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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】金属板の接合構造及び部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/08 20060101AFI20240730BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F16B5/08 Z
F16B5/08 A
F16B11/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021015619
(22)【出願日】2021-02-03
(65)【公開番号】P2022118846
(43)【公開日】2022-08-16
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平澤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】百武 哲也
(72)【発明者】
【氏名】森野 真輝
(72)【発明者】
【氏名】山田 岳大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-169002(JP,U)
【文献】特開2008-215423(JP,A)
【文献】特開2009-190051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00-5/12
F16B 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属板と第2金属板とが、第1溶接部と第2溶接部と接着剤層とによって互いに接合面において接合されている金属板の接合構造であって、
前記第1金属板と、前記第2金属板の接合面において、前記第1金属板と前記第2金属板との溶接部位である前記第1溶接部と前記第2溶接部を備え、
前記第1金属板と、前記第2金属板の少なくとも一方は、前記第1金属板と前記第2金属板との接合面に凹部を有し、
前記凹部の少なくとも一部が、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心の間に位置し、
前記接着剤層の少なくとも一部が、前記凹部に形成されており、
前記凹部は、前記第1溶接部と前記第2溶接部とを含む、連続した領域に位置するように形成されている、
金属板の接合構造。
【請求項2】
請求項1に記載の金属板の接合構造であって、
前記凹部の、前記接合面に平行な方向であって、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心を通る直線と垂直な方向の寸法が、
前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心との中点に向かうにつれて大きくなる、
金属板の接合構造。
【請求項3】
請求項1に記載の金属板の接合構造であって、
前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心の間において、前記凹部の深さが、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心との中点に向かうにつれて浅くなる、
金属板の接合構造。
【請求項4】
請求項1に記載の金属板の接合構造であって、
前記凹部の全てが、前記第1溶接部と前記第2溶接部の間に位置するように形成されている、
金属板の接合構造。
【請求項5】
第1金属板と、第2金属板とが、第1溶接部と第2溶接部と接着剤層とによって互いに接合面において接合される部材の製造方法であって、
(a)前記第1金属板と、前記第2金属板と、を準備する工程であって、前記第1金属板と前記第2金属板の少なくとも一方は、前記第1金属板と前記第2金属板との接合面に凹部を有する、工程と、
(b)前記凹部の少なくとも一部に、接着剤を配置する工程と、
(c)前記凹部の少なくとも一部が、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心の間に位置するように、前記第1金属板と、前記第2金属板とを溶接して、前記第1溶接部と前記第2溶接部とを形成する工程と、
を備え、
前記(c)の工程において、
前記凹部が、前記第1溶接部と前記第2溶接部とを含む、連続した領域に位置するように、前記第1金属板と前記第2金属板とを溶接する、
部材の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の部材の製造方法であって、
前記(c)の工程において、前記接合面に平行であって、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心を通る直線と垂直な方向の前記凹部の寸法が、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心との中点に向かうにつれて大きくなるように、前記第1金属板と前記第2金属板とを溶接する、
部材の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の部材の製造方法であって、
前記(c)の工程において、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心の間において、前記凹部の深さが、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心との中点に向かうにつれて浅くなるように、前記第1金属板と前記第2金属板とを溶接する、
部材の製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載の部材の製造方法であって、
前記(c)の工程において、前記凹部の全てが、前記第1溶接部と前記第2溶接部の間に位置するように、前記第1金属板と前記第2金属板とを溶接する、
部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属板の接合構造及び部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボルト及びナット等の締結材を用いて金属部材同士を接合させる機械接合と、金属部材に塗布された接着剤によって金属部材同士を接合させる接着接合とが併用されることによって接合された金属部材が提示されている。特許文献1では、2つの金属部材のうち、一方の金属部材の接合面に、機械接合のための穴が形成される。穴を含む領域に、接着剤が配置される凹部が形成される。凹部が形成されることにより、凹部が形成されない態様に比べて、機械接合の周囲の接着剤の量を多くすることができる。これにより、金属部材同士の接合強度を、向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5724568号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属部材同士を、溶接と、複数の溶接部位の間に接着剤を配置して金属部材を接着させる方法と、の併用により接合させる場合、以下のような問題が生じるおそれがあった。溶接の際、熱によって、金属部材が、2つの溶接部位同士の間において、2枚の金属部材の間隔が広がるように、変形しやすい。また、2つの溶接部位の中心同士の間であって、溶接部位から遠い部位は、溶接によって押圧されない。そのため、溶接部位同士の間であって、溶接部位から遠い部位は、接着剤を挟んで隙間が生じやすい。この場合、金属部材の接合面のうちの、隙間が生じた部位において、接着剤が接合面の方向に、十分に広い領域に広がらず、期待する接合強度が得られないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、第1金属板と第2金属板とが、第1溶接部と第2溶接部と接着剤層とによって互いに接合面において接合されている金属板の接合構造が提供される。この金属板の接合構造は、前記第1金属板と、前記第2金属板の接合面において、前記第1金属板と前記第2金属板との溶接部位である前記第1溶接部と前記第2溶接部を備え、前記第1金属板と、前記第2金属板の少なくとも一方は、前記第1金属板と前記第2金属板との接合面に凹部を有し、前記凹部の少なくとも一部が、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心の間に位置し、前記接着剤層の少なくとも一部が、前記凹部に形成されている。
製造時に、第1溶接部の中心と、第2溶接部の中心の間に位置する凹部に、接着剤層を形成することができる。この形態の金属板の接合構造において、凹部が形成されていない態様と比べて、接合面に、広く接着剤層が形成される。これにより、第1金属板と第2金属板とが強固に接合された金属板の接合構造とすることができる。
(2)上記形態の金属板の接合構造において、前記凹部は、前記第1溶接部と前記第2溶接部とを含む、連続した領域に位置するように形成されていてもよい。
この形態の金属板の接合構造において、第1溶接部と第2溶接部を含む領域に、接着剤層が形成されている。そのため、第1溶接部と第2溶接部を含めた広い領域において、第1金属板と第2金属板の接合の強度を、向上させることができる。
(3)上記形態の金属板の接合構造において、前記凹部の、前記接合面に平行な方向であって、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心を通る直線と垂直な方向の寸法が、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心との中点に向かうにつれて大きくなってもよい。
第1溶接部と、第2溶接部の間の中央は、第1溶接部と第2溶接部から離れている。そのため、中央の接合の強度は、接着剤層に依存する割合が高い。この形態の金属板の接合構造において、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心との中点に向かうにつれて、凹部の、接合面に平行な方向であって、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心を通る直線と垂直な方向の寸法が大きくなる。これにより、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心との中点付近に形成される接着剤層の、接合面に平行な方向であって、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心を通る直線と垂直な方向の寸法が、凹部の寸法が大きくならない態様に比べて大きくなる。この結果、第1溶接部と第2溶接部の間の中央の接合の強度が向上する。
(4)上記形態の金属板の接合構造において、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心の間において、前記凹部の深さが、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心との中点に向かうにつれて浅くなってもよい。
この形態の金属板の接合構造において、凹部の深さが浅くならない態様に比べて、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心の中点にむかうにつれて、接着剤層が接合面に広く形成されている。そのため、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心との中点の付近の接合の強度が向上する。
(5)上記形態の金属板の接合構造において、前記凹部の全てが、前記第1溶接部と前記第2溶接部の間に位置するように形成されていてもよい。
(6)本開示の他の形態によれば、第1金属板と、第2金属板とが、第1溶接部と第2溶接部と接着剤層とによって互いに接合面において接合される部材の製造方法が提供される。この部材の製造方法は、(a)前記第1金属板と、前記第2金属板と、を準備する工程であって、前記第1金属板と前記第2金属板の少なくとも一方は、前記第1金属板と前記第2金属板との接合面に凹部を有する、工程と、(b)前記凹部の少なくとも一部に、接着剤を配置する工程と、(c)前記凹部の少なくとも一部が、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心の間に位置するように、前記第1金属板と、前記第2金属板とを溶接して、前記第1溶接部と前記第2溶接部とを形成する工程と、を備える。
溶接の際に、第1金属板と第2金属板の、第1溶接部と第2溶接部との間に、隙間が生じることによって、第1溶接部と第2溶接部の間において、第1金属板と第2金属板の接合面に接着剤が広がりにくい。この形態の部材の製造方法において、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心の間に位置する凹部によって、接着剤の、接合面に沿った広がりを促進することができる。その結果、凹部を有しない態様に比べて、第1金属板と第2金属板の接合を強固にすることができる。
(7)上記形態の部材の製造方法において、前記(c)の工程において、前記凹部が、前記第1溶接部と前記第2溶接部とを含む、連続した領域に位置するように、前記第1金属板と前記第2金属板とを溶接してもよい。
この形態の部材の製造方法において、第1溶接部と第2溶接部とを含む領域に形成される接着剤層の形状を、より制御することができる。
(8)上記形態の部材の製造方法において、前記(c)の工程において、前記接合面に平行であって、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心を通る直線と垂直な方向の前記凹部の寸法が、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心との中点に向かうにつれて大きくなるように、前記第1金属板と前記第2金属板とを溶接してもよい。
この形態の部材の製造方法において、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心との中点付近に形成される接着剤層の、接合面に平行な方向であって、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心を通る直線と垂直な方向の寸法を、凹部の寸法が大きくならない態様に比べて大きくすることができる。そのため、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心との中点の付近の接合の強度を向上させることができる。
(9)上記形態の部材の製造方法において、前記(c)の工程において、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心の間において、前記凹部の深さが、前記第1溶接部の中心と前記第2溶接部の中心との中点に向かうにつれて浅くなるように、前記第1金属板と前記第2金属板とを溶接してもよい。
この形態の部材の製造方法において、凹部の深さが浅くならない態様に比べて、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心の中点にむかうにつれて、接合面に広く、接着剤層を形成することができる。これにより、第1溶接部の中心と第2溶接部の中心との中点の付近の接合の強度が向上する。
(10)上記形態の部材の製造方法において、前記(c)の工程において、前記凹部の全てが、前記第1溶接部と前記第2溶接部の間に位置するように、前記第1金属板と前記第2金属板とを溶接してもよい。
この形態の部材の製造方法において、凹部に配された接着剤層が、第1溶接部又は第2溶接部に対して、逆の側に移動する可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態を説明する概略模式図。
図2図1のII―II断面図。
図3】第1金属板を、X軸の負方向側に見た図。
図4】第1実施形態の金属板の製造方法の一例を説明する工程図。
図5】接着剤の配置を説明する図。
図6】第2金属板が第1金属板に重ねられる様子を示した図。
図7】比較例を説明する図。
図8】比較例における接着剤層の形成を説明する図。
図9図8のIX-IX断面図。
図10】第2実施形態を説明する図。
図11】接着剤が配置された状態を説明する図。
図12】第3実施形態を説明する図。
図13】第3実施形態の接着剤層の形状を説明する図。
図14】第4実施形態を説明する図。
図15】接着剤が配置された状態を説明する図。
図16図15のXVI-XVI断面図。
図17】他の実施形態1を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A1.第1実施形態の構成:
図1は、第1実施形態を説明する概略模式図である。図1のX軸方向は、後述する第1金属板100の面方向に沿った長手方向と平行な方向である。Y軸方向は、第1金属板100の面方向に沿った短手方向と平行な方向である。Z軸方向は、第1金属板100の厚さ方向である。後述する図におけるX軸、Y軸、及びZ軸においても同様である。図1において、後述する第2金属板200の図示を省略している。図2は、図1のII―II断面図である。図2において、第1金属板100の厚さの寸法は正確ではない。図1及び図2に示すように、金属板の接合構造10は、第1金属板100と、第2金属板200と、接着剤層300と、を有する。
【0009】
第1金属板100と第2金属板200は、溶接と接着剤層300によって、互いに接合面において、接合されている。第1金属板100の接合面と、第2金属板200の接合面における2つの溶接部位を、第1溶接部410と、第2溶接部420とよぶ。各接合面は、第1金属板100と第2金属板200が向かい合う面である。第1金属板100の接合面を、第1接合面110とよぶ。第2金属板200の接合面を、第2接合面210とよぶ。第1溶接部410は、第2溶接部420に対し、X軸の負方向側に位置する。図1において、第1溶接部410と第2溶接部420を、破線枠で表している。
【0010】
第1溶接部410の中心を第1中心411、第2溶接部420の中心を第2中心421とよぶ。図2に示すように、第1金属板100は、第1中心411から、第1中心411と第2中心421の中点430に向かうにつれて、第1接合面110がZ軸の負方向側に向かうように、傾く形状を有している。図2において、X軸方向における第1中心411と第2中心421と中点430の位置を、一点鎖線で表している。第1金属板100は、第2中心421から、中点430に向かうにつれて、第1接合面110がZ軸の負方向側に向かって傾く形状を有している。これらの傾く形状は、後述する第1金属板100と第2金属板200との溶接時に、第1金属板100が変形することにより形成される。本実施形態において、第1金属板100は、鋼板で形成されている。第1金属板100の厚さは、1.6mmである。
【0011】
図3は、第1金属板100を、X軸の負方向側に見た図である。図3において、接着剤層300の図示を省略している。図3の第1金属板100は変形していない状態を示している。図1及び図3に示すように、第1金属板100には、凹部120が形成されている。凹部120は、第1接合面110に形成されている。凹部120の一部が、第1中心411と、第2中心421の間に位置するように、形成されている(図1参照)。具体的には、凹部120の一部が、第1接合面110と平行な方向の直線であって、第1中心411と第2中心421を通る直線である直線SL1上に位置するように、形成されている。直線SL1は、図1のII-II断面の線と重なる。
【0012】
本実施形態において、凹部120は、第1溶接部410と第2溶接部420とを含む、連続した領域である第1領域130に位置するように形成されている。本実施形態において、第1領域130は、第1溶接部410と第2溶接部420を含み、X軸の方向側にのびる範囲である。凹部120の深さは、0.2mmである。
【0013】
図2に示すように、第2金属板200は、第1金属板100と接合されている。第2金属板200は、第1中心411から、中点430に向かうにつれて、第2接合面210がZ軸の正方向側に向かうように、傾く形状を有している。第2金属板200は、第2中心421から、中点430に向かうにつれて、第2接合面210がZ軸の正方向側に向かって傾く形状を有している。第1金属板100と第2金属板200が上述した形状であるため、第1接合面110と第2接合面210の間の距離が、中点430に向かうにつれて、次第に大きくなる。第1金属板100と第2金属板200の間であって、かつ、第1溶接部410と第2溶接部420の間には、隙間440が生じている。なお、図2において、隙間440には接着剤層300が配置されている。第2金属板200は、鋼板により形成されている。第2金属板200の厚さは、1.6mmである。
【0014】
接着剤層300は、第1金属板100と、第2金属板200とを、接着する。図1に示すように、接着剤層300の一部が、凹部120の上に形成されている。接着剤層300は、他の部分が、第1接合面110の、凹部120が形成されていない部分に形成されている。中点430を通り、Y軸に平行な方向における接着剤層300の寸法を、寸法L1とする。第1中心411を通り、Y軸に平行な方向における接着剤層300の寸法を寸法L2とする。第2中心421を通り、Y軸に平行な方向における接着剤層300の寸法を寸法L3とする。本実施形態において、寸法L2と寸法L3は、同じ大きさである。寸法L1は、寸法L2と寸法L3よりも小さい。第1溶接部410の周辺と第2溶接部420の周辺に形成されている接着剤層300は、中点430の周辺に形成されている接着剤層300と比べて、Y軸方向に広く形成されている。なお、図1の接着剤層300の形状は正確ではない。後述する図においても同様である。
【0015】
図2に示すように、中点430に形成されている接着剤層300の、Z軸方向における寸法を、寸法L4とする。なお、図2において、寸法L4を示す線を中点430からズラして示している。第1溶接部410の近傍に形成されている接着剤層300の、Z軸方向の寸法を、寸法L5とする。寸法L4は、寸法L5よりも大きい。第2溶接部420の近傍に形成されている接着剤層300の、Z軸方向の寸法を寸法L6とする。寸法L4は、寸法L6よりも大きい。なお、第1溶接部410と第2溶接部420には接着剤層300が形成されていない。隙間440が生じているため、第1中心411と第2中心421と比べて、中点430付近の接着剤層300の寸法が大きくなる。図1及び図2に示すように、接着剤層300は、中点430に近づくにつれて、Z軸方向の寸法が大きくなり、かつ、Y軸方向の寸法が小さくなる。
【0016】
A2.第1実施形態の金属板の接合構造10を備える部材の製造方法:
図4は、第1実施形態の金属板の接合構造10を備える部材の製造方法の一例を説明する工程図である。図5は、接着剤310の配置を説明する図である。図4のステップS100で、第1金属板100と第2金属板200が準備される。ステップS100で準備される第1金属板100と第2金属板200は、変形していない。また、第1金属板100の第1接合面110には、予め凹部120が形成されている。図4のステップS200で、第1金属板100に予め形成された凹部120の上に、接着剤310が配置される(図5参照)。接着剤310は、幅、すなわちY軸方向における寸法が、第1溶接部410と第2溶接部420の直径よりも小さくなるように、X軸に略平行に、凹部120に配置される。X軸に略平行とは、X軸に平行な方向に対し10度~30度の角度の範囲をいう。ステップS200において、接着剤310は硬化されていない状態とする。本実施形態において、接着剤310は、エポキシ樹脂である。
【0017】
図6は、第2金属板200が第1金属板100に重ねられる様子を示した図である。図6は、図5のVI-VI断面図である。図4のステップS300で、白抜き矢印Aの方向に、第2金属板200が第1金属板100に重ね合わされる(図6参照)。その後、第1金属板100と、第2金属板200が、第1溶接部410と、第2溶接部420において溶接される。この際、凹部120の一部が、第1中心411と第2中心421の間に位置するように、第1金属板100と第2金属板200とは、溶接される(図5参照)。これにより、第1溶接部410と第2溶接部420が形成される。さらに、凹部120は、第1溶接部410と第2溶接部420を含む、連続した領域である第1領域130に位置するように、溶接される。
【0018】
第1溶接部410において溶接することで、第1溶接部410からX軸方向に遠ざかるにつれ、第1金属板100と第2金属板200の間隔が離れる方向に、第1金属板100と第2金属板200が変形する。次に、第2溶接部420において溶接することで、第2溶接部420からX軸方向に遠ざかるにつれ、第1金属板100と第2金属板200の間隔が離れる方向に、第1金属板100と第2金属板200が変形する。この結果、中点430に向かうにつれて、第1金属板100と第2金属板200の間隔が広くなる。これにより、第1溶接部410と第2溶接部420の間に、隙間440が生じる(図2参照)。
【0019】
上述したように、接着剤310は凹部120に配置されているため、第1金属板100と第2金属板200が溶接されることにより、接着剤310がZ軸方向に押圧される。接着剤310は、大部分が、凹部120内に配置されるように移動する(図1参照)。第1溶接部410と第2溶接部420の周辺に配置されていた接着剤310が、凹部120のY軸の正方向側の端121aと凹部120のY軸の負方向側の端121bと接触することにより、X軸方向に流れる。接着剤310の残りの部分は、凹部120からはみ出て、凹部120の外に移動する。
【0020】
図4のステップS400において、熱を加えることによって接着剤310が硬化され、接着剤層300が形成される。接着剤層300は、一部が第1溶接部410と第2溶接部420の間に形成される。接着剤層300は、他の部分が第1溶接部410と第2溶接部420の間と逆側に形成される。第1溶接部410と第2溶接部420の間と逆側とは、第1溶接部410に対して第2溶接部420と逆の側と、第2溶接部420に対して第1溶接部410と逆の側のことをいう。
【0021】
図7は、比較例を説明する図である。図7図5に対応する。図8は、比較例における接着剤層820の形成を説明する図である。図8図1に対応する。図9は、図8のIX-IX断面図である。図9は、図2に対応する。比較例の金属板を、比較金属板800、810とよぶ。図7に示すように、比較金属板800には、凹部120が形成されていない。接着剤310が配置された比較金属板800に対し、別の比較金属板810が溶接されると、比較金属板800、810の表面に、接着剤層820が形成される(図8及び図9参照)。
【0022】
比較金属板800に凹部120が形成されないことにより、2つの比較溶接部831、832の付近に配置されていた接着剤310が、比較溶接部831、832の周辺に広く広がって形成される(図8参照)。比較例において、2つの比較溶接部831、832の間の中央付近に形成された接着剤層820のY軸方向の寸法を寸法L7とする。比較溶接部831、832の中心を通りY軸と平行な方向における接着剤層820の寸法を、寸法L8と寸法L9とする。寸法L8と寸法L9の大きさは、同じである。寸法L7と、寸法L8及び寸法L9との差は、上述した寸法L1と、L2及び寸法L3との差よりも大きい(図1及び図8参照)。また、図9に示すように、溶接により比較金属板800、810の変形のために生じた隙間833に、接着剤310が流れ込む。そのため、隙間833において、Y軸方向に接着剤310が広がりにくい。比較例は、本実施形態の態様に比べ、比較金属板800のY軸方向における、接合のための接着剤層820が十分に形成されていない。そのため、比較例は、本実施形態の態様に比べ、比較金属板800と、比較金属板810の接着剤310による接合の強度が、十分ではない。
【0023】
本実施形態においても、第1金属板100と第2金属板200の溶接の際に、第1金属板100と第2金属板200の間に、接合面に接着剤310が広がりにくい隙間440が生じる(図2参照)。一方、本実施形態においては、凹部120が形成されているため、溶接の際に、接着剤310が凹部120に沿って広がりやすい(図1参照)。凹部120に沿って、X軸方向に接着剤310が移動するため、比較例の態様と比べて、第1溶接部410と第2溶接部420の周辺におけるY軸方向の接着剤310の広がりが抑制される。そのため、隙間440において、Y軸方向に、接着剤310が広がる。このように、接着剤310の、隙間440における接合面に沿った広がりを促進することができる。その結果、凹部120を有しない態様に比べて、接合面に、広く接着剤層が形成された金属板の接合構造10が形成されやすい。第1金属板100と第2金属板200の接合を強固にした金属板の接合構造10を備える部材を製造することができる。
【0024】
本実施形態において、凹部120が第1溶接部410と第2溶接部420を含む連続した領域に位置するように溶接されている。第1溶接部410と第2溶接部420とを含む領域に形成される接着剤層300の形状を、より制御することができる。
【0025】
本実施形態の金属板の接合構造10の接合構造において、製造時に、第1中心411と、第2中心421の間に位置する凹部120に、接着剤層300を形成することができる。凹部120が形成されていない態様と比べて、接合面に、広く接着剤層300が形成される。これにより、第1金属板100と第2金属板200とが強固に接合板の接合構造10とすることができる。また、凹部120が第1溶接部410と第2溶接部420を含む連続した領域に位置するように形成されているため、第1溶接部410と第2溶接部420を含めた広い領域において、第1金属板100と第2金属板200の接合の強度を、向上させることができる。
【0026】
B.第2実施形態:
B1.第2実施形態の態様:
図10は、第2実施形態を説明する図である。図10は、図1に対応する。第2実施形態において、第1実施形態と、凹部120Bの形状と、溶接の方法が異なる。その他の構成は第1実施形態と同じであるので、詳細な説明を省略し、同一の符号を付して説明する。
【0027】
凹部120Bは、第1金属板100Bに形成されている。凹部120Bは、第1溶接部410と第2溶接部420を含む、連続した領域である第1領域130に位置するように形成されている。第2実施形態において、凹部120Bの、第1接合面110Bに方向な方向であって、第1中心411と第2中心421を通る直線SL1と垂直な方向であるY軸方向の寸法が、第1中心411と第2中心421との、中点430に向かうにつれて大きくなる。凹部120Bの厚さは、X軸及びY軸方向において、同じ厚さである。
【0028】
第2実施形態において、中点430を通り、Y軸に平行な方向の接着剤層300Bの寸法をL10、第1中心411と第2中心421を通り、Y軸に平行な方向の接着剤層300Bの寸法を寸法L11と寸法L12とする。寸法L11と寸法L12の大きさは同じである。第1実施形態と同様に、上述した比較例と比べて、寸法L10と、寸法L11及び寸法L12との差が小さい。(図8図10参照)。
【0029】
B2.第2実施形態の金属板の接合構造を備える部材の製造方法:
図11は、接着剤310が配置された状態を説明する図である。図11に示すように接着剤310が配置された状態で、第1金属板100Bと図示しない第2金属板200が溶接される。溶接は、凹部120Bの、第1接合面110Bと平行であって、直線SL1と垂直な方向の寸法が、中点430に向かうにつれて大きくなるように行われる。溶接により、凹部120に配置された接着剤310がZ軸方向に押圧され、凹部120Bに広がる(図10参照)。この際に、第1溶接部410と第2溶接部420の周囲に配置された接着剤310が、凹部120BのY軸方向側の端に接触することにより、比較例と比べて、X軸方向に、接着剤310が広がる。中点430に向かうにつれて凹部120Bが大きくなるように溶接されているため、中点430と、中点430の付近とで、接着剤層300Bを広く形成することができる。これにより、第1中心411と第2中心421の中点430の付近の接合の強度を向上させることができる。
【0030】
第1溶接部410と、第2溶接部420の間の中央は、第1溶接部410と第2溶接部420から離れている。そのため、中央の接合の強度は、接着剤層300に依存する割合が高い。第2実施形態の金属板の接合構造10Bにおいて、中点430に向かうにつれて、凹部120Bの、第1接合面110Bと平行な方向であって、直線SL1と垂直な方向の寸法が大きくなる。これにより、凹部120Bの寸法が大きくならない態様に比べて、中点430付近に形成される接着剤層300Bが、Y軸方向に広く形成される。この結果、第1溶接部410と第2溶接部420の間の中央の接合の強度が向上する。第1溶接部410と第2溶接部420から遠いことにより溶接による接合に依存できない部位での接合を、より確実なものとすることができる。
【0031】
C.第3実施形態:
C1.第3実施形態の態様:
図12は、第3実施形態を説明する図である。図12の金属板の接合構造10Cは、接合前の状態であり、接着剤310が配置されている状態を示している。図13は、第3実施形態の接着剤層300Cの形状を説明する図である。第3実施形態において、凹部120Cの形状と、溶接の方法が、上記実施形態と異なる。その他の構成は第1実施形態と同じであるので、詳細な説明を省略し、同一の符号を付して説明する。
【0032】
図12に示すように、第3実施形態の凹部120Cは、第1溶接部410と第2溶接部420の中心の間において、凹部120Cの深さが、第1中心411と第2中心421の中点430に向かうにつれて浅くなるように、形成されている。図12において、凹部120Cの深さを誇張して表している。凹部120Cの深さが浅くなるとは、第1金属板のZ軸の負方向側の面100Ccからの距離が大きくなることをいう。凹部120Cは、第1溶接部410から中点430に向かって、Z軸の正方向側に傾く形状を有している。また、凹部120Cは、第2溶接部420から中点430に向かって、Z軸の正方向側に傾く形状を有している。そのため、中点430に向かうにつれて、凹部120Cの深さが浅くなる。凹部120Cの、Y軸方向の寸法は、第1実施形態と同じである(図13参照)。
【0033】
中点430を通り、Y軸に平行な方向の接着剤層300Cの寸法をL13、第1中心411と第2中心421を通り、Y軸に平行な方向の接着剤層300Cの寸法を寸法L14と寸法L15とする。寸法L14と寸法L15の大きさは同じである。上記実施形態と同様に、上述した比較例と比べて、寸法L13と、寸法L14及び寸法L15との差が小さい。(図7図13参照)。
【0034】
C2.第3実施形態の金属板の接合構造を備える部材の製造方法
図12に示すように接着剤310が配置された状態で、第1金属板100Cと第2金属板200が溶接される。溶接の際、凹部120Cの深さが、中点430に向かうにつれて浅くなるように溶接される。具体的には、凹部120Cの深さが浅くなる位置が溶接されることにより、第1溶接部と第2溶接部が形成される。中点430付近に位置する凹部120Cの深さが、第1溶接部410と第2溶接部420の付近に位置する凹部120Cの深さよりも浅いことで、凹部120Cの深さが浅くならない態様に比べて、接合面に広く、接着剤層300を形成することができる。これにより、第1溶接部410の中心と第2溶接部420の中心との中点430の付近の接合の強度が向上する。
【0035】
D.第4実施形態:
D1.第4実施形態の態様:
図14は、第4実施形態を説明する図である。図14は、図1に対応する。第4実施形態において、凹部の形状と、溶接の方法が、上記実施形態と異なる。その他の構成は第1実施形態と同じであるので、詳細な説明を省略し、同一の符号を付して説明する。
【0036】
図14に示すように、第4実施形態において、第1金属板100Dに第1凹部122Dと、第2凹部123Dと、第3凹部124Dと、が形成されている。第1凹部122Dは、Z軸方向から見たときに、略直方の形状を有している。第1凹部122Dは、全てが、第1溶接部410と第2溶接部420の間に位置するように、形成されている。第1溶接部410と第2溶接部420の間とは、第1溶接部410と第2溶接部420の間であって、第1溶接部410と第2溶接部420を含まない領域をいう。つまり、第1凹部122DのX軸方向の両端が、第1溶接部410と第2溶接部420の間に位置している。第1凹部122Dの深さは、X軸及びY軸方向について略均一である。
【0037】
第2凹部123Dは、第1溶接部410に対して、中点430から離れる方向に向かって形成されている。第2凹部123Dは、X軸の負方向側の端123Daが、第1金属板100DのX軸の負方向側の端101Dと接続している。第3凹部124Dは、第2溶接部420に対して、中点430から離れる方向に向かって形成されている。第3凹部124Dは、X軸の正方向側の端124Daが、第1金属板100DのX軸の正方向側の端102Dと接続している。
【0038】
図14に示すように、中点430を通り、Y軸に平行な方向の接着剤層300Dの寸法をL16、第1中心411と第2中心421を通り、Y軸に平行な方向の接着剤層300Dの寸法を寸法L17と寸法L18とする。寸法L17と寸法L18の大きさは同じである。上記実施形態と同様に、上述した比較例と比べて、寸法L16と、寸法L17と寸法L18との差が小さい。(図7図15参照)。
【0039】
D2.第4実施形態の金属板の接合構造を備える部材の製造方法:
図15は、接着剤310が配置された状態を説明する図である。図16は、図15のXVI-XVI断面図である。図15に示すように、接着剤310は、第1溶接部410と第2溶接部420と、第1凹部122Dないし第3凹部124Dを通過するように、直線状に配置される。接着剤310が配置された状態で、第1金属板100Dと第2金属板200が溶接される(図16参照)。溶接の際に、第1凹部122Dの全てが、第1溶接部410と第2溶接部420の間に位置するように、溶接される。第1溶接部410の付近に配された接着剤310は、第1凹部122Dと、第2凹部123Dに移動する。第2溶接部420の付近に配された接着剤310は、第1凹部122Dと、第3凹部124Dに移動する。第1凹部122Dに移動した接着剤310は、第1凹部122Dに沿って、中点430に向かって広がる(図15参照)。
【0040】
第1凹部122DのX軸方向の両端が第1溶接部410と第2溶接部420の間に位置していることにより、第1凹部122Dに移動した接着剤310は、第1溶接部410又は第2溶接部420に対して第1凹部122Dとは逆の側である第2凹部123Dと第3凹部124D側に移動する可能性が低減される。これにより、第1凹部122Dが第1溶接部410と第2溶接部420の間に形成されていない態様に比べて、第1溶接部410と第2溶接部420間における接着剤層300Dの形成を制御しやすくなる。
【0041】
E.他の実施形態:
E1)図17は、他の実施形態1を説明する図である。上記実施形態において、第1溶接部410と第2溶接部420の間に、凹部120が一つ形成されていた。図17に示すように、第1溶接部410と第2溶接部420の間に、二つの凹部121E、122Eが形成されてもよい。なお、凹部は、三つや四つなど任意の数が形成されてもよい。
【0042】
E2)上記実施形態において、凹部は、第1金属板に形成されていた。なお、凹部は、第2金属板に形成されていてもよく、第1金属板と、第2金属板の両方に形成されてもよい。第1金属板に凹部が一つ形成されていてもよく、第2金属板に凹部が二つ形成されていてもよい。第1金属板と第2金属板に形成されている凹部が、異なる形状を有していてもよい。また、第2金属板に、第1金属板が重ねられてもよい。
【0043】
E3)上記実施形態において、第1金属板と第2金属板は、第1溶接部と第2溶接部の2か所において、溶接されている。なお、例えば第1金属板と第2金属板は、X軸方向に並ぶ3つの溶接部において溶接されてもよく、X軸の最も負方向側の溶接部を第1溶接部として、中央の溶接部を第2溶接部として、第1溶接部と第2溶接部との間に凹部が形成されてもよく、中央の溶接部を第1溶接部、X軸の最も正方向側の溶接部を第2溶接部として、第1溶接部と第2溶接部との間に凹部が形成されていてもよい。また、それら2つの凹部が形成されていてもよい。凹部は四つでも五つでも、任意の数であってよい。
【0044】
E4)第4実施形態において、第1凹部122Dは、略直方の形状を有している。なお、例えば、第1凹部は、略円の形状を有していてもよい。また、第2凹部のX軸の負方向側の端は第1金属板のX軸の負方向側の端と接続し、第3凹部のX軸の正方向側の端は、X軸の正方向側の端と接続しているが、第2凹部のX軸の負方向側の端は、第1金属板のX軸の負方向側の端よりもX軸の正方向側に位置していてもよく、第3凹部のX軸の正方向側の端は、第1金属板のX軸の正方向側の端よりもX軸の負方向側に位置していてもよい。
【0045】
E5)上記実施形態において、接着剤層は、一部が凹部に形成され、他の部分が凹部の外に形成されている。なお、接着剤層の全てが、凹部に位置するように形成されていてもよい。
【0046】
E6)上記実施形態において、第1金属板と第2金属板は、鋼板によって形成されている。なお、第1金属板と第2金属板は、ステンレスやアルミニウム合金によって形成されていてもよく、第1金属板と第2金属板が異なる素材によって形成されていてもよい。
【0047】
E7)上記実施形態において、第1金属板と第2金属板の厚さは、1.6mmである。第1金属板と第2金属板の厚さは、1.4mm~1.8mmであることが好ましい。
【0048】
E8)上記実施形態において、凹部の深さは、0.2mmである。凹部の深さは、0.2mm~0.3mmから好ましい。
【0049】
E9)上記実施形態において、図1のX軸方向は、第1金属板の長手方向と平行な方向である。Y軸方向は、第1金属板の短手方向と平行な方向である。なお、第1金属板は、X軸方向が第1金属板の短手方向となり、Y軸方向が第1金属板の長手方向となるような形状を有していてもよい。
【0050】
E10)上記実施形態において、接着剤は、X軸に略平行かつ、Y軸方向における寸法が、第1溶接部と第2溶接部の直径よりも小さいように、凹部に配置される。なお、接着剤のY軸方向の寸法が、第1溶接部と第2溶接部の直径と同じ大きさであってもよい。
【0051】
E11)上記実施形態において、接着剤層は、一部が第1溶接部と第2溶接部の間に位置し、他の部分が第1溶接部と第2溶接部の間と逆側に位置する。なお、接着剤層は、全てが凹部に位置するように形成されていてもよい。
【0052】
E12)上記実施形態において、第1中心を通り、Y軸に平行な方向の接着剤層の寸法と、第2中心を通り、Y軸に平行な方向の接着剤層の寸法は、同じである。なお、これらは異なっていてもよい。
【0053】
E13)上記実施形態において、接着剤は、エポキシ樹脂である。なお、接着剤は、エポキシ樹脂以外のフェノール樹脂やポリウレタン等の熱硬化性樹脂を用いてもよく、二種類の液剤が混合された二液性接着剤を用いてもよい。二液性接着剤を用いる場合、図4のステップS400において、熱を加えず、放置によって硬化させてもよい。
【0054】
本開示は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10、10B、10C…金属板の接合構造、100、100B、100C、100D…第1金属板、100Cc…第1金属板のZ軸の負方向側の面、101D、102D…第1金属板のX軸方向の端、110、110B…第1接合面、120、120B、120C、121E、122E…凹部、121a、121b…凹部のY軸方向の端、122D…第1凹部、123D…第2凹部、124D…第3凹部、123Da…第2凹部のX軸の負方向側の端、124Da…第2凹部のX軸の正方向側の端、130…第1領域、200…第2金属板、210…第2接合面、300、300B、300C、300D…接着剤層、310…接着剤、410…第1溶接部、411…第1中心、420…第2溶接部、421…第2中心、430…中点、440、833…隙間、800、810…比較金属板、820…接着剤層、831、832…比較溶接部、A…矢印、L1~L18…寸法、SL1…直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17