性部材81を成形する。粘弾性部材82も、粘弾性部材81と同様な方法で、粘弾性部材82自身の粘着性によって、軸部33の端部332の外周面337と第2支持部29の開口部290の内周面291に接合されている。
【0034】
このように構成した粘弾性部材81、82において、ゲル状部材は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、粘弾性部材81、82は、その厚さ方向(径方向および中心軸線L方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える一方、厚さ方向に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい伸縮特性を備える。また、厚さ方向と交差する周方向(せん断方向)に変形する場合も、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を持つ。本形態においては、可動体3が回転した際、粘弾性部材81、82は、せん断方向(周方向)に変形するように構成されている。従って、粘弾性部材81、82は、線形性が高い範囲で変形するので、リニアリティが良好な振動特性を得ることができる。
【0035】
(触覚デバイスとしての動作)
本形態のアクチュエータ1において、コイル5(第1コイル51および第2コイル52)に交流を印加すると、可動体3は、中心軸線L周りに回転振動する。このため、アクチュエータ1を触覚デバイスとして手にした利用者は、周方向の振動を体感することができる。その際、コイル5に印加する交流波形を調整して、可動体3が中心軸線L周りの一方側CWに回転する際の加速度と、可動体3が中心軸線L周りの他方側CCWに回転する際の加速度とを相違させれば、利用者は、周方向において方向性を有する振動を体感することができる。本形態において、可動体3は、中心軸線L周りの所定の角度範囲内で往復回転する。より具体的には、可動体3は、中心軸線L周りの180°未満の角度範囲内で往復回転する。
【0036】
また、コイル5(第1コイル51および第2コイル52)への給電を停止して、磁気駆動機構4による可動体3の駆動を休止した際、可動体3は、粘弾性部材81、82の形状
復帰力によって、可動体3は、磁気駆動機構4によって駆動される角度範囲(駆動角度範囲)内で停止する。従って、粘弾性部材81、82は、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に可動体3を前記の角度範囲内に停止させる休止位置規定手段7として機能する。すなわち、休止位置規定手段7は粘弾性部材81、82を含んでいる。本形態において、休止位置規定手段7は、粘弾性部材81、82からなる。本形態において、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に、休止位置規定手段7が可動体3を停止させる位置は、前記の角度範囲の中心である。
【0037】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ1では、磁気駆動機構4による駆動を休止している際、休止位置規定手段7によって、可動体3は、磁気駆動機構4によって駆動される角度範囲内で停止する。この状態からコイル5に信号を供給すると、可動体3は、中心軸線L周りに往復回転する。また、コイル5に供給する信号を変化させれば、出力する振動が変化するので、情報に対応する振動をアクチュエータ1から出力することもできる。ここで、可動体3の移動は、中心軸線L周りの回転である。このため、可動体3のストロークを長く設定した場合でも、アクチュエータ1が大型化することを回避することができる。従って、可動体3のストロークの延長とアクチュエータ1の小型化の双方を図ることができる。
【0038】
[実施形態2]
図3は、本発明の実施形態2に係るアクチュエータ1の断面を模式的に示す説明図であり、
図3には、中心軸線Lに沿ってアクチュエータ1を切断したときの縦断面(a)と、アクチュエータ1を中心軸線Lに直交するA2-A2′線に沿って切断したときの横断面(b)とが示されている。なお、本形態の基本的な構成は、実施形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0039】
図3に示すアクチュエータ1も、触覚デバイス等として用いられる。本形態においても、実施形態1と同様、アクチュエータ1は、可動体3と、可動体3の中心軸線L周りに可動体3を回転可能に支持する支持体2と、可動体3を中心軸線L周りの180°未満の角度範囲で回転駆動する磁気駆動機構4とを有している。磁気駆動機構4は、可動体3および支持体2の一方に保持されたコイル5と、他方に保持された磁石6とを備えている。また、アクチュエータ1は、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に、磁気駆動機構4によって可動体3が駆動される角度範囲内に停止させる休止位置規定手段7が設けられている。本形態において、磁気駆動機構4は、支持体2に保持されたコイル5と、可動体3に保持された磁石6とからなる。
【0040】
本形態において、支持体2は、アクチュエータ1の外郭を構成するハウジング21を有している。ハウジング21は、中心軸線Lに沿って延在する円筒部210と、円筒部210の中心軸線L方向の他方側L2の開口を塞ぐ第2端板部212とを有しており、円筒部210の中心軸線L方向の一方側L1の開口は、ホルダ24によって塞がれている。
【0041】
ホルダ24は、円筒部210に保持された板部241と、板部241から中心軸線L方向の他方側L2に延在する円筒状の第1胴部242とを有している。板部241には、穴が設けられておらず、円筒部210の中心軸線L方向の一方側L1の開口は、ホルダ24の板部241によって塞がれている。
【0042】
可動体3は、中心軸線L方向の一方側L1の開口を向けてカップ状の部材であり、中心軸線L方向に沿って延在する円筒状の第2胴部31と、第2胴部31の中心軸線L方向の他方側L2の開口を塞ぐ底板部32とを有している。可動体3は、中心軸線Lに沿って延在する軸部33を有している。本形態において、軸部33は、底板部32から中心軸線L
方向の一方側L1に棒状に突出した部分である。
【0043】
本形態でも、実施形態1と同様、可動体3は、中心軸線Lを中心とする円周面30を備え、支持体2は、可動体3の円周面30を囲む円周壁20を備えており、円周面30と円周壁20との間には、円筒状の粘弾性部材が配置されている。より具体的には、軸部33の外周面330(円周面30)とホルダ24の第1胴部242の内周面245(円周壁20)との間には円筒状の粘弾性部材83が配置されている。本形態において、粘弾性部材83は、実施形態1に用いた粘弾性部材81、82と同様、ゲル状部材からなり、粘弾性部材83は、軸部33の外周面330、および第1胴部242の内周面245に接合されている。粘弾性部材83は、接着剤によって、軸部33の外周面330、および第1胴部242の内周面245に接合されている構成を採用することができる他、粘弾性部材83自身の粘着性によって、軸部33の外周面330、および第1胴部242の内周面245に接合されている構成を採用することがでる。本形態では、粘弾性部材83がゲル状部材であることから、軸部33の外周面330と第1胴部242の内周面245との間で粘弾性部材83を成形し、粘弾性部材83自身の粘着性によって、軸部33の外周面330、および第1胴部242の内周面245に粘弾性部材83が接合された状態にある。より具体的には、軸部33の外周面330と第1胴部242の内周面245との間にシリコーンゲルを形成するための材料を充填した後、硬化させ、粘弾性部材83を成形する。
【0044】
アクチュエータ1において、支持体2に設けられたコイル5は、第1胴部242の外周面の周方向の偶数箇所に中心軸線Lに沿って延在する有効部分50を備えており、可動体3に設けられた磁石6は、周方向の偶数箇所の各々でコイル5の有効部分50に径方向外側で対向する磁極を備えている。本形態において、コイル5は、第1胴部242の外周面の周方向の4箇所に中心軸線Lに沿って延在する有効部分50を備えており、磁石6は、周方向の4箇所の各々でコイル5の有効部分50に径方向内側で対向する磁極を備えている。より具体的には、磁石6は、円弧状の4つの磁石(第1磁石6a、第2磁石6b、第3磁石6c、および第4磁石6d)からなり、4つの磁石は各々、内周面と外周面とが異なる極に着磁されている。ここで、周方向の第1番目の第1磁石6a、および第2番目の第2磁石6bは各々、内周面がS極であり、周方向の第3番目の第3磁石6c、および第4番目の第4磁石6dは各々、内周面がN極である。
【0045】
かかる構成に対応して、コイル5は、第1磁石6aおよび第3磁石6cに各々対向する2つの有効部分50を備えた第1コイル56と、第2磁石6bおよび第4磁石6dに各々対向する2つの有効部分50を備えた第2コイル57とからなる。従って、図示を省略するが、第1コイル56と第2コイル57とは、可動体3の中心軸線L方向の両端部で交差している。第1コイル56および第2コイル57は各々、1本のコイル線を巻回することによって構成されており、第1コイル56に給電したとき、第1コイル56の2つの有効部分50では、電流の向きが逆向きである。また、第2コイル57においても、第2コイル57に給電したとき、第2コイル57の2つの有効部分50では、電流の向きが逆向きである。また、4つの有効部分50のうち、磁石6のN極に対向する2つの有効部分50では、電流の向きが同一であり、磁石6のS極に対向する2つの有効部分50では、電流の向きが同一である。
【0046】
かかる構成のアクチュエータ1においても、実施形態1と同様、コイル5(第1コイル56および第2コイル57)に交流を印加すると、可動体3は、中心軸線L周りに180°未満の角度範囲内で往復回転する。回転振動する。このため、実施形態1と同様、アクチュエータ1を触覚デバイスとして用いることができる。ここで、可動体3の移動は、中心軸線L周りの回転である。また、可動体3のストロークを長く設定した場合でも、アクチュエータ1が大型化することを回避することができる。従って、可動体3のストロークの延長とアクチュエータ1の小型化の双方を図ることができる。
【0047】
また、本形態でも、実施形態1と同様、コイル5(第1コイル56および第2コイル57)への給電を停止して、磁気駆動機構4による可動体3の駆動を休止した際、可動体3は、粘弾性部材83の形状復帰力によって、可動体3は、磁気駆動機構4によって駆動される角度範囲(駆動角度範囲)内で停止する。従って、粘弾性部材83は、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に可動体3を前記の角度範囲内に停止させる休止位置規定手段7として機能する。本形態において、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に、休止位置規定手段7が可動体3を停止させる位置は、前記の角度範囲の中心である。
【0048】
[実施形態3]
図4は、本発明の実施形態3に係るアクチュエータ1の横断面を模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0049】
図4に示すアクチュエータ1も、触覚デバイス等として用いられる。本形態においても、実施形態1と同様、アクチュエータ1は、可動体3と、可動体3の中心軸線L周りに可動体3を回転可能に支持する支持体2と、可動体3を中心軸線L周りの180°未満の角度範囲で回転駆動する磁気駆動機構4とを有している。磁気駆動機構4は、支持体2に保持されたコイル5と、可動体3に保持された磁石6とからなる。
【0050】
かかる磁気駆動機構4を構成するにあたって、実施形態1では、可動体3に保持された磁石6に対して、支持体2に保持されたコイル5が径方向内側から対向していたが、本形態では、可動体3に保持された磁石6に対して、支持体2に保持されたコイル5が径方向外側から対向している。
【0051】
より具体的には、支持体2に設けられたコイル5は、周方向の偶数箇所に中心軸線Lに沿って延在する有効部分50を備えており、可動体3に設けられた磁石6は、周方向の偶数箇所の各々でコイル5の有効部分50に径方向内側で対向する磁極を備えている。本形態において、コイル5は、周方向の4箇所に中心軸線Lに沿って延在する有効部分50を備えており、磁石6は、周方向の4箇所の各々でコイル5の有効部分50に径方向内側で対向する磁極を備えている。より具体的には、磁石6は、円弧状の第1磁石61と、第1磁石61に対して周方向で離間する位置に設けられた円弧状の第2磁石62とからなり、第1磁石61および第2磁石62は周方向で着磁されている。より具体的には、第1磁石61の外周面、および第2磁石62の外周面は、周方向の一方側CWの端部がN極になっており、周方向の他方側CCWの端部がS極になっている。従って、可動体3では、周方向に沿ってN極とS極とが交互に配置されている。かかる構成に対応して、コイル5は、4箇所のうち、隣り合う2箇所でS極およびN極の各々に有効部分50が対向するように巻回された第1コイル51と、4箇所のうちの他の隣り合う2箇所でS極およびN極の各々に有効部分50が対向するように巻回された第2コイル52とからなる。
【0052】
ここで、第1コイル51、および第2コイル52は各々、2つの有効部分50を長辺として有する矩形枠状のコイルであり、第1コイル51に給電したとき、第1コイル51の2つの有効部分50では、電流の向きが逆向きである。また、第2コイル52においても、第2コイル52に給電したとき、第2コイル52の2つの有効部分50では、電流の向きが逆向きである。また、4つの有効部分50のうち、磁石6のN極に対向する2つの有効部分50では、電流の向きが同一であり、磁石56S極に対向する2つの有効部分50では、電流の向きが同一である。従って、第1コイル51、および第2コイル52の同一方向の電流を供給すると、可動体3を周方向の一方側CWおよび他方側CCWに向けて回転させることができる。
【0053】
本形態のアクチュエータ1では、例えば、
図2を参照して説明したように、可動体3の軸部33の端部と支持体2の開口部280、290の内周面との間において、粘弾性部材81、82が軸部33の外周面、および開口部280、290の内周面に接合されている。従って、可動体3は、粘弾性部材81、82を介して支持体2に支持されている。また、粘弾性部材81、82は、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に可動体3を前記の角度範囲内に停止させる休止位置規定手段7として機能する。
【0054】
[実施形態3の変形例]
図5は、本発明の実施形態3の変形例に係るアクチュエータ1の横断面を模式的に示す説明図である。実施形態3では、第1磁石61および第2磁石62が周方向で着磁されていたが、本形態では、
図5に示すように、第1磁石61および第2磁石62は各々、周方向および径方向で着磁されている。このため、第1磁石61の外周面、および第2磁石62の外周面は、周方向の一方側CWの端部がN極になっており、周方向の他方側CCWの端部がS極になっている。その他の構成は、実施形態3と同様である。
【0055】
[実施形態4]
図6は、本発明の実施形態4に係るアクチュエータ1の横断面を模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0056】
図6に示すアクチュエータ1も、触覚デバイス等として用いられる。本形態においても、実施形態1と同様、アクチュエータ1は、可動体3と、可動体3の中心軸線L周りに可動体3を回転可能に支持する支持体2と、可動体3を中心軸線L周りの180°未満の角度範囲で回転駆動する磁気駆動機構4とを有している。磁気駆動機構4は、支持体2に保持されたコイル5と、可動体3に保持された磁石6とからなる。本形態では、可動体3に保持された磁石6に対して径方向外側に支持体2に保持されたコイル5が配置されている。
【0057】
より具体的には、可動体3に設けられた磁石6は、円弧状の第1磁石61と、第1磁石61に対して周方向で離間する位置に設けられた円弧状の第2磁石62とからなり、第1磁石61および第2磁石62は周方向で着磁されている。これに対して、支持体2は、径方向内側に向けて突出した第1突極26と、第1突極26に対して周方向で離間する位置で径方向内側に向けて突出した第2突極27を有している。第1突極26および第2突極27は各々、径方向内側に向けて突出した第1部分261、271と、第1部分261、271の先端部で周方向の両側に円弧状に突出した第2部分262、272とを有しており、第2部分262、272は各々、第1磁石61および第2磁石62に対向している。また、第1部分261、271には、第1コイル53、および第2コイル54が巻回されている。従って、第1コイル51、および第2コイル52の同一方向の電流を供給すると、可動体3を周方向の一方側CWおよび他方側CCWに向けて回転させることができる。
【0058】
本形態のアクチュエータ1では、例えば、
図2を参照して説明したように、可動体3の軸部33の端部と支持体2の開口部280、290の内周面との間において、粘弾性部材81、82が軸部33の外周面、および開口部280、290の内周面に接合されている。従って、可動体3は、粘弾性部材81、82を介して支持体2に支持されている。また、粘弾性部材81、82は、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に可動体3を前記の角度範囲内に停止させる休止位置規定手段7として機能する。
【0059】
[実施形態5]
図7は、本発明の実施形態5に係るアクチュエータ1の横断面を模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施形態1と同様であるため、共通する部分には
、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0060】
図7に示すアクチュエータ1も、触覚デバイス等として用いられる。本形態においても、実施形態1と同様、アクチュエータ1は、可動体3と、可動体3の中心軸線L周りに可動体3を回転可能に支持する支持体2と、可動体3を中心軸線L周りの180°未満の角度範囲で回転駆動する磁気駆動機構4とを有している。
【0061】
本形態において、磁気駆動機構4は、可動体3に保持されたコイル5と、支持体2に保持された磁石6とを有しており、可動体3に保持されたコイル5に対して径方向外側に支持体2に保持された磁石6が配置されている。より具体的には、支持体2に設けられた磁石6は、円弧状の第1磁石66と、第1磁石66に対して周方向で離間する位置に設けられた円弧状の第2磁石67とからなり、第1磁石66および第2磁石67は周方向で着磁されている。
【0062】
可動体3は、径方向外側に向けて突出した第1突極36と、第1突極36に対して周方向で離間する位置で径方向外側に向けて突出した第2突極37を有している。第1突極36および第2突極37は各々、径方向内側に向けて突出した第1部分361、371と、第1部分361、371の先端部で周方向の両側に円弧状に突出した第2部分362、372とを有しており、第2部分362、372は各々、第1磁石66および第2磁石67に対向している。第1部分361、371には、第1コイル56、および第2コイル57が巻回されている。第1コイル56、および第2コイル57は、各々が電気的に独立したコイル、直列に接続されたコイル、または並列に接続されたコイルからなる。従って、第1コイル56、および第2コイル57に電流を供給すると、可動体3を周方向の一方側CWおよび他方側CCWに向けて回転させることができる。
【0063】
本形態では、第1コイル56、および第2コイル57に電流を供給するにあたって、ブラシ方式の給電機構9が設けられている。本形態において、給電機構9は、軸部33の外周面において周方向で離間する位置に設けられた2つの電極(第1給電電極91、および第2給電電極92)と、2つの給電電極(第1給電電極91、および第2給電電極92)に各々接続する2つの給電用ブラシ(第1給電ブラシ96、および第2給電ブラシ97)とを備えている。ここで、第1コイル56、および第2コイル57は、各々が電気的に独立したコイル、直列に接続されたコイル、または並列に接続されたコイルからなり、かかる構成に対応するように、第1コイル56、および第2コイル57は、第1給電電極91、および第2給電電極92に電気的に接続されている。従って、第1コイル56、および第2コイル57には、給電用ブラシ、および給電電極を介して給電される。
【0064】
本形態のアクチュエータ1では、例えば、
図2を参照して説明したように、可動体3の軸部33の端部と支持体2の開口部280、290の内周面との間において、粘弾性部材81、82が軸部33の外周面、および開口部280、290の内周面に接合されている。従って、可動体3は、粘弾性部材81、82を介して支持体2に支持されている。また、粘弾性部材81、82は、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に可動体3を前記の角度範囲内に停止させる休止位置規定手段7として機能する。
【0065】
また、給電機構9において、可動体3は、給電用ブラシと給電電極とが接触している角度範囲内のみで回転する。従って、磁気駆動機構4による駆動を休止した際、可動体3の休止位置は、給電用ブラシと給電電極とが接触している角度範囲内にある。従って、休止位置規定手段7は、粘弾性部材81、82、および給電機構9を備えていることになる。
【0066】
[実施形態6]
図7に示す形態では、給電機構9が設けられており、給電機構9において、可動体3は
、給電用ブラシと給電電極とが接触している角度範囲内のみで回転する。従って、磁気駆動機構4による駆動を休止した際、可動体3の休止位置は、給電用ブラシと給電電極とが接触している角度範囲内にある。従って、粘弾性部材81、82を設けずに、通常の軸受機構によって、支持体2が可動体3を支持している場合でも、給電機構9によって、休止位置規定手段7を構成することができる。
【0067】
[実施形態7]
図8は、本発明の実施形態7に係るアクチュエータ1の断面を模式的に示す説明図であり、
図8には、中心軸線Lに沿ってアクチュエータ1を切断したときの縦断面(a)と、アクチュエータ1を中心軸線Lに直交するA3-A3′線に沿って切断したときの横断面(b)とが示されている。なお、本形態の基本的な構成は、実施形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0068】
実施形態1~6では、アクチュエータ1を触感デバイスとして用いたが、
図8に示すように、アクチュエータ1をガルバノミラー10の駆動装置として用いてよい。この場合も、アクチュエータ1は、実施形態1と同様、可動体3と、可動体3の中心軸線L周りに可動体3を回転可能に支持する支持体2と、可動体3を中心軸線L周りの180°未満の角度範囲で回転駆動する磁気駆動機構4とを有している。磁気駆動機構4は、可動体3および支持体2の一方に保持されたコイル5と、他方に保持された磁石6とを備えている。
【0069】
本形態において、支持体2は、アクチュエータ1の外郭を構成するハウジングを有しておらず、ホルダ24のみを有している。ホルダ24は、中心軸線L方向に沿って延在する円筒状の第1胴部242と、第1胴部242の中心軸線L方向の一方側L1の端部に設けられた板部241とを有しており、板部241には、ガルバノミラー10の連結部11を可動体3の軸部33と連結させる穴243が設けられている。
【0070】
可動体3は、中心軸線L方向の一方側L1の開口を向けてカップ状の部材であり、中心軸線L方向に沿って延在する円筒状の第2胴部31と、第2胴部31の中心軸線L方向の他方側L2の開口を塞ぐ底板部32とを有している。可動体3は、底板部32の中心部で中心軸線Lの両側に沿って延在する軸部33を有している。軸部33の中心軸線L方向の一方側L1の端部331の外周面336(可動体3の円周面30)と第1胴部242の中心軸線L方向の一方側L1の開口部の内周壁246(支持体2の内周壁20)との間には円筒状の粘弾性部材81が配置されている。軸部33の中心軸線L方向の他方側L2の端部332の外周面337(可動体3の円周面30)と第1胴部242の中心軸線L方向の他方側L1の開口部の内周壁247(支持体2の内周壁20)との間には円筒状の粘弾性部材82が設けられている。本形態でも、粘弾性部材81、82は各々、粘弾性部材81、82自身の粘着力によって、軸部33の外周面336、337と内周壁246、247に接合されている。
【0071】
可動体3の底板部32には、周方向に延在する開口部321、322が形成されている一方、ホルダ24の第1胴部242は、中心軸線L方向の他方側L1の端部から離間する位置が、開口部321、322を貫通する柱状部248、249になっている。従って、第1胴部242の中心軸線L方向の他方側L1の端部を、可動体3の底板部32から中心軸線L方向の他方側L1に突出させることが可能である。
【0072】
本形態のアクチュエータ1において、磁気駆動機構4は、実施形態1と同様であり、第1胴部242の外周面の周方向の4箇所で中心軸線Lに沿って延在する有効部分50を備えたコイル5(第1コイル51および第2コイル)と、コイル5の有効部分50に径方向外側で対向する磁石(第1磁石61および第2磁石62)とを有している。従って、第1コイル51、および第2コイル52の同一方向の電流を供給すると、可動体3を周方向の
一方側CWおよび他方側CCWに向けて回転させることができ、可動体3に連結されたガルバノミラー10を周方向の一方側CWおよび他方側CCWに向けて回転させることができる。
【0073】
また、コイル5(第1コイル51および第2コイル52)への給電を停止して、磁気駆動機構4による可動体3の駆動を休止した際、可動体3は、粘弾性部材81、82の形状復帰力によって、可動体3は、磁気駆動機構4によって駆動される角度範囲(駆動角度範囲)内で停止する。従って、粘弾性部材81、82は、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に可動体3を前記の角度範囲内に停止させる休止位置規定手段7として機能する。また、ホルダ24の柱状部248、249は、開口部321、322の範囲内のみに移動するため、柱状部248、249も、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に可動体3を前記の角度範囲内に停止させる休止位置規定手段7として機能する。
【0074】
[実施形態8]
図9は、本発明の実施形態8に係るアクチュエータ1の断面を模式的に示す説明図であり、
図9には、中心軸線Lに沿ってアクチュエータ1を切断したときの縦断面(a)と、アクチュエータ1を中心軸線Lに直交するA4-A4′線に沿って切断したときの横断面(b)とが示されている。なお、本形態の基本的な構成は、実施形態1、2と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0075】
本形態では、
図9に示すアクチュエータ1をガルバノミラー10等の駆動装置として用いる。この場合も、アクチュエータ1は、実施形態1、2と同様、可動体3と、可動体3の中心軸線L周りに可動体3を回転可能に支持する支持体2と、可動体3を中心軸線L周りの180°未満の角度範囲で回転駆動する磁気駆動機構4とを有している。磁気駆動機構4は、可動体3および支持体2の一方に保持されたコイル5と、他方に保持された磁石6とを備えている。
【0076】
本形態において、支持体2は、アクチュエータ1の外郭を構成するハウジングを有しておらず、ホルダ24のみを有している。ホルダ24は、中心軸線L方向に沿って延在する円筒状の第1胴部242と、第1胴部242の中心軸線L方向の一方側L1の端部に設けられた板部241とを有しており、板部241には、ガルバノミラー10の連結部11を可動体3の軸部33と連結させる穴243が設けられている。
【0077】
可動体3は、中心軸線L方向の一方側L1の開口を向けてカップ状の部材であり、中心軸線L方向に沿って延在する円筒状の第2胴部31と、第2胴部31の中心軸線L方向の他方側L2の開口を塞ぐ底板部32とを有している。また、可動体3は、底板部32の中心部で中心軸線Lの両側に沿って延在する軸部33を有している。本形態では、実施形態2と同様、支持体2の第1胴部242の内周面245(支持体2の円周壁20)と可動体3の軸部33の外周面330(可動体3の円周面30)との間に粘弾性部材83が設けられている。
【0078】
本形態のアクチュエータ1において、磁気駆動機構4は、実施形態2と同様であり、コイル5は、第1胴部242の外周面の周方向の4箇所に中心軸線Lに沿って延在する有効部分50を備えており、磁石6は、周方向の4箇所の各々でコイル5の有効部分50に径方向内側で対向する磁極を備えている。磁石6は、円弧状の4つの磁石(第1磁石6a、第2磁石6b、第3磁石6c、および第4磁石6d)からなり、4つの磁石は各々、内周面と外周面とが異なる極に着磁されている。ここで、周方向の第1番目の第1磁石6a、および第2番目の第2磁石6bは各々、内周面がS極であり、周方向の第3番目の第3磁石6c、および第4番目の第4磁石6dは各々、内周面がN極である。かかる構成に対応して、コイル5は、第1磁石6aおよび第3磁石6cに各々対向する2つの有効部分50
を備えた第1コイル56と、第2磁石6bおよび第4磁石6dに各々対向する2つの有効部分50を備えた第2コイル57とからなる。従って、第1コイル51、および第2コイル52の同一方向の電流を供給すると、可動体3を周方向の一方側CWおよび他方側CCWに向けて回転させることができる。
【0079】
また、コイル5(第1コイル51および第2コイル52)への給電を停止して、磁気駆動機構4による可動体3の駆動を休止した際、可動体3は、粘弾性部材81、82の形状復帰力によって、可動体3は、磁気駆動機構4によって駆動される角度範囲(駆動角度範囲)内で停止する。従って、粘弾性部材81、82は、磁気駆動機構4による駆動を休止した際に可動体3を前記の角度範囲内に停止させる休止位置規定手段7として機能する。
【0080】
[他の実施形態]
上記実施形態では、粘弾性部材を円筒状の部材としたが、円環状の部材であってもよい。
【0081】
上記実施形態では、粘弾性部材を配置するにあたって、可動体3に円周面30を備え、円周面30を囲む円周壁20を支持体2に設けたが、支持体2に円周面を設け、円周面を囲む円周壁を可動体に設けてもよい。
【0082】
上記実施形態では、支持体2と可動体3とが径方向で対向する部分に設けたが、支持体2と可動体3と中心軸線L方向で対向する部分に設けてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…アクチュエータ、2…支持体、3…可動体、4…磁気駆動機構、5…コイル、6…磁石、6a、61、66…第1磁石、6b、62、67…第2磁石、6c…第3磁石、6d…第4磁石、7…休止位置規定手段、9…給電機構、10…ガルバノミラー、20…円周壁、21…ハウジング、24…ホルダ、26、36…第1突極、27、37…第2突極、30…円周面、31…第2胴部、32…底板部、33…軸部、50…有効部分、51、53、56…第1コイル、52、54、57…第2コイル、81、82、83…粘弾性部材、91…第1給電電極、92…第2給電電極、242…第1胴部、248、249…柱状部、L…中心軸線