(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】表示装置、及び成形装置
(51)【国際特許分類】
B30B 15/00 20060101AFI20240730BHJP
B21D 26/033 20110101ALI20240730BHJP
【FI】
B30B15/00 D
B21D26/033
(21)【出願番号】P 2021539288
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2020030479
(87)【国際公開番号】W WO2021029392
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2019149145
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】閑 浩之
(72)【発明者】
【氏名】板垣 昂
(72)【発明者】
【氏名】上野 紀条
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-062818(JP,A)
【文献】国際公開第2012/008082(WO,A1)
【文献】特開2013-144309(JP,A)
【文献】特開2011-177793(JP,A)
【文献】特開2012-248229(JP,A)
【文献】特開2001-340921(JP,A)
【文献】特開2015-112608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/00
B21D 26/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された金属材料を
、金属部材を用いて成形する成形装置の表示装置であって、
前記表示装置は、調整可能な可変パラメータを提案して表示
し、
前記可変パラメータは、磁力に影響を及ぼすパラメータであり、
前記磁力は、前記金属材料に対して作用する磁力である、表示装置。
【請求項2】
前記可変パラメータは、前記金属材料を加熱するときに前記金属材料に通電する電流値である、請求項
1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記成形装置は、複数の前記金属材料を同時に成形し、
前記可変パラメータは、前記金属材料間の距離である、請求項1
又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記成形装置は、複数の前記金属材料を同時に成形し、
前記金属材料間には、前記金属材料に作用する磁力を調整する磁力調整部材が配置され、
前記可変パラメータは、前記磁力調整部材と前記金属材料との距離である請求項1~
3の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
加熱された金属材料を
、金属部材を用いて成形する成形装置であって、
複数の前記金属材料を同時に成形し、
複数の前記金属材料に作用する磁力を調整する磁力調整部材を備え
、
前記磁力調整部材は、通電されない金属の部材である、成形装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の表示装置を備えた成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及び成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属パイプ材料を加熱し、加熱した金属パイプ材料内に気体を供給して膨張させることによって、金属パイプの成形を行う成形装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、互いに対になる下型及び上型を有する成形金型と、成形金型の間に保持された金属パイプ材料内に気体を供給する気体供給部と、通電加熱によって当該金属パイプ材料を加熱する加熱部と、を備える成形装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のような成形装置では、金属パイプ材料に通電加熱を行うことで、当該金属パイプ材料を高温な状態とする。金属パイプ材料に通電加熱を行うと、金属パイプ材料の周囲に磁界が発生する。この場合、下型と金属パイプ材料とが近づくような力が作用すると共に、上型と金属パイプ材料とが近づくような力が作用する。ここで、下型、上型、及び金属パイプ材料の位置関係次第では、一方の金型に引っ張られる力が大きくなる。この場合、加熱されて変形し易くなった金属パイプ材料に曲げ等の変形が生じるが、当該変形を防止することが要求されたり、逆に、当該変形を利用して金属パイプ材料を所望の形状にすることが要求される場合がある。これらの事項を考慮して、成形に用いられる金属部材に対し、金属パイプ材料などの金属材料を適切な位置に配置することが求められていた。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、本発明の目的は、金属材料を適切な位置に配置することができる表示装置、及び成形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る表示装置は、金属部材を用いて加熱された金属材料を成形する成形装置の表示装置であって、調整可能な可変パラメータを提案して表示する。
【0007】
このような表示装置は、調整可能な可変パラメータを提案して表示する。これにより、ユーザが提案された内容に基づいて可変パラメータを調整することで、磁力の影響を低減した位置に金属材料を配置することができる。これにより、金属材料を適切な位置に配置することができる。
【0008】
可変パラメータは、金属材料に対して作用する磁力に影響を及ぼすパラメータであってよい。これにより、可変パラメータを調整することで、容易に金属材料の磁力を調整できる。
【0009】
可変パラメータは、金属材料を加熱するときに金属材料に通電する電流値であってよい。当該電流値を調整することで、金属材料の磁力を調整できる。
【0010】
成形装置は、複数の金属材料を同時に成形し、可変パラメータは、金属材料間の距離であってよい。これにより、金属材料同士に作用する磁力を調整できる。
【0011】
成形装置は、複数の金属材料を同時に成形し、金属材料間には、金属材料に作用する磁力を調整する磁力調整部材が配置され、可変パラメータは、磁力調整部材と金属材料との距離であってよい。これにより、磁力調整部材は、金属材料の変形が抑制されるように、金属材料に作用する磁力を調整できる。
【0012】
本発明の一態様に係る成形装置は、金属部材を用いて加熱された金属材料を成形する成形装置であって、複数の金属材料を同時に成形し、複数の金属材料に作用する磁力を調整する磁力調整部材を備えてよい。
【0013】
このような成形装置は、複数の金属材料に作用する磁力を調整する磁力調整部材を備えている。これにより、磁力調整部材は、金属材料の変形が抑制されるように、金属材料に作用する磁力を調整できる。以上より、金属材料を適切な位置に配置することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、金属材料を適切な位置に配置することができる表示装置、及び成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】(a)は、保持部、加熱部、及び流体供給部の構成要素をユニット化した加熱膨張ユニットを示す概略側面図であり、(b)は、ノズルが金属パイプ材料をシールした時の様子を示す断面図である。
【
図3】長手方向から見たときの、成形装置の一部を示す概略断面図である。
【
図4】長手方向から見たときの、成形装置の一部を示す概略断面図である。
【
図5】
図4の金属パイプ材料及び成形金型を示す拡大断面図である。
【
図6】ブロー成形時における金属パイプ材料及び成形金型の状態を示す拡大断面図である。
【
図7】成形装置による成形方法の内容を示すフローチャートである。
【
図9】電極を備えたロボットアームを示す図である。
【
図11】表示装置の表示内容の一例を示す図である。
【
図12】表示装置の表示内容の一例を示す図である。
【
図13】金属パイプ材料に作用する荷重を計算するためのモデルである。
【
図14】金属パイプ材料に対する磁場計算の例を示す図である。
【
図15】金属パイプ材料に対する磁場計算の例を示す図である。
【
図16】金属パイプ材料に対する磁場計算の例を示す図である。
【
図17】金属パイプ材料に対する磁場計算の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、成形装置1の概略図である。
図1に示すように、成形装置1は、ブロー成形によって中空形状を有する金属パイプを成形する装置である。本実施形態では、成形装置1は、水平面上に設置される。成形装置1は、成形金型2(金属部材)と、駆動機構3と、保持部4と、加熱部5と、流体供給部6と、冷却部7と、制御部8と、を備える。なお、本明細書において、金属パイプは、成形装置1での成形完了後の中空物品を指し、金属パイプ材料40(金属材料)は、成形装置1での成形完了前の中空物品を指す。金属パイプ材料40は、焼入れ可能な鋼種のパイプ材料である。また、水平方向のうち、成形時において金属パイプ材料40が延びる方向を「長手方向」と称し、長手方向と直交する方向を「幅方向」と称する場合がある。
【0018】
成形金型2は、金属パイプ材料40を金属パイプに成形する型であり、上下方向に互いに対向する下型11(第1の金型)及び上型12(第2の金型)を備える。下型11及び上型12は、鋼鉄製ブロックで構成される。下型11及び上型12のそれぞれには、金属パイプ材料40が収容される凹部が設けられる。下型11と上型12は、互いに密接した状態(型閉状態)で、各々の凹部が金属パイプ材料を成形すべき目標形状の空間を形成する。従って、各々の凹部の表面が成形金型2の成形面となる。下型11は、ダイホルダ等を介して基台13に固定される。上型12は、ダイホルダ等を介して駆動機構3のスライドに固定される。
【0019】
駆動機構3は、下型11及び上型12の少なくとも一方を移動させる機構である。
図1では、駆動機構3は、上型12のみを移動させる構成を有する。駆動機構3は、下型11及び上型12同士が合わさるように上型12を移動させるスライド21と、上記スライド21を上側へ引き上げる力を発生させるアクチュエータとしての引き戻しシリンダ22と、スライド21を下降加圧する駆動源としてのメインシリンダ23と、メインシリンダ23に駆動力を付与する駆動源24と、を備えている。
【0020】
保持部4は、下型11及び上型12の間に配置される金属パイプ材料40を保持する機構である。保持部4は、成形金型2の長手方向における一端側にて金属パイプ材料40を保持する下側電極26及び上側電極27と、成形金型2の長手方向における他端側にて金属パイプ材料40を保持する下側電極26及び上側電極27と、を備える。長手方向の両側の下側電極26及び上側電極27は、金属パイプ材料40の端部付近を上下方向から挟み込むことによって、当該金属パイプ材料40を保持する。なお、下側電極26の上面及び上側電極27の下面には、金属パイプ材料40の外周面に対応する形状を有する溝部が形成される。下側電極26及び上側電極27には、図示されない駆動機構が設けられており、それぞれ独立して上下方向へ移動することができる。
【0021】
加熱部5は、金属パイプ材料40を加熱する。加熱部5は、金属パイプ材料40へ通電することで当該金属パイプ材料40を加熱する機構である。加熱部5は、下型11及び上型12の間にて、下型11及び上型12から金属パイプ材料40が離間した状態にて、当該金属パイプ材料40を加熱する。加熱部5は、上述の長手方向の両側の下側電極26及び上側電極27と、これらの電極26,27を介して金属パイプ材料へ電流を流す電源28と、を備える。
【0022】
流体供給部6は、下型11及び上型12の間に保持された金属パイプ材料40内に高圧の流体を供給するための機構である。流体供給部6は、加熱部5で加熱されることで高温状態となった金属パイプ材料40に高圧の流体を供給して、金属パイプ材料40を膨張させる。流体供給部6は、成形金型2の長手方向の両端側に設けられる。流体供給部6は、金属パイプ材料40の端部の開口部から当該金属パイプ材料40の内部へ流体を供給するノズル31と、ノズル31を金属パイプ材料40の開口部に対して進退移動させる駆動機構32と、ノズル31を介して金属パイプ材料40内へ高圧の流体を供給する供給源33と、を備える。駆動機構32は、流体供給時及び排気時にはノズル31を金属パイプ材料40の端部にシール性を確保した状態で密着させ、その他の時にはノズル31を金属パイプ材料40の端部から離間させる。なお、流体供給部6は、流体として、高圧の空気や不活性ガスなどの気体を供給してよい。
【0023】
冷却部7は、成形金型2を冷却する機構である。冷却部7は、成形金型2を冷却することで、膨張した金属パイプ材料40が成形金型2の成形面と接触したときに、金属パイプ材料40を急速に冷却することができる。冷却部7は、下型11及び上型12の内部に形成された流路36と、流路36へ冷却水を供給して循環させる水循環機構37と、を備える。
【0024】
制御部8は、成形装置1全体を制御する装置である。制御部8は、駆動機構3、保持部4、加熱部5、流体供給部6、及び冷却部7を制御する。制御部8は、金属パイプ材料40を成形金型2で成形する動作を繰り返し行う。
【0025】
具体的に、制御部8は、例えば、ロボットアーム等の搬送手段を制御して、開いた状態の下型11及び上型12の間に金属パイプ材料40を配置する。あるいは、制御部8は、作業者が手動で下型11及び上型12の間に金属パイプ材料40を配置することを待機してよい。また、制御部8は、長手方向の両側の下側電極26で金属パイプ材料40を支持し、その後に上側電極27を降ろして当該金属パイプ材料40を挟むように、保持部4のアクチュエータ等を制御する。また、制御部8は、加熱部5を制御して、金属パイプ材料40を通電加熱する。これにより、金属パイプ材料40に軸方向の電流が流れ、金属パイプ材料40自身の電気抵抗により、金属パイプ材料40自体がジュール熱によって発熱する。
【0026】
制御部8は、駆動機構3を制御して上型12を降ろして下型11に近接させ、成形金型2の型閉を行う。その一方、制御部8は、流体供給部6を制御して、ノズル31で金属パイプ材料40の両端の開口部をシールすると共に、流体を供給する。これにより、加熱により軟化した金属パイプ材料40が膨張して成形金型2の成形面と接触する。そして、金属パイプ材料40は、成形金型2の成形面の形状に沿うように成形される。なお、フランジ付きの金属パイプを形成する場合、下型11と上型12との間の隙間に金属パイプ材料40の一部を進入させた後、更に型閉を行って、当該進入部を押しつぶしてフランジ部とする。金属パイプ材料40が成形面に接触すると、冷却部7で冷却された成形金型2で急冷されることによって、金属パイプ材料40の焼き入れが実施される。
【0027】
次に、
図2~
図7を参照して、成形装置1の構成について更に詳細に説明する。まず、
図2を参照して、保持部4、加熱部5、及び流体供給部6の構成について更に詳細に説明する。
図2(a)は、保持部4、加熱部5、及び流体供給部6の構成要素をユニット化した加熱膨張ユニット50を示す概略側面図である。
図2(b)は、ノズル31が金属パイプ材料40をシールした時の様子を示す断面図である。なお、
図2では、金属パイプ材料40の長手方向における一方の端部に対する加熱膨張ユニット50が示されているが、他方の端部に対する加熱膨張ユニット50も同趣旨の構成を有している。
【0028】
図2(a)に示すように、加熱膨張ユニット50は、上述の下側電極26及び上側電極27と、各電極26,27を搭載した電極搭載ユニット51、上述のノズル31及び駆動機構32と、昇降ユニット52と、ユニットベース53と、を備える。なお、以降の説明においては、電極26,27で保持する箇所における金属パイプ材料40の中心線の位置に基準線SL1を設定して説明を行う。なお、当該基準線SL1が延びる方向を軸方向と称する場合がある。また、各電極26,27の対向方向及び軸方向と直交する方向を昇降方向と称する場合がある。
【0029】
下側電極26と上側電極27は、いずれも絶縁板で板状導体を挟むことによって構成される、矩形の平板状電極である。下側電極26の中央上端部と上側電極27の中央下端部とには、それぞれ、平板面を垂直に貫通するように半円状の溝部が形成されている。そして、下側電極26と上側電極27とを同一平面上に配置して、下側電極26の上端部と上側電極27の下端部とを密接させると、相互の半円状の溝部が合致して円形の貫通孔となる。この円形の貫通孔は、基準線SL1を中心線とし、金属パイプ材料40の端部の外径と略一致している。金属パイプ材料40への通電の際には、金属パイプ材料40の端部は、円形の貫通孔に嵌合された状態で下側電極26と上側電極27とにより把持される。このとき、下側電極26及び上側電極27の板状導体の溝部の内周面26a,27aは、金属パイプ材料40に対する接触面であり、且つ、通電面となる(
図3も参照)。なお、金属パイプ材料40の端部の外形は、円形に限られない。従って、下側電極26と上側電極27のそれぞれの溝部は、それぞれ、金属パイプ材料40の端部の外形を半割した形状とされる。
【0030】
電極搭載ユニット51は、昇降ユニット52によってユニットベース53の上面に対して垂直な方向に沿って昇降動作が付与される昇降フレーム54と、昇降フレーム54に設けられて下側電極26を保持する下側電極フレーム56と、下側電極フレーム56の上側に設けられ、上側電極27を保持する上側電極フレーム57とを備えている。各電極フレーム56,57は、図示されないアクチュエータ及びガイド機構を備えており、各電極26,27を保持した状態でユニットベース53に対して軸方向及び昇降方向にスライド可能に構成されている。従って、各電極フレーム56,57は、各電極26,27を移動させる駆動機構60の一部として機能する。
【0031】
ノズル31は、金属パイプ材料40の端部を挿入可能な円筒部材である。ノズル31は、当該ノズル31の中心線が基準線SL1と一致するように、駆動機構32に支持されている。金属パイプ材料40側のノズル31の端部(供給口31a(
図2(b)参照)と称する)の内径は、膨張成形後の金属パイプ材料40の外径に略一致している。
【0032】
駆動機構32は、昇降ユニット52に搭載されている。従って、昇降ユニット52による昇降動作が行われた場合には、駆動機構32は電極搭載ユニット51と一体的に昇降する。駆動機構32は、電極搭載ユニット51の下側電極26と上側電極27とが金属パイプ材料40の端部を把持した状態において、当該金属パイプ材料40の端部とノズル31とが同心となる位置にノズル31を支持する。
【0033】
駆動機構32は、ノズル31を軸方向に沿って移動させるノズル移動用アクチュエータとして、油圧シリンダ機構を有している。この油圧シリンダ機構は、ノズル31を保持するピストン61(支持部の一例)と、ピストン61に進退移動を付与するシリンダ62とを備えている。シリンダ62は、ピストン61を軸方向に平行に進退移動させる向きで昇降フレーム54に固定されている。このシリンダ62は、図示されない油圧回路に接続され、内部に作動流体である圧油の供給と排出が行われる。油圧回路は、制御部8によってシリンダ62への圧油の供給と排出が制御される。
【0034】
ピストン61は、シリンダ62内に格納された本体部61aと、シリンダ62の左端部(下側電極26及び上側電極27側)から外部に突出する頭部61bと、シリンダ62の後端部から外部に突出する管状部61cとを備えている。本体部61aと頭部61bと管状部61cとは、いずれも円筒状であって、同心で一体的に形成されている。本体部61aは、外径がシリンダ62の内径に略一致している。そして、シリンダ62内では、本体部61aの両側に油圧が供給されて、ピストン61の進退移動が行われる。頭部61bの先端部にはノズル31が同心で固定装備されている。ノズル31及びピストン61には、基準線SL1の位置において全長にわたって貫通する圧縮気体の流路63が形成されている。
【0035】
昇降ユニット52は、ユニットベース53の上面に取り付けられる昇降フレームベース64と、これらの昇降フレームベース64によって、電極搭載ユニット51の昇降フレーム54に対して昇降動作を付与する昇降用アクチュエータ66とを備えている。昇降フレームベース64は、昇降フレーム54をユニットベース53の上面に対して昇降方向に昇降可能に支持している。昇降フレームベース64は、ユニットベース53に対する昇降フレーム54の昇降動作をガイドするガイド部64a,64bを有する。昇降用アクチュエータ66は、ユニットベース53に対する駆動力を昇降フレーム54に付与する直動式のアクチュエータであり、例えば、油圧シリンダ等を使用することが出来る。なお、昇降ユニット52は、保持部4の駆動機構60の一部として機能する。
【0036】
ユニットベース53は、昇降ユニット52を介して電極搭載ユニット51及び駆動機構32を上面に支持する平面視で矩形の板状ブロックである。ユニットベース53は、水平面である基台13(
図1参照)の上面にボルト等の固定手段により取り付けられ、取り外しが可能となっている。加熱膨張ユニット50は、上面の傾斜角度が異なる複数のユニットベース53を有し、これらを交換することにより、下側電極26及び上側電極27、ノズル31、電極搭載ユニット51、駆動機構32、昇降ユニット52の傾斜角度を一括的に変更調節することを可能としている。例えば、端部における金属パイプ材料40の中心線が傾斜している場合、ユニットベース53は、当該傾斜に応じて基準線SL1が傾斜するように、各構成要素を傾斜させる。
【0037】
次に、
図3~
図5を参照して、成形金型2及び制御部8の制御内容について更に詳細に説明する。
図3及び
図4は、長手方向から見たときの、成形装置1の一部を示す概略断面図である。
図3は、下型11及び上型12の間に金属パイプ材料40を配置し、下側電極26及び上側電極27で金属パイプ材料40を把持した状態における、下型11、上型12、及び金属パイプ材料40の位置関係を示す。
図4は、加熱部5で金属パイプ材料40の通電加熱を行うタイミングにおける、下型11、上型12、及び金属パイプ材料40の位置関係を示す。なお、
図4では、各電極26,27の位置が
図3と同じであるため、保持部4の駆動機構60を省略している。
図5は、
図4の金属パイプ材料40及び成形金型2を示す拡大断面図である。
図6は、ブロー成形時における金属パイプ材料40及び成形金型2の状態を示す拡大断面図である。
【0038】
図3及び
図4に示すように、下型11は、ダイホルダ71を介して、ダイホルダプレート72に取り付けられる。下型11は、幅方向の両側をダイホルダ73に支持される。上型12は、ダイホルダ74,76を介してダイホルダプレート77に取り付けられる。上型12は、幅方向の両側をダイホルダ76に支持される。
【0039】
図5及び
図6は、
図5に示すような円管状の金属パイプ材料40から、
図6(b)に示すような矩形管状のパイプ部43、及びフランジ部44,44を有する金属パイプ41を成形する場合の成形金型2の例を示している。
図5に示すように、下型11の成形面46である上面には、下方へ窪む凹部47が形成されている。成形面46は、凹部47の底面46aと、凹部47の側面46b,46bと、底面46aよりも上側に配置される上面46c,46cと、を有する。上型12の成形面48である下面には、上方へ窪む凹部49が形成されている。成形面48は、凹部49の底面48aと、凹部49の側面48b,48bと、底面48aよりも下側に配置される下面48c,48cと、を有する。
図6(a)に示すように、凹部47,49で囲まれる空間は、パイプ部43を成形するメインキャビティ部MCとして構成される。上面46c,46cと下面48c,48cとが対向する空間は、フランジ部44,44を成形するサブキャビティ部SCとして構成される。
【0040】
制御部8は、駆動機構3の駆動源24、保持部4の駆動機構60、及び加熱部5の電源28に制御信号を送信することによって、金属パイプ材料40を成形金型2へ投入するタイミング、及び加熱時における下型11、上型12、及び金属パイプ材料40の位置関係を制御することができる。従って、駆動機構3、保持部4(及びその駆動機構60)、及び制御部8は、金属パイプ材料40の位置を調整する位置調整部として機能する。当該位置調整部は、金属パイプ材料40に対し、成形金型2との関係で発生する磁力に基づいて、金属パイプ材料40の位置を調整する。なお、本明細書において、金属パイプ材料40の「位置を調整する」こととは、成形金型2に対する金属パイプ材料40に対する相対的な位置を調整することである。なお、制御部8は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信インターフェース及びユーザインターフェースを備え、一般的なコンピュータとして構成されている。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)などの演算器である。メモリは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。通信インターフェースは、データ通信を実現する通信機器である。プロセッサは、メモリ、ストレージ、通信インターフェース及びユーザインターフェースを統括し、後述する機能を実現する。制御部8では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。制御部8は、複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0041】
ここで、制御部8は、加熱部5で金属パイプ材料40の加熱を行うタイミングでは、金属パイプ材料40に対し、成形金型2との関係で発生する磁力に基づいて、金属パイプ材料40の位置を調整することができる。制御部8は、金属パイプ材料40に対する磁力がつり合うように、金属パイプ材料40の位置を調整する。制御部8は、加熱部5で金属パイプ材料40の加熱を行うタイミングでは、金属パイプ材料40の周囲に発生する磁場の影響を考慮して、下型11、上型12、及び金属パイプ材料40の位置関係を制御することができる。すなわち、通電加熱によって金属パイプ材料40に軸方向に電流が流れると、金属パイプ材料40の周囲には、中心線周りの磁束MLによって形成される磁場が発生する(
図5参照)。従って、導体である下型11と金属パイプ材料40との間には、互いに引き合うような力が発生する。また、導体である上型12と金属パイプ材料40との間には、互いに引き合うような力が発生する。従って、制御部8は、下型11及び金属パイプ材料40の間で発生する力と、上型12及び金属パイプ材料40の間で発生する力とがつり合う第1の位置P1(
図4参照)に、下型11、上型12、及び金属パイプ材料40を配置し、当該第1の位置P1にて加熱部5で金属パイプ材料40を加熱するように制御する。
【0042】
その一方、加熱部5で金属パイプ材料40の加熱を行うタイミング以外では、金属パイプ材料40と下型11及び上型12との間の影響は少ない。従って、制御部8は、下型11及び上型12とのに金属パイプ材料40が配置される位置関係であって、バランス位置とは異なる位置関係を有する第2の位置P2(
図3参照)に、下型11、上型12、及び金属パイプ材料40を配置するように制御する。
【0043】
例えば、
図3に示すように、制御部8は、下型11及び上型12との間に金属パイプ材料40を配置する時には、上型12を下型11から十分に上方へ離間させる。また、制御部8は、下側電極26の位置を下型11に近く、上型12から離れた位置に配置されるように、駆動源24及び駆動機構60を制御する。このような下側電極26に金属パイプ材料40が保持されることで、第2の位置P2に、下型11、上型12、及び金属パイプ材料40が配置された状態となる。第2の位置P2では、上型12と金属パイプ材料40との離間距離は、下型11と金属パイプ材料40との離間距離よりも大きい。なお、本明細書では、下側電極26及び上側電極27で金属パイプ材料40を把持することのみならず、下側電極26上に金属パイプ材料40を載置した状態も、金属パイプ材料40を保持した状態に含めるものとする。
【0044】
図4に示すように、制御部8は、第2の位置P2よりも、上型12を金属パイプ材料40に近付けることによって、第1の位置P1とする。金属パイプ材料40の投入時と、金属パイプ材料40の加熱時とでは、下型11及び金属パイプ材料40の位置に変動はない。従って、制御部8は、上型12を下降させることで、上型12を金属パイプ材料40に近付ける。これにより、第1の位置P1における金属パイプ材料40に対する下型11の離間距離と上型12の離間距離との差は、第2の位置P2よりも小さくなる。
【0045】
図5を参照して、第1の位置P1について更に詳細に説明する。金属パイプ材料40に軸方向に電流が流れると、金属パイプ材料40周りに磁束MLによって形成される磁場が発生する。当該磁束MLは下型11に入り込むことによって、金属パイプ材料40には、下型11に引っ張られる力F1が作用する。また、当該磁束MLは上型12に入り込むことによって、金属パイプ材料40には、上型12に引っ張られる力F2が作用する。このように、金属パイプ材料40には、互いに反対方向へ向かう力F1と力F2が作用する。第1の位置P1は、金属パイプ材料40に作用する力F1と力F2の大きさが略等しくなる位置である。
【0046】
本実施形態では、金属パイプ材料40は、上下対称な形状を有しているため、成形面46と成形面48も上下対称な形状となる。よって、第1の位置P1では、金属パイプ材料40に対する下型11の離間距離と、金属パイプ材料40に対する上型12の離間距離とは、略同じとなる。当該状態では、金属パイプ材料40の重心GPを通過する水平な基準線SL2に対する下型11の上面46cの離間距離と、基準線SL2に対する上型12の下面48cの離間距離とは、略同じとなる。また、当該状態では、基準線SL2に対する下型11の底面46aの離間距離と、基準線SL2に対する上型12の底面48aの離間距離とは、略同じとなる。また、当該状態では、下型11と金属パイプ材料40とが最も近づく箇所の離間距離と、上型12と金属パイプ材料40とが最も近づく箇所の離間距離とが、略同じとなる。ただし、第1の位置P1では、力F1,F2がつり合っていればよく、金属パイプ材料40に対する下型11の離間距離と、金属パイプ材料40に対する上型12の離間距離とが、厳密に同じである必要はなく、何れかの離間距離が大きくてもよい。
【0047】
制御部8は、力F1,F2がつり合うような第1の位置P1の位置情報を取得する。制御部8は、取得した位置情報に基づいて、駆動源24を制御する。当該位置情報は、金属パイプ材料40と下型11及び上型12との間の磁場解析を行うことによって取得される。磁場解析では、金属パイプ材料40の周りに発生する磁場の分布と下型11及び上型12との位置関係を解析することで、どのような位置関係とすれば、金属パイプ材料40に作用する力F1と力F2との大きさの差が小さくなるかの演算がなされる。なお、このような磁場解析は、成形装置1での成形が開始される前に、予め実行されてよい。この場合、予め得られた磁場解析の結果から得られた第1の位置P1の位置情報が、制御部8の記憶部に格納される。制御部8は、駆動源24を制御するときに、記憶部から第1の位置P1の位置情報を読み出す。または、制御部8は、実際に金属パイプ材料40の周りに発生する磁場を検出すると共に、当該検出結果に基づいて磁場解析を行ってもよい。
【0048】
なお、第1の位置P1では、下型11及び金属パイプ材料40の間で発生する力F1と、上型12及び金属パイプ材料40の間で発生する力F2とは、厳密に同じ大きさでなくともよい。すなわち、力F1と力F2の何れかの方が大きくても、その差が予め設定された許容範囲内のものであれば、力F1と力F2とがつり合った状態と見なすことができる。
【0049】
次に、
図7を参照して、成形装置1による成形方法の手順について説明する。
図7は、成形装置1による成形方法の内容を示すフローチャートである。制御部8は、第2の位置のP2の位置情報を取得する(ステップS10)。次に、制御部8は、ステップS10で取得した位置情報に基づいて、下型11、上型12及び(下側電極26に配置されると仮定された)金属パイプ材料40が第2の位置P2となるように、各構成要素の位置制御を行う(ステップS20)。次に、制御部8は、ロボットアーム等を制御して、金属パイプ材料40を下側電極26に配置することで、当該金属パイプ材料40を下型11及び上型12との間に投入する(ステップS30)。投入後、制御部8は、上側電極27を降ろすことによって、各電極26,27で金属パイプ材料40を把持する。
【0050】
次に、制御部8は、第1の位置のP1の位置情報を取得する(ステップS40)。次に、制御部8は、ステップS40で取得した位置情報に基づいて、下型11、上型12及び金属パイプ材料40が第1の位置P1となるように、各構成要素の位置制御を行う(ステップS50)。S50では、制御部8は、上型12を降ろすことによって、金属パイプ材料40に近付ける(
図4参照)。次に、制御部8は、加熱部5を制御して、金属パイプ材料40の通電加熱を行う(ステップS60)。なお、制御部8は、各構成要素が第1の位置P1になった後に、通電加熱を開始してもよいが、第2の位置P2から第1の位置P1へ移行している最中に通電加熱を開始してもよい。すなわち、金属パイプ材料40が力F1,F2の差によって受ける影響は、加熱開始時よりも、加熱終盤の材料軟化時の方が大きい。従って、金属パイプ材料40が軟化するまでに、第1の位置P1への移行が完了していればよい。
【0051】
次に、制御部8は、成形金型2を型閉すると共に、流体供給部6で金属パイプ材料40に流体を供給することで、ブロー成形を行う(ステップS70)。ステップS70では、制御部8は、メインキャビティ部MCでパイプ部43を成形すると共に、フランジ部44に対応する部分をサブキャビティ部SCへ進入させる(
図6(a)参照)。そして、制御部8は、成形金型2を更に型閉することで、サブキャビティ部SCに進入した部分を更に潰すことで、フランジ部44を成形する。次に、制御部8は、上型12を上昇させて金属パイプ材料40から離間させることで、型開を行う(ステップS80)。ステップS80が終了したら、ステップS10から再び処理が繰り返される。
【0052】
次に、成形装置1の作用・効果について説明する。
【0053】
成形装置1は、金属材料である金属パイプ材料40の成形に用いられる金属部材である成形金型2と、金属パイプ材料40の位置を調整する保持部4と、を備える。保持部4が、成形時において、金属パイプ材料40を成形金型2の近くに配置すると、当該金属パイプ材料40に対して、成形金型2との関係で磁力が発生する可能性がある。当該状況において、保持部4は、金属パイプ材料40に対し、成形金型2との関係で発生する磁力に基づいて、金属パイプ材料40の位置を調整する。これにより、成形装置1は、成形に用いられる成形金型2に対し、金属パイプ材料40を適切な位置に配置することができる。
【0054】
保持部4は、金属パイプ材料40に対する磁力がつり合うように、金属パイプ材料40の位置を調整する。これにより、磁力による金属パイプ材料の曲げを抑制することができる。
【0055】
成形装置1は、下型11及び上型12を有する成形金型2と、金属パイプ材料40へ通電することで当該金属パイプ材料40を加熱する加熱部5と、を備える。従って、加熱部5にて金属パイプ材料40に通電加熱を行うときには、金属パイプ材料40の周りに生じる磁場の影響によって、下型11及び金属パイプ材料40の間に力F1が発生し、上型12及び金属パイプ材料40の間に力F2が発生する。例えば、比較例として、
図3に示すような第2の位置P2にて通電加熱を行った場合、上型12と金属パイプ材料40との間の離間距離が大きいため、力F2に比して力F1がかなり大きくなる。従って、高温で曲がり易くなった金属パイプ材料40が下型11に引っ張られることで、金属パイプ材料40に曲げ等の変形が生じる可能性がある。
【0056】
これに対し、成形装置1において、制御部8は、下型11及び金属パイプ材料40の間で発生する力F1と、上型12及び金属パイプ材料40の間で発生する力F2とがつり合う第1の位置P1に、下型11、上型12、及び金属パイプ材料40を配置し、第1の位置P1にて加熱部5で金属パイプ材料40を加熱する。従って、加熱部5で通電加熱を行うときに、金属パイプ材料40が一方の金型に引っ張られることによる不具合を低減することができる。
【0057】
制御部8は、下型11及び上型12との間に金属パイプ材料40が配置される位置関係であって、第1の位置P1とは異なる位置関係を有する第2の位置P2に、下型11、上型12、及び金属パイプ材料40を配置する。この場合、通電加熱以外の工程では、その工程に適した配置に、下型11、上型12、及び金属パイプ材料40を配置することができる。例えば、下型11及び上型12の間に金属パイプ材料40を投入する工程では、金属パイプ材料40を下側電極26上に配置し易いように、上型12を上方に離間させておくことができる。
【0058】
第2の位置P2では、上型12が下型11よりも金属パイプ材料40から離間した位置に配置され、制御部8は、第2の位置P2よりも、上型12を金属パイプ材料40に近付けることによって、第1の位置P1としてよい。これにより、制御部8は、電極26,27などを制御する必要なく、上型12を金属パイプ材料40に近付けるだけで、下型11、上型12、及び金属パイプ材料40を第1の位置P1に配置することができる。
【0059】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0060】
上述の実施形態では、金属パイプ材料は、長手方向に真っ直ぐに延びるストレートなパイプであったが、二次元的に曲がったパイプや、三次元的に曲がったパイプが採用されてもよい。また、金属パイプ材料の断面の外形は円形であったが、形状は特に限定されず、楕円、扁平な形状、多角形の形状であってもよい。これらのような形状を有する場合であっても、金属パイプ材料40に作用する力F1と力F2とがつり合うような位置関係が成り立つ位置を第1の位置P1とする。
【0061】
上述の実施形態では、第2の位置P2から第1の位置P1へ移行するときには、上型12のみを移動させていた。これに代えて、またはこれに加えて、電極26,27の動作を制御して金属パイプ材料40を上方へ移動させてもよく、下型11を下方へ移動させてもよい。あるいは、下型11、上型12及び金属パイプ材料を複合的に移動させることで、第2の位置P2から第1の位置P1へ移行してもよい。
【0062】
保持部4は、下型11及び上型12の間で金属パイプ材料40を回転させる回転機構110を備えてよい。例えば、
図8に示すような回転機構110を採用してよい。回転機構110は、電極26,27の外周側にそれぞれ設けられた回転ホイールフレーム部材111,112を有する。回転ホイールフレーム部材111,112は、電極26,27が閉じたときに、円形の回転ホイールフレーム120を形成する。回転ホイールフレーム部材111,112は、ダイホルダプレート72に固定された固定フレーム113に回転可能に支持されている。固定フレーム113は、下型11の両側に配置される。また、固定フレーム113には、回転ホイールフレーム120を回転させるウォーム軸114と、ウォーム軸114を回転させるモータ115と、モータ115とウォーム軸114を連結するシャフト116と、回転ホイールフレームの回転位置を検出する位置検出器117と、が設けられている。
【0063】
回転機構110は、電極26,27で金属パイプ材料40を把持した後、回転ホイールフレーム120を回転させることで、金属パイプ材料40を回転させることができる。なお、回転ホイールフレーム120の回転が完了してから通電加熱を開始してもよいが、回転中に通電加熱を開始して、材料が軟化する前に回転を完了させてよい。なお、回転ホイールフレーム120の回転速度は、1~90°/sec程度である。
【0064】
このように、回転機構110は、金属パイプ材料40を回転することで、下型11及び金属パイプ材料40の間で発生する力F1と、上型12及び金属パイプ材料40の間で発生する力F2とをつり合わせることができる。このような回転機構110は、金属パイプ材料40が長手方向に曲がっていたり、断面形状が円形以外の場合に、効果的に用いることができる。
【0065】
図9に示すように、保持部4は、成形金型2の外部から下型11及び上型12の間へ金属パイプ材料40を移動させるロボットアーム130を有してよい。また、ロボットアーム130は金属パイプ材料40を保持した状態にて当該金属パイプ材料40を加熱する加熱部5を有してよい。ロボットアーム130は、先端に上側電極131及び下側電極132を備えている。ロボットアーム130は、電極131,132で金属パイプ材料40を挟んで保持すると共に、電力供給ケーブル133からの電力によって金属パイプ材料40を通電加熱することができる。ロボットアーム130は、第1の位置P1に金属パイプ材料40を配置させてよい。例えば、ロボットアーム130は、
図3に示す下型11と上型12との間の中央位置付近に金属パイプ材料40を配置し、当該位置にて通電加熱を行う。当該位置では、金属パイプ材料40に対する下型11及び上型12の離間距離は略同じであるため、当該位置は、力F1と力F2をつり合わせることができる第1の位置となる。これにより、ロボットアーム130は、金属パイプ材料40を下型11及び上型12の間へ配置すると同時に、通電加熱を行うことができる。
【0066】
なお、上述の実施形態では、流体供給部6は、流体として気体を供給していたが、液体を供給してもよい。
【0067】
上述の実施形態では、成形金型2は下型11及び上型12によって構成されていたが、更に、横側からの金型を備えていてもよい。また、成形金型2の長手方向は水平方向であったが、特に限定されず、長手方向が水平方向に対して傾斜するものや、鉛直方向のものを採用してもよい。
【0068】
上述の実施形態では、保持部4は、金属パイプ材料40に対する磁力がつり合うように、当該金属パイプ材料40の位置を調整していた。これに代えて、保持部4は、金属材料に対する磁力がつり合わないように、金属パイプ材料40の位置を調整してよい。この場合、金属パイプ材料40に対する磁力が、一方向に偏った状態で作用する。これにより、金属パイプ材料40を所望の方向へ曲げることが可能になる。例えば、保持部4は、下型11及び金属パイプ材料40の間で発生する力F1と、上型12及び金属パイプ材料40の間で発生する力F2とがつり合わないような位置に、下型11、上型12、及び金属パイプ材料40を配置し、当該位置にて加熱部5で金属パイプ材料40を加熱する。この場合、力F1の方が大きくなるように位置調整した場合は、金属パイプ材料40を上側へ曲げることができる。力F2の方が大きくなるように位置調整した場合は、金属パイプ材料40を下側へ曲げることができる。
【0069】
また、上述の実施形態では、金属材料として金属パイプ材料を例示したが、それに限定されない。例えば、金属材料として金属板材などが採用されてよい。また、金属材料との間で磁力を発生させる金属部材として成形金型を例示したが、それに限定されない。例えば、磁力の発生を考慮する金属部材として、金属材料を支持するピン、その他、フランジ成形時にパイプの破片が飛ばないようにしたシールドの部材(鉄製)との関係で発生する磁力が考慮されてもよい。
【0070】
図10に示す成形装置200を採用してよい。成形装置200は、成形金型2と、下型11側の磁力を計測する磁力計201と、上型12側の磁力を計測する磁力計202と、制御部8と、表示装置250と、を備える。成形金型2は、並列に並べられた複数(ここでは二本)の金属パイプ材料40を同時に成形することができる。成形金型2は、加熱された金属パイプ材料40を幅方向に処理の距離の間隔をあけた状態で、下型11と上型12との間に配置する。磁力計201,202は、成形金型2周辺の磁力を計測することができる。
【0071】
表示装置250は、成形装置200に関する各種情報を表示するための装置である。表示装置250は、成形装置200に対して設けられた操作パネルによって構成されてもよく、あるいは別のPCによって構成されてもよい。
【0072】
ここで、
図11を参照して、表示装置250の表示内容の一例について説明する。
図11及び
図12は、表示装置250の表示内容の一例を示す図である。表示装置250は、金属パイプ材料40に対して作用する磁力に影響を及ぼすパラメータを表示させる。特に、表示装置250は、金属パイプ材料40に対して作用する磁力に影響を及ぼすパラメータのうち、調整可能な可変パラメータを提案して表示する。
【0073】
具体的に、
図11及び
図12に示すように、金属パイプ材料40に対して作用する磁力に影響を及ぼすパラメータとして、「パイプ径」、「板厚」、「電流値」、「パイプ間隔」、「上型間隔」、「下型間隔」が挙げられる。「パイプ径」は、金属パイプ材料40の外径である。「板厚」は、金属パイプ材料40を構成する板の厚みである。「電流値」は、金属パイプ材料40を加熱するときに金属パイプ材料40に通電する電流値である。「パイプ間隔」は、並列に並べられた一対の金属パイプ材料40間の距離である。「上型間隔」は、金属パイプ材料40の中心と上型12との間の距離である。「下型間隔」は、金属パイプ材料40と下型11との間の距離である。なお、「パイプ間隔」、「上型間隔」、「下型間隔」は、金属パイプ材料40のどの位置を基準としてもよい。
図11及び
図12に示す例では、金属パイプ材料40の中心位置を基準としているが、金属パイプ材料40の幅方向の周方向における何れかの端部を基準としてもよい。
【0074】
ここで、「パイプ径」及び「板厚」は、所望の成形品を成形する際には、予め設定される寸法であるため、不変なパラメータとして扱われる。一方、「電流値」、「パイプ間隔」、「上型間隔」、「下型間隔」は、場面や条件などによって不変なパラメータと可変なパラメータに分類される。例えば、成形金型2の計画時においては、「電流値」、「パイプ間隔」、「上型間隔」、「下型間隔」は、いずれも可変なパラメータとして取り扱うことが可能である。例えば、成形金型2の計画が完了し、試運転を行う時においては、「電流値」、「上型間隔」、「下型間隔」は、可変なパラメータとして取り扱うことができる。「パイプ間隔」は、不変なパラメータとして取り扱う必要がある。
【0075】
表示装置250は、不変パラメータと可変パラメータとを視覚的に区別可能な態様で、表示する。
図11及び
図12に示す例では、表示装置250は、不変パラメータをハッチングの枠で示し、可変パラメータをドット模様の枠で示している。表示装置250は、画面上では、色などを分けて表示してよい。表示装置250は、各項目に対応する枠に、当該項目に該当する値を挿入して表示する。
【0076】
上述のように、場面によって可変パラメータとして取り扱うことが可能であったとしても、ユーザの設定によっては、表示装置250は、不変パラメータとして表示することができる。例えば、
図11に示す例では、表示装置250は、「パイプ径」及び「板厚」に加えて、「上型間隔」、「下型間隔」、「電流値」も不変パラメータとして表示し、「パイプ間隔」だけを可変パラメータとして表示している。なお、表示装置250は、「電流値」として、金属パイプ材料40の塑性変形を防止するのに必要な電流値の上限値を示している。
【0077】
図12(a)では、上型12及び下型11の位置が予め決められていることにより、「上型間隔」、「下型間隔」、「パイプ間隔」が不変パラメータとして表示されており、「電流値」だけが可変パラメータとして表示されている。一方、
図12(b)では、パイプ間隔及び通電電流値が予め決められていることにより、「パイプ間隔」、「電流値」は不変パラメータとして表示されており、「上型間隔」、「下型間隔」が可変パラメータとして表示されている。表示装置250は、金属パイプ材料40の塑性変形を防止するのに必要な「上型間隔」、「下型間隔」を示している。
【0078】
表示装置250は、上述のように、可変パラメータを提案して表示する。すなわち、表示装置250は、可変パラメータの枠には、不変パラメータを定められた値にした場合に、金属パイプ材料40の塑性変形を防止できるような値を挿入する。これらの値は、制御部8(
図10参照)によって演算されてよい。例えば、制御部8は、不変パラメータとして設定された値を予め作成されたデータベースと照会させることによって、可変パラメータとして好ましい値を取り出す。あるいは、制御部8は、不変パラメータの値に基づいて、可変パラメータとして好ましい値を演算によって算出してよい。
【0079】
また、
図11及び
図12では、金属パイプ材料40が、上型12及び下型11間に配置された状態(すなわち成形金型2の内部)で、通電加熱が行われていた。しかし、金属パイプ材料40は、成形金型2の外部で通電加熱が行われてよい。例えば、
図9に示すようなロボットアームを用いて、成形金型2の外部で加熱を行ったあと、加熱された金属パイプ材料40を成形金型2内に配置してよい。この場合は、金型計画時、及び試運転時のいずれの場合においても、「上型間隔」、「下型間隔」がパラメータから取り除かれる。
【0080】
可変パラメータの提案内容の一例について説明する。パイプ間隔を可変パラメータとして、他のパラメータを不変パラメータとして説明する。具体的に、「パイプ径=60.5mm」、「板厚=1.2mm」、「電流値=9000A」とする。また、目標加熱温度を800℃とする。800℃における金属パイプ材料40のヤング率は50000(N/mm
2)となる。
図13に示すようなモデルを考慮して、金属パイプ材料40の中央部の撓みεが1.0mm以下となるような等分布荷重Pを演算する。ここでは、等分布荷重P=2kg(19.6N)のときに、撓みεが1mm以下となる。すなわち、制御部8は、磁界による等分布荷重が19.6N(約20N)以下になるパイプ間隔を演算して、当該値を提案すればよい。
【0081】
具体的に、パイプ間隔を200mmとすると(
図14参照)、片方の金属パイプ材料40にかかる等分布荷重Pは163.4(>20N)となる。パイプ間隔を400mmとすると(
図15参照)、片方の金属パイプ材料40にかかる等分布荷重Pは81.8(>20N)となる。パイプ間隔を800mmとすると(
図16参照)、片方の金属パイプ材料40にかかる等分布荷重Pは39.1(>20N)となる。パイプ間隔を1200mmとすると(
図17参照)、片方の金属パイプ材料40にかかる等分布荷重Pは21.8となり、ほぼ20Nとなる。従って、表示装置250は、パイプ間隔として1200mm(あるいは1200mmより僅かに大きい値)を提案するように表示してよい。
【0082】
なお、表示装置250は、不変パラメータとして表示していたパラメータを可変パラメータに変更し、ユーザの入力を受け付けてもよい。例えば、
図11に示す例において、提案したパイプ間隔がユーザの意図に沿わないものである場合、表示装置250は、電流値を不変パラメータから可変パラメータに切り替えてよい。表示装置250は、新たに設定された電流値に基づいて、あらたなパイプ間隔を提案してよい。
【0083】
以上のように、表示装置250は、調整可能な可変パラメータを提案して表示する。これにより、ユーザが提案された内容に基づいて可変パラメータを調整することで、磁力の影響を低減した位置に金属パイプ材料40を配置することができる。すなわち、ユーザは、表示装置250で提案された値を参照して、現場にて、各構成要素の配置を容易に微調整することができる。これにより、金属パイプ材料40を適切な位置に配置することができる。
【0084】
可変パラメータは、金属材料に対して作用する磁力に影響を及ぼすパラメータである。これにより、可変パラメータを調整することで、容易に金属パイプ材料40の磁力を調整できる。
【0085】
可変パラメータは、金属パイプ材料40を加熱するときに金属パイプ材料40に通電する電流値であってよい。当該電流値を調整することで、金属パイプ材料の磁力を調整できる。
【0086】
成形装置200は、複数の金属パイプ材料40を同時に成形し、可変パラメータは、金属パイプ材料40間の距離であってよい。これにより、金属パイプ材料40同士に作用する磁力を調整できる。
【0087】
図18に示す成形装置300が採用されてよい。成形装置300は、複数(二つ)の金属パイプ材料40に作用する磁力を調整する磁力調整部材301を備える。磁力調整部材301は、金属の板材などによって構成されており、加熱時における金属パイプ材料40の近傍に配置される。磁力調整部材は、金属パイプ材料40の幅方向における横側において、上下方向に延びると共に、長手方向に延びるように設けられる。なお、磁力調整部材301は、金属パイプ材料40の全長に対応する位置に設けられてもよいし、金属パイプ材料40の長手方向に対する一部の領域に形成されてよい。磁力調整部材は、上下方向において、少なくとも金属パイプ材料40の上端より上側まで延び、金属パイプ材料40の下端より下側まで延びることが好ましい。
【0088】
このような成形装置300は、複数の金属パイプ材料40に作用する磁力を調整する磁力調整部材301を備えている。これにより、磁力調整部材301は、金属パイプ材料40の変形が抑制されるように、金属パイプ材料40に作用する磁力を調整できる。以上より、金属パイプ材料40を適切な位置に配置することができる。
【0089】
磁力調整部材301の配置の一例について
図19を参照して説明する。
図19(a)に示すように、一対の金属パイプ材料40のぞれぞれの幅方向外側に、一対の磁力調整部材301がそれぞれ配置されてよい。
図19(a)は、左側及び右側の金属パイプ材料40に対しては、同じ向きに電流が流れる場合の配置例である。この場合、例えば、左側の金属パイプ材料40には、加熱時において、右側の金属パイプ材料40と引っ張り合うような力P1(ローレンツ力)が作用する。左側の金属パイプ材料40を見ると、当該左側の金属パイプ材料40には、右側に向かって力P1が作用する。ここで、左側の金属パイプ材料40の更に左側には磁力調整部材301が配置されている。この磁力調整部材301には磁力線が集中し(磁力密度が高まる)、また磁場の力により、左側の磁力調整部材301と左側の金属パイプ材料40との間に引き寄せ合う力P2が作用する。このように、引き寄せ合う力P2によって、金属パイプ材料40同士が引っ張り合う力P1を相殺することができる。従って、一対の金属パイプ材料40同士を近付けても、磁力調整部材301によって、幅方向の内側への塑性変形を抑制できる。
【0090】
また、
図19(b)に示すように、一対の金属パイプ材料40間に磁力調整部材301を配置してよい。
図19(b)は、左側及び右側の金属パイプ材料40に対して、互いに異なる向きに電流が流れる場合の配置例である。この場合、例えば、左側の金属パイプ材料40には、加熱時において、右側の金属パイプ材料40と引き離し合う方向(反発方向)に力P3が作用する。左側の金属パイプ材料40を見ると、当該左側の金属パイプ材料40には、左側に向かって力P3が作用する。ここで、左側の金属パイプ材料40と右側の金属パイプ材料40との間には磁力調整部材301が配置されている。この磁力調整部材301には磁力線が集中し(磁力密度が高まる)、また磁場の力により、中央の磁力調整部材301と左側の金属パイプ材料40との間に引き寄せ合う力P4が作用する。このように、引き寄せ合う力P4によって、金属パイプ材料40同士が反発し合う力P3を相殺することができる。これにより、一対の金属パイプ材料40同士を近付けても、磁力調整部材301によって、幅方向の内側への塑性変形を抑制できる。
【0091】
なお、四本の金属パイプ材料40を並べる場合、
図19(c)に示すように、互いに隣り合う一対の金属パイプ材料40間に磁力調整部材301をそれぞれ配置してもよい。これにより、互いに隣り合う一対の金属パイプ材料40同士を近付けて配置できる。
【0092】
なお、
図18では、金属パイプ材料40が成形金型2の内部で加熱される場合の配置を示しているため、磁力調整部材301も成形金型2の近傍に配置されている。しかし、金属パイプ材料40が成形金型2の外部で加熱される場合は、磁力調整部材301も成形金型2の外部に配置される。
【0093】
図18に示す成形装置300も、表示装置250を備えている。従って、表示装置250は、磁力調整部材301と金属パイプ材料40との距離を可変パラメータとして扱うことが可能である。これにより、磁力調整部材301は、金属パイプ材料40の変形が抑制されるように、金属パイプ材料40に作用する磁力を調整できる。表示装置250は、金型計画時、及び試運転時の両方の場合において、磁力調整部材301と金属パイプ材料40との距離を可変パラメータとして取り扱うことができる。また、表示装置250は、成形金型2の内部で加熱を行う場合、及び外部で加熱を行う両方の場合において、磁力調整部材301と金属パイプ材料40との距離を可変パラメータとして取り扱うことができる。
【0094】
なお、内部加熱の場合、磁力調整部材301は、成形金型2の近傍に配置されるため、型閉時に、成形金型2やホルダなどと干渉しないように構成される必要がある。例えば、型閉時に磁力調整部材301を収容するような溝部を形成してもよく。型閉時に磁力調整部材301を退避させるような駆動機構を設けてもよい。
【0095】
本発明の一態様に係る成形装置は、金属材料を成形する成形装置であって、加熱された金属材料の成形に用いられる金属部材と、金属材料の位置を調整する位置調整部と、を備え、位置調整部は、金属材料に対し、金属部材との関係で発生する磁力に基づいて、金属材料の位置を調整する。
【0096】
このような成形装置は、金属材料の成形に用いられる金属部材と、金属材料の位置を調整する位置調整部と、を備える。位置調整部が、成形時において、金属材料を金属材料の近くに配置すると、当該金属材料に対して、金属部材との関係で磁力が発生する場合がある。当該状況において、位置調整部は、金属材料に対し、金属部材との関係で発生する磁力に基づいて、金属材料の位置を調整する。これにより、成形装置は、成形に用いられる金属部材に対し、金属材料を適切な位置に配置することができる。
【0097】
位置調整部は、金属材料に対する磁力がつり合うように、金属材料の位置を調整してよい。これにより、磁力による金属材料の曲げを抑制することができる。
【0098】
位置調整部は、金属材料に対する磁力がつり合わないように、金属材料の位置を調整してよい。この場合、金属材料に対する磁力が、一方向に偏った状態で作用する。これにより、金属材料を所望の方向へ曲げることが可能になる。
【0099】
[第1形態]
金属パイプ材料を成形する成形装置であって、
前記金属パイプ材料を成形する第1の金型及び第2の金型を有する成形金型と、
前記金属パイプ材料へ通電することで当該金属パイプ材料を加熱する加熱部と、
前記第1の金型及び前記第2の金型の間で前記金属パイプ材料を保持する保持部と、
前記成形金型の動作、前記加熱部及び前記保持部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の金型及び前記金属パイプ材料の間で発生する力と、前記第2の金型及び前記金属パイプ材料の間で発生する力とがつり合う第1の位置に、前記第1の金型、前記第2の金型、及び前記金属パイプ材料を配置し、前記第1の位置にて前記加熱部で前記金属パイプ材料を加熱する、成形装置。
【0100】
[第2形態]
前記制御部は、前記第1の金型及び前記第2の金型との間に前記金属パイプ材料が配置される位置関係であって、前記第1の位置とは異なる位置関係を有する第2の位置に、前記第1の金型、前記第2の金型、及び前記金属パイプ材料を配置する、第1形態に記載の成形装置。
【0101】
[第3形態]
前記保持部は、前記第1の金型及び前記第2の金型の間で前記金属パイプ材料を回転させる回転機構を備える、第1形態又は第2形態に記載の成形装置。
【0102】
[第4形態]
前記第2の位置では、前記第2の金型が前記第1の金型よりも前記金属パイプ材料から離間した位置に配置され、
前記制御部は、前記第2の位置よりも、前記第2の金型を前記金属パイプ材料に近付けることによって、前記第1の位置とする、第2形態に記載の成形装置。
【0103】
[第5形態]
前記保持部は、前記成形金型の外部から前記第1の金型及び前記第2の金型の間へ前記金属パイプ材料を移動させるロボットアームを有し、
前記ロボットアームは前記金属パイプ材料を保持した状態にて当該金属パイプ材料を加熱する前記加熱部を有し、
前記ロボットアームは、前記第1の位置に前記金属パイプ材料を配置させる、第1形態に記載の成形装置。
【符号の説明】
【0104】
1,200,300…成形装置、2…成形金型(金属部材)、3…駆動機構(位置調整部)、4…保持部(位置調整部)、5…加熱部、8…制御部(位置調整部)、11…下型(第1の金型)、12…上型(第2の金型)、40…金属パイプ材料(金属材料)、110…回転機構(位置調整部)、130…ロボットアーム、250…表示装置、301…磁力調整部材。