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特許7529660ナノバブルまたはナノ液滴を発生させるためのシステム、方法、および発生機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ナノバブルまたはナノ液滴を発生させるためのシステム、方法、および発生機
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/48 20230101AFI20240730BHJP
   B01F 23/2375 20220101ALI20240730BHJP
   B01F 27/05 20220101ALI20240730BHJP
   B01F 31/00 20220101ALI20240730BHJP
   B01F 33/3031 20220101ALI20240730BHJP
   B01F 35/90 20220101ALI20240730BHJP
   B01F 101/25 20220101ALN20240730BHJP
   B01F 101/44 20220101ALN20240730BHJP
【FI】
C02F1/48 B
B01F23/2375
B01F27/05
B01F31/00
B01F33/3031
B01F35/90
B01F101:25
B01F101:44
【請求項の数】 48
(21)【出願番号】P 2021520410
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2019078003
(87)【国際公開番号】W WO2020079020
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】1816766.8
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501339171
【氏名又は名称】ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン,ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド,ダブリン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ガーニ,モハマド レーザ
(72)【発明者】
【氏名】イングリッシュ,ナイル ジョセフ
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/150629(WO,A1)
【文献】米国特許第04085170(US,A)
【文献】特開2011-025203(JP,A)
【文献】特開2017-228423(JP,A)
【文献】特開2016-055262(JP,A)
【文献】特開2014-159008(JP,A)
【文献】特開2010-101561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/46-1/48
C02F1/20-1/26
C02F1/30-1/38
B01F21/00-25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノバブルまたはナノ液滴を生成する方法であって、
液体を収容するための容積部を提供することと、
前記液体内に媒体を分配することと、
ナノバブルまたはナノ液滴の発生を容易にするために、前記容積部の近傍にある電極を使用して電界を発生させることと、を含み、前記ナノバブルまたはナノ液滴は、前記電界の前記液体及び前記媒体への印加の結果として生成され、かつ、前記電極および前記液体が、前記容積部内で生じる電気分解を防止するために電気的に直接接触していない、方法。
【請求項2】
前記媒体が、ガス媒体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス媒体が、
2つ以上のガスの混合物、または、
2つ以上のガスの少なくとも1つが濃縮されている2つ以上のガスの混合物を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記媒体が、液体媒体である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記液体媒体が、
2つ以上の液体成分の混合物、または、
2つ以上の液体の少なくとも1つが濃縮されている2つ以上の液体成分の混合物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記液体が、水性液体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記液体が、脱イオン水を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記電界が、静電界である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記容積部内の少なくとも前記液体を冷却するための冷却手段を適用することをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却手段が、前記容積部の近傍で冷却剤を循環させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記容積部を排気することをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記容積部内の前記液体、前記媒体及び前記ナノバブルまたはナノ液滴を撹拌することをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記撹拌することが、揺動運動によって提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
温度を感知すること、および/または圧力を感知することをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
液体の体積が、20cm3である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
最大100バールの圧力が、前記容積部に印加される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
30VのDC電圧が、電極に印加される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
音響信号が、前記液体から前記ナノバブルまたはナノ液滴を放出するために印加される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
磁気信号が、前記液体から前記ナノバブルまたはナノ液滴を放出するために印加される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記容積部が、前記液体の本体内に前記ナノバブルまたはナノ液滴を貯蔵することを容易にするために、所定のレベルに冷却される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ナノバブルまたはナノ液滴を生成するための発生機であって、
液体を収容するための容積部と、
前記容積部に媒体を供給して前記液体内に分配するための供給源と、
ナノバブルまたはナノ液滴の発生を容易にするために、前記容積部の近傍に電界を発生させるための電極と、を含み、前記ナノバブルまたはナノ溶滴は、前記電界の前記液体及び前記媒体への印加の結果として生成され、かつ、前記電極と前記液体が、電気分解を回避するために電気的に直接接触していない、発生機。
【請求項22】
前記供給源が、ガス媒体を供給するためのガス供給源を含む、請求項21に記載の発生機。
【請求項23】
前記供給源が、液体媒体を供給するための液体供給源を含む、請求項21に記載の発生機。
【請求項24】
前記電極が、静電界を提供するように構成されている、請求項21~23のいずれか一項に記載の発生機。
【請求項25】
前記発生機が、前記容積部少なくとも前記液体を冷却するための冷却手段をさらに含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の発生機。
【請求項26】
前記冷却手段が、前記容積部の近傍で冷却剤を循環させるように構成される、請求項25に記載の発生機。
【請求項27】
前記発生機の少なくとも一部が、内部に前記冷却剤を収容するための通路を画定する、請求項21~26のいずれか一項に記載の発生機。
【請求項28】
前記容積部を排気するための真空手段をさらに含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の発生機。
【請求項29】
前記容積部の前記液体、前記媒体及び前記ナノバブルまたはナノ液滴を撹拌するための撹拌手段をさらに含む、請求項21~28のいずれか一項に記載の発生機。
【請求項30】
前記撹拌手段が、機械的撹拌機を含む、請求項29に記載の発生機。
【請求項31】
前記電極が、カソードおよびアノードを含む、請求項21~30のいずれか一項に記載の発生機。
【請求項32】
前記カソードおよびアノードでは、前記容積部内で生じる電気分解を防止するために、前記容積部の前記液体との直接の電気的接触が制限されている、請求項31に記載の発生機。
【請求項33】
前記カソードおよびアノードが、電気絶縁コーティングでコーティングされている、請求項32に記載の発生機。
【請求項34】
前記カソードとアノードが、前記カソードとアノードとの間の距離に反比例する強度を有する電界を提供するために平行構成に配置されている、請求項32または33に記載の発生機。
【請求項35】
前記電極が、複数のアノードおよび複数のカソードを含む、請求項21~31のいずれか一項に記載の発生機。
【請求項36】
前記電極が、メッシュ構成を含む、請求項35に記載の発生機。
【請求項37】
前記電極が、複数のメッシュ要素を含む、請求項35または36に記載の発生機。
【請求項38】
前記複数のアノードおよび複数のカソードが、並列構成で配置されている、請求項35~37のいずれか一項に記載の発生機。
【請求項39】
各メッシュ要素が、内部に送達機構の一部を受容するための開口を含む、請求項37に記載の発生機。
【請求項40】
前記送達機構が、前記メッシュ要素の前記開口を通って延在するための細長い管状部材を含む、請求項39に記載の発生機。
【請求項41】
前記管状部材が、ベース部材上に動作可能に取り付けられている、請求項40に記載の発生機。
【請求項42】
前記送達機構が、前記容積部内の前記媒体の分配を容易にするための複数の出口を含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の発生機。
【請求項43】
前記出口が、それを通して前記媒体を収容するが、前記容積部からの前記液体の侵入を防止するように寸法決定されている、請求項42に記載の発生機。
【請求項44】
前記電極が、一連の同心要素で構成されるように配置されている、請求項21に記載の発生機。
【請求項45】
前記同心要素は、各要素が接触しているカソードおよびアノードからなるように構成され得る、請求項44に記載の発生機。
【請求項46】
前記媒体を濃縮するための濃縮器をさらに含む、請求項21~45のいずれか一項に記載の発生機。
【請求項47】
温度制御された環境で前記ナノバブルまたはナノ液滴を貯蔵するための貯蔵容積部をさらに含む、請求項21~46のいずれか一項に記載の発生機。
【請求項48】
前記ナノバブルまたはナノ液滴が、貯蔵を容易にするために凍結されている、請求項47に記載の発生機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ナノバブルまたはナノ液滴を発生させるためのシステム、方法に関する。特に、限定的ではないが、本開示は、電気分解を使用しないナノバブルまたはナノ液滴の発生に関する。本開示はまた、バイオガスおよび廃水を処理するためのシステムおよび方法に関する。特に、限定的ではないが、本開示は、ナノバブルおよびガス水和物形成を介した嫌気性消化からのバイオガスおよび廃水の処理に関する。本開示はまた、多成分混合物の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
産業にとってのナノバブルの価値は、そこに発見された非常に多様な用途に明確に見ることができる。液体中でのそれらの高い準安定性は、ナノバブルが数ヶ月のスケールでのガス貯蔵における評判のよい用途であることを見出している。さらに、それらの高い表面積対体積比は、それらが表面の不溶性の汚れに付着することができるので、それらが表面洗浄用途において有益であることを意味している。ナノバブルは、浮選による廃水処理、さらには農業からのメタン排出の制御を含むバイオガス用途での広い使用も見出している。
【0003】
このような用途は、ナノバブルの様々な物理的特性とそれらを生成する手段に関するかなりの量の研究を動機付けている。例えば、液体の圧力が急激に変化すると低圧のキャビティが形成されるキャビテーション効果が、ナノバブルを生成するために使用されてきた。
【0004】
これらの方法は、必要なエネルギーと必要な物理的装置の点でコストがかかることがわかっている。さらに、いくつかの方法は、液体を汚染するプロセスで添加剤を必要とする一方で、比較的低いガス溶解度も生成する。
【0005】
米国公開特許出願第2018/141837号は、ナノバブルおよびヒドロキシルラジカル発生剤(NBHRG)と、NBHRGを使用して化学物質を使用せずに水を除染する処理システムに関する。公開PCT特許出願番号第WO2005/084786号は、酸素ナノバブルを含む水および生成方法に関する。米国公開特許出願第US2010/0147701号は、消毒特性を増強するために液体を介して交番電界を印加するための方法および装置に関する。公開PCT特許出願番号第WO2017/156410号は、ナノバブルを生成するための方法および装置に関するものであり、ガスは、ガスが多孔質側壁を通って押し出され、ガス透過性部材の外面にナノバブルを形成するような圧力で装置に供給される。これらの技術は、水の電気分解を使用する方法に基づいており、水を水素と酸素に分解し、生成されたガスがナノバブルを形成するプロセスを有し、さらに、局所的な圧力の減少とその後の増加の結果として、流れる液体で生じる、流体力学的キャビテーション、気化、バブル発生、バブル内破のプロセスを有する。電気分解を伴う方法では、水と電極の直接の液-電気接触または放電、または別のイオン源の導入が必要である。代替的に、流体力学的キャビテーションなどの電気分解を使用しない方法は、持続可能なナノバブルを発生させるのに効率が低く、溶解度の増強が低減すると考えられている。
【0006】
ナノバブルの調製に関してこれまで様々な方法が知られているが、そのような方法は通常、ナノバブルが発生される水中に電気分解または異物(例えば、イオン)を導入し、汚染をもたらし得る。公開PCT特許出願番号第WO2014/148397号は、水の電気分解を使用して、生成されたガスがナノバブルを形成する水素と酸素に水を分解する。公開PCT特許出願番号第WO2005/084786号は超音波照射を使用し、さらに添加イオンを使用してナノバブルを安定化する。米国公開特許出願第US2007/0189972号は、液体に含まれるマイクロバブルに物理的刺激を加えてマイクロバブルを急激に収縮させてナノバブルを形成する、ナノバブルを形成する方法に関する。さらに、この方法には、添加イオンの使用も含まれる。マイクロバブルなしで比較的大量のナノバブルを形成することは、操作が容易でエネルギー効率が高く、より高いガス溶解性をもたらす。
【0007】
公開欧州特許出願第EP2986975号は、円錐形のナノポアにおけるナノバブルおよびナノ粒子のダイナミクスを制御するための方法およびシステムに関する。
【0008】
嫌気性消化(AD)は、動物の排泄物、下水、生ごみなどの生分解性原料を、バイオガス、消化物および水という3つの主要な生成物に変換することである。バイオガスの抽出は、産業、特に熱または電気の発生に非常に多様な用途があるため、非常に望ましいものである。ただし、HSを含む汚染物質は非常に腐食性が高く、燃焼を阻害するため、バイオガスを効果的に利用するには、バイオガスを大幅に精製する必要がある。さらに、メタンおよび二酸化炭素などのバイオガスを十分に抽出せずに嫌気性消化からの廃棄生成物を処分することは、地球規模で温室効果ガスの排出に寄与するなど、環境に悪影響を与えると広く理解されている。圧力スイング吸収、極低温分離、化学洗浄および膜技術などの既存の精製方法には、通常、かなりの資本コストと運用コストがかかる。さらに、既存の精製方法は、概して、大規模なバイオガス生成でのみ費用効果が高く、小規模で局所的な解決策は経済的に実現可能ではない。
【0009】
バイオガス抽出後に残る沈殿物である消化物は、肥料、堆肥などに使用することができる。しかしながら、バイオガスと消化物の抽出後に残っている廃水は、通常、水取り出しの処理を必要とする汚染物質または他の望ましくない汚染物質を含んでいる。
【0010】
従来技術の欠点の少なくともいくつかに対処するナノバブルまたはナノ液滴を発生させるための方法、システム、および装置が必要である。先行技術の少なくともいくつかの欠点に対処するバイオガスおよび廃水を処理するための方法およびシステムも必要である。さらに、多成分混合物を処理するための方法およびシステムも必要である。
【発明の概要】
【0011】
したがって、ナノバブルまたはナノ液滴を生成する方法が提供され、この方法は、
液体を収容するための容積部を提供することと、
液体内に媒体を分配することと、
ナノバブルまたはナノ液滴の発生を容易にするために、容積部の近傍にある電極を使用して電界を発生させることと、を含み、電極および液体は、容積部内で生じる電気分解を防止するために電気的に直接接触していない。
【0012】
一態様では、媒体はガス媒体である。有利に、ガス媒体は、2つ以上のガスの混合物を含む。好ましくは、ガスの少なくとも1つは、濃縮されている。
【0013】
別の態様では、媒体は、液体媒体である。有利に、液体媒体は、2つ以上の液体成分の混合物である。好ましくは、液体成分の少なくとも1つは濃縮されている。
【0014】
一態様では、液体は水性液体である。
【0015】
さらなる態様では、液体は脱イオン水を含む。
【0016】
例示的な態様では、電界は静電界である。
【0017】
別の態様では、容積部の内容物を冷却するための冷却手段が提供される。有利に、冷却手段は、容積部の近傍で冷却剤を循環させる。
【0018】
一態様では、この方法は、容積部を排気することを含む。
【0019】
さらなる態様では、この方法は、容積部の内容物を撹拌することを含む。有利に、撹拌は、揺動運動によって提供される。
【0020】
例示的な構成では、この方法は、温度を感知すること、および/または圧力を感知することを含む。
【0021】
一例では、液体の体積は約20cmである。有利に、最大100バールの圧力が容積部に加えられる。好ましくは、約30VのDC電圧が電極に印加される。
【0022】
一態様では、音響信号は、液体からナノバブルまたはナノ液滴を放出するために印加される。
【0023】
別の態様では、磁気信号は、液体からナノバブルまたはナノ液滴を放出するために印加される。
【0024】
一態様では、容積部は、液体の本体内にナノバブルまたはナノ液滴を貯蔵することを容易にするために、所定のレベルに冷却される。有利に、液体の本体は凍結されている。
【0025】
例示的な態様では、ナノバブルまたはナノ液滴を生成する方法が提供され、この方法は、
液体を収容するための容積部を提供することと、
液体内に媒体を分配することと、
ナノバブルまたはナノ液滴の発生を容易にするために、容積部の近傍に電界を発生させることと、を含み、電気分解は、容積部内で生じない。
【0026】
本開示はまた、ナノバブルまたはナノ液滴を生成するための発生機に関し、この発生機は、
液体を収容するための容積部と、
容積部に媒体を供給して液体内に分配するための供給源と、
ナノバブルまたはナノ液滴の発生を容易にするために、容積部の近傍に電界を発生させるための電極と、を含み、電極と液体とは、電気分解を回避するために直接電気的に接触していない。
【0027】
一態様では、供給源は、ガス媒体を供給するためのガス供給源を含む。
【0028】
別の態様では、供給源は、液体媒体を供給するための液体供給源を含む。
【0029】
さらなる態様では、電極は、静電界を提供するように構成される。
【0030】
例示的な構成では、発生機は、容積部の内容物を冷却するための冷却手段をさらに備える。有利に、冷却手段は、容積部の近傍で冷却剤を循環させるように構成される。一例では、発生機の少なくとも一部は、内部に冷却剤を収容するための通路を画定する。
【0031】
別の態様では、容積部を排気するための真空手段が提供される。
【0032】
さらなる態様では、容積部の内容物を撹拌するための撹拌手段が提供される。
【0033】
有利に、撹拌手段は、機械的撹拌機を含む。
【0034】
一態様では、電極は、カソードおよびアノードを含む。
【0035】
別の態様では、カソードおよびアノードは、容積部内で電気分解が生じるのを防止するために、容積部の内容物との直接の電気的接触が制限されている。
【0036】
一態様では、カソードおよびアノードは、電気絶縁コーティングまたは材料でコーティングまたは被覆されている。
【0037】
別の態様では、カソードとアノードは、カソードとアノードとの間の距離に反比例する強度を有する電界を提供するために、並列構成で配置されている。
【0038】
さらなる態様では、電極は、複数のアノードおよび複数のカソードを含む。
【0039】
別の態様では、電極はメッシュ構成を含む。有利に、電極は、複数のメッシュ要素を含む。
【0040】
例示的な構成では、複数のアノードおよび複数のカソードが並列構成で配置される。
【0041】
一態様では、各メッシュ要素は、内部に送達機構の一部を受容するための開口を含む。
【0042】
別の態様では、送達機構は、メッシュ要素の開口を通って延在させるための細長い管状部材を含む。有利に、管状部材は、ベース部材上に動作可能に取り付けられる。
【0043】
一態様では、送達機構は、容積部内の媒体の分配を容易にするための複数の出口を含む。有利に、出口は、それを介して媒体を収容するが、容積部からの液体の侵入を防止するように寸法決定されている。
【0044】
別の態様では、電極は、一連の同心要素からなるように配置されている。
【0045】
一態様では、同心要素は、各要素が接触しているカソードおよびアノードからなるように構成することができる。
【0046】
さらなる態様において、濃縮器は、媒体を濃縮するために提供される。
【0047】
一態様では、温度制御された環境でナノバブルまたはナノ液滴を貯蔵するための貯蔵容積部が提供される。
【0048】
別の態様において、ナノバブルまたはナノ液滴は、貯蔵を容易にするために凍結される。
【0049】
本開示はまた、ナノバブルまたはナノ液滴を発生させるためのシステムに関し、このシステムは、
発生機であって、この発生機は、
液体を収容するための容積部と、
容積部に媒体を供給して液体内に分配するための供給源と、
ナノバブルまたはナノ液滴の発生を容易にするために、容積部の近傍に電界を発生させるための電極を含み、この電極および液体は、電気分解を回避するために直接電気的に接触しておらず、さらに、発生機を制御するために構成された制御回路と、を含む。
【0050】
一態様によると、廃水を処理する方法であり、その方法は、
廃水およびガスを受容するための容器を提供するステップと、ガスは、1つ以上の構成ガス成分を含み、
廃水およびガスの第1のガス成分を容器に方向付けるステップと、
廃水および第1のガス成分を含む包接水和物の形成を容易にするために、容器の内容物の温度を第1の温度から第2の温度に低減させるステップと、
包接水和物の溶融を容易にするために、第2の温度に容器の内容物の温度を増加させるステップと、
容器から浄水および/または第1のガス成分を除去するステップと、を含む。
【0051】
一態様において、この方法は、第1のガス成分のナノバブルを発生させることをさらに含む。
【0052】
別の態様において、第1のガス成分を容器に方向付けることは、第1のガス成分のナノバブルを容積部から制御可能に放出することを含む。有利に、容積部は、ナノバブル発生機を含む。好ましくは、第1のガス成分のナノバブルを制御可能に放出することは、ナノバブルを貯蔵する液体に信号を印加することを含む。例示的な実施形態において、信号は、音響信号または電磁信号のうちの少なくとも1つを含む。
【0053】
一態様において、この方法は、容器から残留物を除去することをさらに含む。
【0054】
別の態様において、この方法は、ガスの第2のガス成分を発生機から除去することをさらに含む。一例では、第1のガス成分は、二酸化炭素または一酸化炭素を含む。一例では、第2のガス成分はメタンを含む。
【0055】
別の態様によれば、廃水を処理するためのシステムが提供され、そのシステムは、
廃水およびガスを受容するための容器であって、ガスが1つ以上の構成ガス成分を含む容器と、
廃水およびガスの第1のガス成分を容器に方向付けるための手段と、
温度制御手段であって、
廃水および第1のガス成分を含む包接水和物の形成を容易にするため、容器の内容物の温度を第1の温度から第2の温度に低減させるように、かつ
包接水和物の溶融を容易にするために、第2の温度に容器の温度を増加させるように構成される温度制御手段と、
容器から浄水および/または第1のガス成分を除去するための手段と、を含む。
【0056】
さらなる態様によると、多成分混合物を処理するためのシステムが提供され、このシステムは、
第1の媒体および第2の媒体を受容するための容器と、
第1の媒体を容器に供給するための供給源および第2の媒体を容器に供給するための供給源と、
容器の内容物の温度を制御するための温度制御手段と、を含み、温度制御手段は、第1の媒体および第2の媒体を含む水和物の形成を容易にするために、容器の内容物の温度を制御するように構成され、かつ温度制御手段は、水和物の溶融を容易にして第1の処理媒体および第2の処理媒体を提供するために温度を制御するように構成される。
【0057】
一態様において、第1の媒体はガスを含み、ガスは1つ以上の構成ガス成分を含む。有利に、容器内で形成される水和物は包接水和物である。
【0058】
別の態様において、システムは、ガスの第1のガス成分のナノバブルを発生させるためのナノバブル発生機をさらに含み、ナノバブル発生機の容積部とそれらの間の容器を接続するための少なくとも1つの導管をさらに含む。
【0059】
一態様では、多成分混合物を処理するための方法が提供され、この方法は、
容器に第1の媒体を提供することと、
容器に第2の媒体を提供することと、
第1の媒体および第2の媒体を含む水和物の形成を容易にするために容器の内容物の温度を制御することと、
第1の処理媒体および第2の処理媒体を提供し、水和物の溶融を容易にするために、容器の内容物の温度を制御することと、を含む。
【0060】
一態様において、第1の媒体はガスを含み、ガスは1つ以上の構成ガス成分を含む。
【0061】
さらに、本開示は、液体からナノバブルまたはナノ液滴を放出する方法に関し、この方法は、ナノバブルまたはナノ液滴を貯蔵する液体に信号を印加することにより、ナノバブルまたはナノ液滴を制御可能に放出することを含み、信号は、音響信号または電磁信号のうちの少なくとも1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0062】
ここで、本教示は、以下の添付の図面を参照して説明される。
【0063】
図1】本開示に従ってナノバブルまたはナノ液滴を生成する方法を実行する際に使用されるシステムを詳述するプロセス図を示す。
図2図1のシステムの一部を形成するその断面を含む、発生機の実施形態を示す。
図3】電極の例示的な実施形態を示す斜視図である。
図4】電極の別の例示的な実施形態を示す斜視図である。
図5】電極のさらなる例示的な実施形態を示す斜視図である。
図6】ナノバブルまたはナノ液滴を生成するための例示的なステップを詳述するフローチャートである。
図7】様々な印加電界強度における、ナノバブルの表面積とそれらの安定性の増強との間の関係を示すグラフである。
図8】ナノバブルサイズとナノバブル寿命との間の関係を示すグラフである。
図9】24時間にわたるDC電源の電流の変化を示すグラフである。
図10】ナノバブルまたはナノ液滴を発生させるための、本教示にしたがう別のシステムの図である。
図11】本教示の一実施形態による、バイオガスおよび廃水を処理するためのシステムの図である。
図12】本教示の実施形態による、図11のシステムを使用してバイオガスおよび廃水を処理するための方法の例示的なステップを示す流れ図である。
図13】廃水を処理するための方法の例示的なステップを示す流れ図である。
図14】多成分混合物を処理するための方法の例示的なステップを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
ここで、本開示は、ナノバブルおよびガス水和物形成を介した嫌気性消化からのバイオガスおよび廃水を処理するための例示的な方法、発生機、およびシステムを参照して説明される。例示的な方法、発生機、およびシステムは、教示の理解を支援するために提供されており、いかなる方法でも限定的であると解釈されるべきではないことが理解されよう。さらに、いずれか1つの図を参照して説明される要素または構成要素は、本教示の精神から逸脱することなく、他の図または他の同等の要素のものと交換することができる。説明を単純化および明確にするために、適切であると考えられる場合、対応するまたは類似の要素を示すために、参照番号が図の間で繰り返され得ることが理解されよう。
【0065】
図面を参照し、最初に図1および2を参照すると、本開示によるナノバブルまたはナノ液滴であり得るナノ要素を発生させるためのシステム100が示されている。システム100は、ナノ要素が発生される発生機101を備える。発生機101は、内部に液体103を収容する容積部102を画定する中空の内部領域を備える。例示的な実施形態では、液体103は、脱イオン水または別の水溶液であり得る。気体または液体の形態の媒体が、容器102に供給されて、液体103内に分配される。図2に最もよく示されているような電極104は、内部のナノ要素の発生を容易にするために、容積部102の近傍に電界を発生させるために提供される。電極104と液体103は、容積部102内で生じる電気分解を回避するために直接電気的に接触していない。例示的な実施形態では、電極104は、絶縁材料またはコーティングなどで被覆またはコーティングされている。
【0066】
容積部102内の内容物を冷却するために、冷凍庫または等温浴105などの冷却手段が提供される。等温浴105は、容積部102の近傍の発生機101の少なくとも一部を通して冷却剤を循環させるように構成される。例示的な実施形態では、発生機101は、内部に冷却剤の流れを収容するために設けられた通路106を備えた二重壁である。冷却剤は、入口管107を介して通路106に導入される。次に、冷却剤は、出口管108を介して等温浴105に戻される。当業者には、冷却剤として使用できる複数の冷却剤が存在することが理解され得る。例えば、例示的な実施形態では、冷却剤は、水とエチレングリコールの混合物として提供される。代替的に、冷却剤は、不凍剤であり得る。等温浴105は、263-343Kの温度範囲で冷却剤を供給するために動作可能である。
【0067】
発生機102は、容積部102を密封するための密封手段をさらに備える。密封手段は、発生機102の側壁と動作可能に係合するための閉鎖キャップ109および密封ガスケット110を含み得る。例示的な実施形態では、密封ガスケット110はテフロンで形成されている。容積部102を排気するための真空手段を設けることができ、これは、例えば、真空ポンプ111によって提供することができる。容積部の内容物を撹拌するための撹拌手段を提供することができる。例示的な実施形態では、撹拌手段は、揺動運動を提供するように構成され得る機械的撹拌機(図示せず)を含む。
【0068】
発生機102に関連するパラメータは、データ取得システム112を使用して監視することができる。容積部102の内容物に関連する温度を感知するために、温度センサ113が設けられている。例示的な構成では、温度センサは熱電対を含む。圧力センサ114は、発生機102に関連する圧力を感知するために提供される。一例では、発生機102に関連する温度は、白金測温抵抗素子(熱電対)を使用して監視される。温度センサ113で監視された温度と圧力センサ114で監視された圧力の両方が、データ取得システム112を使用して間隔を置いて記録された。
【0069】
発生機102は、媒体の供給源115をさらに含む。例示的な実施形態では、供給源115は、適切なガスまたはガスの組み合わせを容積部102に提供するために選択的に制御される3つの個別のガス供給源を含む。図1は、3つのガス供給源がプロパン、メタン、および水素であることを示しているが、任意の適切なガス供給源を使用することができ、開示を記載の例示的なガスに限定することを意図しないことは当業者には理解され得る。発生機102は、制御回路116を介して制御される。制御回路116は、供給源115、真空ポンプ111、温度センサ113、圧力センサ114、データ取得システム112、および等温浴105と通信している。背圧弁117は、容積部102から液体103を失うことなく、供給源115から容器102への媒体の制御された導入を容易にする。入口導管118は、供給源115から容積部102への媒体のルーティングを容易にする。容積部102への媒体の流れを計量するために、流量計119が提供される。
【0070】
使用中、ガス供給源115から容積部102へのガスの導入は、一連のボール弁120を介して制御され、さらに詳細に説明される。ガス供給源115の制御は、必要が生じた場合に、ガスまたはガスの組み合わせを真空ポンプ111またはダンプ121のいずれかにルーティングするように一連のボール弁120を変更することを含む。背圧シリンダ122は、背圧弁117が閉じた場合にガス流を収容する。
【0071】
図2は、液体103および媒体が充填されている容積部102を含む二重壁発生機101の断面を詳述している。例示的な実施形態では、液体103は、脱イオン水であり、20cmの体積を有する。当業者は、液体103が任意の好適な水溶液を含み得、脱イオン水が例として提供されることを理解されよう。図3に最もよく示されているように、電極104は、カソード123およびアノード124を含み、これらは、例示的な実施形態では、平行配置で容積部102の底部に配線され、容積部102の内容物に印加される静電界を発生させる。電解の効果は、気体媒体のナノバブルまたは液体103内の液体媒体のナノ液滴の形成および蓄積をもたらす。DC電流が電極104に印加されて、最大60ボルトの電位差を生成する。より大きな電圧は、使用される他のパラメータ、例えば、液体103の体積および容積部102に導入された媒体の比率で上方にスケーリングされた本開示の明示において、発明者によって想定される。
【0072】
重要なことには、本開示の有利な特徴が、電極104の実施形態のいずれも、絶縁コーティングまたは材料などでコーティングまたは被覆されて、液体-ガス混合物と直接電気的に接触していないことである。この絶縁コーティングは、例えば、誘電体塗料または他の好適な材料であり得る。したがって、本開示は、これまでに知られている電気分解に基づく方法とは異なる。ナノバブルの容易で制御されたオンデマンドの抽出は、ナノバブルを含む容積部102の内容物に音響インパルスなどの音響信号を印加することによって行われる。音響信号が所定の期間印加された後、容積部102が主に液体103を含むように、ナノバブルまたはナノ液滴が液体103から完全に抽出される。この抽出方法は、十分に容易で制御可能であるだけでなく、数か月の時間スケールにまで及ぶ可能性のあるナノバブルの準安定にはるかに先行する期間にわたる抽出を可能にする。ナノバブルの容易で制御されたオンデマンドの放出は、磁界を使用してさらに実施することができる。磁界は、永久磁石によって供給され得るが、他の手段、例えば、電磁パルスまたは一連のパルスが本発明者らによって想定されている。さらに、気体のナノバブルまたは液体媒体のナノ液滴を抽出するこの方法は、図9を参照して以下に説明するように、エネルギー効率が高い。
【0073】
図3は、並列に設定され、容積部102のベース126に配置されたカソード123およびアノード124からなる電極104Aの第1世代の実施形態を示している。本発明者らによって実施された有限要素研究は、この実施形態では、容積部102中の液体103の30%のみが電界に曝されたことを発見した。その結果、さらに2つの実施形態が開発された。
【0074】
図4は、同心要素127からなる電極104Bの第2世代の実施形態を示し、各同心要素127は、同心要素127上の任意の所与の点で平行に接触して設定されたカソード123およびアノード124をさらに含む。カソード123およびアノード124の両方は、中央開口128を通ってそれらのそれぞれの電気接点に送られる。この実施形態は、図3に示される第1の実施形態と比較して、液体103の電界へのより大きな程度の曝露を可能にし、液体103は、同心要素127の間のキャビテーションに送られる。
【0075】
図5は、電極104Cの第3世代の実施形態を示し、電極104は、並列構成に配置され、複数のメッシュ要素129に接続された複数のカソード123および複数のアノード124を含む。各メッシュ要素129は、ガス媒体または液体媒体を容積部102に送達するために使用される送達機構131の一部を受け入れるための開口130を備える。送達機構131は、細長い管状部材132を備える。細長い管状部材132は、メッシュ要素129の開口130を通って延在するように寸法決定されている。例示的な実施形態では、細長い管状部材132は、ベース部材133に動作可能に取り付けられている。細長い管状部材132およびベース部材133の両方は、好適な絶縁材料、例えば、特定のポリマーのいずれかで作製され得る。送達機構131は、容積部102内での媒体の分配を容易にするための複数の出口134を備える。これらの出口134は、媒体が収容されるが、液体103が、細長い管状部材132またはベース部材133のいずれかによって画定される内部容積部に入るのを防止されるような寸法になっている。
【0076】
ベース部材133上の出口134は、供給源115から容積部102に導入された媒体がメッシュ要素129の材料ワイヤによって容積部102の底部近くに捕捉されないように、メッシュ要素129に対して配置される。断面136は、メッシュ要素129に対する出口134の配置を示している。例示的な実施形態では、出口134は、管状部材132からベース部材133上で放射状に延在する。カソード123およびアノード124は両方とも、望ましくない短絡を回避するために、導電性メッシュ31の反対側にあるそれら自身のコレクタバスバーに別々に接続されている。電極104のこの実施形態は、前の実施形態と比較して、電界への液体曝露のレベルおよび電界強度の両方を10倍増加させ、したがって、本発明者らは、この実施形態が産業用途に対してさらに拡張可能であることを想定する。
【0077】
この方法で達成可能な準安定ガス溶解度のレベルは、表1に示すように、これまでに知られているレベルよりも大幅に高くなっている。メタンの場合、ガス溶解度のレベルは、メタンについて事実上のヘンリーの法則より22.5倍高いのに対し、酸素については、ガス溶解度のレベルはこの方法で2.5倍高いことがわかる。二酸化炭素の場合、デファクタのヘンリーの法則係数は、15のファクタに増加することがわかる。本発明者らは、これがガス貯蔵産業において明確な用途を有すると想定している。さらに、本発明者らは、これが産業用炭素排出量の低減に重要な用途を有することを想定している。
【表1】
【0078】
さらに、この方法は、本開示において液体103と称される親液相と接触している相混合物(複数の気体または複数の液体)にも適用することができる。これの1つの可能な実現は、その範囲を限定すると理解されるべきではないが、メタンおよび二酸化炭素の混合物である。ミリグラム/リットルにおける二酸化炭素のヘンリーの法則係数の溶解度は、メタンのヘンリーの法則係数の溶解度の30倍である。本開示の方法のような混合物への電界の印加は、二酸化炭素の溶解度の12倍の増加をもたらし、したがって、メタンよりも二酸化炭素のかなり多くの部分が液体に拡散し、メタンは97-98%の範囲のレベルに精製する。これは、例えば、農業におけるメタン生成を制御するためのバイオガス産業、または嫌気性消化装置からのバイオガスを処理するための(例えば、廃水処理産業において)重要な用途を有する。燃焼を阻害する可能性のあるHSなどの腐食性汚染物質を除去することができ、例えば熱電併給サイクルでの熱および/または電気の発生におけるバイオガスの使用を可能にする。
【0079】
電気分解を使用しないナノバブルを生成する方法は、歴史的にエネルギー効率が低いと理解されてきたが、本開示は、従来技術の開示よりも著しくエネルギー効率が高い。この観点から、当業者は、本開示が産業にとって重要な価値を有することを理解し得る。
【0080】
ここで、本開示に従ってナノバブルまたはナノ液滴を発生させるための例示的なステップを詳述するフローチャート150を示す図6を参照する。ステップ154において、液体は、容積部102内に充填される。ステップ156において、気体媒体または液体媒体などの媒体は、容積部102内の液体103内に分配される。ステップ158において、電界は、電極104を使用してナノバブルまたはナノ液滴の発生を容易にするために、容積部102の近傍に発生される。ステップ159において、電極104および液体103は、容積部102内で生じる電気分解を防止するために直接電気的に接触していない。
【0081】
本開示による例示的な構成の概略図は、フローチャート150のステップを実施するために使用され得る図1に示されている。例示としてのみ提供される、本明細書に記載の特定の発生機101に開示を限定することを意図しないことが理解されよう。発生機101は、340cmの容積を有するステンレス鋼(SS-316)均衡容積部102として提供され、24MPaの最大設計圧力が実験を実施するために使用された。容積部102の温度は、等温浴105内で冷却剤として水とエチレングリコールの混合物を循環させることによって制御された。等温浴105の温度は、263-343Kの範囲で調整可能であった。0.1Kの精度を有する白金測温抵抗素子(Pt-100)を使用して、容積部102の温度を測定した。二重壁発生機を使用すると、冷却液が水103を汚染しない間、温度を制御するのに役立つ。温度計は、基準の白金測温抵抗素子に対して較正され。容積部102に関連する圧力は、±0.010MPaの不定状態でトランスデューサ114によって監視された。調節可能な速度の揺動デバイスを使用して、容積部102に機械的撹拌を適用した。システム100はまた、異なる時間間隔で温度および圧力を記録するためのデータ取得プログラム112を備えていた。本明細書に記載の例示的な値は、例としてのみ提供されており、代替的な値が使用され得ることが理解されよう。
【0082】
電極104のカソード123およびアノード124は、30Vの電位を有するDC電力供給装置に動作可能に接続されている。電界は、水103に印加される。水103は、第1のステップで充填され、次いで、容積部102は、閉鎖キャップ109および密封ガスケット110を使用して密封される。発生機101には100バールのガスが充填され、圧力はナノバブルまたはナノ液滴の形成中に記録される。当業者は、本開示を記載された例示的な値に限定することを意図していないことを理解されたい。例えば、DC電源の電圧は、任意の所望の値に設定され得ることが想定される。
【0083】
プロセスを開始する前に、容積部102には水がかけられ、洗浄され、空気流を使用して完全に乾燥されたが、これは、汚染を回避するために、液体が充填され、媒体が導入される容積部102を洗浄するためであった。その後、1MPaの圧力で窒素を注入することにより、容積部102の漏れを調べた。漏れテストは、ナノバブル形成中の圧力測定値の精度を確認するためのものである。次のステップでは、不活性ガスをパージし、真空ポンプ111を約30分間使用して、閉じ込められたガスを容積部102から排気した。不活性ガスおよびガス排出によるこの第2の洗浄ステップは、容積部102によって画定される容積部内の不要なガス分子を除去する。20cmの体積の脱イオン水3が容積部102に充填され、この量の水103は、良好なレベルの再現可能な性能を提供することが見出された。容積部102に関連する圧力は、所望の圧力に達するまで、供給源115から選択されたガスを注入することによって増加された。例示的な実験では、約100バールのガスが容積部102に充填された。水103は、機械的撹拌の存在下で約2時間のガス-水接触後に飽和した。容積部102の機械的撹拌を増加させるために、調整可能な速度の揺動デバイス(図示せず)が使用された。この機械的撹拌により、水が乱流になり、水性ガスとの接触が改善され、気泡形成の収率が高くなる。次に、圧力と温度が毎秒記録されながら、DC電流(0-60V)が印加された。本明細書に記載の例示的な値は、例としてのみ提供されており、代替的な値が使用され得ることが理解されよう。
【0084】
分子動力学シミュレーションを使用して、外部から印加された電界におけるナノバブル形成のメカニズムを研究し、それらの安定条件を特徴付けた。ナノバブルは、電界での水和物分解の分子動力学から観察された。本発明者らは、印加電界下でのナノバブルの安定性を研究し、その結果は、図7に示されるように、より高い電界強度での水和物のより高い安定性を示している。
【0085】
メタンナノバブルの形成後、溶液は周囲条件(圧力、温度)で3か月間貯蔵され、動的光散乱法を使用して特性評価された。結果は、エージング期間中にナノバブルが融合してバブルサイズが増加したことを示しているが、この増加は、図8に示すように、ナノバブルを水媒体から強制的に排出させるのに十分ではない。
【0086】
形成プロセスの24時間中のナノバブル形成のエネルギーは、容積部102内に蓄積されたエネルギーに基づいて計算することができ、電極104と水103の組み合わせは、約3nFの容量のコンデンサに似ることができる。ナノバブル形成中、水103の誘電値は変化し、これはコンデンサの漏れと考えることができる。漏れを補償するために、余分なエネルギーをシステム100に追加しなければならない。したがって、総エネルギーを計算するために、この形成プロセス中に、印加電流がデータ取得システム112に記録された。図9のグラフは、時間の関数としての電流変動を示している。観察された電流は、非常に低いが、24時間のこの振動の平均は、22nAmpであり、これは、同じレベルのエネルギーを維持するために、コンデンサに1.9ミリクーロンを追加する必要があることを意味する。したがって、24時間ナノバブルを形成するための総エネルギーは次のようになる。
【数1】
【0087】
これは、わずか20mlの液体103に対して特に少量のエネルギー供給であり、かなりのレベルのエネルギー効率を示している。これは、例えば、廃水産業で現在利用可能なシステムと比較して理解することができる。本システム100のエネルギー消費量は、水103の0.3Whr/mである。これは、廃水産業の高度なシステムで現在利用可能なものよりもはるかに低い(40Whr/m)。さらに、廃水産業における曝気レベルは、現在、約0.5mg/lの溶存酸素の限界に達しているが、本開示の方法は、25~30mg/lのレベルを達成している。本開示で達成される曝気レベルはさらに、数か月の時間スケールで準安定である。本明細書に記載の例示的な値は、例としてのみ提供されており、代替的な値が使用され得ることが理解されよう。
【0088】
本教示による方法の重要なパラメータは、次のとおりである。
電界強度(図3の電極設計ではE=V/d)
ここで、Vは印加電圧である。
dは、電極設計におけるカソードとアノードの間の距離である。
【0089】
第1世代の電極104Aを使用する場合、30Vが印加されて、比較的高い電界強度を発生させる。他の値が印加され得るので、印加電圧を60Vに制限することは意図されていないことが当業者によって理解されるであろう。カソードとアノードの間の距離dは5mmであった。したがって、最大印加電界は12,000V/mである。このd値は、図4の第2世代の電極104Bと図5の第3世代の電極104Cとで異なる可能性があるため、電界強度はそれに応じて変化する。分配は主に電極の形状と設計の関数である。
【0090】
全般的に、分子の運動エネルギーが減少したため、ナノバブルがより緩和され、その結果バブル形成プロセスが速くなった。他方、極端な低温は、メタンまたは水の凍結の場合に水和物の形成などのいくつかの望ましくない反応を引き起こす。その結果、本発明者らは、メタンについて15℃(メタン水和物が形成される13℃より低い)および酸素について2℃を選択した。
【0091】
ナノバブル形成を加速するために、本発明者らは、より多くのガス分子が水103と接触する必要があることを認識した。これは、容積部102内のガス圧を増加させることによって達成される。例示的な構成では、容積部102に100バールのガスが充填された。本発明者らは、この圧力は、パージシステムを変更するか、または濃縮器を使用した予備飽和ステップを追加することによって大幅に低減され得ることを認識した。
【0092】
図10を参照すると、これも本教示によるナノバブルまたはナノ液滴を発生させるための別のシステム200が示されている。システム200は、システム100と実質的に同様であり、同様の要素は、同様の参照番号によって示されている。システム200とシステム100との間の主な違いは、システム200が、ガス媒体を濃縮するための濃縮器205を含むことである。本発明者らは、ガスの取り込みを増加させることによって性能が最適化され、その結果、電界の除去および減圧時に、数か月を超えるさらに長期間にわたる準安定ガス容量の長期化をもたらすことを認識した。これは、2DoX階乗デザインにおけるT、Pおよび電界強度である。例えば、電界およびP条件下でのタンク内の溶存ガスレベル、および第2に、圧力容積部102から取り出し、かつ実験室の周囲圧力で貯蔵した後、数時間の溶存ガスレベル(mg/l)についてという2つの従属変数について、回帰適合などを展開するために、一連の8回の実験において(推定された)電界強度のために40および160バール、1および35℃、かつ約5,000V/mおよび20,000V/mを使用し得る。
【0093】
貯蔵容器210は、ナノバブル/ナノ液滴を貯蔵するために使用され得る。システム200では、貯蔵容器210は3-4℃にあり、これは、逆ナノバブルのキャビテーションおよびマイクロサイズへの疑集を遅らせる(かつ気相に逃げる)。しかしながら、より長期の貯蔵(数か月単位で)、またはナノバブルを含む液体の輸送のために、ナノバブルを含む水は、水中でのナノバブルの長期貯蔵のために、それを容積部102から取り出した直後に凍結される。その後、後で使用するために解凍される。
【0094】
特に、容積部102内にある間に液体(ナノバブルを含む)を高圧で凍結すると、はるかに高いレベルの事実上のガス溶解度の時間保存が可能になる。例えば、氷中で高レベル(数千mg/l)、例えばO2(実験室において約100バールですでに1,400mg/lのDOを達成)の達成が可能であり、その後、冷凍庫において数日間、大気圧において貯蔵され得、ガスは氷から染み出すが、ゆっくりである。輸送中の中間加圧貯蔵のためにプロセス産業で一般的/日常的に利用可能な、安価な商品の約25バールの圧力容器バケット(例えば、プラスチック、AIなど)に貯蔵できる場合は、非常に経済的な方法で通常の産業用/消費者用冷凍庫においてこの容器に貯蔵でき、ガスレベルが大幅に上昇した状態での長期貯蔵および輸送が可能であり、さらに高圧定格の容器で解凍する場合、他の場所で使用される。
【0095】
音響および/または磁場曝露は、制御されたオンデマンド放出を提供するために、ナノバブルまたはナノ液滴の抽出に使用し得る。貯蔵容積部210を約10-50Nの音響インパルスに曝露することにより、ガスのナノバブルまたは液体のナノ液滴は、生じる準安定性の多くの週間または数ヶ月ではなく、概して数時間以内に、液体を多く離れるのが見られる。本発明者らはまた、水からのナノバブルまたはナノ液滴の制御された放出を提供するために、磁界が使用され得ることを認識した。磁界は、永久磁石または電磁パルス、あるいは一連のそのようなパルスのいずれかを使用して提供することができる。磁界強度は、ミリテスラ以上のオーダであり得る。
【0096】
水性ナノ相流体への種の異なる取り込み(それぞれの種固有の臨界点に対する一般的な温度と圧力に部分的に依存して、液滴または気体としてにかかわらず)は、種分離プロセスの作用剤としてのナノ相の利用を改善するために操作される必要のある重要な基本的機能である。
【0097】
ナノ相で増強された気液吸収操作の開発には、ガス排出に関する大気質コンプライアンス、または実際には液液抽出操作のような、様々な目的および用途向けの充填塔での従来の液中ガス吸収に用途/関心がある。有利に、通常の気液平衡定数の、式y=H(Hはヘンリーの法則定数、HLC)は、y=H に置き換えられ得、ここで、H は、ナノ相の追加の調整により、増強された事実上のHLCである。(この準安定状態の時間尺度は何ヶ月にもわたっており、単位操作の滞留時間よりもはるかに短いことを考えると、これは実用的で効果的な加工近似であると理解される)。したがって、本発明者らは、「平衡」条件に依存して、単位操作のためのプロセス工学設計分析のコーパスを保存する。
【0098】
ナノ相において明らかに大幅に増強された表面積対体積比と、はるかに有益な事実上の平衡条件とを組み合わせることで、現在市販されているよりも、はるかに効果的な多成分ガス分離/濃縮操作を考案および研究することが容易になり得る。本開示のこの概念は、純ガスストリッピングに適用することができるが、気相および非混和性液相の両方での多成分ガス混合物の異なる取り込み(例えば、以下に説明する、バイオガス精製および排気ガス処理)にとってさらに非常に価値がある。特定の実施形態では、インラインガスクロマトグラフィーシステムを使用して、プロセス制御の目的(すなわち、ガス組成物の比率制御)のために、ほぼリアルタイムでガス濃縮レベルを確認することができる。関連する分子動力学シミュレーションは、液体への多成分ガス混合物の取り込みの微視的メカニズムを示しており、これによりさらなるプロセスの最適化が可能になる。
【0099】
特定の実施形態では、この原理は、単一の成分または複数の成分にかかわらず、蒸留にさらに適用することができる。再度、ナノバブル増強気液操作のため、「NBシフトされた平衡」y=H が使用され得、ここで、H は、ナノ相の追加の調整により、増強された事実上のHLCである。このシフトされた平衡関係を使用した予備的なプロセスシミュレーションの結果では、はるかに低いエネルギー消費(約40%)が得られ、従来の蒸留と比較して最も揮発性の高い成分(MVC)の気相濃縮が実質的に増強された。
【0100】
ここで、排気ガスの組成に応じた、予備的な「プリ-NB」操作において、圧力スイング吸着(PSA)タイプの方法は、%COが約10~12%より高い場合は特に、より高いCO濃度を除去するために適用することができ、多くの場合、鉄鋼プラントおよびセメントプラント、ならびに発電所またはCHP設備(バイオガスまたは任意の他のセクタにかかわらず)からの排出ガス排出量に含まれることが多い。ここで、PSAがより高いCO濃度の排気ガス処理、つまりCO除去の「ヘビーリフティング」、「ローハンギングフルーツ」または「経済的/運用上有益な限界CO除去処理」のために配備された場合、NB対応の差動排気ガスストリッピング/除去の見通しを有する。
【0101】
本開示の有利な実施形態では、(残留)排気ガスが水を直接通過し、例えば、エダクタまたはベンチュリ型ノズルによるいくつかの予備的なマイクロバブル形成、次いで上記のような活性ナノバブル/液滴形成が排気ガスの濃縮を可能にし得る。OおよびNは、超臨界、非凝縮性ガスであり、全てが、水濃度の点で(約2.5倍以上)HLCレベル上わずかに過剰であるが、消え得る。これにより、溶解限度が大幅に増強された他の(汚染物質)ガスが残り得る。
【0102】
排気ガスからのガス成分の除去のさらなる実施形態において、カーボンナノチューブ(または一方の側から他方の側への水の通過を妨げる他の疎水性多孔質固体ネットワーク)を含む平面によって分離された双方向の液体/ガス区画が利用され得る。最初に、双方向ボックスの「カラ」側は、その側の絶対圧力が約0.3~0.5バールになるように、真空ポンプによって課される真空を含むことができる。好ましくは、双方向ボックスのこちら側の圧力は、1バール未満の圧力を有する。(NBまたはナノ液滴を含んだ)液体の水は、双方向ボックスの反対側にある。次に、(汚染物質、疎水性)ガス(CO、CO、メタン、アンモニアなど)は、その化学ポテンシャルによって気相を通過するように駆動されるため、カーボンナノチューブを介してガス側に通過するが、カーボンナノチューブは、かなりの程度まで水を通過させない。
【0103】
排気ガスからのガス成分の除去に関して上記で説明したものと同様の実施形態では、直接空気捕捉(DAC)を達成し得る。上記のPSAタイプの方法ステップは、所望される場合を除いて、予備ステップとして特に必要ない。「周囲空気」に加えて、水の通過を妨害/拒絶することに基づくナノバブル発生および疎水性またはカーボンナノチューブフィルタリングの使用をさらなる実施形態で使用することができることが想定される。より具体的には、ここで、「周囲空気」またはDACは、屋内または屋外にかかわらず、空気を指すが、決定的には、周囲圧力で、またはその近くである。ただし、これは、メタンレベルまたはアンモニアなどが上昇した屋内バッテリー農業などの(季節的もしくは通年の)農業用の空気、ならびに上記のポイントエミッタ用の専用CCSタイプシステムを超えて、特に都市とその周辺のDACにも適用することができると考えられる。これらの実施形態のさらなる用途には、作物の成長、灌漑、水耕栽培、養魚場および水産養殖が含まれ得るが、これらに限定されない。DACは、気候変動緩和の取り組みの一環として、特に都市および産業環境における汚染への取り組みにおいて、さらに非常に望ましいと考えられていることが理解され得る。したがって、DACの方法およびシステムに対するそのような改善は、有利であると広く理解されている。
【0104】
有利に、非混和性液体の混合物の場合、式xi,k=Ki,j,ki,j(ここで、Ki,j,kは、Kについての液相iの種jについての液液分配係数)の液液平衡分配関係は、xi,k=K ,j,ki,j(K ,j,kは増強された事実上の分配係数であり、1つの相での追加の優先調整による)で置き換えられ得る。非混和性の液体を用いた実験では、各液相で異なる程度にナノ液滴を発生させると、1つの液相で実質的な種の濃縮が達成されることが観察されている。これは、本開示の非常に有利な態様であり、化学産業における重要な単位操作である。有利に、特定の実施形態において、多成分-石油ナノ液滴は、上記のナノ液滴形成方法を使用して、水中の石油留分の種濃度を濃縮する方法として使用され得る。xi,k=K ,j,ki,jを使用したシミュレーションでは、水中の石油ナノ液滴の実質的な濃縮が観察されている。このような用途は、成熟した油井を再訪するのに役立つ可能性があると考えられる。
【0105】
ナノバブルを生成するための例示的な発生機、システム、および方法のさらなる有利な用途は、農業環境にある。具体的には、限定的ではないが、ナノバブルまたはナノ液滴を生成するための例示的な発生機、システム、および方法を、種子の発芽を増強するのに使用することができる。種子の発芽を増強することは、農業、動物飼料、およびバイオ燃料生成における作物成長の生産性に多くの利益をもたらす。考察されるように、例示的な発生機、システム、および方法を使用する様々な実施形態では、所望のガスを実質的に取り込んだ水を得ることができる。いくつかの実施形態では、ガスは酸素であり得る。有利に、例示的な発生機、システム、および方法を使用して、水は、最大25~30mg/lの溶存酸素レベルを含み得る。例として、クレソン種子の発芽を増強する上での高度に酸素化された水の有用性を試験するために実験が行われた。5~6個のクレソンの種を24スロットのトレイに入れ、各スロットに約70mlのピートモスを入れた。約15mlの脱イオン水が第1のトレイの各スロットに提供され、約15mg/lの溶存酸素(主にナノバブルの形態で)を含む15mlの脱イオン水が第2のトレイの各スロットに提供された。7日後、2つのトレイを比較したところ、ナノバブルを含む脱イオン水を含むトレイでは、ナノバブルを含まない脱イオン水を含むトレイと比較して、種子の発芽成長が約35%増強することがわかった。したがって、ナノバブルを生成するための本発生機、システム、および方法のさらなる有利な態様は、作物の成長を増強することにおけるその有用性である。クレソン種子の発芽の例は、例としてのみ提供されており、いかなる方法、形状、または形態を制限するものとして解釈されるべきではないことが理解されよう。本開示に従って生成されたナノバブルを含む液体の使用は、様々な液体および気体に、かつユーザのニーズに応じて様々な規模で適用され得る。例えば、そこでのナノバブル発生に使用される液体および気体の量は、私的使用に加えて、産業規模に合わせて調整され得ることが想定される。有利に、DOで濃縮される液体の水を大気と直接接触させて配置することができ、ナノバブル発生プロセスが続き得る。これは、大規模な「グリッド」スケールまでの屋外水(沈殿)タンクと貯水池の改造によって達成される可能性があり得る。
【0106】
気液吸収および液液抽出に関する上記の実施形態に有利かつ同様に、固液平衡分配関係の式z=Kj,k(ここで、Kj,kはkに関する固相の種jの固液分配係数)は、x=K (ここで、K は、増強された事実上の分配係数であり、ナノバブルまたはナノ液滴としての液相における追加の優先調整)によって置き換えられ得る。実験では、液相での異なる程度のナノ液滴またはナノバブルの発生が、液相での実質的な種の濃縮を達成することが観察された。固液浸出は、鉱業および採掘産業において非常に重要な単位操作である。得られた廃水は、増強されたミネラルおよび溶存イオン種を伴い、それぞれ図11および12に最もよく説明されているシステムと方法に従って、水和物の形成によって処理/洗浄され得る。上記で考察されるように、残留水が、所望される場合、O2ナノバブル増強活性汚泥によってさらに洗浄され得る。
【0107】
本開示のさらに有利な実施形態において、化学量論的に過剰なHは、その後の精製を必要とせずに、ナノバブルの形態で嫌気性消化装置に入れて、バイオメタンなどの「グリッド品質」の純粋なバイオガスにすることができる。以下で考察されるように、ナノバブルはよくADステップ自体のようにHSおよびCO取り込みのために使用され得る。したがって、事後のバイオガス精製の必要性は大部分が冗長であり、最先端の嫌気性消化装置にさらなる改善を提供する。ADステップにおける余分な水素が、COおよびHSを少なくして、はるかに純粋なバイオガス/バイオメタンの製造を可能とする。ナノバブル形態におけるHの使用は、はるかに少ないバイオメタン濃縮(依然として図11および12以下に記載されるシステムおよび方法に従って行うことができる)が必要であることを意味し、メタン純度のさらに高いレベルを可能にする。
【0108】
ここで図11を参照すると、多成分混合物を処理するための例示的なシステム1100のプロセス図が示されている。例示的な実施形態では、システム1100は、前の図の例示的な発生機101を含み得るが、ナノバブルまたはナノ液滴の他の供給源が実行可能であると想定され、現場でのナノ相成分の発生は任意選択的であり、様々な実施形態において有利である。例示的な実施形態では、システム1100は、ナノバブルおよびガス水和物形成を介して嫌気性消化装置によって生成されたバイオガスおよび廃水を処理するために使用され得る。しかしながら、例示的なシステム1100は、嫌気性消化の状況での使用に限定されず、他の使用が想定されている。
【0109】
次に、システム1100の動作を、嫌気性消化装置からの廃水を処理する例示的な方法に関して説明するが、廃水は第1の媒体の一例であり、バイオガスなどのガスは第2の媒体の一例であることに留意されたい。さらに、第1の媒体および/または第2の媒体の供給源は、(例えば)前述の様々な実施形態を考慮して理解されるように、嫌気性消化装置である必要はない。
【0110】
廃水は、第1の入口1105を介して発生機101に導入され得、一方、バイオガスは、第2の入口1110を介して発生機101に導入され得る。廃水は、発生機101に到達する廃水自体以外の粒子状物質または他の望ましくない物質の量を最小限にするために、任意選択的に、発生機101に到達する前に砂フィルタ1115を通過するように方向付けられ得る。バイオガスおよび/または廃水が発生機101に提供されると、バイオガス精製プロセスが開始され得る。例示的な実施形態において、バイオガス精製プロセスは、図6によるものなどのナノバブル発生プロセスである。有利に、図6のバイオガス精製プロセスなどのバイオガス精製プロセスは、単一のパスで完了することができ、すなわち、最大約98%の純度のメタンが得られ、結果として、精製プロセスの反復が必要ない場合がある。例示的な実施形態では、微生物は、HSを、鉄を加えることでFeSOに変換し得、硫黄を沈殿させる。COナノバブルの形成を介してCOから精製されたCHは、発生機101から第1の出口1120を介してガス貯蔵ユニット1125に送られ得る。例示的な実施形態において、ガス貯蔵ユニット1125は、多数のガス貯蔵容器を含む。バイオガス精製に続いて、廃水およびCOナノバブルが発生機101から放出され得る。例示的な実施形態では、COは、前述のように、音響信号または電磁信号の印加によって、発生機101内のその溶媒和ナノバブル形態から制御可能に放出され得る。廃水およびCOは、第1の出口1135を介して二次処理容器1130に方向付けられ得る。廃水を発生機101に方向付ける代わりに、出口(提示されていない)が、廃水を二次処理容器1130に方向付ける導管に接続された発生機101に提供され得る。出口は、タップまたは弁機構(提示されていない)などの制御放出機構を介して導管に接続され得る。
【0111】
本図は二次処理容器1130の3つの複製を示しているが、これは、二次処理容器1130で行われる3段階のプロセスを解明する際にのみイラストの目的で提示されていることが理解され得る。次に、この3段階のプロセスについて説明する。
【0112】
第1の段階では、廃水およびCOが二次処理容器1130に充填される。例示的な実施形態では、廃水およびCOは、室温で処理容器1130に充填される。
【0113】
第2の段階では、二次処理容器1130は、第1の段階の負荷温度よりも低い温度に冷却される。第2の段階では、包接水和物は、COおよび廃水から形成される。包接水和物の形成は、廃水を大幅に浄化する。次に、水から分離された残留汚れは、二次処理容器1130の外に方向付けられ、COおよび浄水を残すことができる。
【0114】
次に、第3の段階では、二次処理容器1130の温度を上昇させて、包接水和物の溶融を容易にすることができる。次に、浄水は、第2の出口1140を介して二次処理容器1130から排出され得る。一実施形態では、浄水は、貯水タンクまたはサイロなどであるがこれらに限定されない保水容器(提示されていない)に方向付けることができる。保水容器は、一時的または長期的な水の貯蔵を目的とし得る。別の実施形態では、浄水は、公共または民間の給水に方向付けられ得る。COは、第3の出口1145を介してガス貯蔵ユニット1125のガス貯蔵容器に方向付けられ得る。
【0115】
図12は、図11の例示的なシステム1100を使用して多成分混合物を処理する例示的な方法1200を示す流れ図である。最初に、1210において、図6のステップが実行される。一実施形態では、ステップ1210で発生機101に提供される液体は、全体的に廃水を含む。代替的な実施形態では、ステップ1210で発生機101に提供される液体は、一部は廃水を含み、一部は廃水以外のさらなる液体を含む。別の実施形態では、発生機101に提供される液体は廃水を含まず、廃水は嫌気性消化装置または別の供給源から二次処理容器1130に直接提供される。通常、廃水は嫌気性消化装置から受け取られ得るが、限定されるものではないが、下水などの他の廃水供給源も同様に実現可能であることが理解され得る。例えば、図11および12のシステムおよび/または方法を使用して精製される廃水には、限定されないが、海水、破砕水、逆浸透廃水、農業廃水、食肉処理場および皮なめし工場廃水、さらには鉱業配水、およびセメントおよび建設からの廃水を含み得る。さらに、ガスの供給源は、必ずしも嫌気性消化装置からである必要はなく、一例としてのみでは、ガスは、埋め立て地、鉱業、建設、産業、車両、または他の設定から供給され得る。実際、嫌気性消化装置の実施形態は、例としてのみ提供されている。水和物を形成し、廃水を処理するために、廃水成分と一緒にガスなどのゲスト種のナノバブルまたはナノ液滴を使用することは、様々な廃水処理シナリオに適用され得る。実際、多成分ガスおよび廃水ストリームの統合精製は、嫌気性消化を超えて、小規模な農業または家庭での使用から化学処理または生成プラントなどの大規模な産業用途まで、様々な規模の様々な設定に広く適用可能であると考えられている。先で考察されるように、発生機101に供給される媒体は、2つ以上のガスの混合物であり得る。例示的な実施形態において、ステップ1210で発生機101に供給されるガス媒体は、少なくともメタンおよび二酸化炭素を含む。さらに、上記のように、ナノ液滴は、発生機101を使用して形成することもでき、そのようなナノ液滴は、図12の上記のプロセスおよび図11のシステム1100で使用され得る。メタン以外のガス成分には、プロパン、エタン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなど、および所望される場合、イソブタンなどの同じ異性体が含まれ得るが、これらに限定されない。多成分混合物が複数の液体を含む実施形態では、水和物は、必ずしも気体ではなく液体を含むように形成され得る。
【0116】
第2のガスのナノバブル(またはナノ液滴または何らかの組み合わせ)の形成は、第1のガスを実質的に精製する。例示的な実施形態では、第2のガスのナノバブルの形成は、第1のガスを約98%まで精製し得る。ステップ1210に存在する例示的なステップに従って第1のガスの精製が完了すると、精製された第1のガスは、1220において発生機101から除去され得る。例示的な実施形態では、精製された第1のガスは、ガス貯蔵ユニット1125に方向付けられ得る。例示的な実施形態では、第1のガス成分はメタンである。
【0117】
例示的な実施形態では、発生機101の容積部に供給される媒体156は、多成分ガスである。この多成分ガスは、図6のステップに従って、1210において、分離され得、精製された第1のガス成分は、任意選択的に、発生機101の容積部から外に方向付けられ得る。1220における、精製された第1のガスの除去に続いて、媒体の第2のガス成分(ここではステップ1210により溶媒和されたナノバブル形態である)は、1230において、発生機101から制御可能に放出され得る。例示的な実施形態では廃水である第2の媒体は、媒体の第2のガス成分に加えて、二次処理容器1130に方向付けられ得る。廃水は、発生機101の容積部から、または直接、供給源から方向付けられ得る。廃水の供給源は、第1の媒体の供給源と同じでも異なっていてもよい。例示的な実施形態において、廃水および第1の媒体の供給源は嫌気性消化装置である。例示的な実施形態では、そのナノバブル形態からの第2のガス成分の制御可能な放出は、音響または電磁信号が発生機101に印加される前述の放出方法に従って実行され得る。例示的な実施形態では、ナノバブルが形成される第2のガス成分は二酸化炭素であり得、発生機101の容積部から外に方向付けられる精製された成分は、メタンであり得る。
【0118】
ステップ1230に続いて、第2のガスのナノバブル、および廃水は、次に、1240において第1の温度Tに保持される二次処理容器1130に方向付けられ得る。例示的な実施形態では、第1の温度は室温であるか、またはおよそ293≦T(K)≦298の範囲である。ここでは、温度がケルビン(K)のSI基本単位で示されていることが理解されよう。
【0119】
次に、1250において、二次処理容器1130の温度は、温度T<Tまでに低減され得る。例示的な実施形態では、温度Tは、約273K~283Kの範囲にある。続いて、1260において、第2のガスと廃水から包接水和物を形成し始め、廃水を実質的に浄化する。包接水和物は、非化学量論的な結晶性包接化合物であり、水素結合した水ホスト格子がキャビティ内の小さなゲスト分子を閉じ込める。水和物は、導入されたガスで化学量論的に純粋な結晶を形成し、浮選によって残留スラッジから分離する能力があるため、(重度に汚染された)水の処理にとって非常に重要になっている。水和物の結晶化を効果的に行うには、ガスと水の密接な接触が必要である。明らかに、ナノ相の利用(気泡もしくは液滴形態、または何らかの組み合わせにかかわらず)は、特に液体ナノ液滴の水性濃度と接触面積の両方を改善する。例えば、これまでのプロパンナノ液滴と約4%wt(固体)廃水を使用した研究では、水和物形成速度は、圧力容器システムのナノ相を使用しない場合の約2倍であり、COおよびメタンについては、他に数倍の速度増強が見られる。ナノ液滴の分子動力学(MD)シミュレーションでは、水相のゲストの過飽和により、発明者らは水和物形成速度が大幅に上昇することも確認した。
【0120】
ガス水和物形成の結果として廃水から分離された残留汚れは、1270において、二次処理容器1130から除去される。特定の実施形態では、残留汚れは、廃棄物保持ユニットに再配置され得る。残留汚れは、その後、産業または他の場所、例えば原料として使用され得る。
【0121】
二次処理容器1130から残留汚れを除去した後、1280において、二次処理容器1130の温度を上昇させ得る。例示的な実施形態では、二次処理容器1130の温度は、室温に戻されるか、またはおよそ293≦T(K)≦298の範囲にある。Tに関して温度を増加させることにより、包接水和物の溶融が生じ得る。次に、1290において、第2のガスおよび浄水の一方または両方を、二次処理容器1130から除去することができる。
【0122】
図11および12のシステムおよび/または方法は、それぞれ、複数の用途を一緒にまたは別々に有することができる。有利に、最先端のものと比較して、著しく経済的に実現可能である様々な小規模アプリケーションが存在する。ほんの一例として、図11および12のシステムおよび/または方法は、それぞれ、家畜の数が少ない農場またはレイトカットサイレージ/ビートなどの小規模農業環境を含む農業環境で使用され得る。そのような実施形態では、上記の方法およびシステムに従ってバイオメタンまたは他のガスを精製する方法は、家庭および酪農の操作、輸送(例えば、自動車、トラクタなど)をサポートするためのバイオメタンまたは他のガスの自給自足の生成を、廃水処理に加えて、容易にし得る。
【0123】
本教示に従って廃水を処理する方法の例示的なステップを示す図13のフローチャート1300を参照する。ステップ1305において、廃水およびガスを受け入れるための容器が提供され、ここで、ガスは、1つ以上の構成ガス成分を含む。ステップ1310において、廃水およびガスの第1のガス成分は、容器に方向付けられる。ステップ1315において、容器の内容物の温度は、廃水および第1のガス成分を含む包接水和物の形成を容易にするために、第1の温度から第2の温度に低減される。ステップ1320において、容器の内容物の温度は、包接水和物の溶融を容易にするために、第2の温度に上昇される。ステップ1325において、浄水および/または第1のガス成分が容器から除去される。
【0124】
多成分混合物を処理する方法の例示的なステップを示す図14のフローチャート1400を参照する。ステップ1405において、第1の媒体が容器に提供される。ステップ1410において、第2の媒体が容器に提供される。ステップ1415において、容器の内容物の温度は、第1の媒体および第2の媒体を含む水和物の形成を容易にするように制御される。ステップ1420において、容器の内容物の温度は、水和物の溶融を容易にするように制御されて、第1の処理された媒体および第2の処理された媒体を提供する。
【0125】
当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に様々な修正を加えることができることを理解されたい。システムの動作は、例としてのみ提供される圧力、温度、電圧、容積部などの特定の値を参照して説明されていることが当業者によって理解され、代替的な値が使用され得ることが理解され得る。例えば、値は、実験装置が本開示の範囲内でスケーリングまたは修正されるときに変化し得る。さらに、例示的な実施形態における添加剤および/または電気分解の使用の欠如は、実際には単なる例に過ぎないことが当業者によって理解されるであろう。このようにして、添付の特許請求の範囲に照らして必要であるとみなされる場合に限り、教示が限定されるべきであることが理解されるであろう。
【0126】
同様に、本明細書で使用される場合に含む/含むこと(comprises/comprising)いう用語は、記載されたフォーメーション、整数、ステップ、または構成要素の存在を指定するために使用されるが、1つ以上の追加のフォーメーション、整数、ステップ、構成要素またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。
【0127】
ナノバブル/ナノ液滴を発生し、バイオガスおよび廃水を処理するための装置の例示的な特徴が説明されているが、そのような配置は、本発明をそのような特徴に限定すると解釈されるべきではないことが理解されよう。ナノバブル/ナノ液滴を発生し、バイオガスおよび廃水を処理するための方法は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせで実施することができる。1つのモードでは、方法は実行可能なプログラムとしてソフトウェアに実装され、パーソナルコンピュータ(PC、IBM互換、Apple互換、またはそれ以外の場合)、パーソナルデジタルアシスタント、ワークステーション、ミニコンピュータ、またはメインフレームコンピュータのような1つ以上の特別または汎用のデジタルコンピュータによって実行される。この方法の複数ステップは、ソフトウェアモジュールが存在するかまたは部分的に存在するサーバまたはコンピュータによって実装され得る。
【0128】
一般に、ハードウェアアーキテクチャの観点から、そのようなコンピュータは、当業者によってよく理解されるように、プロセッサ、メモリ、およびローカルインターフェースを介して通信可能に結合される1つ以上の入力および/または出力(I/O)デバイス(または周辺機器)を含む。ローカルインターフェースは、例えば、当技術分野において知られているような、1つ以上のバスまたは他の有線もしくは無線接続とすることができるが、これらに限定されるわけではない。ローカルインターフェースは、通信を可能にするために、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、および受信機などの付加的な要素を備え得る。さらに、ローカルインターフェースは、上述の構成要素間の適切な通信を可能にするために、アドレス、コントロール、および/またはデータ接続を含み得る。
【0129】
プロセッサは、ナノバブル/ナノ液滴の発生機を制御するための方法の機能、およびより広くはバイオガスおよび廃水を処理するためのシステムを実行するようにプログラムされ得る。プロセッサは、ソフトウェア、特にメモリに格納されているソフトウェアを実行するためのハードウェアデバイスである。プロセッサは、任意の特別注文のまたは市販のシングルコアプロセッサもしくはマルチコアプロセッサ、主要処理ユニット(CPU)、コンピュータに関連するいくつかのプロセッサ間の補助プロセッサ、半導体ベースのマイクロプロセッサ(マイクロチップもしくはチップセットの形態)、マクロプロセッサ、または一般的には、ソフトウェア命令を実行するための任意のデバイスとすることができる。
【0130】
メモリは、揮発性メモリ素子(例えば、ランダムアクセスメモリ(DRAM、SRAM、SDRAMなどのようなRAM))、および不揮発性メモリ素子(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ、CDROMなど)のうちのいずれか1つまたは組み合わせを含み得る。また、メモリは、電子、磁気、光、および/または他のタイプの記憶媒体を組み込み得る。メモリは、様々なコンポーネントが互いに離れた場所にある分配アーキテクチャを有することができるが、それでもプロセッサによってアクセスされる。
【0131】
メモリ内のソフトウェアには、1つ以上の個別のプログラムが含まれ得る。個別のプログラムは、モジュールの機能を実装するために論理機能を実装するための実行可能命令の順序付きリストを含む。これまでに説明した例では、メモリ内のソフトウェアは、方法の1つ以上のコンポーネントを含み、好適なオペレーティングシステム(O/S)で実行可能である。
【0132】
本開示は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、または実行される一連の命令を含む任意の他のエンティティとして提供されるコンポーネントを含み得る。ソースプログラムの場合、O/Sに関連して適切に動作するように、プログラムは、メモリに含まれる場合と含まれない場合がある、コンパイラ、アセンブラ、インタプリタなどを介して変換する必要がある。さらに、教示に従って実装された方法論は、(a)データおよび方法のクラスを有するオブジェクト指向プログラミング言語、または(b)ルーチン、サブルーチン、および/または、関数を有する、例えば限定されるものではないが、C、C++、Pascal、Basic、Fortran、Cobol、Perl、Java、およびAdaである、手続き型プログラミング言語として表現され得る。
【0133】
方法がソフトウェアで実装される場合、そのようなソフトウェアは、コンピュータ関連のシステムまたは方法によって、またはそれらに関連して使用するために、任意のコンピュータ可読媒体に格納できることに留意されたい。この教示のコンテキストにおいて、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ関連のシステム、または方法によって、またはそれらに関連して用いられる、コンピュータプログラムを含むかまたは格納することができる電子、磁気、光、または他の物理的デバイスもしくは手段である。そのような構成は、任意のコンピュータ可読媒体において具体化することができ、命令実行システム、装置、またはデバイスに接続しての使用のため、コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステム、または他のシステムのように、命令実行システム、装置、またはデバイスから命令をフェッチし、かつその命令を実行することができる。本明細書の中では、「コンピュータ可読媒体」は、プロセッサまたは他のこのような命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはそれらに関連して用いられる、プログラムを格納する、伝える、伝播する、または運ぶことができる、任意の手段とすることができる。このようなコンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光、電磁、赤外線、もしくは半導体のシステム、装置、デバイス、または伝播媒体とすることができるが、それらに限定されるわけではない。図中の任意のプロセスの説明またはブロックは、当業者が理解するように、プロセス内の特定の論理機能またはステップを実装するための1つ以上の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、またはコードの一部を表すものとして理解される必要がある。
【0134】
本開示の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であることを意図するものでも、開示を、開示される正確な形式に限定することを意図するものでもない。本開示の特定の例は、例示の目的で上記に記載されているが、関連技術の当業者は、本開示の範囲内で様々な修正が可能であることを認識するであろう。例えば、プロセスとブロックは特定の順序で示されているが、様々な実装がルーチンを実行するか、またはブロックを有するシステムを別の順序で用い得、一部のプロセスもしくはブロックは、削除、補足、追加、移動、分離、結合、および/または異なる組み合わせまたは副次的組み合わせを提供するように変更され得る。これらのプロセスまたはブロックのそれぞれは、様々な代替方法で実装でき得る。また、プロセスまたはブロックは、順番に実行されているように示されることがあるが、これらのプロセスまたはブロックは、代わりに、並行して実行または実装されてもよく、異なる時間に実行されてもよい。プロセスまたはブロックの結果は、スループットを増加させ、処理要件を低減する方法として、非永続ストアに保持され得る。
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