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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】中継ボックス
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20240730BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B29C45/26
B29C45/17
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021094579
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2022164526
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2024-05-22
(31)【優先権主張番号】63/175,644
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰司
(72)【発明者】
【氏名】高山 善将
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英治
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-174559(JP,A)
【文献】特開昭61-123444(JP,A)
【文献】特開2017-040657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/26
B29C 45/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型に設けられているセンサに一端が接続しているセンサケーブルと、前記金型の外部に設けられている増幅器に一端が接続している中継ケーブルと、を中継接続する中継ボックスであって、
前記中継ケーブルの他端に接続する第1コネクタと、
前記センサケーブルの他端に接続する第2コネクタと、
前記第1コネクタと、前記第2コネクタと、を電気的に接続する中継部と、
前記中継部に対して着脱可能な着脱部材と、を有し、
前記着脱部材が前記中継部から取り外されている場合には、前記第2コネクタが前記金型から非露出となるように前記金型に取り付けられ、
前記着脱部材が前記中継部に取り付けられている場合には、前記第2コネクタが前記着脱部材から非露出となるように前記金型に取り付けられることを特徴とする中継ボックス。
【請求項2】
前記着脱部材が前記中継部から取り外されている場合には、前記第1コネクタが前記金型から露出するように前記金型に取り付けられ、
前記着脱部材が前記中継部から取り外されていない場合には、前記第1コネクタが前記着脱部材から露出するように前記金型に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の中継ボックス。
【請求項3】
前記着脱部材が前記中継部から取り外されている場合には、前記中継部を介して前記金型に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の中継ボックス。
【請求項4】
前記着脱部材が前記中継部に取り付けられている場合には、前記着脱部材を介して前記金型に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の中継ボックス。
【請求項5】
前記中継部を保護する保護部材をさらに有する請求項1乃至4の何れか1項に記載の中継ボックス。
【請求項6】
前記中継部は、取付孔を含み、
前記着脱部材が前記中継部に取り付けられている場合には、前記取付孔は、前記着脱部材を前記中継部に取り付けるために用いられ、
前記着脱部材が前記中継部から取り外されている場合には、前記取付孔は、前記中継ボックスを前記金型に取り付けるために用いられることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の中継ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、射出成形機に着脱可能に設けられた金型内の圧力等を検出するセンサに一端が接続しているセンサケーブルと、該センサの検出信号に基づき処理を行う情報処理装置に一端が接続している中継ケーブルと、を中継接続する中継部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-40657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の中継部材では、該中継部材により中継接続されたセンサケーブルの一部が金型から外部に露出し、露出した部分が射出成形機や作業者等に引っ掛かることで、センサケーブルが断線するリスクがある。
【0005】
本発明は、中継接続されたセンサケーブルが断線するリスクを低減可能な中継ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本中継ボックスは、金型に設けられているセンサに一端が接続しているセンサケーブルと、前記金型の外部に設けられている増幅器に一端が接続している中継ケーブルと、を中継接続する中継ボックスであって、前記中継ケーブルの他端に接続する第1コネクタと、前記センサケーブルの他端に接続する第2コネクタと、前記第1コネクタと、前記第2コネクタと、を電気的に接続する中継部と、前記中継部に対して着脱可能な着脱部材と、を有し、前記着脱部材が前記中継部から取り外されている場合には、前記第2コネクタが前記金型から非露出となるように前記金型に取り付けられ、前記着脱部材が前記中継部に取り付けられている場合には、前記第2コネクタが前記着脱部材から非露出となるように前記金型に取り付けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、中継接続されたセンサケーブルが断線するリスクを低減可能な中継ボックスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】比較例に係る中継部材におけるセンサケーブルの露出例を示す図である。
図2】実施形態に係る中継ボックスが金型に埋め込まれた射出成形機の図である。
図3】実施形態に係る中継ボックスが金型に外付けされた射出成形機の図である。
図4】射出成形機における金型の構成を例示する断面図である。
図5】実施形態に係る中継ボックスの着脱部材がない状態の正面図である。
図6】実施形態に係る中継ボックスの着脱部材がない状態の上面図である。
図7】実施形態に係る中継ボックスの着脱部材がない状態の側面図である。
図8】保護部材が取り外された中継ボックスの正面図である。
図9】実施形態に係る中継ボックスの金型への埋め込み例を示す図である。
図10】実施形態に係る中継ボックスの着脱部材がある状態の正面図である。
図11】実施形態に係る中継ボックスの着脱部材がある状態の上面図である。
図12】実施形態に係る中継ボックスの着脱部材がある状態の側面図である。
図13】実施形態に係る中継ボックスの着脱部材がある状態の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための中継ボックスを例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0011】
実施形態に係る中継ボックスは、金型に設けられているセンサに一端が接続しているセンサケーブルと、金型の外部に設けられている増幅器に一端が接続している中継ケーブルと、を中継接続するボックス型の電気配線用部材である。
【0012】
このような中継ボックス等の中継部材は、金型に取り付けられた場合に、該部材で中継接続されたセンサケーブルの一部が金型から外部に露出し、露出した部分が射出成形機や作業者等に引っ掛かることで、センサケーブルが断線するリスクがある。なお、露出しているとは、射出成形機や作業者等の外的要素に引っ掛かり得る状態でセンサケーブルが剥き出しになっていることをいう。また非露出とは、露出していないことをいう。
【0013】
図1は、比較例に係る中継部材100Xが金型に取り付けられた状態を例示する図である。図1に示すように、中継部材100Xは、鉛直方向における金型50Xの上面に取り付けられている。センサケーブルCXは、金型50Xに設けられているセンサに一端が接続し、他端が中継部材100Xに接続している。センサケーブルCXの一部は、金型50Xの外部に露出している。この露出した部分が、射出成形機に対して金型を着脱する際等において、射出成形機や作業者等に引っ掛かる場合がある。
【0014】
実施形態に係る中継ボックス100は、中継ケーブルの他端に接続する第1コネクタと、センサケーブルの他端に接続する第2コネクタと、第1コネクタと第2コネクタとを電気的に接続する中継部と、中継部に対して着脱可能な着脱部材と、を有する。また中継ボックス100は、着脱部材が中継部から取り外されている場合には、第2コネクタが金型から非露出となるように金型に取り付けられ、着脱部材が中継部に取り付けられている場合には第2コネクタが着脱部材から非露出となるように金型に取り付けられる。
【0015】
例えば、中継ボックス100と比較して金型が大きく、金型に中継ボックス100を埋め込める場合には、中継ボックス100は、着脱部材が中継部から取り外された状態で、第2コネクタが金型から非露出となるように金型に埋め込まれる。一方、中継ボックス100と比較して金型が小さく、金型に中継ボックス100を埋め込めない場合には、中継ボックス100は、着脱部材が中継部に取り付けられた状態で、第2コネクタが着脱部材から非露出となるように金型に外付けされる。
【0016】
この構成により、如何なる金型に中継ボックス100を取り付ける場合にも、第2コネクタは非露出となるため、センサケーブルを露出させずに第2コネクタに接続でき、中継ボックス100は、センサケーブルが断線するリスクを低減できる。
【0017】
以下、中継ボックス100について詳細に説明する。なお、以下に示す図において、X軸及びY軸により方向を示す場合があるが、X軸に沿うX方向は、金型に含まれる可動側金型の移動方向を示し、Y軸に沿うY方向は、鉛直方向を示すものとする。
【0018】
また、X方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向と表記する。但し、これらは、中継ボックスの使用時における向きを制限するものではなく、中継ボックスの向きは任意である。
【0019】
(射出成形機の構成)
図2は、実施形態に係る中継ボックス100が金型に埋め込まれた射出成形機を示す側面図である。射出成形機1は、ベッド10上に載置された状態で支持される射出ユニット30と、射出成形機1に着脱可能に設けられる金型50と、型締ユニット80と、を有する。射出成形機1には、ロードセルS1~S4(図4参照)と、アンプ90と、を有する圧力検出装置20が、中継ボックス100を介して接続されている。中継ボックス100は、着脱部材の一例である外装カバーが取り外された状態で、金型50の一部である可動側金型58内に埋め込まれている。
【0020】
射出ユニット30は、油圧モータを用いた駆動部31、ホッパ32及びシリンダ33等を有する。射出ユニット30は、ホッパ32から供給される材料をシリンダ33により加熱し、駆動部31によりシリンダ33を駆動させることによりシリンダ33の先端のノズルから金型50のキャビティCT(図4参照)に対して加熱された材料(以下、「加熱材料」ともいう。)を射出して充填する。なお、射出ユニット30に油圧モータを用いるのは一例であり、油圧モータに替えて電動モータを用いてもよい。この場合も、以降の説明は同様に適用される。
【0021】
金型50は、射出ユニット30のシリンダ33から射出された加熱材料をキャビティCTにおいて成形した後に排出する。
【0022】
型締ユニット80は、金型50を開閉したり、キャビティCTに充填された加熱材料の圧力に抗して金型50を閉じた状態に保持したりするための圧力を加える、例えばトグル式又は直圧式の機構部である。
【0023】
圧力検出装置20において、アンプ90(増幅部)は、ロードセルS1~S4による検出信号を受信するように、中継ケーブル90a、中継ボックス100及びセンサケーブルC1~C4を介してロードセルS1~S4に接続されている。センサケーブルC1~C4は、可動側金型58内に埋め込まれている中継ボックス100に可動側金型58の内部で接続しているため、外部に露出していない。
【0024】
また、アンプ90は、パーソナルコンピュータ99(情報処理装置)にも接続されている。アンプ90は、センサケーブルC1~C4を用いたロードセルS1~S4との接続性を考慮してベッド10の内部又は外部に配置されている。
【0025】
アンプ90は、センサケーブルC1~C4、中継ボックス100及び中継ケーブル90aを介して入力される、ロードセルS1~S4による検出信号を増幅し、増幅信号をパーソナルコンピュータ99に出力する。
【0026】
パーソナルコンピュータ99は、アンプ90による増幅信号から取得されるキャビティCTの内圧情報に基づき、所定の処理を実行する。この所定の処理には、キャビティCTの内圧異常が発生しているか否かの判定処理や、判定結果に応じてキャビティCTの内圧を制御する処理等が含まれる。なお、パーソナルコンピュータ99による処理機能の少なくとも一部をアンプ90が備えてもよい。また、アンプ90とパーソナルコンピュータ99との間は有線接続に限られるものではなく、近距離無線通信等の方法により無線接続されていてもよい。
【0027】
ここで、中継ボックス100を金型に埋め込むと、センサケーブルC1~C4が露出しない状態を確保しつつ、金型における突出部分を減らし、金型の構成を簡素化できるため、中継ボックス100は、可能な限り金型に埋め込まれることが好ましい。しかしながら、小さい製品用の小さい金型等において中継ボックス100を埋め込むスペースが制限されると、中継ボックス100を金型に埋め込めない場合がある。
【0028】
このような場合には、中継ボックス100は、外装カバーが取り付けられた状態で金型50に外付けされる。図3は、中継ボックス100が金型50に外付けされた射出成形機を示す側面図である。なお、中継ボックス100が金型50に外付けされている点以外は、射出成形機1の構成は、図2で示したものと同様である。
【0029】
図3に示すように、中継ボックス100は、外装カバー150が取り付けられた状態で、可動側金型58の上面に外付けされている。センサケーブルC1~C4は、外装カバー150の内側で中継ボックス100に接続しているため、この構成においても外部に露出していない。
【0030】
(金型の構成)
図4は、射出成形機1における金型50の構成を例示する図であり、図2及び図3における可動側金型58の中心軸を含む平面(XY平面)により金型50を切断した断面図である。
【0031】
図4に示すように、金型50は、固定側取付板52と、固定側金型53と、可動側取付板54と、スペーサブロック55と、可動側金型58と、を有する。固定側金型53は、固定側取付板52に対して取り付けられており、可動側金型58は、可動側取付板54に対してスペーサブロック55を介して取り付けられている。
【0032】
固定側金型53には、可動側金型58との間にキャビティCTを形成するための湾曲状の凹部53aが形成されていると共に、ガイド孔53bが形成されている。可動側金型58には、固定側金型53との間にキャビティCTを形成するための凸部58aが形成されていると共に、固定側金型53のガイド孔53bと向き合う位置にガイドピン58bが設けられている。
【0033】
可動側金型58の中心部分であり、且つキャビティCTの中心となる位置には、エジェクタピン59が凸部58aの中心を貫通した状態で長手方向へ移動可能に支持されている。
【0034】
エジェクタピン59の先端部は、キャビティCTの形状に対応して成形された製品65に突き当たることで製品65をエジェクトする。エジェクタピン59の後端部は、エジェクタプレート57に一体に取り付けられている。
【0035】
金型50には、固定側金型53と可動側金型58との間にキャビティCTが複数形成されており、個々のキャビティCTに対応するエジェクタピン59の後端部の端面にそれぞれロードセルS1~S4が一体に取り付けられている。即ち、4個のキャビティCTの各々に対応してロードセルS1~S4が設けられている。
【0036】
ロードセルS1~S4は、キャビティCTの内圧によりエジェクタピン59を介してロードセルS1~S4の各々に作用する荷重を検出し、この検出信号をセンサケーブルC1~C4、中継ボックス100及び中継ケーブル90aを介してアンプ90に出力する。
【0037】
圧力検出装置20は、ロードセルS1~S4による検出信号をパーソナルコンピュータ99で圧力情報に変換することでキャビティCTの内圧を検出する。キャビティCTの内圧は、例えば射出ユニット30によりキャビティCTに充填される加熱材料の充填圧力である。
【0038】
エジェクタプレート57には、可動側取付板54側にエジェクタロッド56が取り付けられていると共に、可動側金型58側にリターンピン60が取り付けられている。エジェクタロッド56は、可動側取付板54を貫通した状態でエジェクタプレート57に取り付けられている。リターンピン60には、エジェクタプレート57を元の位置に戻すためのバネが取り付けられている。
【0039】
型締ユニット80(図2及び図3参照)は、その筐体の内部に油圧シリンダを有し、筐体の四隅と固定側取付板52及び可動側取付板54の四隅とを連結した4本のタイバー81を備えている。型締ユニット80の油圧シリンダには金型50のエジェクタロッド56が連結されている。
【0040】
(中継ボックス100の構成)
((外装カバー150が取り外された状態))
図5図8は、外装カバー150が取り外された中継ボックス100を例示する図である。図5は+X方向から視た中継ボックス100の正面図、図6は+Y方向から視た中継ボックス100の上面図、図7はX方向及びY方向の直交方向から視た中継ボックス100の側面図、図8は、保護部材が取り外された状態における中継ボックス100の正面図である。
【0041】
図5図8に示すように、中継ボックス100は、ボックス側Dsubコネクタ110と、ボックス側丸型コネクタM1~M4と、中継部120と、保護部材130と、を有する。
【0042】
ボックス側Dsubコネクタ110は、中継ケーブル90aの他端に接続する第1コネクタの一例である。中継ケーブル90aの一端は、金型50の外部に設けられているアンプ90に接続している。
【0043】
中継ケーブル90aの他端に設けられているオス型のケーブル側Dsubコネクタがメス型のボックス側Dsubコネクタ110に差し込まれることで、ボックス側Dsubコネクタ110と中継ケーブル90aとが接続する。但し、ケーブル側Dsubコネクタをメス型とし、ボックス側Dsubコネクタ110をオス型としてもよい。また、第1コネクタは、Dsubコネクタに限定されるものではなく各種形状のものを適用できるが、金型50の周囲は高温になるため、耐熱性の観点ではDsubコネクタがより好適である。
【0044】
ボックス側丸型コネクタM1~M4の各々は、センサケーブルC1~C4の各々の他端に対をなして接続する第2コネクタの一例である。センサケーブルC1~C4の各々の一端は、金型50に設けられているロードセルS1~S4に接続している。
【0045】
センサケーブルC1~C4の他端に設けられているオス型のケーブル側丸型コネクタがメス型のボックス側丸型コネクタM1~M4に差し込まれることで、ボックス側丸型コネクタM1~M4とセンサケーブルC1~C4とが接続する。但し、ケーブル側丸型コネクタをメス型とし、ボックス側丸型コネクタM1~M4をオス型としてもよい。また、第2コネクタは、丸型コネクタに限定されるものではなく各種形状のものを適用できるが、上述したように金型50の周囲は高温になるため、高耐熱性であるものが好ましい。
【0046】
図8に示すように、中継部120は、上面板121と、下面板122と、上ネジ123a及び123bと、下ネジ124a及び124bと、スペーサスリーブ125a及び125bと、支柱部材127a及び127bと、接続コード128と、を有する。中継部120は、ボックス側Dsubコネクタ110とボックス側丸型コネクタM1~M4の各々とを電気的に接続する構成部である。
【0047】
支柱部材127a及び127bの各々は、両端にメネジが形成されている。上面板121は、支柱部材127a及び127bの一端に向き合うようにして、上ネジ123a及び123bにより支柱部材127a及び127bに固定されている。下面板122は、支柱部材127a及び127bの他端に向き合うようにして、下ネジ124a及び124bにより支柱部材127a及び127bに固定されている。
【0048】
上面板121には、支柱部材127a及び127bに向き合う側とは反対側の面に、ボックス側Dsubコネクタ110が設けられている。また上面板121には、貫通孔である取付孔126a及び126bが形成されている(図6参照)。下面板122には、支柱部材127a及び127bに向き合う側とは反対側の面に、ボックス側丸型コネクタM1~M4が設けられている。
【0049】
スペーサスリーブ125a及び125bは、ボックス側Dsubコネクタ110に接続されたケーブル側Dsubコネクタが外れることを防止するために設けられている。スペーサスリーブ125a及び125bの各々は、端部にメネジが形成されている。ボックス側Dsubコネクタ110に接続されたケーブル側Dsubコネクタを介して、オネジがスペーサスリーブ125a及び125bに締結される。これにより、ケーブル側Dsubコネクタは、ボックス側Dsubコネクタ110に対し、より強固に接続できる。
【0050】
接続コード128は、ボックス側Dsubコネクタ110における複数の信号ピンとボックス側丸型コネクタM1~M4における複数の信号ピンとを、対をなすように接続する複数の配線コードを含む。ボックス側Dsubコネクタ110とボックス側丸型コネクタM1~M4とは、接続コード128により電気的に接続する。
【0051】
本実施形態では、ボックス側Dsubコネクタ110は、16個の信号ピンを有する。またボックス側丸型コネクタM1~M4の各々は4個の信号ピンを有し、ボックス側丸型コネクタM1~M4全体で16個の信号ピンを有する。但し、信号ピンの個数に特段の制限はなく、センサの種類や仕様に応じて適宜選択可能である。
【0052】
保護部材130は、板金又はアルミニウム等の金属材料を含んで構成されており、中継部120の周囲を覆うようにして上面板121と下面板122の間に設けられている。保護部材130は、中継部120を保護する部材であり、特に接続コード128の断線を防止する。
【0053】
図9は、外装カバー150が取り外された中継ボックス100が、金型50へ埋め込まれた状態の一例を示す図である。
【0054】
図9に示すように、金型50の可動側金型58には、埋込孔581と、座繰孔582と、が形成されている。座繰孔582は、埋込孔581の入口付近で埋込孔581の周囲に形成されており、中継ボックス100における取付孔126a及び126bに対応するように、底部に複数のメネジが形成されている。
【0055】
中継ボックス100は、埋込孔581に挿入された状態で、固定ネジ140a及び140bが取付孔126a及び126bを通して座繰孔582の底部のメネジに締結することで、可動側金型58に固定される。
【0056】
換言すると、中継ボックス100は、外装カバー150が中継部120から取り外されている場合には、中継部120を介して金型50に取り付けられる。また中継部120における取付孔126a及び126bは、外装カバー150が中継部120から取り外されている場合には、中継ボックス100を金型50に取り付けるために用いられる。
【0057】
埋込孔581における中継ボックス100の下方(-Y方向側)には、センサケーブルC1~C4を配置するための空間が設けられている。この空間において、ボックス側丸型コネクタM1~M4の各々に、ケーブル側丸型コネクタN1~N4が対をなして接続している。
【0058】
ケーブル側丸型コネクタN1~N4の各々には、センサケーブルC1~C4が対をなして接続している。埋込孔581の底部には、センサケーブルC1~C4に対応して複数の通し孔583が形成されており、センサケーブルC1~C4は通し孔583を通ってロードセルS1~S4に接続している。タグT1~T4は、センサケーブルC1~C4の各々の種類や属性等の情報を表示するプレートである。
【0059】
センサケーブルC1~C4は、様々な金型への設置に対応できるように十分な長さを有しており、図9に示す例では、センサケーブルC1~C4の余分な部分が輪状に束ねられている。埋込孔581は、タグT1~T4や輪状に束ねられたセンサケーブルC1~C4等を収容可能な大きさに形成されている。
【0060】
中継ボックス100では、外装カバー150が取り外されている場合には、ボックス側Dsubコネクタ110は金型50から露出した状態になる。一方、ボックス側丸型コネクタM1~M4は埋込孔581内に収容されているため、金型50から非露出の状態になる。ボックス側丸型コネクタM1~M4に接続するセンサケーブルC1~C4も、埋込孔581内に収容されているため、金型50から非露出の状態になる。
【0061】
((外装カバー150が取り付けられた状態))
図10図13は、外装カバー150が取り付けられた中継ボックス100を例示する図である。図10は+X方向から視た中継ボックス100の正面図、図11は+Y方向から視た中継ボックス100の上面図、図12はX方向及びY方向の直交方向から視た中継ボックス100の側面図、図13は-X方向から視た中継ボックス100の背面図である。
【0062】
図10図13に示すように、中継ボックス100は、外装カバー150を有する。
【0063】
外装カバー150は、中継部120に対して着脱可能な着脱部材の一例であり、-X方向側及び-Y方向側が開放された箱状部材である。但し、-X方向側は必ずしも開放されていなくてよい。外装カバー150は、板金又はアルミニウム等の金属材料を含んで構成されている。
【0064】
外装カバー150の上面(+Y方向側の面)には、中継ボックス100の取付孔126a及び126bの各々に対応する位置に貫通孔が形成されている。該貫通孔と取付孔126a及び126bとを通るように、上カバーネジ151a及び151bが上面側から挿入され、上カバーネジ151a及び151bの各々が、対をなす上ナット155a及び155bと締結することで、外装カバー150は中継部120に取り付けられる。また外装カバー150は、上カバーネジ151a及び151bを外すことで中継部120から取り外される。
【0065】
外装カバー150の両側面には、側板156a及び156bが各々設けられている。外装カバー150と、側板156a及び156bの各々に形成されている貫通孔と、を通るように横ネジ152a及び152bが挿入され、横ネジ152a及び152bの各々が、対をなす横ナット157a及び157bと締結することで、側板156a及び156bが外装カバー150に取り付けられている。
【0066】
外装カバー150の底部には、底板153a及び153bが形成されている。底板153a及び153bの各々には、貫通孔であるカバー取付孔154a及び154bが形成されている(図11参照)。外装カバー150が取り付けられた中継ボックス100は、このカバー取付孔154a及び154bを介して可動側金型58の上面584に取り付けられる。
【0067】
換言すると、中継ボックス100は、外装カバー150が中継部120に取り付けられている場合には、外装カバー150を介して金型50に取り付けられる。また中継部120における取付孔126a及び126bは、外装カバー150が中継部120に取り付けられている場合には、外装カバー150を中継部120に取り付けるために用いられる。
【0068】
中継ボックス100では、外装カバー150が取り付けられている場合には、ボックス側Dsubコネクタ110は外装カバー150から露出した状態になる。一方、ボックス側丸型コネクタM1~M4は外装カバー150内に収容されているため、外装カバー150から非露出の状態になる。ボックス側丸型コネクタM1~M4に接続するセンサケーブルC1~C4も、外装カバー150内に収容されているため、外装カバー150から非露出の状態になる。
【0069】
(中継ボックス100の作用効果)
以上説明したように、中継ボックス100は、中継ケーブル90aの他端に接続するボックス側Dsubコネクタ110(第1コネクタ)と、センサケーブルC1~C4の他端に接続するボックス側丸型コネクタM1~M4(第2コネクタ)と、を有する。また中継ボックス100は、ボックス側Dsubコネクタ110とボックス側丸型コネクタM1~M4とを電気的に接続する中継部120と、中継部120に対して着脱可能な外装カバー150(着脱部材)と、を有する。
【0070】
中継ボックス100は、外装カバー150が中継部120から取り外されている場合には、ボックス側丸型コネクタM1~M4が金型50から非露出となるように金型に取り付けられる。また中継ボックス100は、外装カバー150が中継部120に取り付けられている場合には、ボックス側丸型コネクタM1~M4が外装カバー150から非露出となるように金型50に取り付けられる。
【0071】
中継ボックス100と比較して金型50が大きく、金型50に中継ボックス100を埋め込める場合には、中継ボックス100は、外装カバー150が中継部120から取り外された状態で、ボックス側丸型コネクタM1~M4が金型50から非露出となるように金型50に埋め込まれる。一方、中継ボックス100と比較して金型50が小さく、金型50に中継ボックス100を埋め込めない場合には、中継ボックス100は、外装カバー150が中継部120に取り付けられた状態で、ボックス側丸型コネクタM1~M4が外装カバー150から非露出となるように金型50に外付けされる。
【0072】
この構成により、如何なる金型に中継ボックス100を取り付ける場合にも、ボックス側丸型コネクタM1~M4は非露出となるため、センサケーブルC1~C4を露出させずにボックス側丸型コネクタM1~M4に接続できる。その結果、中継接続されたセンサケーブルC1~C4が成形機や作業者等に引っ掛けられることを防ぎ、センサケーブルC1~C4が断線するリスクを低減可能な中継ボックスを提供できる。
【0073】
本実施形態では、中継ボックス100の構成は、外装カバー150の有無を除き、金型50に埋め込まれる場合と外付けされる場合とで共通である。これにより、大きさの異なる金型ごとに専用の中継ボックスを用意しなくてもよいため、中継ボックスにかかるコストを低減することができる。中継ボックス100は、外装カバー150の着脱のみにより、金型50に対して埋込み可能な状態と外付け可能な状態とを切り替えられるため、金型50に中継ボックス100を取り付ける作業も容易となる。
【0074】
中継ボックス100は、外装カバー150が中継部120から取り外されている場合には、ボックス側Dsubコネクタ110が金型50から露出するように金型50に取り付けられる。一方、外装カバー150が中継部120から取り外されていない場合には、ボックス側Dsubコネクタ110が外装カバー150から露出するように金型50に取り付けられる。この構成により、如何なる金型に中継ボックス100を取り付ける場合にも、金型50の外部に設けられているアンプ90(増幅器)と中継ボックス100とを、中継ケーブル90aを介して接続可能になる。
【0075】
中継ボックス100は、外装カバー150が中継部120から取り外されている場合には、中継部120を介して金型50に取り付けられる。一方、外装カバー150が中継部120に取り付けられている場合には、外装カバー150を介して金型50に取り付けられる。これにより、外装カバー150の有無を除き、金型50に埋め込まれる場合と外付けされる場合とで中継ボックス100の構成を共通化しつつ、如何なる金型にも中継ボックス100を取り付け可能になる。
【0076】
中継ボックス100は、中継部120を保護する保護部材130をさらに有する。中継部120における接続コード128の周囲を保護部材130で覆うことにより、接続コード128に外力が加えられること等による接続コード128の断線リスクを低減できる。
【0077】
中継部120は取付孔126a及び126bを含み、外装カバー150が中継部120に取り付けられている場合には、取付孔126a及び126bは、外装カバー150を中継部120に取り付けるために用いられる。また、外装カバー150が中継部120から取り外されている場合には、取付孔126a及び126bは、中継ボックス100を金型50に取り付けるために用いられる。この構成により、外装カバー150の有無を除き、金型50に埋め込まれる場合と外付けされる場合とで中継ボックス100の構成を共通化しつつ、如何なる金型にも中継ボックス100を取り付け可能になる。
【0078】
上述した実施形態では、センサとしてロードセルS1~S4を例示したが、センサはこれに限定されるものではない。例えば、センサは、圧力を検出するひずみゲージ等の圧力センサや、金型50内の温度を検出する温度センサ等であってもよい。また、センサ、センサケーブル、第1コネクタ及び第2コネクタ等の各々の個数が4個である場合を例示したが、これらの個数は4個に限定されるものではなく任意であってよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0079】
上述した実施形態では、金型50の可動側金型58に中継ボックス100が取り付けられる構成を例示したが、これに限定されるものではない。センサケーブルC1~C4及び中継ケーブル90aの各々を中継ボックス100に対して接続可能な限り、中継ボックス100は、可動側金型58又は固定側金型53等の何れに取り付けられてもよい。また中継ボックス100は、如何なる姿勢で取り付けられてもよい。これらの場合にも、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0080】
以上、実施形態を説明してきたが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0081】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【符号の説明】
【0082】
1…射出成形機、20…圧力検出装置、50…金型、52…固定側取付板、53…固定側金型、54…可動側取付板、581…埋込孔、582…座繰孔、583…通し孔、584…上面、58…可動側金型、90…アンプ(増幅器)、90a…中継ケーブル、99…パーソナルコンピュータ、100…中継ボックス、110…ボックス側Dsubコネクタ(第1コネクタの一例)、120…中継部、121…上面板、122…下面板、123a、123b…上ネジ、124a、124b…下ネジ、125a、125b…スペーサスリーブ、127a、127b…支柱部材、128…接続コード、130…保護部材、150…外装カバー(着脱部材の一例)、151a、151b…上カバーネジ、152a、152b…横ネジ、153a、153b…底板、154a、154b…カバー取付孔、155a、155b…上ナット、156a、156b…側板、157a、157b…横ナット、S1~S4…ロードセル(センサの一例)、C1~C4…センサケーブル、CT…キャビティ、M1~M4…ボックス側丸型コネクタ、N1~N4…ケーブル側丸型コネクタ
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13