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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】DCDCコンバータの制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
H02M3/155 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020137571
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033593
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中津川 義規
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-130826(JP,A)
【文献】特開2018-088789(JP,A)
【文献】特開2007-325430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタンス、スイッチ素子及び平滑コンデンサを有し、直流電源の電圧変換を行うDCDCコンバータの制御装置であって、
前記DCDCコンバータの出力電圧の測定値と目標値との偏差に基づいて、前記スイッチ素子のオンオフをフィードバック制御する制御部と、
前記DCDCコンバータの電圧変換を無効にした状態で、前記平滑コンデンサを所定のプリチャージ電圧までプリチャージした後、前記DCDCコンバータの電圧変換を有効にするプリチャージ回路と、を備え、
前記制御部は、前記DCDCコンバータを起動するときに前記目標値を所望の目標値まで徐々に上げるソフトスタート制御を行
前記プリチャージ回路は、
前記直流電源と前記平滑コンデンサとの間に設けられた第1スイッチと、
前記直流電源と前記DCDCコンバータの入力との間に設けられた第2スイッチと、
前記平滑コンデンサの両端電圧と前記プリチャージ電圧とを比較し、前記平滑コンデンサの両端電圧が前記プリチャージ電圧に達していない場合、前記第1スイッチをオンすると共に前記第2スイッチをオフし、前記平滑コンデンサの両端電圧が前記プリチャージ電圧に達した場合、前記第1スイッチをオフすると共に前記第2スイッチをオンするコンパレータと、を有する、
DCDCコンバータの制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のDCDCコンバータの制御装置であって、
前記プリチャージ電圧は、前記直流電源の供給電圧と等しい、
DCDCコンバータの制御装置。
【請求項3】
請求項1記載のDCDCコンバータの制御装置であって、
前記プリチャージ電圧は、前記直流電源の供給電圧より低い、
DCDCコンバータの制御装置。
【請求項4】
請求項1~何れか1項に記載のDCDCコンバータの制御装置において、
前記制御部は、前記平滑コンデンサをプリチャージした後、前記目標値を前記プリチャージ電圧から前記所望の目標値まで徐々に上げるソフトスタート制御を行う、
DCDCコンバータの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DCDCコンバータの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車においては、バッテリ(直流電源)からの直流電源をインバータにより交流に変換して電動モータに供給している(力行)。また、電動モータの回生電力をインバータにより直流に変換してバッテリに蓄電している(回生)。また、バッテリとインバータとの間に双方向DCDCコンバータを設け、バッテリからの電源を昇圧してインバータに供給し、インバータからの電源を降圧してバッテリに供給している。
【0003】
上述したDCDCコンバータは、出力電圧を0Vから起動する際に、様々な問題が生じる。起動時のDCDCコンバータの制御として、起動時に所定時間だけ入力平滑コンデンサにプリチャージ抵抗を接続して、入力平滑コンデンサへの充電電流を抑制するものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、電流共振型のDCDCコンバータにおいて、起動時にスイッチング素子のスイッチング周波数を高い周波数から徐々に下げていくソフトスタートを行うものが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平3-178553号公報
【文献】特開2017-163773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、いずれの従来技術も、起動時にDCDCコンバータを構成するスイッチ素子などの半導体素子の発熱を抑制することができない、という問題があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、起動時の半導体素子の発熱を抑制することができるDCDCコンバータの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るDCDCコンバータの制御装置は、下記[1]~[]を特徴としている。
[1]
インダクタンス、スイッチ素子及び平滑コンデンサを有し、直流電源の電圧変換を行うDCDCコンバータの制御装置であって、
前記DCDCコンバータの出力電圧の測定値と目標値との偏差に基づいて、前記スイッチ素子のオンオフをフィードバック制御する制御部と、
前記DCDCコンバータの電圧変換を無効にした状態で、前記平滑コンデンサを所定のプリチャージ電圧までプリチャージした後、前記DCDCコンバータの電圧変換を有効にするプリチャージ回路と、を備え、
前記制御部は、前記DCDCコンバータを起動するときに前記目標値を所望の目標値まで徐々に上げるソフトスタート制御を行
前記プリチャージ回路は、
前記直流電源と前記平滑コンデンサとの間に設けられた第1スイッチと、
前記直流電源と前記DCDCコンバータの入力との間に設けられた第2スイッチと、
前記平滑コンデンサの両端電圧と前記プリチャージ電圧とを比較し、前記平滑コンデンサの両端電圧が前記プリチャージ電圧に達していない場合、前記第1スイッチをオンすると共に前記第2スイッチをオフし、前記平滑コンデンサの両端電圧が前記プリチャージ電圧に達した場合、前記第1スイッチをオフすると共に前記第2スイッチをオンするコンパレータと、を有する、
DCDCコンバータの制御装置であること。

[1]記載のDCDCコンバータの制御装置であって、
前記プリチャージ電圧は、前記直流電源の供給電圧と等しい、
DCDCコンバータの制御装置であること。

[1]記載のDCDCコンバータの制御装置であって、
前記プリチャージ電圧は、前記直流電源の供給電圧より低い、
DCDCコンバータの制御装置であること。

[1]~[]何れか1項に記載のDCDCコンバータの制御装置において、
前記制御部は、前記平滑コンデンサをプリチャージした後、前記目標値を前記プリチャージ電圧から前記所望の目標値まで徐々に上げるソフトスタート制御を行う、
DCDCコンバータの制御装置であること。
【0009】
上記[1]の構成のDCDCコンバータの制御装置によれば、プリチャージ回路及び制御部のソフトスタート制御により、スイッチ素子などの半導体素子の発熱を抑制することができる。
【0010】
更に、上記[]の構成のDCDCコンバータの制御装置によれば、プリチャージ回路を容易に構成できる。
【0011】
上記[]の構成のDCDCコンバータの制御装置によれば、プリチャージ電圧を直流電源と等しくすることにより、起動時のインダクタンスから平滑コンデンサへの還流をより一層抑制し、スイッチ素子などの半導体素子の発熱を抑制することができる。
【0012】
上記[]の構成のDCDCコンバータの制御装置によれば、プリチャージ電圧を直流電源より低くすることにより、高速に平滑コンデンサをプリチャージすることができ、高速でDCDCコンバータを起動することができる。
【0013】
上記[]の構成のDCDCコンバータの制御装置によれば、目標値を0Vから所望の目標値まで上げる必要がなく、より一層、スイッチ素子などの半導体素子の発熱を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スイッチ素子などの半導体素子の発熱を抑制したDCDCコンバータの制御装置を提供することができる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明のDCDCコンバータの制御装置を組み込んだ車両用電源システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示すDCDCコンバータ及びコンバータ制御装置の詳細を示す回路図である。
図3図3は、図2に示す制御部の詳細を示す機能ブロック図である。
図4図4は、従来品、比較品のコンバータ制御装置の構成を示す回路図である。
図5図5は、起動時における従来品を構成する半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、Dのジャンクション温度をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図6図6は、起動時における従来品のバッテリ側電圧、インバータ側電圧、車速をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図7図7は、起動時における比較品を構成する半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、Dのジャンクション温度をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図8図8は、起動時における従来品のバッテリ側電圧、インバータ側電圧、車速をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図9図9は、起動時における本発明品Aを構成する半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、Dのジャンクション温度をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図10図10は、起動時における本発明品Aのバッテリ側電圧、インバータ側電圧、車速をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図11図11は、起動時における本発明品Bを構成する半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、Dのジャンクション温度をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図12図12は、起動時における本発明品Bのバッテリ側電圧、インバータ側電圧、車速をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図13図13は、起動時における本発明品Cを構成する半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、Dのジャンクション温度をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図14図14は、起動時における本発明品Cのバッテリ側電圧、インバータ側電圧、車速をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図15図15は、起動時における本発明品Dを構成する半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、Dのジャンクション温度をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図16図16は、起動時における本発明品Dのバッテリ側電圧、インバータ側電圧、車速をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図17図17は、他の実施形態における図1に示すDCDCコンバータ及びコンバータ制御装置の詳細を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を、図1乃至図3に基づいて説明する。図1に示すように、車両用電源システム1は、バッテリ2(直流電源)と、双方向DCDCコンバータ3と、コンバータ制御装置4と、インバータ5と、インバータ制御装置6と、PMSM(Permanent Magnet Synchronous Motor)7と、走行負荷8と、を備えている。
【0019】
バッテリ2は、車両に搭載され、複数の二次電池が直並列に接続されて構成されている。例えば、バッテリ2の供給電圧が200V、DCDCコンバータ3のインバータ側電圧VDC図2参照)の目標値Vdcを650V(=所望の目標電圧)に設定した場合のDCDCコンバータ3の動作について説明する。車両の加速走行制御時に後述するPMSM7が力行動作して、バッテリ2が200Vで放電する。このとき、DCDCコンバータ3は、200Vから650Vに昇圧して、インバータ5へ650Vを供給する。また、車両の減速走行制御時に後述するPMSM7が回生動作し、インバータ5からバッテリ2に電流が流れる。このとき、DCDCコンバータ3は、650Vから200Vに降圧し、バッテリ2に200Vを供給して、バッテリ2を充電する。
【0020】
コンバータ制御装置4は、図2に示すように、後述するプリチャージ回路41と、マイクロコンピュータから構成され、双方向DCDCコンバータ3を制御する制御部42と、を有している。
【0021】
図1に示すインバータ5は、スイッチ素子(図示せず)を有する。インバータ5は、このスイッチ素子がオンオフ制御されると、双方向DCDCコンバータ3からの直流電源を交流電源に変換してPMSM7に供給する。また、インバータ5は、PMSM7からの交流電源を直流電源に変換して双方向DCDCコンバータ3に出力する。インバータ制御装置6は、特開2020-31502号公報に示されたものと同様であるため、ここでは簡単に説明する。インバータ制御装置6は、PMSM7が駆動する車両の速度の指令値に基づいて、PMSM7に流れるモータ電流の指令値を定め、モータ電流の指令値に基づいて上記インバータ5のスイッチ素子をオンオフ制御する。
【0022】
PMSM7は、所謂三相交流モータの一種であり、バッテリ2からの電力供給を受けて、走行負荷8を駆動する。また、PMSM7は、坂道や減速時などに発電機として働き、回生電流を発生し、バッテリ2に供給する。
【0023】
次に、上述したDCDCコンバータ3について説明する。双方向DCDCコンバータ3は、図2に示すように、インダクタンスLと、一対の半導体スイッチQ、Q(スイッチ素子、半導体素子)と、入力コンデンサCと、出力コンデンサC21、C22(平滑コンデンサ)と、を備えている。インダクタンスLの一端は、バッテリ2の正極に接続されている。インダクタンスLの他端は、互いに直列接続された一対の半導体スイッチQ、Q間に接続される。
【0024】
半導体スイッチQ、Qは、互いに直列接続される。半導体スイッチQの半導体スイッチQから離れた側の端部は、インバータ5の正極に接続される。半導体スイッチQの半導体スイッチQから離れた側の端部は、接地されている。また、半導体スイッチQ、Qには各々、ダイオードD、Dが並列接続されている。入力コンデンサCは、インダクタンスLのバッテリ2側に接続されている。出力コンデンサC21、C22は、互いに並列に接続されている。出力コンデンサC21、C22は、一対の半導体スイッチQ、Qのインバータ5側に並列接続されている。
【0025】
上述したDCDCコンバータ3は、インバータ5からバッテリ2に電流が流れる回生時に、パルス信号PWM1、PWM2(図3)により半導体スイッチQ、Qをオンオフすると、インバータ5の電圧を降圧又は昇圧してバッテリ2に供給する。一方、DCDCコンバータ3は、バッテリ2からインバータ5に電流が流れる力行時に、デューティが制御されたパルス信号PWM1、PWM2に応じて半導体スイッチQ、Qがオンオフすると、インバータ5の電圧を降圧又は昇圧してバッテリ2に供給する。
【0026】
また、上述した双方向DCDCコンバータ3には、図2に示すように、バッテリ側電圧計31と、バッテリ側電流計32と、インバータ側電圧計33と、インバータ側電流計34と、を備えている。バッテリ側電圧計31は、インダクタンスLよりもバッテリ2側のバッテリ側電圧VBATTを測定し、その測定値Vbattを後述する制御部42に出力する。バッテリ側電流計32は、インダクタンスLよりもバッテリ2側のバッテリ側電流IBATTを測定し、その測定値Ibattを制御部42に出力する。
【0027】
インバータ側電圧計33は、出力コンデンサC21、C22よりもインバータ5側のインバータ側電圧VDCを計測し、その測定値Vdcを制御部41に出力する。インバータ側電流計34は、出力コンデンサC21、C22よりもインバータ5側のインバータ側電流IDCを測定し、その測定値Idcを制御部41に出力する。
【0028】
次に、コンバータ制御装置4を構成するプリチャージ回路41について図2を参照して説明する。プリチャージ回路41は、DCDCコンバータ3による電圧変換を無効にした状態で、バッテリ2により出力コンデンサC21、C22を所定のプリチャージ電圧(本実施形態では例えばバッテリ2の供給電圧と同じ200V)までプリチャージする。また、プリチャージ回路41は、出力コンデンサC21、C22を200Vまでプリチャージした後、DCDCコンバータ3による電圧変換を有効にする。
【0029】
プリチャージ回路41は、第1スイッチSと、電流制限抵抗Rと、第2スイッチSと、コンパレータ41Aと、NOT41Bと、を有している。第1スイッチSは、バッテリ2と出力コンデンサC21、C22とを直接接続する接続ラインL1上に設けられている。電流制限抵抗Rは、上記接続ラインL1上に設けられている。第2スイッチSは、バッテリ2とDCDCコンバータ3との入力との間に設けられている。第1、第2スイッチS、Sは、例えばトランジスタスイッチから構成されている。コンパレータ41Aには、出力コンデンサC21、C22の両端電圧とプリチャージ電圧とが入力され、これら電圧の比較結果を出力する。本実施形態では、プリチャージ電圧が、バッテリ2の供給電圧に設定されているため、バッテリ2の供給電圧がコンパレータ41Aに入力される。
【0030】
本実施形態では、コンパレータ41Aは、出力コンデンサC21、C22の両端電圧がプリチャージ電圧に達していない場合、Low信号を出力し、出力コンデンサC21、C22がプリチャージ電圧に達している場合、Hi信号を出力する。コンパレータ41Aの出力は、入力を反転して出力するNOT41Bを介して第1スイッチSのベースに接続される。また、コンパレータ41Aの出力は、第2スイッチSのベースに接続される。
【0031】
上記コンパレータ41Aは、出力コンデンサC21、C22の両端電圧がプリチャージ電圧に達していない場合、第1スイッチSをオンすると共に第2スイッチSをオフする。第2スイッチSをオフすると、バッテリ2とDCDCコンバータ3の入力とが切断され、DCDCコンバータ3による電圧変換が無効となる。また、第1スイッチSをオンすると、バッテリ2と出力コンデンサC21、C22とが電流制限抵抗Rを介して接続され、バッテリ2により出力コンデンサC21、C22が充電される。
【0032】
上記コンパレータ41Aは、出力コンデンサC21、C22の両端電圧がプリチャージ電圧に達している場合、第1スイッチSをオフすると共に第2スイッチSをオンする。第2スイッチSをオンすると、バッテリ2とDCDCコンバータ3の入力とが接続され、DCDCコンバータ3による電圧変換が有効となる。また、第1スイッチSをオンすると、バッテリ2と出力コンデンサC21、C22との電流制限抵抗を介した接続が遮断される。
【0033】
次に、コンバータ制御装置4を構成する制御部42について図3を参照して説明する。制御部42の構成は、特開2019-54716号公報と同様であるため、ここでは簡単に説明する。制御部42は、VDCコントローラ421と、IBATTコントローラ422と、IDCコントローラ423と、PWM部424と、ロジック回路425と、を備えている。
【0034】
DCコントローラ421は、インバータ側電圧の測定値Vdcと目標値Vdcとの偏差に基づいてバッテリ側電流の目標値Ibattを定める。即ち、VDCコントローラ421は、インバータ側電圧(DCDCコンバータ3の出力電圧)の測定値Vdcと目標値Vdcとの偏差に基づいて、半導体スイッチQ、Qのオンオフをフィードバック制御する。なお、目標値Vdcは、予め定めた値であり、本実施形態では例えば650Vに設定されている。
【0035】
BATTコントローラ422は、バッテリ側電流の測定値Ibattと上記目標値Ibattとの偏差に基づいてインバータ側電流の目標値Idcを定める。IDCコントローラ423は、インバータ側電流の測定値Idcと上記目標値Idcとの偏差に基づいてPWM部424の入力を出力する。
【0036】
PWM部424は、例えば、IDCコントローラ423からの入力と鋸波との比較により、IDCコントローラ423からの入力に応じたデューティ比のパルス信号PWM1を出力する。ロジック回路425は、パルス信号PWM1とパルス信号PWM1の反転信号であるパルス信号PWM2とを出力する。ロジック回路425は、パルス信号PWM1、PWM2の相互間にデッドタイムを設けて、半導体スイッチQ、Qが同時にオンするのを防止している。また、ロジック回路425は、パルス信号PWM1を半導体スイッチQのゲートに供給し、パルス信号PWM2を半導体スイッチQのゲートに供給する。
【0037】
次に、上述したVDCコントローラ421、IBATTコントローラ422及びIDCコントローラ423のさらに詳細について説明する。VDCコントローラ421は、減算器421Aと、PID制御部421Bと、Vdc/Vbatt算出部421Cと、乗算器421Dと、を備えている。減算器421Aは、測定値Vdcと目標値Vdcとの偏差を出力する。PID制御部421Bは、偏差の一次関数として後段への入力を制御するP制御、偏差の積分に比例して後段への入力を変化させるI制御、偏差の微分に比例して後段への入力を変化させるD制御を行う周知のPID制御部である。
【0038】
Vdc/Vbatt算出部421Cは、測定値Vdc、Vbattが入力され、Vdc/Vbattを算出する。乗算器421Dは、PID制御部421Bからの入力と、Vdc/Vbatt算出部421Cにより算出されたVdc/Vbattとを乗算して、バッテリ側電流の目標値Ibattとする。
【0039】
BATTコントローラ422は、バッテリ側電流の測定値IbattとVDCコントローラ421により定められた目標値Ibattとの偏差に基づいてインバータ側電流の目標値Idcを定める。IBATTコントローラ422は、減算器422Aと、乗算器422Bと、PID制御部422Cと、加算器422Dと、1/Vdc算出部422Eと、乗算器422Fと、を備えている。減算器422Aは、測定値Ibattと目標値Ibattとの偏差を出力する。乗算器422Bは、測定値Ibattと目標値Ibattとの偏差を-1倍する。PID制御部422Cは、偏差を-1倍にするように後段(加算器422D)への入力を制御する。加算器422Dは、PID制御部422Cからの入力と測定値Vbattとを加算する。1/Vdc算出部422Eは、測定値Vdcが入力され、1/Vdcを算出する。乗算器422Fは、加算器422D及び1/Vdc算出部422Eの出力を乗算する。
【0040】
DCコントローラ423は、インバータ側電流の測定値IdcとIBATTコントローラ422により定められた目標値Idcとの偏差に基づいてDCDCコンバータ3を制御する。IDCコントローラ423は、減算器423Aと、PID制御部423Bと、を備えている。減算器423Aは、測定値Idcと目標値Idcとの偏差をPID制御部423Bへ出力する。PID制御部423Bは、測定値Idcと目標値Idcとの偏差を0にするように後段(PWM部424)への入力を制御する。
【0041】
また、本実施形態では、制御部42は、DCDCコンバータ3の起動時、上記目標値Vdcを0Vから所望の値である650Vまで徐々に上げるソフトスタート制御を行う。
【0042】
次に、上述した構成のDCDCコンバータ3の起動時の動作について説明する。起動時は、インバータ側電圧VDCが0Vであり、出力コンデンサC21、C22の両端電圧も0Vである。このとき、コンパレータ41Aからは、出力コンデンサC21、C22の両端電圧が200Vに達していないとの比較結果が出力される。これにより、第1スイッチSがオンし、第2スイッチSがオフされる。第1スイッチSがオンされると、バッテリ2と出力コンデンサC21、C22とが抵抗Rを介して接続され、出力コンデンサC21、C22が充電される。
【0043】
また、制御部42は、起動時に目標値Vdcを0Vから650Vまで徐々に上げるソフトスタート制御を行っている。ただし、第2スイッチSがオフしている間は、半導体スイッチQ、Qをオンオフ制御しても、DCDCコンバータ3は電圧変換できない。その後、出力コンデンサC21、C22が充電され、200Vに達しプリチャージが完了すると、コンパレータ41Aの出力が反転する。これにより、第1スイッチSがオフして、第2スイッチSがオンされる。なお、制御部42は、出力コンデンサC21、Cがプリチャージされた後に、目標値Vdcが200Vになるようにソフトスタート制御を行う。
【0044】
第2スイッチSがオンされるとDCDCコンバータ3が電圧変換できるようになる。DCDCコンバータ3は、目標値Vdcが200Vに達した後、目標値Vdcの増加に追従してインバータ側電圧VDCが上昇し、目標値Vdcが650Vで一定になると同様にインバータ側電圧VDCが650Vで一定となる。
【0045】
なお、上述した説明では、制御部42は、起動時に目標値Vdcを0Vから650Vまで徐々に上げていたがこれに限ったものではない。制御部42は、起動時に目標値Vdcを200Vに設定し、プリチャージ回路41により出力コンデンサC21、C22のプリチャージが完了した後、200Vから650Vまで徐々に上げるようにしてもよい。
【0046】
上述した実施形態によれば、プリチャージ回路41が、DCDCコンバータ3の電圧変換を無効にした状態で、出力コンデンサC21、C22を200Vまでプリチャージした後、DCDCコンバータ3の電圧変換を有効にする。制御部42が、DCDCコンバータ3の起動時に目標値Vdcを0Vから650V(所望の目標値)まで徐々に上げるソフトスタート制御を行う、これにより、半導体スイッチQ、QやダイオードD、Dの発熱を抑制できる。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、プリチャージ回路41が、第1スイッチS、第2スイッチS、コンパレータ41Aで構成されている。これにより、プリチャージ回路41を容易に構成することができる。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、プリチャージ電圧は、バッテリ2の供給電圧と等しい。これにより、後述するようにインダクタンスLから出力コンデンサC21、C22への還流をより一層抑制し、半導体スイッチQ、QやダイオードD、Dの発熱を抑制することができる。
【0049】
次に、本発明者は、上述した効果を確認すべく、起動時における従来品、比較品、本発明品A、Bを構成する半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、Dのジャンクション(JC)温度をシミュレーションした。結果を図5図7図9図11に示す。また、本発明者は、起動時における従来品、比較品、本発明品A、Bのバッテリ側電圧VBATT、インバータ側電圧VDC、車速をシミュレーションした。結果を図6図8図10図12に示す。
【0050】
まず、上記従来品について図4を参照して説明する。従来品は、図4に示すように、コンバータ制御装置4が図1図3に示す第1実施形態の車両用電源システム(以下、本発明品A、B)と異なる。同図に示すように、従来品のコンバータ制御装置4は、プリチャージ回路41がない。また、従来品の制御部42は、ソフトスタート制御を行っておらず、図6に示すように、起動時に目標値Vdcを所望の電圧(650V)に設定する。
【0051】
次に、上記比較品について図4を参照して説明する。比較品は、図4に示すように、コンバータ制御装置4が本発明品A、Bと異なる。同図に示すように、比較品のコンバータ制御装置4は、従来品と同様に、プリチャージ回路41がない。比較品の制御部42は、図8に示すように、目標値Vdcを0Vから650Vまで10msかけて徐々に上げるソフトスタート制御を行っている。
【0052】
次に、本発明品A、Bについて説明する。本発明品A、Bは、上述した図1図3に示す構成であり、プリチャージ回路41を有する。また、本発明品Aは、図10に示すように、起動と同時に目標値Vdcを0Vから650Vまで10msかけて徐々に上げるソフトスタート制御を行っている。本発明品Bは、図12に示すように、起動と同時に目標値Vdcを200Vに設定し、プリチャージ完了後、200Vから650Vまで100msかけて徐々に上げるソフトスタート制御を行っている。
【0053】
また、図5図7図9図11に示すシミュレーションは、特開2020-31502号公報に示すジャンクション発熱モデル、パッケージ発熱モデル及びヒートシンクモデル等の熱モデルを半導体スイッチQ、Qに実装した場合のシミュレーションである。
【0054】
図6に示すように、従来品は、起動時において目標値Vdc(=650V)までインバータ側電圧VDCが正常に昇圧されている。しかしながら、図5に示すように、半導体スイッチQは、インダクタンスLの励磁に伴った昇温や、インダクタンスLから出力コンデンサC21、C22への還流による昇温がある。ダイオードD、Dも同様の昇温がある。半導体スイッチQ、Qの最高温度は、低価格のもので150℃、高価格のもので170℃である。上記昇温により、従来品のシミュレーション結果では、半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、Dのうち、半導体スイッチQのJC温度が、最も高くなる。半導体スイッチQのJC温度は、1200℃まで達し、最高温度の仕様を越えている。
【0055】
これに対して、比較品は、図8に示すように、起動時に行われるソフトスタート制御による目標値Vdcの上昇に対して、インバータ側電圧VDCが追従しておらず、インバータ側電圧VDCの制御ができない。例えば、起動から1ms時点では目標値が約42Vであるにも関わらず、インバータ側電圧VDCは、インダクタンスLの励磁により約320Vまで昇圧している。このため、ソフトスタート制御を行っても、従来品と同様に、インダクタンスLの励磁に伴った昇温や、インダクタンスLから出力コンデンサC21、C22への還流による昇温がある。このため、比較品のシミュレーション結果では、図7に示すように、半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、Dのうち、ダイオードDのJC温度が、最も高くなる。ダイオードDのJC温度は、200℃まで達し、従来品に比べて1000℃程度抑制されているが、最高温度の仕様を越えている。
【0056】
また、本発明品A、Bにおいて、DCDCコンバータ3の電圧変換が有効になった時点でのインバータ側電圧VDCは、出力コンデンサC21、C22のプリチャージ電圧200Vである。インバータ側電圧VDCは、インダクタンスLの出力電圧となる。また、DCDCコンバータ3の電圧変換が有効になった時点でのバッテリ側電圧VBATTは、入力コンデンサCの充電電圧であり、バッテリ2の供給電圧200Vである。バッテリ側電圧VBATTは、インダクタンスLの入力電圧である。従って、DCDCコンバータ3の電圧変換が有効になった時点でのインダクタンスLの入力電圧と出力電圧との電位差がほぼ0Vとなる。このため、従来品、比較品で発生したインダクタンス励磁による昇圧・昇温及び還流時の昇温が発生しない。
【0057】
本発明品Aのシミュレーション結果では、図9に示すように、半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、Dのうち、半導体スイッチQのJC温度が、最も高くなる。半導体スイッチQのJC温度は、140℃以下まで抑制でき、最高温度の仕様を越えないことが分かった。また、本発明品Bのシミュレーション結果では、図11に示すように、半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、Dのうち、半導体スイッチQのJC温度が、最も高くなる。半導体スイッチQのJC温度は、35℃以下まで抑制でき、最高温度の仕様を越えないことが分かった。
【0058】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、出力コンデンサC21、C22をバッテリ2の供給電圧200Vにプリチャージしていたが、これに限ったものではない。出力コンデンサC21、C22をバッテリ2の供給電圧200Vよりも小さいプリチャージ電圧にプリチャージするようにしてもよい。これにより、第1実施形態よりも高速でDCDCコンバータ3を起動することができる。
【0059】
次に、上記プリチャージ電圧の設定について検討してみる。ダイオードD、DのJC発熱温度Thは、下記の式(1)で表すことができる。
Th=k・Ron・I …(1)
k:比例定数、Ron:ダイオードD、DのON抵抗、I:導通電流
【0060】
また、ダイオードD、DのJC温度Thと、電力Pと、の関係は、下記の式(2)で表すことができる。
Th=k・I・VD=k・P …(2)
VD:ダイオードD、Dの両端の電位差
上記VDは、下記の式(3)で表すことができる。
VD=VB-Vf …(3)
VB:バッテリ2の供給電圧、Vf:ダイオードD、Dの順方向電圧
【0061】
上述した式(1)~(3)にデータシートや実測により得たRon、Vf、I、VDを代入することにより、Thを推定することができる。
【0062】
また、インダクタンスLの両端の電位差VLと導通電流の時間変化率の基本式は、下記の式(4)で表される。
【数1】
【0063】
上記式(1)と式(4)により、電位差VLとJC発熱温度Thとの関係は、下記の式(5)で表される。
【数2】
【0064】
式(5)より、下記の式(6)に示す関係が成り立つ。
【数3】
【0065】
ダイオードD、DのJC温度Tは、発熱温度Th、雰囲気温度T0とすると式(7)で表される。
T=T0+Th …(7)
【0066】
起動時における上記比較品(プリチャージなし、ソフトスタート制御あり)のダイオードDのJC温度は、図7に示すように、約207℃まで発熱する。この発熱を使用最高温度の150℃以下、例えば130℃まで抑制するようなプリチャージ電圧を考える。
【0067】
式(7)により、ダイオードDのJC温度Tが約207℃の時、雰囲気温度T0=27℃ならば、発熱温度Thは180℃(=207℃-27℃)となる。式(6)により、ダイオードDのJC温度Tを130℃(発熱温度Th=103℃=130℃-27℃)に抑制する場合、そのときの電位差VLは、Vf=1.3Vとした場合、下記の式(8)のように導出される。
【数4】
【0068】
上記式(8)より、電位差VLが150.31Vの場合、発熱温度Thが103℃、JC温度Tが130℃となる。よって、プリチャージ回路41に設定する所定電圧を48.55V(=200V-150.31V-1.3V)とすると電位差VL=150.31Vとなる。
【0069】
上述した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様にダイオードD1、D2を含む半導体スイッチQ、Qの発熱を抑えることができる。さらに、所定電圧をバッテリ2の供給電圧200Vよりも低い48.55Vとすることにより、プリチャージ回路41による出力コンデンサC21、C22のプリチャージ時間を短縮することができる。
【0070】
次に、本発明者は、上述した第2実施形態の効果を確認すべく、本発明品C、Dを構成する半導体スイッチQ、Q、ダイオードD、DのJC温度をシミュレーションした。結果を図13図15に示す。また、本発明者は、起動時における本発明品C、Dのバッテリ側電圧VBATT、インバータ側電圧VDC、車速をシミュレーションした。結果を図14図16に示す。
【0071】
本発明品C、Dについて説明する。本発明品C、Dは、上述した図1図3に示す構成であり、プリチャージ回路41を有する。また、本発明品C、Dは、図14図16に示すように、出力コンデンサC21、C22を48.6Vにプリチャージしている。また、本発明品Cの制御部42は、プリチャージ後、目標値Vdcを0Vから650Vまで10msかけて徐々に上げるソフトスタート制御を行っている。本発明品Dの制御部42は、プリチャージ後、目標値dcを48.6Vから650まで10msかけて徐々に上げるソフトスタート制御を行っている。即ち、本発明品Dは、本発明品Cに比べてソフトスタート制御の昇圧変化が小さい。
【0072】
図13に示すように、本発明品Cでは、ダイオードDのJC温度を、127℃まで抑制することができる。一方、本発明品Dでは、図15に示すように、ダイオードDのJC温度を発明品Cと同様に127℃まで抑制することができる。また、本発明品Cでは、半導体スイッチQの温度が136℃まで達しているのに対して、本発明品Dでは、半導体スイッチQの温度が11℃低い125℃まで抑制されている。
【0073】
上述した実施形態によれば、プリチャージ電圧をバッテリ2の供給電圧より低くすることにより、プリチャージに係る時間を短縮することができる。
【0074】
また、上述した実施形態によれば、プリチャージ後に目標値Vdcをプリチャージ電圧から所望の目標値(650V)まで上げるソフトスタート制御を行うことにより、より一層、半導体スイッチQの発熱を抑えることができる。
【0075】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0076】
上述した第1、第2実施形態では、プリチャージ回路41は、別体に設けられた第1スイッチS、第2スイッチSを有していたが、これに限ったものではない。例えば、図17に示すように、リレーRLYを設けて、第1、第2スイッチS、Sとして機能させてもよい。リレーRLYは、接点Cがバッテリ2の正極に接続される。また、2つの切替端子T1、T2の一方(端子T1)が抵抗Rを介して出力コンデンサC21、C22に接続される。他方(端子T2)が、入力コンデンサCに接続される。
【0077】
コンパレータ41Aは、出力コンデンサC21、C22の両端電圧が200Vに達していない場合、Lowを出力し、出力コンデンサC21、C22の両端電圧が200Vに達した場合、Hiを出力する。コンパレータ41Aの出力がLowの場合、リレーRLYの接点Cは切替端子T1に接続される。コンパレータ41Aの出力がHiの場合、リレーRLYの接点Cは切替端子T2に接続される。これにより、プリチャージ回路41は、上述した第1実施形態と同様に動作する。
【0078】
また、上述した第1、第2実施形態によれば、DCDCコンバータ3として、双方向のものを用いていたが、単方向であってもよい。
【0079】
また、制御部42の構成としては、図3に示すものに限定されるものではなく、特開2019-54716号公報や、特開2019-71766号公報に示された他のバリエーションの制御装置を用いてもよい。
【0080】
また、上述した第1、第2実施形態によれば、第2スイッチSをオフすることにより、DCDCコンバータ3の電圧変換を無効にしていたが、これに限ったものではない。起動時に制御部42が、半導体スイッチQ、Qをオフして、電圧変換を無効にしてもよく、第2スイッチSを設けるのは必須ではない。
【0081】
ここで、上述した本発明に係るDCDCコンバータの制御装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
インダクタンス(L)、スイッチ素子(Q、Q)及び平滑コンデンサ(C21、C22)を有し、直流電源(2)の電圧変換を行うDCDCコンバータの制御装置(4)であって、
前記DCDCコンバータ(3)の出力電圧(VDC)の測定値(Vdc)と目標値(Vdc)との偏差に基づいて、前記スイッチ素子(Q、Q)のオンオフをフィードバック制御する制御部(42)と、
前記DCDCコンバータ(3)の電圧変換を無効にした状態で、前記平滑コンデンサ(C21、C22)を所定のプリチャージ電圧までプリチャージした後、前記DCDCコンバータ(3)の電圧変換を有効にするプリチャージ回路(41)と、を備え、
前記制御部(42)は、前記DCDCコンバータ(3)を起動するときに前記目標値(Vdc)を所望の目標値まで徐々に上げるソフトスタート制御を行う、
DCDCコンバータの制御装置(4)。
[2]
[1]に記載のDCDCコンバータの制御装置(4)において、
前記プリチャージ回路(41)は、
前記直流電源(2)と前記平滑コンデンサ(C21、C22)との間に設けられた第1スイッチ(S)と、
前記直流電源(2)と前記DCDCコンバータ(3)の入力との間に設けられた第2スイッチ(S)と、
前記平滑コンデンサ(C21、C22)の両端電圧と前記プリチャージ電圧とを比較し、前記平滑コンデンサ(C21、C22)の両端電圧が前記プリチャージ電圧に達していない場合、前記第1スイッチ(S)をオンすると共に前記第2スイッチ(S)をオフし、前記平滑コンデンサ(C21、C22)の両端電圧が前記プリチャージ電圧に達した場合、前記第1スイッチ(S)をオフすると共に前記第2スイッチ(S)をオンするコンパレータ(41A)と、を有する、
DCDCコンバータの制御装置(4)。
[3]
[1]又は[2]に記載のDCDCコンバータの制御装置(4)であって、
前記プリチャージ電圧は、前記直流電源(2)の供給電圧と等しい、
DCDCコンバータの制御装置(4)。
[4]
[1]又は[2]に記載のDCDCコンバータの制御装置(4)であって、
前記プリチャージ電圧は、前記直流電源(2)の供給電圧より低い、
DCDCコンバータの制御装置(4)。
[5]
[1]~[4]何れか1項に記載のDCDCコンバータの制御装置(4)において、
前記制御部(42)は、前記平滑コンデンサ(C21、C22)をプリチャージした後、前記目標値(Vdc)を前記プリチャージ電圧から前記所望の目標値まで徐々に上げるソフトスタート制御を行う、
DCDCコンバータの制御装置(4)。
【符号の説明】
【0082】
2 バッテリ(直流電源)
3 DCDCコンバータ
4 コンバータ制御装置(制御装置)
41 プリチャージ回路
41A コンパレータ
42 制御部
21、C22 出力コンデンサ(平滑コンデンサ)
第1スイッチ
第2スイッチ
L インダクタンス
、Q 半導体スイッチ(スイッチ素子)
DC インバータ側電圧(出力電圧)
Vdc インバータ側電圧の測定値
Vdc インバータ側電圧の目標値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17