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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】衛生用薄葉紙収納容器の固定治具
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20240730BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20240730BHJP
   A47K 10/38 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B65D83/08 A
B65D25/20 V
A47K10/38 Z
A47K10/38 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021017961
(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公開番号】P2022120911
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】鬼澤 里奈
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0192862(US,A1)
【文献】特開2000-210225(JP,A)
【文献】登録実用新案第3031310(JP,U)
【文献】特開2010-132305(JP,A)
【文献】特表2001-519188(JP,A)
【文献】実開平5-53596(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0011879(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 25/00-25/56
A47K 10/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納されている衛生用薄葉紙を取り出す取出部を有する衛生用薄葉紙収納容器を所望する設置箇所の構造物に固定するための衛生用薄葉紙収納容器の固定治具であって、
前記衛生用薄葉紙収納容器を保持する容器保持部と、
前記容器保持部を前記構造物に対して取り付けるために前記容器保持部に設けられている取付部と、
を備え、
前記取付部は、互いに接離する方向に弾性変形可能な一対の板バネ部材であり、前記一対の板バネ部材は、前記容器保持部から側方に延在した配置に設けられており、
前記取出部側を下向きにした前記衛生用薄葉紙収納容器が前記容器保持部に保持された状態で、前記取出部から前記衛生用薄葉紙を引き出し可能にする開口が前記容器保持部に設けられており、
前記一対の板バネ部材の間に前記構造物の一部を挟み込んだ状態で、前記容器保持部に保持されている前記衛生用薄葉紙収納容器を、前記構造物の上面側に露出させるように、前記構造物の側部に設置するように構成されていることを特徴とする衛生用薄葉紙収納容器の固定治具。
【請求項2】
内部に収納されている衛生用薄葉紙を取り出す取出部を有する衛生用薄葉紙収納容器を所望する設置箇所の構造物に固定するための衛生用薄葉紙収納容器の固定治具であって、
前記衛生用薄葉紙収納容器を保持する容器保持部と、
前記容器保持部を前記構造物に対して取り付けるために前記容器保持部に設けられている取付部と、
を備え、
前記取付部は、一対の板状部材と、前記一対の板状部材の一方の板状部材に設けられており、他方の板状部材に対して接離可能に配設されている配置切替部材とで構成されており、前記一対の板状部材は、前記容器保持部から側方に延在した配置に設けられており、
前記取出部側を下向きにした前記衛生用薄葉紙収納容器が前記容器保持部に保持された状態で、前記取出部から前記衛生用薄葉紙を引き出し可能にする開口が前記容器保持部に設けられており、
前記配置切替部材と前記他方の板状部材の間に前記構造物の一部を挟み込んだ状態で、前記容器保持部に保持されている前記衛生用薄葉紙収納容器を、前記構造物の上面側に露出させるように、前記構造物の側部に設置するように構成されていることを特徴とする衛生用薄葉紙収納容器の固定治具。
【請求項3】
前記衛生用薄葉紙収納容器には、前記取出部を覆う蓋が設けられており、
前記容器保持部の開口は、その開口を通じて前記蓋を開閉可能とするように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生用薄葉紙収納容器の固定治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生用薄葉紙収納容器を机や棚などに固定するための固定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の床やトイレ、あるいは人体などを拭くための衛生用薄葉紙を収納する衛生用薄葉紙収納容器が知られている。
例えば、開口部を有する容器本体の内部にロール状の衛生用薄葉紙を収容し、その容器本体の開口部を覆うように取り付けられる蓋体には衛生用薄葉紙を引き出すための取出孔を有する取出部が配設されており、取出孔から引き出される衛生用薄葉紙に抵抗を掛け、衛生用薄葉紙に設けられているミシン目にて切り離す構成の衛生用薄葉紙収納容器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-112130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の衛生用薄葉紙収納容器から衛生用薄葉紙を取り出して使用する場合、一方の手で収納容器を保持し、他方の手で衛生用薄葉紙を引き出すようにしなければならないので、片手が塞がった状態では衛生用薄葉紙を引き出し難く、衛生用薄葉紙を収納容器から好適に取り出すことができないことがあるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、衛生用薄葉紙収納容器から衛生用薄葉紙を好適に引き出すことを可能にする衛生用薄葉紙収納容器の固定治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
内部に収納されている衛生用薄葉紙を取り出す取出部を有する衛生用薄葉紙収納容器を所望する設置箇所の構造物に固定するための衛生用薄葉紙収納容器の固定治具であって、
前記衛生用薄葉紙収納容器を保持する容器保持部と、
前記容器保持部を前記構造物に対して取り付けるために前記容器保持部に設けられている取付部と、
を備え、
前記取付部は、互いに接離する方向に弾性変形可能な一対の板バネ部材であり、前記一対の板バネ部材は、前記容器保持部から側方に延在した配置に設けられており、
前記取出部側を下向きにした前記衛生用薄葉紙収納容器が前記容器保持部に保持された状態で、前記取出部から前記衛生用薄葉紙を引き出し可能にする開口が前記容器保持部に設けられており、
前記一対の板バネ部材の間に前記構造物の一部を挟み込んだ状態で、前記容器保持部に保持されている前記衛生用薄葉紙収納容器を、前記構造物の上面側に露出させるように、前記構造物の側部に設置するように構成されていることを特徴とする。
以上の課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、
内部に収納されている衛生用薄葉紙を取り出す取出部を有する衛生用薄葉紙収納容器を所望する設置箇所の構造物に固定するための衛生用薄葉紙収納容器の固定治具であって、
前記衛生用薄葉紙収納容器を保持する容器保持部と、
前記容器保持部を前記構造物に対して取り付けるために前記容器保持部に設けられている取付部と、
を備え、
前記取付部は、一対の板状部材と、前記一対の板状部材の一方の板状部材に設けられており、他方の板状部材に対して接離可能に配設されている配置切替部材とで構成されており、前記一対の板状部材は、前記容器保持部から側方に延在した配置に設けられており、
前記取出部側を下向きにした前記衛生用薄葉紙収納容器が前記容器保持部に保持された状態で、前記取出部から前記衛生用薄葉紙を引き出し可能にする開口が前記容器保持部に設けられており、
前記配置切替部材と前記他方の板状部材の間に前記構造物の一部を挟み込んだ状態で、前記容器保持部に保持されている前記衛生用薄葉紙収納容器を、前記構造物の上面側に露出させるように、前記構造物の側部に設置するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の衛生用薄葉紙収納容器の固定治具において、
前記衛生用薄葉紙収納容器には、前記取出部を覆う蓋が設けられており、
前記容器保持部の開口は、その開口を通じて前記蓋を開閉可能とする大きさに形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、衛生用薄葉紙収納容器から衛生用薄葉紙を好適に引き出すことを可能にする衛生用薄葉紙収納容器の固定治具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】衛生用薄葉紙収納容器の一例を示す斜視図である。
図2図1のII-II線における断面図である。
図3】衛生用薄葉紙収納容器の取出部に衛生用薄葉紙を挿通させた状態を示す断面図である。
図4】衛生用薄葉紙収納容器の取出部を示す斜視図である。
図5】本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の固定治具を示す斜視図であり、上方からの斜視図(a)と、下方からの斜視図(b)である。
図6】本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の固定治具を用いて、衛生用薄葉紙収納容器を構造物に固定して使用する態様を示す説明図である。
図7】衛生用薄葉紙収納容器の固定治具の変形例を示す斜視図である。
図8】衛生用薄葉紙収納容器の固定治具の変形例を示す斜視図である。
図9】衛生用薄葉紙収納容器の固定治具の変形例を示す斜視図である。
図10】衛生用薄葉紙収納容器の固定治具の変形例を示す斜視図である。
図11】衛生用薄葉紙収納容器の固定治具の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る衛生用薄葉紙収納容器の固定治具の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、以下においては、図1に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。すなわち、衛生用薄葉紙収納容器100において、蓋体2が取り付けられている側を上、その反対側を下、衛生用薄葉紙収納容器100の平面視における手前側を前、その反対側を後、容器の前面を正面視した状態における右手側を右、容器の前面を正面視した状態における左手側を左とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
【0016】
本発明に係る衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50を説明するにあたり、まずは、その固定治具50にセットして使用する衛生用薄葉紙収納容器100について説明する。
【0017】
<実施形態の構成>
(衛生用薄葉紙収納容器)
衛生用薄葉紙収納容器100は、例えば、図1図3に示すように、ロール状の衛生用薄葉紙Pを内部に収納する容器本体1と、容器本体1に着脱自在に取り付けられる蓋体2と、蓋体2に着脱自在に取り付けられる取出部3等を備えて構成されている。
蓋体2が、容器本体1に対して着脱自在に構成されているため、容器本体1から蓋体2を取り外した状態で、容器本体1の内部に衛生用薄葉紙を収納したり、内部から衛生用薄葉紙を取り出したりすることができる。
【0018】
(衛生用薄葉紙)
衛生用薄葉紙Pは、例えば、ロール状に巻かれたウェットシートやウェットティッシュ等のロールペーパーであり、所定の薬液が含浸されている。
この衛生用薄葉紙Pは、例えば、図3に示すように、上下方向に沿った軸心にロール状に巻かれた状態で容器本体1に収納されている。換言すれば、容器本体1は、衛生用薄葉紙Pの軸心を容器本体1の底面を成す底部1bと略直交させる向きで、その衛星用薄葉紙Pを収納するようになっている。
この容器本体1に収納された衛生用薄葉紙Pは、ロールの中心側から引き出されて取出部3を通じて取り出されるようになっている。
また、衛生用薄葉紙Pには、長さ方向に一定間隔をおいてミシン目P1が施されており、そのミシン目P1に沿って切り離した衛生用薄葉紙Pを、ユーザーが使用するようになっている。
【0019】
(容器本体)
容器本体1は、有底円筒形状に形成された容器であり、下面には底部1b、上面には開口部1aが設けられている。この開口部1aから容器本体1の内部に衛生用薄葉紙Pを収納するようになっている。
また、容器本体1の開口部1a近傍の外周面には、図2に示すように、周方向に沿って雄ネジ部11が設けられている。
容器本体1は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等から形成されている。
容器本体1は、平面視において直径50mm~200mmの円形となり、Z軸方向(高さ)45mm~200mm、各面の厚み0.5mm~10mmの円筒形状に形成されている。
【0020】
(蓋体)
蓋体2は、図1図3に示すように、蓋体本体21と、小蓋22と、から構成されている。
【0021】
(蓋体本体)
蓋体本体21は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等から形成されており、下面が開放された円筒形状をなし、天面部21aと、側面部21bと、天面部21aの平面視内周側に下方に向けて凹状に形成される凹部21cと、孔部21dと、凹部21c内において孔部21dを囲むように円筒形状に立設された本体側壁部21eと、を備えている。
蓋体本体21は、平面視において直径50mm~200mmの円形となり、Z軸方向(高さ)15mm~50mm、各面の厚み0.5mm~10mmの円筒形状に形成されている。
【0022】
また、側面部21bの下端部の内周面には、容器本体1の雄ネジ部11と螺合する雌ネジ部211が設けられている。これによって、図2に示すように容器本体1と蓋体2は、雄ネジ部11と雌ネジ部211を介した着脱自在な連結構造をとり、容器本体1から蓋体2を取り外すことが可能となっている。
【0023】
(蓋体の凹部)
凹部21cは、閉塞時の小蓋22と平面視における形状が略一致し、小蓋22を嵌めることができるように形成されている。また、凹部21cは、前端部が平面視において小蓋22よりも大きく、小蓋22が嵌め込まれた状態でも若干の隙間が残るように形成されている。これによって、当該隙間を利用して小蓋22に指を掛けることが可能となる。
【0024】
(孔部)
孔部21dは、蓋体本体21の平面視略中央に平面視円形に形成された、衛生用薄葉紙収納容器100内部に通じる孔であり、平面視において、取出部3より僅かに小さく形成され、後述のように孔部21dには取出部3が固定される。
【0025】
(本体側壁部)
本体側壁部21eは、孔部21dの周囲を囲むように、凹部21c内において円筒形状に上方に向けて延出して形成されている。本体側壁部21eは、その外径が小蓋22の小蓋側壁部22aの内径と同一か、ごく僅かに小さくなるように形成されている。
【0026】
(小蓋)
小蓋22は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等から形成され、基端部が蓋体本体21と連結されており、閉塞時における下面から突出した小蓋側壁部22aを備えている。
この小蓋22が蓋体本体21と連結されている基端部が小蓋22の回動軸22bとして機能するようになっている。
また、小蓋22は、閉塞時の平面視における形状が凹部21cと略一致し、閉塞時に凹部21cに嵌めることができるように形成されている。
そして、この小蓋22は、衛生用薄葉紙収納容器100の取出部3を覆う蓋としての機能を有しており、小蓋22を回動させて開閉することで、蓋体本体21に配設されている取出部3を露出させたり覆ったりすることができる。
【0027】
(小蓋側壁部)
小蓋側壁部22aは、小蓋22の閉塞時において下方に向けて延出する円筒形状に形成されている。また、小蓋側壁部22aは、内径が本体側壁部21eの外径と同一か、ごく僅かに大きくなるように形成されている。また、この蓋側壁部22aは小蓋22の閉塞時において、凹部21cの上面と接触するようになっている。これによって、小蓋22の閉塞時に、小蓋側壁部22aと本体側壁部21eとが嵌合し、小蓋側壁部22aと本体側壁部21eとで囲まれた空間、ひいては当該空間と孔部21dを介して繋がる衛生用薄葉紙収納容器100内部の気密性を保つことができる。
【0028】
なお、本実施形態では、本体側壁部21eと小蓋側壁部22aとを嵌合させることによって、衛生用薄葉紙収納容器100内部の気密性を保つよう構成しているが、衛生用薄葉紙収納容器100内部の気密性を保つことができれば、上記と異なる構成とすることも可能である。
また、収納する衛生用薄葉紙が薬液等を染み込ませたものでなく、乾燥を防ぐ必要がない場合には、特に気密手段を備えない構成としてもよい。
【0029】
(取出部)
取出部3は、例えば、図4に示すように、平面視において円形となる略円柱状に形成された弾性変形可能な部材であり、例えば、射出成型により形成することができる。
この取出部3は、容器本体1内部に収納された衛生用薄葉紙Pを取り出すための部材である。
具体的には、取出部3は、平面視中央部に形成された内部底面を有する凹部31と、側面に形成された括れ部32と、凹部31の略中央に形成された取出孔33と、を備えている。
この取出部3は、平面視において、蓋体本体21の直径の10分の1以上、3分の1以下の孔部21dより僅かに大きい円形を有している。
【0030】
(取出部の凹部)
凹部31は、取出部3の上面において、周縁部を残して、上面視円形状に下方に向けて凹状となるように形成されている。この凹部31の深さ(Z軸方向の深さ)は、2mm~10mmとなるように形成されている。
また、凹部31は、その内部底面が平面となるように形成されている。
【0031】
(括れ部)
括れ部32は、取出部3の側面の上下方向略中央部を周方向に沿って周回するようにして、平面視において取出部3の直径の20分の1以上、10分の1以下の深さとなるように径方向に凹んだ溝状に形成される。また、この括れ部32のZ軸方向の寸法は、0.5mm~3.0mmとなるように形成されている。
上記のように取出部3は、平面視において孔部21dより僅かに大きく形成されているため、この括れ部32に孔部21dの縁を嵌め込むことによって、取出部3を蓋体本体21に固定することが可能となる。
【0032】
(取出孔)
取出孔33は、容器本体1の内部に収納された衛生用薄葉紙Pを取り出すための孔である。
取出孔33は、下面側から挿通された衛生用薄葉紙Pを、その先端側の端部が取出部3の上面(凹部31の内部底面)から突出した状態として保持する。
衛生用薄葉紙Pの先端が取出部3の上面から突出した状態であるとき、その突出量としては、10mm~30mm、好ましくは13mm~20mmである。この突出量であれば、一般的なユーザーの手指で摘みやすく、取出し作業を容易に行うことができる。
【0033】
取出孔33は、典型的には平面視にて略円形の小孔33aと、小孔33aを中心に放射状に形成された複数のスリット33bとを有している。なお、ここでいう「略円形」とは、真円を含むのは勿論のこと、楕円や歪んだ円形なども含むものとする。
本実施形態では、例えば、図4に示すように、小孔33aの周囲に4本のスリット33bが設けられている。各スリット33bは小孔33aの周囲に90°間隔で設けられている。
小孔33aの直径は、1.0mm~5.0mm、好ましくは2.0mm~4.0mmに形成されている。小孔33aの直径が大きすぎると次のシートが保持されず落ち込んでしまい、小さすぎると取出しの際に力を多く必要とする。
【0034】
この取出孔33によって、引き出された衛生用薄葉紙Pに抵抗を掛けることで、使用する衛生用薄葉紙Pをミシン目P1に沿って切り離すとともに、後続の衛生用薄葉紙Pの端部が取出孔33から適量突出した状態で保持しておくことが可能となる。
このように、小孔33aと複数のスリット33bとからなる取出孔33であれば、取出孔33における衛生用薄葉紙Pの保持の確実性と、その取出孔33に保持されている衛生用薄葉紙Pを引き出す容易性を両立させることができる。
なお、図4では、4本のスリット33bを形成した場合を図示して説明したが、取出孔33の形状としてはこれに限られず、上記の機能を果たすことが可能であれば任意の数のスリット33bを形成してもよい。つまり、真円や楕円の小孔33aと、任意の数のスリット33bを組み合わせた取出孔33であってよい。
【0035】
(衛生用薄葉紙収納容器の固定治具)
ここで、本発明に係る衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50について説明する。
衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50は、前述した衛生用薄葉紙収納容器100を、所望する設置箇所の構造物Kに固定するのに用いる治具である。
本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50は、例えば、図5(a)(b)に示すように、衛生用薄葉紙収納容器100を下支えするように保持する容器保持部51と、容器保持部51を構造物Kに対して取り付けるために容器保持部51に設けられている取付部52と、を備えている。
【0036】
(容器保持部)
容器保持部51は、下面に底面部51aが設けられて、有底円筒形状に形成された部材であり、その底面部51aには開口51bが形成されている。
容器保持部51は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等から形成されている。
容器保持部51は、平面視において直径51mm~220mmの円形となり、Z軸方向(高さ)10mm~50mm、各面の厚み0.5mm~10mmの円筒形状に形成されている。
この容器保持部51に、上下を反転させて取出部3側を下向きにした衛生用薄葉紙収納容器100が保持されるようになっている。
容器保持部51の開口51bは、取出部3側を下向きにした衛生用薄葉紙収納容器100が容器保持部51に保持された状態で、衛生用薄葉紙収納容器100の取出部3(取出孔33)から衛生用薄葉紙Pを引き出し可能とするために設けられている。
つまり、容器保持部51は、衛生用薄葉紙収納容器100を下支えするための底面部51aと、衛生用薄葉紙収納容器100から衛生用薄葉紙Pを引き出すための開口51bを有している。なお、容器保持部51の側面部51cは、容器保持部51に保持された衛生用薄葉紙収納容器100の姿勢を安定させるために設けられている。
【0037】
特に、容器保持部51の開口51bは、その開口51bを通じて衛生用薄葉紙収納容器100の小蓋22を開閉可能とする大きさに形成されている。
換言すれば、容器保持部51の開口51bは、その開口51bを通じて衛生用薄葉紙収納容器100の小蓋22を開いて取出部3を露出可能とする大きさに形成されている。
勿論、容器保持部51の底面部51aの開口51bは、衛生用薄葉紙収納容器100が通り抜けたり落ちたりしてしまわないサイズに形成されている。
【0038】
また、ここでの容器保持部51の底面部51aは、筒状の側面部51cの下端から筒の中心側に向けて張り出す鍔状に形成され、その底面部51aの中心側に開口51bが設けられた円環形状を有している。
なお、容器保持部51の底面部51aは、衛生用薄葉紙収納容器100を下支え可能であればその形状は任意であり、例えば、図7に示すように、筒状の側面部51cの下端から筒の中心側に向けて張り出した複数(ここでは3つ)の突片からなる底面部51aであってもよい。
つまり、容器保持部51の底面部51aは、衛生用薄葉紙収納容器100が載置される載置部として機能し、その衛生用薄葉紙収納容器100を下支えできるように形成されていればよい。
【0039】
(取付部)
取付部52は、例えば、互いに接離する方向に弾性変形可能な一対の板バネ部材である。
取付部52は、容器保持部51と一体成型されており、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等から形成されている。
一対の板バネ部材である取付部52は、上下方向に10mm~50mmの間隔をあけて容器保持部51の側面部51cに設けられている。
この一対の板バネ部材(取付部52)は、その板バネ部材の間に衛生用薄葉紙収納容器100を設置する箇所にある構造物Kの一部を挿し入れるために設けられている。
そして、衛生用薄葉紙収納容器100を設置する箇所にある構造物Kの一部が一対の板バネ部材(取付部52)の間に挿し入れられた状態で、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50がその設置箇所に取り付けられるようになっている。
ここでの取付部52は一対の板バネ部材であるので、その板バネ部材の間隔よりもやや厚みのある構造物Kであっても一対の板バネ部材(取付部52)で挟み込むことができ、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50をその構造物Kに対して取り付けることができる。
【0040】
<実施形態の作用>
上述した衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50は、衛生用薄葉紙収納容器100を設置する箇所にある構造物Kに取付部52を取り付けることで、容器保持部51を構造物Kに対して取り付けることができ、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50自体を構造物Kに設置することができる。
例えば、図6に示すように、構造物Kとしてのテーブルの天板の縁を一対の板バネ部材(取付部52)で挟み込むようにして、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50を構造物Kに設置することができる。
このように構造物Kに設置した固定治具50の容器保持部51に、上下逆にした姿勢の衛生用薄葉紙収納容器100を保持させるようにして、図6に示すように、衛生用薄葉紙収納容器100を構造物Kに対して固定することができる。
【0041】
そして、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50によって構造物Kに固定された衛生用薄葉紙収納容器100の小蓋22は、図6に示すように、容器保持部51の開口51bを通じて開閉することができるので、固定治具50を介して構造物Kに固定されている衛生用薄葉紙収納容器100の取出部3(取出孔33)から衛生用薄葉紙Pを引き出すことができる。
この固定治具50の容器保持部51に保持されている衛生用薄葉紙収納容器100は下支えされており、容器保持部51の底面部51aの開口51bを通じて衛生用薄葉紙収納容器100から衛生用薄葉紙Pを引き出す際、衛生用薄葉紙収納容器100は固定治具50に支持されるようになるので、ユーザーは衛生用薄葉紙収納容器100を支えることなく、ユーザーは片手で衛生用薄葉紙Pを好適に引き出すことができる。
つまり、衛生用薄葉紙収納容器100が固定治具50を介して構造物Kに支持された状態であれば、ユーザーの片手が塞がっていても、もう一方の手で小蓋22を開けて衛生用薄葉紙Pを引き出すことができる。
【0042】
また、本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50には、上下を反転させた衛生用薄葉紙収納容器100をセットして使用するようになっているので、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50によって構造物Kに固定された衛生用薄葉紙収納容器100は、上下逆にした姿勢で保持されている。
そして、衛生用薄葉紙収納容器100の内部に収納された衛生用薄葉紙Pに含浸されている薬液は重力の作用で下がり易く、衛生用薄葉紙Pの下側ほどその含浸率が高くなるので、衛生用薄葉紙収納容器100を逆さにして使用する場合、その衛生用薄葉紙収納容器100の取出部3近傍の衛生用薄葉紙Pの水分率が高くなるため、よりウエットな状態の衛生用薄葉紙Pを引き出して使用することが可能になる。
また、衛生用薄葉紙収納容器100を逆さにして使用することで、取出部3(取出孔33)から収納容器100の内側に衛生用薄葉紙Pが落ちて引っ込んでしまい、次の衛生用薄葉紙Pが取り出し難くなるといったトラブルが生じ難くなる。
【0043】
<実施形態の効果>
本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器用固定治具は、内部に収納されている衛生用薄葉紙Pを取り出す取出部3(取出孔33)を有する衛生用薄葉紙収納容器100を所望する設置箇所の構造物Kに固定するための衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50であって、衛生用薄葉紙収納容器100を下支えするように保持する容器保持部51と、容器保持部51を構造物Kに対して取り付けるために容器保持部51に設けられている取付部52と、を備え、取出部3側を下向きにした衛生用薄葉紙収納容器100が容器保持部51に保持された状態で、取出部3から衛生用薄葉紙Pを引き出し可能にする開口51bが容器保持部51に設けられているようにした。
【0044】
本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50はこのような構成を有しており、例えば、テーブルの天板など、衛生用薄葉紙収納容器100の設置箇所とする構造物Kに取付部52を取り付けることで、容器保持部51を構造物Kに対して取り付けることができ、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50を構造物Kに設置することができる。
そして、構造物Kに設置した固定治具50の容器保持部51に、上下逆にした姿勢の衛生用薄葉紙収納容器100を保持させるようにして、その衛生用薄葉紙収納容器100を構造物Kに対して固定すれば、容器保持部51の底面部51aに設けられている開口51bを通じて、衛生用薄葉紙収納容器100の取出部3(取出孔33)から衛生用薄葉紙Pを引き出す際、衛生用薄葉紙収納容器100が固定治具50に支持されるので、ユーザーは衛生用薄葉紙Pを好適に引き出すことができる。
【0045】
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図8に示すように、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50の取付部53は、一対の板状部材53a,53bと、一対の板状部材の一方の板状部材53aに設けられており、他方の板状部材53bに対して接離可能に配設されている配置切替部材53cとで構成されているものでもよい。
一対の板状部材53a,53bは、互いに平行を成して上下方向に10mm~50mmの間隔をあけて容器保持部51の側面部51cに設けられている。
配置切替部材53cは、一方の板状部材53aに形成されている雌ネジ穴53hに螺着されている雄ネジ部53dと、雄ネジ部53dの先端に設けられている当接板53eとを備えている。
この配置切替部材53dは、一方の板状部材53aに対する雄ネジ部53dの螺入を調整することで、当接板53eと他方の板状部材53bとの間隔を調整することができる。
そして、当接板53eと他方の板状部材53bの間に構造物Kとしてのテーブルの天板などを挟み込むようにして、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50を構造物Kに設置することができる。
このような固定治具50を構造物Kに設置して、その固定治具50の容器保持部51に、上下逆にした姿勢の衛生用薄葉紙収納容器100を保持させるようにしても、容器保持部51の底面部51aに設けられている開口51bを通じて、衛生用薄葉紙収納容器100の取出部3(取出孔33)から衛生用薄葉紙Pを好適に引き出すことができる。
【0046】
また、図9に示すように、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50の取付部54は、構造物Kに係着可能に構成されているフック状部材であってもよい。
フック状部材である取付部54の上端側には、下方に向けて折り返された態様の鉤形端部54aが設けられている。この取付部54は、容器保持部51の側面部51cに設けられている。
このフック状部材である取付部54の鉤形端部54aを、構造物Kとしての仕切板(パーテーション、衝立など)の上縁に掛けて係着させるようにして、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50を構造物Kに設置することができる。
このような固定治具50を構造物Kに設置して、その固定治具50の容器保持部51に、上下逆にした姿勢の衛生用薄葉紙収納容器100を保持させるようにしても、容器保持部51の底面部51aに設けられている開口51bを通じて、衛生用薄葉紙収納容器100の取出部3(取出孔33)から衛生用薄葉紙Pを好適に引き出すことができる。
【0047】
また、図10に示すように、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50の取付部55は、構造物Kを挟持可能なクリップ部材55bを有するものでもよい。
ここでの取付部55は、容器保持部51の側面部51cに設けられている縦板部材55aと、縦板部材55aの上端側に配設されているクリップ部材55bとで構成されている。
ここでは、バネ仕掛けのクリップであって、洗濯ばさみタイプのクリップをクリップ部材55bとして用いており、クリップ部材55bの回動軸が縦板部材55aに着設されている。
また、縦板部材55aは、この固定治具50の容器保持部51に衛生用薄葉紙収納容器100がセットされた状態で、縦板部材55aの上端が衛生用薄葉紙収納容器100よりも上に位置するサイズを有している。
そして、取付部55のクリップ部材55bで、構造物Kとしての横棒部材を挟持するようにして衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50を構造物Kに設置することができる。構造物Kとしての横棒部材は、例えば、スチールラックの棚板を構成するポールやパイプ、任意の箇所に取り付けられた突っ張り棒などである。なお、クリップ部材55bで挟持可能であれば、横棒部材以外の構造物Kに対して衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50を設置可能である。
このような固定治具50を構造物Kに設置して、その固定治具50の容器保持部51に、上下逆にした姿勢の衛生用薄葉紙収納容器100を保持させるようにしても、容器保持部51の底面部51aに設けられている開口51bを通じて、衛生用薄葉紙収納容器100の取出部3(取出孔33)から衛生用薄葉紙Pを好適に引き出すことができる。
【0048】
また、図11に示すように、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50の取付部56は、構造物Kの一部を挿通可能な係止穴56aを有するものでもよい。
ここでの取付部56は、容器保持部51の側面部51cに設けられている縦板部材の上端側に係止穴56aが形成された構造を有している。
この縦板部材の係止穴56aに、構造物Kとしての壁面に設けられている突起物や、壁面にねじ止めされたピンなどを挿し込むようにして、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50を構造物Kに設置することができる。
このような固定治具50を構造物Kに設置して、その固定治具50の容器保持部51に、上下逆にした姿勢の衛生用薄葉紙収納容器100を保持させるようにしても、容器保持部51の底面部51aに設けられている開口51bを通じて、衛生用薄葉紙収納容器100の取出部3(取出孔33)から衛生用薄葉紙Pを好適に引き出すことができる。
【0049】
以上のように、本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50を所定の構造物Kに設置し、構造物Kに設置した固定治具50の容器保持部51に、上下逆にした姿勢の衛生用薄葉紙収納容器100を保持させるようにして、その衛生用薄葉紙収納容器100を構造物Kに対して固定すれば、容器保持部51の底面部51aに設けられている開口51bを通じて、衛生用薄葉紙収納容器100の取出部3(取出孔33)から衛生用薄葉紙Pを好適に引き出すことができる。
【0050】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50によって構造物Kに固定される衛生用薄葉紙収納容器100は、上記実施形態のように円筒形状の収納容器であることに限らず、矩形箱型の収納容器など任意の形状の収納容器であってよい。
そして、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50は、その収納容器の形状に対応させて設計すればよく、例えば、矩形箱型の収納容器に対応させて、容器保持部51を矩形箱型に形成するなどすればよい。
このように、衛生用薄葉紙収納容器の固定治具50の形状や大きさは任意である。
【符号の説明】
【0051】
50 衛生用薄葉紙収納容器の固定治具
51 容器保持部
51a 底面部
51b 開口
51c 側面部
52 取付部
53 取付部
53a 一方の板状部材(一対の板状部材の一方)
53b 他方の板状部材(一対の板状部材の他方)
53c 配置切替部材
53d 雄ネジ部
53e 当接板
53h 雌ネジ穴
54 取付部(フック状部材)
54a 鉤形端部
55 取付部
55a 縦板部材
55b クリップ部材
56 取付部
56a 係止穴
1 容器本体
1a 開口部
1b 底部
1d 雄ネジ突起
11 雄ネジ部
2 蓋体
21 蓋体本体
21a 天面部
21b 側面部
21c 凹部
21d 孔部
21e 本体側壁部
211 雌ネジ部
22 小蓋
22a 小蓋側壁部
22b 回動軸
3 取出部
31 凹部
32 括れ部
33 取出孔
33a 小孔
33b スリット
100 衛生用薄葉紙収納容器
P 衛生用薄葉紙
P1 ミシン目
K 構造物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11