IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-偏平バーナ 図1
  • 特許-偏平バーナ 図2
  • 特許-偏平バーナ 図3
  • 特許-偏平バーナ 図4
  • 特許-偏平バーナ 図5
  • 特許-偏平バーナ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】偏平バーナ
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/08 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
F23D14/08 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021024440
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126398
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】武田 和也
(72)【発明者】
【氏名】赤木 万之
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-084997(JP,A)
【文献】特開2014-169806(JP,A)
【文献】特開2014-163595(JP,A)
【文献】特開2013-122337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0149653(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第01123648(GB,A)
【文献】独国特許出願公開第10053876(DE,A1)
【文献】特開平10-292907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/08
F23D 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に混合気を噴出する炎口を有する前後方向に長手の偏平バーナであって、前端の流入口から後方にのびる下部の混合管部と、混合管部の後端部の上方を向く混合管出口部から前方に広がりながら上方にのびる分布室部とを有し、流入口から流入する燃料ガスと一次空気との混合気が混合管部と分布室部とを介して炎口に導かれるようにしたものにおいて、
分布室部に、混合管出口部の直上部に位置させて、横幅を混合管出口部の最大幅員部の横幅よりも狭めた狭窄部が設けられ、狭窄部の下方に位置する分布室部の部分及び狭窄部の前方に位置する分布室部の部分に、混合管出口部の最大幅員部の横幅と同等の横幅を持つ幅広部が設けられ、幅広部は、狭窄部の前方に隣接する箇所に、狭窄部の下方に位置する部分から上方に立ち上がる段差を有する段付き形状に形成されることを特徴とする偏平バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上端に混合気を噴出する炎口を有する前後方向に長手の偏平バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の偏平バーナとして、前端の流入口から後方にのびる下部の混合管部と、混合管部の後端部の上方を向く混合管出口部から前方に広がりながら上方にのびる分布室部とを有し、流入口から流入する燃料ガスと一次空気との混合気が混合管部と分布室部とを介して炎口に導かれるようにしたものが知られている。但し、このものでは、混合管出口部の直上部に位置する炎口の部分に導かれる混合気の量が多くなる。
【0003】
そこで、従来、分布室部に、混合管出口部の直上部に位置させて、横幅を混合管出口部の最大幅員部の横幅よりも狭めた狭窄部が設けられた偏平バーナも知られている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、混合管出口部の直上部に向かう混合気の流れが狭窄部で制限され、炎口における混合気の前後方向分布を混合管出口部の直上部に位置する部分を含めて均一化することができる。尚、このものでは、狭窄部の前方に位置する分布室部の部分を、横幅が狭窄部から前方に向かって次第に広くなるように形成している。
【0004】
上記従来例のものでは、炎口における混合気の前後方向分布は均一化するものの、混合管出口部よりも前方に位置する炎口の部分には、前方に向かう比較的大きな速度成分を持って混合気が流入する。この現象は、バーナのコンパクト化のため、炎口と混合管出口部との間の上下方向距離を短くした場合に顕著である。混合管出口部よりも前方に位置する炎口の部分に、前方に向かう比較的大きな速度成分を持って混合気が流入すると、この部分に形成される火炎が前方に大きく傾いてしまい、偏平バーナを収納する燃焼筐の前板の過熱を生じやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-161245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、混合管出口部よりも前方に位置する炎口の部分に形成される火炎が前方に大きく傾くことを防止できるようにした偏平バーナを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、上端に混合気を噴出する炎口を有する前後方向に長手の偏平バーナであって、前端の流入口から後方にのびる下部の混合管部と、混合管部の後端部の上方を向く混合管出口部から前方に広がりながら上方にのびる分布室部とを有し、流入口から流入する燃料ガスと一次空気との混合気が混合管部と分布室部とを介して炎口に導かれるようにしたものにおいて、分布室部に、混合管出口部の直上部に位置させて、横幅を混合管出口部の最大幅員部の横幅よりも狭めた狭窄部が設けられ、狭窄部の下方に位置する分布室部の部分及び狭窄部の前方に位置する分布室部の部分に、混合管出口部の最大幅員部の横幅と同等の横幅を持つ幅広部が設けられ、幅広部は、狭窄部の前方に隣接する箇所に、狭窄部の下方に位置する部分から上方に立ち上がる段差を有する段付き形状に形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、幅広部が狭窄部の前方に隣接する段差の部分で急に上方に広がるため、狭窄部の下方の幅広部の部分から狭窄部の前方の幅広部の部分に流入する混合気の流れに渦が発生する。そして、この渦の影響により、混合気の前方に向かう速度成分が減少して、混合気の流れが上方を向くように矯正される。その結果、混合管出口部よりも前方に位置する炎口の部分に形成される火炎が前方に大きく傾くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の偏平バーナの斜視図。
図2】実施形態の偏平バーナのバーナ本体とバーナキャップとを分離した状態の斜視図。
図3】実施形態の偏平バーナの側面図。
図4図3のIV-IV線で切断した断面図。
図5図3のV-V線で切断した断面図。
図6図3のVI-VI線で切断した切断平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図4を参照して、本発明の実施形態の偏平バーナ1は、上端に混合気を噴出する炎口2を有する前後方向に長手のものである。この偏平バーナ1は、横方向に対峙する一対の側板31,31と、両側板31,31の上端を繋ぐ上板32とを有するバーナ本体3を備えている。そして、バーナ本体3の上板32に前後方向の間隔を存して炎口2が複数形成されている。
【0011】
本実施形態の偏平バーナ1は、更に、バーナ本体3の上部を横方向両側から覆う一対の側板41,41を有するバーナキャップ4を備えている。そして、バーナ本体3の各側板31の上端とバーナキャップ4の各側板41の上端との間に袖火炎口21を画成し、炎口2に形成される火炎を袖火炎口21に形成される火炎で保炎するようにしている。
【0012】
バーナ本体3には、前端の流入口51から後方にのびる下部の混合管部5と、混合管部5の後端部の上方を向く混合管出口部52から前方に広がりながら上方にのびる分布室部6とが設けられている。そして、流入口51から流入する燃料ガスと一次空気との混合気が混合管部5と分布室部6とを介して炎口2に導かれるようにしている。
【0013】
また、バーナ本体3の各側板31とバーナキャップ4の各側板41との間には、袖火炎口21に連なる袖火混合気通路21aが設けられている。また、バーナ本体3の各側板31には、バーナキャップ4の各側板41の下部が重ね合わされる部分より上方に位置させて、分布室部6と袖火混合気通路21aとを連通する通気孔21bが前後方向の間隔を存して複数形成されている。そして、分布室部6からこれら通気孔21bを介して分流される混合気が袖火混合気通路21aを介して袖火炎口21に供給されるようにしている。尚、バーナキャップ4は、両側板41,41の上端を前後複数箇所で繋ぐブリッジ部42を有している。
【0014】
分布室部6の上下方向中間部には、炎口2における混合気の前後方向分布の均一化を図るため、前後方向全長に亘り、横幅を混合管出口部52の最大幅員部52aの横幅よりも狭めた絞り部61が設けられている。また、絞り部61を設けるだけでは、混合管出口部52の直上部に位置する炎口2の部分に導かれる混合気の量が多くなってしまう。そこで、分布室部6の絞り部61より下方部分に、混合管出口部52の直上部に位置させて、図5に示す如く、横幅を混合管出口部52の最大幅員部52aの横幅、より好ましくは、絞り部61の横幅よりも狭めた狭窄部62を設けている。これによれば、混合管出口部52の直上部に向かう混合気の流れが狭窄部62で制限され、炎口2における混合気の前後方向分布を混合管出口部52の直上部に位置する部分を含めて均一化することができる。
【0015】
但し、混合管出口部52より前方に位置する炎口2の部分には、前方に向かう比較的大きな速度成分を持って混合気が流入し易くなる。この現象は、偏平バーナ1のコンパクト化のために、炎口2と混合管出口部52との間の上下方向距離を短くした場合に顕著になる。そして、混合管出口部52より前方に位置する炎口2の部分に混合気が前方への大きな速度成分を持って流入すると、この部分に形成される火炎が前方に大きく傾いて、偏平バーナ1を収納する図外の燃焼筐の前板の過熱を生ずる。
【0016】
そこで、本実施形態では、狭窄部62の下方に位置する分布室部6の部分及び狭窄部62の前方に位置する分布室部6の部分に、混合管出口部52の最大幅員部52aの横幅と同等の横幅を持つ幅広部63を設けている。更に、幅広部63は、狭窄部62の前方に隣接する箇所に、狭窄部62の下方に位置する部分から上方に立ち上がる段差63aを有する段付き形状に形成されている。そのため、図6に示す如く、狭窄部62の前方に隣接する幅広部63の部分で分布室部6の横幅が急に広くなる。尚、上述した「最大幅員部52aの横幅と同等」とは、最大幅員部52aの横幅と若干相違する場合も含む用語である。
【0017】
幅広部63を上記の如く段付き形状に形成すれば、幅広部63が狭窄部62の前方に隣接する段差63aの部分で急に上方に広がるため、狭窄部62の下方の幅広部63の部分から狭窄部62の前方の幅広部63の部分に流入する混合気の流れに渦が発生する。そして、この渦の影響により、混合気の前方に向かう速度成分が減少して、混合気の流れが上方を向くように矯正される。その結果、混合管出口部52よりも前方に位置する炎口2の部分に形成される火炎が前方に大きく傾くことを防止でき、燃焼筐の前板の過熱も防止できる。
【0018】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態の偏平バーナ1では、バーナキャップ4により袖火炎口21を画成しているが、バーナキャップ4を具備しない偏平バーナにも同様に本発明を適用できる。また、上記実施形態では、バーナ本体3の上板32に前後方向の間隔を存して複数の炎口2を形成しているが、上板32を省略し、バーナ本体3の両側板31,31の上端間に炎口を画成することも可能である。
【符号の説明】
【0019】
1…偏平バーナ、2…炎口、5…混合管部、51…流入口、52…混合管出口部、52a…混合管出口部の最大幅員部、6…分布室部、62…狭窄部、63…幅広部、63a…段差。
図1
図2
図3
図4
図5
図6