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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240730BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240730BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240730BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240730BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20240730BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/02
G03B30/00
H04N23/50
H04N23/68
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020218252
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022103549
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】武田 正
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-211994(JP,A)
【文献】特開2011-203476(JP,A)
【文献】特開2020-160371(JP,A)
【文献】特開2011-039276(JP,A)
【文献】特開2015-064501(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0250156(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0140326(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00-5/08
H04N 23/50-23/55,23/68
G03B 7/02-7/16
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを備えた可動体と、
前記可動体を前記カメラモジュールの光軸と交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、を有し、
前記固定体は、
前記可動体の外周側を囲む枠部を備える樹脂製のケースと、
前記枠部に前記光軸方向の反被写体側から固定される金属製のベースと、を備え、
前記ベースは、開口部を備える枠状の第1金属板と、前記開口部の内側に嵌まる第2金属板と、を備え、
前記第1金属板は、前記開口部の縁部が前記枠部よりも内周側に張り出しており、
前記縁部は、前記可動体と前記光軸方向に重なることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記第1金属板と前記枠部の一方は、前記第1金属板と前記枠部の他方に圧入される突起部を備えることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記可動体は、前記カメラモジュールを保持するホルダを備え、
前記揺動支持機構は、前記ホルダと前記固定体とを接続するジンバル機構であり、
前記カメラモジュールは、前記光軸方向から見て前記開口部の内側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに揺動させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、
前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記固定体に配置されるコイルと、前記可動体に配置される磁石を備え、
前記枠部は、コイルが配置されるコイル固定穴と、前記コイルに接続されるフレキシブルプリント基板が配置される凹部と、を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールを備えた可動体を揺動させて振れを補正する振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、カメラモジュールが搭載される可動体を、光軸回り、あるいは、光軸と交差する軸線回りに揺動させるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが記載される。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュール(光学モジュール)を備える可動体と、固定体と、固定体に対して可動体を光軸と交差する回転軸回りに回転可能に支持するジンバル機構を有する。固定体は、可動体の外周側を囲む樹脂製のケースと、ケースの被写体側の端部に固定される金属製の第1カバーと、ケースの反被写体側の端部に固定される金属製のベース(第2カバー)を備える。
【0004】
特許文献1では、樹脂製のケースの底部は、可動体がケースから飛び出すことを規制するストッパ部を備えた形状である。ストッパ部は、磁気駆動機構のコイルを保持する穴が形成された側壁(枠部)の反被写体側の端部から内周側へ張り出す張り出し部である。第2カバーは、ストッパ部に反被写体側から重なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-160371号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可動体の外周側を囲むケースは、コイルを保持する穴や、フレキシブルプリント基板が嵌まる凹部などを備えた複雑な形状であるため、樹脂製にすれば製造が容易である。一方、樹脂部品は、強度を確保するために必要な厚さが金属よりも大きい。ストッパ部を樹脂製のケースと一体に形成する構成では、ストッパ部の厚さを薄くしようとしても限界がある。そのため、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の製品高さを小さくしようとしても限界がある。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の薄型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを備えた可動体と、前記可動体を前記カメラモジュールの光軸と交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、を有し、前記固定体は、前記可動体の外周側を囲む枠部を備える樹脂製のケースと、前記枠部に前記光軸方向の反被写体側から固定される金属製のベースと、を備え、前記ベースは、開口部を備える枠状の第1金属板と、前記開口部の内側に嵌まる第2金属板と、を備え、前記第1金属板は、前記開口部の縁部が前記枠部よりも内周側に張り出しており、前記縁部は、前記可動体と前記光軸方向に重なることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、樹脂製のケースに反被写体から固定される金属製のベースは、開口部を備える第1金属板と、開口部の内側に嵌まる第2金属板を備えている。第1金属板における開口部の縁部は、可動体と光軸方向に重なる。従って、第1金属板が可動体の光軸方向の移動を規制するストッパ部として機能するので、樹脂部品にストッパ部を形成する必要がない。よって、ストッパ部の光軸方向の高さを低くすることができ、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の薄型化を図ることができる。
【0010】
また、本発明によれば、第1金属板は開口部を備えているので、ケースに第1金属板を取り付けてストッパ機構を構成した後に、開口部からケースの内側に部品を入れて可動体を組み立てることができる。また、開口部を塞ぐ第2金属板は開口部の内側に嵌まるので、ベースは金属板1枚の厚さとすることができ、ベースの厚さを薄くすることができる。従って、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の薄型化を図ることができる。
【0011】
本発明において、前記第1金属板と前記枠部の一方は、前記第1金属板と前記枠部の他方に圧入される突起部を備えることが好ましい。このようにすると、ケースに対するベースの固定強度を高めることができる。
【0012】
本発明において、前記可動体は、前記カメラモジュールを保持するホルダを備え、前記揺動支持機構は、前記ホルダと前記固定体とを接続するジンバル機構であり、前記カメラモジュールは、前記光軸方向から見て前記開口部の内側に位置することが好ましい。このようにすると、ケースとホルダとをジンバル機構によって接続してケースに第1金属板を取り付けた中間製品は、可動体に対するストッパ機構を備えている。従って、中間検査では、第1金属板とホルダとの隙間を確認でき、ストッパ機構の寸法精度を確認できる。そして、中間検査後に、カメラモジュールを開口部からホルダに取り付けて振れ補正機能付き光学ユニットを完成させることができる。
【0013】
本発明において、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに揺動させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記固定体に配置されるコイルと、前記可動体に配置される磁石を備え、前記枠部は、コイルが配置されるコイル固定穴と、前記コイルに接続されるフレキシブルプリント基板が配置される凹部と、を備える。このようにすると、コイルおよびフレキシブルプリント基板の固定および位置決めが容易である。枠部は樹脂部品であるため、コイル固定穴や凹部を備えた形状に容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、樹脂製のケースに反被写体から固定される金属製のベースは、開口部を備える第1金属板と、開口部の内側に嵌まる第2金属板を備えており、第1金属板における開口部の縁部は、可動体と光軸方向に重なる。従って、第1金属板が可動体の光軸方向の移動を規制するストッパ部として機能するので、樹脂部品にストッパ部を形成する必要がない。よって、ストッパ部の光軸方向の高さを低くすることができる。また、開口部を塞ぐ第2金属板は開口部の内側に嵌まるので、ベースは金属板1枚の厚さとすることができ、ベースの厚さを薄くすることができる。従って、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2】振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図3】カバーを取り外した振れ補正機能付き光学ユニットを被写体側から見た平面図である。
図4図3のA-A位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図5図3のB-B位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図6】枠部およびベースの分解斜視図である。
図7】枠部およびベースを被写体側から見た平面図である。
図8】ホルダおよびカメラモジュールの分解斜視図である。
図9】第1金属板を取り付けた枠部を反被写体側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。図2は、振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。図3は、カバーを取り外した振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸方向から見た場合の平面図である。図4は、図3のA-A位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図およびその部分拡大図である。図5は、図3のB-B位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図およびその部分拡大図である。
【0018】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2および撮像素子3を備えたカメラモジュール4を有する(図4図5参照)。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、可動体の傾きを補正する。
【0019】
本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、光軸Lと直交する第1軸R1回り、並びに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りにカメラモジュール4を回転させて振れ補正を行う。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1は、ピッチング補正およびヨーイング補正を行う。
【0020】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。また、X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とする。Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。Z軸方向は、カメラモジュール4が備えるレンズ2の光軸Lに沿った光軸方向である。+Z方向は、カメラモジュール4の被写体側であり、-Z方向は、カメラモジュール4の反被写体側である。また、第1軸R1に沿った方向を第1軸R1方向とし、第2軸R2に沿った方向を第2軸R2方向とする。第1軸R1および第2軸R2は、Z軸回りで、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0021】
図1図2図3に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4を備える可動体5と、可動体5を第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構7と、ジンバル機構7を介して可動体5を支持する固定体8を有する。ここで、可動体5は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りおよびY軸回りに揺動可能である。
【0022】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構10を有する。振れ補正用磁気駆動機構10
は、可動体5に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構11と、可動体5に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構12と、を備える。第1振れ補正用磁気駆動機構11は、可動体5の-Y方向に配置される。第2振れ補正用磁気駆動機構12は、可動体5の-X方向に配置される。
【0023】
(固定体)
図2に示すように、固定体8は、樹脂製のケース13と、ケース13の+Z方向の端面に固定される枠状のカバー14と、ケース13の-Z方向の端面に固定されるベース15を備える。カバー14およびベース15は、非磁性の金属からなる。ケース13は、可動体5を外周側から囲む矩形の枠部16と、枠部16の+X方向に配置される配線収容部17を備える。カバー14は、枠部16の+Z方向の端面に固定される。カバー14の開口部140からは、カメラモジュール4およびジンバル機構7が+Z方向に突出する。枠部16は、Y方向で対向する第1側壁部161および第2側壁部162と、X方向で対向する第3側壁部163および第4側壁部164を備える。第1側壁部161は第2側壁部162の-Y方向に位置する。第3側壁部163は、第4側壁部164の-X方向に位置する。
【0024】
図2に示すように、第1側壁部161には、第1コイル固定穴161aが設けられている。第1コイル固定穴161aには第1コイル11Cが固定される。第3側壁部163には、第2コイル固定穴163aが設けられている。第2コイル固定穴163aには第2コイル12Cが固定される。第1コイル11Cおよび第2コイル12Cは、周方向に長い長円形の空芯コイルである。
【0025】
図3に示すように、第1側壁部161に固定された第1コイル11Cと可動体5の-Y方向の側面に固定された第1磁石11MとはX方向で対向しており、第1振れ補正用磁気駆動機構11を構成する。また、第3側壁部163に固定された第2コイル12Cと可動体5の-Y方向の側面に固定された第2磁石12MとはY方向で対向しており、第2振れ補正用磁気駆動機構12を構成する。
【0026】
第1コイル11Cおよび第2コイル12Cは、フレキシブルプリント基板18に電気的に接続される。フレキシブルプリント基板18は、枠部16における第1側壁部161および第3側壁部163の外周面に沿って引き回された後、+X方向へ延びて、配線基板(図示せず)に接続される。
【0027】
フレキシブルプリント基板18は、第3側壁部163の外周面に固定される第1基板部分181と、第1側壁部161の外周面に固定される第2基板部分182と、第1基板部分181と第2基板部分182と接続する第3基板部分183を備える。図2に示すように、第3基板部分183は、第1基板部分181および第2基板部分182よりも、Z軸方向の幅が小さい。枠部16の外周面には、第1基板部分181、第2基板部分182、および第3基板部分183を配置する凹部160が形成されている。
【0028】
図2に示すように、枠部16の第4側壁部164には、+Z方向に切欠いた切欠き部164aが設けられている。可動体5の-Z方向の端部分からは、カメラモジュール4に接続されるフレキシブルプリント基板19が+X方向に引き出されている。フレキシブルプリント基板19は、切欠き部164aを介して枠部16の+X方向に引き出され、配線収容部17に収容される。
【0029】
(可動体)
可動体5は、カメラモジュール4と、カメラモジュール4を外周側から囲む枠状のホルダ20を備える。カメラモジュール4は、カメラモジュール本体4Aと、カメラモジュー
ル本体4Aの中央部分から+Z方向に突出する鏡筒部4Bと、カメラモジュール本体4Aの底部に固定される基板4Cを備える。撮像素子3は基板4C上に配置され、フレキシブルプリント基板19は、基板4Cから引き出される。鏡筒部4Bには、レンズ2が保持される。カメラモジュール本体4Aに収容される撮像素子3は、レンズ2の光軸L上に配置される。
【0030】
図3に示すように、カメラモジュール4を光軸方向から見た場合の形状は、略8角形である。ホルダ20は、カメラモジュール4の-Y方向の側面に沿う第1枠部21と、カメラモジュール4の+Y方向の側面に沿う第2枠部22と、カメラモジュール4の-X方向の側面に沿う第3枠部23と、カメラモジュール4の+X方向の側面に沿う第4枠部24を備える。
【0031】
図3に示すように、ホルダ20の第1枠部21には、第1振れ補正用磁気駆動機構11の第1磁石11Mが固定され、第3枠部23には、第2振れ補正用磁気駆動機構12の第2磁石12Mが固定される。第1磁石11Mおよび第2磁石12Mは、Z軸方向に2分割されている。また、第1枠部21には、第1磁石11Mの内周側に第1ヨーク11Yが固定され、第3枠部23には、第2磁石12Mの内周側に第2ヨーク12Yが固定される。第1ヨーク11Yおよび第2ヨーク12Yは、磁性板からなる。
【0032】
(ジンバル機構)
図3に示すように、ジンバル機構7は、ジンバルフレーム70と、ジンバルフレーム70とホルダ20とを第1軸R1回りに回転可能に接続する第1接続機構71と、ジンバルフレーム70とケース13とを第2軸R2回りに回転可能に接続する第2接続機構72を備える。ジンバルフレーム70は、金属製の板バネからなる。図2図4図5に示すように、ジンバルフレーム70は、カメラモジュール本体4Aの+Z方向に位置するジンバルフレーム中央部73と、ジンバルフレーム中央部73から第1軸R1方向の両側に向かってに突出して-Z方向に延びる一対の第1延設部74と、ジンバルフレーム中央部73から第2軸R2方向の両側に向かってに突出して-Z方向に延びる一対の第2延設部75を備える。ジンバルフレーム中央部73は、その中央に、Z軸方向に貫通する開口部73aを備える。開口部73aには、カメラモジュール4の鏡筒部4Bが配置される。
【0033】
図3図4に示すように、ホルダ20の第1軸R1方向の対角位置には、外周側へ窪む第1凹部25が形成されている。第1接続機構71は、第1凹部25に固定される第1ジンバルフレーム受け部材76と、第1延設部74の先端に設けられて第1軸R1方向に窪む第1凹曲面77を備える。第1ジンバルフレーム受け部材76は、第1軸R1上で第1凹曲面79と点接触する球体80を備える。
【0034】
図3図5に示すように、枠部16の第2軸R2方向の対角位置には、外周側へ窪む第2凹部26が形成されている。第2接続機構72は、第2凹部26に固定される第2ジンバルフレーム受け部材78と、第2延設部75の先端に設けられて第2軸R2方向に窪む第2凹曲面79を備える。第2ジンバルフレーム受け部材78は、第2軸R2上で第2凹曲面79と点接触する球体80を備える。
【0035】
ジンバル機構7を組み立てるときには、ジンバルフレーム70に設けられた一対の第2延設部75を内周側に撓ませて、枠部16に固定された第2ジンバルフレーム受け部材78の内周側に挿入し、第2接続機構72を構成する。これにより、ジンバルフレーム70は、固定体8により、第1軸R1回りに回転可能に支持される。また、ジンバルフレーム70に設けられた一対の第1延設部74を内周側に撓ませて、ホルダ20に固定された第1ジンバルフレーム受け部材76の内周側に挿入し、第1接続機構71を構成する。これにより、ホルダ20は、ジンバルフレーム70により、第2軸R2回りに回転可能に支持
される。
【0036】
(振れ補正用磁気駆動機構)
図3に示すように、可動体5がジンバル機構7により支持された状態では、可動体5の第1枠部21に固定された第1磁石11Mと第1コイル11CとがY方向で隙間を開けて対向して、第1振れ補正用磁気駆動機構11を構成する。また、可動体5の第3枠部23に固定された第2磁石12Mと第2コイル12CとがX方向で隙間を開けて対向して、第2振れ補正用磁気駆動機構12を構成する。
【0037】
図1図2に示すように、フレキシブルプリント基板18には、第1コイル11Cの中心と重なる位置、および、第2コイル12Cの中心と重なる位置に磁性板30が固定される。第1コイル11Cの中心に配置される磁性板30は、可動体5の第1磁石11Mと対向しており、可動体5をX軸回りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成している。第2コイル12Cの中心に配置される磁性板30は、可動体5の第2磁石12Mと対向しており、可動体5をY軸回りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成している。
【0038】
(固定体の底部構造)
図6は、枠部16およびベース15の分解斜視図である。図7は、枠部16およびベース15を被写体側(+Z方向)から見た平面図である。図2図6に示すように、ベース15は、開口部50を備えた枠状の第1金属板51と、開口部50の内側に嵌まる第2金属板52を備える。本明細書において、枠状とは、開口部50の周りを全周で囲む形状に限定されるものではなく、周方向の一部が囲まれていない形状を含む。本形態では、第1金属板51は、開口部50の-Y方向を囲む第1部分53、開口部50の-X方向を囲む第2部分54、および、開口部50の+Y方向を囲む第3部分55を備える。第1金属板51は、開口部50の+X方向を囲んでおらず、第1部分53と第3部分55の+X方向の端部は繋がっていない。
【0039】
第1金属板51と第2金属板52は、板厚が同一である。図2図4図5に示すように、第2金属板52は、開口部50の内側に嵌まっている。開口部50の内周端面と第2金属板52の外周端面とを溶接により接合することで、第2金属板52は第1金属板51に固定されている。
【0040】
第1金属板51は、枠部16の-Z方向の端面165に当接しており、接着剤により端面165に固定される、また、第1金属板51は、第1軸R1方向の対角位置、および、第2軸R2方向の対角位置の4箇所に、+Z方向に突出する突起部56が形成されている(図4図5の部分拡大図参照)。本形態では、突起部56は、金属板を切り起こした切起こし部である。従って、第1金属板51は、突起部56に隣接する孔を備えている。突起部56は、樹脂製の枠部16の-Z方向の端面165に圧入される。従って、第1金属板51は、接着剤と圧入を併用して枠部16に固定されている。
【0041】
図7に示すように、第1金属板51は、開口部50を囲む縁部57が枠部16の内周面よりも内周側へ張り出している。図4図5に示すように、縁部57は、可動体5の外周部分に配置されるホルダ20とZ軸方向に対向する位置まで内周側へ延びている。従って、縁部57は、可動体5の-Z方向の移動を規制するストッパ部として機能する。
【0042】
図8は、ホルダ20およびカメラモジュール4の分解斜視図である。図8に示すように、カメラモジュール4は、カメラモジュール本体4Aの-Y方向、-X方向、および+Y方向の側面から外周側へ突出する突出部40を備える。ホルダ20の-Y方向、-X方向、および+Y方向の内周縁には、+Z方向に凹む複数の凹部41が形成されている。カメ
ラモジュール本体4Aの突出部40は、光軸方向から見た場合に、複数の凹部41の一部と重なる。可動体5を組み立てるとき、ホルダ20の内側に-Z方向からカメラモジュール4を挿入し、凹部41に突出部40を当接させてカメラモジュール4を光軸方向に位置決めする。また、凹部41は、カメラモジュール4をホルダ20に固定する接着剤を入れる接着剤溜まりとして用いられる。
【0043】
図9は、第1金属板51を取り付けた枠部16を反被写体側から見た平面図である。図9において、ジンバル機構7を介して枠部16に支持されたときのホルダ20およびカメラモジュール4の位置を破線で示す。図9に示すように、カメラモジュール4は、光軸方向から見た場合に第1金属板51の開口部50の内側に位置する。
【0044】
第1金属板51は、開口部50の縁部57を外周側へ切り欠いた切欠き部58を備える。光軸方向から見た場合に、ホルダ20の凹部41は切欠き部58の内側に位置する。従って、切欠き部58は、凹部41に接着剤を入れるシリンジを通す窓部として用いられる。すなわち、凹部41に接着剤を塗布する際には、切欠き部58に接着剤塗布用のシリンジを通してシリンジの先端を凹部41へ到達させ、接着剤を塗布する。これにより、枠部16の内側にホルダ20を組み込んで枠部16に第1金属板51を取り付けた状態で、第1金属板51の-Z方向から凹部41に接着剤を塗布することができる。
【0045】
振れ補正機能付き光学ユニット1の製造工程では、カメラモジュール4、フレキシブルプリント基板19、および第2金属板52を除く部品を組み立てた中間製品を作製し、中間検査を行う。中間製品は、ケース13とホルダ20とがジンバル機構7を介して接続され、ケース13とホルダ20に振れ補正用磁気駆動機構10を構成する部品が取り付けられたユニットである。また、中間製品では、第1金属板51が枠部16に固定されており、第1金属板51の縁部57によってホルダ20の-Z方向の移動を規制するストッパ機構が構成されている。中間検査では、ホルダ20と第1金属板51との隙間を確認し、ストッパ機構の寸法精度を確認する。
【0046】
その後、中間製品に対してカメラモジュール4を組み付けて、配線収容部17の内部にフレキシブルプリント基板19を引き回す。このとき、上記のように、開口部50の縁部57に設けられた切欠き部58から接着剤を塗布してカメラモジュール4を固定する。そして、第2金属板52を開口部50に嵌めて溶接により第1金属板51に固定することにより、開口部50を塞ぐ。
【0047】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4を備えた可動体5と、可動体5を光軸Lと交差する第1軸R1周りに揺動可能に支持すると共に、可動体5を光軸Lおよび第1軸R1と交差する第2軸R2周りに揺動可能に支持する揺動支持機構と、揺動支持機構を介して可動体5を支持する固定体8と、を有する。固定体8は、可動体5の外周側を囲む枠部16を備えた樹脂製のケース13と、枠部16に-Z方向(光軸方向の反被写体側)から固定される金属製のベース15を備える。ベース15は、開口部50を備えた枠状の第1金属板51と、開口部50の内側に嵌まる第2金属板52と、を備える。第1金属板51は、開口部50の縁部57が枠部16よりも内周側に張り出しており、縁部57は、可動体5と光軸方向に重なる。
【0048】
本形態では、樹脂製のケース13に-Z方向から固定される金属製のベース15は、開口部50を備える第1金属板51と、第1金属板51の内側に嵌まる第2金属板52を備えている。第1金属板51における開口部50の縁部57は、可動体5と光軸方向に重なっており、ストッパ部として機能する。従って、樹脂部品であるケース13にストッパ部を形成する必要がないので、ストッパ部の光軸方向の厚さを薄くすることができる。樹脂
部品にストッパ部を形成する場合には、必要な強度を確保するために、0.3mm以上の厚さが必要であるが、金属であれば、厚さが0.1mmでも必要な強度が得られる。従って、本形態の構造により、固定体8の光軸方向の高さを低くすることができ、振れ補正機能付き光学ユニット1の光軸方向の製品高さを低くすることができる。
【0049】
また、本形態では、ベース15は、ストッパ部を備える第1金属板51に設けられた開口部50と、開口部50に嵌まる第2金属板52を備えている。従って、枠部16に第1金属板51を取り付けてストッパ機構を構成した後に、開口部50から枠部16の内側に部品を入れて可動体5を組み立てることができる。また、開口部50を塞ぐ第2金属板52は開口部50の内側に嵌まるので、ベース15は金属板1枚の厚さとすることができ、ベース15の厚さを薄くすることができる。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1の光軸方向の薄型化を図ることができる。
【0050】
本形態では、第1金属板51は、枠部16の-Z方向の端面165に圧入される突起部56を備える。従って、接着剤と圧入を併用して固定できるので、ケース13に対するベース15の固定強度を高めることができる。
【0051】
本形態では、可動体5は、カメラモジュール4を保持するホルダ20を備え、揺動支持機構は、ホルダ20と固定体8とを接続するジンバル機構7である。カメラモジュール4は、光軸方向から見て開口部50の内側に位置する。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1の製造の際には、ケース13とホルダ20とをジンバル機構7によって接続した中間製品の状態で中間検査を行い、しかる後にカメラモジュール4を開口部50からホルダ20取り付けて振れ補正機能付き光学ユニット1を完成させることができる。中間製品は、可動体5を構成するホルダ20と第1金属板51とが光軸方向に対向する状態に組み立てられており、ストッパ機構を備えている。従って、中間検査でホルダ20と第1金属板51との隙間を確認でき、ストッパ機構の寸法精度を確認できる。
【0052】
本形態では、可動体5を第1軸R1線周りおよび第2軸R2線周りに揺動させる振れ補正用磁気駆動機構10は、固定体8に配置される第1コイル11Cおよび第2コイル12Cと、可動体5に配置される第1磁石11Mおよび第2磁石12Mを備える。枠部16は、第1コイル11Cが配置される第1コイル固定穴161a、および、第2コイル12Cが配置されるコイル固定穴163aを備えるとともに、第1コイル11Cおよび第2コイル12Cに接続されるフレキシブルプリント基板18が配置される凹部160備える。本形態では、枠部16が樹脂部品であるため、コイルおよびフレキシブルプリント基板18の固定および位置決めを容易にするための、コイル固定穴や凹部を備えた形状に容易に製造することができる。
【0053】
(変形例)
(1)上記形態では、第1金属板51に設けられた突起部56を枠部16に圧入する構成であったが、第1金属板51に穴を設けるとともに、枠部16の-Z方向の端面165に突起部を設けておき、第1金属板51の穴に、枠部16の突起部を圧入することによって第1金属板51を固定する構成を採用してもよい。
【0054】
(2)第1金属板51と枠部16のいずれにも圧入用の突起部を設けず、接着剤のみで第1金属板51を枠部16に固定する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…撮像素子、4…カメラモジュール、4A…カメラモジュール本体、4B…鏡筒部、4C…基板、5…可動体、7…ジンバル機構、8…固定体、10…振れ補正用磁気駆動機構、11…第1振れ補正用磁気駆動機構
、11C…第1コイル、11M…第1磁石、11Y…第1ヨーク、12…第2振れ補正用磁気駆動機構、12C…第2コイル、12M…第2磁石、12Y…第2ヨーク、13…ケース、14…カバー、15…ベース、16…枠部、17…配線収容部、18、19…フレキシブルプリント基板、20…ホルダ、21…第1枠部、22…第2枠部、23…第3枠部、24…第4枠部、25…第1凹部、26…第2凹部、30…磁性板、40…突出部、41…凹部、50…開口部、51…第1金属板、52…第2金属板、53…第1部分、54…第2部分、55…第3部分、56…突起部、57…縁部、58…切欠き部、70…ジンバルフレーム、71…第1接続機構、72…第2接続機構、73…ジンバルフレーム中央部、73a…開口部、74…第1延設部、75…第2延設部、76…第1ジンバルフレーム受け部材、77…第1凹曲面、78…第2ジンバルフレーム受け部材、79…第2凹曲面、80…球体、140…開口部、160…凹部、161a…第1コイル固定穴、161…第1側壁部、162…第2側壁部、163a…第2コイル固定穴、163…第3側壁部、164…第4側壁部、164a…切欠き部、165…-Z方向の端面、181…第1基板部分、182…第2基板部分、183…第3基板部分、L…光軸、R1…第1軸、R2…第2軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9