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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】配管分岐装置及びコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/00 20060101AFI20240730BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20240730BHJP
   F04D 29/44 20060101ALI20240730BHJP
   F16L 41/02 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F02B37/00 301F
F02B39/00 G
F04D29/44 P
F04D29/44 Q
F16L41/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021100383
(22)【出願日】2021-06-16
(65)【公開番号】P2022191890
(43)【公開日】2022-12-28
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】本田 浩範
(72)【発明者】
【氏名】岡 信仁
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-154675(JP,A)
【文献】特開2009-024692(JP,A)
【文献】実開昭64-026638(JP,U)
【文献】国際公開第2014/170954(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0037699(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/24
F02B 37/00
F02B 39/00
F04D 29/44
F16L 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本管と、前記本管から分岐する分岐管と、を備えた配管分岐装置であって、
前記本管は、第1配管と、前記第1配管の軸方向において前記第1配管に嵌合される第2配管と、を含み、
前記第1配管と前記第2配管との間には前記分岐管に連通するチャンバーが設けられ、
前記第2配管の内部から前記チャンバーに連通する流路が設けられ
前記流路は、
前記第1配管又は前記第2配管のいずれか一方に設けられ、他方に向けて漸次拡開する拡開部と、
前記第1配管又は前記第2配管のいずれか他方の端部に設けられ、前記拡開部に向けて漸次肉厚が小さくなる傾斜部と、
により区画され、
前記端部の周方向において前記傾斜部と異なる位置に前記拡開部に当接する当接部が設けられる、
配管分岐装置。
【請求項2】
前記分岐管の分岐位置は、前記本管に流れる主流の流れ方向において前記流路よりも上流側に設けられる、
請求項1に記載の配管分岐装置。
【請求項3】
前記流路の流路断面積は、前記分岐管の流路断面積と同一である、
請求項1又は2に記載の配管分岐装置。
【請求項4】
前記流路は、前記第2配管に設けられた穴、長穴、又はスリットである、
請求項1に記載の配管分岐装置。
【請求項5】
前記第1配管は、
前記第2配管の外側に位置し、前記第2配管が嵌合される外周側端部と、
前記第2配管の内側に位置し、前記外周側端部と二重管を構成する内周側端部と、
を有し、
前記流路は、前記内周側端部に設けられた穴、長穴、又はスリットである、
請求項1に記載の配管分岐装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の配管分岐装置を備え、
前記第2配管は、出口配管である、コンプレッサ。
【請求項7】
請求項1から3又は5のいずれか一項に記載の配管分岐装置を備え、
前記第2配管は、入口配管である、コンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配管分岐装置及びコンプレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械等の流体機械では、制御性向上のため、分岐管を用いて主流を抽気する構成が採用される。かかる構成において、分岐管の途中にバルブを設けると、分岐管内への主流の流入による圧力損失が生じる。
特許文献には、分岐管内への主流の流入による圧力損失を低減するために、スクロール部に設けられた分流穴に嵌合する弁体が開示されている。かかる弁体は、閉状態でスクロール部の内壁に沿った内面を構成するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/157598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1が示す従来の構成では、コンプレッサハウジング(流体機械)の仕様ごとに弁体のレイアウト及び形状を設計する必要があり、量産に適していない。
【0005】
本開示は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、量産に適した配管分岐装置及びコンプレッサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る配管分岐装置は、
本管と、前記本管から分岐する分岐管とを備えた配管分岐装置であって、
前記本管は、第1配管と、前記第1配管の軸方向において前記第1配管に嵌合される第2配管と、を含み、
前記第1配管と前記第2配管との間には前記分岐管に連通するチャンバーが設けられ、
前記第2配管の内部から前記チャンバーに連通する流路が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の配管分岐装置によれば、流体機械の仕様ごとに弁体のレイアウト及び形状を設計する必要がなくなり、量産に適した配管分岐装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る配管分岐装置を概略的に示す縦断面図である。
図2図1に示した配管分岐装置のII-II線断面図である。
図3図1に示した配管分岐装置のIII-III線断面図である。
図4図3に示した配管分岐装置の分岐管の変形例を示す図である。
図5】実施形態1に係る配管分岐装置の変形例1を概略的に示す縦断面図である。
図6】実施形態1に係る配管分岐装置の変形例2を概略的に示す縦断面図である。
図7】実施形態1に係る配管分岐装置の変形例3を概略的に示す縦断面図である。
図8】実施形態1に係る配管分岐装置を採用したコンプレッサの外観を概略的に示す斜視図である。
図9】実施形態2に係る配管分岐装置を概略的に示す縦断面図である。
図10図9に示した配管分岐装置のX-X線断面図である。
図11図9に示した配管分岐装置のXI-XI断面図である。
図12図9に示した配管分岐装置の流路の変形例を示す図である。
図13】実施形態2に係る配管分岐装置の変形例1を概略的に示す縦断面図である。
図14】実施形態2に係る配管分岐装置の変形例2を概略的に示す縦断面図である。
図15】実施形態2に係る配管分岐装置の変形例3を概略的に示す縦断面図である。
図16】実施形態2に係る配管分岐装置を採用したコンプレッサの外観を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態に係る配管分岐装置及びコンプレッサについて説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0010】
実施形態に係る配管分岐装置は、ターボ機械等の流体機械全般に採用可能であって、例えば、後述するように、ターボチャージャのコンプレッサに好適である。
【0011】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る配管分岐装置1Aを概略的に示す縦断面図である。図2は、図1に示した配管分岐装置1AのII-II線断面図であり、図3は、図1に示した配管分岐装置1AのIII-III線断面図である。
図1に示すように、実施形態1に係る配管分岐装置1Aは、本管3Aと、本管3Aから分岐する分岐管5Aと、を備えた配管分岐装置である。
【0012】
本管3Aは、第1配管31Aと、第1配管31Aの軸方向において第1配管31Aに嵌合される第2配管35Aと、を含む。例えば、第1配管31Aと第2配管35Aは円管であって、日本工業規格(JIS規格)に定められた規格品を採用可能である。
【0013】
図1に示す例では、本管3Aを流れる主流の流れ方向において、第1配管31Aが下流側に配置され、第2配管35Aが上流側に配置される。また、図1に示す例では、第2配管35Aに断面が矩形のリング溝351Aが設けられ、リング溝351Aに嵌められたOリング36Aによって第2配管35Aと第1配管31Aとがシールされる。
【0014】
第1配管31Aと第2配管35Aとの間には分岐管5Aに連通するチャンバー6Aが設けられ、第2配管35Aの内部からチャンバー6Aに連通する流路4Aが設けられる。チャンバー6Aは、第1配管31Aと第2配管35Aとの間に設けられる空間であって、例えば、第2配管35Aの外周全周に亘り設けられる。このような構成によれば、本管3Aを流れる主流から分岐した流体は、流路4Aとチャンバー6Aを通り分岐管5Aに流れる。
【0015】
このような構成によれば、量産に適した配管分岐装置1Aを提供できる。
【0016】
流路4Aは、拡開部41Aと傾斜部43Aとにより区画される。拡開部41Aは、第1配管31Aに設けられ、第2配管35Aに向けて漸次拡開している。傾斜部43Aは、第2配管35Aの端部に設けられる。傾斜部43Aは、拡開部41Aに向けて漸次管路側に肉厚が小さくなる。例えば、拡開部41Aの内周面は第2配管35Aに向けて一定の割合で拡開するテーパ面で構成され、傾斜部43Aの拡開部41Aに対向する面は拡開部41Aに向けて一定の割合で傾斜する傾斜面又はテーパ面で構成される。
【0017】
このような構成によれば、傾斜部43Aと拡開部41Aとの間にチャンバー6Aに連通する流路4Aが区画されるので、チャンバー6A内への主流の流入による圧力損失を低減できる。よって、スクロール部に設けられた分流穴に嵌合する弁体のように、流体機械(例えば、コンプレッサハウジング)の仕様ごとに弁体のレイアウト及び形状を設計する必要がなくなり、量産に適した配管分岐装置1Aを提供できる。
【0018】
実施形態1に係る配管分岐装置1Aでは、分岐管5Aの分岐位置は、本管3Aに流れる主流の流れ方向において、傾斜部43Aと拡開部41Aとの間に設けられる流路4Aよりも上流側に設けられる。
このような構成によれば、本管3Aに流れる主流の一部を抽出する分岐管5A内の流体の流れは主流に対して鋭角に逆流する。よって、チャンバー6A内への主流の流入が抑制され、チャンバー6A内への主流の流入による圧力損失を低減できる。
【0019】
図1に示すように、実施形態1に係る配管分岐装置1Aでは、第1配管31A及び第2配管35Aは円管であって、第1配管31Aの入口側端部には、第2配管35Aが嵌まる嵌合部313Aが設けられ、嵌合部313Aにおいて第2配管35Aと第1配管31Aとがシールされる。よって、第1配管31Aの入口側端部に設けられる嵌合部313Aの内径D1Aは、第2配管35Aの出口側端部に設けられる嵌合部の外径D2Aと同一である。
【0020】
図1から図3に示すように、実施形態1に係る配管分岐装置1Aでは、第2配管35Aの端部の周方向において傾斜部43Aと異なる位置に拡開部41Aに当接する当接部45Aが設けられる。図2に示すように、例えば、第2配管35Aの端部を周方向において等分する位置の各々に傾斜部43Aが設けられ、傾斜部43A間全域に当接部45Aが設けられる。図2に示す例では、第2配管35Aの端部を周方向に三等分する位置の各々に傾斜部43Aが設けられ、傾斜部43A間全域に当接部45Aが設けられる。当接部45Aは、例えば、先端部が断面半円弧状に形成される。
このような構成によれば、当接部45Aが拡開部41Aに当接することで、傾斜部43Aと拡開部41Aとの間にのみ流路4Aを設けることができる。
【0021】
実施形態1に係る配管分岐装置1Aでは、流路4Aの流路断面積は、分岐管5Aの流路断面積と同一である。例えば、図2に示すように、第2配管35Aの端部を周方向に三等分する位置の各々に傾斜部43Aが設けられ、傾斜部43Aと拡開部41Aの間に流路4Aが設けられる場合に、これら三つの流路4Aの流路断面積の合計は、分岐管5Aの流路断面積と同一である。
このような構成によれば、本管3Aから分岐管5Aに抽出される流体の速度を一定にできる。
【0022】
上述したように、分岐管は、本管3Aから分岐するものであり、例えば、図2及び図3に示すように、本管3Aの径方向外側に延在するが、図4に示すように、第1配管31Aと第2配管35Aとの間に設けられた円環状に形成されたチャンバー6Aの接線方向に延びるものであっても良い。
【0023】
図5から図7は、実施形態1に係る配管分岐装置1Aの変形例に係る配管分岐装置1A1~1A3を概略的に示す縦断面図である。図5から図7に示すように、流路4Aは、第2配管35Aに設けられた穴352A、長穴353A又はスリット354Aである。
【0024】
図5に示すように、変形例1に係る配管分岐装置1A1では、流路4Aは、第2配管35Aに設けられた穴352Aである。穴352Aは、一又は二以上(複数)であって、例えば、第2配管35Aの径方向外側から内側に向けて漸次主流の流れ方向下流側に傾斜する傾斜穴で構成される。穴352Aが二以上の場合に、第2配管35Aの軸方向に千鳥配置されたものでもよい。また、特に図示はしないが、第2配管35Aの軸方向に一列に設けられた穴であってもよいし、第2配管35Aの径方向両側に各々一列(計二列)設けられた穴であってもよい。このような構成によれば、量産に適した配管分岐装置1A1を提供できる。
【0025】
また、変形例1に係る配管分岐装置1A1では、分岐管5Aの分岐位置は、本管3Aに流れる主流の流れ方向において、第2配管35Aに設けられた穴352Aよりも上流側に設けられる。このような構成によれば、本管3Aに流れる主流の一部を抽出する流路4A内の流体の流れは主流に対して逆流する。よって、流路4A内への主流の流入が抑制され、チャンバー6A内への主流の流入による圧力損失を低減できる。
【0026】
図6に示すように、変形例2に係る配管分岐装置1A2では、流路4Aは、第2配管35Aに設けられた長穴353Aである。長穴353Aは、一又は二以上(複数)であって、例えば、第2配管35Aの径方向外側から内側に向けて漸次主流の流れ方向下流側に傾斜する傾斜穴で構成される。長穴353Aが二以上の場合に、第2配管35Aの周方向に等分する位置に設けられる。
【0027】
また、変形例2に係る配管分岐装置1A2では、分岐管5Aの分岐位置は、本管3Aに流れる主流の流れ方向において、第2配管35Aに設けられた長穴353Aよりも上流側に設けられる。このような構成によれば、本管3Aに流れる主流の一部を抽出する流路4A内の流体の流れは主流に対して逆流する。よって、流路4A内への主流の流入が抑制され、チャンバー6A内への主流の流入による圧力損失を低減できる。
【0028】
図7に示すように、変形例3に係る配管分岐装置1A3では、流路4Aは、第2配管35Aの端部に設けられたスリット354Aである。スリット354Aは、一又は二以上(複数)であって、スリット354Aが二以上の場合に、例えば、第2配管35Aの周方向に等分する位置に設けられる。
【0029】
また、変形例3に係る配管分岐装置1A3では、分岐管5Aの分岐位置は、本管3Aに流れる主流の流れ方向において、第2配管35Aに設けられたスリット354Aよりも上流側に設けられる。このような構成によれば、本管3Aに流れる主流の一部を抽出する流路4A内の流体の流れは主流に対して逆流する。よって、流路4A内への主流の流入が抑制され、チャンバー6A内への主流の流入による圧力損失を低減できる。
【0030】
図8は、実施形態1に係る配管分岐装置1Aを採用したコンプレッサ7の外観を概略的に示す斜視図である。
図8に示すように、実施形態1に係る配管分岐装置1Aは、例えば、ターボチャージャを構成するコンプレッサ7に設けられる。コンプレッサ7に設けられる実施形態1に係る配管分岐装置1Aにおいて、第2配管35Aは出口配管71であり、分岐管5Aは出口配管71に流れる主流の一部を抽気する分岐管5Aである。
このような構成によれば、コンプレッサ7の出口において圧縮空気(主流)の一部を流路4Aから分岐管5Aに抽気することができる。
【0031】
[実施形態2]
図9は、実施形態2に係る配管分岐装置1Bを概略的に示す縦断面図である。図10は、図9に示した配管分岐装置1BのX-X線断面図であり、図11は、図9に示した配管分岐装置1BのXI-XI線断面図である。
図9に示すように、実施形態2に係る配管分岐装置1Bは、本管3Bと、本管3Bから分岐する分岐管5B(図10参照)と、を備えた配管分岐装置1Bである。
【0032】
本管3Bは、第1配管31Bと、第1配管31Bの軸方向において第1配管31Bに嵌合される第2配管35Bと、を含む。例えば、第1配管31Bと第2配管35Bは円管であって、日本工業規格(JIS規格)に定められた規格品を採用可能である。
【0033】
図9に示す例では、本管3Bを流れる主流の流れ方向において、第1配管31Bが上流側に配置され、第2配管35Bが下流側に設置される。また、図9に示す例では、第2配管35Bには断面が矩形のリング溝351Bが設けられ、リング溝351Bに嵌められたOリング36Bによって第2配管35Bと第1配管31Bとがシールされる。
【0034】
第1配管31Bと第2配管35Bとの間には分岐管5Bに連通するチャンバー6Bが設けられ、第2配管35Bの内部からチャンバー6Bに連通する流路4Bが設けられる。図9に示す例では、第1配管31Bの端部に外周側端部311Bと内周側端部312Bとが設けられ、外周側端部311Bと内周側端部312Bとの間にチャンバー6Bが設けられる。外周側端部311Bと内周側端部312Bは同一の軸線周りに設けられる二重管であって、内周側端部312Bに流路4Bが設けられる。このような構成によれば、分岐管5Bを流れる流体はチャンバー6Bと流路を通り本管3Bを流れる主流に合流する。
【0035】
このような構成によれば、量産に適した配管分岐装置1Bを提供できる。
【0036】
流路4Bは、拡開部41Bと傾斜部43Bとにより区画される。拡開部41Bは、第2配管35Bに設けられ、第1配管31Bに向けて漸次拡開している。傾斜部43Bは、第1配管31Bの内周側端部312Bに設けられる。傾斜部43Bは、拡開部41Bに向けて漸次管路側に肉厚が小さくなる。例えば、拡開部41Bの内周面は第1配管31Bに向けて一定の割合で拡開するテーパ面で構成され、傾斜部43Bの拡開部41Bに対向する面は拡開部41Bに向けて一定の割合で傾斜する傾斜面又はテーパ面で構成される。
【0037】
このような構成によれば、傾斜部43Bと拡開部41Bとの間にチャンバー6Bに連通する流路4Bが区画されるので、チャンバー6Bに流れる流体が本管3Bを流れる主流に合流する際の流れの干渉を小さくできる。また、流体機械(例えば、コンプレッサハウジング)の仕様ごとに分岐管5Bのレイアウト及び形状を設計する必要がなくなり、量産に適した配管分岐装置1Bを提供できる。
【0038】
実施形態2に係る配管分岐装置1Bでは、分岐管5Bの分岐位置は、本管3Bを流れる主流の流れ方向において、傾斜部43Bと拡開部41Bとの間に設けられる流路4Bよりも上流側に設けられる。
このような構成によれば、本管3Bに流れる主流に合流する分岐管5B内の流体の流れは主流に対して鋭角に合流する。よって分岐管5B内の流体の流れが主流の流れに干渉し難くなり、効率の低下を抑制できる。
【0039】
実施形態2に係る配管分岐装置1Bでは、第1配管31B及び第2配管35Bは円管であって、第1配管31Bの外周側端部311Bには、第2配管35Bが嵌まる嵌合部313Bが設けられ、嵌合部313Bにおいて第2配管35Bと第1配管31Bとがシールされる。よって、第1配管31Bの入口側端部に設けられる嵌合部313Bの内径D1Bは第2配管35Bの外径D2Bと同一である。
【0040】
図11に示すように、実施形態2に係る配管分岐装置1Bでは、傾斜部43Bは内周側端部312Bの周方向全周に設けられる。図9に示すように、傾斜部43Bの拡開部41Bに対向する面は拡開部41Bに向けて一定の割合で傾斜するテーパ面で構成され、内周側端部312Bの周方向全周に亘り流路4Bが区画される。図9に示す例では、第1配管31Bの内周側端部312Bに傾斜部43Bが設けられ、外周側端部311Bに第2配管35Bが嵌合される。そして、第1配管31Bの外周側端部311Bは、第2配管35Bの外周に設けられた当接部45Bに当接することで、拡開部41Bと傾斜部43Bとの間に流路4Bが区画される。
このような構成によれば、端部の周方向全周に亘り流路4Bが区画される。
【0041】
図12に示すように、実施形態2に係る配管分岐装置1Bでは、傾斜部43Bが内周側端部312Bの周方向に複数設けられてもよい。傾斜部43Bの拡開部41Bに対向する面は拡開部41Bに向けて一定の割合で傾斜するテーパ面で構成され、内周側端部312Bの周方向に等間隔に流路4Bが区画される。図12に示す例では、第1配管31Bの内周側端部312Bに四つの傾斜部43Bが等間隔に設けられ、外周側端部311Bに第2配管35Bが嵌合される。そして、第1配管31Bの外周側端部311Bは、第2配管35Bの外周に設けられた当接部45Bに当接することで、拡開部41Bと傾斜部43Bとの間に流路4Bが区画される。
【0042】
図13から図15は、実施形態2に係る配管分岐装置1Bの変形例に係る配管分岐装置1B1~1B3を概略的に示す縦断面図である。図13から図15に示すように、流路4Bは、第1配管31Bの内周側端部312Bに設けられた穴315B、長穴316B又はスリット317Bである。
【0043】
図13に示すように、変形例1に係る配管分岐装置1B1では、流路4Bは、第1配管31Bの内周側端部312Bに設けられた穴315Bである。穴315Bは、一又は二以上(複数)であって、例えば、第1配管31Bの内周側端部312Bの径方向外側から内側に向けて漸次主流の流れ方向下流側に傾斜する傾斜穴で構成される。穴315Bが二以上の場合に、第1配管31B(内周側端部312B)の軸方向に千鳥配置されたものでもよい。また、特に図示はしないが、第1配管31B(内周側端部312B)の軸方向に一列に設けられた穴であってもよいし、第1配管31B(内周側端部312B)の径方向両側に各々一列(計二列)設けられた穴であってもよい。このような構成によれば、量産に適した配管分岐装置1B1を提供できる。
【0044】
また、変形例1に係る配管分岐装置1B1では、分岐管5Bの分岐位置は、本管3Bに流れる主流の流れ方向において、第1配管31B(内周側端部312B)に設けられた穴315Bよりも上流側に設けられる。このような構成によれば、本管3Bに流れる主流に合流する流路4B内の流体の流れは主流に対して鋭角に合流する。よって、流路4B内の流体の流れが主流の流れに干渉し難くなり、効率の低下を抑制できる。
【0045】
図14に示すように、変形例2に係る配管分岐装置1B2では、流路4Bは、第1配管31Bの内周側端部312Bに設けられた長穴316Bである。長穴316Bは、一又は二以上(複数)であって、例えば、第1配管31Bの内周側端部312Bの径方向外側から内側に向けて漸次主流の流れ方向下流側に傾斜する傾斜穴で構成される。長穴316Bが二以上の場合に、第1配管31Bの内周側端部312Bの周方向に等分する位置に設けられる。
【0046】
また、変形例2に係る配管分岐装置1B2では、分岐管5Bの分岐位置は、本管3Bに流れる主流の流れ方向において、第1配管31Bの内周側端部312Bに設けられた長穴316Bよりも上流側に設けられる。このような構成によれば、本管3Bに流れる主流に合流する流路4B内の流体の流れは主流に対して鋭角に合流する。よって、流路4B内の流体の流れが主流の流れに干渉し難くなり、効率の低下を抑制できる。
【0047】
図15に示すように、変形例3に係る配管分岐装置1B3では、流路4Bは、第1配管31Bの内周側端部312Bに設けられたスリット317Bである。スリット317Bは、一又は二以上(複数)であって、スリット317Bが二以上の場合に、例えば、第1配管31Bの内周側端部312Bの周方向に等分する位置に設けられる。
【0048】
また、変形例3に係る配管分岐装置1B3では、分岐管5Bの分岐位置は、本管3Bに流れる主流の流れ方向において、第1配管31Bの内周側端部312Bに設けられたスリット317Bよりも上流側に設けられる。このような構成によれば、本管3Bに流れる主流に合流する流路4B内の流体の流れは主流に対して鋭角に合流する。よって、流路4B内の流体の流れが主流の流れに干渉し難くなり、効率の低下を抑制できる。
【0049】
図16は、実施形態2に係る配管分岐装置1Bを採用したコンプレッサ8の外観を概略的に示す図である。
図16に示すように、実施形態2にかかる配管分岐装置1Bは、例えば、ターボチャージャを構成するコンプレッサ8に設けられる。コンプレッサ8に設けられる実施形態に係る配管分岐装置1Bにおいて、第2配管35Bは入口配管81であり、分岐管5Bは入口配管81に流れる主流に合流する流体が流れる合流管である。
このような構成によれば、コンプレッサ8の入口においてガスを主流に合流させることができる。
【0050】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0051】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば、以下のように把握される。
【0052】
[1]の態様に係る配管分岐装置(1A,1B)は、
本管(3A,3B)と、前記本管(3A,3B)から分岐する分岐管(5A,5B)と、を備えた配管分岐装置(1A,1B)であって、
前記本管(3A,3B)は、第1配管(31A,31B)と、前記第1配管(31A,31B)の軸方向において前記第1配管(31A,31B)に嵌合される第2配管(35A,35B)と、を含み、
前記第1配管(31A,31B)と前記第2配管(35A,35B)との間には前記分岐管(5A,5B)に連通するチャンバー(6A,6B)が設けられ、
前記第2配管(35A,35B)の内部から前記チャンバー(6A,6B)に連通する流路(4A,4B)が設けられる。
【0053】
このような構成によれば、量産に適した配管分岐装置(1A,1B)を提供できる。
【0054】
[2]別の態様に係る配管分岐装置(1A,1B)は、[1]に記載の配管分岐装置(1A,1B)であって、
前記流路(4A,4B)は、
前記第1配管(31A,31B)又は前記第2配管(35A,35B)のいずれか一方に設けられ、他方に向けて漸次拡開する拡開部(41A,41B)と、
前記第1配管(31A,31B)又は前記第2配管(35A,35B)のいずれか他方の端部に設けられ、前記拡開部(41A,41B)に向けて漸次肉厚が小さくなる傾斜部(43A,43B)と、
により区画される。
【0055】
このような構成によれば、流路(4A,4B)は、傾斜部(43A,43B)と拡開部(41A,41B)とにより区画されるので、分岐管(5A,5B)内への主流の流入による圧力損失を低減できる。よって、スクロール部に設けられた分流穴に嵌合する弁体のように、流体機械(例えば、コンプレッサハウジング)の仕様ごとに弁体のレイアウト及び形状を設計する必要がなくなり、量産に適した配管分岐装置(1A,1B)を提供できる。
【0056】
[3]別の態様に係る配管分岐装置(1A,1B)は、[2]に記載の配管分岐装置(1A,1B)であって、
前記分岐管(5A,5B)の分岐位置は、前記本管(3A,3B)に流れる主流の流れ方向において前記流路(4A,4B)よりも上流側に設けられる。
【0057】
このような構成によれば、本管(3A)に流れる主流の一部を抽出する分岐管(5A)内への流体の流れは主流に対して鋭角に逆流する。よって、分岐管(5A)内への主流の流入が抑制され、分岐管(5A)内への主流の流入による圧力損失を低減できる。また、本管(3B)に流れる主流に合流する分岐管(5B)内の流体の流れは主流に対して鋭角に合流する。よって、分岐管(5B)内の流体の流れが主流の流れに干渉し難くなり、効率の低下を抑制できる。
【0058】
[4]別の態様に係る配管分岐装置(1A)は、[2]又は[3]に記載の配管分岐装置(1A)であって、
前記端部の周方向において前記傾斜部(43A)と異なる位置に前記拡開部(41A)に当接する当接部(45A)が設けられる。
【0059】
このような構成によれば、当接部(45A)が拡開部(41A)に当接することで、傾斜部(43A)と拡開部(41A)との間にのみに流路(4A)を設けることができる。
【0060】
[5]別の態様に係る配管分岐装置(1B)は、[1]から[4]のいずれか一つに記載の配管分岐装置(1B)であって、
前記傾斜部(43B)は、前記端部の周方向全周に設けられる。
【0061】
このような構成によれば、端部の周方向全周に亘り流路(4B)が区画される。
【0062】
[6]別の態様に係る配管分岐装置(1A,1B)は、[1]から[5]のいずれか一つに記載の配管分岐装置(1A,1B)であって、
前記流路(4A,4B)の流路断面積は、前記分岐管(5A,5B)の流路断面積と同一である。
【0063】
このような構成によれば、本管(3A,3B)から分岐管(5A,5B)に抽出される流体の速度を一定にでき、分岐管(5A,5B)から本管(3A,3B)に合流する流体の速度を一定にできる。
【0064】
[7]別の態様に係る配管分岐装置(1A1,1A2,1A3)は、[1]に記載の配管分岐装置(1A)であって、
前記流路(4A)は、前記第2配管(35A)に設けられた穴(352A)、長穴(353A)、又はスリット(354A)である。
【0065】
このような構成によれば、量産に適した配管分岐装置(1A1,1A2,1A3)を提供できる。
【0066】
[8]別の態様に係る配管分岐装置(1B1,1B2,1B3)は、[1]に記載の配管分岐装置(1B)であって、
前記第1配管(31B)は、
前記第2配管(35B)の外側に位置し前記第2配管(35B)が嵌合される外周側端部(311B)と、
前記第2配管(35B)の内側に位置し、前記外周側端部(311B)と二重管を構成する内周側端部(312B)と、
を有し、
前記流路(4B)は、前記内周側端部(312B)に設けられた穴(315B)、長穴(316B)、又はスリット(317B)である。
【0067】
このような構成によれば、量産に適した配管分岐装置(1B1,1B2,1B3)を提供できる。
【0068】
[9]に係るコンプレッサ(7)は、[1]から[7]のいずれか一つに記載の配管分岐装置(1A,1A1,1A2,1A3)を備え、
前記第2配管(35A)は、出口配管(71)である。
【0069】
このような構成によれば、出口において圧縮空気の一部を流路(4A)から分岐管(5A)に抽気することができる。
【0070】
[10]に係るコンプレッサ(8)は、[1]から[6]又は[8]のいずれか一つに記載の配管分岐装置(1B,1B1,1B2,1B3)を備え、
前記第2配管(35B)は、入口配管(81)である。
【0071】
このような構成によれば、入口においてガスを主流に合流させることができる。
【符号の説明】
【0072】
1A、1B 配管分岐装置
3A,3B 本管
31A,31B 第1配管
311B 外周側端部
312B 内周側端部
313A,313B 嵌合部
315B 穴
316B 長穴
317B スリット
35A,35B 第2配管
351A,351B リング溝
352A 穴
353A 長穴
354A スリット
36A、36B Oリング
4A、4B 流路
41A,41B 拡開部
43A,43B 傾斜部
45A,45B 当接部
5A,5B 分岐管
6A,6B チャンバー
7 コンプレッサ
71 出口配管
8 コンプレッサ
81 入口配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16