(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】スピンドライヤ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240730BHJP
F26B 11/04 20060101ALI20240730BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L21/304 651D
H01L21/304 651L
H01L21/304 648C
F26B11/04
F26B21/00 Z
(21)【出願番号】P 2020201079
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000134028
【氏名又は名称】株式会社SCREEN SPE テック
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】松田 将平
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-183892(JP,A)
【文献】特開2001-023944(JP,A)
【文献】特表2012-533173(JP,A)
【文献】特開2006-324659(JP,A)
【文献】特開平11-145104(JP,A)
【文献】特開平11-016876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0040583(US,A1)
【文献】米国特許第6418945(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0078669(KR,A)
【文献】韓国公開特許第2003-0028625(KR,A)
【文献】特開平01-253240(JP,A)
【文献】米国特許第6062239(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
F26B 11/04
F26B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を一括して乾燥させるスピンドライヤであって、
吸気口および排気口を有するチャンバと、
上側開口および下側開口を有し、かつ、複数の基板を収容するカセットを、前記チャンバ内において保持するカセット保持部と、
前記チャンバ内において前記カセットの前記上側開口および前記下側開口の一方と向かい合う位置に設けられ、不活性ガスを前記カセットの内部に向けて吐出する第1吐出管と、
前記複数の基板の厚み方向に沿う回転軸線のまわりで、前記カセット保持部および前記第1吐出管を一体に回転させる回転機構と
を備える、スピンドライヤ。
【請求項2】
請求項1に記載のスピンドライヤであって、
前記第1吐出管は、前記回転機構による前記カセット保持部の回転方向とは反対側に向かって前記不活性ガスを吐出し、前記複数の基板の周縁部と前記カセットの内面との間に前記不活性ガスを流入させる、スピンドライヤ。
【請求項3】
請求項2に記載のスピンドライヤであって、
前記第1吐出管は、前記不活性ガスを吐出する複数の第1吐出口を有し、
前記カセットの内面には、前記複数の基板の周縁部が挿入される複数の溝が形成され、
前記複数の第1吐出口は前記複数の溝の間隔と同じ間隔で形成される、スピンドライヤ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載のスピンドライヤであって、
前記カセットの前記上側開口および前記下側開口の他方と向かい合う位置に設けられ、前記カセットの内部にガスを供給する第2吐出管をさらに備える、スピンドライヤ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のスピンドライヤであって、
前記回転機構は、
前記回転軸線に沿って延在し、前記カセット保持部に連結される中空シャフトと、
前記中空シャフトを前記回転軸線のまわりで回転させるモータと
を含み、
前記不活性ガスは前記中空シャフトを通じて前記第1吐出管に供給される、スピンドライヤ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載のスピンドライヤであって、
前記第1吐出管は、前記カセットの前記上側開口と向かい合う位置に設けられ、
前記スピンドライヤは、
前記第1吐出管を、前記カセットの前記上側開口と向かい合う第1位置と、鉛直方向において前記カセットと対向しない第2位置との間で移動させる駆動機構をさらに備える、スピンドライヤ。
【請求項7】
請求項6に記載のスピンドライヤであって、
前記カセット保持部は、
前記カセットの下端を支持するカセット支持部と、
前記第1吐出管と一体に移動可能な当接部材と
を含み、
前記当接部材は、
前記第1吐出管が前記第1位置で停止した状態で、前記カセットの上端、または、前記カセットの前記上側開口における前記複数の基板の周縁に当接して、前記カセット支持部とともに前記カセットを挟持し、
前記第1吐出管が前記第2位置で停止した状態で、前記カセットと鉛直方向において対向しない位置で停止する、スピンドライヤ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一つに記載のスピンドライヤであって、
前記カセット保持部は、前記複数の基板を前記カセットから浮かせた状態で前記カセットおよび前記複数の基板を保持する、スピンドライヤ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一つに記載のスピンドライヤであって、
前記第1吐出管よりも上流側において前記不活性ガスを加熱するヒータをさらに備える、スピンドライヤ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載のスピンドライヤであって、
前記カセット保持部および前記第1吐出管の回転期間の全期間において、前記第1吐出管から前記不活性ガスを供給する、スピンドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、スピンドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板を乾燥させる基板乾燥装置として、スピンドライヤが提案されている(例えば特許文献1)。スピンドライヤは乾燥室を有しており、当該乾燥室には、空気吸引用開口および空気排出用開口が形成される。また、当該乾燥室内には、複数の半導体ウエハを収容した収容ケースが搬入される。
【0003】
乾燥室内には、回転支持体が設けられる。当該回転支持体は、搬入された収容ケースを支持しつつ、収容ケースとともに特定回転軸線のまわりを回転する。当該回転に伴って、空気吸引用開口から乾燥室内に空気が流入し、その一部が収容ケースの内部の半導体ウエハ間を流れ、空気排出用開口から外部に流出する。
【0004】
半導体ウエハに付着した水分のうち比較的に大きなものは遠心力により振り飛ばされ、比較的に小さなものは空気流により蒸発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スピンドライヤのスループットを向上させるためには、より多くの基板を収容した収容ケースをスピンドライヤに搬入することが望ましい。一度の乾燥処理により、より多くの基板を乾燥させることができるからである。その一方で、収容ケースのサイズを大きくすることはスピンドライヤの大型化を招くので、望ましくない。
【0007】
収容ケースの大型化を抑制しつつ基板の枚数を増やすと、収容ケース内の基板どうしの間隔が狭くなってしまう。また、収容ケースの内面には、各基板の周縁部が挿入される溝が形成されており、基板の枚数の増加により、各溝における基板の周縁部と収容ケースの内面との間の隙間も狭くなる。このような狭い隙間には空気が流入しにくく、基板の乾燥が困難となる。
【0008】
そこで、本願は、基板をより適切に乾燥させることができるスピンドライヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
スピンドライヤの第1の態様は、複数の基板を一括して乾燥させるスピンドライヤであって、吸気口および排気口を有するチャンバと、上側開口および下側開口を有し、かつ、複数の基板を収容するカセットを、前記チャンバ内において保持するカセット保持部と、前記チャンバ内において前記カセットの前記上側開口および前記下側開口の一方と向かい合う位置に設けられ、不活性ガスを前記カセットの内部に向けて吐出する第1吐出管と、前記複数の基板の厚み方向に沿う回転軸線のまわりで、前記カセット保持部および前記第1吐出管を一体に回転させる回転機構とを備える。
【0010】
スピンドライヤの第2の態様は、第1の態様にかかるスピンドライヤであって、前記第1吐出管は、前記回転機構による前記カセット保持部の回転方向とは反対側に向かって前記不活性ガスを吐出し、前記複数の基板の周縁部と前記カセットの内面との間に前記不活性ガスを流入させる。
【0011】
スピンドライヤの第3の態様は、第2の態様にかかるスピンドライヤであって、前記第1吐出管は、前記不活性ガスを吐出する複数の第1吐出口を有し、前記カセットの内面には、前記複数の基板の周縁部が挿入される複数の溝が形成され、前記複数の第1吐出口は前記複数の溝の間隔と同じ間隔で形成される。
【0012】
スピンドライヤの第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかるスピンドライヤであって、前記カセットの前記上側開口および前記下側開口の他方と向かい合う位置に設けられ、前記カセットの内部にガスを供給する第2吐出管をさらに備える。
【0013】
スピンドライヤの第5の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様にかかるスピンドライヤであって、前記回転機構は、前記回転軸線に沿って延在し、前記カセット保持部に連結される中空シャフトと、前記中空シャフトを前記回転軸線のまわりで回転させるモータとを含み、前記不活性ガスは前記中空シャフトを通じて前記第1吐出管に供給される。
【0014】
スピンドライヤの第6の態様は、第1から第5のいずれか一つの態様にかかるスピンドライヤであって、前記第1吐出管は、前記カセットの前記上側開口と向かい合う位置に設けられ、前記スピンドライヤは、前記第1吐出管を、前記カセットの前記上側開口と向かい合う第1位置と、鉛直方向において前記カセットと対向しない第2位置との間で移動させる駆動機構をさらに備える。
【0015】
スピンドライヤの第7の態様は、第6の態様にかかるスピンドライヤであって、前記カセット保持部は、前記カセットの下端を支持するカセット支持部と、前記第1吐出管と一体に移動可能な当接部材とを含み、前記当接部材は、前記第1吐出管が前記第1位置で停止した状態で、前記カセットの上端、または、前記カセットの前記上側開口における前記複数の基板の周縁に当接して、前記カセット支持部とともに前記カセットを挟持し、前記第1吐出管が前記第2位置で停止した状態で、前記カセットと鉛直方向において対向しない位置で停止する。
【0016】
スピンドライヤの第8の態様は、第1から第7のいずれか一つの態様にかかるスピンドライヤであって、前記カセット保持部は、前記複数の基板を前記カセットから浮かせた状態で前記カセットおよび前記複数の基板を保持する。
【0017】
スピンドライヤの第9の態様は、第1から第8のいずれか一つの態様にかかるスピンドライヤであって、前記第1吐出管よりも上流側において前記不活性ガスを加熱するヒータをさらに備える。
【0018】
スピンドライヤの第10の態様は、第1から第9のいずれか一つの態様にかかるスピンドライヤであって、前記カセット保持部および前記第1吐出管の回転期間の全期間において、前記第1吐出管から前記不活性ガスを供給する。
【発明の効果】
【0019】
スピンドライヤの第1の態様によれば、不活性ガスがカセットの内部に供給される。よって、カセットの内部の湿潤な雰囲気を不活性ガスで置換することができ、基板に付着した処理液の蒸発を促進させることができる。よって、基板をより適切に乾燥させることができる。
【0020】
スピンドライヤの第2の態様によれば、不活性ガスが、基板の周縁部とカセットの内面との間の狭い隙間に流入する。第1吐出管が設けられていない場合、回転機構の回転によって生じる空気流は、このような狭い隙間には流入しにくく、特に当該隙間での基板の乾燥が困難であった。第2の態様によれば、不活性ガスが隙間に流入するので、当該隙間でも処理液の蒸発を促進させることができる。
【0021】
スピンドライヤの第3の態様によれば、効率的に不活性ガスを溝に供給することができる。
【0022】
スピンドライヤの第4の態様によれば、カセットの上側開口を通じてカセットの内部に不活性ガスが供給されるとともに、下側開口を通じてもカセットの内部に不活性ガスが供給される。よって、基板の乾燥をさらに促進させることができる。
【0023】
スピンドライヤの第5の態様によれば、中空シャフトを不活性ガスの供給流路に利用しているので、より簡易な構成で第1吐出管に不活性ガスを供給できる。
【0024】
スピンドライヤの第6の態様によれば、第1吐出管が第1位置に位置する状態では、第1吐出管はカセットの内部に不活性ガスを供給しやすい。第1吐出管が第2位置に位置する状態では、カセットをチャンバに対して鉛直方向に沿って搬出入することができる。
【0025】
スピンドライヤの第7の態様によれば、第1吐出管が第2位置に位置する状態で、鉛直上側から鉛直下側にカセットを移動させてカセットをチャンバ内に搬入でき、また、チャンバ内から鉛直上側に移動させてカセットを搬出することができる。
【0026】
スピンドライヤの第8の態様によれば、基板の周縁とカセットの内面との間の隙間を大きくすることができるので、不活性ガスが当該隙間を流れやすい。
【0027】
スピンドライヤの第9の態様によれば、高温の不活性ガスをカセット内に供給できるので、処理液の蒸発をさらに促進できる。
【0028】
スピンドライヤの第10の態様によれば、不活性ガスによる処理液の蒸発促進効果を全期間にわたって招来することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1の実施の形態にかかるスピンドライヤの構成の一例を概略的に示す側断面図である。
【
図2】カセットの構成の一例を概略的に示す上面図である。
【
図3】チャンバの構成の一例を概略的に示す上面図である。
【
図4】カセット保持部および不活性ガス供給部の構成の一例を概略的に示す側面図である。
【
図5】カセット保持部および不活性ガス供給部の構成の一例を概略的に示す上面図である。
【
図6】第2吐出管およびカセットの構成の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図7】制御部の内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図8】スピンドライヤの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第2の実施の形態にかかるスピンドライヤの構成の一例を概略的に示す側断面図である。
【
図10】カセット保持部の他の構成の一例を概略的に示す側断図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照しながら、実施の形態について説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本開示の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法または数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。また、図面には、適宜にXYZ直交座標系が示される。ここでは、Z軸は鉛直方向に沿う軸である。以下では、X方向の一方側を+X側とも呼び、他方側を-X側とも呼ぶ。Y方向およびZ方向についても同様である。
【0031】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸または面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
【0032】
<第1の実施の形態>
<スピンドライヤ>
図1は、第1の実施の形態にかかるスピンドライヤ100の構成の一例を概略的に示す側断面図である。スピンドライヤ100は、複数の基板Wを一括して乾燥させるバッチ式の乾燥装置である。基板Wは例えば半導体基板であり、
図1の例では、円板形状を有している。なお、基板Wは半導体基板に限らず、その材料および形状は適宜に変更し得る。
【0033】
<カセット>
複数の基板Wはカセット(基板収容器)Cに収容された状態でスピンドライヤ100に搬入される。以下では、まず、カセットCについて述べる。
【0034】
カセットCは例えば樹脂(より具体的な一例として、テトラフルオロエチレン)によって形成され、+Z側および-Z側に開口する箱型形状を有している。以下では、カセットCの+Z側の開口および-Z側の開口をそれぞれ上側開口9aおよび下側開口9bとも呼ぶ。複数の基板Wの各々は起立姿勢でカセットCの上側開口9aからカセットCの内部に挿入される。ここでいう起立姿勢とは、基板Wの厚み方向が水平方向に沿う姿勢である。複数の基板Wはその厚み方向に沿って並んだ状態で、カセットCの内部に収容される。
【0035】
図2は、カセットCの構成の一例を概略的に示す上面図である。
図1および
図2の例では、カセットCは前壁91と後壁92と側壁93と側壁94と支持脚95と支持脚96とを含む。前壁91および後壁92は基板Wの厚み方向(ここではY方向)において、間隔を空けて互いに向かい合う。ここでは、前壁91は後壁92よりも+Y側に設けられる。側壁93および側壁94は、基板Wの厚み方向に垂直かつ水平な方向(ここではX方向)において、間隔を空けて互いに向かい合う。ここでは、側壁93は側壁94よりも-X側に設けられる。側壁93は前壁91の-X側の端部および後壁92の-X側の端部を連結し、側壁94は前壁91の+X側の端部および後壁92の+X側の端部を連結する。これにより、前壁91、後壁92、側壁93および側壁94はカセットCの内部空間を形成する。前壁91、後壁92、側壁93および側壁94によって囲まれたカセットCの内部空間は、その上部において開口して上側開口9aを形成し、その下部において開口して下側開口9bを形成する。
【0036】
図1に例示するように、側壁93の内面(+X側の面)は、Z方向に沿って延在する鉛直面93aと、鉛直面93aよりも-Z側において鉛直面93aに対して傾斜する傾斜面93bとを有する。同様に、側壁94の内面(-X側の面)は、Z方向に沿って延在する鉛直面94aと、鉛直面94aよりも-Z側において鉛直面94aに対して傾斜する傾斜面94bとを有する。傾斜面93bおよび傾斜面94bは-Z側に向かうにつれて互いに近づくように傾斜しており、複数の基板Wの周縁(側面)に当接して複数の基板Wを支持する。
【0037】
支持脚95は側壁93の-Z側の端部(下端)に設けられ、支持脚96は側壁94の-Z側の端部(下端)に設けられる。支持脚95および支持脚96はX方向において互いに間隔を空けて向かい合う。
【0038】
図2に例示するように、側壁93の内面および側壁94の内面には、各基板Wの周縁部を厚み方向に沿って挟むための突部が形成されている。より具体的には、側壁93の内面には、複数の突部931が基板Wの厚み方向に沿って並んで形成され、側壁94の内面には、複数の突部941が基板Wの厚み方向に沿って並んで形成される。これによれば、隣り合う2つの突部931の間に溝932が形成され、隣り合う2つの突部941の間に溝942が形成される。各基板Wの周縁部のうち-X側の部分は溝932に挿入され、各基板Wの周縁部のうち+X側の部分は溝942に挿入される。これにより、各基板Wが起立姿勢でカセットC内に収容される。
【0039】
カセットCに収容される基板Wの枚数は特に制限されないものの、例えば数十枚程度である。カセットCのサイズが一定であれば、基板Wの枚数を多くするほど、基板Wの相互間の間隔がより狭くなる。ひいては、各基板Wと各突部931との間の隙間がより狭く設定され、各基板Wと各突部941との間の隙間がより狭く設定される。基板Wが8インチの半導体基板である場合、基板Wの間隔は例えば3mm程度に設定される。基板Wと突部931との間の隙間および基板Wと突部941との間の隙間は当然に3mmよりも小さく設定される。当該隙間が狭くなると、基板Wに付着した処理液は当該隙間に残留しやすくなり、基板Wの乾燥が困難となる。
【0040】
<スピンドライヤの構成の概要>
スピンドライヤ100はチャンバ1とカセット保持部2と回転機構3と不活性ガス供給部4と制御部5とを含んでいる。以下では、これらの各構成について概説した後に、その一例について詳述する。
【0041】
チャンバ1は箱形の中空形状を有する。チャンバ1の内部空間は、複数の基板Wを乾燥させるための乾燥室に相当する。
図3は、チャンバ1の構成の一例を概略的に示す上面図である。
図1および
図3に例示するように、チャンバ1は吸気口1aと排気口1bとを有する。吸気口1aはチャンバ1の+Z側の部分(上部)に形成されており、排気口1bはチャンバ1の-Z側の部分(下部)に形成されている。外部の空気は吸気口1aを通じてチャンバ1内に流入し、チャンバ1の内部空間を流れて排気口1bから外部に流出する。
【0042】
カセット保持部2はチャンバ1内に設けられる。カセット保持部2は、チャンバ1内に搬入されたカセットCおよび複数の基板Wを保持する。
【0043】
回転機構3は、回転軸線Q1のまわりでカセット保持部2を回転させる。回転軸線Q1はY方向に沿う軸であり、カセット保持部2によって保持された基板Wの中心よりもやや+Z側に設定される。カセット保持部2の回転により、カセット保持部2によって保持されたカセットCおよび基板Wも回転軸線Q1のまわりで回転する。
図1の例では、回転機構3は、+Y側から-Y側に沿って見て、反時計回り方向にカセット保持部2を回転させる。
【0044】
当該回転に伴って、チャンバ1の吸気口1aにおける圧力が負圧となり、排気口1bにおける圧力が正圧となる。これにより、外部の空気が吸気口1aを通じてチャンバ1内に流入し、チャンバ1内を流れて排気口1bから外部に流出する。このとき、空気の一部はカセットC内の基板Wの相互間を流れて排気口1bから外部に流出する。
【0045】
基板Wに付着した処理液(例えば純水)は、回転軸線Q1まわりの回転に伴う遠心力によって基板Wの周縁から外側に飛散したり、あるいは、蒸発したりする。チャンバ1内の空気流は処理液の蒸発を促進させることができるものの、基板Wの間隔が狭いほど、空気は基板Wの相互間に流入しにくい。基板Wの相互間の雰囲気は、基板Wに付着した処理液によって湿潤な雰囲気となっているところ、基板Wの間隔が狭い場合には、基板Wの相互間の高湿度の雰囲気が空気に置換されにくく、処理液の蒸発が促進されにくい。特に、基板Wと突部931との間の隙間、および、基板Wと突部941との間の隙間はより狭いので、これらの隙間には空気がより流入しにくい。よって、特に当該隙間において、処理液の蒸発が促進されにくい。
【0046】
そこで、スピンドライヤ100には、不活性ガス供給部4が設けられている。不活性ガス供給部4はカセットCの内部に不活性ガスを供給する。不活性ガスとは、基板Wに対する反応性が低いガスである。不活性ガスとしては、例えば、アルゴン等の希ガス、窒素ガスおよび空気の少なくともいずれか一つを採用することができる。
【0047】
図1の例では、不活性ガス供給部4は吐出管41と吐出管42とを含む。吐出管41はカセットCの上側開口9aと向かい合う位置に設けられており、基板Wよりも+Z側に設けられる。吐出管41は、例えばY方向に沿って延在した長尺状の配管であり、その外周面に吐出管41aを有する。吐出管41aはカセットCの内部に向けて開口しており、吐出管41は吐出管41aからカセットCの内部に向けて不活性ガスを吐出する。
図1の例では、吐出管41aは、カセットCの側壁94と複数の基板Wとの間の空間に向けて開口する。具体的には、吐出管41aの開口方向は、回転機構3によるカセットCの回転方向とは反対側の方向(ここでは時計回り方向)に沿っている。
【0048】
吐出管41aから吐出された不活性ガスは、上側開口9aからカセットCの内部に供給される。よって、カセットCの内部に低湿度の不活性ガスを供給することができ、基板Wに付着した処理液の蒸発を促進させることができる。
【0049】
しかも、上述の例では、吐出管41aの開口方向は、カセットCの内部に向かう方向であって、カセットCの回転方向とは反対側の方向である。よって、吐出管41aからの不活性ガスは基板Wの+X側の周縁部とカセットCの突部941との間の隙間に流入しやすい。したがって、当該隙間における処理液の蒸発を効果的に促進させることができる。
【0050】
吐出管42はカセットCの下側開口9bと向かい合う位置に設けられており、基板Wよりも-Z側に設けられる。
図1の例では、吐出管42は支持脚95と支持脚96との間に位置するように設けられる。吐出管42は、例えばY方向に沿って延在した長尺状の配管であり、その外周面に吐出管42aを有する。吐出管42aはカセットCの内部に向けて開口しており、吐出管42は吐出管42aからカセットCの内部に向けて不活性ガスを吐出する。
図1の例では、吐出管42aは、カセットCの側壁93と複数の基板Wとの間の空間に向けて開口する。具体的には、吐出管42aの開口方向は、回転機構3によるカセットCの回転方向とは反対側の方向(ここでは時計回り方向)に沿っている。
【0051】
吐出管42aから吐出された不活性ガスは、下側開口9bからカセットCの内部に供給される。よって、カセットCの内部に低湿度の不活性ガスを供給することができ、基板Wに付着した処理液の蒸発を促進させることができる。
【0052】
しかも、上述の例では、吐出管42aの開口方向は、カセットCの内部に向かう方向であって、カセットCの回転方向とは反対側の方向である。よって、吐出管42aからの不活性ガスは基板Wの-X側の周縁部とカセットCの突部931との間の隙間に流入しやすい。したがって、当該隙間における処理液の蒸発を効果的に促進させることができる。
【0053】
制御部5はスピンドライヤ100を統括的に制御する。例えば制御部5はカセット保持部2、回転機構3および不活性ガス供給部4を制御する。具体的には、制御部5はカセット保持部2にカセットCおよび複数の基板Wを保持させ、不活性ガス供給部4に不活性ガスを供給させつつ、回転機構3によってカセット保持部2を回転させる。これにより、スピンドライヤ100による実質的な乾燥処理が行われる。
【0054】
以下、スピンドライヤ100の各構成のより具体的な一例について詳述する。
図4および
図5は、カセット保持部2および不活性ガス供給部4の構成の一例を概略的に示す図である。以下では、
図4および
図5も参照して各構成を説明する。
【0055】
<チャンバ>
図1の例では、チャンバ1は本体11と蓋12とを含んでいる。
図1の断面では図示されていないものの、
図1とは異なるY方向位置の断面において、本体11の+Z側の部分(上部)には搬送用開口(不図示)が形成される。蓋12は本体11の+Z側の部分に開閉可能に連結される。
図3の例では、蓋12はヒンジ部13を介して本体11に連結されている。蓋12はヒンジ部13を中心に回転して開閉する。蓋12の開閉は制御部5によって制御される。
【0056】
カセットCは蓋12が開いた状態で、搬送用開口を通じて本体11の内部に搬入され、また、搬送用開口を通じて本体11の内部から搬出される。なお、
図1の例では、カセットCの+Z側には後述の押さえ部22および吐出管41が設けられているものの、
図4に例示するように、この押さえ部22および吐出管41はカセットCの直上から退避可能である。押さえ部22および吐出管41はカセットCの搬出入時においてカセットCの直上から退避する。これにより、カセットCの搬出入時において、カセットCと押さえ部22との物理的な干渉およびカセットCと吐出管41との物理的な干渉を回避できる。
【0057】
図3の例では、吸気口1aは蓋12に形成されている。吸気口1aは例えば一方向に長い長尺形状を有しており、蓋12をその厚み方向に貫通する。
図3の例では、複数の吸気口1aが短手方向において並んで形成される。
【0058】
図1の例では、本体11と蓋12との間には、封止部14が設けられている。封止部14は例えばオーリングであって、本体11と蓋12との間を封止する。また、
図1の例では、蓋12にはイオナイザ15が設けられている。イオナイザ15は制御部5によって制御され、吸気口1aを通じてチャンバ1内に流入した空気を除電する。
【0059】
<カセット保持部>
カセット保持部2はチャンバ1内に設けられており、カセットCおよび複数の基板Wを保持する。
図1の例では、カセット保持部2はカセット支持部21と可動の押さえ部22と駆動機構23(
図4も参照)とを含む。
【0060】
カセット支持部21はカセットCを支持する。例えばカセット支持部21は板状の載置台であって、カセット支持部21の上面にカセットCの支持脚95および支持脚96の-Z側の端部(下端)が当接する。カセット支持部21には、カセットCの位置を決めるための突部211が設けられてもよい。突部211はカセット支持部21の上面から+Z側に突出しており、水平方向においてカセットCの支持脚95および支持脚96と当接してカセットCの水平方向の位置を規制する。
【0061】
図5の例では、カセット支持部21の+Y側の端部は第1板部24に連結され、カセット支持部21の-Y側の端部は第2板部25に連結される。第1板部24および第2板部25は板状形状を有し、その厚み方向がY方向に沿う姿勢で設けられる。このような構成において、カセット支持部21は第1板部24および第2板部25を連結する連結部としても機能する。
【0062】
図5の例では、第1板部24および第2板部25は連結部26および連結部27を介しても互いに連結されている。連結部26および連結部27は、Y方向に沿って延びる角柱形状を有し、X方向において間隔を空けて設けられる。連結部26および連結部27の+Y側の端部は第1板部24に連結され、連結部26および連結部27の-Y側の端部は第2板部25に連結される。連結部26および連結部27はカセット支持部21よりも+Z側に位置しており、カセットCはカセット支持部21によって支持された状態で連結部26と連結部27との間に位置する(
図4も参照)。
【0063】
押さえ部22はカセットCの上側開口9aにおいて、カセットCに収容された全ての基板Wの周縁(側面)に当接可能であり、カセット支持部21とともに複数の基板WおよびカセットCを挟持する。
【0064】
ここでは、一対の押さえ部22が設けられている。一対の押さえ部22はカセットCよりも+Z側に設けられ、X方向において互いに間隔を空けて設けられる。一方の押さえ部22は基板Wの中心に対して+X側で基板Wの周縁に当接し、他方の押さえ部22は基板Wの中心に対して-X側で基板Wの周縁に当接する。よって、カセットCおよび複数の基板Wを一つの構造体とみなすと、当該構造体はカセット支持部21および一対の押さえ部22によって挟持される。
【0065】
各押さえ部22は、複数の基板Wの周縁に当接する当接位置と、複数の基板Wから離れた退避位置との間で変位可能に設けられる。退避位置は、押さえ部22がカセットCの搬送経路に干渉しない位置である。ここでは、カセットCはZ方向に沿ってチャンバ1内に搬送されるので、退避位置は、押さえ部22がZ方向においてカセットCと対向しない位置である。
【0066】
図4の例では、一対の押さえ部22は、YZ平面に平行な基準面に関して互いに対称な形状を有しており、第1当接部材221とアーム222とを含んでいる。第1当接部材221は、Y方向に沿って延在する円柱形状を有し、その外周面の一部が複数の基板Wの周縁に当接する。アーム222はその一端において第1当接部材221に連結される。アーム222の他端は回転軸線Q2のまわりで回転可能に設けられる。なお、
図5では図面の煩雑を避けるために押さえ部22の図示を省略しているものの、アーム222の他端は第1板部24および第2板部25に回転可能に連結される。回転軸線Q2はY方向に沿う軸であり、Z方向においてカセットCと対向しない位置に設けられる。
図4の例では、+X側の押さえ部22についての回転軸線Q2はカセットCよりも+Z側かつ+X側の位置に設けられ、-X側の押さえ部22についての回転軸線Q2はカセットCよりも+Z側かつ-X側の位置に設けられる。
【0067】
駆動機構23は制御部5によって制御され、押さえ部22をそれぞれの当接位置と退避位置との間で変位させる。具体的な一例として、駆動機構23はモータを含み、アーム222を回転軸線Q2のまわりで回動させる。アーム222が回転軸線Q2のまわりで回動することにより、第1当接部材221は当接位置と退避位置との間で円弧経路に沿って往復移動する。-X側の押さえ部22は退避位置においてカセットCの搬送経路よりも-X側に位置し、+X側の押さえ部22は退避位置においてカセットCの搬送経路よりも+X側に位置する。
【0068】
図示の例では、各押さえ部22は複数の基板Wの周縁のみならず、カセットCの+Z側の端部(上端)にも当接可能である。具体的には、押さえ部22は第2当接部材223をさらに含んでいる。第2当接部材223は、Y方向に沿って延在する角柱形状を有し、その-Z側の端部(下部)がカセットCの+Z側の端部(上端)に当接する。
【0069】
図示の例では、第2当接部材223の+Z側の端部(上端)はアーム222に連結されており、第2当接部材223は第1当接部材221と一体で移動する。つまり、駆動機構23が押さえ部22を当接位置で停止させた状態では、第1当接部材221は複数の基板Wの周縁に当接し、第2当接部材223はカセットCの+Z側の端部に当接する。これによれば、カセット保持部2はカセットCの+Z側の端部にも当接するので、カセットCおよび複数の基板Wをより強固に保持することができる。
【0070】
一方、駆動機構23が押さえ部22を退避位置で停止させた状態では、第1当接部材221および第2当接部材223はZ方向においてカセットCと対向しない。これにより、カセットCの搬出入時において、押さえ部22がカセットCと物理的に干渉することを回避することができる。
【0071】
<回転機構>
回転機構3はカセット保持部2を回転軸線Q1のまわりで回転させる。
図5の例では、回転機構3はモータ31とシャフト32とを含んでいる。シャフト32は回転軸線Q1に沿って延在しており、カセット保持部2に連結されている。
図5の例では、シャフト32はカセット保持部2の第1板部24に連結される。また、シャフト32は回転軸線Q1のまわりで回転可能にチャンバ1に軸支される。つまり、シャフト32は不図示の軸受を介してチャンバ1に連結される。
【0072】
モータ31は制御部5によって制御され、シャフト32を回転軸線Q1のまわりで回転させる。モータ31がシャフト32を回転軸線Q1のまわりで回転させることにより、シャフト32に連結されたカセット保持部2が回転軸線Q1のまわりで回転する。これにより、カセット保持部2によって保持されたカセットCおよび複数の基板Wも回転軸線Q1のまわりで一体に回転する。
【0073】
図5の例では、カセット保持部2の第2板部25にはシャフト33が連結される。シャフト33はシャフト32と同軸に設けられ、回転軸線Q1のまわりで回転可能にチャンバ1に軸支される。
【0074】
<不活性ガス供給部>
不活性ガス供給部4の吐出管41および吐出管42は配管を通じてガス供給源49に接続される。ここでは、シャフト32は中空シャフトであり、吐出管41および吐出管42はシャフト32の中空部を介してガス供給源49に接続される(
図4および
図5も参照)。吐出管41は第1中継管43の下流端に接続され、第1中継管43の上流端はシャフト32に接続される。吐出管42は第2中継管44の下流端に接続され、第2中継管44の上流端はシャフト32に接続される。シャフト32は第3中継管45を介してガス供給源49に接続される。ガス供給源49は不活性ガスを第3中継管45の上流端に供給する。
【0075】
第3中継管45には、バルブ46が介装されている。バルブ46は制御部5によって制御される。バルブ46が開くことにより、ガス供給源49からの不活性ガスが第3中継管45、シャフト32、第1中継管43および第2中継管44を通じて、それぞれ、吐出管41および吐出管42に供給される。当該不活性ガスは吐出管41の吐出管41aおよび吐出管42の吐出管42aから吐出される。バルブ46が閉じることにより、吐出管41および吐出管42からの不活性ガスの吐出が停止する。
【0076】
図示の例では、第3中継管45には、流量調整部47が介装されている。流量調整部47は制御部5によって制御され、第3中継管45を流れる不活性ガスの流量を調整する。流量調整部47は例えばマスフローコントローラである。不活性ガスの流量は例えば5L/min以上かつ50L/min以下に設定され得る。
【0077】
図示の例では、吐出管41および吐出管42よりも上流側でヒータ48が設けられている。具体的には、ヒータ48は第3中継管45に設けられている。ヒータ48は制御部5によって制御され、第3中継管45を流れる不活性ガスを加熱する。ヒータ48は、例えば、熱電対を含む電気抵抗式のヒータである。ヒータ48は、不活性ガスの温度が50℃以上かつ100℃以下となるように不活性ガスを加熱する。なお、この温度範囲は、ヒータ48の直後の不活性ガスの温度についての温度範囲であってもよく、あるいは、チャンバ1内に吐出された直後の不活性ガスの温度についての温度範囲であってもよい。
【0078】
ヒータ48によって加熱された高温の不活性ガスは吐出管41および吐出管42から吐出され、カセットCの内部に流入する。不活性ガスの温度が高いので、処理液の蒸発をさらに促進させることができる。
【0079】
上述の例では、吐出管41および吐出管42はシャフト32に接続される。よって、シャフト32が回転することにより、吐出管41および吐出管42もカセット保持部2と一体で回転軸線Q1のまわりを回転する。したがって、カセット保持部2の回転中において、吐出管41および吐出管42はカセットCの内部に不活性ガスを供給し続けることができる。
【0080】
また、上述の例では、吐出管41の吐出管41aの開口方向は、カセットCの内部に向かう方向であって、カセットCの回転方向とは反対側である(
図1も参照)。この場合、吐出管41はX方向において、カセットCの側壁93よりも側壁94に近い位置に設けられるとよい。これによれば、吐出管41を、基板Wの+X側の周縁部とカセットCの側壁94との間の空間のより近くに設けることができる。したがって、より効率的に不活性ガスを当該空間に流入させることができる。
【0081】
また、
図1の例では、吐出管42の吐出管42aの開口方向は、カセットCの内部に向かう方向であって、カセットCの回転方向とは反対側である。この場合、吐出管42はX方向において、カセットCの側壁94よりも側壁93に近い位置に設けられるとよい。これによれば、吐出管42を、基板Wの-X側の周縁部とカセットCの側壁93との間の空間のより近くに設けることができる。したがって、より効率的に不活性ガスを当該空間に流入させることができる。
【0082】
吐出管41は、不活性ガスを吐出する吐出位置と、退避位置との間で移動可能に設けられる(
図4も参照)。吐出位置とは、吐出管41がカセットCの上側開口9aと対向する位置であって、吐出管41がカセットCの内部に不活性ガスを供給可能な位置である。退避位置は、吐出管41がカセットCの搬送経路に干渉しない位置であり、具体的な一例として、Z方向においてカセットCと対向しない位置である。
【0083】
図4の例では、吐出管41は押さえ部22と連動して移動する。例えば第1中継管43はフレキシブル配管であり、シャフト32から径方向に沿って回転軸線Q2に向けて延在しつつ、回転軸線Q2付近で屈曲し、吐出管41に向かって延在する。
図4の例では、吐出管41は吐出位置において、第1当接部材221よりも-Z側かつ+X側に位置する。吐出管41および第1中継管43は押さえ部22に連結されており、押さえ部22と一体で移動する。よって、吐出管41は回転軸線Q2を中心とした円弧経路に沿って、吐出位置と退避位置との間を移動する。ここでは、押さえ部22および吐出管41が一体で移動するので、押さえ部22の当接位置および吐出管41の吐出位置を纏めて第1位置とも呼び、押さえ部22の退避位置および吐出管41の退避位置を纏めて第2位置とも呼ぶ。
【0084】
駆動機構23はカセットCの搬出入時において、押さえ部22および吐出管41を第2位置で停止させる。これにより、カセットCと押さえ部22との物理的な干渉およびカセットCと吐出管41との物理的な干渉を回避できる。また、駆動機構23は乾燥処理において、押さえ部22および吐出管41を第1位置で停止させる。これにより、カセット保持部2がカセットCおよび複数の基板Wを保持でき、また、吐出管41がカセットCの内部に不活性ガスを供給できる。
【0085】
図6は、吐出管42およびカセットCの構成の一例を概略的に示す斜視図である。吐出管42には複数の吐出管42aが形成されていてもよい。
図6の例では、複数の吐出管42aはY方向において間隔を空けて並ぶように形成される。複数の吐出管42aのピッチは複数の基板Wのピッチに応じて設定される。ここでいうAとBとの間のピッチとは、AのY方向の中心とBのY方向の中心との間の距離をいう。吐出管42aのピッチは基板Wのピッチと同じであってもよい。言い換えれば、吐出管42aのピッチはカセットC内における溝932のピッチと同じであってもよい。また、各吐出管42aのY方向位置は溝932のY方向位置と同じでであってもよい。言い換えれば、各吐出管42aはカセットCの各溝932と対向する位置に形成されてもよい。
【0086】
これによれば、複数の吐出管42aから吐出される不活性ガスはそれぞれ複数の溝932に沿って流れる。よって、不活性ガスをより効率的に、各基板Wの-X側の周縁部とカセットCの突部931との間の隙間に供給することができる。また、不活性ガスをより効率的に、各基板Wの周縁とカセットCの側壁93との接触箇所P1に供給することもできる。接触箇所P1は処理液が残留しやすいところ、接触箇所P1に不活性ガスを供給することにより、接触箇所P1における処理液の残留を抑制することができる。
【0087】
同様に、吐出管41には複数の吐出管41aが形成されていてもよい。複数の吐出管41aはY方向において間隔を空けて並ぶように形成される。複数の吐出管41aのピッチは複数の基板Wのピッチに応じて設定される。吐出管41aのピッチは基板Wのピッチと同じであってもよい。言い換えれば、吐出管41aのピッチはカセットC内における溝942のピッチと同じであってもよい。また、各吐出管41aのY方向位置は溝942のY方向位置と同じでであってもよい。言い換えれば、各吐出管41aはカセットCの各溝942と対向する位置に形成されてもよい。
【0088】
これによれば、複数の吐出管41aから吐出される不活性ガスはそれぞれ複数の溝942に沿って流れる。よって、不活性ガスをより効率的に、各基板Wの+X側の周縁部とカセットCの突部941との間の隙間に供給することができ、また、各基板Wの周縁とカセットCの側壁94との接触箇所P2にも供給することができる。接触箇所P2は処理液が残留しやすいところ、接触箇所P2に不活性ガスを供給することにより、接触箇所P2における処理液の残留を抑制することができる。
【0089】
<制御部>
図7は、制御部5の構成の一例を概略的に示すブロック図である。制御部5は電子回路機器であって、例えばデータ処理装置51および記憶媒体52を有していてもよい。データ処理装置51は例えばCPU(Central Processor Unit)などの演算処理装置であってもよい。記憶媒体52は非一時的な記憶媒体521(例えばROM(Read Only Memory)またはハードディスク)および一時的な記憶媒体522(例えばRAM(Random Access Memory))を有していてもよい。非一時的な記憶媒体521には、例えば制御部5が実行する処理を規定するプログラムが記憶されていてもよい。データ処理装置51がこのプログラムを実行することにより、制御部5が、プログラムに規定された処理を実行することができる。もちろん、制御部5が実行する処理の一部または全部が、論理回路などのハードウェア回路によって実行されてもよい。
【0090】
<スピンドライヤの動作>
次にスピンドライヤ100の動作の一例について説明する。
図8は、スピンドライヤ100の動作の一例を示すフローチャートである。まず、複数の基板Wを収容したカセットCが不図示の搬送装置によってチャンバ1内に搬入される(ステップS1)。具体的には、チャンバ1の蓋12が開き、駆動機構23が押さえ部22および吐出管41を第2位置(退避位置)で停止させる。この状態で、搬送装置がカセットCをチャンバ1の本体11内に搬送する。そして、カセットCがカセット支持部21の上に載置されると、駆動機構23は押さえ部22および吐出管41を第1位置に一体に移動させる。これにより、押さえ部22が当接位置で停止して、カセットCおよび複数の基板Wがカセット保持部2によって保持され、吐出管41が吐出位置で停止する。また、蓋12が閉じる。
【0091】
次に、不活性ガス供給部4は高温の不活性ガスを吐出管41および吐出管42から吐出させる(ステップS2)。具体的には、バルブ46が開き、ヒータ48が不活性ガスを加熱する。これにより、高温の不活性ガスがカセットCの内部に供給される。より具体的には、吐出管41は基板Wの+X側の周縁部とカセットCの側壁94との間の空間に向かって高温の不活性ガスを吐出し、吐出管42は基板Wの-X側の周縁部とカセットCの側壁93との間の空間に向かって高温の不活性ガスを吐出する。
【0092】
次に、回転機構3は回転軸線Q1のまわりでカセット保持部2を回転させる(ステップS3)。これにより、カセット保持部2に保持されたカセットCおよび複数の基板Wが回転軸線Q1のまわりで回転する。上述の例では、吐出管41および吐出管42はシャフト32と連結されているので、これらも回転軸線Q1のまわりで回転する。当該回転によって、外部の空気が吸気口1aを通じてチャンバ1内に流入し、チャンバ1内を流れて排気口1bから排出される。チャンバ1内においては、空気の一部がカセットC内の基板Wの相互間を流れて、排気口1bから排出される。
【0093】
なお、ステップS2,S3の開始タイミングはほぼ同時であってもよく、あるいは、互いに前後してもよい。
【0094】
複数の基板Wが十分に乾燥すると、不活性ガス供給部4は不活性ガスの供給を終了し、回転機構3はカセット保持部2の回転を終了する。
【0095】
次に、カセットCがチャンバ1から搬出される(ステップS4)。具体的には、駆動機構23が押さえ部22および吐出管41を一体に第2位置に移動させ、蓋12が開く。この状態で、搬送装置がカセットCをチャンバ1の本体11から搬出する。
【0096】
以上のように、スピンドライヤ100は、カセットC内に収容された複数の基板Wに対して一括して乾燥処理を行うことができる。しかも、このスピンドライヤ100においては、不活性ガス供給部4がカセットCの内部に不活性ガスを供給している。よって、カセットCの回転に伴う空気流のみならず、不活性ガス供給部4による不活性ガスもカセットCの内部を流れる。したがって、基板Wの相互間にガスが流入しやすく、処理液の蒸発を促進させることができる。つまり、基板Wをより適切に乾燥させることができる。
【0097】
また上述の例では、吐出管41および吐出管42の両方が設けられている。よって、上側開口9aを通じてカセットCの内部に不活性ガスが供給されるとともに、下側開口9bを通じてもカセットCの内部に不活性ガスが供給される。よって、基板Wの乾燥をより促進させることができる。
【0098】
また上述の例では、吐出管41はカセットCの回転方向とは反対側に向かって不活性ガスを吐出する。よって、吐出管41から吐出された不活性ガスは、基板Wの+X側の周縁部とカセットCの側壁94の内面との間の空間に流入する。よって、乾燥が困難な、基板Wと突部941との間の隙間に不活性ガスを効率的に供給でき、処理液の蒸発を促進させることができる。
【0099】
また上述の例では、吐出管42はカセットCの回転方向とは反対側に向かって不活性ガスを吐出する。よって、吐出管42から吐出された不活性ガスは、基板Wの-X側の周縁部とカセットCの側壁93の内面との間の空間に流入する。よって、乾燥が困難な、基板Wと突部931との間の隙間に不活性ガスを効率的に供給でき、処理液の蒸発を促進させることができる。
【0100】
また上述の例では、吐出管41および吐出管42はカセット保持部2と一体に回転軸線Q1のまわりで回転する。これによれば、不活性ガス供給部4はカセット保持部2の回転中にカセットCの内部に不活性ガスを供給し続けることができ、不活性ガスによる処理液の蒸発促進効果を維持することができる。
【0101】
また上述の例では、複数の吐出管41aがY方向に沿って並んで形成される。吐出管41aのピッチは基板Wのピッチと同じであり、各吐出管41aのY方向の位置は各溝942のY方向の位置と同じである。これによれば、不活性ガスを効率的に溝942に供給することができ、ひいては不活性ガスを効率的に接触箇所P2に供給することができる。
【0102】
また上述の例では、吐出管42には複数の吐出管42aがY方向に沿って並んで形成される。吐出管42aのピッチは基板Wのピッチと同じであり、各吐出管42aのY方向の位置は各溝932のY方向の位置と同じである。これによれば、不活性ガスを効率的に基板Wの溝932に供給することができ、ひいては不活性ガスを効率的に接触箇所P1に供給できる。
【0103】
また上述の例では、ガス供給源49はシャフト32の中空部を通じて吐出管41および吐出管42に不活性ガスを供給する。つまり、シャフト32の中空部を不活性ガスの供給流路として利用している。これによれば、カセット保持部2と一体に回転する吐出管41および吐出管42に対して、より簡易な構成で不活性ガスを供給することができる。
【0104】
また上述の例では、吐出管41は第1位置(吐出位置)と第2位置(退避位置)との間で移動可能に設けられている。吐出管41が第1位置に位置する状態では、吐出管41はカセットCの上側開口9aと向かい合う位置で停止する。よって、吐出管41はより効率的にカセットCの内部に不活性ガスを供給することができる。吐出管41が第2位置に位置する状態では、吐出管41はZ方向においてカセットCと対向しない。よって、チャンバ1に対してカセットCをZ方向に沿って搬出入することができる。
【0105】
また上述の例では、吐出管41は押さえ部22と一体に移動する。つまり、駆動機構23は押さえ部22と吐出管41とを一体に移動させる。これによれば、より簡易な構成で押さえ部22と吐出管41とを移動させることができる。つまり、押さえ部22に専用の駆動機構と、吐出管41に専用の駆動機構とが設けられる場合には、構成が複雑化し、コストの増加を招くのに対して、上述の例では、駆動機構23が押さえ部22および吐出管41に対して共通して設けられるので、構成を簡易にでき、コストを低減させることができる。
【0106】
また上述の例では、ヒータ48が不活性ガスを加熱する。よって、高温の不活性ガスをカセットCの内部に供給することができる。したがって、処理液の蒸発をさらに促進させることができる。
【0107】
また上述の例では、不活性ガス供給部4はカセット保持部2の回転開始とほぼ同時に不活性ガスを供給し始める。これによれば、乾燥処理の初期から不活性ガスによる処理液の蒸発促進効果を得ることができる。また、不活性ガス供給部4はカセット保持部2の回転期間の全期間において、不活性ガスを供給する。これによれば、不活性ガスによる処理液の蒸発促進効果を全期間にわたって招来することができる。
【0108】
<第2の実施の形態>
図9は、第2の実施の形態にかかるスピンドライヤ100Aの構成の一例を概略的に示す側断面図である。スピンドライヤ100Aはカセット保持部2の構成を除いて、スピンドライヤ100と同様の構成を有している。なお、第2の実施の形態では、不活性ガス供給部4は必須要件ではない。
【0109】
第2の実施の形態では、カセット保持部2は、複数の基板WをカセットCから浮かせた状態で、複数の基板WおよびカセットCを保持する。具体的には、カセット保持部2は、複数の基板WをカセットCから浮かせた状態で支持する基板支持部28をさらに含んでいる。基板支持部28はカセット支持部21の上面に立設されており、カセットCの支持脚95と支持脚96との間に位置するように設けられる。基板支持部28の+Z側の端部は複数の基板Wの周縁(側面)のうち-Z側の部分に当接しており、複数の基板WをカセットCから浮かせた状態で支持する。つまり、各基板Wは基板支持部28によって支持された状態では、カセットCによって支持されない。これによれば、各基板WとカセットCの側壁93の傾斜面93bとの間の隙間G1、および、各基板WとカセットCの側壁94の傾斜面94bとの間の隙間G2を大きくすることができる。
【0110】
図9の例では、一対の基板支持部28が設けられており、X方向において互いに間隔を空けて設けられる。一方の基板支持部28は基板Wの中心に対して-X側に設けられ、他方の基板支持部28は基板Wの中心に対して+X側に設けられる。つまり、一対の基板支持部28はX方向において基板Wの中心に対して互いに反対側に設けられる。この構造によれば、各基板Wは一対の基板支持部28によって2点で支持される。
図9の例では、一対の押さえ部22が各基板Wの周縁(側面)のうち+Z側の部分に当接するので、各基板Wは一対の押さえ部22の第1当接部材221および一対の基板支持部28によって4点で挟持される。
【0111】
なお、各基板Wは基板支持部28によって支持された状態においても、カセットCの溝932および溝942に挿入される。要するに、基板支持部28の高さは、各基板Wが基板支持部28によって支持された状態において溝932,942に挿入される程度に設定され得る。これにより、各基板Wの起立姿勢をカセットCによって維持することができる。
【0112】
吐出管42が設けられる場合には、基板支持部28は吐出管42による不活性ガスの供給を阻害しないように設けられる。ここでは、吐出管42は-X側かつ+Z側の斜め方向(時計回り方向)に向けて不活性ガスを吐出するので、
図9の例では、一対の基板支持部28は吐出管42に対して+X側に設けられている。言い換えれば、基板支持部28は吐出管42とカセットCの支持脚95との間を避けて設けられる。
【0113】
以上のように、各基板WはカセットCから浮いた状態で第1当接部材221および基板支持部28によって挟持される。なお、カセットCはカセット支持部21および一対の押さえ部22の第2当接部材223によって挟持される。
【0114】
スピンドライヤ100Aの動作の一例は第1の実施の形態と同様である。このスピンドライヤ100Aによれば、カセット保持部2は複数の基板WをカセットCから浮かせた状態で支持する。よって、基板Wの周縁とカセットCの内面との間の隙間G1,G2を大きくすることができ、ガスが隙間G1,G2に流入しやすい。よって、これらの隙間G1,G2において処理液の蒸発を促進させることができる。
【0115】
不活性ガス供給部4が設けられている場合には、回転機構3に伴って隙間G1,G2に空気が流入するとともに、不活性ガスも当該隙間に流入する。よって、隙間G1,G2における処理液の蒸発をさらに促進させることができる。
【0116】
図9の例では、基板支持部28は+Z側に向かうにしたがって先細となる先細形状を有している。これよれば、基板支持部28と基板Wの周縁との接触面積を小さくすることができるので、この接触箇所における処理液の残留量も低減できる。この観点によれば、基板支持部28はZX平面において点接触で各基板Wと接触することが望ましい。また基板支持部28はY方向に沿って一様に延在しているとよい。これによれば、全ての基板Wの側面との接触面積を低減できる。
【0117】
図10は、カセット保持部2の構成の他の一例を概略的に示す図である。
図10の例では、カセット保持部2には、3つの基板支持部28が設けられている。3つの基板支持部28はX方向において互いに間隔を空けて設けられる。中央の基板支持部28はZ方向において基板Wの中心部と向かい合う位置に設けられ、-X側の基板支持部28は基板Wの中心よりも-X側に設けられ、+X側の基板支持部28は基板Wの中心よりも+X側に設けられる。これによれば、各基板Wを支持する箇所を増やすことができ、カセット保持部2はより強固に基板WおよびカセットCを保持することができる。
【0118】
<変形例>
上述の例では、不活性ガス供給部4には吐出管41および吐出管42の両方が設けられているものの、いずれか一方のみが設けられてもよい。いずれか一方のみが設けられた場合でも、両方が設けられない場合に比べれば、処理液の蒸発を促進させることができる。
【0119】
また上述の例では、シャフト32は第1板部24をY方向に貫通しており(
図5参照)、第1中継管43の上流端および第2中継管44の上流端は第1板部24よりも-Y側において、シャフト32に接続されている。しかるに、第1中継管43および第2中継管44の上流端は第1板部24よりも+Y側でシャフト32に接続されてもよい。第1中継管43はその上流端から第1板部24の-Y側の主面に沿って延在し、第1板部24の側面を跨いで第1板部24よりも+Y側の空間に延在し、その下流端において吐出管41に接続されてもよい。第2中継管44も同様である。これによれば、シャフト32は第1板部24を貫通する必要がなく、製造工程を簡易にすることができる。
【0120】
また上述の例では、押さえ部22において、第1当接部材221および第2当接部材223は一体に移動可能に設けられている。しかしながら、第1当接部材221および第2当接部材223は互いに独立して移動可能に設けられてもよい。この場合、第1当接部材221を駆動する駆動機構23と、第2当接部材223を駆動する駆動機構23とが別体で設けられてもよい。この場合、吐出管41は第1当接部材221と一体で移動可能に設けられてもよく、第2当接部材223と一体で移動可能に設けられてもよい。もちろん、吐出管41は押さえ部22とは独立して移動可能に設けられても構わない。
【0121】
また上述の例では、カセット保持部2の回転開始とほぼ同時に不活性ガスの供給が開始する。しかるに、これに限らず、不活性ガスの供給期間は適宜に変更してもよい。例えば、カセット保持部2の回転期間の一部のみで不活性ガスを供給しても構わない。
【0122】
また上述の例では、吐出管41および吐出管42はカセット保持部2と一体で回転する。しかしながら、必ずしもこれに限らない。例えば、吐出管41がカセット保持部2よりも径方向外側において、回転不能にチャンバ1に設けられてもよい。この場合、カセットCの回転中において、カセットCの上側開口9aが吐出管41の吐出管41aと向かい合うタイミングでは、吐出管41aからの不活性ガスが上側開口9aを通じてカセットCの内部に供給される。よって、吐出管41が設けられていない場合に比べれば、カセットCの内部において処理液の蒸発を促進させることができる。
【0123】
以上のように、このスピンドライヤ100,100Aは詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、このスピンドライヤ100,100Aがそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0124】
1 チャンバ
100,100A スピンドライヤ
2 カセット保持部
221 当接部材(第1当接部材)
223 当接部材(第2当接部材)
23 駆動機構
3 回転機構
31 モータ
32 中空シャフト(シャフト)
4 不活性ガス供給部
41,42 第1吐出管、第2吐出管(吐出管)
41a,42a 第1吐出口、第2吐出口(吐出口)
48 ヒータ
9a 上側開口
9b 下側開口
932,942 溝
C カセット
Q1 回転軸線
W 基板