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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20240730BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240730BHJP
   H05K 5/02 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
H05K5/03 B
B60R16/02 610B
H05K5/02 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020176252
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2022067512
(43)【公開日】2022-05-06
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪井 祐也
(72)【発明者】
【氏名】小西 幸英
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-019009(JP,A)
【文献】特開2013-176242(JP,A)
【文献】特開2014-075918(JP,A)
【文献】特開2000-205099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00- 5/03
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を内蔵し、一端が開口部である有底状の筐体と、
前記開口部を塞ぐ板状の蓋部であって、側面が覆われた状態で前記開口部の内部に配置される蓋部と、
を備え、
前記蓋部は、
前記側面が凹んだ凹部と、前記側面における端部から前記筐体の側面に沿って内部へ突出した突出部とを有し、
前記筐体は、
前記開口部の端部が段差形状であり、
前記蓋部は、
前記突出部の形状が前記段差形状に対応した段差形状であり、
前記蓋部および前記筐体により形成される段差形状は、前記凹部よりも前記筐体の内側に位置すること
を特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記基板は、
前記筐体の底部と向かい合って配置され、
前記突出部は、
先端から前記底部までの距離が、前記基板から前記底部までの距離よりも近い位置まで突出した形状であること
を特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記蓋部の前記突出部は、第1の突出部であって、
前記筐体は、
前記第1の突出部よりも内側において、前記筐体の底部から前記開口部に向かって突出した第2の突出部を有し、
前記第1の突出部および前記第2の突出部は、
突出方向と直交する方向において互いに重なる位置であること
を特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記筐体は、
取付状態において下側となる前記側面に貫通孔を有すること
を特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)等は、筐体に収納された状態で車両に固定される場合がある。また、かかる筐体内に水が侵入することを抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-308134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、筐体内へ水が進入した場合に、基板が損傷するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、筐体内に進入した水により基板が損傷することを高精度に回避することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、筐体と、蓋部とを備える。前記筐体は、基板を内蔵し、一端が開口部である有底状の部材である。前記蓋部は、前記開口部を塞ぐ板状の蓋部であって、側面が覆われた状態で前記開口部の内部に配置される。前記蓋部は、前記側面が凹んだ凹部と、前記側面における端部から前記筐体の側面に沿って内部へ突出した突出部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、筐体内に進入した水により基板が損傷することを高精度に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電子機器の上面側から見た斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る電子機器の下面側から見た斜視図である。
図3図3は、蓋部の斜視図である。
図4図4は、蓋部の斜視図である。
図5図5は、蓋部による作用機構を説明するための図である。
図6図6は、筐体の斜視図である。
図7図7は、筐体の斜視図である。
図8図8は、筐体による作用機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電子機器の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1および図2を用いて、実施形態に係る電子機器の構成例について説明する。図1は、実施形態に係る電子機器の上面側から見た斜視図である。図2は、実施形態に係る電子機器の下面側から見た斜視図である。なお、図2では、車両に取付けられた状態の電子機器1の向きである。
【0011】
図1および図2に示すように、実施形態に係る電子機器1は、筐体2と、基板3と、蓋部4とを備える。
【0012】
筐体2は、基板3を内蔵する部材である。また、図1および図2に示すように、筐体2は、一端の主面が開口部2aであり、他端の主面が底部2bである。つまり、筐体2は、有底状の部材である。なお、筐体2の側面には、例えば、端子口等が設けられる。
【0013】
基板3は、例えば、板状に形成され、図示しない各種の電子機器や制御回路等が実装される。また、図1および図2に示すように、基板3は、筐体2の底部2bおよび蓋部4と向かい合って配置される。
【0014】
蓋部4は、筐体2の開口部2aを塞ぐ板状の部材である。蓋部4は、側面が覆われた状態で開口部2aの内部に嵌合した状態で配置される。
【0015】
ところで、筐体2と蓋部4とが嵌め合った状態で組み付けられる場合、例えば筐体2や蓋部4の製造ばらつきを考慮して、筐体2の側面と蓋部4の側面との間には、わずかな隙間が生じるように設計される。
【0016】
そして、電子機器1が図2に示すように、縦向きで車両に取付けられた場合において、電子機器1の上側から水が流れてくると、蓋部4の外側から電子機器1の下側に伝った水が毛細管現象により、筐体2と蓋部4の隙間から内部に侵入して基板3が損傷するおそれがあった。
【0017】
そこで、実施形態に係る電子機器1では、蓋部4の形状を改良することで、筐体2に侵入した水により基板3が損傷することを高精度に回避する構成とした。かかる点について、図3図5を用いて説明する。
【0018】
図3および図4は、蓋部4の斜視図である。図5は、蓋部4による作用機構を説明するための図である。なお、図3は、電子機器1の内部側から見た蓋部4であり、図4は、電子機器1の外部側から見た蓋部4である。
【0019】
図3に示すように、蓋部4は、一部の側面が凹んだ凹部41を有する。図3に示す例では、蓋部4の6つの辺に対応する側面のうち、5つの辺に対応する側面に凹部41a~41eが形成される。
【0020】
具体的には、蓋部4は、電子機器1の取付状態(図2の状態)において、最上端となる辺の側面以外の側面に凹部41が形成される。より具体的には、電子機器1の取付状態において、5つの凹部41a~41eそれぞれは、横向きの凹部41a,41cと、縦向きの凹部41b,41d,41eとで構成される。
【0021】
また、蓋部4は、凹部41に対応する側面における端部から筐体2の側面に沿って内部へ突出した突出部42(第1の突出部)を有する。すなわち、突出部42は、取付状態(図2の状態)において、最上端となる辺の側面以外の側面の端部から突出する部位である。
【0022】
また、図4に示すように、蓋部4は、外側の面4aが略平坦状となる。具体的には、蓋部4の外側の面4aの周端近傍が略平坦状となる。
【0023】
そして、図3および図4に示す蓋部4の構成により、図5に示すような、作用機構を有する。図5では、取付状態において横向きとなる凹部41a,41cにおける作用機構を示している。
【0024】
具体的には、図5に示すように、取付状態における電子機器1の上側から流れてきた水は、蓋部4の外側の面4aを伝って流れるとともに、筐体2および蓋部4とで形成される隙間に毛細管現象により侵入する。
【0025】
そして、図5に示すように、毛細管現象により侵入した水は、凹部41と筐体2の側面との間に形成された空間410に溜まることとなる。すなわち、凹部41により形成された空間410によって、毛細管現象の勢いが一度断ち切られる。これにより、凹部41よりも内部への水の侵入を抑えることができる。
【0026】
さらに、図5に示すように、蓋部4は、筐体2の側面沿って内部に突出した突出部42を有する。つまり、突出部42と筐体2との間において空間410よりも狭い隙間が形成されるよう構成する。この結果、空間410に溜まった水が突出部42と筐体2との間を再度毛細管現象により内部に侵入しなければならないため、空間410よりも内部への水の侵入を抑えることができる。
【0027】
さらに、突出部42は、基板3が内蔵された筐体2の内部の壁として機能するため、内部に侵入した水が基板3に接触して損傷させることを低減できる。このように、実施形態に係る電子機器1によれば、凹部41および突出部42を有することで、水の内部への侵入を抑制できるため、基板3が損傷することを高精度に回避することができる。
【0028】
さらに、蓋部4の外側の面4aが平坦状に構成されることで、面4aを流れる水の流速を比較的速くできるため、蓋部4と筐体2との間の隙間近傍に留まることなく通り過ぎやすくできる。この結果、空間410への水の侵入量を減らすことができる。
【0029】
また、図5に示すように、突出部42と筐体2との間の通路(隙間)形状は、段差形状となっている。具体的には、筐体2は開口部2aの端部が段差形状であり、蓋部4は、突出部42の形状が上記した段差形状に対応した段差形状である。
【0030】
これにより、空間410から内部に侵入した水は、段差部分において、上流側へ上ることになるため、筐体2の内部への水の侵入をさらに減らすことができる。
【0031】
なお、筐体2は、蓋部4の突出部42よりも内側において、突出部21と重なり合うように設けられた突出部21(図6参照)と、内部に侵入した水を排出するための貫通孔22を有する。かかる点について、図6図8を用いて説明する。
【0032】
図6および図7は、筐体2の斜視図である。図8は、筐体2による作用機構を説明するための図である。なお、図6および図7は、電子機器1の内部側から見た筐体2である。
【0033】
図6に示すように、筐体2は、底部2bから開口部2aに向かって突出した突出部21(第2の突出部)を有する。具体的には、突出部21は、蓋部4の突出部42よりも内側(基板3側)において突出する(図8参照)。
【0034】
また、図8に示すように、筐体2の突出部21と、蓋部4の突出部42とは、突出方向と直交する方向において互いに重なる位置である。すなわち、図8に示すように、筐体2の突出部21と、蓋部4の突出部42でオーバラップ領域Rが形成される。
【0035】
また、図7に示すように、筐体2は、側面において、筐体2の内部に繋がる貫通孔22を有する。具体的には、貫通孔22は、電子機器1の取付状態において下側(最下端)となる側面に貫通孔22を有する。すなわち、貫通孔22は、筐体2の側面のうち、蓋部4の凹部41aが形成される側面と対向する側面に形成される。
【0036】
より具体的には、図7に示すように、貫通孔22は、筐体2の側面のうち、底部2b側の端部に2つ設けられる。なお、貫通孔22の数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0037】
ここで、図8を用いて、図6および図7で示した筐体2の構成による作用機構について説明する。図8に示すように、突出部42および筐体2の間から毛細管現象により内部に水が侵入した場合、侵入した水は、筐体2の側面を伝って流れることとなる。
【0038】
また、図8に示すように、突出部42は、先端から底部2bまでの距離が基板3よりも近い位置まで突出した形状である。このため、突出部42が基板3を水から保護する壁として機能するため、基板3への水の接触を高精度に回避することができる。
【0039】
そして、筐体2の側面を伝った水は、貫通孔22から外部へ排出される。このように、貫通孔22を有することで、侵入した水が内部に溜まることを高精度に回避することができる。
【0040】
また、内部に侵入した水が、例えば、車両振動等により飛散した場合であっても、筐体2の突出部21に当たることで、基板3への水の接触を回避することができる。さらに、筐体2の突出部21と蓋部4の突出部42とでオーバラップ領域Rを形成することで、水が飛散した場合により確実に突出部21に水を当てることができるため、基板3への水の接触をより高精度に回避することができる。
【0041】
上述してきたように、実施形態に係る電子機器1は、筐体2と、蓋部4とを備える。筐体2は、基板3を内蔵し、一端が開口部2aである有底状の部材である。蓋部4は、開口部2aを塞ぐ板状の蓋部4であって、側面が覆われた状態で開口部2aの内部に配置される。蓋部4は、側面が凹んだ凹部41と、側面における端部から筐体2の側面に沿って内部へ突出した突出部42とを有する。これにより、筐体2内に進入した水により基板3が損傷することを高精度に回避することができる。
【0042】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 電子機器
2 筐体
2a 開口部
2b 底部
3 基板
4 蓋部
4a 面
21、42 突出部
22 貫通孔
41 凹部
410 空間
R オーバラップ領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8