(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/01 20060101AFI20240730BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20240730BHJP
B65D 81/34 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B65D33/01
B65D33/25 A
B65D81/34 U
(21)【出願番号】P 2021205295
(22)【出願日】2021-12-17
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】390033868
【氏名又は名称】株式会社メイワパックス
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長友 将洋
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-137311(JP,A)
【文献】特開2016-074430(JP,A)
【文献】特許第6959845(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0318691(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/01-33/25
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口部を有する包装袋であって、
前記包装袋は、表側を構成する表側フィルムと裏側を構成する裏側フィルムとを含み、
当該包装袋の前記表側フィルムの内部側表面の開口部近傍にチャック部の第1部分が接着され、
当該包装袋の前記裏側フィルムの内部側表面の開口部近傍に前記チャック部の第1部分と係合可能な前記チャック部の第2部分が接着され、
前記包装袋は、底部から前記チャック部に至る袋下体部と、前記チャック部から前記開口部に至る袋上体部を含み、
前記表側フィルムと前記チャック部の第1部分の間および/または前記裏側フィルムと前記チャック部の第2部分の間には、帯状フィルムが設けられ、前記帯状フィルムと前記表側フィルムおよび/または前記帯状フィルムと前記裏側フィルムの間には
未接着部が設けられて
おり、
前記帯状フィルムの上下幅は、前記チャック部の上下幅よりも広く、
前記未接着部は、前記袋下体部と前記袋上体部を通気可能とする少なくとも1つの通路を含み、前記通路以外の全面において前記帯状フィルムは前記表側フィルムおよび/または前記裏側フィルムに接着されており、
前記通路の袋上体部側の開口幅は、前記通路の袋下体部側の開口幅よりも大きいことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記帯状フィルムは前記包装袋の内部から順に少なくとも第1組成物および第2組成物を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記第1組成物の熱融着温度は前記第2組成物の熱融着温度と異なり、
前記チャック部の第2部分と前記帯状フィルムを構成する前記第1組成物および/または前記チャック部の第1部分と前記帯状フィルムを構成する前記第1組成物が熱融着されていることを特徴とする請求項
2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記袋上体部において
前記帯状フィルムと前記表側フィルムおよび/または
前記裏側フィルムの接着部分は前記通路を袋外部に対して封鎖することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項5】
電子レンジによる加熱が可能であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項6】
前記通路の
前記袋下体部側の開口幅と、前記通路の
前記袋上体部側の開口幅の比率が、1:1.1~1:6であることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項7】
前記通路は、前記チャック部が延びる方向において中心部に1つ設けられていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項8】
複数の前記通路は、互いに間隔を空けて設けられていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項9】
前記通路における前記
袋下体部
側の端部と前記
袋上体部側の端部を夫々結ぶ両側の側部は、直線形状、曲線形状、あるいは直線と曲線を組み合わせた形状であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項10】
前記通路は、前記袋下体部側の開口から前記袋上体部側の開口と同じ開口幅で延びる直線部と、前記直線部の端部から前記
袋上体部側の開口に向かうにつれて開口径が拡大する拡大部とを有することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項11】
前記直線部が、前記チャック部の第1部分および/または前記チャック部の第2部分を越えて前記
袋上体部側まで延び、
前記拡大部が、前記チャック部の第1部分および/または前記チャック部の第2部分よりも前記
袋上体部側に位置していることを特徴とする、請求項10に記載の包装袋。
【請求項12】
前記底部が、前記包装袋が自立可能となるようにガゼット部を有していることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、チャック部により袋体開口部を開閉することができ、チャック部の閉止時には気密性を保持し、飲食品等の内容物を袋体内部に保存することができる包装袋が使用されている。
このような包装袋の中には、飲食品等の内容物を袋体内部に保存したまま、電子レンジ等により飲食品等の内容物を加熱調理することができるものもある。
【0003】
特許文献1には、電子レンジ等により飲食品等の内容物を包装袋ごと加熱した際に、袋体の外に蒸気を十分に逃がすことができ、チャック部が意図せず外れてしまう虞がなく、且つ加熱による飲食品等の内容物への蒸らし効果を十分に得ることができる包装袋が開示されている。
【0004】
特許文献1にかかる発明は、上方に開口部を有する袋本体部と、前記袋本体部の前記開口部近傍の内部側表面に接着されているチャック部とを有する包装袋である。チャック部は、対向する位置で前記内部側表面に接着されている雄部及び第1基部を有する第1部分と雌部及び第2基部を有する第2部分とからなる。第1基部及び/又は第2基部は、前記内部側表面との間の一部に未接着領域を有し、未接着領域において、袋本体部の内部側表面と第1基部及び/又は前記第2基部との間には通気可能な少なくとも1つの通路が形成されており、通路における開口部側の端部の開口径は、前記袋本体部の底部側の端部の開口径よりも大きく、通路は、底部側の端部から底部側の端部の開口径と同じ開口径で延びる直線部と、直線部の端部から開口部側の端部に向かうにつれて開口径が拡大する拡大部とを有する。この通路の形状により、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋ごと加熱した際に、より容易且つ安定に袋本体部内に生じる蒸気を袋本体部の外に逃がすことができるとの記載がある。
【0005】
該通路は、袋本体内部と袋外部を連通するので、蒸気を外部に逃がすが、同時に袋本体に入れられた液体も該通路を通って袋外部に漏出し得る。そこで、食品メーカーにおいて袋内部に液体が封入されると、チャック部の上方の袋開口部は熱融着され開口部は完全封止される。これによって液体が袋外部に漏出することはない。しかし、該通路はチャック部(の第1基部及び/又は第2基部)と内部側表面との間に設けられ、通路とチャック部は分離した構成となっていないので、通路から漏出した液体はチャック部およびチャック部が接着されている開口部近傍の内部側表面全体に達し、開口部近傍の内部側表面全体を汚染してしまう。
【0006】
以上のように、従来の包装袋には、漏出した液体がチャック部同士の嵌合部より上側に上がりチャック部が接着されている開口部近傍の内部側表面を汚染することにより見栄えが悪いという問題点、消費者が食品メーカーにおいて熱融着された袋上部を切り裂いてチャック部を露出させたのちチャックを開口し液体に具材を足し入れようとした際、チャック部に漏出した液体が手指に付着するという問題点が存在した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、漏出した液体がチャック部同士の嵌合部より上側に上がりチャック部が接着されている開口部近傍の内部側表面を汚染することによる見栄えの悪化を回避し、消費者が食品メーカーにおいて熱融着された袋上部を切り裂いてチャック部を露出させたのちチャックを開口し液体に具材を足し入れようとした際、チャック部に漏出した液体が手指に付着することがなく、電子レンジ等により飲食品等の内容物を包装袋ごと加熱した際に、袋体の外に蒸気を十分に逃がすことができ、チャック部が意図せず外れてしまう虞がなく、且つ加熱による飲食品等の内容物への蒸らし効果を十分に得ることができる包装袋の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、上方に開口部を有する包装袋であって、前記包装袋は、表側を構成する表側フィルムと裏側を構成する裏側フィルムとを含み、当該包装袋の前記表側フィルムの内部側表面の開口部近傍にチャック部の第1部分が接着され、当該包装袋の前記裏側フィルムの内部側表面の開口部近傍に前記チャック部の第1部分と係合可能な前記チャック部の第2部分が接着され、前記包装袋は、底部から前記チャック部に至る袋下体部と、前記チャック部から前記開口部に至る袋上体部を含み、前記表側フィルムと前記チャック部の第1部分の間および/または前記裏側フィルムと前記チャック部の第2部分の間には、帯状フィルムが設けられ、前記帯状フィルムと前記表側フィルムおよび/または前記帯状フィルムと前記裏側フィルムの間には未接着部が設けられており、前記帯状フィルムの上下幅は、前記チャック部の上下幅よりも広く、前記未接着部は、前記袋下体部と前記袋上体部を通気可能とする少なくとも1つの通路を含み、前記通路以外の全面において前記帯状フィルムは前記表側フィルムおよび/または前記裏側フィルムに接着されており、前記通路の袋上体部側の開口幅は、前記通路の袋下体部側の開口幅よりも大きいことを特徴とする包装袋に関する。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記帯状フィルムは前記包装袋の内部から順に少なくとも第1組成物および第2組成物を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋に関する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記第1組成物の熱融着温度は前記第2組成物の熱融着温度と異なり、前記チャック部の第2部分と前記帯状フィルムを構成する前記第1組成物および/または前記チャック部の第1部分と前記帯状フィルムを構成する前記第1組成物が熱融着されていることを特徴とする請求項2に記載の包装袋に関する。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記袋上体部において前記帯状フィルムと前記表側フィルムおよび/または前記裏側フィルムの接着部分は前記通路を袋外部に対して封鎖することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の包装袋に関する。
【0013】
請求項5に係る発明は、電子レンジによる加熱が可能であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の包装袋に関する。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記通路の前記袋下体部側の開口幅と、前記通路の前記袋上体部側の開口幅の比率が、1:1.1~1:6であることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の包装袋に関する。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記通路は、前記チャック部が延びる方向において中心部に1つ設けられていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の包装袋に関する。
【0016】
請求項8に係る発明は、複数の前記通路は、互いに間隔を空けて設けられていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の包装袋に関する。
【0017】
請求項9に係る発明は、前記通路における前記袋下体部側の端部と前記袋上体部側の端部を夫々結ぶ両側の側部は、直線形状、曲線形状、あるいは直線と曲線を組み合わせた形状であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の包装袋に関する。
【0018】
請求項10に係る発明は、前記通路は、前記袋下体部側の開口から前記袋上体部側の開口と同じ開口幅で延びる直線部と、前記直線部の端部から前記袋上体部側の開口に向かうにつれて開口径が拡大する拡大部とを有することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の包装袋に関する。
【0019】
請求項11に係る発明は、前記直線部が、前記チャック部の第1部分および/または前記チャック部の第2部分を越えて前記袋上体部側まで延び、前記拡大部が、前記チャック部の第1部分および/または前記チャック部の第2部分よりも前記袋上体部側に位置していることを特徴とする、請求項10に記載の包装袋に関する。
【0020】
請求項12に係る発明は、前記底部が、前記包装袋が自立可能となるようにガゼット部を有していることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の包装袋に関する。
【発明の効果】
【0021】
請求項1にかかる発明によれば、上方に開口部を有する包装袋であって、前記包装袋は、表側を構成する表側フィルムと裏側を構成する裏側フィルムとを含み、当該包装袋の前記表側フィルムの内部側表面の開口部近傍にチャック部の第1部分が接着され、当該包装袋の前記裏側フィルムの内部側表面の開口部近傍に前記チャック部の第1部分と係合可能な前記チャック部の第2部分が接着され、前記包装袋は、底部から前記チャック部に至る袋下体部と、前記チャック部から前記開口部に至る袋上体部を含み、前記表側フィルムと前記チャック部の第1部分の間および/または前記裏側フィルムと前記チャック部の第2部分の間には、帯状フィルムが設けられ、前記帯状フィルムと表側フィルムおよび/または前記帯状フィルムと裏側フィルムの間には未接着部が設けられており、前記帯状フィルムの上下幅は、前記チャック部の上下幅よりも広く、前記未接着部は、前記袋下体部と前記袋上体部を通気可能とする少なくとも1つの通路を含み、前記通路以外の全面において前記帯状フィルムは前記表側フィルムおよび/または前記裏側フィルムに接着されており、前記通路の袋上体部側の開口幅は、前記通路の袋下体部側の開口幅よりも大きいので、漏出した液体がチャック部同士の嵌合部より上側に上がりチャック部が接着されている開口部近傍の内部側表面を汚染することによる見栄えの悪化が回避され、消費者が食品メーカーにおいて熱融着された袋上部を切り裂いてチャック部を露出させたのちチャックを開口し液体に具材を足し入れようとした際、チャック部に漏出した液体が手指に付着することがなく、電子レンジ等により飲食品等の内容物を包装袋ごと加熱した際に、袋体の外に蒸気を十分に逃がすことができ、チャック部が意図せず外れてしまう虞がなく、且つ加熱による飲食品等の内容物への蒸らし効果を十分に得ることができる。
また、前記包装袋は、底部から前記チャック部に至る袋下体部と、前記チャック部から前記開口部に至る袋上体部を含み、前記未接着部は、前記袋下体部と前記袋上体部を通気可能とする少なくとも1つの通路を含むので、電子レンジ等により飲食品等の内容物を包装袋ごと加熱した際に、通路を通して袋体の外に蒸気を十分に逃がすことができる。
さらに、通路以外の全面において前記帯状フィルムは前記表側フィルムおよび/または裏側フィルムに接着されており、前記通路の袋上体部側の開口幅は前記通路の袋下体部側の開口幅よりも大きいので、通路において底部側の端部から開口部側の端部に向けて圧力が低くなるように圧力差を形成できる。
【0022】
請求項2にかかる発明によれば、前記帯状フィルムは前記包装袋の内部から順に少なくとも第1組成物および第2組成物を含んでなるので、前記チャック部の第2部分と前記帯状フィルムを構成する前記第1組成物および/または前記チャック部の第1部分と前記帯状フィルムを構成する前記第1組成物が熱融着される。これにより食品メーカー等で包装袋に封入された液体調味料などの液体は包装袋から漏れることなく消費者まで輸送される。
【0023】
請求項3にかかる発明によれば、前記第1組成物の熱融着温度は前記第2組成物の熱融着温度と異なり、前記チャック部の第2部分と前記帯状フィルムを構成する前記第1組成物および/または前記チャック部の第1部分と前記帯状フィルムを構成する前記第1組成物が熱融着されているので、食品メーカー等で包装袋に封入された液体調味料などの液体は包装袋から漏れることなく消費者まで輸送できる。
【0024】
請求項4にかかる発明によれば、前記袋上体部において前記帯状フィルムと前記表側フィルムおよび/または前記裏側フィルムの接着部分は前記通路を袋外部に対して封鎖するので、食品メーカー等で液体調味料などの液体を包装袋に封入した状態で液体調味料などの液体を漏らすことなく液体調味料などの液体を消費者まで輸送できる。消費者は通路が封鎖された状態で液体調味料などの液体を輸送し、調理時に封鎖された部分を切り取る。そうすると前記通路は袋内部を外部と連通することになり、電子レンジ等により飲食品等の内容物を包装袋ごと加熱した際に、通路を通して袋体の外に蒸気を十分に逃がすことができる。
【0025】
請求項5にかかる発明によれば、電子レンジによる加熱が可能であるため、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋ごと加熱調理することができる。
【0026】
請求項6にかかる発明によれば、前記通路の前記袋下体部側の開口幅と、前記通路の前記袋上体部側の開口幅の比率が、1:1.1~1:6であるため、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋ごと加熱した際に、通路において底部側の端部から開口部側の端部に向けて圧力が低くなるように大きな圧力差を形成できる。
形成された大きな圧力差のため、袋下体部の蒸気を外部に円滑に放出することができる。電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋ごと加熱した際に、チャック部同士の嵌合部が外れない程度に袋内の圧力を保持することができ、下体部側の開口幅を小さくする事で急激な蒸気抜けを抑えることができるため、加熱による飲食品等の内容物への蒸らし効果を十分に得ることができる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、前記通路は、前記チャック部が延びる方向において中心部に1つ設けられているため、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋ごと加熱した際に、より容易に包装袋内に生じる蒸気を包装袋の外に逃がすことができる。
さらに、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋ごと加熱した際に、包装袋内の蒸気が、前記チャック部が延びる方向の中心部から抜けるため、包装袋の変形を防ぐことができ、より容易且つ安定に請求項1乃至6に係る発明の効果を奏することができる。
【0028】
請求項8に係る発明によれば、複数の前記通路は、互いに間隔を空けて設けられているため、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋ごと加熱した際に、より容易且つ安定に包装袋内に生じる蒸気を包装袋の外に逃がすことができる。
【0029】
請求項9に係る発明によれば、前記通路における前記袋下体部側の端部と前記袋上体部側の端部を夫々結ぶ両側の側部は、直線形状、曲線形状、あるいは直線と曲線を組み合わせた形状であるため、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋ごと加熱した際に、抜けていく蒸気の量を所望の量に調整することができる。
また、装飾性の高い形状に通路を形成することができる。
【0030】
請求項10に係る発明によれば、前記通路は、前記袋下体部側の開口から前記袋上体部側の開口と同じ開口幅で延びる直線部と、前記直線部の端部から前記袋上体部側の開口に向かうにつれて開口径が拡大する拡大部とを有するため、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋ごと加熱した際に、より容易且つ安定に包装袋内部に生じる蒸気を包装袋の外に逃がすことができる。
【0031】
請求項11に係る発明によれば、前記直線部が、前記チャック部の第1部分および/または前記チャック部の第2部分を越えて前記袋上体部側まで延び、前記拡大部が、前記チャック部の第1部分および/または前記チャック部の第2部分よりも前記袋上体部側に位置しているため、通路の直線部は膨らみ難くすることができ、拡大部は膨らみ易くすることができる。
これにより、内容物が通路の直線部から包装袋の外に漏れ出ることを防止でき、且つ拡大部の通路が膨らみ易いため、通路において袋下体部側の端部から袋上体部側の端部に向けて圧力が低くなるように圧力差をより容易に形成することができ、蒸気を包装袋の外に排出し易くすることができる。
【0032】
請求項12に係る発明によれば、前記底部が、前記包装袋が自立可能となるようにガゼット部を有しているため、電子レンジ等で飲食品等の内容物を本発明の包装袋ごと加熱する際、包装袋を直立させた状態にすることができ、より容易且つ安定に包装袋内に生じる蒸気を包装袋の外に逃がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1の(a)は、本発明に係る包装袋の正面図であり、
図1の(b)は
図1の(a)の領域Xで示した部分の説明図である。
【
図2】
図2の(a)は、
図1に示した包装袋のA-A線断面図であり、
図2の(b)は
図2の(a)の領域Yで示した部分の拡大図である。
【
図3】
図3の(a)は、
図1に示した包装袋のB-B線断面図であり、
図3の(b)は、
図1に示した包装袋のC-C線断面図である。
【
図4】
図4の(a)は、
図1に示した包装袋の立体展開図であり、
図4の(b)は
図4の(a)の領域Zで示した部分の拡大図である。
【
図5】
図5の(a)は、
図1に示した包装袋のB-B線断面図であって通路封鎖部を切り取る前の状態を示した図であり、
図5の(b)は、
図1に示した包装袋のC-C線断面図であって通路封鎖部を切り取る前の状態を示した図であり、
図5の(c)は、
図1に示した包装袋のB-B線断面図であって通路封鎖部を切り取り後の状態を示した図であり、
図5の(d)は、
図1に示した包装袋のC-C線断面図であって通路封鎖部を切り取り後の状態を示した図である。
【
図6】
図6の(a)は本発明に係る包装袋の食品メーカーなどが食品等を充填しつつある状態の正面図である。
図6の(b)は
図6の(a)に示した包装袋のB-B線断面図である。
図6の(c)は
図6の(a)に示した包装袋のC-C線断面図である。
【
図7】
図7の(a)は本発明に係る包装袋の食品メーカーなどが出荷する状態の正面図である。
図7の(b)は
図7の(a)に示した包装袋のB-B線断面図である。
図7の(c)は
図7の(a)に示した包装袋のC-C線断面図である。
【
図8】
図8の(a)は本発明に係る包装袋の消費者が電子レンジで調理する前の状態の正面図である。
図8の(b)は
図8の(a)に示した包装袋のB-B線断面図である。
図8の(c)は
図8の(a)に示した包装袋のC-C線断面図である。
【
図9】
図9の(a)は本発明に係る包装袋の消費者が電子レンジで調理している最中の状態の正面図である。
図9の(b)は
図9の(a)に示した包装袋のB-B線断面図である。
図9の(c)は
図9の(a)に示した包装袋のC-C線断面図である。
【
図10】
図10の(a)は本発明に係る包装袋の消費者が調理済みの食品を取り出す状態の正面図である。
図10の(b)は
図10の(a)に示した包装袋のB-B線断面図である。
図10の(c)は
図10の(a)に示した包装袋のC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る包装袋の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1の(a)は、本発明に係る包装袋の正面図であり、
図1の(b)は
図1の(a)の領域Xで示した部分の説明図である。
図2の(a)は、
図1に示した包装袋のA-A線断面図であり、
図2の(b)は
図2の(a)の領域Yで示した部分の拡大図である。
図3の(a)は、
図1に示した包装袋のB-B線断面図であり、
図3の(b)は、
図1に示した包装袋のC-C線断面図である。
図4の(a)は、
図1に示した包装袋の立体展開図であり、
図4の(b)は
図4の(a)の領域Zで示した部分の拡大図である。
図5の(a)は、
図1に示した包装袋のB-B線断面図であって通路封鎖部を切り取る前の状態を示した図であり、
図5の(b)は、
図1に示した包装袋のC-C線断面図であって通路封鎖部を切り取る前の状態を示した図であり、
図5の(c)は、
図1に示した包装袋のB-B線断面図であって通路封鎖部を切り取り後の状態を示した図であり、
図5の(d)は、
図1に示した包装袋のC-C線断面図であって通路封鎖部を切り取り後の状態を示した図である。
図6の(a)は本発明に係る包装袋の食品メーカーなどが食品等を充填しつつある状態の正面図である。
図6の(b)は
図6の(a)に示した包装袋のB-B線断面図である。
図6の(c)は
図6の(a)に示した包装袋のC-C線断面図である。
図7の(a)は本発明に係る包装袋の食品メーカーなどが出荷する状態の正面図である。
図7の(b)は
図7の(a)に示した包装袋のB-B線断面図である。
図7の(c)は
図7の(a)に示した包装袋のC-C線断面図である。
図8の(a)は本発明に係る包装袋の消費者が電子レンジで調理する前の状態の正面図である。
図8の(b)は
図8の(a)に示した包装袋のB-B線断面図である。
図8の(c)は
図8の(a)に示した包装袋のC-C線断面図である。
図9の(a)は本発明に係る包装袋の消費者が電子レンジで調理している最中の状態の正面図である。
図9の(b)は
図9の(a)に示した包装袋のB-B線断面図である。
図9の(c)は
図9の(a)に示した包装袋のC-C線断面図である。
図10の(a)は本発明に係る包装袋の消費者が調理済みの食品を取り出す状態の正面図である。
図10の(b)は
図10の(a)に示した包装袋のB-B線断面図である。
図10の(c)は
図10の(a)に示した包装袋のC-C線断面図である。
【0035】
[表面フィルムと裏側フィルム]
図1および
図2によれば、本発明にかかる包装袋(1)は、表側フィルム(2)と裏側フィルム(3)を重ね、重ねた表側フィルム(2)と裏側フィルム(3)を熱融着にて閉塞する左端(4)、右端(5)および底部(6)を備えている。
【0036】
表側フィルム(2)と裏側フィルム(3)のシール方法は特に限定されず、熱融着等、通常用いられるシールの方法であれば、いかなるものでも用いることができる。
例えば、熱融着の場合、互いに対向する表側フィルム(2)と裏側フィルム(3)の互いに対向する一対の辺を熱融着によって融着することができる。さらに、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)系、PO(ポリオレフィン)系、PA(ポリアミド)系、SR(合成ゴム(スチレンゴム))系、ACR(アクリル)系、PUR(ポリウレタン樹脂)系等のホットメルト接着剤等、熱融着に通常用いられている接着剤を用いてもよい。
尚、熱融着は叙上の方法に限定されず、互いに対向する表側フィルム(2)と裏側フィルム(3)の互いに対向する一対の辺を融着することができるものであり、当業者に自明のものであればいかなるものでも用いることができる。
【0037】
表側フィルム(2)と裏側フィルム(3)の材質は、いかなるものを用いてもよいが、好適には、袋の外面側が基材層、袋の内面側がシーラント層であるものが好ましい。
基材層としては、たとえば、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、無延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ナイロンフィルム、セルロース系フィルム、合成紙などがあげられる。これらの材料は、リサイクル、バイオマス由来の原料を用いた材料であってもよい。基材層は、2層以上で構成していてもよい。
また、基材層は、ガスバリア層、接着性樹脂層、アンカーコーティング層、蒸着層(セラミックス蒸着層等)、印刷層、トップコート層などを有していてもよい。
ガスバリア層としては、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、アクリル酸系樹脂、有機系材料、無機化合物等を使用することができる。
基材層の厚みは、所定の強度を有する限りにおいて任意であるが、たとえば12~120μm程度とすることが多い。
【0038】
シーラント層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体等のポリエチレン系樹脂、CPPと称されるポリプロピレン系樹脂をはじめ、熱融着性を有する種々の樹脂の層があげられる。これらの材料は、リサイクル、バイオマス由来の原料を用いた材料であってもよい。シーラント層は、2層以上構成してもよい。シーラント層の厚みにも特に限定はないが、たとえば、10~250μm程度、殊に20~200μm程度とすることが多い。
【0039】
各層間の積層は、蒸着層の形成の場合を除き、ドライラミネート(DL)法、ウエットラミネート法、流延法、サンドラミネート法、共押出法、エクストルージョンコーテイング法、印刷法などの方法によりなされる。
【0040】
本発明における好適な例として、基材層に使用される合成樹脂フィルムの材料として,215~225℃の融点を有する二軸延伸ナイロン(ONY)、又は265℃の融点を有するポリエチレンテレフタレート(PET)を使用する場合は,シーラント層に使用される合成樹脂フィルムの材料として、105~115℃の融点を有する低密度ポリエチレン(LDPE)、110~130℃の融点を有する中密度ポリエチレン(MDPE)、125~130℃の融点を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、135~150℃の融点を有する高密度ポリエチレン(HDPE)、135~165℃の融点を有する無延伸ポリプロピレン(CPP)が選択され得る。
【0041】
[チャック部]
図1乃至
図4に示すように、本発明にかかる包装袋(1)は、さらに、包装袋(1)の開口部(7)近傍の内部側表面に接着されたチャック部(8)を有する。チャック部(8)は、線状の第1部分(9)と、当該第1部分(9)と係合自在な線状の第2部分(10)とからなる。
尚、本発明に係るチャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)の構造は特に限定されない。第1部分(9)と第2部分(10)は、係合、脱離を繰り返し行うことができ、チャック部(8)の雄部と雌部(あるいはその逆)として通常用いられる構造であれば、いかなるものでも用いることができる。
【0042】
図2の(a)および
図4(a)に示されるように、チャック部(8)の第1部分(9)は、表側フィルム(2)および裏側フィルム(3)の横幅に等しい長さを有する。チャック部(8)の第1部分(9)は、チャック部(8)の第1部分の第1先端部(11)および第2先端部(12)が、表側フィルム(2)の左端(4)および右端(5)にそれぞれ達するように、前記表側フィルム(2)の内面に接着されている。
チャック部(8)の第2部分(10)は、表側フィルム(2)および裏側フィルム(3)の横幅に等しい長さを有する。チャック部(8)の第2部分(10)は、チャック部(8)の第1部分(9)に対向する位置に、帯状フィルム(24)を介して裏面フィルム(3)の内面に接着されている。
【0043】
[帯状フィルム]
図2(a)および
図4(a)に示されるように、帯状フィルム(24)は、表側フィルム(2)および裏側フィルム(3)の横幅に等しい長さを有している。
チャック部の第2部分の第1先端部(13)および第2先端部(14)が、前記帯状フィルム(24)の左端(15)および右端(16)にそれぞれ達するように、帯状フィルムの第1面(18)(
図2の(b)参照)に接着されている。
【0044】
前記帯状フィルムの第2面(17)(
図2の(b)参照)は、まず帯状フィルムの第1面(18)に接着されたチャック部(8)の第2部分(10)がチャック部(8)の第1部分(9)と対向する位置となるように、ついで帯状フィルムの左端(15)および右端(16)が前記裏側フィルム(3)の左端(4)と右端(5)に達するように、しかる後に帯状フィルム(24)の1つの長辺(19)が裏側フィルム(3)の開口部(7)の端部と一致するように裏側フィルム(3)の内面に接着されている。
【0045】
帯状フィルム(24)は、包装袋(1)の内部から順に少なくとも第1組成物、第2組成物を含むことが好ましく、当該第1組成物および第2組成物は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)であってもよい。第1組成物の熱融着温度は第2組成物の熱融着温度に比べて低いことが望ましい。なお、帯状フィルムは、第1組成物、第2組成物に加えて第3組成物を含むものが本発明に含まれることは言うまでもない。
限定されるものではないが、
図2に示された構成によれば、第1組成物の熱融着温度が第2組成物の熱融着温度に比べて低いことで、熱融着により帯状フィルム(24)の第1面(18)とチャック部(8)の第2部分(10)は接着がなされ、調理前における包装袋(1)からの液体漏出を回避できる。一方、帯状フィルム(24)の第2面(17)と裏側フィルム(3)が接着しないことで、調理時に機能し袋下体部(22)と袋上体部(23)を通気可能とする通路(30)を帯状フィルム(24)の第2面(17)と裏側フィルム(3)の間に作製することができる。
【0046】
[未接着部分]
ただし、帯状フィルム(24)の第2面(17)は、裏側フィルム(3)の内面に全ての部分で接着されているわけではなく、一部接着されていない未接着部分(21)を含む。該未接着部分(21)は、
図1、および
図2および
図4において示されているように、帯状フィルム(24)の長手方向の中央部に設けられている。未接着部分(21)は、
図1の(b)、
図4の(b)に示されるように、後述する通路(30)と、通路(30)の上方に存在する開口空間部(33)よりなる。
【0047】
未接着部分(21)と接着がなされている部分の縦断面の構造は
図3に示されている。
図3の(a)に示されるように、帯状フィルム(24)はB-B断面においては縦方向の一部しか裏側フィルム(3)の内面と接着がなされていないのがわかる。この接着されていない領域が前述の未接着部分(21)である。
一方、
図3の(b)に示されるように、C-C線で切断した断面においては、未接着部分(21)は存在しないので、帯状フィルム(24)は縦方向のすべての領域にわたって裏側フィルム(3)の内面と接着している。
【0048】
包装袋(1)は、底部(6)からチャック部(8)に至る袋下体部(22)と、チャック部(8)から開口部(7)に至る袋上体部(23)を含んでいる。
未接着部分(21)は、袋下体部(22)と袋上体部(23)との、2つの部分にまたがって設けられている。よって前記2つの部分を連通する未接着部分(21)の一部は通路(30)として機能する。
なお
図3に示された実施形態では、裏側フィルム(3)とチャック部(8)の第2部分(10)の間に帯状フィルム(24)が挿入され、帯状フィルム(24)の第2面(17)と裏側フィルム(3)の間に未接着部分(21)が設けられる構成を例示的に示しているが、本実施形態にかかる包装袋(1)はこの構成に限定されるものではない。
例えば、表側フィルム(2)とチャック部(8)の第1部分(9)の間に帯状フィルム(24)が挿入されてもよく、その際には帯状フィルム(24)の第2面(17)と表側フィルム(2)の間に未接着部分(21)が設けられていてもよい。また未接着部分(21)は帯状フィルム(24)の第2面(17)と表側フィルム(2)の間および、帯状フィルム(24)の第2面(17)と裏側フィルム(3)の間の両者に設けられていてもよい。
【0049】
[通路]
図1の(b)、
図4の(b)に示すように、通路(30)は、袋下体部(22)にある直線部(31)と、直線部(31)の端部から前記上体部側の端部に向かうにつれて開口径が拡大する逆台形状の拡大部(32)を含む。
直線部(31)は、チャック部(8)の第2部分(10)を越えて上体部側まで延びている。
拡大部(32)は、チャック部(8)の第2部分(10)よりも上体部側に位置している。拡大部(32)のために袋上体部側の開口の幅(36)は前記袋下体部側の開口の幅(35)よりも大きい。
【0050】
[通路封鎖部]
図1の(b)、
図4の(b)および
図3の(a)に示されるように、開口部(7)の端部近傍では、帯状フィルムの第2面(17)が裏側フィルム(3)の内面と接着されている領域(34)がある。この接着されている部分(以下通路封鎖部(34)という)は、通路(30)を袋外部に対して封鎖している。
通路封鎖部(34)のために、袋下体部(22)は、袋上体部(23)の未接着部分(21)と連通するものの、袋外部とは連通していない。
【0051】
通路封鎖部(34)は、予め切り取ることが想定されている。どのような局面で切り取るかについては後述する。
図5の(a)および(b)は、通路封鎖部(34)を切り取る前のB-B断面およびC-C断面をそれぞれ示し、
図5の(c)および(d)は、通路封鎖部(34)を切り取った後のB-B断面およびC-C断面をそれぞれ示している。通路封鎖部(34)を切り取る前にはB-B断面では通路封鎖部(34)により袋外部と袋下体部(22)は連通されていない。通路封鎖部(34)を切り取ることにより、B-B断面においては帯状フィルム(24)と裏側フィルム(3)の間の通路(30)は袋の外部と連通するようになる。C-C断面の状態は、通路封鎖部(34)を切り取る前も切り取った後も変化はないので、袋外部と袋下体部(22)を連通することは無い。このように通路封鎖部(34)を切り取ることにより、袋外部と袋下体部(22)の連通がB-B断面において可能になる。
【0052】
[本発明にかかる包装袋を用いた調理手順]
図6乃至
図10は、本発明にかかる包装袋(1)に液体調味料(40)などの液体を封入、輸送し調理するプロセスを示したものである。まず、食品メーカーは、
図6の(b)および
図6の(c)に示すようにチャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)を開いて袋下体部(22)を外部に対して開放状態にしたうえで、外部より液体調味料(40)などの液体を入れる。
図6の(a)は液体調味料(40)などの液体を入れた状態の正面図を示す。
【0053】
次いで、食品メーカーは袋上体部(23)の上端において表側フィルム(2)と裏側フィルム(3)に接合した帯状フィルム(24)を熱融着し熱融着部分(41)を作製する。熱融着した後の正面図を
図7の(a)に、B-B断面図を
図7の(b)にC-C断面を
図7の(c)に示す。こうすることにより、万が一チャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)が何らかの原因で開放してしまったとしても、袋下体部(22)の液体調味料(40)などの液体は熱融着部分(41)でブロックされ袋外部に漏洩することは無い。この状態で、袋下体部(22)に封入された液体調味料(40)などの液体は輸送され、消費者まで届けられる。
【0054】
しかる後にに、消費者は調理時に通路封鎖部(34)を
図7の(a)に示す切り取り線(37)で切り取る。切り取り線(37)は、レーザー照射によるハーフカット加工によって作成されてもよい。切り取り線(37)の両端部には切り欠き(38)があってもよい。切り取った後の正面図を
図8の(a)に、B-B断面図を
図8の(b)に、C-C断面を
図8の(c)にそれぞれ示す。通路封鎖部(34)の切り取りは2つの意味がある。1つは、表側フィルム(2)と裏側フィルム(3)の熱融着部分(41)を開放することである。これにより、消費者はチャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)にアクセスが可能になる。消費者はチャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)を開放して液体調味料(40)などの液体に触れることが可能になる。もう1つの意味は、前述のようにB-B断面において通路(30)による袋外部と袋下体部(22)の連通を可能にすることである。
【0055】
その上さらに、
図8の(b)に示すように、消費者はチャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)を開口して液体調味料(40)などの液体に野菜や肉などの具材(42)を投入する。このとき、
図8の(b)に示すように、B-B断面には、袋下体部(22)と袋外部を連通する通路(30)が設けられているので、該通路(30)は、袋下体部(22)に封入された液体調味料(40)などの液体で汚染されている可能性がある。しかし、該通路(30)部分は、前述のように帯状フィルム(24)と裏側フィルム(3)の間に設けられており、帯状フィルム(24)がチャック部(8)と通路(30)を分離しているので、通常の使用であれば、通路(30)部分の汚染はチャック部(8)に及ぶことはない。仮に何らかの原因でB-B断面のチャック部(8)が汚染されたとしても、C-C断面には通路(30)自体は備えられていないので、袋下体部(22)に封入された液体調味料(40)などの液体がC-C断面においてチャック部(8)を汚染することは無い。
【0056】
B-B断面およびC-C断面を含む包装袋(1)の幅方向の任意の場所において、チャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)を指(43)でつまんで広げることで、消費者は噴出した液体調味料(40)などの液体に触れることなくチャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)を開口することができる。また、B-B断面以外の部分(例えばC-C断面)においてチャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)を指(43)でつまんで広げるのであれば、消費者はB-B断面を指(43)でつまんで広げるのに比べて、さらに確実に、噴出した液体調味料(40)などの液体に触れることはなく、チャック部(8)を開口することができる。
図8の(c)のC-C断面の図は指(43)でチャック部(8)をつまんで外し開口する様子を示している。
この後に消費者はチャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)を
図9の(a)、(b)および(c)に示すように封鎖する。封鎖したとしても、袋外部と袋下体部(22)は通路(30)によって連通が確保されている。よって電子レンジで加熱を行った際に袋下体部(22)内に生じる蒸気を外部に逃がすことができるので、袋内部の蒸気圧が異常に高くなることは無く、チャック部(8)が意図せず外れてしまう虞がなく、チャック部同士の嵌合部が外れない程度に袋内の圧力を保持することができ、容易且つ安全に液体調味料(40)などの液体および具材(42)を加熱調理することができる。
図9の(b)に示されるように、B-B断面の帯状フィルム(24)と裏側フィルム(3)の間の通路(30)から加熱調理によって生じた蒸気が排出される。
図9の(c)に示されるように、C-C断面には通路が無いので蒸気は排出されない。
【0057】
またさらに、消費者は調理後の料理を袋から取り出す。料理を袋から取り出す様子を
図10に示す。
図10の(b)に示すように、B-B断面には、袋下体部(22)と袋外部を連通する通路(30)が設けられているので、該通路(30)は、蒸気とともに噴出した液体調味料(40)などの液体で汚染されている可能性がある。しかし、前述の理由により通常の使用であれば通路(30)部分の汚染はチャック部(8)に及ぶことはない。
【0058】
B-B断面およびC-C断面を含む包装袋(1)の幅方向の任意の場所において、チャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)を指(43)でつまんで広げることで、消費者は噴出した液体調味料(40)などの液体に触れることなくチャック部(8)の第1部分(9)と第2部分(10)を開放することができる。
図10の(c)のC-C断面を示す図は、指(43)でチャック部(8)をつまんで外し開口する様子を示している。
【0059】
背景技術において説明した特許文献1に係る包装袋では、袋下体部(22)と袋外部を連通する通路(30)はチャック部(8)と裏側フィルム(3)の内面の間に設けられており、通路(30)とチャック部(8)は分離した構成では無かったので、通路(30)から漏出した液体が、チャック部(8)およびチャック部(8)が接着されている開口部(7)近傍の内部側表面全体を汚染し、チャック部(8)を開放する際に指を汚してしまうという問題があった。
【0060】
本発明に係る包装袋では、チャック部(8)は帯状フィルム(24)を介して裏側フィルム(3)に接着されるとともに、帯状フィルム(24)と裏側フィルム(3)の間は接着されない通路(30)が設けられ、帯状フィルム(24)と、チャック部(8)の間は接着されることで、通路(30)とチャック部(8)は分離した構成となり、通路(30)から漏出した液体の汚染はチャック部(8)に達することは無い。結果としてチャック部(8)を開口するときに指を汚してしまうという問題を回避できる。
【0061】
[通路の形状]
通路(30)の形状について説明する。通路の形状は電子レンジでの調理の過程に非常に重要な役割を果たす。
図1の(b)に示す如く、本発明の包装袋(1)において、通路(30)における袋上体部側の開口(36)長さは前記袋下体部側の開口(35)長さよりも大きい。
開口幅の差により、電子レンジでの調理において袋下体部(22)内部で水蒸気が発生した場合、通路(30)の袋下体部側の開口から袋上体部側の開口に向けて圧力が低くなるように圧力差を形成できる。
この圧力差は、袋下体部(22)の圧力を袋外部の圧力に比べて若干高くする。しかし、同時に圧力差は、袋下体部側の開口から袋上体部側の開口に向けて蒸気の流れを作り出す。この蒸気の流れは蒸気を外部に放出し、袋下体部(22)の過度な圧力上昇を抑制する。袋下体部(22)の圧力を袋外部の圧力に比べて若干高くすることにより加熱による飲食品等の内容物への蒸らし効果を十分に得ることができ、また袋下体部(22)の過度な圧力上昇を抑制することによりチャック部(8)が意図せず外れてしまう虞がない。
【0062】
通路(8)における袋上体部側の開口(36)の長さと前記袋下体部側の開口(35)の長さの比率は特に限定されないが、1:1.1~1:6であることが望ましい。
上記比率が1:1.1よりも小さい(すなわち1:<1.1)と、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋(1)ごと加熱した際に、袋下体部側の開口(35)と袋上体部側の開口(36)の間の圧力差が小さいため、通路(30)の袋上体部側の開口(36)からうまく蒸気が抜けない虞があり、望ましくない。
上記比率が1:6よりも大きい(すなわち1:>6)と、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋(1)ごと加熱した際に、通路(30)の袋上体部側の開口(36)から蒸気が抜け過ぎてしまう虞があり、望ましくない。
それゆえに、通路(4)における袋上体部側の開口(36)の長さと袋下体部側の開口幅(35)の比率は、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋(1)ごと加熱した際に、袋下体部(22)の外に蒸気を十分に逃がすことができ、チャック部(3)が意図せず外れてしまう虞がなく、且つ加熱による飲食品等の内容物への蒸らし効果を十分に得ることができる、1:1.1~1:6であることが望ましい。
【0063】
通路(30)の袋下体部側の開口幅(35)と袋上体部側の開口(36)の長さの大きさは特に限定されず、本発明の包装袋(1)の大きさや所望の蒸気の抜け量に応じて適宜選択することが望ましい。
叙上の通り、通路(30)の袋下体部側の開口(35)の長さは適宜選択され得るが、例えば、5mm以上50mm以下であり得る。
例えば、通路(30)の袋下体部側の開口(35)の長さが5mmである場合、通路(30)の袋上体部側の開口(36)の長さは5.5mm以上30mm以下であることが望ましい。
【0064】
本発明の包装袋(1)に設けられる通路(30)の数や位置は特に限定されず、本発明の包装袋(1)の大きさや所望の蒸気の抜け量に応じて適宜選択することが望ましい。
本発明の包装袋(1)に通路(30)を1つ設ける場合、通路(30)は、包装袋(1)における幅方向の中心部に設けることが望ましい。
通路(30)を包装袋(1)におけるチャック部(8)の中心部に設けることにより、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋(1)ごと加熱した際に、蒸気が包装袋(1)におけるチャック部(8)の中心部から抜けるため、包装袋(1)の形状が大きく変形することなく蒸気を抜くことができ、より容易且つ安定に袋下体部(2)内に生じる蒸気を包装袋(1)の外に逃がすことができる。
しかしながら、通路(30)をチャック部(8)の中心部以外に設けた場合であっても、本発明の効果を奏することができる。
【0065】
また、通路(30)は、チャック部(8)に沿って複数設けても良い。複数の通路(30)は、互いに間隔を空けて設けられる。
通路(30)を複数設けることにより、電子レンジ等により飲食品等の内容物を本発明の包装袋(1)ごと加熱した際に、より容易且つ安定に袋下体部内に生じる蒸気を包装袋(1)の外に逃がすことができる。
【0066】
上記の通り、通路(30)は、袋上体部側の開口(36)の長さが袋下体部側の開口(35)長さよりも大きい形状であればいかなる形状であっても良く、通路(30)における袋下体部側の開口(35)の端部と袋上体部側の開口(36)の端部を夫々結ぶ両側の側部は、直線形状、曲線形状、あるいは直線と曲線を組み合わせた形状であってもよい。
【実施例】
【0067】
次に本発明の包装袋の実施例を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
本発明にかかる包装袋を作製した後、包装袋の機能についてチェックを行った。
第1に、チャック部と帯状フィルムの間の熱融着部の液漏れ試験を行った。包装袋に水を充填し、逆さにした状態で圧をかけてチャック部と帯状フィルムの間の熱融着部から液漏れが無いか否かを確認した。さらにエージレスチェッカー液をチャック部と帯状フィルムの間の熱融着部に吹きかけ、液漏れの有無を確認した。
5つのサンプルに対して試験を行った。表1に結果を示す。その結果、全てのサンプルに対して液漏れは確認されなかった。
【0068】
【表1】
第2に、電子レンジによる加熱実験を行った。包装袋に水200mLを充填し、電子レンジ(600W 3分)の加熱を行った。5つのサンプルに対して試験を行った。表2に結果を示す。その結果、加熱により通路より蒸気の導通が確認されたが、レンジアップ中にチャック部(8)同士の嵌合が外れることはなかった。
【0069】
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、漏出した液体がチャック部同士の嵌合部より上側に上がりチャック部が接着されている開口部近傍の内部側表面を汚染することによる見栄えの悪化を回避し、消費者が食品メーカーにおいて熱融着された袋上部を切り裂いてチャック部を露出させたのちチャックを開口し液体に具材を足し入れようとした際、チャック部に漏出した液体が手指に付着することがなく、電子レンジ等により飲食品等の内容物を包装袋ごと加熱した際に、袋体の外に蒸気を十分に逃がすことができ、チャック部が意図せず外れてしまう虞がなく、且つ加熱による飲食品等の内容物への蒸らし効果を十分に得ることができる包装袋の提供を課題とするために好適に利用される。
【符号の説明】
【0071】
1 包装袋
2 表側フィルム
3 裏側フィルム
6 底部
7 開口部
8 チャック部
9 チャック部の第1部分
10 チャック部の第2部分
21 未接着部分
22 袋下体部
23 袋上体部
24 帯状フィルム
30 通路
31 直線部
32 拡大部
35 通路の袋下体部側の開口幅
36 通路の袋上体部側の開口幅