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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】紐止め具
(51)【国際特許分類】
   A44B 11/25 20060101AFI20240730BHJP
   A44B 99/00 20100101ALI20240730BHJP
【FI】
A44B11/25
A44B99/00 611N
A44B99/00 611D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020151856
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2021175489
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2019170310
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020077321
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】南部 円香
(72)【発明者】
【氏名】馬 楽公
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-047949(JP,A)
【文献】特開平07-039406(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01748144(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 11/25
A44B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に並べられた二枚の板状部(21a)及び二枚の板状部(21a)を接続する少なくとも一つの接続部(21b)を有するプラグ基部(21)と、前記板状部(21a)の一部に挟まれる挟持部(22a)及び前記挟持部(22a)から突出する先細で直方体状の突出部(22b)を有する脚部(22)と、前記脚部(22)の反対側の前記接続部(21b)で二枚の前記板状部(21a)を接続することで、前記接続部(21b)から前記脚部(22)の両側にかけて形成されたプラグ開口部(23)と、を有するプラグ(2)と、
ソケット基部(31)と、前記ソケット基部(31)を貫通し先細の傾斜面(31a)を有する孔で形成され前記突出部(22b)の先端を収納するソケット開口部(32)と、を有するソケット(3)と、
を備え、
前記プラグ開口部(23)を通り前記脚部(22)の側方から前記プラグ(2)を出て、前記ソケット開口部(32)を通り前記ソケット(3)から出る紐状部材(4)を設置する際、前記紐状部材(4)は、前記突出部(22b)と前記傾斜面(31a)との間を通り、
前記プラグ(2)と前記ソケット(3)は、弾性作用を利用することなく、
相対的に近づけるだけで前記紐状部材(4)との摩擦力のみで固定され、
相対的に遠ざけるだけで前記紐状部材(4)に対して移動可能となる
ことを特徴とする紐止め具(1)。
【請求項2】
前記挟持部(22a)は、前記プラグ開口部(23)内で露出した側面部(221)を有し、
前記突出部(22b)は、前記側面部(221)から連続した面に凹状の溝が形成された係止部(222)を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の紐止め具(1)。
【請求項3】
前記係止部(222)に形成された溝は、所定の方向に形成された第1の溝(222a)と前記第1の溝(222a)に交差する方向に形成された第2の溝(222b)を少なくとも含む
ことを特徴とする請求項2に記載の紐止め具(1)。
【請求項4】
前記側面部(221)は、曲面から形成される
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の紐止め具(1)。
【請求項5】
前記突出部(22b)は、前記二枚の板状部(21a)に挟持された前記挟持部(22a)の2つの面の先端に凸状の摺動部(223)を有し、
前記ソケット基部(31)は、前記ソケット開口部(32)側で前記プラグ基部(21)側に凹部(31b)が形成され、前記ソケット開口部(32)側で前記プラグ基部(21)とは反対側に前記摺動部(223)を案内する溝状に形成される案内部(31c)を有し、前記凹部(31b)と前記案内部(31c)の間で突出する狭路部(31e)を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の紐止め具(1)。
【請求項6】
前記突出部(22b)は、前記2つの摺動部(223)の間に溝状のスリット部(224)が形成される
ことを特徴とする請求項5に記載の紐止め具(1)。
【請求項7】
前記プラグ基部(21)の前記接続部(21b)から前記突出部(22b)側に向けた側面は、開放されている
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の紐止め具(1)。
【請求項8】
前記ソケット(3)は、前記ソケット基部(31)に、他の部材に取り付けるためのテープが取り付けられるテープ取付部(33)を有する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の紐止め具(1)。
【請求項9】
前記プラグ基部(21)は、二つの前記接続部(21b)を有し、
前記プラグ開口部(23)は、前記二つの接続部(21b)の間から前記脚部(22)の両側にかけて接続される
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の紐止め具(1)。
【請求項10】
前記プラグ(2)の前記接続部(21b)の間は、前記脚部(22)の前記突出部(22b)のうち前記ソケット(3)の前記傾斜面(31a)とで前記紐状部材(4)を挟む部分の延長線(E)よりも内側に配置される
ことを特徴とする請求項に記載の紐止め具(1)。
【請求項11】
前記接続部(21b)の間隔をA、前記脚部(22)の最大幅をB、前記紐状部材(4)の径をDとすると、以下の条件(1)を満足する
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の紐止め具(1)。
D < A < B+2D (1)
【請求項12】
前記接続部(21b)の間隔Aと、前記脚部(22)の最大幅Bの関係は、以下の条件(2)を満足する
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1つに記載の紐止め具(1)。
0.3 < B/A < 2.0 (2)
【請求項13】
前記プラグ基部(21)は、一つの前記接続部(21b)を有し、
前記プラグ開口部(23)は、前記一つの接続部(21b)の両側から前記脚部(22)の両側にかけて接続される
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の紐止め具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装備された紐を締め付けるために使用する紐止め具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケースと摺動体とを嵌挿し、摺動口にガイドを嵌入させ、摘手を挟みつけて摺動体を摺動させ、紐の狭止と解放を行い、ガイド部を押圧没入させてケースから摺動体を離脱させ、新たな紐の挿通操作を行う紐締具が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-39406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された紐締具は、摘手の先端よりで、かつ突出状に対設される弾発部の弾発力によって、摘手を側壁に圧接するように形成されている。しかしながら、弾発部は、薄片により形成されており、クリープ変形等によって強度が低下するおそれがある。また、弾発力を得るために弾発部を長片状に形成する必要があり、紐締具が大型になっていた。
【0005】
本発明は、小型で強度の低下が少なく長寿命で、操作性が良く円滑に移動することができ、且つ、的確に紐状部材に固定されることが可能な紐止め具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具は、
平行に並べられた二枚の板状部及び二枚の板状部を接続する少なくとも一つの接続部を有するプラグ基部と、前記板状部の一部に挟まれる挟持部及び前記挟持部から突出する先細で直方体状の突出部を有する脚部と、前記脚部の反対側の前記接続部で二枚の前記板状部を接続することで、前記接続部から前記脚部の両側にかけて形成されたプラグ開口部と、を有するプラグと、
ソケット基部と、前記ソケット基部を貫通し先細の傾斜面を有する孔で形成され前記突出部の先端を収納するソケット開口部と、を有するソケットと、
を備え、
前記プラグ開口部を通り前記脚部の側方から前記プラグを出て、前記ソケット開口部を通り前記ソケットから出る紐状部材を設置する際、前記紐状部材は、前記突出部と前記傾斜面との間を通り、
前記プラグと前記ソケットは、弾性作用を利用することなく、
相対的に近づけるだけで前記紐状部材との摩擦力のみで固定され、
相対的に遠ざけるだけで前記紐状部材に対して移動可能となる
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具では、
前記挟持部は、前記プラグ開口部内で露出した側面部を有し、
前記突出部は、前記側面部から連続した面に凹状の溝が形成された係止部を有する
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具では、
前記係止部に形成された溝は、所定の方向に形成された第1の溝と前記第1の溝に交差する方向に形成された第2の溝を少なくとも含む
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具では、
前記側面部は、曲面から形成される
ことを特徴とする。
【0010】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具では、
前記突出部は、前記二枚の板状部に挟持された前記挟持部の2つの面の先端に凸状の摺動部を有し、
前記ソケット基部は、前記ソケット開口部側で前記プラグ基部側に凹部が形成され、前記ソケット開口部側で前記プラグ基部とは反対側に前記摺動部を案内する溝状に形成される案内部を有し、前記凹部と前記案内部の間で突出する狭路部を有する
ことを特徴とする。
【0011】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具では、
前記突出部は、前記2つの摺動部の間に溝状のスリット部が形成される
ことを特徴とする。
【0013】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具では、
前記プラグ基部の前記接続部から前記突出部側に向けた側面は、開放されている
ことを特徴とする。
【0014】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具は、
前記ソケットは、前記ソケット基部の一方の前記案内部の裏側に、他の部材に取り付けるためのテープが取り付けられるテープ取付部が形成される
ことを特徴とする。
【0015】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具は、
前記プラグ基部は、二つの前記接続部を有し、
前記プラグ開口部は、前記二つの接続部の間から前記脚部の両側にかけて接続される
ことを特徴とする。
【0016】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具は、
前記プラグの前記接続部の間は、前記脚部の前記突出部のうち前記ソケットの前記傾斜面とで前記紐状部材(4)を挟む部分の延長線よりも内側に配置される
ことを特徴とする。
【0017】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具は、
前記接続部の間隔をA、前記脚部の最大幅をB、前記紐状部材の径をDとすると、以下の条件(1)を満足する
ことを特徴とする。
D < A < B+2D (1)
【0018】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具は、
前記接続部の間隔Aと、前記脚部の最大幅Bの関係は、以下の条件(2)を満足する
ことを特徴とする。
0.3 < B/A < 2.0 (2)
【0019】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具は、
前記プラグ基部は、一つの前記接続部を有し、
前記プラグ開口部は、前記一つの接続部の両側から前記脚部の両側にかけて接続される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具によれば、小型で強度の低下が少なく長寿命で、操作性が良く円滑に移動することができ、且つ、的確に紐状部材に固定されることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の紐止め具を構成するプラグとソケットの断面を示す。
図2】第1実施形態の紐止め具を構成するプラグとソケットの斜視図を示す。
図3】第1実施形態のプラグとソケットを組み付ける直前の紐止め具の断面図を示す。
図4】第1実施形態のプラグとソケットを組み付けた直後の紐止め具の断面図を示す。
図5】紐状部材に固定した第1実施形態の紐止め具の断面図を示す。
図6】紐状部材に固定した第1実施形態の紐止め具の斜視図を示す。
図7】第1実施形態の紐止め具のプラグの寸法関係の一例を示す。
図8】第2実施形態のプラグを基部側から見た斜視図を示す。
図9】第2実施形態のプラグを脚部側から見た斜視図を示す。
図10】第2実施形態のプラグの壁部を含む断面を示す。
図11】第2実施形態のプラグとソケットを組み付ける直前の紐止め具の断面図を示す。
図12】第2実施形態のプラグとソケットを組み付ける途中の紐止め具の断面図を示す。
図13】第2実施形態のプラグとソケットを組み付けた直後の紐止め具の断面図を示す。
図14】紐状部材に固定した第2実施形態の紐止め具の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明にかかる一実施形態の紐止め具1を具体的に説明する。
【0023】
図1は、第1実施形態の紐止め具1を構成するプラグ2とソケット3の断面を示す。図1(a)はプラグ2を示し、図1(b)はソケット3を示す。図2は、第1実施形態の紐止め具1を構成するプラグ2とソケット3の斜視図を示す。図2(a)はソケット3を示し、図2(b)はプラグ2を示す。紐止め具1は、プラグ2とソケット3を組み付けることで構成される。
【0024】
プラグ2は、プラグ基部21及びプラグ基部21から突出する脚部22を含む。プラグ基部21と脚部22は、射出成形で一体に形成されるが、ここでは、理解を容易にするため、各部に分けて説明する。
【0025】
プラグ基部21は、平行に並べられた二枚の板状部21aと、二枚の板状部21aを接続する少なくとも二つの接続部21bと、を有する。二枚の板状部21aの一部は、脚部22の一部を挟む。脚部22を挟んだ部分とは反対側の二つの接続部21bは、2枚の板状部21aを接続する。したがって、プラグ2は、プラグ基部21の接続部21bの間から脚部22の両側にかけて形成された孔からなるプラグ開口部23を有する。
【0026】
脚部22は、全体的に略直方体状であって、二枚の板状部21aの一部に挟まれた挟持部22aと、挟持部22aから突出する先細で直方体状の突出部22bと、を有する。挟持部22aは、プラグ基部21に挟まれている。したがって、側面部221は、プラグ開口部23内で露出している。側面部221は、滑らかな曲面で形成される。突出部22bには、側面部221から連続した両側面に凹状の溝222aを含む係止部222が形成される。突出部22bの係止部222が形成されていない両面の先端には凸状の摺動部223が形成される。
【0027】
ソケット3は、直方体状のソケット基部31からなる。ソケット基部31は、貫通する孔で形成されたソケット開口部32を有する。なお、ソケット3は、プラグ2が挿入してくる側を挿入側、反対側を反挿入側とする。
【0028】
ソケット基部31のソケット開口部32内で、プラグ2との結合時に突出部22bの係止部222と対向する位置には、突出部22bの形状にあわせて傾斜した傾斜面31aが形成される。ソケット開口部32の挿入側で、プラグ2との結合時に摺動部223と最初に接触する位置には、凹部31bが形成される。ソケット開口部32の反挿入側には、プラグ2の挿入方向に溝状に形成される案内部31cが形成される。ソケット基部31の傾斜面31aの反挿入側には、切欠部31dが形成される。ソケット開口部32の凹部31bと案内部31cの間には狭路部31eがそれぞれ形成される。
【0029】
図3は、第1実施形態のプラグ2とソケット3を組み付ける直前の紐止め具1の断面図を示す。図3(a)はプラグ2とソケット3の幅広な面に平行な断面、図3(b)は図3(a)に直交する断面を示す。
【0030】
第1実施形態の紐止め具1のプラグ2とソケット3を組み付ける前に、まず、図示しない組み付け者は、プラグ2とソケット3に紐状部材4を通す。紐状部材4は、紐、コード又はワイヤ等の細長い部材であり、木綿、麻、絹、ポリプロピレン、ナイロン、紙又はゴム等の材料で形成される。紐状部材4は、1本の場合と2本の場合のどちらでもよい。
【0031】
紐状部材4が1本の場合、まず、組み付け者は、紐状部材4を、プラグ2の接続部21bの間からプラグ開口部23に通し、脚部22の側方から出す。続いて、組み付け者は、紐状部材4を、ソケット3の凹部31b側からソケット開口部32に通し、案内部31c側から出す。その後、組み付け者は、紐状部材4を、ソケット3の案内部31c側からソケット開口部32に通し、凹部31b側から出す。続いて、組み付け者は、紐状部材4を、プラグ2の脚部22の側方からプラグ開口部23に通し、接続部21bの間から出す。
【0032】
なお、紐状部材4が1本の場合、紐状部材4をソケット3から通す方法もある。この方法では、まず、組み付け者は、紐状部材4を、ソケット3の案内部31c側からソケット開口部32に通し、凹部31b側から出す。続いて、組み付け者は、紐状部材4を、プラグ2の脚部22の側方からプラグ開口部23に通し、接続部21bの間から出す。その後、組み付け者は、紐状部材4を、プラグ2の接続部21bの間からプラグ開口部23に通し、脚部22の側方から出す。続いて、組み付け者は、紐状部材4を、ソケット3の凹部31b側からソケット開口部32に通し、案内部31c側から出す。
【0033】
紐状部材4が2本の場合、まず、組み付け者は、紐状部材4を、プラグ2の接続部21bの間からプラグ開口部23に通し、脚部22の側方から出す。続いて、組み付け者は、紐状部材4を、ソケット3の凹部31b側からソケット開口部32に通し、案内部31c側から出す。また、他の方法として、まず、組み付け者は、紐状部材4を、ソケット3の案内部31c側からソケット開口部32に通し、凹部31b側から出す。続いて、組み付け者は、紐状部材4を、プラグ2の脚部22の側方からプラグ開口部23に通し、接続部21bの間から出す。
【0034】
第1実施形態の紐止め具1では、プラグ開口部23とソケット開口部32の両方を紐状部材4が通過するので、万が一プラグ2とソケット3が離間した場合であっても、どちらも紐状部材4から落下することがなく、プラグ2又はソケット3を紛失する可能性が低い。
【0035】
次に、図3に示すように、プラグ2の摺動部223とソケット3の凹部31bの位置をあわせる。その後、プラグ2とソケット3を押し付けて、摺動部223を凹部31bから案内部31cへ進ませる。2つの摺動部223を含む部分の突出部22bの厚みは、向かい合う狭路部31eの間隔よりも厚く形成されているので、通常、摺動部223は狭路部31eを乗り越えられない。しかしながら、摺動部223は先端からテーパ状に形成されており、凹部31bは奥に向けて間隔が狭くなるように形成されているので、プラグ2をさらに押すと、ソケット3が撓み、摺動部223は、凹部31bから狭路部31eへ乗り上げることができる。
【0036】
図4は、第1実施形態のプラグ2とソケット3を組み付けた直後の紐止め具1の断面図を示す。図4(a)はプラグ2とソケット3の幅広な面に平行な断面、図4(b)は図4(a)に直交する断面を示す。
【0037】
プラグ2とソケット3を押し付けると、摺動部223は凹部31bから狭路部31eを乗り越えて案内部31cへ進む。一度案内部31cへ移動した摺動部223は、狭路部31eに引っ掛かり、凹部31bへ移動することが困難となる。このように、摺動部223は、案内部31cに案内されて移動する。したがって、プラグ2がソケット3に対して的確に移動できる。そして、紐止め具1を紐状部材4に対して的確に固定させることができる。また、摺動部223が狭路部31eに引っ掛かるので、プラグ2がソケット3に対して離脱することがなく、紐止め具1を紐状部材4に対して的確に移動させることができる。
【0038】
プラグ2とソケット3が図4に示す位置にある時、紐状部材4は、プラグ2の係止部222又はソケット3の傾斜面31aに挟まれることがなく、紐止め具1に対して移動可能である。すなわち、紐状部材4に対して紐止め具1が移動可能である。
【0039】
この状態の紐止め具1では、紐状部材4は滑らかな曲面で形成された側面部221に接触することになり、紐状部材4の劣化を少なくすることができ、紐状部材4を長寿命にすることができる。
【0040】
図5は、紐状部材4に固定した第1実施形態の紐止め具1の断面図を示す。図6は、紐状部材4に固定した第1実施形態の紐止め具1の斜視図を示す。図5(a)はプラグ2とソケット3の幅広な面に平行な断面、図5(b)は図5(a)に直交する断面を示す。
【0041】
プラグ2とソケット3を組み付けた後、第1実施形態の紐止め具1を紐状部材4に固定する場合、プラグ2とソケット3を近づける。すなわち、プラグ2側の紐状部材4を引っ張りながら、プラグ2をソケット3側にさらに押す、又は、ソケット3側の紐状部材4を引っ張りながら、ソケット3をプラグ2側にさらに押す。すると、摺動部223は案内部31cをさらに進み、紐状部材4は、プラグ2の脚部22の係止部222とソケットの傾斜面31aとに挟まれて固定される。すなわち、紐状部材4に対して紐止め具1が固定される。
【0042】
このように、第1実施形態の紐止め具1は、紐状部材4に固定する際に弾性作用を利用していない。したがって、弾性作用を負荷することなく、小さい力でプラグ2とソケット3を相対的に近づけるだけで、紐状部材4に対して容易に固定させることができる。また、第1実施形態の紐止め具1は、クリープ変形によって強度が低下し、広いスペースを必要とする弾性部材を用いることがない。したがって、小型で強度の低下が少なく長寿命で、操作性が良く円滑に移動することができ、且つ、的確に紐状部材4に固定されることが可能である。
【0043】
第1実施形態の紐止め具1は、紐状部材4に対して紐止め具1が固定された状態で、プラグ2の脚部22は、ソケット3のソケット開口部32を貫通することがない。すなわち、脚部22の端部に形成された摺動部223は、ソケット3のソケット開口部32に収納される。したがって、プラグ2の脚部22の先端側を常に保護することができる。
【0044】
また、第1実施形態の紐止め具1は、側面部221から連続した平面の一部に形成した複数の凹状の溝222aによって係止部222が形成されている。紐状部材4は係止部222の平面に接触することになる。したがって、紐状部材4は、摩擦を大きくしながら、劣化を少なくすることができ、長寿命となる。
【0045】
図5に示した紐状部材4に対して紐止め具1が固定された状態から紐止め具1を移動させて図4に示した状態にする場合、プラグ2とソケット3を相対的に遠ざける。すなわち、プラグ2側の紐状部材4を引っ張りながら、ソケット3を反対側に引っ張る、又は、ソケット3側の紐状部材4を引っ張りながら、プラグ2を反対側に引っ張る。すると、プラグ2とソケット3が離れ、紐状部材4は紐止め具1に対して移動可能となる。すなわち、紐状部材4に対して紐止め具1が移動可能となる。
【0046】
このように、第1実施形態の紐止め具1は、紐状部材4に固定する際に弾性作用を利用していない。したがって、弾性作用を解除することなく、小さい力でプラグ2とソケット3を相対的に遠ざけるだけで、紐止め具1を紐状部材4に対して容易に移動させることができる。また、クリープ変形によって強度が低下し、広いスペースを必要とする弾性部材を用いることがないので、第1実施形態の紐止め具1は、小型で強度の低下が少なく長寿命で、操作性が良く円滑に移動することができ、且つ、的確に紐状部材4に固定される。さらに、プラグ基部21の接続部21bから突出部22b側に向けた側面は、開放されている。
【0047】
図7は、第1実施形態の紐止め具1のプラグ2の寸法関係の一例を示す。
【0048】
第1実施形態の紐止め具1において、紐状部材4に対する適度な移動を可能とするために、紐止め具1と紐状部材4との間の摩擦力は、強すぎないことが必要である。また、紐止め具1において、プラグ2とソケット3とをより強く固定させるために、紐止め具1と紐状部材4との間の摩擦力は、弱すぎないことが必要である。
【0049】
そのため、紐止め具1は、脚部22の側面部221から係止部222にわたって紐状部材4を面接触させ、幅方向に摩擦力を分散させないこととする。また、紐状部材4は、脚部22の突出部22bのうちソケット3の傾斜面31aとで紐状部材4を挟む部分の延長線Eよりも内側を通過することとする。つまり、プラグ2の両接続部21bの内端を延長線Eよりも内側に形成し、紐状部材4は接続部21bの内側を通過させる。紐状部材4は、接続部21bと脚部22の付近でS字又は逆S字の形状となる。
【0050】
具体的には、接続部21bの間隔をA、脚部22の最大幅をB、紐状部材4の径をDとすると、以下の条件(1)を満足する。
D < A < B+2D (1)
【0051】
また、接続部21bの間隔Aと、脚部22の最大幅Bの関係は、以下の条件(2)を満足する。
0.3 < B/A < 2.0 (2)
【0052】
より好ましくは、接続部21bの間隔Aと、脚部22の最大幅Bの関係は、以下の条件(2’)を満足する。
0.5 < B/A < 1.8 (2’)
【0053】
さらに好ましくは、接続部21bの間隔Aと、脚部22の最大幅Bの関係は、以下の条件(2”)を満足する。
0.58 < B/A < 1.69 (2”)
【0054】
このように、本実施形態の紐止め具1は、脚部22の側面部221から係止部222にわたって紐状部材4を面接触させ、幅方向に摩擦力を分散させないので、適度な摩擦力を得ることができる。そして、その摩擦力は、紐止め具1に対して紐状部材4を適度に移動させることができる。また、紐止め具1は、紐状部材4と脚部22の間に適度な摩擦力を生じさせることができる。そして、その摩擦力は、プラグ2とソケット3を的確に保持することができる。
【0055】
次に、第2実施形態の紐止め具1について説明する。なお、第2実施形態の紐止め具1について説明のない部分は、第1実施形態と同様の構造でよい。
【0056】
図8は、第2実施形態のプラグ2を基部21側から見た斜視図を示す。図9は、第2実施形態のプラグ2を脚部22側から見た斜視図を示す。図10は、第2実施形態のプラグ2の壁部21cを含む断面を示す。
【0057】
第2実施形態のプラグ2は、第1実施形態と比較して接続部21bの位置が変更されている。第2実施形態の接続部21bは、脚部22の挟持部22aから突出部22bとは反対方向へ向かって延び、プラグ基部21の二枚の板状部21aを接続する。したがって、第2実施形態のプラグ2は、一つの接続部21bの両側に形成された二つのプラグ開口部23を有する。
【0058】
二つのプラグ開口部23の接続部21bに対向する両側端には、壁部21cが形成される。壁部21cは、二枚の板状部21aのそれぞれから近づくように突出する。それぞれの壁部21cの向かい合う対向部21dは、図10に示すように、まず板状部21aの両端側から接続部21bに向かうにつれて対向する部分の距離が近づくテーパ状に形成される。そして、所定の位置で対向する部分の距離が最短となる最短間隔部21eが形成される。最短間隔部21eから接続部21bに近づく所定の部分では、対向する部分の距離は遠ざかる。つまり、図10における紙面において、最短間隔部21eは、上下から突出するように形成される。
【0059】
このような構造によって、壁部21cの対向部21d間から最短間隔部21eを通過させるだけで、簡単に紐を取り付けることができる。そして、プラグ開口部23に取り付けた紐は、壁部21cによって外れにくくすることができる。
【0060】
また、第2実施形態の脚部22は、プラグ基部21とは反対側の突出部22bの先端にスリット部224が形成される。スリット部224は、2つの摺動部223の間に形成される。スリット部224を形成することによって、摺動部223が押された時に、突出部22bがスリット部224側に撓むことができる。
【0061】
さらに、第2実施形態は、第1実施形態で形成された脚部22の係止部222の第1の溝222aに対して交差する方向にさらに第2の溝222bが形成される。第1の溝222aと第2の溝222bは、直交することが好ましい。このように第2の溝222bが形成されることによって、紐と係止部222との摩擦力を増加させることができる。
【0062】
図11は、第2実施形態のプラグ2とソケット3を組み付ける直前の紐止め具1の断面図を示す。図12は、第2実施形態のプラグ2とソケット3を組み付ける途中の紐止め具1の断面図を示す。
【0063】
第2実施形態のソケット3は、ソケット基部31の一方の案内部31cの裏側の面にテープ取付部33が形成される。テープ取付部33には、ソケット開口部32に平行又は略平行に貫通部33aが形成される。貫通部33aには、他の部材に取り付けるためのテープを通すとよい。テープ取付部33はソケット基部31の反挿入側に形成されると、プラグ2をソケット3に対して移動させる際に邪魔にならず好ましい。
【0064】
第2実施形態の紐止め具1は、第1実施形態の紐止め具1と同様、プラグ2とソケット3を組み付ける前に、まず、プラグ2とソケット3に紐状部材4を通す。紐状部材4は、第1実施形態と同様の材料及び構造でよい。
【0065】
次に、図11に示すように、プラグ2の摺動部223とソケット3の凹部31bの位置をあわせる。その後、図12に示すように、プラグ2とソケット3を押し付けて、摺動部223を凹部31bから案内部31cへ進ませる。摺動部223は、凹部31bと案内部31cの間の間隔よりも大きく形成されている。しかしながら、第2実施形態の摺動部223は、第1実施形態と同様に、先端からテーパ状に形成されており、凹部31bは奥に向けて間隔が狭くなるように形成されており、さらに裏側にスリット部224を有している。したがって、プラグ2をさらに押すと、両側の摺動部223がそれぞれスリット部224側に近づくように撓む。そして、摺動部223は、凹部31bから狭路部31eへ乗り上げる。
【0066】
図13は、第2実施形態のプラグ2とソケット3を組み付けた直後の紐止め具1の断面図を示す。
【0067】
プラグ2とソケット3を押し付けると、摺動部223は凹部31bから狭路部31eを乗り越えて案内部31cへ進む。一度案内部31cへ移動した摺動部223は、狭路部31eに引っ掛かり、凹部31bへ移動することが困難となる。その後、摺動部223は、案内部31cに案内されて移動する。したがって、プラグ2は、ソケット3に対して的確に移動できる。そして、紐止め具1は、紐状部材4に対して的確に固定することができる。また、摺動部223が狭路部31eに引っ掛かるので、プラグ2がソケット3に対して離脱することがなく、紐止め具1を紐状部材4に対して的確に移動させることができる。
【0068】
プラグ2とソケット3が図13に示す位置にある時、紐状部材はプラグ2の係止部222又はソケット3の傾斜面31aに挟まれることがなく紐止め具1に対して移動可能である。すなわち、紐状部材に対して紐止め具1が移動可能である。
【0069】
この状態の紐止め具1では、紐状部材は滑らかな曲面で形成された側面部221に接触することになり、紐状部材の劣化を少なくすることができ、紐状部材4を長寿命にすることができる。
【0070】
図14は、紐状部材4に固定した第2実施形態の紐止め具1の斜視図を示す。
【0071】
プラグ2とソケット3を組み付けた後、第2実施形態の紐止め具1を紐状部材4に固定する場合、プラグ2とソケット3を近づける。すなわち、プラグ2側の紐状部材4を引っ張りながら、プラグ2をソケット3側にさらに押す、又は、ソケット3側の紐状部材4を引っ張りながら、ソケット3をプラグ2側にさらに押す。すると、摺動部223は案内部31cをさらに進み、紐状部材4は、プラグ2の脚部22の係止部222とソケットの傾斜面31aとに挟まれて固定される。すなわち、紐状部材4に対して紐止め具1が固定される。
【0072】
このように、第2実施形態の紐止め具1は、紐状部材4に固定する際に弾性作用を利用していない。したがって、弾性作用を負荷することなく、小さい力でプラグ2とソケット3を相対的に近づけるだけで、紐状部材4に対して容易に固定させることができる。また、第2実施形態の紐止め具1は、クリープ変形によって強度が低下し、広いスペースを必要とする弾性部材を用いることがない。したがって、小型で強度の低下が少なく長寿命で、操作性が良く円滑に移動することができ、且つ、的確に紐状部材4を固定することが可能である。
【0073】
また、第2実施形態の紐止め具1は、側面部221から連続した平面の一部に形成した複数の凹状の第1の溝222a及び第2の溝222bによって係止部222が形成されている。そして、紐状部材4は係止部222の平面に接触することになる。したがって、紐状部材4は、摩擦を大きくしながら、劣化を少なくすることができ、長寿命となる。
【0074】
図14に示した紐状部材4に対して紐止め具1が固定された状態から紐止め具1を移動させて図13に示した状態にする場合、プラグ2とソケット3を相対的に遠ざける。すなわち、プラグ2側の紐状部材4を引っ張りながら、ソケット3を反対側に引っ張る、又は、ソケット3側の紐状部材4を引っ張りながら、プラグ2を反対側に引っ張る。すると、プラグ2とソケット3が離れ、紐状部材4は紐止め具1に対して移動可能となる。すなわち、紐状部材4に対して紐止め具1が移動可能となる。
【0075】
このように、第2実施形態の紐止め具1は、紐状部材4に固定する際に弾性作用を利用していない。したがって、弾性作用を解除することなく、小さい力でプラグ2とソケット3を相対的に遠ざけるだけで、紐止め具1を紐状部材4に対して容易に移動させることができる。また、クリープ変形によって強度が低下し、広いスペースを必要とする弾性部材を用いることがないので、第2実施形態の紐止め具1は、小型で強度の低下が少なく長寿命で、操作性が良く円滑に移動することができ、且つ、的確に紐状部材4に固定される。さらに、プラグ基部21の接続部21bから突出部22b側に向けた側面は、開放されている。
【0076】
以上、本実施形態の紐止め具1は、平行に並べられた二枚の板状部21a及び二枚の板状部21aを接続する少なくとも一つの接続部21bを有するプラグ基部21と、板状部21aの一部に挟まれる挟持部22a及び挟持部22aから突出する先細で直方体状の突出部22bを有する脚部22と、脚部22の反対側の接続部21bで二枚の板状部21aを接続することで、接続部21bから脚部22の両側にかけて形成されたプラグ開口部23と、を有するプラグ2と、ソケット基部31と、ソケット基部31を貫通し先細の傾斜面31aを有する孔で形成され突出部22bの先端を収納するソケット開口部32と、を有するソケット3と、を備え、プラグ開口部23を通り脚部22の側方からプラグ2を出て、ソケット開口部32を通りソケット3から出る紐状部材4を設置する際、紐状部材4は、突出部22bと傾斜面31aとの間を通る。
【0077】
したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、小型で強度の低下が少なく長寿命で、操作性が良く円滑に移動することができ、且つ、的確に紐状部材4に固定されることが可能となる。また、本実施形態の紐止め具1では、プラグ2のプラグ開口部23とソケット3のソケット開口部32の両方を紐状部材4が通過するので、万が一プラグ2とソケット3が離間した場合であっても、どちらも紐状部材4から落下することがなく、プラグ2又はソケット3を紛失する可能性が低い。
【0078】
また、本実施形態の紐止め具1では、挟持部22aは、プラグ開口部23内で露出した側面部221を有し、突出部22bは、側面部221から連続した面に凹状の溝が形成された係止部222を有する。
【0079】
したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、紐状部材4は係止部222の平面に接触することになり、摩擦を大きくしながら紐状部材4の劣化を少なくすることができ、紐状部材4を長寿命にすることができる。
【0080】
本発明の一実施形態にかかる紐止め具1では、前記係止部に形成された溝222aは、所定の方向に形成された第1の溝222aと第1の溝222aに交差する方向に形成された第2の溝222bを少なくとも含む。
【0081】
したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、紐状部材4は、さらに摩擦を大きくしながら紐状部材4の劣化を少なくすることができ、紐状部材4を長寿命にすることができる。
【0082】
また、本実施形態の紐止め具1では、側面部221は、曲面から形成される。したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、紐状部材4は曲面に接触することになり、紐状部材4の劣化を少なくすることができ、紐状部材4を長寿命にすることができる。
【0083】
また、本実施形態の紐止め具1では、突出部22bは、二枚の板状部21aに挟持された挟持部22aの2つの面の先端に凸状の摺動部223を有し、ソケット基部31は、ソケット開口部32側でプラグ基部21側に凹部31bが形成され、ソケット開口部32側でプラグ基部21とは反対側に摺動部223を案内する溝状に形成される案内部31cを有し、凹部31bと案内部31cの間で突出する狭路部31eを有する。
【0084】
したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、摺動部223は、案内部31cに案内されて移動するので、プラグ2がソケット3に対して的確に移動でき、紐止め具1を紐状部材4に対して的確に固定させることができる。また、摺動部223が狭路部31eに引っ掛かるので、プラグ2がソケット3に対して離脱することがなく、紐止め具1を紐状部材4に対して的確に移動させることができる。
【0085】
また、本実施形態の紐止め具1では、突出部22bは、2つの摺動部223の間に溝状のスリット部224が形成される。
【0086】
したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、プラグ2をソケット3に挿入する際、摺動部223が狭路部31eに押されると、摺動部223が形成された突出部22bの先端がスリット部224側に撓む。そのため、大きな力を必要とせず、容易にプラグ2をソケット3に挿入することができる。
【0087】
また、本実施形態の紐止め具1は、プラグ2とソケット3を相対的に近づけるだけで紐状部材4との摩擦力のみで固定され、プラグ2とソケット3を相対的に遠ざけるだけで紐状部材4に対して移動可能となる。
【0088】
したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、紐状部材4に固定する際に弾性作用を利用していないので、弾性作用を負荷することなく、小さい力でプラグ2とソケット3を相対的に近づけるだけで、紐状部材4に対して容易に固定させることができ、且つ、弾性作用を解除することなく、小さい力でプラグ2とソケット3を相対的に遠ざけるだけで、紐状部材4に対して容易に移動させることができる。
【0089】
また、本実施形態の紐止め具1では、プラグ基部21の接続部21bから突出部22b側に向けた側面は、開放されている。したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、プラグ2に紐状部材4を容易に通すことができる。
【0090】
また、本実施形態の紐止め具1では、ソケット3は、ソケット基部31に、他の部材に取り付けるためのテープが取り付けられるテープ取付部33を有する。したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、プラグ2をソケット3に対して移動させる際に、他の部材に取り付けるためのテープが邪魔にならず好ましい。
【0091】
また、本実施形態の紐止め具1では、プラグ基部21は、二つの接続部21bを有し、プラグ開口部23は、二つの接続部21bの間から脚部22の両側にかけて接続される。したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、二つの接続部21bによりプラグ基部21の強度を保持しつつ、プラグ開口部23によりプラグ2に紐状部材4を的確に通すことができる。
【0092】
また、本実施形態の紐止め具1では、プラグ2の接続部21bの間は、脚部22の突出部22bのうちソケット3の傾斜面31aとで紐状部材4を挟む部分の延長線Eよりも内側に配置される。
【0093】
したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、紐状部材4と脚部22の間に適度な摩擦力を生じさせることができ、その摩擦力のみでプラグ2とソケット3を的確に保持させることができる。
【0094】
また、本実施形態の紐止め具1は、接続部21bの間隔をA、脚部22の最大幅をB、紐状部材4の径をDとすると、以下の条件(1)を満足する。
D < A < B+2D (1)
【0095】
したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、紐状部材4と脚部22の間に適度な摩擦力を生じさせることができ、その摩擦力のみでプラグ2とソケット3をより的確に保持させることができる。
【0096】
また、本実施形態の紐止め具1は、接続部21bの間隔Aと、脚部22の最大幅Bの関係は、以下の条件(2)を満足する。
0.3 < B/A < 2.0 (2)
【0097】
したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、紐状部材4と脚部22の間に適度な摩擦力を生じさせることができ、その摩擦力のみでプラグ2とソケット3をさらに的確に保持させることができる。
【0098】
また、本実施形態の紐止め具1は、プラグ基部21は、一つの接続部21bを有し、プラグ開口部23は、一つの接続部の両側から脚部22の両側にかけて接続される。したがって、本実施形態の紐止め具1によれば、脚部22に接続される接続部21bによりプラグ基部21の強度を保持しつつ、プラグ開口部23によりプラグ2に紐状部材4を的確に通すことができる。
【0099】
なお、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0100】
1…紐止め具
2…プラグ
21…プラグ基部
21a…板状部
21b…接続部
22…脚部
22a…挟持部
22b…突出部
221…側面部
222…係止部
222a…溝,第1の溝
222b…第2の溝
223…摺動部
224…スリット部
23…プラグ開口部
3…ソケット
31…ソケット基部
31a…傾斜面
31b…凹部
31c…案内部
31d…切欠部
31e…狭路部
32…ソケット開口部
33…テープ取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14