(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/325 20060101AFI20240730BHJP
B41J 17/08 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B41J2/325 C
B41J17/08
(21)【出願番号】P 2020194141
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青柳 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】米沼 政広
(72)【発明者】
【氏名】國井 慎也
(72)【発明者】
【氏名】二宮 直樹
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-047554(JP,A)
【文献】特開平09-277577(JP,A)
【文献】特開2003-334983(JP,A)
【文献】特開2001-030561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/325
B41J 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
副走査方向に所定幅を有するブラックインクパネルと、前記副走査方向の幅が前記所定幅よりも小さい第1の幅を有するカラーインクパネルと、が面順次に配置されたインクリボンを用いて画像を転写媒体に転写する画像形成装置であって、
前記インクリボン及び前記転写媒体の頭出しを行うと共に、前記インクリボンを用いて前記転写媒体に対して画像の転写を行う画像形成手段と、
前記ブラックインクパネルに対して前記インクリボンの搬送方向の下流側において隣り合う前記カラーインクパネルである最終カラーインクパネルを用いた前記転写を終了した際に、前記ブラックインクパネルが前記転写可能な位置に有る場合に、前記頭出しを行わずに前記ブラックインクパネルによって前記転写を行うように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDカード、身分証明書又は会員カード等の記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックカード等のカード状の記録媒体に顔写真又は文字情報等の画像を形成する画像形成装置が広く知られている。このようなカード状の記録媒体としては、運転免許書、各種会員証、カードを所持する個人の社員証又はIDカード等の顔写真又は個人情報を印刷するものであって、大きなデータ量の情報を多数枚に印刷するものではないものが多い。
【0003】
また、近年、コンピュータネットワークに接続されて、オンデマンド印刷を行うプリンタシステムが知られている。このようなプリンタシステムでは、カードを所持する個人の顔写真の印刷、発行体及びカードの種類等の表示の印刷、及び個人情報等の電子データの記録を同時に実行する。このようなプリンタシステムに利用されるプリンタとしては、昇華型転写装置が知られている。
【0004】
このような昇華型転写装置は、カードの印刷幅に対応した所定幅の複数種類のインクパネルが面順次に配置されたインクリボンを用いて、文字及び画像等をカードに転写印刷する。カードに転写印刷する方式としては、カードに直接印刷する直接方式と、転写フィルムに一次転写すると共に転写フィルムからカードに二次転写する中間転写方式と、がある。何れの方式であっても、カード又は転写フィルムの転写する面に対して、インクリボンのイエロー、マゼンタ、シアン及びブラック等の各色のインクパネルを順次通過させて印刷を行う点は同じである。
【0005】
また、このような昇華型転写装置では、免許証又は会員カード等の1枚のカードの中で顔写真等のカラーで記録を行う領域が少ない場合であっても、インクリボンの各インクパネルではカード1枚分の面積のインクを消費してしまう。これに対して、従来、ランニングコストを低減するために、カラーのインクパネルの面積がブラックのインクパネルの面積の半分に限定されている特殊なインクリボンが知られている。
【0006】
このような状況において、特許文献1は、転写印刷速度の高速化を実現する画像形成装置を開示している。特許文献1の画像形成装置では、転写フィルムに設定されている連続したN箇所の転写領域を、第1から第Nのインクパネルの並び順とは逆方向に第1から第Nの転写領域とする。そして、第1から第Nのインク組を利用して、N箇所の転写領域に対し、第1から第Kまでのインクパネルのインクを第Kから第1の転写領域に転写させる転写動作をK=1からK-N回繰り返す。このように特許文献1では、転写フィルムとインクリボンとを移動させずに連続印刷を行うことにより高速化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1においては、各インクパネルのサイズが異なるインクリボンを使用する場合には連続して転写動作をすることができない。従ってこの場合には、カラーのインクパネルの面積がブラックのインクパネルの面積の半分に限定されているような各インクパネルのサイズが異なる特殊なインクリボンを使用する場合に、生産性を向上させることができないという課題を有する。
【0009】
また、特許文献1においては、高速化の効果を得るためには1つのジョブが複数枚の印刷で構成されている必要があり、1枚等の少ない枚数の印刷を行う場合には生産性を向上させることができないという課題を有する。
【0010】
本発明の目的は、特殊なインクリボンを使用する場合又は少ない枚数分の画像を転写媒体に転写する場合に、生産性を向上させることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置は、副走査方向に所定幅を有するブラックインクパネルと、前記副走査方向の幅が前記所定幅よりも小さい第1の幅を有するカラーインクパネルと、が面順次に配置されたインクリボンを用いて画像を転写媒体に転写する画像形成装置であって、前記インクリボン及び前記転写媒体の頭出しを行うと共に、前記インクリボンを用いて前記転写媒体に対して画像の転写を行う画像形成手段と、前記ブラックインクパネルに対して前記インクリボンの搬送方向の下流側において隣り合う前記カラーインクパネルである最終カラーインクパネルを用いた前記転写を終了した際に、前記ブラックインクパネルが前記転写可能な位置に有る場合に、前記頭出しを行わずに前記ブラックインクパネルによって前記転写を行うように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特殊なインクリボンを使用する場合又は少ない枚数分の画像を転写媒体に転写する場合に、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成の一部を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で使用されるインクリボンの構成及び記録済みのカードの一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る画像形成処理を示すフロー図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る一次転写処理の前半の処理を示すフロー図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る一次転写処理の後半の処理を示すフロー図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る画像形成処理におけるブラックインクパネルの頭出しを行わずに転写を行う際の手順を示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る画像形成処理におけるブラックインクパネルの頭出しを行って転写を行う際の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<画像形成装置の全体構成>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成について、
図1から
図3を参照しながら、詳細に説明する。
【0016】
画像形成装置1は、例えば各種証明用のIDカード又は商取引用のクレジットカード等に、磁気情報又は電子情報(IC情報)等の情報記録と、文字、写真又はマーク等の画像形成(印刷)と、を行う。画像形成装置1は、ここでは中間転写方式の画像形成装置を例示する。
【0017】
画像形成装置1は、第1搬送パスP1と、第2搬送パスP2と、第3搬送パスP3と、フィルム移送経路P4と、搬出パスP5と、を有している。
【0018】
第1搬送パスP1は、反転ユニット20の記録媒体としてのカードKに画像を転写する際のカードKの搬送方向の下流側に設けられ、
図1において左右方向(水平方向)に延設されて配置され、
図1において左右方向にカードKを搬送する。第1搬送パスP1は、メディア供給部CにおけるカードKを繰り出す方向(
図1においてX方向)と平行に延設されている。カードKに画像を転写する際の第1搬送パスP1におけるカードKの搬送方向は、メディア供給部CにおけるカードKを繰り出す方向と反対方向である。
【0019】
第2搬送パスP2は、
図1において上下方向(鉛直方向)に延設されて配置され、
図1において上下方向にカードKを搬送する。
【0020】
第1搬送パスP1と第2搬送パスP2とは、
図1において互いに所定の角度を有する方向に延設されて配置されている。ここで、所定の角度は、各搬送パスの密集の程度を考慮して設定され、90度乃至180度の範囲であることが好ましい。
【0021】
第3搬送パスP3は、第2搬送パスP2とは異なる方向にカードKを搬送する。
【0022】
フィルム移送経路P4は、インクリボン41及び転写フィルム46を搬送する。
【0023】
搬出パスP5は、第1搬送パスP1と同一方向に延設されて配置され、第1搬送パスP1より搬送されるカードKを収容スタッカ60に搬送する。
【0024】
具体的には、画像形成装置1は、装置ハウジング2と、情報記録部Aと、画像転写部Bと、メディア供給部Cと、画像形成部Dと、メディア待機部Eと、フィルム待機部Fと、収容部Gと、を有している。また、画像形成装置1は、反転ユニット20と、リジェクトスタッカ25と、バーコードリーダ28と、ディカールローラ36と、搬送ローラ37と、搬送ローラ38と、センサSe12と、制御モジュール90と、を有している。
【0025】
装置ハウジング2には、情報記録部A、画像転写部B、メディア供給部C、画像形成部D、メディア待機部E、フィルム待機部F、収容部G及び制御部Hが配置されている。また、装置ハウジング2には、反転ユニット20、ディカールローラ36、搬送ローラ37、搬送ローラ38、センサSe12及び制御モジュール90が配置されている。
【0026】
情報記録部Aは、画像転写部Bにおける画像転写の前工程として、反転ユニット20から搬送されるカードKに磁気情報又は電子情報等の情報を記録する。情報記録部Aは、情報を記録したカードKを反転ユニット20に搬送する。なお、情報記録部Aの構成の詳細については、後述する。
【0027】
画像転写部Bは、第1搬送パスP1に配置され、フィルム待機部Fより搬送されると共に画像形成部Dにより転写媒体としての転写フィルム46に転写した画像を、メディア待機部Eから搬送されるカードKに転写(二次転写)する。画像転写部Bは、画像を転写したカードKを搬送ローラ37又はメディア待機部Eに搬送する。画像転写部Bは、転写プラテン31と、加熱ローラ33と、ファンfn2と、を備えている。
【0028】
転写プラテン31は、加熱ローラ33との間において、カードKと転写フィルム46とを通過させる。
【0029】
加熱ローラ33は、図示しない昇降機構によって転写プラテン31に圧接する位置と離間した位置との間を昇降する。加熱ローラ33は、転写プラテン31に圧接する位置において転写プラテン31との間でカードKと転写フィルム46とを加圧及び加熱することにより、転写フィルム46に形成された画像をカードKの表面(
図2において下側の面)に転写させる。
【0030】
メディア供給部Cは、収納しているカードKを反転ユニット20に搬送する。メディア供給部Cは、給紙カセット3と、カード収納部4と、給紙開口7と、ピッカー開口11と、ピックアップローラ19と、を備えている。
【0031】
給紙カセット3は、ボックス形状のカセット筐体を備え、複数のカードKを立位姿勢で整列収納している。
【0032】
カード収納部4は、給紙カセット3のカセット筐体内に設けられ、複数のカードKを立位姿勢で整列して収納可能な収容スペースを有している。
【0033】
給紙開口7は、カード収納部4を情報記録部Aに連通し、分離ギャップによってカードKを1枚ずつ分離する。
【0034】
ピッカー開口11は、カード収納部4の内部を外部に開放する開口である。
【0035】
ピックアップローラ19は、カード収納部4に突出しており、回転することによりカード収納部4に収納されている最前列のカードKをピッカー開口11及び給紙開口7を介して情報記録部Aに搬送する。
【0036】
ファンfn2は、装置ハウジング2内に発生した熱を装置ハウジング2の外部に排出する。
【0037】
画像形成手段としての画像形成部Dは、インクリボン41を用いて転写フィルム46に画像を転写(一次転写)し、画像を転写した転写フィルム46をフィルム待機部Fに搬送する。なお、画像形成部Dの構成の詳細については、後述する。
【0038】
メディア待機部Eは、第1搬送パスP1に配置されていると共に、反転ユニット20と画像転写部Bとの間に設けられている。メディア待機部Eは、反転ユニット20より搬送されるカードKの搬送を一時的に停止してカードKを待機させると共に、待機させたカードKを所定のタイミングで画像転写部Bに搬送するように構成されている。なお、メディア待機部Eの構成の詳細については、後述する。
【0039】
フィルム待機部Fは、センサSe9を備えている。フィルム待機部Fは、転写フィルム46の搬送を一時的に停止して転写フィルム46を待機させると共に、待機させた転写フィルム46を所定のタイミングで画像転写部Bに搬送するように構成されている。フィルム待機部Fと画像転写部Bとの距離は、メディア待機部Eで待機させたカードKと転写フィルム46とを同一タイミングで画像転写部Bに向けて搬送することを可能にするために、画像転写部Bとメディア待機部Eとの距離と等距離になっている。
【0040】
センサSe9は、転写フィルム46に所定間隔毎に形成されたマーカを検出することにより、移送ローラ49によって搬送される転写フィルム46の搬送量を検出して、検出結果を制御部Hに出力する。
【0041】
収容部Gは、画像転写部Bから送られたカードを収容スタッカ60に収容する。収容スタッカ60は、図示しないレベルセンサにより最上位のカードKを検出し、この検出結果に応じて昇降機構61により
図1において下方に移動するように構成されている。
【0042】
反転ユニット20は、メディア供給部Cの下方に設けられ、装置ハウジング2の一端側(
図1において右端)に配置されている。反転ユニット20は、第1搬送パスP1と第2搬送パスP2と第3搬送パスP3との接続点に配置されている。なお、反転ユニット20の構成の詳細については、後述する。
【0043】
リジェクトスタッカ25は、反転ユニット20の外周に設けられている。リジェクトスタッカ25には、非接触式IC記録ユニット23又は磁気記録ユニット24において記録ミスを生じたカードKが反転ユニット20より排出される。
【0044】
バーコードリーダ28は、反転ユニット20の外周に設けられ、反転ユニット20より排出されるカードKの画像転写部Bにおいて印刷したバーコードを読み取って、印刷結果の適正を判別(エラー判別)する。バーコードリーダ28は、印刷結果の適性を判別したカードKを反転ユニット20に搬送する。
【0045】
ディカールローラ36は、搬送ローラ37と搬送ローラ38との間に設けられており、搬送ローラ37と搬送ローラ38との間に保持されたカードKの中央部を押圧することによってカードKのカールを矯正する。
【0046】
搬送ローラ37は、図示しない搬送モータに連結されており、搬送モータが駆動することにより回転して画像転写部Bから搬送されるカードKを搬送ローラ38に搬送する。
【0047】
搬送ローラ38は、図示しない搬送モータに連結されており、搬送モータが駆動することにより回転して搬送ローラ37から搬送されるカードKを収容部Gに排出する。
【0048】
センサSe12は、搬送ローラ38から収容部GへのカードKの搬出を検出して、検出結果に応じた電気信号を制御部Hに出力する。
【0049】
制御モジュール90は、画像形成装置1の全体の動作を制御する。なお、制御モジュール90の構成の詳細については、後述する。
【0050】
ここで、電子情報を記録するICを内蔵することにより表面に凹凸を有するカードKに画像を転写する画像形成装置としては、
図1に例示する中間転写方式を採用する画像形成装置1が適している。また、表面にホログラム等をコーティングしているカードKに画像を転写する画像形成装置としても、中間転写方式を採用する画像形成装置1が適している。
【0051】
<情報記録部の構成>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の情報記録部Aの構成について、
図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0052】
情報記録部Aは、搬入ローラ22と、非接触式IC記録ユニット23と、磁気記録ユニット24と、センサSe1と、センサSe2と、センサSe3と、センサSe5と、センサSe6と、センサSe7と、を備えている。
【0053】
搬入ローラ22は、給紙開口7のカードKの搬送方向の下流側に設けられており、給紙カセット3からピッカー開口11及び給紙開口7を介して搬送されるカードKを、反転ユニット20内に搬送する。
【0054】
非接触式IC記録ユニット23は、第3搬送パスP3に設けられ、反転ユニット20より搬送されるカードKに内蔵されているICに電子情報を記録する。非接触式IC記録ユニット23は、ICに電子情報を記録したカードKを反転ユニット20に搬送する。
【0055】
磁気記録ユニット24は、第2搬送パスP2に設けられ、リードライトヘッドで構成されている。磁気記録ユニット24は、反転ユニット20より搬送されるカードKの磁気ストライプに磁気情報を記録すると共に、記録した磁気情報を読み取って正誤を判別する。磁気記録ユニット24は、磁気情報を記録したカードKを反転ユニット20に搬送する。
【0056】
このように、非接触式IC記録ユニット23及び磁気記録ユニット24は、反転ユニット20から搬送されるカードKに電気的又は磁気的にデータを入力する。
【0057】
センサSe1は、制御部Hの制御により動作して、メディア供給部Cから情報記録部AへのカードKの搬送を検出して、検出結果に応じた電気信号を制御部Hに出力する。
【0058】
センサSe2は、制御部Hの制御により動作して、反転ユニット20からリジェクトスタッカ25へのカードKの搬送を検出して、検出結果に応じた電気信号を制御部Hに出力する。
【0059】
センサSe3は、制御部Hの制御により動作して、反転ユニット20から磁気記録ユニット24へのカードKの搬送、又は磁気記録ユニット24から反転ユニット20へのカードKの搬送を検出して、検出結果に応じた電気信号を制御部Hに出力する。
【0060】
センサSe5は、制御部Hの制御により動作して、反転ユニット20からメディア待機部EへのカードKの搬送、又はメディア待機部Eから反転ユニット20へのカードKの搬送を検出して、検出結果に応じた電気信号を制御部Hに出力する。
【0061】
センサSe6は、制御部Hの制御により動作する。センサSe6は、反転ユニット20から非接触式IC記録ユニット23へのカードKの搬送、又は非接触式IC記録ユニット23から反転ユニット20へのカードKの搬送を検出して、検出結果に応じた電気信号を制御部Hに出力する。
【0062】
センサSe7は、制御部Hの制御により動作して、反転ユニット20からバーコードリーダ28へのカードKの搬送を検出して、検出結果に応じた電気信号を制御部Hに出力する。
【0063】
<画像形成部の構成>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の画像形成部Dの構成について、
図1及び
図2を参照しながら、詳細に説明する。
【0064】
画像形成部Dは、ピンチローラ32aと、ピンチローラ32bと、サーマルヘッド40と、リボンカセット42と、画像形成プラテン45と、移送ローラ49と、フィルムカセット50と、を備えている。また、画像形成部Dは、センサSe10と、センサSe11と、冷却ファンfn1と、を備えている。
【0065】
ピンチローラ32a及びピンチローラ32bは、フィルム移送経路P4に配置されており、移送ローラ49との間で転写フィルム46を圧接してフィルム移送経路P4上を搬送する。
【0066】
サーマルヘッド40は、画像形成プラテン45に対向して配置されていると共に、図示しない加熱素子を備えている。サーマルヘッド40は、後述のヘッドコントロール用IC74xにより選択的に加熱制御される加熱素子によって昇華型のインクリボン41及び転写フィルム46を加熱して、転写フィルム46に画像を転写する。
【0067】
リボンカセット42は、装置ハウジング2に着脱可能に装着される。リボンカセット42は、供給スプール43と、巻取スプール44と、を回転可能に備えており、供給スプール43と巻取スプール44とに巻装されたフィルム状のインクリボン41を収容している。
【0068】
巻取スプール44は、ワインドモータMr1と連結されており、ワインドモータMr1が駆動することにより回転する。
【0069】
プラテンとしての画像形成プラテン45は、図示しない押し出し機構によって、サーマルヘッド40との間でインクリボン41及び転写フィルム46を挟持する位置と挟持しない位置との間で移動可能になっている。画像形成プラテン45は、サーマルヘッド40と共にインクリボン41及び転写フィルム46を挟持する位置において、インクリボン41を用いて転写フィルム46に画像を転写する。
【0070】
画像形成プラテン45とサーマルヘッド40との間には、装置ハウジング2にリボンカセット42が装着された際にインクリボン41が挿入される。画像形成プラテン45とサーマルヘッド40との間には、リボンカセット42から搬送されるインクリボン41と、フィルムカセット50から搬送される転写フィルム46と、が走行するフィルム移送経路P4が形成されている。
【0071】
移送ローラ49は、フィルム移送経路P4に配置されていると共に、図示しない駆動モータに連結されており、駆動モータが駆動することにより一定の速度にて転写フィルム46を走行させる。移送ローラ49は、転写フィルム46への画像形成時に、
図2において破線矢印で示す反時計方向に回転して、転写フィルム46をインクリボン41と同一速度で画像転写部Bに搬送する。
【0072】
フィルムカセット50は、装置ハウジング2とは分離したユニットで構成されており、装置ハウジング2に着脱可能に装着されている。フィルムカセット50は、巻取スプール47と、供給スプール48と、を備えており、巻取スプール47と供給スプール48とに巻回された転写フィルム46を収容している。
【0073】
巻取スプール47は、ステッピングモータである巻取モータMr2に連結されており、巻取モータMr2が駆動することにより回転する。
【0074】
供給スプール48は、ステッピングモータである繰出モータMr3に連結されており、繰出モータMr3が駆動することにより回転する。
【0075】
巻取モータMr2及び繰出モータMr3は、装置フレームに取付けられたいずれも図示しないカップリング手段を介してスプール軸に連結されており、同一方向に同一送り量で回転する。
【0076】
センサSe10は、制御部Hの制御により動作して、巻取スプール44の駆動により搬送されるインクリボン41の位置を検出して、検出結果を制御部Hに出力する。
【0077】
センサSe11は、制御部Hの制御により動作して、巻取スプール47及び供給スプール48の駆動により搬送される転写フィルム46の位置を検出して、検出結果を制御部Hに出力する。
【0078】
冷却ファンfn1は、サーマルヘッド40を冷却する。
【0079】
<メディア待機部の構成>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1のメディア待機部Eの構成について、
図1及び
図2を参照しながら、詳細に説明する。
【0080】
メディア待機部Eは、第1ローラ対29と、第2ローラ対30と、センサSe8と、を備えている。
【0081】
第1ローラ対29は、図示しない搬送モータに連結されて正回転と逆回転とを切り換え可能に構成されている。第1ローラ対29は、反転ユニット20より搬送されるカードKを第2ローラ対30に搬送し、又は第2ローラ対30より搬送されるカードKを反転ユニット20に搬送する。
【0082】
第2ローラ対30は、図示しない搬送モータに連結されて正回転と逆回転とを切り換え可能に構成されている。第2ローラ対30は、正回転することによって第1ローラ対29より搬送されるカードKを画像転写部Bに搬送し、又は逆回転することによって画像転写部Bより搬送されるカードKを第1ローラ対29に搬送する。
【0083】
第1ローラ対29と第2ローラ対30とは、
図2に示すようにカードKの搬送方向の長さLcより短い間隔Ldを有するように配置されている。第1ローラ対29及び第2ローラ対30は、搬送モータとの間に設けられた図示しない伝動クラッチがOFFとなることにより、カードKの搬送を停止してカードKを保持した状態で一時的に待機させる。
【0084】
なお、メディア待機部EにおけるカードKの搬送機構は、第1ローラ対29と第2ローラ対30とにより構成される場合に限らず、ベルトでも良い。
【0085】
センサSe8は、第2ローラ対30に近接して配置されている。センサSe8は、制御部Hの制御により動作して、第1ローラ対29から第2ローラ対30に搬送されるカードKの搬送方向の先端を検出して、メディア待機部EにカードKが存在するか否かの検出結果を制御部Hに出力する。
【0086】
<反転ユニットの構成>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の反転ユニット20の構成について、
図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0087】
反転ユニット20は、ユニットフレーム18と、複数のローラ対21a及びローラ対21bと、を備えている。
【0088】
ユニットフレーム18は、図示しない装置フレームに旋回動可能に軸受け支持されており、パルスモータ等の図示しない旋回モータによって旋回動して、ローラ対21a及びローラ対21bによってカードKをニップした状態で所定方向に姿勢偏向する。ユニットフレーム18は、ニップした状態のカードKを、第1搬送パスP1、第2搬送パスP2、第3搬送パスP3、リジェクトスタッカ25又はバーコードリーダ28に搬送可能とする所定角度毎に回転する。
【0089】
ローラ対21a及びローラ対21bは、互いに距離を隔てて配置され、ユニットフレーム18に回転自在に軸支持されている。ローラ対21a及びローラ対21bは、図示しない搬送モータによって正方向に回転してカードKをユニットフレーム18内に搬送し、又は搬送モータによって逆方向に回転してカードKをユニットフレーム18外に搬送する。
【0090】
なお、ユニットフレーム18の旋回動とローラ対21a及びローラ対21bの回転とは、異なるモータで動作させる構成に限らず、1つのパルスモータで動作させると共にクラッチで切り換える構成にしてもよい。
【0091】
<制御モジュールの構成>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の制御モジュール90の構成について、
図3を参照しながら、詳細に説明する。
【0092】
制御モジュール90は、制御部Hと、ROM71と、RAM72と、IC R/W制御用IC73xと、磁気R/W制御用IC73yと、ヘッドコントロール用IC74xと、を備えている。また、制御モジュール90は、反転ユニット旋回モータ制御回路80と、第1搬送パス搬送モータ制御回路81と、第2搬送パス搬送モータ制御回路82と、ワインドモータ制御回路83と、を備えている。更に、制御モジュール90は、巻取モータ制御回路84と、繰出モータ制御回路85と、移送ローラ駆動モータ制御回路86と、を備えている。
【0093】
制御手段としての制御部Hは、ROM71に記憶されている制御プログラムを実行することにより、RAM72を用いながら、画像形成装置1の全体の動作を制御する。
【0094】
具体的には、制御部Hは、IC R/W制御用IC73x、磁気R/W制御用IC73y、ヘッドコントロール用IC74x、反転ユニット旋回モータ制御回路80及び第1搬送パス搬送モータ制御回路81の動作を制御する。また、制御部Hは、第2搬送パス搬送モータ制御回路82、ワインドモータ制御回路83、巻取モータ制御回路84、繰出モータ制御回路85及び移送ローラ駆動モータ制御回路86の動作を制御する。制御部Hは、CPU70と、データ入力制御部73と、画像形成制御部74と、フィルム搬送制御部75と、センサ制御部76と、カード搬送制御部77と、を備えている。
【0095】
制御部Hは、図示しないホストコンピュータ等の上位装置からカードKに記録する磁気データ、電子データ又は画像データを受信した際に、受信した磁気データ、電子データ又は画像データに応じて、カードKに画像を転写及び情報を記録する制御を行う。具体的には、制御部Hは、カードKに対して、磁気情報と画像情報とを組み合わせて記録する制御、電子情報と画像情報とを組み合わせて記録する制御、又は磁気情報と電子情報と画像情報とを組み合わせて記録する制御を行う。
【0096】
CPU70は、ROM71に記憶されている制御プログラムを実行することにより、RAM72を用いながら、画像形成装置1の動作を制御する。CPU70は、制御プログラムの実行により、センサ制御部76より入力される検出結果に基づいて、データ入力制御部73、画像形成制御部74、フィルム搬送制御部75、センサ制御部76及びカード搬送制御部77の動作を制御する。
【0097】
データ入力制御部73は、CPU70の制御により動作して、入力データの送受信を制御するコマンド信号を磁気R/W制御用IC73yに出力する。データ入力制御部73は、CPU70の制御により動作して、入力データの送受信を制御するコマンド信号をIC R/W制御用IC73xに出力する。
【0098】
画像形成制御部74は、CPU70の制御により動作して、ヘッドコントロール用IC74xに制御信号を出力してサーマルヘッド40を制御すると共に、ワインドモータ制御回路83に制御信号を出力してインクリボン41の搬送を制御する。
【0099】
フィルム搬送制御部75は、CPU70の制御により動作して、巻取モータ制御回路84、繰出モータ制御回路85及び移送ローラ駆動モータ制御回路86に制御信号を各々出力して転写フィルム46の搬送を制御する。
【0100】
センサ制御部76は、CPU70の制御により動作して、センサSe1~Se12の動作を制御することによりセンサSe1~Se12より入力される検出結果をCPU70に出力する。
【0101】
カード搬送制御部77は、CPU70の制御により動作して、反転ユニット旋回モータ制御回路80、第1搬送パス搬送モータ制御回路81及び第2搬送パス搬送モータ制御回路82に対して制御信号を出力して駆動制御を行う。
【0102】
ROM71は、制御プログラムを予め記憶している。
【0103】
RAM72は、CPU70のワークエリアとして機能する。
【0104】
IC R/W制御用IC73xは、非接触式IC記録ユニット23に設けられている。IC R/W制御用IC73xは、データ入力制御部73より入力される入力データの送受信を制御するコマンド信号に基づいて、カードKに内蔵されているICに電子情報を記録する。
【0105】
磁気R/W制御用IC73yは、磁気記録ユニット24に設けられている。磁気R/W制御用IC73yは、データ入力制御部73より入力される入力データの送受信を制御するコマンド信号に基づいて、カードKの磁気ストライプに磁気情報を記録する。
【0106】
ヘッドコントロール用IC74xは、画像形成制御部74より入力される制御信号に基づいて、サーマルヘッド40に対してパルスを印可してサーマルヘッド40の加熱制御を行う。
【0107】
反転ユニット旋回モータ制御回路80は、カード搬送制御部77より入力される制御信号に基づいて、図示しない旋回モータの駆動を制御して反転ユニット20を旋回させる。
【0108】
第1搬送パス搬送モータ制御回路81は、カード搬送制御部77より入力される制御信号に基づいて、図示しない搬送モータの駆動を制御して第1ローラ対29及び第2ローラ対30を駆動することにより、第1搬送パスP1においてカードKを搬送する。
【0109】
第2搬送パス搬送モータ制御回路82は、カード搬送制御部77より入力される制御信号に基づいて、図示しない搬送モータの駆動を制御してローラ対21a及びローラ対21bを駆動することにより、第2搬送パスP2においてカードKを搬送する。
【0110】
ワインドモータ制御回路83は、画像形成制御部74より入力される制御信号に基づいて、ワインドモータMr1の駆動を制御してインクリボン41を搬送する。
【0111】
巻取モータ制御回路84は、フィルム搬送制御部75より入力される制御信号に基づいて、巻取モータMr2の駆動を制御して転写フィルム46を繰り出し又は巻き取る。
【0112】
繰出モータ制御回路85は、フィルム搬送制御部75より入力される制御信号に基づいて、繰出モータMr3の駆動を制御して転写フィルム46を繰り出し又は巻き取る。
【0113】
移送ローラ駆動モータ制御回路86は、フィルム搬送制御部75より入力される制御信号に基づいて、移送ローラ49の駆動を制御して転写フィルム46を搬送する。
【0114】
<インクリボンの構成>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1において使用するインクリボン41の構成について、
図4を参照しながら、詳細に説明する。
【0115】
図4において、
図4(a)はインクリボン41の構成を示しており、
図4(b)は転写フィルム46より画像を転写されたカードKの一例を示している。
【0116】
インクリボン41は、昇華型リボンである。インクリボン41には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びB(ブラック)の各インクパネルQ1、Q2、Q3、Q4が面順次に帯状に配置されている。
【0117】
ここで、インクパネルQ1からQ3は、カラーインクパネルであり、染料インクによって形成されている。また、インクパネルQ4は、ブラックインクパネルであり、顔料インクによって形成されている。インクパネルQ3は、インクパネルQ4に対してインクリボン41の搬送方向の下流側において隣り合う最終カラーインクパネルである。なお、インクパネルQ1からQ3は染料インク以外によって形成されていてもよいし、インクパネルQ4は顔料インク以外によって形成されていてもよい。
【0118】
B(ブラック)のインクパネルQ4のインクリボン41の搬送方向と平行な副走査方向(
図4(a)において左右方向)における幅Lは、転写フィルム46の印刷幅に対応した所定幅を有している。Y(イエロー)、M(マゼンタ)及びC(シアン)のインクパネルQ1、Q2、Q3のインクリボン41の搬送方向における第1の幅としての幅Aは、インクパネルQ4の幅Lよりも短い(L>A)。具体的には、インクパネルQ1、Q2、Q3の幅Aは、インクパネルQ4の幅Lの50%乃至70%である。
【0119】
このようなインクリボン41は、免許証又は会員カード等の
図4(b)に一例を示す1枚のカードKにおいて顔写真等のカラーで記録する領域が少ないカードKに画像を転写する際に用いられる。
【0120】
<画像形成部の動作>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の画像形成部Dの動作について、詳細に説明する。
【0121】
まず、転写フィルム46は、巻取スプール47から取り出されると共に、移送ローラ49が
図2において時計方向に回転することにより、画像転写の頭出し位置まで搬送される。また、インクリボン41は、巻取スプール44が
図2において反時計方向に回転することにより、画像転写の頭出し位置まで搬送される。この際の転写フィルム46とインクリボン41との搬送方向は、反対方向となる。
【0122】
なお、サーマルヘッド40よりも転写時の転写フィルム46の搬送方向の上流側に転写フィルム46を一旦搬送し、その後にインクリボン41の搬送方向と同一方向に転写フィルム46を搬送して頭出し位置に搬送させてもよい。これにより、頭出し位置への搬送の後に転写を開始する際において、転写フィルム46を搬送する駆動モータ等のバックラッシュの影響を少なくすることができる。
【0123】
次に、画像形成プラテン45は、図示しない押し出し機構にてサーマルヘッド40に向けて移動し、
図2に示すように転写フィルム46とインクリボン41とを挟んだ状態でサーマルヘッド40と当接する。
【0124】
次に、巻取スプール44は、サーマルヘッド40の熱制御と同期して回転し、インクリボン41を所定速度で巻き取る。また、移送ローラ49は、
図2において反時計方向に回転して、転写フィルム46をインクリボン41と同じ方向に一枚のカードKの印刷幅に対応する分だけ移送させる。これにより、転写フィルム46には画像が転写されて形成される。
【0125】
そして、一つのインクパネルによる画像の転写が終了した際に、移送ローラ49は、再び
図2において時計方向に回転して、転写フィルム46を一枚のカードの印刷幅に対応する分だけ頭出し位置まで引き戻す。また、インクリボン41は、巻取り方向に搬送されるため、次のインクパネルについて転写フィルム46との頭出し位置での位置合わせが行われる。
【0126】
このような頭出し制御は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びB(ブラック)の各インクパネルについて、転写フィルム46との頭出し位置での位置合わせが順次行われる。画像形成部Dは、このような位置合わせ後に、サーマルヘッド40と画像形成プラテン45とによる加熱転写を繰り返すことにより、カードKの表裏面に印刷する顔写真、文字等の画像を、インクリボン41を用いて転写フィルム46に転写する。
【0127】
画像形成部Dでは、インクリボン41を頭出しするために搬送する合計時間の短縮を図るために、インクパネルQ3とインクパネルQ4との印画位置の関係に応じて、インクパネルQ4を用いた転写前に行われる頭出しを省略する動作を行う。なお、この動作の詳細については後述する。
【0128】
<画像形成処理>
本発明の実施の形態に係る画像形成処理について、
図5を参照しながら、詳細に説明する。
【0129】
図5に示す画像形成処理は、画像形成装置1の主電源がオンされたタイミングで開始される。
【0130】
まず、制御部Hは、転写フィルム46を供給スプール48から取り出すと共に、移送ローラ49を
図2において反時計回りに回転させることにより、転写フィルム46を頭出し位置まで搬送するフィルム初期化処理を実行する(S1)。
【0131】
次に、制御部Hは、巻取スプール44によってインクリボン41を画像転写の頭出し位置まで搬送するインクリボン初期化処理を実行する(S2)。
【0132】
次に、制御部Hは、ジョブスタート信号を受信したか否かを判定する(S3)。
【0133】
制御部Hは、ジョブスタート信号を受信していない場合に(S3:No)、ステップS3の処理を繰り返す。
【0134】
一方、制御部Hは、ジョブスタート信号を受信した場合に(S3:Yes)、カードKをメディア供給部Cから反転ユニット20に搬送することによってカードKを供給する(S4)。
【0135】
次に、制御部Hは、センサSe1より入力されたカードKの搬送方向の先端を検出する検出結果に基づいて、反転ユニット旋回モータ制御回路80を制御して反転ユニット20を旋回駆動する。これにより、カードKは、第1搬送パスP1、第2搬送パスP2又は第3搬送パスP3に搬送される。
【0136】
また、制御部Hは、センサSe9より入力された転写フィルム46の繰出量の検出結果に基づいて巻取モータMr2及び繰出モータMr3を制御して、転写フィルム46を画像形成部Dに搬送する。ここで、転写フィルム46には、カードKに画像を形成する領域の印刷幅に対応する所定幅のコマ毎にマークが施されている。従って、制御部Hは、このマークを検出するセンサSe9の検出結果に基づいて、転写フィルム46の繰出量を制御する。
【0137】
次に、制御部HのCPU70は、図示しない上位装置から受信したカードKに記録する磁気データ又は電子データをデータ入力制御部73に転送する。また、CPU70は、上位装置から受信した画像データを画像形成制御部74に転送する(S5)。なお、ステップS5の処理時間はデータボリューム又は転送手段の状況に応じて異なるため、ステップS5の処理と並行して行われる他の処理がステップS5の処理よりも先行することがある。
【0138】
次に、制御部Hは、カードKの情報記録部Aへの搬送を終了した際に、磁気データに基づいて磁気R/W制御用IC73yにより磁気情報をカードKに記録し、又は電子データに基づいてIC R/W制御用IC73xにより電子情報をカードKに記録する。制御部Hは、記録した磁気情報又は電子情報に誤りを発見した際に、反転ユニット旋回モータ制御回路80により反転ユニット20を旋回駆動して、カードKをリジェクトスタッカ25に搬出する。そして、制御部Hは、メディア供給部Cから新たなカードKを反転ユニット20に搬送するように制御する。
【0139】
次に、制御部Hは、ヘッドコントロール用IC74xを制御することにより、サーマルヘッド40のヘッド温度を適正値に設定する。制御部Hは、ヘッド温度が適正値に対して過剰高温のときにはサーマルヘッド40を冷却し、適正値に対して低温度のときにはサーマルヘッド40を昇温する制御を行う。制御部Hは、ヘッド温度が適正値に対して過剰高温の場合には冷却に時間を要するため、巻取モータ制御回路84、繰出モータ制御回路85及び移送ローラ駆動モータ制御回路86を制御して、ヘッド温度が適正値になるまで転写フィルム46を待機させる。
【0140】
次に、制御部Hは、ヘッド温度が適正値に設定された際に、インクリボン41を用いて転写フィルム46に画像を転写する一次転写処理を実行する(S6)。なお、一次転写処理の詳細については後述する。
【0141】
次に、制御部Hは、一次転写処理が終了したか否かを判定する(S7)。
【0142】
制御部Hは、一次転写処理を終了していない場合に(S7:No)、ステップS7の処理を繰り返す。
【0143】
一方、制御部Hは、一次転写処理を終了した場合に(S7:Yes)、センサSe9より入力される検出結果に基づいて、転写フィルム46をフィルム待機部Fに移動させる。具体的には、制御部Hは、巻取モータ制御回路84、繰出モータ制御回路85及び移送ローラ駆動モータ制御回路86を制御して、巻取モータMr2及び繰出モータMr3を駆動制御して、転写フィルム46をフィルム待機部Fに移動させる。また、制御部Hは、第1搬送パス搬送モータ制御回路81を制御して、第1ローラ対29及び第2ローラ対30を駆動制御して、カードKをメディア待機部Eに移動させる。
【0144】
メディア待機部Eに待機させた状態のカードKの搬送方向の先端は、加熱ローラ33よりも搬送方向の上流側にあるため、加熱ローラ33によって加熱されることがない。これより、カードKに転写される画像にムラを発生する恐れをなくすることができる。
【0145】
また、画像形成装置1では、反転ユニット20と画像転写部Bとの間の第1搬送パスP1にメディア待機部Eを配置している。これにより、第2搬送パスP2で磁気情報を記録するジョブ及び第3搬送パスP3で電子情報を記録するジョブと、第1搬送パスP1で画像形成を行うジョブと、を分離して制御することができる。
【0146】
次に、制御部Hは、加熱ローラ33の温度が適正値か否か判断する。この際に、制御部Hは、カードKがメディア待機部Eに到達していない場合、転写フィルム46がフィルム待機部Fに到達していない場合、又は加熱ローラ33の温度が適正値でない場合に、各条件が整うまで待機する。
【0147】
次に、制御部Hは、加熱ローラ33の温度が適正値に達した際に、カードKをメディア待機部Eより画像転写部Bに向けて搬送すると共に、転写フィルム46をフィルム待機部Fより画像転写部Bに向けて搬送する。
【0148】
この際に、カードKはメディア待機部Eにおいて待機し、転写フィルム46はフィルム待機部Fにおいて待機することにより、転写フィルム46及びカードKを同時に且つ同一速度で待機位置から画像転写部Bに到達させることができる。従って、転写フィルム46及びカードKの互いの位置ズレを少なくすることができる。
【0149】
次に、制御部Hは、カードKと転写フィルム46とが転写プラテン31に到達したタイミングで、転写プラテン31から離間した待機位置の加熱ローラ33を転写プラテン31と圧接する位置まで上昇させる。
【0150】
次に、制御部Hは、カードKと転写フィルム46とを同時に搬送して転写フィルム46に転写されている画像をカードKに加熱圧着して二次転写処理を実行する(S8)。
【0151】
次に、制御部Hは、収容スタッカ60にカードKを搬出する(S9)。そして、制御部Hは、巻取モータ制御回路84及び繰出モータ制御回路85を制御して巻取モータMr2及び繰出モータMr3の駆動を制御することにより、巻取スプール47によって転写フィルム46を巻き取る。
【0152】
<一次転写処理>
本発明の実施の形態に係る一次転写処理について、
図6から
図9を参照しながら、詳細に説明する。
【0153】
図6及び
図7に示す一次転写処理は、
図5に示す画像形成処理におけるステップS5の処理が終了したタイミングで開始される。
【0154】
まず、制御部Hは、RAM72に記憶されている動作短縮フラグをクリアして例えば「0」にする(S21)。
【0155】
次に、制御部Hは、図示しない上位装置より受信した画像データに基づいて、各色のインクパネルQ1~Q4の転写開始位置を、転写フィルム46の全面に転写処理を行う全面転写時の転写開始位置と同一に設定する。また、制御部Hは、上位装置より受信した画像データに基づいて、転写画像サイズに応じた各色のインクパネルQ1~Q4の転写終了位置を設定する(S22)。
【0156】
次に、制御部Hは、第3の幅としての転写フィルム46の幅L(
図8及び
図9参照)を取得する(S23)。転写フィルム46の幅Lは、例えばROM71に予め記憶されている。ここで、転写フィルム46の幅Lは、1枚のカードKに転写する領域の幅であり、インクパネルQ4の搬送方向と平行な幅と同一幅である。
【0157】
次に、制御部Hは、最終インクパネルとしてのC(シアン)のインクパネルQ3の幅A(
図8及び
図9参照)を取得する(S24)。インクパネルQ3の幅Aは、例えばROM71に予め記憶されている。
【0158】
次に、制御部Hは、上位装置より受信した画像データに基づいて、転写画像の全てが各色のインクパネルQ1~Q4内に入るように、各色のインクパネルQ1~Q4の転写開始位置を設定する。そして、制御部Hは、転写フィルム46におけるB(ブラック)のインクパネルQ4による転写開始位置を取得する(S25)。
【0159】
次に、制御部Hは、上位装置より受信した画像データに基づいて、インクパネルQ4による転写画像サイズSを取得する(S26)。
【0160】
次に、制御部Hは、インクパネルQ3の頭出し位置からインクパネルQ4の転写開始位置までの幅bがインクパネルQ3の幅Aよりも大きく、且つ幅bと転写画像サイズSとを足した幅(第4の幅)が転写フィルム46の幅L内に含まれるか判定する(S27)。
【0161】
即ち、制御部Hは、ステップS27の前者の判定を行うことにより、インクパネルQ4の転写開始位置がインクパネルQ3の幅Aよりも転写フィルム46の搬送方向の上流側にあるか否かを判定する。また、制御部Hは、ステップS27の後者の判定を行うことにより、インクパネルQ4の転写開始位置から転写終了位置までの転写領域が幅L内に含まれるか否かを判定する。このように、制御部Hは、転写フィルム46の幅L、インクパネルQ3の幅A、インクパネルQ4の転写開始位置及びインクパネルQ4による転写画像サイズSより、頭出しを省略可能か否か判定する。
【0162】
制御部Hは、
図8(a)に示すように、幅bが幅Aよりも大きく、且つ幅bと転写画像サイズSとを足した幅が幅L内に含まれる場合に(S27:Yes)、頭出しを省略可能と判定する。そして、制御部Hは、インクパネルQ4の転写開始位置を、インクパネルQ3の頭出し位置から幅bだけ転写フィルム46の搬送方向の上流側に設定する(S28)。
【0163】
次に、制御部Hは、動作短縮フラグに「1」をセットしてRAM72に記憶させる(S29)。
【0164】
次に、制御部Hは、ヘッドコントロール用IC74xを制御して、サーマルヘッド40を染料インク用に切り替えて加熱制御する(S30)。この加熱制御において、ヘッドコントロール用IC74xは、転写フィルム46に対して多階調の転写処理を行うために、転写処理する画素の濃度に応じて印可エネルギーを段階的に変更したパルスをサーマルヘッド40に印可する。
【0165】
一方、制御部Hは、
図9(a)に示すように幅bが幅A以下の場合、又は幅bと転写画像サイズSとを足した幅が幅L内に含まれない場合に(S27:No)、頭出しを省略不可能と判定してステップS30の処理にスキップする。これにより、動作短縮フラグは、クリアされた状態となっている。
【0166】
次に、制御部Hは、Y(イエロー)のインクパネルQ1の頭出しを行うYインク頭出し処理を実行する(S31)。具体的には、制御部Hは、ワインドモータ制御回路83を制御することによってワインドモータMr1の駆動を制御して、巻取スプール44を
図2において反時計回りに回転させて、インクパネルQ1の頭出し位置までインクリボン41を移送する。
【0167】
次に、制御部Hは、巻取モータMr2及び繰出モータMr3の駆動を制御して、転写フィルム46を供給スプール48から取り出すと共に、移送ローラ49を
図2において反時計回りに回転させることにより、転写フィルム46を頭出し位置に搬送する(S32)。これにより、
図8(a)及び
図9(a)に示すように、転写フィルム46の転写開始位置と、インクパネルQ1の転写開始位置と、が頭出し位置で位置合わせされる。
【0168】
次に、制御部Hは、画像形成プラテン45を移動させて、画像形成プラテン45とサーマルヘッド40とによってインクリボン41及び転写フィルム46をニップする(S33)。
【0169】
次に、制御部Hは、インクパネルQ1による一次転写を開始する(S34)。
【0170】
次に、制御部Hは、インクパネルQ1による一次転写を終了したか否かを判定する(S35)。
【0171】
制御部Hは、インクパネルQ1による一次転写を終了していない場合に(S35:No)、ステップS35の処理を繰り返す。
【0172】
一方、制御部Hは、
図8(b)及び
図9(b)に示すように、インクパネルQ1による一次転写を終了した場合に(S35:Yes)、画像形成プラテン45をサーマルヘッド40から離間する方向に移動させる(S36)。
【0173】
次に、制御部Hは、M(マゼンタ)のインクパネルQ2の頭出しを行うMインク頭出し処理を実行する(S37)。具体的には、制御部Hは、ワインドモータMr1の駆動を制御して、巻取スプール44を
図2において反時計回りに回転させて、インクパネルQ2の画像転写の頭出し位置までインクリボン41を移送する。
【0174】
次に、制御部Hは、巻取モータMr2及び繰出モータMr3の駆動を制御して、転写フィルム46を巻き戻すと共に、移送ローラ49を
図2において時計回りに回転させることにより、転写フィルム46を頭出し位置に搬送する(S38)。これにより、
図8(c)及び
図9(c)に示すように、転写フィルム46の転写開始位置と、インクリボン41のインクパネルQ2の転写開始位置と、が頭出し位置で位置合わせされる。
【0175】
次に、制御部Hは、画像形成プラテン45を移動させて、画像形成プラテン45とサーマルヘッド40とによってインクリボン41及び転写フィルム46をニップする(S39)。
【0176】
次に、制御部Hは、インクパネルQ2による一次転写を開始する(S40)。
【0177】
次に、制御部Hは、インクパネルQ2による一次転写を終了したか否かを判定する(S41)。
【0178】
制御部Hは、インクパネルQ2による一次転写を終了していない場合に(S41:No)、ステップS41の処理を繰り返す。
【0179】
一方、制御部Hは、
図8(d)及び
図9(d)に示すように、インクパネルQ2による一次転写を終了した場合に(S41:Yes)、画像形成プラテン45をサーマルヘッド40から離間する方向に移動させる(S42)。
【0180】
次に、制御部Hは、RAM72に記憶している動作短縮フラグが「1」であるか否かを判定する(S43)。
【0181】
制御部Hは、動作短縮フラグが「1」である場合に(S43:Yes)、C(シアン)のインクパネルQ3の頭出しを行うCインク頭出し処理を実行する(S44)。具体的には、制御部Hは、ワインドモータMr1の駆動を制御して、巻取スプール44を
図2において反時計回りに回転させて、インクパネルQ3の画像転写の頭出し位置までインクリボン41を移送する。
【0182】
次に、制御部Hは、巻取モータMr2及び繰出モータMr3の駆動を制御して、転写フィルム46を巻き戻すと共に、移送ローラ49を
図2において時計回りに回転させることにより、転写フィルム46を頭出し位置に搬送する(S45)。これにより、
図8(e)に示すように、転写フィルム46の転写開始位置と、インクリボン41のインクパネルQ3の転写開始位置と、が頭出し位置で位置合わせされる。
【0183】
次に、制御部Hは、画像形成プラテン45を移動させて、画像形成プラテン45とサーマルヘッド40とによってインクリボン41及び転写フィルム46をニップする(S46)。
【0184】
次に、制御部Hは、インクパネルQ3による一次転写を開始する(S47)。
【0185】
次に、制御部Hは、インクパネルQ3による一次転写を終了したか否かを判定する(S48)。
【0186】
制御部Hは、インクパネルQ3による一次転写を終了していない場合に(S48:No)、ステップS48の処理を繰り返す。
【0187】
一方、制御部Hは、
図8(f)に示すように、インクパネルQ3による一次転写を終了した場合に(S48:Yes)、ヘッドコントロール用IC74xを制御して、サーマルヘッド40を顔料インク用に切り替えて加熱制御する(S49)。この加熱制御において、ヘッドコントロール用IC74xは、白黒の2階調の転写処理を行うために、サーマルヘッド40に対してパルスを印可するか否かの制御を行う。このように、制御部Hは、染料インクによって形成されているインクパネルQ1からQ3と、顔料インクによって形成されているインクパネルQ4と、で異なる熱処理を行うようにサーマルヘッド40を制御する。
【0188】
そして、制御部Hは、インクパネルQ4が転写可能な位置に有るため、転写フィルム46及びインクパネルQ4の頭出しをせずに、そのまま連続的にインクパネルQ4による一次転写を行う。これにより、インクパネルQ3による一次転写後に、頭出し動作を挟まずに続けてインクパネルQ4による一次転写を行うことができ、印刷時間を短縮することができる。
【0189】
次に、制御部Hは、インクパネルQ4による一次転写を終了したか否かを判定する(S50)。
【0190】
制御部Hは、インクパネルQ4による一次転写を終了していない場合に(S50:No)、ステップS50の処理を繰り返す。
【0191】
一方、制御部Hは、
図8(g)に示すように、インクパネルQ3による一次転写を終了した場合に(S50:Yes)、画像形成プラテン45をサーマルヘッド40から離間する方向に移動させて(S51)、一次転写処理を終了する。
【0192】
また、制御部Hは、動作短縮フラグが「1」ではない場合に(S43:No)、C(シアン)のインクパネルQ3の頭出しを行うCインク頭出し処理を実行する(S52)。具体的には、制御部Hは、ワインドモータMr1の駆動を制御して、巻取スプール44を
図2において反時計回りに回転させて、インクパネルQ3の画像転写の頭出し位置までインクリボン41を移送する。
【0193】
次に、制御部Hは、巻取モータMr2及び繰出モータMr3の駆動を制御して、転写フィルム46を巻き戻すと共に、移送ローラ49を
図2において時計回りに回転させることにより、転写フィルム46を頭出し位置に搬送する(S53)。これにより、
図9(e)に示すように、転写フィルム46の転写開始位置と、インクリボン41のインクパネルQ3の転写開始位置と、が頭出し位置で位置合わせされる。
【0194】
次に、制御部Hは、画像形成プラテン45を移動させて、画像形成プラテン45とサーマルヘッド40とによってインクリボン41及び転写フィルム46をニップする(S54)。
【0195】
次に、制御部Hは、インクパネルQ3による一次転写を開始する(S55)。
【0196】
次に、制御部Hは、インクパネルQ3による一次転写を終了したか否かを判定する(S56)。
【0197】
制御部Hは、インクパネルQ3による一次転写を終了していない場合に(S56:No)、ステップS56の処理を繰り返す。
【0198】
一方、制御部Hは、
図9(f)に示すように、インクパネルQ3による一次転写を終了した場合に(S56:Yes)、画像形成プラテン45をサーマルヘッド40から離間する方向に移動させる(S57)。
【0199】
次に、制御部Hは、B(ブラック)のインクパネルQ4の頭出しを行うBインク頭出し処理を実行する(S58)。具体的には、制御部Hは、ワインドモータMr1の駆動を制御して、巻取スプール44を
図2において反時計回りに回転させて、インクパネルQ4の画像転写の頭出し位置までインクリボン41を移送する。
【0200】
次に、制御部Hは、巻取モータMr2及び繰出モータMr3の駆動を制御して、転写フィルム46を巻き戻すと共に、移送ローラ49を
図2において時計回りに回転させることにより、転写フィルム46を頭出し位置に搬送する(S59)。これにより、
図9(g)に示すように、転写フィルム46の転写開始位置と、インクリボン41のインクパネルQ4の転写開始位置と、が頭出し位置で位置合わせされる。
【0201】
次に、制御部Hは、画像形成プラテン45を移動させて、画像形成プラテン45とサーマルヘッド40とによってインクリボン41及び転写フィルム46をニップする(S60)。
【0202】
次に、制御部Hは、インクパネルQ4による一次転写を開始する(S61)。
【0203】
次に、制御部Hは、インクパネルQ4による一次転写を終了したか否かを判定する(S62)。
【0204】
制御部Hは、インクパネルQ4による一次転写を終了していない場合に(S62:No)、ステップS62の処理を繰り返す。
【0205】
一方、制御部Hは、
図9(h)に示すように、インクパネルQ4による一次転写を終了した場合に(S62:Yes)、画像形成プラテン45をサーマルヘッド40から離間する方向に移動させて(S63)、一次転写処理を終了する。
【0206】
このように、制御部Hは、転写フィルム46への転写面に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びB(ブラック)の4色を上記の順序で転写する。
【0207】
本実施の形態では、インクパネルQ3を用いた一次転写を終了した際に、インクパネルQ4が一次転写可能な位置に有る場合に、頭出しを行わずにインクパネルQ4によって一次転写を行うように制御する。これにより、特殊なインクリボンを使用する場合であっても生産性を向上させることができる。
【0208】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【0209】
具体的には、上記の実施の形態において、転写フィルム46を用いた中間転写方式の画像形成装置1を示したが、転写媒体としてのカードK等の記録媒体に直接転写する直接方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0210】
また、上記の実施の形態において、インクリボンのインクパネルをイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの順番で配置される構成にしたが、インクパネルの順番は適宜変更可能であり、また、ブラックが複数設けられていてもよい。またインクリボンにヒートシールパネル、ピールオフパネル、UVパネル又はオーバーコートパネル等を組み合わせてもよい。上記の実施の形態では、これらのインクを含まないパネルもインクパネルに含める。
【符号の説明】
【0211】
A 情報記録部
B 画像転写部
C メディア供給部
D 画像形成部
E メディア待機部
F フィルム待機部
H 制御部
K カード
Mr1 ワインドモータ
Mr2 巻取モータ
Mr3 繰出モータ
Q1 インクパネル
Q2 インクパネル
Q3 インクパネル
Q4 インクパネル
1 画像形成装置
20 反転ユニット
40 サーマルヘッド
41 インクリボン
42 リボンカセット
43 供給スプール
44 巻取スプール
45 画像形成プラテン
46 転写フィルム
47 供給スプール
48 巻取スプール
49 移送ローラ
50 フィルムカセット
70 CPU
74x ヘッドコントロール用IC
83 ワインドモータ制御回路
84 巻取モータ制御回路
85 操出モータ制御回路
90 制御モジュール