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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】部品実装装置及び部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020203753
(22)【出願日】2020-12-08
(65)【公開番号】P2022091054
(43)【公開日】2022-06-20
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 博之
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-227069(JP,A)
【文献】国際公開第2017/013781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸と平行な軸方向及び前記駆動軸を中心とする回転方向のそれぞれに移動可能なノズルを有する実装ヘッドと、
前記ノズルに保持されている部品を撮像する撮像装置と、
前記部品の前記軸方向からの画像が取得されるように前記撮像装置を制御する第1撮像制御部と、
前記軸方向からの画像に基づいて前記回転方向の前記部品の位置を調整するように前記ノズルを制御するノズル制御部と、
前記回転方向の位置が調整された後、前記部品の前記駆動軸と直交する第1方向からの画像及び第2方向からの画像が取得されるように前記撮像装置を制御する第2撮像制御部と、
前記第1方向の画像及び前記第2方向からの画像に基づいて、前記部品の角度を算出する角度算出部と、
前記角度に基づいて、前記部品を基板の目標実装位置に実装するように前記実装ヘッドを制御する実装制御部と、を備える、
部品実装装置。
【請求項2】
前記角度と前記目標実装位置とに基づいて、前記部品を実装するときの前記実装ヘッドの位置に係る補正量を算出する補正量算出部を備え、
前記実装制御部は、前記補正量に基づいて、前記実装ヘッドを制御する、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記補正量は、前記角度で傾いた状態で前記基板に接触した前記部品を前記ノズルから解放したときに予測される前記目標実装位置からの前記部品のずれ量を含む、
請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記角度は、前記第1方向と直交する第1面内における第1角度、及び前記第2方向と直交する第2面内における第2角度を含み、
前記補正量は、前記第1角度に基づいて算出される第1補正量と、前記第2角度に基づいて算出される第2補正量とを含む、
請求項2又は請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記角度に係る第1閾値及び前記第1閾値よりも大きい第2閾値を記憶する閾値記憶部と、
前記角度と前記第1閾値と前記第2閾値との関係を判定する角度判定部を備え、
前記角度が前記第1閾値以下であると判定された場合、前記実装制御部は、前記補正量に基づかずに、前記部品を前記基板に実装するように前記実装ヘッドを制御し、
前記角度が前記第1閾値を上回り前記第2閾値以下であると判定された場合、前記実装制御部は、前記補正量に基づいて、前記部品を前記基板に実装するように前記実装ヘッドを制御し、
前記角度が前記第2閾値を上回ったと判定された場合、前記実装制御部は、前記部品を前記基板に実装しないように前記実装ヘッドを制御する、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記部品は、直方体状であり、
前記軸方向から撮像された画像は、前記部品の下面を含む画像であり、
前記ノズル制御部は、前記下面を含む画像に基づいて、前記部品の第1側面が前記第1方向を向くように、前記回転方向の前記部品の位置を調整し、
前記第1方向からの画像は、前記部品の第1側面を含む画像であり、
前記第2方向からの画像は、前記第1側面と直交する前記部品の第2側面を含む画像である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記撮像装置は、前記ノズルに対して前記軸方向に配置された第1撮像装置と、前記ノズルに対して前記第1方向に配置された第2撮像装置とを含み、
前記第1撮像制御部は、前記軸方向からの画像が取得されるように前記第1撮像装置を制御し、
前記第2撮像制御部は、前記第1方向と前記第2方向とがなす角度だけ前記ノズルを回転させて、前記第1方向からの画像及び前記第2方向からの画像が取得されるように前記第2撮像装置を制御する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
駆動軸と平行な軸方向及び前記駆動軸を中心とする回転方向のそれぞれに移動可能なノズルで部品の上面を保持することと、
前記ノズルに保持されている前記部品の下面を撮像することと、
前記下面の画像に基づいて、前記部品の第1側面が第1方向と直交するように、前記部品を回転させることと、
前記第1方向を向いている前記第1側面を撮像することと、
前記第1方向と直交する第2方向を向いている前記部品の第2側面を撮像することと、
前記第1側面の画像に基づいて、前記第1方向と直交する第1面内における前記部品の第1角度を算出することと、
前記第2側面の画像に基づいて、前記第2方向と直交する第2面内における前記部品の第2角度を算出することと、
前記第1角度と前記部品の目標実装位置とに基づいて、前記部品を基板に実装するときの前記ノズルの前記第2方向の位置に係る第1補正量を算出することと、
前記第2角度と前記部品の目標実装位置とに基づいて、前記部品を基板に実装するときの前記ノズルの前記第1方向の位置に係る第2補正量を算出することと、
前記第1補正量及び前記第2補正量に基づいて、前記ノズルの位置を調整して、前記部品を前記基板に実装することと、を含む、
部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品実装装置及び部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような部品実装機が知られている。特許文献1において、部品実装機は、吸着ノズルで吸着した部品を撮像装置により撮像する。部品実装機は、撮像により得られた画像に基づいて部品の吸着姿勢を判定してから部品を基板に実装する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/013781号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板に実装される前の部品の姿勢を適正に認識できないと、部品を基板の目標実装位置に実装することが困難となる。
【0005】
本開示は、基板に実装される前の部品の姿勢を適正に認識することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、駆動軸と平行な軸方向及び前記駆動軸を中心とする回転方向のそれぞれに移動可能なノズルを有する実装ヘッドと、前記ノズルに保持されている部品を撮像する撮像装置と、前記部品の前記軸方向からの画像が取得されるように前記撮像装置を制御する第1撮像制御部と、前記軸方向からの画像に基づいて前記回転方向の前記部品の位置を調整するように前記ノズルを制御するノズル制御部と、前記回転方向の位置が調整された後、前記部品の前記駆動軸と直交する第1方向からの画像及び第2方向からの画像が取得されるように前記撮像装置を制御する第2撮像制御部と、前記第1方向の画像及び前記第2方向からの画像に基づいて、前記部品の角度を算出する角度算出部と、前記角度に基づいて、前記部品を基板の目標実装位置に実装するように前記実装ヘッドを制御する実装制御部と、を備える、部品実装装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板に実装される前の部品の姿勢を適正に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る部品実装装置を模式的に示す側面図である。
図2図2は、実施形態に係る部品実装装置を模式的に示す平面図である。
図3図3は、実施形態に係る実装ヘッドを示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る実装ヘッドを示す側面図である。
図5図5は、実施形態に係る撮像装置を示す模式図である。
図6図6は、実施形態に係る実装ヘッドの動作を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る制御装置を示す機能ブロック図である。
図8図8は、実施形態に係る画像処理部による処理を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係るノズル処理部による処理を説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係る第2撮像装置により撮像された部品の画像を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る第2撮像装置により撮像された部品の画像を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る実装ヘッドの動作を説明するための図である。
図13図13は、実施形態に係る実装ヘッドの動作を説明するための図である。
図14図14は、実施形態に係る補正量算出部による処理を説明するための図である。
図15図15は、実施形態に係る角度判定部の判定結果と実装制御部による処理との関係を示す模式図である。
図16図16は、実施形態に係る部品実装方法を示すフローチャートである。
図17図17は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、XgYgZg直交座標系を設定し、XgYgZg直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面のXg軸と平行な方向をXg軸方向、Xg軸と直交する水平面のYg軸と平行な方向をYg軸方向、水平面と直交するZg軸と平行な方向をZg軸方向とする。また、Xg軸を中心とする回転方向をθXg方向、Yg軸を中心とする回転方向をθYg方向、Zg軸を中心とする回転方向をθZg方向とする。また、実施形態においては、Xg軸及びYg軸を含む平面を適宜、XgYg平面、と称し、Yg軸及びZg軸を含む平面を適宜、YgZg平面、と称し、Zg軸及びXg軸を含む平面を適宜、ZgXg平面、と称する。XgYg平面は、水平面と平行である。なお、XgYg平面は、水平面と平行でなくてもよい。
【0011】
[部品実装装置]
図1は、実施形態に係る部品実装装置1を模式的に示す側面図である。図2は、実施形態に係る部品実装装置1を模式的に示す平面図である。部品実装装置1は、部品Cを基板Pに実装する。部品実装装置1は、ベース部材2と、基板Pを搬送する基板搬送装置3と、部品Cを供給する部品供給装置4と、ノズル5を有する実装ヘッド6と、実装ヘッド6を移動するヘッド移動装置7と、ノズル5を移動するノズル移動装置8と、制御装置9とを備える。
【0012】
ベース部材2は、基板搬送装置3、部品供給装置4、実装ヘッド6、ヘッド移動装置7、及びノズル移動装置8のそれぞれを支持する。
【0013】
基板搬送装置3は、基板Pを実装エリアDMに搬送する。実装エリアDMは、基板搬送装置3の搬送経路に規定される。実施形態において、基板搬送装置3は、基板PをXg軸方向に搬送する。部品Cが実装される前の基板Pは、ベース部材2の-Xg側の端部から基板搬送装置3に搬入される。基板搬送装置3は、搬入された基板Pを+Xg方向に搬送し、実装エリアDMにおいて停止させる。実装ヘッド6は、実装エリアDMに配置された基板Pの表面に部品Cを実装する。基板搬送装置3は、部品Cが実装された後の基板Pを+Xg方向に搬送する。部品Cが実装された後の基板Pは、ベース部材2の+Xg側の端部から搬出される。
【0014】
部品供給装置4は、部品Cを供給エリアSMに供給する。部品供給装置4は、複数のテープフィーダ41を含む。テープフィーダ41は、Xg軸方向に複数配置される。部品Cの供給エリアSMは、テープフィーダ41に規定される。テープフィーダ41は、複数の部品Cを保持するキャリアテープを搬送する。キャリアテープが搬送されることにより、複数の部品Cのうち少なくとも1つの部品Cが供給エリアSMに供給される。実施形態において、部品供給装置4は、基板搬送装置3の+Yg側及び-Yg側の両方に配置される。なお、部品供給装置4は、基板搬送装置3の+Yg側及び-Yg側の一方に配置されてもよい。
【0015】
実装ヘッド6は、部品供給装置4から供給された部品Cをノズル5で保持して基板Pに実装する。実装ヘッド6は、複数のノズル5を有する。実装ヘッド6は、部品Cが供給される供給エリアSMと、基板Pが配置されている実装エリアDMとの間を移動可能である。供給エリアSMと実装エリアDMとは、XgYg平面内において異なる位置に規定される。実装ヘッド6は、供給エリアSMに供給された部品Cをノズル5で保持して、実装エリアDMに移動した後、実装エリアDMに配置されている基板Pに実装する。
【0016】
ヘッド移動装置7は、実装ヘッド6を、Xg軸方向、Yg軸方向、及びZg軸方向のそれぞれに移動可能である。ヘッド移動装置7は、実装ヘッド6をXg軸方向に移動するXg軸移動装置71と、実装ヘッド6をYg軸方向に移動するYg軸移動装置72と、実装ヘッド6をZg軸方向に移動するZg軸移動装置73とを有する。
【0017】
Zg軸移動装置73は、実装ヘッド6に連結される。Zg軸移動装置73の駆動により、実装ヘッド6がZg軸方向に移動する。Xg軸移動装置71は、Zg軸移動装置73を介して実装ヘッド6に連結される。Xg軸移動装置71の駆動によりZg軸移動装置73がXg軸方向に移動することによって、実装ヘッド6がXg軸方向に移動する。Yg軸移動装置72は、Xg軸移動装置71及びZg軸移動装置73を介して実装ヘッド6に連結される。Yg軸移動装置72の駆動によりXg軸移動装置71がYg軸方向に移動することによって、実装ヘッド6がYg軸方向に移動する。
【0018】
実施形態において、Yg軸移動装置72は、ベース部材2の4つのコーナーのそれぞれに配置される支柱72Pと、支柱72Pに支持されるYg軸ガイド部材72Gと、Yg軸ガイド部材72GにガイドされるYg軸スライド部材72Sと、Yg軸スライド部材72SをYg軸方向に移動させる動力を発生するYg軸アクチュエータ72Dとを有する。Yg軸ガイド部材72Gは、Yg軸方向に配置された2つの支柱72Pに支持される。Yg軸ガイド部材72Gは、Yg軸方向に延伸する。Yg軸ガイド部材72Gは、一対設けられる。Yg軸ガイド部材72Gは、Yg軸スライド部材72SをYg軸方向にガイドする。Yg軸スライド部材72Sは、Xg軸方向に延伸する。Yg軸スライド部材72Sの+X側の端部は、一方のYg軸ガイド部材72Gにガイドされる。Yg軸スライド部材72Sの-X側の端部は、他方のYg軸ガイド部材72Gにガイドされる。Yg軸アクチュエータ72Dは、Yg軸スライド部材72Sに配置される。
【0019】
Xg軸移動装置71は、Yg軸スライド部材72SにガイドされるXg軸スライド部材71Sと、Xg軸スライド部材71SをXg軸方向に移動させる動力を発生するXg軸アクチュエータ71Dとを有する。Yg軸スライド部材72Sは、Xg軸スライド部材71SをXg軸方向にガイドする。Xg軸アクチュエータ71Dは、Xg軸スライド部材71Sに配置される。
【0020】
Zg軸移動装置73は、Xg軸スライド部材71Sに支持されるZg軸ガイド部材73Gと、実装ヘッド6をZg軸方向に移動させる動力を発生するZg軸アクチュエータ73Dとを有する。Zg軸ガイド部材73Gは、実装ヘッド6をZg軸方向にガイドする。Zg軸アクチュエータ73Dは、実装ヘッド6に配置される。
【0021】
実装ヘッド6は、ヘッド移動装置7により、供給エリアSMと実装エリアDMとの間を移動することができる。
【0022】
ノズル5は、部品Cを解放可能に保持する。ノズル5は、部品Cを吸着保持する吸着ノズルである。ノズル5の先端部に開口が設けられる。ノズル5の開口は、真空システムと接続される。ノズル5の先端部と部品Cとが接触した状態で、ノズル5の先端部に設けられた開口からの吸引動作が実施されることにより、ノズル5の先端部に部品Cが吸着保持される。開口からの吸引動作が解除されることにより、ノズル5から部品Cが解放される。なお、ノズル5は、部品Cを挟んで保持する把持ノズルでもよい。
【0023】
[実装ヘッド]
図3は、実施形態に係る実装ヘッド6を示す斜視図である。図4は、実施形態に係る実装ヘッド6を示す側面図である。実施形態において、実装ヘッド6は、ターレット型である。図1図3、及び図4に示すように、実装ヘッド6は、Zg軸移動装置73に連結されるハウジング61と、ハウジング61の少なくとも一部に支持されるロータシャフト62と、ロータシャフト62を介してハウジング61に支持されるターレット63とを有する。
【0024】
ターレット63は、複数のノズル5を支持する。ターレット63は、回転軸AXを中心に回転する。回転軸AXは、Zg軸に対して傾斜する。複数のノズル5は、ターレット63の周縁部に間隔をあけて配置される。回転軸AXを中心にターレット63が回転することにより、複数のノズル5は、回転軸AXの周囲を旋回する。
【0025】
ノズル5は、ターレット63に対して、規定の駆動軸と平行な軸方向に移動可能である。また、ノズル5は、駆動軸を中心とする回転方向に移動可能である。実施形態において、ノズル5の駆動軸を適宜、Zc軸、と称し、Zc軸と平行な方向を適宜、Zc軸方向、と称し、Zc軸を中心とする回転方向を適宜、θZc方向、と称する。
【0026】
また、Zc軸と直交する所定面の第1方向に延伸する第1軸を適宜、Xc軸、と称し、Xc軸と平行な方向を適宜、Xc軸方向、と称し、Xc軸を中心とする回転方向を適宜、θXc方向、と称する。また、第1方向と直交する所定面の第2方向に延伸する第2軸を適宜、Yc軸、と称し、Yc軸と平行な方向を適宜、Yc軸方向、と称し、Yc軸を中心とする回転方向を適宜、θYc方向、と称する。また、回転軸AXを中心とする旋回方向を適宜、回転軸AXの旋回方向、と称する。
【0027】
ノズル移動装置8は、ノズル5を、回転軸AXの旋回方向、Zc軸方向、及びθZc方向のそれぞれに移動可能である。ノズル移動装置8は、ノズル5を回転軸AXの旋回方向に移動する旋回装置81と、ノズル5をZc軸方向に移動するZc軸移動装置82と、ノズル5をθZc方向に移動するθZc移動装置83とを有する。
【0028】
旋回装置81は、回転軸AXを中心にターレット63を回転させる動力を発生するアクチュエータを含む。旋回装置81は、ロータシャフト62に接続される。旋回装置81は、ロータシャフト62を回転することによって、ターレット63を回転させる。ターレット63は、ハウジング61の内側で回転する。ターレット63が回転軸AXを中心に回転すると、複数のノズル5は、回転軸AXの周囲を旋回する。
【0029】
Zc軸移動装置82は、複数のノズル5のそれぞれに設けられる。Zc軸移動装置82は、ノズル5をZc軸方向に移動させる動力を発生するアクチュエータを含む。Zc軸移動装置82の少なくとも一部は、ターレット63に配置される。複数のノズル5は、Zc軸方向に別々に移動可能である。
【0030】
θZc移動装置83は、ノズル5をθZc方向に移動させる動力を発生するアクチュエータを含む。θZc移動装置83の少なくとも一部は、ターレット63に配置される。実施形態において、複数のノズル5は、θZc方向に同期して移動する。
【0031】
ノズル5は、ヘッド移動装置7及びノズル移動装置8により、Xg軸方向、Yg軸方向、Zg軸方向、回転AXの旋回方向、Zc軸方向、及びθZc方向のそれぞれに移動可能である。
【0032】
実施形態において、隣り合う一対のノズル5の駆動軸は、平行である。駆動軸が平行な一対のノズル5により、1つのノズルユニット50が構成される。1つのノズルユニット50において、一対のノズル5は、Zc軸方向に同時に移動可能である。実施形態において、ノズル5は、ターレット63に16個設けられる。ノズルユニット50は、8つ設けられる。
【0033】
[撮像装置]
図4に示すように、実装ヘッド6は、ノズル5に保持されている部品Cを撮像する撮像装置10を有する。実施形態において、撮像装置10は、ノズル5に対してZc軸方向に配置された第1撮像装置11と、ノズル5に対してXc軸方向に配置された第2撮像装置12とを含む。第1撮像装置11及び第2撮像装置12のそれぞれは、ハウジング61に支持される。
【0034】
第1撮像装置11は、ノズル5に保持されている部品CをZc軸方向から撮像する。実施形態において、ノズル5と第1撮像装置11との光路の間にミラー20が配置される。第1撮像装置11は、ミラー20を介して、ノズル5に保持されている部品CをZc軸方向から撮像する。ミラー20は、ハウジング61に支持される。ミラー20は、第1撮像装置11の下方に配置される。第1撮像装置11の光学系の光軸OX1は、ミラー20で反射したZc軸の反射軸と平行である。なお、第1撮像装置11は、ミラー20を介さずに、ノズル5に保持されている部品CをZc軸方向から撮像してもよい。
【0035】
第2撮像装置12は、ノズル5に保持された部品CをXc軸方向から撮像する。第2撮像装置12の光学系の光軸OX2は、Xc軸と平行である。なお、第2撮像装置12は、ミラーを介して、ノズル5に保持されている部品CをXc軸方向から撮像してもよい。
【0036】
図5は、実施形態に係る撮像装置10を示す模式図である。図5に示すように、第1撮像装置11は、ノズル5に対してZc軸方向に配置される。第2撮像装置12は、ノズル5に対してXc軸方向に配置される。図5に示す例において、第1撮像装置11は、ノズル5よりも-Zc方向(実質的に下方向)に配置される。第2撮像装置12は、ノズル5の横方向に配置される。
【0037】
第1撮像装置11は、ノズル5に保持されている部品CのZc軸方向からの画像を取得する。実施形態において、第1撮像装置11は、ノズル5に保持されている部品Cを-Zc方向(実質的に下方向)から撮像する。部品Cにおける第1撮像装置11の光学系の光軸OX1は、Zc軸と平行である。
【0038】
第2撮像装置12は、ノズル5に保持された部品CのXc軸方向からの画像を取得する。実施形態において、第2撮像装置12は、ノズル5に保持されている部品Cを-Xc方向から撮像する。部品Cにおける第2撮像装置12の光学系の光軸OX2は、Xc軸と平行である。
【0039】
実施形態において、部品Cは、直方体状である。部品Cは、+Zc方向を向く上面Ctと、-Zc方向を向く下面Czと、Xc軸方向を向く一対の第1側面Cxと、Yc軸方向を向く一対の第2側面Cyとを有する。第1側面Cxと第2側面Cyとは直交する。第1側面Cxと上面Ctとは直交する。第2側面Cyと上面Ctとは直交する。第1側面Cxと下面Czとは直交する。第2側面Cyと下面Czとは直交する。
【0040】
ノズル5は、部品Cの上面Ctを保持する。第1撮像装置11は、部品Cの下面Czを撮像する。第1撮像装置11により取得される部品CのZc軸方向からの画像は、部品Cの下面Czを含む画像である。
【0041】
第2撮像装置12は、部品Cの第1側面Cxを撮像する。第2撮像装置12により取得される部品CのXc軸方向からの画像は、部品Cの第1側面Cxを含む画像である。
【0042】
第2撮像装置12は、部品Cの第2側面Cyを撮像する。実施形態において、第2撮像装置12と部品Cの第2側面Cyとが対向するように、ノズル5がθZc方向に回転する。すなわち、第2撮像装置12が部品Cの第2側面Cyを撮像する場合、ノズル5は、Xc軸方向とYc軸方向とがなす角度である90度だけθZc方向に回転して、第2撮像装置12と部品Cの第2側面Cyとを対向させる。これにより、第2撮像装置12は、ノズル5に保持された部品Cを、実質的にYc軸方向から撮像することができる。第2撮像装置12と部品Cの第2側面Cyとが対向した状態で取得される部品Cの画像は、部品CのYc軸方向からの画像とみなすことができる。第2撮像装置12により取得される部品CのYc軸方向からの画像は、部品Cの第2側面Cyを含む画像である。
【0043】
なお、第2撮像装置12が部品Cの第2側面Cyを撮像する場合、ノズル5が回転せずに、第2撮像装置12が部品Cの第2側面Cyと対向するように移動してもよい。第2撮像装置12が部品Cの第2側面Cyを撮像する場合、第2撮像装置12と部品Cの第2側面Cyとが対向するように、ノズル5が回転するとともに第2撮像装置12が移動してもよい。
【0044】
[実装ヘッドの動作]
図6は、実施形態に係る実装ヘッド6の動作を説明するための図である。ターレット63の回転軸AXは、Zg軸に対して傾斜する。ターレット63が回転すると、ノズル5は、回転軸AXの周囲を旋回しながらZg軸方向(上下方向)に移動する。図4及び図6に示すように、ノズル5は、回転軸AXの周方向において第1位置LPに配置されたときに、旋回経路において最も下方に配置される。ノズル5は、回転軸AXの周方向において第2位置TPに配置されたときに、旋回経路において最も上方に配置される。第1位置LPと第2位置TPとは、回転軸AXの径方向において対向する。
【0045】
第1位置LPに配置されたノズル5の駆動軸とZg軸とは、平行になる。第2位置TPに配置されたノズル5の駆動軸は、Zg軸に対して傾斜する。
【0046】
図6(A)に示すように、ノズル5は、第1位置LPに配置されたときに、部品供給装置4から供給エリアSMに供給された部品Cを保持する。第1位置LPに配置されたノズル5の駆動軸とZg軸とは、平行である。ノズル5は、Zc軸方向に移動することにより、供給エリアSMに配置されている部品Cを保持することができる。実施形態において、1つのノズルユニット50の一対のノズル5のそれぞれが、部品供給装置4から2つの部品Cを同時に受け取ることができる。すなわち、1つのノズルユニット50の一対のノズル5のそれぞれが、部品Cを同時吸着することができる。
【0047】
図6(B)に示すように、撮像装置10は、ノズル5が第2位置TPに配置されたときに、ノズル5に保持されている部品Cを撮像する。撮像装置10は、供給エリアSMから供給され基板Pに実装される前の部品Cを撮像する。
【0048】
図6(C)に示すように、ノズル5は、第1位置LPに配置されたときに、実装エリアDPに配置されている基板Pに部品Cを実装する。第1位置LPに配置されたノズル5の駆動軸とZg軸とは、平行である。ノズル5は、Zc軸方向に移動することにより、基板Pに部品Cを実装することができる。
【0049】
[制御装置]
図7は、実施形態に係る制御装置9を示す機能ブロック図である。制御装置9は、コンピュータシステムを含む。実施形態において、実装ヘッド6を制御することは、ヘッド移動装置7を制御することを含む。ノズル5を制御することは、ノズル移動装置8を制御することを含む。
【0050】
制御装置9は、第1撮像制御部91と、第2撮像制御部92と、画像処理部93と、ノズル制御部94と、実装制御部95と、角度算出部96と、補正量算出部97と、角度判定部98と、閾値記憶部99とを有する。
【0051】
第1撮像制御部91は、第1撮像装置11を制御する。第1撮像制御部91は、ノズル5に保持されている部品CのZc軸方向からの画像が取得されるように、第1撮像装置11を制御する。
【0052】
第2撮像制御部92は、第2撮像装置12を制御する。第2撮像制御部92は、ノズル5に保持されている部品CのXc軸方向からの画像及びYc軸方向からの画像が取得されるように、第2撮像装置12を制御する。実施形態において、第2撮像制御部92は、部品Cの撮像において、ノズル5を制御する。図5を参照して説明したように、第2撮像制御部92は、Xc軸方向とYc軸方向とがなす角度である90度だけノズル5を回転させて、部品CのXc軸方向からの画像及びYc軸方向からの画像が取得されるように、第2撮像装置12を制御する。
【0053】
画像処理部93は、撮像装置10により撮像された部品Cの画像を処理する。画像処理部93は、画像処理として、例えばエッジ抽出を実施する。
【0054】
図8は、実施形態に係る画像処理部93による処理を説明するための図である。図8(A)に示すように、部品Cの上面Ctがノズル5に保持される。図8(A)は、部品Cが適正にノズル5に保持されている状態を示す。部品Cが適正にノズル5に保持されている状態とは、部品Cの上面CtとZc軸とが実質的に直交するように、ノズル5が上面Ctの中央部を吸着している状態をいう。
【0055】
ノズル5に保持されている部品Cが第1撮像装置11により撮像される。図8(B)に示すように、第1撮像装置11により取得される部品CのZc軸方向からの画像は、部品Cの下面Czを含む画像である。
【0056】
図8(B)に示すように、画像処理部93は、部品Cの下面Czの画像をエッジ抽出して、部品Cの外縁線Leを算出する。また、画像処理部93は、外縁線Leに基づいて、部品Cの中心線Lx及び中心線Lyを算出する。中心線Lxは、一方の第1側面Cxと他方の第1側面Cxとの中心を通る線である。中心線Lyは、一方の第2側面Cyと他方の第2側面Cyとの中心を通る線である。図8(B)に示すように、部品Cがノズル5に適正に保持されている場合、中心線LxとYc軸とは平行になり、中心線LyとXc軸とは平行になる。
【0057】
ノズル制御部94は、ノズル5を制御する。実施形態において、ノズル制御部94は、第1撮像装置11により取得された部品CのZc軸方向からの画像に基づいて、θZc方向の部品Cの位置を調整するように、ノズル5を制御する。
【0058】
図9は、実施形態に係るノズル制御部94による処理を説明するための図である。図9(A)は、部品Cが傾いた状態でノズル5に保持されている状態を示す。
【0059】
ノズル5に保持されている部品Cが第1撮像装置11により撮像される。図9(B)に示すように、第1撮像装置11により取得される部品CのZc軸方向からの画像は、部品Cの下面Czを含む画像である。
【0060】
図9(B)に示すように、画像処理部93は、部品CのZc軸方向の画像から、外縁線Le、中心線Lx、及び中心線Lyを算出する。図9(B)に示すように、部品Cが傾いた状態でノズル5に保持されている場合、中心線LxはYc軸に対して傾斜し、中心線LyはXc軸に対して傾斜する可能性がある。
【0061】
図9(C)に示すように、ノズル制御部94は、下面Czを含む画像に基づいて、部品Cの第1側面CxがXc軸方向を向くように、θZc方向の部品Cの位置を調整する。すなわち、ノズル制御部94は、下面Czを含む画像に基づいて、中心線LyとXc軸とが平行になるように、部品Cを保持しているノズル5をθZc方向に回転させる。部品Cの第1側面CxがXc軸方向を向くことにより、第2側面CyはYc軸方向を向く。中心線LxとXy軸とは平行になる。
【0062】
第2撮像制御部92は、ノズル制御部94により部品CのθZc方向の位置が調整された後、部品CのXc軸方向からの画像及びYc軸方向からの画像が取得されるように、第2撮像装置12を制御する。
【0063】
図10及び図11のそれぞれは、実施形態に係る第2撮像装置12により撮像された部品Cの画像を示す図である。図10は、部品CのXc軸方向からの画像を示す。図11は、部品CのYc軸方向からの画像を示す。
【0064】
図10に示すように、部品CのXc軸方向からの画像は、第1側面Cxを含む画像である。部品Cの第1側面CxがXc軸方向を向くように、θZc方向における部品Cの位置が調整されている。そのため、図10に示すように、部品CのXc軸方向からの画像は、実質的に第1側面Cxのみを含む。
【0065】
画像処理部93は、部品Cの第1側面Cxの画像をエッジ抽出して、部品Cの外縁線Leを算出する。また、画像処理部93は、外縁線Leに基づいて、部品Cの中心線Ly及び中心線Lzを算出する。中心線Lxは、上面Ctと下面Czとの中心を通る線である。
【0066】
図11に示すように、Yc軸方向から撮像された部品Cの画像は、第2側面Cyを含む画像である。部品Cの第2側面CyがYc軸方向を向くように、θZc方向における部品Cの位置が調整されている。そのため、図11に示すように、部品CのYc軸方向からの画像は、実質的に第2側面Cyのみを含む。
【0067】
画像処理部93は、部品Cの第2側面Cyの画像をエッジ抽出して、部品Cの外縁線Leを算出する。また、画像処理部93は、外縁線Leに基づいて、部品CのXc軸方向の中心線Lx及び中心線Lzを算出する。
【0068】
角度算出部96は、部品CのXc軸方向からの画像及びYc軸方向からの画像に基づいて、部品Cの角度θを算出する。実施形態において、角度算出部96は、XcYc平面に対する部品Cの角度θを算出する。
【0069】
図10に示すように、部品Cの角度θは、Xc軸方向と直交するYcZc平面内における第1角度θxを含む。また、図11に示すように、部品Cの角度θは、Yc軸方向と直交するZcXc平面における第2角度θyを含む。角度算出部96は、部品CのXc軸方向からの画像に基づいて、XcYc平面に対する部品Cの第1角度θxを算出する。角度算出部96は、部品CのYc軸方向からの画像に基づいて、XcYc平面に対する部品Cの第2角度θyを算出する。第1角度θxは、第1側面Cxに設定された中心線LzとXcYc平面とがなす角度でもよい。第2角度θyは、第2側面Cyに設定された中心線LzとXcYc平面とがなす角度でもよい。
【0070】
実装制御部95は、角度算出部96により算出された部品Cの角度θに基づいて、部品Cを基板Pの目標実装位置MPに実装するように、実装ヘッド6を制御する。
【0071】
図12及び図13のそれぞれは、実施形態に係る実装ヘッド6の動作を説明するための図である。
【0072】
図12は、部品Cが適正にノズル5に保持されている状態で基板Pに実装される状態を示す。部品Cが適正にノズル5に保持されている状態においては、実装制御部95は、ノズル5の中心軸NXと目標実装位置MPの中心位置MXとを一致させた状態で、ノズル5を-Zg方向に下降させることにより、部品Cを基板Pの目標実装位置MPに実装することができる。
【0073】
図13は、部品Cが傾いてノズル5に保持されている状態で基板Pに実装される状態を示す。部品Cが傾いてノズル5に保持されている状態においては、実装制御部95は、ノズル5の中心軸NXと目標実装位置MPの中心位置MXとを一致させた状態で、ノズル5を-Zg方向に下降させると、部品Cを基板Pの目標実装位置MPに実装することができない。図13に示すように、部品Cが傾いた状態でノズル5を下降させると、部品Cの下端の角部が最初に基板Pの表面に接触する。部品Cの角部の位置と目標実装位置MPの周縁部の位置とは異なる。部品Cの角部が基板Pの表面に接触した後、ノズル5による部品Cの保持を解放すると、部品Cの下面Czと基板Pの表面とが接触するように、部品Cが倒れる。その結果、図13に示すように、部品Cは目標実装位置MPからずれた位置に実装されてしまう。
【0074】
実施形態において、実装制御部95は、部品Cが傾いてノズル5に保持されている状態において、角度算出部96により算出された部品Cの角度θに基づいて、部品Cが基板Pの目標実装位置MPに実装されるように、XgYg平面内における実装ヘッド6の位置を調整して、部品Cを基板Pに実装する。
【0075】
補正量算出部97は、角度算出部96により算出された部品Cの角度θと、基板Pの目標実装位置MPとに基づいて、部品Cを基板Pに実装するときの実装ヘッド6の位置に係る補正量Rcを算出する。補正量算出部97により算出される補正量Rcは、XgYg平面内における実装ヘッド6の位置に係る補正量である。
【0076】
補正量Rcは、図13に示したような、目標実装位置MPからの部品Cのずれ量Rdを含む。すなわち、補正量Rcは、角度算出部96により算出された角度θで傾いた状態で基板Pに接触した部品Cをノズル5から解放したときに予測される目標実装位置MPからの部品Cのずれ量Rdを含む。
【0077】
補正量算出部97により算出される補正量Rcは、第1角度θxと目標実装位置MPとに基づいて算出される第1補正量Rcyと、第2角度θyと目標実装位置MPとに基づいて算出される第2補正量Rcxとを含む。第1補正量Rcyは、第1位置LPにおけるYg軸方向の実装ヘッド6の位置に係る補正量である。第2補正量Rcxは、第1位置LPにおけるXg軸方向の実装ヘッド6の位置に係る補正量である。
【0078】
XgYgZg直交座標系の位置及び角度と、XcYcZc直交座標系の位置及び角度とは、関連付けられている。第2位置TPにおいて算出された部品Cの角度θ及び補正量は、第1位置LPにおける部品Cの角度θ及び補正量と同じ意義である。補正量算出部97は、第2位置TPにおいて算出された第1角度θxと目標実装位置MPとに基づいて、第1位置LPにおけるYg軸方向の実装ヘッド6の位置に係る第1補正量Rcyを算出することができる。補正量算出部97は、第2位置TPにおいて算出された第2角度θyと目標実装位置MPとに基づいて、第1位置LPにおけるXg軸方向の実装ヘッド6の位置に係る第2補正量Rcxを算出することができる。
【0079】
図14は、実施形態に係る補正量算出部97による処理を説明するための図である。図14を参照しながら、第1角度θxに基づいて第1補正量Rcyを算出する方法の一例について説明する。
【0080】
部品CのXg軸方向の寸法をX、部品CのYg軸方向の寸法をY、部品CのZg軸方向の寸法をZとする。寸法X、寸法Y、及び寸法Zは、部品Cの諸元から導出される既知データである。角度算出部96により部品Cが第1角度θxで傾いていると算出された場合、補正量算出部97は、以下の(1)式に基づいて、第1補正量Rcyを算出する。
【0081】
Rcy=(Y/2)-[(Y/2)・cosθx]+[(Z/2)・sinθx] …(1)
【0082】
なお、XgYg平面内において、目標実装位置MPに対して部品Cの位置がずれている場合がある。補正量算出部97は、XgYg平面内における部品Cの位置のずれ量に係る補正量Rbを算出する。例えば、図14に示すように、部品Cの中心OPとノズル5の先端部とのYg軸方向のずれ量に係る補正量をRbyとした場合、Yg軸方向における全体の補正量Ryは[Rcy+Rby]となる。
【0083】
なお、図示は省略するが、角度算出部96により部品Cが第2角度θyで傾いていると算出された場合、補正量算出部97は、以下の(2)式に基づいて、第2補正量Rcxを算出することができる。
【0084】
Rcx=(X/2)-[(X/2)・cosθy]+[(Z/2)・sinθy] …(2)
【0085】
また、部品Cの中心OPとノズル5の先端部とのXg軸方向のずれ量に係る補正量をRbxとした場合、Xg軸方向における全体の補正量Rxは[Rcx+Rbx]となる。
【0086】
実装制御部95は、補正量算出部97により算出された補正量R(Rx,Ry)に基づいて、実装ヘッド6を制御する。すなわち、実装制御部95は、補正量算出部97により算出された補正量R(Rx,Ry)に基づいて、実装ヘッド6の位置を調整した状態で、部品Cを基板Pに実装する。実施形態において、実装制御部95は、補正量Rxに基づいて、実装ヘッド6のXg軸方向の位置を調整し、補正量Ryに基づいて、実装ヘッド6のYg軸方向の位置を調整した状態で、部品Cを基板Pに実装する。
【0087】
閾値記憶部99は、部品Cの角度θに係る第1閾値S1及び第1閾値S1よりも大きい第2閾値S2を記憶する。第1閾値S1及び第2閾値S2のそれぞれは、予め定められている値である。
【0088】
角度判定部98は、角度算出部96により算出された部品Cの角度θと、閾値記憶部99に記憶されている第1閾値S1及び第2閾値S2のそれぞれとの関係を判定する。
【0089】
実装制御部95は、角度判定部98の判定結果に基づいて、実装ヘッド6を制御する。
【0090】
図15は、実施形態に係る角度判定部98の判定結果と実装制御部95による処理との関係を示す模式図である。
【0091】
図15に示すように、角度θが第1閾値S1以下であると判定された場合、実装制御部95は、補正量R(Rx,Ry)に基づかずに、部品Cを基板Pに実装するように実装ヘッド6を制御する。実施形態において、角度θが第1閾値S1以下であると判定された場合、補正量算出部97による補正量R(Rx,Ry)の算出処理は実施されない。角度θが第1閾値S1以下であることは、部品Cが適正にノズル5に保持されている状態であるとみなすことができる。したがって、角度θが第1閾値S1以下であると判定された場合、実装制御部95は、補正量R(Rx,Ry)に基づかずに、部品Cを基板Pに実装するように実装ヘッド6を制御する。
【0092】
図15に示すように、角度θが第1閾値S1を上回り第2閾値S2以下であると判定された場合、実装制御部95は、補正量算出部97により算出された補正量R(Rx,Ry)に基づいて、部品Cを基板Pに実装するように実装ヘッド6を制御する。
【0093】
図15に示すように、角度θが第2閾値S2を上回ったと判定された場合、実装制御部95は、部品Cを基板Pに実装しないように実装ヘッド6を制御する。実施形態において、実装制御部95は、部品Cが規定の廃棄ボックスに廃棄されるように実装ヘッド6を制御する。角度θが第2閾値S2を上回っていることは、部品Cが不適正にノズル5に保持されており、補正量R(Rx,Ry)を用いたとしても部品Cを基板Pに適正に実装できない状態であるとみなすことができる。したがって、角度θが第2閾値S2を上回った判定された場合、実装制御部95は、部品Cを基板Pに実装しないように実装ヘッド6を制御する。
【0094】
[部品実装方法]
図16は、実施形態に係る部品実装方法を示すフローチャートである。実装制御部95は、実装ヘッド6を供給エリアSMに移動させる。ノズル制御部94は、供給エリアSMに供給された部品Cの上面Ctをノズル5に保持させる。部品Cは、第1位置LPに配置されているノズル5により保持される(ステップST1)。
【0095】
ノズル制御部94は、ターレット63を回転させて、部品Cを保持したノズル5を第2位置TPに移動する。第1撮像制御部91は、ノズル5に保持されている部品Cの下面Czを第1撮像装置11に撮像させる。第1撮像装置11は、ノズル5に保持されている部品Cの下面CzをZc軸方向から撮像する(ステップST2)。
【0096】
画像処理部93は、第1撮像装置11により撮像された部品Cの画像を処理する。ノズル制御部94は、画像処理部93の画像処理結果に基づいて、部品Cの第1側面CxがXc軸方向と直交するように、ノズル5を回転させる。ノズル5が回転することにより、第1側面Cxと第2撮像装置12とが対向するように、部品Cが回転する(ステップST3)。
【0097】
第2撮像制御部92は、ノズル5に保持されている部品Cの第1側面Cxを第2撮像装置12に撮像させる。第2撮像装置12は、Xc軸方向を向いている部品Cの第1側面CxをXc軸方向から撮像する(ステップST4)。
【0098】
第2撮像制御部92は、ノズル5に保持されている部品Cの第2側面CyがXc軸方向と直交するように、ノズル5を回転させる。ノズル5が回転することにより、第2側面Cyと第2撮像装置12とが対向するように、部品Cが回転する。
【0099】
第2撮像制御部92は、ノズル5に保持されている部品Cの第2側面Cyを第2撮像装置12に撮像させる。第2撮像装置12は、Xc軸方向を向いている部品Cの第2側面CyをXc軸方向から撮像する。これにより、第2撮像装置12は、Yc軸方向を向いている部品Cの第2側面CyをYc軸方向から撮像したことになる(ステップST5)。
【0100】
角度算出部96は、ステップST4において撮像された第1側面Cxの画像に基づいて、Xc軸方向と直交するYcZc平面内における部品Cの第1角度θxを算出する。また、角度算出部96は、ステップST5において撮像された第2側面Cyの画像に基づいて、Yc軸方向と直交するZcXc平面内における部品Cの第2角度θyを算出する(ステップST6)。
【0101】
角度判定部98は、ステップST6において算出された第1角度θx及び第2角度θyの少なくとも一方が第1閾値S1を上回っているか否かを判定する(ステップST7)。
【0102】
ステップST7において、第1角度θx及び第2角度θyの少なくとも一方が第1閾値S1を上回っていると判定された場合(ステップST7:Yes)、角度判定部98は、第1閾値S1を上回っていると判定した第1角度θx及び第2角度θyの少なくとも一方が第2閾値S2以下であるか否かを判定する(ステップST8)。
【0103】
ステップST8において、第1角度θx及び第2角度θyの少なくとも一方が第1閾値S1を上回り第2閾値S2以下であると判定された場合(ステップST8:Yes)、補正量算出部97は、第1角度θxと部品Cの目標実装位置MPとに基づいて、部品Cを基板Pに実装するときのノズル5のYc軸方向(Yg軸方向)の位置に係る第1補正量Rcyを算出する。また、補正量算出部97は、第2角度θyと部品Cの目標実装位置MPとに基づいて、部品Cを基板Pに実装するときのノズル5のXc軸方向(Xg軸方向)の位置に係る第2補正量Rcxを算出する(ステップST9)。
【0104】
上述のように、XgYgZg直交座標系の位置及び角度と、XcYcZc直交座標系の位置及び角度とは、関連付けられている。ノズル5のYc軸方向の位置に係る第1補正量Rcyを算出することは、第1位置LPにおけるYg軸方向の位置に係る第1補正量Rcyを算出することと同じ意義である。ノズル5のXc軸方向の位置に係る第2補正量Rcxを算出することは、第1位置LPにおけるXg軸方向の位置に係る第2補正量Rcxを算出することと同じ意義である。
【0105】
実装制御部95は、ステップST9において算出された第1補正量Rcy及び第2補正量Rcxに基づいて、ノズル5を含む実装ヘッド6のXgYg平面内における位置を調整して、部品Cを基板Pに実装させる(ステップST10)。
【0106】
ステップST7において、第1角度θx及び第2角度θyの両方が第1閾値S1以下であると判定された場合(ステップST7:No)、実装制御部95は、補正量に基づかずに、部品Cを基板Pに実装するように実装ヘッド6を制御する(ステップST11)。
【0107】
ステップST8において、第1角度θx及び第2角度θyの少なくとも一方が第2閾値S2を上回っていると判定された場合(ステップST8:No)、実装制御部95は、部品Cを基板Pに実装しないように実装ヘッド6を制御する(ステップST12)。
【0108】
[コンピュータシステム]
図17は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の制御装置9は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。制御装置9の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、コンピュータプログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0109】
コンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、駆動軸と平行な軸方向及び駆動軸を中心とする回転方向のそれぞれに移動可能なノズル5で部品Cの上面Ctを保持することと、ノズル5に保持されている部品Cの下面Czを撮像することと、下面Czの画像に基づいて、部品Cの第1側面Cxが第1方向と直交するように、部品Cを回転させることと、第1方向を向いている第1側面Cxを撮像することと、第1方向と直交する第2方向を向いている部品Cの第2側面Cyを撮像することと、第1側面Cxの画像に基づいて、第1方向と直交する第1面内における部品Cの第1角度θxを算出することと、第2側面Cyの画像に基づいて、第2方向と直交する第2面内における部品Cの第2角度θyを算出することと、第1角度θxと部品Cの目標実装位置MPとに基づいて、部品Cを基板Pに実装するときのノズル5の第2方向の位置に係る第1補正量Rcyを算出することと、第2角度θyと部品Cの目標実装位置MPとに基づいて、部品Cを基板Pに実装するときのノズル5の第1方向の位置に係る第2補正量Rcxを算出することと、第1補正量Rcy及び第2補正量Rcxに基づいて、ノズル5の位置を調整して、部品Cを基板Pに実装することと、を実行させることができる。
【0110】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、基板Pに実装される前の部品Cが、ノズル5に保持された状態で撮像される。部品CのZc軸方向からの画像が取得されるので、θZc方向における部品Cの角度が認識される。部品CのZc軸方向からの画像に基づいて、θZc方向における部品Cの角度が調整された後、部品CのXc軸方向からの画像及びYc軸方向からの画像が取得される。そのため、部品Cの第1角度θx及び第2角度θyが高精度に算出され。したがって、基板Pに実装される前の部品Cの姿勢が適正に認識される。基板Pに実装される前の部品Cの姿勢が適正に認識されるので、部品実装装置1は、部品Cを基板Pの目標実装位置MPに実装することができる。
【0111】
第1角度θx及び第2角度θyと目標実装位置MPとに基づいて、部品Cを実装するときの実装ヘッド6の位置に係る補正量Rc(Rcx,Rcy)が算出される。これにより、実装制御部95は、補正量Rcに基づいて、部品Cを基板Pの目標実装位置MPに実装することができる。
【0112】
図13を参照して説明したように、角度θで傾いた状態で部品Cを基板Pに接触させた後、ノズル5による部品Cの保持を解放すると、部品Cは目標実装位置MPからずれた状態で基板Pに実装されてしまう。(1)式及び(2)式に示したように、補正量Rc(Rcx,Rcy)は、角度θで傾いた状態で基板Pに接触した部品Cをノズル5から解放したときに予測される目標実装位置MPからの部品Cのずれ量Rdを含む。実装制御部95は、補正量Rcに基づいて、部品Cを基板Pに実装することにより、部品Cを基板Pの目標実装位置MPに実装することができる。
【0113】
補正量Rcは、第1角度θxに基づいて算出されるXc軸方向(Xg軸方向)に係る第1補正量Rcyと、第2角度θyに基づいて算出されるYc軸方向(Yg軸方向)に係る第2補正量Rcxとを含む。これにより、Xg軸方向及びYg軸方向のそれぞれにおいて、部品Cと目標実装位置MPとを一致させることができる。
【0114】
部品Cの角度θが第1閾値S1以下であると判定された場合、部品Cは適正にノズル5に保持されているとみなされ、補正量Rcの算出処理が実施されることなく、部品Cが基板Pに実装される。部品Cの角度θが第1閾値S1を上回り第2閾値S2以下であると判定された場合、補正量Rcに基づいて、部品Cが基板Pに実装される。これにより、効率良く部品Cを基板Pに実装することができる。部品Cの角度θが第2閾値S2を上回っていると判定された場合、部品Cは基板Pに実装されない。これにより、実装不良の発生が抑制される。
【0115】
部品Cが直方体状である場合、画像処理部93は、第1撮像装置11により撮像された部品Cの画像に基づいて、θZc方向における部品Cの角度を高精度に算出することができる。また、画像処理部93は、第2撮像装置12により撮像された部品Cの画像に基づいて、第1角度θx及び第2角度θyのそれぞれを高精度に算出することができる。
【0116】
撮像装置10は、ノズル5に対してZc軸方向に配置された第1撮像装置11と、ノズル5に対してXc軸方向に配置された第2撮像装置12とを含む。部品Cを保持したノズル5がθZc方向に回転することにより、第2撮像装置12は、実質的に、Xc軸方向及びYc軸方向のそれぞれから部品Cを撮像することができる。実施形態によれば、撮像装置10の数を抑制することができる。
【0117】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態において、撮像装置10は、ノズル5に対してZc軸方向に配置された第1撮像装置11と、ノズル5に対してXc軸方向に配置された第2撮像装置12と、ノズル5に対してYc方向に配置された第3撮像装置とを含んでもよい。これにより、ノズル5を回転させなくても、第2撮像制御部92は、θZc方向の位置が調整された部品CをXc軸方向から第2撮像装置12に撮像させ、Yc軸方向から第3撮像装置に撮像させることができる。
【符号の説明】
【0118】
1…部品実装装置、2…ベース部材、3…基板搬送装置、4…部品供給装置、5…ノズル、6…実装ヘッド、7…ヘッド移動装置、8…ノズル移動装置、9…制御装置、10…撮像装置、11…第1撮像装置、12…第2撮像装置、20…ミラー、41…テープフィーダ、50…ノズルユニット、61…ハウジング、62…ロータシャフト、63…ターレット、71…Xg軸移動装置、71D…Xg軸アクチュエータ、71S…Xg軸スライド部材、72…Yg軸移動装置、72D…Yg軸アクチュエータ、72G…Yg軸ガイド部材、72P…支柱、72S…Yg軸スライド部材、73…Zg軸移動装置、73D…Zg軸アクチュエータ、73G…Zg軸ガイド部材、81…旋回装置、82…Zc軸移動装置、83…θZc移動装置、91…第1撮像制御部、92…第2撮像制御部、93…画像処理部、94…ノズル制御部、95…実装制御部、96…角度算出部、97…補正量算出部、98…角度判定部、99…閾値記憶部、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース、C…部品、Ct…上面、Cx…第1側面、Cy…第2側面、Cz…下面、DM…実装エリア、LP…第1位置、Le…外縁線、Lx…中心線、Ly…中心線、Lz…中心線、MP…目標実装位置、MX…中心位置、NX…中心軸、OX1…光軸、OX2…光軸、P…基板、SM…供給エリア、TP…第2位置。
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