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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】センサおよび測距装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0232 20140101AFI20240730BHJP
   H01L 31/107 20060101ALI20240730BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20240730BHJP
   G01S 7/486 20200101ALI20240730BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20240730BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20240730BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L31/02 D
H01L31/10 B
H01L31/10 D
G01S7/486
G01J1/42 H
G01J1/02 Q
H01L27/146 D
H01L27/146 A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021503462
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2020003325
(87)【国際公開番号】W WO2020179290
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2019040812
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高塚 祐輔
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004149(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173872(WO,A1)
【文献】特開2001-320081(JP,A)
【文献】特開平09-326511(JP,A)
【文献】国際公開第2017/126329(WO,A1)
【文献】特開平06-077518(JP,A)
【文献】特開2017-163023(JP,A)
【文献】特開2007-249190(JP,A)
【文献】特開2018-117117(JP,A)
【文献】特開2014-154834(JP,A)
【文献】特開2011-124450(JP,A)
【文献】特開2003-249632(JP,A)
【文献】特開2018-201005(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0169117(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/119
H01L 31/18-31/20
G01J 1/02-1/08
G01S 7/486-7/489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1面および第2面を有するとともに、画素毎にアバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に前記画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層とを備え
前記オンチップレンズに対する前記第1反射部材の位置が異なる前記画素を有する
センサ。
【請求項2】
前記第2反射部材で反射された光は、前記第1反射部材でさらに反射される
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光する、前記アバランシェフォトダイオードを含む
請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
複数の前記オンチップレンズを有する
請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
複数の前記オンチップレンズ各々の上に、前記第1反射部材を有する
請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記オンチップレンズ上の中央部から外れた位置に配置された、前記第1反射部材を有する
請求項5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記オンチップレンズ上の中央部に配置された、前記第1反射部材を有する
請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
更に、前記第1反射部材の前記オンチップレンズと反対側に積層された、反射防止部材を有する
請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記反射防止部材は、カーボンブラック膜または酸化シリコン膜を含む
請求項8に記載のセンサ。
【請求項10】
更に、複数の前記画素が設けられた画素アレイ部を有し、
前記画素アレイ部の中央部の前記画素では、前記オンチップレンズの中央部に前記第1反射部材が設けられ、
前記画素アレイ部の前記中央部より外側の前記画素アレイ部に、前記オンチップレンズの前記中央部から外れた位置に前記第1反射部材が設けられた前記画素を有する
請求項1に記載のセンサ。
【請求項11】
前記半導体基板の表面に、逆ピラミッドアレイ構造が設けられている
請求項1に記載のセンサ。
【請求項12】
前記アバランシェフォトダイオードおよび前記オンチップレンズは前記画素毎に設けられ、
前記第1反射部材の占有面積は、前記画素の面積の25%以下である
請求項1に記載のセンサ。
【請求項13】
前記第1反射部材は、タングステン,銀,アルミニウム,金または銅を含む
請求項1に記載のセンサ。
【請求項14】
前記オンチップレンズは前記画素毎に設けられ、
複数の前記画素は第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素では、前記アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、
前記第2画素では、フォトダイオードが可視領域の波長の光を受光する
請求項1に記載のセンサ。
【請求項15】
前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素のうち、前記第1画素に選択的に設けられている
請求項14に記載のセンサ。
【請求項16】
更に、前記第1反射部材に積層された光学機能膜を有し、
前記光学機能膜および前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素に設けられ、かつ、前記可視領域の波長の光を透過するとともに、前記近赤外領域および赤外領域の波長の光を反射する
請求項14に記載のセンサ。
【請求項17】
前記第1反射部材が複数に分離して設けられている
請求項1に記載のセンサ。
【請求項18】
対向する第1面および第2面を有するとともに、アバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層とを備え、
複数の前記画素は第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素では、前記アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、
前記第2画素では、フォトダイオードが可視領域の波長の光を受光し、
前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素のうち、前記第1画素に選択的に設けられている
センサ。
【請求項19】
対向する第1面および第2面を有するとともに、アバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層と、
前記第1反射部材に積層された光学機能膜と
を備え、
複数の前記画素は第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素では、前記アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、
前記第2画素では、フォトダイオードが可視領域の波長の光を受光し、
前記光学機能膜および前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素に設けられ、かつ、前記可視領域の波長の光を透過するとともに、前記近赤外領域および赤外領域の波長の光を反射する
センサ。
【請求項20】
対向する第1面および第2面を有するとともに、画素毎にアバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に前記画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層とを備え
前記オンチップレンズに対する前記第1反射部材の位置が異なる前記画素を有する
センサを備えた測距装置。
【請求項21】
対向する第1面および第2面を有するとともに、アバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層とを備え、
複数の前記画素は第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素では、前記アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、
前記第2画素では、フォトダイオードが可視領域の波長の光を受光し、
前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素のうち、前記第1画素に選択的に設けられている
センサを備えた測距装置。
【請求項22】
対向する第1面および第2面を有するとともに、アバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層と、
前記第1反射部材に積層された光学機能膜と
を備え、
複数の前記画素は第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素では、前記アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、
前記第2画素では、フォトダイオードが可視領域の波長の光を受光し、
前記光学機能膜および前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素に設けられ、かつ、前記可視領域の波長の光を透過するとともに、前記近赤外領域および赤外領域の波長の光を反射する
センサを備えた測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、アバランシェフォトダイオード(APD:Avalanche Photo Diode)を用いたセンサ、およびこれを備えた測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ToF(Time of Flight)法を用いて距離計測を行う測距装置の開発が進められている。このような測距装置では、光源から対象物への光を照射し、対象物により反射された光をセンサで受光するようになっている。このセンサは、例えば、画素毎にAPDを有している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-88488号公報
【発明の概要】
【0004】
このようなセンサでは、より感度を向上させることが望まれている。
【0005】
したがって、感度を向上させることが可能なセンサおよび測距装置を提供することが望ましい。
【0006】
本技術の実施の形態に係る第1のセンサは、対向する第1面および第2面を有するとともに、画素毎にアバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、半導体基板の第1面側に画素毎に設けられたオンチップレンズと、オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、半導体基板の第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層とを備えたものであり、オンチップレンズに対する第1反射部材の位置が異なる画素を有する。本技術の実施の形態に係る第2のセンサは、対向する第1面および第2面を有するとともに、アバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、半導体基板の第1面側に画素毎に設けられたオンチップレンズと、オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、半導体基板の第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層とを備えたものであり、複数の画素は第1画素および第2画素を含み、第1画素では、アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、第2画素では、フォトダイオードが可視領域の波長の光を受光し、第1反射部材は、第1画素および第2画素のうち、第1画素に選択的に設けられている。本技術の実施の形態に係る第3のセンサは、対向する第1面および第2面を有するとともに、アバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、半導体基板の第1面側に画素毎に設けられたオンチップレンズと、オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、半導体基板の第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層と、第1反射部材に積層された光学機能膜とを備えたものであり、複数の画素は第1画素および第2画素を含み、第1画素では、アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、光学機能膜および第1反射部材は、第1画素および第2画素に設けられ、かつ、可視領域の波長の光を透過するとともに、近赤外領域および赤外領域の波長の光を反射する。
【0007】
本技術の実施の形態に係る第1の測距装置は、上記本技術の実施の形態に係る第1のセンサを備えたものである。本技術の実施の形態に係る第2の測距装置は、上記本技術の実施の形態に係る第2のセンサを備えたものである。本技術の実施の形態に係る第3の測距装置は、上記本技術の実施の形態に係る第3のセンサを備えたものである。
【0008】
本技術の実施の形態に係る第1~3のセンサおよび実施の形態に係る第1~3の測距装置では、第2反射部材で反射された光を反射する第1反射部材が設けられている。これにより、第2反射部材で反射された光は、効率的にアバランシェフォトダイオードに入射しやすくなる。
【0009】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本技術の一実施の形態に係るセンサチップの構成の一例を表すブロック図である。
図2図1に示した画素アレイ部の要部の構成の一例を表す断面模式図である。
図3図2に示した画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図4A図2に示した反射部材の平面構成の一例を表す模式図である。
図4B図4Aに示した反射部材の平面構成の他の例(1)を表す模式図である。
図4C図4Aに示した反射部材の平面構成の他の例(2)を表す模式図である。
図5図2に示した反射部材の大きさと量子効率との関係の一例を表す模式図である。
図6】比較例に係るセンサチップの要部の構成を表す断面模式図である。
図7図2に示した反射部材の作用について説明するための断面模式図である。
図8】半導体基板の深さと各波長の光の吸収量との関係の一例を表す模式図である。
図9】変形例1に係るセンサチップの要部の構成を表す断面模式図である。
図10A】変形例2に係るセンサチップの要部の構成を表す断面模式図である。
図10B図10Aに示した各画素の位置について説明するための平面模式図である。
図11図10Aに示したセンサチップの断面構成の他の例を表す模式図である。
図12A】変形例3に係るセンサチップの要部の構成を表す断面模式図である。
図12B図12Aに示した遮光部材の平面構成の一例を表す模式図である。
図13】変形例4に係るセンサチップの要部の構成を表す断面模式図である。
図14】変形例5に係るセンサチップの要部の構成を表す断面模式図である。
図15図14に示したセンサチップの断面構成の他の例を表す模式図である。
図16図1等に示したセンサチップを用いた測距装置の構成の一例を表すブロック図である。
図17】イメージセンサを使用する使用例を示す図である。
図18】体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図19】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図20】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図21】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図22】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図23図2等に示した反射部材の位置の他の例について説明するための断面模式図である。
図24図2等に示したオンチップレンズに代えて他の集光構造を設けたセンサチップについて説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(オンチップレンズ上に反射部材を有するセンサチップの例)
2.変形例1(反射部材に積層された反射防止部材を有する例)
3.変形例2(反射部材の位置が互いに異なる画素を有する例)
4.変形例3(反射部材を複数に分離して設けた例)
5.変形例4(半導体基板の表面に逆ピラミッド構造を有する例)
6.変形例5(可視領域の波長の光を受光する画素を有する例)
7.適用例(測距装置)
8.応用例
【0012】
<実施の形態>
[センサチップ11の構成]
図1は、本技術の一実施の形態に係るセンサチップ11の構成例を示すブロック図である。このセンサチップ11が、本技術の「センサ」の一具体例に対応する。
【0013】
センサチップ11は、例えば、複数の画素21が設けられた画素アレイ部12と、画素21に電気的に接続されたバイアス電圧印加部13とを有している。このセンサチップ11は、例えば、測距装置(後述の図16の測距装置200)に適用されるものであり、近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光して受光信号を生成する。近赤外領域および赤外領域の波長とは、例えば、600nm以上の波長であり、850nm、905nmおよび940nm等の波長をいう。
【0014】
画素アレイ部12では、複数の画素21が、例えばマトリクス状(行列状)に配置されている。各画素21は、例えば、APD31、FET(Field Effect Transistor)32およびインバータ33を有している。APD31のカソードには、大きな負電圧VBDが印加されるようになっている。カソードに負電圧VBDが印加されると、APD31にアバランシェ増倍領域(後述の図2のアバランシェ増倍領域57)が形成され、1フォトンの入射で発生する電子がアバランシェ増倍される。FET32は、例えばP型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)により構成されている。FET32は、APD31に電気的に接続されている。APD31でアバランシェ増倍された電子の電圧が負電圧VBDに達すると、FET32はAPD31の電子を放出させ、APD31を初期電圧VEに戻す。即ち、FET32は、APD31のクエンチング(quenching)を行う。インバータ33は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータにより構成されている。インバータ33はAPD31に電気的に接続されている。このインバータ33は、APD31で増倍された電子により発生する電圧を整形し、受光信号(APD OUT)を出力する。受光信号は、1フォトンの到来時刻を始点として発生するパルス波形である。
【0015】
バイアス電圧印加部13は、複数の画素21各々に電気的に接続されている。このバイアス電圧印加部13により、複数の画素21各々に、バイアス電圧が印加される。
【0016】
図2は、センサチップ11のうち、画素アレイ部12の断面構成の一例を表している。図2には、3つの画素21を図示している。センサチップ11は、例えば、半導体基板41(センサ基板)、センサ側の配線層42、ロジック側の配線層43およびロジック側の半導体基板(ロジック回路基板,図示せず)の積層体により構成されている。ここで、半導体基板41が本開示の半導体基板の一具体例に対応し、配線層42が本開示の配線層の一具体例に対応する。半導体基板41は、対向する第1面S1および第2面S2を有しており、半導体基板41の第2面S2側に、配線層42および配線層43がこの順に積層されている。半導体基板41の第1面S1が受光面を構成する。センサチップ11は、更に、半導体基板41の第1面S1側に、反射防止膜64、酸化膜65およびオンチップレンズ71を有している。センサチップ11は、いわゆる、裏面照射型の構成を有している。
【0017】
半導体基板41は、例えば、単結晶のシリコン(Si)により構成されている。この半導体基板41には、画素21毎に、APD31が設けられている。APD31は、例えば、Nウェル領域51、P型拡散層52、N型拡散層53、ホール蓄積層54、ピニング層55およびP型領域56を含んでいる。半導体基板41には、隣り合うAPD31を分離する画素分離部63が設けられている。画素分離部63は、例えば、半導体基板41を第1面S1から第2面S2まで貫通する溝により構成されている。この画素分離部63の溝には、絶縁膜62が埋設されている。
【0018】
Nウェル領域51は、半導体基板41の厚み方向(図2のZ軸方向)にわたって広く設けられている。このNウェル領域51は、光電変換により発生した電子をアバランシェ増倍領域(後述のアバランシェ増倍領域57)に転送する電界を形成する。Nウェル領域51に代えて、Pウェル領域を設けるようにしてもよい(図示は省略)。
【0019】
P型拡散層52およびN型拡散層53は、半導体基板41の第2面S2近傍に設けられている。P型拡散層52およびN型拡散層53は積層して設けられており、例えば、P型拡散層52よりもN型拡散層53の方が、より第2面S2に近い位置に配置されている。P型拡散層52およびN型拡散層53は、平面(図2のXY平面)視で、画素21に広く設けられている。P型拡散層52は、濃い濃度でP型不純物が拡散された層であり、N型拡散層53は、濃い濃度でN型不純物が拡散された層である。P型拡散層52およびN型拡散層53が、互いに接続する領域には空乏層が形成される。この空乏層に、アバランシェ増倍領域57が形成される。N型拡散層53は、配線層42の配線(後述の配線104)に電気的に接続されており、この配線からN型拡散層53に負電圧VBDが印加されるようになっている。この配線と接続するため、N型拡散層53は、一部が半導体基板41の第2面S2まで延びるように凸形状を有していてもよい。
【0020】
アバランシェ増倍領域57は、上記のように、P型拡散層52およびN型拡散層53の境界面に形成される。このアバランシェ増倍領域57は、N型拡散層53に印加される負電圧VBDによって形成される高電界領域である。アバランシェ増倍領域57により、1フォトンがAPD31に入射するときに発生する電子(e-)が増倍される。
【0021】
ホール蓄積層54は、例えば、Nウェル領域51と第1面S1との間、およびNウェル領域51と画素分離部63との間に設けられている。ホール蓄積層54は、P型の不純物が拡散された層であり、ホールを蓄積するようになっている。ホール蓄積層54は、P型領域56を介して配線層42の配線(後述の配線105)に電気的に接続されており、バイアス調整がなされるようになっている。
【0022】
ピニング層55は、ホール蓄積層54と第1面S1との間、およびホール蓄積層54と画素分離部63との間に設けられている。ピニング層55は、濃い濃度でP型不純物が拡散された層である。ホール蓄積層54のバイアス調整により、ホール蓄積層54のホール濃度が高くなると、ピニング層55によるピニングが強固となる。これにより、例えば、暗電流の発生を抑えることができる。
【0023】
P型領域56は、濃い濃度でP型不純物が拡散された層であり、半導体基板41の第2面S2近傍に設けられている。
【0024】
図3は、画素21の平面構成の一例を模式的に表したものである。P型領域56は、例えば、平面視でNウェル領域51を囲むように設けられている。このP型領域56により、配線層42の配線105とホール蓄積層54とが電気的に接続されている。
【0025】
画素分離部63は、例えば、APD31を仕切るように、平面視で格子状に設けられている(図3)。画素分離部63の溝に埋設された絶縁膜62は、例えば、半導体基板41の厚み方向全部にわたって設けられている。絶縁膜62は、例えば、酸化シリコン(SiO)等により構成されている。このように絶縁膜62が埋設された画素分離部63を設けることにより、隣り合うAPD31間でのクロストークの発生を抑えることができる。図示は省略するが、絶縁膜62を間にして、画素分離部63の溝に金属膜を設けるようにしてもよい。あるいは、画素分離部63の溝に、絶縁膜62および金属膜とともに、空洞部を設けるようにしてもよい。
【0026】
半導体基板41の第1面S1側には、画素分離部63上に遮光膜61が設けられている。遮光膜61は、例えば、平面視で画素分離部63に重なるように、格子状に設けられている。このような遮光膜61を設けることにより、斜め入射光に起因したクロストークの発生を抑えることができる。遮光膜61は、画素分離部63の溝に埋め込まれていてもよい。画素分離部63の溝に埋め込まれた遮光膜61は、画素分離部63上の遮光膜61と一体形成されていてもよい。また、この画素分離部63の溝に埋め込まれた遮光膜61内に、空洞(ボイド)を設けるようにしてもよい。遮光膜61には、近赤外領域および赤外領域の波長の光に遮光性を有する材料を用いることができ、例えば、タングステン(W)等を用いることができる。
【0027】
配線層42には、例えば、メタルパッド102、コンタクト電極103および複数の配線(配線104,105,106)と、これらを分離する層間絶縁膜とが設けられている。
【0028】
メタルパッド102は、配線層42と配線層43との接合面に露出されており、配線層43のメタルパッド(後述のメタルパッド101)に接合されている。これにより、配線層42および配線層43が、機械的および電気的に接合される。メタルパッド102は、例えば、銅(Cu)により構成されており、配線層42および配線層43の接合は、Cu-Cu接合により形成されている。
【0029】
コンタクト電極103は、例えば、半導体基板41(具体的には、N型拡散層53およびP型領域56)と配線層42の配線(例えば、配線104,105)との間の接続、あるいは、配線層42の配線とメタルパッド102との間の接続に用いられる。
【0030】
配線層42の配線104は、コンタクト電極103を介して半導体基板41のN型拡散層53に電気的に接続されている。即ち、配線104は、APD31のカソードとして機能するものであり、画素21毎に設けられている。この配線104は、APD31を間にしてオンチップレンズ71に対向している。ここでは、この配線104が、近赤外領域および赤外領域の波長の光に対して反射性を有している。具体的には、配線104には銅(Cu)またはアルミニウム(Al)等を用いることができる。このような配線104を配線層42に設けることにより、光電変換されることなく、半導体基板41を通過した光が配線104で反射されて、半導体基板41に向かう。ここでは、配線104が、本技術の第2反射部材の一具体例に対応する。
【0031】
配線104は、平面視でアバランシェ増倍領域57に重なる位置に、アバランシェ増倍領域57よりも広く設けられていることが好ましい。例えば、配線104は、平面視で、P型領域56より内側の画素21を略全面覆うように、設けられている(図3)。
【0032】
配線層42の配線105は、コンタクト電極103を介して半導体基板41のP型領域56に電気的に接続されている。即ち、配線105は、APD31のアノードとして機能するものである。配線105は、例えば、平面視でP型領域56に重なる位置に配置されており、配線104を囲んでいる。
【0033】
例えば、平面視で画素分離部63に重なる位置に、配線(配線106)を設けるようにしてもよい。この配線106は、例えば、画素21の角部に配置されている(図3)。画素分離部63の溝に遮光膜61を埋め込み、この遮光膜61を配線106に電気的に接続するようにしてもよい。
【0034】
配線104,105,106は、コンタクト電極103を介してメタルパッド102に電気的に接続されている。
【0035】
配線層43には、例えば、電極パッド91、コンタクト電極95およびメタルパッド101と、これらを分離する層間絶縁膜とが設けられている。
【0036】
電極パッド91は、メタルパッド101よりも半導体基板41の第2面S2から離れた位置に設けられており、配線層43の回路基板に接続されている。コンタクト電極95は、電極パッド91とメタルパッド101とを接続している。メタルパッド101は、配線層43と配線層42との接合面で、配線層42のメタルパッド102に接合されている。即ち、APD31は、配線層42を介して配線層43に電気的に接続されている。
【0037】
半導体基板41の第1面S1上には、反射防止膜64および酸化膜65を介してオンチップレンズ71が設けられている。反射防止膜64は、例えば、半導体基板41(第1面S1)と酸化膜65との間に設けられ、半導体基板41の第1面S1の略全面を覆っている。反射防止膜64を設けることにより、オンチップレンズ71を通過した光が半導体基板41の第1面S1で反射されるのを抑えることができる。反射防止膜64には、例えば、窒化チタン(TiN)などのバリアメタル、窒化シリコン(SiN)または酸窒化シリコン(SiON)等を用いることができる。酸化膜65は、例えば、この反射防止膜64を間にして半導体基板41の第1面S1全面を覆っている。酸化膜65には、例えば、酸化シリコン(SiO)等を用いることができる。
【0038】
オンチップレンズ71は、画素21毎に設けられている。このオンチップレンズ71は、第1面S1側から各APD31を覆っている。オンチップレンズ71は、入射した光を画素21毎に半導体基板41のAPD31に集光する。オンチップレンズ71は、有機材料により構成されていてもよく、あるいは無機材料により構成されていてもよい。有機材料としては、例えば、シロキサン系樹脂,スチレン系樹脂およびアクリル系樹脂等が挙げられる。無機材料としては、例えば、窒化シリコン(SiN)および酸窒化シリコン(SiON)等が挙げられる。
【0039】
オンチップレンズ71の表面は、反射防止膜(反射防止膜72)で覆われていることが好ましい。これにより、オンチップレンズ71の表面での光の反射を抑えることができる。反射防止膜72には、上記反射防止膜64と同様の材料を用いることができる。
【0040】
本実施の形態では、このオンチップレンズ71および反射防止膜72を間にしてAPD31に対向する位置に、反射部材73が設けられている。反射部材73は、近赤外領域および赤外領域の波長の光に対して反射性を有しており、配線層42の配線104で反射された光を再び、APD31に向かって反射する。詳細は後述するが、これにより、配線104で反射された光がAPD31の外側、即ち、半導体基板41の第1面S1から外側に出ることを抑えられる。反射部材73が、本開示の第1反射部材の一具体例に対応する。
【0041】
反射部材73は、例えば、各々のオンチップレンズ71上に、オンチップレンズ71の一部を覆うように膜状に設けられている。例えば、反射部材73は、オンチップレンズ71の中央部に配置されている。反射部材73には、例えば、タングステン(W),銀(Ag),アルミニウム(Al),金(Au)および銅(Cu)等により構成された膜を用いることができる。
【0042】
図4A図4Bおよび図4Cは、反射部材73の平面形状の一例を表している。反射部材73は、例えば四角形(図4A)、円(図4B)または六角形(図4C)等の平面形状を有している。反射部材73は、どのような平面形状を有していてもよく、例えば、反射部材73の平面形状は、六角形以外の多角形または楕円等であってもよい。平面視での反射部材73の占有面積は、画素21の面積の25%以下であることが好ましい。以下、この反射部材73の大きさについて説明する。
【0043】
図5は、反射部材73の大きさ(平面視での反射部材73の面積)と、量子効率との関係を、シミュレーションにより求めた結果を表している。この結果より、反射部材73を設けない場合に比べて、画素21の面積に対して十分に小さい面積の反射部材73を設けたときに、APD31の量子効率が1%~2%程度上昇することが分かった。一方、反射部材73の面積がXを超えるとAPD31の量子効率が大きく低下する。このXは、反射部材73の面積が、画素21の面積の25%となる値である。例えば、一辺が10μmの大きさの正方形の画素21では、25μm2以下の面積の反射部材73を設けることが好ましい。反射部材73の占有面積は、画素21の面積の1%~4%であることが更に好ましい。反射部材73の厚みは、例えば300nmである。
【0044】
[センサチップ11の動作]
センサチップ11では、画素21毎にオンチップレンズ71で集光された光(近赤外領域および赤外領域の波長の光)がAPD31へ光入射する。これにより、APD31では正孔(ホール)および電子の対が発生する(光電変換される)。例えば、配線層43からメタルパッド101,102、コンタクト電極103および配線104を介してN型拡散層53に、負電圧VBDが供給されると、APD31にアバランシェ増倍領域57が形成される。これにより、例えば、電子がアバランシェ増倍され、受光信号が生成される。また、P型領域56には、配線層43からメタルパッド101,102、コンタクト電極103および配線105を介して所定の電圧が供給される。
【0045】
[センサチップ11の作用および効果]
本実施の形態のセンサチップ11では、配線104で反射された光を反射する反射部材73が設けられている。これにより、配線104で反射された光は効率的にAPD31に入射しやすくなる。以下、この作用および効果について、比較例を用いて説明する。
【0046】
図6は、比較例に係るセンサチップ(センサチップ111)の要部の模式的な断面構成を表している。図6は、センサチップ11を表す図2に対応する。このセンサチップ111は、センサチップ11と同様に、半導体基板41、配線層42および配線層43の積層構造を有しており、配線層42には配線104が設けられている。半導体基板41の第1面S1上には画素21毎にオンチップレンズ71が設けられている。センサチップ111には、オンチップレンズ71上の反射部材(図2の反射部材73)が設けられていない。この点において、センサチップ111はセンサチップ11と異なっている。
【0047】
このようなセンサチップ111では、画素21毎にオンチップレンズ71で集光された光(例えば、近赤外領域および赤外領域の波長の光LIR)の一部は、半導体基板41を通過して配線層42に入射する。この配線層42に入射した光LIRは、配線104で反射され、再び、半導体基板41に向かう(図6)。このように、配線104を設けることにより、半導体基板41を透過した一部の光LIRが、再び半導体基板41に入射しやすくなる。これにより、配線104を設けない場合に比べて、感度を向上させることができる。
【0048】
しかし、配線104で反射された光LIRの一部はAPD31で光電変換されるものの、残りの光LIRは、半導体基板41の第1面S1から半導体基板41の外側に出ていく。例えば、配線104で反射された光LIRの約45%は、半導体基板41の外側に抜けてしまう。このように、配線104で反射された光LIRが半導体基板41の外側に出ていくと、十分に感度を向上させることが困難となる。また、この半導体基板41の外側にでた光LIRに起因してフレアが生じるおそれがある。
【0049】
これに対し、センサチップ11では、オンチップレンズ71を間にしてAPD31に対向する反射部材73が設けられているので、配線104で反射された光を、より効率的にAPD31に入射させることができる。
【0050】
図7は、センサチップ11での光LIRの経路の一例を表している。センサチップ11では、配線104で反射された光LIRのうち、APD31で光電変換されなかった光LIRが、再び反射部材73で反射される。この反射部材73で反射された光はAPD31に向かい、APD31で光電変換される。あるいは、反射部材73で反射された光は半導体基板41から配線層42に入射し、配線104で反射される。
【0051】
図8は、半導体基板(例えば、半導体基板41)の深さと、各波長(540nm,550nm,560nm,850nm,900nm,940nm)の光の吸収量との関係を表している。可視領域の波長(540nm,550nm,560nm)の光は、半導体基板の浅い位置で略100%が吸収される。一方、赤外領域の波長(850nm,900nm,940nm)の光は、可視領域の波長の光に比べて、半導体基板への吸収量が低く、光路長(半導体基板の深さ)を大きくするに連れて、半導体基板への吸収量が増加する。即ち、近赤外領域および赤外領域の波長の光では、光路長を大きくすることにより、効果的に感度を向上させることができる。
【0052】
このように、センサチップ11では、半導体基板41の第2面S2側に配線104、第1面S1側に反射部材73を設けることにより、光LIRは、配線104と反射部材73との間で反射を繰り返すことができる。これにより、配線104で反射された光LIRは効率的にAPD31に入射しやすくなり、センサチップ111に比べて感度を向上させることができる。また、半導体基板41の第1面S1から半導体基板41の外側に出ていく光が少なくなるので、フレアの発生を抑えることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態のセンサチップ11では、配線104で反射された光LIRを反射する反射部材73を設けるようにしたので、配線104で反射された光LIRがAPD31の外側に出ることを抑えることができる。よって、感度を向上させることが可能となる。また、フレアの発生を抑えることができる。
【0054】
以下、上記実施の形態の変形例について説明するが、以降の説明において上記実施の形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明は適宜省略する。
【0055】
<変形例1>
図9は、上記実施の形態の変形例1に係るセンサチップ(センサチップ11A)の要部の模式的な断面構成を表したものである。図9は、1つの画素21の断面構成を表している。このセンサチップ11Aは、反射部材73上に反射防止膜74を有している。ここでは、反射防止膜74が、本開示の反射防止部材の一具体例に対応する。この点を除き、変形例1に係るセンサチップ11Aは、上記実施の形態のセンサチップ11と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。図9では、APD31の構成を簡略化して表している。変形例2以降で説明する断面図についても、同様に、APD31の図示を簡略化する。
【0056】
反射防止膜74は、反射部材73の、オンチップレンズ71と反対側に積層されている。反射防止膜74は、例えば、平面視で反射部材73に重なる位置に設けられ、反射部材73と同一の平面形状を有している。例えば、平面視で、反射防止膜74の端面と、反射部材73の端面とは同じ位置に設けられている。反射防止膜74は、オンチップレンズ71毎(画素21毎)に設けられている。なお、図9以降では、絶縁膜62(画素分離部63)が、逆テーパ形状を有しているが、絶縁膜62の形状は他の形状であってもよく、例えば、テーパ形状を有していてもよい。
【0057】
反射防止膜74は、近赤外領域および赤外領域の波長の光の反射を防止する材料により構成されている。反射防止膜74には、例えば、カーボンブラック膜または酸化シリコン(SiO)膜等を用いることができる。カーボンブラック膜および酸化シリコン膜の積層膜により反射防止膜74を構成するようにしてもよい。
【0058】
本変形例でも、上記実施の形態と同様に、反射部材73が設けられているので、配線104で反射された光LIRは効率的にAPD31に入射しやすくなる。また、反射部材73を反射防止膜74で覆うようにしたので、反射部材73の表面(オンチップレンズ71と反対側の面)での光の反射が抑えられる。これにより、より効果的にフレアの発生を抑えることができる。
【0059】
<変形例2>
図10Aは、上記実施の形態の変形例2に係るセンサチップ(センサチップ11B)の要部の模式的な構成を表したものである。このセンサチップ11Bでは、画素アレイ部12(図1)での画素21の位置により、オンチップレンズ71上の反射部材73の位置が異なっている。この点を除き、変形例2に係るセンサチップ11Bは、上記実施の形態のセンサチップ11と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0060】
図10Bは、図10Aに示した画素21の位置の一例を表している。例えば、画素アレイ部12の中央部に配置された画素21Cでは、オンチップレンズ71の中央線CLに重なる位置に反射部材73が設けられている。一方、画素アレイ部12のうち、この中央部の画素21Cよりも外側に配置された画素21(例えば、後述の画素21R,21L)では、オンチップレンズ71の中央線CLから外れた位置に反射部材73が設けられている。例えば、中央部の画素21Cと同じ行の紙面右端側に配置された画素21Rでは、オンチップレンズ71の中央線CLよりも右側に反射部材73が設けられている。画素アレイ部12の中央部の画素21Cから右端の画素21Rに近づくにつれて、反射部材73の位置を徐々にずらすようにしてもよい。例えば、中央部の画素21Cと同じ行の紙面左端側に配置された画素21Lでは、オンチップレンズ71の中央線CLよりも左側に反射部材73が設けられている。画素アレイ部12の中央部の画素21Cから左端の画素21Lに近づくにつれて、反射部材73の位置を徐々にずらすようにしてもよい。例えば、画素アレイ部12での像高に応じて、画素21では、オンチップレンズ71に対する反射部材73の位置が異なっている。
【0061】
図11は、上記変形例1で説明した反射防止膜74を有するセンサチップ11Bの構成を表している。このように、センサチップ11Bの反射部材73に、反射防止膜74を積層させるようにしてもよい。
【0062】
本変形例でも、上記実施の形態と同様に、反射部材73が設けられているので、配線104で反射された光LIRは効率的にAPD31に入射しやすくなる。また、画素アレイ部12の像高に応じて、オンチップレンズ71に対する反射部材73の位置を各画素21で異ならせるようにしたので、オンチップレンズ71に斜め方向から入射する光が、APD31に効率的に入射する。即ち、瞳補正と同様の効果により、センサチップ11Bの感度を向上させることが可能となる。
【0063】
<変形例3>
図12A図12Bは、上記実施の形態の変形例3に係るセンサチップ(センサチップ11C)の要部の模式的な構成を表したものである。図12Aは、センサチップ11Cの断面構成の一例を表し、図12Bは、センサチップ11Cの平面構成の一例を表している。このセンサチップ11Cでは、反射部材73が複数の部分(主部分73m,小部分73s)に分離して設けられている。この点を除き、変形例3に係るセンサチップ11Cは、上記実施の形態のセンサチップ11と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0064】
各画素21には、互いに分離した主部分73mおよび小部分73sを含む反射部材73が設けられている。主部分73mは、例えば、四角形の平面形状を有し、オンチップレンズ71の中央部に配置されている。小部分73sは、例えば、各画素21に複数設けられている。各々の小部分73sは、例えば、四角形の平面形状を有し、平面視で、主部分73mの面積よりも小さい面積を有している。各画素21では、1つの主部分73mの周りを囲むように、複数の小部分73sが配置されている。各画素21では、複数の部分に分離した反射部材73を柵状に設けるようにしてもよい。
【0065】
本変形例でも、上記実施の形態と同様に、反射部材73が設けられているので、配線104で反射された光LIRは効率的にAPD31に入射しやすくなる。また、反射部材73を複数の部分に分離して各画素21に設けるようにしたので、オンチップレンズ71に入射した光LIRを効率的に各画素21内に閉じ込めやすくなる。更に、オンチップレンズ71に入射する光LIRの損失が抑えられる。
【0066】
<変形例4>
図13は、上記実施の形態の変形例4に係るセンサチップ(センサチップ11D)の要部の模式的な断面構成を表したものである。このセンサチップ11Dは、半導体基板41の第1面S1に逆ピラミッドアレイ構造(逆ピラミッドアレイ構造41P)を有している。この点を除き、変形例4に係るセンサチップ11Dは、上記実施の形態のセンサチップ11と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0067】
逆ピラミッドアレイ構造41Pは、各画素21の略全面に設けられている。逆ピラミッドアレイ構造41Pは、いわゆる、IPA(Inverted Pyramid Array)構造であり、半導体基板41の第1面S1に設けられたピラミッド型(四角錐型)の微小な凹凸構造である。
【0068】
本変形例でも、上記実施の形態と同様に、反射部材73が設けられているので、配線104で反射された光LIRは効率的にAPD31に入射しやすくなる。また、半導体基板41の第1面S1に逆ピラミッドアレイ構造41Pが設けられているので、光回折により、APD31の感度をより高めることができる。
【0069】
<変形例5>
図14は、上記実施の形態の変形例5に係るセンサチップ(センサチップ11E)の要部の模式的な断面構成を表したものである。このセンサチップ11Eでは、画素アレイ部12(図1)に、APD31を有する画素21とともに、可視領域の波長の光を受光するPD(Photo Diode)31Vを有する画素21Vが設けられている。この点を除き、変形例5に係るセンサチップ11Eは、上記実施の形態のセンサチップ11と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。ここでは、画素21Vが本技術の第2画素の一具体例に対応し、PD31Vが本技術のフォトダイオードの一具体例に対応する。
【0070】
画素21Vは、赤色波長域、緑色波長域および青色波長域の光を受光して受光信号を生成する画素であり、半導体基板41の第1面S1とオンチップレンズ71との間にカラーフィルタ75を有している。カラーフィルタ75は、赤色波長域、緑色波長域および青色波長域のいずれかの波長域の光を選択的に透過する。画素21Vに設けられたPD31Vには、アバランシェ増倍領域(図2のアバランシェ増倍領域57)が設けられていなくてもよい。あるいは、画素21Vに、可視領域の波長の光を受光するAPDを用いるようにしてもよい。
【0071】
反射部材73は、例えば、画素21,21Vのうち、近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光する画素21に選択的に設けられている。これにより、可視領域の波長の光を受光する画素21Vでは、反射部材73に起因した光の損失を抑えることができる。
【0072】
図15は、センサチップ11Eの他の例を表している。このセンサチップ11Eでは、画素21,21Vに、反射部材73および光学機能膜76の積層構造が設けられている。反射部材73および光学機能膜76の積層構造は、近赤外領域および赤外領域の波長の光を反射し、かつ、可視領域の波長の光を透過する性質を有している。このような反射部材73および光学機能膜76の積層構造を設けることにより、画素21,21Vのうち、画素21でのみ、反射部材73が機能するようになる。このセンサチップ11Eでは、画素21,21Vに反射部材73および光学機能膜76が設けられているので、画素21と画素21Vとの間での作り分けが不要となり、製造コストを下げることができる。光学機能膜76は、例えば高屈折率材料膜と低屈折率材料膜とを交互に積層した積層膜等により構成することができる。例えば、低屈折材料膜には酸化シリコン(SiO2)膜、高屈折率材料膜には酸化チタン(TiO2)膜を用いることができる。このような光学機能膜76を用いることにより、近赤外領域および赤外領域の波長の光を透過させず、かつ、可視領域の波長の光を透過させることが可能となる。
【0073】
本変形例でも、上記実施の形態と同様に、反射部材73が設けられているので、配線104で反射された光LIRは効率的にAPD31に入射しやすくなる。また、近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光する画素21とともに、可視領域の波長の光を受光する画素21Vが設けられているので、取得情報を増やすことができる。
【0074】
<適用例>
図16は、センサチップ11,11A,11B,11C,11D,11Eを利用した電子機器である測距装置200の構成例を示すブロック図である。
【0075】
図16に示すように、測距装置200は、測距画像センサ201および光源装置211を含んでいる。測距画像センサ201は、光学系202、センサチップ203、画像処理回路204、モニタ205、およびメモリ206を備えて構成される。そして、測距画像センサ201は、光源装置211から被写体に向かって投光され、被写体の表面で反射された光(変調光やパルス光)を受光することにより、被写体までの距離に応じた距離画像を取得することができる。
【0076】
光学系202は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)をセンサチップ203に導き、センサチップ203の受光面(センサ部)に結像させる。
【0077】
センサチップ203としては、上述したセンサチップ11,11A,11B,11C,11D,11Eが適用され、センサチップ203から出力される受光信号(APD OUT)から求められる距離を示す距離信号が画像処理回路204に供給される。
【0078】
画像処理回路204は、センサチップ203から供給された距離信号に基づいて距離画像を構築する画像処理を行い、その画像処理により得られた距離画像(画像データ)は、モニタ205に供給されて表示されたり、メモリ206に供給されて記憶(記録)されたりする。
【0079】
このように構成されている測距画像センサ201では、上述したセンサチップ11,11A,11B,11C,11D,11Eを適用することで、画素21での感度向上に伴って、例えば、より正確な距離画像を取得することができる。
【0080】
<イメージセンサの使用例>
図17は、上述のイメージセンサ(測距画像センサ201)を使用する使用例を示す図である。
【0081】
上述したイメージセンサは、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0082】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0083】
更に、上記実施の形態等において説明したイメージセンサは、下記電子機器にも適用することが可能である。
【0084】
<体内情報取得システムへの応用例>
更に、本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0085】
図18は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【0086】
体内情報取得システム10001は、カプセル型内視鏡10100と、外部制御装置10200とから構成される。
【0087】
カプセル型内視鏡10100は、検査時に、患者によって飲み込まれる。カプセル型内視鏡10100は、撮像機能及び無線通信機能を有し、患者から自然排出されるまでの間、胃や腸等の臓器の内部を蠕動運動等によって移動しつつ、当該臓器の内部の画像(以下、体内画像ともいう)を所定の間隔で順次撮像し、その体内画像についての情報を体外の外部制御装置10200に順次無線送信する。
【0088】
外部制御装置10200は、体内情報取得システム10001の動作を統括的に制御する。また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信されてくる体内画像についての情報を受信し、受信した体内画像についての情報に基づいて、表示装置(図示せず)に当該体内画像を表示するための画像データを生成する。
【0089】
体内情報取得システム10001では、このようにして、カプセル型内視鏡10100が飲み込まれてから排出されるまでの間、患者の体内の様子を撮像した体内画像を随時得ることができる。
【0090】
カプセル型内視鏡10100と外部制御装置10200の構成及び機能についてより詳細に説明する。
【0091】
カプセル型内視鏡10100は、カプセル型の筐体10101を有し、その筐体10101内には、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、給電部10115、電源部10116、及び制御部10117が収納されている。
【0092】
光源部10111は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、撮像部10112の撮像視野に対して光を照射する。
【0093】
撮像部10112は、撮像素子、及び当該撮像素子の前段に設けられる複数のレンズからなる光学系から構成される。観察対象である体組織に照射された光の反射光(以下、観察光という)は、当該光学系によって集光され、当該撮像素子に入射する。撮像部10112では、撮像素子において、そこに入射した観察光が光電変換され、その観察光に対応する画像信号が生成される。撮像部10112によって生成された画像信号は、画像処理部10113に提供される。
【0094】
画像処理部10113は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、撮像部10112によって生成された画像信号に対して各種の信号処理を行う。画像処理部10113は、信号処理を施した画像信号を、RAWデータとして無線通信部10114に提供する。
【0095】
無線通信部10114は、画像処理部10113によって信号処理が施された画像信号に対して変調処理等の所定の処理を行い、その画像信号を、アンテナ10114Aを介して外部制御装置10200に送信する。また、無線通信部10114は、外部制御装置10200から、カプセル型内視鏡10100の駆動制御に関する制御信号を、アンテナ10114Aを介して受信する。無線通信部10114は、外部制御装置10200から受信した制御信号を制御部10117に提供する。
【0096】
給電部10115は、受電用のアンテナコイル、当該アンテナコイルに発生した電流から電力を再生する電力再生回路、及び昇圧回路等から構成される。給電部10115では、いわゆる非接触充電の原理を用いて電力が生成される。
【0097】
電源部10116は、二次電池によって構成され、給電部10115によって生成された電力を蓄電する。図18では、図面が煩雑になることを避けるために、電源部10116からの電力の供給先を示す矢印等の図示を省略しているが、電源部10116に蓄電された電力は、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び制御部10117に供給され、これらの駆動に用いられ得る。
【0098】
制御部10117は、CPU等のプロセッサによって構成され、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び、給電部10115の駆動を、外部制御装置10200から送信される制御信号に従って適宜制御する。
【0099】
外部制御装置10200は、CPU,GPU等のプロセッサ、又はプロセッサとメモリ等の記憶素子が混載されたマイクロコンピュータ若しくは制御基板等で構成される。外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100の制御部10117に対して制御信号を、アンテナ10200Aを介して送信することにより、カプセル型内視鏡10100の動作を制御する。カプセル型内視鏡10100では、例えば、外部制御装置10200からの制御信号により、光源部10111における観察対象に対する光の照射条件が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、撮像条件(例えば、撮像部10112におけるフレームレート、露出値等)が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、画像処理部10113における処理の内容や、無線通信部10114が画像信号を送信する条件(例えば、送信間隔、送信画像数等)が変更されてもよい。
【0100】
また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信される画像信号に対して、各種の画像処理を施し、撮像された体内画像を表示装置に表示するための画像データを生成する。当該画像処理としては、例えば現像処理(デモザイク処理)、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/又は手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の信号処理を行うことができる。外部制御装置10200は、表示装置の駆動を制御して、生成した画像データに基づいて撮像された体内画像を表示させる。あるいは、外部制御装置10200は、生成した画像データを記録装置(図示せず)に記録させたり、印刷装置(図示せず)に印刷出力させてもよい。
【0101】
以上、本開示に係る技術が適用され得る体内情報取得システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部10112に適用され得る。これにより、検出精度が向上する。
【0102】
<内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0103】
図19は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0104】
図19では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0105】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0106】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0107】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0108】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0109】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0110】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0111】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0112】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0113】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0114】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0115】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0116】
図20は、図19に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0117】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0118】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0119】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0120】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0121】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0122】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0123】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0124】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0125】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0126】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0127】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0128】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0129】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0130】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0131】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0132】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0133】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部11402に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、検出精度が向上する。
【0134】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0135】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0136】
図21は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0137】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図21に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0138】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0139】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0140】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0141】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0142】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0143】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0144】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0145】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0146】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図21の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0147】
図22は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0148】
図22では、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0149】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0150】
なお、図22には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0151】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0152】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0153】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0154】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0155】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、より見やすい撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0156】
以上、実施の形態および変形例を挙げて説明したが、本開示内容は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態等において説明したセンサチップの構成は一例であり、更に他の層を備えていてもよい。また、各層の材料や厚みも一例であって、上述のものに限定されるものではない。
【0157】
例えば、上記実施の形態等では、反射部材73をオンチップレンズ71上に設ける場合について説明したが、反射部材73は、半導体基板41の第1面S1側に設けられていればよい。例えば、図23に示したように、半導体基板41の第1面S1上に設けられた反射部材73を覆うように、オンチップレンズ71が設けられていてもよい。
【0158】
また、上記実施の形態等では、集光構造としてオンチップレンズ71を用いる場合について説明したが、図24に示したように、オンチップレンズ71に代えて、デジタルレンズ(デジタルレンズ71D)を用いるようにしてもよい。デジタルレンズ71Dは、入射した光の回折を用いてAPD31に集光する。このとき、反射部材73は、例えば、デジタルレンズ71Dとともに、半導体基板41の第1面S1上に配置される。
【0159】
また、図2等には、APD31の構成の一例を具体的に図示したが、APD31の構成は、更に他の要素を備えていてもよく、あるいは、全ての要素を備えていなくてもよい。また、APD31を構成する要素の配置は、他の配置であってもよい。
【0160】
また、上記実施の形態等では、配線104がAPD31のカソード、配線105がAPD31のアノードとして機能する場合について説明したが、配線104がアノード、配線105がカソードとして機能してもよい。上記実施の形態で説明した導電型(P型、N型)は、互いに逆の構成を有していてもよい。
【0161】
また、上記実施の形態等では、本技術の第1反射部材の一具体例が配線層42の配線104である場合について説明したが、配線104以外の反射部材により第1反射部材を構成するようにしてもよい。あるいは、配線層42または配線層43に、配線104に加えて、他の反射部材を設けるようにしてもよい。
【0162】
なお、上記実施の形態等において説明した効果は一例であり、他の効果であってもよいし、更に他の効果を含んでいてもよい。
【0163】
尚、本開示は、以下のような構成であってもよい。以下の構成を有するセンサチップおよび測距装置によれば、第1反射部材で反射された光を反射する第2反射部材を設けるようにしたので、第1反射部材で反射された光がアバランシェフォトダイオードの外側に出ることを抑えることができる。よって、感度を向上させることが可能となる。
(1)
対向する第1面および第2面を有するとともに、画素毎にアバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に前記画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層とを備え
前記オンチップレンズに対する前記第1反射部材の位置が異なる前記画素を有する
センサ。
(2)
前記第2反射部材で反射された光は、前記第1反射部材でさらに反射される
前記(1)に記載のセンサ。
(3)
近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光する、前記アバランシェフォトダイオードを含む
前記(1)または(2)に記載のセンサ。
(4)
複数の前記オンチップレンズを有する
前記(1)ないし(3)のうちいずれか1つに記載のセンサ。
(5)
複数の前記オンチップレンズ各々の上に、前記第1反射部材を有する
前記(4)に記載のセンサ。
(6)
前記オンチップレンズ上の中央部から外れた位置に配置された、前記第1反射部材を有する
前記(5)に記載のセンサ。
(7)
前記オンチップレンズ上の中央部に配置された、前記第1反射部材を有する
前記(6)に記載のセンサ。
(8)
更に、前記第1反射部材の前記オンチップレンズと反対側に積層された、反射防止部材を有する
前記(1)ないし(7)のうちいずれか1つに記載のセンサ。
(9)
前記反射防止部材は、カーボンブラック膜または酸化シリコン膜を含む
前記(8)に記載のセンサ。
(10)
更に、複数の前記画素が設けられた画素アレイ部を有し、
前記画素アレイ部の中央部の前記画素では、前記オンチップレンズの中央部に前記第1反射部材が設けられ、
前記画素アレイ部の前記中央部より外側の前記画素アレイ部に、前記オンチップレンズの前記中央部から外れた位置に前記第1反射部材が設けられた前記画素を有する
前記(1)ないし(9)のうちいずれか1つに記載のセンサ。
(11)
前記半導体基板の表面に、逆ピラミッドアレイ構造が設けられている
前記(1)ないし(10)のうちいずれか1つに記載のセンサ。
(12)
前記アバランシェフォトダイオードおよび前記オンチップレンズは前記画素毎に設けられ、
前記第1反射部材の占有面積は、前記画素の面積の25%以下である
前記(1)ないし(11)のうちいずれか1つに記載のセンサ。
(13)
前記第1反射部材は、タングステン,銀,アルミニウム,金または銅を含む
前記(1)ないし(12)のうちいずれか1つに記載のセンサ。
(14)
前記オンチップレンズは前記画素毎に設けられ、
複数の前記画素は第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素では、前記アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、
前記第2画素では、フォトダイオードが可視領域の波長の光を受光する
前記(1)ないし(13)のうちいずれか1つに記載のセンサ。
(15)
前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素のうち、前記第1画素に選択的に設けられている
前記(14)に記載のセンサ。
(16)
更に、前記第1反射部材に積層された光学機能膜を有し、
前記光学機能膜および前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素に設けられ、かつ、前記可視領域の波長の光を透過するとともに、前記近赤外領域および赤外領域の波長の光を反射する
前記(14)または(15)に記載のセンサ。
(17)
前記第1反射部材が複数に分離して設けられている
前記(1)ないし(16)のうちいずれか1つに記載のセンサ。
(18)
対向する第1面および第2面を有するとともに、アバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層とを備え、
複数の前記画素は第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素では、前記アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、
前記第2画素では、フォトダイオードが可視領域の波長の光を受光し、
前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素のうち、前記第1画素に選択的に設けられている
センサ。
(19)
対向する第1面および第2面を有するとともに、アバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層と、
前記第1反射部材に積層された光学機能膜と
を備え、
複数の前記画素は第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素では、前記アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、
前記第2画素では、フォトダイオードが可視領域の波長の光を受光し、
前記光学機能膜および前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素に設けられ、かつ、前記可視領域の波長の光を透過するとともに、前記近赤外領域および赤外領域の波長の光を反射する
センサ。
(20)
対向する第1面および第2面を有するとともに、画素毎にアバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に前記画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層とを備え
前記オンチップレンズに対する前記第1反射部材の位置が異なる前記画素を有する
前記画素は前記オンチップレンズに対する前記第1反射部材の位置が異なる
センサを備えた測距装置。
(21)
対向する第1面および第2面を有するとともに、アバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層とを備え、
複数の前記画素は第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素では、前記アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、
前記第2画素では、フォトダイオードが可視領域の波長の光を受光し、
前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素のうち、前記第1画素に選択的に設けられている
センサを備えた測距装置。
(22)
対向する第1面および第2面を有するとともに、アバランシェフォトダイオードが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面側に画素毎に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた第1反射部材と、
前記半導体基板の前記第2面側に設けられるとともに、第2反射部材を含む配線層と、
前記第1反射部材に積層された光学機能膜と
を備え、
複数の前記画素は第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素では、前記アバランシェフォトダイオードが近赤外領域および赤外領域の波長の光を受光し、
前記第2画素では、フォトダイオードが可視領域の波長の光を受光し、
前記光学機能膜および前記第1反射部材は、前記第1画素および前記第2画素に設けられ、かつ、前記可視領域の波長の光を透過するとともに、前記近赤外領域および赤外領域の波長の光を反射する
センサを備えた測距装置。
【0164】
本出願は、日本国特許庁において2019年3月6日に出願された日本国特許出願番号第2019-040812号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0165】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範疇に含まれるものであることが理解される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24