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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】吸音構造体
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/172 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G10K11/172
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021211606
(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公開番号】P2023095611
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】柳谷 有範
(72)【発明者】
【氏名】宮下 長武
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-117553(JP,A)
【文献】特開昭61-249853(JP,A)
【文献】国際公開第2020/107080(WO,A1)
【文献】特開2020-190641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状のベース部と、
前記ベース部の一面であるベース面から突出するとともに内部が空洞の第1凸部と、
前記ベース部と前記第1凸部とで区画形成される主室と、
前記ベース面から突出するとともに内部が空洞の第2凸部と、
前記ベース部と前記第2凸部とで区画形成された空間を含む副室と、
前記第1凸部と前記第2凸部との間で前記ベース面に沿って延び、前記第1凸部の内部と前記第2凸部の内部とを連通させる連通部と、を備え、
前記第1凸部には、前記第1凸部の内外を繋ぐとともに音波が通過する通過孔が位置する吸音構造体。
【請求項2】
前記吸音構造体は、前記ベース面から突出するとともに内部が空洞の第3凸部を備え、
前記第2凸部の内部と前記第3凸部の内部とは互いに連通しており、
前記副室は、前記ベース部と前記第2凸部とで区画形成された空間、及び前記ベース部と前記第3凸部とで区画形成された空間を含む請求項1に記載の吸音構造体。
【請求項3】
前記第1凸部を複数備え、
前記連通部は、複数の前記第1凸部の各々の内部と前記第2凸部の内部とを連通させる請求項1又は請求項2に記載の吸音構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の吸音構造体は、内部が空洞の吸音部を複数備えている。複数の吸音部は、内部空間の容積が互いに異なっているため、吸音される音の周波数領域が互いに異なっている。これにより、特許文献1に記載の吸音構造体は、幅広い吸音領域での吸音を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-30396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、幅広い吸音領域を持たせるために吸音部の内部空間の容積を大きくすると、吸音部が大型化することにより、吸音構造体の設置スペースが増大するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための吸音構造体は、シート状のベース部と、前記ベース部の一面であるベース面から突出するとともに内部が空洞の第1凸部と、前記ベース部と前記第1凸部とで区画形成される主室と、前記ベース面から突出するとともに内部が空洞の第2凸部と、前記ベース部と前記第2凸部とで区画形成された空間を含む副室と、前記第1凸部と前記第2凸部との間で前記ベース面に沿って延び、前記第1凸部の内部と前記第2凸部の内部とを連通させる連通部と、を備え、前記第1凸部には、前記第1凸部の内外を繋ぐとともに音波が通過する通過孔が位置する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態における吸音シートを示す断面図である。
図2】吸音シートの取付態様を示す分解斜視図である。
図3】第1実施形態における吸音シートを示す斜視図である。
図4】第1実施形態における突出板部を示す斜視図である。
図5】第2実施形態における吸音シートを示す斜視図である。
図6図5の6-6線における断面図である。
図7】第3実施形態における吸音シートを示す斜視図である。
図8図7の8-8線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態における吸音構造体について説明する。
<吸音シート22の取り付け箇所>
図2に示すように、吸音構造体としての吸音シート22は、車両20の一部を構成するダッシュパネル21に取り付けられている。ダッシュパネル21は、車両20の前部に設けられている。ダッシュパネル21は、金属材料によって形成されている。ダッシュパネル21の材料としては、例えば鋼材が挙げられる。ダッシュパネル21は板状である。ダッシュパネル21は、車室とエンジン室とを隔てるように延びている。
【0008】
<吸音シート22の構造>
吸音シート22は、ダッシュパネル21の車室側の面を覆うように、ダッシュパネル21に取り付けられている。吸音シート22は、シート状のベース部25を備えている。吸音シート22は、ベース部25に突出板部30が重ねられた二層構造をなしている。
【0009】
ベース部25及び突出板部30は、硬質の合成樹脂材料によって形成されている。ベース部25及び突出板部30の材料としては、例えばポリプロピレンが挙げられる。ベース部25及び突出板部30は、互いに重ねられた状態で一体に固定されている。突出板部30は、ベース部25よりも車両前方側であるダッシュパネル21側に位置している。
【0010】
<突出板部30の構造>
図1及び図3に示すように、突出板部30は、ベース部25の一面であるベース面25aに沿って配置されている。突出板部30は、ベース面25aの略全体にわたって設けられている。ベース面25aは、ベース部25の両面のうち、ダッシュパネル21側に位置する面である。
【0011】
突出板部30は、凸部30aを複数備えている。凸部30aは、複数の第1凸部31と複数の第2凸部32とを備えている。すなわち、吸音シート22は、第1凸部31と第2凸部32とを備えている。第1凸部31及び第2凸部32の各々は、ベース部25のベース面25aから突出している。第1凸部31及び第2凸部32は、車両前方に向かって、言い換えれば騒音発生源であるエンジン室に向かって突出している。ベース面25aの略全体に突出板部30が設けられているため、第1凸部31及び第2凸部32は、ベース部25よりも車両前方の位置にて複数ずつ位置している。
【0012】
第1凸部31及び第2凸部32の各々は、筒部33及び蓋部34を備えている。筒部33は円筒状である。筒部33の軸線は、ベース部25のベース面25aに直交する方向に延びている。蓋部34は、円形の平板状である。蓋部34は、筒部33の第1開口端33aを閉塞している。筒部33の両端のうち、蓋部34によって閉塞されない第2開口端33bは、ベース部25のベース面25aに固定されている。
【0013】
第1凸部31の筒部33を第1筒部133ともいう。第2凸部32の筒部33を第2筒部233ともいう。第1凸部31の蓋部34を第1蓋部134ともいう。第2凸部32の蓋部34を第2蓋部234ともいう。第1筒部133と第2筒部233とは、ベース面25aに平行な一方向において互いに離れている。第1蓋部134と第2蓋部234も同様に、互いに離れている。これにより、第1凸部31と第2凸部32とは互いに離れて位置している。
【0014】
図1に示すように、第1筒部133及び第1蓋部134によって、第1凸部31の内部に空間が形成されている。第2筒部233及び第2蓋部234によって、第2凸部32の内部に空間が形成されている。したがって、第1凸部31及び第2凸部32の各々は、内部が空洞である。ベース部25と第1凸部31とで主室41が区画形成されている。ベース部25と第2凸部32とで副室42が区画形成されている。言い換えると、本実施形態の副室42は、ベース部25と第2凸部32とで区画形成された空間を含んでいる。
【0015】
第1凸部31には通過孔31hが位置する。通過孔31hは、第1蓋部134の中央に位置している。通過孔31hは、第1蓋部134のうち、第1筒部133の軸線の延長線が通る部分に形成されている。通過孔31hは、第1蓋部134を貫通する貫通孔である。通過孔31hは、第1凸部31の内外を繋ぐとともに音波が通過する。通過孔31hは、主室41に連通している。通過孔31hを通過した音波は、主室41に進入する。
【0016】
本実施形態の第1筒部133と第2筒部233とは、互いに同じ形状である。通過孔31hの形成の有無を除いて、第1蓋部134と第2蓋部234とは互いに同じ形状である。したがって、本実施形態では、第1凸部31の内部の容積と、第2凸部32の内部の容積と、が等しい。主室41と副室42との容積が互いに等しい。
【0017】
突出板部30は、連通部35を備えている。すなわち、吸音シート22は、連通部35を備えている。連通部35は、ベース面25aに平行な一方向において、第1凸部31と第2凸部32との間に位置している。連通部35は、第1凸部31と第2凸部32との間でベース面25aに沿って延びている。
【0018】
図3及び図4に示すように、連通部35は、一対の第1壁部35aと、第2壁部35bと、を備えている。第1壁部35a及び第2壁部35bは、矩形平板状である。一対の第1壁部35aは互いに対向するように位置している。
【0019】
図3に示すように、第1壁部35aは、ベース面25aに直交する方向に延びる一対の第1縁部35cと、一対の第1縁部35cの間を繋ぐ一対の第2縁部35dと、を備えている。一対の第2縁部35dのうち、一方はベース面25aに固定されており、他方には第2壁部35bが接続されている。第2壁部35bは、一対の第1壁部35aの第2縁部35d同士の間で延びている。
【0020】
一対の第1縁部35cのうち、一方は第1筒部133に接続されており、他方は第2筒部233に接続されている。第2壁部35bは、第1蓋部134及び第2蓋部234に接続されている。一対の第1壁部35a、第2壁部35b、及びベース部25によって、連通部35の内部空間が区画形成されている。
【0021】
図4に示すように、一対の第1壁部35a及び第2壁部35bによって、連通部35に第1開口部35h及び第2開口部35iが形成されている。第1開口部35hは、第1凸部31の内部に開口している。第1開口部35hは、第1筒部133のうち、第2開口端33bの一部が断面矩形状に切り欠かれることによって形成されている。第2開口部35iは、第2凸部32の内部に開口している。第2開口部35iは、第2筒部233のうち、第2開口端33bの一部が断面矩形状に切り欠かれることによって形成されている。
【0022】
第1開口部35hは、第1筒部133のうち、第2筒部233に最も近い位置に形成されている。第2開口部35iは、第2筒部233のうち、第1筒部133に最も近い位置に形成されている。
【0023】
連通部35の内部は、第1開口部35hを介して第1凸部31の内部と連通しているとともに、第2開口部35iを介して第2凸部32の内部と連通している。したがって、連通部35は、第1凸部31の内部と第2凸部32の内部とを連通させている。
【0024】
図3に示すように、突出板部30は、基部29を備えている。基部29は平板状である。基部29は、ベース部25のベース面25aに沿って延びている。基部29は、第1凸部31、第2凸部32、及び連通部35を囲むように位置している。詳細には、基部29は、第1凸部31及び第2凸部32における筒部33の第2開口端33bと、一対の第1壁部35aの第2縁部35dと、から延びている。基部29はベース面25aに固定されている。突出板部30は、凸部30a同士が等間隔になるようにベース面25a上に並べられている。
【0025】
<レゾネータ50の構成>
図1に示すように、本実施形態の吸音シート22の内部にはレゾネータ50が構成されている。レゾネータ50は、ヘルムホルツ共鳴現象を利用して騒音低減を図るためのものである。レゾネータ50は、突出板部30とベース部25との間に区画形成されている。本実施形態の吸音シート22の内部には、レゾネータ50として、第1レゾネータ51及び第2レゾネータ52が構成されている。主室41と、連通部35の内部と、副室42と、によって構成される空間が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第1レゾネータ51として機能する。副室42が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第2レゾネータ52として機能する。
【0026】
<第1実施形態の作用>
以下、本実施形態の吸音シート22による作用について説明する。
吸音シート22による吸音対象である音波は、第1凸部31の通過孔31hを通って吸音シート22の外部から吸音シート22の内部に進入する。音波は、図1に第1矢印S1で示すように、通過孔31hを介して第1凸部31の内部に進入する。その後、音波は、図1に第2矢印S2で示すように、第1凸部31の内部から、連通部35の内部を介して第2凸部32の内部に進入する。
【0027】
本実施形態の吸音シート22の内部には、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第1レゾネータ51及び第2レゾネータ52が設けられている。第1レゾネータ51と第2レゾネータ52とは、主室41及び連通部35の内部を含むか否かの点で異なっている。第1レゾネータ51の共鳴周波数は、主室41、連通部35、及び副室42の内部の容積のほか、通過孔31hの断面積、及び通過孔31hの両端部の間の寸法に起因する。第2レゾネータ52の共鳴周波数は、副室42の内部の容積のほか、連通部35の通路断面積、及び連通部35の第1開口部35hと第2開口部35iとの間の寸法に起因する。第1レゾネータ51と第2レゾネータ52とは、共鳴周波数が異なるため、低減可能な騒音の周波数も異なっている。したがって本実施形態によれば、第1レゾネータ51と第2レゾネータ52とによって、異なる周波数の騒音を低減できる。
【0028】
第1レゾネータ51を構成する空間と、第2レゾネータ52を構成する空間と、のいずれも、副室42を含んでいる。したがって、副室42といった共通の空間を異なる周波数の低減に利用できる。
【0029】
<第1実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1-1)主室41と、連通部35の内部と、副室42と、によって構成される空間が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第1レゾネータ51として機能する。副室42が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第2レゾネータ52として機能する。第1レゾネータ51と第2レゾネータ52とは、共鳴周波数が互いに異なる。そのため、第1レゾネータ51と第2レゾネータ52とによって、互いに異なる周波数の騒音を低減できる。第1レゾネータ51を構成する空間と、第2レゾネータ52を構成する空間と、のいずれも、副室42を含んでいる。副室42といった共通の空間を異なる周波数の低減に利用できる。そのため、異なる周波数の騒音を低減するために、互いに共通の空間を含まず、かつ内部の容量が異なる複数の凸部を吸音シート22に設ける場合と比較して、吸音シート22の設置スペースの増大を抑制できる。したがって、吸音シート22に幅広い吸音領域を持たせつつ、吸音シート22の設置スペースの増大を抑制できる。
【0030】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態における吸音構造体について説明する。第2実施形態においては、突出板部80の形状が第1実施形態の突出板部30の形状と異なっている。以下では、第2実施形態における吸音構造体としての吸音シート72について、第1実施形態の吸音シート22との相違点を中心に説明する。吸音シート72の構造のうち、第1実施形態の吸音シート22と同じ構造については、適宜説明を省略する。
【0031】
<突出板部80の構造>
図5及び図6に示すように、突出板部80は、凸部30aを複数備えている。凸部30aは、複数の第1凸部31と、複数の第2凸部32と、複数の第3凸部81と、を備えている。すなわち、本実施形態の吸音シート72は、第1凸部31と、第2凸部32と、第3凸部81と、を備えている。第1凸部31及び第2凸部32と同様に、第3凸部81は、ベース部25のベース面25aから突出している。第1凸部31及び第2凸部32と同様に、第3凸部81は、車両前方に向かって、言い換えれば騒音発生源であるエンジン室に向かって突出している。第1凸部31、第2凸部32、及び第3凸部81は、ベース部25よりも車両前方の位置にて複数ずつ位置している。
【0032】
第1凸部31及び第2凸部32と同様に、第3凸部81は、筒部33及び蓋部34を備えている。第3凸部81の筒部33を第3筒部333ともいう。第3凸部81の蓋部34を第3蓋部334ともいう。第3筒部333及び第3蓋部334によって、第3凸部81の内部に空間が形成されている。したがって、第3凸部81は、内部が空洞である。
【0033】
第1筒部133、第2筒部233、及び第3筒部333は、ベース面25aに平行な一方向において互いに離れている。第1蓋部134、第2蓋部234、及び第3蓋部334も同様に、互いに離れている。これにより、第1凸部31、第2凸部32、及び第3凸部81は、互いに離れて位置している。
【0034】
本実施形態の連通部35は、ベース面25aに平行な一方向において、第1凸部31と第2凸部32との間と、第2凸部32と第3凸部81との間と、に位置している。本実施形態において、第1凸部31と第2凸部32との間に位置する連通部35を、第1連通部135ともいう。第2凸部32と第3凸部81との間に位置する連通部35を、第2連通部235ともいう。第1連通部135は、第1凸部31と第2凸部32との間でベース面25aに沿って延びている。第2連通部235は、第2凸部32と第3凸部81との間でベース面25aに沿って延びている。
【0035】
図5に示すように、連通部35は、第1実施形態と同様に、一対の第1壁部35aと、第2壁部35bと、を備えている。第1連通部135における一対の第1縁部35cのうち、一方は第1筒部133に接続されており、他方は第2筒部233に接続されている。第2連通部235における一対の第1縁部35cのうち、一方は第2筒部233に接続されており、他方は第3筒部333に接続されている。
【0036】
本実施形態の第1連通部135における第2壁部35bは、第1蓋部134及び第2筒部233に接続されている。第2連通部235における第2壁部35bは、第2筒部233及び第3筒部333に接続されている。一対の第1壁部35a、第2壁部35b、及びベース部25によって、連通部35の内部空間が区画形成されている。
【0037】
図6に示すように、一対の第1壁部35a及び第2壁部35bによって、第1連通部135に第1開口部35h及び第2開口部35iが形成されている。一対の第1壁部35a及び第2壁部35bによって、第2連通部235に第3開口部35j及び第4開口部35kが形成されている。
【0038】
第1開口部35hは、第1実施形態の第1開口部35hと同様に、第1凸部31の内部に開口している。第2開口部35iは、第1実施形態の第2開口部35iと同様に、第2凸部32の内部に開口している。
【0039】
第3開口部35jは、第2凸部32の内部に開口している。第3開口部35jは、第2筒部233のうち、第2開口端33bの一部が断面矩形状に切り欠かれることによって形成されている。第4開口部35kは、第3凸部81の内部に開口している。第4開口部35kは、第3筒部333のうち、第2開口端33bの一部が断面矩形状に切り欠かれることによって形成されている。
【0040】
第3開口部35jは、第2筒部233のうち、第3筒部333に最も近い位置に形成されている。第4開口部35kは、第3筒部333のうち、第2筒部233に最も近い位置に形成されている。
【0041】
第1連通部135の内部は、第1開口部35hを介して第1凸部31の内部と連通しているとともに、第2開口部35iを介して第2凸部32の内部と連通している。したがって、連通部35は、第1凸部31の内部と第2凸部32の内部とを連通させている。第2連通部235の内部は、第3開口部35jを介して第2凸部32の内部と連通しているとともに、第4開口部35kを介して第3凸部81の内部と連通している。したがって、連通部35は、第2凸部32の内部と第3凸部81の内部とを連通させている。第2凸部32の内部と第3凸部81の内部とは互いに連通している。
【0042】
第1実施形態と同様に、ベース部25と第1凸部31とで主室41が区画形成されている。本実施形態の副室42は、ベース部25と第2凸部32と区画形成されるとともに、ベース部25と第3凸部81とで区画形成されている。言い換えると、本実施形態の副室42は、ベース部25と第2凸部32とで区画形成された空間、及びベース部25と第3凸部81とで区画形成された空間を含んでいる。ベース部25と第2凸部32とで区画形成された副室42を第1副室142ともいう。ベース部25と第3凸部81とで区画形成された副室42を第2副室242ともいう。
【0043】
本実施形態において、第1凸部31の内部の容積、第2凸部32の内部の容積、及び第3凸部81の内部の容積は、互いに等しい。第1連通部135及び第2連通部235は、互いの長さ及び流路断面積が等しい。これにより、第1連通部135の内部の容積と、第2連通部235の内部の容積と、は等しい。なお、第1連通部135の長さとは、第1開口部35hと第2開口部35iとの間の寸法である。第2連通部235の長さとは、第3開口部35jと第4開口部35kとの間の寸法である。
【0044】
図5に示すように、基部29は、第1凸部31、第2凸部32、第3凸部81、第1連通部135、及び第2連通部235を囲むように位置している。詳細には、基部29は、第1凸部31、第2凸部32、及び第3凸部81における筒部33の第2開口端33bと、第1連通部135及び第2連通部235における一対の第1壁部35aの第2縁部35dと、から延びている。
【0045】
<レゾネータ100の構成>
図6に示すように、本実施形態の吸音シート22の内部にはレゾネータ100が構成されている。レゾネータ100は、第1実施形態のレゾネータ50と同様に、ヘルムホルツ共鳴現象を利用して騒音低減を図るためのものである。レゾネータ100は、突出板部80とベース部25との間に区画形成されている。本実施形態の吸音シート22の内部には、レゾネータ100として、第3レゾネータ101と、第4レゾネータ102と、第5レゾネータ103と、が構成されている。
【0046】
主室41、第1連通部135の内部、第1副室142、第2連通部235の内部、及び第2副室242によって構成される空間が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第3レゾネータ101として機能する。第1副室142、第2連通部235の内部、及び第2副室242によって構成される空間が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第4レゾネータ102として機能する。第2副室242が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第5レゾネータ103として機能する。
【0047】
<第2実施形態の作用>
以下、本実施形態の吸音シート72による作用について説明する。
吸音シート72による吸音対象である音波は、第1凸部31の通過孔31hを通って吸音シート72の外部から吸音シート72の内部に進入する。音波は、図6に第3矢印S3で示すように、通過孔31hを介して第1凸部31の内部に進入する。その後、音波は、図6に第4矢印S4で示すように、第1凸部31の内部から、第1連通部135の内部を介して第2凸部32の内部に進入する。音波は、図6に第5矢印S5で示すように、第2凸部32の内部から、第2連通部235の内部を介して第3凸部81の内部に進入する。
【0048】
本実施形態の吸音シート72の内部には、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第3レゾネータ101、第4レゾネータ102、及び第5レゾネータ103が設けられている。第3レゾネータ101と第4レゾネータ102とは、主室41及び第1連通部135の内部を含むか否かの点で異なっている。第3レゾネータ101の共鳴周波数は、主室41、第1連通部135、第1副室142、第2連通部235、及び第2副室242の内部の容積のほか、通過孔31hの断面積、及び通過孔31hの両端部の間の寸法に起因する。第4レゾネータ102の共鳴周波数は、第1副室142、第2連通部235、及び第2副室242の内部の容積のほか、第1連通部135の通路断面積、及び第1連通部135の第1開口部35hと第2開口部35iとの間の寸法に起因する。第3レゾネータ101と第4レゾネータ102とは、共鳴周波数が異なるため、低減可能な騒音の周波数も異なっている。
【0049】
第4レゾネータ102と第5レゾネータ103とは、第1副室142及び第2連通部235の内部を含むか否かの点で異なっている。第5レゾネータ103の共鳴周波数は、第2副室242の内部の容積のほか、第2連通部235の通路断面積、及び第2連通部235の第3開口部35jと第4開口部35kとの間の寸法に起因する。第4レゾネータ102と第5レゾネータ103とは、共鳴周波数が異なるため、低減可能な騒音の周波数も異なっている。したがって本実施形態によれば、第3レゾネータ101、第4レゾネータ102、及び第5レゾネータ103によって、異なる周波数の騒音を低減できる。
【0050】
第3レゾネータ101を構成する空間と、第4レゾネータ102を構成する空間と、第5レゾネータ103を構成する空間とのいずれも、副室42としての第2副室242を含んでいる。第3レゾネータ101を構成する空間と、第4レゾネータ102を構成する空間とのいずれも、副室42としての第1副室142を含んでいる。したがって、副室42といった共通の空間を異なる周波数の低減に利用できる。
【0051】
<第2実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(2-1)主室41と、連通部35としての第1連通部135及び第2連通部235の内部と、副室42としての第1副室142及び第2副室242と、によって構成される空間が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第3レゾネータ101として機能する。連通部35としての第2連通部235の内部と、副室42としての第1副室142及び第2副室242と、によって構成される空間が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第4レゾネータ102として機能する。副室42としての第2副室242が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第5レゾネータ103として機能する。第3レゾネータ101と第4レゾネータ102とは、共鳴周波数が互いに異なる。そのため、第3レゾネータ101と第4レゾネータ102とによって、互いに異なる周波数の騒音を低減できる。第4レゾネータ102と第5レゾネータ103とは、共鳴周波数が互いに異なる。そのため、第4レゾネータ102と第5レゾネータ103とによって、互いに異なる周波数の騒音を低減できる。第3レゾネータ101を構成する空間と、第4レゾネータ102を構成する空間と、第5レゾネータ103を構成する空間とのいずれも、副室42としての第2副室242を含んでいる。第3レゾネータ101を構成する空間と、第4レゾネータ102を構成する空間とのいずれも、副室42としての第1副室142を含んでいる。副室42といった共通の空間を異なる周波数の低減に利用できる。そのため、異なる周波数の騒音を低減するために、互いに共通の空間を含まず、かつ内部の容量が異なる複数の凸部を吸音シート72に設ける場合と比較して、吸音シート72の設置スペースの増大を抑制できる。したがって、吸音シート72に幅広い吸音領域を持たせつつ、吸音シート72の設置スペースの増大を抑制できる。
【0052】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態における吸音構造体について説明する。第3実施形態においては、突出板部130の形状が第1実施形態の突出板部30及び第2実施形態の突出板部80の形状と異なっている。以下では、第3実施形態における吸音構造体としての吸音シート122について、第1実施形態の吸音シート22との相違点を中心に説明する。吸音シート122の構造のうち、第1実施形態の吸音シート22と同じ構造については、適宜説明を省略する。
【0053】
<突出板部130の構造>
図7及び図8に示すように、突出板部130は、凸部30aを複数備えている。凸部30aは、複数の第1凸部31と、複数の第2凸部32と、を備えている。すなわち、本実施形態の吸音シート122は、第1凸部31と、第2凸部32と、を備えている。2つの第1凸部31のうち、一方の第1凸部31を第1凸部131とも記載し、他方の第1凸部31を第1凸部231とも記載する。
【0054】
第1凸部131の第1筒部133、第2筒部233、及び第1凸部231の第1筒部133は、ベース面25aに平行な一方向において互いに離れている。第1凸部131の第1蓋部134、第2蓋部234、及び第1凸部231の第1蓋部134も同様に、互いに離れている。これにより、第1凸部131、第2凸部32、及び第1凸部231は、互いに離れて位置している。
【0055】
本実施形態の連通部35は、ベース面25aに平行な一方向において、第1凸部131と第2凸部32との間と、第2凸部32と第1凸部231との間と、に位置している。本実施形態において、第1凸部131と第2凸部32との間に位置する連通部35を、第3連通部335ともいう。第2凸部32と第1凸部231との間に位置する連通部35を、第4連通部435ともいう。第3連通部335は、第1凸部131と第2凸部32との間でベース面25aに沿って延びている。第4連通部435は、第2凸部32と第1凸部231との間でベース面25aに沿って延びている。
【0056】
図7に示すように、連通部35は、第1実施形態と同様に、一対の第1壁部35aと、第2壁部35bと、を備えている。第3連通部335における一対の第1縁部35cのうち、一方は第1凸部131の第1筒部133に接続されており、他方は第2筒部233に接続されている。第4連通部435における一対の第1縁部35cのうち、一方は第2筒部233に接続されており、他方は第1凸部231の第1筒部133に接続されている。
【0057】
本実施形態の第3連通部335における第2壁部35bは、第1凸部131の第1蓋部134と第2筒部233とに接続されている。第4連通部435における第2壁部35bは、第2筒部233と第1凸部231の第1蓋部134とに接続されている。一対の第1壁部35a、第2壁部35b、及びベース部25によって、連通部35の内部空間が区画形成されている。
【0058】
図8に示すように、一対の第1壁部35a及び第2壁部35bによって、第3連通部335に第1開口部35h及び第2開口部35iが形成されている。一対の第1壁部35a及び第2壁部35bによって、第4連通部435に第5開口部35m及び第6開口部35nが形成されている。
【0059】
第3連通部335の第1開口部35hは、第1実施形態の第1開口部35hと同様に、第1凸部31の内部に開口している。第3連通部335の第2開口部35iは、第1実施形態の第2開口部35iと同様に、第2凸部32の内部に開口している。
【0060】
第5開口部35mは、第2凸部32の内部に開口している。第5開口部35mは、第2筒部233のうち、第2開口端33bの一部が断面矩形状に切り欠かれることによって形成されている。第6開口部35nは、第1凸部231の内部に開口している。第6開口部35nは、第1凸部231の第1筒部133のうち、第2開口端33bの一部が断面矩形状に切り欠かれることによって形成されている。
【0061】
第5開口部35mは、第2筒部233のうち、第1凸部231の第1筒部133に最も近い位置に形成されている。第6開口部35nは、第1凸部231の第1筒部133のうち、第2筒部233に最も近い位置に形成されている。
【0062】
第3連通部335の内部は、第1開口部35hを介して第1凸部131の内部と連通しているとともに、第2開口部35iを介して第2凸部32の内部と連通している。第4連通部435の内部は、第5開口部35mを介して第2凸部32の内部と連通しているとともに、第6開口部35nを介して第1凸部231の内部と連通している。したがって、連通部35は、複数の第1凸部31の各々の内部と第2凸部32の内部とを連通させている。
【0063】
本実施形態の主室41は、ベース部25と第1凸部131とで区画形成されるとともに、ベース部25と第1凸部231とで区画形成されている。言い換えると、本実施形態の主室41は、ベース部25と第1凸部131とで区画形成された空間、及びベース部25と第1凸部231とで区画形成された空間を含んでいる。ベース部25と第1凸部131とで区画形成された主室41を第1主室141ともいう。ベース部25と第1凸部231とで区画形成された主室41を第2主室241ともいう。本実施形態の副室42は、第1実施形態の副室42と同様に、ベース部25と第2凸部32と区画形成されている。
【0064】
第1凸部131及び第1凸部231には通過孔31hが位置する。通過孔31hは、第1実施形態の通過孔31hと同様に、第1蓋部134に形成されている。第1凸部131における通過孔31hは、第1凸部131の内外を繋ぐとともに音波が通過する。第1凸部131における通過孔31hは、第1主室141に連通している。第1凸部131における通過孔31hを通過した音波は、第1主室141に進入する。第1凸部231における通過孔31hは、第1凸部231の内外を繋ぐとともに音波が通過する。第1凸部231における通過孔31hは、第2主室241に連通している。第1凸部231における通過孔31hを通過した音波は、第2主室241に進入する。本実施形態において、第1凸部131に形成された通過孔31hと、第1凸部231に形成された通過孔31hと、は互いに同じ断面積である。
【0065】
本実施形態において、第1凸部131の内部の容積、第2凸部32の内部の容積、及び第1凸部231の内部の容積は、互いに等しい。第3連通部335及び第4連通部435は、互いの長さ及び流路断面積が等しい。これにより、第3連通部335の内部の容積と、第4連通部435の内部の容積とは等しい。なお、第3連通部335の長さとは、第1開口部35hと第2開口部35iとの間の寸法である。第4連通部435の長さとは、第5開口部35mと第6開口部35nとの間の寸法である。
【0066】
図7に示すように、基部29は、第1凸部131、第2凸部32、第1凸部231、第3連通部335、及び第4連通部435を囲むように位置している。詳細には、基部29は、第1凸部131、第2凸部32、及び第1凸部231における筒部33の第2開口端33bと、第3連通部335及び第4連通部435における一対の第1壁部35aの第2縁部35dと、から延びている。
【0067】
<レゾネータ150の構成>
図8に示すように、本実施形態の吸音シート122の内部にはレゾネータ150が構成されている。レゾネータ150は、第1実施形態のレゾネータ50と同様に、ヘルムホルツ共鳴現象を利用して騒音低減を図るためのものである。レゾネータ150は、突出板部130とベース部25との間に区画形成されている。本実施形態の吸音シート122の内部には、レゾネータ150として、第6レゾネータ151と、第7レゾネータ152と、第8レゾネータ153とが構成されている。
【0068】
第1主室141、第3連通部335の内部、及び副室42によって構成される空間が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第6レゾネータ151として機能する。第2主室241、第4連通部435の内部、及び副室42によって構成される空間が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第7レゾネータ152として機能する。副室42が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第8レゾネータ153として機能する。
【0069】
<第3実施形態の作用>
以下、本実施形態の吸音シート122による作用について説明する。
吸音シート122による吸音対象である音波は、第1凸部31の通過孔31hを通って吸音シート122の外部から吸音シート122の内部に進入する。音波は、図8に第6矢印S6で示すように、吸音シート122の外部から通過孔31hを介して第1凸部131の内部に進入する。その後、音波は、図8に第7矢印S7で示すように、第1凸部131の内部から、第3連通部335の内部を介して第2凸部32の内部に進入する。音波は、図8に第8矢印S8で示すように、吸音シート122の外部から通過孔31hを介して第1凸部231の内部に進入する。その後、音波は、図8に第9矢印S9で示すように、第1凸部231の内部から、第4連通部435の内部を介して第2凸部32の内部に進入する。
【0070】
本実施形態の吸音シート122の内部には、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第6レゾネータ151、第7レゾネータ152、及び第8レゾネータ153が設けられている。第6レゾネータ151と第8レゾネータ153とは、第1主室141及び第3連通部335の内部を含むか否かの点で異なっている。第6レゾネータ151の共鳴周波数は、第1主室141、第3連通部335、及び副室42の内部の容積のほか、第1凸部131における通過孔31hの断面積、及び通過孔31hの両端部の間の寸法に起因する。第8レゾネータ153の共鳴周波数は、副室42の内部の容積のほか、第3連通部335の通路断面積、及び第3連通部335の第1開口部35hと第2開口部35iとの間の寸法に起因する。さらに、第8レゾネータ153の共鳴周波数は、第4連通部435の通路断面積、及び第4連通部435の第5開口部35mと第6開口部35nとの間の寸法に起因する。第6レゾネータ151と第8レゾネータ153とは、共鳴周波数が異なるため、低減可能な騒音の周波数も異なっている。
【0071】
第7レゾネータ152と第8レゾネータ153とは、第2主室241及び第4連通部435の内部を含むか否かの点で異なっている。第7レゾネータ152の共鳴周波数は、第2主室241、第4連通部435、及び副室42の内部の容積のほか、第1凸部231における通過孔31hの断面積、及び通過孔31hの両端部の間の寸法に起因する。第7レゾネータ152と第8レゾネータ153とは、共鳴周波数が異なるため、低減可能な騒音の周波数も異なっている。したがって本実施形態によれば、第6レゾネータ151及び第7レゾネータ152と、第8レゾネータ153と、によって異なる周波数の騒音を低減できる。
【0072】
第6レゾネータ151を構成する空間と、第7レゾネータ152を構成する空間と、第8レゾネータ153を構成する空間とのいずれも、副室42を含んでいる。したがって、副室42といった共通の空間を異なる周波数の低減に利用できる。
【0073】
<第3実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(3-1)主室41としての第1主室141と、連通部35としての第3連通部335の内部と、副室42と、によって構成される空間が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第6レゾネータ151として機能する。主室41としての第2主室241と、連通部35としての第4連通部435の内部と、副室42と、によって構成される空間が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第7レゾネータ152として機能する。副室42が、ヘルムホルツ共鳴現象を利用する第8レゾネータ153として機能する。第6レゾネータ151と第8レゾネータ153とは、共鳴周波数が互いに異なる。そのため、第6レゾネータ151と第8レゾネータ153とによって、互いに異なる周波数の騒音を低減できる。第7レゾネータ152と第8レゾネータ153とは、共鳴周波数が互いに異なる。そのため、第7レゾネータ152と第8レゾネータ153とによって、互いに異なる周波数の騒音を低減できる。第6レゾネータ151を構成する空間と、第7レゾネータ152を構成する空間と、第8レゾネータ153を構成する空間とのいずれも、副室42を含んでいる。副室42といった共通の空間を異なる周波数の低減に利用できる。そのため、異なる周波数の騒音を低減するために、互いに共通の空間を含まず、かつ内部の容量が異なる複数の凸部を吸音シート72に設ける場合と比較して、吸音シート122の設置スペースの増大を抑制できる。したがって、吸音シート122に幅広い吸音領域を持たせつつ、吸音シート122の設置スペースの増大を抑制できる。
【0074】
<変更例>
なお、上記の各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記の各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0075】
・第1実施形態において、連通部35の長さ及び流路断面積は、任意に変更可能である。
・第2実施形態において、第1連通部135及び第2連通部235の長さ及び流路断面積は、任意に変更可能である。この場合、第1連通部135及び第2連通部235の内部の容積は互いに異なってもよい。
【0076】
・第3実施形態において、第3連通部335及び第4連通部435の長さ及び流路断面積は、任意に変更可能である。この場合、第3連通部335及び第4連通部435の内部の容積は互いに異なってもよい。
【0077】
・第1実施形態において、第1凸部31と第2凸部32とで内部の容積が異なってもよい。
・第2実施形態において、第1凸部31、第2凸部32、及び第3凸部81の一部又は全てで、内部の容積が異なってもよい。
【0078】
・第3実施形態において、第1凸部131、第2凸部32、及び第1凸部231の一部又は全てで、内部の容積が異なってもよい。
・第3実施形態において、第1凸部131に形成された通過孔31hと、第1凸部231に形成された通過孔31hと、で断面積の大きさが異なってもよい。
【0079】
・第2実施形態において、吸音シート72は、第1凸部31、第2凸部32、及び第3凸部81に加えて、第3凸部81と内部が連通する1つ又は複数の凸部30aを備えてもよい。この場合、追加される凸部30aは、ベース面25aから突出するとともに内部が空洞である。追加される凸部30aと第3凸部81との間に連通部35を設けることにより、凸部30aの内部と第3凸部81の内部とを連通させてもよい。この場合、追加される凸部30aとベース部25とによって、副室42としての第3副室が区画形成される。第2実施形態の第3レゾネータ101、第4レゾネータ102、及び第5レゾネータ103を構成する空間に、追加された凸部30aの内部と第3凸部81の内部とを連通する連通部35の内部、及び第3副室によって構成される空間が加わる。さらに、第3副室が、第3レゾネータ101、第4レゾネータ102、及び第5レゾネータ103とは共鳴周波数が異なるレゾネータ100として機能する。吸音シート72に追加される複数の凸部30aの少なくとも1つの内部と第3凸部81の内部とを連通部35によって連通させてもよい。この場合、複数の凸部30aの内部を、連通部35によって互いに連通させる。追加される複数の凸部30aの各々が、ベース部25と副室42を区画形成する。吸音シート72に追加された凸部30aの数だけ、吸音シート72が備える副室42の数が増えることになる。そのため、吸音シート72にさらに幅広い吸音領域を持たせることができる。
【0080】
・第3実施形態において、吸音シート122が備える第1凸部31は3つ以上であってもよい。この場合も、連通部35は、全ての第1凸部31の各々の内部と第2凸部32の内部とを連通させる。
【0081】
・第3実施形態において、吸音シート122は、第1凸部131、第2凸部32、及び第1凸部231に加えて、第2凸部32と内部が連通する凸部30aを備えてもよい。この場合、追加される凸部30aは、ベース面25aから突出するとともに内部が空洞である。例えば2つの第2凸部32のうち、一方の第2凸部32の内部が、第3連通部335を介して第1凸部131の内部と連通する。他方の第2凸部32の内部が、第4連通部435を介して第1凸部231の内部と連通する。追加される凸部30aと2つの第2凸部32の各々との間に連通部35を設けることにより、凸部30aの内部と第2凸部32の内部とを連通させる。追加される凸部30aとベース部25とによって、副室42としての第3副室が区画形成される。第3実施形態の第6レゾネータ151、第7レゾネータ152、及び第8レゾネータ153を構成する空間に、追加された凸部30aの内部と第2凸部32の内部とを連通する連通部35の内部、及び第3副室によって構成される空間が加わる。さらに、第3副室が、第6レゾネータ151、第7レゾネータ152、及び第8レゾネータ153とは共鳴周波数が異なるレゾネータ150として機能する。複数の凸部30aの少なくとも1つの内部と第2凸部32の内部とを連通部35によって連通させてもよい。この場合、複数の凸部30aの内部を、連通部35によって互いに連通させる。追加される複数の凸部30aの各々が、ベース部25と副室42を区画形成する。吸音シート122に追加された凸部30aの数だけ、吸音シート122が備える副室42の数が増えることになる。そのため、吸音シート122にさらに幅広い吸音領域を持たせることができる。
【0082】
・蓋部34への通過孔31hの形成位置を、筒部33の軸線の延長線が通過する蓋部34の部分からずれた位置にしてもよい。
・連通部35の第1開口部35hは、第1筒部133の第2開口端33bから離れた位置で開口してもよい。連通部35の第2開口部35iは、第2筒部233の第2開口端33bから離れた位置で開口してもよい。第1開口部35hの形成位置は、第1筒部133のうちで第2筒部233に最も近い位置からずれた位置であってもよい。第2開口部35iの形成位置は、第2筒部233のうちで第1筒部133に最も近い位置からずれた位置であってもよい。
【0083】
・第2実施形態において、連通部35の第3開口部35jは、第2筒部233の第2開口端33bから離れた位置で開口してもよい。連通部35の第4開口部35kは、第3筒部333の第2開口端33bから離れた位置で開口してもよい。第3開口部35jの形成位置は、第2筒部233のうちで第3筒部333に最も近い位置からずれた位置であってもよい。第4開口部35kの形成位置は、第3筒部333のうちで第2筒部233に最も近い位置からずれた位置であってもよい。
【0084】
・第3実施形態において、連通部35の第5開口部35mは、第2筒部233の第2開口端33bから離れた位置で開口してもよい。連通部35の第6開口部35nは、第1筒部133の第2開口端33bから離れた位置で開口してもよい。第5開口部35mの形成位置は、第2筒部233のうちで第1凸部231の第1筒部133に最も近い位置からずれた位置であってもよい。第6開口部35nの形成位置は、第1凸部231の第1筒部133のうちで第2筒部233に最も近い位置からずれた位置であってもよい。
【0085】
・第1筒部133、第2筒部233、及び第3筒部333の一部又は全ては、多角筒状であってもよい。第1蓋部134、第2蓋部234、及び第3蓋部334の一部又は全ては、多角形状の平板であってもよいし、平板でなくてもよい。
【0086】
・第1凸部31、第2凸部32、及び第3凸部81は、ベース部25から車室に向かって突出するものであってもよい。この場合のベース面25aは、ベース部25のうちで車室側に位置する一面に相当する。通過孔31hは、例えばベース部25のうち、第1凸部31と主室41を区画形成する部分に形成される。
【0087】
・突出板部30,80,130は、ベース面25aの略全体にわたって複数設けられていてもよい。この場合の基部29は、ベース部25より小さい大きさであって、かつベース面25a上に複数並ぶ。さらに、この場合は、第1実施形態において、例えば複数の突出板部30の各々が、第1凸部31及び第2凸部32を備える。第2実施形態において、例えば複数の突出板部80の各々が、第1凸部31、第2凸部32、及び第3凸部81を備える。第3実施形態において、例えば複数の突出板部130の各々が、第1凸部131,231及び第2凸部32を備える。
【0088】
・ベース部25及び突出板部30,80,130の少なくとも一方を、例えばエラストマー等の軟質な合成樹脂材料によって形成してもよい。ベース部25は、不織布やフエルト等によって形成してもよい。
【符号の説明】
【0089】
22,72,122…吸音シート
25…ベース部
25a…ベース面
31,131,231…第1凸部
31h…通過孔
32…第2凸部
35…連通部
41…主室
42…副室
81…第3凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8