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  • 特許-給湯装置 図1
  • 特許-給湯装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20220101AFI20240730BHJP
   F24H 1/10 20220101ALI20240730BHJP
   F24H 1/12 20220101ALI20240730BHJP
   F24H 15/174 20220101ALI20240730BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20240730BHJP
   F24H 15/31 20220101ALI20240730BHJP
   F24H 15/37 20220101ALI20240730BHJP
【FI】
F24D17/00 B
F24H1/10 C
F24H1/12 B
F24H15/174
F24H15/219
F24H15/31
F24H15/37
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020186715
(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公開番号】P2022076347
(43)【公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】中島 悠二郎
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036877(JP,A)
【文献】特開平09-145156(JP,A)
【文献】特開2012-007866(JP,A)
【文献】特開昭48-013932(JP,A)
【文献】特開2007-120925(JP,A)
【文献】特開2013-007164(JP,A)
【文献】特開2011-112319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 17/00 - 17/02
F24H 1/00 - 15/493
E03C 1/00 - 1/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器と、給湯器に水を供給する給水路と、給湯器から出湯される温水を供給する出湯路と、出湯路の下流端に接続される出湯栓器具と、給水路又は出湯路に設けられる水量センサと、給水路又は出湯路に設けられる水量サーボと、制御手段とを備える給湯装置であって、
出湯栓器具に、出湯路を介して出湯栓器具に供給された水を加熱するヒータと、出湯路を介して出湯栓器具に供給された水の温度をヒータの上流側で検出する水温センサとが設けられ、
制御手段は、出湯栓器具の開栓操作が行われたときに、水温センサの検出水温が所定温度より低い場合は、水温センサの検出水温が所定温度以上になるまで、ヒータに通電して水を加熱する即湯制御を行うものにおいて、
即湯制御時に、ヒータの加熱量を最大にしても、出湯栓器具からの出湯温度が所定温度に上昇しない条件下では、水量サーボで水量を絞る水量絞り制御を実行するようにし、
即湯制御時に、水量センサの検出水量と水温センサの検出水温とから出湯栓器具からの出湯温度を前記所定温度まで上昇させるのに必要なヒータの加熱量を目標加熱量として求め、この目標加熱量がヒータの最大加熱量を上回る場合に前記条件下であると判断して、水量絞り制御を実行することを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記水量絞り制御では、前記ヒータの最大加熱量で前記出湯栓器具からの出湯温度が前記所定温度になる水量を目標絞り水量として求め、前記水量センサの検出水量が目標絞り水量になるように前記水量サーボで水量を絞ることを特徴とする請求項記載の給湯装置。
【請求項3】
前記目標加熱量が前記ヒータの最大加熱量を下回る場合は、前記水量絞り制御を行わずに、ヒータの加熱量を目標加熱量になるように調節することを特徴とする請求項又は記載の給湯装置。
【請求項4】
バーナ及びバーナの燃焼で加熱される熱交換器を備える給湯器と、給湯器に水を供給する給水路と、給湯器から出湯される温水を供給する出湯路と、出湯路の下流端に接続される出湯栓器具と、給水路又は出湯路に設けられる水量センサと、給水路又は出湯路に設けられる水量サーボと、制御手段とを備える給湯装置であって、
出湯栓器具に、出湯路を介して出湯栓器具に供給された水を加熱するヒータと、出湯路を介して出湯栓器具に供給された水の温度をヒータの上流側で検出する水温センサとが設けられ、
制御手段は、出湯栓器具の開栓操作が行われたときに、水温センサの検出水温が所定温度より低い場合は、水温センサの検出水温が所定温度以上になるまで、ヒータに通電して水を加熱する即湯制御を行うものにおいて、
即湯制御時に、ヒータの加熱量を最大にしても、出湯栓器具からの出湯温度が所定温度に上昇しない条件下では、水量サーボで水量を絞る水量絞り制御を実行するようにし、
更に、水量センサの検出水量がバーナの燃焼を開始する所定の下限水量以上にならなければ、即湯制御の実行を禁止することを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器と、給湯器に水を供給する給水路と、給湯器から出湯される温水を供給する出湯路と、出湯路の下流端に接続される出湯栓器具と、給水路又は出湯路に設けられる水量センサと、給水路又は出湯路に設けられる水量サーボとを備える給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯装置として、出湯栓器具の開栓当初に冷水が吐出することを防止するため、出湯栓器具に、出湯路を介して出湯栓器具に供給された水を加熱するヒータと、出湯路を介して出湯栓器具に供給された水の温度をヒータの上流側で検出する水温センサとを設けて、出湯栓器具の開栓操作が行われたときに、水温センサの検出水温が所定温度より低い場合は、水温センサの検出水温が所定温度以上になるまで、ヒータに通電して水を加熱する即湯制御を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
然し、このものでは、出湯栓器具を大きな開度で開栓すると、水量が多くなって、ヒータの加熱能力が追い付かず、出湯栓器具からの出湯温度が所定温度よりも低くなってしまう。この場合、加熱能力の大きなヒータを用いることも考えられるが、これでは、ヒータの占有スペースが大きくなって、出湯栓器具が大型化すると共にコストが高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-36877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、出湯栓器具の開栓時に出湯温度を速やかに上昇させる即湯機能を加熱能力の大きなヒータを用いずに得ることができるようにした給湯装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、給湯器と、給湯器に水を供給する給水路と、給湯器から出湯される温水を供給する出湯路と、出湯路の下流端に接続される出湯栓器具と、給水路又は出湯路に設けられる水量センサと、給水路又は出湯路に設けられる水量サーボと、制御手段とを備える給湯装置であって、出湯栓器具に、出湯路を介して出湯栓器具に供給された水を加熱するヒータと、出湯路を介して出湯栓器具に供給された水の温度をヒータの上流側で検出する水温センサとが設けられ、制御手段は、出湯栓器具の開栓操作が行われたときに、水温センサの検出水温が所定温度より低い場合は、水温センサの検出水温が所定温度以上になるまで、ヒータに通電して水を加熱する即湯制御を行うものにおいて、即湯制御時に、ヒータの加熱量を最大にしても、出湯栓器具からの出湯温度が所定温度に上昇しない条件下では、水量サーボで水量を絞る水量絞り制御を実行することを前提とする。
【0007】
上記前提によれば、出湯栓器具を大きな開度で開栓することにより、ヒータの加熱量を最大にしても、出湯栓器具からの出湯温度が所定温度に上昇しない状態になった場合、水量絞り制御が実行されて、出湯温度が速やかに上昇する。そのため、即湯機能を加熱能力の大きなヒータを用いずに得ることができ、出湯栓器具の大型化やコストアップを回避できる。
【0008】
ここで、本発明は、上記前提において、即湯制御時に、水量センサの検出水量と水温センサの検出水温とから出湯栓器具からの出湯温度を上記所定温度まで上昇させるのに必要なヒータの加熱量を目標加熱量として求め、この目標加熱量がヒータの最大加熱量を上回る場合に上記条件下であると判断して、水量絞り制御を実行することを特徴とする、水量絞り制御では、ヒータの最大加熱量で出湯栓器具からの出湯温度が上記所定温度になる水量を目標絞り水量として求め、水量センサの検出水量が目標絞り水量になるように水量サーボで水量を絞ればよい。
【0009】
また、上記目標加熱量がヒータの最大加熱量を下回る場合は、水量絞り制御を行わずに、ヒータの加熱量を目標加熱量になるように調節することが望ましい。これによれば、水量絞り制御を行わない場合も、出湯栓器具からの出湯温度を上記所定温度に上昇維持できる。
【0010】
ところで、給湯器がバーナ及びバーナの燃焼で加熱される熱交換器を備えるものである場合、熱交換器の空焚き防止のため、水量センサの検出水量が所定の下限水量以上にならなければバーナの燃焼が開始されない。ここで、即湯制御は、熱交換器で加熱された温水が出湯栓器具に到達するまでの間、出湯栓器具から冷水が吐出しないようにするために行う制御である。従って、水量センサの検出水量がバーナの燃焼を開始する所定の下限水量以上にならなければ、即湯制御を行っても無駄である。そこで、本発明は、水量センサの検出水量がバーナの燃焼を開始する所定の下限水量以上にならなければ、即湯制御の実行を禁止することを特徴とする
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の給湯装置を模式的に示す説明図。
図2】実施形態の給湯装置の制御手段が行う即湯制御の内容を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す本発明の実施形態の給湯装置は、給湯器1と、給湯器1に水を供給する給水路2と、給湯器1から出湯される温水を供給する出湯路3と、出湯路3の下流端に接続される出湯栓器具4と、給水路2に設けられる水量センサ5と、同じく給水路2に設けられる水量サーボ6と、制御手段たるコントローラ7とを備えている。コントローラ7にはリモコン71が接続されている。尚、水量センサ5を出湯路3に設けたり、水量サーボ6を出湯路3に設けたりしてもよい。
【0013】
本実施形態において、給湯器1は、バーナ11及びバーナ11の燃焼で加熱される熱交換器12を備えている。そして、熱交換器12の入口側に給水路2を接続し、熱交換器12の出口側に出湯路3を接続している。また、給水路2には、給水路2に流れる水の温度を検出する給水温センサ8が設けられ、出湯路3には、出湯路3に流れる温水の温度を検出する出湯温センサ9が設けられている。
【0014】
コントローラ7は、水量センサ5、給水温センサ8及び出湯温センサ9からの検出信号に基づいて給湯制御を行う。給湯制御では、先ず、出湯栓器具4の開栓操作で水量センサ5の検出水量が所定の下限水量(例えば、2.5L/min)以上になったとき、バーナ11に点火して燃焼を開始させる。そして、水量センサ5の検出水量と給水温センサ8の検出水温とからリモコン71で設定された所定の設定出湯温度の温水を出湯するのに必要なバーナ12の燃焼量を目標燃焼量として演算して、バーナ12の燃焼量を目標燃焼量になるように制御するフィードフォワード制御を行い、更に、出湯温センサ9の検出温度が設定出湯温度になるようにバーナ12の燃焼量をフィードバック制御する。また、水量が多すぎて、バーナ11の燃焼量を最大にしても、出湯温センサ9の検出温度が設定出湯温度まで上昇しない場合には、出湯温センサ9の検出温度が設定出湯温度に上昇するまで水量サーボ6により水量を絞る。
【0015】
ところで、給湯停止後は、出湯路3に残留する温水が冷える。そして、出湯栓器具4の開栓操作で給湯を再開する際に、出湯路3に残留していた冷たい水が出湯栓器具4から吐出すると、使用者に不快感を与えてしまう。
【0016】
そこで、本実施形態では、出湯栓器具4に、出湯路3を介して出湯栓器具4に供給された水を加熱するヒータ41と、出湯路3を介して出湯栓器具4に供給された水の温度をヒータ41の上流側で検出する水温センサ42とを設けている。そして、コントローラ7は、出湯栓器具4の開栓操作が行われたときに、水温センサ42の検出水温が所定温度より低い場合は、水温センサ42の検出水温が所定温度以上になるまで、ヒータ41に通電して水を加熱する即湯制御を行う。尚、この所定温度は、上記設定出湯温度よりも低い、例えば、30℃程度に設定されるが、ユーザによっては30℃程度では低いと感じる可能性があるため、リモコン71で所定温度を設定変更できるようにすることが望ましい。
【0017】
以下、図2を参照して、即湯制御について詳述する。即湯制御は、STEP1で水量センサ5の検出水量Wがバーナ11の燃焼を開始する所定の下限水量YWmin以上になったと判別され、且つ、STEP2で水温センサ42の検出水温Tが所定温度YTより低いと判別されたときに開始される。STEP1でW<YWminと判別されたり、STEP2でT≧YTと判別されたときは、STEP3に進んでヒータ41をオフ(ヒータ41の通電を停止)し、STEP1に戻る。従って、水温センサ42の検出水温Tが所定温度YTより低い場合に、水温センサ42の検出水温Tが所定温度YT以上になるまで、即湯制御が行われることになる。
【0018】
即湯制御では、先ず、STEP4において、水量センサ5の検出水量Wと水温センサ42の検出水温Tとから出湯栓器具4からの出湯温度を所定温度YTまで上昇させるのに必要なヒータ41の加熱量を目標加熱量Qcomとして算出する。次に、STEP5に進み、目標加熱量Qcomがヒータ41の最大加熱量YQmaxを超えているか否かを判別する。そして、Qcom≦YQmaxであれば、STEP6に進んで、ヒータ41をオン(ヒータ41に通電)し、ヒータ41の加熱量が目標加熱量Qcomになるように調節して、STEP1に戻る。これにより、出湯栓器具4からの出湯温度を所定温度YTに上昇維持できる。
【0019】
STEP5でQcom>YQmaxであると判別された場合は、水量サーボ6で水量を絞る水量絞り制御を実行する。水量絞り制御では、先ず、STEP7において、水温センサ42の検出水温Tに基づいて、ヒータ41の最大加熱量YQmaxで出湯栓器具4からの出湯温度が所定温度YTになる水量を目標絞り水量Wcomとして算出する。次に、STEP8に進んで、水量センサ5の検出水量Wが目標絞り水量Wcomになるように水量サーボ6で水量を絞り、更に、STEP9でヒータ41をオンし、ヒータ41の加熱量を最大加熱量YQmaxに調節して、STEP1に戻る。
【0020】
本実施形態の即湯制御によれば、出湯栓器具4を大きな開度で開栓することにより、ヒータ41の加熱量を最大加熱量YQmaxにしても、出湯栓器具4からの出湯温度が所定温度YTに上昇しない状態になった場合、水量絞り制御が実行されて、出湯温度が速やかに上昇する。そのため、即湯機能を加熱能力の大きなヒータを用いずに得ることができ、出湯栓器具4の大型化やコストアップを回避できる。
【0021】
尚、ヒータ41の下流側に出湯栓器具4からの出湯温度を検出する湯温センサを設け、ヒータ41の加熱量を最大加熱量YQmaxにしても、湯温センサの検出温度が所定温度YTに上昇しないときに、水量絞り制御を実行し、更に、水量絞り制御に際し、湯温センサの検出温度が所定温度YTになるように、水量をフィードバック制御で絞ることも可能である。然し、これでは、湯温センサが必要となってコストが高くなる。
【0022】
これに対し、本実施形態では、上記の如く算出した目標加熱量Qcomがヒータ41の最大加熱量YQmaxを超えているときに、ヒータ41の加熱量を最大加熱量YQmaxにしても、出湯栓器具4からの出湯温度が所定温度YTに上昇しない条件下であると判断して、水量絞り制御を実行している。更に、水量絞り制御に際し、上記の如く目標絞り水量Wcomを算出して、水量サーボ6で水量を目標絞り水量Wcomになるように絞ることにより、出湯栓器具4からの出湯温度をフィードフォワード制御で所定温度YTに上昇させている。これによれば、出湯栓器具4からの出湯温度を検出する湯温センサが不要となり、コストアップを回避できる。
【0023】
ところで、即湯制御は、熱交換器12で加熱された温水が出湯栓器具4に到達するまでの間、出湯栓器具4から冷水が吐出しないようにするために行う制御である。従って、水量センサ5の検出水量Wがバーナ11の燃焼を開始する所定の下限水量YWmin以上にならなければ、即湯制御を行っても無駄である。そこで、本実施形態では、W<YWminである場合には、STEP1からSTEP3を経てSTEP1に戻り、STEP4以下の即湯制御の実行を禁止している。
【0024】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態の給湯器1は、バーナ11及びバーナ11の燃焼で加熱される熱交換器12を備えるものであるが、貯湯タンクを備える貯湯式のものであってもよい。この場合は、図2のSTEP1において、水量センサ5の検出水量Wが所定の閾値(例えば、1.5L/min)以上になったときに、出湯栓器具4の開栓操作が行われたと判断して、STEP2に進む。この閾値は、リモコン71で設定変更可能としてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1…給湯器、11…バーナ、12…熱交換器、2…給水路、3…出湯路、4…出湯栓器具、41…ヒータ、42…水温センサ、5…水量センサ、6…水量サーボ、7…コントローラ(制御手段)。
図1
図2